JP2012001710A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、異なるポリアミド樹脂やその他の熱可塑性樹脂を混合することなく簡便な方法にて、ヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されたポリアミドフィルムを安定して製造できるポリアミド樹脂組成物を得ることである。
【解決手段】 本発明者らは、前述の問題点を解決するマット調ポリアミドフィルムの開発を目的に鋭意検討した結果、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、かつオルガノポリシロキサン処理量と比表面積の比が特定範囲にある無機フィラー粒子とポリアルキレングリコールを配合したポリアミド樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されたポリアミドフィルム、及び該ポリアミドフィルムを安定かつ簡便に製造できるポリアミド樹脂組成物を提供する。
ポリアミドフィルムは、ガスバリア性、強靭性、機械的、熱的特性に優れている。そのため、ポリアミド樹脂は、単層フィルムあるいはラミネートフィルムの基材、さらに他樹脂との共押出による積層フィルムの構成素材として、食品、医療品、及び薬品等の包装用フィルムをはじめ様々な分野で使用されている。こうしたポリアミドフィルムにおいて、意匠性を高めるために、フィルム表面に細かな凹凸を設けて磨りガラス状とした、もしくは、フィルム自体の非透明性を向上させたマット調フィルムが求められている。このようなマット調とすることにより、フィルム表面の光沢をなくし、あるいは、フィルムの非透明性を向上させることにより内容物をぼかし、さらには和紙風の風合いを付与することにより、高級感のある包装体が得られる。
従来、二軸延伸ポリアミドフィルムにマット調を付与する方法としては、フィルム表面を硬い粒状砂、酸、アルカリ、溶媒等で浸食する方法や、フィルム表面に無機粒子を含有したバインダー樹脂等のコート剤を被覆する方法、あるいはフィルムを構成する樹脂中に無機粒子や有機合成樹脂等を含有させる方法があった。
しかしながら、フィルム表面を硬い粒状砂、酸、アルカリ、溶媒等で浸食する方法は、加工が難しく生産効率の点で十分でなく、またフィルム表面にダメージを与えることがあることから、フィルム強度が低下し、二軸延伸ポリアミドフィルムの長所であるフィルム強度を損なうことがあった。また、フィルム表面に無機粒子を含有したバインダー樹脂等のコート剤を被覆する方法では、一般にコート剤の耐熱性が低く、製袋加工等で二軸延伸ポリアミドフィルムの表面側からヒートシールバー等により加熱された時、コート剤が熱により溶融し、ヒートシールバー側への付着することがあり、製袋速度が上がらず、生産効率も十分でなかった。さらに、ポリアミド系粗面フィルムの表面凹凸状態を規定したマット調を付与したフィルムが開示されている(特許文献1参照)。これら、フィルムを構成する樹脂中に無機粒子や有機合成樹脂等を含有させる方法では、表面凹凸付与の効果が十分でなく、ヘイズ値が低いフィルムしか得られず十分なマット調が得られないという欠点があった。また、マット調フィルムを得るために、無機粒子を多量に配合した場合、フィッシュアイと称される粒状欠陥や、ダイラインと称される筋状の外観不良が生じ易く、ダイのリップ口にポリマー劣化物、添加剤の凝集体が蓄積した目脂の発生が早くなるため、高品質フィルムを安定的に生産することは難しく、さらに、頻繁に押出機を停止させダイのリップ口を浄化することが強いられ、生産効率の低下を余儀なくされていた。
一方、ポリアミドフィルムを含む基材の少なくとも一方の面に、特定の相対粘度を有するポリアミド6と、特定の相対粘度を有するポリアミド12を含有する混合層を含むマット調ポリアミド積層フィルムが開示されている(特許文献2参照)。同技術はポリアミド6とポリアミド12の非相溶性を利用したものであるが、特許文献2の実施例にて使用されているポリアミド6の相対粘度は非常に高く、このような高い相対粘度を有するポリアミドを得るには、例えば比較的低分子量のポリアミドを溶融状態でリン系化合物と混合した後、ペレットや粉体等の形状にしてから、固相重合法により得る方法が挙げられるが、所望の分子量を得るために長時間を要すともに、新たな設備が必要となり生産コストが増大する。よって、より安定し、かつ異なるポリアミド樹脂やその他の熱可塑性樹脂を混合することなく簡便な方法にてヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されたポリアミドフィルムを得ることができるポリアミド樹脂組成物の開発が求められている。
特開平11−343354号公報 特開2008―173875号公報
本発明の目的は、異なるポリアミド樹脂やその他の熱可塑性樹脂を混合することなく簡便な方法にて、ヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されたポリアミドフィルムを安定して製造できるポリアミド樹脂組成物を得ることである。
本発明者らは、前述の問題点を解決するマット調ポリアミドフィルムの開発を目的に鋭意検討した結果、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、かつオルガノポリシロキサン処理量と比表面積の比が特定範囲にある無機フィラーとポリアルキレングリコールを配合したポリアミド樹脂組成物が上記課題を解決することを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、
(A)無機フィラーを0.05質量部以上、0.5質量部以下
(B)ポリアルキレングリコールを0.01質量部以上、0.5質量部以下
含むポリアミド樹脂組成物であり、
(A)無機フィラーが、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、無機フィラーの比表面積をS(m/g)、オルガノポリシロキサンの処理量をM(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.2以上、1.0以下である無機フィラーであるポリアミド樹脂組成物に関するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、かつオルガノポリシロキサン処理量と比表面積の比が特定範囲にある無機フィラーとポリアルキレングリコールを含有してなり、同樹脂組成物よりなるフィルムは、ヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されたポリアミドフィルムを安定かつ簡便に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、
