JPWO2004046622A1 - 吸収冷凍機 - Google Patents

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Abstract

より効率がよく、コンパクトな、60〜70°C程度の温水を熱源とする吸収冷凍機を提供する。再生器G、凝縮器C、吸収器A、蒸発器E、補助再生器GX及び補助吸収器AXを備えた吸収冷凍機において、前記Gからの濃溶液を、GXで加熱してさらに濃縮し、Aからの希溶液をAXで冷却しながら、GXからの冷媒蒸気を吸収させる構成にすると共に、GXからAへ導かれる濃溶液と、AXからGに送られる希溶液との間で熱交換をする低温側熱交換器XLを設け、さらに、前記XLを出てGに送られる希溶液を、GからGXに導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器XHを設けた。

Description

本発明は、吸収冷凍機に係り、特に、エンジンの冷却排熱(ジャケット温水)、工場プロセスの冷却排熱、ボイラー排ガスからの温水回収熱など、比較的温度の低い温水、例えば60〜70℃程度の温水を熱源とする吸収冷凍機に関するものである。
エンジンの冷却排熱(ジャケット温水)、工場プロセスの冷却排熱など60〜70℃程度の比較的低温の排熱は、世の中に多量に存在するが、これらの排熱は、温度が低いため、利用先が少なく、直接的あるいは冷却塔を介して間接的に廃棄することが多い。
排温水を加熱源とし、冷水を製造する吸収冷凍機が知られている。冷却塔による30〜31℃程度の冷却水を冷却源として、空調用途の7℃程度の冷水を作る例として、図14に、デューリング線図上に描いた単効用吸収サイクルを示す。
蒸発器Eで冷媒が蒸発し、図中のE−A間の破線の如く移動し、吸収器Aに吸収される。濃度の低下した希溶液は、再生器Gにて外部からの熱源で加熱され、蒸発器で蒸発した冷媒と同量の冷媒蒸気を放出して、濃縮されて吸収器Aに戻る。この際、熱回収のため熱交換器Xを利用する(濃溶液側X2と希溶液側X1とで熱交換する)。再生器Gで発生した冷媒蒸気は、図中のG−C間の破線の如く移動し、凝縮器Cで凝縮し、冷媒液となる。この冷媒液は、凝縮器Cから蒸発器Eに戻る。
蒸発温度5℃、吸収器出口温度35℃、凝縮温度35℃程度とすると、再生器の溶液温度は、69〜74℃程度となり、加熱源となる温水入口温度は75℃程度は必要になる。
即ち、単効用吸収冷凍機では、65〜70℃の温水は加熱源として温度が低すぎて、7℃程度の冷水は製造できなくなっている。
また、市場には60〜65℃前後の排温水を加熱源とし、冷却塔による30〜31℃程度の冷却水を冷却源として、空調用途の10℃以下の冷水を製造可能な冷凍機として、二段濃縮型の吸収冷凍機がある。
図15に、デューリング線図上に描いた二段濃縮型吸収サイクルで、両再生器GL、GHがほぼ同面積、両吸収器AL、AHもほぼ同面積を持つとした場合の例であり、一般的な面積関係のサイクル例を示す。
蒸発器Eで冷媒が蒸発し、図中のE−AL間の破線の如く移動し、吸収器ALに吸収される。
濃度の低下した希溶液は、低圧再生器GLにて外部からの熱源で加熱され、蒸発器で蒸発した冷媒と同量の冷媒蒸気を放出して、濃縮されて吸収器ALに戻る。この際、熱回収のため低温側熱交換器XLを利用する(濃溶液側XL2と希溶液側XL1とで熱交換する)。
一方、低圧再生器GLで発生した冷媒蒸気は、図中のGL−AH間の破線の如く移動し、高圧吸収器AHに吸収される。高圧吸収器AHで濃度の低下した希溶液は高圧再生器GHにて外部からの熱源で加熱され、低圧再生器GLで発生した冷媒と同量即ち蒸発器Eで蒸発した冷媒と同量の冷媒蒸気を放出して、濃縮されて高圧吸収器AHに戻る。溶液の熱回収のため高温側熱交換器XHを利用する(濃溶液側XH2と希溶液側XH1とで熱交換する)。
高圧再生器GHで発生した冷媒蒸気は、図中のGH−C間の破線の如く移動し、凝縮器Cで凝縮し、冷媒液となり、この冷媒液は凝縮器Cから蒸発器Eに戻る。
以上のように、二段濃縮型吸収冷凍機は、構成機器が多くなって、装置が大きくなり、かつ高圧再生器GH及び低圧再生器GLで、蒸発器Eで発生した冷媒蒸気と同量の冷媒蒸気を二度発生させる必要があり、熱効率は通常の単効用型吸収冷凍機の半分以下と低くなり、実際に採用されることは少ないものであった。
また、65℃前後の排温水を加熱源として運転可能な冷凍機として、吸着冷凍機もあるが、その装置は二段濃縮型吸収冷凍機よりもさらに大きく、高価であり、かつ高圧熱効率も低いものであり、殆ど使用されていない。
さらに、単効用型と二段型濃縮型の吸収冷凍機の中間の吸収冷凍機として、高圧と低圧の吸収器と再生器を有する吸収冷凍機がある(図16)。このような吸収冷凍機では、ある程度は前記の二段型濃縮型のものより装置は小さくまた熱効率もよくなるが、より熱効率のよい吸収冷凍機が要望されていた。
図16では、蒸発器Eで冷媒が蒸発し、図中のE−A間の破線の如く移動し、吸収器Aに吸収される。濃度の低下した吸収器出口希溶液を補助吸収器AXに送り、該補助吸収器AXで冷却しながら、前記補助再生器GXからの冷媒蒸気(図中GX−AX間の破線の如く移動)を吸収させる。
さらに、希薄になった補助吸収器AXからの希溶液を、前記再生器Gに送り、該再生器にて外部からの熱源で加熱濃縮する。発生した冷媒蒸気は、図中のG−C間の破線の如く移動し、前記凝縮器Cで凝縮して冷媒液となり、この冷媒液は凝縮器Cから蒸発器Eに戻る。一方、再生器Gで濃縮された溶液は、補助再生器GXで外部熱源でさらに加熱濃縮され、吸収器Aに戻る。発生した冷媒蒸気は,図中のGX−AX間の破線の如く移動し、補助吸収器AXに吸収される。
このサイクルの溶液循環系には、吸収器Aから吸収器よりも圧力の高い補助吸収器AXに溶液を送るための溶液ポンプと、補助吸収器AXから再生器Gに溶液を送るための溶液ポンプとが必要となり、また、補助吸収器AXからの全量を再生器Gに送るため、溶液流量のバランス制御が必要となり、システムが複雑になる。
即ち、補助吸収器から再生器に送る量が少なすぎると、補助吸収器に溶液が溜まり、再生器→補助再生器→吸収器系の溶液量が少なくなり、最終的に、吸収器から補助吸収器に送る溶液ポンプが溶液量不足でキャビテーションを起こし、運転不能となる。一方、補助吸収器から再生器に送る量が多すぎると、補助吸収器の溶液量が不足し、補助吸収器から再生器に送る溶液ポンプがキャビテーションを起こし、運転不能となる。従って、補助吸収器出入りの溶液流量をバランスさせる制御などが必要となる。
