JP2012001636A - コーティング剤およびそれを用いた積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸着保護層としての機械的強度が十分で、ブロッキングせず、薬品処理や湿熱処理を施した後においても蒸着面を保護できガスバリアー性が低下しにくいコーティング剤を提供する。
【課題手段】重量平均分子量が10000を超え40000以下、ガラス転移温度が50〜100℃、酸価が35〜895当量/トンのポリエステル樹脂、ポリイソシアネート化合物および液状媒体を含有するコーティング剤であり、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の総モル量に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート末端基量の当量比が0.8〜2.0倍当量であり、(ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物の合計)/液状媒体が5/95〜50/50(質量比)であるコーティング剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系コーティング剤およびそれを用いた積層フィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、機械的特性、透明性および耐熱性に優れており、工業用途や食品包装用途として幅広く使用されている。しかし、ポリエステルフィルム単独では、酸素や水蒸気等のガスバリアー性に欠けるため、食品等の包装に使用した場合、長時間の保管中に、フィルムを透過したガスにより内容物が変質するという問題があった。
そのため、食品包装用途等では、ポリエステルフィルム表面にガスバリアー性が高いポリ塩化ビニリデン等をコーティングしたフィルムが広く使われている。しかし、ポリ塩化ビニリデン等は焼却時に塩素ガス等の有毒物質を発生し、環境を汚染するため、近年、他材料への移行が強く望まれている。
また、フィルム表面にアルミニウムやシリカといった金属または金属酸化物を蒸着したフィルムも広く使用されている。しかし、このような蒸着処理を施したフィルムは、ガスバリアー性が高く、焼却時に有毒物質を発生することはないものの、蒸着層に亀裂が入りやすく、使用するうちにガスバリアー性が低下するという問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献1には、蒸着面上にモンタン酸ワックスやポリオレフィンワックス等のワックスを蒸着保護層として設けたアルミ蒸着フィルムが提案されている。しかし、このようなワックスを蒸着保護層とした場合、機械的強度が弱いために、蒸着面に亀裂が入り、ガスバリアー性が低下するという問題があった。
また、特許文献2には、ポリウレタン樹脂を蒸着保護層として塗布された蒸着フィルムが提案されている。しかし、ポリウレタン樹脂を蒸着保護層とした場合、蒸着面に亀裂が入ることはないものの、ウレタン樹脂の耐薬品性や耐水性が不十分であるため、薬品処理や湿熱処理を施した後の蒸着面とフィルムの密着が低下し、蒸着層が腐食され、ガスバリアー性が低下するという問題があった。
また、特許文献3、4には、重量平均分子量が10000以下で、ガラス転移温度が50℃以上のポリエステル樹脂を蒸着保護層として塗布された蒸着フィルムが提案されている。しかし、重量平均分子量が10000以下のポリエステル樹脂を蒸着保護層とした場合、ポリエステルの機械的強度が弱いために、蒸着面に亀裂が入り、ガスバリアー性が低下するという問題があった。
特開平11−157008号公報 特開2005−178100号公報 特開2006−199878号公報 特開2006−273982号公報
本発明は、かかる従来技術の欠点を改善し、蒸着保護層としての機械的強度が十分で、ブロッキングせず、薬品処理や湿熱処理を施した後においても蒸着面を保護できガスバリアー性が低下しにくいコーティング剤を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)重量平均分子量が10000を超え40000以下、ガラス転移温度が50〜100℃、酸価が35〜895当量/トンのポリエステル樹脂、ポリイソシアネート化合物および液状媒体を含有するコーティング剤であり、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の総モル量に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート末端基量の当量比が0.8〜2.0倍当量であり、(ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物の合計)/液状媒体が5/95〜50/50(質量比)であるコーティング剤。
(2)ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主成分とするポリエステル樹脂であって、芳香族ジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対して40モル%以上共重合したものである(1)記載のコーティング剤。
(3)ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主成分とするポリエステル樹脂であって、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物および一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種類のグリコールを、全グリコール成分に対して30モル%以上共重合したものである(1)または(2)記載のコーティング剤。
(4)重量平均分子量が10000を超え40000以下、ガラス転移温度が50℃〜100℃、酸価が35〜895当量/トンのポリエステル樹脂およびポリイソシアネート化合物を含有し、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の総モル量に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート末端基量の当量比が0.8〜2.0倍当量である塗膜。