(A)無機フィラーを0.05質量部以上、0.5質量部以下
(B)ポリアルキレングリコールを0.01質量部以上、0.5質量部以下
含むポリアミド樹脂組成物であり、
(A)無機フィラーが、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、無機フィラーの比表面積をS(m/g)、オルガノポリシロキサンの処理量をM(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.2以上、1.0以下である無機フィラーであるポリアミド樹脂組成物である。。
[ポリアミド樹脂]
本発明のポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有し、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩から誘導される単位よりなる重合体であり、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られる。
ラクタムから誘導される単位としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンから誘導される単位等が挙げられ、経済性、入手の容易さから、カプロラクタムおよびドデカンラクタムから誘導される単位が好ましい。アミノカルボン酸から誘導される単位としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸から誘導される単位等が挙げられ、経済性、入手の容易さから、12−アミノドデカン酸から誘導される単位が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、ナイロン塩を構成するジアミンから誘導される単位としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位、1,3−/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミンから誘導される単位、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、経済性、入手の容易さから、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、m−/p−キシリレンジアミンから誘導される単位が好ましく、特にヘキサメチレンジアミンから誘導される単位が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
一方、ナイロン塩を構成するジカルボン酸から誘導される単位としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、経済性、入手の容易さからアジピン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
使用されるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカンラクタム(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)やこれらの原料モノマーを用いたポリアミド共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。得られるフィルムの耐熱性、機械的強度、透明性、経済性、入手の容易さ等を考慮して、ポリアミド樹脂は、カプロラクタムから誘導される単位(カプロラクタム単位)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から誘導される単位(ヘキサメチレンアジパミド単位)、及びドデカンラクタムから誘導される単位(ドデカラクタム単位)よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される単独重合体あるいは共重合体であることが好ましく、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド6とポリアミド66の共重合体、以下、共重合体は同様に記載)、ポリアミド6/69共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/611共重合体、ポリアミド6/612共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド66/6T共重合体、ポリアミド66/6I共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体、及びポリアミド66/6T/6I共重合体よりなる群より選ばれるいずれかであることが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、及びポリアミド6/66/12共重合体よりなる群より選ばれるいずれかであることがより好ましい。ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体よりなる群より選ばれるいずれかであることがさらに好ましい。
JIS K−6920に準じ、96質量%硫酸中、ポリアミド濃度1質量%、温度25℃の条件下にて測定したポリアミド樹脂の相対粘度は、2.0以上、5.0以下であることが好ましく、2.5以上、4.5以下であることがより好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の値未満であると、得られるポリアミドフィルムの機械的性質が低くなることがある。一方、前記の値を超えると、溶融時の粘度が高くなり、フィルムの成形が困難となることがある。
尚、ポリアミド樹脂の末端基の種類及びその濃度や分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、分子量調整剤として、モノアミン、ジアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−フェニレンジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンや酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−/β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミド樹脂の相対粘度が前記の範囲になるように適宜決められる。
