JP6917051B2 - 既存構造体の補強構造 - Google Patents

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Description

この発明は、コンクリート柱などの既存構造体を補強する補強構造に関する。
従来から、既存の柱や梁に、補強構造体を沿わせて補強する補強構造が知られている。
例えば、特許文献1に記載された補強構造は、図7に示すように、既存構造体である柱1の正面1aに、この柱1に沿った補強構造体2を接合したものである。
この補強構造体2は、コンクリート部4にH形鋼3を埋設した柱状の構造体である。H形鋼3は、ウエブ3aの両側に一対のフランジ3b,3cを備えた鋼材で、引っ張りや曲げなどの応力に対して高い耐力を発揮し、変形しにくいものである。このような強度の高いH形鋼3は補強筋として機能し、補強構造体2の強度が維持される。
また、柱1には一対のアンカーボルト5,6が打設され、このアンカーボルト5,6の先端がH形鋼3のウエブ3aに固定されている。具体的には、ウエブ3aに一対の挿通孔3d,3dを形成し、この挿通孔3d,3dに通したアンカーボルト5,6に、ウエブ3aを挟んだナット7,7を固定している。
このように、アンカーボルト5,6をウエブ3aに連結することによって、補強構造体2と柱1とが一体化され、補強構造体2と柱1とが一体となって耐力を発揮するようにしている。
特許第4587386号公報
上記従来の補強構造では、補強構造体2のコンクリート部4内に高強度のH形鋼を埋設しているが、上記H形鋼3とコンクリート部4とはその強度に大きな差がある。そのため、補強構造体2に外力が作用したとき、特に変形し難いH形鋼3とコンクリート部4との間にわずかなずれが生じ、フランジ3b,3cの端部の角などが、コンクリート部4に押圧力を作用させてしまうことがある。このように、フランジ3b,3cの端部に対応する位置に押圧力が集中すると、コンクリート部4にはフランジ3b,3cの角に対応する位置から外周へ向かう亀裂aが入ってしまう。
このような亀裂aがコンクリート部4の外周まで達すると、コンクリート部4はその外周側から崩れてしまう。
コンクリート部4が崩れてしまえば、補強構造体2の形状が崩れてH形鋼3とコンクリート部4とが別々になってしまう。H型鋼3が、コンクリート部4で支えられていなければ、補強筋としての機能を発揮できない。
つまり、従来の補強構造では、高強度のH形鋼3を用いたのにもかかわらず、このH形鋼3の強度が活かされず、補強構造体2の強度は維持できない。このような補強構造体2を柱1に接合しても、補強効果を上げることはできなかった。
この発明の目的は、きわめて強度が高い形鋼の特徴を十分に活かして既存構造体を補強できる補強構造を提供することである。
この発明は、柱や梁などの既存構造体の特定の側面である正面に、この正面の長手方向に沿った補強構造体を接合した既存構造体の補強構造を前提とする。
そして、第1の発明は、上記補強構造体は、上記正面との間に空間を保って設けられた枠体と、上記空間内に設けられたウエブの両端にフランジを備えた形鋼と、上記枠体及び上記既存構造体で囲まれた空間内に充填され固化した充填材とからなり、上記形鋼のフランジが、既存構造体の上記正面とほぼ直交する向きに配置されるとともに、上記既存構造体には、上記正面から補強構造体内に一端を突出させた一対のアンカーボルトが埋め込まれ、これら一対のアンカーボルトの各突出端側が、上記形鋼の一対のフランジ間で、それぞれ別のフランジの近傍に配置され、上記各アンカーボルトとそれに近接したフランジとを上記充填材を介して互いに連係させるとともに、上記枠体が上記充填剤を拘束することによって上記形鋼と上記充填材とが一体化したたことを特徴とする。
なお、上記充填材には、モルタルやコンクリートのほか、それらに補強材として繊維などを添加したものなど、一般的に建築用に充填材として用いられるものが含まれる。
の発明は、上記枠体が、既存構造体の上記正面と対向する正面部と、この正面部の両端に連続し、上記正面部とほぼ直交する一対の側面部とからなり、
