JP2012007418A - 建造物の補強構造及び建造物の補強方法 - Google Patents

建造物の補強構造及び建造物の補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 柱の四方を囲むことができない建造物においても、十分な強度を実現できる建造物の補強構造を提供すること。
【解決手段】 建造物の壁2に、その壁2との間にグラウト材4や樹脂材からなる充填材を充填するスペースを設けて型枠の連続体を沿わせるとともに、これら型枠の連続体内に上記充填材を充填して充填した充填材に一体化した壁と、柱1あるいは梁10などからなるフレーム構造体と一体化し、これら充填材と一体化した壁及び柱あるいは梁などからなるフレーム構造体とで新たな支持構造体を構築する一方、上記充填材と一体化した壁と、壁と一体化した充填材の外側における壁とを分断する溝11を形成し、この溝を境に上記支持構造体を独立させた。
【選択図】 図1

Description

この発明は、既存の建造物を事後的に耐震補強するための補強構造及びその方法に関する。
従来から、既存の建築構造物の耐震性を向上させるため、既存のコンクリート柱を補強する補強構造が知られている。
例えば、特許文献1に記載された補強構造は、コンクリート柱の周囲に、所定の間隔を保持して囲い鋼板を設けている。この囲い鋼板は、その長手方向に直交する面での断面形状をL字状にした部材で、角をコンクリート柱の四隅に対応させ、隣り合う囲い鋼板同士、その一部を重ねている。
そして、上記囲い鋼板の外周を帯状のシートを巻きつけることによって結束している。
また、コンクリート柱と囲い鋼板との上記間隔内にはグラウト材を注入し、このグラウト材中に、上記コンクリート柱の軸方向に平行もしくはほぼ平行にした複数の鉄筋を設けている。
このように、既存のコンクリート柱の外周に鉄筋を配置したグラウト材を密着させ、一回り太い柱にすることによって、柱の曲げ耐力と剪断耐力とを飛躍的に向上させることができる。
しかし、両脇に壁が連続している柱の場合には、その外周四面を囲んで補強することができない。そのため、壁が連続している柱については、図10に示すように柱1の正面1aだけを補強する補強構造が用いられていた。
この従来の補強構造は、図10に示すように、両側に壁2,2が連続するコンクリート柱1の正面1a側のみを補強するものである。
上記柱の正面1a側に配置する囲い鋼板3は、断面L字状の鋼板で、柱1の正面1aに平行に配置される対向部3aと、これに直交する直交部3bとからなる。そして、各囲い鋼板3の軸方向長さは、対向する柱1の軸方向長さを複数に分割した長さにしている。
上記のようにした一対の囲い鋼板3,3の対向部3a,3aの先端同士を重ね合わせて幅を柱1の幅に合わせるとともに、柱1の正面1aから所定の間隔を保って配置するが、これら囲い鋼板3を、柱1の軸方向に複数連続的に接合して、柱1の正面1aを覆うようにする。また、各囲い鋼板3の上記直交部3bの対向間隔にはタイバー6をわたし、その両端を対向する直交部3b,3bから外部へ突出させている。このタイバー6の外周にはねじ溝を形成し、上記直交部3b,3bの外側に突出したタイバー6の両端にはナット7をねじ止めして上記対向する直交部3b,3bの間隔を保持するようにしている。
そして、上記囲い鋼板3の表面には、帯状繊維シート5を貼り付けて、囲い鋼板3を連結する。このようにして連結した囲い鋼板3と柱1の正面1aとの間にグラウト材4を充填している。
なお、図10中、符号8は鉄筋、符号9はアンカーボルトである。アンカーボルト9によってグラウト材4と柱1との密着性を高めている。
特開2008−240368号公報 特許第3861079号公報
