JP2012020304A - 2段式プレス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2段式プレス装置において、多品種の序列生産における生産能率の向上を目指し、汎用のプレス型を使用できるようにしながら、装置及びプレス型の耐久性及び安全性を改善する。
【解決手段】上段プレス型2及び下段プレス型3を排他的に使用しうる2段式プレス装置1であって、上段プレス型2は、上段上型21をクラウン11の下面に固定させ、上段下型22を昇降するラム12の上面に固定させ、下段プレス型3は、下段上型31を前記ラム12の下面に固定させ、下段下型32をベッド13の上面に固定させた2段式プレス装置1である。
【選択図】図2
【解決手段】上段プレス型2及び下段プレス型3を排他的に使用しうる2段式プレス装置1であって、上段プレス型2は、上段上型21をクラウン11の下面に固定させ、上段下型22を昇降するラム12の上面に固定させ、下段プレス型3は、下段上型31を前記ラム12の下面に固定させ、下段下型32をベッド13の上面に固定させた2段式プレス装置1である。
【選択図】図2
Description
本発明は、上段プレス型及び下段プレス型を備えた2段式プレス装置に関する。
多品種の序列生産形態に際し、プレス型を1基しか装着できないプレス装置であると、プレス型の数だけプレス装置を並べて設置するか、プレス加工毎にプレス型を交換する必要があった。前者はプレス装置の設置面積が過剰に要求され、必要数のプレス装置を設置できなくなる問題があり、後者は交換作業に多大な労力及び時間を有し、現実的でない問題があった。そこで、特許文献1に見られるように、プレス型を多段に積み重ね、複数基のプレス型を使用しうる多段式プレス装置が提案されている。
特許文献1は、上型及び下型が連結具により一体となるプレス型を積み重ねた多段式プレス装置を開示する(特許文献1[請求項1])。例えば上段プレス型(型A)及び下段プレス型(型B)を積み重ねた2段式プレス装置は、上段上型をラムに連結し、下段下型をベッドに固定しておき、上段プレス型を用いる場合、上段上型及び上段下型の連結を解除し、上段下型、下段上型及び下段下型を連結し、また下段プレス型を用いる場合、上段上型及び上段下型、そして下段上型を連結し、下段上型及び下段下型の連結を解除する(特許文献1[0022]〜[0023])。ラムは、四方に配置したポストに支持されたクラウンから下方に向けてロッドを進退させる油圧シリンダ(図示略)により、昇降させられる。
特許文献1が開示する多段式プレス装置は、複数基のプレス型を用いる序列生産の生産能率を向上させる効果を有する。しかし、プレス型を積み重ねる構成に起因して、次のような問題が指摘されている。以下、実際に多用されている2段式プレス装置を例に説明する。
まず、特許文献1が開示する2段式プレス装置は、上段プレス型及び下段プレス型の切り換えに時間を要していた。例えば上段プレス型の使用後に下段プレス型を切り換える場合、ラムを上昇させて離れた上段上型及び上段下型の間から加工済ワークを取り出してから、改めてラムを下降させて前記上段上型及び上段下型を密着させて連結具を連結し、併せて密着していた下段上型及び下段下型の連結具を解除した後、再度ラムを上昇させて下段上型及び下段下型の間を空ける。これは、上段プレス型及び下段プレス型を切り換える頻度が高くなるほど、プレス加工全体に占める前記連結具の連結及び解除やそのためのラムの昇降に要する時間が増えることを意味し、作業能率を低下させる問題をもたらす。
また、上述のように上段プレス型を使った後に下段プレス型へ切り換える場合や下段プレス型を使用する場合、ラムは上段上型及び上段下型と下段上型とを一体に昇降させなければならないことから、ラムを昇降させる油圧シリンダが大型化したり、油を供給する油圧ポンプを駆動するために必要な消費電力が増加したりしてしまう。そして、上段上型及び上段下型と下段上型とを一体に昇降させることから、ラムを支持するクラウン及びポストに大きな荷重が掛かり、前記昇降に際して少なからずぐらつく虞があり、また耐久性が低下する問題があった。
