JP2016047870A - 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム - Google Patents
蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016047870A JP2016047870A JP2014172626A JP2014172626A JP2016047870A JP 2016047870 A JP2016047870 A JP 2016047870A JP 2014172626 A JP2014172626 A JP 2014172626A JP 2014172626 A JP2014172626 A JP 2014172626A JP 2016047870 A JP2016047870 A JP 2016047870A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vapor deposition
- film
- coating material
- polyester
- gas barrier
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Abstract
Description
しかしながら、これらの発明では蒸着フィルムのオーバーコートとして、トリシクロデカンジメタノールを含有するポリエステルを用いることで、ガスバリア機能を大幅に高められるとの記載はない。
1.トリシクロアルカン骨格を含むアルコールと、多価カルボン酸、あるいはその酸無水物とを重縮合して得られるポリエステルを含有する、蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材、
2.ポリエステルにおいて、トリシクロアルカン骨格のアルコール全成分に対する含有率が30〜100質量%である、1.に記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
3.ポリエステルのガラス転移点が25℃以上である、1.又は2.に記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材、
4.前記トリシクロアルカンが、トリシクロデカンである1.〜3.の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材、
5.前記多価カルボン酸成あるいはその酸無水物が、芳香環骨格、脂環骨格から選ばれる少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分である1.〜4.の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材、
6.コーティング材がポリイソシアネート化合物を含有する、1.〜5.の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材、
7.コーティング材のポリイソシアネート化合物が、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる1種である、6.に記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材、
8.1.〜7.の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材を蒸着フィルムの蒸着面側にコーティングした、ガスバリア性フィルム、
9.蒸着フィルムがアルミニウム蒸着フィルムである、8.に記載のガスバリア性フィルム、
10.蒸着フィルムが未延伸フィルムである、8.に記載のガスバリア性フィルム、
11.8.〜10.の何れかに記載のガスバリア性フィルムを用いた包装材。
本発明でコーティング材として用いるポリエステルは、トリシクロアルカン骨格を含むアルコール成分と、多価カルボン成分あるいはその酸無水物とを重縮合することにより製造される。ポリエステルの分子量としては、コーティング材として十分な膜の靭性や塗工適性、溶媒溶解性が付与できるのであれば特に制限はないが数平均分子量で1000〜50000、さらに好ましくは、1500〜30000である。ポリエステル末端の官能基としても特に制限はなく、アルコール末端でも、カルボン酸末端でも、双方の末端を持っていても良い。但し、コーティング材として用いる際にイソシアネート系硬化剤を併用する場合には、アルコール末端であるポリエステルポリオールを用いる必要がある。
本発明で用いるポリエステルのTgは25℃以上である必要があることが好ましい。これ以上温度が低いと、樹脂がコーティング操作後に粘着性を持ち、ブロッキングを生じやすくなり、コーティング後の巻き取り操作がしにくくなるためである。Tgが25℃以下になるとブロッキング防止材の添加によっても巻き芯付近の圧力が高い状況では対応が困難になるためである。Tgのより好ましい温度は30℃以上、さらに好ましくは35℃以上である。
[トリシクロアルカン骨格を含むアルコール]
本発明で使用されるトリシクロアルカン骨格を含むアルコール成分は、公知慣用のトリシクロアルカン骨格を含むアルコールを挙げることができ、トリシクロアルカンとしては、例えば、トリシクロノナン、トリシクロノネン、トリシクロデカン、トリシクロデセン、トリシクロウンデカン、トリシクロドデカン、トリシクロテトラデカン、トリシクロペンタデカン、トリシクロヘキサデカン等を挙げることができる。また、このときの水酸基の価数については特に制限はないが、ポリエステル合成時のゲル化防止の観点から三価以下が好ましい。三価のアルコールを用いる場合は架橋したポリエステルの架橋点とすることができる。二価のアルコールを用いる場合は直鎖型ポリエステルとすることができる。一価のアルコールを用いる場合は、側鎖の末端トリシクロアルカン構造を持つポリエステルとすることができる。トリシクロアルカンは疎水性をもつため、本構造を含むポリエステルは特に水蒸気や、極性の高いガス、香り成分に対するバリア補強効果を持つ。
