JP2011505865A - 脂質アシルトランスフェラーゼを用いる食用油精製のためのプロセス - Google Patents

脂質アシルトランスフェラーゼを用いる食用油精製のためのプロセス Download PDF

Info

Publication number
JP2011505865A
JP2011505865A JP2010538882A JP2010538882A JP2011505865A JP 2011505865 A JP2011505865 A JP 2011505865A JP 2010538882 A JP2010538882 A JP 2010538882A JP 2010538882 A JP2010538882 A JP 2010538882A JP 2011505865 A JP2011505865 A JP 2011505865A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
oil
lipid acyltransferase
enzyme
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010538882A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5509094B2 (ja
Inventor
ヨルン ボルク ソエ,
アン ビクトリア ブラウン,
Original Assignee
ダニスコ エイ/エス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from GB0725035A external-priority patent/GB0725035D0/en
Priority claimed from GB0809177A external-priority patent/GB0809177D0/en
Application filed by ダニスコ エイ/エス filed Critical ダニスコ エイ/エス
Publication of JP2011505865A publication Critical patent/JP2011505865A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5509094B2 publication Critical patent/JP5509094B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/64Fats; Fatty oils; Ester-type waxes; Higher fatty acids, i.e. having at least seven carbon atoms in an unbroken chain bound to a carboxyl group; Oxidised oils or fats
    • C12P7/6436Fatty acid esters
    • C12P7/6445Glycerides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11BPRODUCING, e.g. BY PRESSING RAW MATERIALS OR BY EXTRACTION FROM WASTE MATERIALS, REFINING OR PRESERVING FATS, FATTY SUBSTANCES, e.g. LANOLIN, FATTY OILS OR WAXES; ESSENTIAL OILS; PERFUMES
    • C11B3/00Refining fats or fatty oils
    • C11B3/003Refining fats or fatty oils by enzymes or microorganisms, living or dead
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/64Fats; Fatty oils; Ester-type waxes; Higher fatty acids, i.e. having at least seven carbon atoms in an unbroken chain bound to a carboxyl group; Oxidised oils or fats
    • C12P7/6436Fatty acid esters
    • C12P7/6445Glycerides
    • C12P7/6458Glycerides by transesterification, e.g. interesterification, ester interchange, alcoholysis or acidolysis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y203/00Acyltransferases (2.3)
    • C12Y203/01Acyltransferases (2.3) transferring groups other than amino-acyl groups (2.3.1)
    • C12Y203/01043Phosphatidylcholine-sterol O-acyltransferase (2.3.1.43), i.e. lecithin-cholesterol acyltransferase or LCAT
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y301/00Hydrolases acting on ester bonds (3.1)
    • C12Y301/04Phosphoric diester hydrolases (3.1.4)
    • C12Y301/04003Phospholipase C (3.1.4.3)

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Abstract

a)約0.1〜5%w/wの水を食用油(好ましくは、粗製食用油)および脂質アシルトランスフェラーゼと混合する工程と、b)約45〜約90℃で約10分間〜180分間、前記混合物を撹拌する工程と、c)油相とガム相を分離する工程とを含む、食用油(好ましくは、粗製食用油)を水脱ガムするプロセス。一実施形態において、脂質アシルトランスフェラーゼは、好ましくは、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせて用いられる。脂質アシルトランスフェラーゼを用いる脱ガム油のガム相を改変するためのプロセスもまた本明細書に教示される。

