JP2012001818A - 溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法および良好な耐食性を有する溶融Sn−Zn系めっき鋼板 - Google Patents

溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法および良好な耐食性を有する溶融Sn−Zn系めっき鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性、加工性、溶接性が優れた特性でバランス良く両立し、かつPbを使用しない溶融Sn-Zn系めっき鋼板を提供する。
【解決手段】この溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、鋼板と、前記鋼板の表面に形成され、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層を有し、前記溶融めっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれの吸熱量比が以下の関係式を満たし、
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であって、Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満である。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐食性、接合性、加工性を兼備し、自動車燃料タンク材料、家庭用電気機械、産業機械材料として好適な溶融Sn-Zn系めっき鋼板に関するものである。
本願は、2005年7月5日に出願された日本国特許出願第2005−196192号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、燃料タンク材料として、耐食性、加工性、はんだ性(溶接性)等の優れたPb-Sn合金めっき鋼板が主として用いられ、自動車用燃料タンクとして幅広く使用されている。
一方、Sn-Zn合金めっき鋼板は、例えば特許文献1のように、ZnおよびSnイオンを含む水溶液中で電解する電気めっき法で主として製造されてきた。Snを主体とするSn-Zn合金めっき鋼板は、耐食性やはんだ性に優れており電子部品などに多く使用されてきた。このSn-Znめっき鋼板は、自動車燃料タンク用途において優れた特性を有することが知見され、以下の特許文献2〜4の公報において、溶融Sn-Znめっき鋼板が開示されてきた。
自動車用燃料タンク素材として使用されてきたPb-Sn合金めっき鋼板は、各種の優れた特性(例えば、加工性、燃料タンク内面耐食性、はんだ性、シーム溶接性等)が認められ愛用されてきたが、近年の地球環境認識の高まりにつれ、Pbフリー化の方向に移行しつつある。
一方、Sn-Zn電気合金めっき鋼板は、主としてはんだ性等の要求される電子部品として、腐食環境がさほど厳しくない用途で使用されてきた。
前記した溶融Sn-Znめっき鋼板は、確かに優れた耐食性、加工性、半田性を有するものである。しかし、近年、更なる耐食性の向上が求められている。Sn-Znめっき鋼板では、加工を受けていない平面部でもZn偏析に起因する孔食が発生する場合がある。特に塩害環境を想定した塩水噴霧試験では赤錆発生に至るまでの期間が短く、塩害環境中の耐食性は十分とはいえない。犠牲防食能を更に向上させるためには、Znの添加量を増やせば良い。しかしながら、Zn量が高くなりすぎると、めっき層の主体がSnからZnへと移行していき、Zn自体の溶出がSnよりも遥かに大きいため、めっき層自体の耐食性が損なわれる。
特開昭52-130438号公報 特許第3126622号公報 特許第3126623号公報 国際公開公報WO96/30560
本発明は、上記の課題を解決し、耐食性、加工性、溶接性が優れた特性でバランス良く両立し、かつPbを使用しない溶融Sn-Zn系めっき鋼板を提供することを目的とする。
溶融Sn-Znめっき組織は、Sn初晶とセル状の二元Sn-Zn共晶組織が混在した凝固組織となりやすく、腐食の起点となるZnは共晶セル-共晶セル粒界に偏析しやすい。そこで、このSn初晶を積極的に成長させ、共晶セルの成長を抑制するため、種々研究を行なった。その結果、Sn初晶が十分に晶出しためっき層と、Sn-Zn共晶セルが成長しためっき層とではそれぞれ特徴的な融解挙動を示すこと、および熱分析の結果にはSn初晶の融解に伴う吸熱量に特徴的な融解挙動が現れることを知見した。
本発明は、この知見に基づき、前記した融解に伴うSn初晶とSn-Zn共晶の吸熱量比を特定の領域に調整することで、前記Znの偏析をなくすという本発明を想到したものである。