ポリアミド樹脂については、さらに、JIS K−6920に規定する低分子量物の含有量の測定方法に準じて測定した水抽出量は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。水抽出量が前記の値を超えると、ダイ付近へのオリゴマー成分の付着が著しく、これら付着物によるダイラインやフィッシュアイの発生により外観不良が生じ易い。さらに、ポリアミド樹脂は、オレフィン樹脂と比較して吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので事前に乾燥し、水分含有率が0.1質量%以下とすることが好ましい。
[(A)無機フィラー]
本発明に使用される(A)無機フィラーは、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、無機フィラーの比表面積をS(m/g)、表面処理されていない無機フィラー1gあたりのオルガノポリシロキサンの処理量をM(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.2以上、1.0以下である。
無機フィラーは、表面突起が表面に形成され、滑り性に優れたポリアミドフィルムが得られさえすれば、その形状は特に制限されず、粉末状、粒子状、フレーク状、板状、繊維状、針状、クロス状、マット状、その他如何なる形状のものであってもよいが、粒子状、板状のものが好ましい。無機フィラーの平均粒径は、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、15μm以下であることがより好ましい。平均粒径が前記の値を超えると、フッシュアイゲルが発生しフィルム外観を損なう場合がある。一方、前記の値未満であると、二次凝集し易くなり、逆にフッシュアイゲルが発生する場合がある。よって、無機フィラーの粒径が前記の範囲に適合しない場合、予め粉砕処理や分級を行うことが望ましい。
無機フィラーの具体例として、ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、球状シリカ等のシリカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカが易分散性の点から好ましい。
特に、入手の容易さや経済性の観点から、シリカであることがより好ましい。シリカは、SiOで表される二酸化ケイ素を主成分とするものであり、その製造方法により大別して、湿式法シリカと乾式法シリカの2つに分けられるがいずれも用いることができる。乾式法シリカは一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独又は四塩化硅素と混合した状態で使用することができる。一方、湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件化で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。
シリカの平均粒子径は特に限定されるものではないが、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、15μm以下であることがより好ましく、1μm以上、10μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が前記の値未満であると、ポリアミド樹脂組成物として耐ブロッキング性の発現が困難となる場合があり、一方、前記の値を超えると、フィルム等においてフィッシュアイが発生し易い場合がある。
(A)無機フィラーの表面処理剤として使用されるオルガノポリシロキサンは、下記式(I)で表される。
Figure 2012001710
(I)式において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表す。前記有機基としては特に限定されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基のアリ−ル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子により置換された炭化水素基、置換あるいは非置換の水酸基、シロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−等のエーテル結合部位を含む構造単位、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−等のカルボニル基を含む構造単位、アミド結合部位を含む構造単位、エステル結合部位を含む構造単位、ケトン結合部位を含む構造単位を含有する置換基等が挙げられる。
これらの中でも、製造時あるいは使用時の安定性、安全衛生の点から、R〜Rは水素原子、炭素数1以上、20以下のアルキル基、アリ−ル基又はアラルキル基が好ましく、炭素数1以上、10以下のアルキル基、アリ−ル基又はアラルキル基がより好ましく、炭素数1以上、6以下のアルキル基又はアリ−ル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
オルガノポリシロキサンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、各種変性ポリシロキサン等が挙げられる。各種変性ポリシロキサンとしては、ポリシロキサン骨格の両末端にシラノール基が導入されたシラノール変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖にフロロアルキル基が導入されたフッ素変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖に長鎖アルキル基が導入されたアルキル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖にアラルキル基が導入されたアラルキル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖に高級脂肪酸エステル基が導入された脂肪酸エステル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖に高級脂肪酸アミド基が導入された脂肪酸アミド変性ポリシロキサン、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル基がポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖に導入されたポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ基が導入されたアミノ変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にエポキシ基が導入されたエポキシ変