上記したように、既存の柱をグラウト材4で覆って補強した場合、補強した柱の強度は断面積に依存する。そのため、図10に示すように両脇に壁2が連続している柱1の正面1aのみにグラウト材4を密着させて、四面を囲んだ場合と同程度の強度を得るためには、柱1の正面1a側に充填するグラウト材4の充填量を多くする必要がある。つまり、上記囲い鋼板3と正面1aとの間隔を大きくする必要がある。
そのため、柱1に対応する部分のみ、既存柱1の正面1a及び壁面から大きく突出してしまうことになる。但し、実際には、柱1部分のみ極端に突出させることはスペース上できないこともあり、結果として十分な補強強度を得られないという問題があった。
また、建造物において、補強対象となる既存の柱の数が少ない場合には、柱のみを一面から補強しても、建造物全体として十分な強度を得られないという問題もあった。
この発明の目的は、柱の四方を囲むことができない建造物においても、十分な強度を実現できる建造物の補強構造を提供することである。
第1の発明は、建造物の壁に、その壁との間にグラウト材や樹脂材からなる充填材を充填するスペースを設けて型枠の連続体を沿わせるとともに、これら型枠の連続体内に上記充填材を充填して充填した充填材に一体化した壁と、柱あるいは梁などからなるフレーム構造体と一体化し、これら充填材と一体化した壁及び柱あるいは梁などからなるフレーム構造体とで新たな支持構造体を構築する一方、上記充填材と一体化した壁と、壁と一体化した充填材の外側における壁とを分断する溝を形成し、この溝を境に上記支持構造体を独立させた点に特徴を有する。
なお、上記支持構造体を独立させるとは、新たに構築された支持構造体と、充填材と一体化されていない外側部分の壁が、上記新たな支持構造体の変形に影響を与えず、新たな支持構造体の靭性や耐力を妨げることがないようにすることである。
また、上記充填材に一体化した壁とフレーム構造体との一体化には、グラウト材などの充填材を介して一体化するものと、充填材以外の部材を介して一体化するものとが含まれる。
第2の発明は、第1の発明を前提とし、一部を重ね合わせて互いにスライド可能にした複数の囲い鋼板で上記型枠を構成し、この囲い鋼板を上下方向に連続させ、かつ、この囲い鋼板を、柱とこの柱に隣接する壁との間に上記充填材を充填するスペースを設けて沿わせるとともに、上記複数の囲い鋼板を帯状繊維シートで結束した点に特徴を有する。
第3の発明は、第1の発明を前提とし、一部を重ね合わせて互いにスライド可能にした複数の囲い鋼板で上記型枠を構成し、この囲い鋼板を上下方向に連続させ、かつ、この囲い鋼板を壁との間に上記充填材を充填するスペースを設けて沿わせるとともに、上記複数の囲い鋼板を帯状繊維シートで結束し、さらに、梁に上記囲い鋼板を固定した点に特徴を有する。
第4の発明における建造物の補強方法は、充填材と一体化した壁と、柱あるいは梁などのフレーム構造体とを一体化し、新たな支持構造体を構築する工程と、上記充填材と一体化した壁と、充填材よりも外側における壁とを分断するための溝を形成し、上記支持構造体を独立させる工程とからなる点に特徴を有する。
第1〜第4の発明によれば、充填材を密着させて補強した壁を、柱や梁などのフレーム構造体と一体化するとともに、強化されていない壁と分断することによって、充填材と一体化せず強化されていない壁が補強の妨げにならないようにして、新たな支持構造体を事後的に構築することができる。
このような新たなフレーム構造体により建造物の強度が向上する。
第2の発明では、柱とこの柱に連続する壁と充填材とを一体化して補強することによって、柱に対応する部分のみ補強する場合と比べて、補強箇所の前方への突出量を大きくしなくても、補強箇所の断面積を大きくでき、十分な強度を実現できる。
第3の発明では、壁と梁とを充填材とを一体化して補強することによって、強化された部分の壁を、新たな支持構造体として機能させることができる。すなわち、既存の建造物に新たな柱を追加したのと同じような効果を得ることができる。