更に、特許文献1が開示する2段式プレス装置に用いるプレス型は、上段上型、上段下型、下段上型及び下段下型相互の連結具を備えなければならない。この連結具には、例えば下段プレス型を使用する場合、上段下型に加えて下段上型の重量が掛かることから、過剰な負荷により破損又は変形する虞があり、最悪、上段下型と下段上型とが脱落する危険性を否定できない。また、前述のように下段プレス型を使用する場合、使用しない上段プレス型にもプレス圧が加えられるので、各プレス型の剛性を向上させるために重量が増し、連結具に掛かる負荷を更に増加させてしまう。
このほか、特許文献1が開示する2段式プレス装置におけるプレス型の交換はそれほど大きな問題になっていないが、下段プレス型を交換する場合、1基のプレス型しか装着できないプレス装置(通常のプレス装置)に比べて交換作業に多くの労力及び時間を要するので、実際には複数の2段式プレス装置を設置して対応している。こうしたことから、多品種の序列生産における生産能率の向上を目指し、汎用のプレス型を使用できるようにしながら、装置及びプレス型の耐久性及び安全性やプレス型の交換作業を鑑みた場合、2段式プレス装置の改良が望まれる。そこで、上記各問題を解決すべく、検討した。
検討の結果開発したものが、上段プレス型及び下段プレス型を排他的に使用しうる2段式プレス装置であって、上段プレス型は、上段上型をクラウンの下面に固定させ、上段下型を昇降するラムの上面に固定させ、下段プレス型は、下段上型を前記ラムの下面に固定させ、下段下型をベッドの上面に固定させた2段式プレス装置である。本発明の2段式プレス装置は、上段プレス型及び下段プレス型の間にラムを介在させ、ラムを昇降させることにより、クラウンに固定した上段上型に対してラムの上面に固定した上段下型を下方から接近離反させ、またベッドに固定した下段下型に対してラムの下面に固定した下段上型を上方から接近離反させる。
具体的には、下段プレス型を使用する場合、例えばクラウンに固定した上段上型に上段下型が当接するまでラムを上昇させ、下段下型から下段上型を離しておき、下段下型にワークを載せた後、前記ラムと共に下段上型を下段下型に載せたワークに向けて下降させる。また、上段プレス型を使用する場合、例えばベッドに固定した下段下型に下段上型が当接するまでラムを下降させ、上段上型から上段下型を離しておき、上段下型にワークを載せた後、前記ラムと共にワークを載せた上段下型を上段上型に向けて上昇させる。
ラムは、上面に上段下型を固定するため、一般のプレス装置のように、クラウンから垂下する油圧シリンダのロッドを上面中央に連結することができないが、例えば上段プレス型を避けて、クラウンに設けた油圧シリンダからポストと平行にロッドを降ろし、前記ロッドをラムに連結させることにより、従来のラムと同様に昇降させることができる。この場合、ラムの水平姿勢を保ってロッドを伸縮できるように、油圧シリンダは上面中央を中心に周方向均等間隔、好ましくは前記上面中央を中心に点対称な位置関係で2基〜4基配置するとよい。
また、電動モータにより回転するボールネジをクラウンから垂下又はベッドに立設し、前記ボールネジに螺合するナットにラムを支持させてもよい。ボールネジを用いた場合、ポストと平行にボールネジを設けるほか、クラウン及びベッドを結ぶボールネジがポストに代わってクラウンを支持するように構成できる。ポストに代えてボールネジを用いる場合、ラムの水平姿勢を保ってナットを昇降できるように、ボールネジはラムの上面中央を中心に点対称な位置関係で2基又は4基配置するとよく、必要に応じて、ラムに設けたブロックを摺動させるガイドバーをポストに代えて立設するとよい。