Description

(関連する出願への参照)
以下の関連する出願を参照する:US2002−0009518、US2004−0091574、国際公開第2004/064537号、国際公開第2004/064987号、国際公開第2005/066347号、国際公開第2005/066351号、2006年2月2日に出願された米国特許出願第60/764,430号、国際公開第2006/008508号、国際特許出願第PCT/IB2007/000558号および米国特許出願第11/671,953号。これらの出願の各々およびこれらの出願の各々において引用された文献の各々(「出願引用文献」)、ならびに該出願引用文献において参照または引用された各文献は、これらの出願の文中または実行の間のいずれかにおける、ならびにそのような実行の間に進んだ特許性のサポートにおける議論は、参考により本明細書中に援用される。種々の文献がまた、本文中で引用される(「明細書引用文献」)。明細書引用文献のそれぞれ、および明細書引用文献中で引用または参照された各文献は、参考により本明細書中に援用される。
本発明は、脂質アシルトランスフェラーゼを用いる食用油(好ましくは、植物油)精製プロセスに関する。本発明はさらに、脂質アシルトランスフェラーゼを用いる、食用油(好ましくは、粗製食用油)(例えば、植物油)および/または食用油(好ましくは、植物油)のガム相を処理するプロセスに関する。
脂質アシルトランスフェラーゼは、食品用途において有利であることは公知である。脂質アシルトランスフェラーゼは、食材中にかなりのアシルトランスフェラーゼ活性を有することが見出されている。この活性は、食材を調製する方法において驚くべき有益な適用をもつ。
例えば、特許文献1は、脂質アシルトランスフェラーゼの使用による乳化剤のインサイチュー生成のための方法およびそれに関連する利点を開示する。
国際特許出願第PCT/IB2001/000558号は、(異種性)宿主細胞における脂質アシルトランスフェラーゼの発現を教示し、参照により本明細書に組み入れられている。
食用油精製の目的は、質(例えば、味、香り、および外観)および貯蔵性に影響する望ましくない不純物を除去することである。
遊離脂肪酸、金属イオン、有色化合物、臭気、ガムなど、幅広い種類のこれらの不純物のために、一連の化学的および物理的プロセスが、通常、精製のために用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
伝統的には、物理的脱ガムプロセスおよび化学的脱ガムプロセスである2つのプロセスが、油の脱ガムのために用いられている。
いわゆる化学的精製において、ほとんど全ての遊離脂肪酸含有量が、大過剰量のNaOHでの最初の処理によって除去される。また、リン脂質含有量は、典型的には10ppm未満のリンレベルまで減少する。油は続いて、脱色および脱臭される。
いわゆる物理的精製は、一般的に、水脱ガム段階、続いて、酸脱ガム、中和、脱色、遊離脂肪酸を除去するための水蒸気蒸留、および脱臭からなる。
物理的精製中に酸脱ガムを用いる代わりに、酵素的脱ガムを用いるように発展した。
酵素的脱ガムプロセスは、膵臓ホスホリパーゼの使用に基づいて開発された。この酵素はユダヤ教の掟にかなっていなかったため、ホスホリパーゼは、結局、微生物のホスホリパーゼA1(Lecitase UltraTM、Novozymes、Denmark)(非特許文献2)によって置き換えられた。
酵素的プロセスは、費用節約、より高い収率、およびより環境に優しいプロセスを含む、化学的または物理的脱ガムプロセスに対していくつかの優位性を有する。
酵素的油脱ガムプロセスは、既に水脱ガムされた油へのホスホリパーゼの添加に基づいた。
特許文献2において、食用油の酵素的脱ガム用に、脂質アシルトランスフェラーゼが教示された。特許文献2は、水脱ガムされた油への脂質アシルトランスフェラーゼの添加、または油が水脱ガムプロセスを受ける必要のない、粗製油への脂質アシルトランスフェラーゼの添加を教示する。
「水脱ガムされた油」は、典型的には、1〜2%w/wの熱い軟水を温かい(70〜90℃)粗製油と混合することを含む通常の「水脱ガムプロセス」によって獲得することができる(AOCS脂肪および油の処理入門(AOCS Introduction to the Processing of Fats and Oils)、表8、脱ガムプロセス(Degumming Processes)、http://www.aocs.org/meetings/education/mod3sample.pdf)。粗製油に加えられる水の量が、典型的には、粗製油中のリン脂質の量とほぼ等しいことは経験則である。通常の処理時間は、30〜60分間である。水脱ガム段階は、水和した場合、油中で不溶性になるホスファチドおよび粘着性ガムを除去する。水和ホスファチドおよび水和ガムは、沈殿、濾過、または遠心分離によって油から分離することができ、遠心分離の実施がより普及している。前記の水脱ガムプロセスにおける本質的な目的は、水和ホスファチドを油から分離することである。上記の熱水の油への混合は、当技術分野における標準的な水脱ガム手順に従う水溶液の油への混合として、本明細書では広く理解されるべきである。
通常の水脱ガムプロセスにおいて、ホスファチドの主要部分は、重いガム相において除去される。水脱ガムプロセスの終わりに、油相はガム相から分離される。ガム相はさらに商品へと加工することができるが、それは、本質的に油精製の副産物としてみなされる。商業的に重要であるのは、油相である。しかしながら、ホスファチドは、良い乳化剤であり得るため、水脱ガム中のガム相において、いくらかの油が必然的に失われる。これは、水脱ガム後の油相における油の収率の低下をもたらす。
油価格の高騰およびバイオディーゼルのための植物油の必要性の増大で、高い油収率のために食用油の処理を最適化することが重要である。
国際公開第2004/064537号 国際公開第2006/008508号
Bailey’s Industrial Oil and Fat Products、2006年、John Wiley & Sons、第6版 Oil Mill Gazetteer、111巻、2005年7月、2〜4頁
本発明の態様は、特許請求の範囲および以下の解説に提示されている。
驚くべきことに、水脱ガムプロセスを実行する間または前に、1つまたは複数の脂質アシルトランスフェラーゼを粗製食用油に加えることによって、油相中の油の収率を有意に増加させ得ることが見出された。換言すれば、油のガム相への損失を有意に低下させることができる。
加えて、驚くべきことに、水脱ガムプロセスを実行する間または前に、1つまたは複数の脂質アシルトランスフェラーゼを粗製食用油に加えることによって、得られたガム相がはるかに粘性が低いことが見出された。これは、より有利な遠心分離パラメーターを可能にすることができる。
驚くべきことに、水脱ガムプロセスを実行する間または前に、1つまたは複数の脂質アシルトランスフェラーゼを粗製食用油に加えることによって、このプロセスから得られたガム相は、インキュベートまたは貯蔵することができ、ガム相中のリン脂質の(残存する活性脂質アシルトランスフェラーゼによる)さらなる加水分解を観察し得ることもまた見出された。その後、本発明者らは、ガム相において遊離脂肪酸(酸性油)および残存するトリグリセリドを含む油性相を単離することが可能であることを見出している。この酸性油は、食事に加えられる通常のガム相より高い価格で販売することができる。加えて、驚くべきことに、(酸性油の分離後の)残っている固相は、通常のガムよりリンレベルが高く、したがって、有機リンの供給源として用いることができることを見出している。
驚くべきことに、1つまたは複数の脂質アシルトランスフェラーゼおよび1つまたは複数のホスホリパーゼC(PLC)の酵素の組合せが、食用油(例えば、植物油)の脱ガムに用いられた場合、相乗効果を生じることもまた見出している。
Asn80Aspの変異(特に、アミノ酸80は成熟配列中にある)を有する変異体Aeromonas salmonicida成熟脂質アシルトランスフェラーゼ(GCAT)のアミノ酸配列(配列番号16)を示す図である。 Aeromonas hydrophila(ATCC#7965)由来の脂質アシルトランスフェラーゼアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。 データベースバージョン6からのpfam00657コンセンサス配列(配列番号2)を示す図である。 生物Aeromonas hydrophila(P10480;GI:121051)から獲得したアミノ酸配列(配列番号3)を示す図である。 生物Aeromonas salmonicida(AAG098404;GI:9964017)から獲得したアミノ酸配列(配列番号4)を示す図である。 生物Streptomyces coelicolor A3(2)(Genbankアクセション番号NP_631558)から獲得したアミノ酸配列(配列番号5)を示す図である。 生物Streptomyces coelicolor A3(2)(Genbankアクセション番号:CAC42140)から獲得したアミノ酸配列(配列番号6)を示す図である。 生物Saccharomyces cerevisiae(Genbankアクセション番号P41734)から獲得したアミノ酸配列(配列番号7)を示す図である。 生物Ralstonia(Genbankアクセション番号:AL646052)から獲得したアミノ酸配列(配列番号8)を示す図である。 配列番号9を示す図である。仮説上のタンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]を保存するScoe1 NCBIタンパク質アクセションコードCAB39707.1 GI:4539178。 配列番号10として表されるアミノ酸を示す図である。仮説上のタンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]を保存するScoe2 NCBIタンパク質アクセションコードCAC01477.1 GI:9716139。 アミノ酸配列(配列番号11)Scoe3 NCBIタンパク質アクセションコードCAB88833.1 GI:7635996 推定上の分泌タンパク質を示す図である。[Streptomyces coelicolor A3(2)] アミノ酸配列(配列番号12)Scoe4 NCBIタンパク質アクセションコードCAB89450.1 GI:7672261 推定上の分泌タンパク質を示す図である。[Streptomyces coelicolor A3(2)] アミノ酸配列(配列番号13)Scoe5 NCBIタンパク質アクセションコードCAB62724.1 GI:6562793 推定上のリポタンパク質を示す図である。[Streptomyces coelicolor A3(2)] アミノ酸配列(配列番号14)Srim1 NCBIタンパク質アクセションコードAAK84028.1 GI:15082088。GDSL−リパーゼを示す図である。[Streptomyces rimosus] Aeromonas salmonicida亜種Salmonicida(ATCC#14174)由来の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号15)を示す図である。 配列番号19を示す図である。仮説上のタンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]を保存するScoe1 NCBIタンパク質アクセションコードCAB39707.1 GI:4539178。 Aeromonas hydrophila脂質アシルトランスフェラーゼ遺伝子の変異誘発のために使用される融合構築物のアミノ酸配列(配列番号25)を示す図である。下線付きのアミノ酸はキシラナーゼシグナルペプチドである。 Streptomyces由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド配列(配列番号26)を示す図である。 Thermobifida由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド配列(配列番号27)を示す図である。 Thermobifida由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド配列(配列番号28)を示す図である。 Corynebacterium efficiens由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素GDSx 300アミノ酸のポリペプチド(配列番号29)を示す図である。 Novosphingobium aromaticivorans由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素GDSx 284アミノ酸のポリペプチド(配列番号30)を示す図である。 Streptomyces coelicolor由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素GDSx 269aaのポリペプチド(配列番号31)を示す図である。 Streptomyces avermitilis由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素\GDSx 269アミノ酸のポリペプチド(配列番号32)を示す図である。 Streptomyces由来の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素のポリペプチド(配列番号33)を示す図である。 生物Aeromonas hydrophila(P10480;GI:121051)から獲得したアミノ酸配列(配列番号34)を示す図である(特に、これは成熟配列である)。 変異体Aeromonas salmonicida成熟脂質アシルトランスフェラーゼ(GCAT)のアミノ酸配列(配列番号35)を示す図である(特に、これは成熟配列である)。 Streptomyces thermosacchari由来のヌクレオチド配列(配列番号36)を示す図である。 Streptomyces thermosacchari由来のアミノ酸配列(配列番号37)を示す図である。 Thermobifida fusca/GDSx 548アミノ酸由来のアミノ酸配列(配列番号38)を示す図である。 Thermobifida fusca由来のヌクレオチド配列(配列番号39)を示す図である。 Thermobifida fusca/GDSx由来のアミノ酸配列(配列番号40)を示す図である。 Corynebacterium efficiens/GDSx 300アミノ酸由来のアミノ酸配列(配列番号41)を示す図である。 Corynebacterium efficiens由来のヌクレオチド配列(配列番号42)を示す図である。 S.coelicolor/GDSx 268アミノ酸由来のアミノ酸配列(配列番号43)を示す図である。 S.coelicolor由来のヌクレオチド配列(配列番号44)を示す図である。 S.avermitilis由来のアミノ酸配列(配列番号45)を示す図である。 S.avermitilis由来のヌクレオチド配列(配列番号46)を示す図である。 Thermobifida fusca/GDSx由来のアミノ酸配列(配列番号47)を示す図である。 Thermobifida fusca/GDSx由来のヌクレオチド配列(配列番号48)を示す図である。 GDSxモチーフ(L131およびS.avermitilisおよびT.fuscaにおいてGDSY)、GANDYボックス(GGNDAまたはGGNDLのいずれかである)およびHPTブロック(保存された触媒ヒスチジンと考えられる)の保存を表す、S.avermitilisおよびT.fusca由来のL131および相同体のアラインメントを示す図である。これら3種の保存されたブロックを強調する。 Candida parapsilosis由来の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列である配列番号17を示す図である。 Candida parapsilosis由来の脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列である配列番号18を示す図である。 活性部位にグリセロールを有する1IVN.PDB結晶構造のリボン表示を示す図である。図はDeep View Swiss−PDB viewerを使用して作成された。 1IVN.PDB結晶構造を示す図である。Deep View Swiss−PDB viewerを使用した側面図、活性部位にグリセロールを有する、活性部位グリセロールの10Å内の残基を黒色にする。 1IVN.PDB結晶構造を示す図である。Deep View Swiss−PDB viewerを使用した上面図、活性部位にグリセロールを有する、活性部位グリセロールの10Å内の残基を黒色にする。 アラインメント1を示す図である。 アラインメント2を示す図である。 P10480(P10480はA.hydrophila酵素についてのデータベース配列である)に対する1IVNのアラインメントを示す図であり、このアラインメントはPFAMデータベースから獲得して、モデル構築プロセスにおいて使用された。 P10480(P1048はA.hydrophila酵素についてのデータベース配列である)に対する1IVNのアラインメントを示す図であり、このアラインメントはPFAMデータベースから獲得して、モデル構築プロセスで使用された。 P10480がAeromonas hydrophilaについてのデータベース配列であるアラインメントを示す図である。この配列をモデル構築および部位選択のために使用する。全長タンパク質(配列番号25)が示され、成熟タンパク質(配列番号34と同じ)は残基19から始まることを記す。A.salはAeromonas salmonicida(配列番号4)GDSXリパーゼであり、A.hydはAeromonas hydrophila(配列番号34)GDSXリパーゼである。コンセンサス配列は、列挙した配列間で異なっている位置にを含む。 実施例1において使用した遺伝子構築物を示す図である。 実施例1において使用したコドン最適化遺伝子構築物(no.052907)を示す図である。 LAT−KLM3’前駆体遺伝子を含有するXhoI挿入物の配列を示す図であり、−35および−10ボックスに下線をつける。 1%トリブチリンアガー上、37℃で48時間増殖後のBML780−KLM3’CAP50(配列番号16を含む−上のコロニー)およびBML780(ホスト株のみ−下のコロニー)を示す図である。 シグナル配列(プレLAT−位置1〜87)を含むAeromonas salmonicida由来のヌクレオチド配列(配列番号49)を示す図である。 生物Aeromonas hydrophilaから獲得した本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号50)を示す図である。 生物Aeromonas salmonicidaから獲得した本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号51)を示す図である。 生物Streptomyces coelicolor A3(2)(Genbankアクセション番号NC_003888.1:8327480..8328367)から獲得した本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号52)を示す図である。 生物Streptomyces coelicolor A3(2)(Genbankアクセション番号AL939131.1:2655480..266367)から獲得した本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号53)を示す図である。 生物Saccharomyces cerevisiae(Genbankアクセション番号Z75034)から獲得した本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号54)を示す図である。 生物Ralstoniaから獲得した本発明による脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号55)を示す図である。 仮説上のタンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]を保存するNCBIタンパク質アクセションコードCAB39707.1 GI:4539178をコードする配列番号56として示されるヌクレオチド配列を示す図である。 仮説上のタンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]を保存するScoe2 NCBIタンパク質アクセションコードCAC01477.1 GI:9716139をコードする配列番号57として示されるヌクレオチド配列を示す図である。 Scoe3 NCBIタンパク質アクセションコードCAB88833.1 GI:7635996推定上の分泌タンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]をコードする配列番号58として示されるヌクレオチド配列を示す図である。 Scoe4 NCBIタンパク質アクセションコードCAB89450.1 GI:7672261推定上の分泌タンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]をコードする配列番号59として示されるヌクレオチド配列を示す図である。 Scoe5 NCBIタンパク質アクセションコードCAB62724.1 GI:6562793推定上のリポタンパク質[Streptomyces coelicolor A3(2)]をコードする配列番号60として示されるヌクレオチド配列を示す図である。 Srim1 NCBIタンパク質アクセションコードAAK84028.1 GI:15082088 GDSL−リパーゼ[Streptomyces rimosus]をコードする配列番号61として示されるヌクレオチド配列を示す図である。 Aeromonas hydrophila(ATCC#7965)由来の脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号62)を示す図である。 Aeromonas salmonicida亜種、Salmonicida(ATCC#14174)由来の脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号63)を示す図である。 キシラナーゼシグナルペプチドを含有するAeromonas hydrophila由来の酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号24)を示す図である。 本明細書において配列番号16としておよび翻訳後修飾を受けた後は配列番号68として示すAsn80Aspの変異(特にアミノ酸80は成熟配列中にある)を有する変異体Aeromonas salmonicida成熟脂質アシルトランスフェラーゼ(GCAT)のアミノ酸配列(配列番号68のアミノ酸残基235および236は翻訳後修飾の後に共有結合していない)を示す図である。形成された2つのペプチドは、1つまたは複数のS−S架橋によって保持される。配列番号68中のアミノ酸236は本明細書において示す配列番号16中のアミノ酸残基番号274に相当する。 粗製食用油を水脱ガム/精製するための従来プロセスを示す図である。水脱ガムの最後に油相およびガム相が分離される。この後に油相およびガム相は従来の/公知の方法によってさらに加工され得る。 酵素で粗製食用油を水脱ガム/精製するための本発明によるプロセスを示す図である。油相とガム相とが分離される際に獲得される油相は、比較するプロセス(すなわち図74aに示すプロセス、すなわち酵素を加えない水脱ガム)の油相と比較してより高い収率を有する。油相および/またはガム相は、任意選択でさらなる従来の加工法などでさらに加工され得る。 本発明による実験室規模の水脱ガムプロセスの工程系統図である。 水脱ガムに続くガム相および油相の分析についての図解である(すなわち、図74aまたはbのステップ1)。 本発明に従った粗製ダイズ油の水脱ガム後3時間でのガム相を示すグラフである。 粗製ダイズ油の酵素を使うおよび使わない水脱ガム後30分間でのガム%を示すグラフである。 粗製ダイズ油の水脱ガム後のガムの量についての水の量(1.5、2または2.5%)の効果を示すグラフである。 酵素を使うおよび使わない粗製ダイズ油の水脱ガム後ガムの量についての、様々な量の水(1.5、2または2.5%)での脱ガムでの酵素を使うおよび使わない効果を示すグラフである。 異なる投与量の酵素での粗製ダイズ油の水脱ガム後の油相中のリンのppmを示すグラフである。カラム1は酵素を使わない対照である。 異なる投与量の酵素での粗製ダイズ油の水脱ガム後のガム相中のトリグリセリド%を示すグラフである。カラム1は酵素を使わない対照である。 異なる投与量の酵素での粗製ダイズ油の水脱ガム後のガム相中の相対的PA%を示すグラフである。カラム1は酵素を使わない対照である。 異なる投与量の酵素での粗製ダイズ油の水脱ガム後のガム相中の相対的PE%を示すグラフである。カラム1は酵素を使わない対照である。 対照と比較して酵素的脱ガムにおいて獲得された油の収率(%)の増加を示すグラフである。油は3分間様々な相対遠心力で遠心分離される。 異なる時間(棒の中に示す分)で遠心分離された油から獲得されたガムの含有量(%)およびガム中のトリグリセリドの量を示すグラフであり、異なる相対遠心力が示されている。バッチ3:対照 55℃、4:酵素(KLM3’)使用 55℃。 ずり速度の関数としての粘性を示すグラフである。測定値はバッチ1:対照 70℃およびバッチ2:酵素使用 70℃からのガムによる。 ガムの量(酵素的試料)を減算したガムの量(対照)から算出した油の収率(%)を示すグラフである。 ガム相のTLC分析からの結果を示すグラフである。NaOHの量を漸増させた(0、0.1、0.2、0.5、1、1.5および1.9ml 4%溶液)脱ガムから獲得されたガム中のトリグリセリド含有量(%)。 GC結果を示すグラフである。NaOHのml数を増加させて脱ガムした、油中のFFA、フィトステロールおよびフィトステロールエステルの含有量(%)、試料1:対照(酵素およびNaOHを使わない);試料2〜8:KLM3’(0.1TIPU−k/g)および漸増する量のNaOH(0、0.1、0.2、0.5、1、1.5および1.9ml 4%溶液)での酵素的試料。 ガム相のTLC分析からの結果を示すグラフである。ガム中のリン脂質(PA、PE、PCおよびPI)の相対的分解。試料1:対照(酵素およびNaOHを使わない);試料2〜7:KLM3’(0.1TIPU−K/g)および漸増するml数のNaOHでの酵素的試料。 従来の水脱ガムおよび本発明による酵素的水脱ガム由来のガムの顕微鏡分析を示す図である(写真は、拡大率200および400倍、25℃)。 従来法および酵素的脱ガム由来のガム相についてのX線分析を示すグラフである。 沈降漏斗(3日目)を示す図である。左:対照、右:酵素処理油 従来および酵素的水脱ガム由来のガムについての顕微鏡分析を示す図である。 対照と比較して酵素的脱ガムにおいて獲得された油の収率の増加を示すグラフである。 1、1.5および2%水で実施した対照および(本発明による)酵素的水脱ガム試料における油の損失を示すグラフである。油損失の算出:(%ガム/ガム中の%トリグリセリド)×100% 対照(酵素を含まない)と比較した酵素的(KLM3’)ガム試料中のホスファチジン酸およびホスファチジルエタノールアミンの相対的分解を示すグラフである。 様々な量の水(1.25、1.5、1.75および2%)での脱ガムから獲得された、酵素的ガム相の粘性測定を示すグラフである。 実施例9の表1に示す、KLM3’を使い、かつ受容体の添加を伴う粗製ダイズの水脱ガム由来のガム相を示すグラフである。 HPTLCで分析したガム相におけるリン脂質の相対量を示すグラフである。 粗製ダイズ油の水脱ガム由来の油中のリンのICP分析を示すグラフである(実施例9の表1)。 実施例13、試料1〜9の30分間インキュベーション後のTLC(ランニング緩衝液1)を示す図である。 実施例13、試料1〜9の240分間インキュベーション後のTLC(ランニング緩衝液1)を示す図である。 実施例13、試料1〜9の30分間インキュベーション後のTLC(ランニング緩衝液6)を示す図である。PE=ホスファチジルエタノールアミン、PA=ホスファチジン酸、PI=ホスファチジルイノシトール、およびPC=ホスファチジルコリン 実施例13、試料1〜9の240分間インキュベーション後のTLC(ランニング緩衝液6)を示す図である。PE=ホスファチジルエタノールアミン、PA=ホスファチジン酸、PI=ホスファチジルイノシトール、およびPC=ホスファチジルコリン 実施例13、粗製油の脂質アシルトランスフェラーゼ(KLM3’)およびホスホリパーゼC(PLC)での酵素処理によるリン脂質の相対的分解を示すグラフである。反応時間240分間。 実施例13、リン脂質ジグリセリドアシルトランスフェラーゼ反応を示す図である。 実施例13、粗製ダイズ油の脱ガムにおけるジグリセリド(DAG)レベルについてのホスホリパーゼCとKLM3’との相互作用を示すグラフである。 実施例13、TLC分析を示す図である。 トリグリセリドについての酵素添加の効果を示すグラフである。 トリグリセリドについての反応時間の効果を示すグラフである。 実施例13に詳述するアシルトランスフェラーゼと30および90分間インキュベートしたジグリセリド/PC基質のTLC分析を示す図である。 実施例13に詳述するアシルトランスフェラーゼと30および90分間インキュベートしたジグリセリド/PC基質のTLC分析を示す図である。 ジグリセリド/PC 80/20の基質中でのトリグリセリド形成についてのアシルトランスフェラーゼ酵素の効果を示すグラフである。 ジグリセリド/PC 80/20の基質中でのトリグリセリド形成についてのインキュベーション時間の効果を示すグラフである。 酵素的水脱ガムについての工程系統図を示す図である。 実施例15に詳述する55℃での水脱ガムおよび0d、1dまたは7dのインキュベーションに続くガム相試料のTLC分析を示す図である。 実施例15に詳述する45℃での水脱ガムおよび0d、1dまたは7dのインキュベーションに続くガム相試料のTLC分析を示す図である。
本発明の詳細な態様
本発明の第1の態様によれば、a)約0.1〜5%w/wの水を食用油(好ましくは、粗製食用油)および脂質アシルトランスフェラーゼと混合する段階と、b)約45℃〜約90℃で約10分間〜180分間、前記混合物を撹拌する段階と、c)油相とガム相を分離する段階とを含む、食用油(好ましくは、粗製食用油)を水脱ガムするプロセスが提供される。
本発明の第2の態様によれば、水脱ガムプロセスの完了後に油相中の油の収率を増加させるための食用油の水脱ガムの間(好ましくは、粗製食用油の水脱ガムの間)の脂質アシルトランスフェラーゼの使用が提供される。
本発明の第3の態様によれば、水脱ガムプロセスの完了後にガム相の粘性を減少させるための食用油の水脱ガムの間(好ましくは、粗製食用油の水脱ガムの間)の脂質アシルトランスフェラーゼの使用が提供される。
収率の増加および/または粘性の減少は、脂質アシルトランスフェラーゼの使用なしで脱ガムされた(水脱ガムされたか、または酵素的に水脱ガムされたかのいずれか)比較可能な油の油相および/またはガム相と比較した場合である。
第4の態様によれば、a)約0.1〜5%w/wの水を食用油(好ましくは、粗製食用油)および脂質アシルトランスフェラーゼと混合する段階と、b)約45℃〜約90℃で約10分間〜180分間、前記混合物を撹拌する段階と、c)油相とガム相を分離する段階と、d)最低約2時間と最高7日間の間(適切には、約1〜2日間まで)、活性脂質アシルトランスフェラーゼ酵素を含むガム相をインキュベートする段階と、e)ガム相から油を(例えば、遠心分離によって)分離する段階とを含む、食用油(好ましくは、粗製食用油)を水脱ガムするプロセスを本発明は提供する。
本発明はさらに、(好ましくは、食用油の脱ガム、例えば水脱ガムもしくは酵素的脱ガムまたはそれらの組合せから獲得可能である、または獲得された)ガム相を処理し(ガム相を、最低約2時間と最高7日間の間(適切には、約1〜2日間まで)、(単独の、または1つもしくは複数のホスホリパーゼC酵素と組み合わせた)1つまたは複数の(活性)脂質アシルトランスフェラーゼ酵素とインキュベートする)、ガム相から油を(例えば、遠心分離によって)分離する方法を提供する。
本発明はなおさらに、油の収率を増加させるための、および/または通常のガムよりリンレベルが向上している(酸性油の分離後の)固相を生成するための、(食用油を水脱ガムすること、酵素的脱ガムすること、またはそれらの組合せなどの脱ガムすることから獲得可能な、または獲得された)ガム相のインキュベーションにおける(単独の、またはホスホリパーゼCと組み合わせた)脂質アシルトランスフェラーゼの使用を提供する。
酸性油が脂肪酸製造のために用いることができるため、(1つまたは複数の)酵素の使用は、ガムと比較して、酸性油の価値を増加させる。脂肪酸は、別なふうに食事に加えられるガムより高い価値を有する。
向上および/または増加は、(単独の、またはホスホリパーゼCと組み合わせた)脂質アシルトランスフェラーゼによって処理されていないガム相と比較した場合である。
適切には、ガム相中の1つまたは複数の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、食用油の酵素的脱ガム後にガム相に移行した可能性がある残存活性酵素を有してもよい。あるいは、ガム相中の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、加えられた脂質アシルトランスフェラーゼ(その酵素は、ガム相のインキュベーションの始めに、または間に加えてもよい)であってもよい。
特に、第4の態様におけるプロセス(およびガム相の他の処理)の終わりにおける油は、「酸性油」である。この酸性油は、食事に加えられる通常のガム相より高い価格で販売することができる。(酸性油の分離後の)残っているガム相は、固相と呼ばれることがある。驚くべきことに、(酸性油の分離後の)残っている固相は、通常のガムより高いリンレベルを有することが見出されており、したがって、有機リンの供給源として用いることができる。
適切には、ガム相は、約30〜約70℃、好ましくは約40〜約60℃、好ましくは約40〜約50℃、好ましくは約40〜約45℃で(単独の、または1つもしくは複数のホスホリパーゼC酵素とのいずれかの)脂質アシルトランスフェラーゼとインキュベートすることができる。
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼでの粗製油の酵素的水脱ガムから獲得されたガム相は、約30〜約70℃、好ましくは約40〜約60℃、好ましくは約40〜約50℃、好ましくは約40〜約45℃でインキュベートすることができる。
適切には、脂質アシルトランスフェラーゼは、酵素命名法分類で分類されたものである(E.C.2.3.1.43)。
一実施形態において、好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼは、ホスホリパーゼC(E.C.3.1.4.3)と組み合わせて用いられる。
一つの好ましい実施形態において、脂質アシルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.43)は、ホスホリパーゼC(E.C.3.1.4.3)と組み合わせて用いられる。
したがって、本発明の一態様によれば、a)約0.1〜5%w/wの水を食用油(好ましくは、粗製食用油)ならびに脂質アシルトランスフェラーゼおよびホスホリパーゼCの組合せと混合する段階と、b)約45℃〜約90℃で約10分間〜180分間、前記混合物を撹拌する段階と、c)油相とガム相を分離する段階とを含む、食用油(好ましくは、粗製食用油)を水脱ガムするプロセスが提供される。
理論に縛られるつもりはないが、驚くべきことに、脂質アシルトランスフェラーゼは、トリグリセリドを生成するための受容体分子として(ホスホリパーゼCの反応によって生成した)ジグリセリドを用い得ることが見出されている。したがって、脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる場合、これらの酵素間の相互作用が、いずれかの酵素のみを含む比較可能な油または酵素を含まない比較可能な油と比較して、両方の酵素を含む油においてトリグリセリド量の相乗的な増加を生じる。有利には、脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる場合、これらの酵素間の相互作用は、いずれかの酵素のみを含む比較可能な油または酵素を含まない比較可能な油と比較して、両方の酵素を含む油においてジグリセリド量の相乗的な減少を生じる。脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる場合、これらの酵素間の相互作用は、いずれかの酵素のみを含む比較可能な油または酵素を含まない比較可能な油と比較して、両方の酵素を含む油において油収率の相乗的な増加を生じる。
ジグリセリドが油の「発煙点」にマイナスの影響を及ぼし得、および/またはより飽和した脂肪供給源の結晶化性質にマイナスの影響を及ぼし得るという理由のため、(ホスホリパーゼCが単独で用いられた場合に起こり得る)油におけるジグリセリドの蓄積が、油にとって有害であり得るので、これらの酵素の組合せの使用は、ホスホリパーゼC単独の使用に対して有意な優位性を有する。
したがって、本発明において、脂質アシルトランスフェラーゼの使用(特に、ホスホリパーゼCと組み合わせた場合)のもう一つの利点は、脂質アシルトランスフェラーゼなしでの比較可能な油と比較して、および/または特に、ホスホリパーゼC単独で処理された比較可能な油と比較して、油におけるジグリセリド量を低下させ得ることである。
本発明の別の態様において、水脱ガムプロセスの完了後に油相において、油の収率を増加させるための、および/またはトリグリセリドレベルを増加させるための、ならびに/または水脱ガムプロセスの完了後に油相においてジグリセリドレベルを低下させるための、食用油の水脱ガムの間(好ましくは、粗製食用油の水脱ガムの間)のホスホリパーゼCと組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼの使用が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、水脱ガムプロセスの完了後にガム相の粘性を減少させるための、食用油の水脱ガムの間(好ましくは、粗製食用油の水脱ガムの間)のホスホリパーゼCと組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼの使用が提供される。
これらの増加および/または低下は、ホスホリパーゼCと組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼで処理されていない比較可能な脱ガムされた食用油と比較した場合である。
一般的に、本明細書で論じられた増加および/または低下は、(単独かまたはホスホリパーゼCと組み合わせてのいずれかの)脂質アシルトランスフェラーゼで処理されていない比較可能なプロセスまたは比較可能な油と比較する場合である。
別の態様によれば、本発明は、a)約0.1〜5%w/wの水を食用油(好ましくは、粗製食用油)およびホスホリパーゼCと組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼと混合する段階と、b)約45℃〜約90℃で約10分間〜180分間、前記混合物を撹拌する段階と、c)油相とガム相を分離する段階と、d)最低約2時間と最高7日間の間(適切には、約1〜2日間まで)、活性脂質アシルトランスフェラーゼを含むガム相をインキュベートする段階と、e)ガム相から油を(例えば、遠心分離によって)分離する段階とを含む、食用油(好ましくは、粗製食用油)を水脱ガムするプロセスを提供する。
リン脂質分解酵素(好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ)がホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる場合、ホスホリパーゼCを加えるのは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素の添加の前でも、添加と同時でも、添加の後でもよい。
一実施形態において、好ましくは、ホスホリパーゼCは、脂質アシルトランスフェラーゼの前に加えられる。
驚くべきことに、脂質アシルトランスフェラーゼおよびホスホリパーゼCの組合せを用いることは、水脱ガムプロセスの完了後、油相において油の収率を有意に増加させることが見出されている。
理論に縛られるつもりはないが、ホスホリパーゼCは、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン)をジグリセリド(例えば、1,2−ジアシルグリセロール)およびリン酸部分(例えば、コリンリン酸)へ加水分解し、その後、脂質アシルトランスフェラーゼが、ホスホリパーゼCによって形成されたジグリセリド上へ脂肪酸を転移する−したがって、より多くのトリグリセリドを形成し、油収率を増加させることが想定される。この効果は、油収率への相乗的な(すなわち、好ましくは相加的より多い)増加をもたらす。
一実施形態において、適切には、本発明による食用油を脱ガムする方法および/または使用は、約45〜90℃、好ましくは約45〜約70℃で行い得る。
別の実施形態において、適切には、本発明による食用油プロセスを脱ガムする方法および/または使用は、約44℃より高く、より好ましくは約45℃より高く、より好ましくは約50℃より高くで行い得る。
別の実施形態において、適切には、本発明によるプロセスおよび/または使用は、約60℃未満、好ましくは約65℃未満、好ましくは約70℃未満で行い得る。
一実施形態において、適切には、本発明によるプロセスおよび/または使用は、摂氏約45〜70℃、好ましくは約45〜68℃、より好ましくは約50〜65℃で行い得る。
適切には、油および/または水の温度は、酵素が混合される場合の望ましい反応温度であり得る。
油および/または水は、酵素添加の前および/または添加中に、望ましい温度まで加熱および/または冷却してもよい。したがって、一実施形態において、本発明によるプロセスのさらなる段階は、油および/または水の冷却および/または加熱であり得ることが構想される。
好ましくは、本発明によるプロセスについての水含有量は、約0.1〜4%w/w、より好ましくは約0.1〜3%w/w、より好ましくは約0.5〜3%w/wであり得る。
一実施形態において、本発明によるプロセスについての水含有量は、約1〜3%w/wであり得る。
一実施形態において、本発明によるプロセスについての水含有量は、約3%w/w未満、適切には約2%未満であり得る。
一実施形態において、プロセスについての水含有量は、1%未満であってもよい。水の量を約1%未満まで低下させることは、結果として、水脱ガムプロセスにおいて有意な財政的な有利性を生じることができる。したがって、水の量を約1%未満まで低下させ得ることは、有意な費用削減をもたらすことができる。
適切には、反応時間(すなわち、混合物を撹拌する時間)は、約10分間〜約180分間、好ましくは約15分間〜約180分間、より好ましくは約15分間〜60分間、さらにより好ましくは約15分間〜約35分間であり得る。
一実施形態において、適切には、反応時間は、約30分間〜約180分間、好ましくは約30分間〜約60分間であり得る。
一実施形態において、プロセスは、好ましくは、約pH4.5より高くで、約pH5より高くで、または約pH6より高くで行われる。
好ましくは、プロセスは、約pH4.6〜約pH10.0、より好ましくは約pH5.0〜約pH10.0、より好ましくは約pH6.0〜約pH10.0、より好ましくは約pH5.0〜約pH7.0、より好ましくは約pH5.0〜約pH6.5、およびさらにより好ましくは約pH5.5〜pH6.0で行われる。
一実施形態において、プロセスは、約5.3〜8.3のpHで行ってもよい。
一実施形態において、プロセスは、約6〜6.5、好ましくは約6.3のpHで行ってもよい。
適切には、pHは、本発明の方法および/または使用において中性(約pH5.0〜約pH7.0)であり得る。
好ましくは、酵素処理は、油および/または水のpH調整なしに脱ガムプロセスにおいて起こる。それゆえに、典型的には、pHは、約5.5〜7.5であろう。これは、典型的に酸性pH条件、すなわち、pH4〜5においてのみ高活性であるホスホリパーゼA酵素を用いる先行技術のプロセスに対して有意な優位性を生じる。それゆえに、典型的には、(例えば、ホスホリパーゼA酵素を用いる)先行技術のプロセスにおいて、油のpHは、より酸性条件へ調整しなければならない。
加えて、ホスホリパーゼC酵素との脂質アシルトランスフェラーゼの使用は、ホスホリパーゼC酵素との前記ホスホリパーゼAの使用と比較して、有意な利点を有し、その理由は、脂質アシルトランスフェラーゼに最適なpHが典型的には、ホスホリパーゼC酵素に最適なpHとはるかに良く一致するからである。それゆえに、一般的に、脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼC酵素と組み合わせて用いられる場合、「pH矛盾」はない。これは、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせたホスホリパーゼA酵素の使用と鋭く対照をなす。したがって、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼの使用は、両方の酵素がそれらの最適なpH範囲で、または同時に作用することができるので、有意な向上を提供する。
油相とガム相の分離は、任意の通常の分離方法によって行ってもよい。好ましくは、分離は、遠心分離によって行われる。
(単独か、または好ましくはホスホリパーゼC酵素と組み合わせてのいずれかでの)脂質アシルトランスフェラーゼの使用の一つの有意な利点は、酵素処理が、遠心分離を調節して最終の油中のリンの量を制御することを可能にすることである。理論によって縛られるつもりはないが、これは、油の粘性が、(単独か、または好ましくは、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせてのいずれかでの)脂質アシルトランスフェラーゼで処理されていない油と比較して、有意に低下しているために、達成可能である。これは、先行技術のプロセスに対して有意な進歩である。典型的には、通常の脱ガムプロセスにおいて、遠心分離は、約50ppmの油中のリンのレベルを生じる。実際、食用油中のリンのレベルについての仕様ガイドは、それは200ppm未満であるべきということである。できる限り200ppmレベルに近いリンレベルである油を有することが、現に、最適である。(単独か、または好ましくは、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせてのいずれかでの)脂質アシルトランスフェラーゼの使用は、結果として、約100〜200ppm、好ましくは約170〜190ppm、より好ましくは約180ppmのリンレベルまで遠心分離することができる油を生じる。これらのリンレベルを与えるような遠心分離の調節は、本発明の以前では、非常に困難であり、本発明に関しては、有意な向上を提供する。
適切には、水は、酵素との混合の前または同時に、食用油と混合することができる。あるいは、食用油および酵素は、水との混合前に混合してもよい。
一実施形態において、油、水、および酵素は、同時にまたは実質的に同時に続々と、攪拌機を通って、貯蔵タンクへとポンプで注入してもよい。
適切には、酵素は、プロセスの間および/または終わりに不活性化し得る。
酵素は、油相とガム相の分離の前または後に不活性化してもよい。
適切には、酵素は、75〜85℃、または92℃より高くで10分間、加熱することによって熱不活性化することができる。
一実施形態において、適切には、酵素はガム相において不活性化されない場合がある。したがって、ガム相が収集され、インキュベートされる場合、酵素はさらに、ガム相においてリン脂質を分解する可能性がある。ガム相の延長したインキュベーション後、ガム相からさらにより多くの油を回収するためにさらなる分離を(例えば、遠心分離によって)行ってもよい。これは、油収率をなおさらに増加させることができる。
理論によって縛られるつもりはないが、酵素は、ガム相においてリン脂質を遊離脂肪酸へ分解し、それにしたがって、それまでリン脂質で乳化していたトリアシルグリセリドを遊離させると考えられる。これは、ガム相の粘性を低下させ、トリアシルグリセリドおよび遊離脂肪酸を、例えば、遠心分離によって、分離することを可能にする。
一実施形態において、適切には、本発明のプロセスは、例えば、NaOHなどのアルカリの添加なしに、行うことができる。
別の実施形態において、適切には、本発明のプロセスは、例えば、NaOHなどのアルカリの存在下で行うことができる。NaOHが加えられる場合、好ましくは、それは、100gの油当たり約0.2ml(4%溶液)のNaOHを超える量では加えられない。
本発明の方法および/または使用に用いるのに適した酵素は、下記の「トランスフェラーゼアッセイ(コレステロール:リン脂質)(TrU)」を用いて決定される脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有し得る。
トランスフェラーゼ活性の決定「トランスフェラーゼアッセイ(コレステロール:リン脂質)」(TrU)
基質:50mgのコレステロール(Sigma C8503)および450mgの大豆ホスファチジルコリン(PC)、Avanti #441601をクロロホルムに溶解し、クロロホルムを減圧下、40℃で蒸発させる。
300mgのPC:コレステロール9:1を、10mlの50mM HEPES緩衝液pH7に40℃で分散させる。
酵素法:
250μlの基質を、40℃で、蓋を有するガラス中に加える。
25μlの酵素溶液を加え、40℃で10分間、撹拌しながらインキュベートする。
加えられた酵素は、アッセイにおいてコレステロールの2〜5%をエステル化するはずである。
酵素溶液の代わりに25μlの水を用いたブランクもまた分析する。
10分後、5mlのヘキサン:イソプロパノール3:2を加える。
コレステロールエステルの量を、キャリブレーションのためにステアリン酸コレステリル(Sigma C3549)標準を用いるHPTLCによって分析する。
トランスフェラーゼ活性を、アッセイ条件下での1分当たりのコレステロールエステル形成の量として計算する。
1トランスフェラーゼ単位(TrU)は、上記に示されたトランスフェラーゼアッセイに従った、40℃、pH7で、1分当たりに生成されるμモルのコレステロールエステルとして定義される。
好ましくは、本発明の方法および使用に用いられる脂質アシルトランスフェラーゼは、少なくとも25TrU/mg酵素タンパク質の1mgの酵素当たりの特定のトランスフェラーゼ単位(TrU)を有するであろう。
適切には、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、1gの油当たり0.05〜50TrUの量、適切には1gの油当たり0.5〜5TrUの量で投与され得る。
より好ましくは、本発明の方法および/または使用に用いるのに適した酵素は、下記のプロトコールによって定義されるような脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有する。
%アシルトランスフェラーゼ活性の決定のためのプロトコール
本発明による脂質アシルトランスフェラーゼが加えられている食用油を、CHCl:CHOH2:1との酵素反応後、抽出することができ、脂質材料を含む有機相を単離し、本明細書の下記に詳述された手順に従ってGLCおよびHPLCによって分析する。GLCおよびHPLC分析から、遊離脂肪酸およびステロール/スタノールエステルの1つまたは複数の量を決定する。本発明による酵素が加えられていない対照食用油を同様に分析する。
計算:
GLCおよびHPLC分析の結果から、遊離脂肪酸およびステロール/スタノールエステルの増加を計算することができる:
Δ%脂肪酸=%脂肪酸(酵素)−%脂肪酸(対照)
Mv脂肪酸=脂肪酸の平均分子量
A=Δ%ステロールエステル/Mvステロールエステル(ただし、Δ%ステロールエステル=%ステロール/スタノールエステル(酵素)−%ステロール/スタノールエステル(対照)、およびMvステロールエステル=ステロール/スタノールエステルの平均分子量)
トランスフェラーゼ活性は、全酵素活性のパーセンテージとして計算される。
Figure 2011505865
遊離脂肪酸が食用油において増加している場合、それらは好ましくは、実質的に、すなわち、有意な程度まで、増加していない。これによって、遊離脂肪酸の増加が食用油の質に悪影響を及ぼさないことを意味する。
アシルトランスフェラーゼ活性アッセイに用いられる食用油は、好ましくは、以下の方法を用いて植物ステロール(1%)およびホスファチジルコリン(2%)油を追加した大豆油である:
植物ステロールおよびホスファチジルコリンを、撹拌しながら95℃まで加熱することによって大豆油に溶解した。その後、油を40℃まで冷却し、酵素を加えた。水を、油相の5%の全濃度に加えた。試料を、磁力で撹拌しながら40℃に維持し、4時間後および20時間後、試料を取り出し、TLCによって分析した。
アッセイについて、用いられる酵素用量は、好ましくは0.2TIPU−K/g油、より好ましくは0.08TIPU−K/g油、好ましくは0.01TIPU−K/g油である。油に存在するリン脂質のレベルおよび/またはステロールの%変換は、好ましくは0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、および20時間後、より好ましくは20時間後、決定される。
用いられる酵素が脂質アシルトランスフェラーゼ酵素である場合、好ましくは、インキュベーション時間は、少なくとも5%トランスフェラーゼ活性、好ましくは少なくとも10%トランスフェラーゼ活性、好ましくは少なくとも15%、20%、25%、26%、28%、30%、40%、50%、60%、または75%トランスフェラーゼ活性があることを確実にするのに有効である。
%トランスフェラーゼ活性(すなわち、全酵素活性のパーセンテージとしてのトランスフェラーゼ活性)は、上記で教示されたプロトコールによって決定してもよい。
本発明のいくつかの態様において、本明細書に用いられる場合、用語「実質的に遊離脂肪酸を増加させることなく」とは、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼで処理された食用油における遊離脂肪酸の量が、例えば、通常のホスホリパーゼ酵素、例えば、Lecitase UltraTM(Novozymes A/S、Denmark)が用いられていた場合に生成した遊離脂肪酸の量と比較した場合など、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼ以外の酵素が用いられていたときの食用油に生成した遊離脂肪酸の量より少ないことを意味する。
油において%トランスフェラーゼ活性を評価すること(上記)に加えて、またはそれの代わりに、本発明の方法に用いるのに最も好ましい脂質アシルトランスフェラーゼ酵素を同定するために、「本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼを同定するためのプロトコール」と題した以下のアッセイを用いることができる。
脂質アシルトランスフェラーゼを同定するためのプロトコール
本発明による脂質アシルトランスフェラーゼは、以下を結果として生じるものである:
i)(以下の方法を用いる:植物ステロールおよびホスファチジルコリンを、撹拌しながら95℃まで加熱することによって大豆油に溶解した。その後、油を40℃まで冷却し、酵素を加えた。試料を、磁力で撹拌しながら40℃に維持し、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、および20時間後、試料を取り出し、TLCによって分析した)植物ステロール(1%)およびホスファチジルコリン(2%)油を追加した大豆油に存在するリン脂質の除去;
ならびに/または
ii)(上記のi)に教示された方法を用いる)加えられたステロールのステロールエステルへの変換(%変換)。実施例2に教示されているように、ステロールおよびステロールエステルのレベルを決定するためのGLC方法を用いてもよい。
アッセイについて、用いられる酵素用量は、0.2TIPU−K/g油、好ましくは0.08TIPU−K/g油、好ましくは0.01TIPU−K/g油であり得る。油に存在するリン脂質のレベルおよび/またはステロールの変換(%変換)は、好ましくは0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、および20時間後、より好ましくは20時間後、決定される。
脂質アシルトランスフェラーゼを同定するためのプロトコールにおいて、酵素処理後、好ましくは、5%の水を加え、油と十分に混合する。その後、油を、遠心分離を用いて油相と水相へ分離し(Buchold, H.およびLaurgi A.−G.による「Enzyme−catalyzed degumming of vegetable oils」、Fett Wissenschaft Technologie(1993年)、95巻(8号)、300〜4頁、ISSN:0931−5985参照)、その後、油相を、以下のプロトコール(「リン含有量についてのアッセイ」)を用いてリン含有量について分析することができる:
リン含有量についてのアッセイ
水脱ガム後の油に存在するリン脂質のレベルは、AOAC Official Method 999.10(>Lead, Cadmium, Zinc, Copper, and Iron in Foods Atomic Absorption Spectrophotometry after Microwave Digestion, First Action 1999 NMKL−AOAC Method)に教示された試料調製に従って油試料を最初に調製することによって決定される。その後、油中のリン脂質量を、AOAC Official Method Ca 20−99:Analysis of Phosphorus in oil by inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectroscopyに従って脱ガム後の油試料におけるリン含有量を分析することによって測定する。
本発明を用いた後の油相に存在するリンの量は、典型的には、通常の水脱ガム(すなわち、酵素なし)後の油相におけるリン含有量と有意には異ならない。
本発明を用いる油相における本発明を用いる油収率は、通常の水脱ガムプロセス(すなわち、酵素なし)を用いた後の油相と比較して実質的に増加している。適切には、本発明によるプロセスおよび/または使用は、酵素の添加なしに同じ水脱ガムプロセスを受けている同じ油と比較して、約0.25〜3%、または約0.5〜2%、または約1〜2%などの約0.25〜7%、収率が向上する。
驚くべきことに、本発明によるプロセスにおける酵素の添加は、酵素の添加なしであることを除いて比較可能な水脱ガムプロセスを用いて得られた比較可能な油相と比較して、油相のリン含有量を必ずしも有意に低下させることなく、油相における、有意により高い油収率を提供することが見出された。
適切には、油が本発明のプロセスまたは使用に従って処理されている場合の油相中のリンの量は、酵素の添加なしであることを除いて比較可能な水脱ガムプロセスを用いて得られた油相のリン含有量より0〜80%、適切には0〜50%、適切には0〜10%、適切には0〜1%少なくあり得る。
特に、本発明によるプロセスで得られた油相は、ホスファチドおよび/またはリン脂質を除去するためにさらに脱ガムしてもよい。例えば、油相は、酵素的脱ガムおよび/または酸脱ガムを受けることができる。
油に存在するステロールの%変換は、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%である。
一実施形態において、油中に存在するステロールの%変換は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも20%である。
いくつかの態様において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、GDSxモチーフおよび/またはGANDYモチーフを含み得る。
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、アシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素、およびアミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数である)を含む酵素として特徴付けられる。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列、または脂質アシルトランスフェラーゼは、以下の属の1つまたは複数由来の生物体から獲得可能、好ましくは獲得され得る:Aeromonas、Streptomyces、Saccharomyces、Lactococcus、Mycobacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Desulfitobacterium、Bacillus、Campylobacter、Vibrionaceae、Xylella、Sulfolobus、Aspergillus、Schizosaccharomyces、Listeria、Neisseria、Mesorhizobium、Ralstonia、Xanthomonas、およびCandida。好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼは、Aeromonas属由来の生物体から獲得可能であり、好ましくは獲得される。
