JP2011510464A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

本発明はイオン選択性高分子電解質膜によって分けられた、アノードおよびカソード、電池のアノード領域に燃料を供給する手段、電池のカソード領域に酸化剤を供給する手段、アノードとカソードの間に電気回路を提供する手段、カソードとの流体伝達において流れる非揮発性カソライト溶液を含むレドックス燃料電池を提供し、このカソライト溶液は電池の作動中に少なくとも部分的にカソードで還元され、場合によって間接的に、カソードにおける還元後に酸化剤と反応することによって、少なくとも部分的に再生されるレドックスメディエーターを含み、カソライト溶液はレドックスメディエーターとしておよび/またはメディエーターの再生を触媒するレドックス触媒として錯化された多座のN-ドナー配位子を含み、多座のN-ドナー配位子はピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される少なくとも1つの置換基を含む。

Description

本発明は、燃料電池、特に間接またはレドックス燃料電池に関し、これらは携帯製品(例えば携帯エレクトロニクス製品)のための電源、輸送用の乗り物(例えば自動車)のための主要および補助の両方の電源、キャラバンおよび他のレクリエーション用の乗り物、ボートなどのための補助電力、固定用途(例えば病院のコンピュータなどのための無停電電源)、および家庭用ならびにビジネス用の熱と電力を組合せた電源、などとしての用途を有する。本発明は、このような燃料電池における使用のための特定の触媒の使用にも関する。
燃料電池が本格的に実用を考慮されるようになったのは最近であるが、燃料電池は携帯可能な用途、例えば自動車および携帯エレクトロニクス技術として長年知られている。最も単純な形態において、燃料電池は燃料と酸素を反応生成物に変換し、電気と熱を工程中に製造する、電気化学エネルギー変換装置である。このような電池の1つの例においては、燃料として水素が、酸化剤として空気または酸素が使用され、反応生成物は水である。その気体はそれぞれ触媒作用を及ぼす拡散タイプの電極に供給され、それは2つの電極間で荷電粒子を運ぶ固体または液体の電解質によって分けられている。間接またはレドックス燃料電池においては、酸化剤(および/またはいくつかの場合においては燃料)は電極で直接反応せず、代わりにレドックス対の還元形態(燃料にとっては酸化形態)と反応してこれを酸化し、この酸化された種がカソード(燃料にとってはアノード)に供給される。
異なる電解質によって特徴付けられた様々なタイプの燃料電池が存在する。液体電解質アルカリ電解質燃料電池は、電解質はCO2を溶解かつ定期的に交換する必要があるという、固有の欠点を有している。高分子電解質またはプロトン伝導固体電池膜を備えたPEMタイプの電池は、酸性であり、この問題を回避する。しかし、酸素還元反応の電極触媒作用が比較的弱いため、実際にはこのようなシステムから理論的な最大レベルの電力の出力を達成するのは困難であることが証明された。さらに、高価な貴金属電極触媒が通常使用される。
数多くの現在の燃料電池技術は、酸素ガスが直接電極に流れるカソードを用いており、電極で触媒と反応して水が生成される。多くの場合において、触媒は貴金属である白金が用いられる。これは燃料電池全体のコストを上げるだけでなく、その反応の非効率性が利用可能な電力の損失につながる。
米国出願公開第3152013号は、カチオン選択性透過膜と、ガス透過性触媒電極と、第二電極とを含むガス燃料電池であって、膜が電極の間に配置され、ガス透過性電極とだけ電気的に接触するガス燃料電池を開示する。第二電極および膜と接触した水性カソライトを備え、カソライトは、その中に酸化剤対を含む。燃料ガスを透過性電極に供給する手段、および還元された酸化剤物質を酸化するために、ガス状酸化剤をカソライトに供給する手段を備えている。好ましいカソライトおよびレドックス対は、HBr/KBr/Br2である。窒素酸化物が、酸素還元のための好ましい触媒として開示されているが、酸化剤として純粋な酸素が必要であったという結果を伴い、酸化剤として空気を使用すると、有害な窒素酸化物種の排気を必要とする。
電気化学的燃料電池に関して認識されている問題は、規定された条件下での特定の電極反応の理論的電位を計算することはできるが、完全に達成することができないということである。このシステムにおける欠陥は、必然的に、任意のある反応から達成可能な理論的電位より低いあるレベルに、電位が損失してしまうという結果をもたらす。このような欠陥を低減するための過去の試みには、カソライト溶液中で酸化還元反応を受けるカソライト添加物の選択が含まれる。例えば、米国出願公開第3294588号は、この容量内でキノンおよび染料を使用することを開示する。他に試みられたレドックス対は、例えば米国出願公開第3279949号で開示されている、バナデート/バナジル対である。
米国出願公開第3540933号によると、カソライトとアノライトの両方に同じ電解質溶液を使用することによって、電気化学的燃料電池において特定の利点を実現することができた。この文献は、2種を超えるレドックス対を含み、平衡電位が電解質中のいずれの他のレドックス対と0.8V以下しか異ならない液体電解液の使用を開示する。
電解質溶液における、異なるレドックス対のレドックス電位の整合性は、米国出願公開第3360401号でも考慮されており、これは、燃料電池からの電気エネルギーの流速を速めるための、中間の電子輸送種の使用に関する。白金で被覆された電極の使用も開示されている。
様々なタイプのプロトン交換膜燃料電池が存在する。例えば、米国特許第4396687号には、再生可能なアノライト溶液およびカソライト溶液を含む燃料電池が開示されている。アノライト溶液は、これが水素にさらされることによって、酸化状態から還元状態に還元されるものである。米国特許第4396687号によると、好ましいアノライト溶液は、触媒の存在下におけるタングストケイ酸(H4SiW12O40)またはタングストリン酸(H3PW12O40)である。
米国特許第4396687号の好ましいカソライト溶液は、これが直接酸素にさらされることによって、還元状態から酸化状態に再酸化されるものである。米国特許第4396687号のカソライトには、VOSO4の溶液を含むメディエーター成分が含まれる。このメディエーターは、V(V)からV(IV)の酸化状態に還元される電子シンク(electron sink)として機能する。カソライトは、メディエーターをその酸化状態である(VO2)2SO4に再生するための触媒も含む。米国特許第4396687号のカソライト中に存在する触媒は、ポリオキソメタレート(POM)溶液、すなわちH5PMo10V2O40である。
過酸化水素または過酸などの酸化剤と、特定のN-ドナー錯体との相互反応に関するかなりの量の研究が、一般の文献およびその他に報告されている。
国際公開0012667号には、水溶液中で空気または二酸素による汚れの酸化を触媒する遷移金属漂白触媒として、N-ドナー錯体を使用することが記載されている。
国際公開0029537号には、有機または無機いずれの過酸素化合物も実質的に含まない洗剤組成物中で作用する漂白触媒として、架橋マクロ多環式N-ドナー配位子を含む遷移金属錯体の使用が記載されている。
