JP6870670B2 - 変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法 - Google Patents

変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6870670B2
JP6870670B2 JP2018171635A JP2018171635A JP6870670B2 JP 6870670 B2 JP6870670 B2 JP 6870670B2 JP 2018171635 A JP2018171635 A JP 2018171635A JP 2018171635 A JP2018171635 A JP 2018171635A JP 6870670 B2 JP6870670 B2 JP 6870670B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bending
deformation
limit
sheared surface
metal plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018171635A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020040111A (ja
Inventor
健斗 藤井
健斗 藤井
祐輔 藤井
祐輔 藤井
雄司 山▲崎▼
雄司 山▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2018171635A priority Critical patent/JP6870670B2/ja
Publication of JP2020040111A publication Critical patent/JP2020040111A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6870670B2 publication Critical patent/JP6870670B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)
  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Description

本発明は、せん断加工した後の金属板(素材)を、曲げ変形を含むプレス成形で成形して加工する際における、せん断加工面(せん断端面)での割れを評価・予測する技術、及びその技術に基づき金属板の割れを事前に抑制可能な金型形状の設計に関する技術である。
現在、自動車には軽量化による燃費向上と衝突安全性の向上との両方の性能が求められている。この2つの性能を両立する目的で、自動車の構造部品に対し高強度鋼板が使用される傾向にある。高強度鋼板におけるプレス成形時の成形不良の一つに割れがある。そして、プレス成形のよる割れ防止、特にせん断加工後の端面(せん断加工面)での割れの防止が重要な課題の一つとなっている。
せん断加工面の割れは、大きく分けると伸びフランジ変形による割れと曲げ変形による割れに分類される。伸びフランジ割れの予測については、例えば特許文献1〜3に記載の方法がある。特許文献1には、板面内方向のひずみ勾配を考慮した予測手法や、板面内の応力勾配を考慮した予測手法が記載されている。特許文献2には、伸びフランジ変形におけるひずみ勾配とひずみ集中と破断ひずみの関係を用いる方法が記載されている。特許文献3には、成形限界ひずみと板面内方向及び板厚方向のひずみ勾配の関係を用いた割れ予測方法が記載されている。
特開2010−69533号公報 特開2011−140046号公報 特開2014−115269号公報
しかしながら、せん断加工面の曲げ割れに関する割れの予測方法については好適な手法は開発されておらず、この曲げ変形によるせん断加工面の割れを予測する手法の開発が求められている。
特に、金属板として、引張強度が590MPa以上の高強度鋼板を採用した場合、プレス成形時に、せん断加工面の曲げ割れが顕在化してきている。
本発明は、上記のような課題に着目したもので、せん断加工面の曲げ割れの発生を防ぐために金属板のせん断加工面の曲げ割れ限界を予測し、プレス成形条件を決定するための技術を提供することを目的とする。