本発明のいくつかの態様において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号35として示されたAeromonas salmonicida脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列におけるN−80に対応する位置にアスパラギン酸残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
本発明のいくつかの態様において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号35として示されたAeromonas salmonicida脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列におけるN−80に対応する位置にアスパラギン酸残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼである。
加えて、または代替として、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16として示されたアミノ酸配列、またはそれと75%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16として示されたアミノ酸配列を含み得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
加えて、または代替として、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号68として示されたアミノ酸配列、またはそれと75%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号68として示されたアミノ酸配列を含み得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号16もしくは配列番号68に示されたアミノ酸配列を有し、またはそれらと少なくとも75%同一性、好ましくは、それらと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%同一性を有するアミノ酸配列を有する。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号49に示されたヌクレオチド配列によってコードされ、またはそれと少なくとも75%同一性、好ましくは、それと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
一実施形態において、好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、Bacillus licheniformisを配列番号1に示されたヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも75%同一性(より好ましくは、それと、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%同一性)を有するヌクレオチド配列で形質転換し、前記B.licheniformisを培養し、そこに産生された(1つまたは複数の)脂質アシルトランスフェラーゼを単離することによってB.licheniformisに発現している脂質アシルトランスフェラーゼである。
本明細書に用いられる場合、用語「食用油」は、植物油を含み得る。
好ましくは、本発明による処理の前の食用油は、約50〜3000ppm、より好ましくは約50〜1400ppmの範囲、より好ましくは約200〜1400ppmの範囲、およびさらにより好ましくは約400〜1200ppmの範囲の非水和可能リン含有量を含む粗製食用油である。
一態様において、粗製食用油は、本発明の方法を行う前に、350ppmより高い、より好ましくは400ppmより高い、さらにより好ましくは500ppmより高い、最も好ましくは600ppmより高いリン含有量を有する。
好ましくは、食用油は植物油である。
本発明による方法によって含まれる油として、大豆油、キャノーラ油、コーン油、綿実油、パーム油、ココナッツ油、米糠油、ピーナッツ油、オリーブ油、紅花油、パーム核油、菜種油、およびヒマワリ油の1つまたは複数を挙げることができるが、それらに限定されるわけではない。
好ましくは、油は、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、およびナタネ油(キャノーラ油と呼ばれることもある)の1つまたは複数である。
より好ましくは、油は、大豆油、ヒマワリ油、またはナタネ油の1つまたは複数である。
最も好ましくは、油は大豆油である。
本明細書で用いられる場合、「粗製油」(本明細書では、非脱ガム油とも呼ばれる)は、圧搾油もしくは抽出油、またはそれらの混合物であり得る。
粗製油中のホスファチド含有量は、200〜1200ppmの範囲、より好ましくは250〜1200ppmの範囲のリン含有量に対応する0.5〜3%w/wまで様々であり得る。
ホスファチドは別として、粗製油はまた、低濃度の炭水化物、糖化合物、ならびにCa、Mg、およびFeの金属/ホスファチド酸複合体を含み得る。
有利には、本発明の方法および使用は、低水(<5%、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満)環境において食用油の脱ガムを可能にする。したがって、水脱ガムは、通常の水脱ガムプロセスを用いる場合より少ない水を加えることで行うことができる。
本発明のさらなる利点は、油相におけるステロールエステルの生成である。
適切には、酵素は、約0.01〜10TIPU−K/g油の範囲で投与することができ、適切には、酵素は、約0.05〜1.5TIPU−K/g油の範囲、より好ましくは0.2〜1TIPU−K/g油で投与することができる。
酵素が脂質アシルトランスフェラーゼである場合、適切には、それは、約0.01TIPU−K単位/g油〜5TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができる。一実施形態において、脂質アシルトランスフェラーゼは、約0.1〜約1TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができ、より好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼは、約0.1〜約0.5TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができ、より好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼは、約0.1〜約0.3TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができる。
酵素がホスホリパーゼである場合、適切には、それは、約0.5〜10TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができる。一実施形態において、ホスホリパーゼは、約0.5〜5TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができ、好ましくは、ホスホリパーゼは、約0.5〜1.5TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができる。適切には、ホスホリパーゼは、約1.0〜3TIPU−K単位/g油の範囲で投与することができる。
ホスホリパーゼ活性、TIPU−K:
基質:50mmのHepes、pH7.0に溶解した、1.75%のL−植物ホスファチジルコリン95%(441601、Avanti Polar Lipids)、6.3%のTriton X−100(#T9284、Sigma)、および5mM CaCl
アッセイ手順:試料、キャリブレーション、および対照を、10mMのHEPES、pH7.0、0.1%のTriton X−100(#T9284、Sigma)に希釈した。分析をKonelab Autoanalyzer(Thermo、Finland)を用いて行った。アッセイを、30Cで実行した。4μLの試料を加える前に、34μLの基質を180秒間、サーモスタットで調温した。酵素法は600秒間続いた。酵素法中に遊離した遊離脂肪酸の量を、NEFA Cキット(999−75406、WAKO、Germany)を用いて測定した。56μLのNEFA Aを加え、その混合物を300秒間インキュベートした。後で、113μLのNEFA Bを加え、その混合物を300秒間インキュベートした。その後、OD520nmを測定した。酵素活性(μモルFFA/分・mL)を、標準酵素調製に基づいて計算した。
酵素活性TIPU−Kを、アッセイ条件下で1分当たり生成されるマイクロモル遊離脂肪酸(FFA)として計算した。
本発明において、プロセスは、好ましくは、腐食性中和プロセスではない(すなわち、酸性水脱ガムプロセスではなく、および/または酸腐食性脱ガムプロセスではない)。換言すれば、プロセスは、好ましくは、(リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、塩酸、および/または酢酸などの)酸または(KOHおよびNaOHなどの)腐食剤の添加を含まず、または相当量の酸もしくは腐食剤の添加を含まない。換言すれば、酸および/または腐食剤が本発明のプロセスで加えられる場合、それらは0.004%未満で加えられる。
参照を容易にするために、これらおよび本発明のさらなる態様は、今、適当なセクション見出しの下、論じられている。しかしながら、各セクション下の教示は、必ずしもそれぞれの特定のセクションに限定されるわけではない。
ホスホリパーゼC
上記で述べたように、リン脂質分解酵素(好ましくは脂質アシルトランスフェラーゼ)は、ホスホリパーゼC(E.C.3.1.4.3)と組み合わせて用いることができる。
ホスホリパーゼCは任意の入手可能なホスホリパーゼC酵素であってもよく、以下のホスホリパーゼC酵素の1つまたは複数から選択してもよい:Purifine(登録商標)(Verenium、USから入手可能);(Sigmaから入手可能なホスホリパーゼC、Ref P7633などの)Clostridium perfringens由来のホスホリパーゼC;(Sigmaから入手可能なホスホリパーゼC、Ref P6621などの)Bacillus cereus由来のホスホリパーゼC;(参照により本明細書に組み入れられている)WO2008/036863に教示されたホスホリパーゼC酵素。
利点
本発明の一つの利点は、油収率の増加が水脱ガムプロセスの終わりに得られることである。油収率の増加は、本発明による酵素の添加がないことを除いて比較可能な水脱ガムプロセスと比較される。
理論によって縛られるつもりはないが、収率の増加は、リン脂質のガム相への除去によって引き起こされる乳化効果の減少による可能性がある。リン脂質は良い乳化剤であり、トリアシルグリセリドと乳化している可能性があり、それゆえに、リン脂質がガム相へ除去された場合、トリアシルグリセリド(油)の形をとる一部の油もまた除去される。リン脂質の分解によるガム相の粘性の低下が、ガム相への油の損失を防ぐのを助ける(ガム相と油の分離がはるかに容易であるため)。
(理論によって縛られるつもりはないが、)加えて、または代替として、脂質アシルトランスフェラーゼが本発明に従って用いられる場合、脂肪酸部分をリン脂質からステロールへ転移することによってステロールエステルが形成される。脂質アシルトランスフェラーゼ酵素反応によるステロールにエステル化されるこの脂肪酸部分は、油相に見出され、ガム相には見出されない。通常の水脱ガムプロセス(脂質アシルトランスフェラーゼの添加なし)において、これらの脂肪酸部分はガム相へと失われる。
本発明のさらなる利点は、脂質アシルトランスフェラーゼが用いられた場合、水脱ガムプロセスにおけるpH(約pH5.0または5.5〜約pH6.5または7)を調整する必要がないことである。このpHは、脂質アシルトランスフェラーゼの高反応性をもたらす。
脂質アシルトランスフェラーゼを用いた場合の本発明のもう一つの利点は、リン脂質由来の脂肪酸が、ステロール上に転移され、ステロールエステルを形成することである。これは、それ自体で、油相における収率の0.1〜0.15%の増加に寄与し得る。
本発明のさらなる利点(特に、脂質アシルトランスフェラーゼを用いた場合)は、ガム相が、本発明による酵素の添加がないことを除いて比較可能な水脱ガムプロセスからのガム相と比較して、粘性が低いことである。ガム相におけるより低い粘性は、結果として、油相から分離すること、すなわち、遠心分離によって分離することがより容易であることをもたらす。
加えて、ガム相は、水含有量がより少ない可能性があり、それゆえに、完全に乾燥させることがより容易であり得る。
本発明のなおさらなる利点は、ガム相においてトリグリセリド濃度の低下があることである。
本発明のプロセスは、結果として、処理工場における汚れの減少をもたらすことができる。これは、工場の清掃がより容易であり得ることを意味する。
理論によって縛られるつもりはないが、驚くべきことに、脂質アシルトランスフェラーゼは、トリグリセリドを生成するための受容体分子として、(ホスホリパーゼCの反応によって生成した)ジグリセリドを用い得ることを見出している。したがって、脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる場合、これらの酵素間の相互作用が、いずれかの酵素のみを含む比較可能な油または酵素を含まない比較可能な油と比較して、両方の酵素を含む油においてトリグリセリドの量の相乗的な増加を生じる。脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる場合、これらの酵素間の相互作用が、いずれかの酵素のみを含む比較可能な油または酵素を含まない比較可能な油と比較して、両方の酵素を含む油における油収率の相乗的な増加を生じる。
ジグリセリドが油の「発煙点」にマイナスの影響を及ぼし得、および/またはより飽和した脂肪供給源の結晶化性質にマイナスの影響を及ぼし得るという理由のため、(ホスホリパーゼCが単独で用いられた場合、起こり得る)油におけるジグリセリドの蓄積が油にとって有害であり得るので、これらの酵素の組合せの使用は、ホスホリパーゼC単独の使用に対して有意な優位性を有する。
したがって、本発明において、脂質アシルトランスフェラーゼの使用(特に、ホスホリパーゼCと組み合わせた場合)のもう一つの利点は、脂質アシルトランスフェラーゼなしでの比較可能な油と比較して、および/または特に、ホスホリパーゼC単独で処理された比較可能な油と比較して、油におけるジグリセリド量を低下させ得ることである。
本発明による(1つまたは複数の)酵素の使用は、プロセスにおいて必要とされる水の量を約1%未満まで低下させることができる。これは、水脱ガムプロセスにおいて有意な財政的利点を生むことができる。それゆえに、水の量を約1%未満まで低下させ得ることは、有意な費用低減をもたらすことができる。
好ましくは、酵素処理は、油および/または水のpH調整なしに脱ガムプロセスで起こる。これは、典型的には酸性pH条件においてのみ高活性であるホスホリパーゼA酵素を用いる先行技術のプロセスに対する有意な優位性を生じる。典型的には、(例えば、ホスホリパーゼA酵素を用いる)先行技術のプロセスにおいて、油のpHは、脱ガムプロセスの前および/または間に調整されなければならない。これは本発明に関して必要ではない。
加えて、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼの使用は、ホスホリパーゼC酵素との前記ホスホリパーゼAの使用と比較して、有意な利点を有し、その理由は、脂質アシルトランスフェラーゼに最適なpHが典型的には、ホスホリパーゼC酵素に最適なpHとはるかに良く一致するからである。それゆえに、一般的に、脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼC酵素と組み合わせて用いられる場合、「pH矛盾」はない。これは、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせたホスホリパーゼA酵素の使用と鋭く対照をなす。したがって、ホスホリパーゼC酵素と組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼの使用は、両方の酵素がそれらの最適なpH範囲で、または同時に作用することができるので、有意な向上を提供する。
特に、ガム相の(単独かまたはホスホリパーゼCと組み合わせてのいずれかの)脂質アシルトランスフェラーゼでの処理を含む方法において、このプロセスの終わりに生成する「酸性油」は、食事に加えられる通常のガム相より高い価格で販売することができる。加えて、(酸性油の分離後の)残っているガム相は、驚くべきことに、通常のガムより高いリンレベルを有することが見出されており、したがって、有機リンの供給源として用いることができる。
宿主細胞
宿主生物体は、原核生物または真核生物であり得る。
本発明の一実施形態において、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼは、宿主細胞、例えば、Bacillus種、例えば、Bacillus licheniformis宿主細胞などの細菌細胞に発現する。
代替の宿主細胞は、例えば、真菌、酵母、または植物であってもよい。
Bacillus licheniformis宿主細胞の使用によって、Bacillus subtilisなどの他の生物体と比較した場合、脂質アシルトランスフェラーゼの発現の増加がもたらされることが見出されている。
Aeromonas salmonicida由来の脂質アシルトランスフェラーゼは、Bacillus subtilis、Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces pombe、およびAspergillus tubigensis、それぞれにおける発現に最適であるように設計されたいくつかの通常の発現ベクターへ挿入されている。しかしながら、Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces pombe、およびAspergillus tubigensisにおいては、非常に低いレベルのみが検出された。発現レベルは1μg/mlより低く、商業的製造を開始するのに十分なタンパク質を生じる細胞を選択することは不可能であった(結果示さず)。対照的に、Bacillus licheniformisは、経済的に実行可能な製造として魅力があるタンパク質レベルを産生することができた。
特に、B.licheniformisにおける発現は、aprEプロモーターの調節下のB.subtilisにおける発現より約100倍高く、またはA4プロモーターの調節下で、かつセルロースに融合したS.lividansにおける発現より約100倍高い(本明細書では結果を示さず)ことが見出されている。
宿主細胞は、B.subtilis以外の任意のBacillus細胞であってもよい。好ましくは、前記Bacillus宿主細胞は、以下の種の1つ由来である:Bacillus licheniformis、B.alkalophilus、B.amyloliquefaciens、B.circulans、B.clausii、B.coagulans、B.firmus、B.lautus、B.lentus、B.megaterium、B.pumilus、またはB.stearothermophilus。
本発明に関しての用語「宿主細胞」は、本明細書に定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列かまたは本明細書に定義されているような発現ベクターのいずれかを含む任意の細胞を含み、それは、本明細書に定義されているような特定の性質を有する脂質アシルトランスフェラーゼの組換え産生に用いられる。
適切には、宿主細胞は、プロテアーゼ欠損もしくはプロテアーゼマイナス菌株、および/またはα−アミラーゼ欠損もしくはα−アミラーゼマイナス菌株であってもよい。
本明細書に用いられる場合、用語「異種性」とは、別々の遺伝源または種由来の配列を意味する。異種性配列は、非宿主配列、改変配列、異なる宿主細胞菌株由来の配列、または宿主細胞の異なる染色体位置由来の同種配列である。
「同種」配列は、同じ遺伝源または種に見出される配列である、すなわち、それは宿主細胞の関連種に自然発生している。
本明細書に用いられる場合、用語「組換え脂質アシルトランスフェラーゼ」とは、脂質アシルトランスフェラーゼが、遺伝子組換えによって産生されていることを意味する。例えば、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、クローニングベクターへ挿入されており、その結果として、異種性脂質アシルトランスフェラーゼの存在によって特徴付けられたB.licheniformis細胞を生じる。
制御配列
適用によっては、本発明の方法および/または使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼ配列は、選択された宿主細胞(B.licheniformis細胞など)によるなどのヌクレオチド配列の発現を提供する能力がある制御配列に、それをコードするヌクレオチド配列を作動可能に連結することによって、得ることができる。
例として、そのような制御配列に作動可能に連結された本発明のヌクレオチド配列を含むベクター、すなわち、そのベクターは発現ベクターであり、それを用いることができる。
用語「作動可能に連結された」とは、記載された構成要素が、それらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある近位を指す。コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、コード配列の発現が、調節配列と適合性の条件下で達成されるような方法でライゲーションされる。
用語「制御配列」は、プロモーターおよびエンハンサーおよび他の発現制御シグナルを含む。
用語「プロモーター」は、当技術分野の通常の意味で用いられ、例えば、RNAポリメラーゼ結合部位である。
本明細書で定義されているような特定の性質を有する酵素をコードするヌクレオチド配列の発現の増強はまた、制御領域の選択、例えば、天然ではその酵素をコードするヌクレオチド配列についての制御領域ではないプロモーター、分泌リーダー、および終結領域によって達成してもよい。
適切には、本発明のヌクレオチド配列を、少なくともプロモーターに作動可能に連結することができる。
適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、終結配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結することができる。本発明のベクター、宿主細胞、方法、および/または使用のいずれか一つに用いる適切な終結配列の例として、α−アミラーゼ終結配列(例えば、
Figure 2011505865
−配列番号64)、アルカリプロテアーゼ終結配列(例えば、
Figure 2011505865
−配列番号65)、グルタミン酸特異的終結配列(例えば、
Figure 2011505865
−配列番号66)、レバナーゼ終結配列(例えば、
Figure 2011505865
−配列番号67)、およびスブチリシンE終結配列(例えば、
Figure 2011505865
)が挙げられる。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、B.licheniformisα−アミラーゼターミネーターなどのα−アミラーゼターミネーターに作動可能に連結してもよい。
プロモーター
本発明に従って用いられるプロモーター配列は、脂質アシルトランスフェラーゼをコードする配列と異種性でも同種性でもよい。
プロモーター配列は、最適な宿主細胞において脂質アシルトランスフェラーゼの発現を指示する能力がある任意のプロモーター配列であってもよい。
適切には、プロモーター配列は、Bacillus種、例えば、B.licheniformisと同種であり得る。好ましくは、プロモーター配列は最適な宿主細胞と同種である。
適切には、プロモーター配列は、宿主細胞と同種であり得る。「宿主細胞と同種の」とは、その宿主生物体内から生じること;すなわち、その宿主生物体で自然に見出されるプロモーター配列を意味する。
適切には、プロモーター配列は、α−アミラーゼプロモーター、プロテアーゼプロモーター、スブチリシンプロモーター、グルタミン酸特異的プロテアーゼプロモーター、およびレバンスクラーゼプロモーターをコードするヌクレオチド配列からなる群から選択することができる。
適切には、プロモーター配列は、LAT(例えば、AmyLとしても公地である、B.licheniformis由来のα−アミラーゼプロモーター)、AprL(例えば、スブチリシンCarlsbergプロモーター)、EndoGluC(例えば、B.licheniformis由来のグルタミン酸特異的プロモーター)、AmyQ(例えばB.amyloliquefaciensα−アミラーゼプロモーター由来のαアミラーゼプロモーター)、およびSacB(例えば、B.subtilisレバンスクラーゼプロモーター)をコードするヌクレオチド配列であり得る。
本発明の方法において核酸配列の転写を指示するのに適したプロモーターの他の例として、Bacillus lentusアルカリプロテアーゼ遺伝子のプロモーター(aprH)、Bacillus subtilisα−アミラーゼ遺伝子のプロモーター(amyE)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成型アミラーゼ遺伝子のプロモーター(amyM)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子のプロモーター(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子のプロモーター、ならびに/またはBacillus thuringiensis亜種tenebrionis CryIIIA遺伝子のプロモーターが挙げられる。
好ましい実施形態において、プロモーター配列は、(Bacillus licheniformisα−アミラーゼプロモーターなどの)α−アミラーゼプロモーターである。好ましくは、プロモーター配列は、B.licheniformisα−アミラーゼプロモーターの−35〜−10配列を含む−図53および55参照。
「−35〜−10配列」は、転写開始部位に対する位置を記載する。「−35」および「−10」は、ボックス、すなわち、いくつかのヌクレオチドであり、それぞれが6個のヌクレオチドを含み、これらのボックスは17個のヌクレオチドによって隔てられている。これらの17個のヌクレオチドは、「スペーサー」と呼ばれることが多い。これは、図55に示されており、図中、−35ボックスおよび−10ボックスは下線が引かれている。誤解を避けるために言えば、「−35〜−10配列」が本明細書に用いられる場合、それは、−35ボックスの始めから−10ボックスの終わりまで、すなわち、−35ボックス、17ヌクレオチド長のスペーサー、および−10ボックスを含む配列を指す。
シグナルペプチド
脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列の発現による宿主細胞によって産生される脂質アシルトランスフェラーゼは、用いられる配列および/もしくはベクターに依存して、分泌されてもよいし、細胞内に含まれてもよい。
シグナル配列は、特定の細胞膜を通ってのコード配列の分泌を指示するために用いることができる。シグナル配列は、脂質アシルトランスフェラーゼコード配列にとって天然でも外来でもよい。例えば、シグナルペプチドコード配列は、Bacillus種由来、好ましくはBacillus licheniformis由来のアミラーゼ遺伝子またはプロテアーゼ遺伝子から得ることができる。
適切なシグナルペプチドコード配列は、以下の遺伝子の1つまたは複数から得ることができる:マルトース生成型α−アミラーゼ遺伝子、スブチリシン遺伝子、β−ラクタマーゼ遺伝子、中性プロテアーゼ遺伝子、prsA遺伝子、および/またはアシルトランスフェラーゼ遺伝子。
好ましくは、シグナルペプチドは、B.licheniformisα−アミラーゼ、Aeromonasアシルトランスフェラーゼ(例えば、mkkwfvcllglialtvqa−配列番号21)、B.subtilisスブチリシン(例えば、mrskklwisllfaltliftmafsnmsaqa−配列番号22)、またはB.licheniformisスブチリシン(例えば、mmrkksfwfgmltafmlvftmefsdsasa−配列番号23)のシグナルペプチドである。適切には、シグナルペプチドは、B.licheniformisα−アミラーゼのシグナルペプチドであり得る。
しかしながら、最適なBacillus宿主細胞(好ましくは、B.licheniformis宿主細胞)の分泌経路へ発現した脂質アシルトランスフェラーゼを向ける能力がある任意のシグナルペプチドコード配列を用いてもよい。
本発明のいくつかの実施形態において、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、最適な脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結してもよい。
最適な脂質アシルトランスフェラーゼを、融合タンパク質として、本明細書に定義されているような宿主細胞で発現させてもよい。
発現ベクター
用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロの発現の能力がある構築物を意味する。
好ましくは、発現ベクターは、B.licheniformis宿主などの生物体のゲノムに組み入れられる。用語「組み入れられる」とは、好ましくは、ゲノムへの安定的な組み入れを網羅する。
本明細書に定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列はベクターに存在してもよく、そのベクター内では、制御配列が、(B.licheniformisなどの)適切な宿主生物体によってヌクレオチド配列の発現を提供することができるように、ヌクレオチド配列が制御配列に作動可能に連結されている、すなわち、そのベクターは発現ベクターである。
本発明のベクターは、本明細書に定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドの発現を提供するように上記のような適切な宿主細胞へ形質転換することができる。
ベクター、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルスベクターまたはファージベクター、ゲノム挿入断片の選択は、それが導入されることになっている宿主細胞に依存することが多いであろう。本発明は、等価な機能の働きをし、かつ当技術分野において公知である、または公知になる発現ベクターの他の形を網羅することができる。
いったん最適な宿主細胞へ形質転換されたならば、ベクターは、宿主細胞のゲノムとは無関係に複製および機能してもよいし、ゲノム自体へと統合されてもよい。
ベクターは、抗生物質抵抗性、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、またはテトラサイクリン抵抗性を与える遺伝子などの1つまたは複数の選択マーカー遺伝子を含んでもよい。あるいは、選択は、(WO91/17243に記載されているように)同時形質転換によって達成してもよい。
ベクターは、例えば、RNAの産生のためにインビトロで用いてもよいし、宿主細胞をトランスフェクションまたは形質転換するために用いてもよい。
ベクターは、そのベクターが問題の宿主細胞において複製することを可能にするヌクレオチド配列をさらに含んでもよい。そのような配列の例は、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1、およびpIJ702の複製起点である。
脂質アシルトランスフェラーゼ
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、天然の脂質アシルトランスフェラーゼをコードしてもよいし、変種脂質アシルトランスフェラーゼをコードしてもよい。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、天然の脂質アシルトランスフェラーゼでも、変種の脂質アシルトランスフェラーゼでもよい。
例えば、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、WO2004/064537、WO2004/064987、WO2005/066347、またはWO2006/008508に記載されているようなものであってもよい。これらの文書は参照により本明細書に組み入れられている。
本明細書に用いられる場合、用語「脂質アシルトランスフェラーゼ」は、好ましくは、アシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素(一般的には、E.C.2.3.1.x.、例えば、2.3.1.43として分類される)を意味し、その活性によって酵素は、アシル基を脂質から以下のうちの1つまたは複数などの1つまたは複数の受容体基質へ転移させる能力がある:ステロール、スタノール、炭水化物、タンパク質、タンパク質サブユニット、アスコルビン酸および/またはグリセロールなどの糖アルコール−好ましくは、グリセロールおよび/またはコレステロールなどのステロール。
好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、アシル基を(本明細書に定義されているような)リン脂質から、アスコルビン酸および/またはグリセロールおよび/またはステロール、好ましくはグリセロールまたはステロール、最も好ましくはステロール(例えば、コレステロール)などの糖アルコールへ転移させる能力がある脂質アシルトランスフェラーゼである。
いくつかの態様について、本発明による「アシル受容体」は、例えば、多価アルコールなどのヒドロキシ基(−OH)を含む任意の化合物であってもよく、それらには、グリセロール;ステロール;スタノール;炭水化物;フルーツ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、およびアスコルビン酸を含むヒドロキシ酸;タンパク質、または例えば、アミノ酸、タンパク質加水分解産物、およびペプチド(部分的に加水分解されたタンパク質)などのそれらのサブユニット;ならびにそれらの混合物および誘導体が挙げられる。好ましくは、本発明による「アシル受容体」は水ではない。
アシル受容体は、好ましくは、モノグリセリドではない。
一実施形態において、アシル受容体はジグリセリドであり得る。
一態様において、本発明の方法および/または使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、好ましくは、アシル基を脂質からステロールおよび/またはスタノールへ転移させることができる。
別の態様において、本発明の方法および/または使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、アシル基を脂質からステロールおよび/またはスタノールへ転移させることができるだけでなく、加えて、アシル基を脂質から以下のうちの1つまたは複数へ転移させることができる:炭水化物、タンパク質、タンパク質サブユニット、グリセロール、脂肪アルコール。
適切には、アシル受容体は、油において自然に見出すことができる。あるいは、アシル受容体を油に付加してもよい(例えば、アシル受容体は油にとって外来性であってもよい)。例えば、いくつかの実施形態において、ステロールおよび/またはスタノールは、脱ガムプロセスの前または間に油に付加してもよい。これは、アシル受容体の量がアシルトランスフェラーゼ反応への律速である場合には、特に重要である。アシル受容体の添加は、アシル受容体が添加されない場合の油と比較して、遊離脂肪酸の低下および/またはアシル受容体エステルのより高い形成をもたらすことができる。
好ましくは、脂質アシルが作用する脂質基質は、以下の脂質の1つまたは複数である:レシチン、例えば、ホスファチジルコリンおよび/またはホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質。
この脂質基質は、本明細書では、「脂質アシル供与体」と呼ぶ場合がある。本明細書で用いられる場合、用語「レシチン」は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルグリセロールを含む。
本発明に用いる好ましい脂質アシルトランスフェラーゼは、油環境におけるリン脂質への高いリン脂質加水分解性活性または高いリン脂質トランスフェラーゼ活性などの高活性を有するものとして同定され、最も好ましくは、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、リン脂質からステロールへの高いトランスフェラーゼ活性を有する。
上記で詳述しているように、本発明の方法に用いるのに適した他のアシルトランスフェラーゼは、pFam00657コンセンサス配列(配列番号1)のアラインメントおよび/またはGDSxアシルトランスフェラーゼ、例えば、配列番号28に対するアラインメントによってGDSx、GANDY、およびHPTブロックの存在を同定することにより同定することができる。脱ガムについてのそれらの適合性を評価する、すなわち、全酵素活性の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、およびより好ましくは少なくとも98%のトランスフェラーゼ活性を有する酵素を同定するために、そのようなアシルトランスフェラーゼは、本明細書の上記に詳述された「%アシルトランスフェラーゼ活性の決定のためのプロトコール」アッセイを用いて試験される。
いくつかの態様について、好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、トリグリセリドおよび/または1−モノグリセリドおよび/または2−モノグリセリドに作用する能力がない、または実質的に能力がない脂質アシルトランスフェラーゼである。
いくつかの態様について、好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、トリアシルグリセロールリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)を示さない、または有意なトリアシルグリセロールリパーゼ活性(E.C.3.1.1.3)を示さない脂質アシルトランスフェラーゼである。
トリグリセリドを加水分解する能力(E.C.3.1.1.3活性)は、オリーブ油およびpH6.5の代わりに、ヒマワリ油およびpH5.5へと改変されたFood Chemical Codex(第3版、1981年、492〜493頁)に従って決定されるリパーゼ活性によって決定することができる。リパーゼ活性は、LUS(リパーゼ単位ヒマワリ)として測定され、1LUSは、上記のアッセイ条件下で、ヒマワリ油から1分間当たり1μモルの脂肪酸を遊離することができる酵素量として定義される。あるいは、WO9845453に定義されているようなLUTアッセイを用いてもよい。この参考文献は、参照により本明細書に組み入れられている。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、トリグリセリドに作用する能力が実質的にない脂質アシルトランスフェラーゼであり得、1000未満のLUS/mg、例えば、300LUS/mg未満などの500LUS/mg未満、好ましくは200LUS/mg未満、より好ましくは100LUS/mg未満、より好ましくは50LUS/mg未満、より好ましくは20LUS/mg未満、より好ましくは、5LUS/mg未満、2LUS/mg未満などの10LUS/mg未満、より好ましくは1LUS/mg未満を有し得る。あるいは、LUT/mg活性は、300LUS/mg未満などの500LUS/mg未満、好ましくは200LUS/mg未満、より好ましくは100LUS/mg未満、より好ましくは50LUS/mg未満、より好ましくは20LUS/mg未満、より好ましくは、5LUS/mg未満、2LUS/mg未満などの10LUS/mg未満、より好ましくは1LUS/mg未満である。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、モノグリセリドに作用する能力が実質的にない脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。これは、LUSアッセイにおいてヒマワリ油の代わりに、モノオレエート(M7765 1−オレオイル−rac−グリセロール99%)を用いることによって決定することができる。1MGHUは、アッセイ条件下でモノグリセリドから1分間当たり1μモルの脂肪酸を遊離することができる酵素量として定義される。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、トリグリセリドに作用する能力が好ましくは実質的にない脂質アシルトランスフェラーゼであり、5000未満のMGHU/mg、例えば、1000MGHU/mg未満、例えば、300MGHU/mg未満などの500MGHU/mg未満、好ましくは200MGHU/mg未満、より好ましくは100MGHU/mg未満、より好ましくは50MGHU/mg未満、より好ましくは20MGHU/mg未満、より好ましくは、5MGHU/mg未満、2MGHU/mg未満などの10MGHU/mg未満、より好ましくは1MGHU/mg未満を有し得る。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、その脂質アシルトランスフェラーゼ活性に加えて、以下のホスホリパーゼ活性の1つまたは複数も示し得る脂質アシルトランスフェラーゼである:ホスホリパーゼA2活性(E.C.3.1.1.4)および/またはホスホリパーゼA1活性(E.C.3.1.1.32)。脂質アシルトランスフェラーゼはまた、ホスホリパーゼB活性(E.C.3.1.1.5)を有してもよい。
適切には、いくつかの態様について、脂質アシルトランスフェラーゼは、アシル基をリン脂質からスタノールおよび/またはステロール、好ましくはコレステロールへ転移させる能力があり得る。
いくつかの態様について、好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、アシル基をリン脂質からステロールおよび/またはスタノールへ転移させ、少なくともステロールエステルおよび/またはスタノールエステルを形成する能力がある脂質アシルトランスフェラーゼをコードする。
したがって、一実施形態において、本発明による「アシル受容体」は、植物ステロール/スタノールであり得る。
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の判定基準を用いて特徴付けることができる:
酵素は、脂質アシル供与体の本来のエステル結合のアシル部分がアシル受容体に転移されて、新しいエステルを形成するエステル転移活性として定義され得るアシルトランスフェラーゼ活性を有する;および
酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSXを含み、ただし、Xが以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数である。
好ましくは、GDSXモチーフのXは、LまたはYである。より好ましくは、GDSXモチーフのXは、Lである。したがって、好ましくは、本発明による酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSLを含む。
GDSXモチーフは、4個の保存されたアミノ酸で構成される。好ましくは、モチーフ内のセリンは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素の触媒性セリンである。適切には、GDSXモチーフのセリンは、BrumlikおよびBuckley(Journal of Bacteriology、1996年4月、178巻7号、2060〜2064頁)に教示されたAeromonas hydrophila脂質アシルトランスフェラーゼ酵素におけるSer−16に対応する位置にあり得る。
タンパク質が本発明によるGDSXモチーフを有するかどうかを決定するために、配列は、好ましくは、参照により本明細書に組み入れられている、WO2004/064537またはWO2004/064987に教示された手順に従ってpfamデータベースの隠れマルコフモデルプロファイル(HMMプロファイル)と比較される。
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、Pfam00657コンセンサス配列を用いて整列させることができる(十分な説明として、WO2004/064537またはWO2004/064987参照)。
好ましくは、pfam00657ドメインファミリーの隠れマルコフモデルプロファイル(HMMプロファイル)との正の一致は、本発明によるGDSLまたはGDSXドメインの存在を示す。
好ましくは、Pfam00657コンセンサス配列と整列させた場合、本発明の方法または使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、以下、GDSxブロック、GANDYブロック、HPTブロックの少なくとも1個、好ましくは1個より多く、好ましくは2個より多くを有することができる。適切には、脂質アシルトランスフェラーゼは、GDSxブロックおよびGANDYブロックを有することができる。あるいは、酵素は、GDSxブロックおよびHPTブロックを有してもよい。好ましくは、酵素は、少なくともGDSxブロックを含む。さらなる詳細について、WO2004/064537またはWO2004/064987参照。
好ましくは、GANDYモチーフの残基は、GANDY、GGNDA、GGNDLから選択され、最も好ましくはGANDYである。
好ましくは、Pfam00657コンセンサス配列と整列した場合、本発明の方法または使用に用いる酵素は、参照A.hydrophiliaポリペプチド配列、すなわち、配列番号1と比較した場合の以下のアミノ酸残基:28hid、29hid、30hid、31hid、32gly、33Asp、34Ser、35hid、130hid、131Gly、132Hid、133Asn、134Asp、135hid、309Hisの少なくとも1個、好ましくは1個より多く、好ましくは2個より多く、好ましくは3個より多く、好ましくは4個より多く、好ましくは5個より多く、好ましくは6個より多く、好ましくは7個より多く、好ましくは8個より多く、好ましくは9個より多く、好ましくは10個より多く、好ましくは11個より多く、好ましくは12個より多く、好ましくは13個より多く、好ましくは14個より多くを有する。
pfam00657GDSXドメインは、このドメインを有するタンパク質を他の酵素から区別する独特な識別子である。
pfam00657コンセンサス配列は、配列番号2として図3に提示されている。これは、pfamファミリー00657、データベースバージョン6の同定に由来しており、それはまた、本明細書では、pfam00657.6と呼ばれることもある。
コンセンサス配列は、pfamデータベースのさらなるリリースを用いることによってアップデートすることができる(例えば、WO2004/064537またはWO2004/064987参照)。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の判断基準を用いて特徴付けることができる脂質アシルトランスフェラーゼである:
(i)酵素は、脂質アシル供与体の本来のエステル結合のアシル部分がアシル受容体に転移されて、新しいエステルを形成するエステル転移活性として定義され得るアシルトランスフェラーゼ活性を有する;
(ii)酵素は、アミノ酸配列モチーフGDSXを含み、ただし、Xが以下のアミノ酸残基L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数である;
(iii)酵素は、His−309を含み、または図2および4(配列番号1または配列番号3)に示されたAeromonas hydrophila脂質アシルトランスフェラーゼ酵素におけるHis−309に対応する位置にヒスチジン残基を含む。
好ましくは、GDSXモチーフのアミノ酸残基はLである。
配列番号3または配列番号1において、最初の18個のアミノ酸残基は、シグナル配列を形成する。シグナル配列を含むタンパク質である完全長配列のHis−309は、そのタンパク質の成熟部分、すなわち、シグナル配列を含まない配列のHis−291と等しい。
一実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の触媒性三連構造:Ser−34、Asp−306、およびHis−309を含み、または図4(配列番号3)もしくは図2(配列番号1)に示されたAeromonas hydrophila脂質アシルトランスフェラーゼ酵素におけるSer−34、Asp−306、およびHis−309に対応する位置に、それぞれ、セリン残基、アスパラギン酸残基、およびヒスチジン残基を含む脂質アシルトランスフェラーゼである。上記で述べているように、配列番号3または配列番号1に示された配列において、最初の18個のアミノ酸残基はシグナル配列を形成する。シグナル配列を含むタンパク質である完全長配列のSer−34、Asp−306、およびHis−309は、そのタンパク質の成熟部分、すなわち、シグナル配列を含まない配列のSer−16、Asp−288、およびHis−291と等しい。図3(配列番号2)に示されているように、pfam00657コンセンサス配列において、活性部位残基は、Ser−7、Asp−345、およびHis−348に対応する。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の判断基準を用いて特徴付けることができる脂質アシルトランスフェラーゼである:
酵素は、第1の脂質アシル供与体の本来のエステル結合のアシル部分がアシル受容体に転移されて、新しいエステルを形成するエステル転移活性として定義され得るアシルトランスフェラーゼ活性を有する;および
酵素は、少なくともGly−32、Asp−33、Ser−34、Asp−134、およびHis−309を含み、または配列番号3もしくは配列番号1に示されたAeromonas hydrophila脂質アシルトランスフェラーゼ酵素におけるGly−32、Asp−33、Ser−34、Asp−306、およびHis−309、それぞれに対応する位置にグリシン、アスパラギン酸、セリン、アスパラギン酸、およびヒスチジン残基を含む。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下のヌクレオチド配列の1つによってコードすることができる:
(a)配列番号36として示されたヌクレオチド配列(図29参照);
(b)配列番号38として示されたヌクレオチド配列(図31参照);
(c)配列番号39として示されたヌクレオチド配列(図32参照);
(d)配列番号42として示されたヌクレオチド配列(図35参照);
(e)配列番号44として示されたヌクレオチド配列(図37参照);
(f)配列番号46として示されたヌクレオチド配列(図39参照);
(g)配列番号48として示されたヌクレオチド配列(図41参照);
(h)配列番号49として示されたヌクレオチド配列(図57参照);
(i)配列番号50として示されたヌクレオチド配列(図58参照);
(j)配列番号51として示されたヌクレオチド配列(図59参照);
(k)配列番号52として示されたヌクレオチド配列(図60参照);
(l)配列番号53として示されたヌクレオチド配列(図61参照);
(m)配列番号54として示されたヌクレオチド配列(図62参照);
(n)配列番号55として示されたヌクレオチド配列(図63参照);
(o)配列番号56として示されたヌクレオチド配列(図64参照);
(p)配列番号57として示されたヌクレオチド配列(図65参照);
(q)配列番号58として示されたヌクレオチド配列(図66参照);
(r)配列番号59として示されたヌクレオチド配列(図67参照);
(s)配列番号60として示されたヌクレオチド配列(図68参照);
(t)配列番号61として示されたヌクレオチド配列(図69参照);
(u)配列番号62として示されたヌクレオチド配列(図70参照);
(v)配列番号63として示されたヌクレオチド配列(図71参照);
(w)または
配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、もしくは配列番号63として示された配列のいずれか一つと70%以上、好ましくは75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列。
適切には、ヌクレオチド配列は、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、または配列番号63として示された配列のいずれか一つと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有し得る。
一実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号62、および配列番号63として示された配列のいずれか一つと70%以上、好ましくは75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列である。適切には、ヌクレオチド配列は、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号62、および配列番号63として示された配列のいずれか一つと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有し得る。
一実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列番号49として示された配列と70%以上、75%以上、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するヌクレオチド配列である。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下のアミノ酸配列の1つまたは複数を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る:
(i)配列番号68として示されたアミノ酸配列
(ii)配列番号3として示されたアミノ酸配列
(iii)配列番号4として示されたアミノ酸配列
(iv)配列番号5として示されたアミノ酸配列
(v)配列番号6として示されたアミノ酸配列
(vi)配列番号7として示されたアミノ酸配列
(vii)配列番号8として示されたアミノ酸配列
(viii)配列番号9として示されたアミノ酸配列
(ix)配列番号10として示されたアミノ酸配列
(x)配列番号11として示されたアミノ酸配列
(xi)配列番号12として示されたアミノ酸配列
(xii)配列番号13として示されたアミノ酸配列
(xiii)配列番号14として示されたアミノ酸配列
(xiv)配列番号1として示されたアミノ酸配列
(xv)配列番号15として示されたアミノ酸配列
(xvi)配列番号16として示されたアミノ酸配列
(xvii)配列番号17として示されたアミノ酸配列
(xviii)配列番号18として示されたアミノ酸配列
(xix)配列番号34として示されたアミノ酸配列
(xx)配列番号35として示されたアミノ酸配列、または
配列番号68、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号34、もしくは配列番号35として示された配列のいずれか一つと75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列。
適切には、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号68、もしくは配列番号3、もしくは配列番号4、もしくは配列番号1、もしくは配列番号15、もしくは配列番号16、もしくは配列番号34、もしくは配列番号35として示されたアミノ酸配列を含むか、または配列番号68として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号3として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号4として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号1として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号15として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号16として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号34として示されたアミノ酸配列、もしくは配列番号35として示されたアミノ酸配列と75%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むかのいずれかである脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号68、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号34、または配列番号35として示された配列のいずれか一つと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下のアミノ酸配列の1つまたは複数を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る:
(a)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基1〜100位として示されたアミノ酸配列;
(b)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基101〜200位として示されたアミノ酸配列;
(c)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基201〜300位として示されたアミノ酸配列;または
(d)上記の(a)〜(c)に定義されたアミノ酸配列のいずれか一つに対して75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
適切には、本発明の方法および使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下のアミノ酸配列の1つまたは複数を含み得る:
(a)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基28〜39位として示されたアミノ酸配列;
(b)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基77〜88位として示されたアミノ酸配列;
(c)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基126〜136位として示されたアミノ酸配列;
(d)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基163〜175位として示されたアミノ酸配列;
(e)配列番号3もしくは配列番号1のアミノ酸残基304〜311位として示されたアミノ酸配列;または
(f)上記の(a)〜(e)に定義されたアミノ酸配列のいずれか一つに対して75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
一態様において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、EP1275711に教示されているようなCandida parapsilosis由来の脂質アシルトランスフェラーゼであり得る脂質アシルトランスフェラーゼである。したがって、一態様において、本発明の方法および使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号17または配列番号18に教示されたアミノ酸配列の1つを含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
非常に好ましくは、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号16として示されたアミノ酸配列、または配列番号16に対して75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、さらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る脂質アシルトランスフェラーゼである。この酵素は、変種酵素とみなすことができる。