当該補強構造体内を貫通して上記側面部間を連結するタイロッドが、上記既存構造体と上記形鋼との間に設けられたことを特徴とする。
の発明は、上記枠体の外側面に補強用シートが接着されたことを特徴とする。
第1の発明によれば、固化した充填材に埋設された形鋼が、枠体で拘束されることで、形鋼と充填材とが一体化する。そのため、外力が作用したときに形鋼と充填材とのずれが生じにくく、形鋼のフランジの角などが充填材に亀裂を発生させるようなことがない。
そのため、特に強度の高い形鋼が充填材と一体化した状態を維持でき、形鋼が補強構造体の補強筋としての機能を十分に発揮することができる。
その結果、補強構造体による補強効果も上がる。
特に、アンカーボルトが形鋼のフランジと充填材を介して連係するので、アンカーボルトと形鋼とが一体化して既存構造体と補強構造体との一体性が上がる。その結果、形鋼を利用して高い強度を備えた補強構造体が、既存構造体と一体となって耐力を発揮することになる。
なお、上記アンカーボルトとフランジとが連係するのは、これらを囲む充填材に枠体の拘束力が作用することによって、充填材がアンカーボルトとフランジとを同時に保持しているからである。
また、従来のように、形鋼のウエブに挿通孔を形成してアンカーボルトと形鋼とを連結する場合には、位置精度を保った挿通孔の形成作業、アンカーボルトの挿入作業、ナットの締め付け作業などが必要で、その分、施工性が悪くなってしまうが、この発明では、上記した作業が不要になるため、施工性が向上する。
さらに、形鋼のウエブに多数の挿通孔を形成すれば、その分ウエブの強度が低下してしまうという問題も発生する。また、ナットによる連結に替えて溶接を行なった場合には、その熱でウエブが軟化して強度が落ちてしまうこともある。
これに対し、本願の発明によれば、作業性もよく、形鋼の強度も維持しながら、既存構造体と補強構造体との一体性を上げることができるため、さらに補強効果が上がる。
の発明によれば、タイロッドによって充填材に対する枠体の拘束力をより高めることができる。
その結果、補強構造体の圧縮耐力が向上するとともに、固化した充填材と形鋼との一体化が保たれる。このように、強度が高い補強構造体と既存構造体とが一体化して耐力を発揮するため、より高い補強効果が得られる。
の発明によれば、外側面に接着された補強用シートによって、枠体の強度が向上し、充填材に対してより強い拘束力を作用させることができる。
この発明の第1実施形態の断面図である。 第2実施形態の断面図である。 第3実施形態の断面図である。 第4実施形態の断面図である。 第5実施形態の断面図である。 枠体の他の例である。 従来の補強構造の断面図である。
図1に示す第1実施形態は、既存構造体である柱1を、建造物の外壁側から補強構造体8で補強する補強構造で、上記補強構造体8は、この発明の特定の側面である正面1aに接合されている。
上記補強構造体8は、柱1の正面1a側を、所定の空間を保持して囲った一対の枠板9,10と、これら枠板9,10及び正面1aで囲まれた空間内に配置されたH形鋼3と、上記空間内に充填されたコンクリートなどの充填材が固化した充填材部11とで構成される。
上記枠板9,10はそれぞれ、曲げ加工して構成された断面L字状の鋼板で、上記正面1aと対向する正面部9a,10aと、これら正面部9a,10aに直交する側面部9b,10bとからなる。そして、上記正面部9a,10aを上記柱1の正面1aに対向させ、これら正面部9a,10aの先端側を重ねてその幅を正面1aの幅に合わせて上記空間を囲うようにしている。
また、上記枠板9,10は、その上下方向の長さを、柱1の補強対象部分の長さを複数に分割した長さにし、これら枠板9,10は、柱1の長手方向に沿って積層して設けられている。このようにした枠板9,10がこの発明の枠体を構成するが、その外側面には、繊維シートなどの補強用シート12を接着している。この補強用シート12によって、枠板9,10で構成される枠体の靱性や引っ張り強度などが向上する。
また、上記枠板9,10で囲まれた空間内にはH形鋼3が配置されるが、この第1実施形態では、H形鋼3のフランジ3b,3cを柱1の正面1aに直交する向きにしている。