発明者は、せん断加工面での曲げ割れについて、曲げ試験によりせん断加工面の曲げ割れが発生する成形条件を求め、更に曲げ試験と同一成形条件の成形シミュレーションにより、曲げ割れの変形限界ひずみεlimitを求めてみた。そして、発明者は、求めた曲げ割れの変形限界ひずみεlimitとプレス成形時のせん断加工面のひずみを比較することで、せん断加工面の割れの発生を予測できるとの知見を得た。
本発明は、金属板に必要となる曲げ性の予測方法と、それを用いた金属板に発生する割れの予測方法である。また、対象とする金属板に割れを発生させることなくプレス成形するための変形限界の評価・予測方法と、金型形状の設計方法を提供する。
すなわち、本発明の一態様は、せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を行う際における、上記金属板のせん断加工面での変形限界を評価する変形限界の評価方法であって、金属板のせん断加工面を含む部分に曲げ変形を与えることによる、曲げ変形による曲げ部の曲げ半径とせん断加工面に発生する亀裂長さとの関係を求め、その求めた曲げ半径と亀裂長さとの関係から、せん断加工面での金属板の曲げ変形の限界を評価することを要旨とする。
また、本発明の一態様は、せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を行う際における、上記金属板のせん断加工面での変形限界を評価する変形限界の評価方法であって、金属板のせん断加工面を含む部分に曲げ変形を与えることによる、曲げ変形による曲げ部の曲げ半径とせん断加工面に発生する亀裂長さとの関係を求め、求めた上記関係から、せん断加工面で割れが発生する曲げ割れの変形限界ひずみを求め、求めた変形限界ひずみでせん断加工面での金属板の曲げ変形の限界を評価することを要旨とする。
本発明の一態様によれば、せん断加工後の金属板をプレス成形する際に、曲げ変形による金属板のせん断加工面での変形限界を精度良く評価することができる。この結果、例えば、端面からの割れ発生の有無を精度良く予測したり、割れの発生を抑えたりすることができる金型形状の設計が可能となる。
そして、本発明の一態様によれば、例えば、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品をプレス成形する際に、用いる金属板の選定が適切であるか精度良く予測できるようになり、プレス成形を安定して行うことができる。また、プレス成形品の不良率の低減にも大きく寄与することができる。更に、本発明の一態様によれば、例えば、プレス金型の形状を設計段階で精度良く予測できるようになり、プレス金型の製造期間の短縮に貢献できる。
金属板をプレス成形したプレス部品形状の例を示す図であり、(a)はプレス加工前の金属板を、(b)はプレス加工後の部品形状を、(c)は図1(b)のA−A断面図を示す。 本発明に基づく第1実施形態に係る処理手順の例を示す図である。 V曲げ試験の概略図である。 亀裂長さの定義の例を説明する図である。 亀裂長さの他の定義の例を説明する図である。 曲げ半径と亀裂長さの関係を示す図である。 限界曲げ半径を示す図である。 変化率の変化を示す図である。 実施例における試験片の形状を示す図である。 実施例における、曲げ半径と亀裂長さの関係を示す図である。 実施例における、曲げ半径と亀裂発生部で最大主ひずみとの関係を示す図である。 実施例における、曲げ割れ評価部の例を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1(b)に、金属板1を曲げ加工を含むプレス成形で成形したプレス部品2の一例を、示す。図1は、金属板1を断面コ字状に曲げ成形した例である。
この例は、図1(a)の形状にせん断加工された金属板1を、図1(b)、図1(c)のプレス部品2の形状にプレス成形した例であり、符号2Aの位置がせん断加工面10を含む部分に曲げ変形を施すことで生じた曲げ部である。図1(a)中、符号1Aが曲げ変形を加えられる位置である。
この図1では、符号Xの位置が、端面において、曲げ変形時にひずみが一番大きく、亀裂が発生すると推定される部分である。曲げによる亀裂が発生しやすい位置は、曲げ部2A又はその近傍位置のせん断加工面10の位置である。
本実施形態では、このような、せん断加工された金属板1に曲げ変形を含むプレス成形を行う際における、金属板1のせん断加工面10での変形限界を評価する評価方法である。
なお、本発明の適用は、断面コ字状への曲げ成形に限定されず、せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を有するものであれば、特にプレス部品の形状に制限はない。