J. G. Roelfesによる”Models for non-heme iron containing oxidation enzymes”というタイトルの論文(http://dissertations.ub.rug.nl/faculties/science/2000/j.g.roelfes/)には、Fe(N4Py)タイプの錯体は、DNA切断実験で実証されたように、酸素を活性化できることが述べられている。
M. Klopstra, R. Hage, R. M. Kellogg and B. L Feringa, Tet. Lett.、2003年、44、4581では、酸化剤としてO2を使用した、Fe(N4Py)などの触媒によるベンジル酸化が検討されている。Fe触媒が1-フェニルエチルヒドロペルオキシドと反応する、自動酸化の機構が提案されている。
米国特許第5298343号は、電気化学的電池および燃料電池のカソードでの使用に好適な多成分電極触媒に関する。
米国出願公開2005/0112055号は、ジルテニウムで置換されたポリオキソメタレートを含む触媒を開示する。
従来の燃料電池は全て、1つまたは複数の、以下の欠点に苦しんでいる。
これらは効率が悪い; 高価であるおよび/または組み立てるのに高価である; 高価なおよび/または環境的に好ましくない物質を使用する; 不適切なおよび/または不十分な継続電流密度および/または電池電位しか生じない; 構造が大きすぎる; 動作温度が高すぎる; 望ましくない副生成物および/または汚染物質および/または有害な物質を発生させる; 自動車および携帯電気製品などの携帯用途において、実用的、商業的な有用性を見出していない。
米国出願公開第3152013号 米国出願公開第3294588号 米国出願公開第3279949号 米国出願公開第3540933号 米国出願公開第3360401号 米国特許第4396687号 米国特許第4396687号 国際公開0012667号 国際公開0029537号 米国特許第5298343号 米国出願公開2005/0112055号 PCT/GB2007/050421 英国特許出願0605878.8 PCT/GB2007/050420 GB(P509431GB) GB(P509432GB)
J. G. Roelfes、"Models for non-heme iron containing oxidation enzymes"、(http://dissertations.ub.rug.nl/faculties/science/2000/j.g.roelfes/) M. Klopstra, R. Hage, R. M. Kellogg and B. L Feringa, Tet. Lett.、2003年、44、4581 Inorg. Chem.、1994年、33、1177
本発明の目的は、前述の1つまたは複数の欠点を克服する、または改善することである。本発明のさらなる目的は、レドックス燃料電池において使用するための改善されたカソライト溶液を提供することである。
燃料電池において使用するために好適で、N-ドナー配位子の遷移金属錯体に基づく、一連の触媒および/またはメディエーターは、PCT/GB2007/050421に記載されている。しかし、N-ドナー配位子ベースの触媒を提供することが望ましく、これは低pHにおいてよりロバスト性があり、より酸性のカソライト溶液を、カチオン選択性高分子電解質膜を含む燃料電池において使用することを可能にする。さらに、より高い電位で動作し、および/またはより速い酸素還元速度を示す、N-ドナー配位子ベースの触媒を作り出すことが望ましい。
1つまたは複数の上記の問題を解決するために、従来のN-ドナーシステムにおける1つまたは複数のピリジルメチル基を、異なるN-含有複素環を含むペンダントアームと交換することができる。
図1は本発明による燃料電池のカソードコンパートメントの概略図を示す。 図2は酸素による(ジメチルアミノメチル)フェロセンの酸化速度の、触媒されていない速度と触媒された速度との比較を示す。
したがって、本発明はイオン選択性高分子電解質膜によって分けられたアノードおよびカソード、電池のアノード領域に燃料を供給する手段、電池のカソード領域に酸化剤を供給する手段、アノードとカソードの間に電気回路を提供する手段、カソードとの流体伝達において流れる、少なくとも1つの非揮発性カソライト(catholyte)成分を含むカソライト溶液を含むレドックス燃料電池を提供し、このカソライト溶液は、電池の作動中に少なくとも部分的にカソードで還元され、場合によって間接的に、カソードにおける還元後に酸化剤と反応することによって、少なくとも部分的に再生されるレドックスメディエーターを含み、このカソライト溶液は上記レドックスメディエーターとしておよび/または上記メディエーターの再生を触媒するレドックス触媒として、錯化された多座のN-ドナー配位子を含み、この多座のN-ドナー配位子はピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される少なくとも1つの置換基を含む。
多座のN-ドナー配位子が非重合体の小分子である場合、遷移金属中心に配位することができる最大8個の窒素原子を含んでいてもよく、これらの窒素原子のそれぞれまたはいずれかを介して配位してもよい。好ましくは、多座のN-ドナー配位子は遷移金属中心に配位することができる3〜6個の間の窒素原子を含み、3〜6個の間のこれらの窒素原子のいずれかまたはそれぞれを介して遷移金属に錯化してもよい。より好ましくは、N-ドナー配位子は遷移金属中心に配位することができる4、5または6個の窒素原子を含む。特に好ましい実施形態においては、N-ドナー配位子は遷移金属中心に配位することができる5または6個の窒素原子を含む。
少なくとも1個の、しかし最大で6個の、もしくはそれ以上のこれらのN-ドナー原子が、場合によって置換されてもよい複素環の中に含まれる。複素環はピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される。複素環は環のいずれかの位置に任意の数の置換官能基を含んでもよい。このような置換基には、これらの例に選択は制限されないが、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸および/またはハライドが含まれる。上記のまたはそれぞれの官能基は任意の数の好適なスペーサー成分(spacer element)によって複素環から間隔があいていてもよく、スペーサー成分は、例えばアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアラルケニルスペーサー成分であり、この適切な任意の炭化水素鎖は直鎖または分岐鎖であってもよい。
N-ドナー配位子は1つまたは複数のさらなる複素環置換基を含んでいてもよく、置換基には、例えばピリジン置換基、またはピリジンで置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基が含まれる。
さらに、中心遷移金属との結合には関与しない全体の配位子の中に、任意の数の追加のN-含有基が存在してもよい。
好適な構造の例を以下に示す。
Figure 2011510464
X、YおよびZは場合によっていずれかのN-含有複素環で置換されてもよく、少なくとも1つはピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される。複素環は環のいずれかの位置に任意の数の置換官能基を含んでもよい。このような置換基には、これらの例に選択は制限されないが、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸および/またはハライドが含まれる。上記のまたはそれぞれの官能基は任意の数の好適なスペーサー成分(A、BおよびC)によって複素環から間隔があいていてもよく、スペーサー成分は、例えばアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアラルケニルスペーサー成分であり、適切な場合は、任意の炭化水素鎖は直鎖または分岐であってもよい。
