JP2011503517A - 農薬バイオマーカー - Google Patents

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Abstract

哺乳動物の有機リン酸化合物への暴露を示すバイオマーカーを検出するための方法、組成物および製品を提供する。そのようなバイオマーカーと、バイオポリマーに結合した受容体との間の相互作用は、バイオマーカーの存在を報告する光学的読み取りを生じる。

Description

本発明は、ポリペプチドと、ポリペプチドを共有結合で修飾する化合物またはその代謝物との相互作用から誘導されるバイオマーカーの検出に関連する。開示する特定の実施形態は、バイオマーカーを認識し、そしてバイオマーカーの結合時に光学特性の変化を経験するバイオポリマー材料に固定化された抗体を組み入れる光センサを使用する、アセチルコリンエステラーゼのようなセリンヒドロラーゼと、有機リン酸系農薬または反応性有機リン酸系化合物との相互作用から生じるバイオマーカーの検出である。さらに、バイオセンサ検出のためのデバイスに使用されるかまたは組み入れられるバイオセンサデバイスおよび光センサモジュールについても開示する。
ポリペプチドと、ポリペプチドを共有結合で修飾する化合物またはその代謝物との相互作用から誘導されるバイオマーカーの検出のための本発明の方法およびデバイス。開示する特定の実施形態は、バイオマーカーを認識し、そしてバイオマーカーの結合時に光学特性の変化を経験するバイオポリマー材料に固定化された抗体を組み入れる光センサを使用する、アセチルコリンエステラーゼのようなセリンヒドロラーゼと、有機リン酸系農薬または反応性有機リン酸系化合物との相互作用から生じるバイオマーカーの検出である。さらに、バイオセンサ検出のためのデバイスに使用されるかまたは組み入れられるバイオセンサデバイスおよび光センサモジュールについても開示する。
本発明の特定の実施形態では、バイオマーカーは、酵素と自殺型阻害剤との相互作用後のセリンヒドロラーゼの共有結合修飾から生じる。より特定の実施形態では、バイオマーカーは、アセチルコリンエステラーゼのようなセリンヒドロラーゼと、自殺型阻害剤として作用する有機リン酸化合物またはその代謝物との相互作用から生じる。用語「有機リン酸(organophosphate)」は、当該技術分野において、殺虫剤および農薬を含んでなる化合物の化学的クラスを説明するために使用される。そのような化合物は、直接的または1つもしくはそれ以上の代謝プロセスによる活性化後のいずれかに、コリンエステラーゼを含むタンパク質およびポリペプチドを修飾することが可能である。有機リン酸系(organophosphoryl)(OP)系殺虫剤は、マラチオン、ダイアジノン、クロルピリホス類など(表1に示す)を含む有機リン酸化合物であり、世界中で害虫の制御のために、最も広範に使用される農薬であり、そして野外従業者に対するそのような環境毒素の暴露経路の代表である。構造1a(以下を参照のこと)のOP殺虫剤は、P=O部分を有する構造1bおよび2によって表される反応性有機リン酸系化合物のいくつかの例と比較して、P=S部分を有する有機リン酸系農薬(有機リンチオン酸(organophoshothionate)農薬)の1つのクラスを表す。典型的に、有機リン酸系農薬は、活性および毒性になるために、1a(チオン酸塩)から1b(P=O、オキソン)への変換において示されるように、代謝プロセシングを必要とするが、一方、構造(2)によって表される反応性有機リン酸系化合物は、オキソン体であり、そして直接的に毒性である。オキソン体(1bおよび2)は、それらの神経毒性の作用機序(以下にさらに示す)を主に担う。
年間、150,000〜300,000件のOP関連毒性の発生が米国において報告されており(Rosenstock, 1991)、そして世界中で数百万人の人々が、OP殺虫剤への暴露のために、治療を受けている。
Figure 2011503517
吸入形態および毒性の神経化学的作用機序のため、OP暴露に対して高い危険性にある個体には、小児および高年齢者、喘息のような気道障害、神経疾患、および/または精神疾患を伴うものが含まれる。農業従事者、農薬従事者、頒布者およびOP化合物を取り扱う他の職業は、OP薬剤への優先的な暴露のため、より大きく危険であり得る。1993年〜1996年の間、約65,000例のOP中毒がUS Poison Control Centerに報告され、そしてこれらのうち、25,000件が6歳未満の小児に関与した。米国では、百万人を超える5歳以下の小児(20名中1名)が、安全域を超える用量のOPを消費することが見積もられる(Goldman, 2000)。
本明細書に記載のデバイスおよび方法は、OP暴露に関する特定の必要性に取り組んでおり、有機リン酸系農薬もしくは反応性有機リン酸系化合物のような有機リン酸化合物の慢性的または急性的暴露についてモニターすることを含む。
アセチルコリンエステラーゼについて考察されているOPの作用機序は、ブチリル−コリンエステラーゼのような他のコリンエステラーゼおよびOP暴露のバイオマーカーを提供する他のタンパク質にも当てはまり、従って、本明細書において開示する発明を特定のコリンエステラーゼまたはタンパク質に限定することを意味するものではない。OP中毒の機序における重要な事象は、暴露の機械論的に正確なバイオマーカーを表す構造的に独特な生成物を付与するためのOP化合物とAChEとの反応である。以降、OP−AChEコンジュゲートという用語は、他で示さない限り、アセチルコリンエステラーゼまたは触媒的にコンピテントなそのフラグメント(一次有機リン酸バイオマーカー)とのOP反応から最初に形成されるOP−コンジュゲート、および続いて形成される経時した誘導体(二次有機リン酸バイオマーカー)を指す。本開示物は、その構造が、機械論的考慮から推定され得るOP−AChEコンジュゲート(即ち、有機リン酸バイオマーカー)を同定する新規な方法を提供し、そして当該技術分野に対して進歩性を表す。
従って、OP化合物のような環境毒素への哺乳動物の暴露からの適切な治療介入を支援し、そしてそのような毒素の広範な普及からの脅威を評価するために、OP−AChEコンジュゲートおよびその経時した生成物のようなバイオマーカーの量、タイプおよび構造を評価するための検出システムならびに方法を提供する、本開示物が取り組む有機リン酸バイオマーカーの検出の必要性が存在する。
化学化合物への暴露から生じる、一般に、「バイオマーカー」と呼ばれるバイオ分子生成物を検出および区別するためのバイオセンサデバイスおよびそのようなデバイスにおいて用いられる光センサについて説明する。有機リン酸(OP)化合物暴露に特徴的な特異的バイオマーカーを、「OP−タンパク質コンジュゲート」またはOP−ポリペプチドコンジュゲートと称する。マラチオン、ダイアジノンおよびクロルピリホス(および表1に示される他のもの)を含むがそれらに限定されない農薬のような有機リン酸(OP)化合物がアセチルコリンエステラーゼ(AChE)のようなポリペプチドまたはタンパク質を修飾する場合、OP−タンパク質またはポリペプチドコンジュゲートが形成される。修飾されるタンパク質がAChEである場合、得られるコンジュゲートを「OP−AChEコンジュゲート」と称する。分析が行われるのは、別個の組のOP−タンパク質コンジュゲートによって表される特異的バイオマーカーについてであるため、OP化合物への暴露を検出および定量するためのバイオセンサデバイスおよび方法は新規である。従って、本発明のバイオセンサデバイスは、個々のOP−タンパク質コンジュゲートを同定することができ、共に、あるOP化合物への暴露と、異なる組のOP−タンパク質コンジュゲートを示す異なるOP化合物への暴露とを区別する。
アセチルコリンエステラーゼまたはその触媒的にコンピテントなフラグメントへのOP化合物の暴露に対するバイオマーカーであるOP−AChEコンジュゲートを検出する効率的かつ迅速な手段を提供する、受容体修飾PDAポリマーを用いる新規のバイオセンサデバイスについて説明する。超可変ドメインを含有し、そしてアセチルコリンエステラーゼまたはその触媒的にコンピテントなフラグメントへのOP暴露から生じるタンパク質コンジュゲートを認識することが可能である抗体、Fabフラグメント、および他の免疫グロブリンフラグメントを含む受容体について説明するが、それは、バイオマーカー受容体の1つのクラスである。バイオマーカー受容体は、PDAバイオポリマーフィルムのようなバイオポリマー材料に固定化される場合、バイオマーカーの検出のための光センサを提供する。また、OP化合物への急性的および慢性的暴露の経過をモニターするための受容体修飾PDAポリマーを使用する新規の分析方法について説明する。バイオセンサデバイスの一実施形態は、発蛍光性抗体修飾PDAポリマー(AB−PDAバイオポリマー材料)を使用する。説明する本発明の一実施形態は、アセチルコリンエステラーゼのOP化合物への暴露に関し、そしてOP暴露のバイオマーカーを提供するブチリル−コリンエステラーゼおよび他のタンパク質のような他のコリンエステラーゼに関与する他の実施形態にも当てはまる。OP−AChEコンジュゲートを検出する抗体のような特異的認識受容体からなる新規の受容体修飾PDAポリマーについて説明する。また、受容体修飾PDAポリマーからなるOPセンサモジュールについても説明する。OP化合物への暴露を分析するための1つもしくはそれ以上のOP光センサまたは光センサモジュールを使用し、そして被験体のOP化合物への暴露の程度を評価して、治療介入を誘導するのに有用な情報を提供するバイオセンサデバイスについてもさらに説明する。
バイオポリマー材料(例えば、ポリジアセチレンポリマーフィルム)に固定化されたバイオマーカー受容体(例えば、抗OP−AchE抗体)を有する光センサ。 バイオポリマー材料において蛍光変化を誘導するPDA−バイオポリマーフィルムに固定化されたバイオマーカー受容体に結合するバイオマーカーの例(標準的なローダミン励起および赤色LP蛍光フィルターセットを使用して、250×250μmの視野を獲得する)。 OP−光センサモジュールの構築のフローチャート。 バイオセンサデバイスの線図。
定義。本明細書において使用するように、そして本明細書において他で述べるかまたは示唆しない限り、本明細書において使用する用語は、以下で定義した意味を有する。これらの定義および本明細書を通して、例えば、相互に排他的な要素または選択肢を含むことによって、他で禁忌とされるかまたは示唆されない限り、用語「a」および「an」は、1つもしくはそれ以上を意味し、そして用語「or」はおよび/またはを意味する。
本開示物の多様な場所、例えば、開示した任意の実施形態または特許請求の範囲において、1つもしくはそれ以上の指定された成分、要素または工程を「含んでなる」化合物、組成物、組成物または方法を参照のこと。本発明の実施形態として、具体的には、それらの指定された成分、要素または工程である、またはよりなる、もしくはより本質的になるそれらの化合物、組成物、組成物または方法が挙げられる。用語「含んでなる」、「よりなる」および「より本質的になる」は、他で具体的に述べない限り、米国特許法において通常受け入れられているそれらの意味を有する。用語「からなる」は、用語「含んでなる」と同義的に使用され、そして均等な用語として叙述される。例えば、成分または工程「を含んでなる」開示された組成物、デバイス、製品は、非限定的であり、そしてそれらは、それらの組成物または方法に加えてさらなる成分もしくは工程を含むかまたは包含する。同様に、成分または工程「よりなる」開示された組成物、デバイス、製品は、限定的であり、そしてそれらは、さらなる成分もしくはさらなる工程を認められる量で有するそれらの組成物または方法を含まず、また包含しない。
数値または値の範囲を説明する際に本明細書において使用する「約」は、数値を意味するか、または範囲は、値の測定値における不確実性を包含することが意図される。不確実性は、測定しようとする値のタイプおよび値を決定するために用いられる方法に依存する。そのような不確実性は公知であるか、あるいは値を決定するのに使用される器具および−または方法の確度および精度を確立することによって、当業者によって容易に決定される。
本明細書において使用する「アルキル」は、連結した形のノルマル、第二級、第三級または環式の炭素原子(即ち、鎖状、分岐、環式またはそれらの任意の組合せ)を意味する。本明細書において使用するアルキル部分は、飽和であってもまたは不飽和であってもよく、即ち、部分は、1、2、3もしくはそれ以上の独立して選択される二重結合または三重結合を含んでなり得る。不飽和アルキル部分は、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびアリール部分について以下に記載のような部分を含む。飽和アルキル基は、飽和炭素原子(sp)を含有し、そして芳香族、spまたはsp炭素原子を含有しない。アルキル基または部分の炭素原子の数は、変動することができ、そして典型的に、1〜約50個、例えば、約1〜30個または約1〜20個であり、他で指定しない限り、例えば、C1−8アルキルまたはC1−C8アルキルは、1、2、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を含有するアルキル部分を意味し、そしてC1−6アルキルまたはC1−C6は、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を含有するアルキル部分を意味する。
アルキル基を指定する場合、種として、メチル、エチル、1−プロピル(n−プロピル)、2−プロピル(イソ−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−ブチル)、2−メチル−1−プロピル(イソ−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(sec−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル、−C(CH)、アミル、イソアミル、sec−アミルならびに他の線状、環式および分岐鎖のアルキル部分を挙げることができる。他で指定しない限り、アルキル基は、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基などについて以下に記載の種および基を含有することができる。
本明細書において使用するシクロアルキルは、炭素原子のみからなる単環式、二環式または三環式環系である。シクロアルキル基または部分の炭素原子の数は、変動することができ、そして典型的に、3〜約50個、例えば、約1〜30個または約1〜20個であり、他で指定しない限り、例えば、C3−8アルキルまたはC3−C8アルキルは、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を含有するシクロアルキル部分を意味し、そしてC3−6アルキルまたはC3−C6は、3、4、5もしくは6個の炭素原子を含有するシクロアルキル部分を意味する。シクロアルキル基は、典型的に、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個の炭素原子を有し、そしてエキソ型もしくはエンド型環式二重結合またはエンド型環式三重結合あるいは両方の組合せを含有してもよく、ここで、エンド型環式二重結合または三重結合、あるいは両方の組合せは、4N+2個の電子の環式共役系を形成せず;ここで、二環式環系は、1個(即ち、スピロ環系)または2個の炭素原子を共有してもよく、そして三環式環系は、合計で2、3もしくは4個の炭素原子、典型的には、2もしくは3個を共有してもよい。
シクロアルキル基を指定する場合、種として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、確固としてまたは他の環式のすべての炭素含有部分を挙げることができる。他で指定しない限り、シクロアルキル基は、アルケニル、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基などについて記載の種および基を含有することができ、そして1つもしくはそれ以上の他のシクロアルキル部分を含有することができる。シクロアルキルをマーカッシュ群として使用する場合、シクロアルキルをマーカッシュ形式に付属させるが、それは、シクロアルキル基の環式炭素環系の炭素に関与する炭素を通して関連付けられる。
本明細書において使用する「アルケニル」は、1つもしくはそれ以上の二重結合(−CH=CH−)、例えば、1、2、3、4、5、6もしくはそれ以上、典型的に、1、2もしくは3を含んでなる部分を意味し、そしてベンゼンのようなアリール部分を含むことができ、そしてさらに、アルケニル部分がビニル(−CH=CH)である限り、ノルマル、第二級、第三級または環式炭素原子、即ち、線状、分岐、環式またはそれらの任意の組合せを連結した形で含んでなる。多数の二重結合を伴うアルケニル部分は、1つもしくはそれ以上の介在性飽和炭素原子またはそれらの組み合わせと共に連続的(即ち、1,3ブタジエニル部分)または非連続的に配置される二重結合を有し得るが、但し、二重結合の環式の連続的配置は、4N+2個の電子の環状の共役系(即ち、芳香族性)を形成しない。アルケニル基または部分の炭素原子の数は、変動することができ、そして典型的に、2〜約50個、例えば、約2〜30個または約2〜20個であり、他で指定しない限り、例えば、C2−8アルケニルまたはC2−8アルケニルは、2、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を含有するアルケニル部分を意味し、そしてC2−6アルケニルまたはC2−6アルケニルは、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を含有するアルケニル部分を意味する。アルケニル基は、典型的に、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18もしくは20個の炭素原子を有する。
アルケニル基を指定する場合、種として、例えば、1つもしくはそれ以上の二重結合を有する上記のアルキルまたはシクロアルキル部分、メチレン(=CH)、メチルメチレン(=CH−CH)、エチルメチレン(=CH−CH−CH)、=CH−CH−CH−CH、ビニル(−CH=CH)、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニルならびに少なくとも1つの二重結合を含有する他の線状、環式および分岐鎖のすべての炭素含有部分のいずれかが挙げられる。アルケニルをマーカッシュ群として使用する場合、アルケニルをマーカッシュ形式に付属させるが、それは、アルケニル基の二重結合の不飽和炭素を通して関連付けられる。
本明細書において使用する「アルキニル」は、1つもしくはそれ以上の三重結合(−C≡C−)、例えば、1、2、3、4、5、6つもしくはそれ以上、典型的に、1もしくは2つの三重結合を含んでなり、場合により、1、2、3、4、5、6つもしくはそれ以上の二重結合を含んでなる部分を意味し、アルキニル部分がエチニルである限り、残りの結合は、(存在する場合)単結合であり、そしてノルマル、第二級、第三級または環式炭素原子、即ち、線状、分岐、環式またはそれらの任意の組合せを連結したで含んでなる。アルケニル基または部分の炭素原子の数は、変動することができ、そして典型的に、2〜約50、例えば、約2〜30または約2〜20であり、他で指定しない限り、例えば、C2−8アルキニルまたはC2−8アルキニルは、2、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を含有するアルキニル部分を意味する。アルキニル基は、典型的に、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18もしくは20個の炭素原子を有する。
アルキニル基を指定する場合、種として、例えば、1つもしくはそれ以上の二重結合を有する上記のアルキル部分、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソ−ブチニル、3−メチル−2−ブチニル、1−ペンチニル、シクロペンチニル、1−メチル−シクロペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、シクロヘキシニルならびに少なくとも1つの三重結合を含有する他の線状、環式、および分岐鎖のすべての炭素含有部分のいずれかが挙げられる。アルキニル置換基をマーカッシュ群として使用する場合、アルキニルをマーカッシュ形式に付属させるが、それは、アルキニル基の三重結合の不飽和炭素を通して関連付けられる。
本明細書において使用する「アリール」は、1、2、3もしくは4〜6個の環、典型的に、1〜3個の環を含んでなる環ヘテロ原子を伴わない芳香環系または縮合環系を意味し;ここで、環は炭素原子のみからなり;そして4N+2個の電子(ヒュッケル則)(典型的に、6、10もしくは14個の電子であって、そのうちのいくつかはさらに、環外共役(交差共役)に参加し得る)の環状の共役系を指す。アリール基を指定する場合、種として、フェニル、ナフチル、フェナントリルおよびキノンを挙げることができる。アリールをマーカッシュ群として使用する場合、アリールをマーカッシュ形式に付属させるが、それは、アリール基の芳香族炭素を通して関連付けられる。
本明細書において使用する「アルキルアリール」は、アルキル基がアリール基に結合している部分、即ち、−アルキル−アリールを意味し、ここで、アルキルおよびアリール基は上記のとおり、例えば、−CH−Cまたは−CHCH(CH)−Cである。
本明細書において使用する「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合している部分、即ち、−アリール−アルキルを意味し、ここで、アリールおよびアルキル基は上記のとおり、例えば、−C−CHまたは−C−CHCH(CH)である。
「置換アルキル」、「置換シクロアルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アルキルアリール」、「置換アリールアルキル」、「置換複素環」、「置換アリール」、「置換単糖」などは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル複素環、アリール、単糖、あるいは水素原子を置き換える置換基もしくは炭素原子鎖を中断する置換基を有する本明細書において定義または開示した他の基または部分を意味する。置換基を含んでなるアルケニルおよびアルキニル基は、二重結合から離れた場所にある1つもしくはそれ以上のメチレン部分である炭素において、場合により置換される。
「場合により置換されるアルキル」、「場合により置換されるアルケニル」、「場合により置換されるアルキニル」、「場合により置換されるアルキルアリール」、「場合により置換されるアリールアルキル」、「場合により置換される複素環」、「場合により置換されるアリール」、「場合により置換されるヘテロアリール」、「場合により置換されるアルキルヘテロアリール」、「場合により置換されるヘテロアリールアルキル」、「場合により置換される単糖」などは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル複素環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、単糖、あるいは場合により、水素原子を置き換える置換基もしくは炭素原子鎖を中断する置換基を有する本明細書において定義または開示した他の基または部分を意味する。そのような置換基は、上記のとおりである。フェニル部分について、芳香環上に存在する任意の2つの置換基の配置は、オルト(o)、メタ(m)、またはパラ(p)であり得る。
所定の範囲の炭素原子によって説明される任意の基または部分について、示した範囲は、炭素原子の任意の個々の数が記載されていることを意味する。それ故、例えば、「C−Cの場合により置換されるアルキル」、「C2−6アルケニル、場合により置換されるアルケニル」、「C−Cの場合により置換される複素環」に対する言及は、具体的には、本明細書において定義したような1、2、3もしくは4炭素の場合により置換されるアルキル部分が存在するか、あるいは2、3、4、5もしくは6炭素アルケニル、または本明細書において定義したような複素環もしくは場合により置換されるアルケニル部分を含んでなる3、4、5、6、7もしくは8炭素部分が存在することを意味する。そのようなすべての呼称は、個々の炭素原子の基のすべてを開示することを明確に意図し、それ故、「C1−C4の場合により置換されるアルキル」は、例えば、すべての位置異性体を含む3炭素アルキル、4炭素の置換アルキルおよび4炭素アルキルなどを含み、それらは開示され、そして明確に言及または命名することができる。
本明細書に記載の有機部分および置換基、ならびに他については、本明細書に記載の他の任意の部分は、不安定な部分が、1つもしくはそれ以上の本明細書に記載の使用に化学的に十分な安定性を伴う化合物を作製するために使用することができる過渡種である場合を除いて、通常、そのような不安定な部分を含まない。
用語「リン含有部分」は、炭素原子、あるいは分子または実体のO、NもしくはSのようなヘテロ原子を介して、ポリペプチドまたはバイオポリマー材料のような分子または実体に共有結合するリン原子を含有する部分を意味する。典型的に、リン含有部分は、P=O結合を有し、そして例えば、−P(O)(O)−ORPR、−P(O)(R)(ORPR)、−P(O)(ORPR)(ORPR)などであるがこれらに限定されない部分を誘導し、ここで、RPRは、独立して選択される−Hまたは1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子を含有する有機部分および独立して選択される0〜10個(典型的に0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)である。いくつかの実施形態では、リン含有部分は、有機リン酸化合物、あるいは分子または実体由来のヘテロ原子と結合することによって構造1bもしくは2を有する有機リン酸系化合物から誘導される。いくつかの実施形態では、リン含有部分を、ポリペプチドの窒素または酸素を介して共有結合させて、バイオマーカーを提供する。
本明細書に記載の「複素環」または「複素環式」は、シクロアルキルまたは芳香環系であって、ここで、環系を含んでなる炭素原子のうち1個もしくはそれ以上(典型的に、1、2もしくは3個であるが、但し、すべてではない)が、N、O、S、Se、B、Si、P、典型的に、N、OまたはSを含む炭素以外の原子であるヘテロ原子によって置き換えられ、ここで、2個もしくはそれ以上のヘテロ原子は、相互に隣接してもよく、または1個もしくはそれ以上の炭素原子、典型的に1〜17個の炭素原子、1〜7個の原子もしくは1〜3個の原子によって隔てられていてもよい。
C−結合複素環という用語は、炭素原子を介して分子に結合した複素環を意味し、そして−(CH)n−複素環[式中、nは、1、2もしくは3である]または−C<複素環[式中、C<は、複素環中の炭素原子を表す]のような部分を含む。N−結合複素環である部分は、−N<複素環[式中、N<は窒素を表す]として記載される複素環窒素に結合した複素環を意味する。
本明細書において使用する「ヘテロアリール」は、アリール環系であって、ここで、アリール環系を含んでなる炭素原子のうち1個もしくはそれ以上(典型的に、1、2もしくは3個であるが、但し、すべてではない)が、N、O、S、Se、B、Si、P、典型的には、通常、酸素(−O−)、窒素(−NX−)または硫黄(−S−)(ここで、Xは、−H、保護基もしくはC1−6場合により置換されるアルキルである)を含む炭素以外の原子であるヘテロ原子によって置き換えられ、ここで、ヘテロ原子は、環系における隣接する原子とのπ結合またはヘテロ原子上の孤立電子対のいずれかを介して共役系に参加し、そして1個もしくはそれ以上の炭素またはヘテロ原子、あるいは両方の組合せにおいて、場合により置換されていてもよく、環状の共役系を保持する様式で複素環を含んでなる、上記アリール環系を意味する。複素環の例について説明する。
複素環およびヘテロアリールとして、例えば、Paquette, Leo A.; "Principles of Modern Heterocyclic Chemistry" (W. A. Benjamin, New York, 1968)、特に、第1、3、4、6、7、および9章;"The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs" (John Wiley & Sons, New York, 1950 to present)、特に、第13、14、16、19、および28巻;ならびにJ. Am. Chem. Soc. 1960, 82:5545-5473、特に、5566-5573)に記載の複素環およびヘテロアリールが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロアリール類の例として、例えば、ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、プリニル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾチオピラン、ベンゾトリアジン、イソキサゾリル、ピラゾロピリミジニル、キノキサリニル、ジアジアゾリル、トリアゾリルなどが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロアリール類ではない複素環の例として、例えば、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、インドールエニル、ピペリジニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、2H−ピロリル、3Hインドリル、4H−キノリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書において使用する「アルキルヘテロアリール」は、アルキル基がヘテロアリール基に結合した部分、即ち、−アルキル−ヘテロアリールを意味し、ここで、アルキルおよびヘテロアリール基は上記のとおりである。
本明細書において使用する「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール基がアルキル基に結合した部分、即ち、−ヘテロアリール−アルキルを意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキル基は上記のとおりである。
本明細書において使用する「アルコール」は、水素原子において1つのヒドロキシル基によって置換されたC1−12アルキル部分を含んでなるアルコールを意味する。アルコール類として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノールおよびt−ブタノールが挙げられる。アルコール類の炭素原子は、直鎖、分岐または環式であり得る。アルコールとして、上述の任意のサブセット、例えば、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコールを意味するC1−4アルコール(またはC2−4アルコール)、あるいは2、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を有するアルコールを意味するC2−8アルコールまたは(C2−8アルコール)が挙げられる。
本明細書において使用する「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
本明細書において使用する「保護基」は、それが連結する原子または官能基の能力が、所望されない反応に参加することを妨げるまたは減少する部分を意味する。例えば、−ORPRでは、RPRは、水素またはヒドロキシルにおいて見出される酸素原子の保護基であり得る一方、−C(O)−ORPRでは、RPRは、水素またはカルボン酸保護基であり得;−SRPRでは、RPRは、水素またはチオール類における硫黄の保護基であり得、そして−NHRPRあるいは−N(RPR−では、RPRは、水素または第一級もしくは第二級アミンの窒素原子保護基であり得る。ヒドロキシル、アミン、ケトン類および他の反応性基は、分子の別の場所で生じる反応に対する保護を必要とし得る。酸素、硫黄または窒素原子の保護基は、通常、アシル化剤のような求電子化合物との所望されない反応を防止するために使用される。原子または官能基の典型的な保護基については、Greene (1999), "Protective groups in organic synthesis, 3rd ed." Wiley Interscienceに記載されている。
本明細書において使用する「エステル」は、−C(O)−O−構造を含有する部分を意味し、ここで、構造の炭素原子は、別のヘテロ原子に直接接続せず、そして−Hまたは別の炭素原子に直接接続する。典型的に、本明細書において使用するエステル類は、1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子または1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり、ここで、有機部分は、−C(O)−O−構造を介して結合し、そして有機部分−C(O)−O−および有機部分−O−C(O)−のようなエステル部分を含む。有機部分は、通常、本明細書に記載の有機基、例えば、C1−20アルキル部分、C2−20アルケニル部分、C2−20アルキニル部分、アリール部分、C2−9複素環、または例えば、1、2、3、4もしくはそれ以上の置換基を含んでなるこれらのいずれかの置換誘導体(ここで、各置換基は独立して選択される)のいずれかの1つもしくはそれ以上を含んでなる。これらの有機基における水素または炭素原子の例示的な置換基は、置換アルキルおよび他の置換部分について上記のとおりであり、そして独立して選択される。上記で列挙した置換基は、典型的に、1個もしくはそれ以上の炭素原子、例えば、−O−または−C(O)−、あるいは1個もしくはそれ以上の水素原子、例えば、ハロゲン、−NHまたは−OHを置き換えるために使用することができる置換基である。例示的なエステル類として、例えば、1つもしくはそれ以上の独立して選択される酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソプロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステル、イソ吉草酸エステル、カプロン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、フェニル酢酸エステルまたは安息香酸エステルが挙げられるが、それらに限定されない。また、エステルとして、ポリペプチド−O−C(O)−、ポリマー−O−C(O)−、−O−C(O)−ポリペプチドまたは−O−C(O)−ポリマーのようなエステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「チオエステル」は、−C(O)−S−構造を含有する部分を意味する。典型的に、本明細書において使用するチオエステル類は、1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子または1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜約10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり、ここで、有機部分は、−C(O)−S−構造を介して結合し、そして有機部分−C(O)−S−および有機部分−C(O)−S−のようなチオエステル部分を含み、ここで、有機部分は、エステル、場合により置換されるアルキルまたはアルキル基について本明細書に記載のとおりである。また、チオエステルとして、ポリペプチド−C(O)−S−、ポリマー−C(O)−S−、−C(O)−S−ポリペプチドまたは−C(O)−S−ポリペプチドのようなチオエステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「チオノエステル」は、−C(S)−O−構造を含有する部分を意味する。典型的に、本明細書において使用するチオノエステル類は、約1〜50個の炭素原子(1〜20個の炭素原子)および0〜約10個の独立して選択されるヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり、ここで、有機部分は、−C(O)−S−構造を介して結合し、そして有機部分−C(S)−O−、有機部分−O−C(S)−のようなチオノエステル部分を含み、ここで、有機部分は、エステル、アルキル基および場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。また、チオノエステルとして、−C(S)−O−ポリペプチド、ポリペプチド−C(S)−O−、ポリマー−C(S)−O−または−C(S)−O−ポリマーのようなチオノエステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「アセタール」、「チオアセタール」、「ケタール」、「チオケタール」などは、2個の同じまたは異なるヘテロ原子に結合した炭素を有する部分であって、ここで、ヘテロ原子は、独立して選択されるSおよびOである。アセタールでは、炭素は、結合した2個の酸素原子、水素原子および有機部分を有する。ケタールでは、炭素は、結合した2個の酸素原子および独立して選択される2つの有機部分を有し、ここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。チオアセタール類およびチオケタール類では、それぞれアセタールまたはケタールの酸素原子の一方または両方が、硫黄によって置き換えられる。ケタール類およびチオケタール類の酸素または硫黄原子は、時折、場合により置換されるアルキル部分によって連結される。典型的に、アルキル部分は、−C(CH−、−CH(CH)−、−CH−、−CH−CH−、−C[(C2−C4アルキル)1,2,3−もしくは−[CH(C2−C4アルキル)]1,2,3−のような場合により置換されるC1−8アルキルまたは分岐アルキル構造である。これらの部分のいくつかは、アルデヒドまたはケトンの保護基として役立ち得(例えば、アルデヒド類ではアセタール類およびケトン類ではケタール類)、そしてカルボニル炭素と共にスピロ環を形成する−O−CH−CH−CH−O−または−O−CH−CH−O−部分を含有し、そして化学合成方法または細胞もしくは生物学的液体における代謝によって取り出すことができる。