(5)金属または金属酸化物の蒸着層を設けたポリエステルフィルムの前記蒸着層上に、(4)記載の塗膜を設けた積層フィルム。
本発明によれば、蒸着保護層としての機械的強度が十分で、ブロッキングせず、薬品処理や湿熱処理を施した後においても蒸着面を保護できガスバリアー性が低下しにくいコーティング剤を提供することができる。また、このコーティング剤を用いた積層フィルムは、ガスバリアー性を有する包装フィルムとして使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコーティング剤は、ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート化合物および液状媒体から構成される。
まず、本発明に使用するポリエステル樹脂について説明する。
本発明に使用するポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主成分として構成される。
ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸を共重合することが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸等が挙げられる。全ジカルボン酸成分に対する芳香族ジカルボン酸の共重合量は40モル%以上とすることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量が40モル%未満の場合、得られたポリエステル樹脂のガラス転移温度が低くなり、蒸着保護層として形成された被膜がブロッキングを起こすほか、蒸着層との密着性が低下する。
ジカルボン酸成分を構成する他のジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、パーヒドロナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、シクロブテンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらは無水物であってもよい。
グリコール成分としては、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物、および一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールから選ばれた少なくとも1種のグリコールが、全グリコール成分に対して30モル%以上共重合することが好ましく、50モル%以上共重合することがより好ましく、70モル%以上共重合することがさらに好ましい。これらのモノマーを共重合することで耐熱水性が向上する。なお、一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールとしては、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.02.6)デカン(OXEA社製TCDアルコール)等が挙げられる。
グリコール成分として、1,2−プロパンジオールおよび/または一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールを共重合した場合、さらに耐候性が向上する。
グリコール成分を構成する他のグリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、1,4−フェニレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂には、必要に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合してもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトン等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を共重合する場合、全カルボン酸成分に対して、ヒドロキシカルボン酸の共重合量は20モル%以下とすることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂には、少量であれば、モノカルボン酸、モノアルコール、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを共重合してもよい。
モノカルボン酸としては、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。モノカルボン酸、モノアルコールを共重合する場合、それぞれの共重合量は、全カルボン酸成分、全アルコール成分に対して、0.2〜20モル%とすることが好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、3官能以上のアルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを共重合する場合、それぞれの共重合量は、全カルボン酸成分、全アルコール成分に対して、0.2〜20モル%とすることが好ましい。
本発明に使用するポリエステル樹脂の製造方法としては、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、180℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。エステル化反応および重縮合反応の際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム等の金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1×10−4〜100×10−4モルとすることが好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、10000を超え40000以下とすることが必要であり、12000〜35000とすることがより好ましく、15000〜30000とすることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が10000以下であると、耐薬品性が低下するので好ましくない。また、ポリエステル樹脂の重量平均分子量が40000を超えると、ポリエステル樹脂の溶解性が低下するので好ましくない。
