JP2016221552A - 熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラム - Google Patents

熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラム Download PDF

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和紀 阪本
Kazuki Sakamoto
和紀 阪本
康宏 林田
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康宏 林田
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Abstract

【課題】熱交換用プレートの元材となる平板材のプレス成形性を鑑み、伝熱プロセスでの伝熱性向上に有効な形状となるようにとなるように、熱交換用プレートにプレス加工される凸部の形状を決定する熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラムを提供する。【解決手段】本発明は、プレス加工によって、金属製の平板材の表面に複数の凸部を形成して熱交換用プレートを作成する際の前記凸部の形状を決定する方法であって、プレス加工時に前記平板材が破断する場合の、前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さを求めておき、求めた前記凸部の成形限界高さをもとに、熱交換用プレート作成時の前記凸部の形状を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラムに関する。
従来より、熱交換器等に組み込まれる熱交換用プレート(PHEプレート)は、高い伝熱性を有していることが望まれている。熱交換用プレートの伝熱性を向上させるためには、表面積を拡大することが一般的に望ましいものとされていて、その熱交換用プレートの表面に凹凸を形成する方法などが挙げられる。
熱交換用プレートにおいて、所望とする伝熱性能を発現する凹凸を設計する、すなわち所望の性能となるように熱交換用プレートの凸部形状を決定するための技術としては、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1には、3次元数値シミュレーションを用いてプレート式熱交換器の動作中における内部熱応力を算出し、算出された熱応力に基づいて熱交換用プレートの凸部形状及びプレート式熱交換器の強度を決定する方法が開示されている。
特開2007−163131号公報
しかしながら、特許文献1の技術を用いて、所望の性能となるように熱交換用プレートの凸部形状を決定したとしても、実際に熱交換用プレートを製造する際に、その決定した形状の凸部を熱交換用プレートに付与することができない虞がある。
具体的には、特許文献1は、3次元数値シミュレーションによる温度及び強度解析によって熱交換用プレートの凹凸形状を決定し、その決定した凹凸形状を基に熱交換用プレートを製造する技術ではあるが、その凹凸形状が強度解析のみによって決定されているので、実際に熱交換用プレートをプレス加工などにより成形すると、成形中にプレートが割れたり、歪んだりする虞がある。
つまり、特許文献1は、熱交換用プレートを成形する際に元となる平板材の成形許容度(材料成形性)を考慮していないため、3次元数値シミュレーションで熱交換用プレートの強度を導出しても、伝熱性の高い熱交換用プレートとして成立しない凹凸形状になり、所望の性能を有した熱交換用プレートを製造することができない虞がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、熱交換用プレートの元材となる平板材のプレス成形性を鑑み、伝熱プロセスでの伝熱性向上に有効な形状となるように、熱交換用プレートにプレス加工される凸部の形状を決定する熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる熱交換用プレートの凸部形状の決定方法は、プレス加工によって、金属製の平板材の表面に複数の凸部を形成して熱交換用プレートを作成する際の前記凸部の形状を決定する方法であって、予め、プレス加工時に前記平板材が破断する場合の、前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さを求めておき、求めた前記凸部の成形限界高さをもとに、熱交換用プレート作成時の前記凸部の形状を決定することを特徴とする。