さらに、上記正面1aには、先端をH形鋼3のフランジ3b,3c間に突出させたアンカーボルト5,6が打設され、各アンカーボルト5,6の突出端を、それぞれ上記フランジ3b,3cの近傍に位置させている。上記アンカーボルト5,6の突出端と上記フランジ3b,3cとの距離は、これらが充填材部11に埋設されたとき、アンカーボルト5とフランジ3b、アンカーボルト6とフランジ3cとが、充填材部11を介して互いに連係可能な距離である。
なお、上記アンカーボルト5,6はそれぞれ、柱1の長手方向に所定の間隔を保って複数打設されている。
さらに、一対の枠体9,10の側面部9b,10bの柱1側の端部付近には両側面部9b,10b間を連結するタイロッド13を設け、その両端に座金14を介してナット7を締め付けることによって、側面部9b,10bの間隔を維持するようにしている。このタイロッド13も、柱1の長手方向に間隔を保って複数設けられている。
このように、アンカーボルト5,6及びH形鋼3が配置された空間を、枠板9,10で囲い、補強用シート12を接着したら、その内部に充填材を充填して固化させれば、充填材部11が形成され、補強構造体8が構成される。
この補強構造体8は、補強用シート12が接着された枠板9,10で囲まれた空間内に充填材を充填するので、充填材の圧力が枠板9,10からの拘束力として充填材部11に作用し、さらにその拘束力がH形鋼3にも作用している。そのため、充填材部11とH形鋼3との一体性が高く、外力が作用したとき、H形鋼3と充填材部11との間にずれが生じにくい構成である。そのため、両者のずれによってフランジ3b,3cの角などから充填材部11に亀裂が発生するようなことがない。
したがって、補強構造体8が、H形鋼3の高強度の特性を十分に活かした耐力を発揮することができる。
さらに、この第1実施形態では、アンカーボルト5,6とH形鋼3のフランジ3b,3cとが連係するようにしているため、アンカーボルト5,6とフランジ3b,3cとが連係して、あたかも、より長いアンカーボルトを用いたときのように機能する。したがって、補強構造体8と、既存の柱1との結合力が高くなり、H形鋼3の特性を生かして高い強度を備えた補強構造体8が、柱1と一体となって耐力を発揮することになる。
しかも、この第1実施形態では、アンカーボルト5,6とH形鋼3とを連係させるために、図7に示す従来のように、ウエブ3aに挿通孔3dを形成したり、ナット7を締めたりする必要がない。そのため、施工性が悪くなったり、ウエブ3aの強度が落ちてしまったりするという問題が発生することもない。
さらにまた、上記タイロッド13を設けたことによって、充填材の充填時の圧力によって枠板9,10が開いてしまうことを防止できる。したがって、固化した充填材部11に対するより強い拘束力が発揮され、H形鋼3と充填材部11との一体性が高まるとともに、補強構造体8の耐力も上がる。
ただし、上記タイロッド13は必須ではない。例えば、しっかりした型枠などを用いて、充填材の充填時に枠板9,10が開かないようにすれば、タイロッド13が無くても、充填材部11への拘束力は維持できる。
また、枠板9,10による充填材11への拘束力が強ければ、充填材部11がアンカーボルト5,6を保持する保持力が強くなるので、必ずしも、上記アンカーボルト5,6を、フランジ3b,3cと連係させなくても、アンカーボルト5,6によって柱1と補強構造体8との結合力を維持させることはできる。
なお、H形鋼3は、曲げ耐力に方向性があるため、H形鋼3の向きによって補強構造体8が発揮する曲げ耐力にも方向性がでることがある。この第1実施形態では、フランジ3b,3cを柱1の正面1aに対して直交させているため、図中のX方向の曲げに対する耐力の方が、Y方向の曲げ耐力よりも強くなる。
もし、X方向よりもY方向の曲げ耐力を強くしたい場合には、ウエブ3aが正面1aと直交するようにH形鋼3を配置すればよい。その場合には、上記のように、アンカーボルト5,6と、フランジ3b,3cとを連係させることはできないが、補強用シート12が接着された枠体9,10による拘束力で、充填材部11とH形鋼3との一体性を維持することはできる。