次に、本実施形態における変形限界の評価方法について説明する。
図2に、本実施形態での金属板1のせん断加工面10での変形限界を評価する手順の例を示す。本実施形態での変形限界の評価は、図2に示すように、例えば曲げ試験3A、曲げ半径と亀裂長さの関係を取得3B、限界曲げ半径の決定3C、変形限界ひずみを取得3D、せん断加工面での割れ判定3Eの順番に実施される。
<曲げ試験3A>
本実施形態の評価方法では、せん断加工を施した金属板1からなる試験片を複数用意する。
ここで、試験片の材質は、評価対象の金属板1と同じ材質とする。
また、試験片における曲げ変形が行われる位置における、平面視でみた、せん断加工面10の端面形状(輪郭形状)での曲率半径は、評価対象の金属板1にせん断加工する際の輪郭形状での曲率半径R0以下となっていることが好ましい。また、金属板1の板厚も、評価対象の金属板1の板厚と等しい厚さか又は近似した厚さであることが好ましい。
そして、各試験片に対し、曲げ変形による曲げ部がせん断加工面10を通過するように設定し、曲げ試験を行う。このとき、曲げ部での曲げ半径が異なるようにして曲げ試験を複数実施する。具体的には、曲げ試験に使用するパンチとして、曲げ半径の異なるパンチを順次使用することで実現する。
ここで、曲げ試験にはU曲げ試験、V曲げ試験など様々な種類がある。自動車の車体構造部材の評価には、図3に示すようなV曲げ試験が好ましい。但し、試験片20のせん断加工面10に曲げ変形を与えることができ、かつ後述の成形シミュレーションで曲げ試験を再現できれば、どのような曲げ試験の方法でも構わない。図3中、符号21がダイを、符号22がパンチ22を示す。
曲げ試験は、例えば曲げ半径Rが0.5mm〜10mmの範囲であって、互いの曲げ半径Rが異なる複数のパンチ22を使用して行う。パンチ22の曲げ半径Rとして、6mm以上で2つ以上、4mm以下で2つ以上異なるパンチ22を用いることが好ましい。
各パンチ22の曲げ半径Rのピッチ(隣り合う曲げ半径Rの差)は、パンチ22の曲げ半径Rが5mm未満でのピッチに比べて、相対的にパンチ22の曲げ半径Rが5mm以上でのピッチを大きく設定するとよい。なお、ピッチは等間隔にする必要はない。
例えば、パンチ22の曲げ半径Rが5mm以上では、曲げ半径Rを6.0mm、7.0mm、8.0mm…と、ピッチを1mm以上で変えて曲げ試験を行うとよい。但し、ピッチの最大値は例えば3mm以下とする。曲げ半径Rは、より小さいピッチで変えるほど試験の精度は高まる。しかし、曲げ半径Rが5mmより大きい場合、試験数が増える割に精度はほとんど変わらない。これはKirchhoff-Loveの仮説に基づいた曲げ理論から計算される曲げ変形に伴うひずみからも分かるように、曲げ変形における最大ひずみの発生位置である曲げ外側表面のひずみにおいて、曲げ半径Rが大きいと、曲げ半径Rの変化における曲げ外側表面ひずみの変化量が小さいためである。
一方、パンチ22の曲げ半径Rが5mm未満では、ピッチが大きくなるほど試験の精度が落ちるため、1mm未満のピッチで曲げ半径Rを変えるのが好ましい。ピッチが細かいほど精度は上がるが、余り細かくても、精度向上が見込めないため、ピッチの下限値は例えば0.2mmとする。例えば、パンチ22の曲げ半径Rが5mm未満では、パンチ22の曲げ半径Rを4.5mm、4.0mm、3.5mm…と、0.5mmピッチで変化させるとよい。
<曲げ半径Rと亀裂長さの関係取得3B>
次に、曲げ試験を実施後、各試験片20における、せん断加工面10に発生した亀裂長さを測定する。なお、亀裂は、せん断加工面10に対して垂直方向に伸展しているとは限らない。
亀裂長さLの測定方法は、例えば図4に示すように、亀裂先端k1からせん断加工面10の曲げ外表面までの最小距離で定義するのが良い。他にも図5に示すように、亀裂長さLとして、亀裂先端k1と曲げ外表面における亀裂の口開き部の中点Nとの距離で測定する方法や、亀裂に沿った長さを測定する方法などがある。亀裂長さLの測定方法は、同一の亀裂長さLの測定条件で評価すれば良く、いずれの亀裂長さLの測定方法でも構わない。
これによって、(パンチ22の曲げ半径R、亀裂長さL)の組からなる評価データを複数取得できる。なお、パンチ22の曲げ半径Rは、曲げ部の曲げ半径と同等の値となる。