本発明ではトリシクロアルカン骨格を含むアルコール成分がアルコール全成分に対して30質量%以上含有されていれば、これ以外のアルコール成分をポリエステルの原料として用いてもよい。具体例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、及び1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分であるとバリアの補強効果を高くできる傾向にある。中でも、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、各種のガスが透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを主成分として使用することが最も好ましい。
本発明でポリエステルの原料として用いられる、多価カルボン酸成分は、ガスバリア機能が高いポリエステルを合成できる原料であれば制限はない。しかし、中でも芳香環骨格、脂環骨格から選ばれる少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分を用いてポリエステルを重縮合した場合、ガスバリア機能が高くなる傾向があり特に好ましい。
芳香環骨格をもつカルボン酸、あるいはその酸無水物としては、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含むと、バリア機能に加えてコーティング材として用いる場合に必要である溶媒溶解性も高くなるため特に好ましい。カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していてもよい。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
((I);一般式(1)
本発明では、コーティング材にポリエステル単独を用いてもよいし、ポリエステルと反応する硬化剤を添加しても良い。ポリエステル単独をコーティング材(オーバーコートワニス)として用いた場合は、利点として塗工液の増粘の恐れがなく塗工製造の管理が容易、コーティング液を希釈再利用可能であり、加えて硬化工程(いわゆるエージング工程)が不要である点が例示できる。このとき、使用するポリエステルの末端は、ポリオールでもポリカルボン酸でも、この両者の混合物であっても問題なく用いることができる。その一方で、コーティング層の樹脂が直鎖であるため耐熱性や、耐摩耗性が十分ではない場合や、ボイルやレトルト包装の加熱工程がある場合に使用しにくい問題が生じる場合がある。
一方、コーティング層に硬化剤を用いる場合にはフィルムへのコーティングであるためフィルムの耐熱性の観点からイソシアネート硬化系が好ましく、この場合にはコーティング材の樹脂成分がポリエステルポリオールである必要がある。一方、エポキシ系化合物を硬化剤として用いる場合にはポリエステルポリカルボン酸である必要がある。これらの場合ではコーティング層が架橋系になるため耐熱性や、耐摩耗性、剛性が向上する利点がある。従って、ボイルやレトルト包装にも使用しやすい。その一方で硬化剤を混合した後では液を再利用できない、塗工後に硬化(エージング)工程が必須になる欠点もある。
本発明のコーティング材は、前述の通りポリイソシアネート化合物を含有してもよい。本発明で用いられるポリイソシアネート化合物は、ポリエステルが水酸基を有する場合、少なくとも一部が反応し、ウレタン構造を作ることで樹脂成分として高極性化し、ポリマー鎖間を凝集させることでガスバリア機能を更に強化できる。また、コーティング材の樹脂が直鎖型の樹脂である場合に、3価以上のポリイソシアネートで架橋することで、耐熱性や、耐摩耗性を付与することができる。本発明で用いられるポリイソシアネート化合物としてはジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよいが、骨格の一部に芳香族環、または脂肪族環を含有するとガスバリア向上機能の観点から好ましい。たとえば、芳香族環を持つイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、脂肪族環を持つイソシアネートとしては、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルンジイソシアネート、あるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
ラミネート用接着剤の主成分である直鎖型のポリオールの硬化剤としては3官能のポリイソシアネートが広く用いられている。これらの3官能化のための分岐構造を付与する骨格としては、アロファネート、ヌレート、ビュレット、アダクト体が挙げられる。本発明ではいずれの3官能化部分の構造をもつポリイソシアネートを用いてもよいが、中でもヌレート骨格はコーティング塗膜に乾燥後の粘着性がでにくくコーティング材に適しているため特に好ましく用いられる。
本発明のコーティング材でポリイソシアネートを添加する際の、水酸基に対するイソシアネート化合物の比率は特に限定はないが、二液硬化型接着剤の場合とは異なり、水酸基価に対して、イソシアネート化合物を過剰に(つまり100%以上)添加する必要はない。好ましくは、水酸基価に対して50%未満である。イソシアネート化合物はポリエステルポリオールの一部の水酸基を架橋することで耐熱性や、耐摩耗性の特性を出せればよい。
また、芳香族環、脂肪族環を含有しているポリイソシアネート化合物であれば、ブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えば芳香族を含有しているものであれば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
本発明のコーティング材では、ポリエステルとポリイソシアネート化合物とは、ガスバリアコーティング材料としての諸特性を満たせば、2液混合型として使用してもよいし、予めポリエステルとポリイソシアネート化合物とを反応させた、ポリエステルポリウレタンを予め合成した上で使用してもよい。