また、上記第2、第3の発明では、スライド可能にした囲い鋼板によって型枠を構成しているので、型枠の大きさを補強箇所の大きさに合わせて簡単に調整できる。
さらに、上記スライド可能にした囲い鋼板は、重ね合わせ部分がスライドしたとき重ねあわせ部分の摩擦抵抗によって地震などの振動を吸収することができる。つまり、第2、第3の補強構造によれば、曲げ耐力と剪断耐力とを向上させるだけでなく、制震機能も付加することができる。
第1実施形態の断面図である。 第1実施形態の断面図で、梁の部分を示したものである。 第2実施形態の断面図である。 第2実施形態の断面図で、梁の部分を示したものである。 第3実施形態の断面図である。 第4実施形態の断面図である。 第4実施形態の断面図で、梁の部分を示したものである。 第5実施形態の断面図である。 第5実施形態の断面図で、梁の部分を示したものである。 従来の補強構造の断面図である。
図1、図2は、両側に壁が連続するコンクリートの柱1に対応する部分に、この発明の補強構造を適用した第1実施形態の断面図を示したものである。図2は梁10の部分での断面図であり、図1は、梁以外の部分での断面図である。
なお、この第1実施形態及び、以下の実施形態において、図10に示す従来の補強構造と同様の構成要素には同じ符号を用いるものとする。
この第1実施形態の補強構造は、図1に示すように、両側に壁2,2が連続するコンクリートの柱1の正面1a側を壁2とともに補強するものである。
上記柱の正面1a側に配置する囲い鋼板3は、上記従来の囲い鋼板3と同じ断面L字状の鋼板である。但し、この第1実施形態では、柱1の正面1aだけでなく、その両脇の壁面2aまで連続して囲うため、従来のものより対向部3aを長くしている。
そして、上記一対の囲い鋼板3,3の対向部3a,3aの先端同士を重ね合わせて幅を柱1の幅より大きくするとともに、柱1及び壁2の正面から所定の間隔を保って配置するが、これら囲い鋼板3を、柱1の軸方向に複数連続的に接合し、図2に示すように梁10の位置まで覆うようにする。
また、各囲い鋼板3の対向する直交部3b,3b間にはタイバー6をわたし、外部へ突出させた両端にナット7をねじ止めして間隔を保持するようにしている。
さらに、上記囲い鋼板3の表面には、帯状繊維シート5を貼り付けて、囲い鋼板3を連結する。このようにして連結した囲い鋼板3と柱1の正面1a及び壁面2aとの間にこの発明の充填材であるグラウト材4を充填している。つまり、この第1実施形態においては、上記囲い鋼板3がこの発明の型枠を構成している。
なお、図中、符号8は鉄筋で、この鉄筋8は上下床スラブまで連続している。また、符号9はアンカーボルトであり、このアンカーボルト9によってグラウト材4と柱1、壁2および梁10との密着性を高めている。
上記囲い鋼板3内に充填したグラウト材4が硬化すれば、このグラウト材4に一体化した壁2がフレーム構造体である柱1及び梁10と一体化する。
このように、グラウト材4を介して、囲い鋼板3に対応する部分の壁2と柱1とが一体化し、これら一体化した柱1及び壁2とが梁10とも一体化して、新たな支持構造体として構築されることになる。
さらに、上記囲い鋼板3での外側、すなわち上記壁2と一体化したグラウト材4の両外側における壁に、溝11,11を形成し、この溝11,11によって、上記新たな支持構造体と溝11より外側とを分断して、上記新たな支持構造体を独立させている。ここで、上記溝11によってグラウト材4で一体化された新たな支持構造体を独立させるとは、グラウト材4で一体化されていない外側部分のが、上記新たな支持構造体の変形に影響を与えず、新たな支持構造体の靭性を妨げることがないようにすることである。