一態様において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)またはその変種(例えば、分子進化によって生じた変種)であり得る脂質アシルトランスフェラーゼである。
適切なLCATは、当技術分野において公知であり、例えば、以下の生物体、哺乳動物、ラット、マウス、ニワトリ、Drosophila melanogaster、ArabidopsisおよびOryza sativaを含む植物、線虫、真菌、ならびに酵母の1つまたは複数から得ることができる。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、それぞれ、アクセッション番号NCIMB 41204およびNCIMB 41205として、2003年12月22日に、National Collection of Industrial,Marine and Food Bacteria(NCIMB)、23 St.Machar Street、Aberdeen Scotland、GBにおいて特許手続きのための微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の下、Langebrogade 1、DK−1001 Copenhagen K、DenmarkのDanisco A/Sによって寄託されたpPet12aAhydroおよびpPet12aASalmoを有するE.coli菌株TOP 10から獲得可能な、好ましくは獲得された脂質アシルトランスフェラーゼであり得る脂質アシルトランスフェラーゼである。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、リン脂質グリセロールアシルトランスフェラーゼであってもよい。リン脂質グリセロールアシルトランスフェラーゼとして、Aeromonas種、好ましくは、Aeromonas hydrophilaもしくはA.salmonicida、最も好ましくはA.salmonicidaから単離されたもの、またはそれらの変種が挙げられる。
本発明に用いる最も好ましい脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号1、3、4、15、16、34、および35によってコードされる。アシルトランスフェラーゼのシグナルペプチドがトランスフェラーゼの発現中に切断されていることが好ましいことを、当業者は認識しているであろう。配列番号1、3、4、15、および16のシグナルペプチドは、アミノ酸1〜18位である。それゆえに、最も好ましい領域は、配列番号1および配列番号3(A.hydrophilia)についてのアミノ酸19〜335位、ならびに配列番号4、配列番号15、および配列番号16(A.salmonicida)についてのアミノ酸19〜336位である。アミノ酸配列の相同性または同一性を決定するために用いる場合、本明細書に記載されているようなアラインメントは、成熟配列を用いることが好ましい。
一実施形態において、適切には、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号16に示されたアミノ酸配列を含み(またはアミノ酸配列からなり)、または配列番号16に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む(またはアミノ酸配列からなる)。
一実施形態において、適切には、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号68に示されたアミノ酸配列を含む(またはアミノ酸配列からなる)、または配列番号68に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む(またはアミノ酸配列からなる)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によってコードされる。
したがって、相同性(同一性)を決定するための最も好ましい領域は、配列番号1および配列番号3(A.hydrophilia)についてのアミノ酸19〜335位、ならびに配列番号4、15、および16(A.salmonicida)についてのアミノ酸19〜336位である。配列番号34および35は、さらなる翻訳後修飾を受ける場合もあるし、受けない場合もある、それぞれ、A.hydrophiliaおよびA.salmonicida由来の脂質アシルトランスフェラーゼの成熟タンパク質配列である。
本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、Thermobifida、好ましくはT.fuscaからも単離することができる脂質アシルトランスフェラーゼであり得、最も好ましくは配列番号28によってコードされたものである。
本発明に従って、および/または本発明の方法において用いる適切な脂質アシルトランスフェラーゼは、以下のアミノ酸配列のいずれか一つを含み得、および/または以下のヌクレオチド配列によってコードされ得る:
a)脂質アシルトランスフェラーゼ活性を示すポリペプチドをコードし、かつ配列番号16に示されたポリペプチド配列と、または配列番号68に示されたポリペプチドと少なくとも70%同一(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%同一)である核酸;
b)配列番号16もしくは配列番号68に示されたアミノ酸配列、または配列番号16もしくは配列番号68と少なくとも70%同一(好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%同一)であるアミノ酸配列を含む(またはアミノ酸配列からなる)(単離された)ポリペプチド;
c)脂質アシルトランスフェラーゼをコードする核酸であって、配列番号49として示されたヌクレオチド配列、または配列番号49として示されたヌクレオチド配列と少なくとも70%同一(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%同一)であるヌクレオチド配列を含む(またはヌクレオチド配列からなる)核酸;
d)配列番号49として示されたヌクレオチド配列を含む核酸プローブに中程度または高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、かつ脂質アシルトランスフェラーゼ活性を示すポリペプチドをコードする核酸;
e)a)、c)、またはd)に特定された核酸配列の断片である核酸;または
f)b)に特定されたポリペプチドの断片であるポリペプチド。
本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、Streptomyces、好ましくはS.avermitisからも単離することができる脂質アシルトランスフェラーゼであり得、最も好ましくは、配列番号32によってコードされたものである。Streptomyces由来の本発明に用いる他の可能な酵素として、配列番号5、6、9、10、11、12、13、14、31、および33によってコードされたものが挙げられる。
本発明に用いる酵素は、Corynebacterium、好ましくはC.efficiensからも単離することができ、最も好ましくは、配列番号29によってコードされたものである。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号37、38、40、41、43、45、もしくは47として示されたアミノ酸配列のいずれか一つ、またはそれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得、または配列番号36、39、42、44、46、もしくは48として示されたヌクレオチド配列のいずれか一つ、またはそれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列は、以下からなる群から選択される:
a)配列番号36に示されたヌクレオチド配列を含む核酸;
b)遺伝暗号の縮重によって配列番号のヌクレオチド配列に関連している核酸;および
c)配列番号36に示されたヌクレオチド配列と少なくとも70%同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸。
一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号37に示されたアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも60%同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼである。
さらなる実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号37、38、40、41、43、45、もしくは47として示されたアミノ酸配列のいずれか一つ、またはそれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得、または配列番号39、42、44、46、もしくは48として示されたヌクレオチド配列のいずれか一つ、またはそれらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る。
さらなる実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号38、40、41、45、もしくは47として示されたアミノ酸配列のいずれか一つ、または本明細書に記載された使用のための、それらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
さらなる実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号38、40、もしくは47として示されたアミノ酸配列のいずれか一つ、または本明細書に記載された使用のための、それらと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
より好ましくは一実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号47として示されたアミノ酸配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
別の実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号43もしくは44として示されたアミノ酸配列、またはそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
別の実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号41として示されたアミノ酸配列、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、もしくは98%同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
一実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、以下からなる群から選択される核酸によってコードされ得る:
a)配列番号36に示されたヌクレオチド配列を含む核酸;
b)遺伝暗号の縮重によって配列番号36のヌクレオチド配列に関連している核酸;および
c)配列番号36に示されたヌクレオチド配列と少なくとも70%同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸。
一実施形態において、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼは、それぞれ、アクセッション番号NCIMB 41226およびNCIMB 41227として、2004年6月25日に、National Collection of Industrial,Marine and Food Bacteria(NCIMB)、23 St.Machar Street、Aberdeen Scotland、GBにおいて特許手続きのための微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の下、Langebrogade 1、DK−1001 Copenhagen K、DenmarkのDanisco A/Sによって寄託されたStreptomyces株L130またはL131から獲得可能な、好ましくは獲得された脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードする適切なヌクレオチド配列は、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチド(配列番号16または配列番号68)をコードし得、または脂質アシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号16または配列番号68)をコードし得る。
本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる適切な脂質アシルトランスフェラーゼは、デフォルト設定を用いるVectorNTIのClustalWペアワイズアラインメントアルゴリズムという、Align Xを用いるL131(配列番号37)配列に対するアラインメントによって同定することができるアミノ酸配列であり得る。
L131と、S.avermitilisおよびT.fusca由来の相同体とのアラインメントにより、GDSxモチーフ(L131およびS.avermitilisおよびT.fuscaにおけるGDSY)、GGNDAかまたはGGNDLのいずれかであるGANDYボックス、および(保存された触媒性ヒスチジンであると考えられる)HPTブロックの保存が示されている。これらの3つの保存されたブロックは、図42に強調表示されている。
(WO04/064987に記載されているような)pfam Pfam00657コンセンサス配列および/または本明細書に開示されたL131配列(配列番号37)に対して整列させた場合、3つの保存された領域、GDSxブロック、GANDYブロック、およびHTPブロックを同定することが可能である(さらなる詳細についてはWO04/064987参照)。
(WO04/064987に記載されているような)pfam Pfam00657コンセンサス配列および/または本明細書に開示されたL131配列(配列番号37)に対して整列させた場合、
i)本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、GDSxモチーフ、より好ましくは、GDSLもしくはGDSYモチーフから選択されたGDSxモチーフを有する脂質アシルトランスフェラーゼであり得、
ならびに/または
ii)本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、GANDYブロック、より好ましくは、アミノGGNDx、より好ましくはGGNDAもしくはGGNDLを含むGANDYブロックを有する脂質アシルトランスフェラーゼであり得、
ならびに/または
iii)本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、好ましくはHTPブロックを有する脂質アシルトランスフェラーゼであり得、
ならびに、好ましくは、
iv)本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、GDSxもしくはGDSYモチーフ、およびアミノGGNDx、好ましくはGGNDAもしくはGGNDLを含むGANDYブロック、およびHTPブロック(保存されたヒスチジン)を好ましくは有する脂質アシルトランスフェラーゼであり得る。
一実施形態において、本発明による酵素は、好ましくは、E.C.3.1.1.32として分類されるホスホリパーゼA1またはE.C.3.1.1.4として分類されるホスホリパーゼA2などのホスホリパーゼ酵素でなくてもよい。
変種脂質アシルトランスフェラーゼ
好ましい実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、変種脂質アシルトランスフェラーゼである脂質アシルトランスフェラーゼをコードし得る。
加水分解活性の増加および/またはトランスフェラーゼ活性の増加、好ましくはリン脂質へのトランスフェラーゼ活性の増加などのリン脂質への活性が増加している変種を用いることができる。
好ましくは、変種脂質アシルトランスフェラーゼは、本明細書の上記で定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼの1つまたは複数のアミノ酸改変によって調製される。
適切には、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、変種脂質アシルトランスフェラーゼであり得る脂質アシルトランスフェラーゼであり得、その場合、その酵素は、酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含む点で特徴付けることができ、ただし、Xは、以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数であり、かつ変種酵素は、(WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているような)セット2、またはセット4、またはセット6、またはセット7に定義されたアミノ酸残基の任意の1つまたは複数において、親配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む。
例えば、変種脂質アシルトランスフェラーゼは、その酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含むことを特徴とすることができ、ただし、Xは、以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数であり、かつ変種酵素は、親配列を本明細書で定義されたP10480の構造モデルと構造的に整列させることによって同定され、好ましくは、WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているような1IVN.PDBおよび/または1DEO.PDBでのP10480結晶構造座標の構造アラインメントによって得られる、(WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているような)セット2またはセット4またはセット6またはセット7に詳述されたアミノ酸残基の任意の1つまたは複数において、親配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む。
さらなる実施形態において、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、その酵素がアミノ酸配列モチーフGDSXを含むことを特徴とすることができる変種脂質アシルトランスフェラーゼであり得、ただし、Xは、以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数であり、かつ変種酵素は、WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているように、親配列をpfamコンセンサス配列(配列番号2−図3)に対して整列させ、最良適合重複を保証するようにP10480の構造モデルに従って改変した場合に同定されたセット2に教示されるアミノ酸残基の任意の1つまたは複数において、親配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む。
適切には、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、配列番号34との配列アラインメントによって同定された(WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているような)セット2またはセット4またはセット6またはセット7に定義されたアミノ酸残基の任意の1つまたは複数において1つまたは複数のアミノ酸改変を除けば、配列番号68、配列番号16、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、または配列番号35として示されるアミノ酸配列を含み得る変種脂質アシルトランスフェラーゼ酵素であり得る。
あるいは、脂質アシルトランスフェラーゼは、親配列を本明細書で定義されたP10480の構造モデルと構造的に整列させることによって同定され、好ましくは、WO2005/066347および本明細書の下記内に教示されているような1IVN.PDBおよび/または1DEO.PDBでのP10480結晶構造座標の構造アラインメントによって得られる、WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているようなセット2またはセット4またはセット6またはセット7に定義されたアミノ酸残基の任意の1つまたは複数における1つまたは複数のアミノ酸改変を除けば、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号16、配列番号68、配列番号32、配列番号33、または配列番号35として示されるアミノ酸配列を含む変種脂質アシルトランスフェラーゼ酵素であり得る。
あるいは、脂質アシルトランスフェラーゼは、WO2005/066347および本明細書の下記内に教示されているように、親配列をpfamコンセンサス配列(配列番号2)に対して整列させ、最良適合重複を保証するようにP10480の構造モデルに従って改変した場合に同定されたセット2に教示されるアミノ酸残基の任意の1つまたは複数における1つまたは複数のアミノ酸改変を除けば、配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号16、配列番号68、または配列番号35として示されるアミノ酸配列を含む変種脂質アシルトランスフェラーゼ酵素であり得る。
好ましくは、親酵素は、配列番号34および/または配列番号15および/または配列番号35として示されたアミノ酸配列を含む、またはアミノ酸配列と相同である酵素である。
好ましくは、脂質アシルトランスフェラーゼは、WO2005/066347および本明細書の下記に定義されているようなセット2またはセット4またはセット6またはセット7に定義されたアミノ酸残基の任意の1つまたは複数における1つまたは複数のアミノ酸改変を除けば、配列番号34または配列番号35として示されるアミノ酸配列を含む変種酵素であり得る。
セットの定義
アミノ酸セット1:
アミノ酸セット1(これらは1IVN(図53および図54)におけるアミノ酸であることに留意されたい)
Gly8、Asp9、Ser10、Leu11、Ser12、Tyr15、Gly44、Asp45、Thr46、Glu69、Leu70、Gly71、Gly72、Asn73、Asp74、Gly75、Leu76、Gln106、Ile107、Arg108、Leu109、Pro110、Tyr113、Phe121、Phe139、Phe140、Met141、Tyr145、Met151、Asp154His157、Gly155、Ile156、Pro158
GDSxおよび触媒性残基などの高度に保存されたモチーフをセット1から除外した(下線を引いた残基)。誤解を避けるために言えば、セット1は、1IVNモデルの活性部位におけるグリセロールの中央の炭素原子の10Å以内のアミノ酸残基を定義する。
アミノ酸セット2:
アミノ酸セット2(アミノ酸の番号付けは、P10480成熟配列におけるアミノ酸を参照していることに留意されたい)
Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、およびVal290。
セット2と比較したセット1における選択された残基の表
Figure 2011505865
Figure 2011505865
アミノ酸セット3:
アミノ酸セット3は、セット2と同一であるが、Aeromonas salmonicida(配列番号4)コード配列を参照する、すなわち、これが、シグナル配列を含むタンパク質(配列番号25)と比較しての成熟タンパク質(配列番号34)におけるアミノ酸番号付けの間での違いを反映しているため、アミノ酸残基番号はセット3において18大きい。
Aeromonas salmonicida GDSX(配列番号4)およびAeromonas hydrophila GDSX(配列番号34)の成熟タンパク質は、5個のアミノ酸で異なる。これらは、Thr3Ser、Gln182Lys、Glu309Ala、Ser310Asn、およびGly318−であり、ただし、salmonicida残基が最初に挙げられ、hydrophila残基が最後に挙げられている。hydrophilaタンパク質は、317アミノ酸長のみで、位置318において残基を欠く。Aeromonas salmonicida GDSXは、Aeromonas hydrophilaタンパク質よりガラクト脂質基質などの極性脂質へのかなり高い活性を有する。部位スキャニングを、全ての5個のアミノ酸位置について行った。
アミノ酸セット4:
アミノ酸セット4はS3、Q182、E309、S310、および−318である。
アミノ酸セット5:
F13S、D15N、S18G、S18V、Y30F、D116N、D116E、D157N、Y226F、D228N、Y230F。
アミノ酸セット6:
アミノ酸セット6は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318である。
セット6におけるアミノ酸の番号付けは、P10480におけるアミノ酸残基(配列番号25)を参照する−他の配列バックボーンにおける対応するアミノ酸は、P10480および/または1IVNに対する相同性アラインメントおよび/または構造アラインメントによって決定することができる。
アミノ酸セット7:
アミノ酸セット7は、Ser3、Leu17、Lys22、Met23、Gly40、Asn80、Pro81、Lys82、Asn87、Asn88、Trp111、Val112、Ala114、Tyr117、Leu118、Pro156、Gly159、Gln160、Asn161、Pro162、Ser163、Ala164、Arg165、Ser166、Gln167、Lys168、Val169、Val170、Glu171、Ala172、Tyr179、His180、Asn181、Gln182、Met209、Leu210、Arg211、Asn215、Lys284、Met285、Gln289、Val290、Glu309、Ser310、−318、Y30X(XはA、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、またはWから選択される)、Y226X(XはA、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、またはWから選択される)、Y230X(XはA、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、またはWから選択される)、S18X(XはA、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W、またはYから選択される)、D157X(XはA、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、W、またはYから選択される)である。
セット7におけるアミノ酸の番号付けは、P10480におけるアミノ酸残基(配列番号25)を参照する−他の配列バックボーンにおける対応するアミノ酸は、P10480および/または1IVNに対する相同性アラインメントおよび/または構造アラインメントによって決定することができる。
適切には、変種酵素は、親酵素と比較して以下のアミノ酸改変の1つまたは複数を含む:
S3E、A、G、K、M、Y、R、P、N、T、またはG
E309Q、R、またはA、好ましくはQまたはR
−318Y、H、S、またはY、好ましくはY。
好ましくは、GDSXモチーフのXはLである。したがって、好ましくは、親酵素はアミノ酸モチーフGDSLを含む。
適切には、前記の最初の親の脂質アシルトランスフェラーゼは、以下のアミノ酸配列のいずれか一つを含み得る:配列番号34、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、または配列番号35。
適切には、前記の第2の関連脂質アシルトランスフェラーゼは、以下のアミノ酸配列のいずれか一つを含み得る:配列番号3、配列番号34、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号1、配列番号15、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、または配列番号35。
変種酵素は、親酵素と比較して少なくとも1個のアミノ酸改変を含まなければならない。いくつかの実施形態において、変種酵素は、親酵素と比較して少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個、好ましくは少なくとも9個、好ましくは少なくとも10個のアミノ酸改変を含んでもよい。
本明細書において特定のアミノ酸残基に言及する場合、番号付けは、配列番号34または配列番号35として示された参照配列との変種配列のアラインメントから得られるものである。
一態様において、好ましくは、変種酵素は、以下のアミノ酸置換の1つまたは複数を含む:
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、もしくはY;および/または
L17A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
S18A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、W、もしくはY;および/または
K22A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
M23A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Y30A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、もしくはW;および/または
G40A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
N80A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
P81A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
K82A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
W111A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、もしくはY;および/または
A114C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Y117A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、もしくはW;および/または
L118A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
P156A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
G159A、C、D、E、F、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Q160A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
N161A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
P162A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
S163A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、もしくはY;および/または
A164C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
R165A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、もしくはY;および/または
S166A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、もしくはY;および/または
Q167A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
K168A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
V169A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、もしくはY;および/または
V170A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、もしくはY;および/または
E171A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
A172C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、もしくはW;および/または
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
N181A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Q182A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、もしくはY、好ましくはK;および/または
M209A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
L210A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
R211A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Y226A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、もしくはW;および/または
Y230A、C、D、E、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、もしくはW;および/または
K284A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
M285A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
V290A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、もしくはY;および/または
E309A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、もしくはY;および/または
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、もしくはY。
それらに加えて、またはそれらの代替として、1個または複数のC末端伸張があってもよい。好ましくは、追加のC末端伸張は、1個または複数の脂肪族アミノ酸、好ましくは非極性アミノ酸、より好ましくはI、L、V、またはGで構成される。したがって、本発明はさらに、以下のC末端伸張、318I、318L、318V、318Gの1つまたは複数を含む変種酵素を提供する。
好ましい変種酵素は、ホスファチジルコリン(PC)などのリン脂質に対する加水分解性活性が減少し得、またリン脂質からのトランスフェラーゼ活性が増加し得る。
好ましい変種酵素は、ホスファチジルコリン(PC)などのリン脂質からのトランスフェラーゼ活性が増加し得、これらはまた、リン脂質に対する加水分解性活性が増加し得る。
以下の残基の1つまたは複数の改変は、リン脂質に対する絶対的トランスフェラーゼ活性が増加している変種酵素を生じることができる:
S3、D157、S310、E309、Y179、N215、K22、Q289、M23、H180、M209、L210、R211、P81、V112、N80、L82、N88;N87
リン脂質からのトランスフェラーゼ活性が向上している変種酵素を提供することができる特定の好ましい改変は、以下の1つまたは複数から選択することができる:
S3A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、またはY;好ましくは、N、E、K、R、A、P、またはM、最も好ましくは、S3A
D157A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、D157S、R、E、N、G、T、V、Q、K、またはC
S310A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、またはY;好ましくは、S310T
−318E
E309A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、またはY;好ましくは、E309R、E、L、R、またはA
Y179A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、またはW;好ましくは、Y179D、T、E、R、N、V、K、Q、またはS、より好ましくは、E、R、N、V、K、またはQ
N215A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、N215S、L、R、またはY
K22A、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、K22E、R、C、またはA
Q289A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、Q289R、E、G、P、またはN
M23A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、M23K、Q、L、G、T、またはS
H180A、C、D、E、F、G、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、H180Q、R、またはK
M209A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、M209Q、S、R、A、N、Y、E、V、またはL
L210A、C、D、E、F、G、H、I、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、L210R、A、V、S、T、I、W、またはM
R211A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、S、T、V、W、またはY;好ましくは、R211T
P81A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、P81G
V112A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、またはY;好ましくは、V112C
N80A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、N80R、G、N、D、P、T、E、V、A、またはG
L82A、C、D、E、F、G、H、I、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、L82N、S、またはE
N88A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、N88C
N87A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、Q、R、S、T、V、W、またはY;好ましくは、N87M、またはG
以下の残基の1個または複数の好ましい改変は、リン脂質に対する絶対的トランスフェラーゼ活性が増加している変種酵素を生じる:
S3N、R、A、G
M23K、Q、L、G、T、S
H180R
L82G
Y179E、R、N、V、K、またはQ
E309R、S、L、またはA
一つの好ましい改変はN80Dである。これは、特に、参照配列の配列番号35をバックボーンとして用いる場合である。したがって、参照配列は、配列番号16であってもよい。この改変は、1つまたは複数のさらなる改変と組み合わせてもよい。それゆえに、本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号35、または配列番号35に対して75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、さらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質アシルトランスフェラーゼをコードし得る。
上記で述べたように、本明細書で特定のアミノ酸残基に言及する場合、番号付けは、配列番号34または配列番号35として示された参照配列との変種配列のアラインメントから得られるものである。
非常に好ましくは、本発明の方法および使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、配列番号16として示されたアミノ酸配列、または配列番号68として示されたアミノ酸配列、または配列番号16もしくは配列番号68に対して70%以上、好ましくは75%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、さらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む脂質をコードし得る。この酵素は変種酵素とみなすことができる。
本発明の目的にとって、同一性の程度は、同じである配列要素の数に基づいている。アミノ酸配列についての本発明による同一性の程度は、Vector NTI 10(Invitrogen Corp.)などの当技術分野において公知のコンピュータプログラムを用いて適切に決定することができる。ペアワイズアラインメントについて、用いられるスコアは、好ましくは、10.0のギャップ開始ペナルティおよび0.1のギャップ伸張ペナルティでのBLOSUM62である。
適切には、アミノ酸配列に関する同一性の程度は、少なくとも20個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも30個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも40個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも50個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも60個の連続したアミノ酸に対して、決定される。
適切には、アミノ酸配列に関する同一性の程度は、配列全体に対して決定することができる。
適切には、本発明に用いる、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列または脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の属の1つまたは複数由来の生物体から獲得可能、好ましくは獲得することができる:Aeromonas、Streptomyces、Saccharomyces、Lactococcus、Mycobacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Desulfitobacterium、Bacillus、Campylobacter、Vibrionaceae、Xylella、Sulfolobus、Aspergillus、Schizosaccharomyces、Listeria、Neisseria、Mesorhizobium、Ralstonia、Xanthomonas、Candida、Thermobifida、およびCorynebacterium。
適切には、本発明に用いる、脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列または脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、以下の生物体の1つまたは複数から獲得可能、好ましくは獲得することができる:Aeromonas hydrophila、Aeromonas salmonicida、Streptomyces coelicolor、Streptomyces rimosus、Mycobacterium、Streptococcus pyogenes、Lactococcus lactis、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Streptomyces thermosacchari、Streptomyces avermitilis、Lactobacillus helveticus、Desulfitobacterium dehalogenans、Bacillus種、Campylobacter jejuni、Vibrionaceae、Xylella fastidiosa、Sulfolobus solfataricus、Saccharomyces cerevisiae、Aspergillus terreus、Schizosaccharomyces pombe、Listeria innocua、Listeria monocytogenes、Neisseria meningitidis、Mesorhizobium loti、Ralstonia solanacearum、Xanthomonas campestris、Xanthomonas axonopodis、Candida parapsilosis、Thermobifida fusca、およびCorynebacterium efficiens。
一態様において、好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、Aeromonas種、Aeromonas hydrophila、またはAeromonas salmonicidaの1つまたは複数から獲得可能、好ましくは、獲得され、またはそれらに由来する、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼ酵素をコードする。
一態様において、好ましくは、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、Aeromonas種、Aeromonas hydrophila、またはAeromonas salmonicidaの1つまたは複数から獲得可能、好ましくは、獲得され、またはそれらに由来する脂質アシルトランスフェラーゼ酵素である。
本明細書に用いられる場合、用語「トランスフェラーゼ」は、用語「脂質アシルトランスフェラーゼ」と交換可能である。
適切には、本明細書で定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼは、以下の反応、エステル交換、エステル転移、加アルコール分解、加水分解の1つまたは複数を触媒する。
用語「エステル交換」とは、脂質供与体と脂質受容体との間でのアシル基の酵素触媒転移を指し、ただし、その脂質供与体は遊離アシル基ではない。
本明細書で用いられる場合、用語「エステル転移」とは、(遊離脂肪酸以外の)脂質供与体から(水以外の)アシル受容体へのアシル基の酵素触媒転移を意味する。
本明細書で用いられる場合、用語「加アルコール分解」とは、アルコールROHとの反応による酸誘導体の共有結合の酵素的切断を指し、その生成物の一方がアルコールのHと結合し、他方の生成物がアルコールのOR基と結合している。
本明細書に用いられる場合、用語「アルコール」とは、ヒドロキシル基を含むアルキル化合物を指す。
本明細書に用いられる場合、用語「加水分解」とは、脂質から水分子のOH基へのアシル基の酵素触媒転移を指す。
本明細書に用いられる場合、用語「遊離脂肪酸を増加させることなく、または実質的に増加させることなく」とは、好ましくは、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼが100%トランスフェラーゼ活性を有する(すなわち、加水分解活性なしで、アシル基の100%をアシル供与体からアシル受容体上へ転移させる)ことを意味する;しかしながら、その酵素は、脂質アシル供与体に存在するアシル基の100%未満をアシル受容体へ転移させてもよい。その場合、好ましくは、アシルトランスフェラーゼ活性は、全酵素活性の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、およびより好ましくは少なくとも98%を占める。%トランスフェラーゼ活性(すなわち、全酵素活性のパーセンテージとしてのトランスフェラーゼ活性)は、上記で示された「トランスフェラーゼ活性のアッセイ」に従うことによって、決定することができる。
本発明のいくつかの態様において、本明細書に用いられる場合、用語「遊離脂肪酸を実質的に増加させることなく」とは、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼで処理された食用油における遊離脂肪酸量は、例えば、通常のホスホリパーゼ酵素、例えば、Lecitase UltraTM(Novozymes A/S、Denmark)が用いられた場合に生成した遊離脂肪酸量と比較した場合など、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼ以外の酵素が用いられたときに食用油に生成した遊離脂肪酸量より少ないことを意味する。
生成物または組成物に言及するとき、本明細書に用いられる場合の用語「本質的になる」とは、好ましくは、生成物または組成物が、他の生成物または組成物からなる可能性があるが、最高濃度、好ましくは10%、例えば5%、例えば3%、例えば2%もしくは1%、または0.5%もしくは0.1%までだけであることを意味する。
一つの好ましい実施形態において、脂質アシルトランスフェラーゼは、以下の酵素活性の1つまたは複数を有するリパーゼと組み合わせて用いられる:グリコリパーゼ活性(E.C.3.1.1.26)、ホスホリパーゼA2活性(E.C.3.1.1.4)、またはホスホリパーゼA1活性(E.C.3.1.1.32)。適切には、リパーゼ酵素は、当技術分野内で周知であり、例として、以下のリパーゼが挙げられる:ホスホリパーゼA1 LECITASE(登録商標) ULTRA(Novozymes A/S、Denmark)、ホスホリパーゼA2(例えば、Biocatalysts製のLIPOMODTM22L、Genecor製のLIPOMAXTMおよびLysoMax PLA2TMからのホスホリパーゼA2)、LIPOLASE(登録商標)(Novozymes A/S、Denmark)。
いくつかの実施形態において、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、および/またはホスホリパーゼDなどのホスホリパーゼと脂質アシルトランスフェラーゼの使用を組み合わせることは、有益であり得る。
組み合わされた使用は、連続的に行っても、同時に行ってもよい、例えば、脂質アシルトランスフェラーゼ処理は、さらなる酵素処理の前に起こっても、またはその間に起こってもよい。あるいは、さらなる酵素処理が、脂質アシルトランスフェラーゼ処理の前に起こっても、その間に起こってもよい。
連続的酵素処理の場合、いくつかの実施形態において、第2(および/または第3など)の酵素での処理の前に、例えば、熱不活性化によって、または固定化酵素の使用によって、用いられた第1の酵素を除去することが有利の場合がある。
転写後および翻訳後改変
適切には、本発明による脂質アシルトランスフェラーゼは、本明細書に教示されたヌクレオチド配列のいずれか一つによってコードされ得る。
用いられる宿主細胞に依存して、転写後および/または翻訳後改変を行ってもよい。本発明の方法および/または使用に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、転写後および/または翻訳後改変を受けている脂質アシルトランスフェラーゼを含むことが構想される。
ほんの一例として、(例えば、Bacillus licheniformisなどの)宿主細胞における配列番号49(図57参照)として本明細書に示されたヌクレオチド配列の発現は、配列番号68(図73参照)として本明細書に示されたアミノ酸配列をもたらす転写後および/または翻訳後改変を生じる。
配列番号68は、配列番号68が、38個のアミノ酸を除去する転写後および/または翻訳後改変を受けていることを除いて、(本明細書の図1に示された)配列番号16と同じである。
単離
一態様において、脂質アシルトランスフェラーゼは、回収された/単離された脂質アシルトランスフェラーゼである。したがって、産生された脂質アシルトランスフェラーゼは単離された形であり得る。
別の態様において、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、単離された形であり得る。
用語「単離された」とは、配列またはタンパク質が、その配列またはタンパク質が、本来かつ天然で見出される場合、自然に付随している少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含まないことを意味する。
精製
一態様において、脂質アシルトランスフェラーゼは、精製された形であり得る。
別の態様において、本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、精製された形であり得る。
用語「精製された」とは、配列が、相対的に純粋な状態−例えば、少なくとも約51%純粋、または少なくとも約75%純粋、または少なくとも約80%純粋、または少なくとも約90%純粋、または少なくとも約95%純粋、または少なくとも約98%純粋であることを意味する。
本発明によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のクローニング
本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドかまたは改変に適しているポリペプチドかのいずれかをコードするヌクレオチド配列は、前記ポリペプチドを産生する任意の細胞または生物体から単離することができる。ヌクレオチド配列の単離のための様々な方法が、当技術分野内で周知である。
例えば、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーは、そのポリペプチドを産生する生物体由来の染色体DNAまたはメッセンジャーRNAを用いて構築することができる。そのポリペプチドのアミノ酸配列が公知である場合には、標識オリゴヌクレオチドプローブを合成し、それらを用いて、その生物体から調製されたゲノムライブラリーからポリペプチドコード化クローンを同定することができる。あるいは、別の公知のポリペプチド遺伝子と相同の配列を含む標識オリゴヌクレオチオドプローブを用いて、ポリペプチドコード化クローンを同定することができる。後者の場合、より低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件および洗浄条件が用いられる。
あるいは、ポリペプチドコード化クローンは、ゲノムDNAの断片をプラスミドなどの発現ベクターへ挿入し、酵素陰性細菌をその生じたゲノムDNAライブラリーで形質転換し、その後、形質転換された細菌を、そのポリペプチドによって阻害される酵素を含む寒天上に蒔き、それにより、そのポリペプチドを発現するクローンが同定されるのを可能にすることによって、同定することができる。
なおさらなる代替として、そのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、確立された標準方法、例えば、Beucage S.L.ら(1981年)Tetrahedron Letters、22巻、1859〜1869頁に記載されたホスホラミダイト方法、またはMatthesら(1984年)EMBO J.、3巻、801〜805頁に記載された方法によって合成的に調製してもよい。ホスホラミダイト方法において、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成機で合成され、精製され、アニールされ、ライゲーションされ、適当なベクター内でクローン化される。
ヌクレオチド配列は、標準技術に従って、(必要に応じて)合成起源、ゲノム起源、またはcDNA起源の断片をライゲーションすることによって調製されるゲノム起源と合成起源の混合、合成起源とcDNA起源の混合、またはゲノム起源とcDNA起源の混合であってもよい。それぞれのライゲーションされた断片は、ヌクレオチド配列全体の様々な部分に対応する。DNA配列はまた、例えば、US4,683,202またはSaiki R Kら(Science(1988年)、239巻、487〜491頁)に記載されているように、特定のプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって調製してもよい。
ヌクレオチド配列
本発明はまた、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。本明細書に用いられる場合、用語「ヌクレオチド配列」は、オリゴヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列、ならびに(その部分などの)それの変種、相同体、断片、および誘導体を指す。ヌクレオチド配列は、ゲノム起源でも、合成起源でも、組換え起源でもよく、それが、二本鎖でも、またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖にかかわらず、一本鎖でもよい。
本発明に関しての用語「ヌクレオチド配列」は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、およびRNAを含む。好ましくは、それは、DNA、より好ましくはコード配列についてのcDNAを意味する。
好ましい実施形態において、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列自体は、それが、それの/それらの天然環境下においても存在するその自然に付随した(1つまたは複数の)配列に連結している場合のそれの天然環境下における天然ヌクレオチド配列を網羅しない。参照しやすいように、本発明者らは、この好ましい実施形態を「非天然ヌクレオチド配列」と呼ぶことにする。この関連において、用語「天然ヌクレオチド配列」は、それの天然環境下にあり、かつそれが自然に付随しているプロモーター全体に作動可能に連結している場合のヌクレオチド配列全体を意味し、そのプロモーターもまたそれの天然環境下にある。したがって、本発明のポリペプチドは、それの本来の生物体においてであるが、そのヌクレオチド配列が、それがその生物体内で自然に付随しているプロモーターの制御下ではない場合において、ヌクレオチド配列によって発現することができる。
好ましくは、ポリペプチドは天然ポリペプチドではない。この関連において、用語「天然ポリペプチド」は、それの天然環境下にあり、かつそれがそれの天然ヌクレオチド配列によって発現している場合のポリペプチド全体を意味する。
典型的には、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、組換えDNA技術(すなわち、組換えDNA)を用いて調製される。しかしながら、本発明の代替の実施形態において、ヌクレオチド配列は、当技術分野において周知の化学的方法(Caruthers MHら(1980年)Nuc Acids Res Symp Ser 215〜23頁、およびHom Tら(1980年)Nuc Acids Res Symp Ser 225〜232頁参照)を用いて、全部または一部において、合成することができる。
分子進化
いったん酵素コード化ヌクレオチド配列が単離されたならば、または推定の酵素コード化ヌクレオチド配列が同定されたならば、選択されたヌクレオチド配列を改変することが望ましい場合があり、例えば、本発明による酵素を調製するためにその配列を突然変異させることが望ましい場合がある。
突然変異は、合成オリゴヌクレオチドを用いて導入してもよい。これらのオリゴヌクレオチドは、所望の突然変異部位に隣接するヌクレオチド配列を含む。
適切な方法は、Morinagaら(Biotechnology(1984年)2巻、646〜649頁)に開示されている。突然変異を酵素コード化ヌクレオチド配列に導入する別の方法は、NelsonおよびLong(Analytical Biochemistry(1989年)、180巻、147〜151頁)に記載されている。