本発明で用いるコーティング材は、速乾燥性や水蒸気バリア機能も補填する観点から非水系であり、有機溶媒を主成分とする必要がある。また、主成分であるポリエステルを溶解させる必要がある。加えて、残留溶媒や即乾燥性の観点から沸点が100℃以下である方が好ましい。好ましく用いられる溶媒としては、エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ケトン系溶媒としては、アセトン、4−ブタノン、エーテル系としてはテトラヒドロフラン、脂肪族系溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、芳香族系溶媒としはトルエン等を例示することができる。アルコール系溶媒や水を混合しても差し支えないが、イソシアネート化合物を硬化剤として併用する場合はこれらを含有させることに注意を要する。
(板状無機化合物)
本発明のコーティング材用樹脂組成物では、板状無機化合物を含有させてもよい。
本発明に板状無機化合物が用いられる場合には、粘着性の低減によるコーティング後の巻き取り適性の向上とガスバリア性を向上させる効果を有する。
本発明では、コーティング材層の耐酸性を向上させる方法として公知の酸無水物を添加剤として併用することもできる。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、必要に応じて、更にガス捕捉機能を有する材料を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する材料としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。水蒸気補足機能を有する材料としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、炭酸カルシウム等の材料を挙げることができる。これら以外にも遮断したい対象ガスの捕捉成分を添加することができる。
本発明のコーティング材は、ガスバリア補助機能を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、無機材料を用いる場合には分散剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、レベリング剤、スリップ向上剤等が例示できる。
本発明のコーティン材は、蒸着フィルムが持つガスバリア性を大幅に向上させるために使用する。そのためコーティング材を塗布する対象としては各種蒸着フィルムを用いる。本発明のコーティング材をコートしたフィルムは、通常の蒸着フィルムよりも更にガスバリア性に優れるため、高ガスバリアフィルムとして使用できる。
本発明で用いるコーティング材が塗布される蒸着フィルムの蒸着層の種類としては、ガスバリア性を付与できるものであれば特に限定されない。現在包装用に広く用いられている金属蒸着、または金属酸化物蒸着が好適に例示される。金属蒸着としては各種金属が例示できるが、特に安価で広く用いられているアルミニウムが好ましい。また、金属酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)が高汎用の材料として好ましく例示される。これ以外にも各種有機化合物、無機化合物を蒸着したフィルムを用いても良い。また、これら蒸着フィルムには蒸着の保護として、オーバーコートやアンダーコートが予め施されていても、施されていなくても用いることができる。しかし特に、コーティング層が無い蒸着フィルムでは、本発明のコーティングのバリア向上機能を十分に発揮することができるため好ましく用いられる。
本発明でのコーティング材を使用するフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:リニア低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:未延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、シクロオレフィンコポリマフィルム等が挙げられる。これらのフィルムには延伸処理があっても、無くても好ましく用いることができる。延伸処理をほどこしているフィルム類は寸法安定性、剛性よりコーティング操作が容易で使いやすい利点がある。また、未延伸フィルムでは逆に基材の寸法安定性、剛性、耐熱性が劣るため蒸着層が欠陥を多く持ちガスバリアが安定しないことが多いので、本発明のコーティング材を用いることで、バリア機能の強化に大きな効果をだせる利点がある。
本発明では、コーティングを蒸着面側に施す必要がある。これは、本発明のコーティング材が蒸着のピンホールやクラック等の欠陥部分を効率よく穴埋めすることにより、極めて優れたバリア向上機能を付与するためである。コーティング材が蒸着面の逆側のフィルム面に設置された場合はこのような補強効果を付与することはできずバリアの向上効果が限定的となる。
本発明のコーティング材のコーティング方法としては、蒸着フィルムの蒸着面にコーティングができるのであれば特に制限はない。具体的な方法としては、コールコート、グラビアコート、ナイフコート、リップコート、平版、凸版等の各種コーティング方法を例示することができる。また、コーティングに用いる装置についても特に限定はない。
本発明のコーティング材を塗布する膜厚は特に制限はない。しかし、本発明のコーティング材は蒸着欠陥をふさぐことでガスバリアの補強効果を高める。そのため、コーティング膜厚は蒸着欠陥さえ塞ぐことができれば特に厚い必要ななく、0.1μm以上あればバリア向上効果を出すことができる。好ましい厚み範囲としては、コーティング欠陥が生じにくいことと、乾燥性とのバランスより好ましくは0.1μm〜5μmの範囲、さらに好ましくは0.3〜3μmの範囲である。
本発明のコーティングが用いられる層構成としては、以下の構成が想定される。いずれも、蒸着層直上にコーティングされることにより良好なバリア機能を付与することができる。使用方法は単層でも、ラミネート等の多層化をおこなっても良い。
1)アルミ等の金属蒸着延伸フィルムを用いた構成としては、
・コーティング/インキ/蒸着延伸フィルム/ラミネート接着剤/シーラントフィルム
2)酸化アルミニウム等の透明蒸着延伸フィルムを用いた場合、
・透明蒸着延伸フィルム/コーティング/インキ/ラミネート接着剤/シーラントフィルム
