JP6370130B2 - 成形吸着体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形吸着体の製造方法に関し、特に、材料スラリーを用いて湿式成形により成形吸着体を作製する製造方法に関する。
従来、浄水器に用いられる吸着体として、吸着材に活性炭を用いた成形吸着体が提案されている。このような成形吸着体の製造方法において、成形方法には材料スラリーを用いた湿式成形が採用されている。例えば、特許文献1には、活性炭繊維と熱溶融性合成樹脂を含み、活性炭繊維100重量部に対する熱溶融性合成樹脂の含有量が0.2重量部以上40重量部以下である均一なスラリーを、多数の吸引用小孔を有する成形型で吸引成形し、脱水した後、加熱することによって、活性炭繊維が熱溶融性合成樹脂によりランダムに接合保持された抄紙構造を有する立体構造の一体的に成形された成形吸着体の製造方法が提案されている(特許文献1(請求項1)参照)。
特公平5−55183号公報
特許文献1に記載されているような湿式成形では、材料を分散させる溶媒には水が採用されている。成形吸着体に使用される材料(繊維状バインダー、活性炭など)は、その密度が水の密度よりも高く、水に分散させても放置していると容易に沈降する。そのため、調製した材料スラリーについて、材料の沈降を抑制するためには、常に強い力で攪拌しておく必要がある。一方、吸引成形を行う際には、成形物の型崩れを防止するため、攪拌力を弱める必要がある。しかし、攪拌力を弱めると材料が徐々に沈降してしまうため、成形吸着体の連続生産が困難となる。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、材料スラリーを用いた湿式成形により成形吸着体を作製する製造方法において、材料スラリー中の材料の沈降を抑制できる製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明の成形吸着体の製造方法は、溶媒中で繊維状バインダーと中空粒子とを混合し、混合分散液を調製する工程;前記混合分散液に、さらに吸着材を混合して、材料スラリーを調製する工程;前記材料スラリーを用いて湿式成形により前駆体を作製する工程;および、前記前駆体から溶媒を除去し成形吸着体を作製する工程を含むことを特徴とする。材料スラリーを調整する工程においては、繊維状バインダーが中空粒子や吸着材を絡め捕ることで、材料が複合化される。ここで、中空粒子は粒子内部に空気を含有するため、密度が非常に低い。このような中空粒子を材料に配合することで、材料複合体の密度を低下させることができる。そのため、材料複合体の密度を溶媒の密度に近づけることができ、材料スラリー中の材料複合体の沈降を遅らせることができる。
前記中空粒子の体積平均粒子径は、25μm〜250μmが好ましい。前記中空粒子のカサ密度は、0.15g/cm〜0.60g/cmであることが好ましい。前記材料スラリーの固形分中の中空粒子の含有率は、0.5質量%〜50質量%が好ましい。前記材料スラリーの固形分濃度は、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
本発明には、前記吸着成形体の製造方法により製造された成形吸着体が含まれる。また、本発明には、前記成形吸着体を用いた浄水器も含まれる。
本発明によれば、材料スラリーを用いた湿式成形により成形吸着体を作製する製造方法において、材料スラリー中の材料の沈降を抑制できる。
浄水カートリッジの一例を示す縦断面図である。 浄水カートリッジを内蔵した浄水器の一例を示す側面図である。 中空粒子の添加量の違いによる、材料スラリーの静置時間と複合体の沈降との関係を示す図である。 材料の混合手順の違いによる、材料スラリーの静置時間と複合体の沈降との関係を示す図である。
本発明の成形吸着体の製造方法は、溶媒中で繊維状バインダーと中空粒子とを混合し、混合分散液を調製する工程(複合化工程);前記混合分散液に、さらに吸着材を混合して、材料スラリーを調製する工程(スラリー調整工程);前記材料スラリーを用いて湿式成形により前駆体を作製する工程(成形工程);および、前記前駆体から溶媒を除去し成形吸着体を作製する工程(乾燥工程)を含む。
[複合化工程]
前記複合化工程では、溶媒中で繊維状バインダーと中空粒子とを混合し、混合分散液を調製する。繊維状バインダーと中空粒子とを混合することで、繊維状バインダーが中空粒子を絡め捕りこれらが複合化される。材料スラリーを調製する前に、予め繊維状バインダーと中空粒子のみを混合することで、繊維状バインダーが中空粒子を保持しやすく、分散液中の中空粒子の多くを繊維状バインダーが絡め捕ることができる。また他の材料を絡め捕る前の繊維状バインダーと中空粒子とを混合するため、中空粒子に対する繊維状バインダーの絡みつきがより強固となる。これにより、材料スラリーを調製する際の攪拌によっても、中空粒子が繊維状バインダーから脱離することが抑制される。
前記溶媒としては、水が好ましい。溶媒には、本発明の効果を損なわない程度に有機溶剤(アルコールなど)などを配合してもよいが、水のみを用いることが好ましい。
