JP6763602B2 - 既存建造物の補強構造 - Google Patents

既存建造物の補強構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6763602B2
JP6763602B2 JP2016153097A JP2016153097A JP6763602B2 JP 6763602 B2 JP6763602 B2 JP 6763602B2 JP 2016153097 A JP2016153097 A JP 2016153097A JP 2016153097 A JP2016153097 A JP 2016153097A JP 6763602 B2 JP6763602 B2 JP 6763602B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
column
pillar
haunch
reinforcing
frame body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016153097A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018021377A (ja
Inventor
阿部 秀幸
秀幸 阿部
啓三郎 山口
啓三郎 山口
Original Assignee
一般社団法人 レトロフィットジャパン協会
一般社団法人 レトロフィットジャパン協会
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 一般社団法人 レトロフィットジャパン協会, 一般社団法人 レトロフィットジャパン協会 filed Critical 一般社団法人 レトロフィットジャパン協会
Priority to JP2016153097A priority Critical patent/JP6763602B2/ja
Publication of JP2018021377A publication Critical patent/JP2018021377A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6763602B2 publication Critical patent/JP6763602B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

この発明は、既存の柱とこの柱に交差する既存の梁とを補強する既存建造物の補強構造に関する。
既存建造物の耐震性を向上させるための補強構造として、図9に示すものが従来から知られている。この従来の補強構造は、既存の柱1とこの柱1に交差する既存の梁2とを補強するもので、上記柱1の全周を補強する柱補強部3と、上記柱1及び上記梁2とが交差する交差部を補強する梁補強部4とで構成される。なお、上記梁補強部4は、上記柱から連続する上記梁2の所定の長さを覆っている。
上記梁用補強部4は、上記梁2の所定の長さを覆っているため、上記柱用補強部3の幅よりも長い横幅を備えている。
そして、上記柱1の垂直方向を補強する柱補強部3と、上記梁2の水平方向を補強する梁補強部4とが積層されるとともに、上記柱用補強部3と上記梁用補強部4とが直角に交差して既存建造物に設けられる。
なお、上記梁用補強部4には上記梁2との間に空間が設けられ、この空間に対応する上記梁2の表面には、上記梁2に固定された複数のアンカーボルト5が突出して設けられている。そして、上記空間にはグラウト材が充填され、このグラウト材を介して上記梁2と上記梁用補強部4とが一体化される。また、上記柱用補強部3と上記梁用補強部4との内部には、上記柱1の4隅に対応する位置に、それぞれ軸方向筋6が上記柱1に沿って配置されている。
上記梁2に作用する水平方向の地震力は、上記梁2の表面に設けられたアンカーボルト5を介して上記梁補強部4に伝達される。さらに、上記梁補強部4に作用した地震力は、上記柱補強部3へ伝達され、耐震効果が発揮される。
特開2013−181332号公報 特開2011−026786号公報
従来の補強構造では、上記柱補強部3と上記梁補強部4とが直角に設けられているので、上記梁2から伝わる水平方向の地震力がほぼ90度に方向転換しなければ上記柱補強部3に伝達されない。しかし、水平方向の地震力のすべてを方向転換できないので、その地震力を上記柱補強部3の軸方向に伝達させることが十分にできなかった。
