JP2013155265A - 加熱加圧成形用プリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物をガラス不織布基材に含浸し乾燥してなる加熱加圧成形用プリプレグであって、前記熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導率が0.5W/m・K以上であり、前記ガラス不織布基材は、厚みが100μm以下である。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された樹脂組成物は、無機充填材を高充填すると樹脂の流れ性が悪化することから、これをプリプレグ化して、配線板を多層化する場合の層間接着層に使用すると、例えば、70μmを超えるような大きな段差を埋めることができない(前記段差を埋めることを「回路埋め性」という。以下同。)という問題がある。このため、層間接着界面にクラックやボイドが発生し、絶縁特性が低下する原因となっていた。
また、好ましくは、さらに、平均粒径が0.001〜0.05μmの潤滑材を含有し、熱硬化性樹脂固形分に対して、潤滑材の含有量が、2質量%以下である(請求項4)。
本発明に係る積層板は、上述のプリプレグの層を含む積層構成体を加熱加圧成形してなるものである(請求項5)。
ここで、ガラス不織布基材の厚みの測定は、直径10mmφ、押圧19.6kPaのダイヤルゲージを用いて6点測定し、その平均値を求めた。
なお、前記平均粒径は、公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」)を用いて測定したものである。ここで、レーザー回折・散乱法とは、充填材粒子にレーザー光を照射したとき、粒子径により散乱光の強度パターンが変化することを利用した測定法である。
また、成分(c)は、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛等を使用することができる。粒子の形状が球状であれば流動性が向上するため好ましい。
上記の配線板は、絶縁層の熱伝導性が良好で優れた放熱性を有するので、自動車機器用の配線板や、パソコン等の高密度実装配線板、インバータ等の絶縁材料に好適である。
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。尚、「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH3,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式1)において、R=−H,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)25部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
なお、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、90:10であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、75:25であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に30体積%である。
作製したプリプレグ2枚とその両側に厚さ70μm銅箔(CF−T9C、福田金属製)を配置し、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化し、厚さ0.2mmの積層板を得た。
また、上記積層板の銅箔をエッチングにて回路加工した内層用回路板を準備する。その内層用回路板の両側に、上記のプリプレグ1枚と厚さ35μmの銅箔をこの順序で配置し、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成形して一体化し、多層の回路板とした(但し、表面の銅箔は回路に未加工)。
なお、無機充填材の平均粒径は、日機装株式会社製「マイクロトラックSPA−7997型」を用いて測定した。
回路埋め性:多層の回路板の内層回路と樹脂の界面にクラックやボイドが入らず、かつ厚さ方向の熱伝導率が7W/m・K以上であれば「◎」、回路と樹脂の界面にクラックやボイドが入らず、かつ厚さ方向の熱伝導率が7W/m・K未満であれば「○」、回路と樹脂の界面にクラックやボイドが見られるものを「×」とした。なお、エポキシ樹脂ワニスの増粘などで、プリプレグや積層板が作製できなかったものは「−」とした。
厚さ方向の熱伝導率:上記の積層板から10mm×10mmの板状試料を切り出し、キセノンフラッシュ法(ASTM E1461)に準拠して室温で測定した。なお、エポキシ樹脂ワニスの増粘などで、プリプレグや積層板が作製できなかったものは「−」とした。
耐湿絶縁性:85℃−85%の恒温恒湿槽中に板状試料を入れて50Vの電圧をかけ、1000時間経過後の絶縁抵抗を測定した。そのとき1.0×1010Ω以上であれば「○」、1.0×1010Ω未満であれば「×」とした。なお、エポキシ樹脂ワニスの増粘などで、プリプレグや積層板が作製できなかったものは「−」とした。
フィルドビア充填性:作製した多層の回路板にレーザー加工にてφ0.3mmのビアホールをあけ、ビアフィルめっき法によるビアホール内部へのめっき金属の充填性を評価した。ビアホール内部が完全に充填されていれば「○」、充填できていない場合は「×」とした。
実施例1において、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比、及び無機充填材の総含有量を、それぞれ表1に示すように変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。
なお、実施例2では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、70:30であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、75:25であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に30体積%である。
実施例3では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、90:10であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、60:40であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に30体積%である。
実施例4では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、70:30であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、60:40であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に30体積%である。
実施例5では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、90:10であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、75:25であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に80体積%である。
実施例6では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、70:30であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、75:25であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に80体積%である。
