JP2012001818A - 溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法および良好な耐食性を有する溶融Sn−Zn系めっき鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、鋼板と、前記鋼板の表面に形成され、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層を有し、前記溶融めっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれの吸熱量比が以下の関係式を満たし、
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であって、Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満である。
【選択図】なし
Description
本願は、2005年7月5日に出願された日本国特許出願第2005−196192号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
一方、Sn-Zn合金めっき鋼板は、例えば特許文献1のように、ZnおよびSnイオンを含む水溶液中で電解する電気めっき法で主として製造されてきた。Snを主体とするSn-Zn合金めっき鋼板は、耐食性やはんだ性に優れており電子部品などに多く使用されてきた。このSn-Znめっき鋼板は、自動車燃料タンク用途において優れた特性を有することが知見され、以下の特許文献2〜4の公報において、溶融Sn-Znめっき鋼板が開示されてきた。
一方、Sn-Zn電気合金めっき鋼板は、主としてはんだ性等の要求される電子部品として、腐食環境がさほど厳しくない用途で使用されてきた。
本発明の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法は、Ni:10〜80質量%、残部がFeであるFe−Ni合金めっきを鋼板にプレめっきするか、又はNiめっきを片面あたり0.01〜0.3g/m2の量で鋼板にプレめっきし、240〜300℃の溶融めっき浴温、及び2〜15秒の浸漬時間の条件で、前記鋼板をSn−Zn溶融めっき浴に浸漬し、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層を前記鋼板の表面に形成し、10℃/秒以上、25℃/秒以下の冷却速度で、前記溶融めっき層を冷却して、溶融Sn−Zn系めっき鋼板を得て、前記溶融Sn−Zn系めっき鋼板の示差走査熱量測定曲線を示差走査熱量測定により測定し、得られた示差走査熱量測定曲線より、前記溶融めっき層が、目的の組織を有するかどうか識別し、前記目的の組織は、以下の関係式(1)を満たし、
0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91(1)
前記目的の組織は、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満であることを特徴とする。
本発明の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法では、前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなることを方法とすることができる。
本発明の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法によって製造され、鋼板と、前記鋼板の表面に形成され、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層とを有する。前記溶融めっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれ吸熱量比が以下の関係式(1)を満たす。
0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91(1)
また、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満である。
ここで、吸熱量は、示差走査熱量測定装置(Differnential Scanning Calorimetry :DSC)を用いて、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度、およびSn-Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度にて測定された値である。