本発明の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法は、Ni:10〜80質量%、残部がFeであるFe−Ni合金めっきを鋼板にプレめっきするか、又はNiめっきを片面あたり0.01〜0.3g/mの量で鋼板にプレめっきし、240〜300℃の溶融めっき浴温、及び2〜15秒の浸漬時間の条件で、前記鋼板をSn−Zn溶融めっき浴に浸漬し、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層を前記鋼板の表面に形成し、10℃/秒以上、25℃/秒以下の冷却速度で、前記溶融めっき層を冷却して、溶融Sn−Zn系めっき鋼板を得て、前記溶融Sn−Zn系めっき鋼板の示差走査熱量測定曲線を示差走査熱量測定により測定し、得られた示差走査熱量測定曲線より、前記溶融めっき層が、目的の組織を有するかどうか識別し、前記目的の組織は、以下の関係式(1)を満たし、
0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91(1)
前記目的の組織は、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満であることを特徴とする。
本発明の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法では、前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなることを方法とすることができる。
本発明の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法によって製造され、鋼板と、前記鋼板の表面に形成され、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層とを有する。前記溶融めっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれ吸熱量比が以下の関係式(1)を満たす。
0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91(1)
また、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満である。
本発明の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなるものとすることができる。
ここで、吸熱量は、示差走査熱量測定装置(Differnential Scanning Calorimetry :DSC)を用いて、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度、およびSn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度にて測定された値である。
本発明の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、耐食性、加工性、溶接性に優れ、劣化ガソリン等に対しても長期間耐える燃料タンク用の鉛フリー防錆鋼板として用いることができる。このようなめっき鋼板は、Pbを使用しない燃料タンク材料として好適な特性を有する。
本発明のめっき層の示差走査熱量測定曲線を示す図である。 比較例のめっき層の示差走査熱量測定曲線を示す図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本実施形態の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、鋼板と、この鋼板の表面に形成された溶融めっき層を有する。鋼板としては、鋼鋳片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の一連の工程を経た焼鈍済みの鋼板、または圧延材などが挙げられる。鋼成分については、燃料タンクの複雑な形状に加工できる成分系であること、鋼−めっき層界面の合金層の厚みが薄くめっき剥離を防止できること、燃料タンク内部および外部環境における腐食の進展を抑制する成分系である必要がある。特に高度な加工性を要求される部位だけに、加工性に優れたIF鋼(Interstitial atom Free)の適用が望ましく、さらには溶接後の溶接気密性、二次加工性等を確保するためにBを数ppm添加した鋼板が望ましい。このIF鋼の代表成分範囲は、C≦0.003質量%、Si<0.01質量%、Mn:0.10質量%〜0.20質量%、P<0.025質量%、S:0.005質量%〜0.02質量%、Ti:0.040質量%〜0.060質量%、残部:Fe及び不可避不純物が好ましく、これにさらにBが5ppm程度含有されていることがさらに好ましい。