油圧シリンダは、ロッドの伸縮によって推力が異なり、例えば上述のように下方に向けてロッドを降ろしている場合、油の供給圧が同じであると、下段プレス型による下向きのプレス圧より上段プレス型による上向きのプレス圧が小さくなる。また、ボールネジは、常にラムの重量を受けていることから、ボールネジ及びナットが互いに摩耗して、劣化しやすい。これから、本発明の2段式プレス装置におけるラムは、上ロッドをクラウンに連結させ、下ロッドをベッドに連結させてクラウンを支持する両ロッドシリンダのチューブ(ピストンを内蔵したシリンダ本体)に支持させるとよい。
両ロッドシリンダは、上ロッド又は下ロッドを伸長させる推力が同じ大きさのピストンを有する単ロッドシリンダより劣るが、上ロッド及び下ロッドを同じ推力で伸縮できる。本発明の2段式プレス装置は、上ロッドがクラウンに連結し、下ロッドがベッドに連結してそれぞれが位置固定されているため、前記推力によりチューブが相対的に昇降する。これから、前記チューブに従って昇降するラムによる上段プレス型の上向きのプレス圧と下段プレス型の下向きのプレス圧とが等しくなる。
また、両ロッドシリンダは、ピストンを挟んだ上下区画の圧力平衡を保ってチューブの位置(高さ)を維持することから、上記ボールネジを用いた場合のように、ラムの重量による摩耗の問題が生じないし、ラムが勝手に下降する虞がない。このほか、上ロッドはクラウンに連結され、下ロッドはベッドに連結されてそれぞれ位置固定されているため、両者の連結端の間隔は一定であることから、両ロッドシリンダは、ポストに代えて又はポストと併用してクラウンを支持することができる。
本発明の2段式プレス装置は、上段プレス型及び下段プレス型に連結具が必要なく、汎用のプレス型を使用できるようにしながら、装置及びプレス型の耐久性及び安全性が向上し、ひいては多品種の序列生産における生産能率が向上する効果をもたらす。まず、上段プレス型及び下段プレス型は排他的に利用されることで、一方でプレス加工する際に他方から加工済ワークを回収させることができる。これは、特許文献1が開示する2段式プレス装置が要していた連結具の連結及び解除やそのためのラムの昇降が必要ないことを意味し、プレス加工の作業能率を高めて、多品種の序列生産における生産能率を直接的に向上させる。
上記上段プレス型及び下段プレス型の排他的利用は、実際の運用面でも利点を有する。例えば下段プレス型でのプレス加工を終えた後、ワークを前記下段プレス型に残して上段プレス型によるプレス加工をする場合、特許文献1が開示する2段式プレス装置は、下段プレス型に残したワークに再びプレス圧が加わって変形させたり、傷つけたりすることもあったが、本発明の2段式プレス装置は、上段プレス型及び下段プレス型は排他的に使用される上、上段プレス型が使用されると下段プレス型の下段上型及び下段下型が離れるので、残したワークが変形したり、傷つけたりする虞が全くない。
また、上段プレス又は下段プレス型のいずれを使用する場合でも、昇降させるラムには上段下型及び下段上型の重量しか負荷が掛からない。これは、同じ仕様の上段プレス型及び下段プレス型を用いる場合、特許文献1が開示する2段式プレス装置に比べ、ラムの昇降手段に必要な駆動力が少なくて済み、例えば両ロッドシリンダへ油を供給する油圧ポンプの消費電力が低減できる効果をもたらす。更に、クラウンに掛かる荷重も上段上型のみとなり、ラムの昇降に際してぐらつく虞もなく、耐久性が大幅に向上する。
本発明における下段プレス型は、通常のプレス装置同様、下段上型をラムの下面に固定し、下段下型をベッドの上面に固定するだけなので、連結具が不要である。また、本発明における上段プレス型は、クラウンの下面を位置固定されたラムの下面として上段上型を固定し、ラムの上面を昇降するベッドの上面として上段下型を固定するだけなので、やはり連結具が不要である。このように、上段プレス型及び下段プレス型を利用できるようにしながら、連結具を不要にすることで、連結具に関わる問題をすべて解消する。そして、上段プレス型及び下段プレス型に通常のプレス型の利用を可能にする。