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にエポキシ基とポリエーテル基が導入されたエポキシ−ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端にフェノール性水酸基が導入されたフェノール変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にカルボキシル基が導入されたカルボキシル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端に(メタ)アクリル基が導入された(メタ)アクリレート変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端にアルコキシ基が導入されたアルコキシ変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にカルビノール基が導入されたカルビノール変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にメルカプト基が導入されたメルカプト変性ポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、入手の容易さ、安全衛生の観点から、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン及び/又はメチルフェニルポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
また、上記一般式(I)中のm、nは自然数であり、mとnの合計数(m+n)は5以上、500以下であることが好ましく、10以上、300以下であることがより好ましく、20以上、200以下であることがさらに好ましい。mとnの比率(n/m)は、使用するポリアミド樹脂と無機フィラーの親和性を考慮し、導入される有機基の種類、含有量により決定され、1/100以上、10以下であることが好ましく、1/50以上、5以下であることがより好ましい。
さらに、上記オルガノポリシロキサンは、25℃における動的粘度が5cSt以上、1,000cSt以下であることが好ましく、8cSt以上、600cSt以下であることがより好ましい。動的粘度が前記の値未満であると、引火点が低下すると共に分解し易くなるので高温で加工することが難しくなる場合がある。一方、前記の値を超えると無機フィラー表面を均一に処理できず、粗大凝集粒子が発生しやすくなる場合がある。
オルガノポリシロキサンの添加量は、無機フィラー100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下であることが好ましく、1質量部以上、12質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上、10質量部以下であることがさらに好ましい。オルガノポリシロキサンの添加量が前記の値未満であると、マット調付与効果が十分でない場合がある。一方、前記の値を超えると、ポリアミド樹脂と無機フィラーの親和力が十分でなくなり、分散性が悪くなるばかりか、最終的に得られるポリアミドフィルムの機械的性質を損なう場合や、該オルガノポリシロキサンのフィルムへのブリードアウト等の問題が生じる場合がある。
無機フィラーの比表面積Sは5m/g以上、500m/g以下であることが好ましく、10m/g以上、400m/g以下であることがより好ましく、15m/g以上、150m/g以下であることがさらに好ましく、20m/g以上、100m/g以下であることが特に好ましい。比表面積が前記の値未満であると、表面処理剤による表面処理の効果が発現しにくい場合があり、一方、前記の値を超えると、二次粒子、三次粒子の内部まで表面処理剤が含浸し難くなる場合がある。尚、比表面積は、BET法により測定された値を意味する。
(A)無機フィラーにおいて、無機フィラーの比表面積をS(μモル/g)、表面処理されていない無機フィラー1gあたりのオルガノポリシロキサンの処理量をM(m/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.2以上、1.0以下であり、0.25以上、0.9以下であることが好ましく、0.3以上、0.8以下であることがより好ましい。M/Sが前記の値未満であると、ヘイズ値が小さくなり、マット調のフィルムが得られない。一方、前記の値を超えると、フリーの表面処理剤がポリアミド樹脂組成物中に存在することとなり、(B)ポリアルキレングリコールのブリードアウトにより、接着性、印刷性に悪影響を及ぼすこととなる。
オルガノポリシロキサンで無機フィラーを処理する方法は特に限定されないが、溶媒中に無機フィラーとオルガノポリシロキサンを加え、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高剪断力混合機を用いて均一に混合した後、溶媒を除去することによって表面処理を行う湿式処理法、あるいは、無機フィラーをマイクロナイザー、ジェットミル、ヘンシェルミキサー等の流体エネルギー粉砕機で粉砕する際にオルガノポリシロキサンを添加し、均一になるように攪拌したのち次いで所定の温度で乾燥を行う乾式処理法等が挙げることができ、流体としては、通常は圧縮空気、加熱圧縮空気、スチーム等が用いられる。
特に、表面処理後又は処理中に、無機フィラーを加熱乾燥させることにより無機フィラー表面の疎水性が向上し、水分吸着等による無機フィラーの含水量が大きく低減する。このようにして得られた低含水量の(A)無機フィラーは樹脂へ混練分散の際、樹脂劣化が抑えられるため、分散力や分散時間を上げられる等様々な利点がある。
(A)無機フィラーの配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.05質量部以上、0.5質量部以下であり、0.07質量部以上、0.4質量部以下であることが好ましく、0.08質量部以上、0.35質量部以下であることがより好ましい。配合量が前記の値未満であると、得られるフィルムのマット調付与効果が小さく、一方、前記の値を超えると、フィルム表面上からのシリカの離脱が多くなり、生産時の問題となる。
[(B)ポリアルキレングリコール]