例えばC:0.003質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.20質量%、P:0.01質量%、S:0.01質量%、Ti:0.06質量%、残部:Fe及び不可避不純物からなるIF鋼が挙げられる。熱延では1150℃前後でスラブ加熱した後、3〜6mm程度に圧延し、酸洗後に0.5〜1.5mm程度に冷延し、表面の圧延油・鉄粉などをアルカリ電解にて除去した後に焼鈍する。焼鈍は、コストの点からは連続焼鈍が望ましいが、バッチ焼鈍でも製造可能である。その後、調質圧延し、NiまたはFe−Ni合金のプレめっきを行い、一般的にフラックス法と呼ばれるめっき法にて溶融めっきする。
本発明ではSn-Zn合金めっきは溶融めっき法で行うことを基本とする。溶融めっき法を採用した最大の理由は、めっき付着量の確保のためである。電気めっき法でも長時間の電解を行えばめっき付着量は確保できるが、経済的ではない。本実施形態で狙うめっき付着量範囲は、10〜150g/m(片面)と比較的厚目付の領域であり、溶融めっき法が最適である。さらにめっき元素の電位差が大きい場合、適切に組成を制御することは困難を伴うため、Sn-Zn合金は溶融めっき法が最適である。
この溶融メッキ層は、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる。めっき組成のZnは、燃料タンク内面と外面における耐食性のバランスを考慮して限定されている。燃料タンク外面は、完璧な防錆能力が必要とされるため燃料タンク成形後に塗装される。したがって、塗装厚みが防錆能力を決定するが、素材としてはめっき層のもつ防食効果により赤錆を防止する。特に、塗装のつきまわりの悪い部位ではこのめっき層のもつ防食効果が極めて重要となる。Sn基めっきにZnの添加によりめっき層の電位を下げ、犠牲防食能を付与する。そのためには、1質量%以上のZnの添加が必要である。Sn-Zn二元共晶点である8.8質量%を超える過剰なZnの添加は、粗大なZn結晶の成長を促進する融点上昇をひきおこす。これによりめっき下層の金属間化合物層(いわゆる合金層)が過剰に成長することとなる。これ等の理由によりZnの含有量は8.8質量%以下でなくてはならない。粗大なZn結晶は、Znの有する犠牲防食能が発現する点では問題ないが、一方で粗大なZn結晶部で選択腐食をおこしやすくなる。また、金属間化合物自体が非常に脆いため、めっき下層の金属間化合物層の成長によって、プレス成形時にめっき割れが生じやすくなり、めっき層の防食効果が低下する。
一方、燃料タンク内面での腐食は、正常なガソリンのみの場合には問題とならないが、水の混入、塩素イオンの混入、ガソリンの酸化劣化による有機カルボン酸の生成等により、激しい腐食環境が出現する可能性がある。もし、穿孔腐食によりガソリンが燃料タンク外部に漏れた場合、重大事故につながる恐れがあり、これらの腐食は完全に防止されねばならない。上記の腐食促進成分を含む劣化ガソリンを作製し、各種条件下での性能を調べたところ、Znを8.8質量%以下含有するSn-Zn合金めっきは極めて優れた耐食性を発揮することが確認された。
Znを全く含まない純SnまたはZn含有量が1質量%未満の場合、腐食環境中に曝露された初期より、めっき金属が地鉄(被めっき材)に対し犠牲防食能を持たない。このため、燃料タンク内面ではめっきピンホール部での孔食、タンク外面では早期の赤錆発生がそれぞれ問題となる。
一方、Znが8.8質量%を超えて多量に含まれる場合、Znが優先的に溶解し、腐食生成物が短期間に多量に発生する。このため、溶融Sn-Zn系めっき鋼板を燃料タンクに用いた場合にエンジン用のキャブレターの目詰まりを起こしやすくなる問題がある。また、耐食性以外の性能面では、Zn含有量が多くなることによってめっき層の加工性も低下し、Sn基めっきの特長である良プレス成形性を損なう。さらに、Zn含有量が多くなることによるめっき層の融点上昇とZn酸化物に起因し、はんだ性が大幅に低下する。
したがって、本実施形態において、Sn-Zn合金めっきにおけるZn含有量は、1〜8.8質量%の範囲であり、更により十分な犠牲防食作用を得るには4.0〜8.8質量%の範囲にすることが望ましい。
次に、めっき層の融解挙動について説明する。この融解挙動は、本発明では最も重要であり、燃料タンク内面と外面における耐食性と製造性のバランスとにより限定されている。
本実施形態では、溶融めっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれの吸熱量比が以下の関係式を満たす。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
