JP2012002403A - 吸収ヒートポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】機器据付面積の増大を抑制しつつ熱源利用温度を拡大させてより多くの蒸気を取り出す吸収ヒートポンプの提供。
【解決手段】吸収ヒートポンプ1は、熱源流体hの熱で第1の冷媒蒸気Vrを生成する第1の蒸発器20と、第1の吸収液Saが第1の冷媒蒸気Vrを吸収する際の吸収熱で被加熱媒体Wを加熱する第1の吸収器10と、熱源流体hの熱で第1の吸収液Saを再生する第1の再生器50と、熱源流体hの熱で第2の冷媒蒸気Vsを生成する第2の蒸発器40と、第2の吸収液Sbが第2の冷媒蒸気Vsを吸収する際の吸収熱で第1の冷媒液Vf1を加熱し第1の冷媒蒸気Vrを生成する第2の吸収器30と、熱源流体hの熱で第2の吸収液Sbを再生する第2の再生器60とを備えるので、熱源流体hの熱の他に第2の吸収器30の吸収熱によっても第1の冷媒蒸気Vrが生成されて第1の冷媒蒸気Vrの生成量が多くなり、被加熱媒体Wに与える熱量を増大させる。
【選択図】図1

Description

本発明は吸収ヒートポンプに関し、特に昇温型の吸収ヒートポンプに関する。
駆動熱源温度より高い温度の被加熱媒体を取り出す昇温型のヒートポンプである第二種吸収ヒートポンプは、駆動熱源の温度や冷却水の温度等の条件が適合すれば、被加熱媒体を利用価値の高い高温蒸気として取り出すことが可能である。装置構成が比較的単純な単段昇温型の吸収ヒートポンプでは、例えば熱源入口温度が120℃、冷却水入口温度が25℃の条件下で、160℃程度の被加熱媒体の蒸気を取り出すことが可能である。熱源温度が低い場合(例えば80〜90℃)は、単段昇温型よりもCOPが低下するものの、二段昇温あるいは三段以上の多段昇温型の吸収ヒートポンプとすれば、被加熱媒体の蒸気を取り出すことが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2010−048519号公報(段落0019、図1等)
単段昇温型の吸収ヒートポンプを作動させることができる程度に温度が高い熱源がある場合、単段昇温型及び多段昇温型の吸収ヒートポンプを組み合わせることで、熱源の利用温度範囲を広げつつ、製造される被加熱媒体の蒸気の量を増大させることが可能となる。しかしながら、複数の吸収ヒートポンプを設置すると、据付面積の増加を招来してしまい、機器設置場所の自由度が制限されてしまう。
本発明は上述の課題に鑑み、機器の据付面積の増大を抑制しながら熱源の利用温度を拡大させてより多くの蒸気を取り出す吸収ヒートポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、熱源流体hの流路21を内部に有し、熱源流体hの熱で第1の冷媒液Vf1を蒸発させて第1の冷媒蒸気Vrを生成する第1の蒸発器20と;被加熱媒体Wの流路11を内部に有し、第1の蒸発器20で生成された第1の冷媒蒸気Vrを受け入れて、第1の吸収液Saが第1の冷媒蒸気Vrを吸収する際に発生する吸収熱で被加熱媒体Wを加熱する第1の吸収器10と;熱源流体hの流路51を内部に有し、第1の吸収器10において第1の吸収液Saが第1の冷媒蒸気Vrを吸収して濃度が低下した第1の希溶液Swを受け入れて、熱源流体hの熱で第1の希溶液Swから冷媒を蒸発させて第1の吸収液Saを濃度的に再生する第1の再生器50と;第1の蒸発器20に導入される熱源流体hよりも温度が低い熱源流体hの流路41を内部に有し、熱源流体hの熱で第2の冷媒液Vf2を蒸発させて第2の冷媒蒸気Vsを生成する第2の蒸発器40と;第2の蒸発器40で生成された第2の冷媒蒸気Vsを受け入れて、第2の吸収液Sbが第2の冷媒蒸気Vsを吸収する際に発生する吸収熱で、第1の蒸発器20の第1の冷媒液Vf1を加熱して蒸発させる第2の吸収器30と;第1の再生器50に導入される熱源流体hよりも温度が低い熱源流体hの流路61を内部に有し、第2の吸収器30において第2の吸収液Sbが第2の冷媒蒸気Vsを吸収して濃度が低下した第2の希溶液Svを受け入れて、熱源流体hの熱で第2の希溶液Svから冷媒を蒸発させて第2の吸収液Sbを濃度的に再生する第2の再生器60とを備える。
このように構成すると、熱源流体の熱のみならず第2の吸収器の吸収熱によっても第1の冷媒蒸気が生成されることとなり、機器の据付面積の増大を抑制しながら、第1の冷媒蒸気の生成量を多くすることができ、第1の吸収器で発生する吸収熱を多くすることができて、被加熱媒体に与える熱量を増大させることができる。
また、本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、第1の蒸発器20内の熱源流体hの流路21と、第1の再生器50内の熱源流体hの流路51と、第2の蒸発器40内の熱源流体hの流路41及び第2の再生器60内の熱源流体hの流路61の少なくとも一方と、が同一の系統に構成され;第1の蒸発器20内の熱源流体hの流路21及び第1の再生器50内の熱源流体hの流路51を流れた後の熱源流体hが、第2の蒸発器40内の熱源流体hの流路41及び第2の再生器60内の熱源流体hの流路61の少なくとも一方に導入されるように構成されている。
このように構成すると、熱源流体の熱を利用する温度域を広範囲にすることができてより低温域まで同一系統の熱源流体の熱を利用することができる。
本発明によれば、熱源流体の熱のみならず第2の吸収器の吸収熱によっても第1の冷媒蒸気が生成されることとなり、機器の据付面積の増大を抑制しながら、第1の冷媒蒸気の生成量を多くすることができ、第1の吸収器で発生する吸収熱を多くすることができて、被加熱媒体に与える熱量を増大させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの系統図である。 本発明の第1の実施の形態に係る吸収ヒートポンプのデューリング線図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例に係る吸収ヒートポンプの部分系統図である。(a)は第1の変形例、(b)は第2の変形例を示す。 本発明の第2の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの系統図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、吸収ヒートポンプ1の系統図である。吸収ヒートポンプ1は、主要構成機器として、第1の吸収液としての高温濃溶液Saが第1の冷媒蒸気としての高温冷媒蒸気Vrを吸収する際の吸収熱で被加熱媒体Wを加熱する第1の吸収器としての高温吸収器10と、高温吸収器10に供給する高温冷媒蒸気Vrを生成する第1の蒸発器としての高温蒸発器20と、高温吸収器10よりも作動温度が低い第2の吸収器としての低温吸収器30と、低温吸収器30に供給する第2の冷媒蒸気としての低温冷媒蒸気Vsを生成する第2の蒸発器としての低温蒸発器40と、高温濃溶液Saが高温冷媒蒸気Vrを吸収して濃度が低下した第1の希溶液としての高温希溶液Swを高温濃溶液Saに再生する第1の再生器としての高温再生器50と、低温吸収器30において第2の吸収液としての低温濃溶液Sbが低温冷媒蒸気Vsを吸収して濃度が低下した第2の希溶液としての低温希溶液Svを低温濃溶液Sbに再生する第2の再生器としての低温再生器60と、高温再生器50で高温希溶液Swから蒸発した冷媒と低温再生器60で低温希溶液Svから蒸発した冷媒とが混合した第3の冷媒蒸気としての再生器冷媒蒸気Vgを冷却して凝縮させる凝縮器70とを備えている。さらに、吸収ヒートポンプ1は、高温吸収器10で加熱された被加熱媒体Wを導入して気体の被加熱媒体Wである被加熱媒体蒸気Wvと液体の被加熱媒体Wである被加熱媒体液Wqとを分離する気液分離器80と、制御装置99とを備えている。
なお、以下の説明においては、吸収液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「高温希溶液Sw」、「低温希溶液Sv」、「高温濃溶液Sa」、「低温濃溶液Sb」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「高温冷媒蒸気Vr」、「低温冷媒蒸気Vs」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「高温冷媒液Vf1」、「低温冷媒液Vf2」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(HO)が用いられている。また、被加熱媒体Wは、液体の被加熱媒体Wである被加熱媒体液Wq、気体の被加熱媒体である被加熱媒体蒸気Wv、被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが混合した混合被加熱媒体Wmの総称である。本実施の形態では、被加熱媒体Wとして水(HO)が用いられている。
高温吸収器10は、被加熱媒体Wの流路を構成する被加熱媒体管11と、高温濃溶液Saを散布する高温濃溶液散布ノズル12を内部に有している。高温濃溶液散布ノズル12は、散布した高温濃溶液Saが被加熱媒体管11に降りかかるように、被加熱媒体管11の上方に配設されている。高温吸収器10は、高温濃溶液散布ノズル12から高温濃溶液Saが散布され、高温濃溶液Saが高温冷媒蒸気Vrを吸収する際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、被加熱媒体管11を流れる被加熱媒体Wが受熱して、被加熱媒体Wが加熱されるように構成されている。高温吸収器10の下部には、散布された高温濃溶液Saが高温冷媒蒸気Vrを吸収して濃度が低下した高温希溶液Swが貯留される貯留部13が形成されている。被加熱媒体管11は、高温希溶液Swに没入しないように、貯留部13よりも上方に配設されている。このようにすると、発生した吸収熱が被加熱媒体管11を流れる被加熱媒体Wに速やかに伝わり、吸収能力の回復を早めることができる。貯留部13には、貯留された高温希溶液Swの液位を検出する高温吸収器液位検出器14が配設されている。
高温蒸発器20は、高温吸収器10に供給する高温冷媒蒸気Vrを生成する構成部材であり、熱源流体としての熱源温水hの流路を構成する高蒸熱源温水管21と、第1の冷媒液としての高温冷媒液Vf1を散布する高温冷媒液散布ノズル22とを内部に有している。高温冷媒液散布ノズル22は、散布した高温冷媒液Vf1が高蒸熱源温水管21に降りかかるように、高蒸熱源温水管21の上方に配設されている。高温蒸発器20は、高温冷媒液散布ノズル22から散布された高温冷媒液Vf1が高蒸熱源温水管21内を流れる熱源温水hに加熱されて蒸発することで高温冷媒蒸気Vrが生成されるように構成されている。高温蒸発器20の下部には、散布された高温冷媒液Vf1のうち蒸発しなかったものが貯留される貯留部23が形成されている。貯留部23には、貯留された高温冷媒液Vf1の液位を検出する高温蒸発器液位検出器24が配設されている。
高温蒸発器20には、高温冷媒液Vf1を高温冷媒液散布ノズル22に導く高温冷媒液循環管25の一端が貯留部23に接続されている。高温冷媒液循環管25の他端は高温冷媒液散布ノズル22に接続されている。また、高温蒸発器20には、低温吸収器30の被加熱冷媒液管31で高温冷媒液Vf1が加熱されて生成された高温冷媒蒸気Vrを、あるいは高温冷媒蒸気Vrと高温冷媒液Vf1との冷媒気液混相を高温蒸発器20の缶胴内まで案内する高温冷媒蒸気受入管28と、凝縮器70から高温蒸発器20へ冷媒液Vfを導く冷媒液管29とが缶胴の気相部に接続されている。高温冷媒液循環管25には、高温冷媒液Vf1を高温冷媒液散布ノズル22に向けて圧送する高温冷媒液循環ポンプ26が配設されている。高温冷媒液循環ポンプ26の上流側の高温冷媒液循環管25には、高温冷媒液Vf1の一部を被加熱冷媒液管31に導く冷媒液供給管27が接続されている。冷媒液管29には二方弁29vが配設されている。二方弁29vと高温蒸発器液位検出器24とは信号ケーブルで接続されており、高温蒸発器液位検出器24が検出した高温冷媒液Vf1の液位に応じて高温蒸発器20内に流入する冷媒液Vfの流量を調節することができるように構成されている。なお、被加熱冷媒液管31の内部で冷媒液Vfが蒸気に変化して密度が大幅に減少するので、被加熱冷媒液管31を気泡ポンプとして機能させることで、冷媒液供給管27内で冷媒液Vfを圧送するポンプを省略することが可能となる。なお、冷媒液供給管27内に冷媒液Vfを圧送するポンプを設けてもよく、この場合、管内流量を最適化(管内二相流のかわき度の最適化)することで伝熱を改良することも可能となる。
高温吸収器10と高温蒸発器20とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。高温吸収器10と高温蒸発器20とが連通することにより、高温蒸発器20内の高温冷媒蒸気Vrを高温吸収器10に供給することができるように構成されている。高温吸収器10と高温蒸発器20とは、典型的には、高温濃溶液散布ノズル12より上方及び高温冷媒液散布ノズル22より上方で連通している。
低温吸収器30は、高温冷媒液Vf1及び高温冷媒蒸気Vrの流路を構成する被加熱冷媒液管31と、低温濃溶液Sbを散布する低温濃溶液散布ノズル32を内部に有している。被加熱冷媒液管31は、上述のように、一端に冷媒液供給管27が、他端に高温冷媒蒸気受入管28が、それぞれ接続されている。低温濃溶液散布ノズル32は、散布した低温濃溶液Sbが被加熱冷媒液管31に降りかかるように、被加熱冷媒液管31の上方に配設されている。低温吸収器30は、低温濃溶液散布ノズル32から低温濃溶液Sbが散布され、低温濃溶液Sbが低温冷媒蒸気Vsを吸収する際に生じる吸収熱により、被加熱冷媒液管31を流れる高温冷媒液Vf1を加熱して高温冷媒蒸気Vrを生成することができるように構成されている。低温吸収器30は、高温吸収器10よりも低い圧力(露点温度)で作動するように構成されており、高温吸収器10よりも作動温度が低くなっている。低温吸収器30の下部には、散布された低温濃溶液Sbが低温冷媒蒸気Vsを吸収して濃度が低下した低温希溶液Svが貯留される貯留部33が形成されている。被加熱冷媒液管31は、貯留部33よりも上方に配設されている。貯留部33には、貯留された低温希溶液Svの液位を検出する低温吸収器液位検出器34が配設されている。
低温蒸発器40は、熱源流体としての熱源温水hの流路を構成する低蒸熱源温水管41と、第2の冷媒液としての低温冷媒液Vf2を散布する低温冷媒液散布ノズル42とを内部に有している。低温冷媒液散布ノズル42は、散布した低温冷媒液Vf2が低蒸熱源温水管41に降りかかるように、低蒸熱源温水管41の上方に配設されている。低温蒸発器40は、低温冷媒液散布ノズル42から散布された低温冷媒液Vf2が低蒸熱源温水管41内を流れる熱源温水hに加熱されて蒸発することで低温冷媒蒸気Vsが生成されるように構成されている。低温蒸発器40は、高温蒸発器20よりも低い圧力(露点温度)で作動するように構成されており、高温蒸発器20よりも作動温度が低くなっている。低温蒸発器40の下部には、散布された低温冷媒液Vf2のうち蒸発しなかったものが貯留される貯留部43が形成されている。貯留部43には、貯留された低温冷媒液Vf2の液位を検出する低温蒸発器液位検出器44が配設されている。
貯留部43と低温冷媒液散布ノズル42とは、貯留部43内の低温冷媒液Vf2を低温冷媒液散布ノズル42へ導く低温冷媒液循環管45で接続されている。低温冷媒液循環管45には、低温冷媒液Vf2を圧送する低温冷媒液循環ポンプ46が配設されている。低温冷媒液循環ポンプ46よりも上流側の低温冷媒液循環管45には、凝縮器70からの冷媒液Vfを内部に流す冷媒液管48の一端が接続されている。冷媒液管48には、低温冷媒液循環管45に流入する冷媒液Vfの流量を調節する流量調節弁48vが配設されている。流量調節弁48vと低温蒸発器液位検出器44とは信号ケーブルで接続されており、低温蒸発器液位検出器44が検出した低温冷媒液Vf2の液位に応じて低温蒸発器40に導入する冷媒液Vfの流量を調節することができるように構成されている。
低温吸収器30と低温蒸発器40とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。低温吸収器30と低温蒸発器40とが連通することにより、低温蒸発器40で発生した低温冷媒蒸気Vsを低温吸収器30に供給することができるように構成されている。本実施の形態では、低温吸収器30の上方に低温蒸発器40が位置するように、低温吸収器30と低温蒸発器40とが上下に配置されている。
高温再生器50は、高温希溶液Swを高温濃溶液Saに再生する構成部材であり、熱源流体としての熱源温水hの流路を構成する高再熱源温水管51と、高温希溶液Swを散布する高温希溶液散布ノズル52とを有している。高温希溶液散布ノズル52は、散布した高温希溶液Swが高再熱源温水管51に降りかかるように、高再熱源温水管51の上方に配設されている。高温再生器50は、散布された高温希溶液Swが熱源温水hに加熱されることにより、高温希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した高温濃溶液Saが生成されるように構成されている。高温再生器50の下部には、生成された高温濃溶液Saが貯留される貯留部53が形成されている。
高温再生器50の貯留部53と高温吸収器10の高温濃溶液散布ノズル12とは、高温濃溶液Saを流す高温濃溶液管55で接続されている。高温濃溶液管55には、高温再生器50の高温濃溶液Saを高温吸収器10に圧送する高温溶液ポンプ56が配設されている。高温溶液ポンプ56は、高温吸収器液位検出器14と信号ケーブルで接続されたインバータ56vを有しており、高温吸収器液位検出器14が検出する液位に応じて回転速度が調節されて高温吸収器10に圧送する高温濃溶液Saの流量を調節することができるように構成されている。高温希溶液散布ノズル52と高温吸収器10の貯留部13とは高温希溶液Swを流す高温希溶液管16で接続されている。高温濃溶液管55及び高温希溶液管16には、高温濃溶液Saと高温希溶液Swとの間で熱交換を行わせる高温溶液熱交換器58が配設されている。
低温再生器60は、低温希溶液Svを低温濃溶液Sbに再生する構成部材であり、熱源流体としての熱源温水hの流路を構成する低再熱源温水管61と、低温希溶液Svを散布する低温希溶液散布ノズル62とを有している。低温希溶液散布ノズル62は、散布した低温希溶液Svが低再熱源温水管61に降りかかるように、低再熱源温水管61の上方に配設されている。低温再生器60は、散布された低温希溶液Svが熱源温水hで加熱されることにより、低温希溶液Svから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した低温濃溶液Sbが生成されるように構成されている。低温再生器60の下部には、生成された低温濃溶液Sbを貯留する貯留部63が形成されている。貯留部63には、貯留された低温濃溶液Sbの液位を検出する低温再生器液位検出器64が配設されている。また、貯留部63には所定の液位を越えた低温濃溶液Sbを高温再生器50へ導く溢流管69が配設されている。溢流管69は、一端が所定の液位で開口し、他端は高温再生器50の気相部に接続されている。
低温再生器60は、高温再生器50と同じ缶胴内に収容されている。本実施の形態では、缶胴の下部に高温再生器50が、上部に低温再生器60が配設されており、両者の間には低温再生器60内の低温濃溶液Sbが高温再生器50へ溢流するのを防ぐように、溢流管69の開口よりも立ち上げられて設けられた区画板67が配置されている。区画板67は、高温再生器50と低温再生器60とを完全に隔離するものではなく、両者は互いに連通していて概ね等しい圧力(露点温度)で作動するように構成されている。低温再生器60の貯留部63と低温吸収器30の低温濃溶液散布ノズル32とは、低温濃溶液Sbを流す低温濃溶液管38で接続されている。低温濃溶液管38には、低温再生器60の低温濃溶液Sbを低温吸収器30に圧送する低温溶液ポンプ66が配設されている。低温溶液ポンプ66は、低温吸収器液位検出器34と信号ケーブルで接続されたインバータ66vを有しており、低温吸収器液位検出器34が検出する液位に応じて回転速度が調節されて低温吸収器30に圧送する低温濃溶液Sbの流量を調節することができるように構成されている。
低温希溶液散布ノズル62と低温吸収器30の貯留部33とは低温希溶液Svを流す低温希溶液管36で接続されている。低温濃溶液管38及び低温希溶液管36には、低温濃溶液Sbと低温希溶液Svとの間で熱交換を行わせる低温溶液熱交換器68が配設されている。高温溶液ポンプ56の下流側の高温濃溶液管55と低温溶液熱交換器68の下流側の低温希溶液管36とは、吸収液補充管59で接続されている。吸収液補充管59には、低温希溶液管36に流入する高温濃溶液Saの流量を調節する流量調節弁59vが配設されている。流量調節弁59vと低温再生器液位検出器64とは信号ケーブルで接続されており、低温再生器液位検出器64が検出した低温濃溶液Sbの液位に応じて低温希溶液管36に流入する高温濃溶液Saの流量を調節することができるように構成されている。
凝縮器70は、冷却媒体流路を形成する冷却水管71を有している。冷却水管71には、冷却媒体としての冷却水cが流れる。凝縮器70は、高温再生器50で発生した冷媒Vの蒸気と低温再生器60で発生した冷媒Vの蒸気とが混合した再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これを冷却水cで冷却して凝縮させるように構成されている。冷却水管71は、再生器冷媒蒸気Vgを直接冷却することができるように、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮した冷媒液Vfに浸らないように配設されている。凝縮器70には、凝縮した冷媒液Vfを高温蒸発器20及び低温蒸発器40に向けて送る冷媒液管75が接続されている。冷媒液管75は、高温蒸発器20に接続された冷媒液管29及び低温蒸発器40に接続された冷媒液管48に接続されており、凝縮器70内の冷媒液Vfを高温蒸発器20と低温蒸発器40とに分配することができるように構成されている。冷媒液管75には、冷媒液Vfを圧送するための凝縮器冷媒ポンプ76が配設されている。凝縮器冷媒ポンプ76の下流側の冷媒液管75と高温溶液ポンプ56の上流側の高温濃溶液管55とは、吸収液希釈管79で接続されている。吸収液希釈管79には、流路を開閉する二方弁79vが配設されている。
高温再生器50及び低温再生器60と凝縮器70とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。高温再生器50及び低温再生器60と凝縮器70とが連通することにより、高温再生器50及び低温再生器60で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器70に供給することができるように構成されている。高温再生器50及び低温再生器60と凝縮器70とは、上部の気相部で連通している。
高温蒸発器20の高蒸熱源温水管21の一端には、吸収ヒートポンプ1の外部から供給される熱源温水hを高蒸熱源温水管21へ導く熱源温水搬送管94が接続されている。高蒸熱源温水管21の他端と高温再生器50の高再熱源温水管51の一端とは、熱源温水搬送管95で接続されている。高再熱源温水管51の他端と低再熱源温水管61の一端とは、熱源温水搬送管96で接続されている。低再熱源温水管61の他端と低蒸熱源温水管41の一端とは、熱源温水搬送管97で接続されている。低蒸熱源温水管41の他端には、熱源温水hを吸収ヒートポンプ1の外部へ導出する熱源温水搬送管98が接続されている。このように接続されていることで、高蒸熱源温水管21、高再熱源温水管51、低再熱源温水管61、低蒸熱源温水管41が同一の系統に構成されて、この順に熱源温水hが流れるように構成されている。
気液分離器80は、高温吸収器10の被加熱媒体管11を流れて加熱された被加熱媒体Wを導入し、被加熱媒体蒸気Wvと被加熱媒体液Wqとを分離する機器である。気液分離器80には、内部に貯留する被加熱媒体液Wqの液位を検出する気液分離器液位検出器81が設けられている。気液分離器80の下部と高温吸収器10の被加熱媒体管11の一端とは、被加熱媒体液Wqを被加熱媒体管11に導く被加熱媒体液管82で接続されている。被加熱媒体液管82には、被加熱媒体液Wqを被加熱媒体管11に向けて圧送する被加熱媒体ポンプ83が配設されている。内部が気相部となる気液分離器80の側面と被加熱媒体管11の他端とは、加熱された被加熱媒体Wを気液分離器80に導く加熱後被加熱媒体管84で接続されている。
また、気液分離器80には、蒸気として系外に供給された分の被加熱媒体Wを補うための補給水Wsを系外から導入する補給水管85が接続されている。補給水管85には、気液分離器80に向けて補給水Wsを圧送する補給水ポンプ86と、逆止弁85cと、補給水Wsを温水で予熱する補給水熱交換器87とが、補給水Wsの流れ方向に向かってこの順に配設されている。補給水ポンプ86は、気液分離器液位検出器81と信号ケーブルで接続されており、気液分離器80内の被加熱媒体液Wqの液位に応じて発停が制御されるように構成されている。また、気液分離器80には、被加熱媒体蒸気Wvを系外に供給する被加熱媒体蒸気供給管89が上部(典型的には頂部)に接続されている。被加熱媒体蒸気供給管89には、系外に供給する被加熱媒体蒸気Wvの流量を調節することで気液分離器80内の圧力を調節する圧力調節弁89vが配設されている。気液分離器80には、内部の静圧を検出する気液分離器圧力センサ92が設けられている。圧力調節弁89vは、気液分離器圧力センサ92と信号ケーブルで接続されており、気液分離器圧力センサ92で検出された圧力に応じて開度を調節することができるように構成されている。
気液分離器80は、被加熱媒体管11内で被加熱媒体液Wqの一部が蒸発して被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが混合した混合被加熱媒体Wmを導入してもよく、被加熱媒体液Wqのまま気液分離器80に導いて減圧し一部を気化させて混合被加熱媒体Wmとしたものを気液分離させるようにしてもよい。被加熱媒体液Wqを減圧気化するには、オリフィス等の絞り手段を用いることができる。被加熱媒体管11内で被加熱媒体液Wqの一部を蒸発させるか否かは、典型的には、被加熱媒体ポンプ83及び/又は補給水ポンプ86の吐出圧力を調節することにより、被加熱媒体管11内の圧力を被加熱媒体液Wqの温度に相当する飽和圧力よりも高くするか否かによって調節することができる。
制御装置99は、吸収ヒートポンプ1の運転を制御する機器である。制御装置99は、高温冷媒液循環ポンプ26、低温冷媒液循環ポンプ46、凝縮器冷媒ポンプ76、被加熱媒体ポンプ83とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、これらの発停や回転速度の調節を行うことができるように構成されている。これまでの説明では高温吸収器液位検出器14の出力を直接入力して制御されることとした高温溶液ポンプ56、低温吸収器液位検出器34の出力を直接入力して制御されることとした低温溶液ポンプ66、及び気液分離器液位検出器81の出力を直接入力して制御されることとした補給水ポンプ86も、制御装置99を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置99に入力して)制御されることとしてもよい。また、制御装置99は、二方弁79vと信号ケーブルで接続されており、二方弁79vの開閉を制御することができるように構成されている。これまでの説明では高温蒸発器液位検出器24の出力を直接入力して制御されることとした二方弁29v、低温蒸発器液位検出器44の出力を直接入力して制御されることとした流量調節弁48v、低温再生器液位検出器64の出力を直接入力して制御されることとした流量調節弁59v、及び気液分離器圧力センサ92の出力を直接入力して制御されることとした圧力調節弁89vも、制御装置99を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置99に入力して)制御されることとしてもよい。
引き続き図1に加えて図2のデューリング線図をも参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。図2のデューリング線図は、縦軸に冷媒V(本実施の形態では水)の飽和温度を、横軸に吸収液S(本実施の形態ではLiBr水溶液)の温度をとっている。右上がりの線は吸収液Sの等濃度線を表し、右に行くほど高濃度、左に行くほど低濃度となり、図中の原点を通る右上がりの線VDは溶液濃度0%(すなわち冷媒のみ)の線(これを「冷媒線VD」という)である。図2中、吸収ヒートポンプ1の定格運転における吸収液Sの状態は、高温吸収器10及び高温再生器50の系統が高温溶液線SHDで、低温吸収器30及び低温再生器60の系統が低温溶液線SLDで表されている。なお、縦軸が示す飽和温度は飽和圧力と対応関係にあるため、冷媒蒸気Vr、Vs、Vgが飽和蒸気である本実施の形態のヒートポンプサイクルでは、縦軸は主要構成部材10、20、30、40、50、60、70の内部圧力を表していると見ることもできる。
まず、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器70では、高温再生器50及び低温再生器60で発生した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、冷却水管71を流れる冷却水cで冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする(状態P70)。凝縮した冷媒液Vfは、凝縮器冷媒ポンプ76で高温蒸発器20及び低温蒸発器40に向けて圧送される。凝縮器冷媒ポンプ76で圧送された冷媒液Vfは、冷媒液管75を流れた後、冷媒液管29と冷媒液管48とに分流され、冷媒液管29を流れる冷媒液Vfは高温冷媒液Vf1として高温蒸発器20に導入され、冷媒液管48を流れる冷媒液Vfは低温冷媒液循環管45に導入される。このとき、高温蒸発器20の貯留部23内の高温冷媒液Vf1が所定の液位になるように、高温蒸発器液位検出器24の検出液位に応じて二方弁29vが制御され、低温蒸発器40の貯留部43内の低温冷媒液Vf2が所定の液位になるように、低温蒸発器液位検出器44の検出液位に応じて流量調節弁48vが制御される。
低温冷媒液循環管45に導入された冷媒液Vfは、低温冷媒液循環ポンプ46で低温冷媒液散布ノズル42に搬送され、低温冷媒液Vf2として低温蒸発器40内に散布される。低温冷媒液散布ノズル42から散布された低温冷媒液Vf2は、低蒸熱源温水管41内を流れる熱源温水hによって加熱され蒸発して低温冷媒蒸気Vsとなる。低温蒸発器40で発生した低温冷媒蒸気Vsは、低温蒸発器40と連通する低温吸収器30へと移動する。低温冷媒蒸気Vsとならなかった低温冷媒液Vf2は、一旦貯留部43に貯留された後に低温冷媒液循環管45を流れ、凝縮器70からの冷媒液Vfと合流して再び低温冷媒液散布ノズル42から散布される循環作用が行われる。低温蒸発器40内の冷媒Vは、状態P40となっている。
高温蒸発器20に導入された高温冷媒液Vf1は、一旦貯留部23に貯留された後に高温冷媒液循環管25を流れ、一部は冷媒液供給管27に流入して低温吸収器30の被加熱冷媒液管31へ向かい、残りは引き続き高温冷媒液循環管25を流れる。高温冷媒液循環管25を流れる高温冷媒液Vf1は、高温冷媒液循環ポンプ26により圧送されて高温冷媒液散布ノズル22から散布される。高温冷媒液散布ノズル22から散布された高温冷媒液Vf1は、高蒸熱源温水管21内を流れる熱源温水hによって加熱され蒸発して高温冷媒蒸気Vrとなる。高温冷媒蒸気Vrとならなかった高温冷媒液Vf1は、凝縮器70からの冷媒液Vfと共に再び貯留部23に貯留される。
他方、高温冷媒液循環管25から冷媒液供給管27へ流入した高温冷媒液Vf1は、低温吸収器30の被加熱冷媒液管31に導入される。被加熱冷媒液管31に導入された高温冷媒液Vf1は、低温吸収器30において、低温蒸発器40で発生して低温吸収器30に移動してきた低温冷媒蒸気Vsが低温濃溶液Sbに吸収される際に発生する吸収熱(H20)により加熱され、この加熱により蒸発して高温冷媒蒸気Vrとなる。被加熱冷媒液管31内で発生した高温冷媒蒸気Vrは、高温冷媒液Vf1よりも密度が小さいために高温蒸発器20に向かって上昇し、高温冷媒蒸気受入管28を流れて高温蒸発器20内に流入し、高蒸熱源温水管21内の熱源温水hに加熱されて生成された高温冷媒蒸気Vrと合流して、高温蒸発器20と連通する高温吸収器10へと移動する。高温蒸発器20内の冷媒Vは、状態P20となっている。このように、吸収ヒートポンプ1では、高温冷媒蒸気Vrが、高蒸熱源温水管21内の熱源温水hによる加熱のみならず、低温吸収器30内で発生する吸収熱H20による加熱によっても生成されるので、より多量の高温冷媒蒸気Vrが生成されることとなる。
次に吸収ヒートポンプ1の吸収液側のサイクルを説明する。高温吸収器10では、高温濃溶液Saが高温濃溶液散布ノズル12から散布され(状態P12)、この散布された高温濃溶液Saが高温蒸発器20から移動してきた高温冷媒蒸気Vrを吸収する。高温冷媒蒸気Vrを吸収した高温濃溶液Saは、濃度が低下して高温希溶液Swとなる(状態P13)。高温吸収器10では、高温濃溶液Saが高温冷媒蒸気Vrを吸収する際に吸収熱(Hw)が発生する。この吸収熱Hwにより、被加熱媒体管11を流れる被加熱媒体液Wqが加熱される。ここで、被加熱媒体蒸気Wvを取り出すための気液分離器80まわりの作用について説明する。
気液分離器80には、系外から補給水Wsが補給水管85を介して導入される。補給水Wsは、補給水ポンプ86により補給水管85を圧送され、補給水熱交換器87で温度が上昇した後に気液分離器80に導入される。気液分離器80に導入された補給水Wsは、被加熱媒体液Wqとして気液分離器80の下部に貯留される。気液分離器80の下部に貯留される被加熱媒体液Wqが所定の液位になるように、補給水ポンプ86が制御される。気液分離器80の下部に貯留されている被加熱媒体液Wqは、被加熱媒体ポンプ83で高温吸収器10の被加熱媒体管11に送られる。被加熱媒体管11に送られた被加熱媒体液Wqは、高温吸収器10における上述の吸収熱Hwにより加熱される。被加熱媒体管11で加熱された被加熱媒体液Wqは、一部が蒸発して被加熱媒体蒸気Wvとなった混合被加熱媒体Wmとして、あるいは温度が上昇した被加熱媒体液Wqとして、気液分離器80に向けて加熱後被加熱媒体管84を流れる。加熱後被加熱媒体管84を、温度が上昇した被加熱媒体液Wqが流れる場合、被加熱媒体液Wqは、気液分離器80に導入される際に減圧され、一部が蒸発して被加熱媒体蒸気Wvとなった混合被加熱媒体Wmとして気液分離器80に導入される。気液分離器80に導入された混合被加熱媒体Wmは、被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが分離される。分離された被加熱媒体液Wqは、気液分離器80の下部に貯留され、再び高温吸収器10の被加熱媒体管11に送られる。他方、分離された被加熱媒体蒸気Wvは、被加熱媒体蒸気供給管89に導出され、蒸気利用場所に供給される。本実施の形態では、0.2〜0.4MPa(ゲージ圧)を超えて約150℃の被加熱媒体蒸気Wvが気液分離器80から導出され、また、熱源温水hの温度を上昇させることで0.8MPa(ゲージ圧)程度の、あるいはこれらの間の任意の圧力の被加熱媒体蒸気Wvが導出される。
再び吸収ヒートポンプ1の吸収液側のサイクルの説明に戻る。高温吸収器10で高温冷媒蒸気Vrを吸収した高温濃溶液Saは、濃度が低下して高温希溶液Swとなり(状態P13)、貯留部13に貯留される。貯留部13内の高温希溶液Swは、重力及び内圧の差により高温再生器50に向かって高温希溶液管16を流れ、高温溶液熱交換器58で高温濃溶液Saと熱交換して温度が低下した後に、高温希溶液散布ノズル52から散布される(状態P52)。高温希溶液散布ノズル52から高再熱源温水管51に向けて散布された高温希溶液Swは、高再熱源温水管51内を流れる熱源温水hによって加熱濃縮されて、冷媒Vの一部が蒸発して濃度が上昇し、高温濃溶液Saとなって(状態P53)、高温再生器50の貯留部53に貯留される。貯留部53に貯留された高温濃溶液Saは、高温溶液ポンプ56により、高温濃溶液管55を介して吸収器10の高温濃溶液散布ノズル12に向けて圧送され、高温溶液熱交換器58で高温希溶液Swと熱交換して温度が上昇した後に、高温濃溶液散布ノズル12から散布される(状態P12)。このとき、高温吸収器10の貯留部13に貯留された高温希溶液Swが所定の液位になるように、高温吸収器液位検出器14の検出液位に応じてインバータ56vにより高温溶液ポンプ56の回転速度(ひいては吐出流量)が調節される。高温濃溶液散布ノズル12から散布された高温濃溶液Saは、高温冷媒蒸気Vrを吸収し、以降、同様のサイクルを繰り返す。
他方、低温吸収器30では、低温濃溶液散布ノズル32から被加熱冷媒液管31に向けて散布された低温濃溶液Sb(状態P32)が、低温蒸発器40から移動してきた低温冷媒蒸気Vsを吸収し、その際に発生する吸収熱で被加熱冷媒液管31内を流れる高温冷媒液Vf1を加熱して高温冷媒蒸気Vrとする。低温冷媒蒸気Vsを吸収した低温濃溶液Sbは、濃度が低下して低温希溶液Svとなり(状態P33)、貯留部33に貯留される。貯留部33の低温希溶液Svは、重力及び内圧の差により低温再生器60へ送られる。低温希溶液Svは、低温吸収器30から低温再生器60に向かって低温希溶液管36を流れる際、低温溶液熱交換器68で低温濃溶液Sbと熱交換して温度が低下する。低温再生器60に送られた低温希溶液Svは、低温希溶液散布ノズル62から散布される(状態P62)。低温希溶液散布ノズル62から散布された低温希溶液Svは、低再熱源温水管61を流れる熱源温水hによって加熱され、散布された低温希溶液Sv中の冷媒が蒸発して低温濃溶液Sbとなり(状態P63)、低温再生器60の貯留部63に貯留される。
他方、低温希溶液Svから蒸発した冷媒Vは、高温再生器50で発生した冷媒Vの蒸気と合流し、再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器70へと移動する。低温再生器60の貯留部63に貯留された低温濃溶液Sbは、低温溶液ポンプ66により、低温濃溶液管38を介して低温吸収器30の低温濃溶液散布ノズル32に圧送される。このとき、低温吸収器30の貯留部33に貯留される低温希溶液Svの液位が所定の液位になるように、低温吸収器液位検出器34の検出液位に応じてインバータ66vにより低温溶液ポンプ66の回転速度(ひいては吐出流量)が調節される。低温濃溶液管38を流れる低温濃溶液Sbは、低温溶液熱交換器68で低温希溶液Svと熱交換して温度が上昇してから低温吸収器30に流入し、低温濃溶液散布ノズル32から散布される(状態P32)。以降、同様のサイクルを繰り返す。このように、吸収ヒートポンプ1では、吸収液S側のサイクルが、高温吸収器10及び高温再生器50の系統と、低温吸収器30及び低温再生器60の系統とで、別個に構成されている。
また、吸収ヒートポンプ1では、上述の運転を行っている際、高温再生器50の貯留部53から導出される高温濃溶液Saが所定の濃度を超えたときに、制御装置99が二方弁79vを開にして冷媒液Vfを高温濃溶液管55に流入させ、高温濃溶液Saの濃度を低下させる。所定の濃度は、冷媒液Vfを高温濃溶液管55に流入させる間に吸収液Sが結晶してしまうこと(結晶ラインに到達すること)を回避することができる余裕分を考慮した濃度である。貯留部53から導出される高温濃溶液Saの濃度は、制御装置99に信号ケーブルで接続された濃度計(不図示)あるいは濃度を算出可能な物理量を検出する計測器(不図示)によって検出することができる。また、低温再生器液位検出器64で検出された貯留部63の液位が低下しすぎたとき、制御装置99は流量調節弁59vの開度を調節して高温溶液ポンプ56で吐出された高温濃溶液Saの一部を低温希溶液管36へ流入させる。反対に、貯留部63の液位が上昇して溢流管69の上端を超えたときに、低温濃溶液Sbが溢流管69を介して高温再生器50内に流入する。このようにして、溶液線SHDと溶液線SLDとの間で吸収液Sが融通され、上述の吸収液Sの結晶の回避の制御と相俟って、吸収ヒートポンプ1の適正な運転が行われる。
また、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1では、約120℃の熱源温水hが高蒸熱源温水管21に導入され、高温冷媒液Vf1を加熱し、次いで高再熱源温水管51を流れて高温希溶液Swを加熱して、約100℃の熱源温水hが高再熱源温水管51から導出される。この、高温吸収器10及び高温再生器50の系統の吸収液Sのサイクルは、単段サイクルと見ることができ、COPは概ね0.45である。高温吸収器10及び高温再生器50の系統では、熱源温水hを120℃から100℃まで利用しているため、(120−100)×0.45=9[K]の顕熱に相当する被加熱媒体蒸気Wvを生成することができる。さらに、高再熱源温水管51から導出された約100℃の熱源温水hは、低再熱源温水管61に流入して低温希溶液Svを加熱し、次いで低蒸熱源温水管41を流れて低温冷媒液Vf2を加熱して、約74℃の熱源温水hが低蒸熱源温水管41から導出される。前述のように、低温吸収器30及び低温再生器60の系統で汲み上げられた熱(低温吸収器30における吸収熱H20)は、さらに汲み上げられて高温冷媒液Vf1を蒸発させるのに用いられる。このように、低温吸収器30及び低温再生器60の系統の吸収液Sのサイクルによって生じた吸収熱は、さらに高温吸収器10及び高温再生器50の系統で用いられるべく昇温されているので、二段昇温サイクルと見ることができ、COPは概ね0.3である。低温吸収器30及び低温再生器60の系統では、熱源温水hを100℃から74℃まで利用して二段昇温しているため、(100−74)×0.3=8.7[K]の顕熱に相当する被加熱媒体蒸気Wvを生成することができる。
以上で説明したように、吸収ヒートポンプ1では、熱源温水hの熱を、高温の領域(120℃〜100℃)から低温の領域(100℃〜74℃)まで広範囲にわたって利用することが可能であるため、被加熱媒体蒸気Wvの生成にかかわる高温冷媒蒸気Vrをより多く生成することができ、ひいてはより多くの被加熱媒体蒸気Wvを生成することができる。それでいて、高温吸収器10に導入される高温冷媒蒸気Vrが、高蒸熱源温水管21内を流れる熱源温水hの熱が利用されて生成されたものと、低蒸熱源温水管41内を流れる熱源温水hの熱に起因して低温吸収器30内で発生した吸収熱が利用されて生成されたものとが合流したものであるから、吸収ヒートポンプ1は二段昇温サイクルの高温吸収器と単段昇温サイクルの吸収器とを兼用した構成となっており、単段昇温型の吸収ヒートポンプ及び二段昇温型の吸収ヒートポンプの2台の吸収ヒートポンプを設置する必要がなく、機器据付面積の増大を抑制することができる。
以上の説明では、高蒸熱源温水管21、高再熱源温水管51、低再熱源温水管61、低蒸熱源温水管41が、同一の系統に構成されて、この順に熱源温水hが流れるように構成されているとしたが、例えば高蒸熱源温水管21及び高再熱源温水管51(高温の系統)と、低再熱源温水管61及び低蒸熱源温水管41(低温の系統)とで別の系統に構成し、高温の系統と低温の系統とで熱源温水hの利用温度範囲の一部が重複するように構成してもよい。しかしながら、高蒸熱源温水管21、高再熱源温水管51、低再熱源温水管61、低蒸熱源温水管41を同一の系統に構成することで、単段昇温サイクルと二段昇温サイクルとを単一の熱源で駆動しつつ熱源温水hの熱を広範囲に有効利用することができるため好ましい。あるいは、低再熱源温水管61と低蒸熱源温水管41とで熱源温水hが流れる順序を入れ替えて、高蒸熱源温水管21、高再熱源温水管51、低蒸熱源温水管41、低再熱源温水管61が同一の系統に構成されて、この順に熱源温水hが流れるように構成してもよい。
以上の説明では、低温吸収器30内に配設された被加熱冷媒液管31内に高温冷媒液Vf1が導入されることで低温吸収器30内において発生した吸収熱が高温冷媒蒸気Vrの生成に用いられることとしたが、以下のような構成であってもよい。
図3は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る吸収ヒートポンプの部分系統図であり、(a)は第1の変形例に係る吸収ヒートポンプ1A、(b)は第2の変形例に係る吸収ヒートポンプ1Bを示している。吸収ヒートポンプ1A、1Bでは、吸収ヒートポンプ1(図1参照)に対し、低温吸収器30で発生した吸収熱を高温冷媒液Vf1へ伝達する態様が異なっている。図3で省略している高温吸収器10(図1参照)、凝縮器70(図1参照)、及び気液分離器80(図1参照)まわりの構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様である。
図3(a)に示す吸収ヒートポンプ1Aは、高温蒸発器20内に、高蒸熱源温水管21と併設する形で、熱媒体伝熱管229が設けられ、さらに、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていた冷媒液供給管27(図1参照)及び高温冷媒蒸気受入管28(図1参照)に代えて循環熱媒体管227、228が設けられると共に、低温吸収器30内の被加熱冷媒液管31(図1参照)に代えて被加熱循環媒体管231が設けられており、高温蒸発器20内の熱媒体伝熱管229と低温吸収器30内の被加熱循環媒体管231とが循環熱媒体管227、228で接続されて、熱媒体tを循環させる密閉の循環流路が形成されている。循環熱媒体管228には、熱媒体tを流動させる循環熱媒体ポンプ226が配設されている。
吸収ヒートポンプ1Aでは、循環熱媒体ポンプ226によって循環させられている熱媒体tが、被加熱循環媒体管231内を流れる際に、低温吸収器30内で低温濃溶液Sbが低温冷媒蒸気Vsを吸収する際に発生する吸収熱により加熱される。加熱された熱媒体tは、熱媒体伝熱管229を流れる際に、高温蒸発器20内で高温冷媒液散布ノズル22から散布された高温冷媒液Vf1に熱を与えて蒸発させ、自身は温度が低下して再び被加熱循環媒体管231に送られて加熱される作用を繰り返す。このように、吸収ヒートポンプ1Aでは、熱媒体tを介して低温吸収器30で発生した吸収熱を高温蒸発器20内の高温冷媒液Vf1に与えることとしている。
図3(b)に示す吸収ヒートポンプ1Bは、吸収ヒートポンプ1(図1参照)では低温蒸発器40と同じ缶胴内に設けられていた低温吸収器30(図1参照)が、加熱用吸収装置351の形態で高温蒸発器20内に設けられている点が大きく異なっている。加熱用吸収装置351は、高温蒸発器20内で高蒸熱源温水管21と併設されている。加熱用吸収装置351は、低温吸収器の役割を果たす装置であり、複数の伝熱管が鉛直に延びるように配設され、複数の伝熱管の各上端が上部ヘッダーで、各下端が下部ヘッダーでそれぞれ接続されている。加熱用吸収装置351の上部ヘッダーには、低温蒸発器40内で生成された低温冷媒蒸気Vsを流す低温冷媒蒸気管357と、低温濃溶液Sbを流す低温濃溶液管38とが接続されている。加熱用吸収装置351の下部ヘッダーには、低温希溶液Svを流す低温希溶液管36が接続されている。つまり、低温濃溶液管38は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で接続されていた低温濃溶液散布ノズル32(図1参照)に代えて加熱用吸収装置351の上部ヘッダーに接続されており、低温希溶液管36は、貯留部33(図1参照)に代えて加熱用吸収装置351の下部ヘッダーに接続されている。
吸収ヒートポンプ1Bでは、高温蒸発器20において、加熱用吸収装置351の内部に低温濃溶液Sb及び低温冷媒蒸気Vsを導入し、加熱用吸収装置351の伝熱管内で低温濃溶液Sbに低温冷媒蒸気Vsを吸収させて吸収熱を発生させ、高温冷媒液散布ノズル22から加熱用吸収装置351の外部に散布された高温冷媒液Vf1を加熱して蒸発させるように構成されている。加熱用吸収装置351では、高温蒸発器20の内圧よりも高圧である低温濃溶液Sb及び低温冷媒蒸気Vsを内部に導入することとしている。加熱用吸収装置351内で低温濃溶液Sbが低温冷媒蒸気Vsを吸収して濃度が低下した低温希溶液Svは、下部ヘッダーから低温希溶液管36を流れて低温再生器60に至り、低温濃溶液Sbに再生されて再び加熱用吸収装置351の上部ヘッダーに送られて、上述の作用を繰り返す。このように、吸収ヒートポンプ1Bでは、低温吸収器の役割を果たす加熱用吸収装置351を高温蒸発器20内に配設し、発生した吸収熱を直接的に高温冷媒液Vf1に与えることとしているため、温度効率に優れている。
次に図4を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ2を説明する。図4は、吸収ヒートポンプ2の系統図である。吸収ヒートポンプ2は、熱源流体として熱源ガスGを用い、利用価値の高い被加熱媒体蒸気Wvを取り出す装置としている。吸収ヒートポンプ2は、熱源流体として熱源ガスGを用いている特性上、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と比較して以下に示す構成上の相違がある。吸収ヒートポンプ2は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)が備えていた高温蒸発器20、高温再生器50、低温再生器60、低温蒸発器40に代えて、第1の蒸発器としての高温蒸発器20A、第1の再生器としての高温再生器50A、第2の再生器としての低温再生器60A、第2の蒸発器としての低温蒸発器40Aが、この順に配列されている。したがって、これらは、高温吸収器10あるいは低温吸収器30と、同一の缶胴に形成されていない。
高温蒸発器20Aは、上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に複数の垂直伝熱管が両ヘッダーと連通するように接続され、各垂直伝熱管の外側が熱源ガスGの流路490となっており、流路490を流れる熱源ガスGにより垂直伝熱管内を流れる流体が加熱されるように構成されている。高温再生器50A、低温再生器60A、低温蒸発器40Aも、高温蒸発器20Aと同様に、上部ヘッダーと下部ヘッダーとが複数の垂直伝熱管を介して連通され、各垂直伝熱管の外側に熱源ガスGの流路490が形成された構造となっている。これらは、互いに構造が概ね同じであるが、垂直伝熱管内を流れる流体の種類は異なる。構造が「概ね」同じというのは、高温再生器50A及び低温再生器60Aは、それぞれ、濃度的に再生した吸収液Sを受け入れる出口ヘッダー455、465が設けられ、上部ヘッダーと出口ヘッダー455、465とが吸収液出口(図4中に実線で表わされている角穴)を介して連通している構造となっている点が、高温蒸発器20A及び低温蒸発器40Aと異なっていることを考慮したものである。流路490は、高蒸熱源温水管21(図1参照)、高再熱源温水管51(図1参照)、低再熱源温水管61(図1参照)、低蒸熱源温水管41(図1参照)に代えて設けられた構成部材(代替構成部材)である。
高温蒸発器20Aは、下部ヘッダーに、凝縮器70からの冷媒液Vfを導入する冷媒液管29が接続されていると共に、高温冷媒液Vf1を低温吸収器30の被加熱冷媒液管31へ導く冷媒液供給管27が直接(高温冷媒液循環管25(図1参照)を介さずに)接続されている。冷媒液供給管27には、高温冷媒液Vf1を圧送する高温冷媒液循環ポンプ426が配設されている。上部ヘッダーには、被加熱冷媒液管31内で生成された高温冷媒蒸気Vrを導入する高温冷媒蒸気受入管28が接続されている。また、上部ヘッダーと高温吸収器10の気相部とは、高温冷媒蒸気Vrを流す高温冷媒蒸気管418で接続されている。高温蒸発器液位検出器24は、上部ヘッダーに設けられている。高温蒸発器20Aは、冷媒液管29から下部ヘッダーに冷媒液Vfが導入され、導入された冷媒液Vfが垂直伝熱管を上昇する際に熱源ガスGによって加熱されて蒸発し、さらに高温冷媒液Vf1を被加熱冷媒液管31に供給して生成された高温冷媒蒸気Vrを受け入れて、熱源ガスGの熱及び低温吸収器30における吸収熱で生成された高温冷媒蒸気Vrが、上部ヘッダーから高温冷媒蒸気管418へ導出されるように構成されている。
高温再生器50Aは、下部ヘッダーに高温吸収器10からの高温希溶液Swを導入する高温希溶液管16が接続されている。上部ヘッダーには、冷媒Vの蒸気を流す高温再生器冷媒蒸気管457が接続されている。また、上部ヘッダー内には、吸収液Sの液位を検出する高温再生器液位検出器454が設けられている。高温再生器液位検出器454は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていた高温吸収器液位検出器14(図1参照)に代えて、高温溶液ポンプ56のインバータ56vと信号ケーブルで接続されており、高温再生器液位検出器454で検出した液位に応じて高温溶液ポンプ56の回転速度(ひいては吐出流量)が調節されるように構成されている。出口ヘッダー455には、高温吸収器10へ高温濃溶液Saを導く高温濃溶液管55が接続されている。高温再生器50Aは、高温希溶液管16から下部ヘッダーに高温希溶液Swが導入され、導入された高温希溶液Swが垂直伝熱管を上昇する際に熱源ガスGによって加熱され冷媒Vが蒸発して高温濃溶液Saとなり、蒸発した冷媒Vは上部ヘッダーから高温再生器冷媒蒸気管457へ導出され、高温濃溶液Saは吸収液出口から出口ヘッダー455を介して高温濃溶液管55へ導出されるように構成されている。
低温再生器60Aは、下部ヘッダーに低温吸収器30からの低温希溶液Svを導入する低温希溶液管36が接続されている。上部ヘッダーには、冷媒Vの蒸気を流す低温再生器冷媒蒸気管467が接続されている。低温再生器液位検出器64は、上部ヘッダー内に配設されている。低温再生器液位検出器64は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていた低温吸収器液位検出器34(図1参照)に代えて、低温溶液ポンプ66のインバータ66vと信号ケーブルで接続されており、低温再生器液位検出器64で検出した液位に応じて低温溶液ポンプ66の回転速度(ひいては吐出流量)が調節されるように構成されている。出口ヘッダー465には、低温吸収器30へ低温濃溶液Sbを導く低温濃溶液管38が接続されている。低温再生器60Aは、低温希溶液管36から下部ヘッダーに低温希溶液Svが導入され、導入された低温希溶液Svが垂直伝熱管を上昇する際に熱源ガスGによって加熱され冷媒Vが蒸発して低温濃溶液Sbとなり、蒸発した冷媒Vは上部ヘッダーから低温再生器冷媒蒸気管467へ導出され、低温濃溶液Sbは吸収液出口から出口ヘッダー465を介して低温濃溶液管38へ導出されるように構成されている。低温再生器冷媒蒸気管467は、高温再生器冷媒蒸気管457と接続されて再生器冷媒蒸気管477となり、再生器冷媒蒸気管477は凝縮器70に接続されている。これにより、高温再生器50Aから導出された冷媒Vの蒸気と低温再生器60Aから導出された冷媒Vの蒸気とは合流して再生器冷媒蒸気Vgとなり、凝縮器70へ導入されるように構成されている。
低温蒸発器40Aは、下部ヘッダーに凝縮器70からの冷媒液Vfを導入する冷媒液管48が接続されている。上部ヘッダーと低温吸収器30の気相部とは、低温冷媒蒸気Vsを流す低温冷媒蒸気管447で接続されている。低温蒸発器液位検出器44は、上部ヘッダーに設けられている。低温蒸発器40Aは、冷媒液管48から下部ヘッダーに冷媒液Vfが導入され、導入された冷媒液Vfが垂直伝熱管を上昇する際に熱源ガスGによって加熱されて蒸発し、生成された低温冷媒蒸気Vsが上部ヘッダーから低温冷媒蒸気管447へ導出されるように構成されている。
本実施の形態では、高温蒸発器20A、高温再生器50A、低温再生器60A、低温蒸発器40Aが、これらを貫く流路490が直線的に形成されるように、直列に配設されている。このように、直線的に配列されていると、熱源流体が単位体積あたりの熱容量が小さいガス(熱源ガスG)であり、吸収ヒートポンプ2の作動に必要な熱量を得るためには非常に大きな体積流量の熱源ガスGを流す必要があるときであっても、流動抵抗による圧力損失を低く抑えることができる。すなわち、ガス(熱源ガスG)を流動させるための動力は大きくなりがちであるが、曲がり損失あるいはターンによる損失を低減することで、省エネルギーに資することとなる。しかしながら、曲がり損失あるいはターンによる損失を許容できる場合は、装置の小型化を図る観点から、流路490中に曲がりやターンが形成されていてもよい。
また、吸収ヒートポンプ2は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていた吸収液補充管59(図1参照)に代えて、高温溶液ポンプ56の下流側の高温濃溶液管55と低温溶液ポンプ66の上流側の低温濃溶液管38とを接続する高温吸収液補充管459が設けられている。高温吸収液補充管459には、低温濃溶液管38に流入する高温濃溶液Saの流量を調節する流量調節弁459vが配設されている。また、吸収ヒートポンプ2では、低温溶液ポンプ66の下流側の低温濃溶液管38と高温溶液ポンプ56の上流側の高温濃溶液管55とが、低温吸収液補充管469で接続されている。低温吸収液補充管469には、高温濃溶液管55に流入する低温濃溶液Sbの流量を調節する流量調節弁469vが配設されている。流量調節弁459v、469vは、それぞれ制御装置99と信号ケーブルで接続されている。制御装置99は、低温吸収器液位検出器34から液位信号を受信し、低温吸収器液位検出器34が高液位を検出したときに流量調節弁469vを開いて低温濃溶液Sbを高温濃溶液管55へ流入させ、低液位を検出したときに流量調節弁459vを開いて高温濃溶液Saを低温濃溶液管38へ流入させるように構成されている。吸収ヒートポンプ2のこれまで説明した相違点以外の構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様である。なお、高温再生器50Aの上部ヘッダーと低温再生器60Aの上部ヘッダーと凝縮器70とを一体化するなど、吸収ヒートポンプ2の缶胴構成を適宜変更してもよい。
上述のように構成された吸収ヒートポンプ2は、熱源流体が熱源ガスGであるものの、吸収液S及び冷媒Vのサイクルは、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様に作動する。それゆえ、吸収ヒートポンプ2では、熱源ガスGの熱を、高温の領域から低温の領域まで広範囲にわたって利用することが可能であり、被加熱媒体蒸気Wvの生成にかかわる高温冷媒蒸気Vrをより多く生成することができ、ひいてはより多くの被加熱媒体蒸気Wvを生成することができる。また、吸収ヒートポンプ2においても、高温吸収器10に導入される高温冷媒蒸気Vrが、流路490を流れる熱源ガスGの熱が利用されて生成されたものと、熱源ガスGの熱に起因して低温吸収器30内で発生した吸収熱が利用されて生成されたものとが合流したものであり、二段昇温サイクルの高温吸収器と単段昇温サイクルの吸収器とを兼用した構成となって、単段昇温型の吸収ヒートポンプ及び二段昇温型の吸収ヒートポンプの2台の吸収ヒートポンプを設置する必要がなく、機器据付面積の増大を抑制することができる。
以上で説明したように、吸収ヒートポンプ1(変形例1A、1Bを含む。以下同じ。)及び吸収ヒートポンプ2では、熱源流体(熱源温水h及び熱源ガスG)の熱を広範囲に有効利用することができるため、排熱を保有する排温水や排ガス等の一過性の熱源を熱源温水hあるいは熱源ガスGとして利用するのに適している。換言すれば、吸収ヒートポンプ1、2では、従来では捨てられていた比較的低温域の排熱を有効利用することができ、排出される熱源流体の温度をより周囲環境温度に近づけることができるので、好適である。なお、このことは、エンジンの冷却水のような循環性の熱源を利用することを妨げるものではない。
以上の説明では、熱源流体(熱源温水h又は熱源ガスG)が最初に高温蒸発器20、20Aに導入されることとしたが、最初に補給水熱交換器87に導入して補給水Wsを加熱した後に高温蒸発器20、20Aに導入される構成としてもよい。このように構成すると、補給水熱交換器87における補給水Wsの加熱の際のCOPは1に近く、補給水Wsを気液分離器80経由で高温吸収器10内に流入させて加熱する場合(COPは概ね0.3〜0.45)よりも、同じ熱量を補給水Wsに与えるのに投入される熱量が少なくて済むので好ましい。それでいて、補給水熱交換器87で加熱される補給水Wsの流量は比較的少ないので、補給水熱交換器87において熱源流体から奪われる熱量も比較的少なく、吸収ヒートポンプ1、2における吸収液S及び冷媒Vのサイクルの作動に与える影響も限定的である。また、補給水熱交換器87に導入する熱源流体と補給水Wsとを対向流とすれば、補給水熱交換器87の熱は補給水Wsの補給温度近くまで利用することができる。この場合、補給水Wsは補給水熱交換器87を出た後で高温蒸発器20、20Aに導入するよりも並列に流すこととするとよい。
以上の説明では、高温再生器50と低温再生器60とが同じ缶胴内に収容されていて、缶胴の下部に高温再生器50が、上部に低温再生器60が配設されていることとしたが、上部に高温再生器50が、下部に低温再生器60が配設されていることとしてもよく、高温再生器50と低温再生器60とが横並びに配設されていることとしてもよい。また、高温再生器50で蒸発した冷媒Vの蒸気と低温再生器60で蒸発した冷媒Vの蒸気とが共通の凝縮器70で凝縮されることとしたが、高温再生器50で蒸発した冷媒Vの蒸気を凝縮させる凝縮器と、低温再生器60で蒸発した冷媒Vの蒸気を凝縮させる凝縮器とを個別に設けてもよい。この場合は、高温再生器50及び高温再生器50用の凝縮器と、低温再生器60及び低温再生器60用の凝縮器との組み合わせで、それぞれ別の缶胴に収容される構成とするのが好ましい。
1、2 吸収ヒートポンプ
10 高温吸収器
11 被加熱媒体管
20 高温蒸発器
21 高蒸熱源温水管
30 低温吸収器
40 低温蒸発器
41 低蒸熱源温水管
50 高温再生器
51 高再熱源温水管
60 低温再生器
61 低再熱源温水管
490 流路
h 熱源温水
G 熱源ガス
Sa 高温濃溶液
Sb 低温濃溶液
Sw 高温希溶液
Sv 低温希溶液
Vf1 高温冷媒液
Vf2 低温冷媒液
Vr 高温冷媒蒸気
Vs 低温冷媒蒸気
W 被加熱媒体

Claims (2)

  1. 熱源流体の流路を内部に有し、前記熱源流体の熱で第1の冷媒液を蒸発させて第1の冷媒蒸気を生成する第1の蒸発器と;
    被加熱媒体の流路を内部に有し、前記第1の蒸発器で生成された第1の冷媒蒸気を受け入れて、第1の吸収液が前記第1の冷媒蒸気を吸収する際に発生する吸収熱で前記被加熱媒体を加熱する第1の吸収器と;
    熱源流体の流路を内部に有し、前記第1の吸収器において前記第1の吸収液が前記第1の冷媒蒸気を吸収して濃度が低下した第1の希溶液を受け入れて、前記熱源流体の熱で前記第1の希溶液から冷媒を蒸発させて前記第1の吸収液を濃度的に再生する第1の再生器と;
    前記第1の蒸発器に導入される熱源流体よりも温度が低い熱源流体の流路を内部に有し、前記熱源流体の熱で第2の冷媒液を蒸発させて第2の冷媒蒸気を生成する第2の蒸発器と;
    前記第2の蒸発器で生成された第2の冷媒蒸気を受け入れて、第2の吸収液が前記第2の冷媒蒸気を吸収する際に発生する吸収熱で、前記第1の蒸発器の前記第1の冷媒液を加熱して蒸発させる第2の吸収器と;
    前記第1の再生器に導入される熱源流体よりも温度が低い熱源流体の流路を内部に有し、前記第2の吸収器において前記第2の吸収液が前記第2の冷媒蒸気を吸収して濃度が低下した第2の希溶液を受け入れて、前記熱源流体の熱で前記第2の希溶液から冷媒を蒸発させて前記第2の吸収液を濃度的に再生する第2の再生器とを備える;
    吸収ヒートポンプ。
  2. 前記第1の蒸発器内の前記熱源流体の流路と、前記第1の再生器内の前記熱源流体の流路と、前記第2の蒸発器内の前記熱源流体の流路及び前記第2の再生器内の前記熱源流体の流路の少なくとも一方と、が同一の系統に構成され;
    前記第1の蒸発器内の前記熱源流体の流路及び前記第1の再生器内の前記熱源流体の流路を流れた後の前記熱源流体が、前記第2の蒸発器内の前記熱源流体の流路及び前記第2の再生器内の前記熱源流体の流路の少なくとも一方に導入されるように構成された;
    請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
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