上記複数の(パンチ22の曲げ半径R、亀裂長さL)の組からなる評価データによって、曲げ変形による曲げ部の曲げ半径Rとせん断加工面10に発生する亀裂長さLとの関係は表現できる。その関係は、例えば図6に示すような関係となっている。図6から分かるように、所定の曲げ半径Rから急に亀裂が伸展していることが分かる。
<限界曲げ半径の決定3C>
上記の複数の(パンチ22の曲げ半径R、亀裂長さL)の組からなる評価データについて、回帰分析などの統計処理を行って、図7のような、パンチ22の曲げ半径Rの変化に対する亀裂長さLの変化からなる変化率L/Rを求める。そして、変化率L/Rが急激に変化する変化位置CHに対応する曲げ半径Rを、評価したせん断加工面10での曲げ変形の成形限界(変形限界)である限界曲げ半径RXとする。ここで、成形限界は成形可能な限界を表す。
より具体的には、図8に示すような、パンチ22の曲げ半径Rの変化に対する亀裂長さLの変化の割合である変化率L/Rが、0.03以上、好ましくは0.05以上となる曲げ半径の境界位置を限界曲げ半径RXとすることが好ましい。その限界曲げ半径RXは、変化率L/Rが急激に変化する曲げ半径のうちの最大の曲げ半径Rである。この値を採用する理由は、変化率L/Rが0.03未満だと成形条件であるパンチ22の曲げ半径Rの変化に伴うせん断加工面10の曲げひずみ変化が及ぼす亀裂長さLの急激な変化への影響が確認できないおそれがあるためである。なお、せん断加工によってせん断加工面10には微小な亀裂が発生している。そして、変化率L/Rが0.03以上と変化率が変化する変化位置で亀裂が急に伸展し、そのときの曲げ半径Rの最大値が限界曲げ半径RXとなる。
ここで、上記の曲げ試験及び亀裂の測定による(パンチ22の曲げ半径R、亀裂長さL)の組からなる評価データは、順次、鋼種などをキーとしてデータベースに登録しておくと良い。そして、評価対象の金属板1の条件と同一又は近似の評価データがデータベースに既に存在していれば、曲げ試験を行うことなく、データベース中の評価データを使用すればよい。同一の鋼材等の成形条件の評価データがデータベースになくても、データベース中の近似の評価データに補間処理を施して、複数の(パンチ22の曲げ半径R、亀裂長さL)の組からなる評価データを取得するようにしても良い。
<変形限界ひずみの算出(取得)3D>
次に、限界曲げ半径RXを決定した曲げ試験の試験方法を再現した成形シミュレーションを実施する。この成形シミュレーションで、曲げ半径Rに対するせん断加工面10での亀裂発生部の表面ひずみを推定する。表面ひずみとしては、例えば最大主ひずみを採用する。
成形シミュレーションの手法としては、プレス成形時のせん断加工面10の曲げ割れを判断する上で、プレス成形シミュレーションとして広く用いられているFEM解析が良い。解析結果より、せん断加工面10の亀裂発生部での最大主ひずみを取得し、せん断加工面10の割れ発生部の最大主ひずみと成形条件であるパンチ22の曲げ半径Rの関係を取得する。FEM解析では有限要素により最大主ひずみを取得する。
そして、前述の割れ限界の限界曲げ半径RXの成形条件での最大主ひずみを求め、これを変形限界ひずみεlimitと定義する。このようにして、変形限界ひずみを算出する。
また、割れ限界の成形条件の成形シミュレーションを実施し、割れ限界のひずみを測定して変形限界ひずみとしても良い。なお、ひずみの評価位置としては、簡易的には曲げ外側の最表面の有限要素から取得してもよい。
また、曲げ試験時に金属板1の表面にスクライブドサークル等のマーキングをし、曲げ加工前後のマーキング位置の変化からせん断加工面10近傍の最大主ひずみを実験的に取得することで変形限界ひずみを取得してもよい。すなわち、試験片20の表面に微小なマークをつけてマークの変形からひずみを求めても良い。
マークの形状は、サークルパターン、ドットパターン、グリッドパターン、同心円パターン等、成形後にひずみを計測できる形状であればよい。また、マーク方法は、電解エッチング、フォトエッチング、インクによる転写(スタンプ印刷)等があるが、いずれの方法を用いてもよい。但し、けがきは亀裂発生を誘発するため好ましくない。成形シミュレーションの場合は、せん断加工を再現する必要はなく、せん断加工された試験片20の端面形状を再現したモデルや、端面形状を単に平坦としたモデルを用いればよい。
3次元のソリッド要素を用いた有限要素法を用いると精度良く割れひずみが算出できる。
<プレス成形時のせん断加工面での割れ判定3E>