上記などの部位特異的突然変異誘発の代わりに、例えば、Stratagene製のGeneMorph PCR突然変異誘発キット、またはClontech製のDiversify PCRランダム突然変異誘発キットなどの市販のキットを用いて、ランダムに突然変異を導入することができる。EP0583265は、PCRに基づいた突然変異誘発を最適化する方法に言及しており、その方法はまた、EP0866796に記載されたものなどの変異原性DNA類似体の使用と組み合わせることができる。エラープローンPCRテクノロジーは、好ましい特性を有する脂質アシルトランスフェラーゼの変種の産生に適している。WO0206457は、リパーゼの分子進化に言及している。
新規の配列を得るための第3の方法は、制限酵素をいくつでもか、またはデオキシリボヌクレアーゼIなどの酵素かのいずれかを用いることによって、非同一ヌクレオチド配列を断片化することであり、機能性タンパク質をコードする完全ヌクレオチド配列を再構成する。あるいは、1つまたは複数の非同一ヌクレオチド配列を用い、完全ヌクレオチド配列の再構成中に突然変異を導入することができる。DNAシャッフリングおよびファミリーシャッフリングテクノロジーは、好ましい特性を有する脂質アシルトランスフェラーゼの変種の産生に適している。「シャッフリング」を行うための適切な方法は、EP0752008、EP1138763、EP1103606に見出すことができる。シャッフリングはまた、US6,180,406およびWO01/34835に記載されているような他の型のDNA突然変異誘発と組み合わせることができる。
したがって、インビボまたはインビトロのいずれでも、多数の部位特異的またはランダム突然変異をヌクレオチド配列に引き起こすこと、およびその後、様々な手段によってコード化ポリペプチドの機能性の向上についてスクリーニングすることが可能である。例えば、コンピュータ内およびエキソ媒介性組換え方法(WO00/58517、US6,344,328、US6,361,974参照)を用いて、生じた変種が、公知の酵素またはタンパク質との相同性が非常に低く保持されている、分子進化を実行することができる。それにより得られたそのような変種は、公知のトランスフェラーゼ酵素に対して有意な構造的類似性を有し得るが、アミノ酸配列相同性が非常に低い。
非限定的例として、加えて、ポリヌクレオチド配列の突然変異体または天然変種は、野生型かまたは他の突然変異体かまたは天然変種かのいずれかと組み換えて、新しい変種を生じることができる。そのような新しい変種もまた、コード化ポリペプチドの機能性の向上についてスクリーニングすることができる。
上記および類似した分子進化方法の適用によって、タンパク質構造または機能のいかなる予備知識もなしに、好ましい特性を有する本発明の酵素の変種の同定および選択が可能になり、予測不可能であるが、有益な突然変異体または変種の作製が可能になる。当技術分野において、酵素活性の最適化または変化のための分子進化の適用の多数の例があり、そのような例として、以下の1つまたは複数が挙げられるが、それらに限定されるわけではない:宿主細胞またはインビトロにおける発現および/または活性の最適化、酵素活性の増加、基質および/または生成物特異性の変化、酵素的または構造的安定性の増加または減少、好ましい環境条件、例えば、温度、pH、基質における酵素活性/特異性の変化。
当業者には明らかなように、分子進化ツールを用いて、酵素を変化させ、酵素の機能性を向上させることができる。
適切には、本発明に用いられる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、変種脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる、すなわち、脂質アシルトランスフェラーゼは、親酵素と比較した場合、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失、または付加を含むことができる。変種酵素は、親酵素との少なくとも1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%相同性を保持する。適切な親酵素として、エステラーゼまたはリパーゼ活性を有する任意の酵素を挙げることができる。好ましくは、親酵素は、pfam00657コンセンサス配列と整列する。
好ましい実施形態において、変種脂質アシルトランスフェラーゼ酵素は、GDSx、GANDY、およびHPTブロックに見出されるpfam00657コンセンサス配列アミノ酸残基の少なくとも1つまたは複数を保持し、または組み入れる。
水性環境において脂質アシルトランスファラーゼ活性がないまたは低い、リパーゼなどの酵素は、分子進化ツールを用いて突然変異させて、トランスフェラーゼ活性を導入または増強し、それによって、本発明の組成物および方法に用いるのに適した有意なトランスフェラーゼ活性を有する脂質アシルトランスフェラーゼ酵素を生じることができる。
適切には、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、親酵素と比較した場合、極性脂質、好ましくはリン脂質および/または糖脂質への酵素活性が増強している変種であり得る脂質アシルトランスフェラーゼをコードすることができる。好ましくは、そのような変種はまた、極性リゾ脂質への活性が低いまたはない。極性脂質、リン脂質、および/または糖脂質への活性の増強は、加水分解および/もしくはトランスフェラーゼ活性、または両方の組合せの結果である可能性がある。
変種脂質アシルトランスフェラーゼは、親酵素と比較して、トリグリセリドおよび/またはモノグリセリドおよび/またはジグリセリドへの活性が減少している場合がある。
適切には、変種酵素は、トリグリセリドおよび/またはモノグリセリドおよび/またはジグリセリドへの活性を含み得ない。
あるいは、変種酵素は熱安定性が増加している場合がある。
変種酵素は、以下、極性脂質、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン、糖脂質、ジガラクトシルモノグリセリド、モノガラクトシルモノグリセリドの1つまたは複数への活性が増加している場合がある。
脂質アシルトランスフェラーゼの変種は公知であり、そのような変種の1つまたは複数は、本発明による方法および使用に、ならびに/または本発明による酵素組成物に用いるのに適している可能性がある。ほんの一例として、脂質アシルトランスフェラーゼの変種は、以下の参考文献に記載されており、本発明に従って用いられる可能性がある:HiltonおよびBuckley J Biol. Chem. 1991年1月15日、266巻(2号):997〜1000頁;Robertsonら、J. Biol. Chem. 1994年1月21日、269巻(3号):2146〜50頁;Brumlikら、J. Bacteriol 1996年4月、178巻(7号):2060〜4頁;Peelmanら、Protein Sci. 1998年3月、7巻(3号):587〜99頁。
アミノ酸配列
本発明はまた、本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の使用を含む。
本明細書に用いられる場合、用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」および/または用語「タンパク質」と同義である。場合によっては、用語「アミノ酸配列」は、用語「ペプチド」と同義である。
アミノ酸配列は、適切な供給源から調製/単離してもよいし、合成的に作製してもよいし、組換えDNA技術の使用によって調製してもよい。
適切には、アミノ酸配列は、標準技術によって、本明細書に教示された単離ポリペプチドから得ることができる。
単離ポリペプチドからアミノ酸配列を決定するための一つの適切な方法は以下の通りである:
精製されたポリペプチドを凍結乾燥し、100μgのその凍結乾燥材料を8Mの尿素および0.4Mの炭酸水素アンモニウムの50μlの混合物、pH8.4の50μlに溶解することができる。溶解したタンパク質を、窒素でのオーバーレイおよび5μlの45mMのジチオスレイトールの添加後、50℃で15分間、変性および還元することができる。室温まで冷却後、5μlの100mMのヨードアセトアミドを加えて、窒素の存在下、暗闇中、室温で15分間、システイン残基を誘導体化することができる。
135μlの水および5μlの水中5μgのエンドプロテイナーゼLys−Cを上記反応混合物に加え、窒素の存在下、37℃で24時間、消化を行うことができる。
生じたペプチドを、溶媒A:水中0.1%TFAおよび溶媒B:アセトニトリル中0.1%TFAを用いてVYDAC C18カラム(0.46×15cm;10μm;The Separation Group、California、USA)での逆相HPLCによって分離することができる。選択されたペプチドを、N末端シーケンシングの前に、同じ溶媒系を用いてDevelosil C18カラムで再びクロマトグラフ分析を行うことができる。シーケンシングは、製造会社の使用説明書(Applied Biosystems、California、USA)に従って、パルス液体高速サイクルを用いるApplied Biosystems 476Aシーケンサーを用いて行うことができる。
配列同一性または配列相同性
本明細書では、用語「相同体」は、本アミノ酸配列および本ヌクレオチド配列とある特定の相同性を有する実体を意味する。本明細書では、用語「相同性」は、「同一性」と同等とみなすことができる。
相同的なアミノ酸配列および/またはヌクレオチド配列は、機能的活性を保持し、および/または酵素の活性を増強するポリペプチドを提供および/またはコードするはずである。
本コンテクストにおいて、相同配列は、本配列と少なくとも75%、85%、または90%同一、好ましくは少なくとも95%または98%同一であり得るアミノ酸配列を含むものと解釈される。典型的には、相同体は、本アミノ酸配列と同じ活性部位などを含むであろう。相同性はまた、類似性に関して考えることもできるが(すなわち、類似した化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)、本発明のコンテクストにおいては、配列同一性に関して相同性を表すことが好ましい。
本コンテクストにおいて、相同配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(本配列)と少なくとも75%、85%、または90%同一、好ましくは少なくとも95%または98%同一であり得るヌクレオチド配列を含むと解釈される。典型的には、相同体は、活性部位などをコードする、本配列と同じ配列を含むであろう。相同性はまた、類似性に関して考えることもできるが(すなわち、類似した化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)、本発明のコンテクストにおいては、配列同一性に関して相同性を表すことが好ましい。
相同性比較は、目によって、またはより通常には、容易に利用可能なアラインメントプログラムの助けを借りて、行うことができる。これらの市販されているコンピュータプログラムは、2つ以上の配列の間の%相同性を計算することができる。
%相同性は、連続した配列に対して計算することができる、すなわち、一方の配列を、他方の配列と整列させ、一方の配列における各アミノ酸を、他方の配列における対応するアミノ酸と、1残基ずつ、直接比較する。これは、「非ギャップド」アラインメントと呼ばれる。典型的には、そのような非ギャップドアラインメントは、比較的少ない数の残基に対してのみ実行される。
これは非常に単純かつ一貫性のある方法であるが、例えば、他の点では同一の配列のペアにおいて、1つの挿入または欠失が、それに次に続くアミノ酸残基をアラインメントから締め出し、全体的なアラインメントが実行された場合、%相同性の大きな低下を生じる可能性があることを考慮することができない。それゆえに、たいていのアラインメント方法は、全体的な相同性スコアに過度にペナルティを科すことなく、可能性のある挿入および欠失を考慮する最適なアラインメントを生じるように設計される。これは、局所的相同性を最大にするように試みるために配列アラインメントに「ギャップ」を挿入することによって達成される。
しかしながら、これらのより複雑な方法は、アラインメントに生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当て、その結果、同数の一致アミノ酸について、できる限りギャップが少ない−2つの比較された配列の間のより高い関連性を反映する−配列アラインメントは、多いギャップを有するものより高いスコアに達するであろう。典型的には、ギャップおよびギャップ中の各後続残基のより小さいペナルティの存在について比較的高いコストを負担させる「アフィンギャップコスト」が用いられる。これは、最も一般的に用いられるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティは、もちろん、ギャップがより少ない最適化アラインメントを生じるであろう。たいていのアラインメントプログラムについては、ギャップペナルティを改変することは可能である。しかしながら、アラインメントのためにそのようなソフトウェアを用いる場合、デフォルト値を用いることが好ましい。
それゆえに、最高%相同性の計算は、まず、ギャップペナルティを考慮する、最適なアラインメントの作成を必要とする。そのようなアラインメントを実行するための適切なコンピュータプログラムはVector NTI(Invitrogen Corp.)である。アラインメントを実行することができる他のソフトウェアの例として、BLASTパッケージ(Ausubelら、1999年、Short Protocols in Molecular Biology、第4版−18章参照)、およびFASTA(Altschulら、1990年、J. Mol. Biol. 403〜410頁)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。BLASTもFASTAも、オフライン検索およびオンライン検索として利用可能である(Ausubelら、1999年、7−58〜7−60頁参照)。しかしながら、一部の適用については、Vector NTIプログラムを用いることが好ましい。BLAST2配列と呼ばれる新しいツールもまた、タンパク質配列およびヌクレオチド配列を比較するのに利用できる(FEMS Microbiol Lett、1999年、174巻(2号):247〜50頁;FEMS Microbiol Lett、1999年、177巻(1号):187〜8頁およびtatiana@ncbi.nlm.nih.gov参照)。
最終%相同性は、同一性に関して測定することができるが、アラインメントプロセスはそれ自体、典型的には、全か無かのペア比較に基づいていない。代わりに、化学的類似性または進化距離に基づいて、各ペアワイズ比較にスコアを割り当てる目盛りのある類似性スコアマトリックスが一般的に用いられる。よく用いられるそのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス−BLASTプログラム一式についてのデフォルトマトリックス−である。Vector NTIプログラムは、一般的に、公開デフォルト値かまたは供給されている場合にはカスタムシンボル比較表のいずれかを用いる(さらなる詳細についてはユーザーマニュアル参照)。一部の適用については、Vector NTIパッケージについてのデフォルト値を用いることが好ましい。
あるいは、パーセンテージ相同性は、CLUSTAL(Higgins DGおよびSharp PM(1988年)、Gene、73巻(1号)、237〜244頁)に類似したアルゴリズムに基づいて、Vector NTI(Invitrogen Corp.)においてマルチプルアラインメント機構を用いて計算してもよい。
いったんソフトウェアが最適なアラインメントを作成したならば、%相同性、好ましくは%配列同一性を計算することが可能である。典型的には、ソフトウェアは、アラインメントの一部としてこれを行い、数値結果を生み出す。
配列同一性を決定するとき、ギャップペナルティが用いられたならば、好ましくは、以下のパラメーターがペアワイズアラインメントに用いられる:
Figure 2011505865
一実施形態において、好ましくは、ヌクレオチド配列についての配列同一性は、ギャップペナルティおよびギャップ伸張が上記に定義されているように設定されたCLUSTALを用いて決定される。
適切には、ヌクレオチド配列に関しての同一性度は、少なくとも20個の連続したヌクレオチドに対して、好ましくは少なくとも30個の連続したヌクレオチドに対して、好ましくは少なくとも40個の連続したヌクレオチドに対して、好ましくは少なくとも50個の連続したヌクレオチドに対して、好ましくは少なくとも60個の連続したヌクレオチドに対して、好ましくは少なくとも100個の連続したヌクレオチドに対して、決定される。
適切には、ヌクレオチド配列に関しての同一性度は、配列全体に対して決定され得る。
一実施形態において、本発明によるアミノ酸配列同一性度は、適切には、Vector NTI 10(Invitrogen Corp.)などの当技術分野において公知のコンピュータプログラムを用いて決定され得る。ペアワイズアラインメントについて、用いられるマトリックスは、好ましくは、10.0のギャップ開始ペナルティおよび0.1のギャップ伸張ペナルティを用いるBLOSUM62である。
適切には、アミノ酸配列に関しての同一性度は、少なくとも20個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも30個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも40個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも50個の連続したアミノ酸に対して、好ましくは少なくとも60個の連続したアミノ酸に対して、決定される。
適切には、アミノ酸配列に関しての同一性度は、配列全体に対して決定され得る。
配列はまた、サイレント変化を起こし、結果として、機能的に等価の物質を生じるアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換を有してもよい。計画的なアミノ酸置換は、物質の二次結合活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて、実施されてもよい。例えば、負荷電アミノ酸として、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる;正荷電アミノ酸として、リシンおよびアルギニンが挙げられる;ならびに、類似した親水性値を有する非荷電極性頭部基を有するアミノ酸として、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが挙げられる。
保存的置換は、例えば、下記の表に従って、実施することができる。第2列において同じブロックにあり、かつ好ましくは第3列において同じ行にあるアミノ酸はお互いに置換することができる:
Figure 2011505865
本発明はまた、起こり得る相同的置換(置換も取り換えも、本明細書では、現存するアミノ酸残基の代替残基での交換を意味するように用いられる)、すなわち、塩基性に対して塩基性、酸性に対して酸性、極性に対して極性などの同種置換を含む。非相同的置換、すなわち、1つのクラスの残基から別のクラスの残基へ、あるいはオルニチン(以下、Zと呼ぶ)、ジアミノ酪酸オルニチン(以下、Bと呼ぶ)、ノルロイシンオルニチン(以下、Oと呼ぶ)、ピリイルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、およびフェニルグリシンなどの非天然アミノ酸の包含を含むこともまた起こってもよい。
取り換えもまた、非天然アミノ酸によって行われてもよい。
変種アミノ酸配列は、グリシンまたはβ−アラニン残基などのアミノ酸スペーサーに加えてメチル基、エチル基、またはプロピル基などのアルキル基を含む配列の任意の2個のアミノ酸残基の間に挿入することができる適切なスペーサー基を含んでもよい。ペプトイドの形をとる1個または複数のアミノ酸残基の存在を含むさらなる型のバリエーションは、当業者には十分理解されているであろう。誤解を避けるために言えば、「ペプトイドの形」は、α−炭素置換基がα−炭素よりむしろ残基の窒素原子上にある変種アミノ酸残基を指すように用いられる。ペプトイドの形をとるペプチドを調製するためのプロセスは、当技術分野において公知であり、例えば、Simon RJら、PNAS(1992年)89巻(20号)、9367〜9371頁、およびHorwell DC、Trends Biotechnol.(1995年)13巻(4号)、132〜134頁である。
本発明に用いる、または本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、それらの内に合成または改変ヌクレオチドを含んでもよい。オリゴヌクレオチドへのいくつかの異なる型の改変は、当技術分野において公知である。これらには、メチルホスホン酸バックボーンおよびホスホロチオエートバックボーン、ならびに/または分子の3’末端および/もしくは5’末端におけるアクリジンもしくはポリリシン鎖の付加が挙げられる。本発明の目的にとって、本明細書に記載されたヌクレオチド配列は、当技術分野において利用可能な任意の方法によって改変され得ることは理解されるべきである。そのような改変は、ヌクレオチド配列のインビボの活性または寿命を増強するために行うことができる。
本発明はまた、本明細書で考察された配列、またはそれらの任意の誘導体、断片、もしくは誘導体に相補的であるヌクレオチド配列の使用を含む。配列がその断片に相補的である場合には、その配列は、他の生物体などにおいて類似したコード配列を同定するためのプローブとして用いることができる。
本発明の配列と100%相同ではないが、本発明の範囲内にあるポリヌクレオチドは、いくつかの方法で得ることができる。本明細書に記載された配列の他の変種は、例えば、様々な個体、例えば、異なる集団からの個体から作製されたDNAライブラリーを探索することによって、得ることができる。加えて、他のウイルス/細菌の相同体、または細胞の相同体、特に哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシ、および霊長類の細胞)に見出される細胞の相同体を獲得してもよく、そのような相同体およびそれらの断片は、一般的に、本明細書に列挙された配列に示される配列に選択的にハイブリダイズする能力がある。そのような配列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを探索し、中程度から高度のストリンジェンシーの条件下で添付の配列表における配列のいずれか1つの全部または一部を含むプローブでそのようなライブラリーを探索することによって得ることができる。本発明のポリペプチド配列またはヌクレオチド配列の種相同体および対立遺伝子多型を得ることに同様の考慮が適用される。
変種および菌株/種相同体はまた、本発明の配列内の保存的アミノ酸配列をコードする、変種および相同体内の配列を標的にするように設計されたプライマーを用いる縮重PCRを用いて得ることもできる。保存的配列は、例えば、いくつかの変種/相同体由来のアミノ酸配列を整列させることによって、予測することができる。配列アラインメントは、当技術分野において公知のコンピュータソフトウェアを用いて実行することができる。例えば、GCG Wisconsin PileUpプログラムは広く用いられている。
縮重PCRに用いられるプライマーは、1つまたは複数の縮重位置を含み、公知の配列に対する単一配列プライマーで配列をクローン化するのに用いられるものより低いストリンジェンシー条件で用いられる。
あるいは、そのようなポリヌクレオチドは、特徴付けられた配列の部位特異的突然変異誘発によって得ることができる。これは、例えば、サイレントコドン配列変化が、ポリヌクレオチド配列が発現することになっている特定の宿主細胞についてのコドン選択を最適化することを必要とする場合に有用であり得る。他の配列変化は、制限酵素ポリペプチド認識部位を導入するために、またはポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの性質もしくは機能を変化させるために望まれる場合がある。
本発明のポリヌクレオチド(ヌクレオチド配列)は、プライマー、例えば、PCRプライマー、代替の増幅反応のプライマー、例えば放射性もしくは非放射性標識を用いる通常の手段によって顕色性標識で標識されたプローブを作製するために用いてもよいし、そのポリヌクレオチドをベクターへクローン化してもよい。そのようなプライマー、プローブ、および他の断片は、少なくとも15ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長、例えば、少なくとも25ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、または40ヌクレオチド長であり、また、本明細書に用いられる場合の本発明のポリヌクレオチドという用語によって含まれる。
本発明によるDNAポリヌクレオチドおよびプローブなどのポリヌクレオチドは、組換えで、合成的に、または当業者に利用可能な任意の手段によって作製することができる。それらはまた、標準技術によってクローン化することができる。
一般的に、プライマーは、1ヌクレオチドずつの所望の核酸配列の段階的製造を含む合成手段によって作製される。自動化技術を用いてこれを達成するための技術は、当技術分野において容易に利用できる。
より長いポリヌクレオチドは、一般的に、組換え手段、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて、作製される。これは、クローン化することが望まれる脂質標的配列の領域に隣接する(例えば、約15〜30ヌクレオチドの)プライマー対を作製する段階、そのプライマーを動物細胞またはヒト細胞から得られたmRNAまたはcDNAと接触させる段階、所望の領域の増幅を引き起こす条件下でポリメラーゼ連鎖反応を実行する段階、増幅された断片を(例えば、その反応混合物をアガロースゲル上で精製することによって)単離する段階、および増幅されたDNAを回収する段階を含む。増幅DNAを適切なクローニングベクターへクローン化することができるように、適切な制限酵素認識部位を含むようにプライマーを設計してもよい。
ハイブリダイゼーション
本発明はまた、本発明の配列に相補的である配列、または本発明の配列かもしくはそれらと相補的である配列かのいずれかにハイブリダイズする能力がある配列の使用を含む。
本明細書で用いられる場合、用語「ハイブリダイゼーション」は、「核酸鎖が塩基対形成を通して相補鎖と接合するプロセス」、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)テクノロジーで実行されるような増幅のプロセスを含むものとする。
本発明はまた、本明細書で考察された本配列、またはそれらの任意の誘導体、断片、もしくは誘導体に相補的である配列にハイブリダイズする能力があるヌクレオチド配列の使用を含む。
本発明はまた、本明細書で考察されたヌクレオチド配列にハイブリダイズする能力がある配列に相補的である配列を含む。
ハイブリダイゼーション条件は、BergerおよびKimmel(1987年、Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology、152巻、Academic Press、San Diego CA)に教示されているように、ヌクレオチド結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、下記で説明されているように、定義された「ストリンジェンシー」を与える。
最高ストリンジェンシーは、典型的には、約Tm−5℃(プローブのTmより5℃低い)で起こる;高ストリンジェンシーは、Tmより約5℃〜10℃低くで;中間ストリンジェンシーは、Tmより約10℃〜20℃低くで;および低ストリンジェンシーは、Tmより約20℃〜25℃低くで起こる。当業者には理解されているように、最高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、同一のヌクレオチド配列を同定または検出するために用いることができ、一方、中間(または低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、類似したまたは関連したポリヌクレオチド配列を同定または検出するために用いることができる。
好ましくは、本発明は、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に高ストリンジェンシー条件または中間ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする能力がある配列に相補的である配列の使用を含む。
より好ましくは、本発明は、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に高ストリンジェンシー条件(例えば、65℃および0.1×SSC{1×SSC=0.15MのNaCl、0.015MのNaクエン酸、pH7.0})下でハイブリダイズする能力がある配列に相補的である配列の使用を含む。
本発明はまた、(本明細書で考察されたものの相補的配列を含む)本明細書に考察されたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用に関する。
本発明はまた、(本明細書で考察されたものの相補的配列を含む)本明細書に考察されたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる配列に相補的であるヌクレオチド配列の使用に関する。
中間から最高のストリンジェンシーの条件下で本明細書で考察されたヌクレオチド配列にハイブリダイズする能力があるポリヌクレオチド配列の使用もまた、本発明の範囲内に含まれる。
好ましい態様において、本発明は、本明細書で考察されたヌクレオチド配列またはその相補体にストリンジェントな条件(例えば、50℃および0.2×SSC)下でハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用を網羅する。
より好ましい態様において、本発明は、本明細書で考察されたヌクレオチド配列またはその相補体に高ストリンジェンシーの条件(例えば、65℃および0.1×SSC)下でハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列の使用を網羅する。
ポリペプチドの発現
本発明に用いるヌクレオチド配列、または本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするためのヌクレオチド配列は、組換えの複製可能なベクターへ組み入れることができる。ベクターは、適合性の宿主細胞中に、および/またはその宿主細胞から、ポリペプチドの形で、ヌクレオチド配列を複製および発現させるために用いることができる。発現は、プロモーター/エンハンサーおよび他の発現制御シグナルを含む調節配列を用いて調節することができる。原核生物のプロモーター、および真核細胞において機能し得るプロモーターを用いてもよい。組織特異的または刺激特異的プロモーターを用いてもよい。上記の2つ以上の異なるプロモーター由来の配列エレメントを含むキメラプロモーターもまた、用いてもよい。
ヌクレオチド配列の発現によって宿主組換え細胞により産生されたポリペプチドは、用いられる配列および/またはベクターに依存して、分泌されてもよいし、細胞内に含まれてもよい。コード配列は、特定の原核細胞膜または真核細胞膜を通して物質コード配列の分泌を指示するシグナル配列と共に設計することができる。
構築物
用語「構築物」−「コンジュゲート」、「カセット」、および「ハイブリッド」などの用語に関する同義語である−は、プロモーターに直接的または間接的に付着した、本発明に従って用いる、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。間接的付着の例は、プロモーターと本発明のヌクレオチド配列の間に入る、Sh1イントロンまたはADHイントロンなどのイントロン配列などの適切なスペーサー群の供給である。直接的または間接的付着を含む本発明に関しての用語「融合した」についても同じである。場合によっては、それらの用語は、野生型遺伝子プロモーターと通常付随したタンパク質をコードするヌクレオチド配列で、かつそれらがどちらもそれらの天然環境下にある場合のその天然の組合せを網羅しない。
構築物は、遺伝子構築物の選択を可能にするマーカーをさらに含み、または発現させてもよい。
一部の適用については、好ましくは、構築物は、少なくとも本発明のヌクレオチド配列、またはプロモーターに作動可能に連結された、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
生物体
本発明に関しての用語「生物体」は、本発明によるヌクレオチド配列、もしくは本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および/またはそれらから得られる産物を含み得る任意の生物体を含む。
本発明に関しての用語「トランスジェニック生物体」は、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および/もしくはそれから得られる産物を含む任意の生物体を含み、ならびに/またはプロモーターが、前記生物体内で本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を可能にすることができる。好ましくは、ヌクレオチド配列は、生物体のゲノムに組み入れられている。
用語「トランスジェニック生物体」は、天然環境下における天然のヌクレオチドコード配列であって、また天然環境下にあるそれらの本来のプロモーターの調節下にある場合の天然ヌクレオチドコード配列を網羅しない。
それゆえに、本発明のトランスジェニック生物体として、本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、本明細書に定義されているような構築物、本明細書に定義されているようなベクター、本明細書に定義されているようなプラスミド、本明細書に定義されているような細胞、またはそれらの産物のいずれか1つ、またはそれらの組合せを含む生物体が挙げられる。例えば、トランスジェニック生物体はまた、天然で脂質アシルトランスフェラーゼをコードする配列と付随していないプロモーターの調節下で本明細書で定義されているような特定の性質を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
宿主細胞/生物体の形質転換
宿主生物体は、原核生物または真核生物であり得る。
適切な原核生物宿主の例として、E.coliおよびBacillus licheniformis、好ましくはB.licheniformisなどの細菌が挙げられる。
原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当技術分野において十分、文書化されており、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたい。原核生物宿主が用いられる場合には、ヌクレオチド配列は、形質転換の前に、イントロンの除去によるなどの適切に改変される必要がある可能性がある。
別の実施形態において、トランスジェニック生物体は酵母であり得る。
糸状菌細胞は、当技術分野において公知の様々な方法−公知の様式における、プロトプラスト形成およびプロトプラストの形質転換、続いて細胞壁の再生を含むプロセスなど−を用いて形質転換することができる。宿主微生物としてのAspergillusの使用は、EP0238023に記載されている。
別の宿主生物体は植物であり得る。植物を形質転換するために用いられる一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol[1991年]42巻:205〜225頁)およびChristou(Agro−Food−Industry Hi−Tech 1994年3月/4月、17〜27頁)による論文に見出すことができる。植物形質転換に関するさらなる教示は、EP−A−0449375に見出すことができる。
真菌、酵母、および植物の形質転換に関する一般的な教示は、以下のセクションに提示されている。
形質転換真菌
宿主生物体は、糸状菌などの真菌であってもよい。適切なそのような宿主の例として、Thermomyces属、Acremonium属、Aspergillus属、Penicillium属、Mucor属、Neurospora属、Trichoderma属などに属する任意のメンバーが挙げられる。
糸状菌を形質転換することに関する教示は、糸状菌の形質転換およびその真菌を培養することについての標準的技術は当技術分野において周知であると述べているUS−A−5741665に概説されている。N.crassaに適用されているような広範囲に及ぶ技術の概説は、例えば、Davisおよびde Serres、Methods Enzymol(1971年)17A巻:79〜143頁に見出される。
糸状菌を形質転換することに関するさらなる教示は、US−A−5674707に概説されている。
一態様において、宿主生物体は、Aspergillus nigerなどのAspergillus属であり得る。
本発明によるトランスジェニックAspergillusはまた、例えば、Turner G. 1994年(Vectors for genetic manipulation、Martinelli S.D.、Kinghorn J.R.(編)Aspergillus: 50 years on、Progress in industrial microbiology、29巻、Elsevier Amsterdam、1994年、641〜666頁)の教示に従うことによって調製することもできる。
糸状菌における遺伝子発現は、Puntら(2002年)Trends Biotechnol 2002年5月、20巻(5号):200〜6頁、ArcherおよびPeberdy Crit Rev Biotechnol(1997年)17巻(4号):273〜306頁に概説されている。
形質転換酵母
別の実施形態において、トランスジェニック生物体は酵母であり得る。
酵母における異種性遺伝子発現の原理の概説は、例えば、Methods Mol Biol(1995年)、49巻:341〜54頁、およびCurr Opin Biotechnol(1997年)10月、8巻(5号):554〜60頁に提供されている。
この関連において、Saccharomyces cerevisi種またはPichia pastoris種などの酵母(FEMS Microbiol Rev(2000年 24巻(1号):45〜66頁)参照)は、異種性遺伝子発現のための媒体として用いることができる。
Saccharomyces cerevisiaeにおける異種性遺伝子発現および遺伝子産物の分泌の原理の概説は、E Hinchcliffe E Kenny(1993年、「Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes」、Yeasts、5巻、Anthony H RoseおよびJ Stuart Harrison編、第2版、Academic Press Ltd.)によって提供されている。
酵母の形質転換について、いくつかの形質転換プロトコールが開発されている。例えば、本発明によるトランスジェニックSaccharomycesは、Hinnenら(1978年、Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA、75巻、1929頁)、Beggs, J D(1978年、Nature, London、275巻、104頁)、およびIto, Hら(1983年、J Bacteriology 153巻、163〜168頁)の教示に従うことによって調製することができる。
形質転換酵母細胞は、栄養要求性マーカー、ドミナント抗生物質抵抗性マーカーなどの様々な選択マーカーを用いて選択することができる。
適切な酵母宿主生物体は、生物工学的に関連した酵母種から選択することができ、例えば、Pichia種、Hansenula種、Kluyveromyces、Yarrowinia種、S.cerevisiaeを含むSaccharomyces種、またはSchizosaccharomyce pombeを含むSchizosaccharomyce種から選択される酵母種などであるが、それらに限定されるわけではない。
メチロトローフの酵母種の菌株、Pichia pastorisを宿主生物体として用いてもよい。
一実施形態において、宿主生物体は、(WO01/39544に記載されているような)H.polymorphaなどのHansenula種であってもよい。
形質転換植物/植物細胞
本発明に適した宿主生物体は植物であり得る。一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol[1991年]42巻:205〜225頁)およびChristou(Agro−Food−Industry Hi−Tech 1994年3月/4月 17〜27頁)による論文、またはWO01/16308に見出すことができる。トランスジェニック植物は、例えば、植物ステロールエステルおよび植物スタノールエステルのレベルの増強を生じることができる。
それゆえに、本発明はまた、本明細書に定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼを(特に、本明細書に定義されているような脂質アシルトランスフェラーゼを含む発現ベクターまたは構築物を)植物細胞に形質転換する段階、および形質転換植物細胞から植物を生長させる段階を含む、植物ステロールエステルおよび植物スタノールエステルのレベルが増強しているトランスジェニック植物の作製のための方法に関する。
分泌
しばしば、ポリペプチドが発現宿主から培地へ分泌されることが望ましくあり、その酵素はより容易にその培地から回収することができる。本発明によれば、分泌リーダー配列は、所望の発現宿主に基づいて選択することができる。ハイブリッドシグナル配列もまた、本発明のコンテクストに関して、用いてもよい。
天然で脂質アシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列と付随していない分泌リーダー配列の典型的な例は、真菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子(glaA−例えばAspergillus由来の、18アミノ酸型および24アミノ酸型の両方)、a因子遺伝子(酵母、例えば、Saccharomyces、Kluyveromyces、およびHansenula)、またはα−アミラーゼ遺伝子(Bacillus)に由来するものである。
検出
アミノ酸配列の発現を検出および測定するための様々なプロトコールは当技術分野において公知である。例として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)が挙げられる。
幅広い種類の標識およびコンジュゲーション技術は当業者に公知であり、様々な核酸およびアミノ酸アッセイに用いることができる。
Pharmacia Biotech(Piscataway、NJ)、Promega(Madison、WI)、およびUS Biochemical Corp(Cleveland、OH)などのいくつかの会社が市販のキットおよびこれらの手順についてのプロトコールを供給している。
適切なレポーター分子または標識として、それらの放射性核種、酵素、蛍光性、化学発光性、または発色性作用物質、加えて、基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などが挙げられる。そのような標識の使用を教示する特許として、US−A−3,817,837、US−A−3,850,752、US−A−3,939,350、US−A−3,996,345、US−A−4,277,437、US−A−4,275,149、およびUS−A−4,366,241が挙げられる。
また、組換え免疫グロブリンを、US−A−4,816,567に示されているように産生することができる。
融合タンパク質
本発明に用いる脂質アシルトランスフェラーゼは、例えば、その抽出および精製を助けるために、融合タンパク質として産生されてもよい。融合タンパク質パートナーの例として、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合ドメインおよび/または転写活性化ドメイン)、およびβ−ガラクトシダーゼが挙げられる。融合タンパク質配列の除去を可能にするために融合タンパク質パートナーと対象となるタンパク質配列との間にタンパク質分解性切断部位を含むことも便利である場合がある。好ましくは、融合タンパク質は、タンパク質配列の活性を妨げないようにする。
E.coliにおける遺伝子融合発現系は、Curr.Opin.Biotechnol.(1995年)6巻(5号):501〜6頁に概説されている。
本明細書に定義されているような特定の性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列を、非天然配列に連結して、融合タンパク質をコードしてもよい。例えば、その物質の活性に影響する能力がある作用物質についてのペプチドライブラリーのスクリーニングについて、市販されている抗体によって認識される非天然エピトープを発現するキメラ物質をコードすることが有用である場合がある。
これから、本発明を、ほんの一例として、以下の図および実施例を参照して記載するつもりである。
(実施例1)
Bacillus licheniformisにおけるKLM3’の発現
脂質アシルトランスフェラーゼ(配列番号16、本明細書以下においてKLM3’とする)をコードするヌクレオチド配列(配列番号49)をBacillus licheniformisにおいて、B.licheniformis [α]−アミラーゼ(LAT)のシグナルペプチドとの融合タンパク質として発現させた(図53および54を参照されたい)。Bacillusにおける最適な発現のために、コドン最適化遺伝子構築物(no.052907)をGeneart(Geneart AG、Regensburg、Germany)に注文した。
構築物no.052907は、不完全なLATプロモーター(−10配列のみ)をLAT−KLM3’前駆体遺伝子の前に、およびLAT転写物(Tlat)をLAT−KLM3’前駆体遺伝子の下流に含む(図53および55を参照されたい)。完全なLATプロモーターに隣接するLAT−KLM3’前駆体遺伝子を5’末端に、およびLATターミネーターを3’末端に含有するXhoI断片を作製するために、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅をプライマーPlat5XhoI_FWおよびEBS2XhoI_RVならびに鋳型としての遺伝子構築物052907で実施した。
Plat5XhoI_FW:
Figure 2011505865
EBS2XhoI_RV:
Figure 2011505865
PCRを製造者の説明書に従ってサーモサイクラー上でPhusion High Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzymes OY、Espoo、Finland)で実施した(アニーリング温度、55℃)。
得られたPCR断片を供給者(Invitrogen、Carlsbad、Calif.USA)の説明書に従って制限酵素XhoIで消化し、T4 DNAリガーゼでXhoI消化plCatHに連結した。
連結混合物を米国特許出願US20020182734(国際公開WO02/14490)に記載の通りB.subtilis SC6.1株に導入し形質転換した。LAT−KLM3’前駆体遺伝子を含有するXhoI挿入物の配列をDNA配列決定(BaseClear、Leiden、The Netherlands)によって確認し、正しいプラスミドクローンの1つをplCatH−KLM3’(ori1)と名付けた(図53)。plCatH−KLM3’(ori1)を許容温度(37℃)でB.licheniformis BML780株(BRA7およびBML612の派生物、WO2005111203を参照されたい)に導入し形質転換した。
ネオマイシン耐性(neoR)かつクロラムフェニコール耐性(CmR)の形質転換体を選択し、BML780(plCatH−KLM3’(ori1))と名付けた。BML780(plCatH−KLM3’(ori1))中のプラスミドをB.licheniformisゲノム上のcatH領域に、株を5[mu]g/mlクロラムフェニコールを含む培地で非許容温度(50℃)で増殖させることによって組み込んだ。CmR耐性クローン1個を選択し、BML780−plCatH−KLM3’(ori1)と名付けた。BML780−plCatH−KLM3’(ori1)をベクター配列を外に出すために、抗生物質を含ませずに再び許容温度で数世代増殖させ、次いでネオマイシン感受性(neoS)、CmRクローン1個を選択した。このクローンでは染色体上のplCatHのベクター配列は(ネオマイシン耐性遺伝を含んで)切り出され、catH−LATKLM3’カセットだけが残る。次に染色体上のcatH−LATKLM3’カセットを、株をクロラムフェニコールの濃度を漸増させた培地中/上で増殖させることによって増幅させた。様々な回数の増幅後、クローン(50[mu]g/mlクロラムフェニコールに対して耐性)1個を選択し、BML780−KLM3’CAP50と名付けた。KLM3’発現を確認するためにBML780−KLM3’CAP50およびBML780(形質転換していない宿主株)を48時間、37℃で、1%トリブチリンを含むHeart Infusion(Bacto)アガープレート上で増殖させた。脂質アシルトランスフェラーゼの活性を示す透明な領域がBML780−KLM3’CAP50コロニーの周囲に明らかに観察されたが、宿主株BML780の周囲ではされなかった(図56を参照されたい)。この結果は相当量のKLM3’がB.licheniformis株BML780−KLM3’CAP50で発現され、これらのKLM3’分子が機能性であることを示している。
(比較実施例1)
ベクター構築
プラスミド構築物は、AsnからAspへの置換を位置80(KLM3’)に有する天然Aeromonas salmonicidaグリセロリン脂質−コレステロールアシルトランスフェラーゼの成熟形態をp32プロモーターの支配下にCGTaseシグナル配列と共にコードする配列を保持しているpCCmini派生物であるpCS32new N80Dである。
発現のために使用した宿主株は、bacillus subtilis OS21ΔAprE株である。
発現レベルはトランスフェラーゼ活性として測定し、エステル化されたコレステロールの%として表し、供与体としてのPC(Tpc)と受容体分子としてのコレステロールとの反応においての、参照試料中の遊離コレステロールと酵素試料中の遊離コレステロールとの差異から算出する。
培養条件
50mg/lカナマイシンを補充したLBブロス5ml(10g/l酵素消化カゼイン、5g/l低ナトリウム酵母エキス、5g/l塩化ナトリウム、2g/l Inert錠剤化補助剤)に単一コロニーを接種し、30℃、6時間、205rpmでインキュベートした。この培養物0.7mlを、50mg/lカナマイシンおよび高マルトースデンプン加水分解物溶液(60g/l)を補充したSAS培地(10g/l KHPO 、40g/l MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、5g/l塩化ナトリウム、5滴/l消泡剤(Sin 260)、20g/l脱脂ダイズ粉、20g/lバイオスプリンガー106(100%dw YE))50mlに接種するために使用した。インキュベーションは、19000rpm、30分間の遠心分離によって培養上清を分離する前に40時間、30℃、180rpmで継続した。上清を清浄なチューブに移し、トランスフェラーゼ活性の測定に直接使用した。
基質の調製および酵素反応
PC(Avanti Polar Lipids #441601)およびコレステロール(Sigma C8503)を9:1の比で秤量し、クロロホルムに溶解し、乾燥のために蒸発させた。
基質は、50mM Hepes緩衝液pH7中に、3% PC:コレステロール 9:1を分散させることによって調製した。
基質溶液0.250mlをスクリュー蓋付きの3mlガラス試験管に移した。培養上清0.025mlを加え、混合物を40℃、2時間インキュベートした。酵素の代わりに水を含む参照試料も調製した。反応混合物を沸騰水浴中で10分間加熱し、酵素反応を停止させた。コレステロールアッセイ分析に供する前に、99%エタノール2mlを反応混合物に加えた。
コレステロールアッセイ
0.1M Tris−HCl pH6.6および0.5%TritonX−100(Sigma X−100)中に1.4U/mlコレステロール酸化酵素(SERVA Electrophoresis GmbH cat.No17109)、0.4mg/ml ABTS(Sigma A−1888)、6U/mlペルオキシダーゼ(Sigma 6782)を含有する基質100μlを、酵素反応試料5μlを加えて混合する前に37℃、5分間インキュベートした。反応混合物をさらに5分間インキュベートし、OD405を測定した。コレステロール含有量を、0.4mg/ml、0.3mg/ml、0.20mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/mlおよび0mg/mlのコレステロールを99%EtOH中に含有するコレステロールの標準溶液の分析から算出した。
結果
表は別々の8個の発現培養物の平均を示す。
Figure 2011505865
(実施例2)
水脱ガムにおける脂質アシルトランスフェラーゼの使用
材料および方法
酵素
KLM3’:配列番号68(本明細書において「K932」とも称する)を有する実施例1で説明した脂質アシルトランスフェラーゼ−1128TIPU/ml。
油:
SBO 1:Solae、Aarhus、DK.27.09.2007 Delite(カナダ産のマメに由来)からの粗製ダイズ油
SBO 2:ブラジル産の粗製ダイズ油
RSO 3:Aarhus Karslhamn産の粗製抽出ナタネ油
RSO 4:Scanola、Aarhus、DK産の粗製圧搾ナタネ油
SPectra Lipid、Germanyからのダイズレシチン混合標準物(ST16)
方法:
HPTLC:
アプリケーター:Automatic TLC Sampler4、CAMAG
HPTLCプレート:20×10cm、Merck no.1.05641 使用前に160℃で10分間活性化。
添加:
油相:クロロホルム:メタノール 2:1中の油の8%溶液5μlをAutomatic TLC Samplerを使用してHPTLCプレートに添加した。
ガム相:油10グラムからのガム相をクロロホルム:メタノール 2:1の7.5mlに溶解した。
試料1μlをHPTLCプレートに添加した。
TLCアプリケーター
ランニング緩衝液6:クロロホルム:1−プロパノール:酢酸メチル:メタノール:水中の0.25%KCl 25:25:25:10:9
ランニング緩衝液5:P−エーテル:MTBE 30:70
溶出:プレートをCamagからのAutomatic Developing Chamber ADC2を使用して7cm溶出させた。
発色:
プレートをオーブンで160℃、10分間乾燥させ、冷却し、16%HPO中の6%酢酸銅(II)に浸した。さらに160℃で10分間乾燥させ、直接評価した。
発色後、プレートをCamag Scanner上で走査し、TLCプレート上の各成分(スポット)の面積を算出した。
算出
油相:
油相中のリン脂質の量を、公知の濃度のリン脂質(PE、PA、PI、PC、PS)を含む標準レシチンを様々な濃度で油試料と同じTLCプレート上で分析することによって算出した。標準混合物に基づいて各リン脂質についての検量線を作成し、油試料中の各リン脂質のリン脂質濃度の算出のために使用した。分子量に基づいてリン脂質の濃度をppm P(リン)に換算した。
ガム相:
ガム相中のトリグリセリドの含有量を、ガム相と同じプレート上で標準精製植物油を分析することに基づいて算出した。植物油の分析に基づいて検量線を作成し、ガム相中のトリグリセリドの算出のために使用した。
ガム相中のリン脂質の分析は、対照(酵素を添加しない)から様々な容量のガム相を他のガム相と同じプレート上に添加することに基づいた。対照ガム相中のリン脂質(PEおよびPA)の分析に基づいて検量線を作成し、100%と定義した対照中のリン脂質の量と比較した酵素処理試料中のリン脂質の量の算出のために使用した。
pH測定
油脱ガム由来試料のpHを、http://www.3i−usa.com/downloads/hydrop man.pdfに記載の蛍光法によって分析した、すなわちpH測定は、Presens、Josef Engert Str.11、D−93053 Regensburg、GermanyからのHydroPlate(登録商標)HP96Cを使用することによって実行した。
HydroPlate(登録商標)は、96個の統合されたセンサーを備える通常の96ウェル形式の滅菌済み、ポリスチレンマイクロタイタープレートである。センサーは各ウェルの底に固定されている。センサーは、底側から読み取ることができる。これは、ほとんどの市販の蛍光プレートリーダーによって実行できる。アッセイは、2つの異なる蛍光色素:pH感受性指示薬および不活性参照色素による。この組合せは、実験の最も厳密な結果を達成するための正確な内部参照シグナルを保証する。
pHは、代替えとしてBo Yangら、JAOCS、83巻、7号(2006年)653〜658頁によりpH電極を使用しても測定できる。
油中の水の定量
油中の残存水をAOCS法Ca 2c−25または同等法によって定量する。
GLC分析
WCOT溶融シリカカラム12.5m×0.25mm ID×0.1μフィルム厚 5%フェニル−メチル−シリコン(ChrompackからのCP Sil 8 CB)を備えたPerkin Elmer Autosystem 9000 Capillary Gas Chromatograph。
キャリアガス:ヘリウム
インジェクター、PSSI cold split injection(初期温度50℃を385℃に加熱)、容量1.0μl
検出器FID:395℃
Figure 2011505865
試料調製:試料50mgを内部標準ヘプタデカン0.5mg/mlを含有するピリジン12mlに溶解した。次いで試料溶液500μlをクリンプバイアルに移し、MSTFA:TMCS−99:1(N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオラセアミド)100μlを加え、20分間、60℃で反応させた。
算出:ステロール、パルミチン酸ステロールおよびステアリン酸ステロールに対する応答計数を純粋な参照物質(純物質8〜10mgを、内部標準ヘプタデカン0.5mg/mlを含有する12mlピリジン中に秤量する)から決定した。
酵素アッセイ:TIPU
基質
0.6%L−αホスファチジルコリン 95%Plant(Avanti #441601)、0.4%Triton−X 100(Sigma X−100)および5mM CaClを0.05M HEPES緩衝液pH7に溶解した。
アッセイ手順
基質34μlをKoneLab自動化分析機を使用してキュベットに加えた。T=0分に酵素溶液4μlを加えた。酵素の代わりに水を用いたブランクも分析した。試料を混合し、30℃で10分間インキュベートした。
試料の遊離脂肪酸含有量をWAKO GmbHからのNEFA Cキットを使用して分析した。
酵素活性TIPU pH7をアッセイ条件下で1分間に生成された脂肪酸のマイクロモル数として算出した。
実験室規模での脱ガム手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、50℃または55℃または60℃または65℃または70℃に加熱した。
次いで水を油に加え、続いて酵素を加えた。油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。
30、120または180分後、油10mlを12ml遠心チューブ(予め秤量した)に移した。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱し、次いで5000gで5分間直ちに遠心分離した。
油をガム相からデカントし、チューブを30分間ドレインし、両方の相の重量を測定した(図75を参照されたい)。
油相を遊離ステロール、ステロールエステルおよび遊離脂肪酸についてGLCで分析し、油相もTLCによって分析した(図76を参照されたい)。
結果
(実施例2a)
この実験においてKLM3’を粗製SBO1の水脱ガムプロセスにおいて検査した。
油1g当たり0.1〜0.5TIPUの異なる投与量のKLM3’を検査し、Ultra Turrax混合の影響も検査した。
下の表は図77と共に、KLM3’で処理した試料でのガム相の明確な減少および油の収率(油相中の)の向上を示す。
約2%の油の増加が観察され、収率の増加は酵素投与量を増加させることによって獲得された傾向があった。
混合もガム相に影響を有した。酵素添加直後の油の30秒間のUltra Turrax処理は、より少ないガム相を生じたが、酵素添加の効果はUltra Turrax混合を行っても行わなくてもほとんど同じであったことが観察された。産業においては、水の添加後にスタティックミキサーまたはダイナミックミキサーを介して油を押し出すことは普通のことであり、これを実験室規模で模倣するためにUltra Turrax混合を使用することを決めた。