本明細書において使用する「ホスホエステル」または「リン酸エステル」は、−O−P(ORPR)(O)−O−、−O−P(O)(ORPR)−ORPR、または−O−P(O)(ORPR)−O−構造またはその塩を含有する部分を意味し、ここで、RPRは、独立して−H、保護基または有機部分であり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。典型的に、ホスホエステル類は、水素原子、保護基、または−O−P(O)(O)−O−構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜約10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−O−P(O)(OH)−O−を含んでなり、ここで、有機部分は、エステル、場合により置換されるアルキルまたはアルキル基について記載のとおりである。例示的なホスホエステル類として、−O−P(O)(OH)−O−CH、−O−P(O)(OCH)−O−CH、−O−P(O)(OH)−O−CH−CH、−O−P(O)(OC)−O−CH−CH、−O−P(O)(OH)−O−CH−CH−CH、−O−P(O)(OH)−O−CH(CH)−CH、−O−P(O)(OH)−O−CH−CH−CH−CH、−O−P(O)(O(CH)−O−C(CH、−O−P(O)(OH)−O−C(CH、−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−ORPRおよび−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−O−場合により置換されるアルキルが挙げられ、ここで、場合により置換されるアルキル部分は、独立して選択される。また、ホスホエステル類として、ポリペプチド−O−P(ORPR)(O)−O−、ポリペプチド−O−P(O)(ORPR)−ORPR、ポリマー−O−P(ORPR)(O)−O−またはポリマー−O−P(O)(ORPR)−ORPRのようなホスホエステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「ホスホネート」、「ホスホン酸エステル」などは、構造のリン原子に直接付着した炭素原子を有する−O−P(O)(ORPR)−または−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−構造またはその塩を含有する部分を意味し、ここで、RPRは、独立して−H、保護基またはエステル類、場合により置換されるアルキルもしくはアルキル基について記載のとおりの有機部分である。典型的に、ホスホネート類またはホスホン酸エステル類は、水素原子、保護基、または−P(O)(O)−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−P(O)(OH)−O−、−P(O)(ORPR)−O−有機部分または−O−P(O)(ORPR)−C1−8の場合により置換されるアルキルを含んでなり、ここで、有機部分および場合により置換されるアルキルは、エステル類、場合により置換されるアルキルもしくはアルキル基について記載のとおりである。例示的なホスホン酸エステル類として、−O−P(O)(OH)−CH、−O−P(O)(OCH)−CH、−O−P(O)(OH)−CH−CH、−O−P(O)(OC)−CH−CH、−O−P(O)(OH)−CH−CH−CH、−O−P(O)(OH)−CH(CH)−CH、−O−P(O)(OH)−CH−CH−CH−CH、−O−P(O)(O(CH)−C(CH、−O−P(O)(OH)−C(CH、−O−P(O)(ORPR)−場合により置換されるヘテロアリール、−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−場合により置換されるアルキル、−P(O)(OH)−OCH、−P(O)(OCH)−OCH、−P(O)(OH)−OCH−CH、−P(O)(OC)−OCH−CH、−P(O)(ORPR)−O−C1−8場合により置換されるアルキル、−O−P(O)(ORPR)−場合により置換されるアリール、−P(O)(ORPR)−O−場合により置換されるアリール、−O−P(O)(ORPR)−C−P(O)(ORPR)−O−C、−O−P(O)(OC)−C1−8場合により置換されるアルキル、−P(O)(O−C1−8場合により置換されるアルキル)−O−C1−8場合により置換されるアルキルが挙げられ、ここで、場合により置換されるアルキル部分は、独立して選択される。また、ホスホネートとして、ポリペプチド−O−P(O)(ORPR)−、ポリペプチド−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−、ポリマー−O−P(O)(ORPR)−、ポリマー−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−、−O−P(O)(ORPR)−ポリペプチド、−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−ポリペプチド、−O−P(O)(ORPR)−ポリマーまたは−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)−ポリマーのようなホスホン酸部分が挙げられる。
本明細書において使用する「ホスホチオエステル」または「チオホスフェート」は、−O−P(SRPR)(O)−O−、−O−P(O)(ORPR)−S−、−O−P(O)(SRPR)−O−、−O−P(O)(SRPR)−O−場合により置換されるアルキル構造またはその塩を含有する部分を意味し、ここで、RPRは、−H、保護基またはエステル類、場合により置換されるアルキルもしくはアルキル基について記載のとおりの有機部分である。典型的に、ホスホチオエステル類は、水素原子、保護基、または−O−P(O)S−または−O−P(SH)−O−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−O−P(O)(SH)−O−または−O−P(O)(ORPR)−S−有機部分を含んでなり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載している。例示的なホスホチオエステル類は、硫黄が適切な酸素原子に取って代わること以外は、ホスホエステル類について記載のとおりである。また、ホスホチオエステルとして、ポリペプチド−O−P(O)(SH)−O−、−O−P(O)(ORPR)−S−ポリペプチド、ポリマー−O−P(O)(SH)−O−、−O−P(O)(ORPR)−S−ポリマーのようなホスホチオエステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「ホスホルアミデート」、「ホスホルアミデートエステル」などは、−O−P(O)(N(RPR)−O−、−O−P(O)(ORPR)N(RPR)−、−O−P(O)(N(場合により置換されるアルキル))−O−、−O−P(O)(O−場合により置換されるアルキル)N(場合により置換されるアルキル)−、またはその塩を含有する部分を意味し、場合により置換されるアルキル基は独立して選択され、ここで、RPRは、−H、保護基、エステル類、アルキル基または場合により置換されるアルキル基について説明したような有機部分である。本明細書においてい使用するホスホルアミデート類またはホスホルアミデートエステル類は、水素原子、保護基、または−O−P(O)(N(RPR)−O−または−O−P(O)(ORPR)N−のような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり得、そして有機部分−O−P(O)(N(RPR)−O−、−O−P(O)(ORPR)N(RPR)−有機部分のようなホスホルアミデート類またはホスホルアミデート部分を含み、ここで、RPRおよび有機部分は独立して選択され、そしてここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。また、ホスホアミデート類として、ポリペプチド−−O−P(O)(N(RPR)−O−、−O−P(O)(ORPR)N(RPR)−ポリペプチド、ポリマー−O−P(O)(N(RPR)−O−または−O−P(O)(ORPR)N(RPR)−ポリマーのようなホスホアミデート部分が挙げられる。
本明細書において使用する「チオホスホネート」、「チオホスホン酸エステル」などは、−O−P(S)(ORPR)−構造を含有する部分を意味し、ここで、RPRは、−H、保護基またはエステル類、アルキル基または場合により置換されるアルキル基について説明したような有機部分である。典型的に、本明細書において使用するチオホスホン酸エステル類は、保護基、または−O−P(S)(ORPR)−のような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜約10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり、そして有機部分−P(S)(ORPR)−O−または−P(S)(ORPR)(O)−有機部分を含み、ここで、RPRは先に記載のとおりであり、そして有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。例示的なチオホスホチオエステル類は、硫黄が適切な酸素原子に取って代わること以外は、ホスホネート類について記載のとおりである。また、チオホスホネート類として、ポリペプチド−P(S)(ORPR)−O−、−P(S)(ORPR)−O−ポリペプチド、ポリマー−P(S)(ORPR)−O−または−P(S)(ORPR)−O−ポリマーのような部分が挙げられる。
本明細書において使用する「硫酸エステル」は、−O−S(O)(O)−O−構造を含有する部分を意味する。典型的に、本明細書において使用する硫酸エステル類は、水素原子、保護基、または−O−S(O)(O)−O−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜約10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−O−S(O)(O)−O−を含んでなり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。硫酸エステル類として、−O−S(O)(O)−O−場合により置換されるアルキル、−O−S(O)(O)−O−CH、−O−S(O)(O)−O−場合により置換されるアリール、−O−S(O)(O)−O−場合により置換されるヘテロアリール、−O−S(O)(O)−O−Cなどが挙げられる。また、硫酸エステルとして、ポリペプチド−O−S(O)(O)−O−またはポリマー−O−S(O)(O)−O−のような硫酸エステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「スルファミンエステル」、「スルファミン酸誘導体」、「スルファメート」などは、−O−S(O)(O)−NH−、−O−S(O)(O)−NH、−O−S(O)(O)−NH−場合により置換されるアルキルまたは−O−S(O)(O)−N−(場合により置換されるアルキル)構造を含有する部分を意味し、ここで、各場合により置換されるアルキル部分は独立して選択される。典型的に、本明細書において使用するスルファミン酸誘導体は、−O−S(O)(O)−N−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり、そして有機部分−O−S(O)(O)−NH−、−O−S(O)(O)−NH−有機部分、−O−S(O)(O)−NH−C1−8アルキル、−O−S(O)(O)−N(C1−8アルキル)、−O−S(O)(O)−NHRPR、−NH−S(O)(O)−OHまたは−O−S(O)(O)−NHのような部分を含み、ここで、アルキル基は独立して選択され、そして有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル部分について本明細書に記載のとおりである。また、スルファメートとして、ポリペプチド−O−S(O)(O)−NH−、−O−S(O)(O)−NH−ポリペプチド、ポリマー−O−S(O)(O)−NH−または−O−S(O)(O)−NH−ポリマーのようなスルファミン酸部分が挙げられる。
本明細書に記載の「スルファミド」などは、−NH−S(O)(O)−NH−または−NH−S(O)(O)−NH構造を含有する部分を意味する。典型的に、スルファミド部分は、−NH−S(O)(O)−NH−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、−NH−S(O)(O)−NH−有機部分、−NH−S(O)(O)−NH、−NH−S(O)(O)−NHRPRまたは−NH−S(O)(O)−N(RPRを含んでなり、ここで、RPRは独立してまたは共に、C1−8の場合により置換されるアルキルのような保護基であり、そして有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。
本明細書において使用する「スルフィンアミド」などは、−C−S(O)−NH−構造を含んでなる部分を意味する。典型的に、スルフィンアミド部分は、−S(O)−NH−有機部分、−NH−S(O)−有機部分、有機部分−S(O)−NH、有機部分−S(O)−NHRPRまたは有機部分−S(O)−N(RPRのような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなり、ここで、RPRは独立してまたは共に、C1−8の場合により置換されるアルキルのような保護基であり、そして有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。
本明細書に記載の「硫黄含有ジアミド(Sulfurous diamide)」などは、−NH−S(O)−NH−または−NH−S(O)−NH構造を含んでなる部分を意味する。典型的に、硫黄含有ジアミド部分は、−NH−S(O)−NH−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、−NH−S(O)−NH−有機部分、−NH−S(O)−NH、−NH−S(O)−NHRPRまたは−NH−S(O)−N(RPRを含んでなり、ここで、RPRは独立してまたは共に、C1−8の場合により置換されるアルキルのような保護基であり、そして有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。硫黄含有ジアミドとして、ポリペプチド−NH−S(O)−NH−またはポリマー−NH−S(O)−NH−のような硫黄含有ジアミド部分が挙げられる。
本明細書において使用する「スルホン酸エステル」、「スルホン酸誘導体」、「スルホネート」などは、−O−S(O)(O)−または−S(O)(O)−ORPR構造および構造の硫黄原子に直接付着した炭素原子を含んでなる部分を意味し、RPRは−Hまたは保護基である。典型的に、スルホン酸誘導体は、−S(O)(O)−O−を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子または1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、−S(O)(O)−O−有機部分(ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである)、−S(O)(O)−O−C1−8の場合により置換されるアルキル、−O−S(O)(O)−C1−8の場合により置換されるアルキル、−O−S(O)(O)−ヘテロアリール、−S(O)(O)−O−アリールまたは−S(O)(O)−O−ヘテロアリール(ここで、アリールまたはヘテロアリール部分は、独立して選択される1、2、3、4もしくは5つの置換基で場合により置換される)、−O−S(O)(O)−有機部分(ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである)、−O−S(O)(O)−ヘテロアリールまたは−O−S(O)(O)−アリール(ここで、アリールまたはヘテロアリール部分は、独立して選択される1、2、3、4もしくは5つの置換基で場合により置換される)、−O−S(O)(O)−CH、−O−S(O)(O)−Cなどを含んでなる。また、硫酸エステルとして、ポリペプチド−O−S(O)(O)−、−O−S(O)(O)−、またはポリマー−O−S(O)(O)−のような硫酸エステル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「スルホンアミド」は、−S(O)N(RPR、−S(O)N(場合により置換されるアルキル)−、または−S(O)N(場合により置換されるアルキル)構造および構造の硫黄原子に直接付着した炭素原子を含有する部分を意味し、ここで、RPRおよび場合により置換されるアルキルは独立して選択され、そしてRPRは、−H、保護基またはエステル類、場合により置換されるアルキルもしくはアルキル基について本明細書に記載のとおりの有機部分である。典型的に、スルホンアミド類は、保護基、または−S(O)N(RPR)−のような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜約10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−S(O)N(RPR)−または−S(O)N(RPR)−有機部分を含んでなり、ここで、有機部分は、エステル類、場合により置換されるアルキルまたはアルキル基について本明細書に記載のとおりであり、そしてRPRについては、先に記載している。例示的なスルホンアミド類として、C1−8の場合により置換されるアルキルS(O)N(RPR)−、アリール−S(O)N(RPR)−、ヘテロアリール−S(O)N(RPR)−(ここで、アリールまたはヘテロアリール部分は、独立して選択される1、2、3、4もしくは5つの置換基で場合により置換され、そしてRPRについては、先に記載している)、あるいはC−S(O)NH−が挙げられる。また、スルホンアミド類として、ポリペプチド−NH−S(O)−、ポリマー−NH−S(O)−またはポリマー−S(O)NH−のようなスルホンアミド部分が挙げられる。スルホンアミド類は、典型的に、塩化スルホニルと、第一級または第二級アミン基を有する分子とを縮合することによって調製される。
本明細書において使用する「アミド」、「アミド誘導体」などは、−C(O)−NRPR−または−C(O)−NH−構造を含有し、構造の炭素に直接付着した他のヘテロ原子を伴わない部分を意味し、そしてここで、RPRは、−H、保護基、または有機部分であり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。典型的に、アミド誘導体は、−C(O)NRPR−のような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなる。いくつかの実施形態では、−C(O)NRPR−基は、有機部分−C(O)NRPR−、有機部分−C(O)−NH−または−C(O)NRPR−有機部分であり、ここで、RPRおよび有機部分は独立して選択され、そして有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりであり、そしてRPRについては、先に記載している。また、アミドとして、−C(O)NRPR−ポリペプチド、−C(O)NH−ポリペプチド、ポリマー−C(O)NRPR−、ポリマー−C(O)−NH−または−C(O)NRPR−ポリマーのようなアミド部分が挙げられる。アミド類は、酸塩化物のような酸ハロゲン化物と、第一級または第二級アミンを含有する分子とを縮合することによって、調製される。あるいは、しばしば、カルボン酸含有分子の活性型エステルを介して進行するペプチド合成分野において周知のアミドカップリング反応が使用される。アミド結合を調製するための実施例については、Benoiton (2006) Chemistry of peptide synthesis CRC Press, Bodansky (1988) Peptide synthesis : A practical textbook, Springer-Verlag, Frinkin, M. et al.(1974) Peptide synthesis, Ann. Rev. Biochem. 43:419-443に提供されている。活性型カルボン酸の調製において使用される試薬については、Han, et al.
(2004) Recent development of peptide coupling agents in organic synthesis, Tet. 60:2447-2476に提供されている。
本明細書において使用する「エーテル」は、1、2、3、4つもしくはそれ以上(通常、1もしくは2つ)の−O−部分を含んでなる有機部分を意味し、ここで、2つの−O−部分が、相互に直ぐ隣にある(即ち、直接付着する)ことはない。典型的に、エーテル誘導体は、1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分を含んでなる。エーテル部分として、有機部分−O−が挙げられ、ここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。また、エーテルとして、ポリペプチド−O−またはポリマー−O−のようなエーテル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「チオエーテル」は、1、2、3、4つもしくはそれ以上(通常、1もしくは2つ)の−S−部分を含んでなるエステル、場合により置換されるアルキルまたはアルキル基について記載のような有機部分を意味し、ここで、2つの−S−部分が、相互に直ぐ隣にあることはない。チオエーテル部分として、有機部分−S−、有機部分−S−CH−S−が挙げられ、ここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。チオエーテルとして、ポリペプチド−S−またはポリマー−S−のようなチオエーテル部分が挙げられる。
本明細書において使用する「ジスルフィド」は、−S−S−または−S−S−RPR構造を含んでなる有機部分を意味し、ここで、RPRは、−H、保護基、または有機部分であって、ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載されている。典型的に、ジスルフィド誘導体は、−S−S−のような適切な構造を介して連結した約1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−S−S−(ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである)、−S−S−C1−8の場合により置換されるアルキル、−S−S−アリールまたは−S−S−ヘテロアリール(ここで、アリールまたはヘテロアリール部分は、独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で場合により置換される)を含んでなる。また、ジスルフィドとして、ポリペプチド−S−S−またはポリマー−S−S−のようなジスルフィド部分が挙げられる。時折、ポリペプチド−S−S−のようなジスルフィド部分は、ポリペプチドを含んでなるシステインアミノ酸残基のスルフヒドリル基および別のスルフヒドリル含有分子を使用して調製されるか、またはジスルフィド含有化合物におけるスルフヒドリル部分と別のスルフヒドリル部分との交換によって調製される。
本明細書において使用する「ヒドラジド」は、−C(O)N(RPR)−N(RPR)−、−C(O)N(RPR)−NH−、−C(O)NH−N(RPR−または−C(O)NH(RPR)NHを含有する有機部分を意味し、ここで、RRPは、独立して−H、保護基または有機部分であり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載している。典型的に、ヒドラゾン誘導体は、−C(O)NH−NH−または−C(O)N(RPR)NHのような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−C(O)NH−NH−、−C(O)NH−NH(有機部分)、−C(O)NH−NH(有機部分)を含んでなり、ここで、有機部分は独立して選択され、そしてエステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について記載のとおりであり、そしてここで、RPRについては、先に記載している。また、ヒドラジドとして、ポリマー−C(O)NH−NH−、−C(O)NH−NH−ポリマーまたはポリペプチド−C(O)NH−NH−のようなヒドラジド部分が挙げられる。典型的に、ヒドラゾン類は、ヒドラジンと、酸塩化物もしくは活性型カルボン酸エステルのようなカルボン酸誘導体を含有する実体または分子とを縮合することによって、形成される。
本明細書において使用する「ヒドラゾン」は、>C=N−N(RPR、>C=N−N(RPR)(場合により置換されるアルキル)、>C=N−N(場合により置換されるアルキル)または>C=N−N−構造を含有する有機部分を意味し、ここで、>Cは、炭素原子および−H置換基または付着した他の2つの炭素原子置換基を表し、そしてここで、RRPおよび場合により置換されるアルキルは独立して選択され、そしてRPRは、独立して−H、保護基または有機部分であり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載のとおりである。典型的に、ヒドラゾン誘導体は、−C(=N−N(RPR))−または>C=N−N−のような適切な構造を介して連結した約1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のへテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−C(=N−NH)−または>C=N−NH−有機部分を含んでなり、ここで、有機部分は、エステル、アルキルまたは場合により置換されるアルキル基について本明細書に記載されている。また、ヒドラゾンとして、>C(O)NH−NH−ポリペプチドまたは>C(O)NH−NH−ポリマーのようなヒドラゾンが挙げられる。ヒドラゾン類は、時折、アルデヒドまたはケトンと、構造>C−NHNHもしくは>C(O)NH−NH(ここで、>Cは、しばしば、2個の炭素原子が付着した炭素原子を表す)を有するヒドラジンまたはヒドラジドを含有する分子とを縮合することによってか、あるいは2つの異なるヒドラゾン含有分子の間のカルボニル分子の交換を介して調製される。時折、アルデヒドを、ポリペプチドに導入し、そしてヒドラジンまたはヒドラジド含有分子と縮合させて、ヒドラゾンを形成する。
本明細書に記載の「アシル基」または「アシル」は、部分がSまたはOのようなヘテロ原子に付着する場合、−C(O)−基を含有する部分を意味する。いくつかの実施形態では、アシル部分が有機部分−C(O)−である。
本明細書において使用する「チオアシル」は、SまたはOのようなヘテロ原子に付着した場合、−C(S)−基を含んでなるエステルについて記載したとおりの有機部分を意味する。いくつかの実施形態では、−C(S)−基は、有機部分−C(S)−であって、ここで、有機部分は、エステル、場合により置換されるアルキルまたはアルキル基について記載したとおりである。
本明細書において使用する「カルボネート」は、−O−C(O)−O−構造を含有する部分を意味する。典型的に、本明細書において使用する炭酸基は、−O−C(O)−O−構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−O−C(O)−Oを含んでなる。また、カルボネートとして、ポリペプチド−O−C(O)−O−またはポリマー−O−C(O)−O−のような炭酸部分が挙げられる。
本明細書において使用する「カルバメート」または「ウレタン」は、−O−C(O)N(RPR)−、−O−C(O)N(RPR、−O−C(O)NH(場合により置換されるアルキル)またはC(O)N(場合により置換されるアルキル)−構造を含有する有機部分を意味し、ここで、RPRおよび場合により置換されるアルキルは独立して選択され、そしてRPRは、独立して−H、保護基、またはエステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキルについて記載のような有機部分である。典型的に、本明細書において使用するカルバミン酸基は、−O−C(O)−NRPR−構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分O−C(O)−NRPR−または−O−C(O)−NRPR−有機部分を含んでなる。また、カルバメートとして、ポリペプチド−O−C(O)−NRPR−、−O−C(O)−NRPR−ポリペプチド、ポリマー−O−C(O)−NRPR−または−O−C(O)−NRPR−ポリマーのようなカルバメート部分が挙げられる。
本明細書において使用する「尿素」は、−N(RPR)−C(O)−N(RPR)−、−N(場合により置換されるアルキル)−C(O)−N(場合により置換されるアルキル)−、−NH−C(O)N(場合により置換されるアルキル)− −N(場合により置換されるアルキル)−C(O)N(場合により置換されるアルキル)−構造を含有する有機部分を意味し、ここで、RPRおよび場合により置換されるアルキルは独立して選択され、そしてRPRは、独立して−H、保護基、またはエステル、アルキルもしくは場合により置換されるアルキルについて記載のような有機部分である。典型的に、本明細書において使用する尿素基は、−NH−C(O)−NRPR−構造のような適切な構造を介して結合した1〜50個の炭素原子、1〜20個の炭素原子もしくは1〜8個の炭素原子および独立して選択される0〜10個(典型的に、0〜2個)のヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Si)を含有する有機部分、例えば、有機部分−NH−C(O)−NRPR−を含んでなる。また、尿素類として、ポリペプチド−NH−C(O)−NRPR−、およびポリマー−NH−C(O)−NRPR−のような尿素部分が挙げられる。
本明細書において使用するスピロ環置換基は、通常、3、4、5、6、7もしくは8員環である環式構造を指し、例えば、それらは、3、4−、5−、6−、7−もしくは8−側環(sided ring)を含む。スピロ構造はまた、環式ケタール、チオケタール、ラクトン類またはオルトエステル類によって定義してもよい。
本明細書において使用する「単糖」は、経験式(CHO)[式中、nは、3、4、5、6、7もしくは8である]を有するポリヒドロキシアルデヒドまたはケトンを意味する。典型的に、本明細書において使用する単糖類は、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を含有する。単糖は開環および閉環型を含むが、通常、閉環型である。単糖として、2’−デオキシリボース、リボース、アラビノース、キシロース、それらの2’−デオキシおよび3’−デオキシ誘導体ならびにそれらの2’,3’−ジデオキシ誘導体のようなヘキソフラノースならびにペントフラノース糖が挙げられる。また、単糖として、リボースの2’,3’ジデオキシジデヒドロ誘導体が挙げられる。単糖類として、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ガラクトース、アロース、グロース、アルトロース、タロース、フコース、エリトロース、トレオース、リキソース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グリセルアルデヒドのD−、L−およびDL−異性体、ジヒドロキシアセトンならびにそれらのモノデオキシまたは他の誘導体、例えば、ラムノース、ならびにグルクロン酸もしくはグルクロン酸の塩が挙げられる。単糖類は、場合により保護されるか、または部分的に保護される。例示的な単糖類として、
Figure 2011503517
[式中、R37は、独立して水素、保護基、アセトアミド(−NH−AC)、メチルもしくはエチルのような場合により置換されるアルキル、またはアセテートもしくはプロピオネートのようなエステルであり、R38は、水素、ヒドロキシル、−NH、−NHRPR、メチルもしくはエチルのような場合により置換されるアルキル、またはNH 、NaもしくはKのようなカチオンであり、そしてR39は、水素、ヒドロキシル、アセテート、プロピオネート、メチル、エチル、メトキシもしくはエトキシのような場合により置換されるアルキルである]が挙げられる。
場合により置換される「単糖」は、1つもしくはそれ以上のヒドロキシル基または水素もしくは炭素原子において場合により置換される任意のC−C糖(D−、L−またはDL−型)、例えば、エリトロース、グリセロール、リボース、デオキシリボース、アラビノース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フコース、マンノース、グルコサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミンを含んでなる。適切な置換基は、置換アルキル部分について上記のとおりであり、そして独立して選択される水素、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、カルボキシル、アジド、シアノ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、−O−C2−6アルケニル、−S−C2−6アルケニル、エステル、例えば、アセテートまたはプロピオネート、場合により、保護されたアミン、場合により、保護されたカルボキシル、ハロゲン、チオールまたは保護されたチオールを含む。
場合により置換される「オリゴ糖」は、相互に共有結合している2、3、4もしくはそれ以上の任意のC3−C7糖を含んでなる。結合型糖は、D−、L−またはDL−型を有し得る。適切な糖類および置換基は、単糖類について記載のとおりである。オリゴ糖を含んでなる単糖類間の結合はαまたはβである。隣接する単糖類は、例えば、1→2、1→3、1→4、および/または1→6グリコシド結合によって連結され得る。オリゴ糖または、IgG抗体のような抗体のFc領域において典型的に見出されるオリゴ糖部分を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書の他の箇所に記載のように、その炭水化物部分を介してバイオポリマー材料に固定化されて、光センサを提供する。
本明細書において使用する「ポリマー」は、規則的なパターンでより小さなモノマー単位の連結によって形成される分子であるか、または1つもしくはそれ以上のタイプのモノマー単位の反復配置を有する分子である。ポリマーとして、生態適合性の合成有機ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール類(「PEGS」)、ポリプロピレングリコールエーテル類、ポロキサレン類、ポリヒドロキシアルキルポリマー類、ポロキサマー類またはエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーが挙げられる。PEGは、2〜50もしくはそれ以上の連結したエチレングリコールモノマーを含有するエチレングリコールポリマーを意味する。平均のPEG分子量は、約80、100、200、300、400、500、600、1000、1200、1500、2000、8000、10,000、20,000もしくは30,000であり得、そしてそれらの混合物、例えば、PEG100およびPEG200、PEG200およびPEG300、PEG100およびPEG300、PEG100およびPEG400またはPEG200およびPEG400が含まれる。PEGポリマー類として、H(OCHHC)N−OH、H(OCHHC)N−CH、H(OCHHC)N−ORPRのようなメチルまたはアルキルエーテル類、ならびにチオール、アミン、アジド(アミン代用物として)およびカルボン酸基を含有するアナログ、ならびにCH(OCHHC)N−SH、CH(OCHHC)N−S−S−(CHCHO)N−CH、H(OCHHC)N−N、H(OCHHC)N−COORPRのようなそれらの保護された誘導体が挙げられる。また、PEGポリマー類として、チオール、アミンおよびカルボン酸官能基を有するホモ−およびヘテロ−二官能性PEG誘導体、ならびにHOOC−CHCH−(OCHCH)N−S−S−CHCHCOOH、H(OCHHC)N−OCHCHCOORPR、HOOC−CHCH−(OCHCH)NO−CHCHCOOH、NH−CHCH−(OCHCH)N−NHRPR、HS−(CHCHO)N−COOH、HOOC−CHCH−(OCHCH)N−OCHCHNHRPRのようなそれらの保護された誘導体が挙げられ、ここで、RPRは保護基であり、そしてnまたはnの平均値は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45もしくは50である。28モノマー単位までを含有するより低い分子量PEGポリマー類を、単分散型で入手してもよい。多様な単分散性、ホモおよびヘテロ二官能性PEGポリマー類は、CreativeBiochem, Winston Salem, NCから入手してもよい。ヘテロ二官能性PEGポリマー類の調製およびタンパク質への付着におけるそれらの使用については、米国特許第20070238656号明細書(Harder, et al.)、米国特許第20050176896号明細書(Bentley)および米国特許第7217845号明細書(Rosen)に開示されている。本明細書の他の箇所、特に、表4においても、多様なヘテロ二官能性PEGを開示している。
ポロキサマー類は、典型的に、1つ、2つもしくはそれ以上の約1000、2000、4000、5000、6000、8000、10,000、12,000、14,000、15,000および/または16,000の平均分子量を有し、HO(CHCHO)−(CH(CH)CHOH)−(CHCHO)C−H、RPRHN−(CHCHO)−(CH(CH)CHOH)−(CHCHO)C−H HS(CHCHO)A−(CH(CH)CHOH)−(CHCHO)C−HまたはRPRO(CHCHO)−(CH(CH)CHOH)−(CHCHO)−Hのような構造を伴い、ここで、RPRは保護基であり、そしてnまたはbの平均値は、少なくとも約15もしくは20であり、そしてa+cは、分子の約20%〜約90重量%で変動し、例えば、aおよび/またはcは、約5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75および/または80である。例示的なポロキサマー類として、pluronic L62LF(ここで、aは約7であり、bは約30であり、そしてcは約7である)、pluronic F68(ここで、aは約75であり、bは約30であり、そしてcは約75である)そしてpluronic L101(ここで、aは約7であり、bは約54であり、そしてcは約7である)が挙げられる。例示的なポロキサレン類として、HO(CHCHO)−(CH(CH)CHOH)−(CHCHO)−HまたはRPRO(CHCHO)−(CH(CH)CHOH)−(CHCHO)−Hのような構造が挙げられ、ここで、RPRは保護基であり、そしてaの平均値は約12であり、bは約34であり、そしてcは約12であるか、または平均分子量は約3000である。また、ポリマーとして、これらの分子のいずれかの誘導体が挙げられ、ここで、末端のヒドロキシル基の一方もしくは両方および/または1つ、2つ、3つもしくはそれ以上の内部のヒドロキシル基が、例えば、−C(O)−ORPR、−C(O)−OH、−C(S)−OH、−SH、−SRPR、−C(O)−SH、−C(O)−SRPR、−NH、−NHRPR、−N(RPR、−C(O)NH、−C(O)NHRPR、−C(O)N(RPRまたは塩のような独立して選択される部分に誘導され、ここで、RPRは、独立してもしくは共に保護基またはC1−C8の場合により置換されるアルキルである。