プレス成形のFEM解析を実施し、割れを判定したい部分のせん断加工面10の割れ発生懸念部位の最大主ひずみεedgeを算出する。そして、割れを判定したい部分のせん断加工面10の最大主ひずみεedgeと、上記求めた変形限界ひずみεlimitを比較することで、割れ発生の有無を判定する。
ここで、割れを判定したい部分のせん断加工面の位置と、限界曲げ半径RXで割れが発生するせん断加工面の評価位置は一致している必要はない。
具体的には、以下の条件(1)を満たすときに割れ発生と判定する。
εedge ≧ εlimit ・・・(1)
ここで、せん断加工面10の割れ判定は、割れを判定したい部分のせん断加工面10の割れ発生懸念部位の曲げ成形時の曲げ半径Rが限界曲げ半径RX以上か否かで判定しても良い。
<プレス金型の設計について>
使用する金型形状における曲げ半径Rが、上記のようにして評価・予測した限界曲げ半径RXよりも大きな半径となるように、プレス成形で使用するプレス金型の設計、若しくは設計変更を行う。
(作用その他)
本実施形態では、対象となる金属板1をせん断加工後にプレス成形される際に、金属板1のせん断加工面10の変形限界を精度良く評価することができる。この結果、端面からの割れ発生の有無を精度良く予測したり、割れの発生を抑えたりすることができる金型形状の設計が可能となる。
例えば、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品をプレス成形する際に用いる金属板1の選定が適切であるか精度良く予測できるようになる。また、プレス成形を安定して行うことができるとともに、プレス成形品の不良率の低減にも大きく寄与することができる。更に、本実施形態によれば、例えば、プレス金型の形状を設計段階で精度良く予測できるようになり、プレス金型の製造期間の短縮に貢献できる。
次に、本実施形態に基づく実施例について説明する。
表1に示す3種類の供試材A、B及びCからなる金属板1を対象として、実施例を説明する。表1に各供試材の材料特性を示す。
Figure 0006870670
各供試材に対し、直径10mmの打ち抜き穴を作製後、各供試材について、打ち抜き穴の中央位置を通過するようにして切断し、図9に示すような試験片20を作製した。打ち抜きには、パンチ22の直径10mm、ダイス直径10.3mmのハイス製工具を使用して、クランクプレス機を用いて打ち抜いて、打ち抜き穴を形成した。この打ち抜き穴がせん断加工面10を構成する。
本実施例では、せん断加工面10を直径10mmの丸穴としたが、せん断加工面10であればどのような端面形状の打ち抜き穴であっても構わない。但し、せん断加工面10の曲率半径は1mm以上とすることが好ましい。曲率半径が1mm未満となると、曲げ変形時に応力集中が起きやすくなるため、曲げ変形以外の影響がせん断加工面10に加わる可能性がある。更に、曲率半径が1mm未満の打ち抜き径となると、せん断加工時に工具の剛性が低いことから、せん断加工面10が所定の形状で形成できない可能性がある。このため、せん断加工面10の曲率半径は1mm以上として行うことが好ましい。但し、目的の製品形状における曲げ成形が加えられる位置のせん断加工面10の曲率半径以下に設定することが好ましい。なお、曲げ成形が加えられるせん断加工面10位置及びその近傍が、亀裂が発生しやすいと推定される位置となる。
本実施例では各試験片20にV曲げ試験を行った。
V曲げ試験は、試験片20の中央線(打ち抜き穴の中央を通過する位置)と、V曲げ用のパンチ22の稜線が一致するように試験片20を設置し、パンチ22の移動速度を3mm/s、決め押し荷重を100kNとして曲げ試験を実施した。このとき、曲げ半径Rが異なるV曲げ用のパンチ22でそれぞれ実施した。
そして、パンチ22で曲げられた各試験片20におけるせん断加工面10に発生している亀裂のうちの、最大長さの亀裂長さLを、せん断加工面10での亀裂長さLとして測定した。
せん断加工面10の亀裂長さLの測定方法としては、上述(図4参照)のように、亀裂先端k1からせん断加工面10の曲げ外表面までの最小距離を亀裂長さLとして測定した。亀裂長さLの測定にはKeyence社製のデジタルマイクロスコープVHX−6000を使用し、観察倍率100倍でせん断加工面10を観察して、せん断加工面10の亀裂長さLの距離を測定した。
図10に、V曲げ試験によるせん断加工面10の亀裂長さLとパンチ22の曲げ半径Rの関係を示す。
図10から分かるように、亀裂長さLは、所定の曲げ半径Rを境に急激に変化し、その変化位置は、各供試材によって異なることが分かる。