このように従来の補強構造は、軸方向に上記梁2からの地震力を伝達させることが十分にできなかったので、上記柱補強部3をどんなに補強しても、上記柱補強部3の耐震効果を存分に発揮させられない課題があった。
この発明の目的は、梁からの水平方向の地震力を柱の軸方向へ伝達させることによって、耐震効果を存分に発揮させる既存建造物の補強構造を提供することである。
第1の発明は、既存の柱を覆う柱部用枠体と、上記柱と既存の梁との交差部を覆う交差部用枠体とが積層されている。また、この交差部用枠体は、柱対向部、梁対向部及びハンチ部からなる。さらに、上記柱対向部は上記交差部及びこの交差部から下方に連続する柱の部分を覆うとともに、上記梁対向部が交差部の上記梁を覆っている。そして、上記ハンチ部は、上記梁対向部の下面から一定の勾配をもって傾斜しながら上記柱対向部に連続している。
また、上記梁対向部と上記梁との間に空間が形成され、この空間には、上記梁の表面に固定された複数のアンカーボルトが突出するとともに、上記柱の軸方向に沿って少なくとも一対の軸方向筋が設けられている。そして、上記空間内に充填材が充填されたことを特徴としている。
第2の発明は、上記ハンチ部の傾斜に沿ってその中を貫通する伝達補強筋が設けられ、上記伝達補強筋の一端が上記梁に設けられたアンカーボルトに連係されるとともに、その他端が上記柱に設けられた軸方向筋に連係されたことを特徴としている。
第3の発明は、上記柱の両側には上記梁が連続しており、上記交差部用枠体は、上記柱対向部の両側に上記ハンチ部が設けられ、これら両ハンチ部内に上記伝達補強筋を通過させるとともに、両ハンチ部を通過した伝達補強筋の上記他端側が互いに連係されてなることを特徴としている。
第4の発明は、上記ハンチ部が、上記柱と上記梁との入隅を覆うことを特徴としている。
第5の発明は、上記柱には、上記柱部用枠体が上記柱の全周を所定の間隔を保って設けられ、上記梁の互いに対向する裏表の両面には、上記交差部用枠体がそれぞれ設けられ、これら交差部用枠体が上記ハンチ部を介して連続されたことを特徴としている。
第6の発明は、互いに対向する上記交差部用枠体の上記ハンチ部にタイバーが設けられ、このタイバーの両端が上記交差部用枠体から突出して固定されたことを特徴としている。
第1の発明の補強構造によれば、上記柱対向部と上記梁対向部とは上記ハンチ部を介して連続しているので、上記梁から伝わる水平方向の地震力の一部が上記ハンチ部の傾斜に沿って、柱部用枠体で形成された補強部に伝達される。従来の補強構造のような90度に力を方向転換させる伝達経路に対して、ハンチ部の斜めの経路を利用してショートカットさせているので、水平方向の地震力を上記柱の軸方向の力に方向転換させやすくなった。
このように、水平方向の地震力が、上記ハンチ部を介して柱部用枠体で形成された補強部に斜めに伝達されるので、上記柱の軸方向により多くの力が伝達される。そのため、柱部用枠体で形成された補強部に上記地震力を作用させて、耐震効果が十分に発揮させられるようになった。
第2の発明によれば、上記ハンチ部内には、傾斜に沿って伝達補強筋が設けられているので、水平方向の地震力が、この伝達補強筋を介して柱部用枠体で形成された補強部に伝達される。このように上記伝達補強筋を介して、水平方向の地震力を方向転換させて軸方向に伝達させられる。
また、上記伝達補強筋は、アンカーボルトと軸方向筋とが連係して伝達機能が発揮される。そのため、アンカーボルトに伝達された水平方向の力を確実に軸方向筋へ伝達できる。
第3の発明によれば、上記柱を挟んだ両側の梁に伝達補強筋が連続して配置されているので、上記柱の軸方向へ伝達させた地震力を、梁の水平方向にも伝達させることができる。そのため、既存建造物全体で地震力を吸収できるようになった。
また、図示しないスラブ等と連係して、上記梁の曲げ補強筋として作用し、上記梁の曲げ耐力が向上する。
第4の発明の補強構造によれば、上記柱の側面と上記梁の下面との入隅がハンチ部で覆われているので、上記柱と上記梁との結合力が向上する。そのため、入隅からの亀裂などが入りにくくなった。
また、上記柱における上記ハンチ部の上記柱の軸方向長さと、上記梁における上記ハンチ部の上記梁の水平方向長さとが補強されているので、上記ハンチ部で覆われた長さ分、既存の柱と既存の梁とのそれぞれの内法長さが短くなる。このように、それぞれの内法長さが短くなることによって、既存の柱と既存の梁との剛性と強度とが向上する。
したがって、既存の柱と柱部用枠体で形成された補強部とがあいまって、補強された柱の剛性と強度とを大きく向上させることができる。
