JP2012011637A - 両面粘着シートを用いた透明導電膜積層体およびタッチパネル装置 - Google Patents
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Abstract
、粘着剤層の凝集力に優れ、高温条件下での剥がれが生じ難く、耐久性に優れる両面粘着
シートを提供する。
【解決手段】 透明導電膜の導電層面に貼り合わせる両面粘着シートであって、両面粘着
シートの粘着剤層が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と
、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とを有する粘着剤組成物から
なり、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のカルボキシル基
と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の窒素原子との当量比が1
:0.05〜1:0.5である透明導電膜固定用両面粘着シートにより、酸成分に対して
、特定量の窒素原子含有成分を含有させることで、透明導電膜に対する腐食性を低下させ
、高い粘着剤層の凝集力および透明導電膜への高い接着性を両立できる。
【選択図】 図4
Description
、主に接触時の圧力で検知する抵抗膜方式のタッチパネルと、接触時の人体からの静電気
で接触箇所を検知する静電容量方式のタッチパネルが主に搭載されており、2点以上の接触箇所の同時検出が可能なこと、多様な入力方法の可能なことから静電容量方式が主流となりつつある。タッチパネルには、透明基材やガラスに導電層が設けられた透明導電膜が使用されており、静電容量方式のタッチパネルにおいては、当該透明導電膜の導電層表面が、両面粘着シートの粘着剤層表面と接して積層体を形成し、該積層体の粘着剤層を介して他の基材に固定される。
属を蒸着することで形成されており、当該導電膜の導電層表面に粘着剤層が接するよう両
面粘着シートを積層した場合には、両面粘着シートによる金属の酸化反応が起こり、導電
機能の低下が起こる問題がある。特に透明導電膜の導電層が、互いに絡み合う繊維状導電性物質により形成されたネットワークによって形成されている時は、繊維状導電性物質同士の電気的接触点を介し限られた経路で導電性が保たれているため、該接触点がこのような酸化反応を受け、その導電機能が低下することにより極めて大きな全体の導電性能の低下が引き起こされる。このため、繊維状導電性物質を含有する導電層を有した透明導電膜の固定に用いられる両面粘着シートにはより一層高い金属腐食防止性が要請されている。
腐食の原因であることから、酸成分を含有しない両面粘着シート(例えば、特許文献1参
照)や金属腐食防止剤を含有する両面粘着シート(例えば、特許文献2参照)が提案され
ている。
色し、光学特性を低下させる等の問題があった。
有成分を含有させることで、繊維状導電性物質を含有する透明導電膜に対する腐食性を低下させ、高い粘着剤層の凝集力および透明導電膜への高い接着性を両立した両面粘着シートを実現し、該両面粘着シートを繊維状導電性物質を含有する透明導電膜に適用して上記の課題を解決した。
さらに本発明は上記透明導電膜積層体を有するタッチパネル装置を提供するものである。
以下にまず透明導電膜を構成する材料とその組成、並びに均一な透明導電層あるいはパターン化された透明導電層を有する透明導電膜の製造方法について詳細に記載し、その後これら透明導電層上に貼り合わせられる両面粘着シートを構成する材料とその組成、及び該両面粘着シートの製造方法について記載する。
本発明の透明導電膜は、微細な繊維状の導電性物質を液体媒体(分散媒)中に分散した透明導電性塗料を基体上に塗布し、透明導電層を形成することによって作製することができる。ここで透明導電層に含有される導電性物質はそれ自身が透明でないものであっても、形状や含有量を制御することにより透明導電層を形成する導電性材料となりうる物質であれば使用することあできる。本発明の透明導電層は、表面抵抗率が0.01Ω/□〜1000Ω/□であることが好ましく、可視光域において高い透明性を有し、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。このような透明導電層は基体上から剥離することによりそれ自体を透明基体を伴わない透明導電膜として用いることもできる。以下により好ましい形態として透明基体上に繊維状の導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電膜について説明する。
本発明の透明導電積層体に使用する透明導電膜に含有される導電性物質は繊維状であり、その中でも分岐がなく、ほぐれやすく、かつ繊維状物質の均一な分布密度を得やすく、その結果繊維と繊維のからまりの間に大きな開口部を形成し、良好な光透過率を実現することができるワイヤー状のものが好ましい。このような形状をした導電性物質の例としては、カーボンナノチューブやワイヤー状の導電性金属である金属ナノワイヤーを挙げることができる。本発明で金属ナノワイヤーとは、形状が直線または曲線の細い棒状で、材質が金属であるナノメートルサイズの微細な導電性物質である。微細な導電性物質が繊維状、好ましくはワイヤー状であると、それらが互いに絡み合って網の目状となることで、少ない量の導電性物質であっても良好な電気伝導経路を形成することができ、導電性層の抵抗値をより低下させることができ好ましい。さらにこのような網の目状を形成した場合、網の目の隙間部分の開口が大きいので、たとえ繊維状の導電性物質そのものが透明でなかったとしても、塗膜として良好な透明性を達成することが可能である。
このような導電性を有する金属ナノワイヤーが透明基体上に適度な間隔を保ちながら互いに絡み合った状態を有し、導電網を形成することで、実質的に透明な導電網が可能である。具体的な金属種や軸長さ、アスペクト比等は使用目的等に応じて適宜定めればよい。
本発明で使用する繊維状導電性物質を含有する透明導電膜は、透明基体上に繊維状導電性物質を分散させた透明導電性塗料を塗布して作製することができる。