本実施例では、亀裂長さLが急激に変化する試験結果を割れと判定した。この割れ判定より割れ限界の曲げ半径Rを決定した。例えば、供試材Aでは、5mmが割れ限界の曲げ半径Rと決定された。
ここで、割れ限界の曲げ半径Rよりも大きな曲げ半径Rでは、亀裂長さLが略等しい長さとなっている。また曲げ成形する前であって、せん断加工によってせん断加工面10には微小の亀裂が存在する。例えば、高強度鋼板からなる供試材Aでは、せん断加工によってせん断加工面10に約50μmの亀裂が発生している。材料の引張強度が低い方が、通常、せん断加工による亀裂は小さい。
次いで、上記のV曲げ試験を再現したFEM解析により、最大主ひずみからなる表面ひずみと割れ限界の曲げ半径Rとの関係を取得した。その結果を図11に示す。
FEM解析のソルバーには汎用有限要素法ソフトLS−DYNA ver.800を用い、解法には動的陽解法を使用した。試験片20の要素は1次完全積分8節点6面体ソリッド要素とし、面内方向の最小メッシュサイズを0.16mmとし、板厚方向にメッシュを10分割した。材料モデルは等方硬化モデルとし、材料の応力−ひずみ関係として単軸引張り試験より得られた真応力−真ひずみ関係をSwiftの式で近似し、これを相当応力−相当塑性ひずみ関係として与えた。パンチ22、ダイスは剛体とし、要素は4節点1次低減積分シェル要素を用いた。
この図11に示すような結果から、V曲げ試験の割れ判定条件における変形限界ひずεlimitは表2のようになった。この結果から、他の成形条件をFEM解析で再現し、せん断加工面10のひずみを求めれば、せん断加工面10の割れ発生の有無を予測することができる。
Figure 0006870670
一例として、表1の供試材Cの材料を用いたプレス成形品による実施例を示す。
なお、供試材Cの限界曲げ半径RXは6.0mmであった。
図12にプレス成形品におけるせん断加工面10の曲げ割れ評価部を示す。
図12中の評価部を含む部品稜線の曲げ半径Rを4mm、6mm、8mmと変化させてFEM解析及び実部品試作による検証を行った。表3に、割れ予測及び実部品試作による割れ判定結果を示す。
Figure 0006870670
本結果より、曲げ半径Rと亀裂長さLに基づく割れ予測が実部品試作においても有効であることを確認した。これは本手法により高精度に割れ限界が予測できることを表している。
ここで、本発明は、上記に説明した内容に限られるものではなく、例えば、上記実施例では、引張強さが980MPa級以上の鋼板(1180MPa級の鋼板)に適用した例を示している。本発明は、このような高強度鋼板のプレス成形に適用することが好ましいが、引張強さが980MPa級未満の鋼板や、鋼板以外の金属板1に適用することもできる。
1 金属板
2 プレス部品
2A 曲げ部
3A 曲げ試験
3B 曲げ半径と亀裂長さの関係取得
3C 限界曲げ半径の決定
3D 変形限界ひずみの取得
3E せん断加工面での割れ判定
10 せん断加工面
20 試験片
22 パンチ
CH 変化位置
L 亀裂長さ
L/R 変化率
R パンチの曲げ半径
RX 限界曲げ半径

Claims (8)

  1. せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を行う際における、上記金属板のせん断加工面での変形限界を評価する変形限界の評価方法であって、
    金属板のせん断加工面を含む部分に曲げ変形を与えることによる、曲げ変形による曲げ部の曲げ半径とせん断加工面に発生する亀裂長さとの関係を求め、その求めた曲げ半径と亀裂長さとの関係から、せん断加工面での金属板の曲げ変形の限界を評価することを特徴とする変形限界の評価方法。
  2. 上記曲げ半径の変化に対する上記亀裂長さの変化である変化率が予め設定した設定変化率以上に変化する変化位置に対応する曲げ半径を、評価したせん断加工面での曲げ変形の成形限界と判定することを特徴とする請求項1に記載した変形限界の評価方法。
  3. 上記設定変化率が0.03であることを特徴とする請求項2に記載した変形限界の評価方法。
  4. 上記評価の位置を、曲げ変形時に亀裂が発生すると推定されるせん断加工面での位置とすることを特徴とした請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した変形限界の評価方法。