吸熱量比を上記の式のように規定した理由は、(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}=0.3を境界にして、Sn-Znめっき層の組織が大きく異なるためである。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}<0.3という熱分析挙動を示すめっき組織は、Sn-Zn共晶セルが全面に成長し、Sn-Zn共晶セル-共晶セル粒界でめっき層を深さ方向に貫通するZn偏析が起こりやすい。
一方、(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3という熱分析挙動を示すめっき組織は、Sn-Zn共晶セル凝固を抑制するのに十分なSn初晶が晶出している。このため、Zn偏析が劇的に減少している。その結果、めっき層の耐食性が飛躍的に向上する。以上により、本実施形態の溶融めっき層を構成するSn-Zn二元合金組成では、融解に伴うSn初晶とSn-Zn共晶の吸熱量比を下記の式のように規定している。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)十(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
上記した吸熱量比に着目した理由をさらに詳細に以下に述べる。
前述の様に、溶融めっき層のSn基めっきにおいてZnが含有されたことにより、犠牲防食能が付与される。この効果を利用して、燃料タンク内面と外面での腐食を制御している。しかしながら、かかる腐食環境において、Zn自体は本来溶出する速度が速いため、めっき層にZn偏析部があるとその部位だけ優先的に溶出してしまい、その部位で穿孔腐食をおこしやすい状態となってしまう。
本実施形態の溶融めっき層のめっき組成域では、通常、溶融Sn-Znめっき組織はSn初晶とセル状の二元Sn-Zn共晶組織の混在した凝固組織となりやすい。このときZnは共晶セル-共晶セル粒界に特に偏析しやすくなっている。共晶セル-共晶セル粒界にZnが偏析しやすい理由は明確ではないが、以下の理由が考えられる。
(a)Znと親和性の高い微量の不純物の影響。
(b)最終凝固部の共晶セル-共晶セル粒界では共晶組織が粗大化しやすいこと。
(c)ZnがSn-Zn共晶凝固の先行相であるため、共晶セル-共晶セル粒界では異なる共晶セルのそれぞれの先行Zn相同士が結合すること。
この共晶セル-共晶セル粒界に偏析したZnは、前述のように腐食の起点になり、選択腐食をおこしやすくする。
このようなZnの偏析をなくすことは、Sn初晶を積極的に成長させ、共晶セルの成長を抑制することにより可能となる。本実施形態の溶融めっき層の組成域ではSnが初晶として晶出するため、Snデンドライトがネットワーク状に凝固初期にめっき層に張りめぐらされれば、共晶反応で成長するセル状のSn-Zn二元共晶はデンドライトのアームに成長を抑制され大きく発達できない。そのため、巨大な共晶セル同士がぶつかり合うことはなくなり、共晶セル-共晶セル粒界に偏析するZnはなくなり、燃料タンク内外面での耐食性が著しく向上する。
Sn初晶を積極的に発達させるために、Snの成長起点(核生成サイト)を増やしてやればよい。溶融めっきの凝固過程では、鋼板側の抜熱が大きいため、めっき/地鉄の界面側から凝固していく。したがって、溶融めっき層の下層の合金層に微細な凹凸をつけるか、地鉄そのものに微細な凹凸をつければ、Sn初晶デンドライトの成長起点(核生成サイト)をつくることができる。
この核生成サイトの付与の仕方で最も効果的な手法は、溶融めっき層の下層にある合金相(地鉄と溶融メタルの反応で生成)の形態制御である。Snの核生成に影響を与えるためには微細な凹凸が有効であり、合金相の生成のさせ方を制御すれば良い。即ち合金相の生成が進んでいる箇所は凸となり、合金相の生成が抑制されている箇所は凹となり、この制御は、溶融めっき浴温、溶融めっき浸漬時間、および溶融メッキに先立ってプレめっきを鋼板に施す場合にはさらにプレめっきの種類、付着量を制御することにより可能である。
以下、合金相の生成に与える各種因子を補足説明する。
(プレめっきの種類および付着量)
(a)Ni単体
プレめっきによりNiめっきが被覆されている箇所は、溶融めっきの凝固過程でSn-ZnメタルとFe(地鉄)の合金化は抑制される。一方、Niめっきが被覆されていない箇所はSn-ZnメタルとFe(地鉄)の合金化は進行する。その結果、微細な凹凸の合金相が生成する。プレめっき量としては片面あたり0.01〜0.3g/mの範囲であれば、プレめっき層は均一には被覆されず(SEMレベル(約5000倍)で観察可能なμmオーダーの不めっき部を有する)、前述のように合金相の成長の差により、微細な凹凸の合金相が生成する。プレめっきの量は、核生成サイトを安定的に確保するために、好ましくは0.01〜0.24g/m2、更に好ましくは0.01〜0.09g/m2とするのがよい。Niめっきは一般的に用いられるワット浴で十分である。参考にワット浴の代表組成は硫酸ニッケル240〜350g/L、塩化ニッケル30〜60g/L、ホウ酸30〜45g/Lであり、めっき条件はpH=2.5〜4.5、浴温度40〜60℃、電流密度2〜10A/dmの範囲で操業可能である。