前記中空粒子は、粒子内部に粒子外部と連通していない空隙を有する。前記中空粒子は、溶媒に浮かぶもの、すなわち粒子密度が溶媒の密度よりも小さいものであれば特に限定されない。
前記中空粒子の体積平均粒子径は、25μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上であり、250μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。中空粒子の体積平均粒子径が25μm以上であれば、材料複合体の凝集が抑制され、材料複合体の沈降をより抑制でき、250μm以下であればより沈降を抑制できたものとなる。中空粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定する。前記中空粒子の粒子径は400μm以下が好ましい。
前記中空粒子のカサ密度は、0.15g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.20g/cm以上、さらに好ましくは0.25g/cm以上であり、0.60g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.45g/cm以下、さらに好ましくは0.35g/cm以下である。中空粒子のカサ密度が0.15g/cm以上であれば浄水カートリッジの性能低下を抑制でき、0.60g/cm以下であれば凝集効果により材料複合体の沈降が促進されることが抑制される。
前記中空粒子の粒子密度は、0.20g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.27g/cm以上、さらに好ましくは0.34g/cm以上であり、0.81g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.61g/cm以下、さらに好ましくは0.47g/cm以下である。中空粒子の粒子密度が0.20g/cm以上であれば浄水カートリッジの性能低下を抑制でき、0.81g/cm以上であれば凝集効果により材料複合体の沈降が促進されることが抑制される。なお、粒子密度とは、粉末粒子の個体の密度である。粒子内部に存在する粒子外部と連通していない空隙の体積も個体の体積とみなす。粒子密度は、気体置換型ピクノメーター法により測定できる。
前記中空粒子の材質は特に限定されず、無機材料、有機材料のいずれも使用できる。無機材料からなる中空粒子としては、例えば、中空ガラス粒子(シラスバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーン)、中空セラミックス粒子などが挙げられる。なお、シラスバルーンとは、シラス(火山灰(ケイ酸約70質量%、アルミナ約14質量%、アルカリ酸化物約8質量%)を熱処理して発泡させたものである。有機材料からなる中空粒子としては、発泡プラスチックなどが挙げられ、発泡プラスチックとしては、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィン(発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
前記中空粒子の使用量は、材料スラリー中の材料複合体の沈降速度に応じて適宜調節すればよい。通常、材料スラリーの固形分(100質量%)中の中空粒子の含有率は、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。中空粒子の含有率が0.5質量%以上であれば材料複合体の沈降速度をより抑制することができ、50質量%以下であれば材料複合体が浮遊することが抑制できる。
前記繊維状バインダーは、活性炭などの吸着材、中空粒子を絡め捕ることで保持する。繊維状バインダーとしては、アクリル繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などが挙げられる。これらの中でも、吸着材を保持しやすいことからアクリル繊維、セルロース繊維が好ましく、特に成形吸着体の機械的強度を向上できることからアクリル繊維が好適である。
前記繊維状バインダーとしては、フィブリル化繊維が好ましい。フィブリル化繊維とは、摩擦作用などによって、繊維内部に存在するフィブリル(小繊維)を繊維表面に現させ、繊維表面を毛羽立ちささくれさせた繊維である。繊維状バインダーのフィブリル化は、リファイナー処理、ビーティング処理により行うことができる。
前記繊維状バインダーの濾水度は、20mL以上が好ましく、より好ましくは60mL以上、さらに好ましくは110mL以上、特に好ましくは150mL以上であり、250mL以下が好ましく、より好ましくは240mL以下、さらに好ましくは230mL以下である。繊維状バインダーの濾水度が20mL以上であれば、成形吸着体の通水圧力損失を低減できる。なお、繊維状バインダーの濾水度とは、成形吸着体の作製に使用される繊維状バインダーの濾水度を指す。具体的には、成形吸着体の製造に使用する材料スラリーに含まれる繊維状バインダーの濾水度である。