本発明は、上記従来技術に鑑み、熱交換器の設置位置を改善し、より効率がよく、しかもコンパクトな、60〜70℃程度の温水を熱源とする吸収冷凍機を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、例えば図1に示すように、本発明の吸収冷凍機は、冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器Gと;前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器Cと;前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器Eと;前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器Aと;前記再生器Gからの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器GXと;前記吸収器Aからの希溶液を冷却しながら、前記補助再生器GXで発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器AXと;前記補助再生器GXから前記吸収器Aへ導かれる濃溶液と、前記補助吸収器AXから前記再生器Gに送られる希溶液との間で熱交換をする低温側熱交換器XLと;前記低温側熱交換器XLを出て前記再生器Gに送られる希溶液を、前記再生器Gから前記補助再生器GXに導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器XHとを備える。
また、冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器Gと;前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器Cと;前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器Eと;前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器Aと;前記再生器Gからの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器GXと;前記吸収器Aからの希溶液を冷却しながら、前記補助再生器GXで発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器AXとを備え;前記補助再生器GXの伝熱面積を、前記再生器Gの伝熱面積の1/3以下、前記補助吸収器AXの伝熱面積を、前記吸収器Aの伝熱面積の2/3以下とした吸収冷凍機としてもよい。
また、例えば図7に示すように、冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器Gと;前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器Cと;前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器Eと;前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器Aと;前記再生器Gからの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器GXと;前記吸収器Aからの希溶液を冷却しながら、前記補助再生器GXで発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器AXと;前記溶液が、前記吸収器Aから前記補助吸収器AX、前記再生器G、前記補助再生器GXをこの順番で経て前記吸収器Aに至る循環経路1、2、3、4と;前記補助再生器GXの伝熱能力を調整する手段VGH、VGS及び前記補助吸収器AXの伝熱能力を調整する手段VAW、VASの少なくとも一方の手段を備える吸収冷凍機としてもよい。
また、例えば図9に示すように、冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器Gと;前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器Cと;前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器Eと;前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器Aと;前記再生器からの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器GXと;希溶液を冷却しながら、前記補助再生器GXで発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器AXであって、前記希溶液として前記吸収器A出口希溶液と該補助吸収器AX出口希溶液との混合希溶液の一部を用いるように構成にした補助吸収器AXと;前記混合希溶液の残部を前記再生器Gに送る経路2と;前記経路2に、順次、前記混合希溶液を、前記補助再生器GXから前記吸収器Aへ導かれる濃溶液で加熱する低温側熱交換器XLと;前記低温側熱交換器XLを出て前記再生器Gに送られる混合希溶液を、前記再生器Gから前記補助再生器GXに導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器XHとを備える吸収冷凍機としてもよい。
また例えば図5又は図12に示すように、前記吸収器Aを低圧吸収器ALと高圧吸収器AHに、前記蒸発器Eを低圧蒸発器ELと高圧蒸発器EHに区分し、冷水10を先ず前記高圧蒸発器EHに導き、冷却された冷水10を次いで前記低圧蒸発器ELに導くようにしてもよい。そして、例えば図5に示すように、前記補助再生器GXからの濃溶液を先ず前記低圧吸収器ALに導き、前記低圧蒸発器ELからの冷媒蒸気を吸収させ、前記低圧吸収器ALで冷媒蒸気を吸収した溶液を前記高圧吸収器AHに導き、前記高圧蒸発器EHからの冷媒蒸気を吸収させ、該冷媒蒸気を吸収した希溶液を前記補助吸収器AXに導くように構成してもよく、又は例えば図12に示すように、前記再生器Gからの濃溶液を先ず前記低圧吸収器ALに導き、前記低圧蒸発器ELからの冷媒蒸気を吸収させ、前記低圧吸収器ALで冷媒蒸気を吸収した溶液を前記高圧吸収器AHに導き、前記高圧蒸発器EHからの冷媒蒸気を吸収させ、該冷媒蒸気を吸収した前記高圧吸収器AH出口希溶液と前記補助吸収器AX出口希溶液との混合希溶液の一部を前記補助吸収器AXに、残部を前記再生器Gに送るように構成してもよい。