X、YおよびZは同じでもよく、または異なっていてもよい。
A、BおよびCは同じでもよく、または異なっていてもよい。
a、bおよびcは1〜5のいずれかの整数であることができ、より好ましくは1〜3であることができる。
この構造、およびここで特定される他の構造は、1つまたは複数のピリジン置換基、またはピリジンで置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基を含んでもよい。
これらの例に制限されないが、以下が含まれる。
Figure 2011510464
他の構造の例として、以下がある。
Figure 2011510464
ここで、R1〜R5は独立に任意の基または原子であり、R1〜R5のうち2〜5つ、より好ましくは3〜5つ、および最も好ましくは4つはNドナー原子を含む有機基を含み、これらNドナー原子の1〜5個、より好ましくは3〜5個、および最も好ましくは4個は1つまたは複数の場合によって置換されてもよい複素環に属する。少なくとも1つの複素環は、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される。複素環は環のいずれかの位置に任意の数の置換官能基を含んでもよい。このような置換基には、これらの例に選択は制限されないが、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸および/またはハライドが含まれる。上記のまたはそれぞれの官能基は任意の数の好適なスペーサー成分によって複素環から間隔があいていてもよく、スペーサー成分は、例えばアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアラルケニルスペーサー成分であり、適切な場合は、任意の炭化水素鎖は直鎖または分岐であってもよい。R1〜R5基中の残りの原子には、炭素、水素、酸素、硫黄、リンおよび/またはハライドを含むことができ、その中のいくつかは金属中心に追加で配位してもよい。
R1〜R5は同じでもよく、または異なっていてもよい。
これらの例に制限されないが、以下が含まれる。
Figure 2011510464
好適な構造のさらなる例として、以下がある。
Figure 2011510464
好ましくは、nは1〜10の任意の整数であり、より好ましくはnは1〜5であり、最も好ましくはnは1〜3であり、n=2が特に好ましい。R1〜R4のうち1〜4つ、さらに好ましくは2〜4つはNドナー原子を含む有機基であって、これらNドナー原子の少なくとも1個、しかし最大で4個、より好ましくは3個または4個は場合によって置換されてもよい複素環に属する。少なくとも1つの複素環は、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される。複素環は環のいずれかの位置に任意の数の置換官能基を含んでもよい。このような置換基には、これらの例に選択は制限されないが、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸および/またはハライドが含まれる。上記のまたはそれぞれの官能基は任意の数の好適なスペーサー成分によって複素環から間隔があいていてもよく、スペーサー成分は、例えばアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアラルケニルスペーサー成分であり、適切な場合、任意の炭化水素鎖は直鎖または分岐であってもよい。R1〜R4基中の残りの原子には、炭素、水素、酸素、硫黄、リンおよび/またはハライドを含むことができ、その中のいくつかは金属中心に追加で配位してもよい。
R1〜R4は同じでもよく、または異なっていてもよい。
これらの例に制限されないが、以下が含まれる。
Figure 2011510464
カソライトは、上記レドックスメディエーターとして、および上記レドックス触媒として、錯化された多座のN-ドナー配位子(「配位子錯体」)を含んでもよい。代わりに、カソライト溶液は、1つまたは複数の代わりのレドックスメディエーターと、上記メディエーターのためのレドックス触媒として配位子錯体とを含んでもよい。代わりに、カソライト溶液は、レドックスメディエーターとして配位子錯体と、1つまたは複数の代わりの配位子錯体メディエーターのためのレドックス触媒とを含んでもよい。言い換えれば、配位子錯体は、カソライト溶液中で、レドックスメディエーターとしておよび/またはレドックス触媒として選択的に機能することができ、これは1つまたは複数の第2レドックスメディエーターおよび/またはレドックス触媒が一緒でも、存在しなくてもよい。
したがって、本発明による第1のシステムにおいて、配位子錯体はレドックス触媒(以下「Cat」と言及する)として機能し、動作中に、電池のカソード領域において少なくとも部分的に酸化され、その後その電極でスキームIに従い、レドックスメディエーター(以下「Med」と言及する)と一緒に再生レドックスサイクルの中で還元されて元の状態に戻される。
Figure 2011510464
本発明による第2のシステムにおいて、代わりのレドックス触媒(以下「Cat」と言及する)は、動作中に、電池のカソード領域において少なくとも部分的に酸化され、その後その電極でスキームIIに従い、配位子錯体レドックスメディエーター(以下「Med」と言及する)と一緒に再生レドックスサイクルの中で還元されて元の状態に戻される。
Figure 2011510464
本発明による第3のシステムにおいて、配位子錯体はレドックス触媒(以下「Cat」と言及する)およびレドックスメディエーター(以下「Med」と言及する)の両方として、スキームIIIに従い、機能する。
Figure 2011510464
したがって、本発明の燃料電池の動作において、酸化剤(つまり、酸素または任意の他の好適な酸化剤)は、カソライト溶液の中でレドックス触媒によって還元される。好ましくは、得られた酸化されたレドックス触媒は、カソードでのその還元後にメディエーターを再生するため、少なくとも部分的にメディエーターを酸化させるために有効である。
したがって、本発明による1つの燃料電池は、2つの可溶性活性種であるメディエーターおよび触媒からなるカソライトを備えた水性カソードシステムを使用するPEM燃料電池である。酸素は溶液中で触媒によって還元され、代わりに、メディエーターが酸化され、これはその後電極で還元して元の状態に戻される。このサイクルの完了により、再生レドックスカソードが作られる。
燃料電池動作のために、酸素還元が効果的に触媒されなければならない。従来の技術は酸素還元のために不均一系触媒を用いがちであり、この場合白金などの触媒が電極に堆積されており、電極触媒と呼ばれる。本システムでは代わりに(または同様に)均一系触媒、例えば酸素還元のための水溶性触媒、を使用する。
均一系触媒システムは燃料電池に関連して過去に記載されている。このようなものの1つは、本発明者らの同時係属中の英国特許出願0605878.8に記載されており、その中でポリオキソメタレート(POM)システムが触媒として使用されている。しかし、特定のタイプの燃料電池において、ポリオキソメタレートシステムにおいて存在するような高濃度の金属中心を触媒中では有さない方が望ましい。