ただし、図1において柱1の左右両側に図示しない梁が設けられている場合が多い。このような梁が設けられている場合には、上記梁から柱1に作用する地震力に対して曲げ耐力を発揮するために、図示のようにX方向の曲げ耐力が強くなるような配置が好ましい。
図2に示す第2実施形態は、この発明の枠体を構成する一対の枠板9,10の側面部9b,10bが柱1の両側面1b,1cに接触する長さを備え、枠体の側面部9b,10bで既存柱1を挟むようにした補強構造である。そして、枠体9,10の側面部9b,10bは、柱1の側面1b,1cとの接触部分で、柱1に打設されたボルト15にナット7を締め付けて固定されている。その他の構成は、第1実施形態と同じで、第1実施形態と同様の構成要素には図1と同じ符号を用いている。
したがって、この第2実施形態も、補強構造体8の充填材部11が、補強用シート12が接着された枠板9,10でしっかりと拘束されるので、充填材部11とH形鋼3との間にずれが生じて、亀裂が形成されるようなことがない。
したがって、補強構造体8が、H形鋼3の高強度の特性を十分に活かした耐力を発揮することができる。
また、アンカーボルト5,6及びタイロッド13の作用効果も、第1実施形態と同じである。
ただし、この第2実施形態では、枠板の側面部9b,10bが柱1の側面1b,1cにボルト15及びナット7によって固定されているため、補強構造体8と柱1との結合力をさらに強くすることができる。
図3に示す第3実施形態は、一対のガイド部材16,16を、枠板9,10と柱1の正面1aとの間に介在させた補強構造である。このガイド部材16は、断面L字状の鋼材からなる長尺部材で、直角を挟んだ一方の片16aを柱1の正面1aに接触させて柱1に打設されたボルト15にナット7で固定し、他方の片16bに枠板9,10に接触させ、枠板9,10の位置決めを行なっている。
また、各片16a,16bのそれぞれには、長手方向に間隔を保ってボルト15の挿通孔とタイロッド13を挿通するための孔が形成されている。
その他の構成は、第1実施形態と同じであり、上記第1実施形態と同様の構成要素には、図1と同じ符号を用い、各構成要素の説明は省略する。
この第3実施形態においても、補強用シート12が接着された枠板9,10の拘束力が充填材部11とH形鋼3とを一体化して、補強構造体8にH形鋼3の特性が十分に活かされる。
さらに、この第3実施形態では、柱1に固定した上記ガイド部材16,16に枠板9,10を沿わせることでその位置決めが簡単にできるため、施工現場での作業性が向上する。また、枠板9,10の位置決めが容易にできるので、補強構造体8を柱1に対して正確に正対させることができる。補強構造体8と柱1とが正対すれば、地震力が作用したときに両者間にねじれが発生しにくく、補強強度を維持しやすいというメリットがある。
なお、この第3実施形態では、ガイド部材16と柱1とをボルト15で連結しているため、補強構造体8と柱1との結合力を強くできる。そのため、第1実施形態のようなアンカーボルト5,6を用いなくても、ガイド部材16,16を介して柱1と枠体9,10との結合力を保つことができる。ただし、上記ボルト15に替えて上記アンカーボルト5,6を用い、このアンカーボルト5,6にガイド部材16,16を固定するようにしてもよい。
また、枠板9,10とガイド部材の他方の片16b,16bとの連結は、タイロッド13の代わりに、ボルトとナットなどで行なってもよいし、枠板9,10はガイド部材16に沿わせるだけでもよい。
なお、上記第1〜3実施形態において、上記補強構造体8が接合される、柱1の補強対象部分は、特定の階内の柱1の長さ全部でも、それより短くてもよいし、また、多層階に連続する部分でもよい。
そして、補強構造体8を接合する正面1a側にスラブが張り出している場合には、スラブを切り欠いて補強構造体8を上下に連続させることもできる。
図4に示す第4実施形態は、柱1だけでなく、既存構造体としての梁17も補強する補強構造である。
梁17は柱1の両側に接続されたもので、この発明の既存構造体の特定の側面である梁17の正面17aに、補強構造体18が接合されている。そして、上記正面17aは、建物の外側面である。