この出願は、日本国で2002年9月26日に出願された特願2002−280111号、2002年9月26日に出願された特願2002−280112号、2003年6月11日に出願された特願2003−166181号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、本発明の精神と範囲内で、当業者にとって明らかであるからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
図1は、本発明の第1の実施の形態の吸収冷凍機を示すフロー構成図である。
図2は、図1の溶液サイクルのデューリング線図である。
図3は、図1のGX−AX間の冷媒蒸気移動量と必要温水入口温度、COPの関係を示すグラフである。
図4は、図1のGX−AX間の冷媒蒸気移動量と温水入口温度の冷却水入口温度との関係を示すグラフである。
図5は、本発明の第2の実施の形態の吸収冷凍機を示すフロー構成図である。
図6は、図5の溶液サイクルのデューリング線図である。
図7は、本発明の第3の実施の形態の吸収冷凍機を示すフロー構成図である。
図8は、(a)(b)は、図7の溶液サイクルを一部変更したデューリング線図である。
図9は、本発明の第4の実施の形態の吸収冷凍機を示す概略構成図である。
図10は、本発明の第5の実施の形態の吸収冷凍機を示す概略構成図である。
図11は、図9に対する溶液サイクルのデューリング線図である。
図12は、本発明の第6の実施の形態の吸収冷凍機を示す概略構成図である。
図13は、図12に対する溶液サイクルのデューリング線図である。
図14は、単効用吸収サイクルのデューリング線図である。
図15は、二段濃縮型吸収サイクルのデューリング線図である。
図16は、公知の二段濃縮型吸収サイクルの2系統に分かれたサイクルを連結するサイクルのデューリング線図である。
次に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。以下に、本発明の実施の形態を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施の形態の吸収冷凍機を示すフロー構成図である。
図1において、Eは蒸発器、Aは吸収器、Gは再生器、Cは凝縮器、AXは補助吸収器、GXは補助再生器、XLは低温側熱交換器、XHは高温側熱交換器、SPは溶液ポンプ、RPは冷媒ポンプ、V1は三方弁、1〜4は溶液流路、5は冷媒蒸気流路、6、7は冷媒流路、8は温水、9は冷却水、10は冷水である。
本実施の形態では、蒸発器Eは、吸収器Aとエリミネータを介して同一空間に形成されている。同様に再生器Gは、凝縮器Cとエリミネータを介して別の同一空間に形成されている。補助吸収器AX、補助再生器GX、低温側熱交換器XL、高温側熱交換器XHはそれぞれ独立した缶胴に形成されている。
蒸発器E内で冷水10の流れるチューブに冷媒を散布するために、冷媒を循環させる冷媒流路7に、冷媒ポンプRPが挿入配置されている。
補助吸収器AXと再生器Gとは、補助吸収器AXから再生器Gに希溶液を送る溶液流路2で接続されており、その途中に低温側熱交換器XLと高温側熱交換器XHとがこの順番に配置され、補助吸収器AXと低温側熱交換器XLとの間に溶液ポンプSPが挿入配置されている。
また吸収器Aと補助吸収器AXとは、吸収器Aから補助吸収器AXに希溶液を送る溶液流路1で接続されている。
再生器Gと補助再生器GXとは、再生器Gから補助再生器GXに濃溶液を送る溶液流路3で接続され、溶液流路3には高温側熱交換器XHが挿入配置されている。
補助再生器GXと吸収器Aとは、補助再生器GXから吸収器Aに溶液を送る溶液流路4で接続され、溶液流路4には低温側熱交換器XLが挿入配置されている。
また補助再生器GXと補助吸収器AXとは、補助再生器GXから補助吸収器AXに冷媒蒸気を送る冷媒蒸気流路5で接続されている。
凝縮器Cと蒸発器Eとは、凝縮器Cから蒸発器Eに冷媒液を送る冷媒流路6が設けられている。
溶液を加熱する熱源流体としての温水8を流す温水配管81は、再生器Gから補助再生器GXにかけて敷設されている。温水8は、温水配管81を通って、先ず再生器Gに流入し、さらに温水配管81を介して補助再生器GXに流入する。
温水配管81の、補助再生器GXの出口側には、補助再生器GXを通過する温水量を調節する三方弁V1が設けられている。三方弁V1は、温水配管81の、補助再生器GXの入口側に設けてもよい。
溶液を冷却する冷却媒体である冷却水9を流す冷却水配管91は、吸収器Aから凝縮器Cへ、そして補助吸収器XAへと敷設されている。冷却水9は、冷却水配管91を通って、先ず吸収器Aに流入し、さらに冷却水配管91を介して凝縮器Cへ、そして補助吸収器AXに流入する。
図1の吸収冷凍機において、吸収器Aに導かれた濃溶液は、冷却水9で冷却されながら蒸発器Eからの冷媒蒸気を吸収し、希溶液となる。吸収器Aからの希溶液は、流路1から補助吸収器AXに導かれ、冷却水で冷却されながら補助再生器GXで発生した流路5からの冷媒蒸気を吸収し、さらに濃度の低い希溶液となる。
補助吸収器AXを出た希溶液は、流路2から溶液ポンプSPで昇圧され、低温側熱交換器XLに入り、低温側熱交換器XLにて、補助再生器GXから流路4を通り吸収器Aに向かう濃溶液と熱交換し、希溶液温度が上昇し、一方濃溶液は温度が低下する。希溶液は、次いで高温側熱交換器XHにて、再生器Gから補助再生器GXに向かう濃溶液と熱交換し、希溶液はさらに温度が上昇し、一方濃溶液は温度が低下する。
再生器Gで溶液は、熱源となる温水8で加熱され、冷媒蒸気を発生して濃縮される。濃縮された濃溶液は、流路3から高温側熱交換器XHの加熱側を経由して補助再生器GXに入り、熱源の温水8で加熱されて冷媒蒸気を発生し、さらに濃縮され、流路4から低温側熱交換器XLの加熱側を経由して吸収器Aに導かれ、溶液サイクルを一巡する。
蒸発器Eで、冷媒液は蒸発潜熱で冷水10を冷却し、冷媒蒸気となって、吸収器Aの溶液に吸収される。再生器Gで発生した冷媒蒸気は、凝縮器Cにて冷却水9で冷却され、冷媒液となって流路6から蒸発器Eに導かれる。
この溶液サイクルでは、従来の二段濃縮サイクルが2系統に分かれた(図15)サイクルであるのに対し、1系統で循環するサイクルであり、しかも、補助再生器GXで加熱された濃溶液の熱エネルギーを、補助吸収器AXから再生器Gに向かう希溶液に回収し、再生器Gで加熱された濃溶液の熱エネルギーを、前述の希溶液にさらに熱回収している。
次に、図2のデューリング線図上のサイクルを用いて説明する。
図1に対する溶液サイクルを、図2にデューリング線図上で示す。
本実施の形態は、必要な温水温度を下げるために、補助再生器GX、補助吸収器AXを利用してサイクル濃度を変化させている。対応する温水温度によって、補助再生器GX、補助吸収器AXの伝熱面積を設定すればよい。この図は、補助再生器GXの伝熱面積を再生器Gの伝熱面積の約5%、補助吸収器AXの伝熱面積を吸収器Aの伝熱面積の約20%としたときの例である。
補助再生器GXでは、熱源温度と溶液温度とが大きな差となるので、補助再生器GXの伝熱面積を小さくしている。また、この温度関係から、熱源となる温水は、高温側を再生器Gの入口に、再生器Gの出口の低温側を補助再生器GXとし、温水を先ず再生器Gに導き、次いで補助再生器GXに導くのが好ましい。
蒸発器Eで冷媒が蒸発し、図2中のE−A間の破線の如く移動し、吸収器Aに吸収される。
吸収器Aを出た溶液は、そのままの温度、濃度で、補助吸収器AXに入り、補助再生器GXで発生し、図2中のGXからAXに移動する冷媒蒸気を吸収し、さらに濃度の低い希溶液となる。この希溶液は、低温側熱交換器XLの被加熱側XL1を通り、補助再生器GXから低温側熱交換器の加熱側XL2を経由して吸収器Aに導かれる濃溶液によって加熱される。この希溶液は、さらに高温側熱交換器XHの被加熱側XH1を通り、再生器Gから高温側熱交換器の加熱側XH2を経由して補助再生器GXに導かれる濃溶液によって加熱されて、再生器Gに入る。再生器Gでは、吸収器Aで吸収した冷媒量の冷媒蒸気を放出し、濃溶液となり、高温側熱交換器XHの加熱側XH2を経由して補助再生器GXに入り、外部熱源で加熱され、補助吸収器AXで吸収した冷媒量に相当する分を放出し、さらに濃縮されて、低温側熱交換器XLの加熱側XL2を経由して吸収器Aに入る。
このように、本実施の形態では、補助再生器GXから吸収器Aに向かう濃溶液の保有熱を、吸収器Aから補助吸収器AXに向かう希溶液ではなく、補助吸収器AXから再生器Gに向かう希溶液に回収し、さらに、再生器Gから補助再生器GXに向かう濃溶液の保有熱を回収することとしている。この熱回収により、再生器Gに入る溶液温度を上げることができて、再生器Gで溶液を加熱するのに必要な熱量を減らすことができ、さらに、高温側熱交換器加熱側XH2を経由して補助再生器GXに入る溶液温度も、低温側熱交換器被加熱側XL2で補助吸収器AXから再生器Gに向かう希溶液を加熱しなかった場合よりも、高くすることができ、補助再生器GXでの溶液を加熱するに必要な熱量も減らすことができる。
図3及び図4は、補助再生器GX−補助吸収器AX間の冷媒蒸気移動量と温水入口温度との関係を示すグラフである。
補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量は、単効用吸収冷凍機よりも効率が落ちる分であり、この蒸気量をゼロとすれば単効用相当になり、蒸発器Eでの蒸発量と同量とすれば、二段濃縮型相当の効率になる。また、この補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量により、サイクル濃度が変化し、必要な加熱源温度が変化する。図3はこの関係を示したものである。なお、この図は、補助再生器GXの伝熱面積を再生器Gの伝熱面積の約15%、補助吸収器AXの伝熱面積を吸収器Aの伝熱面積の約50%とし、再生器Gの伝熱能力に制限を加えて、冷媒蒸気量を変化させたものである。
熱源温度が、例えば65〜70℃程度あれば、補助再生器GX−補助吸収器AXで移動させる冷媒蒸気量は、蒸発器で蒸発する量の半分程度でよく、従って、この条件で吸収冷凍機を設計する場合、補助再生器GX、補助吸収器AX共に、それぞれ再生器G、吸収器Aの半分以下の大きさでよいことになり、二段濃縮型吸収冷凍機の場合よりコンパクトにすることができ、しかも効率をよくすることができる。
補助再生器GXの伝熱面積を再生器Gの伝熱面積の1/3、特に約20%、補助吸収器AXの伝熱面積を吸収器Aの伝熱面積の2/3、特に約60%程度までは、吸収器出口濃度の方が再生器出口濃度よりも低く、効率もサイクルの分離された完全な二段濃縮型吸収冷凍機よりも良くなることが多い。
冷却水温度が低下すると、同一冷水温度を得るのに必要な溶液濃度は低下し、溶液濃縮に必要な熱源温度は低下する。図4に、冷却水温度が変化した場合の必要温水温度を示す。従って、供給可能な熱源温度が同一であっても、冷却水温度が低下した場合、補助再生器GXで発生し補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を減らすことができ、効率を良くすることができる。
補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量は、例えば、図1のように三方弁V1を、補助再生器GXに導入する温水量の調節用に設ければ、調節可能である。その他、補助再生器GXへの溶液流量を一部〜全量バイパスすることで、発生蒸気量を変化させたり、あるいは、補助吸収器AXへの溶液流量を一部〜全量バイパスすることで、吸収蒸気量を変化させたりすることも可能である。補助吸収器AXへの冷却水流量を変化させても良い。
本実施の形態では、補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を調節することで、二段濃縮型吸収サイクルから単効用吸収サイクルまでの効率を、連続的に変化させることが可能であり、温水温度が上昇した場合、あるいは冷却水温度が低下した場合など、それらを有効に利用し、効率を上げることができる。
図5は、本発明の第2の実施の形態の吸収冷凍機を示すフロー構成図である。
図5において、図1と同一符号は同じ意味を有し、図5では冷水の出入口温度差を利用して、さらに効率を高めるため、前記吸収冷凍機の吸収器Aを低圧吸収器ALと高圧吸収器AHに、蒸発器Eを低圧蒸発器ELと高圧蒸発器EHに区分している。低圧吸収器ALと低圧蒸発器ELとはエリミネータを介して同一空間に形成され、高圧吸収器AHと高圧蒸発器EHとは、エリミネータを介して別の同一空間に形成されている。
冷却水配管91は、低圧吸収器ALと高圧AHとに並列に流れ込むように敷設されており、冷水配管10aは、高圧蒸発器EHから低圧蒸発器ELにこの順番に流れ込むように直列に敷設されている。
また溶液流路4は、補助再生器XLから低温側熱交換器XLを経由して低圧吸収器ALにと敷設されている。次いで、低圧吸収器ALから高圧吸収器AHに溶液を導くように敷設されている。
本実施の形態では、冷水10を先ず高圧蒸発器EHに導き、冷却された冷水10を次いで低圧蒸発器ELに導くと共に、補助再生器GXからの濃溶液を先ず低圧吸収器ALに導き、低圧蒸発器ELからの冷媒蒸気を吸収させ、低圧吸収器ALで冷媒蒸気を吸収した溶液を高圧吸収器AHに導き、高圧蒸発器EHからの冷媒蒸気を吸収させている。
高圧吸収器AHで冷媒蒸気を吸収した溶液は、流路1から補助吸収器AXを通り、流路2から低温側熱交換器XL、高温側熱交換器XHを経由して再生器Gに送り、再生器Gで濃縮された溶液は、流路3から高温側熱交換器XHを経由して捕助再生器GXに、さらに流路4から低温側熱交換器XLを経由して低圧吸収器ALに導くようにしている。
図6は、図5に対する溶液サイクルをデューリング線図上で示したものであり、高圧蒸発器EHの飽和温度が高くなり、高圧吸収器AHを出る希溶液濃度が低くなっている。
これにより、補助吸収器AXでさらに濃度を下げるのに必要な冷媒量を減らすことができ、図1の場合に比して効率を上げることができる。
図7は、本発明の第3の実施の形態の吸収冷凍機を示すフロー構成図である。
図7において、図1で説明した第1の実施の形態と異なるのは、流量調節弁VGH、VGS、VAW、VASを備える点である。これらは本実施の形態では三方弁である。
流量調節弁VGHは、第1の実施の形態で説明した三方弁V1と同様に温水配管81に配置されている。
流量調節弁VGSは、高温側熱交換器XHと補助再生器GXとを接続する溶液流路3に配置され、三方弁VGSの1のポートは補助再生器GXと低温側熱交換器XLとを接続する溶液流路4に接続されている。
流量調節弁VAWは、冷却水配管91の、補助吸収器AXの出口側に設けられている。三方弁VAWは、冷却水配管91の、補助吸収器AXの入口側に設けてもよい。
流量調節弁VASは、吸収器Aと補助吸収器AXとを接続する溶液流路1に配置され、三方弁VASの1のポートは補助吸収器AXと低温側熱交換器XLとを接続する溶液流路2の補助吸収器AXと溶液ポンプSPとの間に接続されている。
本実施の形態のデューリングサイクルは図1で説明したものと同様である。
なお、図8に、第3の実施の形態の変形例のデューリングサイクルを示す。図8(a)に示すように、効率は若干犠牲になるが、低温側熱交換器XLを省き、コンパクト化することもできる。また、図8(b)に示すように、低温側熱交換器XLの被加熱側XL1を、吸収器から補助吸収器に向かう希溶液とすることもできる。
補助再生器GX−補助吸収器AX間の冷媒蒸気移動量と温水入口温度の関係は、第1の実施の形態で説明した通りである。
また第1の実施の形態と同様に、補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量は、例えば、図7のように三方弁VGHを、補助再生器GXに導入する温水量を調節するために設ければ、調節可能である。また、図7に示した溶液弁VGSで、破線で示すように補助再生器GXへの溶液流量を一部乃至全量バイパスすることにより、発生蒸気量に制限を加え、GX−AX間を移動する冷媒蒸気量を変化させることができる。また、図7の冷却水弁VAWで、補助吸収器AXへの冷却水流量を変化させ、あるいは図7の溶液弁VASで、補助吸収器AXへの溶液流量を一部乃至全量バイパスすることで変化させ、吸収蒸気量に制限を加え、GX−AX間を移動する冷媒蒸気量を変化させることができる。
本実施の形態では、補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を調節することで、二段濃縮型吸収サイクルから単効用吸収サイクルまでの効率を連続的に変化させることが可能であり、温水温度が上昇した場合、あるいは冷却水温度が低下した場合など、それらを有効に利用し、効率を上げることができる。
図9は、本発明の第4の実施の形態の吸収冷凍機を示す概略構成図である。
図9に示すように、本実施の形態の冷凍機は、蒸発器E、吸収器A、再生器G、凝縮器C、補助吸収器AX、補助再生器GX及び低温側熱交換器XL、高温側熱交換器XHを含んで構成されている。
本実施の形態の第1の実施の形態と異なる点は、吸収器Aからの溶液流路1aが補助吸収器AXからの溶液流路2aと合流して溶液ポンプSPに吸い込まれるようになっている点と、補助吸収器AXへの溶液流路1bが溶液ポンプSPの出口からの溶液流路2から分岐している点である。
このような構成において、吸収器Aに導かれた濃溶液は、冷却水9で冷却されながら、蒸発器Eからの冷媒蒸気を吸収し、希溶液となる。吸収器Aからの希溶液は、補助吸収器AXからの希溶液と共に、溶液ポンプSPで昇圧され混合した状態となる。該混合希溶液の一部は、補助吸収器AXに導かれ、冷却水9で冷却されながら補助再生器GXで発生した冷媒蒸気を吸収し、さらに濃度の低い希溶液となる。
溶液ポンプSPで昇圧された残部の混合希溶液は、低温側熱交換器XLに入り、低温側熱交換器XLにて、補助再生器GXから吸収器Aに向かう濃溶液と熱交換し、混合希溶液は温度が上昇し、一方濃溶液は、温度が低下する。混合希溶液は、次いで高温側熱交換器XHに入り、高温側熱交換器XHにて再生器Gから補助再生器GXに向かう濃溶液と熱交換し、混合希溶液はさらに温度が上昇し、一方濃溶液は温度が低下する。再生器Gで溶液は、熱源となる温水で加熱され、冷媒蒸気を発生して濃縮される。濃縮された濃溶液は、高温側熱交換器XHの加熱側を経由して補助再生器GXに入り、熱源の温水で加熱されて冷媒蒸気を発生し、さらに濃縮され、低温側熱交換器XLの加熱側を経由して吸収器Aに導かれ、溶液サイクルを一巡する。蒸発器Eで、冷媒液は蒸発潜熱で冷水を冷却し、冷媒蒸気となって、吸収器Aの溶液に吸収される。再生器Gで発生した冷媒蒸気は、凝縮器Cにて冷却水9で冷却され、冷媒液となって蒸発器Eに導かれる。
この溶液サイクルでは、従来の二段濃縮サイクルが、2系統に分かれた(図15)サイクルであるのに対し、1系統で循環するサイクルであり、しかも、補助再生器GXで加熱された濃溶液の熱エネルギーを、補助吸収器AXから再生器Gに向かう希溶液に回収し、再生器Gで加熱された濃溶液の熱エネルギーを、前述の希溶液にさらに熱回収することを特徴としている。
従来の単効用と二段濃縮型の中間的なサイクルでは、溶液循環系に、吸収器出口の溶液ポンプと補助吸収器出口の溶液ポンプとが必要であり、また、補助吸収器に出入りする溶液流量のバランス制御が必要であった。
本実施の形態のサイクルでは、補助吸収器AXからの溶液は、再生器Gには送らず、補助吸収器AXからより低圧の吸収器A出口側に溶液を送っているので、補助吸収器AX出口の溶液ポンプは不要となる。
また、補助吸収器AX出口からは、単に流出させるだけでよく、特別な流量バランス制御をしなくても差し支えなく、コンパクト化が可能である。
図11は、デューリング線図上のサイクルであり、図9に対する溶液サイクルをデューリング線図上で示す。
補助再生器GX−補助吸収器AX間の冷媒蒸気移動量において、補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量は、単効用吸収冷凍機よりも効率が落ちる分であり、この蒸気量をゼロとすれば単効用相当になり、蒸発器Eでの蒸発量と同量とすれば、二段濃縮型相当の効率になる。
即ち、補助再生器GXで発生し、補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を減らすと冷凍機の効率は上昇する。但し、冷却水温度が高いときには、補助吸収器出口の溶液濃度が高くなり、また、凝縮温度も低下していないので、再生器に必要な加熱源温度は高くなる。冷却水温度が低下してくると、補助吸収器出口の溶液濃度が低くなり、また凝縮温度も低下してくるので、再生器に必要な加熱源温度を抑えることができるようになる。冷却水温度あるいは冷却水温度に相当する物理量をもとに、補助再生器GXで発生して補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を制御してもよい。
図10の概略構成図に、図9の改良である第5の実施の形態を示す。本実施の形態の吸収冷凍機は、補助再生器GXで発生して補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を調節する方法を備える。
本実施の形態には、補助再生器GXでの加熱量調節(GXへの加熱源導入量調節=図10のGX入口三方弁VA、あるいはGXへの溶液散布量調節=図10のVB)あるいは補助吸収器AXでの吸収能力調節(AXへの冷却水流量調節=図10のVC、あるいはAXへの溶液散布量調節=図10のVD)がある。
図中、弁VAは、第1の実施の形態で説明した三方弁V1と同様に温水配管81に配置されている。
三方弁VDは、溶液ポンプSPから補助吸収器AXへの溶液流路1bに配置され、三方弁VDの1のポートは補助吸収器AXに接続されている。三方弁VDの1のポートは補助吸収器AXではなく、溶液ポンプSPの吸込側、即ち溶液流路2a又は溶液流路1aに接続してもよい。
三方弁VCは、冷却水配管の、補助吸収器AXの出口側に設けられている。三方弁VCは、冷却水配管の、補助吸収器AXの入口側に設けてもよい。
三方弁VBは、高温側熱交換器XHと補助再生器GXとを接続する溶液流路3に配置され、三方弁VBの1のポートは補助再生器GXと低温側熱交換器XLとを接続する溶液流路4に接続されている。
本実施の形態では、補助再生器GXで発生して補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を減らすとき、補助再生器GXに必要な熱源熱量は少なく、必要温度も低下する。一方、再生器Gに必要な熱源温度は高いままである。熱源流体は、先ず再生器Gに導き、次いで、補助再生器GXに導くことが望ましい。即ち、再生器G側で高い熱源温度を利用できるので、効率を上げやすくなる。
補助再生器GXで発生して補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量を多くすると、熱源熱量が多くなり、熱源出口温度が低下する。一方、該冷媒蒸気量を減らすと熱源熱量が少なくなり、熱源出口温度が上昇する。そこで、補助再生器GXで発生して補助吸収器AXで吸収する冷媒蒸気量の制御を、熱源温度(熱源出口温度)を目標値にするように前記調節端で調節することが望ましい。
熱源が、吸収冷凍機と熱発生源とを循環している場合、熱源出口温度が低下すると、熱源入口温度も低下してくるので、熱源出口温度でなく熱源入口温度を目標値にしてもよく、熱源の検出位置は特に指定しなくてもよい。一般には、熱源出口温度又は熱源入口温度である。
図12は、本発明の第6の実施の形態の吸収冷凍機を示す概略構成図である。本実施の形態は第4の実施の形態の変形例ということができるものである。
図12に示すように、第2の実施の形態と同様に、冷水の出入口温度差を利用して、さらに効率を高めるため、前記吸収冷凍機の吸収器Aを低圧吸収器ALと高圧吸収器AHに、蒸発器Eを低圧蒸発器ELと高圧蒸発器EHに区分し、冷水を先ず高圧蒸発器EHに導き、冷却された冷水を、次いで低圧蒸発器ELに導くと共に、補助再生器GXからの濃溶液を先ず低圧吸収器ALに導き、低圧蒸発器ELからの冷媒蒸気を吸収させ、低圧吸収器ALで冷媒蒸気を吸収した溶液を高圧吸収器AHに導き、高圧蒸発器EHからの冷媒蒸気を吸収させている。
図13は、図12に対する溶液サイクルをデューリング線図上で示したものであり、高圧蒸発器EHの飽和温度が高くなり、高圧吸収器AHを出る希溶液濃度が低くなっている。これにより、補助吸収器AXでさらに濃度を下げる必要な量を減らすことができ、図9の場合に比して効率を上げることができる。
冷却水の流し方は、冷却水導入口で分岐して、一方は凝縮器→吸収冷凍機と流し、他方は補助吸収器に流すのが、必要な温水温度が低くてよく、好ましい。
以上説明したように、本発明の実施の形態の吸収冷凍機では、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、補助再生器及び補助吸収器を備えた吸収冷凍機において、前記再生器からの濃溶液を、前記補助再生器で加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮し、前記吸収器からの希溶液を前記補助吸収器で冷却しながら、前記補助再生器からの冷媒蒸気を吸収させる構成にすると共に、前記補助再生器から前記吸収器へ導かれる濃溶液と、前記補助吸収器から再生器に送られる希溶液との間で熱交換をする低温側熱交換器を設け、さらに、前記低温側熱交換器を出て再生器に送られる希溶液を、前記再生器から前記補助再生器に導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器を設ける。
また、前記吸収冷凍機において、吸収器を低圧吸収器と高圧吸収器に、前記蒸発器を低圧蒸発器と高圧蒸発器に区分し、冷水を先ず高圧蒸発器に導き、冷却された冷水を次いで低圧蒸発器に導くと共に、前記補助再生器からの濃溶液を先ず低圧吸収器に導き、低圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、低圧吸収器で冷媒蒸気を吸収した溶液を高圧吸収器に導き、高圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、該希溶液を前記補助吸収器に導くように構成することができる。
また、本発明の別の実施の形態の吸収冷凍機では、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、補助再生器及び補助吸収器を備えた吸収冷凍機において、前記再生器からの濃溶液を、前記補助再生器で加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮し、前記吸収器からの希溶液を前記補助吸収器で冷却しながら、前記補助再生器からの冷媒蒸気を吸収させる構成にすると共に、前記補助再生器の伝熱面積を、前記再生器の伝熱面積の1/3以下、前記補助吸収器の伝熱面積を、前記吸収器の伝熱面積の2/3以下とするとよい。
これらの吸収冷凍機において、熱源流体を先ず再生器に導き、次いで補助再生器へ導くように構成することができる。
本発明の別の実施の形態の吸収冷凍機では、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、補助再生器及び補助吸収器を備え、吸収溶液が、吸収器から補助吸収器→再生器→補助再生器を経て吸収器に至る循環経路を有する吸収冷凍機において、前記補助再生器の伝熱能力を調整する手段及び/又は補助吸収器の伝熱能力を調整する手段を設けてもよい。
また、前記吸収冷凍機において、前記吸収器を低圧吸収器と高圧吸収器に、前記蒸発器を低圧蒸発器と高圧蒸発器に区分し、冷水を先ず高圧蒸発器に導き、冷却された冷水を次いで低圧蒸発器に導くと共に、前記再生器と補助再生器からの濃溶液を先ず低圧吸収器に導き、低圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、低圧吸収器で冷媒蒸気を吸収した溶液を高圧吸収器に導き、高圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、該希溶液を前記補助再生器に導くようにしてもよい。このように構成すると、前述の吸収冷凍機の効率をさらにあげることができる。
前記補助再生器の伝熱能力を調整する手段は、該補助再生器をバイパス及び/又は通過する温水流量を調節する温水流量調節弁、又は、前記補助再生器の伝熱部をバイパス及び/又は通過する溶液流量を調節する溶液流量調節弁とすることができる。
また、前記補助吸収器の伝熱能力を調整する手段は、該補助吸収器をバイパス及び/又は通過する冷却水流量を調節する冷却水流量調節弁、又は、前記補助吸収器の伝熱部をバイパス及び/又は通過する溶液流量を調節する溶液流量調節弁とすることができる。
さらに、前記補助再生器の伝熱能力を調整する手段及び/又は補助吸収器の伝熱能力を調整する手段は、熱源となる温水温度又は再生器溶液温度を基に、調節する制御機構を有するようにしてもよい。
本発明のさらに別の実施の形態の吸収冷凍機では、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、補助再生器及び補助吸収器とを備えた吸収冷凍機において、前記再生器からの濃溶液を、前記補助再生器で加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮し、該発生した冷媒蒸気を前記補助吸収器で、前記吸収器出口希溶液と補助吸収器出口希溶液との混合希溶液の一部を用いて冷却しながら吸収させる構成にすると共に、前記混合希溶液の残部を前記再生器に送る経路を有し、該経路に順次、該混合希溶液を、前記補助再生器から前記吸収器へ導かれる濃溶液で加熱する低温側熱交換器と、該低温側熱交換器を出て再生器に送られる混合希溶液を、前記再生器から前記補助再生器に導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器とを設ける。
また、前記吸収冷凍機において、冷水の出入口温度差を利用して、さらに効率を高めるため、前記吸収冷凍機の吸収器を低圧吸収器と高圧吸収器に、蒸発器を低圧蒸発器と高圧蒸発器に区分し、冷水を先ず高圧蒸発器に導き、冷却された冷水を次いで低圧蒸発器に導くと共に、再生器からの濃溶液を先ず低圧吸収器に導き、低圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、低圧吸収器で冷媒蒸気を吸収した溶液を高圧吸収器に導き、高圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、高圧吸収器で冷媒蒸気を吸収した希溶液を、補助吸収器からの希溶液と混合して混合希溶液とし、その一部を補助吸収器に、残部を再生器に導くようにしてもよい。
本発明によれば、前記のような構成としたことにより、60〜70℃程度の温水を熱源とする吸収冷凍機で、単効用吸収冷凍機よりは劣るが、二段濃縮型の吸収冷凍機よりも効率のよい吸収冷凍機とすること、及び、外気条件の関係で冷却水温度が低下することを有効に利用、つまり、冷却水温低下に伴い、効率を上昇させ、温度条件によっては、単効用と同じ効率で運転を可能にすることができる。

Claims (10)

  1. 冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器と;
    前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器と;
    前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器と;
    前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器と;
    前記再生器からの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器と;
    前記吸収器からの希溶液を冷却しながら、前記補助再生器で発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器と;
    前記補助再生器から前記吸収器へ導かれる濃溶液と、前記補助吸収器から前記再生器に送られる希溶液との間で熱交換をする低温側熱交換器と;
    前記低温側熱交換器を出て前記再生器に送られる希溶液を、前記再生器から前記補助再生器に導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器とを備える;
    吸収冷凍機。
  2. 冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器と;
    前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器と;
    前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器と;
    前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器と;
    前記再生器からの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器と;
    前記吸収器からの希溶液を冷却しながら、前記補助再生器で発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器とを備え;
    前記補助再生器の伝熱面積を、前記再生器の伝熱面積の1/3以下、前記補助吸収器の伝熱面積を、前記吸収器の伝熱面積の2/3以下とした;
    吸収冷凍機。
  3. 冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器と;
    前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器と;
    前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器と;
    前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器と;
    前記再生器からの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器と;
    前記吸収器からの希溶液を冷却しながら、前記補助再生器で発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器と;
    前記溶液が、前記吸収器から前記補助吸収器、前記再生器、前記補助再生器をこの順番で経て前記吸収器に至る循環経路と;
    前記補助再生器の伝熱能力を調整する手段及び前記補助吸収器の伝熱能力を調整する手段の少なくとも一方の手段を備える;
    吸収冷凍機。
  4. 前記補助再生器の伝熱能力を調整する手段が、該補助再生器をバイパス及び/又は通過する温水流量を調節する温水流量調節弁、又は、前記補助再生器の伝熱部をバイパス及び/又は通過する溶液流量を調節する溶液流量調節弁である、請求項3に記載の吸収冷凍機。
  5. 前記補助吸収器の伝熱能力を調整する手段が、該補助吸収器をバイパス及び/又は通過する冷却水流量を調節する冷却水流量調節弁、又は、前記補助吸収器の伝熱部をバイパス及び/又は通過する溶液流量を調節する溶液流量調節弁である、請求項3又は請求項4に記載の吸収冷凍機。
  6. 前記補助再生器の伝熱能力を調整する手段と補助吸収器の伝熱能力を調整する手段の少なくとも一方は、熱源となる温水温度又は再生器溶液温度を基に、調節する制御機構を有する、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の吸収冷凍機。
  7. 前記吸収器を低圧吸収器と高圧吸収器に、前記蒸発器を低圧蒸発器と高圧蒸発器に区分し、冷水を先ず前記高圧蒸発器に導き、冷却された冷水を次いで前記低圧蒸発器に導くと共に、前記補助再生器からの濃溶液を先ず前記低圧吸収器に導き、前記低圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、前記低圧吸収器で冷媒蒸気を吸収した溶液を前記高圧吸収器に導き、前記高圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、該冷媒蒸気を吸収した希溶液を前記補助吸収器に導くように構成した、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸収冷凍機。
  8. 冷媒蒸気を発生して溶液を濃縮する再生器と;
    前記発生した冷媒蒸気を凝縮する凝縮器と;
    前記凝縮した冷媒を蒸発させる蒸発器と;
    前記蒸発した冷媒蒸気を溶液で吸収する吸収器と;
    前記再生器からの濃溶液を、加熱して冷媒蒸気を発生させてさらに濃縮する補助再生器と;
    希溶液を冷却しながら、前記補助再生器で発生した冷媒蒸気を吸収させる補助吸収器であって、前記希溶液として前記吸収器出口希溶液と該補助吸収器出口希溶液との混合希溶液の一部を用いるように構成にした補助吸収器と;
    前記混合希溶液の残部を前記再生器に送る経路と;
    前記経路に、順次、前記混合希溶液を、前記補助再生器から前記吸収器へ導かれる濃溶液で加熱する低温側熱交換器と;
    前記低温側熱交換器を出て前記再生器に送られる混合希溶液を、前記再生器から前記補助再生器に導かれる濃溶液で加熱する高温側熱交換器とを備える;
    吸収冷凍機。
  9. 前記吸収器を低圧吸収器と高圧吸収器に、前記蒸発器を低圧蒸発器と高圧蒸発器に区分し、冷水を先ず前記高圧蒸発器に導き、冷却された冷水を次いで前記低圧蒸発器に導くと共に、前記再生器からの濃溶液を先ず前記低圧吸収器に導き、前記低圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、前記低圧吸収器で冷媒蒸気を吸収した溶液を前記高圧吸収器に導き、前記高圧蒸発器からの冷媒蒸気を吸収させ、該冷媒蒸気を吸収した前記高圧吸収器出口希溶液と前記補助吸収器出口希溶液との混合希溶液の一部を前記補助吸収器に、残部を前記再生器に送るように構成した、請求項8に記載の吸収冷凍機。
  10. 前記溶液を加熱する熱源流体を先ず前記再生器に導き、次いで、前記補助再生器に導くように構成された、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の吸収冷凍機。
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