3)アルミ等の金属蒸着未延伸フィルムを用いた構成としては
・ 延伸フィルム/インキ/ラミネート接着剤/コーティング/金属蒸着未延伸フィルム
コーティング/インキ/金属蒸着未延伸フィルム
4)酸化アルミニウム等の透明蒸着未延伸フィルムを用いた場合
・ 延伸フィルム/インキ/ラミネート接着剤/コーティング/透明蒸着未延伸フィルム
コーティング/インキ/透明蒸着未延伸フィルム
いずれの層構成も、フィルム層が2層以下で、インキ層の印刷を施した高ガスバリアのフィルムを提供することができる。特に金属または透明蒸着未延伸フィルムを用いた場合には、単層の高バリアフィルムを提供することができる。
本発明のガスバリア用フィルムが遮断できるガスとしては、酸素、水蒸気の他、二酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類の他、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、レモネン、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス、等の香り成分を例示することができる。
撹拌機、窒素ガス導入管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸100部、トリシクロデカンジメタノール155部、及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppm仕込み、精留塔上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保存した。酸価が5mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2000、酸価1.1mgKOH/g、水酸基価58.8mgKOH/gのポリエステルポリオール(TCDoPA)を得た。
撹拌機、窒素ガス導入管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、ヘキサヒドロキシ無水フタル酸100部、トリシクロデカンジメタノール150部、及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppm仕込み、精留塔上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保存した。酸価が5mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2000、酸価3.4mgKOH/g、水酸基価60.7mgKOH/gのポリエステルポリオール(TCDHH)を得た。
撹拌機、窒素ガス導入管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物109部、トリシクロデカンジメタノール150部、及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppm仕込み、精留塔上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保存した。酸価が5mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2000、酸価2.8mgKOH/g、水酸基価59.8mgKOH/gのポリエステルポリオール(TCDMH)を得た。
撹拌機、窒素ガス導入管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、トリメリット酸無水物100部、トリシクロデカンモノメタノール90部を仕込み、メチルエチルケトンを溶媒に用いて還流反応させ、酸価が315mgKOH/gとなったところで反応を終了し、脱溶媒を行った。シクロヘキサンジメタノール105部、及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppm仕込み、精留塔上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保存した。酸価が5mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1500、酸価0.2mgKOH/g、水酸基価84.8mgKOH/gのポリエステルポリオール(CHDMTMATCD)を得た。
撹拌機、窒素ガス導入管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸140部、トリシクロデカンジメタノール155部、及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppm仕込み、精留塔上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保存した。酸価が40.0mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量3000、酸価37.4mgKOH/g、水酸基価3.6mgKOH/gのポリエステルポリカルボン酸(TCDoPA-A)を得た。
実施例1〜5では、製造例1〜5で合成したポリエステルを酢酸エチルまたは2-ブタノンに表2の配合で添加し、常温でスターラーで撹拌した。いずれのポリエステル共溶媒に完全に溶解したコーティング液を調整することができた。
得られたコーティング材を、表2のフィルム欄に記した蒸着フィルムの蒸着面側にバーコーター#6番で塗工し、ドライヤで80℃の熱風により溶媒を揮発させた後、100℃設定の乾燥機中に30秒間設置した。いずれの実施例でも均一なコーティング塗膜が得られた。こうして得られた、オーバーコートが施された蒸着フィルムを後述の各種評価(酸素透過率測定、水蒸気透過率測定、塗膜乾燥特性)に供した。ここで得られたフィルムではコーティング面の塗膜乾燥性が良好でタック感(粘着性)は見られず、ロールでの取り扱いが容易と想定された。
実施例6〜8では、製造例1、3、4で合成したポリエステルを酢酸エチルまたは2−ブタノンに表2の硬化剤を除いた配合で添加し、常温でスターラーで撹拌した。いずれのポリエステル共溶媒に完全に溶解した溶液を調整することができた。得られた溶液に引き続き表2の配合で硬化剤を添加し、常温でスターラーで撹拌し均一のコーティング液を調整した。