Figure 2011505865
(実施例2b)
2種の異なる粗製SBOを、KLM3’酵素の添加を行うまたは行わない標準的手順による水脱ガムにおいて検査した。酵素投与量は0.25TIPU/gであった。
Figure 2011505865
下の表に示す結果は、反応時間30分間後および120分間後の両方でガム相の明確な減少を示し、それは、より多い油の収率に対応する。油相中のステロールおよびステロールエステルの分析は、酵素処理試料中でのステロールからステロールエステルへのより高い転換を示した。加水分解活性も生じていたことから遊離脂肪酸(FFA)の量が増加したことも観察される。
Figure 2011505865
(実施例2c)
この実験において異なる投与量のKLM3’を50℃でのSBO 2の水脱ガムにおいて検査した。異なるレベルの水、すなわち1.5%、2%および2.5%も酵素の添加を行うまたは行わないプロセスで検査した。
Figure 2011505865
表ならびに下の図78、図79、図80、図81、図82、図83および図84において示す結果は、ガム相の量の減少を明確に表し、ガム相と油相との合計が100%であることから、アシルトランスフェラーゼ(KLM3’)が油相中での油の収率の向上に寄与することが結論される。
ガム相中のリン脂質の含有量が酵素処理試料において減少したことが観察された。ガム相においてホスファチジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジン酸(PA)の両方が、酵素処理をしていないガム相におけるこれらのリン脂質の量と比較して減少していた。ガム相中のトリグリセリドの量も、酵素処理したガム相において少なく、これも酵素処理試料における油の収率(油相での)の増加を確認する。
予想された通り、粗製ダイズ油に添加した水の量もガム相の量に影響を示したが、結果は酵素添加を行わない対照と比較してでの、水の異なる添加量での収率におけるアシルトランスフェラーゼの効果も確認した(図80を参照されたい)。
水脱ガム実験において、pHは5.5〜6の範囲であり、それは低い投与量での高い酵素活性およびステロールからステロールエステルへの高い転換を説明する。
Figure 2011505865
分析は2回反復で実施し、結果をStatGraphic S Plusソフトウェアを使用する結果の統計的評価のために使用した。
(実施例2d)
異なる温度での油の収率へのKLM3’の効果を調査するために、酵素を55、60、65および70℃でのSBO2の水脱ガムにおいて検査した。
Figure 2011505865
下の表に示す結果は、ガム相の量へのKLM3’の効果を明確に表す。油1g当たり0.1TIPUの投与量は、全ての温度においてガムの量の有意な減少をもたらした。0.2および0.3への酵素量の増加は、ガム相をさらに少し減少させた。
結果
異なる温度、反応時間および酵素投与量でのSBO 2の水脱ガムによる%ガム相
Figure 2011505865
(実施例3)
パイロットプラントでの酵素的水脱ガム
処方
試験的水脱ガム試験において適用した成分
バッチ1:対照、70℃
バッチ2:酵素使用(すなわち、配列番号68として本明細書に示すアミノ酸配列を有する脂質アシルトランスフェラーゼK932(本明細書においてKLM3’とも称する))、70℃
バッチ3:対照、55℃、および
バッチ4:酵素使用(すなわち、配列番号68として本明細書に示すアミノ酸配列を有する脂質アシルトランスフェラーゼK932(本明細書においてKLM3’とも称する))、55℃
Figure 2011505865
水脱ガムパイロットプラント手順
50リットルタンク中で油を最初にNカバーおよび撹拌下で加熱した。その後水(および酵素)を油に加えた。最初の実験(バッチ1および2)においては、水および酵素の添加後に油をホモジナイザー(Silverson、Chesham Sweden)を使用して再循環させた。バッチ3および4においては、タンク中の撹拌を低下させるために再循環ポンプだけを使用した。
酵素活動の30分後に実験室での分析のために油試料を回収し(バッチ1〜4)、酵素を不活性化するために沸騰水浴中に置いた(10分間)。タンク中の残りの油の不活性化を、油を(撹拌下で)75℃に加熱することによって実施した。続いて予熱した(温水)遠心機(Alfa Laval)で遠心分離を実施し、油相をバケットに移し、秤量した。異なる遠心分離能力の調整を検査した、遠心機の容量が油の量と比較して大きすぎたことから分離されたガム相をモニターすることはできなかった。したがってガム相は、それが溜まった遠心機の蓋から回収した。
実験室での水脱ガムおよび遠心分離
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱した。水を油に加え、続いて酵素を加えた。油をUltra Turraxミキサーを使用して30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。30分後、油10mlを12ml遠心チューブ(予め秤量した)に移した。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱し、次いで様々な相対遠心力(500、1000、2500および5000)で様々な時間(3、6および10分間)直ちに遠心分離した。
油をガム相からデカントし、チューブを15分間ドレインし、両方の相の重量を測定した。油相を遊離フィトステロール、ステロールエステルおよび遊離脂肪酸についてGLCで分析し、油相をHPTLCによって分析した。
結果および考察
油の収率
図85は、本発明による粗製ダイズ油の酵素的脱ガムから獲得された油の収率の増加を対照と比較して示す。油を漸増する相対遠心力(rcf)(500、1000、2500および5000)で3分間遠心分離し、酵素的試料中のガム量を減算した対照中のガムの量(%)から油の収率を算出する。
対照と比較して酵素的脱ガムにおいて油の収率が増加し、rcfの減少と共に油の収率が増加することが明確に観察される。
遠心分離の効果
様々な時間(棒の中の分)遠心分離した油試料から獲得されたガム中のトリグリセリドの量およびガムの量をバッチ3および4について図86に示す。
結果は、rcfが従来法の脱ガム(青い棒)から獲得されたガムの量(%)に影響することを示す。最初に、低いrcf(500〜1000)で、ガムの量は、2500から5000の相対遠心力で獲得された量と比較して多い(高トリグリセリド含有量)。遠心時間(3、6および10分間)は、少なくとも5000rcfで遠心分離した場合はガムの量に影響しないようである。
本発明による酵素的脱ガムから獲得されたガムを精査すると、量はrcfおよび時間に影響されないようである。理論に縛られなければ、これは従来法と本発明による酵素的脱ガムとから獲得されるガムの間の粘性における差異によって説明できる。図87にガム相での粘性の測定値が示されている。粘性は、両方の種類のガムについてずり速度の増大と共に減少するが、しかし粘性は本発明による酵素的脱ガムから獲得されたガムにおいてより大きく減少する。
さらに、本発明によって達成された油の収率の増加、粘性の減少は、産業用水脱ガム加工について他の利益も有する可能性がある。それは生産能力が増大し得ることであろう。
(実施例4)
粗製ダイズ油の水脱ガムにおけるNaOHの評価
処方
Figure 2011505865
水脱ガムの実験室用手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱した。水およびNaOHを油に加え、続いて酵素を加えた。油をUltra Turraxミキサーを使用して30秒間均質化し、磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。30分後、油およそ10mlを12ml遠心チューブ(予め秤量した)に移した。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱した。
結果と考察
油の収率の分析
図88は、KLM3’(すなわち、配列番号68として本明細書に示すアミノ酸配列を有する脂質アシルトランスフェラーゼK932(本明細書においてKLM3’とも称する))(0.1TIPU−k/g)および漸増する量のNaOH(0、0.1、0.2、0.5、1、1.5および1.9ml 4%溶液)での酵素的脱ガムから獲得した油の収率の増加を示す。算出は、酵素的試料中のガム量を減算した対照におけるガム量に基づく。
油の収率の最も高い増加は、NaOHを使用しない酵素的脱ガムによって達成され、一般に油の収率(%)の増加は、NaOHの量の増加と共に減少する。これは、NaOHの量の増加に伴うトリグリセリドのけん化の増加から説明できるであろう。しかし対照および酵素的脱ガム試料中のトリグリセリドを精査すると(図89)、NaOHを使用せずに通常観察されるものと比べてNaOH処理されたガムにおいて含有量は顕著には高くない。NaOHを使用しない酵素的試料におけるトリグリセリドのレベルもまた、それまでの観察と同程度である。
油中の脂肪酸、フィトステロールおよびフィトステロールエステルの分析
対照および酵素的脱ガム油中のフィトステロール、フィトステロールエステルおよび脂肪酸の含有量を図90に示す。フィトステロールエステルの含有量は、0.19%(対照)から0.42%(NaOH 0.2ml)に増加し、最大に達する。この時点後、フィトステロールエステルは0.15%に減少する。したがって0.3%から0.12%へのフィトステロールの最初の減少に続いて、0.12%から0.28%への増加が観察される。
FFAは、同様にpH6.3(NaOH 0.2ml)まで、主にけん化の増加によって増加する。
結果は、より高いpHでの水脱ガムの実行は脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’のトランスフェラーゼ活性を増大させることを明確に示す。pHにおけるわずかな上昇でさえ(例えばNaOH 0.1ml)、油中のFFAの形成にほとんど影響することなく(0.02%増加)フィトステロールエステルの形成をおよそ50%増加させる。FFAが脱臭ステップにおいて蒸発し、したがって油の損失とみなされることからFFAにおける増加は考慮すべき重要なことである。
油中のリン脂質含有量の分析
表2は、漸増する量のNaOH(0、0.1、0.2、0.5、1および1.9ml)で脱ガムした油中(対照および酵素的試料)のリン脂質(ホスファチジル−エタノールアミンおよびホスファチジン酸)の含有量(ppm)を示す。
Figure 2011505865
リンの最も大きな減少(40.2ppm)は、NaOH 0.1ml(pH6.3)で脱ガムした油で観察されるが、同様の含有量が通常の脱ガム条件下(NaOH 0ml)でも獲得される。したがって、pHの1.0単位の上昇が、KLM3’の加水分解活性に影響するようである。6.3より高いpH(>0.2ml NaOH)では、「通常の」酵素的条件と比較してリン脂質分解の減少が観察される。
ガム中のリン脂質含有量の分析
図91は、対照と比較して酵素的ガム試料におけるホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルイノシトール(PI)の相対的分解を示す。対照でのリン脂質の分解を100%と設定し、酵素的試料中の含有量を対照と比較して算出する。
NaOH 0、0.1および 0.2mlでの酵素的試料におけるリン脂質の分解は、類似している。それゆえに、0.2ml未満の量でのNaOHの添加は、KLM3’だけでの酵素的脱ガムと比較してリン脂質の分解を改善しない。対照的に分解の減少が、NaOHをより多い量(0.5、1および1.9ml)で添加した油において観察される。
結論
予測された通り、粗製ダイズ油の水脱ガムにおけるNaOHでのpHの上昇は、KLM3’の活性の増大を生じた。フィトステロールエステルの形成は、NaOHの量の増加とともに増加した。最大フィトステロールエステルレベル(0.42%)はpH6.3(NaOH 0.2ml)で獲得され、その後連続的に減少した。油中のFFAについて同様の傾向が観察され、対照の0.46%からNaOH 0.2mlで脱ガムした油中での0.60%に増加し、その後減少した。
NaOH 0および0.1mlで脱ガムした油中で同程度のレベルのリン脂質が観察されたように、少量のNaOHは、KLM3’の加水分解活性に影響しなかった。ガム相中のリン脂質の分解は7.5を超えるpH(NaOH >0.5ml)で通常の酵素的脱ガム(KLM3’のみ)と比較して低下していた。
油の収率の最も高い増加は、NaOHを使用しない酵素的脱ガムによって達成され、一般に油の収率の増加%は、NaOHの量の増加と共に減少する。
本実験の結論は、水脱ガムにおけるフィトステロールエステルの形成のためには少量のNaOHは有利であり得るが、しかしNaOHは油の収率およびリン脂質の分解のためには積極的には添加されない。
(実施例5)
酵素的水脱ガム由来のガム相の分析−顕微鏡およびX線分析
Figure 2011505865
水脱ガムの実験室用手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱した。水を油に加え、続いて酵素を加えた。油をUltra Turraxミキサーを使用して30秒間均質化し、磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。30分後、油を遠心分離(2000rcf、3分間)した。ガム相を顕微鏡およびX線分析のために採取した。
結果および考察
顕微鏡/X線分析
対照および酵素的水脱ガム試験(後者は本発明による)からのガムを顕微鏡およびX線分析のために回収した。ガム相を様々な温度(25、35、45、55および65℃)で顕微鏡(直線偏光)で検査した。図92で対照および酵素的試料(25℃)について見られる通り全ての温度においてガムは、ラメラ相(水層によって分離された脂質二重層)になっていた。
対照と酵素的試料との間にいくつかの差異が見られる。対照ガムは、本発明による酵素的ガム試料よりも粗く見える。対照と酵素的試料との間の差異は、図93において見られる通りX線分析からも観察できる。
酵素処理試料と比較して、対照におけるおよそ20Åのより大きな間隙は、脂肪酸(C18)の長さに相当する。間隙は、水とリン脂質の層を表しており、したがって、対照におけるより大きな間隙は、対照が脂肪酸の追加的な単層を含有することまたはガム相でより多くの水が吸収されていることを説明できる。
(実施例6)
沈降検査
Figure 2011505865
手順
粗製ダイズ油200gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱した。水を油に加え、続いて酵素を加えた。油をUltra Turraxミキサーを使用して30秒間均質化し、磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。30分後、試料を分液漏斗に入れた。ガム相の写真を1、3および6日後に撮った。6日後ガムを顕微鏡分析のために採取した。
結果
ガム相/顕微鏡の写真
図94において、油相およびガム相が対照および酵素的試料について観察できる。重力による沈降を3日間実施した。油相およびガム相の両方から見られる通り、対照と酵素的試料との間に明らかな差異が存在する。
酵素処理した(すなわち本発明によって処理した)油の油相は、対照より澄んでおり、対照と比較してガム相の量の減少が観察される。結果は、顕微鏡分析からも説明できる(図95)。酵素処理ガムは乳濁液として観察されるが、対照ガムはラメラ相である。
(実施例7)
粗製ダイズ油の酵素的脱ガムにおける水量の変動の評価
Figure 2011505865
水脱ガムの実験室用手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱した。水を油に加え、続いて酵素を加えた。油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。30分後、油およそ10mlを12ml遠心チューブ(予め秤量した)に移した。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱した。チューブを300rcfで3分間遠心分離した。油をガム相からデカントし、チューブを逆さまにして15分間ドレインした。ガム相の重量に基づいて油の収率を算出した。
結果および考察
油の収率
図96は、様々な量の水での粗製ダイズ油の酵素的水脱ガムから獲得された油の収率の増加を示す。油の収率の増加は、酵素的試料でのガムの量を減算した対照でのガムの量から算出する。
酵素的脱ガムは、対照と比較して増加した油の収率によると考えられ、油の収率は水の量の減少と共に増加するようである。水を2%から1%に減少させると油の収率は対照と比較して酵素的脱ガムにおいておよそ50%増加する。
これらの計算は、ガムの量に基づいており、したがってガム相中のトリグリセリド含有量も含んでいる。正確な油の損失を(ガムの量およびガム中のトリグリセリド含有量に基づいて)精査すると(図97)、油の損失は水含有量の増加とともに対照において減少する。しかし酵素的脱ガムにおいて油の損失は水の量によっていくらも影響されない。対照における3.5〜6.5%と比較して酵素的脱ガムにおいてはおよそ2%の油が失われる。
酵素的水脱ガムにおける水の量の減少は、産業用に(より少ない処理水)、およびおそらくガム相の乾燥の際のエネルギー節約に関しても財政上の有利点になり得る。
ガム相におけるリン脂質分解
対照と比較した酵素的ガム相中のホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)の相対的分解(%)を図98に示す。
KLM3’でのリン脂質の分解は、低い水濃度でより表されていると考えられる。KLM3’での酵素的脱ガム全体において、2%水での脱ガムと比較して1%水がリン脂質の分解に関して有利であるようである。
ガム相での粘性測定
様々な量の水での脱ガム由来の酵素(KLM3’ 0.2TIPU−K/g)的ガム相の粘性を図99に示す。粘性は異なる水含有量によって顕著には影響されない。低いずり速度(およそ10まで)では、粘性は全ての試料についてある程度類似しているが、この時点以降では、水の量が最も少ない(1.25%)試料の粘性は増加し、一方水の量が最も多い(2%)ガム試料は増加する。
(実施例8)
粗製トウモロコシ油の水脱ガム
要約
脂質アシルトランスフェラーゼ、KLM3’(K932とも称し、配列番号68として本明細書に示すアミノ酸配列を有するを粗製トウモロコシ油について、この油の水脱ガムにおける油の収率への効果を研究する目的で検査した。
材料および方法
酵素:
KLM3’K932 1128TIPU/g
油:
Cargill 2008年5月産の粗製トウモロコシ油
脱ガム手順:
粗製トウモロコシ油100gを蓋付きの250ml青キャップ付きフラスコに秤量し、55℃に加熱した。
水および酵素を加え、油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。
30分後、油10mlを、風袋を量った12ml遠心チューブに移し、油の重量に注目した。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱し、次いで3000rcfで3分間、直ちに遠心分離した。
油をガム相からデカントし、チューブを逆さまにして15分間ドレインした。ガム相の重量に基づいて油の収率を酵素で処理していない油と比較して算出した。
次いでガム相をHPTLCで分析し、ガム相中のリン脂質の分解を算出した。
結果
油の脱ガムプロセスを様々な濃度のKLM3’で実施した。
Figure 2011505865
試料を「脱ガム手順」に記載の通り処理し、湿ったガムの量を2回反復で定量し、結果を下に示す。
Figure 2011505865
表2における結果から、KLM3’が粗製トウモロコシ油の水脱ガムによるガム相の量の減少に寄与することがわかる。ガム相の減少量は、油相の0.28から0.44%への増加に対応する。
粗製トウモロコシ油の水脱ガムから単離されたガム相をTLCによって分析し、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジン酸の減少を酵素処理しないガム中の量と比較して算出した(表3)。
Figure 2011505865
表3からの結果は、粗製トウモロコシ油中のリン脂質でのKLM3’の活性を示す。酵素活性の増大が油1g当たり0.1TIPUの投与量まで見られる。より高い酵素投与量では、リン脂質での活性は横ばいになる。
(実施例9)
粗製ダイズ油の水脱ガム、および受容体の添加
脂質アシルトランスフェラーゼ、KLM3’をSolae産の粗製ダイズ油において、酵素KLM3’に対する受容体基質を添加することの効果を研究する目的で検査した。
この研究において、Henkel、Germanyからのフィトステロール製品Generol 122、および脂肪アルコール、ラウリルアルコールを検査した。
油へのフィトステロールの添加は、遊離脂肪酸形成の低下を伴ってより多いステロールエステルを産生した。より多い受容体基質が利用可能である場合は、より高い程度のリン脂質転換が脂肪酸産生の増大を伴わずに達成できることが結論される。
材料および方法
酵素:
KLM3’K932(配列番号68として示されるアミノ酸配列を有する−1128TIPU/g
ダイズ由来フィトステロール:Generol 122N、Grunau、Illertissen、Germanyから
ラウリルアルコール:Sigma L−5375
油:
Solae、2008年1月産、粗製ダイズ油
Spectra Lipid、Germanyからのダイズレシチン混合標準物(ST16)
脱ガム手順
粗製ダイズ油100g、フィトステロールおよびラウリルアルコールを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱した。さらなる加工の前にフィトステロールを油に完全に溶解した。
水および酵素を加え、油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌した。
30分後、油10mlを、風袋を量った12ml遠心チューブに移し、油の重量に注目した。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱し、次いで直ちに3000rcfで3分間遠心分離した。
油をガム相からデカントし、チューブを逆さまにして15分間ドレインした。ガム相の重量に基づいて油の収率を算出した。
次いで油相およびガム相をHPTLCで分析し、ガム相中のトリグリセリドの量および油相中のリン脂質の分解を算出した。
結果
油の脱ガムプロセスを様々な濃度のKLM3、フィトステロールおよび脂肪アルコールで表1に示す通り実施した。
Figure 2011505865
試料を「脱ガム手順」に記載の通り処理し、湿ったガムの量を2回反復で定量し、結果を図100に示す。
フィトステロールの添加量の増加は、ガム%のいかなる減少にも寄与せず、pH調製(試験6)は、この検査においてはより多いガムとなる傾向はあるが、ガムの量にいかなる顕著な効果も有さなかった。KLM3’の0.2TIPU/gでの添加は、ガム含有量に顕著な効果を有し、1TIPU/gへの増量がガムの量をさらに減少させたことが示された。ラウリルアルコールはガムの量にいかなる効果も有さなかった。
ガムから分離された油相を遊離脂肪酸、ステロールおよびステロールエステルについてGLCによって分析した。
表2における結果は、0.2TIPU/gでの酵素処理による0.09%の遊離脂肪酸の増加を示す(試料2)が、フィトステロールレベルを増加させた試料3〜5は、より少ない遊離脂肪酸を含有することが観察される。1TIPU/gで処理した試料7および8においても、より多いステロールを油に添加する場合、遊離脂肪酸の減少が観察される。これらの結果は、油中のステロールの量の増加と共に加水分解反応が減少することを示す。
したがって、ステロールエステルの量は油中のステロールの増加と共に増加することが予測される。これは試料3についても見られるが、ステロールの量が増加しても(試料4および5)ステロールエステルの量は変化しない。試料5においてステロールエステルの量が減少する傾向さえ観察されるが、これは実験誤差の範囲内である。しかし、NaOHの添加によるpHの調整は、既に見られた通りステロールエステルの形成に強い効果を有する。酵素の量の増加(試料7および8)もステロールエステルの形成の増加に寄与する。
Figure 2011505865
試料(表1)の水脱ガムによって単離されたガム相をHPTLCによって分析し、特定のリン脂質ホスファチジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジン酸(PA)の分解を対照試料番号1と比較して定量した(図101)。
図101における結果は、0.25%のステロールを添加する場合のPAおよびPEの分解の増加を示している。
しかし投与量の増加(0.5%および0.75%ステロール)は、さらなるリン脂質の分解には寄与しない。これは、ステロールエステル形成への効果についての観察と一致する(表2を参照されたい)。NaOHでのpH調整もリン脂質の分解に強い効果を有するが、これはpH上昇に伴う酵素活性の増大に関連する。
1TIPU/gへの酵素投与量の増加がリン脂質をさらに分解することも見られる。
水脱ガムから単離された油相を油中の残存リンの量を分析する目的でICPによって分析した。
図102における結果は、油中のリンのレベルは油中のステロールの量にあまり依存しないことを示しているが、結果は、酵素投与量の増加(1TIPU/g)がリンレベルに効果を有することを示している。ラウリルアルコール(C12−アルコール)の添加は油相中のリンのレベルに負の効果を有する。
結論
粗製油への脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’の添加は、ステロールエステルの形成の際に脂肪酸成分のリン脂質からステロールへの移動を触媒する。分子レベルでは、ステロールの量は粗製ダイズ油においてリン脂質の量の1/3未満である。アシル受容体ステロールが粗製ダイズ油におけるKLM3’についての制限因子であることから、加水分解反応は酵素投与量および反応時間に依存して生じ得る。
この研究において、油を脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’で処理する場合に、粗製油へのより多いステロールの添加がより多いステロールエステルを生じ、形成される脂肪酸の量はステロールを添加しない場合の油と比較して減少することが見出された。
追加のステロールの添加は、水脱ガム後の油相中のリンのレベルにあまり影響を有さないが、KLM3’の投与量の増加が油相中のリンのレベルを低下させることが観察された。0.5%ラウリルアルコールの添加は、遊離脂肪酸のレベルにあまり影響を有さず、GLC分析によってラウリルアルコールエステルは観察されなかった。
(実施例10)
脂質アシルトランスフェラーゼとホスホリパーゼCとの組合せ
材料および方法
酵素:
脂質アシルトランスフェラーゼ KLM3’K932.1128LATU/g(本明細書において配列番号68として示されるアミノ酸配列を有する)
ホスホリパーゼC、Sigma P7633 15単位/mg
油:
Solae、Aarhus、DKからの粗製ダイズ油
脱ガム手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱する。50%クエン酸1水和物0.14mlを加える。油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、15分間撹拌する。1N NaOH 0.367mlに続いて2.5%水および油1g当たり5単位のホスホリパーゼCを加える。油を再びUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、磁気攪拌機で450rpmで撹拌した。反応時間2時間の後、油1g当たり0.2LATUの酵素脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’を加え、撹拌しながらさらに1時間反応を継続する。
油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱し、次いで3000rcfで3分間、直ちに遠心分離する。
油をガム相からデカントする。ガム相油相の重量を測定する。
油相をTLCによって残存リン脂質について分析し、リンppmをICPによって分析する。遊離ステロール、ステロールエステル、遊離脂肪酸およびジグリセリドをGLCによって分析する。
ガム相をトリグリセリド、ジグリセリド、残存リン脂質および遊離脂肪酸について分析する。
ガム相におけるリン脂質の分解をTLCで分析する。
結果
脂質アシルトランスフェラーゼとホスホリパーゼCとの組合せでの脱ガムプロセスは、酵素処理しない油と比較して2%を超えて油の収率を増加させると予測される。最初の研究はジグリセリドが酵素処理試料の油相中において産生されていることを示唆している。
遠心分離後の油相ではステロールの大部分がエステル化されている。
予備調査は、リンレベルが油相中で5ppmを下回ること、およびガム相におけるリン脂質の強い分解(すなわち、ホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)のほぼ完全な消失ならびにホスファチジルイノシトール(PI)およびホスファチジン酸(PA)の強い分解)を示す。
(実施例11)
ホスホリパーゼCとの組合せでの脂質アシルトランスフェラーゼ
材料および方法
酵素:
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’K932.1128LATU/g
ホスホリパーゼC Sigma P7633 15単位/mg
油:
Solae、Aarhus、DKからの粗製ダイズ油
脱ガム手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱する。
3%水に続いて、油1g当たり0.1単位のアシルトランスフェラーゼKLM3’およびホスホリパーゼC 5単位を加える。油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、30分間撹拌する。
30分後、油10mlを、風袋を量った12ml遠心チューブに移し、油の重量に注目する。油を10分間沸騰水浴中で97℃に加熱し、次いで直ちに3000rcfで3分間遠心分離する。
油をガム相からデカントし、チューブを逆さまにして15分間ドレインする。ガム相の重量に基づいて油の収率を算出する。油相をTLCおよびICPによって残存リン脂質について分析する。遊離ステロール、ステロールエステル、遊離脂肪酸およびジグリセリドをGLCによって分析する。
ガム相をトリグリセリド残存リン脂質および遊離脂肪酸について分析する。
結果
予備調査は、脂質アシルトランスフェラーゼとホスホリパーゼCとの組合せでの水脱ガムプロセスは、酵素処理を行わない油と比較して2%を超える油の収率の顕著な増加を生じることを示唆する。最初の研究は、ジグリセリドが油相中で産生され、油相中のステロールの大部分がエステル化されることを示している。
(実施例12)
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3およびホスホリパーゼC(PLC)での酵素的脱ガム
材料および方法
酵素:
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’K932.1128LATU/g
ホスホリパーゼC Sigma P7633 15単位/mg
油:
Solae、Aarhus、DKからの粗製ダイズ油
脱ガム手順
粗製ダイズ油100gを蓋付きの250ml青キャップフラスコに秤量し、55℃に加熱する。
3%水に続いて、油1g当たり5単位のホスホリパーゼCを加える。pHをNaOHで5.5に調整する。油をUltra Turraxミキサーで30秒間均質化し、次いで磁気攪拌機で450rpm、15分間撹拌する。15分後試料を取り出し、油1g当たり0.1単位のアシルトランスフェラーゼを加える。油をさらに15分間、55℃で撹拌する。
2×15分間の反応時間後、油10mlを風袋を量った12ml遠心チューブに移し、油の重量に注目する。油を沸騰水浴中で97℃に10分間加熱し、次いで直ちに3000rcfで3分間遠心分離する。
油をガム相からデカントし、チューブを逆さまにして15分間ドレインする。ガム相の重量に基づいて油の収率を算出する。
油相をTLCおよびICPによって残存リン脂質について分析する。遊離ステロール、ステロールエステル、遊離脂肪酸およびジグリセリドをGLCによって分析する。
ガム相をトリグリセリド残存リン脂質および遊離脂肪酸について分析する。
結果
最初の調査は、脂質アシルトランスフェラーゼとホスホリパーゼCとの組合せを使用する水脱ガムプロセスは、酵素処理を行わない油と比較して2.5%を超えて油の収率を増加させることを示唆している。予備調査は、ジグリセリドが油相中で15分後に産生されていることを示唆している。
油相中のステロールの大部分は、エステル化される。
予備調査は、15分後にホスファチジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジルコリン(PC)の大部分は消失するが、ホスファチジルイノシトール(PI)およびホスファチジン酸(PA)には活性があまり見られない場合があることを示している。30分後かつ遠心分離後の試料においてもPIおよびPAの大部分が消失している。
(実施例13)
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3およびホスホリパーゼC(PLC)での酵素的脱ガム
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’およびSigmaからのホスホリパーゼC(PLC)を粗製ダイズ油の水脱ガムにおいて単独でおよび組合せで検査した。油の脱ガムにおいてホスホリパーゼCは油中のリン脂質からジグリセリドを産生した。KLM3’がトリグリセリドの産生の際にジグリセリドを受容体分子として使用できることが驚くべきことに示された。ジグリセリドおよびホスファチジルコリンを含有する基質でのモデル実験は、脂質アシルトランスフェラーゼ(KLM3’)が、トリグリセリドの産生の際にリン脂質からジグリセリドへの脂肪酸成分の移動反応を触媒することを確認した。
結果の商業的妥当性
この研究は、KLM3’とホスホリパーゼC(PLC)との組合せが、粗製植物油の脱ガムの際に非常に有利であることを示す目的で始めた。
Verenium、U.S.からのホスホリパーゼC(すなわちPurifine(登録商標))が油の脱ガムにおける使用のために紹介されている(WO2008/036863)。
この酵素は、粗製油中のリン脂質(ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンなど)に活性であり、ジグリセリド(ジアシルグリセロール)およびリン−コリン、−エタノールアミン、−イノシトールまたは−酸を形成する。このプロセスにおいて産生されるジグリセリドは、油の脱ガムプロセスにおいて油の一部を形成し、したがって油の収率の向上に寄与する。
本発明者らは、脂質アシルトランスフェラーゼ(KLM3’など)が、ステロールエステル形成を伴うリン脂質の修飾による油脱ガムでの収率の向上に寄与できることを示している。
脂質アシルトランスフェラーゼ(KLM3’など)は、ステロールをアシル受容体としておよび脂肪アルコールを含むアルコールなどの他の受容体として使用できる。
本研究の目的は、脂質アシルトランスフェラーゼ(例えばKLM3’)をホスホリパーゼCとの組合せで使用した場合の相乗効果を調査することであった。
材料および方法
・KLM3’:グリセロリン脂質コレステロールアシルトランスフェラーゼ(FoodPro LysoMax Oil)(K932)(配列番号68)
Lot no 102629600.活性1128LATU/g
・ホスホリパーゼC P7633 Sigma、Clostridium perfringens由来、135.3mg
固体:固体1mg当たり3.8単位、タンパク質1mg当たり13.2単位
・ホスホリパーゼC P6621 Sigma、Bacillus cereus由来、250単位
ジグリセリド、サンフラワー油由来の蒸留ジグリセリド、Jour2641/064
ホスファチジルコリン、Avanti#441601
モノ−ジ−トリグリセリド:GRINDSTED(登録商標)MONO−DI R50/D
粗製ダイズ油 no 18:アルゼンチン産
HPTLC分析
酵素処理試料からのガム相におけるリン脂質の分解をHPTLCによって分析した。
アプリケーター:Automatic TLC Sampler4、CAMAG
HPTLCプレート:20×10cm、Merck no.1.05641 使用前に160℃で10分間活性化
添加:
油10グラムからのガム相をヘキサン:イソプロパノール 3:2 7.5mlに溶解した。
試料1μlをHPTLCプレートに添加した。
リン脂質標準物(0.5%リン脂質(Spectra Lipid、Germany)を添加し(0.1、0.3、0.5、0.8および1.5μl)、ガム中の個々のリン脂質の算出に使用した。
いくつかの添加についてリン脂質含有量は、酵素処理していない対照ガムと比較して算出した。この対照試料を0.1−0.3−0.5−0.8−1μl添加し、検量線を作成するために使用した。
油相。およそ90mgを秤量し、ヘキサン:イソプロパノール 3:2 1mlに溶解した。
試料5μlをHPTLCプレートに添加した。公知の濃度の5mg/mlモノ−ジグリセリドを0.1−0.3−0.5−0.8−1.5μlで添加し、個々のグリセリド成分の算出のために使用した。
TLCアプリケーター
ランニング緩衝液no.1:P−エーテル:メチルターシャリーブチルケトン:酢酸 50:50:1
ランニング緩衝液no.6:クロロホルム:1−プロパノール:酢酸メチル:メタノール:水中0.25%KCl 25:25:25:10:9
溶出:プレートをCamagからのAutomatic Developing Chamber ADC2を使用して7cm溶出させた。
発色:
プレートをCamag TLC Plate Heater IIIで6分間、160℃で乾燥させ、冷却し、16%HPO中の6%酢酸銅(II)に浸した。さらに160℃で10分間乾燥させ、直接評価した。
TLCプレート上の成分の濃さをCamag TLC Scanner3によって分析した。
ガスクロマトグラフィー
ガム相中の遊離脂肪酸をGLCによって分析した。
油相のモノ−ジ−トリグリセリド、ステロールおよびステロールエステルもGLCで分析した。
装置:
・WCOT溶融シリカカラム12.5m×0.25mm ID×0.1μフィルム厚 5%フェニル−メチル−シリコン(ChrompackからのCP Sil 8 CB)を備えたPerkin Elmer Autosystem 9000 Capillary Gas Chromatograph。
・キャリアガス:ヘリウム
・インジェクター:PSSI cold split injection(初期温度50℃を385℃に加熱)、容量1.0μl
検出器FID:395℃
Figure 2011505865
試料調製:
試料を内部標準ヘプタデカン0.5mg/mlを含有するヘプタン:ピリジン 2:1 12mlに溶解した。試料溶液500μlをクリンプバイアルに移し、MSTFA(N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオラセアミド)100μlを加え、15分間、60℃で反応させた。
算出:
ステロール、ステロールエステル、遊離脂肪酸、モノ−、ジ−およびトリグリセリドに対する応答計数を純粋な参照物質に基づいて決定した。
実験
アシルトランスフェラーゼKLM3’およびPLCを粗製ダイズ油を表1に示す処方で使用する水脱ガムプロセスにおいて検査した。
Figure 2011505865
C.perfringens由来、ホスホリパーゼC P7633 Sigma 135.3mg 固体:固体1mg当たり3.8単位、水0.5ml中に酵素32.9mg
ホスホリパーゼC P6621 Sigma、Bacillus cereus由来 水1mlに溶解した250単位
10 LATU/mlに希釈したアシルトランスフェラーゼKLM3’(K932)
粗製ダイズを20ml Wheaton glass中で45℃に加熱した。水および酵素を加えた。
試料を高せん断混合で30秒間均質化した。
試料を45℃の加熱ブロックに置き、磁気撹拌した。
試料1mlを30および240分後にエッペンドルフチューブに採取し、酵素を97℃、10分間不活性化させた。特に、実験においては酵素の不活性化が実施されるが、これは産業での実施においては一般に実施されない。不活性化は、酵素分解の正確な分析のために本明細書の実験においてだけ実施される。
試料を3000rcfで3分間遠心分離した。油相をガム相から分離し、両方の相をTLCおよびGLCで分析した。
結果
TLC分析
30分後および240分後に採取した試料をTLCで分析し、結果を図103〜106に示す。
TLCプレート(図103および図104)を走査し、1,2ジグリセリド(DAG sn1,2)の定量的決定のために使用し、結果を下の表2および3に示す。
リン脂質の相対的な分解を図107に示す。
Figure 2011505865
Figure 2011505865
上の表2および3からの結果は、リン脂質のPLC分解によって生じるジグリセリドの形成を明確に示す。使用したPLCの投与量でsn 1,2ジグリセリドの形成が反応時間30分後で既に最大に達していることが観察される。PLCとの組合せで使用する場合はKLM3’の投与量の増加に伴ってsn 1,2ジグリセリドの量が減少することも観察される。
この効果は、両方のホスホリパーゼC酵素について観察されたが、KLM3’がC.perfringens由来のホスホリパーゼC P7633 Sigmaと組み合わされた場合に効果が最も発揮された。これは、C.perfringens由来のPLCがリン脂質の一部分だけを分解し、ゆえにより多い基質がKLM3’に利用可能であったという事実よっておそらく説明される。
図107の結果は、C.perfringens由来のホスホリパーゼC P7633 Sigmaが主にホスファチジルコリン(PC)において活性であり、Bacillus cereus由来のホスホリパーゼC P6621 Sigmaがホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)に主な活性を有し、ホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルイノシトール(PI)にはより少ない活性を有することを明確に示す。結果は、KLM3’が4種全てのリン脂質を使用できることも証明する。
したがって、アシルトランスフェラーゼKLM3’がsn 1,2ジグリセリドを受容体分子として使用でき、図108における反応を触媒すると結論される。
GLC分析
表1における実験からの油相、試料番号1〜6をGLCによっても分析した。
総ジグリセリド(DAG)、ステロールステロールエステルおよびFFAのGLC分析を下の表4に列挙する。
Figure 2011505865
反応時間30および240分間後に採取した試料のGLC分析は、TLC分析によって既に観察された、C.perfringens由来のホスホリパーゼC P7633 Sigmaが油中のリン脂質からジグリセリドを産生したことを確認した。結果は、ホスホリパーゼCをKLM3’と組み合わせる場合の相乗効果もジグリセリドの量の減少によって確認した。ジグリセリドの量についてのPLCとKLM3’との効果のStatgraphicソフトウェアを使用するANOVAによる統計的評価は、これら2つの酵素の間の相互作用効果を明確に示している、図109を参照されたい。
PLCは、油中のステロールに顕著な効果を有さなかったが、KLM3’は遊離ステロールをステロールエステルに転換する。ステロールはKLM3’に対してDAGよりも良い受容体分子であり、したがって反応混合物中のDAGの10〜15%だけがトリグリセリドに転換された。
PLCは、遊離脂肪酸(FFA)のレベルにあまり影響を有さないが、高投与量のKLM3’および反応時間の延長は、FFAレベルの増加に寄与することが観察される。
文献2460−224:
理論に縛られなければ、アシルトランスフェラーゼ(KLM3’)とホスホリパーゼC(PLC)とを組合せることによるジグリセリドの減少は、2つの酵素が一緒に使用される場合の基質(リン脂質)競合によって生じる可能性がある。
KLM3’がジグリセリドを受容体として使用でき、かつ図108において述べる反応を触媒できることを証明するために、下の表5に示す処方でのモデル実験を実施した。
Figure 2011505865
サンフラワー油からの蒸留ジグリセリドとホスファチジルコリン(PC)とを、PCがジグリセリドに溶解するまで80℃に加熱および撹拌して混合した。
基質をネジ蓋付き7ml Dram Glassに秤量し、55℃に加熱した。酵素、緩衝液および水を加え、試料を磁気攪拌機で450rpmで撹拌した。
30および180分後に試料を採取し、TLCで分析した(図110)。
TLCプレートを走査し、試料中のトリグリセリド含有量を、キャノーラ油の分析から作成した標準曲線から定量し、結果を下の表6に示す。
Figure 2011505865
表6に示す結果をStatgraphicソフトウェアを使用するANOVAによって統計学的に分析し、結果を図111および112に示す。
表6からのトリグリセリドの結果の統計学的評価は、ジグリセリドおよびホスファチジルコリンを含有する基質へのアシルトランスフェラーゼKLM3’の添加によるトリグリセリドの量の有意な増加を確認する。
文献2460−228
上の表5に記載の実験を、トリグリセリドの形成の際にリン脂質からジグリセリドへの脂肪酸成分の移動反応についての、より高いレベルの水の効果をさらに詳細に調査するために研究した。実験の設定を下の表7に列挙する。
Figure 2011505865
サンフラワー油からの蒸留ジグリセリドとホスファチジルコリン(PC)とを、PCがジグリセリドに溶解するまで80℃に加熱および撹拌して混合した。
基質をネジ蓋付き7ml Dram Glassに秤量し、55℃に加熱した。酵素、緩衝液および水を加え、試料を磁気攪拌機で450rpmで撹拌した。
30、90および240分後に試料を採取し、TLCで分析した。
TLCクロマトグラムを図113および図114に示す。
TLCプレートを走査し、試料中のトリグリセリド含有量を、トリグリセリド(キャノーラ油)から作成した標準曲線に基づいて算出した。トリグリセリド定量の結果を表8に示す。
Figure 2011505865
表8の結果をStatgraphicソフトウェアを使用するANOVAによって統計学的に分析し、結果を図115および116に示す。
表8ならびに図115および図116からの結果は、ジグリセリドおよびホスファチジルコリンの基質からトリグリセリドを産生するアシルトランスフェラーゼKLM3’の能力を明確に示す。
結論
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’およびホスホリパーゼC(PLC)は、植物油の脱ガムにおける油の収率の増加に寄与することが公知である。
油の脱ガムにおける脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’の効果は、リゾリン脂質およびステロールエステル産生の際のリン脂質からステロールへの脂肪酸成分の移動反応に基づいている。
ホスホリパーゼC(PLC)の効果は、ジグリセリドおよび水溶性リン誘導体へのリン脂質の転換に依存している。この反応において産生されるジグリセリドは、脱ガムプロセスによって油相に蓄積するが、それが油の煙点に影響を与え、より飽和している脂肪源の結晶化特性にも影響を有することから油中に多量のジグリセリドを含むことは、必ずしも好ましくない。
本研究において、脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’およびホスホリパーゼC(PLC)を単独でおよび組合せで水脱ガムプロセスにおいて検査した。実験は、ダイズ油の水脱ガムにおいてPLCが油相の一部を形成するジグリセリドを産生することを示した。PLCをKLM3’との組合せで使用する場合、KLM3’がトリグリセリド形成の際にリン脂質からジグリセリドへの脂肪酸成分の移動反応を触媒することから、これらの2種の酵素間での相乗効果を示唆して、PLCによって産生されたジグリセリドの量が低下し、かつステロールがステロールエステルに転換されたことが驚くべき事に示された。
トリグリセリド形成の際にKLM3’によって触媒されるリン脂質からジグリセリドへの脂肪酸成分の移動反応は、ジグリセリドとリン脂質とからなるモデル系において確認された。
結果は、検査した2種のリン脂質は全種類のリン脂質に同じ活性を有さないが、KLM3は粗製ダイズ油に見出される4種類のリン脂質の全てにほぼ同じ活性を有することも示した。これは、リン脂質のさらなる転換を得るためにホスホリパーゼCをKLM3’との組合せで使用する可能性も開く。
(実施例14)
粗製ダイズ油の水脱ガムにおけるKLM3’の使用
ダイズ油を含む植物油は、1〜3%のリン脂質を含有しており、油の脱ガムプロセスによって除去される。油の脱ガムプロセスは、通常、水脱ガムプロセスと中和プロセスとに分けられる。1〜3%のリン脂質を含む粗製ダイズ油は、水脱ガム粗製油についての規格に適合させるためにリンのレベルをリン200ppmリンまたはそれ未満に低下させる目的での水脱ガムを行わずには輸出用に出荷できない。
リンのレベルが200ppmより十分に低い場合は、これは不利益となり得る。典型的には従来の脱ガムプロセスは、遠心分離後で約50ppmのリンのレベルをもたらす。これは、200ppm未満であるができるだけこのレベルに近いリンのレベルを生じるように遠心分離を管理することができないためである。
対照的に本発明の場合では、脂質アシルトランスフェラーゼ使用の水脱ガムした油は、好ましくは約180ppmのリンに調整できる。
本発明の酵素的水脱ガムプロセスにおけるリンのレベルの調整は、好ましくは少し多いリン脂質を油相に得るために遠心分離中のガムと油との間の相間を調整することによって行われ得る。しかし従来の水脱ガムプロセスにおいては、ガム相は非常に厚く粘稠であり、したがって遠心分離において相間を調整することは容易ではない。
本発明者らは、脂質アシルトランスフェラーゼ(例えばKLM3’)を水脱ガムプロセスにおいて使用する場合、相間は遠心機で問題なく調整でき、リン最大200ppmの規格により近い脱ガム油を産生できたことを驚くべきことに見出した。
実験
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’(配列番号68)を図117に概説するプロセスでの粗製ダイズ油の水脱ガムにおいて使用した。
リン1100ppmを含有する粗製ダイズ油を図117に示す水脱ガムプロセスにさらした。最初の実験において脱ガムプロセスは酵素を添加せずに実施した。第2の実験では、酵素KLM3’を加え、水脱ガムした油のリン含有量を分析した後、遠心機でのガムと油との間の相間を遠心機の中央に調整した。プロセスが不安定な場合は、リンを再度分析した。
試験からの結果を下の表1に示す:
Figure 2011505865
結論
KLM3’を使用する酵素的水脱ガムでの実験において、遠心分離における油とガムとの間の相間を規格に近いレベルのリンを含む(すなわち200ppmに近いがそれ未満の)水脱ガム油を産生するために容易に調整、または管理できることが示された。
従来の水脱ガム条件下では、ガム相の稠度(高粘性)がそのような調整を許さないことから相間を調整することは必ずしも容易ではない。
(実施例15)
植物油の酵素的水脱ガム後の「ガム相」における酵素反応
脂質アシルトランスフェラーゼ、LysoMax Oil(KLM3’)を粗製ダイズ油の水脱ガムにおいて検査した。特に、酵素は酵素的水脱ガムプロセスの最後で不活性化されなかった−産業での実施において慣例である通り。したがって酵素的水脱ガムプロセスは下に示す実験手順書に従って実施した。特に酵素を脱ガム後に不活性化しなかった。
このプロセスから単離されたガム相を40℃でインキュベートし、ガム相でのリン脂質のさらなる分解を分析した。結果は、酵素がリン脂質をリゾリン脂質および遊離脂肪酸にさらに加水分解したことを驚くべきことに示した。これは、ガム相が遠心分離によって油相から分離される際に酵素がガム相に付随するという事実によって説明される。
同様にリゾ−リン脂質は、保存中に加水分解され、7日間の保存後でほとんど全てのリン脂質がガム相から消失した。
結果の商業的妥当性
KLM3’でのダイズ油の酵素的な油の脱ガムは、油の収率を0.5%から1.5%に向上できることを示している。このプロセスから単離されたガム相は、典型的にはいくらかの油およびリン脂質をまだ含有している(EP1624047)。ガム相の加水分解によって油相がガムから分離でき、遠心分離または他の分離手段によって単離できることは公知である。高レベルの遊離脂肪酸を含有する油相は、ミールに加えられる通常のガム相よりも高価値で酸性油として販売できる。
さらなる態様は、酸性油の分離後に残った固相は通常のガムよりも高いリンレベルを有し、原料または有機リンとして使用できることである。
序論
本発明者らは、脂質アシルトランスフェラーゼLysoMax Oil(KLM3’)が粗製ダイズ油の酵素的水脱ガムから単離されたガム相中で活性であることを驚くべきことに示している。したがって、遠心分離によってガム相中の残存トリグリセリドと共に酸性油として単離され得る遊離脂肪酸に酵素がリン脂質をさらに分解できるかどうかが推側された。
この研究において様々な酵素投与量および水脱ガム温度のガム相中のリン脂質分解についての効果を検討した。
材料および方法
・KLM3’:グリセロリン脂質コレステロールアシルトランスフェラーゼ(FoodPro LysoMax Oil)(K932)
Lot no 102629600.1 活性 1128LATU/g
粗製ダイズ油 no 18:アルゼンチン産
HPTLC分析
酵素処理試料からのガム相中のリン脂質の分解をHPTLCで分析した。
アプリケーター:Automatic TLC Sampler4、CAMAG
HPTLCプレート:20×10cm、Merck no.1.05641 使用前に160℃で10分間活性化。
添加:
油10グラムからのガム相をヘキサン:イソプロパノール 3:2の7.5mlに溶解した。
試料1μlをHPTLCプレートに添加した。
リン脂質標準物(0.5%リン脂質(Spectra Lipid、Germany)を添加し(0.1、0.3、0.5、0.8および1.5μl)、ガム中の個々のリン脂質の算出に使用した。
いくつかの添加においてリン脂質含有量は、酵素処理していない対照ガムと比較して算出した。この対照試料を0.1−0.3−0.5−0.8−1μl添加し、検量線の作成のために使用した。
油相。およそ90mgを秤量し、ヘキサン:イソプロパノール 3:2 1mlに溶解した。
試料5μlをHPTLCプレートに添加した。公知の濃度の5mg/mlモノ−ジグリセリドを0.1−0.3−0.5−0.8−1.5μlで添加し、個々のグリセリド成分の算出のために使用した。
TLCアプリケーター
ランニング緩衝液no.1:P−エーテル:メチルターシャリーブチルケトン:酢酸 50:50:1
ランニング緩衝液6:クロロホルム:1−プロパノール:酢酸メチル:メタノール:水中0.25%KCl 25:25:25:10:9
溶出:プレートをCamagからのAutomatic Developing Chamber ADC2を使用して7cm溶出させた。
発色:
プレートをCamag TLC Plate Heater IIIで160℃、10分間乾燥させ、冷却し、16%HPO中の6%酢酸銅(II)に浸した。さらに160℃で10分間乾燥させ、直接評価した。
TLCプレート上の成分の濃さをCamag TLC Scanner 3で分析した。
ガスクロマトグラフィー
ガム相中の遊離脂肪酸をGLCによって分析した。
油相のステロール、ステロールエステルおよびモノ−ジ−トリグリセリドもGLCで分析した。
装置
・WCOT溶融シリカカラム12.5m×0.25mm ID×0.1μフィルム厚 5%フェニル−メチル−シリコン(ChrompackからのCP Sil 8 CB)を備えたPerkin Elmer Autosystem 9000 Capillary Gas Chromatograph。
・キャリアガス:ヘリウム
・インジェクター、PSSI cold split injection(初期温度50℃を385℃に加熱)、容量1.0μl
検出器FID:395℃
Figure 2011505865
試料調製
試料を内部標準ヘプタデカン0.5mg/mlを含有するヘプタン:ピリジン 2:1 12mlに溶解した。試料溶液500μlをクリンプバイアルに移し、MSTFA(N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオラセアミド)100μlを加え、15分間、60℃で反応させた。
算出
遊離脂肪酸、モノ−、ジ−およびトリグリセリドに対する応答計数を純粋な参照物質に基づいて決定した。
実験:
脂質アシルトランスフェラーゼKLM3’を下の表1に示す処方で粗製ダイズ油において検査した。
表1の脱ガム実験は、45および55℃の両方で実施した。
Figure 2011505865
粗製ダイズを20ml Wheaton glassで55℃(または45℃)に加熱した。水および酵素を加えた。試料を高せん断混合で30秒間均質化した。試料を磁気撹拌(450rpm)付きの55℃(または45℃)の加熱ブロックに置いた。30分間のインキュベーション後、試料を3000rcfで3分間遠心分離した。
チューブを15分間逆さまにすることによって油相をガム相から分離し、ガム相はチューブに残った。
次いで試料1〜4のそれぞれからのガム相を直ちに凍結した。
試料5〜8のそれぞれからのガム相を40℃で1日間インキュベートし、次いで凍結した。
試料9〜12のそれぞれからのガム相を40℃で7日間インキュベートした。
全ての試料をTLCおよびGLCによって同時に分析した。
結果
55℃での脱ガム由来のガム相試料のTLC分析を図118に示し、45℃での脱ガム由来の試料を図119に示す。
TLCクロマトグラムの走査に基づいて、酵素処理していないガム相と比較して、酵素処理したガム相におけるリン脂質の相対的含有量を算出した(下の表2および3を参照されたい)。
Figure 2011505865
Figure 2011505865
0日目からガム相試料を脱ガム反応および遠心分離の直後に採取した。この時点で既にリン脂質の大部分は分解されており、リゾ−リン脂質の量が増加していることが見られる(表2)。ガム相のインキュベーションの際にリン脂質のさらなる加水分解が生じるが、リゾ−リン脂質も加水分解される。
ガム相をGLCによって遊離脂肪酸(FFA)およびトリグリセリドについて分析した(下の表3を参照されたい)。
ガム相の画分をヘキサン イソプロパノール2:1で2回抽出し、不溶性部分を乾燥させ、重量測定で定量した。
Figure 2011505865
表3に示す結果は、ガム相の40℃、7日間までの保存の際に酵素加水分解が継続することを明確に確認している。
有機溶媒(ヘキサン:イソプロパノール 2:1)で抽出できないガム相の含有量は、ガム相中の固体の量についての尺度である。ガム相中のリン脂質がFFAとホスファチジルグリセロールに加水分解される場合、ヘキサン:イソプロパノール中に溶解しない物質の量は増加する。7日間のインキュベーション後、ガム相の90%超はFFA、トリグリセリドおよびホスファチジルグリセロールからなっており、リン脂質はガム相に残っていない。インキュベーション後のガム相の組成は、ガム中に乳化剤(リン脂質およびリゾリン脂質)が残っていないことから油相と固体/水溶性相とに、より容易に分離されるようになる。
結論
脂質アシルトランスフェラーゼ(例えばKLM3’)での酵素的脱ガムの際に、活性な酵素を含有するガム相が単離される。ガム相の40℃でのインキュベーションはガム相中のリン脂質をさらに加水分解する。酵素の投与量に依存して、全てのリン脂質およびリゾ−リン脂質は脂肪酸およびホスファチジルグリセロールに加水分解される。ガム相中のリン脂質の排除は、遊離脂肪酸を含有する油相とガム相中に残ったトリグリセリドとの単離を可能にする。
45℃での実験の実施よりも、55℃で実施された脱ガム実験において、より高いレベルのリン脂質分解が観察された。両方の実験において酵素は分離後にガム相において活性であり、水脱ガムが55℃で実施された場合に40℃での保存の際に加水分解が全体的に高い程度である傾向があった。
上記明細書において記載の全ての文献を本明細書に参照として組み込む。記載した本発明の方法および系の種々の改変および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明は具体的な好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求される本発明がそのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことは理解されるべきである。確かに、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連する技術分野における当業者に明らかである本発明を実行するための記載された様式についての種々の改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内であると意図される。
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865
Figure 2011505865