好ましくは、前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さをシミュレーションにより算出するにあたり、前記平板材の材料物性値と前記凸部の形状に関するパラメータから、前記平板材に付与可能な曲げ歪みを算出する曲げ歪み算出ステップと、前記曲げ歪み算出ステップにて算出された曲げ歪み、前記平板材の材料物性値、潤滑条件、及び、シミュレ
ーション領域外との間の材料流動に基づいて前記平板材に生じる伸び歪みを算出する変形解析ステップと、前記変形解析ステップにて算出された前記平板材の伸び歪み、及び、前記凸部の形状に関するパラメータに基づいて前記凸部の成形限界高さを算出する凸部形状算出ステップと、を有するとよい。
好ましくは、前記変形解析ステップにおいて、次式にて与えられるモデルを用いて伸び歪みLを算出するとよい。
好ましくは、前記βは、次式で表されるとよい。
本発明にかかる熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラムは、プレス加工によって、金属製の平板材の表面に複数の凸部を形成して熱交換用プレートを作成する際の前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さをシミュレーションにより算出するプログラムであって、前記平板材の材料物性値と前記凸部の形状に関するパラメータから、前記平板材に付与可能な曲げ歪みを算出する曲げ歪み算出手順と、前記曲げ歪み算出手順にて算出された曲げ歪み、前記平板材の材料物性値、潤滑条件、及び、シミュレーション領域外との間の材料流動に基づいて前記平板材に生じる伸び歪みを算出する変形解析手順と、前記変形解析手順にて算出された前記平板材の伸び歪み、及び、前記凸部の形状に関するパラメータに基づいて前記凸部の成形限界高さを算出する凸部形状算出手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
好ましくは、前記変形解析手順において、次式にて与えられるモデルを用いて伸び歪みLを算出するとよい。
好ましくは、前記βは、次式で表されるとよい。
本発明によれば、熱交換用プレートの元材となる平板材のプレス成形性を鑑み、伝熱プロセスでの伝熱性向上に有効な形状となるように、熱交換用プレートにプレス加工される凸部の形状を決定することができる。
本発明の決定方法で決定された形状の凸部を有する熱交換用プレートを模式的に示した図である。 図1のA部分の拡大断面図であり、熱交換用プレートに形成された凸部の形状を示した図である。 本発明の熱交換用プレートの凸部形状の決定方法を示したフローチャート図である。 熱交換用プレートの凸部の成形限界高さを導出する方法を説明するための模式図である。 熱交換用プレートの凸部の成形限界高さを導出する際に用いられるインターフェースの一例を示した図である。 熱交換用プレートの凸部の成形限界高さを決定する過程を示した図である。 熱交換用プレートの凸部の成形限界高さの結果から、最適な凸部のピッチを示した図である。
以下、本発明にかかる熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラムについて、図面に基づき詳しく説明する。
まず、本発明の熱交換用プレートの凸部形状の決定方法で決定された凹凸形状が、表面に形成されている熱交換用プレート1について述べる。
図1は、本発明の熱交換用プレートの凸部形状の決定方法で決定された形状を有する凸部2がプレス加工された熱交換用プレート1を模式的に示した図である。また、図2は、図1中のA部分の拡大断面図であり、熱交換用プレート1に形成された凸部2の形状を示した図である。なお、図1及び図2に示す、複数の凸部2からなる凹凸形状は、一例を示したものであり、その凹凸形状は当業者が所望とする形状に変更可能である。
この熱交換用プレート1(PHEプレート)は、熱交換器等に組み込まれていて、伝熱プロセスでの高い伝熱性能を備えた金属製の平板材Wである。また、熱交換用プレート1は、プレス加工に用いられる一対の金型と平板材Wとの相対運動を利用し、且つ複数の処理工程を経ることで、平板材Wを塑性変形させて、所定の形状の凸部2を表面に複数形成する多工程プレス成形プロセスにおいて、作成されるものである。
図1に示すように、熱交換用プレート1は、元材となる平板材Wの表面に、略V字状の横凸部2bが一又は複数形成された横凸領域4と、横凸領域4を囲む矩形凸部2aが形成され、横凸領域4と矩形凸部2aとが非重合状態となっている。なお、矩形凸部2aは横凸部2bとは反対側の面に向かって凸となっていてもよい。矩形凸部2a又はその周囲には図略のガスケットが配置される。