前記透明導電性塗料である繊維状の導電性物質の分散液は、導電性能の向上の点においてはバインダー樹脂を含まないことが好ましい。導電性層においては、バインダー樹脂を用いなければ導電性物質同士の接触が阻害されることがない。従って、導電性微粒子相互間の導電性が確保され、得られる導電層の電気抵抗値をより低く抑えることができる。また、導電性物質の分散液がバインダー樹脂を含まなくすることによって、基体上に透明導電性塗膜を形成したときに、次工程において透明導電性塗膜が該透明基体から容易に剥離可能で、透明導電層のパターンを容易に形成できる点でも好ましい。
更に、その後に必要に応じて行われるパターン化された透明導電層の保護層用塗料による基体上への固定化は、保護層用塗料を導電層に含浸させ基体に到達させることにより行われるため、導電性物質の分散液がバインダー樹脂を含まないことは、透明導電層がより間隙を多く含んでいることを意味しており、保護層用塗料の含浸による固定化を阻害しない点で好ましい。
このことから透明性基体上に透明導電層を形成するにあたり以下の各工程を経ることが好ましい。
(1)基体上に剥離可能な透明導電層を塗布により形成する工程
(2)前記透明導電性層パターンを形成した基体全面に、保護層用塗料を塗布し、透明導電層を基体上に固定化する工程
これら微細な導電性物質を分散した分散液を用いて透明基体上に透明導電層を形成し透明導電膜を作製する。このために用いる導電性物質の分散液である透明導電性塗料を形成するための分散媒である液体としては、特に限定されることなく、既知の各種分散媒を使用することができる。例えば、、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。また、分散媒の種類により、分散剤を使用することもできる。これらの中でも、極性を有する分散媒が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種類以上の混合したものでも使用することができる。
用いる分散媒としての液体の量は、特に制限されず、前記微細な導電性物質の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、前記透明導電性物質100重量部に対して、液体100〜100,000重量部程度と広範囲に設定可能であって、前記透明導電性物質と分散媒の種類、使用する撹拌、分散装置に応じて適宜選択することができる。
上記の添加量範囲において導電性物質の分散液は、粘度調整、腐食防止、基体への接着性向上、および導電性物質の分散を制御するために、前記樹脂及びその他の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤および結合剤の例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンゴム(XG)、およびエトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド、および酸化プロピレンなどの界面活性剤、およびそれらの共重合体、スルホン酸塩、硫酸塩、ジスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、およびふっ素系界面活性剤が挙げられるがそれだけに限定されない。
さらに2−アルコキシエタノール、β−ジケトン、アルキルアセテート、等を非ポリマー系有機化合物を膜形成剤として使用することもできる。
本発明で透明導電層をその上に形成する透明基体としては、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチックからなるフィルム、あるいはガラス板、セラミック板を用いることが出来、その中でも全可視光透過率が70%以上のものが好ましい。これらは本発明の目的を妨げない程度に着色していても良く、さらに単層で使うこともできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして使用しても良い。さらに基体の少なくとも一方の表面に易剥離性処理を施していてもよい。これらプラスティックフィルムの中では透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も適している。この透明プラスチック基体の厚みは、薄いと取り扱い性が悪く、厚いと可視光の透過率が低下するため5μm〜300μmが好ましい。さらに好ましくは、10μm〜250μmが好ましく、25μm〜200μmがさらに好ましい。
塗布方法としてはスプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなど公知の塗布方法を用いることができる。
透明導電層の膜厚は薄すぎると導体としての十分な導電性が達成出来なくなる傾向にあり、厚すぎるとヘイズ値の上昇、全光線透過率の低下等で透明性が損なわれる傾向にある。通常は10nm〜10μmの間で適宜調整を行うが、金属ナノワイヤーのように導電性物質そのものが透明でない場合には、膜厚の増加によって透明性が失われ得やすく、より薄い膜厚の導電層が形成されることが多い。この場合きわめて開口部の多い導電層であるが、接触式の膜厚計で測定したときに平均膜厚として10nm〜500nmの膜厚範囲がこのましく、30nm〜300nmがより好ましく、50nm〜150nmが最も好ましい。
導電性物質の交差部分を加圧する工程とは、具体的には透明導電層面を加圧する工程であって、透明導電性物質が導電性微粒子の場合には、該微粒子の密度を向上させて微粒子同士の接触点と接触面積を増加させる工程であり、透明導電性物質が金属ナノワイヤーのような繊維状、より詳細にはワイヤー状の場合には、網目状に分散している透明導電層に真上から圧力を加えて、透明導電層を圧縮し、内部の金属ナノワイヤーの接触点を増やす工程である。この工程によって導電性微粒子や金属ナノワイヤー間の接触抵抗が下がることになる。
本工程は通常塗膜面を加圧する公知の方法であれば特に制限はないが、塗布によって得られた層を、例えば、加圧可能な2枚の平板間に透明導電層を配置し、一定時間加圧する平板プレス法や、加圧可能な2本のロールの間に透明導電層を挟み込んで線加圧し、ロールを回転させることによって面全体を加圧するカレンダー法などが挙げられる。