本発明のオーバーコートのガスバリアへの効果を明確化するため、参考例として各実施例、比較例に使用した蒸着フィルムの未処状態(即ちコーティング前)の酸素透過率、水蒸気透過率を測定した。
以上の実施例、参考例で使用したフィルムは以下の通りである。いずれの蒸着フィルムにもオーバーコートは施されていない。
延伸フィルムへの蒸着フィルム
・透明蒸着PET:バリアロックス1011HG(東レフィルム加工(株)製)
・アルミ蒸着PET:1510(東レフィルム加工(株)製)
未延伸フィルムへの蒸着フィルム
・アルミ蒸着CPP:2203#25(東レフィルム加工(株)製)
・アルミ蒸着LLDPE:TUX-F#30(三井化学東セロ(株)製)
以上の実施例6〜8で用いた硬化剤は以下の通りである。
・D−110N: 三井化学(株)製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発成分75.0%、NCO%11.5%、溶媒酢酸エチル)
・D−262T: 三井化学(株)製「タケネートD−262T」(トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート体、不揮発成分50.0%、NCO%7.5%、溶媒酢酸エチル)
・MR−400:日本ポリウレタン(株)製、「ミリオネートMR−400」ポリメリック4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、不揮発成分100%、NCO%30%)
(1)酸素透過率
各種実施例で得られたフィルム及び、参考例として未処理の蒸着フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なお、RHは湿度を示す。
各種実施例で得られたフィルム及び、参考例として未処理の蒸着フィルムを、Illinois社製水蒸気透過率測定装置7002を用いて、伝導度法「ISO−15106−3」に準じ、40℃90%RHの雰囲気下で測定した。
各種実施例で得られたフィルムを70℃設定のドライヤで乾燥させ、100℃設定の乾燥機に30秒間さらに乾燥させた直後の状態を指で触ることによる官能試験で比較した。粘着性が残存しない場合は○、粘着性が残存した場合は×とした。この時点で粘着性が残存した場合には乾燥後にロールに巻いた状態で取り扱えない懸念があることを示す。
各種製造例で得られたポリエステルを示差走査熱量測定装置(DSC−60A)により−50℃〜100℃の温度範囲で熱流量を検出することでガラス転移温度の測定を行った。
また、これらいずれのコーティング材とも溶媒系コーティング材特有の優れた乾燥性とそれに伴う耐ブロッキング性を示した。これらは本発明で用いたポリエステルが室温以上のTgを持つことに起因したものと考えられる。
Claims (11)
- トリシクロアルカン骨格を含むアルコールと、多価カルボン酸、あるいはその酸無水物とを重縮合して得られるポリエステルを含有する、蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- ポリエステルにおいて、トリシクロアルカン骨格を含むアルコールのアルコール全成分に対する含有率が30〜100質量%である、請求項1に記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- ポリエステルのガラス転移点が25℃以上である、請求項1又は2に記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- 前記トリシクロアルカンが、トリシクロデカンである請求項1〜3の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- 前記多価カルボン酸、あるいはその酸無水物が、芳香環骨格、脂環骨格から選ばれる少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分である請求項1〜4の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- コーティング材がポリイソシアネート化合物を含有する、請求項1〜5の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- コーティング材のポリイソシアネート化合物が、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる1種である、請求項6に記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材。
- 請求項1〜7の何れかに記載の蒸着フィルムの蒸着面保護用コーティング材を蒸着フィルムの蒸着面側にコーティングした、ガスバリア性フィルム。
- 蒸着フィルムがアルミニウム蒸着フィルムである、請求項8に記載のガスバリア性フィルム。
- 蒸着フィルムが未延伸フィルムである、請求項8に記載のガスバリア性フィルム。
- 請求項8〜10の何れかに記載のガスバリア性フィルムを用いた包装材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014172626A JP2016047870A (ja) | 2014-08-27 | 2014-08-27 | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014172626A JP2016047870A (ja) | 2014-08-27 | 2014-08-27 | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016047870A true JP2016047870A (ja) | 2016-04-07 |
Family