横凸領域4は、平面視で、横凸部2bがヘリンボーンと呼ばれる山形の形状に形成される領域であり、横凸部2bは、熱交換用プレート1の中央から短辺方向の両端側に向かうにつれて傾斜するように形成されている。また、横凸部2b同士の間又は横凸部2bと矩形凸部2aとの間には横溝部が形成されている。
以上述べた熱交換用プレート1に形成される凸部2の形状は、以下で詳細に説明する本実施形態の凸部形状の決定方法で決定される。
本実施形態における熱交換用プレート1の凸部2の形状を決定する方法について、説明する。以降、単に凸部形状の決定方法と呼ぶ。
本実施形態の凸部形状の決定方法は、プレス加工によって、金属製の平板材Wの表面に複数の凸部2を形成して熱交換用プレート1を作成する際の凸部2の形状を決定する方法であって、プレス加工時に平板材Wが破断する場合の、凸部2の間隔ピッチ毎の成形限界高さhmaxを求めておき、求めた凸部2の成形限界高さhmaxをもとに、熱交換用プレート1作成時の凸部2の形状(具体的には、凸部2の間隔ピッチP及び成形高さh)を決定する方法である。
なお、図2に示すように、本実施形態では、間隔ピッチPは、矩形凸部2a端部と、矩形凸部2aに隣接し且つ横凸領域4の端に位置する横凸部2bの頂部までの距離とする。なお、間隔ピッチPの定義はこれに限定される必要はない。
この凸部形状の決定方法は、例えば熱交換用プレート1を設計するコンピュータ内に格納された凸部形状を算出するプログラムにより、凸部2の形状の成形限界高さhmaxを求め、その凸部2の成形限界高さhmaxを超えない成形高さh及びそのときの間隔ピッチP、すなわち熱交換用プレート1の凸部2の形状を決定する。
凸部形状の算出プログラムは、以下に示すシミュレーションの手順により、凸部2の形状の成形限界高さhmaxを算出する。この算出プログラムは、変形解析手順、曲げ歪み算出手順、凸部形状算出手順を備えるものとなっている。
具体的には、変形解析手順(変形解析ステップ)では、平板材Wの材料物性値(伸び、強度、異方性、変形抵抗など)及び、平板材Wの表面における潤滑条件を付与し、且つシミュレーション領域外との間の材料流動を考慮した上で、プレス加工時に平板材Wが伸びることによる変形で生じる伸び歪みを算出する。
曲げ歪み算出手順(曲げ歪み算出ステップ)では、平板材Wの材料物性値と所望とする凸部2の最終形状の値から、プレス加工後に平板材Wに付与可能な曲げ歪み、すなわち平板材Wが曲がることによる変形で破断する場合の、凸部2の形状の曲げ歪みの最大値を算出する。
ここで、平板材Wに生じる伸び歪みは、成形時における平板材Wの伸びによる変形で生じるものである。また、平板材Wに付与可能な曲げ歪みは、成形後における平板材Wの曲げによる変形で生じるものである。
凸部形状算出手順(凸部形状算出ステップ)では、曲げ歪み算出ステップ及び変形解析ステップを経て凸部2の形状の成形限界高さhmaxを算出する(詳細については後述)。このとき、間隔ピッチPの最小値Pminも算出する。
そして、算出された成形限界高さhmax及び間隔ピッチPの最小値Pminに基づいて、その凸部2の成形高さh及び間隔ピッチPを決定する。
次に、本発明の熱交換用プレート1の凸部2の形状を決定する方法を、図3に示すフローチャート図に沿いながら事例を挙げて、詳細に説明する。
本実施形態の事例においては、熱交換用プレート1の元となる金属製の平板材W、すなわちプレート用ブランクとして、板厚1.4mm、引張強度320MPa、全伸び30%の純チタン製の平板材を採用することとする。以降、平板材Wをチタン材とする。
まず、図3のステップS1に示すように、所望とする熱交換用プレート1(PHEプレート)の表面形状を設定する。
図5に示すように、予め伝熱部形状の寸法(成形高さh=2.5mm、凸部2端部のフィレット(面取り)半径ra=1.75mm)も設定する。ここが、第1の手順(ステップS1)である。
次に、チタン材Wの材料物性値、すなわち変形抵抗式σ(式(1))と異方性パラメータである平均r値を、JIS規格の引張試験から、算出する。
なお、式(1)のεは歪みであり、Fは加工硬化係数である。
式(1)に基づいて、歪みの最大値を求め、所定の引張曲げ成形の2次元モデル(曲率半径など凸部の形状に関する所与のパラメータ)を用いて平板材に付与可能な曲げ歪みεofが求められる。ここが、曲げ歪み算出ステップである。
