JP2011255310A - 成形吸着体および浄水材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性炭を主成分とする瀘材を、繊維状バインダーにて成形してある成形吸着体であって、活性炭が、体積基準モード径が20μm以上100μm以下の微粒子状活性炭であり、繊維状バインダーが、フィブリル化により瀘水度20mL以上100mL以下とした繊維材料を主成分とする。
【選択図】図1
Description
上記目的を達成するための本発明の成形吸着体の特徴構成は、活性炭を主成分とする瀘材を、繊維状バインダーにて成形してある成形吸着体として、前記活性炭が、体積基準モード径が20μm以上100μm以下の微粒子状活性炭であり、前記繊維状バインダーが、フィブリル化により瀘水度20mL以上100mL以下とした繊維材料を主成分とするものである点にある。
本発明者らは、前記成形吸着体の成形体強度および濾過抵抗が、前記繊維状バインダーの使用量のみならず、前記繊維状バインダーの個々の形状にもよることを見出し、かつ、前記繊維状バインダーの形状に関与してフィブリル化の度合いを適切に設定することによって、微小な瀘材であっても脱落を生じさせにくい状態で、強固にかつ濾過抵抗を低く成形することができることを実験的に明らかにした。つまり、前記繊維状バインダーをフィブリル化により瀘水度20mL以上100mL以下、より好ましくは、瀘水度40mL以上80mL以下とした繊維材料を主成分とするものとしておくことにより、体積基準モード径が20μm以上100μm以下の微粒子状活性炭であっても、脱落を生じさせにくい状態で、強固にかつ濾過抵抗を低く(浄水材として使用する場合の通水性を高く)成形することができることが明らかになった。
また、成形吸着体には前記繊維状バインダーを4質量%〜10質量%含有することが望ましい。
つまり、上記成形吸着体において、繊維状バインダーの使用量が少なすぎると、成形吸着体の成形強度の低下を招来するので、成形吸着体に対して4質量%以上含有させておくことが好ましく、繊維状バインダーの使用量が多すぎると、吸着性能が低下する原因となることと、濾過抵抗の悪化の原因となることなどから、10質量%以下としておくことが好ましい。
また、前記微粒子状活性炭が、ヨウ素吸着量900mg/g以上1300mg/g以下
の吸着性能を有するものとすることが望ましい。
つまり、前記微粒子状活性炭の吸着能力は高いほど好ましいわけであるが、除去対象物質によって、最適なヨウ素吸着量の微粒子状活性炭を選定する必要がある。例えばクロロホルムの除去にはヨウ素吸着量の低い微粒子状活性炭が適しており、残留塩素の除去にはヨウ素吸着量の大きい微粒子状活性炭が適していることから、微粒子状活性炭のヨウ素吸着量は900mg/g以上1300mg/g以下とすることが好ましい。
また、前記瀘材が粒状活性炭に加え、銀添着粒状活性炭、繊維状活性炭、珪酸チタニウム、ゼオライト、イオン交換繊維から選ばれる少なくとも1種の成分を含有することができる。
即ち、成形吸着体は、種々用途にて用いられるが、その用途に応じた特定の除去可能な物質や、要求性能が明らかな場合に、その除去対象物質の除去可能な物質や、要求性能を向上させることができる物質を含有させておくことによって、前記種々用途において有用な成形吸着体としておくことができる。
また、前記繊維状バインダーが、アクリル繊維もしくはセルロース繊維からなることが好ましい。
繊維状バインダーとしては、従来公知の方法によりフィブリル化できるものであれば、合成品、天然品を問わず幅広く使用可能である。このようなフィブリル化繊維としては、例えば、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維などを挙げることができる。この中で、アクリル繊維は特に成形体強度を高める上で好適に用いることができ、セルロース繊維は、成形体密度を上げる上で好適に用いることができ、さらに、これらを混合して用いてもよく、成形吸着体の好適な成形体強度および濾過抵抗を実現することができる。
前記繊維状バインダーとして使用するアクリル繊維が、平均繊維長0.7mm以上2mm以下であることが好ましく、また、繊維状バインダーが、平均繊維長0.7mm以上2mm以下のアクリル繊維単独または、同アクリル繊維に対し平均繊維長0.2mm以上2mm以下のセルロース繊維の混合体であり、この繊維状バインダーを4質量%〜10質量%含む成形吸着体であることが好ましい。