それゆえ、カソライト溶液に可溶であり(例えば、カソライト溶液が水性の場合、水性溶液)、しかし低濃度の触媒において同様の酸素還元の触媒速度を示し、および/または高い電位で動作する、触媒システムを提供することが有利である。さらに、様々なメディエーターおよび/または追加の触媒の範囲内で相互作用することができる触媒、ならびに様々な触媒および/または追加のメディエーターの範囲内で、沈殿なしに相互作用することができるメディエーターは、高い電流密度を達成することができる多用途のシステムに利用することができる。
本発明によると、このようなレドックス燃料電池において使用するためのカソライト溶液が提供され、このカソライト溶液は、レドックスメディエーターおよび/またはレドックス触媒として、多座のN-ドナー配位子の遷移金属錯体を少なくとも1つ含む。
したがって、本発明者らは錯化された多座のN-ドナー配位子が、燃料電池の動作において、特に有用なレドックス触媒および/またはレドックスメディエーターになり得ることを見出した。驚くべきことに、本発明者らの同時係属中の英国特許出願0605878.8に記載されたPOMシステムと同様のモル基準での触媒速度が、相対的に低濃度の金属中心を用いることによって達成可能である。
本発明の燃料電池は、好ましくはカソライト溶液中に少なくとも1つのこのような錯化された配位子を含む。N-ドナー配位子は一般的に任意の好適な1つのまたは複数の金属、例えば好適な遷移金属に配位する。錯体を形成できる好適な遷移金属イオンの具体的な例には、マンガン(II〜V)、鉄(I〜IV)、銅(I〜III)、コバルト(I〜III)、ニッケル(I〜III)、クロム(II〜VII)、チタン(II〜IV)、タングステン(IV〜VI)、バナジウム(II〜V)、およびモリブデン(II〜VI)が含まれる。より好ましくは、遷移金属はマンガン(II〜V)、鉄(I〜IV)、銅(I〜III)またはコバルト(I〜III)である。配位子には、例えば、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、ハライドおよび/またはリンが、含まれてもよい。
例えば完全なN-ドナー金属錯体が、カチオン交換膜を含むPEM電池における触媒および/またはメディエーターとして使用される場合、錯体はその酸化された形態において非イオン性、または好ましくはアニオン性であることが望ましい。この場合、または任意の他の望ましい場合において、N-ドナー配位子を1つまたは複数のアニオン電荷を誘起する基、例えばカルボキシレート、カルボン酸、ホスフェート、ホスホネートまたはホスホン酸基で修飾することによって、アニオン電荷を導入することができる。より強い酸基、例えばスルホネート、サルフェートまたはスルホン酸も導入することができる。
代わりに、完全なN-ドナー金属錯体が、アニオン交換膜を含むPEM電池における触媒および/またはメディエーターとして使用される場合、錯体はその還元された形態において非イオン性、またはより好ましくはカチオン性であることが望ましい。N-ドナー配位子を1つまたは複数のカチオン電荷を誘起する基、例えばプロトン化アミンまたは4級アミン基で修飾することによって、カチオン電荷を導入することができる。
完全なレドックス触媒錯体は4〜8配位であるが、より好ましくは全体で6配位である。N-ドナー配位子に含まれる、配位する窒素原子の数は、6個未満であり、さらなる配位種が必要である。これらの種は一座、二座および/または三座でもよく、中性または負に帯電していてもよい。当業者は、これらの例に制限されないが、H2O、OH-、Cl-、CH3OHおよびCH3CNを含む、好適な無数の配位種が分かるであろう。
遷移金属触媒の電荷の平衡を保つために、配位しない対カチオンまたは対アニオンも存在する。この場合も、当業者は、これらの例に制限されないが、ClO4 -、PF6 -、Cl-、CN-、SO4 2-、Na+およびK+を含む、好適な無数の対イオンが分かるであろう。
N-ドナー配位子錯体と併せて使用するためのレドックスメディエーターおよび/または触媒は、非常に広い範囲の好適な物質から選択されることができ、これは配位した遷移金属錯体およびポリオキソメタレート種を含む。このような錯体を形成する好適な遷移金属イオンの具体例には、マンガン(II〜V)、鉄(I〜IV)、銅(I〜III)、コバルト(I〜III)、ニッケル(I〜III)、クロム(II〜VII)、チタン(II〜IV)、タングステン(IV〜VI)、バナジウム(II〜V)、およびモリブデン(II〜VI)が含まれる。このような配位した遷移金属錯体における配位子は、キレート化してもよく(例えば2,2’-ビピリジンおよび/または1,10-フェナントロリン)、キレート化しなくてもよい(例えばクロリドおよび/またはシアニド)。このような配位子の錯体(例えば遷移金属錯体)には、キレート化している配位子またはキレート化していない配位子が単独で、またはこれら2種の混合物として、含まれてもよい。
1つの好ましいレドックスメディエーターは、修飾されたフェロセン種を含み、これはPCT/GB2007/050420、および2008年1月23日に出願された本発明者らの同時係属中のGB(P509431GB)ならびにGB(P509432GB)に開示されている。
カチオン交換膜を含むPEM電池において、修飾されたフェロセン種がレドックスメディエーターとして使用される場合、それはその酸化された形態において、好ましくは非イオン性であり、またはより好ましくはアニオン性である。アニオン電荷を誘起する基、例えばカルボキシレート、カルボン酸、ホスフェート、ホスホネートまたはホスホン酸基で修飾することによって、アニオン電荷をフェロセンに導入することができる。より強い酸基、例えばスルホネート、サルフェートまたはスルホン酸も導入することができる。
代わりに、アニオン交換膜を含むPEM電池において、修飾されたフェロセン種がレドックスメディエーターとして使用される場合、それはその還元された形態において、好ましくは非イオン性であり、またはより好ましくはカチオン性である。カチオン電荷を誘起する基、例えばプロトン化アミンまたは4級アミン基で修飾することによって、カチオン電荷をフェロセンに導入することができる。
したがって、修飾されたフェロセン種の電荷は容易に変えることができると考えられる。これにより、使用される電池の特定の条件に適合させることができる。例えば、カソライトレドックス触媒の電位およびカソライトのpHに適合させることができる。
レドックスメディエーターが修飾されたフェロセン種の場合、それは以下の式で表されてもよい。
Figure 2011510464
ここで、XおよびYは、独立に、水素と、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、プロトン化アミノ、イミノ、ニトロ、シアノ、アシル、アシロキシ、サルフェート、スルホニル、スルフィニル、アルキルアミノ、プロトン化アルキルアミノ、4級アルキルアンモニウム、カルボキシ、カルボン酸、エステル、エーテル、アミド、スルホネート、スルホン酸、スルホンアミド、ホスホニル、ホスホン酸、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキル、アルコキシ、オキシエステル、オキシアミド、アリール、アリールアミノ、アリールオキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、(C2〜C5)アルケニル、(C2〜C5)アルキニル、アジドフェニルスルホニルオキシまたは式-CO-W-OH(Wはアミノ酸)を有するアミノ酸抱合体を含む官能基とから選択される。