  5. せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を行う際における、上記金属板のせん断加工面での変形限界を評価する変形限界の評価方法であって、
    金属板のせん断加工面を含む部分に曲げ変形を与えることによる、曲げ変形による曲げ部の曲げ半径とせん断加工面に発生する亀裂長さとの関係を求め、求めた上記関係から、せん断加工面で割れが発生する曲げ割れの変形限界ひずみを求め、求めた変形限界ひずみでせん断加工面での金属板の曲げ変形の限界を評価することを特徴とする変形限界の評価方法。
  6. 曲げ半径と亀裂長さとの関係から、せん断加工面で割れが発生する成形限界の曲げ半径を求め、上記成形限界の曲げ半径を求めた際の曲げ成形条件で成形シミュレーションを行って、せん断加工面での表面ひずみを求めることで、曲げ割れの変形限界ひずみを決定することを特徴とする請求項5に記載した変形限界の評価方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の変形限界の評価方法を用いた、金属板のせん断加工面での曲げ変形による割れの予測方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価方法又は請求項7に記載の予測方法のいずれか1つの方法を用いて、金属板端面での割れ発生を抑制したプレス金型を設計することを特徴とするプレス金型の設計方法。
JP2018171635A 2018-09-13 2018-09-13 変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法 Active JP6870670B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018171635A JP6870670B2 (ja) 2018-09-13 2018-09-13 変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018171635A JP6870670B2 (ja) 2018-09-13 2018-09-13 変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020040111A JP2020040111A (ja) 2020-03-19
JP6870670B2 true JP6870670B2 (ja) 2021-05-12

Family

ID=69799146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018171635A Active JP6870670B2 (ja) 2018-09-13 2018-09-13 変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6870670B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6773255B1 (ja) * 2019-02-26 2020-10-21 Jfeスチール株式会社 曲げ割れ評価方法、曲げ割れ評価システム、及びプレス成形部品の製造方法
CN114323891B (zh) * 2020-09-30 2024-05-14 宝山钢铁股份有限公司 一种辊冲成形变宽度特征成形极限的模具及评估方法
JP7400777B2 (ja) * 2021-06-22 2023-12-19 Jfeスチール株式会社 自動車車体用金属板材の曲げ試験方法および曲げ性能評価方法
CN113790977B (zh) * 2021-08-10 2023-07-07 武汉钢铁有限公司 金属板材极限弯曲断裂应变测量方法
JP7243803B1 (ja) * 2021-12-24 2023-03-22 Jfeスチール株式会社 プレス成形品の割れ判定方法及びプレス成形品の割れ対策決定方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4935713B2 (ja) * 2008-02-27 2012-05-23 Jfeスチール株式会社 プレス品のせん断縁における成形可否判別方法
JP5630311B2 (ja) * 2011-02-16 2014-11-26 Jfeスチール株式会社 プレス成形における割れ予測方法およびプレス部品の製造方法
JP5472518B1 (ja) * 2012-11-19 2014-04-16 Jfeスチール株式会社 伸びフランジの限界ひずみ特定方法およびプレス成形可否判定方法