次いで、図6に示すように、熱交換用プレート1に形成される凸部2の形状及び寸法(成形高さh及び凸部2端部のフィレット半径raなど)と、チタン材Wの材料物性値と、プレス加工時におけるチタン材W表面の潤滑条件を用いて、簡易成形解析モデルを構築する。
なお、簡易成形解析モデルを構築するにあたっては、熱交換用プレート1の伝熱部にお
いて、最も成形が厳しい箇所に着目する。例えば、図1のA部及び図2に示すように、横凸領域4(斜溝部)と矩形凸部2aが隣接する部分が、最も成形が厳しい箇所に該当する。もちろん、他の箇所に着目して簡易成形解析モデルが構築されてもよい。
そして、図1のA部に示す熱交換用プレート1の伝熱部の成形状態を、図4に示すような簡易的な引張曲げモデルとして構築する。なお、図4に示すような成形が難しいとされる伝熱部の形状は、稜線Rで発生する曲げ変形と直線部の引張り変形と、が複合した引張曲げ変形で成形される。なお、稜線Rでの曲げによる変形で生じる歪みが「曲げ歪み」であり、直線部での引張による変形で生じる歪みが「伸び歪み」である。
ここで、上記した引張曲げ変形の成形モデルの構築方法について、説明する。
まず、アルミ合金、ハイテン材などの引張曲げ成形の限界予測に用いられている簡易的な引張曲げ変形モデル(既存のモデル)を構築する。この簡易的な引張曲げ変形モデルを構築するにあたっては、以下に示す条件に基づく。
(1)引張り曲げ成形を、稜線Rに垂直な断面についての平面歪み変形とみなす。
(2)成形される領域の端部をまたぐ材料移動を無視する。
(3)チタン材W表面の潤滑状態の影響を考慮しない。
上記した条件を基に構築した既存のモデルでは、成形時において、曲げ部(稜線R)に発生する張力と、直線部に発生する引張力と、「成形限界時において、曲げ部の張力と直線部の引張力との釣り合いを保つ」という条件とから、成形限界高さhmaxを算出することができる(「アルミニウム合金板の引張曲げ破断限界」、塑性と加工(日本塑性加工学会誌)、第46巻、第536号などを参照)。
そして、上記した既存のモデルを、本実施形態の熱交換用プレート1(PHEプレート)の伝熱部における簡易成形解析モデルに適用させる。この簡易成形解析モデルに適用させるにあたっては、以下に示す条件を考慮する。
(1)熱交換用プレート1の伝熱部が、比較的細かなピッチの複数の稜線Rで構成されていることに起因する、隣接領域間での若干の材料流動、すなわちシミュレーション領域外から領域内への材料流出入を考慮する。
(2)熱交換用プレート1の成形限界高さhmaxに大きく影響する、チタン材W表面の潤滑状態の影響を考慮する。
そして、上記した熱交換用プレート1を作成するときに発生する端部からの材料移動、すなわち材料の流動量を、チタン材Wの材料物性値と表面の潤滑状態との関数として、既存のモデルに導入し、凸部2の成形限界高さhmaxを予測することができる簡易成形解析モデルを構築する。具体的には、成形限界時においての曲げ歪みと伸び歪みとの釣り合い、すなわち曲げ部の張力と直線部の引張力との釣り合いを、検討する。
以下に、簡易成形解析モデル(張力のつり合い式)を示す。
式(2)に示されている各記号は、Lが稜線ピッチ、Lが伸び歪み(成形後の材料長さ)、tが初期板厚、tが成形後板厚、Rpが凸部の頂部における曲げの曲率半径、εofが曲げ歪み(より正確には曲げ部外側の成形後の歪み)、nが引張試験の応力−歪み曲線をn乗硬化則で近似した場合の材料のn値(平板材の伸び) ある。また、βはチタン材Wの材料流動量を表している。また、μは摩擦係数であり、チタン材W表面における潤滑剤が含まれた金型とチタン材Wとの間の潤滑状態を表す指標である。
式(2)左辺は直線部の引張力(チタン材Wの伸びによる張力)を表し、右辺は曲げ部の稜線Rに沿った方向の張力(チタン材Wの曲げによる張力)を表す。すなわち、式(2)左辺はチタン材Wの伸びによる歪み「伸び歪み」が表され、右辺はチタン材Wの曲げによる歪み「曲げ歪み」が表されるともいえる。
本実施形態では、βは次式で表されるものであると好ましい。
ここで、h(μ)は、張力の影響を考慮しないときの材料の流動量を摩擦係数μで表した関数である。f(n)・g(μ)は、張力の影響を考慮したときの材料の流動量をn値の関数であるf(n)と摩擦係数μの関数であるg(μ)の積として表したものである。他の要因による材料の流動量は定数Cとして扱っている。
上記式(2)、すなわち、上記のチタン材Wの材料物性値、及び表面の潤滑条件を付与し、且つシミュレーション領域外との間の材料流動を考慮した簡易成形解析モデルを用いて、プレス加工時にチタン材Wが伸びることによる変形で生じる直線部の歪み、すなわち伸び歪みLが算出される。ここが、変形解析手順(変形解析ステップ)である。