ロールによるカレンダー法において、透明導電層を加圧する圧力は、500kN/m2〜50000kN/m2、好ましくは1000kN/m2〜10000kN/m2、より好ましくは2000kN/m2〜5000kN/m2である。
基体上に透明導電層の所望のパターンを形成した後に、基体上及び基体上に形成された透明導電層の全面に保護層用塗料の塗布を行う。
保護層用塗料の塗布工程は、図5のように前記工程で形成された均一な透明導電層上、あるいは後述の工程で形成されたパターン化された透明導電層を有する、透明導電層によってその一部を被覆された基体上の全面に、保護層用塗料を塗布し、溶媒成分を乾燥させ、含有する樹脂成分を硬化し保護層(19)を形成することによって行われる。本工程によって透明導電層の表面が被覆され保護されるとともに、保護層用塗料は透明導電層中の導電性微粒子の間隙や、繊維状、好ましくはワイヤー状の導電性物質の形成する網目の隙間を充填しつつ基体に到達し、硬化したときに透明導電層全体を基体上に強固に固定化し、透明導電層付き基体を形成する。
この含浸用液体には、必要により、硬化触媒(熱硬化の場合) 、光重合開始剤(紫外線硬化の場合)、架橋剤、加水分解触媒(例、酸)、界面活性剤、pH調整剤などを添加することができる。
適切な溶媒の例として、水、アルコール類、ケトン類、環状エーテル化合物類(テトラヒドロフラン等)、炭化水素( 例えば、シクロヘキサン) 、または芳香族系溶剤( ベンゼン、トルエン、キシレン等) が挙げられる。さらに好ましくは、溶媒は、揮発性であり、200℃ 以下、150℃ 以下、または100℃ 以下の沸点を有する。
保護層を形成する方法としては公知のウェットコート方法であれば特に制限はない。具体的には、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなどが挙げられる。
保護層用塗料によって透明導電層を含浸しつつ保護層を形成するとき、塗布、乾燥後の保護層の膜厚は、塗布前の透明導電層に対して薄すぎると耐擦過性、耐摩耗性、耐候性等の保護層としての機能が低下し、厚すぎると導体としての接触抵抗が増加する。
保護層用塗料の塗布は透明導電層の膜厚が50〜150nmの範囲で形成されているときは、塗布、乾燥後の膜厚が30〜150nmであることが好ましく、透明導電層の膜厚を考慮して表面抵抗率、ヘイズ等が所定の値を実現出来るよう調整することができる。40〜175nmがより好ましく、50〜150nmが最も好ましい。保護層用塗料の乾燥後の膜厚は、透明導電層の膜厚にもよるが、30nm以上の膜厚であると保護層による保護機能がより良好に働く傾向にあり、150nm以下の膜厚であるとより良好な導電性能が確保できる傾向にある。
基体上に上記のような均一な導電層を形成する場合と異なり、静電容量型タッチパネルに用いられる透明導電膜の透明導電層のような周期的パターンを形成させるときは、繊維状の導電性物質の凝集を避ける必要性と、また既述したような繊維状導電性物質間の電気的接点確保の必要性があり、透明導電層形成用の塗料の該塗料中には印刷方法による直接パターン形成を行うための十分な樹脂成分を含有させられない場合が多い。このため固形分濃度が極めて低く低粘度であり、パターン形成のための印刷が困難なことが多い。
そのような場合には予め透明基体上に均一な透明導電層を形成しておき、種々の方法で不要な透明導電層部分を削除したり、逆に必要なパターンを切り取ったりしてパターン化された透明導電層を得ることができる。すはわち、透明基体上に繊維状導電性物質を含有した均一な透明導電層を形成したのち、該透明導電層をパターン化する工程を付加することが必要となる。
上記基体上にパターン化された透明導電層を形成する具体的方法としては、上記の方法に加えてレーザービームによるパターン化、フォトエッチング等の中から任意の方法を適用することが可能であるが、塗布工程を用いて連続的に処理が行えること、光照射やマスキング等の処理が不要であること、さらにエッチング等の湿式処理を行う必要のないことから、形成すべきパターンに対して接着剤塗料によってネガティブパターンを形成された剥離用基材を使用し、基体上に形成された透明導電層の不要部分を剥離して、所望のパターン化された透明導電層を形成する方法を用いることが好ましい。
[パターン化された透明導電層の形成]
下記の方法は予め作製した均一な透明導電層から、ネガティブパターンを形成した接着剤層を有する剥離用基材を用いて不要部分を削除しパターン化された透明導電層を得るものである。逆にパターン化された接着剤層を用いて、必要なパターンを均一な透明導電層から切り取っても良いが、パターン化後に接着剤層が残らない前者の方法の方が好ましい。
すなわち、繊維状導電性物質を含有する透明導電層用いてパターン化された透明導電層を形成し、最終的に透明基体に固定されたパターン化された透明導電層を有する透明導電膜を作製する方法としては、以下の工程を用いる方法をあげることができる。
(1)基体上に剥離可能な透明導電層を塗布により形成する工程
(2)支持体上に、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を形成する工程
(3)前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせる工程
(4)前記支持体を前記基体から剥離し、前記感熱接着剤層と密着した部分の前記透明導電層を、感熱接着剤層上へと移行させることにより、基体上に透明導電層のパターンを形成する工程
(5)前記透明導電性層パターンを形成した基体全面に、保護層用塗料を塗布し、透明導電層を基体上に固定化する工程
である。
〔パターン化された感熱接着剤層を有する支持体(剥離用基材)の作成(工程(2)〕
基体上に形成された透明導電層を、部分的に基体から剥離するために剥離用基材を作製する。図2に示すように本発明で使用する剥離用基材(20)はフィルム状支持体(13)上に、ネガティブパターン化された感熱接着剤層(14)を有している。剥離用基材(20)は、支持体(13)上に感熱接着剤と溶剤を含有する感熱接着剤層用塗料を、基体上に形成すべき所望の導電性パターンに対して、反対のネガティブパターンを形成して塗布することにより形成することができる。
