JP6047704B2 - 既存柱の補強構造 - Google Patents

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この発明は、既存柱を、この既存柱に対して所定の間隔に保って補強枠体で囲い、上記既存柱と上記補強枠体との間に充填材を充填した既存柱の補強構造に関する。
11に示した従来の補強構造は、既存柱1の両側で交差する壁や窓枠などの障害部6があるときに用いられる補強構造(以下「片面補強構造」という)で、特定の一面を所定の間隔を保って枠体8で囲っている。上記枠体8は、断面がL字状の鋼板7を2枚一組とし、各鋼板7,7の先端同士を重ね合わせ、上記既存柱1の特定の一面を囲うように配置して構成される。既存柱1の特定の一面と上記枠体8との間には、空間sが形成される。
上記空間sには、既存柱1に対向する位置であって、既存柱1の軸方向に沿った一対の軸方向筋4e,4fを配置している。これら軸方向筋4e,4fは、互いに十分な間隔を保つように配置されている。すなわち、これら軸方向筋4e,4fの軸線に直交する線方向(x方向)の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮するのに必要な間隔を保っている。
また、上記枠体8の軸方向長さは、既存柱1の補強必要長さを複数に分割した長さにしている。そのため、上記枠体8を既存柱1の補強必要長さ分だけ積層して、上記既存柱1の特定の一面を囲うようにしている。なお、積層された枠体8の外周には、繊維シート9を巻き付けて接着し、隣り合う鋼板7,7同士や積層された枠体8同士を一体化させている。
さらに、既存柱1の特定の一面には、予め複数のアンカーボルト10,10を所定の間隔を保って打ち込み、その先端を上記空間s内に突出させている。
また、上記枠体8の互いに対向する面には、タイバー11を掛け渡すとともに、その両端を枠体8から突出させ、その突出端にナットを締め付けている。
このように形成された空間sには、充填材であるグラウト材5が充填され、補強部Hが構成される。この補強部Hは、上記アンカーボルト10,10を介して既存柱1と一体化されている。
このようにした従来の補強構造は、既存柱1に対して補強部Hを付加することによって、それら両者で構成される柱の実質的な断面積を大きくするとともに、上記補強部Hを枠体8で覆うことによりコンクリートやグラウト材5が拘束されるので、既存柱1に対する補強効果が発揮される。
また、既存柱1の軸方向に沿って、一対の軸方向筋4e,4fが上記空間sに配置されるため、当該補強部Hは、図11におけるx方向の曲げ耐力を発揮する。
特開2013−227774号公報 特開2011−026786号公報
上記従来の片面補強構造は、補強枠体を既存柱の全周に配置するときの障害となる壁や窓枠などが、当該既存柱に交差しているときの補強構造として最適なものである。このようにした従来の片面補強構造は、構成が簡易であるため、施工がしやすく、安価という利点があり、きわめて画期的なものである。
しかし、経年劣化の激しい建造物やもともと耐力が極端に低い建造物に対して、既存柱1の一面のみを補強する片面補強構造は、当該既存柱の全周を枠体で囲った補強構造(以下「全周補強構造」という)に比べてその強度が劣ってしまう。
例えば、全周補強構造として、図10に示すものがすでに知られている。この全周補強構造は、既存柱1の全周を枠体3で囲うとともに、それら枠体3と既存柱1との間に空間sを保ち、この空間sにグラウト材5を充填している。
なお、上記枠体3は、断面がL字状の鋼板2を4枚一組とし、各鋼板2の先端同士を重ねて、既存柱1の全周を囲うように配置して構成されている。
さらに、上記空間sには、既存柱1の軸方向に沿った4本の軸方向筋4a〜4dがそれぞれ配置されるとともに、グラウト材5が充填される。
これら軸方向筋4a〜4dは上記枠体3の四隅において互いに対向するとともに、これら軸方向筋4a〜4dのそれぞれは、互いに十分な間隔を保つように配置されている。
すなわち、これら軸方向筋4aと4b及び軸方向筋4cと4dの軸線に直交する線方向(x方向)の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮するのに必要な間隔を保っている。
また、軸方向筋4aと4c及び軸方向筋4bと4dの軸線に直交する線方向(y方向)の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮するために必要な間隔を保っている。
上記のように全周補強構造では、既存柱1の全周を補強する構造なので、既存柱1の実質的な断面積が大きくなり、その分、補強部を含めた柱全体の圧縮耐力が大きくなる。
また、それらの四隅に、上記のように十分な間隔を保った4本の軸方向筋4a〜4dを備えているので、x方向及びy方向の両方の曲げ力に対する耐力も大きくなる。
このようなことから、全周補強構造の補強強度はかなり大きくなるが、上記したように既存柱1に障害部6,6が交差しているときには、用いることができない。言い換えると、既存柱1に障害部6,6が交差しているときには、上記片面補強構造を採用せざるを得ない。
しかし、このような制約条件がある建造物でありながら、経年劣化の激しい建造物やもともと耐力が極端に低い建造物の場合には、十分な補強強度が得られないという問題があった。
この発明は、互いに対向する一対の側面に壁などの障害部が交差する既存柱であって、上記障害部を挟んで対向する上記既存柱の両面のうち、一方の面を第1面とし、この第1面側に第1補強枠体を設け、この第1補強枠体で囲まれた空間には、上記既存柱に沿って少なくとも一対の軸方向筋が上記第1面の幅方向に間隔を保って配置され、上記空間に充填材を充填して第1補強部を形成した既存柱の補強構造を前提とする。