第5の発明によれば、上記柱部用枠体が上記柱の全周を覆うとともに、上記交差部用枠体が上記梁の互いに対向する裏表の両面を覆うので、補強された柱と補強された梁とのそれぞれの断面積が大きくなる。このように断面積が大きくなることによって、補強された柱や補強された梁のせん断耐力が向上する。
また、上記梁の互いに対向する裏表の両面には、上記交差部用枠体がそれぞれ設けられ、これら交差部用枠体が上記ハンチ部を介して連続されているので、上記柱と上記梁との結合力がさらに向上する。
第6の発明によれば、互いに対向する上記交差部用枠体の上記ハンチ部にタイバーが設けられているので、対向する交差部用枠体が一体となって動かなくなる。このように、対向する交差部用枠体が動かないので、アンカーボルトの数を減らすことができる。アンカーボルトの打ち込み数を減らすことで、既存の梁における耐力損失を減少させることができる。
第1実施形態の既存の柱と梁とを補強した補強構造であって、充填材を充填する前の斜め上からの斜視図である。 第1実施形態の充填材を充填する前の柱と梁とが交差する交差部(a)と、柱(b)との断面図である。 第1実施形態の下方向からの斜視図である。 第1実施形態の各枠体を設置する前の軸方向筋や伝達補強筋等を配置した様子を示した正面図である。 第2実施形態の各枠体を設置する前の軸方向筋や伝達補強筋等を配置した様子を示した正面図である。 第3実施形態の下方向からの斜視図である。 第4実施形態の下方向からの斜視図である。 第5実施形態の充填材を充填する前の柱とこの柱の4方向で交差する梁とで形成される交差部の断面図である。 従来の既存の柱と梁とを補強した補強構造であって、グラウト材を充填する前の斜め上からの斜視図である。
図1〜4に示した第1実施形態は、既存の柱1の側面に、一対の梁2,2が交差する建造物を補強するものである。
図1に示した第1実施形態は、上記柱1の全周を、この柱1の表面から所定の間隔を保って柱部用枠体7で囲っている。この柱部用枠体7は、図2(b)に示すように、一枚板からなる断面L字形の枠体を4枚一組として、その端部を重ね合わせて断面ロ字形にしている。
そして、上記柱部用枠体7は、上記柱1に沿って設けられ、軸方向に分割した柱部用枠体7を積層させて必要補強長さにしている。このように配置した各枠体の重ね合わせた部分と、積層させた接続部分とは、溶接によって接合される。
なお、この補強必要長さとは、第1実施形態では、図示していないスラブに接触する柱1の下端から後述する交差部用枠体8の下端までの長さをいうが、補強対象によって求められる補強必要長さが異なることは当然である。
一方、図1に示した交差部用枠体8は、柱対向部8aと、梁対向部8bと、ハンチ部8cとで構成される。上記柱対向部8aは、上記交差部及びこの交差部から下方に連続する柱1の部分を覆っている。また、上記梁対向部8bは、交差部の上記梁2を覆っている。そして、上記ハンチ部8cは、上記梁対向部8bの下面から一定の勾配をもって傾斜しながら上記柱対向部8aに連続している。
この第1実施形態の上記交差部用枠体8は、鋼板を加工して枠体を形成している。上記柱対向部8aと、上記ハンチ部8c及び梁対向部8bとで構成された交差部用枠体8は、柱1と梁2の特定の一面に対向して6つの辺を備えた正面と、この正面に直交する側面とを備えている。
この交差部用枠体8の上記交差部に対向する部分は、上記交差部の表面から所定の間隔が保たれ、図2(a)に示すように、断面コ字形を形成している。そして、上記正面と反対側にある上記側面の縁には、上記梁2に交差部用枠体8を固定するための固定片9が設けられている。この固定片9はボルト10を介して梁2の表面に固定される。
さらに、上記柱1の側面と上記梁2の下面とが交差する入隅Cに対応する位置には、図3に示したように、上記傾斜に沿って、上記ハンチ部8cの側面を構成する斜面Sが設けられる。この第1実施形態では、上記梁2の互いに対向する裏表の両面に交差部用枠体8が設けられ、上記ハンチ部8cの上記斜面Sを介してそれぞれの交差部用枠体8が連続されている。
また、この交差部用枠体8は、上記柱部用枠体7の最上端に積層して設けられる。そして、この積層した接続部分は溶接によって接合される。
上記のように形成された柱部用枠体7及び交差部用枠体8と、上記柱1及び上記梁2とで形成された間隔には、空間が設けられる。また、上記交差部用枠体8のハンチ部8cにも、ハンチ部8c内に空間が設けられ、これらの空間が連続している。
そして、図2(a)に示すように、これらの空間内には、上記梁2の表面から突出した複数のアンカーボルト5が設けられている。また、これらの空間内であって柱1の前には、上記柱1の軸方向に沿って少なくとも一対の軸方向筋6が設けられる。この第1実施形態では、これらの空間内であって、上記柱1の4隅に対応して4本の軸方向筋6が柱1の前に連続して設けられている。