本実施形態の溶融Sn-Zn系めっき鋼板は、鋼板と、この鋼板の表面に形成された溶融めっき層を有する。鋼板としては、鋼鋳片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の一連の工程を経た焼鈍済みの鋼板、または圧延材などが挙げられる。鋼成分については、燃料タンクの複雑な形状に加工できる成分系であること、鋼−めっき層界面の合金層の厚みが薄くめっき剥離を防止できること、燃料タンク内部および外部環境における腐食の進展を抑制する成分系である必要がある。特に高度な加工性を要求される部位だけに、加工性に優れたIF鋼(Interstitial atom Free)の適用が望ましく、さらには溶接後の溶接気密性、二次加工性等を確保するためにBを数ppm添加した鋼板が望ましい。このIF鋼の代表成分範囲は、C≦0.003質量%、Si<0.01質量%、Mn:0.10質量%〜0.20質量%、P<0.025質量%、S:0.005質量%〜0.02質量%、Ti:0.040質量%〜0.060質量%、残部:Fe及び不可避不純物が好ましく、これにさらにBが5ppm程度含有されていることがさらに好ましい。例えばC:0.003質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.20質量%、P:0.01質量%、S:0.01質量%、Ti:0.06質量%、残部:Fe及び不可避不純物からなるIF鋼が挙げられる。熱延では1150℃前後でスラブ加熱した後、3〜6mm程度に圧延し、酸洗後に0.5〜1.5mm程度に冷延し、表面の圧延油・鉄粉などをアルカリ電解にて除去した後に焼鈍する。焼鈍は、コストの点からは連続焼鈍が望ましいが、バッチ焼鈍でも製造可能である。その後、調質圧延し、NiまたはFe−Ni合金のプレめっきを行い、一般的にフラックス法と呼ばれるめっき法にて溶融めっきする。
一方、Znが8.8質量%を超えて多量に含まれる場合、Znが優先的に溶解し、腐食生成物が短期間に多量に発生する。このため、溶融Sn-Zn系めっき鋼板を燃料タンクに用いた場合にエンジン用のキャブレターの目詰まりを起こしやすくなる問題がある。また、耐食性以外の性能面では、Zn含有量が多くなることによってめっき層の加工性も低下し、Sn基めっきの特長である良プレス成形性を損なう。さらに、Zn含有量が多くなることによるめっき層の融点上昇とZn酸化物に起因し、はんだ性が大幅に低下する。
本実施形態では、溶融めっき層のSn-Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれの吸熱量比が以下の関係式を満たす。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}<0.3という熱分析挙動を示すめっき組織は、Sn-Zn共晶セルが全面に成長し、Sn-Zn共晶セル-共晶セル粒界でめっき層を深さ方向に貫通するZn偏析が起こりやすい。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)十(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
前述の様に、溶融めっき層のSn基めっきにおいてZnが含有されたことにより、犠牲防食能が付与される。この効果を利用して、燃料タンク内面と外面での腐食を制御している。しかしながら、かかる腐食環境において、Zn自体は本来溶出する速度が速いため、めっき層にZn偏析部があるとその部位だけ優先的に溶出してしまい、その部位で穿孔腐食をおこしやすい状態となってしまう。
(a)Znと親和性の高い微量の不純物の影響。
(b)最終凝固部の共晶セル-共晶セル粒界では共晶組織が粗大化しやすいこと。
(c)ZnがSn-Zn共晶凝固の先行相であるため、共晶セル-共晶セル粒界では異なる共晶セルのそれぞれの先行Zn相同士が結合すること。
この共晶セル-共晶セル粒界に偏析したZnは、前述のように腐食の起点になり、選択腐食をおこしやすくする。
この核生成サイトの付与の仕方で最も効果的な手法は、溶融めっき層の下層にある合金相(地鉄と溶融メタルの反応で生成)の形態制御である。Snの核生成に影響を与えるためには微細な凹凸が有効であり、合金相の生成のさせ方を制御すれば良い。即ち合金相の生成が進んでいる箇所は凸となり、合金相の生成が抑制されている箇所は凹となり、この制御は、溶融めっき浴温、溶融めっき浸漬時間、および溶融メッキに先立ってプレめっきを鋼板に施す場合にはさらにプレめっきの種類、付着量を制御することにより可能である。
(プレめっきの種類および付着量)
(a)Ni単体
プレめっきによりNiめっきが被覆されている箇所は、溶融めっきの凝固過程でSn-ZnメタルとFe(地鉄)の合金化は抑制される。一方、Niめっきが被覆されていない箇所はSn-ZnメタルとFe(地鉄)の合金化は進行する。その結果、微細な凹凸の合金相が生成する。プレめっき量としては片面あたり0.01〜0.3g/m2の範囲であれば、プレめっき層は均一には被覆されず(SEMレベル(約5000倍)で観察可能なμmオーダーの不めっき部を有する)、前述のように合金相の成長の差により、微細な凹凸の合金相が生成する。プレめっきの量は、核生成サイトを安定的に確保するために、好ましくは0.01〜0.24g/m2、更に好ましくは0.01〜0.09g/m2とするのがよい。Niめっきは一般的に用いられるワット浴で十分である。参考にワット浴の代表組成は硫酸ニッケル240〜350g/L、塩化ニッケル30〜60g/L、ホウ酸30〜45g/Lであり、めっき条件はpH=2.5〜4.5、浴温度40〜60℃、電流密度2〜10A/dm2の範囲で操業可能である。