(b)Fe-Ni合金
Ni単体の説明と重複するがFeとNiではSn-Znメタルとの合金化挙動が異なり、FeとSn-Znメタルでは合金化が進行し、NiとSn-Znメタルでは合金化が抑制される。その結果、微細な凹凸の合金相が生成する。したがって、Fe-Ni合金めっきをプレめっきとした場合も、同様の効果が得られる。Fe-Ni合金めっきの組成はどちらかの元素に対して極度に偏らなければ問題なく、Fe-10質量%Ni〜Fe-80質量%Niの範囲ではプレめっき組成の影響はない。好ましくはFe-21質量%Ni〜Fe-70質量%Niの範囲であり、Sn初晶生成がより安定する領域となる。Fe-Ni合金めっき浴は前記のNiめっきのワット浴に対して、硫酸鉄を30〜200g/L添加したもので使用可能である。Ni単体のように不均一被覆である必要はないので上限を設ける必要はないが、経済的にはプレめっき付着量は片面あたり0.01〜2.0g/mが適当である。
(溶融めっき浴温、浸漬時間)
溶融めっき浴温と浸漬時間はともに合金相の成長に影響を及ぼす。
溶融めっき浴温は著しく低い場合、合金相は成長せず、著しく高い場合、合金相は成長が促進される。ただし、溶融めっき浴温は操業性の観点から、下限は溶融メタルの液相線温度+10〜50℃、上限はせいぜい液相線温度+100℃に設定することが多い。浴温が低い場合、溶融めっき釜内の浴温バラツキによる溶融メタル凝固の危険性がある。一方、浴温が高い場合、過度の合金相成長、溶融めっき後の凝固の冷却能力の必要、不経済というデメリットが生じる。本実施形態の溶融めっき層のSn-Zn系めっきでは、Sn-Zn組成範囲も考慮すると、240〜300℃が溶融めっき浴温の適正範囲となり、この温度範囲においては、上記プレめっきと後述する浸漬時間の組み合わせにより微細凹凸を有する合金相の生成は可能である。
浸漬時間は短時間側では合金相の成長が不十分であり、長時間側では合金相の成長が過度となる傾向が一般的にある。ただし、本実施形態においては1秒の浸漬で合金相は既に成長しており、かつ、長時間浸漬しても合金相の成長は徐々に飽和している。実際の連続溶融めっきにおいては、浸漬時間は少なくとも約2秒かかり、溶融めっき釜の大きさから15秒以上浸漬することは通常はない。浸漬時間が長いことは生産性の低下を意味し、不経済でもある。この浸漬時間、2〜15秒の範囲においては、上記プレめっきと溶融めっき浴温の組み合わせにより微細凹凸を有する合金相の生成は可能である。
(鋼板凹凸)
凹凸が核生成サイトになるので、鋼板に微細な凹凸を機械的に付与しても合金相の凹凸と同様の効果が得られる。鋼板に微細な凹凸をつける手法として微細凹凸のある圧延ロールによる転写、微細な硬質粉体によるショットブラストがある。
さらに、Sn初晶を発達させるための条件として、めっき付着量制御のために行うガスワイビング後の冷却速度の影響もある。Sn初晶と二元Sn-Zn共晶組織では、Sn初晶の方が先に凝固するが、Sn初晶を十分に発達させるためには、冷却速度は遅い方が好ましい。上記プレめっき方法との組み合わせで製造した場合は、溶融Sn-Znめっき層の冷却速度は30℃/秒以下であることが好ましい。下限値は特に設けるものではないが、冷却速度が遅すぎると生産性が低下するため、10℃/秒以上の冷却速度が実生産上は好ましい。
上記のようなSn初晶を積極的に晶出した凝固組織を有するSn-Znめっき層は特徴的な融解挙動を示し、このめっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれ吸熱量比は以下の関係式を満たす。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)十(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
本実施形態の溶融めっき層のSn-Zn二元合金組成の凝固挙動は平衡状態ではSn初晶が晶出することになっている。しかし、実際の溶融Sn-Znめっきのプロセスでは上述したようなSn初晶を積極的に晶出させる手段を講じないと、容易に過冷され、共晶点からZn質量%が低い広い組成にわたってSn-Zn共晶セルのみからなるめっき組織となる。しかしながら、本発明者等は、Sn-Zn共晶セルが成長しためっき層と、Sn初晶が十分に晶出しためっき層とでは、めっき層の熱分析を行った際にSn初晶の融解に伴う吸熱量に明確な差異が現れることを知見した。この特徴を利用し以下に示すように上記いずれの組織であるか識別することが可能である。すなわち、Sn-Zn共晶セルが成長しためっき層ではSn初晶の融解に伴う吸熱量はほとんど現れず、Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量が大部分となる。