また、図4に示すように、上記ハンチ部8c内に形成された空間には、上記梁2の水平方向の地震力を上記柱1の軸方向に伝達させる上記伝達補強筋11が、上記ハンチ部8cの傾斜に沿って通過している。この交差部用枠体8では、上記柱対向部8aの両側に上記ハンチ部8cが設けられており、これら両ハンチ部8c内に上記伝達補強筋11が通過している。そして、この伝達補強筋11は、その両端を鉤形に曲げ、上記梁2に設けられたアンカーボルト5に引っ掛けられている。さらに、両ハンチ部を通過した伝達補強筋11は、上記柱1の前に設けられた一対の軸方向筋6と交差している。
さらに、互いに対向する上記交差部用枠体8の上記ハンチ部8cには、タイバー12が設けられ、このタイバー12の両端が上記交差部用枠体8から突出してナット13で固定される。このタイバー12を設けたことによって、対向する交差部用枠体8が一体となって動かなくなる。このように、対向する交差部用枠体8が動かないので、アンカーボルト5の数を減らすことができる。アンカーボルト5の打ち込み数を減らすことで、既存の梁2における耐力損失を減少させることができる。
上記のように形成された空間には、モルタルやグラウト等の充填材が充填される。上記充填材を充填することによって、アンカーボルト5及び軸方向筋6と、伝達補強筋11が埋設され、それぞれが連係して伝達機能が発揮される。そして、充填材が硬化することにより、柱補強部と梁補強部とが形成され、上記柱1と上記梁2とそれぞれがあいまって、補強柱と補強梁とが形成される。
このように、上記柱部用枠体7が上記柱1の全周を覆うとともに、上記交差部用枠体8が梁2の両面を覆うので、補強柱と補強梁とのそれぞれの断面積が大きくなる。このように断面積が大きくなることによって、補強柱や補強梁のせん断耐力が向上する。
この第1実施形態は、上記柱対向部8aと上記梁対向部8bとは上記ハンチ部8cを介して連続しているので、上記梁2から伝わる水平方向の地震力の一部が上記ハンチ部8cの傾斜に沿って上記柱補強部に伝達される。従来の補強構造のような90度に力を方向転換させる伝達経路に対して、ハンチ部8cの斜めの経路を利用してショートカットさせているので、水平方向の地震力を上記柱1の軸方向の力に方向転換させやすくなった。
このように、水平方向の地震力が、上記ハンチ部8cを介して上記柱補強部に斜めに伝達されるので、上記柱1の軸方向により多くの力が伝達される。そのため、上記柱補強部に上記地震力を作用させて、耐震効果が十分に発揮させられる。
また、上記ハンチ部8c内には、上記傾斜に沿って伝達補強筋11が設けられているので、水平方向の地震力が、この伝達補強筋11を介して柱補強部に伝達される。このように上記伝達補強筋11を介して、水平方向の地震力を方向転換させて軸方向に伝達させられる。
また、上記伝達補強筋11は、アンカーボルト5と軸方向筋6とが連係して伝達機能が発揮される。そのため、上記アンカーボルト5に伝達された水平方向の力を確実に軸方向筋6へ伝達できる。
さらに、上記柱1を挟んだ両側の梁2に伝達補強筋11が連続して配置されているので、上記柱1の軸方向へ伝達させた地震力を、梁2の水平方向にも伝達させられる。そのため、既存建造物全体で地震力を吸収できる。
また、図示しないスラブ等と連係して、上記梁2の曲げ補強筋として作用し、上記梁2の曲げ耐力が向上する。
そして、この第1実施形態は、上記柱1の側面と上記梁2の下面との入隅Cがハンチ部8cで覆われているので、上記柱1と梁2との結合力が向上する。そして、上記梁2の互いに対向する両面には、上記交差部用枠体8がそれぞれ設けられ、これら交差部用枠体8が上記ハンチ部8cを介して連続されるので、上記柱1と梁2との結合力がさらに向上する。そのため、入隅Cからの亀裂などが入りにくくなった。
また、上記柱1における上記ハンチ部8cの上記柱1の軸方向長さと、上記梁2における上記ハンチ部8cの上記梁2の水平方向長さとが補強されているので、上記ハンチ部8cで覆われた長さ分、既存の柱1と既存の梁2とのそれぞれの内法長さが短くなる。このように、それぞれの内法長さが短くなることによって、既存の柱1と既存の梁2との剛性と強度とが向上する。
したがって、既存の柱1と柱補強部とがあいまって、補強柱の剛性と強度とを大きく向上させることができる。