本発明にて使用する(B)ポリアルキレングリコールは、アルキレングリコールから誘導される単位から構成されるエーテル重合体である。ポリアルキレングリコールとしては、入手の容易さ、安全衛生の観点から、炭素数2以上、6以下のアルキレングリコールから誘導される単位から構成される重合体が好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−又は1,3−プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらアルキレングリコールから誘導される単位は、ブロック又はランダムに共重合されてもよく、例えば、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール重合体、ポリエチレングリコール/テトラメチレングリコール重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(B)ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、200以上、4,000以下であることが好ましく、300以上、2,000以下であることがより好ましい。常温で液体状であり、取り扱いの容易さから、300以上、1,000以下であることがさらに好ましい。数平均分子量が前記の値未満であると、フィルム成形後の表面へのブリードアウト性が高く、共押出やラミネートで積層フィルムとした際の接着性や、印刷性も悪くなる場合がある。一方、前記の値を超えると、疎水性が大きくなり、ヘイズ値が小さくなり、マット調のフィルムが得られない場合がある。尚、ここでいう「数平均分子量」とは、JIS K−1557−1に準拠した末端OH定量法から算出されたものである。
(B)ポリアルキレングリコールの配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上、0.5質量部以下であり、0.03質量部以上、0.4質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上、0.3質量部以下であることがより好ましい。配合量が前記の値未満であると、得られるフィルムのマット調付与効果が小さく、一方、前記の値を超えると、ポリアミドフィルムの表面へのブリードアウト量が多くなり、印刷性やラミネート性が損なわれる。
(A)無機フィラーや、(B)ポリアルキレングリコールをポリアミド樹脂に添加する方法としては、ポリアミド樹脂の重合工程の任意の段階で添加する重合内添法や予め高濃度の(A)無機フィラーや、(B)ポリアルキレングリコールをポリアミド樹脂に1軸又は二軸の押出機を使用して練り込み、これを成形時に希釈して使用するいわゆるマスターバッチ法、成形に使用する添加剤濃度で(A)無機フィラーや、(B)ポリアルキレングリコールを予めポリアミド樹脂に練り込み使用する練り込み法、成形時に、ポリアミド樹脂に対して、所定量の(A)無機フィラーや、(B)ポリアルキレングリコールを添加するドライブレンド法、アルコール等の有機溶剤に(B)ポリアルキレングリコールを溶解した溶液をポリアミド樹脂原料にスプレー法や浸漬法で付着させ、その後有機溶剤を蒸発させる方法等が挙げられる。また、(B)ポリアルキレングリコールは、室温で固体の場合があるので、ポリアミド樹脂原料を予め(B)ポリアルキレングリコールの融点以上に加熱しておき、この状態の原料に固体のまま(B)ポリアルキレングリコールを加えて原料の熱で融解し、そのまま均一に付着させる方法も可能である。
また、(A)無機フィラー、(B)ポリアルキレングリコールのポリアミド樹脂への配合は、同時に行なっても、別々に異なる方法で行なってもどちらでも構わない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、通常配合される各種の添加剤及び改質剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、フィラー、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、着色剤(顔料、染料等)、耐屈曲疲労性改良材等を添加することができる。
ポリアミド樹脂組成物には、目脂発生防止のため、ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を添加することが好ましい。ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩は、ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸カルボン酸とマグネシウムの塩であり、具体的には、ヒドロキシラウリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシミリスチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシパルミチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシベヘン酸マグネシウム塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.003質量部以上、0.3質量部以下であることが好ましく、0.004質量部以上、0.2質量部以下であることがより好ましく、0.005質量部以上、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量が前記の値未満であると、目脂防止効果が見られない場合があり、一方、前記の値を超えると、印刷性等が損なわれる場合がある。
さらに、ポリアミド樹脂組成物には、ビスアミド化合物を配合することが滑り性を改良する観点から好ましい。ビスアミド化合物としては、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジオクタデシルアジピン酸アミド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ビスアミド化合物の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上、0.5質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上、0.3質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以上、0.2質量部以下であることがさらに好ましい。ビスアミド化合物の配合量が前記の値未満であると、得られるフィルムの滑り性改良効果が小さい場合があり、一方、前記の値を超えると、フィルムの印刷性やラミネート加工時の密着性が低下する場合がある。
本発明に関わるマット調ポリアミドフィルムは、まず、ポリアミド樹脂、(A)無機フィラー、(B)ポリアルキレングリコールからなるポリアミド樹脂組成物(以下、原料ポリアミド樹脂組成物と称する場合がある。)を使用して、実質的に無配向の未延伸フィルムを、公知のフィルム製造方法を適用し、製膜する。例えば、原料ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。延伸フィルム用原反の成形法としては特にT−ダイ法、水冷インフレーション法が連続延伸性の点で優れている。