ラムの昇降手段とする両ロッドシリンダは、上型プレス型による上向きのプレス圧と下型プレス型による下向きのプレス圧とを等しくし、本発明の2段式プレス装置における上下段の差異をなくすと共に、ピストンを挟む区画の圧力平衡を利用して、ラムを支持するチューブを所定高さに安定して維持する効果をもたらす。また、両ロッドシリンダは、ポストに代えてクラウンを支持することができるので、ポストを省略し、本発明の2段式プレス装置を小型化又は軽量化する利点をもたらす。
このほか、本発明の2段式プレス装置は、上段プレス型及び下段プレス型の一方の交換に他方が無関係なので、特許文献1が開示する2段式プレス装置に比べ、上段プレス型又は下段プレス型の交換作業の労力及び時間が低減し、上段プレス型及び下型プレス型の一方のみを使用したい場合でも、ダミー型を使用する必要のない利点をもたらす。特許文献1が開示する2段式プレス装置は、仮に上段プレス型を省略したい場合でも、ラムの昇降量の関係から、上段プレス型に代えてダミー型を使用する必要があった。本願発明の2段式プレス装置は、こうしてダミー型を省略し、プレス型の交換作業も容易にしている。
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の2段式プレス装置1は、図1に見られるように、上方からクラウン11、ラム12及びベッド13を備えている。ラム12は、クラウン11及びベッド13の間に介在させた両ロッドシリンダ14のチューブ143に支持されている。本例の2段式プレス装置1は、ポストに代えて両ロッドシリンダ14によってクラウン11を支持している。本例では図示されないが、ラム12の昇降軌道を安定させるため、両ロッドシリンダ14と平行に、ラムに設けたブロックを摺動させるガイドバーをベッド13に立設してもよい。
クラウン11は、鋼板を組み付けた断面長方形の桁部材を離して並べ、前記桁部材に平面視長方形の鋼板を架け渡して構成される。本例のクラウン11は、平面視外形が相似なデッキ111を上面に設けている。両ロッドシリンダ14は、クラウン11の下面に上ロッド141の先端を当接させ、固定している。上段プレス型2の上段上型21は、クラウン11の下面に取付ボルト23(図1中上段下型22をラム12の上面に固定する取付ボルト23参照)により固定される。
ラム12は、鋼板を組み付けた扁平な箱体で、四隅に張り出した取付部位に、両ロッドシリンダ14のチューブ143を嵌合させる嵌合孔を設けた平面視円形のチューブ連結ブロック121を一体に設けており、前記チューブ連結ブロック121を介して両ロッドシリンダ14のチューブ143に支持される。本発明のラム12は、通常のプレス装置同様、下段プレス型3の下段上型31を取付ボルト33(図1中下段下型32をベッド13の上面に固定する取付ボルト33参照)により下面に固定し、更に上段プレス型2の上段下型22を取付ボルト23により上面に固定している。
ベッド13は、鋼板を組み付けた厚みのある箱体で、上述したラム12の取付部位に対応する四隅に、鋼板を組み付けて構成される縦長の補助ポスト131を立設している。両ロッドシリンダ14は、本来、下ロッド142をベッド13に連結するが、本例の2段式プレス装置1におけるラム12の昇降範囲を調整するため、前記補助ポスト131の上端面に下ロッド142の先端を当接させ、固定している。下段プレス型3の下段下型31は、通常のプレス装置同様、ベッド13の上面に取付ボルト33により固定される。
両ロッドシリンダ14は、チューブ143から上方に突出する上ロッド141をクラウン11の下面に接続し、同じくチューブ143から下方に突出する下ロッド142をベッド13から立設した補助ポスト131の上端面に接続して、チューブ連結ブロック121を介してチューブ143にラム12を支持させている。上ロッド141及び下ロッド142は、チューブ143に内蔵されるピストン(図示略)を挟んで連続しているので、従来のポストに代わり、ベッド13に対してクラウン11を支持する。チューブ143は、ピストンを挟んだ上下区画への油の流出入により、位置固定された上ロッド141及び下ロッド142に対して相対的に移動して、支持したラム12を昇降させる。