ポリエステル樹脂の分子量を制御する方法としては、重合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法、分子量の高いポリエステルを製造したのち解重合剤を添加して分子量を制御する方法、仕込み時にモノアルコールやモノカルボン酸を添加する方法等が挙げられる。中でも、所定の粘度で終了する方法が好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は35〜895当量/トンとすることが必要であり、85〜805当量/トンとすることが好ましく、175〜715当量/トンとすることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が35当量/トン未満であると、蒸着層との密着性が低下して好ましくない。また、ポリエステル樹脂の酸価が895当量/トンを超えると、耐熱水性や耐薬品性が低下するので好ましくない。
ポリエステル樹脂の酸価を制御する方法としては、ポリエステル樹脂の分子量を目標以上に重合反応を進めておき多官能カルボン酸を適宜添加して解重合する方法、仕込みのジカルボン酸とグリコールのモル比を調整する方法、ポリエステル樹脂を熱分解する方法等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂の分子量を目標以上に重合反応を進めておき多官能カルボン酸を適宜添加して解重合する方法が好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、50〜100℃とすることが必要であり、55〜95℃とすることが好ましく、60〜95℃とすることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度が50℃未満であると、コーティング面の耐ブロッキング性が低下するほか、耐熱水性も低下して好ましくない。一方、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が100℃を超えると、ポリエステル樹脂の溶解性が低下するので好ましくない。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、共重合するモノマーを適宜選択することにより、上記範囲に制御することができる。
次に、ポリイソシアネート化合物について説明する。
ポリイソシアネート化合物は、基材のポリエステルフィルムの軟化点よりも低い温度でコーティング剤を硬化させることができるため、基材のフィルムを劣化させることなく被膜を形成することができる。
本発明で使用されるポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が含まれる。この中でも耐候性を求められる用途では、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートがより好ましい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等の3価以上のイソシアネートが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)、またはその混合物、1,3−もしくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼンまたはその混合物等のジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の3価以上のイソシアネートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート(IPDI))、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の3価以上のイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートのジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の3価以上のイソシアネートが挙げられる。これらは、その誘導体であってもよい。ポリイソシアネートの誘導体としては、ダイマー、トリマー、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたは、ポリメリックMDIとも云う。)クルードTDI、およびイソシアネート化合物と低分子量ポリオールとの付加体等が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物とを配合して、塗膜を形成する際、必要に応じて架橋触媒を用いることができる。架橋触媒としては、N−メチルイミダゾール、1,4−ジアジン、ジアザビシクロ〔2.2.2〕−オクタン(DABCO)等の第3級アミン触媒、スタナスオクトエートやジブチル錫ジラウレート(DBTDL)等の錫系触媒が好ましい。架橋触媒を用いる場合、その配合量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部が好ましい。
次に、液状媒体について説明する。
液状媒体としては、有機溶剤または水が挙げられる。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等のエステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテート等のアセテート系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のコーティング剤は、ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物を液状媒体に溶解または分散させて作製する。
ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物を有機溶剤に溶解する場合、その方法は特に限定されないが、ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶媒を混合し、常温で攪拌して溶解する方法等が挙げられる。
ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物を水分散体とする場合、その方法は特に限定されないが、ポリエステル樹脂の水分散体とポリイソシアネート化合物の水分散体を混合して使用する方法が好ましい。ポリエステルの水分散体の作製方法としては、例えば、ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解し、アミンを添加した後、水を加え転相乳化し、その後、共沸により有機溶剤を取り除く方法が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の水分散体の作製方法としては、例えば、スルフォネート基やカルボキシル基を少なくとも一方の基を側鎖に有するアミノ化合物やヒドロキシ化合物を、ポリイソシアネート化合物に反応させて親水基を導入する方法等が挙げられる。
ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物と液状媒体の配合比率は、(ポリエステル樹脂+ポリイソシアネート化合物)/液状媒体が5/95〜50/50(質量比)とすることが必要で、10/90〜40/60とすることが好ましい。(ポリエステル樹脂+ポリイソシアネート化合物)の配合比率が、液状媒体との合計量100質量%に対して、5質量%未満であると密着性が低下して好ましくない。一方、配合比率が、液状媒体との合計量100質量%に対して、50質量%を超えるとコーティング剤の粘度が高くなり好ましくない。
ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物の配合比率は、ポリイソシアネート化合物の末端基量が、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の合計に対して、0.8〜2.0倍当量とすることが必要で、1.2〜1.7倍当量とすることが好ましい。配合比率が0.8倍当量未満であると、十分に硬化せず、密着性が低下するので好ましくない。一方、配合比率が2.0倍当量を超えると硬化物の耐薬品性(特に耐アルコール性)が低下するので好ましくない。
本発明のコーティング剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、リン酸、リン酸エステル等の熱安定剤、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物等の酸化防止剤、タルクやシリカ、ワックス等の滑剤、酸化チタン等の顔料、タッキファイヤー等の粘着付与剤、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
本発明のコーティング剤は、公知のコーティング方法で、基材に塗布することができ、その後、乾燥工程に付されて塗膜を形成することができる。
コーティング方法としては、特に限定されないが、コーターを用いてコーティングする方法等が挙げられる。コーターとしては、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フローコーター等が挙げられる。コーティングする際に、塗布量を調整することで、塗膜の厚みを任意に制御することができる。乾燥後の塗膜の厚みとしては、0.1〜20μmが好ましい。乾燥工程での温度は、70〜150℃が好ましい。
基材としては、フィルム、無機ガラス板等が挙げられる。
本発明のコーティング剤は、基材フィルムの上に設けた蒸着層の上に、保護層として被膜を形成することにより、積層フィルムとすることができる。保護層を形成することで、亀裂が入るのを防ぎ、ガラスバリアー性の低下を防ぐことができる。
基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリル等からなるフィルムが挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが汎用性の観点から好ましい。
蒸着層としては、金属または金属酸化物からなる単層または多層のものが挙げられる。金属としては、酸化ケイ素、アルミニウム等が挙げられ、金属酸化物としては、酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの蒸着層は、公知の真空蒸着法、プラズマ気相成長法、イオンプレーティング法等によって形成することができる。蒸着層の厚みは、特に限定されないが、ガスバリアー性の観点から、0.01〜1μmとすることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、バリアー性を有する各種の包装材料として利用することができる。さらに、その蒸着保護層の上に、各種印刷インキやラミネートインキを使用してグラビア印刷することにより、各種印刷面やラミネート接着層を形成することも可能である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各種物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)ポリエステル樹脂の共重合組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、商品名「JNM−LA400」)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた。(周波数:400MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸、温度:25℃)
(2)ポリエステル樹脂の重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製、商品名LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
(3)ポリエステル樹脂の酸価
JIS K−0070に準拠して、試料1gをジオキサン50mlに室温で溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定した。その滴定した値を用いてポリエステル樹脂1トン中に含まれる当量数を計算し、酸価を求めた。
(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
JIS K−7121に準拠して、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、商品名「ダイヤモンドDSC」)を用いて、ガラス転移温度を求めた。
(5)ポリエステル樹脂の水酸基価
JIS K−0070に準拠して、試料3gをピリジン50mlに加熱還流溶解し、無水酢酸をアセチル化溶液、クレゾールレッド−チモールブルーを指示薬として0.5Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定した。その滴定した値を用いて、ポリエステル樹脂1トン中に含まれる当量数を計算し、水酸基価を求めた。
(6)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート末端基量
JIS K1603−2007に準拠して、試料3gを脱水トルエン20mlに溶解させ、2Nのジノルマルブチルアミン溶液20mlを加えて攪拌後20分間放置したのち、100mlのイソプロピルアルコール加え、1.0N塩酸溶液で滴定した。その滴定した値を用いて、ポリイソシアネート化合物1トン中に含まれる当量数を計算し、イソシアネート末端基量を求めた。
(7)ポリエステル樹脂の溶解性
トルエン/メチルエチルケトン=5/5(質量比)の混合溶媒と酢酸エチルそれぞれに、ポリエステル樹脂を溶液濃度が30質量%になるように混合した。混合しても溶解しなかった場合「×」とした。溶解した場合、得られた樹脂溶液を透明なガラス瓶中2時間静置し、目視で均一性を確認し、以下の基準で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:均一に溶解し、静置しても均一であった。
○:均一に溶解したが、静置すると増粘した。
×:均一に溶解したが、静置すると、層分離するかまたは凝固した。
(8)コーティング剤の溶液安定性
コーティング剤を調整後、透明なガラス瓶の中で48時間静置し、目視で均一性を確認し、以下の基準で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:増粘および層分離しておらず均一であった。
○:増粘が認められたが、層分離せず均一であった。
×:層分離または凝固していた。
(9)積層フィルムの耐ブロッキング性
積層フィルムの保護層同士を重ね合わせて、40℃、70%RHの雰囲気下で0.1MPaの負荷を与えて、24時間放置した後、ブロッキングの状態を目視で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:保護層同士が粘着しておらず、容易に剥離した。
○:若干の粘着性が認められたが、軽く持ち上げる程度で容易に剥離した。
×:保護層同士が付着し、容易には剥離しなかった。
(10)積層フィルムの密着性
積層フィルムの保護層面にセロハンテープ(ニチバン社製F−12)を貼付け、テープを剥離した時のコーティング面の剥れの程度を目視で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:全く剥れなかった。
○:若干の剥れがあったが、剥れの面積が全体の5%未満であった。
×:5%以上の剥れがあった。
(11)積層フィルムの耐熱水性
積層フィルムを60℃の熱水で24時間処理した後、積層フィルムの保護層面にセロハンテープ(ニチバン社製F−12)を貼付け、テープを剥離した時のコーティング面の剥れの程度を目視で評価した。実用上、「◎」「○」「□」が好ましい。
◎:全く剥れなかった。
○:若干の剥れがあったが、剥れの面積が全体の2%未満であった。
□:若干の剥れがあったが、剥れの面積が全体の2%以上5%未満であった。
×:5%以上の剥れがあった。
(12)積層フィルムの耐薬品性
積層フィルムを80質量%エタノール溶液に25℃で96時間浸漬処理した後、積層フィルムの保護層面にセロハンテープ(ニチバン社製F−12)を貼付け、テープを剥離した時のコーティング面の剥れの程度を目視で評価した。実用上、「◎」と「○」が好ましい。
◎:全く剥れなかった。
○:若干の剥れがあったが、剥れの面積が全体の5%未満であった。
×:5%以上の剥れがあった。
(13)積層フィルムの酸素透過度
60℃の熱水で24時間処理した後、さらにエタノール/水=8/2(質量比)の混合溶媒に、25℃で96時間浸漬処理した積層フィルムを、JIS K−7129に準拠して、酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製OX−TRAN100型)を用いて、20℃×100%RHの条件下の酸素透過度を測定した。実用上、100ml/(m・day・MPa)以下が好ましく、30ml/(m・day・MPa)以下がより好ましい。
(14)積層フィルムの水蒸気透過度
60℃の熱水で24時間処理した後、さらにエタノール/水=8/2(質量比)の混合溶媒に25℃で96時間浸漬処理した積層フィルムを、JIS K−7129に準拠して、酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製OX−TRAN100型)を用いて、40℃×90%RHの条件下の水蒸気透過度を測定した。実用上、3ml/(m・day)以下が好ましく、1ml/(m・day)以下がより好ましい。
(15)積層フィルムの耐候性
積層フィルムをWS型促進暴露装置(スガ試験機社製サンシャインウェザーメーター)を用いて、63℃×100時間の条件で照射して促進耐候性試験をおこなった後、積層フィルムの状態変化を目視で評価した。実用上、「◎」「○」「□」が好ましい。
◎:外観形状の変化はなく、黄変やくすみも認められなかった。
○:外観形状の変化はなかったが、部分的に黄変やくすみが認められた。
□:外観形状の変化はなかったが、全体的に黄変やくすみが認められた。
×:激しく黄色し、外観形状の変化が見られた。
実施例および比較例で用いたポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂分散体は、下記のようにして得られた。
ポリエステル樹脂A
テレフタル酸332kg、エチレングリコール37kg、1,2−プロパンジオール213kg(テレフタル酸:エチレングリコール:1,2−プロパンジオール=100:30:140(モル比))からなる混合物を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、50rpmの回転数で攪拌しながら、0.35MPaの制圧下240℃で5時間エステル化をおこなった。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒としてテトラブチルチタネートモノマーを545g(テレフタル酸1モルあたり8.0×10−4モル)投入し、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、245℃で重縮合反応をおこなった。減圧を解除してから、無水トリメリット酸27kg(テレフタル酸1モルあたり0.07モル)を投入し、240℃で2時間解重合反応をおこなった。その後、30分かけて1.3hPaまで再減圧し、減圧状態を5分間保持してから減圧を解除し、ストランドカッターを用いて、ペレット状のポリエステル樹脂Aを得た。
ポリエステル樹脂B〜F、H〜N、P〜S
表1と表2に示すように仕込み組成を変更した以外は、ポリエステルAと同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を得た。
ポリエステル樹脂G
テレフタル酸332kg、エチレングリコール33kg、1,2−プロパンジオール218kg(テレフタル酸:エチレングリコール:1,2−プロパンジオール=100:27:143(モル比))からなる混合物を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、50rpmの回転数で攪拌しながら、0.35MPaの制圧下240℃で5時間エステル化をおこなった。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒として酢酸亜鉛(II)・2水和物を176g(テレフタル酸1モルあたり4×10−4モル)投入し、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、255℃で重縮合反応をおこなった。その後、ストランドカッターを用いて、ペレット状のポリエステル樹脂Gを得た。
ポリエステル樹脂T
表2に示すように仕込み組成を変更し、重合触媒としてテトラブチルチタネートモノマーを272g(テレフタル酸1モルあたり4.0×10−4モル)使用し、235℃で重縮合反応を行った以外は、ポリエステルGと同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂Tを得た。
ポリエステル樹脂O
テレフタル酸106kg、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸234kg、エチレングリコール33kg、1,2−プロパンジオール218kg(テレフタル酸:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:エチレングリコール:1,2−プロパンジオール=32:68:27:143(モル比))からなる混合物を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、50rpmの回転数で攪拌しながら、0.30MPaの制圧下240℃で5時間エステル化をおこなった。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒としてテトラブチルチタネートモノマーを545g(テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の合計1モルあたり8×10−4モル)投入し、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、245℃で重縮合反応をおこなった。減圧を解除してから、無水トリメリット酸19kg(テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の合計1モルあたり0.05モル)を投入し、240℃で2時間解重合反応をおこなった。続いて、ドラム缶に払い出し、ポリエステル樹脂Oを得た。
表1と表2に、ポリエステル樹脂の仕込樹脂組成、最終樹脂組成と特性値を示す。
ポリエステル樹脂水性分散体W
撹拌機を備え、ジャケット付きの密閉可能なガラス容器(2リットル容、特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)に、300gのポリエステル樹脂A、180gのイソプロピルアルコール、9.2gのトリエチルアミン及び511gの蒸留水をガラス容器に仕込んだ。撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7,000rpmとして10分間攪拌し、さらに、ジャケットに熱水を通し、系内温度を73〜75℃として30分間攪拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を4,000rpmにして攪拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却し、乳白色の均一なポリエステル樹脂水性分散体Wを得た。
実施例1
ポリエステル樹脂A100部、旭化学ケミカルズ社製デュラネートTPA−100(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系、イソシアネート末端基量=5500当量/トン)17部、架橋触媒としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.4部を、酢酸エチル273部に溶解し、コーティング剤を作製した。
実施例2〜23、比較例1〜11
表3〜表6に示すように、配合物および配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にコーティング剤を作製した。
厚み12μmのポリエステルフィルム(ユニチカ社製エンブレット)を基材として、その片面に0.05μmのアルミ蒸着層を形成させた。さらに、アルミ蒸着面上に、バーコーターを用いて、アルミ蒸着層の保護コート層として、実施例1〜13および比較例1〜7のコーティング剤を塗布した後、110℃で2分間乾燥し、乾燥厚み2μmの保護層を形成させて積層フィルムを作製した。なお、コーティング剤を作製できなかった比較例1、比較例4および比較例10については、積層フィルムを作製しなかった。
表3〜表6に、コーティング剤および積層フィルムの特性値と評価結果を示す。
実施例1〜23は、ポリエステル樹脂の溶解性、コーティング剤の溶液安定性、および積層フィルムの耐ブロッキング性、密着性、耐熱水性、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)、耐候性がいずれも良好であった。
グリコール成分として、トリシクロデカンジメタノール、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、または、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物を、グリコール成分に対して30モル%以上共重合した実施例1、3〜12、14〜23は、耐熱水性が特に良好であった。
さらに、グリコール成分として、トリシクロデカンジメタノールまたは1,2−プロパンジオールを、グリコール成分に対して30モル%以上共重合した実施例1、7〜12、14〜23は、耐候性も併せて特に良好であった。
それに対して、比較例1は、使用したポリエステル樹脂のガラス転移温度が100℃を超えていたため、ポリエステル樹脂の溶解性が低下し、コーティング剤を作製することができなかった。
比較例2、3は、使用したポリエステル樹脂のガラス転移温度が50℃よりも低かったため、積層フィルム同士がブロッキングし、耐熱水性、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。
比較例4は、使用したポリエステル樹脂の重量平均分子量が40000を超えていたため、ポリエステル樹脂の溶解性が低下し、コーティング剤を作製することができなかった。
比較例5は、使用したポリエステル樹脂の重量平均分子量が10000以下であったため、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。
比較例6は、使用したポリエステル樹脂の酸価が895当量/トンを超えていたため、積層フィルムの耐熱水性、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。
比較例7は、使用したポリエステル樹脂の酸価が35当量/トン未満であったために、積層フィルムの密着性、耐熱水性、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。
比較例8は、ポリエステル樹脂に配合するポリイソシアネート化合物末端基量が、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の合計に対して、0.8倍当量未満であったため、密着性、耐熱水性、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。
比較例9は、ポリエステル樹脂に配合するポリイソシアネート化合物末端基量が、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の合計に対して、2.0倍当量を超えていたため、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。
比較例10は、(ポリエステル樹脂+ポリイソシアネート化合物)の配合比率が、液状媒体との合計量100質量%に対して、50質量%を超えたため、コーティング液の粘度が極めて高く、積層フィルムを形成するためのコーティング液を調製することができなかった。
比較例11は、(ポリエステル樹脂+ポリイソシアネート化合物)の配合比率が、液状媒体との合計量100質量%に対して、5質量%未満であったため、密着性、耐熱水性、耐薬品性、ガスバリアー性(酸素透過度、水蒸気透過度)が不良であった。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が10000を超え40000以下、ガラス転移温度が50〜100℃、酸価が35〜895当量/トンのポリエステル樹脂、ポリイソシアネート化合物および液状媒体を含有するコーティング剤であり、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の総モル量に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート末端基量の当量比が0.8〜2.0倍当量であり、(ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物の合計)/液状媒体が5/95〜50/50(質量比)であるコーティング剤。
  2. ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主成分とするポリエステル樹脂であって、芳香族ジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対して40モル%以上共重合したものである請求項1記載のコーティング剤。
  3. ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主成分とするポリエステル樹脂であって、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物および一般式(1)で示されるトリシクロデカンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種類のグリコールを、全グリコール成分に対して30モル%以上共重合したものである請求項1または2記載のコーティング剤。
  4. 重量平均分子量が10000を超え40000以下、ガラス転移温度が50℃〜100℃、酸価が35〜895当量/トンのポリエステル樹脂およびポリイソシアネート化合物を含有し、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価の総モル量に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート末端基量の当量比が0.8〜2.0倍当量である塗膜。
  5. 金属または金属酸化物の蒸着層を設けたポリエステルフィルムの前記蒸着層上に、請求項4記載の塗膜を設けた積層フィルム。
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