一方、Sn初晶が十分に晶出しためっき層ではSn初晶の融解に伴う吸熱量が明確に現れ、本実施形態の溶融めっき層のSn-Zn二元合金組成では、以下の関係式を満たすため判別可能である。このため本実施形態では、融解に伴うSn初晶とSn-Zn共晶の吸熱量比を以下の関係式のように規定している。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
また、本実施形態の溶融めっき層の組成では、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度bが200℃以上230℃以下であって、Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度aが198℃以上200℃未満となる。融解挙動を調査する方法は幾つかあるが、本実施形態では、熱分析の一手法である示差走査熱量測定(Dirferentialial Scamming Calorimetry: DSC)により得られるめっき層の熱分析結果とめっき鋼板の耐食性とに強い相関が認められることを見出した。示差走査熱量測定(Differenlial Scanning Calorimetry: DSC)は、標準物質と試料を同時に加熱し、温度差が生じた場合、その温度差を打ち消すために必要なエネルギーを加え、要したエネルギー(熱含量変化)の時間変化を基準物質の温度と共に測定する方法である。その際得られる示差走査熱量測定曲線は、ある温度での吸熱反応、発熱反応に対するシグナルを与え(ピークを得)、この方法では熱エネルギーを電気のジュール熱で与えるので、反応熱を定量的に測定できる。
本実施形態では、示差走査熱量測定装置(Differential Scanning Calorimetry: DSC)としてパーキンエルマー製DSC7を使用した。測定試料の準備は溶融Sn-Zn系めっき鋼板(厚み:0.5mm〜2.0mm)を直径6mmφに打ち抜き、アルミニウム製パンに封入した。昇温速度は一般的には2℃/min〜20℃/minの範囲で選択する。測定結果は昇温速度に依存性を持ち、昇温速度が大きくなると、全体の挙動は高温側にシフトし、ピーク分解能は低下する。ただし、単位時間あたりの変化量は大きくなるので、見かけの感度は高まり、微小ピークの検出には有利なことがある。また、目的とする挙動自体、昇温速度依存性がある場合があり、種々の昇温速度で測定を試みる必要がある。
本実施形態においては、昇温速度2.5℃/minで、効率的かつ最適な示差走査熱量測定曲線を得ることができた。この昇温速度では198℃以上200℃未満の吸熱ピークと200℃以上230℃以下に現れる吸熱ピークを明確に分離することが可能である。
なお、本実施形態では、吸熱ピーク温度は示差走査熱量測定曲線で現れる吸熱ピーク頂点温度(ピークトップ温度)をさす。また、吸熱量はベースラインと曲線で囲まれた面積より求めることとする。
本実施形態では、めっき層表面を更に無機化合物又は有機化合物あるいはその複合物よりなる被覆層によって被覆する後処理を行うことにより万全の耐食性が期待される。この処理はSn-Znめっき層とは非常に馴染みが良く、微小ピンホール等の欠陥部を被覆したり、めっき層を溶解させピンホールを修復したりする効果があり耐食性を大幅に向上させる。
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
板厚0.8mmの焼鈍・調圧済みの鋼板に、電気めっき法によりワット浴(硫酸ニッケル240g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L、pH=4.0)からNiめっきを0.1g/m2(片面あたり浴温度50℃、電流密度10A/dm)施した。この鋼板に塩化亜鉛、塩化アンモニウム及び塩酸を含むめっき用フラックスを塗布した後、280℃のSn-Zn溶融めっき浴に導入した。めっき浴と鋼板表面を5秒間反応させた後、めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn+Znの全付着量)を40g/m(片面あたり)に制御した。ガスワイビングの後、エアジェットクーラーにて冷却速度を種々変化させ溶融めっき層を凝固した。
得られたSn-Znめっき鋼板の示差走査熱量測定曲線をパーキンエルマー製DSC7を使用して求めた。測定試料の準備はSn-Znめっき鋼板を直径6mmφに打ち抜き、アルミニウム製パンに封入した。昇温速度は2.5℃/minとして常温から250℃まで測定した。吸熱ピーク温度a、bは示差走査熱量測定曲線で現れる吸熱ピーク頂点温度(ピークトップ温度)より求め、また吸熱量はベースラインと曲線で囲まれた面積より求めた。
燃料タンク外面の塩害環境での耐食性はSST960時間後の赤錆発生面積率で評価し、赤錆面積率10%以下を良好とした。
燃料タンク内面の耐食性は以下の方法により行なった。圧力容器中にて100℃で24時間放置した強制劣化ガソリンに10vo1%の水を添加し腐食液を作製した。この腐食液350ml中にて、ビードつき引抜加工を行っためっき鋼板(板厚減少率15%、30×35mm端面・裏面シール)を45℃にて3週間の腐食試験を行い、溶出した金属イオンのイオン種と溶出量を測定した。溶出量は総金属量200ppm未満を良好とした。
図1は、試料No.1の示差走査熱量測定曲線を示す。得られた評価結果を表1に示す。表1のNo.1〜5の発明例では、いずれも使用に十分耐えうる特性を有している。No.1、2、4は、冷却速度の影響を見るために作製された試料である。冷却速度アップにより、吸熱量比が低下(すなわちSn初晶が減少)していっている。No.6の比較例では、Zn含有量(質量%)が低いため、十分な犠牲防食効果を有しておらず外面耐食性にやや劣る。No.7、No.8の比較例では、Zn含有量(質量%)が高く、吸熱量比が低下しており、もはやSn初晶が現れなかった。共晶セル粒界のZn偏析および粗大Zn結晶の成長が助長されるため、内外面いずれの耐食性も低下した。
ここで、表1中、各試料の総合評価の結果を以下のように示した。
A:Good、耐食性良好
B:Fair、使用可
C:Bad、使用不可
Figure 2012001818
(実施例2)
板厚0.8mmのRMSで1.5μmの粗度を圧延ロールで付与した冷延鋼板を鋼板として使用した。この鋼板の圧延油をゼンジマー方式で加熱除去した後に鋼板表面を還元し、300℃のSn-8質量%Znめっき浴に導入した。なお、RMSは自乗平均粗さを意味し、ある区間の粗さ曲線の自乗の積分値を区間長さで除し、平方根をとったものである。
めっき浴と鋼板表面を3秒反応させた後、めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn-Znの全付着量)を40g/m2(片面あたり)に制御した。
得られた評価結果を表1に示す。表1のNo.9に示すように、Sn初晶の十分な成長が認められた。タンク外面の塩害環境での耐食性はSST960時間後には白錆は発生しているものの赤錆は発生せず良好な耐食性を有していた。またタンク内面の耐食性については、溶出した金属イオンとしてめっき層のZnが極微量溶出しているが、溶出量は15ppmであり良好であった。
(実施例3)
板厚0.8mmの焼鈍・調圧済みの鋼板に、電気めっき法によりワット浴(硫酸ニッケル240g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L、pH=4.0)からNiめっきを0.5g/m(片面あたり浴温度50℃、電流密度10A/dm)で平滑かつ均一に施した。この鋼板に塩化亜鉛、塩化アンモニウム及び塩酸を含むめっき用フラックスを塗布した後、280℃のSn-Zn溶融めっき浴に導入した。めっき浴と鋼板表面を5秒間反応させた後めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn+Znの全付着量)を40g/m(片面あたり)に制御した。
図2は、No.10の示差走査熱量測定曲線を示す。得られた評価結果を表2に示す。表2のNo.10に示すように、Sn初晶の晶出はほとんどなく、ほとんどがSn-Zn共晶となった。なお、このサンプルには、光学顕微鏡による観察により共晶セル粒界にZnの偏析が認められた。タンク外面の塩害環境での耐食性はSST960時間後の赤錆発生面積率は80%であり、孔食が多数発生していた。また、タンク内面の耐食性は溶出した金属イオンはZnとFeが溶出しており、溶出量は1800ppmであり孔食が発生していた。No.11〜13はNo.10に比較してSn初晶融解に伴う吸熱量比は若干高くなっているが、0.3を超えておらず、耐食性はあまり向上していない。
Figure 2012001818
(実施例4)