また、柱1は、図1の第1実施形態の補強構造体8で補強されている。
そして、上記柱1の補強構造体8の上端を梁17の下面位置までにして、上記梁の補強構造体18で、柱1との交差部分を含んで両側の梁17の部分を連続して覆うようにしている。
上記柱1の補強構造体8は、第1実施形態と同じなので、ここではその説明は省略する。
一方、梁17の補強構造体18は、上記柱1の補強構造体8の長手方向を水平方向にして正面17aに接合したものである。そこで、この補強構造体18の構成要素において上記柱1の補強構造体8と同じ構成要素には、図1と同じ符号を用い、各要素の詳細な説明は省略する。なお、図中の符号19はスラブである。
この第4実施形態の梁17の補強構造体18は、補強用シート12が接着された一対の枠板9,10で囲まれた充填材部11にH形鋼3が埋設された構造体である。そして、梁17には上下方向に間隔を保ったアンカーボルト5,6が打設され、その突出部が上記充填材部11に埋設されている。
なお、上記アンカーボルト5,6は、梁の長手方向に沿って複数打ち込まれている。
また、上記アンカーボルト5,6は、その先端をそれぞれH形鋼3のフランジ3b,3c間で各フランジ3b,3c近傍に位置させ、フランジ3b,3cと連係可能にしている。
したがって、上記梁の補強構造体18は、上記柱1の補強構造体8と同様に、補強用シート12が接着された枠板9,10によって充填材部11が拘束され、充填材部11とH形鋼3との間にずれが生じにくいものになっている。しかも、タイロッド13によって、枠体9,10の拘束力がさらに強くなっている。
また、このような補強構造体18が、アンカーボルト5,6及びフランジ3b,3cによって既存の梁17と強固に結合している。
そのため、この第4実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、補強構造体18の充填材部11に亀裂が発生することがなく、梁17に対して、H形鋼3の強度を十分に活かした補強効果を発揮させることができる。
なお、この補強構造体18でも、上記フランジ3b,3cを梁17の正面17aに対して直交させているため、このH形鋼3は、図の上下方向であるZ方向の曲げに対する耐力の方が、これに直交するY方向の曲げ耐力よりも強くなる。
もし、Y方向の曲げ耐力の方を強くしたい場合には、フランジ3b,3cを上記正面17aと平行に配置すればよい。
そして、この第4実施形態では、柱1も補強構造体8で補強されているため、既存の柱1と梁17とも、H形鋼3の強度を十分に活かした補強構造体で補強される。
また、この第4実施形態の梁17の補強においても、補強構造体18内のH形鋼3の向きや、タイロッド13の要否、アンカーボルト5,6の配置などは、必要に応じて決めることができる。
さらに、この第4実施形態において、梁17の正面17aと枠板9,10との間にも、第3実施形態と同様にガイド部材16,16を介在させ、このガイド部材16,16に枠板9,10を沿わせたり、ガイド部材16を介して正面17aと枠体9,10とを連結したりしてもよい。
図4では、補強構造体18を構成する一対の枠板9,10を梁17の正面17a側のみに設けているが、例えば、梁17の下方に柱1や図示しない壁などが設けられていない部分では、上記枠板9の側面部9bを梁17の下側に差し込むようにして、側面部9bの先端を梁17の下側面にボルトなどで固定するようにしてもよい。
また、上記側面部9bの先端側を折り曲げて梁17の下の図示しない壁面に固定するようにしてもよい。
なお、この第4実施形態では、柱1の正面1aに補強構造体8が設けられているため、梁17の前の補強構造体18は上記補強構造体8の上に載ったようになっているが、この補強構造体8を設けていない場合には、枠体9の側面部9bの先端を折り曲げて柱1に固定してもよい。要するに、枠体と既存構造体とをどのように連結してもよい。また、枠体は既存構造体に直接連結しなくても、既存構造体と補強構造体とを、アンカーボルト5,6などを介して間接的に連結することもできる。
図5に示す第5実施形態は、梁17の正面17a側にスラブ19が張り出している場合の補強構造である。