図5に示した第2実施形態は、伝達補強筋14の構成が第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同じである。したがって、この第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には、第1実施形態と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
図5に示すように、第2実施形態では、交差部用枠体8は、柱対向部8aの両側にハンチ部8cを備えている。このハンチ部8c内に形成された空間には、左右の上記ハンチ部8cの傾斜に沿って、それぞれに伝達補強筋14が通過している。そして、それぞれの伝達補強筋14は、その一端を鉤形に曲げ、上記梁2に設けられたアンカーボルト5に引っ掛けている。さらに、それぞれの上記伝達補強筋14は、その他端を、上記柱1の前に設けられた一対の軸方向筋6と交差させている。
この第2実施形態では、第1実施形態と同じように、柱部用枠体7及び交差部用枠体8と、上記柱1及び上記梁2とで形成された間隔に空間が設けられている。この空間は、ハンチ部8c内の空間と連続している。そして、これらの空間には、充填材が充填される。このように、充填材が充填されることによって、アンカーボルト5及び軸方向筋6と、2本の伝達補強筋14,14とが埋設され、それぞれが連係して伝達機能が発揮される。
そして、充填材が硬化することにより、柱補強部と梁補強部とが形成され、上記柱1と上記梁2とがそれぞれとあいまって、補強柱と補強梁とが形成される。特に、上記柱1の前に配置された上記伝達補強筋14,14の両他端が交差されることによって重ね継ぎ手として作用し、第1実施形態の一本の伝達補強筋11と同じように機能する。
上記以外の構成、作用効果は第1実施形態と同じである。
図6に示した第3実施形態は、既存の柱1における特定の一面側のみを補強する補強構造であり、その他の構成は第1実施形態と同じである。したがって、この第3実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には、第1実施形態と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この第3実施形態は、上記柱1の特定の一面を、この柱1の表面から所定の間隔を保って柱部用枠体15で上記柱1の補強必要長さを囲っている。
この柱部用枠体15は、一枚板からなる断面L字状の枠体を2枚一組として、その端部を突き合わせて断面コ字形にし、上記柱1の幅に合わせた幅長さにしている。
また、上記柱部用枠体15は、軸方向に分割した柱部用枠体15を積層させて必要補強長さにする。このように配置した各枠体の重ね合わせの部分と、積層させた接続部分とは、溶接によって接合させている。
この柱1の特定の一面には、図示しない複数のアンカーボルト5が上記柱1に固定されるとともに、表面から突出して設けられる。そして、充填材が充填されることにより、上記柱1と柱補強部とを一体化させる。
一方、図6に示した交差部用枠体16は、柱対向部16aと、梁対向部16bと、ハンチ部16cとで構成される。上記柱対向部16aは、上記交差部及びこの交差部から下方に連続する柱1の部分を覆っている。また、上記梁対向部16bは、交差部の上記梁2を覆っている。そして、上記ハンチ部16cは、上記梁対向部16bの下面から一定の勾配をもって傾斜しながら上記柱対向部16aに連続している。
そして、この交差部用枠体16は、上記柱1と上記梁2との表面から所定の間隔を保って配置される。
なお、上記交差部用枠体16は、上記柱1と上記梁2との特定の一面のみを覆うため、上記交差部用枠体16の上記ハンチ部16cが所定の間隔を保って対向する位置に、三角形の図示しない補助枠体が設けられる。上記交差部用枠体16の上記ハンチ部16cと上記補強枠体との間には、上記傾斜に沿った斜面S1が設けられ、この斜面S1を介して連続している。
また、上記交差部用枠体16の上記ハンチ部16cと上記補助枠体との間に空間が設けられ、この空間が上記交差部用枠体16と上記柱1及び上記梁2とで形成される空間と連続する。
さらに、この交差部用枠体16は、上記柱部用枠体15の最上端で積層して設けられる。
なお、この第3実施形態は、互いに対向する上記交差部用枠体16の上記ハンチ部16cと上記補助枠体との間にタイバー12を設けていない。それは、上記梁2の対向する裏表の側面を挟み込む構成ではないので、アンカーボルト5の数を減らす効果が得られないからである。
また、この第3実施形態では、上記柱1のみを上記柱部用枠体15を覆っているが、上記柱1に壁が交差している場合には、上記柱部用枠体15で上記壁の一部を覆ってもよい。
上記以外の構成については、第1実施形態と同じである。
この第3実施形態は、上記柱対向部16aと上記梁対向部16bとは上記ハンチ部16cを介して連続しているので、上記梁2から伝わる水平方向の地震力の一部が上記ハンチ部16cの傾斜に沿って柱補強部に伝達される。従来の補強構造のような90度に力を方向転換させる伝達経路に対して、ハンチ部16cの斜めの経路を利用してショートカットさせているので、水平方向の地震力を上記柱1の軸方向の力に方向転換させやすくなった。
このように、水平方向の地震力は、上記ハンチ部16cを介して柱補強部に斜めに伝達されるので、上記柱1の軸方向により多くの力が伝達される。そのため、柱補強部に上記地震力を作用させて、耐震効果が十分に発揮させられる。
また、上記ハンチ部16c内には、上記傾斜に沿って伝達補強筋11が設けられているので、水平方向の地震力が、この伝達補強筋11を介して柱補強部に伝達される。このように上記伝達補強筋11を介して、水平方向の地震力を方向転換させて軸方向に伝達させられるので、柱補強部の耐震効果が十分に発揮させられる。
また、上記伝達補強筋11は、アンカーボルト5と軸方向筋6とが連係して伝達機能が発揮される。そのため、アンカーボルト5に伝達された水平方向の力を確実に軸方向筋6へ伝達できる。
また、上記柱1における上記ハンチ部16cの上記柱1の軸方向長さと、上記梁2における上記ハンチ部16cの上記梁2の水平方向長さとが補強されているので、上記ハンチ部16cで覆われた長さ分、既存の柱1と既存の梁2とのそれぞれの内法長さが短くなる。このように、それぞれの内法長さが短くなることによって、既存の柱1と既存の梁2との剛性と強度とが向上する。
したがって、既存の柱1と柱補強部とがあいまって、補強柱の剛性と強度とを大きく向上させることができる。
図7に示した第4実施形態は、既存の柱1における特定の一面を補強する補強構造であって、上記柱1の側面と既存の梁2の下面との入隅Cを囲うハンチ部16cを設けた構成であり、その他の構成は第3実施形態と同じである。したがって、この第4実施形態において、第3実施形態と同じ構成要素には、第3実施形態と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
図7に示したように、柱1の側面と梁2下面とが交差する入隅Cには、上記ハンチ部16cが設けられる。上記入隅Cに対応する位置には、上記ハンチ部16cの傾斜に沿った斜面S2が設けられている。上記斜面S2が上記柱1の側面と上記梁2の下面に接触する部分には、上記柱1と上記梁2に枠体を固定する固定片17,17が設けられる。この固定片17,17と柱1の表面及び梁2の表面とは接着剤で固定される。なお、この第4実施形態では、固定片17,17の固定手段に接着剤を用いているが、ボルト等によって機械的に固定してもよい。
また、上記交差部用枠体16のハンチ部16cには、上記交差部用枠体16の対向する位置に、三角形の図示しない補助枠体が設けられる。そして、このように形成されたハンチ部16c内には、空間が設けられる。そして、この空間には、伝達補強筋11が上記斜面S2に沿って通過するとともに、この伝達補強筋11が上記柱1の両側の上記梁2に設けられたアンカーボルト5に引っ掛けられる。さらに、両ハンチ部を通過した伝達補強筋11は、上記柱1の前に設けられた一対の軸方向筋6と交差して設けられる。このように構成された空間内に充填材が充填される。
このように、上記入隅Cがハンチ部16cで覆われているので、上記柱1と上記梁2との結合力が向上する。そのため、入隅Cからの亀裂などが入りにくくなった。
上記以外の構成、作用効果は第3実施形態と同じである。
図8に示した第5実施形態は、既存の柱1に既存の梁2が4方向に交差している既存建造物であり、交差部用枠体18が4方向の梁2に合わせた形状になっている。その他の構成は第1実施形態と同じである。したがって、この第5実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には、第1実施形態と同一符号を用いるとともに、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この第5実施形態において、上記の柱部用枠体7に積層する交差部用枠体18は、上記柱1に上記梁2が4方向に交差している交差部を囲っている。
この交差部用枠体18は、上記柱部用枠体7の断面ロ字状の形状に合わせて、柱1の軸方向に積層できる形状が保たれている。
図8に示した交差部用枠体18は、第1実施形態で設けられた柱対向部8bの役割を、上記ハンチ部18cがその一部を担うことになる。そのため、この第5実施形態では、少なくとも梁対向部18aと、ハンチ部8cとが構成要素として上記柱1と上記梁2とを覆うことができればよい。
この第5実施形態の上記梁対向部18aは、交差部の上記梁2を覆っている。また、上記ハンチ部8cは、上記梁対向部18aの下面から一定の勾配をもって傾斜しながら上記柱対向部、あるいは上記柱部用枠体7の最上端部に連続している。そして、図示しない上記柱対向部は、実施する形態にあわせて、上記交差部及びこの交差部から下方に連続する柱1の一部分を覆っている。
この交差部用枠体18は、上記梁2の各表面に平行に設けられた正面と、正面から直交するとともに、上記梁2の表面から所定の間隔に保つ側面とで断面L字状の枠体を2枚一組としている。そして、上記柱1の四隅に対応する位置で2つの上記枠体の先端を接合して、上記交差部用枠体18が形成される。このような交差部用枠体18を、4体組み合わせて上記交差部を囲うとともに、それぞれの梁2の下には上記ハンチ部18cを設けている。そして、上記梁2の互いに対向する裏表の両面には、上記ハンチ部18cを介してそれぞれの交差部用枠体18が連続する。
なお、このように組み合わされた交差部用枠体18は、上記梁2の表面と接触する上記側面の縁に、上記梁2に交差部用枠体18を固定するための固定片9が設けられる。そして、この固定片9は梁2の表面にそれぞれボルト10で固定される。
上記以外の構成と作用効果は、第1実施形態と同じである。
なお、上記した各実施形態では、各枠体の連結手段は、溶接によって接合されるが、接着剤を含んだ繊維シートを貼り付けて接合することもできる。
また、各枠体は、隣接する枠体同士の端部を重ね合わさせたが、各枠体の端部にリブを設けて組み合わせるようにしてもよい。各枠体にリブを設けた場合には、枠体どうしを容易に組み立てられる。
さらに、各実施形態では、各枠体は鋼板を用いているが、各枠体の材料は限定されない。例えば、鋼板の代わりに強化プラスチック等を用いてもよいし、あらかじめ工場で製作されたプレキャストコンクリートにしてもよい。このプレキャストコンクリートを用いた場合には、あらかじめ伝達補強筋11,14や軸方向筋6等をコンクリート内に埋設させて設けることができる。
柱と梁とが交差している既存建造物の補強構造に最適である。
1…柱 、 2…梁 、 5…アンカーボルト 、 6…軸方向筋 、 7,15…柱部用枠体 、 8,16,18…交差部用枠体 、 11,14…伝達補強筋 、 12…タイバー 、S,S1,S2…斜面 、 C…入隅

Claims (6)

  1. 既存の柱を覆う柱部用枠体と、上記柱と既存の梁との交差部を覆う交差部用枠体とが積層されるとともに、
    この交差部用枠体は、柱対向部、梁対向部、及びハンチ部からなり、
    上記柱対向部は、上記交差部及びこの交差部から下方に連続する柱の部分を覆い、
    上記梁対向部は交差部の上記梁を覆い、
    上記ハンチ部は、上記梁対向部の下面から一定の勾配をもって傾斜しながら上記柱対向部に連続し、
    上記梁対向部と上記梁との間に空間が形成され、
    この空間には、上記梁の表面に固定された複数のアンカーボルトが突出するとともに、
    上記柱の軸方向に沿って少なくとも一対の軸方向筋が設けられ、上記空間内に充填材が充填された既存建造物の補強構造。
  2. 上記ハンチ部の傾斜に沿ってその中を貫通する伝達補強筋が設けられ、上記伝達補強筋の一端が上記梁に設けられたアンカーボルトに連係されるとともに、上記伝達補強筋の他端が上記柱に設けられた軸方向筋に連係された請求項1に記載の既存建造物の補強構造。
  3. 上記柱の両側には上記梁が連続しており、
    上記交差部用枠体は、上記柱対向部の両側に上記ハンチ部が設けられ、これら両ハンチ部内に上記伝達補強筋を通過させるとともに、両ハンチ部を通過した伝達補強筋の上記他端側が互いに連係されてなる請求項2に記載の既存建造物の補強構造。
  4. 上記ハンチ部が、上記柱と梁との入隅を覆う請求項1〜3のいずれか1に記載の既存建造物の補強構造。
  5. 上記柱には、上記柱部用枠体が上記柱の全周を所定の間隔を保って設けられ、上記梁の互いに対向する裏表の両面には、上記交差部用枠体がそれぞれ設けられ、これら交差部用枠体が上記ハンチ部を介して連続された請求項4に記載の既存建造物の補強構造。
  6. 互いに対向する上記交差部用枠体の上記ハンチ部にタイバーが設けられ、このタイバーの両端が上記交差部用枠体から突出して固定された請求項5に記載の既存建造物の補強構造。