このような第1実施形態の補強構造では、柱1と壁2の一部とが一体化されて補強されるので、柱1の正面1aに対応する部分のみを補強する従来の補強構造と比べて、前方への突出量を小さくしながら強度を維持できるようになる。さらに、グラウト材4を介して柱1と一体化した壁2は、上記グラウト材4を介して梁10とも一体化することによって柱と同様に機能する支持構造体となる。
しかも、上記溝11,11によって、溝11,11間の支持構造体を、強化されていない部分から独立させているので、上記支持構造体が、強化されず耐力がない壁部分の重量を支える必要がないうえ、フレームとして十分な靭性を発揮することができる。従って、補強効果を有効に利用して建造物全体の強度を上げることができる。
なお、この第1実施形態では、充填材であるグラウト材4と一体化した壁を、フレーム構造対である梁10と一体化するためにグラウト材4を利用しているが、上記一体化した壁と梁とを一体化する方法はこれに限らない。例えば、梁10の部分ではグラウト材4を設けないで、壁2に対応させた囲い鋼板3を、なんらかの連結手段を用いて梁10に連結しても、グラウト材4と一体化した壁2と梁10とを一体化することができる。
また、この第1実施形態では、囲い鋼板3を型枠として利用し、グラウト材4の硬化後も取り除くことをせず、支持構造体の要素として残しているが、型枠はグラウト材4を壁2と一体化できるように充填できるものならばどのようなものでもよく、グラウト材4が硬化したら取り除くようにしてもかまわない。
但し、上記囲い鋼板3を用いれば、型枠を取り外す工程を省略できし、また、上記のように一部を重ね合わせて互いにスライド可能にした囲い鋼板3を型枠とすれば、型枠の幅調整が容易になる。
さらに、地震発生時に囲い鋼板3がスライドすれば、その重ね合わせ部分の摩擦抵抗によって振動を吸収できるというメリットもある。
図3、図4は、直交する壁2,2間の角に柱1が配置されている場合、上記柱1の周囲にこの発明の補強構造を適用した第2実施形態の断面図である。そして、図4は梁10の部分の断面図であり、図3は梁以外の部分の断面図である。
この第2実施形態の補強構造も、柱1と連続する柱2の一部分を柱1とともにグラウト材4で一体化し、さらに、その一体化した壁2及び柱1を梁10と一体化する補強構造である。
この第2実施形態では、断面がL字状の囲い鋼板3と3’とを用いて、上記柱1及び壁2との間にグラウト材4を充填するスペースを設けるようにしている。上記囲い鋼板3は、上記第1実施形態の囲い鋼板3と同じもので、柱1の正面1aあるいは側面1bと対向する対向部3aとこの対向部3aに直交する直交部3bとを備えた鋼板である。そして、一対の囲い鋼板3,3の対向部3a,3aをそれぞれ、上記正面1a及び壁面2a、側面1b及び壁面2aに、所定の間隔を保って対向させるとともに、これら一対の対向部3a,3a間には別の囲い鋼板3’を設けている。この囲い鋼板3’は互いに直交する対向部3c,3dを備え、これら対向部3c,3dの先端側を上記囲い鋼板3,3の対向部3aの端部側とをスライド可能に重なり合わせている。
また、上記のように囲い鋼板3,3’を配置し、対向する一方の囲い鋼板3の直交部3bと囲い鋼板3’の対向部3c間、もう一方の囲い鋼板3の直交部3bと上記囲い鋼板3’の対向部3d間にはそれぞれタイバー6,6を貫通させ、ナット7を用いて上記対向間隔を保持するようにしている。
さらに、上記囲い鋼板3,3’の表面には、帯状繊維シート5を貼り付けて、囲い鋼板3を連結して型枠とする。このようにして連結した囲い鋼板3,3’と柱1の正面1aおよび壁面2aとの間にグラウト材4を充填している。
なお、図中、符号8は鉄筋で、この鉄筋8は上下床スラブまで連続している。また、符号9はアンカーボルトであり、このアンカーボルト9によってグラウト材4と柱1、壁2および梁10との密着性を高めている。