この第5実施形態では、梁17の正面17aに、梁17の長手方向に沿った補強構造体20を接合している。
この補強構造体20は、枠板21で構成された枠体で囲われている。
上記枠板21は、鋼板を曲げ加工して構成された部材で、上記正面17aと対向する正面部21aと、これに直交して上記スラブ19と対向する下面部21bと、上記正面部21aから上記下面部21bとは反対側に曲げ加工された取付片21cとを備えている。
そして、上記下面部21bを梁17の下面位置に合わせ、取付片21cをボルト15及びナット7でスラブ19に固定し、枠板21で囲まれた空間内を充填材部11としている。その他の構成は、図4の第4実施形態と同じである。したがって、第4実施形態と同じ構成要素には図4の符号を用い、各構成要素の詳細な説明は省略する。
この第5実施形態では、梁17の正面17aに沿った補強構造体20を設ける側にスラブ19が張り出しているため、スラブ19側では枠板21を梁17側に曲げた部分を設けることができず、上記取付片21cをスラブ19に固定することで、H形鋼3を埋設した充填材部11は、上記枠体21と梁17とスラブ19とで囲まれた空間内に形成されることになる。
上記のような第5実施形態においても、補強用シート12が接着された枠板21によって充填材部11に拘束力が作用し、上記他の実施形態と同様に、充填材部11とH形鋼3との一体性が保たれる。
そのため、補強構造体20に外力が作用したときに、フランジ3b,3cの角から充填材部11に亀裂が発生するようなことがなく、補強構造体20はH形鋼3の強度を十分に活かした耐力を発揮できる。
なお、この第5実施形態でも、H形鋼3のフランジ3b,3cを梁17の正面17aに直交させているので、図示の矢印Z方向の曲げに対する耐力が、Y方向の曲げ耐力よりも強くなる。
したがって、Y方向の曲げ耐力の方を強くしたい場合には、フランジ3b,3cを上記正面17aと平行に配置すればよい。
また、この第5実施形態でも、柱1の正面1aには第1実施形態と同様の補強構造体8を接合している。したがって、柱1及び梁17が補強される。
この第5実施形態では、上記補強構造体20とスラブ19との結合に、枠板21の取付片21cを利用しているが、スラブ19にアンカーボルトを打設するなどして、充填材部11との結合力が維持できれば、取付片21cを利用しなくてもよい。
なお、上記第4,5実施形態では、柱1及び梁17を同時に補強しているが、梁17を補強する際に、柱1は必ずしも補強しなくても良いし、柱1を補強する場合であっても、上記補強構造体8以外の補強構造を用いてもよい。
また、第4,5実施形態では、柱1に沿った補強構造体8を梁17の下で止めているが、補強構造体8の長さはこれに限らない。柱1と梁17との交差部分まで補強構造体8で覆うようにしてもよいし、上記交差部分から他の階層まで連続して補強するようにしてもよい。
さらに、図5のように柱1の正面1a側にスラブ19が張り出している場合には、スラブ19の一部を切り欠いて補強構造体8を他の階層まで連続させてもよい。
そして、柱1と梁17との交差部分に補強構造体8が接合されている場合には、梁17に沿った補強構造体18,20は、柱1の両側で梁17の部分のみを覆うようにする。
いずれにしても、柱1に沿った補強構造体8や、梁17に沿った補強構造体18,20は、柱1や梁17において補強が必要な部分に対応する長さを備えていればよい。
また、第5実施形態では、枠板21の側面部21bの端部を、梁17の正面17aの位置までにしているが、上記第4実施形態の枠板9の側面部9bと同様に、様々な方法で既存の梁17や柱1、あるいは壁面などに固定してもよい。
なお、上記第1〜5実施形態では、この発明の枠体を断面がL字状の枠板で構成しているが、枠板の断面形状はコの字状でもよいし、その他の形状の枠板を組み合わせて枠体を構成してもよい。
また、図6に示すように、上記実施形態の枠板9,10の端部に既存構造体側に突出するリブ22,23,24を備えたものでもよい。
このような枠板9,10では、それぞれ既存構造体と対向する正面部9a,10aには、側面部9b,10bが連続する辺に平行な端部に沿ったリブ22と、このリブ22に直交する方向のリブ23を備えるとともに、側面部9b,10bにも、上記リブ23と面一となるリブ24を備えている。
