JP2011256295A - 熱硬化性樹脂組成物並びにプリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱硬化性樹脂に、二次粒子の平均粒子径が20〜40μmの窒化アルミニウムと、一次粒子の平均粒子径が異なる2種類の酸化アルミニウムとを含有させる。そして、前記熱硬化性樹脂固形分と窒化アルミニウムと酸化アルミニウムとの合計体積に対し、窒化アルミニウムを35〜60体積%、酸化アルミニウムを30〜45体積%で用いる。さらに、前記酸化アルミニウムの一次粒子の平均粒子径が、0.1μm以上3μm未満のもの(a群)と、3μm以上20μm未満のもの(b群)とで構成される。
【選択図】 なし
Description
本発明に係る積層板は、上述のプリプレグの層を一部ないし全部として加熱加圧成形してなるものである(請求項3)。
また、平均粒子径は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」)を用いて測定したものである。ここで、レーザー回折・散乱法とは、充填材粒子にレーザー光を照射したとき、粒子径により散乱光の強度パターンが変化することを利用した測定法である。
また、酸化アルミニウムの平均粒子径がそれぞれ上記の範囲より大きいと、無機充填材粒子の間に隙間が生じやすくなり、そのため、硬化物中にボイドが発生し、熱伝導率が向上しない。なお、窒化アルミニウムの平均粒子径が40μmを超えると、吸湿しやすくなるため吸湿後の絶縁特性が低下する。
窒化アルミニウムの含有量が35体積%より小さいと十分な熱伝導率が得られず、60体積%より大きいと吸湿後の絶縁特性が低下する。また、樹脂組成物の粘度が高くなり繊維基材への含浸性が悪化する。また、酸化アルミニウムの含有量が30体積%より小さいと十分な熱伝導率が得られず、45体積%より大きいと樹脂組成物の粘度が高くなり繊維基材への含浸性が悪化する。
本発明に使用できる繊維基材は、ガラス繊維や有機繊維の織布や不織布であり、特に限定するものではない。例えば、ガラス繊維織布を使用することができる。ガラスの種類は強度や電気特性が良好なEガラスが好ましい。また、ワニスの含浸には目空き量の大きいものが好ましいため、開繊処理されていないガラス繊維織布がよい。
本発明に係るプリプレグによる絶縁層を備えたプリント配線板やアルミベース基板は、実装部品や制御回路から発生した熱が絶縁層を介して反対面に配置した銅箔ないし銅板やアルミニウム板に伝わり熱放散される。
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。尚、「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH3,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式2)において、m=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
次に、硬化剤としてフェノールノボラック系硬化剤(DIC製「LF6161」,水酸基当量120)25部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
(a)窒化アルミニウムa(古河電子製「FAN−f30」,二次粒子の平均粒子径:30μm)468部(熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中の35体積%に相当、以下体積%のみ表記する)
(b)酸化アルミニウムb(住友化学製「AA−04」,一次粒子の平均粒子径:0.4μm)272部(17体積%)
(c)酸化アルミニウムc(住友化学製「AA−18」,一次粒子の平均粒子径:18μm)321部(20体積%)
なお、平均粒子径が異なる2種類の酸化アルミニウムの含有比率は、酸化アルミニウムの合計体積に対し、0.1μm以上3μm未満のもの(a群)が46体積%、3μm以上20μm未満のもの(b群)が54体積%である。
作製したプリプレグ4枚とその両側に18μm銅箔(福田金属製「CF−T9C」)を配置し、温度175℃、圧力25MPaの条件で90分間加熱加圧形成して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。
なお、無機充填材の平均粒子径は、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」を用いて測定した。
厚さ方向の熱伝導率:積層板から50mm×50mmの板状試料を切り出し、定常法に準拠して室温で測定した。
素子発熱温度:実使用に近い放熱性評価として、板状試料を放熱板へグリース接着させ、板状試料に実装したヒータチップに60Wの電力を入力した時のヒータチップ温度を測定した。実施例1を標準として、以下に説明する各例の板状試料を相対評価した。実施例1のヒータ温度に対して150%以上の温度になる場合を「×」、110以上150%未満の温度になる場合を「△」、110%未満の温度になる場合を「○」とした。
耐湿絶縁性:85℃−85%の恒温恒湿槽中に板状試料を入れて50Vの電圧をかけ、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。そのとき1×1010Ω以上であれば「○」、1×1010Ω未満であれば「×」とした。
実施例1においては、積層板の熱伝導率、素子発熱温度、耐湿絶縁性共に良好であった。
実施例1において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の含有量を65体積%、酸化アルミニウムb「AA−04」の含有量を3体積%、酸化アルミニウムc「AA−18」の含有量を4体積%とする以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
比較例1においては、窒化アルミニウムの含有量を多くしたことにより、樹脂組成物の粘度が高くなりガラス繊維基材への含浸性が悪化した。このため、積層板中にボイドが発生し、熱伝導率は4.5W/m・Kと低下した。また、耐湿絶縁性も大きく低下した。
実施例1において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の含有量を45体積%、酸化アルミニウムb「AA−04」の含有量を12体積%、酸化アルミニウムc「AA−18」の含有量を15体積%とする以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