具体的にアクリル繊維としては、平均繊維長0.7mm以上2mm以下のものが好適に用いられる。平均繊維長が短すぎると成形体強度が十分になりにくく、逆に、長すぎると成形作業性が低下するからである。
また、本発明の浄水材の特徴構成は、上述の成形吸着体を、外径10mm以上80mm以下、内径5mm以上30mm以下の中空円筒状に成形してなる点にある。
つまり、前記成形吸着体を成形するに、細径長尺の中空円筒状に成形すれば、このような成形吸着体は、蛇口近傍の水道管の内部に装着することができる形態となる。このような形態の成形吸着体としては、従来強度の不十分なもの、あるいは、濾過抵抗の大きすぎるものしか知られていなかったが、本発明の成形吸着体を採用すると、上述の寸法に成形したとしても、十分な強度および通水性を発揮するため、蛇口近傍の水道管に装着する、あるいは、前記成形吸着体を浄水材として内装したユニットを水栓や蛇口に装着する等の形態で家庭用浄水材として、簡易に導入することのできる浄水材を提供することができる。
尚、前記成形吸着体を、成形体密度0.2g/mL以上 0.5g/mL以下で成形することが好ましい。
即ち、成形体密度0.2g/mL以上で成形することにより、十分強い成形体強度(破断強力)を有し、かつ、取り扱い性が高く、かつ、耐久性が高い成形吸着体を得ることができ、成形密度0.5g/mL以下で成形することにより、十分低い濾過抵抗を有する成形吸着体を得ることができる。
また、前記成形吸着体を、通水圧力損失が0.1MPa以下で破断強力4N以上に成形してあることが好ましい。
即ち、通水圧力損失が0.1MPa以下で破断強力4N以上に成形してあることにより、前記成形吸着体は、一般家庭の水道配管の水圧にて十分通水することができ、かつ、一般家庭の水道管の振動や、衝撃、水撃にも耐える強度を備えるので家庭用の浄水器に用いられる汎用性が高く耐久性に優れた浄水材として好適に用いることができる。
前記活性炭としては、体積基準モード径が20μm以上100μm以下の微粒子状活性炭を主成分とするものが用いられ、前記繊維状バインダーとしては、フィブリル化により瀘水度40mL以上80mL以下とした繊維材料を主成分とするものが用いられる。
○アクリル繊維(以下アクリル繊維Aとする。他も同様)
東洋紡社製ビィパル(商品名)
平均繊維長 ;1.03mm
濾水度 ; 47〜70mL
平均繊維長 ;0.3mm
濾水度 ;2〜6mL
○微粒子状活性炭(活性炭W)
日本エンバイロケミカルズ社製WHA60/140N(粒状活性炭)
体積基準モード径;225μm
ヨウ素吸着量 ;1100〜1300mg/g
日本エンバイロケミカルズ社製TC−20N(粒状活性炭)
体積基準モード径37μm
ヨウ素吸着量900〜1300mg/g
日本エンバイロケミカルズ社製TC−50N(粒状活性炭)
体積基準モード径76μm
ヨウ素吸着量900〜1300mg/g
クラレケミカル社製MAP60/200T
体積基準モード径155μm
アドール社製H15
繊維径13μm
窒素吸着によるBET比表面積1700m2/g
尚、ACF-Hを用いる場合、あらかじめ平均繊維長0.05〜1mmのチョップにカットしておいたものを利用した。
○濾水度
JISP8121「パルプの濾水度試験方法」カナダ標準型に準じた。
乾燥後の重量を見かけ体積で除して求めた。
0.06L/min/cm2で通水したときの通水時圧力損失を求めた。表1においては、いずれも1000L通水後においても変化は無かった。
成形吸着体から幅27.5mm、厚さ10mmの試験体を切り出し、3点曲げ試験機に供し、曲げ破断強力を測定した。
・試験条件
試験片27.5mm幅、厚さ10mm
支点間距離70mm 荷重速度20mm/min
70℃にて成形吸着体の静圧が0.75MPaとなるように2秒間通水した後、3秒間通水を停止する。これを1サイクルとして連続で10,000回の通水と停止を繰り返す工程を行い、成形吸着体の劣化を観察した。
JIS S3201「家庭用浄水器試験方法」に規定された除去性能の試験水条件で成形吸着体に1,000L通水し、その時の吸着性能(除去率)を評価した。
瀘材としての活性炭Wに、繊維状バインダーとして濾水度47〜70mLのアクリル繊維Aを10質量%含有させた材料を、質量50倍の水に分散させたスラリーを調製した。このスラリーに、吸引ポンプに連通接続された吸引成形型(型枠内径80mmΦ、100mLの筒状金網)を浸漬し、前記吸引ポンプを駆動して、前記吸引成形型に前記スラリーを流動吸引する。すると、前記吸引成形型の表面に、微粒子状活性炭とアクリル繊維Aとの混合物が堆積した層状体が得られる。この層状体を乾燥硬化させたところ、外径Dが80mmΦ、長さ(高さ)Lが10mmの円柱状体で、密度が、0.36g/mL、通水圧力損失が0.014MPa、曲げ破断強力が27.1Nの成形吸着体が得られた。