本明細書において使用する「バイオポリマー」は、生物由来のポリマーにおいて見いだされるモノマー単位からなるあるタイプのポリマーである。バイオポリマーの例は、多糖、核酸ポリマー類(例えば、DNA、RNA)、およびポリペプチドにおいて見出され、それらは、それぞれ、単糖、核酸およびアミノ酸モノマー単位からなる。バイオポリマーは、脂質を含み、それらは、生物由来では、反復モノマー単位の基としてメチレン(−CH−)を有し、そして1つもしくはそれ以上のアルケニル部分(即ち、−C=C−)を含有し得る。バイオポリマーは、生物学的供給源から誘導してもよく、または合成的に調製してもよい。合成バイオポリマーは、天然もしくは非天然または両方の組合せであるモノマー単位からなり得るかあるいはそれらよりなり得る。それ故、ポリペプチドバイオポリマーは、ポリペプチドについて本明細書の他の箇所に記載されているような天然もしくは非天然のアミノ酸を含有してもよく、そして多糖は、単糖について、本明細書の他の箇所に記載されている天然もしくは非天然の単糖類または両方の組合せを含有してもよい。同様に、合成脂質バイオポリマーは、反復モノマー単位の基としてメチレン(−CH−)を有し、そして1つもしくはそれ以上のアルケニル部分(即ち、−C=C−)またはアルキニル部分あるいは他の非飽和炭素に基づく部分を含有してもよい。一実施形態では、バイオポリマーは、メチレンモノマー単位、および物理的に隣接するバイオポリマーに局在する別の非飽和炭素に基づく部分に架橋することが可能である少なくとも1つの不飽和炭素に基づく部分を含有する。そのような別の部分に架橋することが可能な非飽和炭素に基づく部分を、重合単位(polymerization unit)と称する。
脂質バイオポリマーは、しばしば、ヘッド基としての官能基を含有する。そのようなバイオポリマー官能性ヘッド基の例には、例えば、(遊離もしくは保護された形態での)カルボン酸、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ケトンまたはアルデヒド基があるが、それらに限定されない。時折、脂質バイオポリマーは、バイオポリマー材料を提供するために、脂質バイオポリマーの集成後、合成的または酵素的に上記のバイオポリマー機能性ヘッド基に変換することができる代用的ヘッド基を含有する。
典型的に、合成脂質バイオポリマーは、ヘッド基、2〜50メチレンモノマー単位、およびバイオポリマー材料を提供するために脂質ポリマーの架橋を可能にする重合単位を含んでなる。時折、重合単位は、2つの隣接するアルキニル部分(ジ−アセチレン部分(即ち、−CC−CC−)と称される)、および15〜25個または20〜30個の炭素原子の長さを有するポリマー鎖中の残基からなるか、またはそれらよりなる。重合単位としてジ−アセチレン部分を含有するバイオポリマーを、DA−モノマーと称する。一実施形態では、DA−モノマーは、ジ−アセチレン部分および脂質ヘッド基を有し、ここで、ジ−アセチレン部分は、DAモノマーのポリマーにおいて、脂質ヘッド基からの位置18〜20から位置3〜5の間に位置する。別の実施形態では、ジ−アセチレン部分は、位置10〜12から位置4〜6の間に存在する。なお別の実施形態では、ジ−アセチレン基は、約5〜7位に位置する。カルボン酸ヘッド基を伴うDA−モノマー類の例として、5,7−ドコサジイン酸(5,7−DCDA)、5,7−ペンタコサジイン酸(pentacosadiyonic acid)(5,7−PCA)または10,12−ペンタコサジイン酸(10,12−PCA)が挙げられるが、それらに限定されない。脂質バイオポリマーの炭素鎖内の重合単位の位置に依存する感度のばらつき(即ち、バイオポリマー材料に固定化されたバイオマーカー受容体へのバイオマーカーの結合後のバイオポリマー材料において観察され得る光学特性の最大変化)が、時折、観察される。ジ−アセチレン部分のような重合単位の位置を変動して、そのような重合単位に基づく光センサについて最大の感度を達成することは、当業者の能力の範囲内にある。
「バイオポリマー材料」は、重合バイオポリマーからなる材料を指す。バイオポリマー材料は、フィルム、ベシクル、リポソーム、小管、編組状集成体、層状集成体、螺旋状集成体、多層物、凝集物、膜、および溶媒中のロッドおよびコイルのような溶媒和ポリマー凝集物を含むが、それらに限定されない物理形態を有してもよい。バイオポリマー材料は、重合バイオポリマーのマトリックスの部分ではない分子(即ち、重合していない分子)をさらに含有することができる。一実施形態では、バイオポリマー材料は、ベシクルまたはリポソームの形態である。別の実施形態では、バイオポリマー材料は、フィルムの形態である。フィルムとして、単層物、二層物、および多層物が挙げられる。これに関して、単層物およびフィルムは、下地基盤(即ち、バイオポリマー支持体)によって支持される固体状態の材料である。そのような単層物およびフィルムについては、なかでも、Ulman (1991)およびGaines (1966)においてレビューされている。フィルムおよび単層物とは対照的に、リポソームは、水性空間を封入する三次元ベシクルである。これらの材料については、なかでも、New (1989)およびRosoff (1996)に記載されている。リポソームがそれらの水性コンパートメント内に材料を捕捉するように、リポソームを構築することができる。フィルムおよび単層物は、水性空間を封入しない。
一実施形態では、バイオポリマーフィルムは、支持体上に自己集成型有機モノマーを重層することによって、調製される。いくつかの実施形態では、支持体は、標準的なLangmuir-Blodgettトラフであり、そして自己集成型有機モノマーは、トラフに水溶液を充填することによって、作製される水性表面上に重層されるバイオポリマーである。次いで、バイオポリマーを、圧縮し、そして重合して、バイオポリマーフィルムを形成する。そのように生成されるフィルムを、Langmuir-Blodgettフィルムと称する。一実施形態では、圧縮は、可動性の隔壁を使用して、標準的なLangmuir-Blodgettトラフにおいて行われ、バイオポリマーを圧縮する。バイオポリマーの緊密にパックされた層が形成され、次いで、重合されるまで、圧縮を行う。いくつかの実施形態では、ジ−アセチレン部分(即ち、ジ−アセチレンモノマー)からなる脂質バイオポリマーを、自己集成型モノマーとして使用する。ジ−アセチレンモノマーを重合して、紫外線照射を使用して、ポリジアセチレン(PDA)バイオポリマーフィルムを得る。いくつかの実施形態では、フィルム周囲の界面において、脂質ヘッド基が暴露されるように、DA−モノマーのような脂質バイオポリマーから調製したLangmuir-Blodgettフィルム(LBフィルム)は、疎水化バイオポリマー支持体に移され、これは、本明細書の他の箇所に記載されている(Charych 1993)。
バイオポリマー材料は、共通の重合単位を有する1つもしくはそれ以上の異なるバイオポリマーモノマーの重合から調製してもよい。しばしば、2つもしくはそれ以上(典型的に、2つ)のバイオポリマーは、異なるヘッド基を有し、ここで、少なくとも1つのヘッド基は、バイオマーカー受容体の共有結合を許容する反応性官能基(またはその代用物)を提供し、そして各ヘッド基の所望される密度を提供するための割合で混合される。反応性官能基を直接提供するか、またはさらなる化学的操作の後(即ち、反応性官能基の代用物)に提供するかのいずれかであり、そして考慮すべき重要なことであり、そして固定化しようとするバイオマーカー受容体のサイズ、ヘッド基のタイプ、およびバイオポリマー材料の物理形態に依存するヘッド基の密度。例えば、DA−モノマーを組み入れたLangmuir-Blodgettフィルム(LBフィルム)の調製では、使用し得るカルボン酸ヘッド基のようなフィルムの形成に必要な条件下で荷電するヘッド基を有するDA−モノマーの最大の割合は、静電反発のため、エステルのような荷電していない疎水性ヘッド基を有するDA−モノマーを使用する場合より低い。さらに加えて、多数のポリペプチドからなるバイオマーカー受容体のようなより立体的に厳格なバイオマーカー受容体のPDA−バイオポリマーフィルムへの固定化には、より低い密度のバイオマーカー受容体の方が、単一のポリペプチドを有するバイオマーカー受容体を使用するより達成可能であり、それ故、使用すべき反応性官能基(またはその代用物)を有するDA−モノマーの相対量に対する指針としての役割を果たす。
PDA−バイオポリマー材料の形成後のバイオマーカー受容体の固定化に対する代替物は、バイオマーカー受容体がすでに付着しているDA−モノマーを使用することである。別の代替物は、バイオマーカー受容体を疎水性ポリマーに付着させることであり、これは、重合して、LBフィルムを形成する場合、バイオマーカー受容体を担持するポリマーのエントレインメントを生じるDA−モノマーの回収によって自己集成することができる。本質的に、バイオマーカー受容体を担持するポリマーは、バイオマーカー受容体のバイオポリマー材料への非共有結合(即ち、固定化)を生じるLBフィルムの形成におけるドーパントとしての役割を果たす。一般的指針として、至適バイオポリマー材料の調製物は、典型的に、DA−モノマーへのそれらの組みいれからか、またはバイオポリマー材料へ重合しようとするバイオポリマーの回収に組み入れられるバイオマーカー受容体を担持するドーパントとしてのいずれかで、バイオマーカー受容体の理論的最大密度の5〜15%を有する。
リポソームは、水性媒体における両親媒性分子の分散によって調製され、そして液相中にとどまる。リポソームは、均質な水性懸濁液内に存在し、そして球体、楕円体、正方形、矩形、および小管のようなさまざまな形状で作製してもよい。それ故、リポソームの表面は、液体のみ−−主に水と接触する。ある点において、リポソームは天然の細胞膜の三次元構造に類似する。
DA−モノマーからLangmuir-Blodgettフィルム、リポソームおよびゾル−ゲルを調製するための方法については、米国特許出願第2003/0129618号明細書(Moronne)、ならびに米国特許第6,395,561号明細書、同第6,468,759号明細書、同第6,485,987号明細書、同第6,180,135号明細書、同第6,183,772号明細書、同第6,103,217号明細書、同第6,080,423号明細書、同第6,001,556号明細書および同第6,022,748号明細書に示されている。
本明細書において使用する「バイオポリマー基盤」あるいは「バイオポリマー支持体」は、バイオポリマー材料または光センサが固定化され、そして剛性もしくは可撓性の材料からなり得る固体の物体または表面を指す。バイオポリマー支持体として、プラスチック(例えば、ポリスチレンまたはポリエチレン、マイカ、ろ紙(例えば、ナイロン、セルロース、およびニトロセルロース)、ガラスビーズおよびスライド、金、ならびにシリカゲルまたはセファデックス、および他のクロマトグラフィー媒体のようなすべての分別媒体が挙げられる。いくつかの実施形態では、バイオポリマー材料は、ゾル−ゲルプロセスを使用して、シリカガラスに固定化される。一実施形態では、バイオポリマー支持体は、剛性であるか、またはバイオポリマー材料、もしくはバイオポリマー支持体に固定化しようとする光センサより大きな程度で変形に耐性である。時折、バイオポリマー支持体として使用すべき不活性材料を化学的に処置して、疎水性相互作用を介してバイオポリマー材料を固定化する疎水基を有する(即ち、疎水化された)バイオポリマー支持体を提供する。そのように化学的に処置された材料を、疎水化バイオポリマー支持体と称する。
いくつかの実施形態では、バイオポリマー支持体は、ガラス、石英もしくはプラスチック、または変形に対して必要な耐性を提供し、そしてバイオポリマー基盤およびバイオポリマー材料からなる光センサから放射される光エネルギーの検出を許容する可能性を保持する厚さを有する他の任意の材料からなる。それ故、バイオポリマー材料が固定化されるバイオポリマー支持体は、光センサを提供するために、バイオポリマー材料のための物理的な支持体を提供し、そしてバイオポリマー材料の組み入れ時にバイオポリマー材料から放射されるべき光エネルギーの波長を包含する第1の波長範囲に対して透過性である。典型的に、バイオポリマー材料は、バイオポリマー材料に固定化されたか、または固定化されるであろうバイオマーカー受容体へのバイオマーカーの結合に対する干渉を最小限にするバイオポリマー材料の表面(バイオポリマー材料表面と称する)において、バイオポリマー支持体の表面(バイオポリマー支持体表面と称する)に固定化される。一実施形態では、バイオポリマー材料は、バイオマーカー受容体が固定化されたか、または固定化されるであろうPDA−バイオポリマーフィルムの対向面からバイオポリマー基盤表面に固定化されるポリ−ジ−アセチレン(PDA)バイオポリマーフィルムである。別の実施形態では、バイオポリマー基盤はガラススライドであって、ここで、ガラススライドとして、石英またはホウケイ酸ガラスが挙げられるが、これらに限定されない。バイオポリマー材料をガラスまたは石英支持体に固定化するために、支持体の表面は、しばしば、疎水性分子に共有結合させるために後に使用される反応性官能基を有するシリル化剤で誘導体化される。一実施形態では、ガラス支持体を誘導体化するために使用されるシリル化剤は、反応性官能基としてアミノ基を有する(即ち、アミノシリル化剤)。一実施形態では、アミノシリル化剤は、3−アミノプロピルトリエトキシシランである。アミノシリル化剤および他の反応性官能基を有するシリル化剤によるガラスのシリル化については、米国特許第4,024,235号明細書(Weetall)および米国特許第3,519,538号明細書(Messing)に記載されており、これらは、本明細書において参考として援用される。
バイオポリマー支持体の主な機能は、バイオポリマー材料のための物理的な支持体を提供することである。バイオポリマー支持体はまた、第2の目的を供給してもよく、それによって、バイオポリマー材料またはそのように支持される光学材料によって生成されるべき光学特性は、バイオポリマー材料によって操作される。光学特性の操作の第2の目的として、集光、方向転換(redirecting)、フィルタリングまたは増幅が挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、バイオポリマーまたは光センサのためのバイオポリマー支持体は、石英もしくはホウケイ酸ガラスバイアルを含んでなるが、それらに限定されないガラスバイアルである。別の実施形態では、バイオポリマー材料または光センサのためのバイオポリマー支持体は、マイクロタイタープレートウェルの内側底面またはキュベットの壁の内面を含んでなり、ここで、キュベットの壁は、入射光を受け入れ、そしてキュベットによって支持されたバイオポリマー材料の光学特性の検出可能な変化の検出を許容することが可能である。バイオポリマー材料または光センサフィルムのための支持体を提供するためのマイクロタイタープレートとして、正方形または丸型のウェル側面、および平形、V字型または丸型底を有する96、384、1536ウェルのプレートが挙げられるが、それらに限定されない。24または48ウェルのプレートのような低密度のマイクロタイタープレートもまた、感度の増加を提供するために使用してもよいが、検出しようとするバイオマーカーを有することが疑わしい生物由来のより大きな容積の液体を必要とする。自動化されたバイオセンサデバイスに使用することを意図した光センサの支持体として好適なマイクロタイタープレートは、ANSI−SBS標準に従う。光センサの支持体としての使用に適切なマイクロタイタープレートは、ポリビニル、ポリプロピレン、ポリスチレンを含むが、それらに限定されないプラスチックからなるウェルを有するか、またはホウケイ酸ガラスもしくは石英からなるか、またはプラスチック、ホウケイ酸ガラスもしくは石英からなる底面を有する。マイクロタイタープレート形式の適切な選択は、感度、スループット、サンプル容積および検出すべき光学特性の要件に依存し、そして最適化すべき当業者によく知られたパラメータである。例えば、平形底のウェルを伴うマイクロタイタープレートは、低いバックグランドの吸光度を提供し、丸底ウェルを伴うマイクロタイタープレートは、蛍光アプリケーションにおける感度の増強を提供し、そしてプラスチックウェルを伴うマイクロタイタープレートは、可視光スペクトル内の波長で測定すべき光学特性を有する疎水性バイオポリマー材料の固定化に有用である。バイオポリマー材料を支持するための表面を提供する他のバイオポリマー基盤は、吸光フローセルまたは蛍光フローセルをさらに含む。
本明細書において使用する「ポリペプチド」は、単一のポリペプチドあるいは同じまたは異なるアミノ酸配列を有する2つ、3つ、4つもしくはそれ以上のポリペプチドの複合体(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)は、3つの同一のポリペプチドの複合体、ホモトリマーである)を指す。細胞受容体またはリガンドは、しばしば、生来のポリペプチドであり、次いで、修飾され、そしてバイオポリマー材料に固定化されて、光センサを含んでなり、次いでバイオマーカー受容体になる。細胞受容体またはリガンドは、時折、約10kDa〜約50kDaの間、および時折、約15kDa〜約35kDaの間の分子量を有することを特徴とする。細胞受容体またはリガンドは、時折、生来のポリペプチドのフラグメントであって、ここで、フラグメントは、ときどき、ポリペプチドのドメインまたはその一部である。ポリペプチドフラグメントは、ポリペプチドの機能を実施するポリペプチドの一部(例えば、リガンドもしくはリガンドフラグメントに結合する細胞受容体ドメイン、または細胞受容体もしくは細胞受容体フラグメントに結合するリガンドドメイン)である。ポリペプチドフラグメントは、生来のポリペプチドの非ドメイン領域およびドメインの部分を含んでなることができ、そして時折、約20〜約200アミノ酸長の間、そしてしばしば、約50〜約100アミノ酸長の間である。細胞受容体またはリガンドは、時折、非生来のアミノ酸および/または非アミノ酸部分を含むポリペプチド擬似物であり、その例は、当該技術分野において公知であり、そしてこれについて以下に記載する。
ポリペプチド分子では、アミノ酸配列または単一のアミノ酸は、標準的な分子生物学的技術もしくはペプチド合成技術を使用して、欠失、挿入、または置換してもよい。ポリペプチドのアミド結合を調製するための方法を、アミドの定義に追加して提供する。細胞受容体における任意のアミノ酸、バイオマーカー受容体、リガンドまたはバイオマーカーは、置換しても、もしくは欠失してもよく、あるいは挿入を任意の位置に導入してもよく、そして置換は、天然に存在する他の19種類のアミノ酸のうちの1つまたは非古典的もしくは非天然アミノ酸によるものであってもよい。アミノ酸置換は、得られるポリペプチドまたはペプチドの低減された機能が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて行ってもよい。例えば、負に荷電したアミノ酸として、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ;正に荷電したアミノ酸として、リジンおよびアルギニンが挙げられ;そして中等度の親水性値を有する非荷電極性ヘッド基を伴うアミノ酸として、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが挙げられる。アミノ酸修飾は、しばしば、標準的な方法(例えば、Current Protocols In Molecular Biology Ausubel, F.M., et al., eds. (2000)およびSambrook et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual," 2nd ed. (1989))を使用して実施される。
保存的置換は、例えば、表Aに従って作製され得る。2番目のカラムの同じブロック、および3番目のカラムの同じラインのアミノ酸は、保存的置換において相互に置換することができる。保存的置換は、時折、第2のカラムのブロックに対応する第3のカラムの1列にあるアミノ酸を、第2のカラムの同じブロック内の第3のカラムの別の列にあるアミノ酸と置き換えることによって、実施される。
所定の実施形態では、例えば、塩基性には塩基性、酸性には酸性、極性には極性のアミノ酸ような同様なアミノ酸の置換または置き換えである相同置換が生じてもよい。また、非相同置換、即ち、1つのクラスの残基から別のクラスへの置換が生じてもよく、あるいはオルニチン(以後、Zと称する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以後、Bと称する)、ノルロイシンオルニチン(以後、Oと称する)、ピリイルアラニン(pyriylalanine)、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンのような非天然アミノ酸を含む置換の介在も生じ得る。アミノ酸置換は、時折、改変体ペプチドの疎水性、改変体ペプチドの両親媒性を増強するため、および改変体ペプチドがα−へリックス構造または基礎構造を形成する可能性を増強または減少するために、選択される。
Figure 2011503517
細胞受容体またはリガンド改変体ポリペプチド配列は、しばしば、生来のリガンドまたは細胞受容体ポリペプチド配列に実質的に同一である。改変体のアミノ酸配列は、ときどき、生来のリガンドまたは受容体アミノ酸配列に対して、50%もしくはそれ以上、51%もしくはそれ以上...60%もしくはそれ以上、61%もしくはそれ以上...70%もしくはそれ以上、71%もしくはそれ以上...80%もしくはそれ以上、81%もしくはそれ以上...85%もしくはそれ以上...89%もしくはそれ以上、90%もしくはそれ以上、91%もしくはそれ以上、92%もしくはそれ以上...95%もしくはそれ以上...97%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、または99%もしくはそれ以上である。
生来のリガンドまたは細胞受容体タンパク質ポリペプチドもしくはタンパク質における天然に存在するアミノ酸は、時折、オルニチン(以後、Zと称する)、ジアミノ酪酸(以後、Bと称する)、ノルロイシン(以後、Oと称する)、ピリルアラニン(pyrylalanine)、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンを含むが、それらに限定されない非天然または非古典的アミノ酸で置換される。天然に存在しないアミノ酸および非古典的アミノ酸置換の他の例には、αおよびα−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、天然アミノ酸のハライド誘導体、例えば、トリフルオロチロシン、p−CL−フェニルアラニン、p−BR−フェニルアラニン、p−I−フェニルアラニン、L−アリル−グリシン、β−アラニン、L−α−アミノ酪酸、L−γ−アミノ酪酸、L−α−アミノイソ酪酸、L−ε−アミノカプロン酸#、7−アミノヘプタン酸、L−メチオニンスルホン#、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、P−ニトロ−L−フェニルアラニン、L−ヒドロキシプロリン#、L−チオプロリン、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、例えば、4−メチル−Phe、ペンタメチル−Phe、L−Phe(4−アミノ)#、L−Tyr(メチル)、L−Phe(4−イソプロピル)、L−Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)、L−ジアミノプロピオン酸、L−Phe(4−ベンジル)、2,4−ジアミノ酪酸、4−アミノ酪酸(γ−Abu)、2−アミノ酪酸(α−Abu)、6−アミノヘキサン酸(ε−Ahx)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、β−メチルアミノ酸、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルアミノ酸、ナフチルアラニンなどがある。記号は、疎水性特徴を有する誘導体を示し、#は、親水性特徴を有する誘導体を示し、そして#は、両親媒性特徴を有する誘導体を示す。
改変体アミノ酸配列は、時折、配列の任意の2アミノ酸残基の間に挿入される適切なスペーサー基(グリシンまたはβ−アラニン残基のようなアミノ酸スペーサーに加えて、メチル、エチルまたはプロピル基のようなアルキル基を含む)を含む。また、ペプチドおよびポリペプチドは、ペプトイドを含んでなり得るか、またはペプトイドよりなり得る。用語「ペプトイド」は、改変体アミノ酸構造を指し、ここで、α−炭素置換基は、α−炭素ではなく、むしろ骨格窒素原子上に存在する。ペプトイド形態のペプチドを調製するためのプロセスは、当該技術分野において公知である(例えば、Simon et al., PNAS 89(20): 9367-9371 (1992)およびHorwell, Trends Biotechnol. 13(4): 132-134 (1995)を参照のこと)。
ポリペプチドおよびそれらの改変体(細胞受容体、バイオマーカー受容体、リガンドまたはバイオマーカーがそれらを含んでなるか、またはそれらよりなる)は、しばしば、既知の組み換え分子生物学手順(例えば、Mullis et al., Methods Enzymol. 155:335-50 (1987)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology、例えば、3.17.1〜10頁)によって調製される。あるいは、ポリペプチドは、時折、化学合成プロセスを使用して合成されるか、または所定の実施形態では、生物学的供給源から精製される。いくつかの精製された酵素は、市販されている。
ポリペプチドは、ペプチド連結方法(例えば、Dawson et al., Science 266:776-9 (1994)およびColigan et al., Native chemical ligation of polypeptides, Wiley: 18.4.1-21 (2000)を参照のこと)によって合成してもよい。この方法は、生来の骨格タンパク質を、十分に保護されていないポリペプチドビルディングブロックから集成することを可能にする。連結反応を容易にするために、N末端ポリペプチドフラグメントのα−カルボキシル基は、アリールチオエステルとして穏やかに活性化され、そしてC末端ポリペプチドフラグメントは、アミノ−末端システインを含有する。反応は、しばしば、水性緩衝液において、ほぼ中性のphで行われる。最初の工程は、N末端Cys−ポリペプチド(C末端フラグメント)のチオール基およびN末端ポリペプチドフラグメントのα−チオエステル部分に関与する可逆的なチオエステル交換反応である。この中間体は、自発的再配置を経験して、連結部位において、天然のペプチド結合を形成する。化学的アプローチの利点は、標的分子への非天然アミノ酸の部位特異的組み入れ、および翻訳後修飾である。約50アミノ酸もしくはそれ以下のポリペプチドフラグメント、ならびにそれらの擬似物および改変体は、時折、当該技術分野において公知の標準的な化学合成方法(例えば、Applied Biosystemsから市販されているペプチド合成機)によって生成される。
ポリペプチドおよびそれらの改変体(細胞受容体、バイオマーカー受容体、リガンドまたはバイオマーカーがそれらを含んでなるか、またはそれらよりなる)は、標準的な精製手順を使用して単離される。「単離された」もしくは「精製された」ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、タンパク質が誘導される細胞または組織供給源由来の細胞材料もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学的に合成する場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。「実質的に含まない」は、(乾燥重量で)約30%未満、20%未満、10%未満、より好ましくは、5%未満の非受容体もしくはリガンドポリペプチド(また、「夾雑タンパク質」とも称される)、あるいは化学前駆体または非受容体もしくはリガンド化学物質を有するリガンド、受容体、またはそれらのペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質改変体の調製物を意味する。ポリペプチドまたはその生物学的に活性なタンパク質が組み換え的に産生される場合、それは、しばしば、培養培地を実質的に含まず、具体的には、ここで、培養培地は、ポリペプチド調製物の容積の約20%未満、時折、約10%未満、しばしば、約5%未満を示す。単離されたまたは精製されたポリペプチド調製物は、時折、0.01ミリグラムもしくはそれ以上または0.1ミリグラムもしくはそれ以上であり、しばしば、乾燥重量で1.0ミリグラムもしくはそれ以上および10ミリグラムもしくはそれ以上である。
本明細書に記載の「受容体」は、20×E−06M〜1×E−15Mもしくはそれ以下の間のK範囲のKでリガンドに結合することによって、リガンドと相互作用する分子を意味し、ここで、受容体は、受容体−リガンド相互作用を示すリガンドの結合時に生化学的または物理化学的シグナルを伝達する。生物学的由来または派生物の受容体を、細胞受容体と称する。光センサを形成するためにバイオポリマーに固定化される細胞受容体を細胞バイオマーカー受容体と称し、これは、バイオマーカー受容体の例である。バイオマーカー受容体に結合する細胞受容体のリガンドは、バイオマーカーの例である。一実施形態では、細胞バイオマーカー受容体は、細胞受容体が固定化されるバイオポリマー材料への細胞受容体のリガンドの結合時にシグナルを伝達する。別の実施形態では、K範囲は、10×10E−06M〜1×10E−12Mの間である。なお別の実施形態では、K範囲は、1×10E−06〜1×10E−10の間または0.1×10E−06〜1×10E−9の間である。別の実施形態では、バイオマーカー受容体は細胞受容体フラグメントであって、ここで、細胞受容体フラグメントは、無傷(intact)な細胞受容体の結合ドメインを含んでなるか、またはそれよりなる。従って、細胞受容体フラグメントは、細胞受容体を含んでなり、そして細胞受容体の機能を実施するポリペプチドである。一実施形態では、細胞受容体フラグメントは、K範囲20×E−06M〜1×E−15M、10×10E−06M〜1×10E−12M、1×10E−06〜1×10E−10または0.1×10E−06〜1×10E−9のバイオマーカーのためのKを有する。
細胞受容体は、時折、細胞系(例えば、哺乳動物の細胞もしくは組織のグループ)、細菌またはウイルスのエンベロープにおけるか、あるいは細胞、細菌またはウイルスの破砕された膜もしくはエンベロープにおける生物学的膜に結合し得る。別の実施形態では、細胞受容体または細胞受容体フラグメントは、無細胞系において非結合型であるか、あるいは光センサを提供するために、バイオポリマーへの(本明細書において定義したような)直接的共有結合、間接的共有結合、または直接的もしくは間接的非共有結合によって、バイオポリマーに固定化される。
細胞受容体は、時折、膜内または膜表面の膜領域に局在する(例えば、受容体タンパク質キナーゼ、受容体タンパク質ホスファターゼ、サイトカイン受容体、G−タンパク質共役受容体およびインテグリン類)。時折、細胞受容体は細胞の細胞内領域に局在し、そして核受容体を含む。一実施形態では、細胞受容体または細胞受容体フラグメントは、光センサを提供するために、バイオポリマーへの(本明細書において定義したような)直接的共有結合、間接的共有結合、または非共有結合によって、バイオポリマー材料に固定化される。それ故、固定化しようとする細胞受容体またはそのフラグメントを、細胞バイオマーカー受容体と称する。
サイトカイン受容体:サイトカイン受容体は、4つのファミリーに分けられる。クラスIサイトカイン受容体ファミリーは、免疫および造血系において機能するサイトカイン結合受容体を含む。加えて、このファミリーは、成長ホルモンおよびプロラクチンの受容体を含む。細胞外ドメインには、位置的に保存された4システイン残基(CCCC)およびTrp−Ser−X−Trp−Ser(配列番号1)(ここで、Xは、非保存アミノ酸である)の保存配列を伴う保存アミノ酸配列が存在する。受容体は、2つのポリペプチド鎖よりなり、そしてサイトカイン特異的サブユニット、およびサイトカインリガンドに通常特異的でないシグナル伝達サブユニットである。これらの受容体が三量体である場合も若干認められる。シグナル伝達サブユニットは、サイトカインリガンドの高い親和性の結合に必要である。
クラスIサイトカイン受容体ファミリーは、同一のシグナル伝達サブユニットを有する1つのサブファミリーにおけるすべての受容体を伴うサブファミリーにさらに分けられる。GM−CSFサブファミリーは、IL−3、IL−5、およびGM−CSFの受容体を含み、そして低い親和性、サイトカイン特異的受容体αサブユニットによって特徴付けられる。すべての3つのαサブユニットは、共通のシグナル伝達βサブユニットに非共有結合で会合して、サイトカインに対する増加した親和性を示す二量体受容体を形成し、そしてサイトカイン結合後、膜を横切ってシグナルを伝達する。IL−6サブファミリーとして、重複する生物活性を示す異なる1つもしくは2つのサイトカイン特異的サブユニットと会合する共通のシグナル伝達サブユニット(gp130)によって特徴付けられるIL−6、IL−11、およびIL−12の受容体が挙げられる。IL−2サブファミリーとして、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、およびIL−15の受容体が挙げられる。IL−2およびIL−15受容体は、サイトカイン特異的な1つの鎖および2つの鎖(シグナル伝達を担うβおよびγ)を有する三量体である。IL−2受容体γ鎖は、二量体であるこのサブファミリーのそれらのメンバーにおけるシグナル伝達サブユニットである。
インターフェロン受容体ファミリーとしても公知であるクラスIIサイトカイン受容体ファミリーは、3つのインターフェロン、INF−α、β、およびγの受容体を含む。これらの受容体は、保存システインモチーフを所有するが、クラスIサイトカイン受容体のWSXWSモチーフの特徴を欠く。
TNF受容体ファミリーとして、55kDaのTNF受容体(TNF−RI)および75kDaのTNF受容体(TNF−RII)、ならびにCD40およびFasが挙げられる。それらは、細胞外アミノ末端における約40アミノ酸のシステインリッチ反復を有する。ファミリーのいくつかのメンバーは、それらの細胞質領域においても配列類に性を示す。LTおよびTNF−αは、両方ともp55受容体およびp75受容体に結合する。TNF−αの殺作用は、p55受容体を介して仲介される。p55受容体は、アポトーシスに関与するTRADDと呼ばれる「デスドメイン」と呼ばれる保存配列モチーフを含有する。p75受容体は、TNF−受容体関連因子(TRAF)と呼ばれる分子のタンパク質ファミリーを定義するドメインを含有する。それらの過剰発現は、転写因子NFκB、およびまた転写因子AP−1を調節するストレス活性型タンパク質キナーゼ経路を活性化する。
構造相同性は、次の4つのタイプに分類することができるため、構造相同性は、それほど重複性を示さないサイトカイン類を部分的に区別する:メンバーのサイトカイン類がαヘリックスの4つの束を伴う三次元構造を有する4α−ヘリックスバンドルファミリー。このファミリーは、次いで、3つのサブファミリーに分けられる:1)IL−2サブファミリー、2)インターフェロン(IFN)サブファミリーおよび3)IL−10サブファミリー。これらの3つのサブファミリーの第1のものは、エリスロポエチン(EPO)およびトロンボポエチン(THPO)を含むいくらかの非免疫学的サイトカイン類を含有する。あるいは、4α−ヘリックスバンドルサイトカイン類は、長鎖および短鎖サイトカイン類に分類することができる。IL−1ファミリーは、主に、IL−1およびIL−18を含む。IL−17ファミリーメンバーのサイトカイン類は、細胞傷害作用を生じるT細胞の増殖を促進するのに特異的効果を有する。第4のファミリーメンバーはケモカイン類であり、これは、ケモカイン受容体と共に以下で考察する。異なる分類は、免疫学的サイトカイン類を、それぞれ、ヘルパーT細胞、1型(IFN−γなど)および2型(IL−4、IL−10、IL−13、TGF−βなど)の増殖ならびに機能化を促進するものに分ける。
可溶性サイトカイン受容体は、血液および細胞外液において見出すことができる。これらの可溶性受容体は、細胞結合型サイトカイン受容体の細胞外ドメインの酵素切断から生じる。放出された可溶性フラグメントは、サイトカイン分子に結合することができ、それによってそれらの活性を中和する。可溶性IL−2受容体(sIL−2R)は、長期のT細胞活性化後に放出される。発散された受容体は、IL−2に結合し、そして膜結合型IL−2Rとのその相互作用を妨害することができる。
ケモカイン受容体ファミリーメンバーは、リガンド結合特異性を決定するのに重要なケモカイン受容体のN末端部分を伴うGタンパク質−共役受容体である。ケモカイン受容体は、構造的に関連し、そして特異的(ただ1つの既知のリガンド−例えば、CXCR1/IL8RAおよびCXCR4/フシン/LESTRに結合する)、共有的(CXCR2/IL8RB、CXCR3、CCCR1−CCCR5)、無差別的(CXCまたはCCタイプのいずれかの多くのケモカインリガンドに結合する)、およびウイルス(進化中にウイルスゲノムに導入されている共有受容体、例えば、リスザルヘルペスウイルス(herpes saimiri virus)およびサイトメガロウイルス)に分類することができる。
ケモカイン類は、強力な白血球活性化および/または走化性活性を伴う構造的に関連する糖タンパク質のファミリーである。それらは70〜90アミノ酸長および約8〜10kDaの分子量である。それらのほとんどは、4システイン残基を伴う2つのサブファミリーに当てはまる。これらのサブファミリーは、2アミノ末端システイン残基が直ぐ隣に存在するか、または1アミノ酸を隔てて存在するかどうかに基づく。CXCケモカイン類としても公知であるαケモカイン類は、第1および第2のシステイン残基の間に単一のアミノ酸を含有し;β、またはCC、ケモカイン類は、隣接するシステイン残基を有する。ほとんどのCXCケモカイン類は、好中球の化学遊走因子であるが、一方、CCケモカイン類は、一般的に、単球、リンパ球、好塩基球、および好酸球を引き寄せる。また、他に2つの小さなサブグループが存在する。Cグループは、1つのメンバー(リンホタクチン)を有する。それは、4システインモチーフのシステインのうちの1つを欠くが、そのカルボキシル末端において、C−Cケモカインと相同性を共有する。第4のサブグループは、C−X3−Cサブグループである。C−X3−Cケモカイン(フラクタルカイン/ニューロタクチン)は、第1の2システインの間に3アミノ酸残基を有する。それは、長いムチン幹部(stalk)を介して細胞膜に直接束縛され、そして白血球の接着および遊走の両方を誘導する。