好ましくは、XおよびYのうちの少なくとも1つは、独立に、水素と、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、プロトン化アミノ、イミノ、アシル、サルフェート、アルキルアミノ、プロトン化アルキルアミノ、4級アルキルアンモニウム、カルボキシ、カルボン酸、エステル、オキシエステル、アルコキシ、スルホニル、スルフィニル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、ホスホン酸、ホスホネート、ホスフェート、アミド、オキシアミドまたは式-CO-W-OH(Wはアミノ酸)を有するアミノ酸抱合体を含む官能基と、および1つもしくは複数の前述の官能基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基とから選択される。
さらに好ましくは、XおよびYの少なくとも1つは、独立に、水素と、F、CHO、-COCH3、-COCH2CH3、-COCH2CH2COOH、-COOH、-(COOH)2、-NH2、NH3 +、-N(CH3)2、-NH(CH3)2 +、-N(CH3)3 +、-H(CH2CH3)2、-NH(CH2CH3)+、-N(CH2CH3)3 +、-CH2N(CH3)2、CH2NH(CH3)2 +、-CH2N(CH3)3 +、-OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-OSO3 -、-SO3 -、-CH2SO3 -、-CH2OSO3 -、PO(OH)2、-OPO(OH)2、-CO-Gly-OH、-CO-Glu-OHまたは-CO-Asp-OHを含む官能基と、および1つもしくは複数の前述の官能基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基とから選択される。
1〜5のいずれかの数のX置換基が存在してもよく、この場合、それぞれのX置換基は同じでもよく、または異なっていてもよい。1〜5のいずれかの数のY置換基が存在してもよく、この場合、それぞれのY置換基は同じでもよく、または異なっていてもよい。全ての5つのX基および全ての5つのY基が同時に水素であってはならない。
XおよびYは、1つまたは複数のスペーサー成分によって環から離れていてもよい。XおよびYは、一緒にシクロペンタジエニル環の間に二価の連結基を形成してもよい。
カソライト溶液中のレドックスメディエーターの濃度は、好ましくは少なくとも約0.0001M、より好ましくは少なくとも約0.005M、および最も好ましくは少なくとも約0.001Mである。
カソライト溶液中のレドックス触媒の濃度は、好ましくは少なくとも約0.0001M、より好ましくは少なくとも約0.005M、および最も好ましくは少なくとも約0.001Mである。
本発明の好ましい一実施形態において、イオン選択性PEMは、他のカチオンに対してプロトンを好んで選択するカチオン選択性膜である。この場合において、カソライトのpHは、好ましくは酸性である。好ましくは7未満、より好ましくは4未満、さらにより好ましくは2未満、および最も好ましくは1未満のpHを有する。
カチオン選択性高分子電解質膜は、任意の好適な物質、しかし好ましくはカチオン交換能力を有する重合体基材を含む、から形成されてもよい。好適な例には、フッ素樹脂タイプのイオン交換樹脂および非フッ素樹脂タイプのイオン交換樹脂が含まれる。フッ素樹脂タイプのイオン交換樹脂には、ペルフルオロカルボン酸樹脂、ペルフルオロスルホン酸樹脂、および同類のものが含まれる。ペルフルオロカルボン酸樹脂が好ましく、例えば「Nafion」(Du Pont社)、「Flemion」(Asahi Gas社)、「Aciplex」(Asahi Kasei社)および同類のものである。非フッ素樹脂タイプのイオン交換樹脂には、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキシド、スチレン-ジビニルベンゼンイオン交換樹脂、および同類のもの、およびこれらの金属塩が含まれる。好ましい非フッ素樹脂タイプのイオン交換樹脂には、ポリアルキレンオキシド-アルカリ金属塩錯体が含まれる。例えば、これらは塩素酸リチウムまたは他のアルカリ金属塩の存在下で、エチレンオキシドオリゴマーを重合することによって得られる。他の例にはフェノールスルホン酸、ポリスチレンスルホン、ポリトリフルロスチレンスルホン、スルホン化トリフルオロスチレン、α,β,β-トリフルロスチレンモノマーベースのスルホン化共重合体、放射線グラフト化膜が含まれる。非フッ素化膜には、スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)、ポリ(2,6-ジフェニル-4-フェニレンオキシド)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(2,6-ジフェニルエノール)、酸ドープされたポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリイミド、スチレン/エチレン-ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、部分的にスルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン、部分的にスルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリベンジルスルホン酸シロキサン(PBSS)が含まれる。
本発明の別の好ましい一実施形態において、イオン選択性PEMはアニオン性選択性膜である。アニオン性膜の好適な例には、ジビニルベンゼンと架橋され、かつ強度を付与するために微粉状ポリ塩化ビニルの存在下で重合された、スチレンの4級アミン誘導体が含まれる。
PEMがアニオン選択性である実施形態において、カソライトは好ましくはアルカリ性である。好ましくは7より大きい、より好ましくは8より大きいpHを有する。
いくつかの場合において、イオン選択性高分子電解質膜は二層膜を含むことが望ましい。二層膜は、それが存在する場合、一般的に第1カチオン選択性膜および第2アニオン選択性膜が含まれる。この場合、二層膜は逆に帯電した選択性膜の隣接ペアを含んでもよい。例えば、二層膜はその間に任意の間隙をもって並べて配置される、少なくとも2つの配慮した膜を含んでもよい。好ましくは、間隙のサイズは、たとえあったとしても、本発明のレドックス電池内で最小に保たれる。二層膜の使用は、本発明のレドックス燃料電池において、アノライト溶液およびカソライト溶液の間のpH差による電位を維持することによって、電池の電位を最大にするために使用される。理論に制限されないが、この電位を膜システムにおいて維持するために、システムのいくつかの点において、プロトンが支配的な電荷輸送担体でなければならない。単独のカチオン選択性膜では、膜中で、カソライト溶液からの他のカチオンが自由に運動することによって、これを同じ程度達成できない。