これらのリブ22,23,24は、正面部9a,10aや側面部9b,10bの端部を折り曲げて形成してもよいし、別部材を取り付けて形成してもよい。
そして、各枠体9,10は、その長さを、補強構造体8,18の長さを複数に分割した長さにしているが、上記リブ22は、正面部9a,10aの端部において、端部の全長にわたって形成されている。
このような枠体9,10は、例えば柱1や梁17の長手方向に連続して配置する際に、上記リブ22,22同士、リブ23,23同士、リブ24,24同士を突き合せることによって、それらの位置決め作業を容易にできる。
また、上記接触するリブ22,22、リブ23,23、リブ24,24同士を、スポット溶接、接着、ビス止めなどの結合手段によって結合し、枠体として一体化してもよい。
なお、各側面部9b,10bには、図示のように、例えばタイロッド13(図1参照)や図示しない固定ボルトなどを挿入するための挿入孔9c,10cを設けてもよい。
枠板の形状は、充填材部11に対して拘束力を発揮できる枠体を構成できるものであればどのようなものでもよい。
また、上記第1〜5実施形態では枠体の外側面に補強用シート12接着して、枠体の強度を上げているが、枠板の強度が十分であれば、上記補強用シート12を接着しなくてもよい。
そして、枠板の材質も鋼板のほか、強化プラスチック、木材など様々なものを用いることができる。
さらに、上記H型鋼3としては、補強構造体8,18,20の断面形状や大きさによって、ウエブ3aとフランジ3b,3cとの寸法の比率が様々な形鋼を用いることができる。
そして、上記実施形態1〜5は、H形鋼3の耐力が非常に大きいという特性を生かした補強構造体8,18,20を、既存の柱1や梁17の特定の側面側のみに設ける構造なので、外壁側のみを補強することができ、居住空間を狭くすることなく補強効果を発揮させることができるものである。
この発明は、特定の面側のみを補強する既存建造物の補強に最適である。
1 (既存構造体)柱
1a 正面
3 H形鋼
3a ウエブ
3b,3c フランジ
5,6 アンカーボルト
8 補強構造体
9 (枠体)枠板
9a 正面部
9b 側面部
10 (枠体)枠板
10a 正面部
10b 側面部
11 充填材部
12 補強用シート
13 タイロッド
17 (既存構造体)梁
17a 正面
18 補強構造体
20 補強構造体
21 枠板

Claims (3)

  1. 柱や梁などの既存構造体の特定の側面である正面に、この正面の長手方向に沿った補強構造体を接合した既存構造体の補強構造において、
    上記補強構造体は、
    上記正面との間に空間を保って設けられた枠体と、
    上記空間内に設けられたウエブの両端にフランジを備えた形鋼と、
    上記枠体及び上記既存構造体で囲まれた空間内に充填され固化した充填材と
    からなり、
    上記形鋼のフランジが、既存構造体の上記正面とほぼ直交する向きに配置されるとともに、
    上記既存構造体には、上記正面から補強構造体内に一端を突出させた一対のアンカーボルトが埋め込まれ、
    これら一対のアンカーボルトの各突出端側が、上記形鋼の一対のフランジ間で、それぞれ別のフランジの近傍に配置され、
    上記枠体が上記充填剤を拘束することによって発生した拘束力で上記形鋼と上記充填材とが一体化されるとともに、
    上記各アンカーボルトとそれに近接したフランジとを上記充填材を介して互いに連係させた既存構造体の補強構造。
  2. 上記枠体は、既存構造体の上記正面と対向する正面部と、この正面部の両端に連続し、上記正面部とほぼ直交する一対の側面部とからなり、
    当該補強構造体内を貫通して上記側面部間を連結するタイロッドが、上記既存構造体と上記形鋼との間に設けられた請求項1に記載の既存構造体の補強構造。
  3. 上記枠体の外側面に補強用シートが接着された請求項1又は2に記載の既存構造体の補強構造。
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