感熱接着剤は、常温では粘着性を全く示さないが、加熱する事により粘着性が発現する。支持体上に形成する感熱接着剤層の感熱接着剤としては、前記透明基体上に形成された透明導電層と、支持体の双方に対して親和性があり、両者を強力に接着できる感熱接着剤であれば、特に限定されることなく、公知の種々の感熱接着剤を用いることができるが、粘着性の発現する温度としては、透明導電層の導電性物質の間隙に浸透し導電性物質と良好に密着し、かつ透明基体としてフィルムを使用する場合には、基体フィルムのガラス転移温度を大きく上回らない温度で粘着性を発現することが好ましい。また、加熱の後に常温程度で支持体を剥離する際に、導電微粒子と支持体の両方に強い接着力を示すことが好ましい。
感熱接着剤には、必要に応じて、ブロッキング防止剤として、ポリオレフィン系樹脂粒子を添加することができる。なかでも、ポリエチレン樹脂粒子またはポリプロピレン樹脂粒子の添加が好ましく、より具体的には、高密度ポリエチレン樹脂粒子、低密度ポリエチレン樹脂粒子、変性型ポリエチレン樹脂粒子、分解型低密度ポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリプロピレン樹脂粒子の添加が好ましい。また、これらポリエチレン樹脂粒子および分解型ポリプロピレン樹脂粒子の重量平均粒子径は0.1〜25μmであるが、粒子が扁平状、リン片状の場合は3〜25μmの範囲が好ましく、分子量は1,000〜29,000の範囲、融点は100〜150℃の範囲にあることがそれぞれ好ましい。
接着剤のネガティブパターン形成方法としては、公知の印刷方法が使用でき、加熱により粘着性を発現した感熱接着剤層が、次工程において基体上の透明導電層に良好に接着するための十分な感熱接着剤の厚みを形成できれば、特に制限はなく公知の方法を使用可能できる。例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等が使用できる。また、感熱接着剤層の厚みは、0.05μm〜5.0μmが好ましく、0.1μm〜2.0μmがより好ましく、0.2μm〜1.0μmがさらに好ましい。
本発明で使用する繊維状の導電性物質を含有する透明導電層のパターニング工程は、(3)前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記ネガティブパターン化された感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせる工程と、(4)前記支持体を前記基体から剥離し、前記感熱接着剤層と密着した部分の前記透明導電層を、感熱接着剤層上へと移行させることにより、基体上に所望の透明導電層を残してパターンを形成する工程とからなる。貼り合わせを行う工程においては、前記透明導電層を設けた基体と前記ネガティブパターンを形成した感熱接着剤層を設けた支持体である剥離用基材とを、透明導電層と感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせ加熱及び加圧する。特に透明導電層がバインダー樹脂を含まず、あるいは含んでいても含有量が少ないときは感熱接着剤層の加熱、加圧により、感熱接着剤は軟化し透明導電層の導電性微粒子の間隙、あるいは繊維状導電性物質の網目内に浸透して、感熱接着剤と透明導電層内の導電性物質が接着する。
その後、貼り合わせ部分の感熱接着剤層を常温程度に冷却後、前記支持体を前記基体から剥離し、前記感熱接着剤層と接着した部分の透明導電層を、支持体上でネガティブパターン化された感熱接着剤層上へと剥離、転写させることにより、基体上に透明導電層のポジティブパターンが残り、基体上に所望の透明導電層パターンが完成する。
特に、後者のロールラミネート方式は、フィルム基体とフィルム状の剥離用基材を使ったロールツーロールでの連続処理が可能であり、優れた生産効率を有する。ロールラミネート方式のロールは、前述の通り、どちらか一方、または両方が加熱可能なロールであり、ロールの材質は、透明導電層と感熱接着材層が良好に熱接着し、基体の熱変形を発生させなければ、特に限定されることはない。金属ロールが主体の剛体ロールと、耐熱ゴム製が主体の弾性ロールの組み合わせとしては、金属/金属、金属/弾性、弾性/弾性の全ての組み合わせが使用可能であるが、ロール対のニップ間で感熱接着剤の粘着性を発現させるため、ニップ巾が広く、加熱時間を長くなる弾性/弾性、弾性/金属のロール対が好ましい。
さらに必要に応じて、貼り合わせ前に感熱接着剤層部分を予備加熱してもよい。また感熱接着剤層中に気泡が混入すると、導電性層との部分的接着不良のため剥離基材による導電性層の剥離が不完全になりやすい。このため気泡混入防止のために、貼り合わせ工程において、剥離基材の感熱接着層部分の加熱、加圧を減圧雰囲気下で行っても良い。
このように基体上にパターン化された透明導電層を形成したのち、該透明導電層によって部分的に被覆された基体上に、既述の保護層用塗料を塗布し透明導電層を固定して導電層がパターン化された透明導電膜を作製することができる。
以下に上記で作製した均一な透明導電層を有する透明導電膜、あるいはパターン化された透明導電層を有する透明導電膜の透明導電層に貼り合わせられる両面粘着シートについて記載する。
本発明で使用する両面粘着シートは、前記両面粘着シートの粘着剤層が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とを有する粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物中のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のカルボキシル基と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の窒素原子との当量比が1:0.05〜1:0.5の両面粘着シートである。