MX2017009583A (es) * 2015-01-26 2017-11-28 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp Producto formado en prensa, y metodo de produccion y linea de equipo de produccion para producir el producto formado en prensa.
JP6098664B2 (ja) * 2015-05-08 2017-03-22 Jfeスチール株式会社 せん断縁の成形可否評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020040111A (ja) 2020-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6870670B2 (ja) 変形限界の評価方法、割れの予測方法及びプレス金型の設計方法
JP6769561B2 (ja) 変形限界の評価方法、割れ予測方法及びプレス金型の設計方法
JP5472518B1 (ja) 伸びフランジの限界ひずみ特定方法およびプレス成形可否判定方法
EP2839896B1 (en) Method for preparing forming limit diagram in press forming, method for predicting crack and method of producing press parts
KR102334109B1 (ko) 금속판의 전단 가공면에서의 변형 한계의 평가 방법, 균열 예측 방법 및 프레스 금형의 설계 방법
KR101539559B1 (ko) 프레스 성형용 금형 설계 방법, 프레스 성형용 금형
KR102271009B1 (ko) 금속판의 전단 가공면에서의 변형 한계의 평가 방법, 깨짐 예측 방법 및 프레스 금형의 설계 방법
JP6773255B1 (ja) 曲げ割れ評価方法、曲げ割れ評価システム、及びプレス成形部品の製造方法
JP5900751B2 (ja) 曲げ内側割れの評価方法および予測方法
JP7031640B2 (ja) 金属板の成形可否評価方法
JP6784346B1 (ja) プレス部品の製造方法
JP5561203B2 (ja) 伸びフランジ割れ判定方法
JP5151652B2 (ja) インバース法を用いた解析による特性解析方法
JP2020069534A (ja) プレス部品の製造方法及び下金型の設計方法
JP7288212B2 (ja) ブランク材の製造方法、プレス成形品の製造方法、形状判定方法、形状判定プログラム、ブランク材の製造装置、及びブランク材
Khalid Jawed et al. Drawing of hexagonal cup
JP7452520B2 (ja) プレス成形割れ判定方法、プレス成形割れ判定装置及びプレス成形割れ判定プログラム、並びにプレス成形割れ抑制方法
KR101249152B1 (ko) 플랜지용 금형 및 이를 이용한 플랜지의 제조방법
JP2010167437A (ja) 型かじり評価金型および型かじり評価方法
CN113573823A (zh) 拉伸翻边裂纹评价方法、金属板的选定方法、冲压模具的设计方法、部件形状的设计方法及冲压部件的制造方法
Kumar et al. Analysis of the effect of different punch shapes on thickness distribution of AA5052 sheet in stretch flanging process

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200422

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210316

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210329

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6870670

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250