上段プレス型2及び下段プレス型3は、通常のプレス装置に用いられるプレス型(本例はヘミングプレス用)をそのまま利用できる。上段プレス型2の上段上型21は、型本体を一体化した取付板からガイドポスト24を垂下した構成で、クラウン11の下面に前記取付板を接面させ、取付ボルト23により固定され、上段下型22は、型本体を一体化した取付板からガイドポスト24を立設した構成で、ラム12の上面に前記取付板を接面させ、取付ボルト23により固定される。下段プレス型3の下段上型31は、型本体を一体化した取付板からガイドポスト34を垂下した構成で、ラム12の下面に前記取付板を接面させ、取付ボルト33により固定され、下段下型32は、型本体を一体化した取付板からガイドポスト34を立設した構成で、ベッド13の上面に前記取付板を接面させ、取付ボルト33により固定される。
本例の2段式プレス装置1は、チューブ143から下ロッド142が突出した状態(つまり、チューブ143が上昇した状態)で、前記チューブ143の下端と補助ポスト131の上端面との間に介装される安全ポスト144を設けている。安全ポスト144は、垂直に立てた円筒を立設方向の半割線により半割し、前記半割線の一方を軸にして屈曲自在にした2枚の円柱側面の一方にエアシリンダのロッドを接続して、全体を水平旋回させる構成である。安全ポスト144は、2枚の円柱側面を閉じて下ロッド142を囲むことにより、チューブ143の下端と補助ポスト131の上端面との間に介装され(図2参照)、前記2枚の円柱側面を開くことにより、下ロッド142から離れて待避する(図3以降参照)。
本例の2段式プレス装置1を用いたプレス加工の作業手順の一例を示す。2段式プレス装置1は、プレス加工をしていないとき、上段下型22を上段上型21に当接するまでラム12を上昇させ、図2に見られるように、チューブ143の下端と補助ポスト131の上端面との間に安全ポスト144を介装させている。これにより、上段下型22が上段上型21に密着しているので、ラム12のがたつきが防止され、また油圧回路の破損等に伴う不用意なラム12の落下が防止され、安全対策が採られる。下段プレス型3は、安全ポスト144の介装によってラム12の落下が防止された安全対策が採られた状態で交換される(後掲図9参照)。これは、通常のプレス装置と同様の交換作業である。
2段式プレス装置1は、安全ポスト144を待避させる(図3中白抜矢印参照)とラム12の下降が許されるようになり、プレス加工を開始できる。この段階では、上段プレス型2の上段下型22が上段上型21に当接しているが、下段プレス型3の下段上型31と下段下型32とが離れている。すなわち、最初のプレス加工は、下段プレス型3を用いたプレス加工である。このため、加工前ワーク41は、図3に見られるように、下段プレス型3の下段下型32に載せる。本例の加工前ワーク41は、金属板を想定しているが、実際における加工前ワーク41の種類及び配置は、プレス加工の種類や下段プレス型3の構造による。
2段式プレス装置1は、図4に見られるように、ラム12を下降(図4中白抜矢印参照)させて、加工前ワーク41を下段上型31及び下段下型32に挟むことにより、下段プレス型3を用いたプレス加工を実施する。ラム12は、両ロッドシリンダ14の上ロッド141を伸長させ、下ロッド142を短縮させることにより、前記上ロッド141及び下ロッド142に対して相対的にチューブ143を下方に向けて移動させることにより、下降させる。このとき、ラム12に加えられる下方向のプレス圧は、上ロッド141の断面積を除いたピストンの面積に比例する。
本発明の2段式プレス装置1は、下段プレス型3を用いたプレス加工を終えた段階で、加工済ワーク42(後掲図6参照)を下段上型31及び下段下型32に挟んだまま、すなわち前記加工済ワーク42を回収する前に、図5に見られるように、上段プレス型2の上段下型22に載せた別の加工前ワーク41を、ラム12を上昇(図6中白抜矢印参照)させて上段上型21と共に挟むことにより、上段プレス型2を用いたプレス加工を実施する。このとき、ラム12に加えられる上方向のプレス圧は、下ロッド142の断面積を除いたピストンの面積に比例し、上ロッド141の断面積と下ロッド142の断面積とが等しいことから、上述した下方向のプレス圧と一致する。