Claims (34)

  1. a)約0.1〜5%w/wの水を食用油(好ましくは、粗製食用油)および脂質アシルトランスフェラーゼと混合する工程と、b)約45℃〜約90℃で約10分間と180分の間、前記混合物を撹拌する工程と、c)油相とガム相を分離する工程とを含む、食用油(好ましくは、粗製食用油)を水脱ガムする方法。
  2. d)最低約2時間と最高7日間の間、活性脂質アシルトランスフェラーゼ酵素を含む前記ガム相をインキュベートする工程と、e)前記ガム相から前記油を分離する工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. (好ましくは、食用油の脱ガム、例えば、水脱ガムもしくは酵素的脱ガムまたはそれらの組合せから獲得可能である、または獲得された)ガム相を処理し(前記ガム相を、最低約2時間と最高7日間の間、単独の、または1つもしくは複数のホスホリパーゼC酵素と組み合わせた1つまたは複数の脂質アシルトランスフェラーゼ酵素とインキュベートする)、前記ガム相から前記油を分離する方法。
  4. プロセスのpHが約pH5.0〜約pH10.0の間である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記脂質アシルトランスフェラーゼがGDSxモチーフおよび/またはGANDYモチーフを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記脂質アシルトランスフェラーゼ酵素が、アシルトランスフェラーゼ活性を有し、かつアミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数である)を含む酵素として特徴付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 本発明の方法および/または使用のいずれか一つに用いる前記脂質アシルトランスフェラーゼが、以下の属の1つまたは複数由来の生物から獲得可能であり得、好ましくは獲得され得る、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法:Aeromonas、Streptomyces、Saccharomyces、Lactococcus、Mycobacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Desulfitobacterium、Bacillus、Campylobacter、Vibrionaceae、Xylella、Sulfolobus、Aspergillus、Schizosaccharomyces、Listeria、Neisseria、Mesorhizobium、Ralstonia、Xanthomonas、およびCandida。
  8. 脂質アシルトランスフェラーゼが前記Aeromonas属由来の生物から獲得可能であり、好ましくは獲得される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、配列番号49、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、もしくは配列番号63として示されるヌクレオチド配列、またはそれらと75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列のいずれか一つの発現によって獲得される、脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1から39のいずれか一項に記載の方法であって、ここで前記脂質アシルトランスフェラーゼが、脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドであって、以下:
    a)配列番号49として示されたヌクレオチド配列、またはそれと75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列;
    b)前記ポリペプチドをコードする核酸であって、前記ポリペプチドが、配列番号16に示されたポリペプチド配列または配列番号68に示されたポリペプチド配列と少なくとも70%同一である、核酸;
    c)または配列番号49として示された前記ヌクレオチド配列を含む核酸プローブと中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸
    の発現によって獲得されるポリペプチドである、方法。
  11. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、Bacillus licheniformisにおけるヌクレオチド配列の発現によって獲得されるポリペプチドである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、配列番号68、配列番号16、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号17、配列番号18、配列番号34、配列番号35として示されるアミノ酸配列、またはそれらと75%以上の同一性を有するアミノ酸配列のいずれか一つを含む、脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、配列番号68として示される前記アミノ酸配列、またはそれと75%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、脂質アシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 追加として、ホスホリパーゼCが、油および/または水および/または脂質アシルトランスフェラーゼと混合される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 水脱ガムプロセスの完了後の油相において油の収率を増加させるための食用油の水脱ガムにおける脂質アシルトランスフェラーゼの使用。
  16. 水脱ガムプロセスの完了後のガム相の粘性を減少させるための食用油の水脱ガムにおける脂質アシルトランスフェラーゼの使用。
  17. 水脱ガムプロセスの完了後の油相において油の収率を増加させるため、および/もしくはトリグリセリドレベルを増加させるため、ならびに/または水脱ガムプロセスの完了後の油相においてジグリセリドレベルを低下させるための食用油の水脱ガムにおけるホスホリパーゼCと組み合わせた脂質アシルトランスフェラーゼの使用。
  18. 未処理のガムと比較して、油の収率を増加させ、および/または向上したリンレベルを有する(酸性油の分離後の)固相を生じるための(食用油の脱ガム、例えば、水脱ガム、酵素的脱ガム、またはそれらの組合せから獲得可能であるか、または獲得された)ガム相のインキュベーションにおける(単独の、またはホスホリパーゼCと組み合わせた)脂質アシルトランスフェラーゼの使用。
  19. 0.1〜4%w/wの水が前記食用油と混合される、請求項15から18のいずれか一項に記載の使用。
  20. 酵素が、約45℃〜約90℃の範囲の温度で食用油に加えられる、請求項15から19のいずれか一項に記載の使用。
  21. 脱ガムプロセスのpHが約pH5.0〜約pH10.0の間である、請求項15から20のいずれか一項に記載の使用。
  22. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、約10分間〜180分間、前記食用油と反応する、請求項15から21のいずれか一項に記載の使用。
  23. 前記脂質アシルトランスフェラーゼがGDSxモチーフおよび/またはGANDYモチーフを含む、請求項15から22のいずれか一項に記載の使用。
  24. 前記脂質アシルトランスフェラーゼ酵素が、アシルトランスフェラーゼ活性を有し、かつアミノ酸配列モチーフGDSX(Xは、以下のアミノ酸残基、L、A、V、I、F、Y、H、Q、T、N、M、またはSの1つまたは複数である)を含む酵素として特徴付けられる、請求項15から23のいずれか一項に記載の使用。
  25. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、以下の属の1つまたは複数由来の生物から獲得可能であり、好ましくは獲得される、請求項15から24のいずれか一項に記載の使用:Aeromonas、Streptomyces、Saccharomyces、Lactococcus、Mycobacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Desulfitobacterium、Bacillus、Campylobacter、Vibrionaceae、Xylella、Sulfolobus、Aspergillus、Schizosaccharomyces、Listeria、Neisseria、Mesorhizobium、Ralstonia、Xanthomonas、およびCandida。
  26. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが前記Aeromonas属由来の生物から獲得可能であり、好ましくは獲得される、請求項25に記載の使用。
  27. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、配列番号49、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、もしくは配列番号63として示されるヌクレオチド配列、またはそれらと75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列のいずれか一つの発現によって獲得される、請求項15から26のいずれか一項に記載の使用。
  28. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、
    a.配列番号49として示されるヌクレオチド配列、もしくはそれと75%以上の同一性を有するヌクレオチド配列;
    b.ポリペプチドをコードする核酸であって、前記ポリペプチドが、配列番号16に示されるポリペプチド配列もしくは配列番号68に示されるポリペプチド配列と少なくとも70%同一である、核酸;または
    c.配列番号49として示されるヌクレオチド配列を含む核酸プローブと中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸
    の発現によって獲得されるポリペプチドである、請求項15から27のいずれか一項に記載の使用。
  29. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、Bacillus licheniformisにおけるヌクレオチド配列の発現によって獲得されるポリペプチドである、請求項28に記載の使用。
  30. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、配列番号68、配列番号16、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、配列番号34、配列番号35として示されるアミノ酸配列、またはそれらと75%以上の同一性を有するアミノ酸配列のいずれか一つを含むポリペプチドである、請求項15から29のいずれか一項に記載の使用。
  31. 前記脂質アシルトランスフェラーゼが、配列番号68として示されるアミノ酸配列、またはそれと75%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項15から30のいずれか一項に記載の使用。
  32. 前記脂質アシルトランスフェラーゼがホスホリパーゼCと組み合わせて用いられる、請求項15から31のいずれか一項に記載の使用。
  33. 実施例および図を参照して本明細書で一般的に定義された方法。
  34. 実施例および図を参照して本明細書で一般的に定義された使用。
JP2010538882A 2007-12-21 2008-12-11 脂質アシルトランスフェラーゼを用いる食用油精製のためのプロセス Expired - Fee Related JP5509094B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB0725035A GB0725035D0 (en) 2007-12-21 2007-12-21 Process
GB0725035.0 2007-12-21
GB0809177.9 2008-05-20
GB0809177A GB0809177D0 (en) 2008-05-20 2008-05-20 Process
US5837808P 2008-06-03 2008-06-03
US61/058,378 2008-06-03
PCT/GB2008/004064 WO2009081094A2 (en) 2007-12-21 2008-12-11 Process