第1発明は、上記障害部を境に、上記第1面の反対側となる上記既存柱の面を第2面とし、この第2面側に第2補強枠体を設け、この第2補強枠体で囲まれた空間には、上記既存柱に沿って少なくとも一対の軸方向筋が上記第2面の幅方向に間隔を保って配置され、
上記空間に充填材を充填して第2補強部を形成し、上記既存柱と上記第1補強部及び第2補強部とは、上記既存柱の第1面と第2面から突出した上記棒状部材の突出部分に締結手段を設けた一体化手段を介して一体化する構成にしている。
そして、上記第1補強部及び第2補強部にそれぞれ配置された上記一対の軸方向筋が、それらの軸線に直交するx方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持するとともに、障害部を挟んで対向する軸方向筋は、上記x方向に直交するy方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持して配置されたことを特徴とする。
なお、上記障害部とは、壁や窓枠などであって、補強枠体を既存柱の全周に配置するときの障害となるものである。
の発明は、上記一体化手段が、上記既存柱を貫通してその既存柱に固定した一対の棒状部材からなり、上記棒状部材の両端部を上記既存柱の第1面と第2面から突出させるとともに、上記一対の棒状部材を一組として、それら各組の棒状部材を上記既存柱の軸方向に所定の間隔を保って複数配置したことを特徴とする。
の発明は、上記第2補強枠体が、一対のL字状補強枠体からなり、上記障害部とは別の障害部が交差した上記第2面側おいて、上記L字状補強枠体を上記別の障害部を挟んで対向配置し、これらL字状補強枠体で囲まれた補強部に上記軸方向筋を配置したことを特徴とする。
第1の発明における補強構造によれば、例えば、両脇に壁や窓枠などの障害部が交差して、当該既存柱の全周を囲うことができない場合にも、全周を囲う全周補強構造とほぼ同等の補強効果を発揮することができる。すなわち、第1,2補強部が相まって既存柱1の実質的な断面積を大きくするので、その分、補強部を含めた柱全体の圧縮耐力が大きくなる。
また、第1,2補強部のそれぞれに、互いに十分な間隔を保った一対の軸方向筋を配置しているので、x方向及びy方向の曲げ力に対しても、十分な曲げ耐力を発揮させることができる。
したがって、既存柱に壁や窓枠などが交差していて、全周補強構造を採用できない場合にも、片側補強構造の利点を十分に生かしながら、目的の補強効果を達成することができる。
さらに、上記x方向と上記y方向との曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持したために、さらに全周を囲う従来の補強構造と同等の補強効果を上げることができるようになった。
そして、既存柱の第1面および第2面から突出した上記棒状部材の突出部分に締結手段で締結したので、上記既存柱と上記棒状部材の固定が確実になり、上記棒状部材のアンカーボルトとしての機能がさらに安定することになる。
また、既存柱の第1面と第2面との間を締結手段で締結して、上記棒状部材をしっかり止められるので、既存柱内のコンクリートが一対の棒状部材間で強く拘束され、圧縮耐力が向上する。
第2の発明における補強構造によれば、上記一体化手段を構成する一対の棒状部材を上記既存柱に貫通させてその既存柱に固定したため、上記一対の棒状部材がアンカーボルトとして安定した機能を発揮させることができる。
また、棒状部材にそれを揺り動かす力が作用したとしても、棒状部材は揺動したりしない。したがって、棒状部材が揺動することによって既存柱の内部を崩すようなこともなく、その分、アンカーボルトとしての機能がさらに安定することになる。
さらに、上記一対の棒状部材を一組にして既存柱の軸方向に所定の間隔を保って複数配置されるので、既存柱内のコンクリートが一対の棒状部材間で拘束される。したがって、当該既存柱に圧縮力が作用したときには、上記拘束されたコンクリートが耐力を発揮するので、既存柱と補強部とが相まって、全体的な圧縮耐力を向上させることができる。
第3に発明における補強構造によれば、障害部が交差した第2面側において、上記L字状補強枠体を上記別の障害部を挟んで、第2補強枠体として配置できるので、上記障害部に影響されずに、一対の軸方向筋をあらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持して配置することができる。よって、全周を囲う従来の補強構造とほぼ同等の効果を上げることができる。
参考例1の既存柱の補強構造を示した断面図である。 参考例2の既存柱の補強構造を示した断面図である。 参考例3の既存柱の補強構造を示した断面図である。 参考例4の既存柱の補強構造を示した断面図である。 第1実施形態の既存柱の補強構造を示した断面図である。 第2実施形態の既存柱の補強構造を示した断面図である。 第3実施形態の既存柱の補強構造を示した断面図である。 第4実施形態の既存柱の補強構造を示した断面図である。 第5実施形態の既存柱を補強する補強枠体を示した斜視図である。 従来の既存柱の全周を補強する補強構造を示した断面図である。 従来の既存柱の特定の一面を補強する補強構造を示した断面図である。
図1に示した参考例1は、既存柱1の両脇に壁や窓枠などの障害部6が交差している場合で、上記既存柱1の全周を囲うことができないときにも採用できる補強構造である。
すなわち、既存柱1に壁や窓枠などの障害部6が交差しているときには、この障害部6を挟んで互いに対向する既存柱1の一方の面を第1面1aとし、他方の面を第2面1bとするとともに、この第1面1aを断面がコの字状の第1補強枠体12で囲い、この第1補強枠体12と既存柱1との間に形成される空間sにグラウト材などの充填材17を充填して上記第1補強部H1を構成する。