下段プレス型3を用いたプレス加工による加工済ワーク42は、前記上段プレス型2を用いたプレス加工の実施により離れる下段上型31及び下段下型32の間から回収される。下段プレス型3からの加工済ワーク42の回収方向は、4本の両ロッドシリンダ14に挟まれた4方向のいずれかであり、具体的には扱う製品や製造ライン全体に対する2段式プレス装置1の位置関係によって決まる。本例は、便宜上、左方向から加工済ワーク42を回収する図示としている。
同様に、上段プレス型2を用いたプレス加工を終えた段階で、加工済ワーク42(後掲図7参照)を上段上型21及び上段下型22に挟んだまま、すなわち前記加工済ワーク42を回収する前に、図7に見られるように、下段プレス型3の下段下型32に載せた別の加工前ワーク41を、ラム12を下降させて(図7中白抜矢印参照)下段上型31及び下段下型32で挟むことにより、下段プレス型3を用いたプレス加工を実施する。
上段プレス型2を用いたプレス加工による加工済ワーク42は、前記下段プレス型3を用いたプレス加工の実施により離れる上段上型21及び上段下型22の間から回収される。上段プレス型2の加工済ワーク42の回収方向は、4本の両ロッドシリンダ14に挟まれた4方向のいずれかであり、具体的には扱う製品や製造ライン全体に対する2段式プレス装置1の位置関係によって決まる。本例は、上述した下段プレス型3からの加工済みワーク42との対比上、右方向から加工済ワーク42を回収する図示としている。
このように、本発明の2段式プレス装置1は、連結具を連結及び解除したり、そのためのラムの昇降を要したりすることなく、上段プレス型2と下段プレス型3とを排他的、すなわちそれぞれのプレス加工を交互かつ連続して実施できる。これは、例えば下段プレス型3を用いたプレス加工を終えた段階で、上段プレス型2を用いたプレス加工の準備(ワークの配置)ができ、しかも上段プレス型2を用いたプレス加工を実施すれば下段プレス型3を用いたプレス加工による加工済ワーク42が回収できる円滑な作業の連携を実現し、プレス加工に関する作業能率を高める効果をもたらす。
上段プレス型2又は下段プレス型3は、それぞれが無関係に交換でき、これもプレス加工に関する作業能率を高める効果をもたらす。例えば上段プレス型2の場合、まずラム12を上昇させて上段上型21及び上段下型22を密着させた状態(図6参照)にし、取付ボルト23を緩めてクラウン11から上段上型21を解放し、その後ラム12を下降させて下段プレス型3の下段上型31及び下段下型32を密着させて不用意なラム12の下降を防止してから、図8に見られるように、上段上型21及び上段下型22を一体に取り出して、交換作業を実施する。
本例の2段式プレス装置1は、チューブ143の下端と補助ポスト131の上端面との間に安全ポスト144を介装した状態で上段上型21及び上段下型22が密着しているので、前記状態で取付ボルト23を緩めてクラウン11から上段上型21を解放させてもよい。また、上段プレス型2の取り出し方向は、4本の両ロッドシリンダ14に挟まれた4方向のいずれかであり、具体的には製造ライン全体に対する2段式プレス装置1の位置関係によって決まる。本例は、便宜上、右方向から上段プレス型2を取り出す図示としている。
下段プレス型3の場合、まずラム12を下降させて下段上型31及び下段下型32を密着させた状態(図4参照)にし、取付ボルト33を緩めてラム12から下段上型31を解放し、その後ラム12を上昇させ、安全ポスト144をチューブ143の下端と補助ポスト131の上端面との間に介装して不用意なラム12の下降を防止してから、図9に見られるように、下段上型31及び下段下型32を一体に取り出して、交換作業を実施する。