サイトカイン受容体、サイトカイン受容体リガンド、およびペプチド配列のような構造的情報の例は、"http://apresslp.gvpi.net/apcyto/lpext.dll?f=templates&fn=main-h.htm&2.0" maintained by Elsevier, B.V. the NetherlandsおよびCOPE (Cytokines and Cells Online Pathfinder Encyclopedia) at "http://www.copewithcytokines.de/cope.cgi."によって、ならびに"The Cytokine Handbook" 2nd ed., Thomson A. Ed. Academic Press 1994において提供されている。一実施形態では、サイトカイン受容体またはサイトカインが、バイオポリマー材料に固定化されて、光センサを提供し、そして固定化しようとするサイトカイン受容体またはサイトカインを、サイトカインバイオマーカー受容体と称する。サイトカインバイオマーカー受容体に結合するサイトカインまたはケモカインを、サイトカインバイオマーカーと称する。
Gタンパク質−共役受容体:Gタンパク質−共役受容体(GPCR)は、7つの膜貫通ドメインを有するタンパク質のスーパーファミリーであり、そしてセンサーシグナルメディエーター(例えば、光および臭覚刺激分子)の受容体;アデノシン、ボンベシン、ブラジキニン、エンドセリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、肝細胞増殖因子、メラノコルチン類、神経ペプチドY、オピオイドペプチド類、オプシン類、ソマトスタチン、タキキニン類、血管作動性腸管ポリペプチドファミリー、およびバソプレッシン;生態アミン類(例えば、ドーパミン、エピネフリンおよびノルエピネフリン、ヒスタミン、グルタミン酸(代謝調節作用)、グルカゴン、アセチルコリン(ムスカリン様作用)、およびセロトニン);ケモカイン類;炎症の脂質メディエーター(例えば、プロスタグランジン類およびプロスタノイド類、血小板活性化因子、ならびにロイコトリエン類);ならびにペプチドホルモン(例えば、カルシトニン、C5aアナフィラトキシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、ニューロキニン、および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、およびオキシトシン)を含む。いまだ同定されていない刺激に対する受容体として作用するGPCRは、オーファン受容体として既知である。
GPCRは、配列相同性および機能類似性に基づいて、5つのクラスに分けられる。クラスA(ロドプシン様)、クラスB(セクレチン様)、クラスC(代謝調節/フェロモン)、クラスD(真菌フェロモン(Fungal pheromone))、クラスE(cAMP受容体)およびクラスF(Frizzled/Smoothened)。クラスAは、さらに19のサブグループ(A1〜A19)に下位区分される。GPCR分類についてのさらなる説明は、Foord, et al. "International union of pharmacology XLVI: G protein-coupled receptor list" Pharm. Rev. 2005, 57:279:288およびJoost, Genome Biol. 2002, 3(11):research0063.1-0063.16に示されている。
GPCRおよびそれらの構造的情報、例えば、それらのペプチド配列の例は、GPCRDB (G Protein-coupled database)コンソーシアムにより維持されている"http://www.gpcr.org/7tm/"、Swiss Institute of Bioinfomatics により維持されている"http://www.expasy.org/cgi-bin/lists?7tmrlist.txt"によって、および"The G-Protein Linked Receptor Facts Book", Watson, S; Arkinstall, S, Academic Press 1994(本明細書において参考として援用される)において提供されている。一実施形態では、生体膜内のGPCRは、光センサを提供するために、GPCRポリペプチドもしくはGPCRが存在する生体膜を介する直接的共有結合、間接的共有結合、または非共有結合によって、バイオポリマー材料に固定化される。そのようにして固定化すべきGPCRを、GPCRバイオマーカー受容体と称する。別の実施形態では、ペプチド性Gタンパク質−共役受容体に結合するポリペプチドリガンドまたはそのフラグメントが、光センサを提供するために、バイオポリマー材料に固定化される。そのようにして固定化すべきペプチド性GPCRリガンドから誘導されるポリペプチドを、ここで、ペプチド性GPCRバイオマーカーと称する。GPCRおよびそれらの構造的情報、例えば、それらのペプチド配列の例は、Geppetti, Ed. In "Peptidergic G protein-coupled receptors" NATO Science series. Series A: Life Sciences, Vol. 307, IOS Press, 1999によって提供されている。
インテグリン類:インテグリン類は、他の細胞への細胞の付着、およびいずれの細胞の部分ではない組織の材料部分(細胞外マトリックス)への細胞の付着において役割を果たす細胞表面受容体である細胞表面タンパク質のスーパーファミリーである。インテグリン類はまた、シグナル伝達(細胞が、1つの種類のシグナルまたは刺激を別の細胞に伝達するプロセス)において役割を果たし、そして細胞の形状、運動を定義し、そして細胞周期を調節する。インテグリン類は、約40〜70アミノ酸の単一の膜貫通ヘリックスを介して細胞の形質膜に付着した内在性膜タンパク質である。例外は、1088アミノ酸の細胞質ドメインを有するβサブユニットである。ほとんどのインテグリン類は、スーパーファミリーを介して保存された95kDのαサブユニット、および150〜170kDのより可変なβサブユニットとのヘテロ二量体である。
ベータ(β)サブユニットは、4つのシステインリッチ反復配列を有し、そしてインテグリン類が結合するリガンドの少なくともいくつかを整合することに直接関与する一方、αサブユニットは、タンパク質の折り畳みを安定化し得る。加えて、いくつかのサブユニットの改変体が、異なるスプライシングによって形成され、例えば、βサブユニットの4つの改変体が存在する。インテグリン類として、リガンドタンパク質のRGD(Arg−Gly−Asp)配列に結合する繊維芽細胞のフィブロネクチンおよびビトロネクチン受容体、血小板IIB/IIIA表面糖タンパク質(フィブロネクチンおよびフィブリノーゲン受容体)、白血球表面タンパク質のLFA−1クラス、ならびにVLA表面タンパク質が挙げられる。リガンドにおけるRGD配列の要件は、不変ではない。
αサブユニット間の構造は、極めて類似している。すべて、20〜30アミノ酸のストレッチだけ間隔を置いて配置された、それらの細胞外ドメインにおける30〜40アミノ酸の7つの相同反復を含有する。3つもしくは4つの反復は、ほとんど細胞外であり、そしてカチオン結合性特性を伴う配列を含有する。インテグリン類とそれらのリガンドとの相互作用は、カチオン依存性であるため、これらの配列は、リガンドの結合に関与すると思われる。すべてのαサブユニットは、膜貫通領域下に直接局在する5アミノ酸モチーフGFFKRを共有する。αサブユニットは、いくつかの構造的再に基づく2つのグループに下位区分される。第1のグループは、α−1、α−2、α−L、α−Mおよびα−Xによって形成される。第1のグループのメンバーは、すべて、いわゆる挿入ドメイン(I−ドメイン)を含有する。約180アミノ酸のこのドメインは、第2および第3の反復の間に位置し、そしてリガンド結合に関与し得る。第2のグループは、α−3、α−5、α−6、α−7、α−8、α−IIb、α−Vおよびα−IELによって形成される。このグループのメンバーは、すべて、それらの前駆体の重鎖および軽鎖への翻訳後切断を共有する。軽鎖は、細胞質ドメイン、膜貫通領域および細胞外ドメインの一部分(約25kD)からなる一方、重鎖は、細胞外ドメイン上の残りの部分(約120kD)を含有する。
哺乳動物では、19αおよび8βサブユニットが特徴付けられており、これらを以下に示す。α−サブユニット:ITGA1(CD49a)、ITGA2(CD49b)、ITGA2B(CD41)、ITGA3(CD49c)、ITGA4(CD49d)、ITGA5(CD49e)、ITGA6(CD49f)、ITGA7、ITGA8、ITGA9、ITGA10、ITGA11、ITGAD(CD11d)、ITGAE(CD103)、ITGAL(CD11a)、ITGAM(CD11b)、ITGAV(CD51)、ITGAWおよびITGAX(CD11c)であって、それぞれ、α、α、α、α、α、α、α、α、α、α10、α11、α、α、α、α、α、αおよびαとも称される;β−サブユニット:ITGB1(CD29)、ITGB2(CD18)、ITGB3(CD61)、ITGB4(CD104)、ITGB5、ITGB6、ITGB7およびITGB8であって、β、β、β、β、β、β、βおよびβとも称される。これらのαおよびβサブユニットの異なる組合せを介して、いくつかの24の独特なインテグリン類が作製され、そしてαβ、αβ、αβ(VLA−4)、αβ、αβ(LFA−1)、αβ(Mac−1)、αIIbβ、αβを含む。
インテグリン類およびそれらの構造的情報、例えば、インテグリン類およびそれらのリガンドのペプチド配列の例は、“http://www.geocities.com/CapeCanaveral/9629/” に局在する“The Integrin Page” によって提供されている。一実施形態では、インテグリンまたはそのβサブユニットは、インテグリンのポリペプチドもしくはインテグリンサブユニット、またはポリペプチドが存在する生体膜を介して、直接的共有結合、間接的共有結合または非共有結合によって、バイオポリマー材料に固定化される。光センサを提供するために固定化しようとするインテグリンまたはそのサブユニットもしくはフラグメントを、インテグリンバイオマーカー受容体と称し、そしてインテグリンに結合するリガンドまたはそのフラグメントを、インテグリンバイオマーカーと称する。
核内受容体:核内受容体(NR)は、ホルモンおよび他の所定の分子の存在を感知することを担う細胞内タンパク質のクラスである。アゴニスト(典型的に、ホルモンまたは小さな親油性分子)の結合に応答して、核内受容体は、その核内受容体応答エレメント(NRE)と称される部位においてDNAに直接結合し、続いて、隣接する遺伝子の発現を調節する。配列相同性に従って分類された既知の48既知ヒト核内受容体を、サブファミリー:名称;グループ:名称(グループ全体に共通である場合、内因性リガンド);メンバー:名称(略称;NRNC記号、遺伝子)(内因性リガンド)として示す。
サブファミリー1:甲状腺ホルモン受容体様;グループA:甲状腺ホルモン受容体(甲状腺ホルモン);(1)甲状腺ホルモン受容体−α(TRα;NR1A1、THRA)、(2)甲状腺ホルモン受容体−β(TRβ;NR1A2、THRB);グループB:レチノイン酸受容体(ビタミンAおよび関連化合物)(1)レチノイン酸受容体−α(RARα;NR1B1、RARA)、(2)レチノイン酸受容体−β(RARβ;NR1B2、RARB)、(3)レチノイン酸受容体−γ(RARγ;NR1B3、RARG);グループC:ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体(1)ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−α(PPARα;NR1C1、PPARA)、(2)ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−β/δ(PPARβ/δ;NR1C2、PPARD)、(3)ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ(PPARγ;NR1C3、PPARG);グループD:Rev−ErbA(1)Rev−ErbAα(Rev−ErbAα;NR1D1)、(2)Rev−ErbAβ(Rev−ErbAβ;NR1D2):グループF:RAR関連オーファン受容体(1)RAR関連オーファン受容体−α(RORα;NR1F1、RORA)(2)RAR関連オーファン受容体−β(RORβ;NR1F2、RORB)、(3)RAR関連オーファン受容体−γ(RORγ;NR1F3、RORC);グループH:肝臓X受容体様(3)肝臓X受容体−α(LXRα;NR1H3)、(2)肝臓X受容体−β(LXRβ;NR1H2)、(4)ファルネソイドX受容体(FXR;NR1H4);グループI:ビタミンD受容体様(1)ビタミンD受容体(VDR;NR1I1、VDR)(ビタミンD)、(2)プレグナンX受容体(PXR;NR1I2)、(3)構成的アンドロスタン受容体(CAR;NR1I3)
サブファミリー2:レチノイドX受容体様;グループA:肝細胞核因子−4(HNF4)(1)肝細胞核因子−4−α(HNF4α;NR2A1、HNF4A)、(2)肝細胞核因子−4−γ(HNF4γ;NR2A2、HNF4G);グループB:レチノイドX受容体(RXRα)(1)レチノイドX受容体−α(RXRα;NR2B1、RXRA)、(2)レチノイドX受容体−β(RXRβ;NR2B2、RXRB)、(3)レチノイドX受容体−γ(RXRγ;NR2B3、RXRG);グループC:精巣受容体(1)精巣受容体2(TR2;NR2C1)、(2)精巣受容体4(TR4;NR2C2);グループE(TLX/PNR)(1)ショウジョウバエ(Drosophila)無尾遺伝子(TLX;NR2E1)のヒトホモログ、(3)光受容体細胞特異的核内受容体(PNR;NR2E3);グループF:COUP/EAR(1)ニワトリオボアルブミン上流プロモーター−転写因子I(COUP−TFI;NR2F1)、(2)ニワトリオボアルブミン上流プロモーター−転写因子II(COUP−TFII;NR2F2)、(6)V−erbA関連(EAR−2;NR2F6)。
サブファミリー3:エストロゲン受容体様;グループA:エストロゲン受容体(1)エストロゲン受容体−α(ERα;NR3A1、ESR1)、(2)エストロゲン受容体−β(ERβ;NR3A2、ESR2)、グループB:エストロゲン関連受容体(1)エストロゲン関連受容体−α(ERRα;NR3B1、ESRRA)、(2)エストロゲン関連受容体−β(ERRβ;NR3B2、ESRRB)、(3)エストロゲン関連受容体−γ(ERRγ;NR3B3、ESRRG);グループC:3−ケトステロイド受容体(1)グルココルチコイド受容体(GR;NR3C1)(コルチゾール)、(2)鉱質コルチコイド受容体(MR;NR3C2)(アルドステロン)、(3)プロゲステロン受容体(PR;NR3C3、PGR)(4)アンドロゲン受容体(AR;NR3C4、AR)
サブファミリー4:神経成長因子IB様;グループA:NGFIB/NURR1/NOR1(1)神経成長因子IB(NGFIB;NR4A1)、(2)核内受容体関連1(NURR1;NR4A2)、(3)ニューロン由来オーファン受容体1(NOR1;NR4A3)。サブファミリー5:ステロイド産生因子様;グループA:SF1/LRH1(1)ステロイド産生因子1(SF1;NR5A1)、(2)肝臓受容体ホモログ−1(LRH−1;NR5A2)。サブファミリー6:胚細胞核因子様;グループA:GCNF)(1)胚細胞核因子(GCNF;NR6A1)。サブファミリー0:その他;グループB:DAX/SHP(1)X染色体上のDAX1、容量感受性性逆転、副腎低形成必須領域、遺伝子1(NR0B1)、(2)小ヘテロ二量体パートナー(SHP;NR0B2);グループC:2つのDNA結合ドメインを伴う核内受容体(2DBD−NR))。
核内受容体は、モジュール構造であり、そして次のドメインを含有する:(A−B)N末端調節ドメイン:作用がリガンドの存在に非依存的である活性化機能1(AF−1)を含有する。AF−1の転写活性化は、通常、極めて弱いが、それは、AF−2(以下を参照のこと)と相乗作用して、遺伝子発現のより強健なアップレギュレーションを生成する。A−Bドメインは、多様な核内受容体の間で配列の可変性が高い。(C)DNA結合ドメイン(DBD):高度に保存されており、そしてホルモン応答エレメント(HRE)と呼ばれるDNAの特異的配列に結合する2つの亜鉛フィンガーを含有する。(D)ヒンジ領域:DBDとLBDとを接続し、そして細胞内輸送および細胞内分布に影響を及ぼす可撓性ドメイン。(E)リガンド結合ドメイン(LBD):多様な核内受容体の間で配列が中等度に保存され、そして構造が高度に保存されている。LBDの構造は、αヘリックスサンドイッチフォールドと称され、ここで、3つのアンチパラレルαヘリックス(「サンドイッチ充填物」)が、一方の側から2つのαヘリックスおよび他方の側から3つのαヘリックス(「パン」)によってフランキングされる。リガンド結合キャビティは、LBDの内部かつ3つのアンチパラレルαヘリックスサンドイッチ「充填物」の直ぐ下にある。DBDと共に、LBDは、受容体の二量体形成面に寄与し、加えて、コアクチベーターおよびコリプレッサータンパク質に結合する。リガンド結合ドメインは、作用が、通常、結合型リガンドの存在に依存的である活性化機能2(AF−2)を含有する。(F)C−末端ドメイン:多様な核内受容体の間で配列が可変性である。
光センサを提供する核内受容体またはそのドメインもしくはフラグメントを核内バイオマーカー受容体と称し、そしてそのようにして固定化された核内受容体のリガンドは、バイオマーカーと称されるようになり、そしてNRバイオマーカーと称される。核内受容体フラグメントは、生来の核内受容体の結合機能のうち少なくとも1つを実施するポリペプチドである。
核内受容体の命名法および分類については、Zhang Z, et al "Genomic analysis of the nuclear receptor family: New insights into structure, regulation, and evolution from the rat genome". Genome Res 2004, 14 (4):580-90;Nuclear Receptors Nomenclature Committee "A unified nomenclature system for the nuclear receptor superfamily" Cell 1999, 97 (2):161-3に示されている。
一実施形態では、アンドロゲン(AR)またはエストロゲン(EraもしくはERb)受容体は、バイオポリマー材料に固定化されて、光センサを提供し、アンドロステン、アンドロスタンまたはエストロゲンステロイド核を有するバイオマーカーを検出する。別の実施形態では、AREもしくはEREを含んでなるか、またはそれらよりなるDNA配列は、バイオポリマー材料に固定化されて、光センサを提供し、活性化されたアンドロゲンまたはエストロゲン受容体からなるバイオマーカーを検出する。
酵素−本明細書にいて使用する「酵素」は、分子の化学変換を触媒するポリペプチドである。酵素によってそのように変換される分子は、酵素基質と呼ばれるが、一方、酵素基質の変換を防止する別の分子は、酵素インヒビターと呼ばれ、そしてそれ自体もまた、酵素基質であってもよい(即ち、ターンオーバーが行われる)。酵素活性部位のアミノ酸残基の共有結合修飾によって酵素を阻害する酵素基質は、自殺型阻害剤と呼ばれる。一実施形態では、バイオマーカー受容体は、酵素またはそのフラグメントであって、ここで、酵素フラグメントは、酵素の触媒ドメインを含んでなるか、またはそれよりなる。従って、酵素フラグメントは、酵素を含んでなり、そして無傷な酵素の生来の酵素基質に結合することによって、細胞受容体の機能を実施するポリペプチドである。酵素フラグメントが固定化されるバイオポリマーの光学特性の変化にその活性が必要とされるまで、フラグメントは、酵素基質の変換を触媒する必要がない。光センサを提供するために固定化されるべき酵素またはそのフラグメントを、酵素バイオマーカー受容体と称し、そしてそのようにして固定化される酵素の基質を酵素バイオマーカーと称する。
細胞受容体および細胞バイオマーカー受容体はまた、酵素および酵素バイオマーカー受容体を含む。酵素の例として、タンパク質キナーゼ、タンパク質ホスファターゼ、プロテアーゼ、ヒドロラーゼ、エステラーゼおよびコリンエステラーゼが例示的に挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、バイオマーカー受容体は、酵素またはそのフラグメントであって、酵素または酵素フラグメントは、光センサを提供するために、直接的共有結合、間接的共有結合もしくは非共有結合によって、バイオポリマー材料に固定化される。固定化しようとする酵素または酵素フラグメントを、酵素バイオマーカー受容体と称する。そのようにして固定化される酵素のリガンドまたは基質を、酵素バイオマーカーと称する。別の実施形態では、酵素バイオマーカーは、酵素基質または酵素インヒビターである。なお別の実施形態では、自殺型阻害剤によって修飾されている酵素は、バイオマーカー受容体のバイオマーカーになる。
一実施形態では、固定化される酵素は、タンパク質キナーゼまたはタンパク質ホスファターゼである。ポリペプチド(酵素内のポリペプチド(自己触媒)であっても、または異なるポリペプチドであってもよい)にリン酸基を付加し、そしてホスホ−ペプチドを提供する酵素は、タンパク質キナーゼと呼ばれる。ポリペプチド上のリン酸基を取り出す酵素は、タンパク質ホスファターゼと呼ばれる。光センサを提供するために、バイオポリマー材料に固定化すべきタンパク質キナーゼまたはタンパク質ホスファターゼを、タンパク質キナーゼまたはホスファターゼバイオマーカー受容体と称する。一実施形態では、バイオマーカーはホスホ−ペプチドである。別の実施形態では、ホスホ−ペプチドは、光センサを提供するために、バイオポリマー材料に固定化される。そのようにして固定化されるホスホ−ペプチドは、ここで、バイオマーカー受容体であって、そしてホスホ−ペプチドバイオマーカー受容体と呼ばれる。
バイオマーカー受容体は、時折、タンパク質キナーゼまたはタンパク質ホスファターゼ由来の結合ドメインよりなるか、またはそれからなる。一実施形態では、結合ドメインは、チロシン受容体キナーゼまたはセリン、スレオニンもしくはチロシン細胞内キナーゼから誘導される。タンパク質キナーゼ由来の結合ドメインの例として、SRC−相同2および3ドメイン(SH2およびSH3ドメイン)、プレクストリン相同ドメイン(PHドメイン)、Dbl相同ドメイン(DHドメイン)、共通ドッキング(common docking)ドメイン(CDドメイン)およびRAS結合ドメイン(RBD)が挙げられる。バイオマーカーは、(1)SH2ドメインからなるバイオマーカー受容体と相互作用するホスホチロシン含有リガンド、(2)SH3ドメインからなるバイオマーカー受容体と相互作用するポリプロリン(PP)含有リガンド(3)PHドメインからなるバイオマーカーと相互作用するリン脂質含有リガンド、または(4)RBDからなるバイオマーカー受容体と相互作用するRAS由来のリガンド含有アミノ酸領域(ここで、相互作用は、SH2、SH3、PHドメインもしくはRAS領域が固定化されるバイオポリマー材料において、検出可能な光学的変化を生じる)であるが、それらは例示であって、それらに限定されるものではない。
一実施形態では、バイオマーカー受容体は、バイオポリマーに固定化されるポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドはタンパク質キナーゼの基質である。固定化されたポリペプチドへのタンパク質キナーゼによるリン酸基の付加は、固定化されたホスホ−ペプチドを提供し、そしてバイオポリマー材料の光学特性において検出可能な変化を生じる。別の実施形態では、ホスホ−ペプチドが固定化されたバイオポリマー材料の光学特性の検出可能な変化は、別のポリペプチド由来のSH2ドメインと、固定化されたホスホ−ペプチドとの相互作用後に生じる。
タンパク質キナーゼとして、タンパク質−セリン/スレオニン特異的タンパク質キナーゼ、タンパク質−チロシン特異的キナーゼおよび二重特異性キナーゼが挙げられる。他のタンパク質キナーゼとして、タンパク質−システイン特異的キナーゼ、タンパク質−ヒスチジン特異的キナーゼ、タンパク質−リジン特異的キナーゼ、タンパク質−アスパラギン酸特異的キナーゼおよびタンパク質−グルタミン酸特異的キナーゼが挙げられる。
タンパク質キナーゼまたはその結合ドメインとして、AFK、Akt、AMP−PK、Auroraキナーゼ、β−ARK、Abl、ATM、Auroキナーゼ、ATR、CAK、Cam−II、Cam−III、CCD、Cdc2、Cdc28−dep、CDK、Flt、Fms、Hck、CKI、CKII、Met、DnaK、DNA−PK、Ds−DNA、EGF−R、ERA、ERK、ERT、FAK、FES、FGR、FGF−R、FYN、Gag−fps、GRK、GRK2、GRK5、GSK、H4−PK−1、IGF−R、IKK、INS−R、JAK、KDR、Kit、Lck、MAPK、MAPKKK、MAPKAP2、MEK、MEK、MFPK、MHCK、MLCK、p135TYK2、p37、p38、p70S6、p74Raf−1、PDGF−R、PD、PHK、PI3K、PKA、PKC、PKG、Raf、PhK、RS、SAPK、Src、Tie−2、m−TOR、TrkA、VEGF−R、YES、またはZAP−70が挙げられるが、それらは例示であって、それらに限定されるものではない。特定の実施形態では、キナーゼとして、Akt、Abl、CAK、Cdc2、Fms、Met、EGF−R、ERK1、ERK2、FAK、Fyn、IGF−R、Lck、P70S6、PDGF−R、PI3K、PKA、PKC、Raf、Src、Tie−2またはVEGF−Rが挙げられる。
タンパク質キナーゼの基質として、Akt、Abl、CAK、Cdc2、Fms、Met、EGF−R、ERK1、ERK2、FAK、Fyn、IGF−R、LCK、P70S6、PDGF−R、PI3K、PKA、PKC、Raf、Src、Tie−2およびVEGF−Rのようなタンパク質キナーゼの基質が挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、タンパク質キナーゼの基質を含んでなるポリペプチドが、光バイオセンサを提供するためにバイオポリマー材料に固定化され、それ故、ポリペプチドがバイオマーカー受容体になる。タンパク質キナーゼ、タンパク質キナーゼ結合ドメインおよびそれらをコードするヌクレオチド配列に関する情報は、"http://www.kinasenet.com"に局在し、そしてUniversity of Californiaによって維持されているProtein Kinase Resource、"http://www.kinase.com"に局在し、そしてSalk InstituteまたはWoodgett, Ed. in "Protein Kinases", IRL Press, 1994によって維持されているKinBaseに見出される。
抗体−本明細書において使用する「抗体」は、Y字型のタンパク質であり、そして時折、抗原としてバイオマーカーを使用することによって、バイオマーカー受容体を調製する目的で哺乳動物の免疫系によって産生される。そのようにして産生される抗体の基本機能単位は、ジスルフィド結合によって接続された2本の同一な重鎖および2本の同一な軽鎖からなる免疫グロブリン(Ig)モノマーである。抗体は、さらに、抗体アミノ酸残基のいくつかに付着した炭水化物からなる。
抗体アイソタイプを定義する5つのタイプの哺乳動物Ig重鎖が存在し、そしてそれらは、ギリシャ文字α、δ、ε、γ、およびμによって示され、そしてそれぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体において見出される。ヒトおよびマウスでは4種類のγ重鎖のサブタイプγ、γ、γ、γが存在し、ヒトではさらに、γ、γ2a、γ2b、γが存在する。αおよびγ重鎖は約450アミノ酸を含有する一方、μおよびεは、約550アミノ酸を有する。ヒトでは、2つのαサブユニットαおよびαが存在する。重鎖サブタイプによって定義される4種類のIgGアイソタイプは、抗体に基づく免疫の主要部分を提供する。IgGは、B細胞の表面上で、分泌型で発現され、そして免疫応答を生じる抗原では最も高い親和性を有する。IgMは、十分なIgGが存在する前のB細胞性免疫の早期の段階に存在する。
各重鎖および軽鎖は、約70〜110アミノ酸を含有し、そして異なる2つのカテゴリー、可変(IgV)、および定常(IgC)に分類される構造ドメインからなる。定常ドメイン(IgC)は、同じアイソタイプのすべての抗体において同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。Igドメインは、2つのβシートが、保存されたシステインとの間に形成されるドメイン内ジスルフィド結合および荷電したアミノ酸との間の相互作用によって共に保持される「サンドイッチ」形状を作製する特徴的な免疫グロブリンフォールドを所有する。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデムIgドメインからなる定常領域、定常ドメイン(CH1)が後に続く1つの可変(V)ドメイン、ヒンジ領域、ならびに2つもしくはそれ以上の定常(CH2およびCH3)ドメインを有する一方、重鎖Μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインからなる定常領域を有する。哺乳動物には、僅か2つのタイプの軽鎖、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)しか存在しない。軽鎖は、2つのタンデムドメイン、1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメイン(V)を有する。軽鎖のおよその長さは、211〜217アミノ酸である。各抗体は、同一である2つの軽鎖を含有し、そして哺乳動物では、ただ1つのタイプの軽鎖、κまたはλのみが所定の抗体に存在する。
抗体構造は、特定のプロテアーゼ消化から産生されるフラグメントに対応して、さらに分けることができる。ペプシン消化は、重鎖内ジスルフィド結合に対してC末端側にあるヒンジ領域内で抗体を切断して、共有結合した2つのF(ab’)フラグメントを含有するF(ab’)フラグメントを形成する。パパイン消化は、重鎖内ジスルフィド結合に対してN末端側にあるヒンジ領域内で抗体を切断して、2つの同一なFabフラグメントおよびFcフラグメントを産生する。Fab(フラグメント、抗原結合)は、抗原(パラトープ)に結合する部位を含有し、そして抗体の各重鎖および軽鎖由来の1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメインからなる。パラトープ(抗原結合部位)は、Fabフラグメントのアミノ末端部に局在し、そして重鎖および軽鎖由来の可変ドメインによって形成される。Fc(フラグメント、結晶化可能)領域は、免疫細胞活性をモジュレートする役割を果たし、そして抗体のクラスに依存する2つもしくは3つの定常ドメインに寄与する2つの重鎖からなる。特異的なタンパク質に結合することによって、Fc領域は、各抗体が所定の抗原に対して適切な免疫応答を作製することを確実にする。Fc領域はまた、Fc受容体のような多様な細胞受容体、および補体タンパク質のような免疫分子に結合し、そしてそうすることによって、オプソニン作用、細胞溶解、ならびにマスト細胞、好塩基球および好酸球の脱顆粒を含む異なる生理学的効果を仲介する。
B細胞の抗体アイソタイプは、細胞の発達および活性化中に変化する。一度も抗原に暴露されていない未熟なB細胞は、ナイーブ(naive)なB細胞として公知であり、そして細胞表面結合型でIgMアイソタイプのみを発現する。B細胞が成熟に達し、そしてこれらの免疫グロブリンアイソタイプの両方の同時発現が、抗原に応答するようにB細胞を「成熟」および準備すると、B細胞はIgMおよびIgDの両方を発現し始める。B細胞活性化に続いて、細胞結合抗体分子(B細胞受容体(BCR)と称する)と抗原との系合が生じ、これは、細胞を分裂させ、そして形質細胞と呼ばれる抗体産生細胞に分化させる。この活性型において、B細胞は、膜結合型ではなく、分泌型の抗体を産生し始める。活性型B細胞のいくつかの娘細胞は、アイソタイプスイッチング(抗体の産生を、IgMまたはIgDから他の抗体アイソタイプ、IgE、IgAまたはIgGに変更させる機構)を経験する。
抗体は、異なる抗原結合部位(またはパラトープ)をコードする1組の遺伝子セグメントの無作為な組合せ(体細胞変異と呼ばれる)と、その後に続くさらなる多様性を生じる抗体遺伝子の無作為変異とによって、インビボで作製される。V(D)J組み換えとしても公知である、免疫グロブリンの体細胞組み換えは、独特な免疫グロブリン可変領域の作製に関与する。各免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の可変領域は、いくらかの片(遺伝子セグメントとして公知である)においてコードされる。これらのセグメントは、可変(V)、多様性(D)および連結(J)セグメントと呼ばれる。V、DおよびJセグメントは、Ig重鎖に見出されるが、VおよびJセグメントのみは、Ig軽鎖に見出される。多数コピーのV、DおよびJ遺伝子セグメントが存在し、そして哺乳動物のゲノムにおいてタンデムに配置される。骨髄では、発達中の各B細胞は、1つのV、1つのDおよび1つのJ遺伝子セグメント(または軽鎖では1つのVおよび1つのJセグメント)を無作為に選択し、そして組み合わせることによって、免疫グロブリン可変領域を集成する。各タイプの遺伝子セグメントの多数のコピーが存在し、そして各免疫グロブリン可変領域を作製するために、異なる組合せの遺伝子セグメントを使用することができるため、このプロセスは、それぞれが異なるパラトープ、それ故、異なる抗原特異性を伴う莫大な数の抗体を作製する。抗体遺伝子はまた、重鎖の塩基を別の塩基に変更するクラススイッチングと呼ばれるプロセスにおいて再構成し、抗原特異的可変領域を保持する異なるアイソタイプの抗体を作製する。
組み換えスイッチングは、クラススイッチ組み換え(CSR)と呼ばれる機構によって、重鎖の遺伝子座において生じる。この機構は、各定常領域遺伝子の上流のDNA(δ鎖を除く)において見出されるスイッチ(S)領域と呼ばれる保存ヌクレオチドモチーフに依存する。DNA鎖は、選択された2つのS領域において、一連の酵素の活性によって、分解される。可変ドメインエキソンは、所望される定常領域(γ、αまたはε)に対する非相同末端結合(NHEJ)と呼ばれるプロセスを介して再連結される。このプロセスは、異なるアイソタイプの抗体をコードする免疫グロブリン遺伝子を生じる。
一実施形態では、バイオマーカー受容体は、抗体または抗体フラグメントであって、ここで、抗体またはそのフラグメントは、抗原またはバイオマーカーを認識(即ち、結合)する。光センサを提供するためにバイオポリマー材料に固定化される抗体または抗体フラグメントを、抗体バイオマーカー受容体と称する。抗体またはそのフラグメントによって認識されるバイオマーカーを、抗体バイオマーカーと称する。時折、バイオマーカーは抗原である。一実施形態では、抗体バイオマーカー受容体は、病態の結果として哺乳動物において産生される分子を認識するか、または哺乳動物における病態の確立もしくは進行中に産生される。別の実施形態では、抗体バイオマーカー受容体は、哺乳動物に受容された化学的または生物学的傷害によって産生される分子を検出する。一実施形態では、認識される分子は、化学的もしくは生物学的傷害の原因であるか、または原因であることが疑わしい化学的あるいは生物学的因子によって修飾されているポリペプチドである。別の実施形態では、認識される分子は、化学的もしくは生物学的因子または環境毒素の作用によって修飾されている哺乳動物内(即ち、インビボ)のポリペプチドである。なお別の実施形態では、抗体バイオマーカー受容体は、哺乳動物の身体の外部(即ち、インビトロ)に存在するポリペプチドを認識し、ここで、ポリペプチドは、合成化合物、環境毒素もしくは有機リン酸系農薬のような化学的因子への哺乳動物の暴露によって修飾されるか、または修飾されていることが疑わしいポリペプチドと同じであるか、あるいは異なり、そしてこの因子への暴露の代用物(モデルとしての役割を果たす)として作用する。上記の各実施形態における化学的因子または環境毒素として、農薬または殺虫剤のような有機リン酸化合物が挙げられるが、それは例示であって、それに限定されるものではない。
本明細書において使用する「超可変ドメイン」は、相補性決定領域(CDR)を指し、そして抗体結合部位に関与する残基のほとんどを含有する免疫グロブリン分子の領域である。CDRは、VおよびVドメインに局在する抗体の超可変ループを含有する。Vにおける3つの可変ループは、H1、H2、およびH3と呼ばれる一方、VのそれらはL1、L2、およびL3である。抗体のCDR局在化するための手順は、Schlessinger, "Epitome: database of structure inferred antigenic epitopes" Nucl. Acid Res. 2006, 34:D777-7890(本明細書において参考として援用される)に示されている。
本明細書において使用する「抗体フラグメント」は、無傷な抗体が認識することが可能である同じ抗原をフラグメントが認識することが可能であるように、無傷な抗体の1つもしくはそれ以上の可変ドメインを含んでなる免疫グロブリンのフラグメントを指す。抗体フラグメントとして、Fab、F(ab’)、Fab’、Fv、およびscFv免疫グロブリンフラグメント(以後のパラグラフにおいてさらに説明する)が挙げられるが、それらは例示であって、それらに限定されるものではない。それ故、用語「抗体フラグメント」は、上記の免疫グロブリンフラグメントおよび超可変ドメインを有する他のフラグメントを包含する。用語「抗体」はまた、明確に示すか、または文脈中で示さない限り、用語「抗体フラグメント」を包含する。
抗体フラグメントを含んでなる異なる可変ドメインは、無傷な抗体の重鎖および−または軽鎖から誘導された同じもしくは異なるポリペプチド鎖であってもよい。異なるポリペプチド鎖は、ジスルフィド結合によって共有結合してもよく、または非共有結合相互作用によって、全体的に共に保持されてもよい。それ故、抗体フラグメントとして、抗体のプロテアーゼ消化から誘導され得るFabおよびF(ab’)免疫グロブリンフラグメントが挙げられる。F(ab’)を、穏やかな条件下で還元して、ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断し、それによって、F(ab)’二量体をFab’単量体に変換してもよい。Fab’単量体は、本質的に、ヒンジ領域を含有するFabである。多様な抗体フラグメントが無傷な抗体の消化によって定義される一方、当業者は、そのようなフラグメントを、化学的かまたは組換えDNA方法論を利用するかのいずれかによって、デノボで合成することができることを理解している。