本発明に用いられるカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、炭素数2〜14の(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分とし、カルボキシル基含有単量体が共重合された重合体である。当該炭素数2〜14の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とすることで、透明導電膜を固定する際に必要な接着力、または光学特性を粘着剤層に付与できる。また、カルボキシル基含有単量体を共重合することで、透明導電膜を固定するために必要な凝集力を粘着剤層に付与できる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
本発明に用いられる窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)は、炭素数1〜8のメタアクリル酸エステル単量体を主成分とし、窒素原子含有共重合性単量体が共重合された重合体である。当該炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とすることで、透明導電膜を固定するために必要な凝集力と接着性を付与できる。また、窒素原子含有共重合性単量体を共重合することで、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性が向上し、優れた光学特性を付与できる。
本発明で使用する両面粘着シートの粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、上記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とを有し、粘着剤組成物中のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のカルボキシル基と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の窒素原子との当量比が1:0.05〜1:0.5であり、1:0.05〜1:0.3が好ましく、1:0.05〜0.2がさらに好ましい。上記範囲内で共重合体(A)と(B)とが配合されることで、透明導電膜の導電層の腐食を制御でき、さらに透明導電膜に対して優れた接着性能を当該両面粘着シートの粘着剤層に付与できる。
と凝集力を付与できる。
本発明で使用する透明導電膜固定用両面粘着シートは、上記粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することで、透明導電膜の導電層と好適に接着でき、かつ導電層の腐食が生じ難い。
ゲル分率(%)=[(両面粘着シートのトルエン浸漬後質量)/(両面粘着シートのトルエン浸漬前質量)]×100
本発明の透明導電膜積層体は、透明導電膜の繊維状導電性物質を含有する導電層に対して上記両面粘着シートの粘着剤層が直接貼り合わされて少なくとも2層以上の積層体が形成されている積層体であり、例えば、基材上に上記繊維状導電性物質を含有する導電層が設けられた透明導電膜と上記両面粘着シートからなる積層体(図10)が挙げられる。また、繊維状導電性物質を含有する導電層の反対面にハードコート層が設けられた積層体(図11)や、上記両面粘着シートの両面に上記ハードコート層を有する透明導電膜が設けられた積層体(図12)も挙げられる。積層体の傷つき防止のため、ハードコート層が設けられた積層体(図11、12)が好ましい。
する。
導電膜層の電気抵抗値の上昇率(%)=[(60℃、90%RHに500時間放置後の
電気抵抗値)−(初期の電気抵抗値)]/(初期の電気抵抗値)×100
本発明のタッチパネル装置は、上記両面粘着シートが繊維状透明導電性物質を含有する導電層を有する透明導電膜に貼り合わせて形成された透明導電膜積層体を有することを特徴とする。本発明のタッチパネル装置の構成は特に制限されないが、静電容量方式のタッチパネルの構成であると本願発明の効果がよりその特性に良好な結果を与えることとなり好ましい。
通常使用されるLCDモジュールや、有機ELモジュールなどが使用できる。
[透明導電膜の作製]
(銀ナノワイヤーの合成)
銀ナノワイヤーは、Y.Sun、B.Gates、B.Mayers、& Y.Xia,“Crystalline silver nanowires by soft solution processing” 、Nano letters 、 (2002) 、2(2) 165〜168に記載されるポリオールを用いた方法の後、ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で、エチレングリコールに硫酸銀を溶解し、これを還元することによって合成されたナノワイヤーである。すなわち本発明においてはCambrios Technologies Corporation 米国仮出願第60/815,627号に記載される修正されたポリオール方法によって、合成されたナノワイヤーを用いた。
透明導電層を形成する金属ナノワイヤーとして、上記方法で合成された短軸径約70nm〜80nm、アスペクト比100以上の銀ナノワイヤーを水性媒体中に0.5%w/v含有する水分散体(Cambrios Technologies Corporation社製 ClearOhmTM, Ink−A AQ)を、スロットダイ塗工機を使用し、厚み188μmの片面がハードコートされた高透明PETフィルム(HF1C22−188)を基体としてそのハードコート面上にウエット厚み20μmに塗布、乾燥した後に、圧力2000kN/m2で加圧処理を行い均一な透明導電層を形成した(図1)。