下段プレス型3の取り出し方向は、4本の両ロッドシリンダ14に挟まれた4方向のいずれかであり、具体的には製造ライン全体に対する2段式プレス装置1の位置関係によって決まる。本例は、上述した上段プレス型2の取り出し方向との対比上、左方向から下段プレス型3を取り出す図示としている。上段プレス型2及び下段プレス型3を両方共交換する場合、上段プレス型2、下段プレス型3の順に取り出し、逆に下段プレス型3、上段プレス型2の順に取り付けるとよい。
このように、本発明の2段式プレス装置1は、上段プレス型2及び下段プレス型3の交換作業が、それぞれ無関係に、通常のプレス装置におけるプレス型の交換作業と同じ(下段プレス型3)又は同様(上段プレス型2)に実施できる。これは、上段プレス型2及び下段プレス型3の交換作業に掛かる労力、手間及び時間が最小限に抑えられ、2段式プレス装置における作業能率を高められる効果をもたらす。しかも、各交換作業は、下段上型31及び下段下型32を密着させたり(上段プレス型2の交換作業)、安全ポスト144を介装させたり(下段プレス型3の交換作業)して、ラム12が不用意に下降しない状態で実施できるので、安全である。
1 2段式プレス装置
11 クラウン
12 ラム
13 ベッド
14 両ロッドシリンダ
141 上ロッド
142 下ロッド
143 チューブ
2 上段プレス型
21 上段上型
22 上段下型
3 下段プレス型
31 下段上型
32 下段下型
11 クラウン
12 ラム
13 ベッド
14 両ロッドシリンダ
141 上ロッド
142 下ロッド
143 チューブ
2 上段プレス型
21 上段上型
22 上段下型
3 下段プレス型
31 下段上型
32 下段下型
Claims (2)
- 上段プレス型及び下段プレス型を排他的に使用しうる2段式プレス装置であって、
上段プレス型は、上段上型をクラウンの下面に固定させ、上段下型を昇降するラムの上面に固定させ、
下段プレス型は、下段上型を前記ラムの下面に固定させ、下段下型をベッドの上面に固定させてなる2段式プレス装置。 - ラムは、上ロッドをクラウンに連結させ、下ロッドをベッドに連結させてクラウンを支持する両ロッドシリンダのチューブに支持させた請求項1記載の2段式プレス装置。
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---|---|---|---|
JP2010158846A JP2012020304A (ja) | 2010-07-13 | 2010-07-13 | 2段式プレス装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010158846A JP2012020304A (ja) | 2010-07-13 | 2010-07-13 | 2段式プレス装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012020304A true JP2012020304A (ja) | 2012-02-02 |
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ID=45775019
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JP (1) | JP2012020304A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5316705Y2 (ja) * | 1972-12-23 | 1978-05-02 | ||
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2010
- 2010-07-13 JP JP2010158846A patent/JP2012020304A/ja active Pending
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