また、抗体フラグメントは、可変軽(V)および可変重(V)ドメインのみを含有し、そして可変ドメインおよび定常ドメインの部分を含有するFabフラグメントとは対照的であるFvフラグメントを含む。また、抗体フラグメントとして、可変重鎖および可変軽鎖が(直接またはペプチドリンカーを介して)共に結合して、連続性ポリペプチドを形成する単一鎖Fv抗体(scFv)のような一本鎖抗体も挙げられる。単一鎖Fv抗体は、直接結合したか、またはHuston, et al. (1988) Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85: 5879-5883(本明細書において参考として援用される)に記載のペプチドコーディングリンカーによって結合したV−およびV−コーディング配列を含む核酸から発現され得る共有結合したV−Vヘテロ二量体である。VおよびVは、単一のポリペプチド鎖としてそれぞれに接続する一方、VおよびVドメインは、非共有結合で会合する。繊維状ファージの表面上に発現されるべき第1の機能的抗体分子は、単一鎖Fv’S(scFv)であったが、しかし、代替的発現ストラテジーもまた、成功している。例えば、鎖のうちの一方(重または軽)が、g3カプシドタンパク質、および可溶性分子としてぺリプラズムに輸送される相補な鎖(complementary chain)に融合される場合、Fab分子がファージ上に提示され得る。2つの鎖は、同じまたは異なるレプリコン上にコードされ得る;重要な点は、各Fab分子における2つの抗体鎖が翻訳後に集成し、そして二量体が、鎖のうちの一方の例えば、g3pへの連結を介して、ファージ粒子に組み入れられることである(例えば、米国特許第5,733,743号明細書(本明細書においてその全体が参考として援用される)を参照のこと)。scFv抗体、および天然に凝集したが、但し、化学的に分離された抗体V領域由来の軽および重ポリペプチド鎖を、抗原−結合部位の構造に実質的に類似する三次元構造に折り畳まれる分子に変換する他の多くの構造は、当業者に公知である(例えば、米国特許第5,091,513号明細書、同第5,132,405号明細書、および同第4,956,778号明細書(それらのすべては、本明細書においてそれらの全体が参考として援用される)を参照のこと)。
抗体または抗体フラグメントは、マウスもしくはラットまたはヒトのような(例示であって、それらに限定されない)動物由来であってもよく、あるいはキメラ(例えば、Morrison et al., 1984, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 81, 6851-6855を参照のこと)またはヒト化(例えば、Jones et al., 1986, Nature 321, 522-525を参照のこと)であってもよい。本発明において使用するのに適切な抗体を産生する方法も当業者に公知であり、そしてHarlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988のような刊行物における記載が認められ得る。抗体鎖をコードする遺伝子は、当業者に公知の任意のクローニング手順(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1982を参照のこと)によって、cDNAまたはゲノム形態にクローニングしてもよい。
特異的抗体は、より少量の抗体についてはマウス、ラットもしくはウサギまたはより多量の抗体についてはヤギ、ヒツジ、もしくはウマのような哺乳動物に抗原を注入することによって、産生される。これらの動物から単離される血液は、血清において、同じ抗原に結合する多数の抗体の回収物(抗血清と呼ばれる)であるポリクローナル抗体を含有する。抗原はまた、卵黄におけるポリクローナル抗体の作製のためにニワトリに注入される(例えば、Tini M,et al. (2002). "Generation and application of chicken egg-yolk antibodies". Comp. Biochem. Physiol., Part A Mol. Integr. Physiol. 131 (3): 569-74を参照のこと)。抗原の単一のエピトープに特異的である抗体を得るために、抗体分泌リンパ球は、動物から単離され、そしてそれらを癌細胞株と融合することによって不死化される。融合細胞はハイブリドーマと呼ばれ、そして継続的に増殖し、そして培養物中に抗体を分泌する。単一のハイブリドーマ細胞は、希釈クローニングによって単離して、すべてが同じ抗体を産生する細胞クローンを作製する;これらの抗体は、モノクローナル抗体と呼ばれる。抗体を調製するための手順は、「実施例」、ならびにHarlow & Lane (1988), Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Chapters 6-8, Pp139-318およびGolding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 2 ed., (1986) Academic Pressに示されている。
本明細書において使用する「有機リン酸化合物」は、4つの置換基(それらのうち1つは=Oもしくは=Sであり、1つは脱離基(Z)であり、そしてそれらのうち2つは基XおよびYである)に付着し、そして時折、XYP(O)ZまたはXYP(S)Z[式中、括弧は酸素もしくは硫黄へのπ結合を示す]として活字で記載される四面体5価のリン原子を伴う構造を有する分子である。典型的に、XおよびYは、独立して、アルコキシ、アルキルチオールエステル、アミンなどである。しばしば、XおよびYは、独立して、メトキシもしくはエトキシおよびZ=フェノキシ、置換フェノキシまたは別の良好な脱離基である。時折、XおよびYのうちの一方は、リン原子に直接付着した炭素原子を有する有機部分であり、そして他方のXおよびYは先に定義したとおりである。ポリペプチドと有機リン酸化合物またはその代謝物との相互作用において、置換基Zは、タンパク質またはポリペプチドのそれぞれヒドロキシルもしくはアミノ基から誘導される酸素に基づくもしくは窒素に基づく部分と置き換えられて、有機リン酸バイオマーカーを提供する。
有機リン酸化合物(OP−化合物)は、有機リン酸系農薬(OP−殺虫剤)、反応性有機リン酸系化合物および高度反応性有機リン酸系化合物を含む。典型的に、OP殺虫剤は、加水分解性および環境安定性を提供するP=S部分(即ち、構造XYP(S)Zを有する)、より高いLogP(昆虫の外骨格を貫通するためのより高い親油性)を含有し、セリンヒドロラーゼに対するより低い反応性(例えば、非毒性)、ならびにより優れた貯蔵性、分散および噴霧特性を有する。反応性有機リン酸系化合物は、バイオマーカーを産生するのに代謝プロセシングを効果的にする必要がない構造XYP(O)Zを有する(予め代謝活性化する必要なくタンパク質またはポリペプチドとの共有結合付加物を形成する)。P=S置換基(即ち、有機チオリン系(organothiophoshoryl))を含有するOP−農薬は、反応性オルガノホルポリル(organophorporyl)化合物(一般に、農薬のオキソン(P=O)体と称される)への有機リン酸系農薬の代謝活性化後、ポリペプチドとより容易に反応する。昆虫では、ヒトと同様にP=S型は、酸化されてP=Oになるが、この代謝変換は、昆虫の方が有意に速い。アセチルコリンエステラーゼ(AChE)および他のセリンヒドロラーゼの自殺型阻害剤として農薬の活性を主に担うのが、オキソン体である。式XYP(S)Zで表される殺虫剤では、しばしば、XおよびYは、独立して、MeOまたはEtOである。それ故、オルガノチオポスホリル(organothioposhoryl)殺虫剤が代謝的に活性化される場合、そのようにして産生されるオキソン体は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)のようなセリンヒドロラーゼと相互作用し、共有結合付加物またはバイオマーカーを生じ、それによって、(MeO)(MeO)P=Oまたは(EtO)(EtO)P=O部分が、典型的に、ヒドロラーゼの活性化部位の触媒セリンに置かれる。それ故、他で明確に示すか、または文脈中で述べない限り、有機リン酸化合物という用語は、有機チオリン系化合物およびそれらの代謝物を含む。他のバイオマーカーはまた、有機チオリン酸系(organothiophsophoryl)化合物のオキソン体と他のタンパク質またはポリペプチドとの相互作用によって産生させてもよい。
有機リン酸系農薬は多様なクラスおよびサブクラスに分類され、有機リン酸農薬、有機チオリン酸農薬、脂肪族チオリン酸農薬、脂肪族アミンチオリン酸農薬、オキシムチオリン酸農薬、複素環チオリン酸農薬(ベンゾチオピラン、ベンゾトリアジン、イソインドール、イソオキサゾール、ピラゾロピリミジン、ピリミジン、キノキサリン、チアジアゾール、およびトリアゾールを含む)、チオリン酸農薬、フェニルチオリン酸農薬、ホスホン酸農薬、ホスホロチオレート農薬、例えば、フェニルエチルホスホロチオレートおよびフェニルフェニルホスホロチオレート農薬、ホスホルアミデート農薬、ホスホロアミドチオレート農薬ならびにホスホルジアミド農薬を含む。有機リン酸系農薬の具体例(例示であって、それらに限定されない)を表1に示す。
本明細書において使用する「反応性有機リン酸系」化合物は、構造XYP(O)Z[式中、X、YおよびZは、有機リン酸について先に定義したとおりである]を有し、そしてバイオマーカーを産生するのに(即ち、タンパク質もしくはポリペプチドとの共有結合付加物を形成するために)代謝活性化またはさらなる代謝プロセシングを有効にする必要がない有機リン酸化合物のクラスである。それ故、反応性有機リン酸系化合物は、有機チオリン系化合物または農薬のオキソン体もしくは代謝物を包含する。反応性有機リン酸系化合物の例(例示であって、それらに限定されない)は、適切であれば、=Oが=Sと置き換わることを除いて、表1において命名された有機リン系化合物で表される構造を有する。
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本明細書において使用する「反応性カルバメート化合物」は、アミノ基のようなポリペプチドに基づく求核剤と反応することが可能であるカルバメート部分を含有する化合物であり、そして予め代謝活性化する必要のないリジン残基のε−アミノ基、アルギニン残基のグアニジン基またはポリペプチドのN末端アミノ酸残基のアミノ基を含む。農薬として使用される反応性カルバメート化合物の非限定的例を表3に示す。反応性カルバメート化合物または農薬は、バイオマーカー(即ち、共有結合付加物)を提供し、その構造は、共有結合付加物を提供するために反応するポリペプチド求核剤(NHまたはOH)、および共有結合付加物の形成に参加(即ち、消失する)反応性カルバメート化合物上の脱離基に依存する。典型的に、反応性カルバメート化合物とポリペプチドに基づく求核剤との相互作用由来の共有結合付加物は、カルバメートバイオマーカーについて、本明細書においてさらに記載するようなウレタンまたは尿素部分を含有する。関与する反応性カルバメート化合物およびポリペプチドに基づく求核剤の構造に基づいて、形成されるべき共有結合付加物(即ち、ウレタンまたは尿素)のタイプを合理的な保証を伴って推定することは、当業者の能力の範囲内である。
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本明細書において使用する「バイオマーカー」は、哺乳動物における病態の推定または診断指標であるか、あるいは病態の持続または進行に必要であるか、あるいは化学的もしくは生物学的傷害または哺乳動物への暴露から生じる分子を意味する。バイオマーカーは、哺乳動物において天然に存在する分子であってもよいが、但し、バイオマーカーが通常存在しないか、または良好な生活状態の維持に関連しない期間の間にある濃度で存在する生物学的コンパートメントで存在し、あるいは病態に関連するか、もしくは病態の推定指標である。バイオマーカーは、細菌、真菌、ウイルスもしくはプリオンのような異物由来であるか、またはそれらから産生され得る。バイオマーカーは、化学的傷害または環境毒素から生じ得、そして例示であって、限定されないが、天然においてある量で、および哺乳動物の健康に有害であることが推定される期間内に、合成化学物質、環境毒素または化合物への哺乳動物の暴露由来であり得る。暴露は、病態またはその症状の中等度もしくは迅速な発症では急性であってもよく、あるいは慢性であってもよく、そして病態のもしくは病態へのより緩徐な進行、または病態に関連する症状のより緩徐な発現に関連する。
一実施形態では、バイオマーカーは、本明細書他の箇所で定義したセリンヒドロラーゼの自殺型阻害から誘導され、そして類似した名称が付されており、例えば、ブチリルコリンエステラーゼバイオマーカー、アセチルコリンエステラーゼバイオマーカーおよびコリンエステラーゼバイオマーカーを含む。酵素の自殺阻害由来のオルガノホスフェート(Organohosphate)バイオマーカーは、代替的に、アセチルコリンエステラーゼ−OPコンジュゲート(OP−AChEコンジュゲート)のような阻害された特異的酵素のOP−コンジュゲートとも呼ばれる。また、ヒドロラーゼ酵素またはEC3.1.1(カルボキシルエステルヒドロラーゼ)、EC3.1.2(チオエステルヒドロリアーゼ)、EC3.1.3(リン酸モノエステルヒドロラーゼ)、EC3.1.4(リン酸ジエステルヒドロラーゼ)、EC3.1.5(三リン酸モノエステルヒドロラーゼ)、EC3.1.6(硫酸エステルヒドロラーゼ)、EC3.1.7(二リン酸モノエステルヒドロラーゼ)EC3.1.8(リン酸トリエステルヒドロラーゼ)、ならびにEC3.1.11、EC3.1.13、EC3.1.14およびEC3.1.15下のエキソヌクレアーゼによる酵素クラス定義内の酵素の自殺阻害から誘導されるバイオマーカーも考慮される。
バイオマーカーは、合成化学物質もしくは環境毒素への暴露によって修飾される細胞受容体または酵素を含んでなるか、あるいはそれよりなるポリペプチドを含むが、それに限定されないポリペプチドであってもよく、ここで、合成化学物質は、有機リン酸化合物または反応性カルバメート化合物である。別の実施形態では、バイオマーカーは、合成化学物質への暴露によって修飾される酵素またはそのフラグメントであって、ここで、合成化学物質は酵素の自殺型阻害剤である。一実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドの有機リン酸化合物への暴露から生じ、ここで、有機リン酸化合物は、反応性有機リン酸系化合物、有機リン系殺虫剤、農薬、またはそれらの代謝物である。別の実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドの反応性カルバメート化合物またはその代謝物への暴露から生じる。一実施形態ではでは、バイオマーカーは、ポリペプチドまたはタンパク質のインビトロもしくはインビボ(即ち、哺乳動物におけるポリペプチドまたはタンパク質)での有機リン酸化合物またはその代謝物への暴露から生じる。そのようにして産生されるバイオマーカーはポリペプチドからなり、ここで、ポリペプチドは、タンパク質、および有機リン酸化合物から誘導されるリン含有部分からなるか、またはそれらよりなり、ここで、リン含有残基はポリペプチドに共有結合する。
有機リン酸バイオマーカーは、ポリペプチドおよびリン含有部分を含んでなり、ここで、リン含有部分は、有機リン酸化合物から誘導され、そしてポリペプチドに共有結合する。有機リン酸バイオマーカーの定義は、それが産生される様式に依存しない。時折、有機リン酸化合物は、哺乳動物のポリペプチドまたはタンパク質と相互作用して、バイオマーカーを産生する。時折、バイオマーカーは、天然に見出されるタンパク質からなるか、もしくはそれよりなるポリペプチド、または天然から単離されるかもしくは誘導されるポリペプチドと相互作用した有機リン酸化合物から産生される。時折、バイオマーカーは、ポリペプチドと相互作用した有機リン酸化合物から産生され、ここで、ポリペプチドは、天然に見出されるポリペプチドのフラグメント、またはその合成アナログである。
典型的に、有機リン酸化合物とポリペプチドとの相互作用から生じるバイオマーカーは、XYP(W)−O−の構造を有し、ここで、式中、Wは=Oまたは=Sであり、そしてリン原子に結合した置換基であるX、Yは、有機リン酸化合物について本明細書の他の箇所で定義したとおりである。時折、有機リン酸バイオマーカーは、(RO)(RO)P(O)−O−ポリペプチドまたは(O)(OR)P(O)−O−ポリペプチド(即ち、リン酸エステル)の構造を有し、ここで、Rは、独立して選択される有機部分であり、そして−O−ポリペプチドは、有機リン酸化合物またはその代謝物によって修飾されているポリペプチドを表し、ここで、−O−は、ポリペプチドのアミノ酸残基のヒドロキシル基から誘導される。時折、(RO)(OR)P(O)−O−ポリペプチドの構造を有するバイオマーカーが、最初に形成されて、一次有機リン酸バイオマーカーを提供し、次いで、ここで、構造(O)(R)P(O)−O−ポリペプチドを有する別の共有結合付加物への変換を経験して、二次有機リン酸バイオマーカーを提供する。
時折、有機リン酸バイオマーカーは、(RO)(R)P(O)−O−ポリペプチドまたは(O)(OR)P(O)−O−ポリペプチドの構造を有し、ここで、有機部分(R)は、炭素を介してリン原子(即ち、ホスホネート)に結合する。しばしば、有機リン酸化合物またはその代謝物によって修飾されるヒドロキシル基はセリン残基に属する;しかし、スレオニンまたはチロシン残基のような他のヒドロキシルを担持するアミノ酸残基のヒドロキシル基の修飾もまた、ポリペプチドに基づくバイオマーカーを提供し得る。一実施形態では、上記の構造における各Rは、独立して選択されるC1−6アルキルである。時折、(RO)(R)P(O)−O−ポリペプチドの構造を有するバイオマーカーが、最初に形成され(即ち、一次有機リン酸バイオマーカー)、次いで、構造(O)(R)P(O)−O−ポリペプチドを有するバイオマーカー(即ち、二次バイオマーカー)への変換を経験する。
時折、有機リン酸化合物への暴露から生じるバイオマーカーは、式(RO)(RO)P(O)−NH−ポリペプチドまたは(O)(RO)P(O)−NH−ポリペプチド(即ち、ホスホルアミデート)の構造を有し、ここで、Rは、独立して選択される有機部分であり、そして−NH−ポリペプチドは、有機リン酸化合物またはその代謝物によって修飾されているポリペプチドを表し、ここで、−NH−は、ポリペプチドのアミノ酸残基の側鎖のアミノ基またはポリペプチドのN末端アミノ酸残基から誘導される。時折、有機リン酸化合物またはその代謝物によって修飾されるアミノ酸側鎖のアミノ基は、リジンまたはアルギニン残基に属する。時折、(RO)(RO)P(O)−NH−ポリペプチドの構造を有するバイオマーカーが、最初に形成されて、一次有機リン酸バイオマーカーを提供し、次いで、構造(O)(R)P(O)−O−ポリペプチドを有する別の共有結合付加物への変換を経験して、二次バイオマーカーを提供する。
一実施形態では、有機リン酸化合物によって改変されるタンパク質は、セリンヒドロラーゼ、またはカルボキシルエステラーゼ、ブチリルエステラーゼもしくはアセチルコリンエステラーゼを含むが、それらに限定されないコリンエステラーゼである。一実施形態では、コリンエステラーゼの有機リン酸またはその代謝物への暴露から生じるバイオマーカーは、(RO)(RO)P(O)−O−ポリペプチド、(O)(RO)P(O)−O−ポリペプチド、(RO)(R)P(O)−O−ポリペプチドまたは(O)(R)P(O)−O−ポリペプチドの式を有し、ここで、Rは、独立して選択される有機部分であり、そして−O−ポリペプチドは、コリンエステラーゼを含んでなるか、またはそれよりなるポリペプチドを表し、ここで、リン−酸素結合が有機リン酸化合物またはその代謝物から誘導されるリン含有残基とポリペプチドのアミノ酸残基のヒドロキシル基との間にあり、ここで、アミノ酸残基は、コリンエステラーゼの活性部位セリンに対応する。有機リン酸化合物によって修飾されるポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドが、活性部位セリン残基を含有するアセチルコリンエステラーゼ内に見出されるポリペプチドのアミノ酸配列から誘導されるか、またはそれに類似する上記ペプチドを、OP−AChEコンジュゲートと称する。
別の実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドのヒドロキシルまたはアミノ基による反応性カルバメート化合物の修飾から生じる。反応性カルバメートがポリペプチドヒドロキシル基と反応する場合、ウレタン構造を伴うバイオマーカーが形成されるが、一方、ポリペプチドアミノ基の修飾は、尿素構造を伴うバイオマーカーを提供する。カルバメートとポリペプチドとの反応から得られるバイオマーカーを、カルバメートバイオマーカーと称する。カルバメートバイオマーカーの構造は、式RN(R)−C(O)−O−ポリペプチドまたはRN(R)−C(O)−NH−ポリペプチドによって表され、ここで、Rは、独立して選択される有機部分であり、そして−O−ポリペプチドおよび−NH−ポリペプチドは、有機リン酸化合物によって修飾されるポリペプチドについて記載のとおりである。
有機リン酸バイオマーカーまたはカルバメートバイオマーカーは、有機リン酸化合物もしくはその代謝物または反応性カルバメートとポリペプチドとの反応によって最初に形成される共有結合付加物であってもよく、あるいは共有結合付加物のさらなる反応またはプロセシングから生じてもよい。例えば、有機リン酸化合物から最初に形成される共有結合付加物は、(P−O−ポリペプチド結合以外の)P−O結合置換基を切断して、光センサによって検出されるバイオマーカーを生じる自発的加水分解を経験してもよい。いくつかの実施形態では、最初に形成される付加物は、タンパク質分解によって処理されて、有機リン酸または反応性カルバメート誘導性部分を保持し、そして光センサによって検出されるバイオマーカーであるポリペプチドのフラグメントを提供する。
本明細書において使用する「バイオマーカー受容体」は、本明細書の他の箇所に記載した手段によってバイオポリマー材料に固定化され、そしてそのように固定化した後、バイオマーカーに結合して、バイオマーカーの光センサを提供することが可能である本明細書の他の箇所で定義したような受容体を意味する。バイオマーカー受容体は、限定されないが、細胞受容体および抗体を含んでなるか、またはそれらよりなるポリペプチドを含み、そして本明細書の他の箇所においてさらに記載されている。
本明細書において使用する「固定化」は、材料の運動を制限する様式で、材料の他の実体へ(例えば、バイオポリマー材料の固相支持体へ)の共有結合もしくは非共有結合のいずれかによる付着または捕捉を指す。
分子を説明する際に本明細書において使用する「親水性」は、水素結合、ファンデルワールス力、イオン相互作用を含むがそれらに限定されない非共有結合相互作用による実質的に水に吸着する分子を指す。
分子を説明する際に本明細書において使用する「疎水性」は、水の排除を生じる他の疎水性分子または実体と会合する分子を指す。
本明細書において使用する「非共有結合」は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、イオン相互作用またはそれらの組合せを含む排他的に空間的相互作用を介する1つの分子の別の分子への付着を指す。
本明細書において使用する「共有結合」は、1つもしくはそれ以上の共有結合を介する2つの分子の付着を指す。
本明細書において使用する「遊離不能に」または「遊離不能な」は、タンパク質分解または加水分解に耐性であるリンカーによる間接的共有または非共有結合(即ち、バイオマーカー受容体のような分子とバイオポリマー材料のような実体との付着)を説明する。典型的に、遊離しないリンカーは、例えば、アミド、カルバメート、ヒンダードエステル、尿素、ジスルフィド、ヒドラゾンまたは他の任意の加水分解に耐性な官能基を介して本明細書の他の箇所において定義したリンカー基にバイオマーカー受容体を接続する官能基を有する。
「固定化手段」は、バイオマーカー受容体のような分子のバイオポリマー材料のような実体への固定化の基礎になる構造を指す。細胞バイオマーカー受容体もしくは抗体バイオマーカー受容体のような生物学に基づくかまたは誘導されたバイオマーカー受容体の付着(即ち、固定化)のために、細胞受容体、細胞受容体フラグメント、細胞受容体のリガンド、リガンドフラグメント、または抗体もしくはそのフラグメントを含んでなる1つもしくはそれ以上のポリペプチドが、直接的または間接的共有結合、または非共有結合によって、バイオポリマー材料に付着される。バイオマーカーのような分子のバイオポリマー材料のような実体への直接的または間接的共有結合に関する「リンカー」については、リンカーの定義において説明する。
「直接的共有結合による固定化手段」は、リンカーの使用を伴わずに別のバイオポリマー材料のような実体に直接的共有結合させることによるバイオマーカー受容体のような分子の付着(即ち、固定化)の基礎になる構造を指し、そして例えば、官能基(バイオマーカー受容体もしくはバイオポリマー材料上に先に存在するものと同じタイプであってもよく、またはバイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に共有結合させる別のタイプの官能基であってもよい)を生じる様式で組み合わされるバイオマーカー受容体に存在するかまたは組み入れられた第1の官能基、およびバイオポリマー材料に存在するかまたは組み入れられた第2の官能基を使用し、そしてリンカー前駆体を使用しない。例えば、バイオポリマー材料は、直接的共有結合によって、バイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に固定化する新たなヒドラゾン基を交換プロセスによって形成するアルデヒド基を有するバイオマーカー受容体と組み合わされたヒドラゾン基を有してもよい。
本明細書において使用する「直接的共有結合によるバイオマーカー受容体固定化手段」は、介在性リンカーの使用を伴わずに共有結合することによって、バイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に付着するための基底構造を指す。いくつかの実施形態では、バイオマーカー受容体は、ポリペプチドをからなるか、またはそれよりなり、そしてポリペプチドは、ポリペプチドにおける1つもしくはそれ以上のスルフヒドリル基を介して固定化される。1つもしくはそれ以上のスルフヒドリル基は、ポリペプチドの生来のシステイン残基(即ち、−S−S−結合)を還元するか、または2−イミノチオランのような化学薬剤によりスルフヒドリル基を化学的に導入することによって、ポリペプチドに導入される。次いで、バイオポリマー材料上に存在するアミノ基に選択的なヘテロ二官能性試薬、およびポリペプチドに導入される遊離のスルフヒドリル基を使用して、ポリペプチドのバイオポリマー材料へのコンジュゲーション(即ち、共有結合)が達成される(例えば、Aslam, M. and Dent, A.(1998)を参照のこと)。スルフヒドリル基およびアミノ基に選択的なヘテロ二官能性試薬の例には、例えば、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサナ−1−カルボキシレート(SMCC)がある。一実施形態では、試薬N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)を使用して、ジチオスレイトール(DTT)を使用するポリペプチド−SPDP付加物におけるチオピリジル基の切断によって、チオール基をポリペプチドに導入する。次いで、第2の反応にSPDPを使用して、別のチオピリジル基の遊離により、バイオポリマー材料のチオール基とポリペプチド−SPDP付加物との間に混合ジスルフィドを形成させることによって、官能化ポリペプチドをバイオポリマー材料のチオール官能基に連結する(例えば、Wong, Chemistry of protein conjugation and cross-linking, CRC Press (1993)(本明細書において参考として援用される)を参照のこと)。別の実施形態では、バイオポリマー材料上のカルボン酸基を使用して、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)により活性化エステルを形成させて、バイオポリマー材料に導入された活性化エステルでアミノ基を処置することによって、そのアミノ基のうちの1つ(例えば、リジンのεアミノ基または末端アミノ基)を介してポリペプチドをコンジュゲートする。あるいは、バイオポリマー材料のアミノ部分は、ポリペプチド中の活性化エステル(例えば、エステルは、C末端カルボキシル基および/またはアスパラギン酸またはグルタミン酸アミノ酸側鎖のカルボキシル基から形成される)と反応する。所定の実施形態では、NaIOのような酸化剤を使用して、ヒドロキシリジンのヒドロキシル基またはN末端セリンもしくはスレオニンのヒドロキシル基をアルデヒドに変換し、そしてヒドラゾン結合が形成されるように、バイオポリマー材料に導入されたヒドラジドの官能性と反応させる(例えば、Geoghean, K.F.; Stroh, J.G. Bioconjugate Chem., 3: 138 (1992)を参照のこと)。あるいは、バイオポリマー材料上のアルデヒド基を、ポリペプチドのアミノ基と縮合させて、イミノ基を形成し、次いで、ヒドリド還元剤によって還元して、還元的アミノ化として公知のプロセスを介して、加水分解的により安定なC−N結合を提供してもよい。
本明細書において使用する「共有結合による間接的固定化手段」は、バイオマーカー受容体のような分子を、バイオポリマー材料に付着する(即ち、固定化する)リンカーを含む基底構造を指し、ここで、リンカーは、第1のリンカー官能基と称する第1の官能基を介してバイオマーカー受容体に共有結合し、そして第2のリンカー官能基と称する第2の官能基を介してバイオポリマー材料に共有結合し、ここで、前記第1および第2の官能基の間に連結器が存在する。介在性リンカーは、リンカー前駆体の使用を介して基底構造に組み入れられ、ここで、リンカー前駆体は、リンカー内に第1および第2の官能基を形成するためのリンカー前駆体官能基と称される適切な官能基を有する。「リンカー」およびリンカー「前駆体」の定義は、リンカーの定義においてさらに記載されている。
「非共有結合による固定化手段」は、非共有結合相互作用を介して、バイオマーカー受容体のような分子をバイオポリマー材料のような実体に付着する(即ち、固定化する)ための基底構造を指す(即ち、基底構造における非共有結合が固定化を担う)。例えば、ビオチン化ポルペプチド(polpeptide)を、化学修飾(例えば、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミドを使用する)および/またはビオチン化キット(Pierce Chemicals, Rockford, IL)を使用する)、あるいは組み換え手順(例えば、pcDNATM6 BioEaseTM Gateway(登録商標)Biotinylation System, Invitrogen, Inc.)によって調製し、そしてストレプトアビジン誘導化バイオポリマー材料に連結することができる。
本明細書において使用する「リガンド」は、K範囲20×E−06M〜1×E−15M、10×10E−06M〜1×10E−12M、1×10E−06〜1×10E−10もしくは0.1×10E−06〜1×10E−9のKで受容体に結合することによって、細胞受容体と相互作用する分子であり、ここで、リガンドは、細胞受容体−リガンド相互作用を示すリガンドの結合時に生化学的または物理化学的シグナルを伝達するように、細胞受容体を誘導する。
リガンドは、時折、本明細書に記載の細胞受容体のいずれかに結合する生来のリガンド(細胞リガンド)に実質的に同一であるか、またはそのフラグメントであるアミノ酸配列を含んでなるか、またはそれよりなり、ここで、リガンドフラグメントは、細胞受容体によって認識される無傷な細胞リガンドにおいて見出される結合性エピトープを含んでなる。一実施形態では、細胞リガンドは、バイオマーカーの検出のためのバイオポリマー材料に固定化され、それ故、細胞リガンドは、バイオマーカー受容体になる。別の実施形態では、リガンドの存在、または正常な生理学由来のリガンドの増加したもしくは減少した量は、哺乳動物の病態または哺乳動物に対する化学的もしくは生物学的傷害を示し、それ故、リガンドは、病態または傷害のバイオマーカーになる。リンカーの定義は、他で明確に指定するか、または文脈中で述べない限り、リンカーフラグメントを包含する。
本明細書において使用する「リンカー」は、存在する場合、光センサにおけるバイオマーカー受容体とバイオポリマー材料との間の介在原子を指す。本明細書における用語「リンカー」はまた、バイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に遊離不能に接続する任意の部分(即ち、リンカー部分)を指す。
連結部分は、バイオマーカー受容体を直接(即ち、官能基とバイオポリマー材料との間の介在原子の関与を伴わずに)バイオポリマー材料に共有結合して、式BMR−BIOM[式中、BMRはバイオマーカー受容体であり、そしてBIOMはバイオポリマー材料である]によって表される構造を提供する官能基であり得る。それ故、BMR−BIOMは、直接的バイオマーカー受容体固定化付着手段の基礎になる構造を表す。一実施形態では、バイオマーカー受容体の直接的共有結合は、カルバメート、アミド、尿素またはジスルフィド官能基による。官能基を定義する原子のいくつかまたはすべては、バイオマーカー受容体またはバイオポリマー材料によって寄与され得る。典型的に、バイオマーカー受容体およびバイオポリマー材料の両方とも、官能基を定義する原子に寄与する(例えば、アミド連結部分は、バイオポリマー材料由来のカルボン酸およびバイオマーカー受容体由来のアミノ基を使用して形成されるか、またはジスルフィドは、バイオマーカー受容体上のスルフヒドリル基とバイオポリマー材料との間で形成される)。
連結部分はまた、光センサにおけるバイオマーカー受容体とバイオポリマー材料との間に一連の挿入された共有結合原子、およびそれらの置換基(即ち、挿入された原子)を含有してもよく、そして総合的に連結基またはスペーサーと称される。それ故、そのような連結部分は、第1の共有結合、または連結基の第1の末端にバイオマーカー受容体を接続する第1のリンカー官能基と称される化学的官能基、および第2の共有結合、またはバイオポリマー材料に連結基の第2の末端を接続する第2のリンカー官能基と称される化学的官能基、ならびに挿入された原子によって特徴付けられる。したがって、連結部分は、連結基、第1のリンカー官能基および第2のリンカー官能性基によって定義される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーをリンカー基の第1の末端に接続する第1のリンカー官能基、およびバイオポリマーをリンカー基の第2の末端に接続する第2の官能基は、独立してカルバメート、アミド、ジスルフィドまたはスクシンイミジル基(バイオマーカー受容体もしくはバイオポリマーにおけるチオールのリンカー前駆体におけるマレイミド基への共役付加由来)である。本明細書において使用する光センサにおけるリンカー部分は、バイオマーカー受容体とバイオポリマー材料との間に挿入された原子を含有し、そしてこれらの挿入された原子の同定は、それらの供給源および反応順序またはバイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に接続する順序に非依存的である。バイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に固定化するリンカー基を含有するリンカーの使用は、バイオマーカー受容体とバイオポリマー材料との間の間接的付着を提供する。
「リンカー前駆体部分」と交換可能に使用される「リンカー前駆体」は、間接的共有結合によるバイオマーカー受容体のバイオポリマー材料への固定化に使用される化合物であり、ここで、リンカーは、共有結合によってバイオマーカー受容体とバイオポリマー材料とを組合せるようになり、式BMR−L−BIOM[式中、BMRはバイオマーカー受容体であり、Lはリンカーであり、そしてBIOMはバイオポリマー材料である]を有する構造を提供する。それ故、BMR−L−BIOMは、付着の間接的受容体固定化手段の基礎になる構造である。
時折、光センサは、リンカー基を含有するリンカーを組み入れて、バイオマーカー受容体とバイオポリマー材料との間の立体相互作用(バイオマーカー受容体のコンホメーションを不都合に混乱するか、またはバイオマーカーのバイオマーカー受容体の結合ポケットへの接近を阻害する)を軽減することによって、バイオマーカー受容体とバイオマーカーとの間の結合を改善する。
一実施形態では、BMR−L−BIOMを有する構造が、構造FG1−L’−BIOMを有する中間体または構造BMR−L’−FG2を有する中間体を使用して形成され、ここで、L’はリンカー基を表し、FG1は第1のリンカー前駆体官能基を表し、そしてFG2は第2のリンカー前駆体官能基を表す。この実施形態では、リンカー前駆体は、リンカーにおいてリンカー基(またはスペーサー)になる挿入された共有結合型原子によって隔てられたリンカー前駆体官能基(FG1およびFG2)と称される2つの官能基を有する化合物であって、ここで、リンカー前駆体官能基の少なくとも1つは、バイオマーカー受容体上に存在するバイオマーカー受容体官能基と反応することが可能であり、そしてリンカー前駆体官能基の少なくとも1つは、バイオポリマー材料官能基と反応することが可能である。リンカー前駆体官能基とバイオマーカー受容体およびバイオポリマー材料官能基との組合せによって形成されるリンカーを含んでなる第1のリンカー官能基および第2のリンカー官能基は、同じであってもまたは異なっていてもよく、そして介在性リンカーを形成した組合せの前に、リンカー前駆体官能基および−またはバイオマーカー受容体もしくはバイオポリマー材料に存在した1つもしくはそれ以上の原子を組み入れてもよい。直ぐ上に記載の実施形態では、単一のリンカー前駆体基は、式BMR−L−BIOMを有する構造においてリンカー(L)を生じる。
時折、リンカー前駆体は、2つの個別の分子に存在し、次いで、これらが共に合って、式BMR−L−BIOMを有する構造を形成し、ここで、リンカーLは、バイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に共有結合する。それ故、中間体FG1−L’−BIOMおよびBMR−L’’−FG2が調製され、ここで、L’およびL’’はリンカー(L)を含んでなり、そして共に反応して、式BMR−L−BIOMを有する構造を提供するが、その例を以下のスキームに提供する。
Figure 2011503517
バイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に直接接続するか、またはバイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に間接的に結合するリンカー部分に含有される官能基として、エステル、アミド、イミン(その後還元される)、カルバメート、尿素、ジスルフィド、スクシンイミジル、カルボネート、スルホンアミド、ヒドラゾン、エーテル、ホスホエステル、ホスホネート、チオホスホネートまたはホスホルアミデートが挙げられる。バイオポリマー材料へのバイオマーカー受容体の(介在性リンカーによる直接的または間接的のいずれかでの)結合に組み入れるべき適切な官能基の選択は、バイオマーカー受容体およびバイオポリマー材料への適切な官能基前駆体の組み入れの容易さ、ならびに意図される用途に対する光センサに必要とされる熱または加水分解安定性に依存する。例えば、DNAまたはRNAのバイオポリマー材料への共有結合は、典型的に、ホスホエステルまたはホスホルアミデートを用い、そしてカルボニルに基づく官能基(ここで、加水分解に対する耐性が要求される)では、例えば、エステルもしくはカルボネートよりアミド、カルバメートまたは尿素による共有結合が選択される。
一実施形態では、光センサは、バイオマーカー受容体、バイオポリマー材料およびリンカーを含んでなり、ここで、リンカーは、遊離不能にバイオマーカー受容体をバイオポリマー材料に接続し、そして式、ここで、BMR−L−BIOM[式中、BMRはバイオマーカー受容体であり、Lはリンカーであり、そしてBIOMはバイオポリマー材料である]を有する構造によって定義される。一実施形態では、BMR−L−BIOMが、FG1−L’−BIOMまたはBMR−L’−FG2中間体の調製物を介して構築され、ここで、FG1は、第1のリンカー前駆体官能基を表し、そしてFG2は、第2のリンカー官能基を表す。上記の構造におけるFG1とFG2との間の反応により、バイオマーカー受容体を間接的にバイオポリマー材料に固定化するリンカーLが作製される。
時折、リンカー前駆体は、2つの個別の分子に存在し、次いで、これらが共に合って、式BMR−L’−L’’−BIOMまたはBRM−L−BIOMを有する構造を形成し、ここで、リンカー(ここでL’およびL’’)は、非共有結合で会合して、バイオマーカー受容体(BMR)をバイオポリマー材料(BIOM)に非共有結合させるリンカーLを形成する。それ故、中間体L’−BIOMおよびBMR−L’’は共に合い、そこで、L’およびL’’は、非共有結合的に相互作用することが可能な官能基を含有する。従って、本実施形態におけるBMR−L−BIOMは、非共有結合による間接的なバイオマーカー受容体固定化付着手段の基底構造を表す。
バイオマーカー受容体のバイオポリマー材料への非共有結合について直ぐ上に記載の多様な官能基の組合せの官能基は、リンカー内の非共有結合を有するBMR−L−BIOMにおけるリンカーが、遊離不能なリンカーを付与する多くの非共有結合相互作用を有するか、またはバイオポリマー材料が、BMRが直接的および遊離不能にバイオポリマー材料に付着される(即ち、固定化される)ように式BMR−BIOMを有する構造を提供するためのバイオポリマー材料に固定化されるように、選択される。典型的に、式BMR−BIOMの構造を提供するための直接的な、または式BMR−L−BIOMの構造を提供するための間接的なバイオマーカー受容体のバイオポリマー材料への非共有結合に関与する官能基は、それぞれ水素結合ドナーおよび−またはアクセプターとして特徴付けられる多数の基を有する。
例示であって、これに限定するものではないが、間接的非共有結合は、式BMR−L’’−FG2を有する分子と、式FG1−L’−BIOMを有する構造との組合せに関与して、光センサを含んでなる式BMR−L−BIOMを有する構造を形成し得、ここで、Lは、L’、L’’ならびにFG1およびFG2からなる。一実施形態では、FG2は、光センサのバイオマーカー受容体とは個別の細胞受容体であり、そしてFG1は、光センサが検出することを意図したバイオマーカーに別個の細胞受容体のリガンドである。別の実施形態では、FG1は、光センサのバイオマーカー受容体とは個別の細胞受容体であり、そしてFG2は、光センサが検出することを意図したバイオマーカーに別個の細胞受容体のリガンドである。別の実施形態では、バイオマーカー受容体は、アビジンおよびビオチンの相互作用を使用して、バイオポリマー材料に固定化される。
間接的な共有結合によるポリペプチドのバイオポリマーフィルムへの固定化のために、典型的に使用されるリンカー前駆体は、ヘテロ二官能性架橋剤である。ヘテロ二官能性架橋剤は、バイオマーカー受容体官能基に対して異なる選択性を有する異なる官能基、および光センサを形成するために組み合わせるべきバイオポリマー材料官能基を有するリンカー前駆体として定義される。ヘテロ二官能性架橋剤の例を、直ぐ下に示す表4に示すが、それらは例示であって、それらに限定するものではない。
Figure 2011503517
Figure 2011503517
ヘテロ二官能性架橋剤は、式BMR−L−BIOMを有する構造を含んでなる光センサの調製のための段階的手順の利点を提供し、ここで、BMRはバイオマーカー受容体であり、Lはリンカーであり、そしてBIOMは、FG1−L−BIOMまたはBMR−L−FG2の形成を介するバイオポリマー材料であり、ここで、FG1は、第1のリンカー前駆体官能基を表し、そしてFG2は、第2のリンカー官能基を表す。そのような段階的手順は、同一の第1および第2のリンカー前駆体官能基を有するホモ二官能性架橋試薬の使用とは対照的に、光センサの組成物より大きな制御を提供する。
抗体または抗体フラグメントは、ポリペプチドについて記載の固定化付着手段によって、および「実施例」のセクションでは、バイオマーカー受容体官能基として抗体または抗体フラグメントを含んでなるアミノ酸残基の官能基を使用して、バイオポリマー材料に固定化される。時折、アミノ酸官能基は、方法1に記載のような抗体におけるジスルフィド架橋の還元によって暴露されているスルフヒドリルである。一実施形態では、リジンアミノ酸残基のε−アミノ基のようなアミノ酸官能基が修飾されて、スルフヒドリル基を誘導し、それ故、チオレート化された抗体を生じ、その例を方法2および3に示す。すべての方法は、例示目的のためにIgG抗体を使用し、そして本明細書に記載の本発明を限定することを意味するものではない。
方法1は、以下の工程を使用して行われる。(1)蒸留水中1M DTT(15.4mg/100μL)の新鮮溶液を調製する。(2)IgG溶液を、約4mg/mlもしくはそれ以上に濃縮する。MES、リン酸またはTRIS緩衝液(pH範囲6〜8)において、還元を典型的に行う。(3)1mlのIgG溶液あたり20μLのDTTストックを混合しながら添加することによって、DTT中20mMのIgG溶液を作製し、そして(システインのシスチンへの還元を最小限にするために)さらなる混合を伴わずに30分間、室温で静置(fet stand)する。(4)還元したIgGを、「交換緩衝液」で予め平衡化したろ過カラム上に通過させる。カラムから0.25mLの画分を回収する。(5)タンパク質濃度を決定し、そしてIgGの大部分を伴う画分をプールする。これは、分光光度的または比色的のいずれかで行うことができる。バイオポリマー材料、FG2−L−BIOMへのコンジュゲーションであって、ここで、FG2は、スルフヒドリルまたはマレイミド基を有する架橋剤に結合することが可能である。
方法2は、以下の工程を使用して行われる。(1)抗体を5〜7mg/mLに濃縮する、(2)10mgのN−スクシンイミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)を1mLのDMF(SATA:DMF)に溶解する(3)1mgの抗体あたり3.0μLのSATA:DMFを添加し、そして溶液を2時間、室温で穏やかに撹拌する、(4)10mLのPBS:EDTAに0.5gのヒドロキシルアミン塩酸塩を溶解し、そして0.25gのNaOHペレットをこの溶液に添加して、約pH7.0に中和する、(5)ヒドロキシルアミン溶液を6.49μL/μL SATAで抗体溶液に添加し、そして室温で30分間、穏やかに撹拌する、(6)脱塩カラムをPBS:EDTAで平衡化し、そして何らSATAを回収することなく、可能な最も少ない容積でチオレート化された抗体を回収する、(7)チオレート化された抗体を、2〜8℃で、FG2−L−BIOMへのコンジュゲーションの前に1時間以下貯蔵し、ここで、FG2は、スルフヒドリルまたはマレイミド基を有する架橋剤に結合することが可能である。
チオレート化された抗体は、2−イミノソラン(2-iminotholane)HCl(トラウト試薬)を使用して、以下の工程に従う方法3を使用して、代替的に調製する。(1)475μLのPBS−ETDA緩衝液、pH8.0(カップリング緩衝液)に4mgの抗体を溶解する、(2)2mgのトラウト試薬を1mLカップリング緩衝液に溶解して、14.5mMストック溶液を得る、(3)直ちに、25μLのトラウト試薬溶液を抗体溶液に添加する(12倍モル過剰の試薬が生じる)、(4)カップリング緩衝液で平衡化された脱塩カラム使用して、過剰試薬からチオレート化された抗体を精製し、そして280nm吸光度を有する画分を回収する。
時折、抗体を、抗体のFc領域における炭水化物部分の酸化から得られるアルデヒド基を介して、共有結合させる。抗体のような糖タンパク質上の炭水化物の酸化は、Duan、米国特許第6,218,160号明細書(本明細書においてその全体が参考として援用される)に示される手順に従って、過ヨウ素酸ナトリウムで達成される。次いで、ヒドラジンを含有する架橋剤を使用して、BMR−L−FG2中間体を提供するヒドラゾンを形成させる。
本明細書において使用する「バイオポリマー固定化手段」は、バイオポリマー材料をバイオポリマー支持体に付着する(即ち、固定化する)基底構造を指す。付着は、バイオマーカー受容体の固定化について記載のように、共有結合または非共有結合を介して、直接的であってもまたは間接的であってもよい。しばしば、脂質バイオポリマー材料は、バイオポリマー支持体の疎水性表面を伴う架橋された脂質バイオポリマーモノマーの疎水性テイルとの疎水性相互作用(即ち、ファンデルワールス)を介する非共有結合によって、バイオポリマー支持体に固定化される。疎水性支持体は、支持体の構築において使用される支持体材料に存在してもよく、非制限的例には、マイクロタイタープレートのプラスチックがある。あるいは、疎水性表面は、疎水化と称されるプロセスにおいて支持体材料の化学修飾によって導入される。脂質バイオポリマー支持体を提供するための支持体材料の疎水化の化学修飾の例は、アミノ基(次いで、脂質のアミノ酸ヘッド基のような疎水性分子上の別の反応基と組み合わせることができる)のような反応性官能基を導入するためのガラスのシリル化(silylization)である。ガラスの疎水化については、本明細書の他の箇所に記載する一方、ポリマーによるガラスおよび他の支持体材料の修飾については、米国特許第4,363,634号明細書(Schall)(本明細書においてその全体が参考として援用される)に記載されている。
本明細書において使用する「OP−ポリペプチドコンジュゲート」または「OP共有結合付加物」は、有機リン酸化合物に存在するリン原子によって共有結合修飾される求核剤を有するポリペプチドを含んでなる分子である(即ち、ポリペプチドに基づく求核剤のNまたはOのような原子は、リン原子に直接共有結合する)。求核剤が、セリンヒドロラーゼ、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼにおける活性部位セリン残基のヒドロキシル基である場合、OP−ポリペプチドコンジュゲートを、セリンヒドロラーゼOP−コンジュゲート、コリンエステラーゼOP−コンジュゲートまたはアセチルコリンエステラーゼOP−コンジュゲートと称する。
本明細書において使用する「光センサ」は、バイオポリマー材料およびバイオマーカー受容体を有する組成物であって、ここで、受容体は、直接的または場合によりリンカーを介してのいずれかで(即ち、直接的もしくは間接的共有結合による固定化)、共有結合または非共有結合で(即ち、共有結合もしくは非共有結合)のいずれかによりバイオポリマー材料に遊離不能に固定化(即ち、付着)される。それ故、光センサは、バイオポリマー材料上に固定化されたバイオマーカー受容体へのバイオマーカーの結合時にバイオポリマー材料の光学特性の変化の検出を許容する最小配置のエレメントである。
光センサモジュールは、光センサ、および光センサが固定化されるバイオポリマー支持体もしくは基質を含んでなる組成物であるか、またはベシクルもしくはリポソームの形で固定化された光センサを含んでなる組成物である。それ故、光センサモジュールは、光センサモジュールの物理的取り扱いを許容する剛性のバイオポリマー支持体材料に固定化してもよく、または光センサモジュールの液体取り扱いの方法を許容するベシクルもしくはリポソームのような可撓性支持体に固定化してもよい。そのような1つの方法は、ベシクルもしくはリポソームのマイクロタイタープレートのウェルへの液体移送、またはマイクロ流体モジュールのマイクロ流体チャンネルへもしくはそれを介する移送、または吸光フローセルもしくは蛍光フローセルへもしくはそれを介する移送である。
本明細書において使用する「光学特性」は、その物質との相互作用から生じる光エネルギーを特徴とする。光学特性として、反射率、透過、放射、吸光度、偏光、蛍光およびリン光が挙げられるが、それらは例示であって、それらに限定されるものではない。
光学特性を参考にして使用する「検出可能な変化」は、その入射光エネルギーとの相互作用のため、物質の光学特性の存在下での変化を指す。変化は、物質が入射光を受容する前には存在しない物質における光学特性、あるいは入射光エネルギーの受容の前に物質に存在した光学特性のうち強度または波長もしくは波長分布の変化の生成であり得る。
「比色光学特性」は、強度もしくは波長(即ち、色)のいずれかにおける色の変化、または周囲照明下でヒトの眼によって観察され得る物質の色の生成を指す。
本明細書において使用する「蛍光光学特性」は、蛍光発光または蛍光発光スペクトル、蛍光吸収スペクトル、蛍光偏光または蛍光寿命を含むが、それらに限定されない蛍光に関連する物質の光学特性を指す。
本明細書において使用する「透過性」は、入射光エネルギーの透過を許容する材料の特性であって、ここで、透過光エネルギーは、入射光エネルギーと同じかまたは狭い波長範囲を有し、そしてここで、所定の波長で透過した光エネルギーの強度は、入射光エネルギーにおける同じ波長の有意な割合の強度である。透過した光エネルギーの有意な割合は、入射光エネルギーの約10〜100%、20〜100%、30〜100%、40〜100%、50〜100%、60〜100%、70〜100%、80〜100%または90〜100%の間の範囲にある。入射光エネルギーに存在するより狭い波長に透過性である物質をフィルターと称する。入射光エネルギーは、バイオセンサデバイスもしくは作業用ランプ(hand help lamp)の光エネルギー源から生じてもよく、そして入射光を透過する材料は、光センサモジュールのカバーであるか、または入射光エネルギーは、結合型バイオマーカーを有する光センサモジュールのバイオポリマー材料によって放射される光エネルギーであってもよく、ここで、バイオポリマー材料は、バイオセンサデバイスもしくは作業用ランプ由来の光エネルギー源によって励起されている。
同時にまたはほぼ同時には、効果の検出を可能にする十分に短い期間の経過時間におけるバイオポリマー材料の照射、および入射光エネルギーとの相互作用によるバイオポリマー材料の光学的変化の検出のような得られる効果の発生と検出との間の時間的関係を指す。典型的に、検出の時間遅延は、検出に用いられる電子の応答時間によって決定される。蛍光発光の検出のために、ほぼ同時検出に一致する最大経過時間は、蛍光の寿命に依存する。
「セリンヒドロラーゼ」として、トリプシン様のセリンプロテアーゼ、膵リパーゼ様のリパーゼ、ホルモン感受性リパーゼ、およびトリアシルグリセロールリパーゼエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、チオエステラーゼ、ホスホリパーゼA2様の所定のホスホリパーゼ、ならびに脂肪酸アミドヒドロラーゼ様のいくつかのアミダーゼが挙げられる。すべてのセリンヒドロラーゼは、セリン求核剤を含んでなる触媒機構を共有し、そしてセリンヒドロキシルおよびヒドロラーゼ基質から誘導される部分に関与する共有結合付加物の共通の形成において機構的に有する。セリンヒドロラーゼの自殺型阻害剤から誘導されるバイオマーカーを、セリンヒドロラーゼバイオマーカーと称する。また、セリンヒドロラーゼとして、EC分類番号3.4.21のセリンエンドペプチダーゼおよびEC分類番号3.1.1.のカルボキシルエステルヒドロラーゼが挙げられる。カルボキシルエステルヒドロラーゼとして、カルボキシルエステラーゼ(3.1.1.1)、アセチルコリンエステラーゼ(3.1.1.7)およびまたブチリルコリンエステラーゼとしても公知のコリンエステラーゼ(3.1.1.8)が挙げられる。本発明の多様な実施形態を実践するのに使用されるセリンヒドロラーゼは、単離される場合、典型的に、げっ歯類(例えば、マウスもしくはラット)、イヌ、非ヒト霊長類またはヒトのような哺乳動物由来であるが、下等な生物体から単離されるセリンヒドロラーゼ(hydrolayse)は、それがモデルとしての役割を果たす所定の自殺型阻害剤に対して高等な生物体におけるセリンヒドロラーゼの活性が推定される類似の相同性を持つ場合、適切であり得る。
本明細書において使用する「コリンエステラーゼ」は、ブチリルコリンエステラーゼとしてまたはEC番号3.1.1.8によって他で特定しない限り、ある種の用語であり、ブチリルコリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼおよびカルボキシルエステラーゼを含むか、またはそれらのフラグメントであって、ここで、フラグメントは、実質的に、無傷な酵素の触媒活性を保持するか、もしくは自殺型不活化が可能な活性を有する。
本明細書において使用する「導入開口」および「排出開口」は、液体が、光センサモジュールを含んでなる光センサとの接触または接触からの離脱に導入され得るオリフィスを意味する。時折、導入および排出開口は、吸光または蛍光フローセルに関して、個別のオリフィスである。時折、単一のオリフィスが、光センサモジュールにおいて両方の目的を果たし、ここで、針貫通可能な膜または隔膜で密封されていてもまたは密封されていなくてもよく、そして典型的に、バイオポリマー支持体として機能するキュベット、バイアルもしくはマイクロタイタープレートのウェルの場合に当たる。時折、液体は、光センサに感度があるバイオマーカーを含有するか、もしくは含有することが疑わしい生物学的液体であるか、または光センサの洗浄液として役割を果たし得る水性緩衝液である。
「光センサカバー」は、場合により、針貫通可能な膜または隔膜で密封されていてもよい光センサモジュールに組み入れられた上記の導入および排出開口を例外として、直接的か、またはバイオポリマー支持体に固定される光センサを格納する介在性材料を介してかのいずれかで、液漏れ防止シールを形成するための、バイオポリマー支持体と共同で使用される光センサモジュールの随意的成分である。時折、光センサカバーおよびバイオポリマー支持体は、単一の隣接する材料からなり、しばしば、光センサがキュベットの表面か、またはマイクロタイタープレートのウェルの内側底部に固定化される場合に当たる。光センサカバーを組み入れる光センサモジュールのもう1つの例は、化学的傷害または有機リン酸化合物のような環境毒素への暴露が予想される環境において作業する個体によって、担持または装用され得るバッジである。そのような光センサモジュールにおいて、感受性のポリペプチドを含有する液体は、シールされた封入物中の光センサと接触され、そして光センサカバーは、気体形態の疑わしい化学的傷害の液体への溶解のために封入物への拡散を許容し、そのため、そのようにしてバッチに導入された疑わしい化学的傷害は、ポリペプチドと相互作用して、バイオマーカーを形成し、次いで、光センサによって検出される。
アレイまたは本明細書において使用する「パターンアレイ」は、バイオポリマー支持体材料もしくはデバイスのような材料に関連する光センサまたは光センサモジュールの配置のようなエレメントの配置(即ち、実体)を指す。一実施形態では、異なるバイオマーカー受容体が固定化されたいくらかの個別のバイオポリマー支持体の配置は、アレイを構成する。そのようなアレイは、同時またはほぼ同時に、あるいはアレイの各エレメントに一斉にもしくは順にインタロゲートすることによって連続的に、いくらかの異なるバイオマーカーの検出を可能にする(光エネルギーは、同じもしくは異なる波長および−または強度を有する)。別の実施形態では、光センサのアレイは、異なる密度の同じバイオマーカーが固定化されたいくらかの個別のバイオポリマー支持体の配置であるか、または異なる密度で同じバイオマーカー受容体がパターン化された隣接するバイオポリマー支持体である。それ故、同じ波長および強度の光エネルギーを伴うアレイ全体のインタロゲーションは、アレイが暴露されるバイオマーカーの濃度を示す異なるパターンの光学的変化を提供する。異なる密度のパターンは、より低い密度のバイオマーカー受容体を有するアレイのエレメントが飽和状態になるため、異なる濃度を区別する能力が生じる(それ故、より高い密度のバイオマーカー受容体を有するエレメントより迅速に最大の光学的変化を示す)。そのような異なる密度のアレイを、先に記載のバッジに組み入れる場合、個体の化学的傷害または環境毒素への累積的暴露を報告することが可能な光センサモジュールが得られる。
一実施形態では、アレイが、バイオポリマー材料がすべてのウェルに固定化されたマイクロタイタープレートにおいて作製され、次いで、異なるバイオマーカー受容体あるいは異なる濃度または量の同じバイオマーカー受容体が、ピペットもしくはリキッドハンドラーによって、いくつかのまたはすべてのウェルに置かれる。次いで、バイオマーカー受容体の固定化を開始するために試薬が、バイオマーカー受容体が添加されているウェルに添加される。それ故、光センサのアレイ(マイクロタイタープレート全体の見地から)または光センサモジュールのアレイ(個々のウェルの見地から)が生成され、そしてバイオマーカー受容体が添加されていないウェルがネガティブコントロールウェルとしての役割を果たす。別の実施形態では、個別の単離された領域の光センサまたはバイオポリマー材料を提供するために、液漏れ防止シールが形成されるように、アレイが、隣接する光センサまたはバイオポリマー材料に、光センサ支持体の材料と同じであってもまたは異なっていてもよい十字型パターンの別の材料を付着させることによって作製される。(隣接する光センサがセグメント化された改変体とは対照的に)バイオポリマー材料がセグメント化された改変体では、マイクロタイタープレートに基づくアレイについて記載されているように、バイオマーカー受容体が、各領域または「ウェル」に送達および固定化されて、アレイを提供し、ここで、アレイの各エレメントは、同じもしくは異なるバイオマーカーを検出することが可能である。
特定のバイオマーカーの存在を示すために、「+」記号として容易に理解されるそのようなパターンを含む他のアレイが、本発明により使用されることもまた、考慮される。本発明が、任意の特定のアレイのデザインまたは形状に限定されることは意図されていない。なお他の実施形態では、アレイは、PDA−バイオポリマーフィルムからなり、そして蛍光応答は、単一サンプルの生物学的液体において、多数のバイオマーカーのサンプリングを可能にする。例えば、100×100ミリミクロンのエレメントのアレイ(即ち、PDAバイオポリマーフィルムの断片)を使用して、14ビット(0〜16,000)の最小ダイナミックレンジから17ビット(0〜128,000)のレンジまでを提供することが可能な光センサモジュールを作製し得る。これらの1,000ミリミクロン平方エレメントの10×10アレイは、有機リン酸化合物によって共有結合修飾されたアセチルコリンエステラーゼのようなバイオマーカーを含有することが疑わしい生物由来の異なる100のサンプルの評価を許容する分子膜デポジション技術によって、製造することができる。それ故、光センサアレイの別の実施形態では、1つの2.5×7.5cmガラススライドを使用して、バイオマーカーのための生物学的サンプルのスクリーニングのための100×100ミリミクロンの寸法の10,000エレメントのアレイが作製される。
本明細書において使用する「線状アレイ」は、光センサまたは光センサモジュールの線状配置のようなエレメントの線状配置を意味する。線状配置は、空間的であってもよく、ここで、一次元の一連の光センサエレメントが、同じバイオマーカー受容体を有して存在するが、異なる密度で存在して、バイオマーカーの検出のための「pHスティック」の均等物を提供する線状配置は時間的であってもよく、ここで、一連の光センサモジュールが、順に(例えば、ある時間に1回)バイオセンサデバイスの光源に提示されるそのようにして提示された光センサモジュールのコレクションは、カールセルのようなバイオセンサデバイス内に含有されるホルダーに保持され得る。各光センサモジュールの光学特性における検出可能な変化の検出を許容するカールセルは、各光センサに対してバイオセンサデバイスにより指向される入射エネルギーの整合された暴露時に、時間指定された順番で各光センサモジュールを示すために、回転する。
本明細書において使用する「機械的アドレス指定可能な」または「機械的読み取り可能な」は、(例えば、生物学的液体の光センサフィルムへの送達のために)機械によるアドレス指定に適切な様式で整列されたエレメントの配置を意味する。典型的に、機械的読み取り可能なアレイは、アレイの各エレメントのアドレス指定をするのに必要なソフトウェア命令を簡単にするために、多様なマイクロタイタープレート形式において見出されるようなハイスループットスクリーニングまたはコンビナトリアル合成において一般に用いられるパターンおよびフットプリントを有する。
本明細書において使用する「生物学的サンプル」は、バイオマーカーを含有するか、または含有することが疑わしい生物体由来の材料を指す。生物学的サンプルとして、血液、血清、血漿、尿、唾液、脳脊髄液、糞便、組織生検などが挙げられる。典型的に、生物学的サンプルは、ハンドピペットまたは自動リキッドハンドラーによって容易に操作される液体の生物学的サンプルまたはその液体抽出物または固体生物学的サンプルの液体抽出物である。時折、液体生物学的サンプルまたは抽出物は、緩衝液で希釈するか、あるいはサイズ排除もしくは他のクロマトグラフ媒体を通過させて、バイオマーカーの検出を干渉する成分を取り出すか、または検出の感度を改善するために、疑わしいバイオマーカーのサンプルを濃縮する。
本明細書において使用する「バイオセンサデバイス」は、光センサもしくは光センサモジュール(例えば、マイクロタイタープレートアレイ、バッチなど)を組み入れるか、またはそれらを使用するために適応される(例えば、蛍光バイオセンサデバイス)任意の装置を指す。一実施形態では、光センサモジュールの使用のために適応されるバイオセンサデバイスは、光センサモジュールにおける光センサとの相互作用のためのランプまたはレーザのような入射光エネルギーの供給源、およびバイオマーカーと、バイオポリマー材料および入射光エネルギーに固定されたバイオマーカー受容体との相互作用から生じるバイオポリマー材料の光学特性における変化の検出のための蛍光検出器、光電子倍増管、光検出器もしくは電荷結合素子のような検出モジュールを含んでなる。適切であれば、生物由来の液体サンプルの光センサモジュールへおよび光センサモジュールからの取り扱いまたは移動のためのマイクロ流体モジュールあるいはリキッドハンドラーモジュールをさらに含んでなる上記のようなバイオセンサデバイスもまた、考慮される。
OP化合物への暴露は、AChE阻害から生じる周知の神経毒性を引き起こす。AChE阻害は、AChE上の極めて重要なセリンヒドロキシル基(Ser−OH)と置換ホスホ−セリンが存在するOP化合物との間の反応によって進行する。得られるタンパク質は、OP−AChEコンジュゲートと呼ばれ、一般的に安定であり、AChEを不活化し、そして神経伝達物質のアセチルコリンそれ以上加水分解できなくする。OP−AChEコンジュゲートが十分に安定である場合、余分なアセチルコリンが、神経シナプスにおいて毒性濃度に到達し、そして多くの神経学的疾患(時折、死をもたらす)を引き起こし得、典型的に、悪心、虚弱、軽度の震顫およびめまいから開始する。過剰なOP化合物暴露は、失調症、遅延性神経障害、肺毒性、遺伝毒性、パーキンソン症状および視力喪失に関連しているが、AChE阻害と任意の特定の病態との間の正確な関係についてはいまだ不明である。
いくらかの可能な生化学的事象(式1に示す)が、OPによるAChEの最初の不活化(即ち、自殺型阻害)の後に生じ得る。形成される最初の共有結合付加物は、主要な有機リン酸バイオマーカーの例である。OP化合物によって阻害されたAChEは、自発的(水)かまたは2−PAMおよびTMB−4のようなオキシム解毒剤によって仲介されるかのいずれかによって、ホスホ−O−セリン結合の切断を介して(k)を再活性化し得る。一旦、共有結合性OP−修飾が取り出されると、再活性化は、AChE活性の回復を生じる。OP−AChEコンジュゲートが経験し得る別の可能性経路は、経時している間に、ホスホ−O−セリン結合以外の基が切断される(k)。得られる「経時した」OP−AChEコンジュゲートは、解毒剤に対して完全に不活性であり、そして不可逆的に阻害されたと考えられ、これが第2の有機リン酸バイオマーカーの例である。OP化合物は、OP化合物に高度に特異的である得られたOP−AChEコンジュゲートの構造を提供する3つの基X、YおよびZ(ここで、Zは脱離基である)を担持する。全体的に、AChEは、阻害においてプロトンを消失するが、共有結合修飾においてOPから獲得する点が独特であり、そしてOP化合物の構造に直接関連する。
Figure 2011503517
OP暴露の重要など癖医学的結果は、OP化合物とAChEとのほぼ瞬間的な反応およびコリン作用症候群のその後の迅速な発症である。得られるOP−AChEコンジュゲートの迅速な形成、阻害後経路および得られた病理学は、すべてOP薬剤の構造に関連する。それ故、OP化合物およびその対応するOP−AChEコンジュゲート構造は、生物体が経験する毒性の期間において重要な役割を果たす。例えば、ジメチルリン酸化コリンエステラーゼ(X=Y=OMe)は、t1/2=4時間で容易に再活性化する(ヒトRBC AChE)、一方、ジエチルアナログ(X=Y=OEt)は、再活性化するのに36時間を超える(ヒトRBC AChE)(Wilson, 1992)。構造の差異は比較的小さいが、生物体の結果は、明確な回復対急性神経毒性である。全体として、対応する緩徐な再活性化反応を経験するOP−AChEコンジュゲートを形成するための迅速な反応は、生物体に対して致死性であり得る。対照的に、OP−AChEコンジュゲートの緩徐な形成および迅速な再活性化は、それほど有害ではない。従って、OP−AChEコンジュゲートならびにその経時した産物のレベル、タイプおよび構造にアクセスするための検出系は、適切な治療介入を決定するのに有用である。かすかな変化が毒性結果の顕著な差異を生じるため、これらの考慮はまた、極めて正確な分子の変化間を区別する方法を開発するための重要性を拡大する。従って、「生来の」AChE、初期のOP−阻害AChE、および経時したOP−AChEコンジュゲートの間を区別して、所定のOP化合物からの暴露のタイプおよびレベルをアクセスし得る検出デバイスおよび方法を工夫することは価値がある。用語「生来の」は、生物学的に誘導されたタンパク質に天然に存在するアミノ酸配列を指し、そして他で示さない限り、その配列の三次構造を指すこともまたは示唆することもない。OPの作用機序は、何十年間も公知であり、そしてOP−AChEコンジュゲートは同定されているが、本開示より以前は、機構に基づいてOP−AChEコンジュゲートを同定するための方法またはデバイスは、進展していないと思われる。
いくらかの可能な生化学的事象(式1に示す)が、OPによるAChEの最初の阻害の後に生じ得る。OP化合物によって阻害されたAChEは、自発的(水)かまたは2−PAMおよびTMB−4のようなオキシム解毒剤によって仲介されるかのいずれかによって、ホスホ−O−セリン結合の切断を介して(k)を再活性化し得る。一旦、共有結合性OP−修飾が取り出されると、再活性化は、AChE活性の回復を生じる。OP−AChEコンジュゲートが経験し得る別の可能性経路は、経時している間に、ホスホ−O−セリン結合以外の基が切断される(k)。得られる「経時した」OP−AChEコンジュゲートは、解毒剤に対して完全に不活性であり、そして不可逆的に阻害されたと考えられる。OP化合物は、OP化合物に高度に特異的である得られたOP−AChEコンジュゲートの構造を提供する3つの基X、YおよびZ(ここで、Zは脱離基である)を担持する。全体的に、AChEは、阻害においてプロトンを消失するが、共有結合修飾においてOPから獲得する点が独特であり、そしてOP化合物の構造に直接関連する。
Figure 2011503517
セリンヒドロラーゼの自殺型不活化から最初に形成されるバイオマーカー、有機リン酸化合物(即ち、一次有機リン酸バイオマーカー)は、特異的構造(置換基の同一性)、ならびに性質、割合、および一次バイオマーカーを修飾して、二次バイオマーカーを生じる阻害後反応の結果を決定するOP−タンパク質コンジュゲート内の置換基の配置(立体化学)を有する。しばしば、セリンヒドロラーゼの有機リン酸暴露の後に形成される二次バイオマーカーは、(式1に記載のような)「経時したコンジュゲート」であり、そして一次および二次両方の有機リン酸バイオマーカーが、有機リン酸化合物の構造および暴露からの時間に依存する割合で存在する。それ故、いくつかの実施形態では、各OP化合物は、特異的に同定することができる一次および二次有機リン酸バイオマーカーの同一性および割合であるセリンヒドロラーゼに関する特有のフィンガープリントを置く。
OP薬剤への暴露、およびOP薬剤への暴露後の毒性学的評価は、典型的に、血中「コリンエステラーゼ試験」によって決定される。血中コリンエステラーゼ試験(BCT)は、血漿(もしくは血清)および/または赤血球中コリンエステラーゼ活性が比色的に測定される(エルマンアッセイとして公知の)アッセイ(Ellman, 1961)である。血漿では、ブチリル−コリンエステラーゼ(BuChE)の読み取り値は、OP中毒の早期の急性効果を検出するのに有益である一方、赤血球では、AChEの読み取り値は、これに関していくらか有用であるが、それほど感度は高くない(Padilla, 1995)。BCTはまた、OPへの暴露後のAChE活性の回復をモニターするために使用される。オキシム類の作用、他の治療または時間の経過(タンパク質合成など)を介して、酵素活性を回復し、そして回復した活性をBCTによってモニターすることができる。BCTは、OP殺虫剤への暴露を評価するために何十年もの間使用されているが、それは、直接測定(分子種分析)ではなくて活性に基づくアッセイであり、そして次を含むいくらかの問題によってかなり制限される1)OP暴露に関連する活性の変化を評価するために、暴露前のベースライン用コリンエステラーゼ値が必要であり、そしてこの活性のプレスクリーニングのための人員は実際的ではない、2)血中コリンエステラーゼ活性の減少は、形成されるOP−コンジュゲートまたは得られる神経毒性とは必ずしも相関しない、3)24時間後の統計的ばらつきによって試験が不正確になるため、活性測定値は、暴露の日のみが良好である、4)BCTはOP暴露を定量しない、5)BCTアッセイは非特異的である−AChE活性の減少は、OP暴露以外の理由(ストレス、貧血、処方薬など)の理由によっても生じ得る、6)酵素活性の回復をモニターすることができるが、残留する阻害されたAChEの結果は不明のままである、および7)アッセイは、慢性的暴露、暴露のパターンおよび/または相乗的相互作用によって無効である。
これらに関して、EPA Office of Pesticide Programs(OPP)は、Science Policy on the Use of Cholinesterase Inhibition for Risk Assessments of Organophosphate and Carbamate Pesticides (1998)を公表し、OP農薬暴露および毒性を決定するためのBCTの長所に疑問を抱き、そして暴露の真のバイオマーカーを調べる必要性を示唆した。従って、OP化合物への暴露を決定するためのより特異的な手段が必要であり、本開示物はこれに取り組んでいる。
直接的OP分析についての免疫化学的分析方法が報告されており(例えば、Jones, 1995;Edward, 1993;McAdam, 1992, 1993;およびSkerritt, 1996;Lucas, 1995;Van Emon, 1990におけるレビューを参照のこと)、そして環境的および生物学的基盤におけるOP化合物の存在を評価するために使用されている。親OP構造およびそれらの代謝物またはOP構造のフラグメントに特異的な抗体が、OP濃度を測定するために使用されている(但し、OP作用自体の生成物、即ち、OP−AChEコンジュゲートは測定しない)。不幸なことに、OP化合物は反応性であり、そして分析物としてのOP化合物は、検出に使用される抗体を含む生体分子と迅速に反応し、抗体がOP−特異的コンジュゲートを認識する能力を減少または破壊することが予想されるため、抗体を使用する定量化のための直接的OP化合物検出が本来的に無効にされる。従って、先に記載のOPに基づく抗体検出方法は、かなり興味深いものではあるが、現在のところ、OP化合物暴露と毒性との間の相関を求めるのに必要ではない。さらに、OP化合物は構造が異なるため、任意の所定のOP化合物について、暴露から生じ得る多くの可能なOP−タンパク質バイオマーカーが存在する。結果として、先に記載のすべての一般的なアッセイ方法は、OPに基づく農薬からの多量の可能な化学的暴露を適切に評価することができない。この欠点は、本明細書に記載のようなOP暴露を検出、同定および定了するための新規の包括的な方法によって、排除される。本開示物において、本発明者らはまた、そのようなOP−AChEバイオマーカーの直接的定量測定によって、生来のAChE、OP−修飾AChE、および経時したOP−AChEコンジュゲートを測定する光学的バイオセンサデバイスについて説明している。デバイスは、これらの種の自動化連続または同時分析を可能にするアレイ形式にまで及ぶことが可能である。脂質に基づくポリジアセチレン(PDA)ポリマーの調製を、式2に示す。
モノマー分子のジ−アセチレン部分は、UV照射によって架橋して、対応するポリジアセチレンポリマーを形成する(Day, 1978)。架橋は、1,4ラジカル重合反応を介して進行する。
Figure 2011503517
得られるコンジュゲートされたPDAポリマー骨格は、約630nmにおけるその広範な光学的吸光度のため、物質に濃青色を付与する。ジ−アセチレン脂質は、空気−水表面において、多層ポリマーフィルム(Langmuir-Blodgettフィルム:Day, 1978;Tieke, 1982)、ならびに小管(Tieke, 1982)および小胞構造(Day, 1978;Tieke, 1982)を形成することが先に示されている。単一の結晶またはLangmuir-Blodgettフィルムとして、PDAは、青色層から赤色層への色の変移を経験することが示されている。これらの色の変移は、熱(熱変色:Chance, 1979)または機械的負荷(メカノクロミズム:Nallicheri, 1991)のような外部摂動によって生じ、それは、ポリマー形態学の変化による。PDA−ポリマーにおける光学遷移の現象については広範に研究されている一方、機構は不明である。しかし、光学遷移は、PDA側鎖のコンホメーション変化および/または「ene−yne」骨格の有効共役長の破壊によることが、一般的に受け入れられている(Lio, 1997)。