また、上記第2面1bを断面がコの字状の第2補強枠体13で囲い、この第2補強枠体13と既存柱1との間に形成される空間sに充填材17を充填して上記第2補強部H2を構成する。
このように第1補強部H1及び第2補強部H2を構成する各構成要素は、実質的に同じなので、まず第1補強部H1について詳細に説明し、第2補強部H2の構成要素については、後で簡単に説明する。
上記第1補強枠体12は、既存柱1の第1面1aに平行に配置される対向部12aと、この対向部12aの両側に直交する一対の側面部12b,12bとからなる。上記対向部12aは、図1に示した既存柱1の幅に合わせた幅を備え、上記第1補強枠体12の側面部12b,12bは、対向部12aが上記既存柱1の第1面1aに対して所定の間隔を保つ長さを備えている。
また、上記第1補強枠体12の軸方向長さを、上記既存柱1の軸方向に沿った補強必要長さにしている。
このような第1補強枠体12の対向部12aを、上記既存柱1の第1面1aから所定の間隔を保って配置したとき、対向部12aと既存柱1の第1面1aとの間に空間sが形成されるようにしている。
このようにした空間sには、既存柱1の軸方向に沿って、一対の軸方向筋14a,14bが配置されている。軸方向筋14a,14bは、これら両軸の軸線に直交する方向すなわち図1に示すx方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮できる間隔を保持している。
つまり、一対の軸方向筋14a,14bの対向間隔を広くすればするほど、上記x方向の曲げ力に対する耐力が大きくなる。したがって、既存柱1の強度によっては、上記空間s内において軸方向筋14a,14bの対向間隔を最大にするのが有効である。ただし、軸方向筋14a,14bと第1補強枠体12との間にグラウト材などの充填材17が介在しなくなると、十分な補強効果が得られなくなるので、構造上の問題から、軸方向筋14a,14bの対向間隔の最大化には限界がある。
また、上記第1補強枠体12の一対の側面部12b,12bには、タイバー11を既存柱1の第1面1aに平行に配置して掛け渡し、その両端をナット16,16によって固定することによって、上記側面部12b,12bが充填材17の充填圧などで開かないようにしている。
なお、上記タイバー11は、上記第1補強枠体12が充填材から剥離することを防止している機能も備えている。
一方、上記第2補強部H2は、上記したように第2面1bを囲うもので、上記第2面1bと第2補強枠体13との間の空間sには、一対の軸方向筋14c,14dが配置される。そして、これら軸方向筋14c,14dは、軸方向筋14a,14bと同様に、その対向間隔が大きければ大きいほど、x方向の曲げ力に対する耐力が大きくなる。
なお、この第2補強部H2側においてもタイバー11が配置されるとともに、その両端には、上記側面部13b,13bの外側でナット16,16が固定される。
また、この参考例1では、上記第1,2補強枠体12,13は、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。
また、上記補強枠体は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1,2補強枠体12,13を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
また、上記補強枠体は、従来のように鋼板を用いても良いし、強化プラスチックを用いても良い。ある程度の薄さを保ちながら、充填材17を保持できる強度を発揮できれば、その材質は問わない。また、上記補強枠体の断面形状をコの字状にするためには、板状の部材を曲げ加工によって形成してもよい。
そして、この参考例1では、上記第1補強部H1を既存柱1に一体化するための一体化手段として、上記第1面1aにほぼ直交する一対の棒状部材からなるアンカーボルト10,10を、所定の間隔を保って上記既存柱1に固定させている。これらアンカーボルト10,10は、上記既存柱1の第1面1aから突出し、充填材17内に埋設されている。
同じように、上記第2補強部H2を既存柱1に一体化するための一体化手段として、上記既存柱1に固定したアンカーボルト10,10は、上記第2面1bから突出させて、充填材17内に埋設される。
また、上記アンカーボルト10,10は、上記既存柱1の軸方向に沿って、所定の間隔を保って複数配置され、既存柱1と第1,2補強部H1,H2とを一体化させている。
上記のようにして、既存柱1の軸方向に沿った補強必要長さを備えた第1,2補強部H1,H2が既存柱1を介して一体化することによって、第1補強部H1に設けた軸方向筋14a,14bと、第2補強部H2に設けた軸方向筋14c,14dとが図1に示したy方向の曲げ力に対しても耐力を発揮できるようになる。
そして、このときにも一対の軸方向筋14aと14c及び軸方向筋14bと14dのそれぞれの対向間隔を広くすればするほど、上記y方向の曲げ力に対する耐力が大きくなる。したがって、既存柱1に求められる強度によっては、第1,2補強部H1,H2の厚さを厚くすれば、上記軸方向筋14a〜14dのそれぞれの対向間隔を大きくできる。
参考例1の補強構造による作用効果は次のとおりである。
参考例1は、既存柱1の全周を囲うことができない場合にも、図10に示した全周補強構造とほぼ同等の補強効果を得ることができる。
すなわち、第1,2補強部H1,H2を設けることによって、既存柱1の実質的な断面積を大きくできるので、全周補強構造に近い圧縮耐力を得ることができる。その上、4本の軸方向筋14a〜14dが相まって、x方向及びy方向の曲げ力に対する耐力を発揮するので、4本の軸方向筋14a〜14dは、全周補強構造の4本の軸方向筋4a〜4dと同様に機能する。