なお、平均粒子径が異なる2種類の酸化アルミニウムの含有比率は、酸化アルミニウムの合計体積に対し、0.1μm以上3μm未満のもの(a群)が44体積%、3μm以上20μm未満のもの(b群)が56体積%である。
実施例2においては、窒化アルミニウムの含有量を増やしたことにより、熱伝導率は向上し、その他の特性も機能上問題ない範囲であった。
実施例1において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の含有量を60体積%、酸化アルミニウムb「AA−04」の含有量を5体積%、酸化アルミニウムc「AA−18」の含有量を7体積%とする以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
なお、平均粒子径が異なる2種類の酸化アルミニウムの含有比率は、酸化アルミニウムの合計体積に対し、0.1μm以上3μm未満のもの(a群)が42体積%、3μm以上20μm未満のもの(b群)が58体積%である。
実施例3においては、窒化アルミニウムの含有量を増やしたことにより、熱伝導率は向上し、その他の特性も機能上問題ない範囲であった。
実施例2において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の代わりに、窒化アルミニウムd(古河電子製「FAN−f30」を分粒し、二次粒子の平均粒子径を20μmとしたもの)を用いる以外は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例4においては、窒化アルミニウムの二次粒子の平均粒子径を小さくしたことにより、熱伝導率及び素子発熱温度は若干低下したが、機能上問題ない範囲であった。
実施例2において、酸化アルミニウムc「AA-18」の代わりに、酸化アルミニウムe(電気化学工業製「DAW−07」,一次粒子の平均粒子径:7μm)を用いる以外は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例5においては、酸化アルミニウムの平均粒子径を小さくしたことにより、熱伝導率及び素子発熱温度は若干低下したが、機能上問題ない範囲であった。
実施例5において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の代わりに、窒化アルミニウムd(古河電子製「FAN−f30」を分粒し、二次粒子の平均粒子径を20μmとしたもの)を用いる以外は、実施例5と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
実施例6においては、窒化アルミニウムの二次粒子の平均粒子径を小さくしたことにより、熱伝導率及び素子発熱温度は若干低下したが、機能上問題ない範囲であった。
実施例1において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の含有量を30体積%、酸化アルミニウムb「AA−04」のの含有量を19体積%、酸化アルミニウムc「AA−18」の含有量を23体積%とする以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び積層板を得た。
比較例2においては、窒化アルミニウムの含有量を実施例1より更に減らしたことにより、熱伝導率が5.5W/m・Kと大幅に低下し、素子発熱温度も大幅に低下した。
実施例2において、酸化アルミニウムc「AA−18」の代わりに、酸化アルミニウムf(マイクロン製「A35−01」,一次粒子の平均粒子径:32μm)を用いる以外は、実施例2と同様にしてプリプレグ及び積層板を得た。
比較例3においては、平均粒子径の大きな酸化アルミニウムf「A35−01」を混合したことにより、積層板中にボイドが発生し、実施例2と比較して熱伝導率、素子発熱温度が大幅に低下した。また耐湿絶縁性も大幅に低下した。
実施例2において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の代わりに、窒化アルミニウムg(古河電子製「FAN−f50」、二次粒子の平均粒子径:50μm)を用いる以外は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
比較例4においては、窒化アルミニウムの二次粒子の平均粒子径を大きくしたことにより、熱伝導率は7.9W/m・Kと良好であったが、耐湿絶縁性が大幅に低下した。
実施例2において、窒化アルミニウムa「FAN−f30」の代わりに、窒化アルミニウムh(古河電子製「FAN−f05」、平均粒子径:5μm)を用いる以外は、実施例2と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
比較例5においては、窒化アルミニウムの二次粒子の平均粒子径を実施例4より更に小さくしたことにより、熱伝導率は5.5W/m・Kと大幅に低下した。また耐湿絶縁性も大幅に低下した。
実施例2において、酸化アルミニウムc「AA−18」の含有量を12体積%、酸化アルミニウムf「A35−01」の含有量を15体積%とする以外は、実施例2と同様にしてプリプレグ及び積層板を得た。
比較例6においては、平均粒子径の大きな酸化アルミニウムf「A35−01」を混合したことにより、積層板中にボイドが発生し、実施例2と比較して熱伝導率、素子発熱温度が大幅に低下した。また耐湿絶縁性も大幅に低下した。
Claims (3)
- 熱硬化性樹脂に、二次粒子の平均粒子径が20〜40μmの窒化アルミニウムと、一次粒子の平均粒子径が異なる2種類の酸化アルミニウムとを含有させ、前記熱硬化性樹脂固形分と窒化アルミニウムと酸化アルミニウムとの合計体積に対し、窒化アルミニウムを35〜60体積%、酸化アルミニウムを30〜45体積%で用い、前記酸化アルミニウムの一次粒子の平均粒子径が、0.1μm以上3μm未満のもの(a群)と、3μm以上20μm未満のもの(b群)で構成される熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸し乾燥してなるプリプレグ。
- 請求項2記載のプリプレグを加熱加圧成形してなる積層板。
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