上記囲い鋼板3内に充填したグラウト材4が硬化すれば、このグラウト材4に一体化した壁2がフレーム構造体である柱1及び梁10と一体化する。
このように、グラウト材4を介して、囲い鋼板3に対応する部分の壁2と柱1とが一体化し、これら一体化した柱1及び壁2とが梁10とも一体化して、新たな支持構造体として構築されることになる。
さらに、この第2実施形態においても、壁2においてグラウト材4と一体化した部分の両外側には、溝11,11を形成し、上記グラウト材4と一体化した上記新たな支持構造体を、グラウト材4と一体化していない部分から分断し、独立させている。
以上のように構成することによって、この第2実施形態も、従来のように、柱1の正面1aや側面1b側に、極端に突出する補強構造を用いなくても、十分な補強強度を得ることができる。
その他、第1実施形態と同様の効果を得られる。
また、この第2実施形態においても、グラウト材4と一体化した壁2を梁10と一体化する手段はグラウト材4に限らない。
図5は、一対の柱1,1間の壁2であって、柱1を含まない箇所にこの発明の補強構造を適用した第3実施形態の断面図である。
この第3実施形態では、上記第1実施形態と同様の囲い鋼板3を一対、壁面2aに対向させて設け、これら囲い鋼板3,3を帯状繊維シート5で結束して型枠とし、その内側にグラウト材4を充填している。
なお、この第3実施形態においても、上記囲い鋼板3を軸方向に複数連続的に結合して図示していない梁の位置まで設けて型枠を構成し、その内側にグラウト材4を充填する。
これにより、グラウト材4と一体化して補強された壁2の部分が軸方向に連続するとともに梁と一体化し、新たな支持構造体となる。
また、図中、符号8は鉄筋で、この鉄筋8は上下床スラブまで連続している。また、符号9はアンカーボルトであり、このアンカーボルト9は図示しない梁にも設け、これによってグラウト材4と柱1、壁2および梁との密着性を高めている。
さらに、上記壁2において、上記囲い鋼板3を配置した両外側には、溝11,11を形成し、上記新たな支持構造体を、グラウト材4と一体化していない壁部分から分断して独立させている。
これにより、既存の柱がなかったところに、新たな支持構造体を形成できる。すなわち、この第3実施形態では、既存の柱がない箇所に新たな柱を設けたのと同じような効果を得られる。つまり、事後的に柱を増設して建造物を補強するようなものである。
図6、図7は、両側に壁が連続するコンクリートの柱1に対応する部分に、この発明の補強構造を適用した第4実施形態の断面図を示したものである。そして、図7は梁10の部分での断面図であり、図6は、梁以外の部分での断面図である。
この第4実施形態は、一対の囲い鋼板3,3の接続部分の構成が上記第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同じである。
この第4実施形態では、一対の囲い鋼板3,3の対向部3a,3aの先端同士をつき合わせて、この突き合わせ部に対応する部分に板部材12を沿わせるように設けている。
この板部材12は、柱1の軸方向長さを上記囲い鋼板3の軸方向長さと等しくするとともに所定の幅を有する長方形の鋼板である。
そして、この板部材12を、囲い鋼板3,3の突き合わせ部に沿わるために、次のようにしている。
対向部3a,3aの端部を突き合わせる一対の囲い鋼板3、3のうち、一方の囲い鋼板3の対向部3aであって柱1と対向する側の面である裏面に、上記板部材12の端部を溶接するが、このとき、上記対向部3aの端部から上記板部材12を突出させるようにする。この状態で、上記対向部3aの端部をもう一方の囲い鋼板3の端部と突き合わせて、型枠を形成する。なお、図中符号13は溶接部であるが、この溶接部13は板部材12の軸方向の辺に沿って断続的に設けられている。
なお、上記囲い鋼板3の裏面に板部材12を設ける方法は溶接に限らない。