このような理由から、この参考例1は、全周補強構造とほぼ同等の補強効果を発揮することができる。
このように既存柱1の全周を囲えない状況の中でも、全周補強構造と同等の効果が得られるということは、経年劣化の激しい既存柱1や、もともと耐力が極端に低い既存柱1であって、壁や窓枠などの障害部6,6が交差している既存柱1でも十分な補強効果を達成できる。
もちろん、経年劣化の激しい既存柱1や、もともと耐力が極端に低い既存柱1でなく、通常の既存柱1を補強する場合にも、大きな補強効果を期待できる。
図2に示した参考例2は、第1,2補強枠体12,13で、既存柱1に交差する障害部6,6の一部も囲ったもので、その他の構成は参考例1と同じである。したがって、この参考例2において、参考例1と同じ構成要素には、参考例1と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
また、第1補強部H1及び第2補強部H2を構成する各構成要素は、実質的に同じなので、まず第1補強部H1について詳細に説明し、第2補強部H2の構成要素については、後で簡単に説明する。
第1補強枠体12は、既存柱1の第1面1aに平行に配置される対向部12aと、この第1補強枠体12の対向部12aの両側に直交する一対の側面部12b,12bと、側面部に連続して直交し、壁などの障害部6,6に密着する接続片12d,12dからなる。この対向部12aは、図2に示した既存柱1の幅よりも長い幅を備え、上記対向部12aと側面部12b,12bが相まって上記既存柱1の両側に交差した障害部6,6の一部も覆うことができる。
また、上記第1補強枠体12の側面部12b,12bは、対向部12aが障害部6,6の表面から所定の間隔を保つ長さを備えている。
また、上記第1補強枠体12の軸方向長さを、上記既存柱1の軸方向に沿った補強必要長さにしている。
このような第1補強枠体12の対向部12aを、上記既存柱1の第1面1aと障害部6,6の表面とから所定の間隔を保つとともに、上記接続片12d,12dを障害部6,6に密着させて、第1補強枠体が配置される。そして、上記障害部6,6に密着させた接続片12d,12dは、ボルトなどで障害部6,6に固定される。
上記第1補強枠体12が上記接続片12d,12dで障害部6,6に固定されているため、参考例1で必須であったタイバー11を省略することができる。
上記既存柱1および障害部6,6の表面と上記第1補強枠体12との間に形成された空間sには、上記既存柱1に沿って、一対の軸方向筋14a,14bが配置される。上記一対の軸方向筋14a,14bは、上記既存柱1の幅よりも間隔を保つとともに、上記第1補強枠体12の対向部12aと側面部12b,12bとが交差する角の近傍に配置される。上記一対の軸方向筋14a,14bは、一対の軸方向筋14a,14bの両方の軸線に直交する方向、すなわち図示のx方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮できる間隔を保持している。
上記空間sに充填材17を充填して第1補強部H1を形成する。
また、第2補強枠体13は、第1補強枠体12と同一の形状であり、対向部13aと、一対の側面部13b,13bと、接続片13d,13dとからなる。さらに、第2補強枠体13を既存柱1の第2面1bに対向して配置するとともに、障害部6,6に密着させた接続片13d,13dをボルトなどで固定している。
また、上記既存柱1および障害部6,6と上記第2補強枠体13との間に形成された空間sには、一対の軸方向筋14c,14dが上記既存柱1の幅よりも広い間隔を保つとともに、図示のx方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮できる間隔を保持している。
さらに、障害部を挟んで対向する軸方向筋14は、上記x方向に直交するy方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持して配置される。図2におけるy方向の曲げ力に対しては、軸方向筋14a及び軸方向筋14cの組と、軸方向筋14b及び軸方向筋14dの組とが耐力を発揮する。
そして、上記空間sに充填材17を充填して第2補強部を形成する。
上記以外の構成は、参考例1と同じである。
なお、この参考例2では、上記第1,2補強枠体12,13は、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。
また、上記補強枠体は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1,2補強枠体12,13を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
参考例2の補強構造は、第1,2補強枠体12,13で障害部6の部分も囲うようにしたので、第1,2補強枠体12,13で囲われた第1,2補強部H1,H2の幅を既存柱1の幅よりも広くできる。このように第1,2補強部H1,H2の幅を広くできるので、その分、軸方向筋14aと14b及び軸方向筋14cと14dとの対向間隔を、参考例1よりも更に広くできる。
このように対向間隔を広くできるので、上記したようにx方向の曲げ力に対して、参考例1よりもその曲げ耐力を大きくできる。
その他の効果は参考例1と同様である。
図3で示した参考例3は、一体化手段を参考例1と相違させただけで、その他の構成は参考例1と同じである。したがって、この参考例3において、参考例1と同じ構成要素には、参考例1と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この参考例3では、上記第1,2補強部H1,H2を既存柱1に一体化するための一体化手段として、上記第1面1aにほぼ直交する一対の棒状部材15,15を、所定の間隔を保って上記既存柱1に貫通させている。これら棒状部材15,15の両端は、上記既存柱1の第1面1aと第2面1bとから突出するとともに、充填材17内に埋設されている。