次に、CRISVON NT−810−45(DIC社製ポリウレタン樹脂、45%溶液)100重量部をメチルエチルケトン 62.5重量部、トルエン 62.5重量部に溶解させ感熱接着剤とした。このポリウレタン樹脂の代表的物性値は、粘弾性測定(昇温速度3℃/分)で得られるtanδのピーク値から得られるガラス転移温度が42℃、引っ張り速度300mm/分で得られる引張破断強度が277×10E5Pa、引張破断伸度が665%、高圧式フローテスター(ダイス:1φ×1L、加圧:98N)の測定で得られる流動開始温度が90℃である。上記の感熱接着剤用液を厚み23μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製テイジンテトロンフィルムG2)を支持体としてその上にパターン印刷を行う。ここで基体に形成すべき所望の導電性層パターンとしては、図6及び図7の静電容量方式投影型用タッチパネル用の電極パターンとした。該パターンは一辺の長さが4mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと、線幅が350μmの細線パターンとが交互に連続した直線状のパターンである。したがって上記支持体上には、透明導電層によって形成されるべきパターン図6、及び図7に対して、そのネガティブパターンである図8、及び図9のパターンをグラビア印刷法にて印刷した。印刷塗膜を乾燥後、感熱接着剤層の厚み0.5μm〜0.8μmとなるように塗布を行い、図8及び図9のようなネガティブイメージ状に感熱接着剤がパターン印刷された剥離用基材を得た(図2)。
次いで、ロール状の塗布物として作成した透明導電層の形成された基体と、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する剥離用基材とを走行させつつ、透明導電層と感熱接着剤層が互いに向き合うように重ね、金属製加熱ロールと、耐熱シリコンロールによる加熱、加圧ニップを持つラミネーターを使用して、加熱ロール温度110℃、ロールニップ圧(線圧)30kN/m、速度5m/分の条件で連続的に貼り合わせを行った(図3)。貼り合わせた材料を走行させながら、貼り合わせ部分の温度が室温程度まで下がった時点で、基体から支持体を連続的に剥離し、基体上に透明導電層が所望のパターン状に残ったパターン化された透明導電層を有するロール状のフィルム基体得た(図4)。
パターン化された透明導電層部分を顕微鏡によって観察したところ、基体上の透明導電層部分は剥離用基材を用いた剥離工程で損傷を受けておらず、また剥離用基材から透明導電層が剥離された部分には透明導電層が残存することがなく、また感熱接着剤が付着することもなかった。この状態の透明導電層について、剥離工程が良好に行われたことを確認するために、光透過率及び抵抗値の測定を行った。結果は表1に示す。
保護層用塗料として、アクリル樹脂(DIC社製アクリディックA−815−45 不揮発分45%)100部、イソシアネート系硬化剤(DIC社製バーノックDN−980 不揮発分75%)7.2部をメチルエチルケトン2200部、トルエン2200部によく溶解させ保護層用塗料とした。
この保護層用塗料を、前記パターン化された透明導電層をその上に有する基体の全面に、スロットダイ塗工機を使用し、該保護層用塗料で透明導電層中の網目状ナノワイヤーの間隙を充填しつつ、ウエット厚み10μmに塗布、乾燥し、乾燥厚み約0.1μmの保護層塗膜を形成した。その後に、60℃の雰囲気に24時間おいて、イソシアネート系硬化剤とアクリル樹脂とを硬化反応させ保護層を形成した(図5)。このようにして図6と図7の2種類のタッチパネル用透明導電層パターンを有する透明導電膜である透明導電性フィルム(透明導電層付きフィルム)を作製することができる。これらパターン化された透明導電層を有する透明導電膜から静電容量型のタッチパネルを作製するには、例えば2種類の透明導電層付きフィルムを、透明導電層を同一方向(例えば上向き)に向けて、一方の透明導電層形成部分が他方の導電層剥離部分に重なるように、互い違いにスペーサを介して重ね合わせる工程を経て行われる。
例えば一方の透明導電膜である透明導電層付きフィルムの透明導電層上に、両面粘着シートを貼り合わせ、両面粘着シートのもう一方の面にもう一種類の透明導電膜を、透明導電層形成部分が重なり合わないように、かつ透明導電層が透明基体に対して同じ方向を向くように配置して貼り合わせて形成された透明導電層積層体を用いて、静電容量型のタッチパネルの形成が行われる。ここでは評価用として後述のように上記パターン化された透明導電層を有する透明導電膜の一方を用いた透明導電層積層体を形成する。
さらにパターニングされる前の透明基体上に均一に形成された透明導電層の上に、同様に上記の保護層用塗料を塗布して透明導電層の固定を行い、作製した均一な透明導電層を有する透明導電膜特を用いた透明導電層積層体が特性評価用に用いられる。
<アクリル共重合体(1)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート91.5重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5重量部、アクリル酸8.0重量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100重量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量80万のアクリル共重合体(1)を得た。
n−ブチルアクリレートを95.5重量部、アクリル酸を4.0重量部とする以外は、アクリル酸共重合体(1)と同様にして、重量平均分子量80万のアクリル共重合体(2)を得た。
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート96.5重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート3.0重量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100重量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量30万のアクリル共重合体(3)を得た。
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルメタクリレート95.0重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート5.0重量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル1.0重量部とを酢酸エチル100重量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量2万のメタクリル共重合体(4)を得た。
上記アクリル共重合体(1)100重量部に、上記アクリル共重合体(4)を20重量部添加し、酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤Aを得た。なお、アクリル共重合体(1)のカルボキシル基とアクリル共重合体(5)の窒素原子との当量比は、1:0.0625である。
上記アクリル共重合体(2)100重量部に、上記アクリル共重合体(4)を20重量部添加し、酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤Bを得た。なお、アクリル共重合体(2)のカルボキシル基とアクリル共重合体(5)の窒素原子との当量比は、1:0.0625である。
上記アクリル共重合体(1)100重量部を酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤Cを得た。
上記アクリル共重合体(4)100重量部を酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤Dを得た。なお当面導電膜積層体を作製するにあたり、使用する両面粘着シートについてあらかじめ下記の特性を測定した。
粘着シートを60℃、90%RH条件下に100時間放置した後、PETフィルム、ガラスの順で貼り合わせて試験サンプルを調整した。(株)村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、調整サンプルの全光線透過率およびヘイズ(%)を測定した。
100mm×100mmの両面粘着シートを、60℃、90%RH条件下に100時間放置した後、直ちに両面粘着シートの片面の剥離フィルムを剥がして150mm×150mmのアルミ箔に貼り合わせて秤量する(この重量をW1とする)。両面粘着シートのもう一方の剥離フィルムを剥がし、105℃条件下で2時間乾燥した後、秤量を行う(この重量をW2とする)。両面粘着シートの吸水率は下記の式で算出した。
両面粘着シートの吸水率(%)=(W1−W2)/W2 × 100
上記粘着剤A100重量部にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL−45、固形分45%)を0.7重量部添加し15分攪拌後、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ50μmのポリエステルフィルム(以下#75剥離フィルム)上に乾燥後の厚さが25μmになるように塗工して、75℃で5分間乾燥した。得られた粘着シートと、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム(以下#38剥離フィルム)を貼り合わせた。その後23℃で5日間熟成し厚さ25μmの、ゲル分率70%の基材レス粘着シートを得た。該粘着シートの全光線透過率は90.3%、ヘイズは0.4%、吸水率は1.05%であった。
このようにして得られた粘着シートを両面粘着シートとして、その片面にパターン化された透明導電層付きフィルムの透明導電層側の面を貼り合わせ、両面粘着シートのもう一方の面に膜厚50μmのPETフィルムを貼り合わせて、透明導電層がパターン化され静電容量型のタッチパネルに使用することのできる評価用の透明導電膜積層体1を作製した。さらに透明基体上に、パターン化される前の均一な透明導電層を有し、かつ該透明導電層を保護層で固定した一様な透明導電層を有する透明導電層付きフィルムを用いて、同様に評価用の透明導電層積層体2を作製した。
粘着剤A100重量部を粘着剤B100重量部にする以外は、実施例1と同様にして、ゲル分率71%の粘着シートを得た。該粘着シートの全光線透過率は90.5%、ヘイズは0.4%、吸水率は0.99%であった。この粘着シートを両面粘着シートとして用い、実施例1と同様にして評価用の透明導電層積層体を作製した。
粘着剤A100重量部を粘着剤C100重量部にする以外は、実施例1と同様にして、ゲル分率85%の粘着シートを得た。該粘着シートの全光線透過率は91.0%、ヘイズは0.5%、吸水率は1.20%であった。この粘着シートを両面粘着シートとして用い、実施例1と同様にして評価用の透明導電層積層体を作製した。
粘着剤A100重量部を粘着剤D100重量部にする以外は、実施例1と同様にして、ゲル分率80%の粘着シートを得た。該粘着シートの全光線透過率は90.7%、ヘイズは0.3%、吸水率は0.68%であった。この粘着シートを両面粘着シートとして用い、実施例1と同様にして評価用の透明導電層積層体を作製した。
パターン化された透明導電層を有する透明導電膜と、均一な透明導電層を有する透明導電膜とを両面粘着シートを貼り合わせずにそのまま評価用サンプルとして用いて以下の試験を行った。
実施例、比較例において両面粘着シートの透明導電膜を挟んで反対側に貼り合わせていた50μmのPETを、そのまま試料として用い、実施例及び比較例のヘイズ値、及び黄色度の変化に対する50μPETの影響度を調べるための以下測定を行った。
(タッチパネル用透明導電層積層体のパターン線抵抗)
実施例1と2、比較例1と2及び参考例で作製したパターン化された透明導電層を有する透明導電積層体ないし透明導電膜を評価サンプルとして使用し、パターン両端の線抵抗(R1)をテスターを使用して測定した。温度80℃、湿度80%の環境下に240時間静置後の同様にパターン両端の線抵抗(R2)を測定し、その上昇率を求めた。パターン線抵抗の上昇率は下記の式で算出した。
パターン線抵抗の上昇率(%)=((R2−R1)/R1)×100
さらに温度85℃のdry環境に240時間静置後のパターン線抵抗の上昇率についても同様の測定を行った。測定は作製した約5cm四方のパターン化された透明導電層を有する透明導電膜積層体3枚について1枚当たり8箇所の測定を行い平均値を求めた。