そして、プレス加工時にチタン材Wが破断する場合における凸部2の成形限界高さhmaxが、伸び歪みL、及び、上記Rp等の凸部の形状パラメータに基づいて幾何学的に算出される。このように、本実施形態では、式(3)が考慮された簡易成形解析モデルの式(2)を用いて、熱交換用プレート1の所定の間隔ピッチPに対する成形限界高さhmaxを算出する。ただし、上記の簡易成形解析モデルにて算出される凸部2の成形限界高さ、すなわち括れ成形限界高さhmaxは、チタン材Wが括れて破断するときの高さである。
図7は、「括れ成形限界高さhmax」を、矩形凸部2aと横凸部2bとの間隔ピッチP(溝間隔)ごとに導出したグラフである。
図7に示すように、「括れ成形限界高さhmax」は、矩形凸部2aと横凸部2bとの間隔ピッチPが広くなればなるほど、数値が大きく(高さが高く)なる。つまり、矩形凸部2aと横凸部2bとの間隔ピッチPが広くなると成形性が高くなる(比例する)ことがわかる。例えば、間隔ピッチPが7mmのときの「括れ成形限界高さhmax」は、約0.7mmである。また、間隔ピッチPが13mmのときの「括れ成形限界高さhmax」は、約3.0mmである。
上記のようにして、プレス加工時に破断する場合の、凸部2の成形限界高さhmax及び間隔ピッチ(稜線間隔)の最小値Pminを算出する。ここまでが、成形限界高さhmax算出手順、すなわち凸部形状算出手順(凸部形状算出ステップS4)である。
凸部形状算出手順で算出された成形限界高さhmaxに基づいて、プレス加工時に括れて破断することなく矩形凸部2a及び横凸領域4を成形可能とする、成形高さh及び間隔ピッチPを決定する。つまり、成形高さh、間隔ピッチPを、成形時の安全性や成形コストなどを考慮した上で括れなく成形できるように、所定の値だけ低く設定する。
例えば、成形限界高さhmaxから0.5mm低くした値を凸部2の成形高さhと決定し、それに連動するように間隔ピッチPを決定するとよい。なお、摩擦係数μについては、別途同定試験を行った。その結果、プレス油潤滑相当の0.165を導出し、摩擦係数μとした。また、図2に示すA部、すなわち矩形凸部2aと横凸部2bとの間隔ピッチPは、成形限界高さhmaxの1/2以上(1.25mm以上)を確保することが必要である。ここまでが、第5の手順(ステップS5)である。
なお、以上述べた手順で構築した「熱交換用プレート1の伝熱部における簡易成形解析モデル(凸部2の最終形状を簡易的に表したモデル)」は、本願発明者らが成形限界試験の結果から、シミュレーション領域外から領域内への材料流出入量が、チタン材Wの材料物性値及び、材料表面の潤滑条件から大きく影響を受けることを知見し、その知見したことより導出したものである。すなわち、材料流動量を考慮した係数βを導入した簡易成形解析モデルを構築することが、本発明の重要な要素である。
このように決定した凸部2の形状を、実際のプレス加工に適用させる。
上述した本発明によれば、元材となる平板材Wの成形許容度から、熱交換用プレート1の凸部2の形状の限界値、すなわち成形限界高さhmax及び間隔ピッチPの最小値Pminを算出し、算出した凸部2の形状の限界値に基づいて、成形高さh及び間隔ピッチPを決定することで、括れなく成形可能な熱交換用プレート1を簡便に設計することができる。加えて、このように決定された凸部形状が伝熱プロセスでの伝熱性向上に有効な形状となるので、従来の熱交換用プレート1より著しく高い伝熱効果を得ることが可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
本実施形態においては、凸部2の形状の限界値を算出するにあたり、凸部2の成形限界高さhmaxを求めて、そしてそのときの間隔ピッチPの最小値Pminを求めているが、その逆つまり、凸部2の間隔ピッチPの最小値Pminを求めて、そしてそのときの成形限界高さhmaxを求めるようにしてもよい。
本実施形態における凸部形状の決定方法及び凸部形状の算出プログラムは、チタン製の平板材を用いた熱交換用プレート1の凸部形状の決定に好適であるが、アルミ合金製の板材やハイテン板材を用いた熱交換用プレート1の凸部形状の決定にも適用可能である。つまり、本発明の熱交換用プレート1の凸部形状の決定方法及び凸部形状の算出プログラムは、金属製であるならば、いかなる材料の板材を用いてもよい。
上記実施形態では、チタン材Wの材料流動量βは、引っ張り強度TSで表した関数j(TS)を加えて次式とされてもよい。C1は定数である。
さらに、チタン材Wの材料流動量βは、平板材Wの面積Sで表した関数k(S)を加えて次式とされてもよい。C2は定数である。