実施例7では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、90:10であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、60:40であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に80体積%である。
実施例8では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、70:30であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、60:40であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に80体積%である。
実施例8において、成分(b)として、アルミナ「AA−3」の代わりに、粒子状の無機充填材である水酸化アルミニウム(住友化学製「C−302A」,平均粒径2.0μm,熱伝導率3.0W/m・K,粒子形状:粒子状)358部(22.4体積%に相当)を使用する以外は、実施例8と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。
実施例9では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、70:30であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、60:40であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に80体積%である。
実施例8において、成分(b)として、アルミナ「AA−3」の代わりに、粒子状の無機充填材であるシリカ(龍森製「B−21」,平均粒径5μm,熱伝導率1.2W/m・K,粒子形状:粒子状)302部(22.4体積%に相当)を使用する以外は、実施例8と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。
実施例10では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、70:30であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、60:40であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に80体積%である。
実施例5において、潤滑材として、シリカ(シーアイ化成製「ナノテック」,平均粒径25nm,熱伝導率1.2W/m・K)またはアルミナ(シーアイ化成製「ナノテック」,平均粒径31nm,熱伝導率30W/m・K)を添加する以外は、実施例5と同様にして、積層板および多層の回路板を得た。それぞれ添加量は表1に示すように変えた(実施例11〜14)。
なお、実施例11では、潤滑材の含有量は、熱硬化性樹脂固形分に対して0.5質量%である。
実施例12では、潤滑材の含有量は、熱硬化性樹脂固形分に対して2.0質量%である。
実施例13では、潤滑材の含有量は、熱硬化性樹脂固形分に対して0.5質量%である。
実施例14では、潤滑材の含有量は、熱硬化性樹脂固形分に対して2.0質量%である。
実施例1において、「YL6121H」の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP828」,エポキシ当量185)を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、1.8W/m・Kであり、実施例1より熱伝導率は低下したが、回路埋め性、耐湿絶縁性、フィルドビア充填性共に良好であった。
実施例5において、エポキシ樹脂モノマ「YL6121H」の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP828」,エポキシ当量185)を用いる以外は実施例5と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、4.5W/m・Kであり、実施例5より熱伝導率は低下したが、回路埋め性、耐湿絶縁性、フィルドビア充填性共に良好であった。
実施例1において、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に占めるアルミナの割合を、25体積%に変えたエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。
なお、比較例1では、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比は、90:10であり、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比は、80:20であり、無機充填材の総含有量は、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に25体積%である。
比較例1において、成分(b)として、アルミナ「AA−3」の代わりに、粒子状の無機充填材である水酸化アルミニウム(住友化学製「C−302A」,平均粒径2.0μm,熱伝導率3.0W/m・K,粒子形状:粒子状)またはシリカ(龍森製「B−21」,平均粒径5μm,熱伝導率1.2W/m・K)を表3のように使用する以外は、比較例1と同様にしてプリプレグ、積層板および多層の回路板を得た。
実施例1において、「EPM−006」の代わりに、厚さ400μmのガラス不織布(オリベスト製「SYS−068」,質量:68g/m2)を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、3.5W/m・Kであり、回路埋め性や耐湿絶縁性は良好なものの、絶縁層が厚いためにフィルドビア充填性が不十分であった。
実施例5において、「EPM−006」の代わりに、厚さ400μmのガラス不織布(オリベスト製「SYS−068」,質量:68g/m2)を用いる以外は実施例5と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。この積層板の厚さ方向の熱伝導率は、7.0W/m・Kであり、回路埋め性や耐湿絶縁性は良好なものの、絶縁層が厚いためにフィルドビア充填性が不十分であった。
Claims (5)
- 無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物をガラス不織布基材に含浸し乾燥してなる加熱加圧成形用プリプレグであって、前記熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導率が0.5W/m・K以上であり、前記ガラス不織布基材は、厚みが100μm以下であることを特徴とする加熱加圧成形用プリプレグ。
- 請求項1において、前記無機充填材は、平均粒径が10μm以上70μm以下の成分(a)と、平均粒径が1μm以上10μm未満の成分(b)と、平均粒径が0.1μm以上1μm未満の成分(c)とで構成され、成分(a)と成分(b)との合計体積と、成分(c)の体積との体積比が、90:10〜70:30であり、熱硬化性樹脂固形分と無機充填材を合わせた体積中に、無機充填材の総含有量が、30〜80体積%であることを特徴とする加熱加圧成形用プリプレグ。
- 請求項2において、成分(a)の体積と成分(b)の体積との体積比が、75:25〜60:40である加熱加圧成形用プリプレグ。
- 請求項2又は3において、さらに、平均粒径が0.001〜0.05μmの潤滑材を含有し、熱硬化性樹脂固形分に対して、潤滑材の含有量が、2質量%以下である加熱加圧成形用プリプレグ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグの層を含む積層構成体を加熱加圧成形してなる積層板。
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