JP2016153097A 2016-08-03 2016-08-03 既存建造物の補強構造 Active JP6763602B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016153097A JP6763602B2 (ja) 2016-08-03 2016-08-03 既存建造物の補強構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016153097A JP6763602B2 (ja) 2016-08-03 2016-08-03 既存建造物の補強構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018021377A JP2018021377A (ja) 2018-02-08
JP6763602B2 true JP6763602B2 (ja) 2020-09-30

Family

ID=61164362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016153097A Active JP6763602B2 (ja) 2016-08-03 2016-08-03 既存建造物の補強構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6763602B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114756947A (zh) * 2022-05-18 2022-07-15 广联达科技股份有限公司 框架梁水平加腋体的箍筋计算方法及计算装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5517516B2 (ja) * 2009-07-22 2014-06-11 栄次 槇谷 建造物の補強構造
JP5619647B2 (ja) * 2011-02-04 2014-11-05 大成建設株式会社 地下構造物および地下構造物の構築方法
JP5597897B2 (ja) * 2012-03-01 2014-10-01 栄次 槇谷 建造物の補強工法
JP5830803B2 (ja) * 2013-12-27 2015-12-09 一般社団法人 レトロフィットジャパン協会 建造物の補強構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018021377A (ja) 2018-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5597897B2 (ja) 建造物の補強工法
JP4279739B2 (ja) 既存建物の耐震補強方法と耐震壁
JP6499853B2 (ja) 耐震壁構造
JP5575561B2 (ja) 建物の耐震構造
JP2018035592A (ja) 壁構造
JP5507051B2 (ja) 耐震壁
JP5491962B2 (ja) 構造壁
JP6763602B2 (ja) 既存建造物の補強構造
JP6265676B2 (ja) 鋼製耐震壁
JP2007197936A (ja) 壁ユニット、耐震壁およびその構築方法
JP6530959B2 (ja) 耐震壁構造
JP6284287B1 (ja) H形鋼柱とh形鋼梁からなる構造物の耐震補強構造
JP2005030151A (ja) 建造物の躯体構造
JP6839921B2 (ja) 柱梁接合構造
JP2009155870A (ja) 補強構造
JP6229995B2 (ja) 建物の耐震面補強構造
JP7087262B2 (ja) 構造物
JP6265735B2 (ja) 連結建物
JP4936172B2 (ja) 柱梁接合構造及び建物の躯体構造
JP2020143502A (ja) 耐力壁
JP6917051B2 (ja) 既存構造体の補強構造
KR20090093585A (ko) 무거푸집 기둥과 mhs 합성보의 접합부 연결구조 및 그시공방법
JP7263677B2 (ja) 構造物
JP6872678B2 (ja) 既存柱の補強構造
JP6518886B2 (ja) 建造物の補強構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200901

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6763602

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250