さらに、材料流動量βは、プレス機の板押さえ力BHFで表した関数L(BHF)を加えて次式とされてもよい。C3は定数である。
さらに、材料流動量βは関数j(TS)、関数k(S)、関数L(BHF)のいずれか2つ以上を含んでもよい。材料流動量βは他の指標を関数として含んでもよい。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 熱交換用プレート
2 凸部
2a 矩形凸部
2b 横凸部
4 横凸領域
W 平板材(プレート用ブランク、チタン材)

Claims (7)

  1. プレス加工によって、金属製の平板材の表面に複数の凸部を形成して熱交換用プレートを作成する際の前記凸部の形状を決定する方法であって、
    予め、プレス加工時に前記平板材が破断する場合の、前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さを求めておき、
    求めた前記凸部の成形限界高さをもとに、熱交換用プレート作成時の前記凸部の形状を決定する
    ことを特徴とする熱交換用プレートの凸部形状の決定方法。
  2. 前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さをシミュレーションにより算出するにあたり、
    前記平板材の材料物性値と前記凸部の形状に関するパラメータから、前記平板材に付与可能な曲げ歪みを算出する曲げ歪み算出ステップと、
    前記曲げ歪み算出ステップにて算出された曲げ歪み、前記平板材の材料物性値、潤滑条件、及び、シミュレーション領域外との間の材料流動に基づいて前記平板材に生じる伸び歪みを算出する変形解析ステップと、
    前記変形解析ステップにて算出された前記平板材の伸び歪み、及び、前記凸部の形状に関するパラメータに基づいて前記凸部の成形限界高さを算出する凸部形状算出ステップと、
    を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換用プレートの凸部形状の決定方法。
  3. 前記変形解析ステップにおいて、次式にて与えられるモデルを用いて伸び歪みLを算出することを特徴とする請求項2に記載の熱交換用プレートの凸部形状の決定方法。
  4. 張力の影響を考慮しないときの材料の流動量を摩擦係数μで表した関数h(μ)、張力の影響を考慮したときの材料の流動量をn値の関数であるf(n)と摩擦係数μの関数であるg(μ)の積f(n)・g(μ)、及び、他の要因による材料の流動量を定数Cとして前記βが次式で表されることを特徴とする請求項3に記載の熱交換用プレートの凸部形状の決定方法。
  5. プレス加工によって、金属製の平板材の表面に複数の凸部を形成して熱交換用プレートを作成する際の前記凸部の所定のピッチに対する成形限界高さをシミュレーションにより算出するプログラムであって、
    前記平板材の材料物性値と前記凸部の形状に関するパラメータから、前記平板材に付与可能な曲げ歪みを算出する曲げ歪み算出手順と、
    前記曲げ歪み算出手順にて算出された曲げ歪み、前記平板材の材料物性値、潤滑条件、及び、シミュレーション領域外との間の材料流動に基づいて前記平板材に生じる伸び歪みを算出する変形解析手順と、
    前記変形解析手順にて算出された前記平板材の伸び歪み、及び、前記凸部の形状に関するパラメータに基づいて前記凸部の成形限界高さを算出する凸部形状算出手順と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする熱交換用プレートの凸部形状を算出するプログラム。
  6. 前記変形解析手順において、次式にて与えられるモデルを用いて伸び歪みLを算出することを特徴とする請求項5に記載の熱交換用プレートの凸部形状を算出するプログラム。
  7. 張力の影響を考慮しないときの材料の流動量を摩擦係数μで表した関数h(μ)、張力の影響を考慮したときの材料の流動量をn値の関数であるf(n)と摩擦係数μの関数であるg(μ)の積f(n)・g(μ)、及び、他の要因による材料の流動量を定数Cとして前記βは、次式で表されることを特徴とする請求項6に記載の熱交換用プレートの凸部形状を算出するプログラム。
JP2015111593A 2015-06-01 2015-06-01 熱交換用プレートの凸部形状の決定方法、及び熱交換用プレートの凸部形状の算出プログラム Pending JP2016221552A (ja)

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