参考例1の繊維状バインダーを、濾水度2〜6mLのセルロース繊維Bに替えて同様に成形吸着体を得た。得られた成形吸着体は、密度が、0.39g/mL、通水圧力損失が0.146MPa、曲げ破断強力が10.8Nとなった。
参考例1の繊維状バインダーの使用量を、10質量%から4質量%,7質量%と変更して同様に成形吸着体を得た。得られた成形吸着体は、成形体密度は、あまり変らないものの、繊維状バインダーの使用量減少とともに、通水圧力損失が下がり、曲げ破断強力も低下する傾向にあることがわかった。
次に、参考例1における瀘材を活性炭Aに替えて同様に成形吸着体を得た。得られた成形吸着体は、密度が、0.41g/mL、通水圧力損失が0.127MPa、曲げ破断強力が24.3Nとなった。
実施例2として、参考例1における瀘材を活性炭Bに替えて同様に成形吸着体を得た。得られた成形吸着体は、密度が、0.37g/mL、通水圧力損失が0.041MPa、曲げ破断強力が29.1Nとなった。
実施例3として、参考例1における瀘材を活性炭Aと活性炭Wとの等量混合物に替えて同様に成形吸着体を得た。
実施例4として、参考例1における瀘材を活性炭Bと活性炭Wとの等量混合物に替えて同様に成形吸着体を得た。
実施例5として、参考例1における瀘材を活性炭BとACFHとを質量比58:32で混合した混合物に替えて同様に成形吸着体を得た。
実施例6として、参考例1における瀘材を活性炭Bと鉛除去材Xを質量比86:4で混合した混合物に替えて同様に成形吸着体を得た。
このような他の機能性を有する補助瀘材としては、抗菌活性炭としての銀添着活性炭、鉛除去材としての珪酸チタニウム、ゼオライトのほか、イオン交換樹脂、繊維状活性炭をあげることができる。
実施例7として、参考例1における繊維状バインダーとしてアクリル繊維Aとセルロース繊維の混合物でビーティング処理により濾水度25〜38mLとしたものを用い、同様に成形吸着体を得た。
Claims (10)
- 活性炭を主成分とする瀘材を、繊維状バインダーにて成形してある成形吸着体であって、前記活性炭が、体積基準モード径が20μm以上100μm以下の微粒子状活性炭であり、前記繊維状バインダーが、フィブリル化により瀘水度20mL以上100mL以下とした繊維材料を主成分とするものである成形吸着体。
- 前記繊維状バインダーを4質量%〜10質量%含有する請求項1に記載の成形吸着体。
- 微粒子状活性炭が、ヨウ素吸着量900mg/g以上1300mg/g以下の吸着性能を有する請求項1または2に記載の成形吸着体。
- 瀘材が粒状活性炭に加え、銀添着活性炭、繊維状活性炭、珪酸チタニウム、ゼオライト、イオン交換繊維から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形吸着体。
- 繊維状バインダーが、アクリル繊維もしくはセルロース繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形吸着体。
- 繊維状バインダーとして使用するアクリル繊維が、平均繊維長0.7mm以上2mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形吸着体。
- 前記繊維状バインダーが、平均繊維長0.7mm以上2mm以下のアクリル繊維単独または、同アクリル繊維に対し平均繊維長0.2mm以上2mm以下のセルロース繊維の混合体であり、この繊維状バインダーを4質量%〜10質量%含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形吸着体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形吸着体を、外径10mm以上80mm以下、内径5mm以上30mm以下の中空円筒状に成形してなる浄水材。
- 前記成形吸着体を、成形体密度0.2g/mL以上0.5g/mL以下で成形してある請求項8に記載の浄水材。
- 前記成形吸着体を、通水圧力損失0.1MPa以下で破断強力4N以上に成形してある請求項8または9に記載の浄水材。
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