PDAポリマーは、それらの色(発色性)または蛍光(発蛍光性)状態に関する独特な特性によって特徴付けられる。1つの実施例では、脂質に基づくPDAポリマーフィルムは、PDAポリマーフィルムの表面に付着している炭水化物リガンドへのウイルス受容体の結合に応答して、発色性変移を経験することが実証されている。
炭水化物−修飾PDAポリマーフィルムの調製は、ウイルス炭水化物リガンドをそれぞれのモノマーの親水性末端に付着させ、それに続く、UV−誘導性重合により達成された(Charych, 1993;Reichert, 1995)。修飾PDAポリマーフィルムの炭水化物リガンドのウイルス受容体への結合時に、青から赤への変移が生じた。本質的に、PDAポリマーフィルムのコンジュゲートされた骨格は、ウイルス受容体結合時に1つの電子状態から別の状態に変換し、染色粒の光学的変化を生じる。炭水化物−修飾PDAポリマーフィルムの応答は、ウイルス分析物に対して感受性(<80 HAU:(血球凝集単位))であり、かつウイルス濃度の関数として赤色から青色への変換の程度を測定することによって定量可能であることの両方が見出された(Charych, 1993)。コンジュゲートされていない炭水化物リガンドを添加することによって、応答は完全に阻害された。ウイルス結合に関連のない炭水化物のPDAフィルムへの組み入れは、ウイルスへの暴露時に染色粒の応答を生じなかった。同様に、PDAバイオポリマーフィルムのBSAのような高レベルの他のタンパク質への暴露は、本質的に応答を生じなかった。
他の研究者らは、PDAポリマーにコンジュゲートされた抗体(Ab)が、強健な発色性(青から赤への)応答を生じることを実証している(Gill, 2003)。抗−ヒトα−フェトプロテイン、抗−大腸菌(E.coli)β−ガラクトシダーゼ、抗−BSAおよび抗−酵母アルカリホスファターゼを含むIgG抗体は、PDAポリマーにコンジュゲートされる場合、リガンドの抗体への結合時に青色から赤色への応答を提供した。PDAポリマーフィルムに固定化されたAbを、Ab−PDAバイオポリマーフィルムと称する。
炭水化物−修飾PDAポリマーフィルムはまた、ウイルス結合時に蛍光発光を経験することが見出された(Moronne, 2003)。シアル酸、インフルエンザウイルス受容体であるヘマグルチニン表面タンパク質の小分子リガンドを、図1Aに示すように、脂質−PDAモノマーに共有結合させた。修飾脂質PDAモノマーの重合は、図1Bの非蛍光性のPDAポリマーを提供した。インフルエンザウイルスへの暴露時に、修飾PDAポリマーフィルムは、図1Cに示されるような強度の蛍光状態に変換された。PDAポリマーフィルムの表面にコンジュゲートされた炭水化物リガンドへのウイルス結合によって誘導される蛍光変化は、さらなる試薬を必要としなかった。サンプル調製を必要としないこのプロセスを、直接検出と称する。
蛍光は、定量化の吸収態様より有意な利点を提供する。図1Cでは、強度の蛍光シグナルを、図1Bによって表される実質的にゼロの非蛍光シグナルと比較している。それ故、発蛍光的検出方法は、発色的検出方法と比較して、増加したシグナル対ノイズ比を提供する。さらに加えて、表面−修飾PDAポリマーへの分析物の結合時の非蛍光状態から蛍光状態への遷移は、迅速(1分間未満)であり、そして蛍光染料に依存する他の検出方法とは異なり、光退色に耐性である。
有機リン酸(OP)化合物暴露によって変更されたヒトタンパク質を含む関連タンパク質を検出するために設計されるバイオセンサについては、本明細書に記載されている。一実施形態では、血液、唾液、または他の生物学的液体もしくは材料を試験することが可能な新規のバイオセンサデバイスは、哺乳動物におけるOP化合物の急性的または慢性的暴露を検出および定量する。一実施形態では、バイオセンサデバイスは、デバイスに使用するために適応される受容体−修飾PDAポリマーに基づく。別の実施形態では、バイオセンサデバイスは、少なくとも1つのOP−センサモジュールからなり、ここで、各OP−センサモジュールは、同じもしくは異なる受容体−修飾PDAポリマー、および光センサモジュール、プロセッサ回路系モジュールおよびマイクロ流体モジュールを含む1つもしくはそれ以上のモジュールからなる。OP−センサモジュールの実施形態では、1つの受容体タイプがPDAポリマーに固定化され、ここで、各受容体タイプは、特定のOP−タンパク質コンジュゲートについて選択的である。別の実施形態では、OP−センサモジュールは、複数の受容体タイプからなり、ここで、各受容体タイプは、特定のおよび異なるOP−タンパク質コンジュゲートについて選択的であり、ここで、各受容体−タイプは、非無作為様式で、PDAポリマーに固定化される。なお別の実施形態では、OP−センサモジュールは、複数の受容体−PDAバイオポリマーからなり、ここで、OP−センサモジュール内の各異なる受容体タイプは、少なくとも2つの異なるOP−タンパク質コンジュゲートに対して異なる特異性を有し、ここで、受容体−PDAバイオポリマーは、機械的読み取り可能な様式で整列される。一実施形態では、受容体−PDAバイオポリマーはフィルムである。受容体−PDAバイオポリマーの別の実施形態では、受容体は、特異的OP−タンパク質コンジュゲートについて選択的である抗体またはそのフラグメントである。なお別の実施形態では、受容体−PDAバイオポリマーの受容体は、OP−AChEコンジュゲートについて選択的である。OP−タンパク質コンジュゲートの1つの検出方法では、OP−タンパク質コンジュゲートの受容体−PDAバイオポリマーへの結合は、比色変化を生じる。OP−タンパク質コンジュゲートの別の検出方法では、OP−タンパク質コンジュゲートの結合は、受容体−PDAバイオポリマーのポリマードメインを、非蛍光状態から強度の蛍光状態に変換し、それによって、ELISAのような化学−酵素に基づく増幅技術の要件を排除する。一実施形態では、検出されるOP−タンパク質コンジュゲートは、OP−AChEコンジュゲートである。なお別のOP−タンパク質コンジュゲートの検出方法では、OP−タンパク質コンジュゲートを含有する生物学的サンプルは、場合により、精製工程後、受容体−PDAバイオポリマーと接触される。
OP化合物暴露後のAChEの状態、または非修飾AChE、最初のOP−阻害AChE(一次バイオマーカー)および経時したOP−AChEコンジュゲートタンパク質(二次バイオマーカー)を含むAChEの画分組成物に関する知識から、治療介入が誘導される。従って、OP化合物への暴露についての診断試験の一実施形態は、バイオセンサデバイスを使用して、AChE阻害の程度を決定する。別の実施形態では、AChEの画分組成物は、OP化合物およびその化合物の暴露の程度を同定するために決定される。AChEとOP−AChEコンジュゲートとを区別することができるバイオセンサデバイスおよび検出方法の設計、ならびに機構に基づくアプローチを介するコンジュゲートの多様な画分組成物を開示する。
一実施形態では、OP−AChEバイオセンサデバイスは、概念的に図2に示すストラテジーに従う多様な段階で設計される。PDAバイオポリマーにおける直接的な光学的変化によって、非修飾もしくはOP−修飾AChEタンパク質(OP−AChEコンジュゲート)またはそれらの組み合わせの結合を報告することができるAb−PDAバイオポリマーが組み立てられる。一実施形態では、PDAバイオポリマーはフィルムである。バイオセンサデバイスの実施形態では、PDAバイオポリマーフィルムは、光学的検出器または読み取り器に使用するために適応され、そしてそのように適応される場合、光センサモジュールがその一例である。一実施形態では、バイオセンサは、光センサモジュールおよび蛍光検出器からなる。バイオセンサデバイスの末端ユーザは、個体が反応性有機リン酸系化合物に暴露されている状況に遭遇する可能性がある現場人員および移動型医療ユニットが予想される。OP殺虫剤は、反応性有機リン酸系化合物と共通の構造を共有するため、本明細書に記載のデバイスはまた、OP化合物への農業的暴露に容易に適用される。
一実施形態ではでは、OP−AChEコンジュゲートの結合時の受容体−修飾PDAポリマーの吸収スペクトルにおける誘導されたシフトに基づく色の変化は、二波長分光測定を使用してモニターされ、それによって、比較的大きな2つのシグナルの減法が使用される。別の実施形態では、分析物結合時の蛍光状態の変化のため、受容体−改変PDAポリマーによる蛍光発光が、モニターされ、それによって、より低いバックグランドの光学シグナルが差し引かれて、より高いシグナル対ノイズ比が提供される。
一実施形態では、OP化合物は、アセチルコリンエステラーゼとの反応時に、別個の組のOP−AChEコンジュゲートを生じる。OP化合物の置換基の特定の構造(置換基の同一性)および配置(立体化学)は、OP化合物とアセチルコリンエステラーゼとの阻害後反応の性質、速度および結果に影響する。それ故、阻害および阻害後反応は、所定のOP化合物への暴露からのOP−AChEコンジュゲートの集団の画分部分を表す。例えば、サリン(X=Me;Y=OiPr、Z=F)は、AChEと反応して、(iPrO)(Me)P(O)O−セリンコンジュゲートを形成する(式1)。このサリン−AChEコンジュゲートは、オキシム解毒剤によりレスキューされて、AChE活性を回復し得るか、もしくは時間と共に回復するか、または画分量の酵素が自発的に再活性化し得る。非処置(iPrO)(Me)P(O)O−セリンコンジュゲートは、イソプロポキシ基の消失を経験して、化学特性が有意に異なる(O−)(Me)P(O)O−セリン残基を含有する経時したAChEコンジュゲートを形成することができる。そのような経時したAChEコンジュゲートは、再活性化に抵抗性であり(オキシム治療が無効である)、それ故、AChEの不可逆的阻害を表す。従って、サリンのようなOP化合物への暴露は、AChE−阻害、再活性化、または経時したAChEの3つの可能な状態を生じる。サリンは、異なる組のOP−AChEコンジュゲートを生じる反応性有機リン酸系化合物の一例に過ぎない。
OP−AChEコンジュゲートのレベル、タイプおよび構造を評価するための検出系については、本開示物での記載がはじめてであると思われる。本明細書に記載のOP−AChEコンジュゲートの検出および定量化は、反応性有機リン酸系化合物のようなOP化合物、ならびにそのOP化合物からの暴露の量を同定し、適切な治療介入および将来の暴露事象を減少するための指針を可能にする。
コリンエステラーゼの反応性無機リン酸化合物への暴露由来のバイオマーカーの認識:OP化合物の基本標的のなかにあるコリンエステラーゼは、活性部位領域において大きな程度のペプチド配列相同性を示し、そしてOP化合物と反応することが公知である極めて重要なセリン残基を共有する。従って、OP化合物がコリンエステラーゼと反応する場合、特異的OP−コリンエステラーゼコンジュゲートが形成され、ここで、活性部位セリンが修飾される。抗体が非修飾およびOP−修飾AChEの間を識別し得るかどうかを試験するために、2つのデカペプチドを合成した。非修飾セリンヒドロキシル(R=H)を含有するデカペプチド3aおよび対応する(非置換)ホスホセリンデカペプチド3bに対して、抗体を産生させた。AChE活性部位デカペプチド(3a)およびホスホデカペプチド(3b)の省略された構造の例を以下に示す。
Figure 2011503517
無機リン酸化合物への暴露を検出するバイオセンサデバイスの一実施形態を構築するために、アセチルコリンエステラーゼの「生来の」配列から誘導されるデカペプチド3a(rMoAChE10S)を認識するポリクローナル抗体(George, 2003)を得た。また、AChEのPOClへの暴露から生じるリン酸化型のデカペプチド3b(rMoAChE10SP、ここで、rMoAChE=マウス組み換えアセチルコリンエステラーゼ;10=デカペプチド;S=セリン−OH;P=無機リン酸基)を認識するポリクローナル抗体も得た。3bのリン酸ジアニン残基は、コリンエステラーゼとOP化合物との反応から生じるOP−コンジュゲート構造と相関しないが、それは、コリンエステラーゼとPOClのような反応性無機リン酸化合物との反応から生じる生成物と相関する。
抗−AChE10S抗体は、変性AChEと選択的に反応し、そして最初のAChE OP−修飾もしくは経時したOP−AChEコンジュゲートを生じるPOCl(AChE−SerOPO )によるリン酸化またはOP化合物によるリン酸化を含むリン酸化によって修飾されている他のいずれのタイプのAChEを認識しないことが示されている。同様に、抗−AChE10SPは、POClによってリン酸化されたAChEと選択的に反応するが;生来のAChEまたは多様なOP化合物によって阻害されたAChEを認識しない。これらの抗体による非修飾およびPOCl−修飾AChEの認識は、そのようにして修飾されるAChEのAChE阻害および再活性化動力学の量と良好に相関することがさらに示されている。一実施形態では、PDAバイオポリマーは、抗−AChE10S抗体またはAChE10SP抗体を組み入れて、POClのような無機リン酸化剤へのAChEの暴露を検出し、そして無機リン酸化剤への暴露の時間依存的分析のための手段を提供する。別の実施形態では、抗−AChE10S抗−AChE10SP抗体に基づくPDAバイオポリマーは、フィルムである。一実施形態では、Ab−PDAバイオポリマーフィルムは、抗−AChE10S抗体またはAChE10SP抗体からなる。別の実施形態では、抗−AChE10S抗体およびAChE10SP抗体の組合せが、非無作為または機械的アドレス指定可能なアレイにおいてOP−センサモジュールに組み入れられる。別の実施形態では、Fabフラグメント、または超可変Fvフラグメントのような抗体の認識フラグメントが使用される。一実施形態では、バイオセンサデバイスを使用して、反応性無機リン酸化合物への暴露の程度を定量する。無機リン酸化剤への暴露を定量するためのバイオセンサデバイスの別の実施形態では、測定される光学的変化は蛍光発光である。
コリンエステラーゼの有機リン酸化合物への暴露由来のバイオマーカーの認識:局在、およびOP化合物によって生じる正確な化学修飾を定義するための機構に基づく原理的説明を使用して、OP化合物によるコリンエステラーゼの修飾から生じる特異的OP−コンジュゲートを推定することができる。OP−コンジュゲートは、OP暴露のバイオマーカーであり、そしてOP−コンジュゲートを含有するタンパク質フラグメントに対して惹起される抗体によって特異的に認識される独特な化学的に修飾された巨大分子種を表す。抗−OP−コンジュゲート抗体の使用は、選択的検出、および他のOP化合物暴露から生じる生来の巨大分子と他のOP−コンジュゲートとの区別を可能にする。
OP化合物によって修飾されるアセチルコリンエステラーゼのようなバイオマーカーを容易に検出することができるバイオセンサデバイスを構築するために、PDAバイオポリマーへのコンジュゲーション時に機能を継続することができる受容体分子のパネルが選択される。一実施形態では、受容体分子は、OP−コンジュゲートを認識する抗体である。OP−修飾AChEコンジュゲート(OP−AChEコンジュゲート)を認識することができる抗体(Ab)を含んでなるPDAバイオポリマーは、本開示物の発明部分である。Abに基づくPDAバイオポリマーの構築には、イオンもしくは水素結合相互作用を含んでなる付着の非共有結合的手段によるか、あるいはAb(もしくはその認識フラグメント)のPDAポリマーへの直接的コンジュゲーション、または場合によりリンカーを介するかのいずれかでの付着の共有結合的手段による、Ab(もしくはその認識フラグメント)の固定化を必要とする。Ab−PDAバイオポリマーを設計および調製することを可能にする方法について記載する。一実施形態では、Ab−PDAバイオポリマーはフィルムである。ヒト血清に存在するレベルでOP−AChEコンジュゲートを検出するためのAb−に基づくPDAバイオポリマーフィルムを設計および調製するための方法についても記載する。コリンエステラーゼへのOP化合物暴露の検出および定量化のためのバイオセンサデバイスについても記載する。
いくつかの実施形態では、OP−コリンエステラーゼまたはOP−ポリペプチドコンジュゲートに対する抗体(抗−OPコンジュゲート抗体の例)を、有機リン酸バイオマーカーの検出のためのPDA−バイオポリマーフィルムにおけるバイオマーカー受容体として使用する。一実施形態では、PDAバイオポリマーフィルムは、抗−OP−AChEコンジュゲート抗体からなる。別の実施形態では、抗−OP−AChEコンジュゲート抗体の組合せが、非無作為または機械的アドレス指定可能なアレイにおいて、1つもしくはそれ以上のPDAバイオポリマーフィルムからなるOP−センサモジュールに組み入れられ、ここで、アレイは、少なくとも2つの抗−OP−AChEコンジュゲート抗体タイプからなり、ここで、各抗体タイプは、少なくとも2つの異なるOP−AChEコンジュゲートに対し異なる選択性を有する。別の実施形態では、Fabフラグメント、および超可変Fvフラグメントを含む抗体の認識フラグメントが使用される。一実施形態では、バイオセンサデバイスを使用して、OP化合物への暴露の程度を定量する。OP化合物への暴露を定量するためのバイオセンサデバイスの別の実施形態では、測定される光学的変化は蛍光発光である。別の実施形態では、バイオセンサデバイスを使用して、OP化合物に暴露された被験体のオキシムに基づく解毒剤による処置時のAChEの回復の速度を使用する。
有機リン酸化合物とコリンエステラーゼとの相互作用から生じる有機リン酸バイオマーカーの検出のための光センサへのバイオマーカー受容体としての組み入れに必要な抗体を得るために、デカペプチドを含んでなるかまたはそれよりなる抗原が使用され、ここで、デカペプチドは、(1)セリン残基またはリン含有部分が付着したセリンアナログ、ならびに(2)活性部位セリンに対応するフランキングアミノ酸残基、および有機リン酸化合物によって修飾しようとするコリンエステラーゼにおけるフランキングアミノ酸残基を含有する。デカペプチド配列は、典型的に、配列上、哺乳動物ブチリルコリンエステラーゼ、カルボキシルエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼに対応する。リン含有部分は、典型的に、初期(即ち、一次有機リン酸バイオマーカーのリン含有部分)または「経時」後(即ち、二次有機リン酸バイオマーカーのリン含有部分)のいずれかにコリンエステラーゼに置かれたリン含有部分に、構造上同一であり、バイオマーカーを担う有機リン酸化合物の同定を可能にする。抗−OP−コリンエステラーゼコンジュゲート抗体の誘発を目的とする一実施形態では、有機リン酸化合物によって修飾されるコリンエステラーゼに存在する活性部位セリン残基の模倣物としてセリンホスホエステル残基を有するオクタペプチドが使用される。他の実施形態では、セリンホスホネート残基がオクタペプチドのセリンホスホエステルの代わりに使用され、ここで、セリン−O−が炭素原子によって置き換えられている。類似のセリンホスホエステルの寿命があまりに短く、所望される抗体の産生(免疫応答)を許容できない場合、そのようなセリンホスホネート抗原の使用は、有利であり得る。
有機リン酸化合物によるコリンエステラーゼの自殺型不活化から生じる有機リン酸バイオマーカーに対する抗体を誘発するのに有用な抗原の基礎を形成するアミノ酸配列の例は、ホスホモノエステルホスホジエステルを生じるように改変されたコリンエステラーゼの活性部位のセリンに対応するセリン残基を有するか、またはデカペプチドに基づく抗原について直ぐ上に記載のようなホスホン酸アナログ(即ち、ホスホノセリン)で置き換えられる。セリン活性部位にフランキングする付加アミノ酸残基を組み入れるデカペプチドを超えるペプチド配列を使用して、感受性が増加するが、必要な抗原を産生するのにさらに合成が困難であるバイオマーカー受容体(即ち、抗−OP−コンジュゲート抗体)を入手してもよい。
有機リン酸化合物とコリンエステラーゼとの相互作用から生じる有機リン酸バイオマーカーに対する抗体を誘発するための抗原の設計を誘導するためのペプチド配列の例は、TLFGE[S]AGAA(配列番号2)、VTLFGE[S]AGAAS(配列番号3)、TLFGE[S]AGAAS(配列番号4)、TLFGE[S]AGAA(配列番号5)、LFGE[S]AGAAS(配列番号6)、VTLFGE[S]AGA(配列番号7)、VTIFGE[S]AGGES(配列番号8)、TIFGE[S]AGGE(配列番号9)、TIFGE[S]AGGES(配列番号10)、VTIFGE[S]AGGE(配列番号11)、IFGE[S]AGGES(配列番号12)、VTIFGE[S]AGG(配列番号13)を含んでなるか、またはそれらよりなり、ここで、角括弧内のセリンは、ブチリルコリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼまたはカルボキシルエステラーゼの活性部位セリンに位置するセリンを示す。また、抗−OP−コンジュゲート抗体を誘発する抗体抗原を設計するための基礎としても考慮されるペプチド配列は、角括弧内のセリンにフランキングするアミノ酸残基について、表Aに従う1〜6個、典型的に、1〜2個の保存アミノ酸置換を有する配列番号2〜13のペプチドである。
そのような暴露のバイオマーカーの検出を介するタンパク質によってOP化合物に対する暴露を検出および定量するための受容体−PDAバイオポリマーの調製および使用を、アセチルコリンエステラーゼおよび反応性有機リン酸系化合物サリンについて例示する。他のOP化合物からの暴露の決定に関するこのような説明を、他のコリンエステラーゼを含むそのような暴露のバイオマーカーを提供する他のタンパク質へ拡大することは、当業者に明らかであるべきである。
実施例1:サリンによって阻害されたAChEを表すOP−修飾ペプチドコンジュゲートの同定、合成、精製および特徴付け
以下のセクションにおいて、用語「生来」は、生物学的に誘導されるタンパク質に存在するアミノ酸配列を指すものであって、アミノ酸配列を含有するペプチドの三次構造を指すものではない。サリン修飾AChEに対する抗体を得るため、配列上、アセチルコリンエステラーゼの活性部位に対応し、そして活性部位セリンを含有するペプチドを調製する。また、サリンがAChEを阻害する機構から予想される、ヒドロキシルにおいてリン基で修飾されたセリン残基を含有するペプチドを調製する。修飾ペプチドは、構造上、最初に形成されるOP−AChEコンジュゲート、および続いて形成される経時したOP−AChEコンジュゲートに相関する。選択すべきペプチドは、OP−修飾AChEのポリペプチド鎖についてリン基の特異的同定を可能にするために、抗体を作製するのに十分な配列を指す。一実施形態では、ペプチドはデカペプチドである。別の実施形態では、ペプチドは、アミノ酸配列によって特徴付けられるデカペプチドであって、ここで、セリン残基は、そのN−およびC−末端にフランキングする4〜5個のアミノ酸残基を有する。
「生来の」デカペプチド3aを、N,N−ジイソプロピルイソプロポキシメチルホスホンアミダイトと反応させ、次いで、酸化させて、サリン−AChEコンジュゲートに類似するデカペプチド4−サリン(R=iPr)を得る。シアノエトキシホスホンアミダイト試薬との反応により、酸化およびβ−脱離後、サリン−経時(3a)を得る。反応条件は、Glu−Ser−Alaトリペプチドで報告された反応(Suarez and Thompson, 1999)に類似する。反応の進行を、31P NMRを使用してモニターし、そしてペプチド構造を、QTOF MS−MS分析により確認する(Spaulding, 2006)。
式3の「生来の」非修飾デカペプチド活性部位含有配列TLFGESAGAA(配列番号2)を、標準的なペプチド固相合成によって調製する。精製は、逆相分取用HPLCによって行う。
実施例2:「生来の」AChE、AChEホスホペプチドおよびサリン−AChEコンジュゲートに特異的であるポリクローナル抗体の産生のためのハプテン−キャリアタンパク質の調製
最初のVX−阻害、サリン−阻害、およびソマン−阻害AChE OP−コンジュゲート(4−VX、4−サリン、および4−ソマン)を表すデカペプチドを、アルコキシ基の同一性にいてのみ変動する3つの別個のメチルホスホンアミダイト試薬から調製する。デカペプチド3aと(アルコキシ基がエトキシ(VX)からイソプロポキシ(サリン)、イソヘキシル(ソマン)へ変動する)メチルホスホンアミダイト類のそれぞれとの反応、それに続く、得られる生成物のオキソンへの酸化により、それぞれ、サリン−阻害(3−サリン)、VX−阻害(3−VX)、およびソマン−阻害(3−ソマン)デカペプチド構造を得る。メチルホスホンアミダイト試薬を、メチルホスフィンサン二塩化物(methylphosphinic dichloride)(MePCl)と適切なアルコキシドおよびHN(iPr)との連続反応によって、調製する。
Figure 2011503517
最初のサリン−阻害AChEは、経時を経験して、アルコキシ基の加水分解脱離によりメチルホスホネートオキシアニオンを形成する。サリン、VXおよびソマンの間の構造の共通部分のため、これらの反応性有機リン酸系化合物のいずれか1つからコリンエステラーゼの暴露から生じる経時したOP−コンジュゲートを同定する。従って、4−サリンの加水分解は、5aを提供し、これは、VX−経時、サリン−経時、およびソマン−経時AChEコンジュゲートの類似のデカペプチドアナログを表す。4aの精製は、ZipTipまたはZn−キレートカラムクロマトグラフィーにより、これは、ホスホ含有ペプチドを単離する当該技術分野において周知である。
無傷なOP−AChE付加物(バイオマーカー)の分析に利用される切断型(truncated)バージョンのOP−AChEコンジュゲートに対する抗体について記載されている。「生来の」デカペプチドa、ホスホデカペプチド3b、サリン−修飾(4−サリン)およびサリン−経時(5a)デカペプチドに対するポリクローナル抗体の産生については、例示目的で記載されており、そして本出願において開示した発明の範囲を限定することを意味するものではない。3a、3b、4−サリンおよび4aに対する抗体は、サリン−AChEコンジュゲート(最初に阻害および経時した)、非修飾AChEならびにコリンエステラーゼのOP化合物への暴露から生じる構造を表さないことが予想されるホスホ−AChEの検出を許容する。
ポリクローナル抗体デカペプチド3aの産生のために、ホスホ−デカペプチド3b、サリン−阻害4−サリンおよび経時したサリンデカペプチド4aを、それぞれリンカー基に付着させる。次いで、得られるデカペプチド−リンカー中間体を、KLHまたはBSAのようなキャリアタンパク質にコンジュゲートさせて、免疫化に必要なハプテン−キャリアタンパク質を形成する。ハプテン対キャリアタンパク質の割合を決定する。デカペプチド−リンカー−KLHコンジュゲートを、ウサギに注入して、対応するポリクローナル抗体を作製する。各ハプテン−キャリアタンパク質から得られるポリクローナル抗体について、交差反応性、特異性およびエピトープマップを決定する。デカペプチド3aに対して惹起されるポリクローナル抗体は、サリン、ソマンまたはVXへのAChE暴露から経時したOPコンジュゲートを認識しない。
ホスホン酸コンジュゲートは、セリン酸素がCH基によって置き換えられることを除いて、3a、3bおよび4−サリンのようなリン酸含有コンジュゲートに同一である代替的ハプテンを表す。ホスホン酸コンジュゲートは、加水分解およびホスファターゼ切断に適切であるリン−ペプチド結合によって特徴付けられる。そのようなコンジュゲートの調製を実施例7に記載する。
次の手順を使用して、必要なハプテン−キャリアタンパク質を調製する:ハプテン−キャリアタンパク質における所望されるデカペプチドの免疫優勢を増強するために、ポリグリシン、PEG、または脂肪族のような二次構造を欠如するリンカーを、デカペプチドに追加する。当該技術分野において公知のペプチドカップリングまたは縮合手順を使用して、リンカーをデカペプチドに付加する。標準的な手順(Bauminger, 1980; Erlanger, 1980)に従って、場合により、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の存在下、カルボジイミドのようなカップリング剤を使用して、得られるデカペプチド−リンカー産物を、KLHまたはBSAのようなキャリアタンパク質に付着させる。分子排除または透析を介するBSAコンジュゲートの精製を行う。タンパク質あたりのハプテンの数(ハプテンキャリアタンパク質比)を、分光学的または遊離リジン残基の滴定によって、決定する(Sanger, 1949;Habeeb, 1966)。タンパク質を担持するための好適なハプテンは、約15〜30の範囲にある。あるいは、グルタルアルデヒドをリンカーとして使用して、キャリアタンパク質を、アミノ基で官能性を持たせたデカペプチドに付着させる。
実施例3:OP−コンジュゲートを認識するポリクローナル抗体の産生
実施例2に従って調製される各ハプテン−キャリアタンパク質の十分量を、フロイト(Freud’s)完全アジュバント(FCA)に乳化し、そしてそれを使用して、ウサギに免疫する。標準的または典型的な抗−血清産生プロトコルを表1に示す。
Figure 2011503517
実施例4:バイオポリマー基質上に支持された抗体−PDAバイオポリマーフィルムの調製
バイオポリマー基質上に支持されたAb−PDAバイオポリマーフィルムを調製するための例示的手順は、以下の工程を使用する。
(1)脂質−PDAモノマーを合成する。
(2)モノマーの重合によって、PDA−形成モノマーからLangmuir-Blodgettフィルムを産生して、PDA−ポリマーフィルムを得る。
(3)実施例3由来のポリクローナル抗体を、脂質PDAモノマーまたは脂質PDAポリマーフィルムに固定化する。
(4)Ab−PDAバイオポリマーフィルムを被覆されたガラススライドのようなバイオポリマー基質に付着させる。
(5)Ab−PDAバイオポリマーフィルム上の抗体密度を、例えば、ELISA形式における標識第二抗体によって、決定する。
示された工程の順番は、Ab−PDAバイオポリマーフィルムを調製するための方法において限定されない。Langmuir-BlodgettフィルムへのAb付着のための1つの方法を、実施例4に示す。
Langmuir-Blodgettフィルムを調製するための手順は、Charychら、米国特許第6,395,561号明細書(出願日1999年12月14日)、Charychら、米国特許第6,001,556号明細書(出願日1996年1月26日)およびMoronneら、米国特許出願公開第2003/0129618号明細書(出願日2003年7月10日)(それらの開示内容は、参考として援用される)に記載されている。
Figure 2011503517
PDA−形成モノマーまたはAb−PDA−形成モノマーの薄単層フィルムを、Langmuir-Blodgett(LB)トラフの水面上に広げる。モノマー混合物は、マトリックス液体(10,12ペンタコサジイン酸:PCDA)およびN−(11−アミノ−3,6,9−トリオキシウンデカニル)−10,12−ペンタコサジインアミドのような抗体コンジュゲーション反応性液体よりなる(Spevak, 1993)。モノマーを圧縮し、そしてUV光暴露によって重合する(Charych, 1993)。
抗−AChEおよび抗−OP−AChE抗体−修飾PDAポリマーを、バックグランド蛍光のレベルについて試験する。また、Ab−PDAバイオポリマーフィルムの応答性を、バイオポリマーフィルムの暴露時の蛍光変化について試験して、正規化し、そして、多様なレベルのAChEおよびOP−修飾AChEタンパク質を伴う試験溶液をドープする。応答性を試験するための1つの方法は、サリン暴露したAChEの例示として以下の工程を使用する。
(1)Ab−PDAバイオポリマーフィルムを、「生来の」デカペプチド3a、ホスホデカペプチド3b、サリン修飾(4−サリン)およびサリン−経時(5a)デカペプチドを含む多様な濃度のデカペプチド試験サンプルに暴露して、発蛍光的応答を決定し、そして標準的な応答曲線を確立する。
(2)Ab−PDAバイオポリマーフィルムを、AChEおよびOP−AChEコンジュゲートを含む多様な濃度のタンパク質試験サンプルに暴露して、発蛍光性応答を決定し、そして標準的な応答曲線を決定する。
(3)非−AChE誘導性タンパク質およびデカペプチドを、試験サンプルにスパイクして、擬陽性応答の量を決定する。
抗−AChE抗体または抗−サリン−AChEコンジュゲート抗体またはそれらの組み合わせのような多様な量の固定化抗体によって特徴付けられるAb−PDAバイオポリマーフィルムを調製し、そして多様な濃度の3a、4−サリンおよび5aのようなペプチド、ならびにAChEおよびOP−AChEコンジュゲートのようなタンパク質で試験する。バイオポリマーフィルムを、標準的なローダミン励起および赤色LP蛍光フィルターセットを使用して蛍光顕微鏡下で調べる。検出応答曲線を作成し、そして分析しようとするOP化合物への暴露に相応する最小分析物濃度(最も低いレベルの定量化)で光シグナル応答を提供するバイオセンサデバイスに使用するためのAb−PDAバイオポリマーを選択する。
PDA−バイオポリマーフィルム調製するための1つの方法により、リンカーを介して、AbをPDAポリマーにコンジュゲートする。抗体およびN−スルホスクシンイミジル−4−(マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレートのような二官能性分子(リンカーを提供する)を、水層に導入し、そして反応させる(Gill, 2003)。数時間の時間経過の間、Ab−PDAバイオポリマーフィルムを、Langmuir-Blodgett水面から持ち上げて取り出し、そしてAbコンジュゲーションの程度を、フィルムの標識第二抗体への暴露によって決定する。ポリマーAb−二次Ab結合を介して導入され得る可能なフィルム蛍光由来のシグナルとは重複しない異なる蛍光シグナルによって観察され得るような二次標識を選択する。
PDA−バイオポリマーフィルムを調製するための別の方法は、共有結合によってAbをPDA−形成モノマーに固定化する(コンジュゲーション)。混合物中のPDA−形成モノマーの量を調整して、PDAバイオポリマーフィルムに固定化された多様なレベルの抗体を提供する。1つの抗体コンジュゲーション手順は、AbのFc炭水化物基の過ヨウ素酸酸化を使用して、アルデヒド部分を得る(O’Shannessy, 1995)。次いで、ヒドラジン基を含有するPDAポリマーまたはPDA−形成モノマーを、アルデヒド部分と反応させて、Ab−PDAバイオポリマーフィルムを得、ここで、Abは、そのFc領域を介してPDAポリマーに直接共有結合(コンジュゲート)される。
OP−センサモジュールの調製のために、PDAバイオポリマーフィルムを、Langmuir-Blodgett水面から持ち上げて取り出し、そして蛍光を誘導し、そしてバックグランドノイズの増加をもたらす機械的負荷を回避するように、被覆されたガラス面に移す。疎水性処理を施してあるガラス顕微鏡スライドを使用して、非蛍光Ab−PDAバイオポリマーフィルムを水面から持ち上げて取り出す(Charych, 1993)。この手順後、抗体をスライド表面に暴露し、そして第二抗体結合によって分析する。
OP暴露のための分析の1つの方法では、そのようにして暴露したコリンエステラーゼを、受容体−修飾PDAポリマーへの適用前に、化学的または加熱のいずれかによって変性する。
実施例5:VX、サリンまたはソマンによって阻害されたAChEを表すOP−修飾ペプチドの調製
反応性有機リン酸系化合物VX、ソマン、サリンまたはタブンによって修飾されるAChEに対する抗体を得るために、AChEの活性部位のセリンに対応するセリンアミノ酸残基を含有する「生来の」デカペプチド3aを、反応性有機リン酸系前駆体と反応させて、AChEの活性部位におけるその同じ反応性有機リン酸系化合物の反応から生じる構造と相関する修飾デカペプチドを提供する。構造は、4−VX、4−サリン、4−ソマンおよび4−タブンによって表される。各薬剤による阻害後、AChEは、「経時」を経験して、(サリン、ソマンおよびVXでは)メチルホスホネート5aまたは(タブンでは)エトキシ5bもしくはジメチルアミン5b’アナログを形成する。反応性有機リン酸系化合物(即ち、4)の最初の反応から生じるOP−AChEコンジュゲートに対応するデカペプチドの調製は以下のとおりである:
生来のデカペプチド3aをN,N−ジイソプロピルエトキシメチルホスホンアミダイトと反応させ、そして得られる産物を酸化させて、VXによる最初のAChE阻害由来の構造を表すリン酸化デカペプチド4−VX(R=Et)を得る。生来のデカペプチド3aをN,N−ジイソプロピルイソヘキシルメチルホスホンアミダイトと反応させ、そして得られる産物を酸化させて、ソマンによる最初のAChE阻害から生じるOP−AChEコンジュゲートに対応するリン酸化デカペプチド4−ソマン(ここで、R=CH(Me)t−Bu)を得る。生来のデカペプチド3aを、N,N−ジイソプロピルエトキシクロロホスホンアミダイトと反応させ、そして得られる生成物を、ジメチルアミンで処置し、続いて、酸化して、タブンによる最初のAChE阻害由来の構造を表す4−タブンを得る。
AChEのVX、サリンまたはソマンへの最初の暴露後に形成する経時したAChEに対応するメチルホスホネート5aの合成については、実施例2に記載している。タブン暴露由来の経時したAChEに対応する2つの修飾デカペプチド5b(Z=OEt、NMe2の消失)および5b’(Z=NMe2、EtOの消失)を、実施例6の手順に従って、それぞれ塩基および酸加水分解によって調製する。31P NMRを使用して、反応の進行をモニターし、そしてMS−MSおよびNMRによって、構造を確認する。31P NMRによる分析から、各修飾デカペプチドごとに別個の独特な化学シフトが得られる。VX、サリンおよびソマンによるAChEの経時した阻害に対応するメチルホスホネート5aの31P化学シフトは、AChEのVXまたはサリンによる最初の阻害由来のOP−AChEコンジュゲートに対応する構造4と異なるだけではなく、AChEのタブンによる経時した阻害に対応する構造5bおよび5b’とも個別である。
あるいは、反応性有機リン酸系化合物によって阻害されたAChEを認識する抗体を誘発するのに適切な修飾デカペプチドは、ホスホン酸アナログ6を使用して調製される(ここで、デカペプチドからリン原子への結合を形成する酸素がCHによって置き換えられる)か、またはチオールアナログ7(示さず)を使用して調製される(ここで、セリン残基が、システインによって置き換えられる(それ故、Cys由来の−S原子が、デカペプチドとリン原子との間で結合を形成する))。
実施例6:タブンによって阻害されたAChEを表すOP−修飾ペプチドの調製
エトキシ、N,N−ジイソプロピルホスホロクロリダイトを、デカペプチド3aと反応させ、続いて、ジメチルアミンによる塩化物の置換、その後の酸化により、タブンによって最初に阻害されるAChEに対応するデカペプチド(4−タブン)を得る。
5aからのジメチルアミンまたはエトキシ基の消失により、それぞれ、AChEの経時したタブン阻害に対応する構造5bまたは5b’を得る。5aの水性クロロ酢酸による酸加水分解は、ジメチルアミン基の消失を生じて、5bを提供するが、一方、1N NaOHによる塩基性加水分解によりエトキシ基を取り出し、5b’を得る。