ID=55648959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014172626A Pending JP2016047870A (ja) | 2014-08-27 | 2014-08-27 | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016047870A (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012001636A (ja) * | 2010-06-17 | 2012-01-05 | Unitika Ltd | コーティング剤およびそれを用いた積層フィルム |
JP2013014722A (ja) * | 2011-07-06 | 2013-01-24 | Dic Corp | ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物、及びガスバリア性フィルム |
WO2014098069A1 (ja) * | 2012-12-20 | 2014-06-26 | Dic株式会社 | 水蒸気バリア性接着剤用樹脂組成物、及び積層体 |
WO2015046359A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | Dic株式会社 | 水蒸気バリア用樹脂組成物、接着剤、及びコーティング剤 |
-
2014
- 2014-08-27 JP JP2014172626A patent/JP2016047870A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012001636A (ja) * | 2010-06-17 | 2012-01-05 | Unitika Ltd | コーティング剤およびそれを用いた積層フィルム |
JP2013014722A (ja) * | 2011-07-06 | 2013-01-24 | Dic Corp | ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物、及びガスバリア性フィルム |
WO2014098069A1 (ja) * | 2012-12-20 | 2014-06-26 | Dic株式会社 | 水蒸気バリア性接着剤用樹脂組成物、及び積層体 |
WO2015046359A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | Dic株式会社 | 水蒸気バリア用樹脂組成物、接着剤、及びコーティング剤 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5765510B1 (ja) | ガスバリア性接着剤用樹脂組成物、及び接着剤 | |
JP2017110142A (ja) | ポリエステルポリオール、コーティング材、及び包装材料 | |
JP6002966B2 (ja) | リン酸変性化合物含有接着剤用樹脂組成物、及び接着剤 | |
WO2013027609A1 (ja) | 板状無機化合物を含有する接着剤用樹脂組成物、および接着剤 | |
JP5821826B2 (ja) | 接着剤 | |
JP6701606B2 (ja) | コーティング材、及びガスバリア性フィルム | |
JP5861923B2 (ja) | ガスバリア性多層フィルム | |
JP5617831B2 (ja) | ガスバリアコーティング剤及びそれを用いたフィルム | |
JP6551769B1 (ja) | 蒸着フィルム用コーティング剤、ガスバリア性フィルム、及び包装材 | |
JP5605667B1 (ja) | 雲母を含有する接着剤用樹脂組成物、及び接着剤 | |
JP6002984B2 (ja) | ハイソリッド型接着剤用樹脂組成物、及び接着剤 | |
JP2016006140A (ja) | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム | |
JP6507753B2 (ja) | ラミネート用接着剤、及びこれを用いた積層体 | |
WO2016006125A1 (ja) | シーラントフィルムを有する積層体 | |
JP2017101202A (ja) | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム | |
JP2013127033A (ja) | 水蒸気バリア性を有する接着剤用樹脂組成物、及び接着剤 | |
JP2013234220A (ja) | 樹脂分散体の製造方法、接着剤、及びコーティング剤 | |
JP2015100961A (ja) | 建材用積層体 | |
JP2017110046A (ja) | 積層体及び包装材 | |
JP2017226135A (ja) | 積層体、及び積層体を用いた包装材 | |
JP6176513B1 (ja) | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム | |
JP6691661B2 (ja) | 積層体及び包装材 | |
JP6573146B2 (ja) | ガスバリア性接着剤用樹脂組成物、接着剤、及び積層体 | |
TWI485219B (zh) | 水蒸氣障壁性接著劑用樹脂組成物、及積層體 | |
JP2016047870A (ja) | 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170816 |
|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20180220 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180725 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180731 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180904 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190212 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190806 |