板厚0.8mmの焼鈍、調圧済みの鋼板に、電気めっき法によりFe-Niめっき浴(硫酸ニッケル:240g/L、塩化ニッケル:30g/L、ホウ酸:30g/L、硫酸鉄:(15)、30、50、100、150、200、(250)g/L、pH=2.5)から各種組成のFe-Niめっきを1.0g/m(片面あたり浴温度50℃、電流密度10A/dm)施した。この鋼板に塩化亜鉛、塩化アンモニウム及び塩酸を含むめっき用フラックスを塗布した後、250、300、350、400℃の各種組成のSn-Zn溶融めっき浴に導入した。めっき浴と鋼板表面を2、5、10、15、20秒間反応させた後、めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn+Znの全付着量)を40g/m(片面あたり)に制御した。表3,4に結果を示す。
Figure 2012001818
Figure 2012001818
No.14〜20の試料はプレFe-Ni組成の影響を見るために作製された試料である。No.15〜19のFe-10質量%Ni〜Fe-80質量%Niでは、Sn初晶が十分に生成し、吸熱量比が0.3以上となり、いずれも良好な耐食性となった。しかし、No.14やNo.20のようにFeあるいはNiのいずれかに組成が偏るとSn初晶の生成は低下し、吸熱量比が0.3未満に低下し、耐食性も劣る結果となった。
No.21〜24の試料はSn-Znめっき組成の影響を見るために作製された試料である。No.21ではZn量が十分でないために、犠牲防食能が不足し、外面耐食性に劣る結果となった。一方、No,24ではZn量が多すぎるために、金属溶出量が著しく多くなった。No.23は犠牲防食能を有し、なおかつZnの極度の溶出を抑制し、バランスのとれた良好な耐食性を示した。
No.25〜27の試料は溶融めっき浴温度の影響を調べるために作製されたものであり、No.28〜31は溶融めっき浸漬時間の影響を調べるために作製されたものである。この実用的な範囲においては吸熱量比に対して大きな影響を与えず、いずれも良好な結果となった。
No.32〜33の試料は冷却速度の影響を見るために作製された試料である。冷却速度アップにより、吸熱量比が低下(すなわちSn初晶が減少)していっている。
本発明の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、耐食性、加工性、溶接性に優れ、劣化ガソリン等に対しても長期間耐えることができる。このため、Pbを使用しない燃料タンク材料などとして広い範囲で有用である。
a…Sn-Zn共晶の吸熱ピーク温度、b…Sn初晶の吸熱ピーク温度。

Claims (4)

  1. Ni:10〜80質量%、残部がFeであるFe−Ni合金めっきを鋼板にプレめっきするか、又はNiめっきを片面あたり0.01〜0.3g/mの量で鋼板にプレめっきし、
    240〜300℃の溶融めっき浴温、及び2〜15秒の浸漬時間の条件で、前記鋼板をSn−Zn溶融めっき浴に浸漬し、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層を前記鋼板の表面に形成し、
    10℃/秒以上、25℃/秒以下の冷却速度で、前記溶融めっき層を冷却して、溶融Sn−Zn系めっき鋼板を得て、
    前記溶融Sn−Zn系めっき鋼板の示差走査熱量測定曲線を示差走査熱量測定により測定し、
    得られた示差走査熱量測定曲線より、前記溶融めっき層が、目的の組織を有するかどうか識別し、
    前記目的の組織は、以下の関係式(1)を満たし、
    0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91 (1)
    前記目的の組織は、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満であることを特徴とする溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法によって製造され、
    鋼板と、
    前記鋼板の表面に形成され、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層とを有し、
    前記溶融めっき層のSn−Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれの吸熱量比が以下の関係式(1)を満たし、
    0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91 (1)
    Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満であることを特徴とする溶融Sn−Zn系めっき鋼板。
  4. 前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項3に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板。
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