実施例7:OP−修飾ペプチドのホスホノセリンアナログの合成
容易に切断可能なセリン−O−リン酸エステル結合がより安定なホスホン酸結合(6)で置き換えられるデカペプチドは、ハプテン認識を可能にする一方、より長いインビボ寿命を提供する。図4に示されるように、セリン酸素原子は、メチレンで置き換えられる一方、N−およびC−末端において同一のペプチド配列を維持する。
ホスホン酸ペプチドアナログを合成するために、セリン残基を、以下に示すようなホスホン酸アナログで置き換える。
Figure 2011503517
セリンに置換されるホスホン酸構造を、既知のアミノホスホン酸、AP4から調製する。AP4(7)の保護形態を、Lohse (1998)の手順(式5)に従って合成する。保護されたAP4のN−末端およびC−末端ペプチドフラグメントへの付着により、3aのホスホン酸アナログであるデカペプチド7を形成する。標準的なペプチド化学技術を使用して、固相支持体または溶液相においてペプチドフラグメントを調製する。
Figure 2011503517
6−VX(X=Me;Y=OEt;式5;4−VXのホスホノアナログ)の調製は、t−ブチル、N−フェニルフルオレニルセリンのそのトシレートへの変換、それに続くトシルオキシ基のヨウ素による置換によって進行する。次いで、ヨード中間体を、ジエチルメチルホスファイトと反応させて、保護されたメチル,エトキシホスフィネートセリンを得る。カルボキシルエステルの脱保護、およびAAGAの配列を伴う適切に保護されたテトラペプチドへのカップリングに続いて、アミンの脱保護、およびTLFGEの配列を伴う適切に保護されたペン他ペプチドへのカップリングにより、6−VXを提供する。6−ソマンおよび6−サリンホスホネートアナログを、Y(アルコキシ)基の性質の変化のみを伴う同じ合成によって、調製する。
実施例8:VX、サリン、ソマンおよびタブンならびにそれらの経時した生成物によって最初に修飾されたAChEに対応するOP−修飾ペプチドコンジュゲートを認識するポリクローナル抗体の調製
(AChEと反応性有機リン酸系との間に最初に形成される付加物に対応する)4−VX、4−サリン、4−ソマン、4−タブン、および(AChEのVX、サリンおよびソマンへの最初の暴露後に形成する経時したAChEに対応する)5a、ならびに最初のタブン暴露後の2つの経時したコンジュゲートに対応する5bおよび5b’に対するポリクローナル抗体を調製する。実施例3に示した手順に従って、それぞれ抗−AChE10Sおよび抗−AChE10SPと称される3aおよび3b(ホスホ−デカペプチド)に対する抗体と共に6つの抗体を調製し、これは、ソマン、VX、およびタブン−修飾AChE(最初に阻害されそして掲示した形態)の検出を許容する一方、非修飾AChEおよび無機薬剤による非特異的リン酸化によるリン酸化を制御する。
抗体を誘発する抗原は、以下の工程を使用して調製される。
(1)4−VX、4−ソマン、4−タブン、および経時した(3b)デカペプチドのリンカー基への付着。
(2)リンカー−デカペプチドの免疫原性タンパク質(KLHなど)へのコンジュゲーション−コンジュゲート対ハプテン比の分析。
(3)対応するポリクローナル抗体を作製するために、ウサギに注入されるデカペプチド−リンカー−KLHコンジュゲート。それぞれの交差反応性、特異性およびエピトープマップを決定する。
抗体を、力価、交差反応性、選択性、および安定性について評価する。
実施例9:生来のホスホペプチドおよびOP−修飾ペプチドコンジュゲートに特異的なモノクローナル抗体の調製
抗体を誘発する抗原を、実施例9に記載の工程を使用して調製する。
表2に従って、モノクローナル抗体を産生させる。ハイブリドーマの発達は、4つの相:免疫化、融合、クローニングおよびハイブリドーマ安定化を有し、そして表2にまとめられている。典型的に、5匹の雌性Balb/cマウスを、アジュバントで乳化した免疫原で免疫する。その後の注入に続いて、各注入の10日後にサンプルを採取する3週間のサイクルを実施する。免疫原に対する動物の応答を、ELISAによって評価する。
融合のために、超免疫マウス由来の脾臓細胞を調製し、そしてP3X63Ag8.653またはSP2/OAG14骨髄腫に融合する。生存可能なハイブリドーマを選択し、そしてELISAによって、抗原特異的抗体についてスクリーニングする。最も高い力価を伴う抗体分泌ハイブリドーマ(48個まで)を増殖させ、そして陽性ハイブリドーマ由来の培地をスクリーニングし、そして予備的にエピトープマップを行う。陽性の一次クローンを拡大し、そして再クローニングのために選択する。増殖細胞を伴うウェルを、ELISAにより抗体分泌についてスクリーニングし、そして評価する。各単一のクローンを再クローニングして、安定な第三世代の細胞株を作製する。増殖細胞を、ELISAによって、抗原特異的抗体についてスクリーニングする。細胞系統を、長期間貯蔵のための最終拡大のために選択するか、またはインビトロ方法もしくは腹水産生によってスケールアップする。
Figure 2011503517
共有結合によるポリクローナルまたはモノクローナル抗体の実施例9および10の薄フィルムポリマーへの固定化を、実施例4に類似の様式で行う。
多様な量のOP−AChEコンジュゲートを含有する血液および唾液サンプルを、ビシンコニン酸法(Smith, 1985)によって正規化し、規定された量のタンパク質を含有させる。サンプルを、正規化されたサンプルを伴うセンサデバイスにおけるmAb−PDA−バイオポリマーフィルムならびに精度および感度に直接適用する。
実施例10:生物学的サンプル中のOP−修飾AChEを検出するためのデバイスの構築
生物学的サンプルにおけるOP−修飾AChEを検出するための蛍光フィルムリーダーおよび出力制御電子機器を伴うデバイスの開発ならびに構築について説明する。
使用可能なシグナルを得るのに必要な光学および電子設計の仕様のために、光の吸収および発光特徴のようなパラメータ(波長、効率、偏光、発光分布、飽和、退色など)を決定する。物理的負荷、例えば:温度、光、湿度、水および化学物質に対するポリマーの反応により貯蔵要件を決定し、また、試験スライドの試験スライドの強健性についても決定する。擬陽性および擬陰性試験の作製に影響を及ぼす重要な因子の試験評価を行う。
バイオセンサフィルムの特徴付け:刺激源発光検出器およびその光学設計を、使用すべきバイオポリマー材料の刺激および発光特徴によって決定される。偏光、飽和および/または退色効果によって何らかの制限があることを考慮して、刺激効率対波長によって供給源の要件を決定する。発光強度対波長および発光分布によって、検出器および光学設計を決定する。強健なデバイスを確実にするために、光学特性に対する温度および湿度の影響を評価する。
バイオセンサフィルムリーダー:システムは、読み取りヘッド(光検出モジュール)、制御電子機器、ユーザインターフェースモジュールおよび電源装置からなる。読み取りヘッドは、光刺激源、サンプルドッキング開口および発光検出器からなる。制御電子機器は、読み取りヘッドのための駆動/インターフェース電子機器、ならびにデータ分析およびユーザインターフェースのマイクロプロセッサを含む。
読み取りヘッド:刺激/発光波長は、約500〜650nmの範囲にある。刺激と発光との間の波長間隔は、光学および電気設計を簡単にする。一実施形態では、発光波長557nmおよび618nmは、蛍光測定値を測定するためのシリコン製フォトダイオードまたはCMOS画像センサの使用を可能にする。これらのセンサは、これらの波長において高い感度を有し、そして低ノイズ、高ゲインデバイスが利用可能である。加えて、547nmのピーク励起波長は、供給源として低コストのLEDまたはランプの使用を可能にする。一実施形態では、ハンドパスフィルターを使用して、励起源を阻止し、そして高シグナル対ノイズを伴う検出器にフィルターを通したシグナルを提供する。
制御電子機器−(電子機器用)は、光源、低ノイズ検出器増幅器および測定のための駆動回路、ならびにスタンドアローン操作のための簡単なユーザインターフェースのための支持体を提供する。加えて、コンピュータインターフェースは、場合により、データコレクションおよびシステムの特徴付けを支持するために使用される。
番号付けした実施形態
本発明のいくらかの態様および関連する主題は、以下の番号付けした実施形態を含む。これらの実施形態は、例示目的のためであって、本発明の範囲を制限するものではない。
実施形態1:バイオポリマー材料、およびバイオマーカーのバイオマーカー受容体を含んでなる光センサであって、ここで、バイオマーカー受容体は、バイオポリマー材料への付着の受容体固定化手段によって固定化され、ここで、バイオマーカーの前記受容体への結合は、バイオポリマー材料の光学特性において検出可能な変化を生じる。
実施形態2:実施形態1の光センサであって、ここで、ポリ−バイオポリマー材料は、ジ−アセチレンバイオポリマー材料である。
実施形態3:実施形態1の光センサあって、ここで、光学特性は比色光学特性または蛍光光学特性である。
実施形態4:実施形態1の光センサであって、ここで、受容体は、抗体または抗体フラグメントであって、ここで、抗体フラグメントは、抗体超可変ドメインからなる。
実施形態5:実施形態4の光センサであって、抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。
実施形態6:実施形態4の光センサであって、ここで、抗体フラグメントは、発現ベクターの使用によって得られ、ここで、前記発現ベクターは、抗体フラグメントをコードするか、またはポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のタンパク質分解消化から得られる。
実施形態7:実施形態1の光センサであって、ここで、前記受容体固定化付着手段は、抗体または抗体フラグメントのバイオポリマー材料への共有結合による。
実施形態8:実施形態1の光センサであって、ここで、前記受容体固定化付着手段は、抗体または抗体フラグメントのバイオポリマー材料への非共有結合による。
実施形態9:実施形態1の光センサであって、ここで、受容体固定化付着手段は、抗体または抗体フラグメントを含んでなるアミノ酸のアミノ酸官能基およびバイオポリマー材料官能基の組み合わせから得られる直接的共有結合による。
実施形態10:実施形態1の光センサであって、ここで、受容体固定化付着手段は、抗体または抗体フラグメントを含んでなるアミノ酸のアミノ酸官能基、バイオポリマー材料官能基および介在性リンカー前駆体の組み合わせから得られる間接的共有結合による。
実施形態11:実施形態9または10の光センサであって、ここで、アミノ酸官能基はリジンアミノ酸のε−アミノ基である。
実施形態12:実施形態9または10の光センサであって、ここで、アミノ酸官能基はN末端アミノ酸のアミノ基である。
実施形態13:実施形態9または10の光センサであって、ここで、アミノ酸官能基はC末端アミノ酸のカルボン酸基である。
実施形態14:実施形態9または10の光センサであって、ここで、アミノ酸官能基はシステインアミノ酸のスルフヒドリル基である。
実施形態15:実施形態9または10の光センサであって、ここで、アミノ酸官能基は化学的または酵素的に修飾されたアミノ酸のアルデヒド基である。
実施形態16:実施形態9の光センサであって、ここで、共有結合は、表1の実体によって定義される。
実施形態17:実施形態10の光センサであって、ここで、共有結合は、表2の実体によって定義される。
実施形態18:実施形態1の光センサであって、ここで、前記バイオマーカーは、有機リン酸化合物と、セリンヒドロラーゼまたはコリンエステラーゼとの組み合わせから誘導される。
実施形態19:実施形態1の光センサであって、ここで、前記バイオマーカーは、有機リン酸化合物とセリンヒドロラーゼフラグメントまたはコリンエステラーゼフラグメントとの組み合わせから誘導され、ここで、セリンヒドロラーゼフラグメントまたはコリンエステラーゼフラグメントは、触媒セリンアミノ酸を含有する。
実施形態20:実施形態1の光センサであって、ここで、前記バイオマーカーは、有機リン酸化合物と、配列番号2のペプチドとの組み合わせから誘導される。
実施形態21:実施形態18、19または20の光センサであって、ここで、有機リン酸化合物は、農薬、反応性有機リン酸系化合物、セリンヒドロラーゼインヒビター、コリンエステラーゼインヒビター、農薬代謝物または農薬不純物である。
実施形態22:実施形態21の光センサであって、ここで、有機リン酸化合物は、農薬または反応性有機リン酸系化合物である。
実施形態23:実施形態21の光センサであって、ここで、有機リン酸化合物は、有機リン酸系化合物である。
実施形態24:実施形態21の光センサであって、ここで、有機リン酸化合物は、セリンヒドロラーゼインヒビターまたはコリンエステラーゼインヒビターである。
実施形態25:実施形態21の光センサであって、ここで、有機リン酸化合物は、アセフェート、アジンホス−メチル、ベンスリド、クロルエトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エトプロップ、フェナミホス、フェンチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、ナレド、オキシデメトン−メチル、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホステバピリム、ピリミホス−メチル、プロフェノホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス、トリクロルホン、またはそれらの代謝物もしくは不純物である。
実施形態26:実施形態21の光センサであって、ここで、有機リン酸化合物は、サリン、ソマン、タブンまたはVXである。
実施形態27:実施形態1〜26のいずれか1つの光センサであって、ここで、光センサは、蛍光分光光度計、UV−可視分光光度計、蛍光ランプまたはUV−可視ランプの供給源から発生する入射エネルギーを受容することが可能であり、そしてバイオポリマー材料とそのようにして受容された入射エネルギーとの相互作用によって生成されるバイオポリマー材料の光学特性における検出可能な変化の検出を許容することが可能である。
実施形態28:実施形態27の光センサあって、ここで、光学特性は比色光学特性または蛍光光学特性である。
実施形態29:実施形態28の光センサであって、ここで、入射エネルギーは、蛍光分光光度計の供給源から発生する。
実施形態30:実施形態28または29の光センサであって、ここで、光学特性は蛍光発光または蛍光偏光である。
実施形態1A:実施形態1〜26のいずれか1つの光センサを含んでなる光センサモジュール。
実施形態2A:実施形態27〜30のいずれか1つの光センサを含んでなる光センサモジュール。
実施形態3A:実施形態1Aまたは2Aの光センサモジュールであって、ここで、ポリ−ジ−アセチレンバイオポリマー材料はLangmuir-Blodgettフィルムである。
実施形態4A:実施形態3Aの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー材料は、バイオポリマー基質に対する受容体に対して反対のポリ−ジ−アセチレンバイオポリマー材料の側で、付着のバイオポリマー固定化手段によって固定化され、ここで、バイオポリマー基質は、紫外−可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態5A:実施形態4Aの光センサモジュールであって、ここで、光センサモジュールは、バイオポリマー基質に対抗するカバーをさらに含んでなり、ここで、カバーは、紫外−可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第2の波長に透過性であり、ここで、カバーの縁分およびバイオポリマー基質の縁部は、直接的かまたは介在性材料を介してのいずれかで付着して、水漏れ防止シール、およびカバーと光センサまたは光センサフィルムとの間の間隙を提供し、ここで、前記間隙は、少なくとも光センサまたは光センサフィルムの厚さであるが、但し、光センサモジュールは、受容体が固定化される光センサフィルムの表面へおよび表面からの液体の移送のための少なくとも1つの開口を有する。
実施形態6A:実施形態5Aの光センサモジュールであって、ここで、センサモジュールは、導入開口および排出開口を有し、ここで、導入開口は、前記液体の導入を許容し、そして排出開口は、前記液体の排出を許容する。
実施形態7A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、紫外−可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態8A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、紫外光スペクトルに特徴的な波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態9A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、200〜900nmの第1の波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態10A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、約220nmの第1の波長に透過性である。
実施形態11A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、光学的に透過性のバイオポリマー基質は、約254nmの第1の波長に透過性である。
実施形態12A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、光学的に透過性のバイオポリマー基質は、約350nmの第1の波長に透過性である。
実施形態13A:実施形態4A、5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、カバーは、紫外光スペクトルに特徴的な波長範囲の第2の波長に透過性である。
実施形態14A:実施形態5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、カバーは、可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第2の波長に透過性である。
実施形態15A:実施形態5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、カバーは、200〜900nmの第2の波長範囲の第2の波長に透過性である。
実施形態16A:実施形態5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、第2の波長は約220nmである。
実施形態17A:実施形態5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、第2の波長は約254nmである。
実施形態18A:実施形態5Aまたは6Aの光センサモジュールであって、ここで、第2の波長は約350nmである。
実施形態19A:実施形態5Aの光センサモジュールであって、ここで、光センサモジュールはキュベットを含んでなり、ここで、バイオポリマー材料は、キュベットの内面へのバイオポリマー付着手段によって固定化される。
実施形態20A:実施形態5Aの光センサモジュールであって、ここで、光センサモジュールはマイクロタイタープレートを含んでなり、ここで、バイオポリマー材料は、マイクロタイタープレートの1つもしくはそれ以上のウェルの内側底面に固定化される。
実施形態21A:実施形態1A〜20Aのいずれか1つの光センサモジュールであって、ここで、光センサモジュールの光センサは、蛍光分光光度計、UV−可視分光光度計、蛍光ランプまたはUV−可視ランプの供給源から発生する入射エネルギーを受容することが可能であり、そしてバイオポリマー材料とそのようにして受容された入射エネルギーとの相互作用によって生成されるバイオポリマー材料の光学特性における検出可能な変化の検出を許容することが可能である。
実施形態22A:実施形態21Aの光センサモジュールあって、ここで、光学特性は比色光学特性または蛍光光学特性である。
実施形態23A:実施形態22Aの光センサモジュールであって、ここで、入射エネルギーは、蛍光分光光度計の供給源から発生する。
実施形態24A:実施形態22Aまたは23Aの光センサモジュールであって、ここで、光学特性は蛍光発光または蛍光偏光である。
実施形態1B:実施形態1〜26のいずれか1つの光センサのアレイであって、ここで、アレイは、複数の光センサの規則的配置を含んでなり;ここで、アレイは、複数の受容体によって特徴付けられ、ここで、少なくとも2つの受容体は、異なる2つのバイオマーカーに選択的であり、ここで、各受容体は、同じまたは異なるバイオポリマー材料への付着の受容体固定化手段によって固定化され、ここで、バイオマーカーに選択的である受容体へのバイオマーカーの結合は、選択的受容体が固定化されるバイオポリマー材料の光学特性における検出可能な変化を生じる。
実施形態2B:実施形態1Bのアレイであって、ここで、光センサアレイの各受容体は、異なるバイオマーカーに選択的である。
実施形態3B:実施形態1Bまたは2Bのアレイであって、ここで、複数の光センサの規則的配置は、平行な列またはカラムで配置される光センサの第1のシリーズを含んでなり、ここで、前記第1のシリーズの各メンバーの受容体は、バイオマーカーの第2のシリーズの各メンバーに選択的である。
実施形態4B:実施形態3Bのアレイであって、ここで、受容体の前記第1のシリーズの各メンバーの受容体は、抗体または抗体フラグメントであって、ここで、抗体フラグメントは抗体超可変ドメインからなる。
実施形態5B:実施形態4Bのアレイであって、ここで、受容体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。
実施形態6B:実施形態4Bのアレイであって、ここで、抗体フラグメントは、発現ベクターの使用によって得られ、ここで、前記発現ベクターは、抗体フラグメントをコードするか、またはポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のタンパク質分解消化から得られる。
実施形態7B:実施形態4Bのアレイであって、ここで、バイオマーカーの第2のシリーズの各メンバーは、有機リン酸化合物の第3のシリーズのメンバーと、セリンヒドロラーゼまたはコリンエステラーゼとの組み合わせから誘導される。
実施形態8B:実施形態4Bのアレイであって、ここで、第2のシリーズの各バイオマーカーメンバーは、第3のシリーズの異なる有機リン酸メンバーと、セリンヒドロラーゼまたはコリンエステラーゼのフラグメントとの反応産物から誘導され、ここで、フラグメントは、触媒セリンアミノ酸を含有する。
実施形態9B:実施形態1Bまたは2Bのアレイであって、ここで、規則的アレイは、機械的読み取り可能または機械的アドレス指定可能なアレイである。
実施形態10B:実施形態1Bまたは2Bのアレイであって、ここで、規則的アレイは、線状配列である。
実施形態11B:実施形態1B〜10Bのいずれか1つのアレイであって、ここで、アレイの各光センサは、蛍光分光光度計、UV−可視分光光度計、蛍光ランプまたはUV−可視ランプの供給源から発生する入射エネルギーを受容し、そして各バイオポリマー材料とそのようにして受容された入射エネルギーとの相互作用によって生成される各バイオポリマー材料の光学特性の各検出可能な変化の検出を許容することが可能である。
実施形態12B:実施形態11Bおよび入射エネルギーのアレイは、蛍光分光光度計の供給源から発生する。
実施形態13B:実施形態11Bまたは12Bの光センサであって、ここで、光学特性は蛍光発光または蛍光偏光である。
実施形態14B:実施形態11Bのアレイであって、ここで、規則的アレイは、線状配列であり、そして光学特性は比色光学特性である。
実施形態15B:実施形態14Bのアレイであって、ここで、入射エネルギーは、UV−可視ランプの供給源から発生する。
実施形態16B:実施形態14Bまたは15Bのアレイであって、ここで、バイオポリマー材料のうち少なくとも2つは、同じ光学特性において別個の検出可能な変化を有し、ここで、そのようにして受容された入射エネルギーは同じである。
実施形態17B:実施形態16Bのアレイであって、ここで、光学特性は、可視光の発光である。
実施形態18B:実施形態11Bのアレイであって、ここで、各光センサは、各バイオポリマー材料からなる。
実施形態19B:実施形態11Bのアレイであって、ここで、各光センサのバイオポリマー材料は、物理的に離れている。
実施形態20B:実施形態11B、18Bまたは19Bのアレイであって、ここで、光センサアレイは、機械的読み取り可能なアレイまたは機械的アドレス指定可能なアレイである。
実施形態1C:実施形態1B〜20Bのいずれか1つのアレイを含んでなる光センサモジュール。
実施形態2C:実施形態1Cの光センサモジュールであって、ここで、アレイの各光センサのポリ−ジ−アセチレンバイオポリマー材料は、Langmuir-Blodgettフィルムである。
実施形態3C:実施形態1Cまたは2Cの光センサモジュールであって、ここで、各バイオポリマー材料は、バイオポリマー基質に対する各光センサの受容体に対して反対の各ポリ−ジ−アセチレンバイオポリマー材料の側で、付着のバイオポリマー固定化手段によって固定化される。
実施形態4C:実施形態3Cの光センサモジュールであって、ここで、センサモジュールは、さらに、各バイオポリマー材料が固定化される各バイオポリマー基質に対抗する側においてカバーをさらに含んでなり、ここで、カバーの縁分およびバイオポリマー基質の縁部は、直接的かまたは介在性材料を介してのいずれかで付着して、水漏れ防止シール、およびカバーと光センサまたは光センサフィルムとの間の間隙を提供し、ここで、前記間隙は、少なくとも光センサまたは光センサフィルムの厚さであるが、但し、光センサモジュールは、各受容体が固定化される光センサまたは光センサフィルムの表面へおよび表面からの液体の移送のための少なくとも1つの開口を有する。
実施形態5C:実施形態3Cの光センサモジュールであって、ここで、光センサモジュールは、導入開口および排出開口を有し、ここで、導入開口は、前記液体の導入を許容し、そして排出開口は、前記液体の排出を許容する。
実施形態6C:実施形態3C、4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、紫外−可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態7C:実施形態3C、4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、紫外光スペクトルに特徴的な波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態8C:実施形態3C、4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、200〜900nmの第1の波長範囲の第1の波長に透過性である。
実施形態9C:実施形態3C、4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、約220nmの第1の波長に透過性である。
実施形態10C:実施形態3C、4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、約254nmの第1の波長に透過性である。
実施形態11C:実施形態3C、4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、バイオポリマー基質は、約350nmの第1の波長に透過性である。
実施形態12C:実施形態4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、カバーは、紫外−可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第2の波長に透過性である。
実施形態13C:実施形態4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、カバーは、可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の第2の波長に透過性である。
実施形態14C:実施形態4Cまたは5Cの光センサモジュールであって、ここで、カバーは、200〜900nmの第2の波長範囲に透過性である。
実施形態15C:実施形態4Cの光センサモジュールであって、ここで、第2の波長は約220nmである。
実施形態16C:実施形態4Cの光センサモジュールであって、ここで、第2の波長は約254nmである。
実施形態17C:実施形態4Cの光センサモジュールであって、ここで、第2の波長は約350nmである。
実施形態18C:実施形態4Cの光センサモジュールであって、ここで、光センサモジュールはマイクロタイタープレートを含んでなり、ここで、各光センサの各バイオポリマー材料は、マイクロタイタープレートの異なるウェルの内側底面に固定化される。
実施形態19C:実施形態1C〜18Cのいずれか1つの光センサモジュールであって、ここで、アレイ内の各光センサは、蛍光分光光度計またはUV−可視分光光度計の供給源から発生する入射エネルギーを受容し、そして各バイオポリマー材料とそのようにして受容された入射エネルギーとの相互作用によって生成される各バイオポリマー材料の各光学特性の各検出可能な変化の検出を許容することが可能である。
実施形態20C:実施形態19Cおよび入射エネルギーのアレイは、蛍光分光光度計の供給源から発生する。
実施形態21C:実施形態19Cまたは20Cのアレイであって、ここで、光学特性は蛍光光学特性である。
実施形態22C:実施形態19Cのアレイであって、ここで、規則的アレイは、線状配列であり、そして光学特性は比色光学特性である。
実施形態23C:実施形態22Cのアレイであって、ここで、入射エネルギーは、UV−可視ランプの供給源から発生する。
実施形態24C:実施形態22Cまたは23Cのアレイであって、ここで、バイオポリマー材料のうち少なくとも2つは、同じ光学特性において別個の検出可能な変化を有し、ここで、そのようにして受容された入射エネルギーは同じである。
実施形態25C:実施形態24Cのアレイであって、ここで、光学特性は、可視光の発光である。
実施形態26C:実施形態19Cのアレイであって、ここで、各光センサのバイオポリマー材料は、同じバイオポリマー材料である。
実施形態27C:実施形態19Cのアレイであって、ここで、各光センサのバイオポリマー材料は、物理的に離れている。
実施形態28C:実施形態27Cのアレイであって、ここで、各光センサのバイオポリマー基質は、同じバイオポリマー材料であり、そして物理的に離れている。
実施形態29C:実施形態28Cのアレイであって、ここで、各光学材料のカバーは、同じカバー材料であり、そして物理的に離れている。
実施形態30C:実施形態19C、26C〜29Cのいずれか1つの実施形態のアレイであって、ここで、光センサアレイは、機械的読み取り可能なアレイまたは機械的アドレス指定可能なアレイである。
実施形態1D:実施形態27〜30、11B〜20Bのいずれか1つの2つもしくはそれ以上の光センサまたは実施形態21A〜24A、19C〜30Cのいずれか1つの光センサモジュールを含んでなるキットであって、ここで、各光センサまたは各光センサモジュールは、異なる入射エネルギーについて光学特性の光学的に検出可能な変化を有する。
実施形態2D:パッケージング材料、光センサ、光センサバイオセンサまたはパッケージング材料内に含有される実施形態1Dのキット、およびモジュールがバイオセンサデバイスに使用するためのものであることを示す標識を含んでなる製品。
実施形態1E:実施形態21A〜24A、19C〜30Cのいずれか1つの光センサモジュールを含んでなるバイオセンサデバイス。
実施形態2E:実施形態21A〜24A、19C〜30Cのいずれか1つの光センサモジュール、および光センサモジュールによる使用に適応された蛍光分光光度計またはUV−可視分光光度計を含んでなるバイオセンサデバイス。
実施形態3E:実施形態21A〜24A、19C〜30Cのいずれか1つの光センサモジュール、および光センサモジュールによる使用に適応された蛍光検出器システムを含んでなるバイオセンサデバイス。
実施形態4E:液体ハンドリングシステムまたはマイクロ流体モジュールをさらに含んでなる、実施形態2Eまたは3Eのバイオセンサデバイス。
実施形態1F:(a)前記バイオマーカーを含有する生物学的液体を、実施形態27〜30、11B〜20Bのいずれか1つの光センサ、実施形態21A〜24A、19C〜30Cのいずれか1つの光センサモジュール内の光センサ;または11B〜20B、19C〜30Cのアレイ内の1つもしくはそれ以上の光センサに適用する工程と、(b)入射エネルギーを光センサに指向させる工程と、(c)受容された入射エネルギーとバイオポリマー材料との相互作用によって生成する少なくとも1つ光センサのバイオポリマー材料の光学特性における検出可能な変化を検出する工程とを含んでなる、バイオマーカーを検出する方法。
実施形態2F:光センサまたは光センサモジュールを緩衝溶液で洗浄する工程をさらに含んでなる実施形態1Fの方法。
実施形態3F:実施形態1Fの方法であって、ここで、生物学的液体は、哺乳動物の血液、血清または唾液である。
実施形態4F:実施形態3Fの方法であって、ここで、哺乳動物は、有機リン酸化合物に暴露されているか、または暴露される傾向があり、ここで、有機リン酸化合物は、農薬または反応性有機リン酸系化合物である。
実施形態5F:実施形態1Fの方法であって、ここで、入射エネルギーは、紫外−可視光スペクトルに特徴的な波長範囲の波長を有する。
実施形態6F:実施形態19C〜30Cの光センサモジュール内に光センサのアレイを含んでなる実施形態1Fの方法であって、ここで、2つを超える光センサが同時またはほぼ同時のいずれかで同じもしくは異なる波長の入射を受容する。
7Fの実施形態:実施形態19C〜30Cのいずれか1つの光センサモジュールの光センサのアレイを含んでなる実施形態1Fの方法であって、ここで、2つを超える光センサが、時間分解配列で同じもしくは異なる波長の入射を受容する。
実施形態8F:同じ光学特性における2つもしくはそれ以上の検出可能な変化のデコンボリューションの工程をさらに含んでなる6Fまたは7Fの実施形態であって、ここで、前記検出可能な変化は、同時またはほぼ同時に生じる。
番号付けした実施形態、特許請求の範囲および本明細書の残りの部分の改変および修飾は、それらを読めば当業者には明らかであろう。そのような改変および修飾は、本発明の範囲および趣旨の範囲内にある。本明細書において報告したすべての刊行物は、それらの全体が本明細書において参考として援用される。
引用
本明細書に示される刊行物の著者および日付が以下に提供され、それらの全体が本明細書において参考として具体的に援用される。
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Claims (22)

  1. バイオポリマー材料および複数のバイオマーカー受容体を含んでなる光センサであって、各バイオマーカー受容体は、場合により、リンカーを介して、バイオポリマー材料に共有結合し、前記バイオマーカー受容体は、バイオマーカーに結合することが可能な抗体またはそのフラグメントであり、前記バイオマーカーの前記バイオマーカー受容体への結合は、前記バイオポリマー材料の光学特性の検出可能な変化を含む、光センサ。
  2. 前記光センサの構造は、式BMR−L−BIOM[式中、BMRはバイオマーカー受容体であり、Lはリンカーであり、そしてBIOMはバイオポリマー材料である]で表され、前記バイオポリマー材料は、ポリ−ジ−アセチレンバイオポリマーフィルムである、請求項1に記載の光センサ。
  3. 前記バイオマーカーはポリペプチドおよびリン含有部分からなり、前記リン含有部分は、有機リン酸化合物またはその代謝物から誘導される、請求項2に記載の光センサ。
  4. 前記リン含有部分は、前記ポリペプチドの酸素原子に共有結合し、前記酸素原子は、セイン(seine)残基から誘導される、請求項3に記載の光センサ。
  5. 前記有機リン酸化合物は、有機リン酸系農薬またはその代謝物である、請求項3に記載の光センサ。
  6. 前記有機リン酸化合物は構造1aまたは1bを有する、請求項3に記載の光センサ。
  7. 前記ポリペプチドは、配列番号2のポリペプチドからなる、請求項3に記載の光センサ。
  8. 前記ポリペプチドは、コリンエステラーゼまたはそのフラグメントである、請求項3に記載の光センサ。
  9. 前記コリンエステラーゼは、哺乳動物のアセチルコリンエステラーゼである、請求項8に記載の光センサ。
  10. 前記有機リン酸化合物は、表1の有機リン酸系農薬またはその代謝物である、請求項8に記載の光センサ。
  11. 前記抗体はポリクローナルまたはモノクローナル抗体である、請求項1に記載の光センサ。
  12. 前記バイオマーカーはポリペプチドおよびリン含有部分からなり、前記リン含有部分は、有機リン酸化合物から誘導され、かつ前記バイオポリマー材料は、ポリ−ジ−アセチレンバイオポリマーフィルムである、請求項11に記載の光センサ。
  13. 前記有機リン酸化合物は、有機リン酸系農薬である、請求項12に記載の光センサ。
  14. 前記バイオポリマー材料の光学特性の前記検出可能な変化は蛍光発光である、請求項13に記載の光センサ。
  15. バイオポリマー支持体および非共有結合によって支持体に固定化された請求項1に記載の光センサを含んでなる、光センサモジュール。
  16. 前記バイオポリマー支持体は、ガラス支持体またはマイクロタイタープレートの壁であり、かつ前記バイオポリマーは、ジ−アセチレンバイオポリマーフィルムであり、かつ前記バイオポリマーは、疎水性支持体に非共有結合する、請求項15に記載の光センサモジュール。
  17. パッケージング材料、バイオセンサデバイスに使用するのに適切な光センサモジュール、およびセンサモジュールがバイオセンサデバイスに使用するためのものであることを示すラベルを含んでなる、製品。
  18. 請求項2に記載の光センサおよび前記光センサが固定化される前記マイクロタイタープレートの壁を含んでなる、光センサモジュールの機械的アドレス指定可能なアレイ。
  19. (a)バイオマーカーを含有するかまたは含有することが疑わしい生物学的液体を、請求項1に記載の光センサに適用する工程と、
    (b)uv−visスペクトルの波長を有する入射光を、前記光センサの前記バイオポリマー材料に指向させる工程と、
    (c)前記バイオポリマー材料の光学特性の変化を決定する工程と
    を含んでなる、バイオマーカーを検出する方法。
  20. 請求項15に記載の光センサモジュールを含んでなる、バイオセンサデバイス。
  21. 蛍光検出器システムをさらに含んでなる、請求項20に記載のバイオセンサデバイス。
  22. 液体ハンドリングシステムをさらに含んでなる、請求項21に記載のバイオセンサデバイス。
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