このように、予め板部材12が溶接された囲い鋼板3と、板部材12を備えていない囲い鋼板3とを付き合わせることによって、この発明の型枠を形成する。
その他の構成は、第1実施形態と同じで、同様の手順によって補強構造を完成する。
従って、この第4実施形態の補強構造では、柱1と壁2の一部とが一体化されて補強されるので、柱1の正面1aに対応する部分のみを補強する従来の補強構造と比べて、前方への突出量を小さくしながら強度を維持できるようになる。さらに、グラウト材4を介して柱1と一体化した壁2は、上記グラウト材4を介して梁10とも一体化することによって柱と同様に機能する支持構造体となる。
しかも、上記溝11,11によって、溝11,11間の支持構造体を、強化されていない部分から独立させているので、上記支持構造体が、強化されず耐力がない壁部分の重量を支える必要がないうえ、フレームとして十分な靭性を発揮することができる。従って、補強効果を有効に利用して建造物全体の強度を上げることができる。
また、この第4実施形態の補強構造では、幅方向に連続する囲い鋼板3を重ね合わせるのではなく突き合わせにしているので、上記第1実施形態のように表面に段差ができない。
上記第1実施形態のように、囲い鋼板3の端部を重ね合わせたときには、表面に囲い鋼板3の厚み分の段差ができるので、帯状繊維シート5を貼り付ける前、あるいは貼り付けた後に、上記段差をパテなどで修正する必要があるが、この第4実施形態では上記段差を修正する工程が不要になる。
なお、上記段差をそのままにして帯状繊維シート5を添付した場合には、その段差部分で鋼板から離れた帯状繊維シート5に張力が作用してしまい、帯状繊維シート5を傷つけてしまう可能性がある。また、段差が壁や柱の表面に現れてしまい、見た目も悪くなる。
図8、図9は、直交する壁2,2間の角に柱1が配置されている場合、上記柱1の周囲にこの発明の補強構造を適用した第5実施形態の断面図である。そして、図9は梁10の部分の断面図であり、図8は梁以外の部分の断面図である。
この第5実施形態は、一対の囲い鋼板3,3’の接続部分の構成が上記第2実施形態と異なるが、その他の構成は第2実施形態と同じである。
そして、上記第2実施形態の補強構造と同様に、柱1と連続する壁2の一部分を柱1とともにグラウト材4で一体化し、さらに、その一体化した壁2及び柱1を梁10と一体化する補強構造である。
この第5実施形態では、隣り合う囲い鋼板3と3’とを突き合わせて、この突き合わせ部に対応する部分に、上記第4実施形態と同様の板部材12を沿わせるように設けている。
そして、この板部材12を、囲い鋼板3,3’の突き合わせ部に沿わるために、一方の囲い鋼板の裏面に上記板部材12を予め溶接しておくことは、上記第4実施形態と同じである。
具体的には、中央の囲い鋼板3’の対向部3cの裏面に、対向部3cの端部から先端を突出させた板部材12を溶接し、対向部3cに隣り合う囲い鋼板3の対向部3aの端部を突き合わせ、対向部3aの裏面に上記板部材12を沿わせる。
また、上記囲い鋼板3’の対向部3dと隣り合う囲い鋼板3の対向部3aの裏面にも、板部材12を溶接し、上記対向部3cと対向部3aとを突き合わせ、突き合わせ部の裏面に板部材12を沿わせる。
その他、上記第2実施形態と同様にして型枠を構成し、補強構造を完成する。
従って、この第5実施形態の補強構造でも、上記第2実施形態と同様に、従来のように、柱1の正面1aや側面1b側に、極端に突出する補強構造を用いなくても、十分な補強強度を得ることができる。
また、この第5実施形態の補強構造では、幅方向に連続する囲い鋼板3,3’を重ね合わせるのではなく突き合わせにしているので、上記第4実施形態と同様に表面に段差ができない。従って、この段差をパテなどで修正する工程を省略できる。
なお、上記第4、第5実施形態のように、隣り合う囲い鋼板の端部を突き合わせるとともに、その突き合わせ部に対応する裏面側に板部材12を沿わせる構成は、柱1を含む補強構造だけに限らない。図示していないが、例えば、図5に示すように壁2の表面を補強する構造にも適用できる。
上記第4、第5実施形態では、隣り合う囲い鋼板のうち一方の囲い鋼板の裏面に、あらかじめ板部材12を取り付けておく必要があるし、型枠として必要な幅に合わせた寸法管理も必要になる。但し、表面に段差ができないため、現場で段差を修正する作業が不要になるというメリットがある。
上記第1〜第5実施形態の補強構造は、いずれも、充填材と一体化した壁2と、柱1あるいは梁10などのフレーム構造とを一体化し、新たな支持構造体を構築する工程と、上記充填材と一体化した壁2と、充填材よりも外側における壁2の部分とを分断するための溝を形成して、上記支持構造体を独立させる工程とからなるこの発明の補強方法によって形成することができる。
そして、上記第1〜第5実施形態では、この発明の充填材としてグラウト材を用いているが、充填材としては、柱や壁面と一体化可能な樹脂剤でも良く、また、充填材と壁とを一体化する方法は上記実施形態の方法に限らない。
また、上記実施形態では、複数の囲い鋼板3,3’の連結に帯状繊維シート5を用いているが、囲い鋼板の連結手段は溶接など、帯状繊維シートを用いないものでもよい。但し、帯状繊維シートを用いれば、現場での溶接作業などを省略できて安全である。
さらに、上記帯状繊維シート5に適度な弾性を保持させるようにすれば、囲い鋼板をスライド可能にするだけでなく、帯状繊維シート5の弾性によって振動を吸収することもできる。
なお、上記第1〜第5実施形態では、上記グラウト材4内に鉄筋8を配置しているが、この発明においては必ずしも鉄筋を必要としない。但し、充填材内に鉄筋を設ける構造によって曲げ耐力が飛躍的に向上することは明らかである。
この発明の補強構造は、柱の四方を囲むことができない建造物に対する事後的な補強に適している。
1 柱
2 壁
3 囲い鋼板
3’ 囲い鋼板
4 グラウト材
5 帯状繊維シート
10 梁
11 溝

Claims (4)

  1. 建造物の壁に、その壁との間にグラウト材や樹脂材からなる充填材を充填するスペースを設けて型枠の連続体を沿わせるとともに、これら型枠の連続体内に上記充填材を充填して充填した充填材に一体化した壁と、柱あるいは梁などからなるフレーム構造体と一体化し、これら充填材と一体化した壁及び柱あるいは梁などからなるフレーム構造体とで新たな支持構造体を構築する一方、上記充填材と一体化した壁と、壁と一体化した充填材の外側における壁とを分断する溝を形成し、この溝を境に上記支持構造体を独立させた建造物の補強構造。
  2. 一部を重ね合わせて互いにスライド可能にした複数の囲い鋼板で上記型枠を構成し、この囲い鋼板を上下方向に連続させ、かつ、この囲い鋼板を、柱とこの柱に隣接する壁との間に上記充填材を充填するスペースを設けて沿わせるとともに、上記複数の囲い鋼板を帯状繊維シートで結束した請求項1に記載の建造物の補強構造。
  3. 一部を重ね合わせて互いにスライド可能にした複数の囲い鋼板で上記型枠を構成し、この囲い鋼板を上下方向に連続させ、かつ、この囲い鋼板を壁との間に上記充填材を充填するスペースを設けて沿わせるとともに、上記複数の囲い鋼板を帯状繊維シートで結束し、さらに、梁に上記囲い鋼板を固定した請求項1に記載の建造物の補強構造。
  4. 充填材と一体化した壁と、柱あるいは梁などのフレーム構造体とを一体化し、新たな支持構造体を構築する工程と、上記充填材と一体化した壁と、充填材よりも外側における壁とを分断するための溝を形成し、上記支持構造体を独立させる工程とからなる建造物の補強方法。
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