また、上記棒状部材15,15は、上記既存柱1の軸方向に沿って、所定の間隔を保って複数配置され、既存柱1と第1,2補強部H1,H2とを一体化させている。
なお、棒状部材15,15の両端を軸方向筋14a〜14dの近傍に位置させれば、これら軸方向筋14aと14cおよび軸方向筋14bと14dとが協働して完全に一体化しながら曲げ耐力を発揮する。また、棒状部材15,15は、せん断補強筋としても機能することができる。
上記棒状部材15を配置する際には、上記既存柱1にドリル等で穴をあらかじめ形成し、この穴に充填材17あるいは接着剤を注入した後、この穴に上記棒状部材15を挿入して、棒状部材15が既存柱1に固定されるようにしている。
上記以外の構成は参考例1と同じである。
この参考例3の補強構造では、上記一体化手段を構成する一対の棒状部材15,15を上記既存柱1に貫通させてその既存柱1に固定したため、上記一対の棒状部材15,15がアンカーボルトとして安定した機能を発揮させることができる。
また、棒状部材15,15にそれを揺り動かす力が作用したとしても、棒状部材15,15は揺動したりしない。したがって、棒状部材15,15が揺動することによって既存柱1の内部を崩すようなこともなく、その分、アンカーボルトとしての機能がさらに安定することになる。
さらに、上記一対の棒状部材15,15を一組にして既存柱1の軸方向に所定の間隔を保って複数配置されるので、既存柱1内のコンクリートが一対の棒状部材15,15間で拘束される。したがって、当該既存柱1に圧縮力が作用したときには、上記拘束されたコンクリートが耐力を発揮するので、既存柱1と第1,2補強部H1,H2とが相まって、全体的な圧縮耐力を向上させることができる。
その他の効果は、参考例1と同じである。
さらに、この参考例3では、上記第1,2補強枠体12,13は、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。
また、上記補強枠体は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1,2補強枠体12,13を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
なお、この参考例3は、参考例2と同じように、既存柱1と障害部6,6の一部を囲うようにすることもできる。このような補強枠体を採用することで、軸方向筋14aと14b及び軸方向筋14cと14dとの対向間隔を広くすることができる。
図4に示す参考例4は、図3に示した参考例3の棒状部材15を第1,2補強枠体12,13の対向部12a,13aに形成した貫通孔12c,13cから突出させ、その突出部分に結合手段であるナット18を結合させたもので、その他の構成は参考例3と同様である。したがって、この参考例4において、参考例3と同じ構成要素には、参考例3と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
上記のように、第1,2補強枠体12,13を棒状部材15,15に結合したナット18,18で拘束したので、第1,2補強部H1,H2が既存柱1を介してしっかりと連結され、参考例1よりもさらに一体化する力が強くなる。このように、第1,2補強部H1,H2がさらに一体化されるので、第1補強部H1に設けた軸方向筋14a,14bと、第2補強部H2に設けた軸方向筋14c,14dとが、上記図1に示したy方向の曲げ力に対しても耐力を発揮できるようになる。
上記以外の構成は、参考例3と同じである。
また、棒状部材15,15が軸方向筋14a〜14dの近傍を通過するので、これら軸方向筋14aと14cおよび軸方向筋14bと14dとが協働して完全に一体化しながら曲げ耐力を発揮する。
なお、上記結合手段は、上記第1,2補強枠体12,13の対向部12a,13aと棒状部材15,15とを結合できれば、上記ナット18に限らない。
この参考例4では、上記第1,2補強枠体12,13は、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。
また、上記補強枠体は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1,2補強枠体12,13を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
さらに、この参考例4を前提にしながら、参考例2と同様に既存柱1と障害部6,6の一部を囲うようにすれば、軸方向筋14aと14b及び軸方向筋14cと14dとの対向間隔を広くすることができる。
また、上記棒状部材15,15は、その先端が上記既存柱1から突出していれば、既存柱1内において分断されていても構わない。但し、分断されている場合には、既存柱1に対する棒状部材15,15の固定力は多少弱くなる。
図5に示した第1実施形態は、既存柱1から突出した棒状部材15,15の端部の構成を参考例3と相違させただけで、その他の構成は参考例3と同じである。したがって、この第1実施形態において、参考例3と同じ構成要素には、参考例3と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
第1実施形態は、上記既存柱1の第1面1aおよび第2面1bから突出した上記一対の棒状部材15,15ごとに、1枚の金属製プレート19,19をはめ、上記棒状部材15,15に締結手段となるナット20で締め付け、上記金属製プレート19,19で上記既存柱1を挟持したものである。
上記既存柱1の第1面1aと第2面1bとの全面に金属製プレート19,19をあてがい、これら金属製プレート19,19には、一対の棒状部材15,15が貫通する一対の孔を既存柱1の軸方向に所定の間隔を保って形成している。これら各孔を貫通した上記棒状部材15,15の突出部分にナット20を取り付けている。このナット20を締め付けることによって、金属製プレート19,19で上記既存柱1を挟持している。
なお、この第1実施形態では、金属製プレート19,19は、既存柱1の軸方向に連続する一枚板で構成したが、上記金属製プレート19は、上記棒状部材15,15ごとに複数配置するようにしてもよい。
上記以外の構成は参考例3と同じである。
第1実施形態では、上記既存柱1の第1面1aおよび第2面1bから突出した上記棒状部材15,15に、金属製プレート19,19を介して、ナット20を締結しているため、上記既存柱1と上記棒状部材15,15の固定が確実になり、上記棒状部材15,15が動くことがない。
そのため、棒状部材15,15にそれを揺り動かす力が作用したとしても、棒状部材15,15は揺動したりしない。したがって、棒状部材15,15が揺動することによって既存柱1の内部を崩すようなこともなく、その分、アンカーボルトとしての機能がさらに安定することになり、上記既存柱1と上記第1,2補強部H1,H2との一体化が向上する。
また、上記一対の棒状部材15,15を一組にして既存柱1の軸方向に所定の間隔を保って複数配置されるので、既存柱1内のコンクリートが一対の棒状部材15,15間で拘束される。したがって、当該既存柱1に圧縮力が作用したときには、上記拘束されたコンクリートが耐力を発揮するので、既存柱1と第1,2補強部H1,H2とが相まって、全体的な圧縮耐力を向上させることができる。
さらに、上記金属製プレート19,19で既存柱1を挟持するため、上記金属製プレート19,19で挟持されたコンクリートが拘束され、圧縮耐力をさらに向上させることができる。
その他の効果は、参考例3と同じである。
この第1実施形態では、上記第1,2補強枠体12,13は、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。
また、上記補強枠体は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1,2補強枠体12,13を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
なお、この第1実施形態を前提にしながら、参考例2と同様に既存柱1と障害部6,6の一部を囲うようにすれば、軸方向筋14aと14b及び軸方向筋14cと14dとの対向間隔を広くすることができる。
また、上記棒状部材15,15は、その先端が上記既存柱1から突出していれば、既存柱1内において分断されていても構わない。但し、分断されている場合には、既存柱1に対する棒状部材15,15の固定力は多少弱くなる。
図6に示す第2実施形態は、図4に示した参考例4と同様に、棒状部材15,15を、第1,2補強枠体12,13の対向部12a,13aに形成した貫通孔12c,13cから突出させ、その突出部分に結合手段であるナット18を結合させたものである。したがって、この第2実施形態において、参考例4と同じ構成要素には、参考例4と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この第2実施形態では、上記既存柱1の第1面1aおよび第2面1bから突出した上記棒状部材15,15に、金属製プレート19,19を介して、ナット20で締結している。そのため、上記既存柱1と上記棒状部材15,15の固定が確実になり、上記棒状部材15,15が動くことがない。
つまり、棒状部材15,15にそれを揺り動かす力が作用したとしても、棒状部材15,15は揺動したりしない。したがって、棒状部材15,15が揺動することによって既存柱1の内部を崩すようなこともなく、その分、アンカーボルトとしての機能がさらに安定することになり、上記既存柱1と上記第1,2補強部H1,H2との一体化が向上する。
また、上記一対の棒状部材15,15を一組にして既存柱1の軸方向に所定の間隔を保って複数配置されるので、既存柱1内のコンクリートが一対の棒状部材15,15間で拘束される。したがって、当該既存柱1に圧縮力が作用したときには、上記拘束されたコンクリートが耐力を発揮するので、既存柱1と第1,2補強部H1,H2とが相まって、全体的な圧縮耐力を向上させることができる。
さらに、上記金属製プレート19,19で既存柱1を挟持するため、上記金属製プレート19,19で挟持されたコンクリートが拘束され、圧縮耐力をさらに向上させることができる。
上記のように、第1,2補強枠体12,13を棒状部材15,15のナット18,18で拘束したので、第1,2補強部H1,H2が既存柱1を介してしっかりと連結され、既存柱1と上記第1,2補強部H1,H2とが、より一体化する力が強くなる。このように、既存柱1と第1,2補強部H1,H2がさらに一体化されるので、第1補強部H1に設けた軸方向筋14a,14bと、第2補強部H2に設けた軸方向筋14c,14dとが、上記図1に示したy方向の曲げ力に対しても耐力を発揮できるようになる。
また、棒状部材15,15が軸方向筋14a〜14dの近傍を通過するので、これら軸方向筋14aと14cおよび軸方向筋14bと14dとが協働して完全に一体化しながら曲げ耐力を発揮する。
図7に示す第3実施形態は、第1,2補強部H1,H2の断面積を第2実施形態よりも大きくしたことが違うが、その他の構成は第2実施形態と同じである。したがって、第2実施形態と同じ構成要素には、第2実施形態と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この第3実施形態は、図7に示すように両端に起立部22a,22aを設けて断面コの字状にした金属製プレート22を、既存柱1の第1面1aと第2面1bに配置している。このようにした金属製プレート22には、上記棒状部材15,15の配置箇所に対応して、棒状部材15,15を通す孔があらかじめ形成されている。そして、金属製プレート22の孔に棒状部材15,15を通して、当該金属製プレート22を既存柱1に沿わせたとき、金属製プレート22の両端に設けた起立部22a,22aが既存柱1の幅方向に突出するようにしている。このように既存柱の幅方向に突出した金属製プレート22は、その両端側が障害部6,6との間で間隔が保たれるようにしている。
さらに上記の金属製プレート22には、第1,2補強枠体12,13を対向配置しているが、このとき第1,2補強枠体12,13の側面部12b,13bが起立部22a,22aの内側に位置し、これら第1,2補強枠体12,13と金属製プレート22とが相まって空間sを形成している。
一方の空間sには、上記既存柱1に沿って、一対の軸方向筋14a,14bが配置され、他方の空間sには、上記既存柱1に沿って、一対の軸方向筋14c,14dが配置されている。
このようにした上記一対の軸方向筋14aと14b及び軸方向筋14cと14dとは、上記既存柱1の幅よりも大きな間隔を保つとともに、上記第1,2補強枠体12,13の対向部12a,13aと側面部12b,13bとが交差する角の近傍に配置される。
したがって、上記一対の軸方向筋14aと14b及び軸方向筋14cと14dとは、十分な対向間隔を維持できるので、参考例2でも説明したように、x方向の曲げ力に対して大きな曲げ耐力を発揮させることができる。
なお、第3実施形態においても一対の棒状部材15,15を設けているが、これらにナット18及びナット20が止められていることは第2実施形態と同じであり、それらの作用効果も同様である。
この第3実施形態では、上記第1,2補強枠体12,13は、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。また、金属製プレート22も軸方向に積層することもできる。
さらに、上記補強枠体は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各補強枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1,2補強枠体12,13を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
なお、上記棒状部材15,15は、その先端が上記既存柱1から突出していれば、既存柱1内において分断されていても構わない。但し、分断されている場合には、既存柱1に対する棒状部材15,15の固定力は多少弱くなる。
図8に示す第4実施形態は、既存柱1の3面のそれぞれに障害部6a,6b及び障害部6cが交差しているタイプの既存柱1の補強構造に関するものである。
すなわち、上記3つの障害部の内、同一線上に位置する一対の障害部6a,6bを挟んで、他の障害部6cとは反対側に位置する第1面1a及び障害部6a,6bの一部を第1補強枠体12で囲い、第1補強枠体12と上記第1面1a及び障害部6a,6bとの間に空間sを形成している。
上記空間sには、上記既存柱1に沿って、一対の軸方向筋14a,14bが配置される。上記一対の軸方向筋14a,14bは、上記既存柱1の幅よりも間隔を保つとともに、上記第1補強枠体12の対向部12aと側面部12b,12bとが交差する角の近傍に配置される。上記一対の軸方向筋14a,14bは、一対の軸方向筋14a,14bの両方の軸線に直交する方向、すなわち図示のx方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮できる間隔を保持している。
一方、第1補強部H1に対向する第2補強部H2は、障害部6cを挟んで配置した一対のL字状補強枠体13e,13fと、このL字状補強枠体13e,13f内に配置した軸方向筋14c,14dと、L字状補強枠体13e,13f内に充填した充填材17とを主要素にしてなる。
つまり、障害部6a,6cの間に位置する既存柱1を囲う一方のL字状補強枠体13eはその両端に接続片13m,13nを設け、その接続片13mは障害部6aに密着させて固定し、接続片13nは障害部6cに密着させて固定している。また、他方のL字状補強枠体13fはその両端に接続片13p,13qを設け、その接続片13pは障害部6bに密着させて固定し、接続片13qは障害部6cに密着させて固定している。
上記のようにL字状補強枠体13e,13fを固定することによって空間sが形成されるとともに、これら一対のL字状補強枠体13e,13fと、第1補強枠体12とが相まって断面四角形を形成する。
そして、一対のL字状補強枠体13e,13fで形成される空間sには、軸方向筋14c,14dを配置しているが、これら軸方向筋14c,14dは、第1補強枠体12内に配置された軸方向筋14a,14bと対向する。
したがって、既存柱1に3方向から障害部6a〜6cが交差していたとしても、図10に示した全周補強構造とほぼ同等の補強効果を得ることができる。
すなわち、第1,2補強部H1,H2を設けることによって、柱の実質的な断面積を大きくできるので、全周補強構造に近い圧縮耐力を得ることができる。その上、4本の軸方向筋14a〜14dが相まって、x方向及びy方向の曲げ力に対する耐力を発揮するので、4本の軸方向筋14a〜14dは、全周補強構造の4本の軸方向筋4a〜4dと同様に機能する。
また、既存柱1には、棒状部材15,15が貫通して固定され、棒状部材15,15の端部を第1補強枠体12とL字状補強枠体13e,13fから突出させ、その突出部分に結合手段であるナット18を結合させたものである。
上記のように、第1補強枠体12とL字状補強枠体13e,13fとを棒状部材15,15のナット18,18で拘束したので、第1,2補強部H1,H2が既存柱1を介してしっかりと連結され、上記第1,2補強部H1,H2が既存柱1を介して一体化する力が強くなる。
このように、第1,2補強部H1,H2がさらに一体化されるので、第1補強部H1に設けた軸方向筋14aと14b及び第2補強部H2に設けた軸方向筋14cと14dとが、図8に示したy方向の曲げ力に対しても耐力を発揮できるようになる。
この第4実施形態では、上記第1補強枠体12及びL字状補強枠体13e,13fは、既存柱1の軸方向の補強必要長さにしているが、上記補強枠体を複数分割し、軸方向に積層して利用することもできる。
また、上記第1補強枠体12は、従来例のように、断面がL字状の枠体を2枚一組とし、分割した各枠体の先端同士を重ね合わせ、断面をコの字状にして上記第1補強枠体12を形成してもよい。
補強枠体を分割することによって、作業者の持ち運びを容易にし、現場での作業を効率よく行うことができる。このように分割した補強枠体を積層した場合には、積層した補強枠体同士を溶接や繊維シートなどで接合するのが一般的である。
また、上記棒状部材15,15は、その先端が上記既存柱1から突出していれば、既存柱1内において分断されていても構わない。但し、分断されている場合には、既存柱1に対する棒状部材15,15の固定力は多少弱くなる。
上記以外の構成や効果は、参考例2と同じである。
図9に示す第5実施形態は、第1,2補強枠体12,13を一対の分割枠体23,24で構成したもので、対向部23a,24aとこれらに直交する側面部23b、24bが組み合わされた断面がL字であって、上記対向部23a,24aには、それぞれ貫通孔23c,24cが形成されている構成である。この分割枠体23,24の縁の部分には縦リブ25と前面横リブ26、側面横リブ27を設けている。この第5実施形態の補強枠体は上記第1〜4実施形態の補強枠体に適用することができる。
そして、組み合わせた上記分割枠体23,24の外側には、従来と同じように繊維シートを貼り付けて、隣り合う上記分割枠体23,24同士や積層された上記分割枠体23,24同士を一体化させる。また、上記分割枠体23,24の接合部分は、溶接やビス止めなどで接合することもできる。上記分割枠体23,24同士が一体化すれば、その方法は問わない。
第5実施形態の補強構造による作用として、補強枠体にリブが形成されているため、上記分割枠体23,24が積層しやすい。
なお、各分割枠体23,24の角に、軸方向筋14a〜14dを配置する際には、前面横リブ26,26と側面横リブ27,27の一部を切り欠いて、軸方向筋14a〜14dをガイドするガイド凹部を形成してもよい。このようなガイド凹部を形成すれば、一対の軸方向筋14a〜14dの間隔を大きく保つことができる。また、ガイド凹部によって、上記軸方向筋14a〜14dの配置の作業性を向上させることができる。
この発明は、既存柱の補強において、既存柱に交差する壁に手を加えられない既存柱を補強する補強構造に最適である。
1…既存柱 、 10…アンカーボルト 、 11…タイバー 、 12…第1補強枠体 、 13…第2補強枠体 、 14a〜14d…軸方向筋 、 15…棒状部材 、17…充填材 、 18…ナット 、 19…金属製プレート 、 20…ナット 、 22…金属製プレート 、 23,24…分割枠体 、 25…縦リブ 、 26…前面横リブ 、 27…側面横リブ

Claims (3)

  1. 互いに対向する一対の側面に壁などの障害部が交差する既存柱であって、
    上記障害部を挟んで対向する上記既存柱の両面のうち、一方の面を第1面とし、
    この第1面側に第1補強枠体を設け、
    この第1補強枠体で囲まれた空間には、上記既存柱に沿って少なくとも一対の軸方向筋が上記第1面の幅方向に間隔を保って配置され、
    上記空間に充填材を充填して第1補強部を形成した既存柱の補強構造において、
    上記障害部を境に、上記第1面の反対側となる上記既存柱の面を第2面とし、
    この第2面側に第2補強枠体を設け、
    この第2補強枠体で囲まれた空間には、上記既存柱に沿って少なくとも一対の軸方向筋が上記第2面の幅方向に間隔を保って配置され、
    上記空間に充填材を充填して第2補強部を形成し
    記既存柱と上記第1補強部及び第2補強部とは、上記既存柱の第1面と第2面から突出した棒状部材の突出部分に締結手段を設けた一体化手段を介して一体化する構成にし
    上記第1補強部及び第2補強部にそれぞれ配置された上記一対の軸方向筋は、それらの軸線に直交するx方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持するとともに、障害部を挟んで対向する軸方向筋は、上記x方向に直交するy方向の曲げ力に対して、あらかじめ設定された目的の耐力を発揮する間隔を保持して配置された既存柱の補強構造。
  2. 上記一体化手段は、上記既存柱を貫通してその既存柱に固定した一対の棒状部材からなり、
    上記棒状部材の両端部を上記既存柱の第1面と第2面から突出させるとともに、
    上記一対の棒状部材を一組として、それら各組の棒状部材を上記既存柱の軸方向に所定の間隔を保って複数配置した請求項1に記載した既存柱の補強構造。
  3. 上記第2補強枠体は、一対のL字状補強枠体からなり、上記障害部とは別の障害部が交差した上記第2面側おいて、上記L字状補強枠体を上記別の障害部を挟んで配置した請求項1又は請求項2に記載した既存柱の補強構造。
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