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011505865A true JP2011505865A (ja) 2011-03-03
JP5509094B2 JP5509094B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=40617759

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010538882A Expired - Fee Related JP5509094B2 (ja) 2007-12-21 2008-12-11 脂質アシルトランスフェラーゼを用いる食用油精製のためのプロセス

Country Status (19)

Country Link
US (1) US9228211B2 (ja)
EP (1) EP2235151B1 (ja)
JP (1) JP5509094B2 (ja)
KR (1) KR20100086507A (ja)
CN (1) CN101978037B (ja)
AR (1) AR069812A1 (ja)
AU (1) AU2008339660B2 (ja)
BR (1) BRPI0821253A2 (ja)
CA (1) CA2708292C (ja)
CL (1) CL2008003776A1 (ja)
DK (1) DK2235151T3 (ja)
EA (1) EA020035B1 (ja)
ES (1) ES2395551T3 (ja)
HK (1) HK1149288A1 (ja)
MX (1) MX2010007014A (ja)
MY (1) MY151265A (ja)
NZ (1) NZ585870A (ja)
PL (1) PL2235151T3 (ja)
WO (1) WO2009081094A2 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK1387616T3 (da) 2001-05-18 2007-09-24 Danisco Fremgangsmåde til fremstilling af en dej med et enzym
JP5604032B2 (ja) 2004-07-16 2014-10-08 デュポン ニュートリション バイオサイエンシーズ エーピーエス 食用油の酵素的脱ガム方法
US8956853B2 (en) * 2007-01-30 2015-02-17 Bunge Oils, Inc. Enzymatic degumming utilizing a mixture of PLA and PLC phospholipases
US8460905B2 (en) * 2007-09-11 2013-06-11 Bunge Oils, Inc. Enzymatic degumming utilizing a mixture of PLA and PLC phospholipases with reduced reaction time
US8241876B2 (en) * 2008-01-07 2012-08-14 Bunge Oils, Inc. Generation of triacylglycerols from gums
GB0807161D0 (en) * 2008-04-18 2008-05-21 Danisco Process
EP2488638A1 (en) 2009-10-15 2012-08-22 DuPont Nutrition Biosciences ApS Lipid acyltransferase proteins and methods of making them
CN103429747A (zh) 2011-01-21 2013-12-04 诺维信公司 产生脂肪酸烃基酯
BR112014020280A8 (pt) 2012-02-17 2017-07-11 Clariant Produkte Deutschland Gmbh Método para o desengomamento enzimático e método de desengomamento de triglicerídeos
EP2861701B1 (en) 2012-06-14 2018-12-19 Bunge Global Innovation, LLC. Process for production of low saturate oils
EP2799531A1 (de) 2013-05-03 2014-11-05 Clariant Produkte (Deutschland) GmbH Einsatz von Phosphatasen zur enzymatischen Entschleimung von Triglyceriden
CN104513838A (zh) * 2013-09-29 2015-04-15 丰益(上海)生物技术研发中心有限公司 肌醇磷脂、包括肌醇磷脂的组合物和产品及产品的制备方法
EP2910129A1 (de) 2014-02-21 2015-08-26 Clariant Produkte (Deutschland) GmbH Zusammensetzung für die enzymatische Ölentschleimung
WO2015150372A1 (en) 2014-04-01 2015-10-08 Dupont Nutrition Biosciences Aps Method for increasing crude palm oil yields
WO2016097264A1 (en) 2014-12-19 2016-06-23 Dupont Nutrition Biosciences Aps Recovery of oil from palm sludge
CN104629907A (zh) * 2015-01-21 2015-05-20 东北农业大学 一种用固定化脂质酰基转移酶对大豆毛油脱胶的方法
EP3325630B1 (en) 2015-07-17 2020-05-06 Keclon S.A. Compositions and methods for oil degumming
CN113913475A (zh) 2015-10-09 2022-01-11 诺维信公司 酶或非酶生物柴油精制方法
EP3472335A1 (en) 2016-06-16 2019-04-24 Novozymes A/S Reduction of phospholipids in phospholipid-containing oil material
US10711221B2 (en) 2018-02-09 2020-07-14 Poet Research, Inc. Method of refining a grain oil composition to make one or more grain oil products, and related systems
CA3182639A1 (en) 2018-06-11 2019-12-19 Poet Research, Inc. Methods of refining a grain oil composition feedstock, and related systems, compositions and uses
CN110699334B (zh) * 2019-11-08 2021-07-30 山东禹王生态食业有限公司 一种酰基转移酶及其应用
CN111754164A (zh) * 2020-05-29 2020-10-09 青岛大学 麻生物化学脱胶工艺消耗控制管理软件产品及软件方法
CA3189121A1 (en) 2020-08-06 2022-02-10 Poet Research, Inc. Endogenous lipase for metal reduction in distillers corn oil
BR112023022967A2 (pt) 2021-05-04 2024-01-23 Novozymes As Tratamento enzimático de matéria-prima para produção de óleo vegetal hidrotratado (hvo)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005523019A (ja) * 2002-04-19 2005-08-04 ダイヴァーサ コーポレイション ホスホリパーゼ、それらをコードする核酸、ならびに、それらの作製方法および使用方法
WO2005089562A1 (en) * 2004-03-24 2005-09-29 Novozymes A/S Process for producing cheese
WO2006008508A1 (en) * 2004-07-16 2006-01-26 Danisco A/S Enzymatic oil-degumming method
JP2007516717A (ja) * 2003-12-24 2007-06-28 ダニスコ エイ/エス タンパク質
JP2007528732A (ja) * 2004-03-12 2007-10-18 ダニスコ エイ/エス 真菌脂肪分解酵素
JP2007531516A (ja) * 2004-03-08 2007-11-08 ダイヴァーサ コーポレイション ホスホリパーゼ、それらをコードする核酸並びにそれらの製造方法及び使用方法

Family Cites Families (37)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US70287A (en) * 1867-10-29 Proro- utkographes
US182734A (en) * 1876-09-26 Improvement in fences
US4683202A (en) 1985-03-28 1987-07-28 Cetus Corporation Process for amplifying nucleic acid sequences
KR100225087B1 (ko) 1990-03-23 1999-10-15 한스 발터라벤 피타아제의 식물내 발현
EP0531372B2 (en) 1990-05-09 2004-04-14 Novozymes A/S A cellulase preparation comprising an endoglucanase enzyme
ATE219143T1 (de) 1992-12-10 2002-06-15 Dsm Nv Herstellung von heterologen proteinen in filamentösen fungi
US5856196A (en) * 1993-10-25 1999-01-05 Beth Israel Hospital Processes for quantitating phosphoglycerides in a lipid mixture and diagnostic uses therefor
US6117679A (en) 1994-02-17 2000-09-12 Maxygen, Inc. Methods for generating polynucleotides having desired characteristics by iterative selection and recombination
US5605793A (en) 1994-02-17 1997-02-25 Affymax Technologies N.V. Methods for in vitro recombination
US6361974B1 (en) 1995-12-07 2002-03-26 Diversa Corporation Exonuclease-mediated nucleic acid reassembly in directed evolution
US6344328B1 (en) 1995-12-07 2002-02-05 Diversa Corporation Method for screening for enzyme activity
CN1235636A (zh) * 1996-10-31 1999-11-17 诺沃挪第克公司 新型磷脂酶,及其生产和应用
DK0973399T3 (da) 1997-04-09 2002-11-11 Danisco Forbedret fremgangsmåde til fremstilling af meldeje og produkter fremstillet af sådanne deje under anvendelse af glyceroloxidase
JPH11228986A (ja) * 1998-02-10 1999-08-24 Agency Of Ind Science & Technol 固定化ホスホリパーゼによる脱ガム法
AR017484A1 (es) 1998-04-08 2001-09-05 Novozymes As Un proceso de desgomado enzimatico de aceites comestibles
US6352851B1 (en) 1998-07-15 2002-03-05 Novozymes A/S Glucoamylase variants
CA2329122A1 (en) 1999-03-26 2000-10-05 Diversa Corporation Exonuclease-mediated nucleic acid reassembly in directed evolution
EP1932917B1 (en) 1999-08-30 2010-10-13 Monsanto Technology, LLC Plant sterol acyltransferases
DE19953854C2 (de) 1999-11-09 2002-01-17 Max Planck Gesellschaft Verfahren zur Herstellung von Biopolymeren mit veränderten Eigenschaften
FI108204B (fi) 1999-11-25 2001-11-30 Kari Johannes Kirjavainen Kalvo energioiden muuntamiseksi
EP1307548A2 (en) 2000-07-13 2003-05-07 Maxygen, Inc. Novel lipase genes
CA2418317A1 (en) 2000-08-11 2002-02-21 Genencor International, Inc. Bacillus transformation, transformants and mutant libraries
SE0201581D0 (sv) * 2002-05-29 2002-05-29 Scandinavian Biotechnology Res New improved acyltransferase
US7494676B2 (en) * 2002-05-30 2009-02-24 Council Of Scientific And Industrial Research Process for the pre-treatment of vegetable oils for physical refining
DE602004030000D1 (de) * 2003-01-17 2010-12-23 Danisco Verfahren zur in-situ-herstellung eines emulgators in einem nahrungsmittel
EP2278015B1 (en) 2003-01-17 2014-08-13 DuPont Nutrition Biosciences ApS Method of producing a carbohydrate ester
US7906307B2 (en) * 2003-12-24 2011-03-15 Danisco A/S Variant lipid acyltransferases and methods of making
GB0716126D0 (en) 2007-08-17 2007-09-26 Danisco Process
JP2007532117A (ja) 2004-04-08 2007-11-15 ジェネンコー・インターナショナル・インク αアミラーゼ変異体
EP1624047B1 (en) 2004-08-06 2006-10-18 De Smet Engineering N.V. Oil recuperation process
WO2006031699A2 (en) 2004-09-10 2006-03-23 Diversa Corporation Compositions and methods for making and modifying oils
EP1788080A1 (en) 2005-11-22 2007-05-23 Süd-Chemie Ag Use of a thermostable phospholipase in the degumming of an oil or fat, and a method for obtaining a thermostable phopholipase
ES2451266T3 (es) 2006-09-21 2014-03-26 Dsm Ip Assets B.V. Fosfolipasas, ácidos nucleicos que las codifican, y métodos para obtenerlas y usarlas
JP2008188989A (ja) * 2007-01-12 2008-08-21 Sakai Silk Screen:Kk 付着防止シート
PL2405007T3 (pl) 2007-01-25 2014-04-30 Dupont Nutrition Biosci Aps Wytwarzanie acylotransferazy lipidowej z przekształconych komórek gospodarza Bacillus licheniformis
BRPI0808024B1 (pt) * 2007-01-30 2017-05-16 Bunge Oils Inc método para desengomar uma composição de óleo
EP2488638A1 (en) 2009-10-15 2012-08-22 DuPont Nutrition Biosciences ApS Lipid acyltransferase proteins and methods of making them

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005523019A (ja) * 2002-04-19 2005-08-04 ダイヴァーサ コーポレイション ホスホリパーゼ、それらをコードする核酸、ならびに、それらの作製方法および使用方法
JP2007516717A (ja) * 2003-12-24 2007-06-28 ダニスコ エイ/エス タンパク質
JP2007531516A (ja) * 2004-03-08 2007-11-08 ダイヴァーサ コーポレイション ホスホリパーゼ、それらをコードする核酸並びにそれらの製造方法及び使用方法
JP2007528732A (ja) * 2004-03-12 2007-10-18 ダニスコ エイ/エス 真菌脂肪分解酵素
WO2005089562A1 (en) * 2004-03-24 2005-09-29 Novozymes A/S Process for producing cheese
WO2006008508A1 (en) * 2004-07-16 2006-01-26 Danisco A/S Enzymatic oil-degumming method

Also Published As

Publication number Publication date
CL2008003776A1 (es) 2010-01-04
AR069812A1 (es) 2010-02-17
CN101978037B (zh) 2015-06-17
MX2010007014A (es) 2010-09-30
AU2008339660A1 (en) 2009-07-02
US9228211B2 (en) 2016-01-05
MY151265A (en) 2014-04-30
BRPI0821253A2 (pt) 2015-06-16
JP5509094B2 (ja) 2014-06-04
EP2235151B1 (en) 2012-09-12
WO2009081094A2 (en) 2009-07-02
EA020035B1 (ru) 2014-08-29
EP2235151A2 (en) 2010-10-06
US20110136187A1 (en) 2011-06-09
AU2008339660B2 (en) 2013-09-26
DK2235151T3 (da) 2012-11-19
HK1149288A1 (en) 2011-09-30
CA2708292A1 (en) 2009-07-02
CA2708292C (en) 2016-04-05
EA201001003A1 (ru) 2011-06-30
ES2395551T3 (es) 2013-02-13
NZ585870A (en) 2012-04-27
PL2235151T3 (pl) 2013-02-28
WO2009081094A3 (en) 2010-03-04
KR20100086507A (ko) 2010-07-30
CN101978037A (zh) 2011-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5509094B2 (ja) 脂質アシルトランスフェラーゼを用いる食用油精製のためのプロセス
US8927036B2 (en) Enzymatic oil-degumming method
JP5697294B2 (ja) 糖脂質アシル基転移酵素変異体及びその製造方法
US7906307B2 (en) Variant lipid acyltransferases and methods of making
JP2007516717A6 (ja) タンパク質
EP2501242B1 (en) Method for producing powder milk
ES2367511T3 (es) Método de desgomado.
AU2011203285B2 (en) Enzymatic Oil-Degumming Method
DK1704236T3 (en) PROTEINS

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110527

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130613

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140206

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140324

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5509094

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees