JPWO2016080241A1 - 吸着フィルター - Google Patents
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Abstract
Description
前記スラリー調製工程において、粉末状活性炭及びフィブリル化繊維状バインダーを、前記活性炭100質量部に対し、フィブリル化繊維状バインダーを4〜10質量部となるように、かつ、固形分濃度が0.1〜10質量%(特に1〜5質量%)になるように、水に分散させたスラリーを調製する。前記スラリーの固形分濃度が高すぎると、分散が不均一になり易く、成型体に斑が生じ易い。一方、固形分濃度が低すぎると、成型時間が長くなり生産性が低下するだけではなく、成型体の密度が高くなり、濁り成分を捕捉することによる目詰りが発生しやすい。
吸引濾過工程では、前記スラリーに多数の穴を有する成型用の型枠を入れて、前記型枠の内側から吸引しながら濾過することにより成型する。成型用の型枠としては慣用の型枠を利用でき、例えば、特許第3516811号公報の図1に記載の型枠などを使用できる。吸引方法としても、慣用の方法、例えば、吸引ポンプなどを用いて吸引する方法などを利用できる。
(乾燥工程)
乾燥工程では、吸引濾過工程で得られた予備成型体を型枠から取り外し、乾燥機などで乾燥することにより成型体を得ることができる。
乾燥温度は、例えば、100〜150℃(特に110〜130℃)程度であり、乾燥時間は、例えば、4〜24時間(特に8〜16時間)程度である。乾燥温度が高すぎると、フィブリル化繊維状バインダーが変質したり溶融して濾過性能が低下したり成型体の強度が低下し易い。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長時間になったり、乾燥が不十分になり易い。
(研削工程)
研削工程では、乾燥した成型体の外表面を研削(又は研磨)できれば、特に限定されず、慣用の研削方法を利用できるが、研削の均一性の点から、成型体自体を回転させて研削する研削機を用いる方法が好ましい。
図1は、成型体自体を回転させて研削するための研削機の一例である。この研削機11は、回転軸12に設置され、成型体20を研削するための円盤状砥石13(砥石の粒度90〜125μm)と、成型体20を固定し、かつ回転させるための回転軸17と、操作盤19とを備えている。前記円盤状砥石13は、モーター14によって回転可能であるとともに、位置が固定されたエアーシリンダー15によって成型体20に対して接触できるように相対的に進退動可能であり、かつ位置が固定されたエアーシリンダー16によって成型体20の長手方向又は軸方向に沿って回転軸12と共に移動可能である。そのため、円盤状砥石13は、成型体20の外表面に接触し、成型体の外表面を研削できるとともに、成型体の外表面を長さ方向に移動することにより、長さ方向で均一に研削できる。一方、回転軸17も、モーター18によって前記円盤状砥石とは逆方向に回転可能である。この研削機では、成型体だけでなく、円盤状砥石を回転させることにより、研削滓の均一性のために、発生する研削滓を除去する必要がなく、生産性を向上できる。
具体的には、回転軸12に設置された直径305mmφ、厚み19mmの円盤状の砥石13に対して平行に設置された回転軸15に成型体20を装着し、研削後に所望の外径(研削深度)と位置に進退動させて固定する。研削深度(研削する厚み)は、粉末状活性炭の中心粒子径に対して、例えば、5〜200倍、好ましくは10〜100倍、さらに好ましくは15〜50倍程度である。研削深度が小さすぎると、研削の効果が得られず、大きすぎると、生産性が低下する。本発明では、研削深度を考慮して、ハウジングのサイズに応じて、ハウジングのサイズよりも所定の厚みが大きい成型体を製造することにより生産性を向上できる。さらに、研削による研削滓の発生も抑制できる上に、発生した研削滓は再利用してもよい。
円盤状砥石の周速度は、例えば、10〜35m/s、好ましくは15〜32m/s、さらに好ましくは18〜30m/s程度である。また、円盤状砥石を回転するための回転軸の回転速度は、例えば、800〜2200rpm、好ましくは1000〜2000rpm、さらに好ましくは1200〜1800rpm程度である。一方、成型体を回転させるための回転軸の回転速度は、例えば、200〜500rpm、好ましくは300〜450rpm程度であってもよい。周速度(回転速度)が小さすぎると、研削するときに成型体が破砕し易い。一方、周速度が大きすぎると、遠心力が高すぎるため、成型体が変形したり、破砕し易い。
円盤状砥石を成型体の長手方向に沿って移動させる移動速度は、例えば、10〜150mm/秒、好ましくは20〜120mm/秒、さらに好ましくは30〜100mm/秒程度であってもよい。移動速度が低すぎると、生産性が低下する。一方、移動速度が大きすぎると、研削面がうねったりして、研削の精度が低下する。
砥石としては、慣用の砥石を利用でき、例えば、アルミナ質系砥石、炭化ケイ素質系砥石、アルミナ質系砥石と炭化ケイ素質系砥石との組み合わせなどが挙げられる。砥粒(砥石の粒度)の大きさは、例えば、30〜600μm、好ましくは40〜300μm、さらに好ましくは45〜180μm程度である。砥粒が粗すぎると、研削表面から粒状活性炭が脱落し易くなる。一方、細かすぎると、研削に時間がかかり、生産性が低下し易い。
砥石と成型体とは、近接及び離反する方向に、相対的に進退動可能に形成されていればよく、砥石及び成型体の少なくとも一方が進退動可能に形成されていてもよい。
砥石と成型体とは、互いに平行軸に取り付けられていればよく、砥石及び成型体の少なくとも一方が軸方向に移動可能(相対的に移動可能)に形成されていてもよい。
なお、研削工程は、前記研削機を用いた方法に限定されず、例えば、回転軸に固定した成型体に対して、固定した平板状の砥石で研削してもよい。この方法では、発生する研削滓が研削面に堆積し易いため、エアブローしながら研削するのが効果的である。
本実施形態の吸着フィルターは、例えば、浄水フィルターなどとして用いられる。浄水フィルターとして使用する場合、例えば、本実施形態の吸着フィルターを上記の製造方法によって製造したのち、整形、乾燥後、所望の大きさおよび形状に切断して得ることができる。フィルターの形を整えるために整形台上で圧縮してもよいが、圧縮しすぎると、活性炭成型体の表面が圧密化することがあるので、最小限に止めるのがよい。さらに必要に応じて、先端部分にキャップを装着したり、表面に不織布を装着させてもよい。
本実施形態の吸着フィルターは、ハウジングに充填して浄水用カートリッジとして使用し得る。カートリッジは浄水器に装填され、通水に供されるが、通水方式としては、原水を全量濾過する全濾過方式や循環濾過方式が採用される。本実施形態において浄水器に装填されるカートリッジは、例えば浄水フィルターをハウジングに充填して使用すればよいが、さらに公知の不織布フィルター、各種吸着材、ミネラル添加材、セラミック濾過材などと組合せて使用することもできる。
湿式粒度分布測定装置(日機装(株)製「マイクロトラックMT3000EX II」)を用いて、レーザー回折・散乱法により体積基準の累計粒度分布における0%粒子径(D0)、及び体積基準の累計粒度分布における50%粒子径(D50)を測定した。
具体的な粒度分布の測定方法を次に示す。
(分散液調整方法)
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(WAKO製)をイオン交換水で50倍に希釈し、測定用の分散液とした。
(サンプル液調製方法)
透過率(TR)が0.880〜0.900になる分量をビーカーに秤り取り、分散液を1.0ml添加し、スパチュラで攪拌後、超純水を約5ml程度加え混合しサンプル液とした。
得られたサンプル液は全量、装置に流し入れ、以下の条件で分析を行った。
(分析条件)
測定回数;3回の平均値
測定時間;30秒
分布表示;体積
粒径区分;標準
計算モード;MT3000II
溶媒名;WATER
測定上限;2000μm、測定下限;0.021μm
残分比;0.00
通過分比;0.00
残分比設定;無効
粒子透過性;吸収
粒子屈折率;N/A
粒子形状;N/A
溶媒屈折率;1.333
DV値;0.0882
透過率(TR);0.880〜0.900
拡張フィルター;無効
流速;70%
超音波出力;40W
超音波時間;180秒
成型体密度(g/ml)は、得られた円筒状フィルターを120℃で2時間乾燥した後、測定した重量(g)及び体積(ml)に基づいて求めた。
吸着フィルターに、施例1〜10および比較例1〜6においては空間速度(SV)が3000/hr、つまり3リットル/分の通水量で通水開始10分後の通水抵抗を測定した。実施例11においては、空間速度(SV)が2000/hr、つまり2リットル/分の通水量、実施例12においては、空間速度(SV)が5000/hr、つまり5リットル/分の通水量で通水開始10分後の通水抵抗を測定した。なお初期通水抵抗については、0.10MPa以下を合格点とした。
引張・圧縮試験機((株)オリエンテック製「テンシロンRTC−1210A」)を用いて、円筒状フィルターの長手方向(たて)と外周方向(よこ)に速度2mm/分で圧力を掛けて圧壊強度を測定した。圧壊強度については、たて200N以上、よこ80N以上を合格点とした。
遊離残留塩素ろ過能力については、JIS S3201(2010)に準拠、実施例1〜10および比較例1〜6においては通水量を3リットル/分に設定し通水したときの80%破過ライフを測定した(原水遊離残留塩素濃度2.0mg/L)。なお、実施例11においては、空間速度(SV)が2000/hr、つまり2リットル/分、実施例12においては、空間速度(SV)が5000/hr、つまり5リットル/分の通水量での80%破過ライフを測定した。なお遊離残留塩素ろ過能力については、60L/cc以上を合格点とした。
総トリハロメタンろ過能力についても、遊離残留塩素と同様にして測定した(原水総トリハロメタン濃度100μg/L)。総THMろ過能力については、13L/cc以上を合格点とした。
日本ベル社製BELSORP−28SAを使用し、活性炭の77Kにおける窒素吸着等温線を測定した。得られた吸着等温線からBETの式により多点法による解析を行い、得られた曲線の相対圧p/p0=0.001〜0.1の領域での直線から比表面積を算出した。
(粒状活性炭)
粒状活性炭の製造方法を記載するが必要な物性を満足すれば特に限定されるものではない。
・粉末状活性炭サンプル1:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル2:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル3:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル4:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル5:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル6:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル7:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル8:ヤシ殻原料
・粉末状活性炭サンプル9:ヤシ殻原料
粒状活性炭Aを活性炭サンプル1は、D50値が15μmになるように、活性炭サンプル2はD50値が20μm、活性炭サンプル3はD50値が90μm、活性炭サンプル4はD50値が100μmになるようにボールミルで粉砕し、乾式分級装置を用いて微粉末を取り除き、所定のD0の値を得た。
粒状活性炭Bを活性炭サンプル5は、D50値が120μmになるように、活性炭サンプル6はD50値が20μmになるようにボールミルで粉砕し、乾式分級装置を用いて微粉末を取り除き、所定のD0の値を得た。
活性炭サンプル7は、粒状活性炭AをD50値が20μmになるようにボールミルで粉砕し、微粉末の除去は行わなかった。また、活性炭サンプル8は粒状活性炭AをD50値が150μmになるようにボールミルで粉砕し、乾式分級装置を用いて微粉末を取り除き、所定のD0の値を得た。
活性炭サンプル9は、粒状活性炭Aを、D50値が10μmになるように、ボールミルで粉砕し、乾式分級装置を用いて微粉末を取り除き、所定のD0の値を得た。
・アクリル繊維状バインダー:CSF値92〜120ml
・セルロース繊維状バインダー1:CSF値30ml以下
・セルロース繊維状バインダー2:CSF値190ml〜250ml
それぞれ、下記表1に示す活性炭サンプル(実施例7、8、10〜12ではそれぞれ2種の活性炭サンプルを表に示す割合で混合している)100質量部に対し、アクリル繊維状バインダーとセルロース繊維状バインダーとでCSFを調整した繊維状バインダーを下記表1に示す質量部で合計1.2kg投入し、水道水を追加して、スラリー量を20リットルとした。
表1から明らかなように、実施例に係る吸着フィルターはいずれも、抵抗が低く、強度に優れ、遊離残留塩素および総トリハロメタンの濾過能力に非常に優れていることがわかった。特に、活性炭のD50が40〜90μmであった実施例2〜8では、通水抵抗が適度に低く、吸着性能により優れていた。また、実施例11および12の結果より、空間速度(SV)を低くしても、高くしても、優れた吸着性能が得られることも示された。
湿式粒度分布測定装置(日機装(株)製「マイクロトラックMT3U3300EX II」)を用いて、レーザー回折・散乱法により体積基準の累計粒度分布における0%粒子径(D0)、及び体積基準の累計粒度分布における50%粒子径(D50)を測定した。
具体的な粒度分布の測定方法を次に示す。
(分散液調整方法)
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(WAKO製)をイオン交換水で50倍に希釈し、測定用の分散液とした。
(サンプル液調製方法)
透過率(TR)が0.880〜0.900になる分量をビーカーに秤り取り、分散液を1.0ml添加し、スパチュラで攪拌後、超純水を約5ml程度加え混合しサンプル液とした。
得られたサンプル液は全量、装置に流し入れ、以下の条件で分析を行った。
(分析条件)
測定回数;3回の平均値
測定時間;30秒
分布表示;体積
粒径区分;標準
計算モード;MT3000II
溶媒名;WATER
測定上限;2000μm、測定下限;0.021μm
残分比;0.00
通過分比;0.00
残分比設定;無効
粒子透過性;吸収
粒子屈折率;N/A
粒子形状;N/A
溶媒屈折率;1.333
DV値;0.0882
透過率(TR);0.880〜0.900
拡張フィルター;無効
流速;70%
超音波出力;40W
超音波時間;180秒
Claims (5)
- 活性炭とフィブリル化繊維状バインダーとを含む吸着フィルターであって、
前記活性炭は、体積基準の累計粒度分布における0%粒子径(D0)が9μm以上であり、かつ、体積基準の累計粒度分布における50%粒子径(D50)が30〜110μmであり、
前記フィブリル化繊維状バインダーのCSF値が10〜150mLであり、
前記活性炭100質量部に対して、前記フィブリル化繊維状バインダーを4〜10質量部含む、吸着フィルター。 - 前記活性炭の体積基準の累計粒度分布における50%粒子径(D50)が35〜100μmである、請求項1記載の吸着フィルター。
- 前記活性炭のベンゼン吸着量が25〜60質量%である、請求項1又は2に記載の吸着フィルター。
- 前記活性炭のベンゼン吸着量が25〜40質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の吸着フィルターを用いた、VOC吸着フィルター。
- 前記活性炭のベンゼン吸着量が45〜60質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の吸着フィルターを用いた、遊離残留塩素、農薬又は黴臭除去フィルター。
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