得られた実質的に無配向の未延伸フィルムを延伸する。延伸方法については公知の方法が適用できる。具体的には、キャスティング法によって製造するフィルムは、未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する同時二軸延伸法、Tダイより溶融押出しした未延伸シートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸法、環状ダイより成形したチューブ状シートを気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法が挙げられる。延伸工程はポリアミドフィルムの製造に引続き、連続して実施しても良いし、ポリアミドフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施しても良い。
延伸フィルムの延伸倍率は使用用途によって異なるが、テンター式二軸延伸法、チューブラー法において、通常、縦方向、横方向ともに2.0倍以上であるが好ましく、2.0倍以上、4.5倍以下であることがより好ましく、2.5倍以上、4.0倍以下であることがさらに好ましい。延伸倍率が前記の値未満であると、得られるフィルムの強度や、バリア性が劣る場合がある。一方、前記の値を超えると、延伸時にフィルムが裂けたり、破断が頻繁に発生する場合がある。
例えば、テンター式逐次二軸延伸法は、未延伸フィルムを40℃以上、120℃以下の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60℃以上、180℃以下の温度範囲内で横方向に延伸することにより二軸延伸フィルムを製造することができる。縦方向の延伸温度は、70℃以上、100℃以下、横方向の延伸温度は80℃以上、160℃以下であることがより好ましい。縦方向の延伸温度が、前記の値未満であると、配向が進行し、延伸時の応力が増大する場合がある。横方向の延伸温度が、前記の値未満であると、配向が進行し、均一な横延伸を行いにくくなる場合がある。
上記方法により延伸されたフィルムは、引続き熱処理をすることが望ましい。熱処理することにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、80℃を下限として該原料ポリアミド樹脂組成物の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率をもった延伸フィルムを得ることができる。延伸フィルムは、熱収縮性が乏しいか、あるいは実質的に有していないものが望ましい。よって、延伸後に行なわれる熱処理条件において、熱処理温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上、220℃以下であることがより好ましく、緩和率は、幅方向に20%以内であることが好ましく、3%以上、10%以下であることがより好ましい。
熱処理操作により、充分に熱固定された延伸フィルムは、常法に従い、冷却して巻き取ることができる。
さらに、本発明に関わるマット調ポリアミドフィルムは、印刷性、ラミネート、粘着剤付与性を高めるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等の表面処理を行うことができる。また、必要に応じて、このような処理がなされた後、印刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシール等の二次加工工程を経てそれぞれの目的とする用途に使用することができる。
本発明に関わるマット調ポリアミドフィルムは、ヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されており、単独での利用価値が高いが、これに他の熱可塑性樹脂を積層することにより、さらに多くの特性を付加させることが可能である。具体的には本発明のポリアミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層して、積層フィルムとして使用することもできる。
該積層フィルムを製造するに当たっては、該原料ポリアミド樹脂組成物よりなる層の片面又は両面に他の基材を積層するが、その積層方法としては、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。共押出法は、該原料ポリアミド樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法であり、共押出シート成形、共押出キャスティングフィルム成形、共押出インフレーションフィルム成形等が挙げられる。得られた積層未延伸フィルムは、上記の方法により延伸され、二軸延伸された積層マット調フィルムを得る。押出ラミネート法は、本発明のマット調ポリアミドフィルムと熱可塑性樹脂等の基材に、それぞれアンカーコート剤を塗布し、乾燥後、その間に熱可塑性樹脂等を溶融押出しながらロール間で冷却し圧力をかけて圧着することによりラミネートフィルムを得る方法である。ドライラミネート法は、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を本発明のマット調ポリアミドフィルムに塗布し、乾燥後、熱可塑性樹脂等の基材と張り合わせることによりラミネートフィルムを得る方法である。ラミネート後のフィルムは、エージングすることで、接着強度を上げることができる。ラミネートする際には、本発明のマット調ポリアミドフィルムの片面又は両面をコロナ処理して使用することが好ましい。
積層される熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された化合物により変性された、上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルスルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。また、本発明において規定した前記ポリアミド樹脂を積層することも可能であり、フィルム強度のバランス、ガスバリア性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)やエチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)を積層することが好ましい。
また、得られたマット調ポリアミドフィルムには、ヒートシール性を付与する観点から、シーラント層を設けることが望ましい。シーラント層として使用される材料は、熱融着できる樹脂であればよく、一般にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー樹脂、アモルファスポリエステル(A−PET)等が挙げられる。
さらに、無延伸、一軸又は二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム又はシートや熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属や金属化合物及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。
特に、ガスバリアや水蒸気バリア性を向上させるために、金属及び/又は金属化合物を蒸着することも可能である。蒸着する材料としては、Siや、Al、Ti、Zn、Zr、Mg、Sn、Cu、Fe等の金属や、これらの酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられる。具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム等の無機酸化物や、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)等の有機化合物、シランガスのような無機ガスをキャリアガス及び酸化させるための酸素と混合後、反応により得られる酸化珪素等が挙げられる。蒸着簿膜の作製方法としては、公知の方法、物理的堆積法(PVD法)として真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学的堆積法(CVD)法としてプラズマCVD法や化学反応法等を用いることができる。
マット調ポリアミドフィルムの厚みは用途により適宜決定すればよく、特に制限されないが、ポリアミドフィルムの厚みは、厚ければポリアミドフィルムの強度は向上するが、耐屈曲疲労性は低下するので、これらを勘案すれば、ポリアミド単層フィルムの場合、5μm以上、100μm以下であることが好ましく、10以上、80μm以下であることがより好ましく、10μm以上、60μm以下であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの場合、該原料ポリアミド樹脂組成物層の厚みとして、2μm以上、100μm以下であることが好ましく、3μm以上、80μm以下であることがより好ましく、5μm以上、60μm以下であることがさらに好ましい。
本発明ポリアミド樹脂組成物は、マット調二軸延伸ポリアミドフィルム成形用として用いられ、同フィルムのヘイズ値が高く、優れたマット調が付与されたフィルムを安定かつ簡便に得ることができる。同ポリアミドフィルムは、高級感のあることから、食品、医療品、及び薬品等の包装用フィルムとして有用である。
以下において実施例及び比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。フィルムの各種評価方法と使用した原材料を次に示す。
[ヘイズ値]
ASTM D−1003に準じ、直読ヘイズコンピューター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を使用して、ヘイズを測定した。ヘイズ値が30%以上の場合、優れたマット調が付与されたと判断した。
[連続生産性]
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機にて、押出温度280℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、未延伸フィルムを連続して製造した。円形ダイリップ口にポリマー劣化物、添加剤の凝集体が蓄積した目脂の発生が認められるまで運転を行い、6時間以上の連続運転が可能の場合、連続生産性に優れていると判断した。
[使用した原材料]
(A)無機フィラー
(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルC−102DS、比表面積20m/g、平均粒径3.0μm、ジメチルポリシロキサン(信越化学(株)製、信越シリコーンKF−96 100CS、分子量6000 g/モル、動的粘度:100cSt)処理量:シリカ100質量部に対して5質量部、M/S=0.417(μモル/シリカm))
(A−2)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルPM−363DS、比表面積300m/g、平均粒径4.0μm、ジメチルポリシロキサン(信越化学(株)製、信越シリコーンKF−96 100CS、分子量6000 g/モル、動的粘度:100cSt)処理量:シリカ100質量部に対して10質量部、M/S=0.056(μモル/シリカm))
尚、シリカにおける前記比表面積、及び平均粒子径は、それぞれ以下の方法によって測定した。
[比表面積]
JIS K−1150に準拠し、窒素の吸着量からBET法で測定した。
[平均粒子径]
コールターカウンター法によって体積平均粒子径を測定した。
(B)ポリアルキレングリコール
(B−1)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG400、数平均分子量:400)
(B−2)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG1,000、数平均分子量:1,000)
(C)無機フィラー
(C−1)シリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルC−002、平均粒径:2.0μm、比表面積43m/g)
(C−2)シリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルC−402、平均粒径:2.2μm、比表面積300m/g)
実施例1
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器にカプロラクタム10kg、水1kg、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ25.0gを入れ、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。引き続き、さらに温度を260℃まで昇温させ、2.0MPaの圧力下で1時間攪拌した。その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、さらに260℃、53kPaの減圧下で2時間重合反応させた。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッティングして、シリカが均一に分散したポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。そこで、このペレットを熱水中に浸漬し、未反応モノマーを抽出して除去した後、減圧乾燥した。得られたポリアミド樹脂組成物の相対粘度、水抽出量、水分含有量は、それぞれ3.4、0.17質量%、0.04質量%であった。
次に、円筒型混合機を用いて、ポリアミド樹脂100質量部と(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ0.25質量部よりなる前記ポリアミド樹脂組成物に対して、(B−1)ポリアルキレングリコール0.15質量部とN,N’−エチレンビスステアリン酸アミド0.08質量部を配合し、同組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφ一軸フルフライトスクリューの押出機にて、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、実質的に無定形で配向していないチューブラー状のポリアミド未延伸フィルムを得た。引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。その後、チューブ状フィルムの端を切り開き、フラット状のフィルムをテンター内に導入し、幅方向に5%の緩和処理を行ないつつ、210℃にて熱固定処理を行なった。フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして巻き取り、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
実施例2〜3
実施例1において、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカの配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
実施例4〜5
実施例1において、(B−1)ポリアルキレングリコールの配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
実施例6
実施例1において、(B−1)ポリアルキレングリコールを(B−2)ポリアルキレングリコールに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例1
実施例1において、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカを使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例2
実施例1において、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカの配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例3
実施例1において、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカの配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以内で目脂が発生し、連続生産性に劣っていた。
比較例4
実施例1において、(B−1)ポリアルキレングリコールを使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例5
実施例1において、(B−1)ポリアルキレングリコールの配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例6
実施例1において、(B−1)ポリアルキレングリコールの配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得ようとしたが、気泡が発生し、延伸操作が不可能であった。そのため、連続生産性の評価を実施しなかった。
比較例7
実施例1において、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカを(A−2)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例8
実施例1において、(A―1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカを(C−1)シリカに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
比較例9
実施例1において、(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカを(C−2)シリカに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて目脂発生が認められるまで運転を実施したところ、6時間以上の連続運転が可能であった。
Figure 2012001710

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂100質量部に対し、
    (A)無機フィラーを0.05質量部以上、0.5質量部以下
    (B)ポリアルキレングリコールを0.01質量部以上、0.5質量部以下
    含むポリアミド樹脂組成物であり、
    (A)無機フィラーが、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、無機フィラーの比表面積をS(m/g)、オルガノポリシロキサンの処理量をM(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.2以上、1.0以下である無機フィラーであるポリアミド樹脂組成物。
  2. (A)無機フィラーが、シリカ100質量部に対して、オルガノポリシロキサンを0.5質量部以上、15質量部以下にて表面処理されたシリカであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂が、カプロラクタムから誘導される単位、ヘキサメチレンアジパミドから誘導される単位、及びドデカンラクタムから誘導される単位よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される単独重合体あるいは共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物からなるマット調二軸延伸ポリアミドフィルム。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物から得られるフィルムを縦横各々2.0倍以上延伸することを特徴とするマット調二軸延伸ポリアミドフィルム。
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