この場合、カチオン選択性膜が二層膜のカソード側に位置し、アニオン選択性膜が二層膜のアノード側に位置してもよい。この場合、カチオン選択性膜は、電池の動作中に、アノード側からカソード側にプロトンが膜を通ることを可能にするように適合させる。アニオン選択性膜は、実質的にプロトン以外のカチオン性物質がカソード側からアノード側に通ることを妨げるように適合させる。この場合、プロトンはアノードからカソードに通る。
本発明の第2の実施態様において、カチオン選択性膜が二層膜のアノード側に位置し、アニオン選択性膜が二層膜のカソード側に位置する。この場合、カチオン選択性膜は、電池の動作中に、アノード側からカソード側にプロトンが膜を通ることを可能にするように適合させる。この場合、アニオンはカソード側から二層膜の隙間のスペースに通ることができ、プロトンがアノード側から通る。この場合、このプロトンおよびアニオン性物質を二層膜の隙間のスペースから流し出すための方法を備えていることが望ましい。このような手段は、カチオン選択性膜中の1つまたは複数の穿孔を含み、直接膜を通って流れ出すことを可能にする。代わりにカチオン選択性膜の周りに、隙間のスペースから膜のカソード側に流れ出される物質を導くための手段を備えていてもよい。
アノード側においてアニオン性選択性膜と一緒に使用される配置の、有用なバイポーラ膜の代表例は、Neosepta(登録商標) BP-1の商標名で販売されており、Tokuyama社から入手可能である。
本発明の別の態様によると、以下の工程を含むプロトン交換膜燃料電池の動作方法が提供される。
a) プロトン交換膜と隣接した位置にあるアノードでH+イオンを形成する工程;
b) 酸化状態のレドックスメディエーターおよび還元状態のレドックス触媒と一緒に、プロトン交換膜の反対側に隣接した位置にあるカソードに、本発明のカソライトを供給する工程;および
c) 電荷の平衡を保つために、H+イオンが膜を通ると同時に、メディエーターがカソードと接触して還元させる工程。
別の一実施形態において、カソライトはカソライト容器(catholyte reservoir)から供給される。
上記第4の態様の方法は、さらに以下の工程を含んでもよい。
d) カソードから再酸化ゾーンまでカソライトを通す工程であって、メディエーターが、酸化剤と反応する触媒によって再酸化される工程。
別の一実施形態において、上記態様の方法は以下の工程を含む。
e) 再酸化ゾーンからカソライト容器までカソライトを通す工程。
この実施形態において、電池は循環式であり、カソライト中のメディエーターおよび触媒は交換されることなく、繰り返し酸化および還元されることができる。
電力の負荷をかけるために構成された電気負荷装置も、本発明の燃料電池と共に提供されてもよい。
本発明の燃料電池は、利用可能な燃料前駆体、例えばLPG、LNG、ガソリンまたは低分子量アルコール、を水蒸気改質反応を通して燃料ガス(例えば水素)に転換するために構成された、改質装置を含んでもよい。したがって、電池は、改質された燃料ガスをアノードチャンバー(anode chamber)に供給するために構成された燃料ガス供給装置を含んでもよい。
好ましい燃料には水素、金属ハライド(例えばそれ自身燃料として働いてもよく、または水素供給源として働いてもよいホウ化水素)、低分子量アルコール、アルデヒドおよびカルボン酸、糖類およびバイオ燃料、ならびにLPG、LNGまたはガソリンが含まれる。
好ましい酸化剤には空気、酸素および過酸化物が含まれる。
本発明のレドックス燃料電池におけるアノードは、例えば水素ガスアノードまたは直接メタノールアノード、他の低分子量アルコール(例えばエタノール、プロパノール、ジプロピレングリコール)、エチレングリコール、これらから形成されたアルデヒドおよび酸種(例えばギ酸、エタン酸など)であってもよい。さらに、アノードはバイオ燃料電池タイプのシステムであってもよく、これはバクテリア種が燃料を消費し、電極で酸化されるメディエーターを生成するか、またはバクテリア自身が電極に吸着され、直接アノードに電子を供給するかのいずれかである。
本発明のレドックス燃料電池におけるアノードは、カソード物質として、炭素、金、白金、ニッケル、金属酸化物種を含んでもよい。しかし、高価なカソード物質は避けることが好ましく、それゆえ好ましいカソード物質には、炭素、ニッケル、チタンおよび特定のカソライト中で不活性な他の金属、および金属酸化物または金属硫化物が含まれる。カソードのための1つの好ましい物質は、網状になったガラス状炭素または炭素フェルトなどの炭素繊維ベースの電極である。他にはニッケル発泡体またはメッシュ、あるいはチタン発泡体またはメッシュである。カソード物質は粒子状カソード物質の微細分散物から作られてもよく、粒子の分散物は好適な接着剤によって、またはプロトン伝導高分子物質によって一緒にされる。カソードは、カソード表面へのカソライト溶液の流れが最大となるように設計される。したがって、これは成形した流量調整器または3次元電極からなってもよく、液体の流れは電極に隣接して液体チャネルが存在する配置による流れにおいて管理されてもよく、または3次元電極の場合には、液体が電極を通って流れさせられる。電極の表面は電極触媒であるようにも意図されるが、粒子が堆積した形態の電極触媒を電極表面に付着することが有益である。
燃料電池の動作中にカソードチャンバーの溶液中を流れるレドックスメディエーターは、本発明において、カソードチャンバーにおける酸素の還元のための触媒と一緒に使用され、以下の式に従う(ここで、Spはレドックス対種である)。
Figure 2011510464
本発明の燃料電池において利用されるレドックス対、および任意の他の補助レドックス対は、非揮発性であり、好ましくは水性溶媒に可溶である。好ましいレドックス対は燃料電池の電気回路において有用な電流を生成するのに有効な速度で酸化剤と反応し、水が最終生成物となる酸化剤と反応する。
本発明の燃料電池は、少なくとも1つのレドックスメディエーター種および多座のN-ドナー配位子の遷移金属錯体を含む1つのレドックス触媒の存在を必要とする。しかし、いくつかの状況において他のレドックス対を補助レドックス対としてカソライト溶液中に含むことができる。
本発明の様々な態様は、以下の図を参照してより詳しく説明される。
図1は本発明による燃料電池のカソードコンパートメントの概略図を示す。
図2は酸素による(ジメチルアミノメチル)フェロセンの酸化速度の、触媒されていない速度と触媒された速度との比較を示す。
図1を参照し、アノード(図示せず)をカソード3から分離する高分子電解質膜2を含む、本発明による燃料電池1のカソード側を示す。カソード3は、この図では、網状炭素を含み、それゆえ多孔質である。しかし、白金などの他のカソード物質を使用してもよい。高分子電解質膜2は、電池動作中、アノードチャンバー内で燃料ガス(この場合は水素)が酸化(場合によって触媒酸化)されることによって生成したプロトンが通るカチオン選択性Nafion 112膜を含む。燃料ガスの酸化によってアノードで発生した電子は、電気回路(図示せず)中を流れ、カソード3に戻される。燃料ガス(この場合は水素)は、アノードチャンバー(図示せず)の燃料ガス通路に供給され、一方、酸化剤(この場合は空気)は、カソードガス反応チャンバー5の酸化剤入口4に供給される。カソードガス反応チャンバー5(メディエーター再酸化ゾーン)には、燃料電池反応の副生成物(例えば水および熱)を放出することができる排出口6が備えられている。
酸化された形態のレドックスメディエーターを含むカソライト溶液は、電池の動作中、カソライト容器7からカソード入口溝8に供給される。カソライトは、膜2に隣接して配置された網状炭素カソード3に通る。カソライトがカソード3を通る場合、レドックスメディエーターは還元され、その後カソード出口溝9を通ってカソードガス反応チャンバー5に戻る。
本発明のカソライトの有利な組成物のため、メディエーターの再酸化が起こり、これは多座のN-ドナー配位子の遷移金属錯体によって触媒され、燃料電池のためのカソライトシステムの設計においてより大きな順応性を可能にし、従来技術のカソライトより高い電位および/またはより長く持続しうる電流を生成する。
以下の実施例は、これに制限されないが、本発明のN-ドナー配位子の選択物の合成例を記載する。
(実施例1)
ビス((2-ピリジル)メチル)((1-メチルイミダゾール-2-イル)メチル)アミンの合成
Figure 2011510464
合成はInorg. Chem.、1994年、33、1177に記載されたように行った。
(実施例2)
ビス(1-メチルイミダゾール-2-イル)メチル)((2-ピリジル)メチル)アミン)の合成
Figure 2011510464
合成はInorg. Chem.、1994年、33、1177に記載されたように行った。
本発明のカソライトの性能は以下の実施例において記載する。
(実施例3)
酸素によるメディエーター(ジメチルアミノメチル)フェロセン(Fc-CH2NMe2)の酸化は、75℃で、0.1Mグリシンバッファー溶液の中で、pH2.5で行い、酸化触媒としてビス((2-ピリジル)メチル)((1-メチルイミダゾール-2-イル)メチル)アミン[BPIA]の鉄(II)錯体を使用した。Fc-CH2NMe2から[Fc-CH2NMe2]+への酸化は、酸化された生成物が出発物質のいずれにも存在しない626nmでピークを示すため、UV-Vis吸収分光法を用いてモニターすることができた。
15mMの(ジメチルアミノメチル)フェロセンおよび1.0mMのBPIAの鉄(II)錯体を含む溶液を、窒素雰囲気下、75℃で形成した。酸素をこの溶液を通してバブリングし、時間による626nmの吸収の増加をモニターした。データは、比較のために触媒されていないデータと一緒に図2に示しており、このN-ドナー錯体が(ジメチルアミノメチル)フェロセンメディエーターの酸化を触媒していることを示している。
2 高分子電解質膜
3 カソード
4 酸化剤入口
5 カソードガス反応チャンバー
6 排出口
7 カソライト容器
8 カソード入口溝
9 カソード出口溝
10 電子
11 プロトン

Claims (43)

  1. イオン選択性高分子電解質膜によって分けられたアノードおよびカソード;
    電池のアノード領域に燃料を供給する手段;
    電池のカソード領域に酸化剤を供給する手段;
    アノードとカソードの間に電気回路を提供する手段;
    カソードとの流体伝達において流れる少なくとも1つの非揮発性カソライト成分を含むカソライト溶液;
    を含むレドックス燃料電池であって、前記カソライト溶液は電池の作動中に少なくとも部分的にカソードで還元され、場合によって間接的に、カソードにおける還元後に酸化剤と反応することによって、少なくとも部分的に再生されるレドックスメディエーターを含み、前記カソライト溶液はレドックスメディエーターとしておよび/またはメディエーターの再生を触媒するレドックス触媒として錯化された多座のN-ドナー配位子を含み、前記多座のN-ドナー配位子はピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前記1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される少なくとも1つの置換基を含む、レドックス燃料電池。
  2. 前記多座のN-ドナー配位子は遷移金属中心に配位可能な最大8個の窒素原子を含む非重合体分子である、請求項1に記載のレドックス燃料電池。
  3. 前記配位子は窒素原子のそれぞれまたはいずれかを通して配位してもよい、請求項2に記載のレドックス燃料電池。
  4. 前記多座のN-ドナー配位子は遷移金属中心に配位可能な3〜6個の窒素原子を含む、請求項2または3に記載のレドックス燃料電池。
  5. 前記N-ドナー配位子は遷移金属中心に配位可能な4〜6個の窒素原子を含む、請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記N-ドナー配位子は遷移金属中心に配位可能な5または6個の窒素原子を含む、請求項5に記載の燃料電池。
  7. 前記複素環置換基は、環のいずれかの位置に1つまたは複数の置換官能基を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
  8. 前記環の同じまたは異なる位置における前記置換基は、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸、ハライドおよびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項7に記載のレドックス燃料電池。
  9. 前記のまたはそれぞれの置換基は、1つまたは複数のスペーサー成分によって複素環置換基から間隔があいている、請求項8に記載のレドックス燃料電池。
  10. 前記のまたはそれぞれのスペーサー成分は、直鎖または分岐鎖の、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキル、アラルケニルおよびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項9に記載のレドックス燃料電池。
  11. N-ドナー配位子は以下の構造を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
    Figure 2011510464
    [式中、X、YおよびZは、場合によってN含有複素環で置換されてもよく、少なくとも1つはピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される。
    A、BおよびCは、独立に、直鎖または分岐鎖の、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアラルケニルから選択されるスペーサー成分であって、
    a、bおよびcは独立に0〜5のいずれかの整数であることができる]
  12. a、bおよびcは独立に1〜3のいずれかの整数である、請求項11に記載のレドックス燃料電池。
  13. A、Bおよび/またはCは、独立に、環のいずれかの位置で、1つまたは複数の置換官能基で置換される、請求項11または12に記載のレドックス燃料電池。
  14. 前記のまたはそれぞれの置換基は、独立に、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸および/またはハライドから選択される、請求項13に記載のレドックス燃料電池。
  15. 前記N-ドナー配位子は以下から選択される、請求項11から14のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
    Figure 2011510464
  16. 前記N-ドナー配位子は以下の構造を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
    Figure 2011510464
    [ここで、R1〜R5は独立に任意の基または原子であり、R1〜R5のうちの2〜5つ、3〜5つ、または4つはNドナー原子を含む有機基を含み、これらNドナー原子の1〜5個、3〜5個、または4個は1つまたは複数の場合によって置換されてもよい複素環に属し、少なくとも1つの複素環は、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される]
  17. R1〜R5のいずれか1つまたは複数は、環のいずれかの位置で、1つまたは複数の置換官能基で置換される、請求項16に記載のレドックス燃料電池。
  18. 前記のまたはそれぞれの置換基は、独立に、直鎖または分岐鎖の、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸および/またはハライド、およびこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項17に記載のレドックス燃料電池。
  19. 前記のまたはそれぞれの置換基は、任意の数の好適なスペーサー成分によって複素環から間隔があいている、請求項17または18に記載のレドックス燃料電池。
  20. 前記のまたはそれぞれのスペーサー成分は、独立に、場合によって置換されてもよい、直鎖または分岐鎖の、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキル、アラルケニルまたはこれらの2つ以上の組合せから選択される、請求項19に記載のレドックス燃料電池。
  21. 前記N-ドナー配位子は以下から選択される、請求項16から19のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
    Figure 2011510464
  22. 前記N-ドナー配位子は以下の構造を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
    Figure 2011510464
    [ここで、nは1〜10、1〜5、1〜3、または2のいずれかの整数であり、R1〜R4のうちの1〜4つ、または2〜4つはNドナー原子を含む有機基であって、これらNドナー原子の少なくとも1個、最大で4個、または3〜4個は場合によって置換されてもよい複素環に属し、少なくとも1つの複素環は、ピロール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンおよび前述の1つまたは複数の環状基で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アルケナリール、アラルキル、アラルケニル基から選択される。R1〜R4は同じでもよく、または異なっていてもよい]
  23. 前記複素環は、環のいずれかの位置で、任意の数の置換官能基を含む、請求項22に記載のレドックス燃料電池。
  24. 前記のまたはそれぞれの置換基は、独立に、直鎖または分岐鎖の、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アミン、プロトン化アミン、4級アミン、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、ホスフェート、ホスホネート、ホスホン酸、カルボキシレート、カルボン酸、ハライドおよびこれらの1つまたは複数の組合せから選択される、請求項23に記載のレドックス燃料電池。
  25. 前記のまたはそれぞれの置換基は、任意の数の好適なスペーサー成分によって複素環から間隔があいている、請求項24に記載のレドックス燃料電池。
  26. 前記のまたはそれぞれのスペーサー成分は、独立に、場合によって置換されてもよい、直鎖または分岐鎖の、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルまたはアラルケニルから選択される、請求項25に記載のレドックス燃料電池。
  27. 前記N-ドナー配位子は以下から選択される、請求項22から26のいずれか一項に記載のレドックス燃料電池。
    Figure 2011510464
  28. 前記カソライト溶液は、前記レドックスメディエーターとしておよび前記レドックス触媒として、錯化された多座のN-ドナー配位子を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の燃料電池。
  29. 前記カソライト溶液は、レドックスメディエーターと、レドックス触媒として錯化された多座のN-ドナー配位子とを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の燃料電池。
  30. 前記カソライト溶液はレドックスメディエーターとして錯化された多座のN-ドナー配位子と、レドックス触媒としてのさらなる物質とを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の燃料電池。
  31. その動作中に、前記酸化剤がレドックス触媒によってカソライト溶液中で還元される、請求項1から30のいずれか一項に記載の燃料電池。
  32. 得られた酸化されたレドックス触媒は、カソードでのその還元後のメディエーターを再生するため、少なくとも部分的にメディエーターを酸化させるために有効である、請求項31に記載の燃料電池。
  33. 前記カソライト溶液が水性溶液である、請求項1から32のいずれか一項に記載の燃料電池。
  34. 前記錯化された多座のN-ドナー配位子は多座のN-ドナー配位子の遷移金属錯体を含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の燃料電池。
  35. 前記多座のN-ドナー配位子は、遷移金属に配位しない1個または複数のN-ドナー原子を含む、請求項34に記載の燃料電池。
  36. イオン選択性高分子電解質膜は、他のカチオンに対してプロトンを好んで選択するカチオン選択性膜である、請求項1から35のいずれか一項に記載の燃料電池。
  37. 前記カソライトは酸性である、請求項36に記載の燃料電池。
  38. 前記イオン選択性高分子電解質膜はアニオン選択性膜である、請求項1から35のいずれか一項に記載の燃料電池。
  39. カソライトはアルカリ性である、請求項38に記載の燃料電池。
  40. 前記イオン選択性高分子電解質膜は二層膜である、請求項1から35のいずれか一項に記載の燃料電池。
  41. 前記レドックスメディエーターは修飾されたフェロセン種を含む、請求項1から40のいずれか一項に記載の燃料電池。
  42. 前記カソライトはレドックスメディエーターおよびレドックス触媒を含み、多座のN-ドナー配位子錯体を前記レドックスメディエーターとしておよび/または前記レドックス触媒としてカソライトに備える、請求項1から41のいずれか一項に記載の燃料電池において使用するためのカソライト。
  43. 以下の工程によってプロトン交換膜燃料電池を動作させる方法:
    a) プロトン交換膜と隣接した位置にあるアノードでH+イオンを形成する工程;
    b) 酸化状態のレドックスメディエーターおよび還元状態のレドックス触媒と一緒に、プロトン交換膜の反対側に隣接した位置にあるカソードに、請求項42に記載のカソライトを供給する工程;および
    c) 電荷の平衡を保つために、H+イオンが膜を通ると同時に、メディエーターをカソードと接触して還元させる工程。
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