Ni単体の説明と重複するがFeとNiではSn-Znメタルとの合金化挙動が異なり、FeとSn-Znメタルでは合金化が進行し、NiとSn-Znメタルでは合金化が抑制される。その結果、微細な凹凸の合金相が生成する。したがって、Fe-Ni合金めっきをプレめっきとした場合も、同様の効果が得られる。Fe-Ni合金めっきの組成はどちらかの元素に対して極度に偏らなければ問題なく、Fe-10質量%Ni〜Fe-80質量%Niの範囲ではプレめっき組成の影響はない。好ましくはFe-21質量%Ni〜Fe-70質量%Niの範囲であり、Sn初晶生成がより安定する領域となる。Fe-Ni合金めっき浴は前記のNiめっきのワット浴に対して、硫酸鉄を30〜200g/L添加したもので使用可能である。Ni単体のように不均一被覆である必要はないので上限を設ける必要はないが、経済的にはプレめっき付着量は片面あたり0.01〜2.0g/m2が適当である。
溶融めっき浴温と浸漬時間はともに合金相の成長に影響を及ぼす。
溶融めっき浴温は著しく低い場合、合金相は成長せず、著しく高い場合、合金相は成長が促進される。ただし、溶融めっき浴温は操業性の観点から、下限は溶融メタルの液相線温度+10〜50℃、上限はせいぜい液相線温度+100℃に設定することが多い。浴温が低い場合、溶融めっき釜内の浴温バラツキによる溶融メタル凝固の危険性がある。一方、浴温が高い場合、過度の合金相成長、溶融めっき後の凝固の冷却能力の必要、不経済というデメリットが生じる。本実施形態の溶融めっき層のSn-Zn系めっきでは、Sn-Zn組成範囲も考慮すると、240〜300℃が溶融めっき浴温の適正範囲となり、この温度範囲においては、上記プレめっきと後述する浸漬時間の組み合わせにより微細凹凸を有する合金相の生成は可能である。
凹凸が核生成サイトになるので、鋼板に微細な凹凸を機械的に付与しても合金相の凹凸と同様の効果が得られる。鋼板に微細な凹凸をつける手法として微細凹凸のある圧延ロールによる転写、微細な硬質粉体によるショットブラストがある。
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)十(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn-Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≧0.3
なお、本実施形態では、吸熱ピーク温度は示差走査熱量測定曲線で現れる吸熱ピーク頂点温度(ピークトップ温度)をさす。また、吸熱量はベースラインと曲線で囲まれた面積より求めることとする。
本実施形態では、めっき層表面を更に無機化合物又は有機化合物あるいはその複合物よりなる被覆層によって被覆する後処理を行うことにより万全の耐食性が期待される。この処理はSn-Znめっき層とは非常に馴染みが良く、微小ピンホール等の欠陥部を被覆したり、めっき層を溶解させピンホールを修復したりする効果があり耐食性を大幅に向上させる。
(実施例1)
板厚0.8mmの焼鈍・調圧済みの鋼板に、電気めっき法によりワット浴(硫酸ニッケル240g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L、pH=4.0)からNiめっきを0.1g/m2(片面あたり浴温度50℃、電流密度10A/dm2)施した。この鋼板に塩化亜鉛、塩化アンモニウム及び塩酸を含むめっき用フラックスを塗布した後、280℃のSn-Zn溶融めっき浴に導入した。めっき浴と鋼板表面を5秒間反応させた後、めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn+Znの全付着量)を40g/m2(片面あたり)に制御した。ガスワイビングの後、エアジェットクーラーにて冷却速度を種々変化させ溶融めっき層を凝固した。
燃料タンク外面の塩害環境での耐食性はSST960時間後の赤錆発生面積率で評価し、赤錆面積率10%以下を良好とした。
燃料タンク内面の耐食性は以下の方法により行なった。圧力容器中にて100℃で24時間放置した強制劣化ガソリンに10vo1%の水を添加し腐食液を作製した。この腐食液350ml中にて、ビードつき引抜加工を行っためっき鋼板(板厚減少率15%、30×35mm端面・裏面シール)を45℃にて3週間の腐食試験を行い、溶出した金属イオンのイオン種と溶出量を測定した。溶出量は総金属量200ppm未満を良好とした。
ここで、表1中、各試料の総合評価の結果を以下のように示した。
A:Good、耐食性良好
B:Fair、使用可
C:Bad、使用不可
板厚0.8mmのRMSで1.5μmの粗度を圧延ロールで付与した冷延鋼板を鋼板として使用した。この鋼板の圧延油をゼンジマー方式で加熱除去した後に鋼板表面を還元し、300℃のSn-8質量%Znめっき浴に導入した。なお、RMSは自乗平均粗さを意味し、ある区間の粗さ曲線の自乗の積分値を区間長さで除し、平方根をとったものである。
めっき浴と鋼板表面を3秒反応させた後、めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn-Znの全付着量)を40g/m2(片面あたり)に制御した。
得られた評価結果を表1に示す。表1のNo.9に示すように、Sn初晶の十分な成長が認められた。タンク外面の塩害環境での耐食性はSST960時間後には白錆は発生しているものの赤錆は発生せず良好な耐食性を有していた。またタンク内面の耐食性については、溶出した金属イオンとしてめっき層のZnが極微量溶出しているが、溶出量は15ppmであり良好であった。
板厚0.8mmの焼鈍・調圧済みの鋼板に、電気めっき法によりワット浴(硫酸ニッケル240g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L、pH=4.0)からNiめっきを0.5g/m2(片面あたり浴温度50℃、電流密度10A/dm2)で平滑かつ均一に施した。この鋼板に塩化亜鉛、塩化アンモニウム及び塩酸を含むめっき用フラックスを塗布した後、280℃のSn-Zn溶融めっき浴に導入した。めっき浴と鋼板表面を5秒間反応させた後めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn+Znの全付着量)を40g/m2(片面あたり)に制御した。
板厚0.8mmの焼鈍、調圧済みの鋼板に、電気めっき法によりFe-Niめっき浴(硫酸ニッケル:240g/L、塩化ニッケル:30g/L、ホウ酸:30g/L、硫酸鉄:(15)、30、50、100、150、200、(250)g/L、pH=2.5)から各種組成のFe-Niめっきを1.0g/m2(片面あたり浴温度50℃、電流密度10A/dm2)施した。この鋼板に塩化亜鉛、塩化アンモニウム及び塩酸を含むめっき用フラックスを塗布した後、250、300、350、400℃の各種組成のSn-Zn溶融めっき浴に導入した。めっき浴と鋼板表面を2、5、10、15、20秒間反応させた後、めっき浴より鋼板を引き出し、ガスワイビング法により付着量調整を行い、めっき付着量(Sn+Znの全付着量)を40g/m2(片面あたり)に制御した。表3,4に結果を示す。
No.21〜24の試料はSn-Znめっき組成の影響を見るために作製された試料である。No.21ではZn量が十分でないために、犠牲防食能が不足し、外面耐食性に劣る結果となった。一方、No,24ではZn量が多すぎるために、金属溶出量が著しく多くなった。No.23は犠牲防食能を有し、なおかつZnの極度の溶出を抑制し、バランスのとれた良好な耐食性を示した。
No.25〜27の試料は溶融めっき浴温度の影響を調べるために作製されたものであり、No.28〜31は溶融めっき浸漬時間の影響を調べるために作製されたものである。この実用的な範囲においては吸熱量比に対して大きな影響を与えず、いずれも良好な結果となった。
No.32〜33の試料は冷却速度の影響を見るために作製された試料である。冷却速度アップにより、吸熱量比が低下(すなわちSn初晶が減少)していっている。
Claims (4)
- Ni:10〜80質量%、残部がFeであるFe−Ni合金めっきを鋼板にプレめっきするか、又はNiめっきを片面あたり0.01〜0.3g/m2の量で鋼板にプレめっきし、
240〜300℃の溶融めっき浴温、及び2〜15秒の浸漬時間の条件で、前記鋼板をSn−Zn溶融めっき浴に浸漬し、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層を前記鋼板の表面に形成し、
10℃/秒以上、25℃/秒以下の冷却速度で、前記溶融めっき層を冷却して、溶融Sn−Zn系めっき鋼板を得て、
前記溶融Sn−Zn系めっき鋼板の示差走査熱量測定曲線を示差走査熱量測定により測定し、
得られた示差走査熱量測定曲線より、前記溶融めっき層が、目的の組織を有するかどうか識別し、
前記目的の組織は、以下の関係式(1)を満たし、
0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91 (1)
前記目的の組織は、Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満であることを特徴とする溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法。 - 前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板の製造方法によって製造され、
鋼板と、
前記鋼板の表面に形成され、1〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜99.0質量%および不可避的不純物からなる溶融めっき層とを有し、
前記溶融めっき層のSn−Zn共晶の融解熱とSn初晶の融解熱のそれぞれの吸熱量比が以下の関係式(1)を満たし、
0.38≦(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)/{(Sn初晶の融解に伴う吸熱量)+(Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱量)}≦0.91 (1)
Sn初晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が200℃以上230℃以下であり、Sn−Zn共晶の融解に伴う吸熱ピーク温度が198℃以上200℃未満であることを特徴とする溶融Sn−Zn系めっき鋼板。 - 前記溶融めっき層が、4〜8.8質量%のZnと残部がSn:91.2〜96.0質量%および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項3に記載の溶融Sn−Zn系めっき鋼板。
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