実施例1と2、比較例1と2、及び参考例1と2で作製した均一な透明導電層を有する透明導電積層体ないし透明導電膜を使用し、そのヘイズ値を日本電色工業(株)製「NDH2000」を使用して測定した。その後温度80℃、湿度80%の環境下に240時間の条件、及び温度85℃のdry環境に240時間のそれぞれの条件に静置した後のヘイズ値を同様に測定し測定値の変化を求めた。測定は約5cm四方の均一な透明導電層を有する透明導電膜積層体3枚についてその中心部で行い平均を求めた。
実施例1と2、比較例1と2、及び参考例1と2で作製した均一な透明導電層を有する透明導電積層体ないし透明導電膜を使用し、そのb*の値を日本電色工業(株)製「分光式色差計SE2000」を使用して測定した、その後温度80℃、湿度80%の環境下に240時間の条件、及び温度85℃のdry環境に240時間のそれぞれの条件に静置した後のb*の値を同様に測定し測定値の変化を求めた。測定は約5cm四方の均一な透明導電層を有する透明導電膜積層体3枚についてその中心部で行い平均を求めた。
45mm×35mmのハードコート層付きPETフィルムのPETフィルム面と、50mm×40mmのガラスとを粘着シートで貼り合せた後、85℃条件に500時間放置し、目視でハードコート付きPETフィルムの剥がれを評価した。
○:剥がれ無し
×:剥がれ有り
2 透明導電膜固定用両面粘着シート
3 導電層
4 透明基材
5 ハードコート層
6 保護パネル
7 装飾層
8 粘着剤層付き透明導電膜
9 固定用テープ
10 画像表示モジュール
11 (透明導電層形成用)基体
12 透明導電層
13 (感熱接着剤ネガティブパターン形成用)支持体
14 感熱接着剤層
15 加熱、加圧用金属ローラー
16 加熱、加圧用耐熱シリコンゴムローラー
17 パターン化された透明導電層
18 感熱接着剤により引き剥がされた透明導電層
19 保護層(透明導電層を保護層用塗料で含浸し、基体上に固定化した保護層)
20 剥離用基材
Claims (8)
- 導電性物質を含有する透明導電膜と該透明導電膜上に貼り合わせられた、両面粘着シートとを有する透明導電膜積層体であって、前記導電性物質は繊維状の導電性物質であり、前記両面粘着シートの粘着剤層が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とを有する粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物中のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のカルボキシル基と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の窒素原子との当量比が1:0.05〜1:0.5であることを特徴とする透明導電膜積層体。
- 前記繊維状の導電性物質は銀ナノワイヤーである請求項1に記載の透明導電膜積層体。
- 前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が
50万〜200万であり、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の重
量平均分子量が5000〜10万である請求項1または2に記載の透明導電膜積層体。 - 前記窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)が、炭素数1〜8の(メタ
)アクリル酸エステル単量体と、窒素原子含有共重合性単量体とを単量体成分として含有
し、前記窒素原子含有共重合性単量体が、アミノ基含有単量体、アミド基含有単量体、窒
素系複素環含有単量体、シアノ基含有単量体およびイミド基含有単量体の中の少なくとも
1種である請求項1〜3いずれかの項に記載の透明導電膜積層体。 - 前記透明導電膜は、透明基体上に前記透明導電性物質を含有する透明導電層を有し、前記両面粘着シートは該透明導電層上に貼り合わせられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電層積層体。
- 前記透明導電膜は、前記透明基体上に一定方向に延伸し、平行かつ等間隔に配列した透明導電層からなるパターンを形成して作製されたものである請求項5に記載の透明導電層積層体。
- 請求項6に記載の2つの透明導電層積層体を有し、該2つの透明導電層積層体は透明導電層からなるパターンが互いに直角方向となるように貼り合わせられた静電容量型タッチパネル用透明導電性装置。
- 基体上にパターン化された透明導電層を有するタッチパネル用透明導電性シートの製造方法であって、
(1)基体上に剥離可能な透明導電層を塗布により形成する工程と、
(2)支持体上に、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を形成する工程と、
(3)前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせる工程と、
(4)前記支持体を前記基体から剥離し、前記感熱接着剤層と密着した部分の前記透明導電層を、感熱接着剤層上へと移行させることにより、基体上に透明導電層のパターンを形成する工程と
(5)前記透明導電層パターンを形成した基体全面に、保護層用塗料を塗布し、透明導電層を基体上に固定化する工程と、
(6)前記基体上の透明導電層上に両面粘着シートを貼り合わせる工程を有し、
前記両面粘着シートの粘着剤層が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)とを有する粘着剤組成物からなり、前記粘着剤組成物中のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のカルボキシル基と、窒素原子含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体(B)の窒素原子との当量比が1:0.05〜1:0.5であることを特徴とするタッチパネル用透明導電性シートの製造方法。
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