前記繊維状バインダーの使用量は、後述する吸着材100質量部に対して1質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。繊維状バインダーの含有量が1質量部以上であれば、成形吸着体の機械的強度が向上し、20質量部以下であれば、成形吸着体の通水圧力損失がより低減される。
溶媒中で繊維状バインダーと中空粒子とを混合する方法は特に限定されないが、ビーターを用いることができる。繊維状バインダーと中空粒子とを混合する際は、溶媒に繊維状バインダーを分散させ分散液を調製した後、この分散液に中空粒子を添加することが好ましい。この場合、分散液中の繊維状バインダーの濃度は、0.5質量%〜3質量%が好ましい。
[スラリー調整工程]
前記スラリー調整工程では、前記混合分散液に、さらに吸着材を混合して、材料スラリーを調製する。材料スラリーを調整する際、中空粒子、吸着材などが繊維状バインダーと絡み合い複合化される。ここで、中空粒子は粒子内部に空気を含有するため、密度が非常に低い。このような中空粒子を材料に配合することで、材料複合体の密度を低下させることができる。そのため、材料複合体の密度を溶媒の密度に近づけることができ、材料スラリー中の材料複合体の沈降を遅らせることができる。また、材料複合体の密度が溶媒の密度と近いため、材料複合体が沈降した場合でも、弱い攪拌力で容易に再分散させることができる。
前記吸着材としては、活性炭が好ましい。前記活性炭としては、繊維状活性炭、粒子状活性炭のいずれも使用できる。なお、本発明において、活性炭粒子のアスペクト比(長径/短径)が3以下のものを粒子状活性炭、アスペクト比が3超のものを繊維状活性炭とする。
前記活性炭の比表面積(BET法)は、700m/g以上が好ましく、より好ましくは1,500m/g以上であり、2,500m/g以下が好ましく、より好ましくは2,000m/g以下である。前記活性炭の細孔容積(BET法)は、0.3mL/g以上が好ましく、より好ましくは0.5mL/g以上であり、1.1mL/g以下が好ましく、より好ましくは0.8mL/g以下である。前記活性炭の平均細孔径(BET法)は、1.0nm以上が好ましく、より好ましくは1.5nm以上であり、3.5nm以下が好ましく、より好ましくは2.5nm以下である。
前記活性炭は、炭素原料を炭化した後、水蒸気賦活、アルカリ賦活することで得られる。炭素原料としては、フェノール樹脂などの合成樹脂、ヤシ殻、木質、もみ殻、石炭などを用いることができる。これらの中でも、成形した際の充填密度を高くできることから、合成樹脂、ヤシ殻、石炭が好ましい。特に、不純物が少なく、粉砕後にも良好な吸着性能を有することからフェノール樹脂などの合成樹脂やヤシ殻が好ましい。
また、前記活性炭として、表面に銀が添着された銀添着活性炭を用いてもよい。銀添着活性炭を使用することで、成形吸着体に抗菌性能を付与できる。銀添着活性炭としては、銀添着粒子状活性炭、銀添着繊維状活性炭のいずれも使用できる。全活性炭中の銀添着活性炭の含有率は、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは1.2質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、2.5質量%以下が好ましく、より好ましくは2.3質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
前記吸着材として、前記活性炭の他に、ゼオライト、珪酸チタニウム、チタン酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩、酸化チタン、イオン交換樹脂、キレート樹脂、イオン交換繊維、キレート繊維などを使用してもよい。この場合、吸着材中の活性炭の含有率は、85質量%以上が好ましく、より好ましくは87質量%以上、さらに好ましくは89質量%以上である。
材料スラリーの固形分(100質量%)中の吸着材の含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは74質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、95質量%以下が好ましい。吸着材の含有率が50質量%以上であれば、成形吸着体の吸着性能が向上し、95質量%以下であれば、相対的に繊維状バインダーの含有量が増加し、成形吸着体の機械的強度が向上する。
前記混合分散液と吸着材とを混合する方法は特に限定されないが、ビーターを用いることができる。前記材料スラリーの固形分濃度は、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。材料スラリーの固形分濃度が0.5質量%以上であれば生産性が向上し、10質量%以下であれば成形吸着体密度の向上ができる。
[成形工程]
前記成形工程では、前記材料スラリーを用いて湿式成形により成形吸着体の前駆体を作製する。前記湿式成形としては吸引成形、抄紙成形などが挙げられる。前記吸引成形では、吸引用成形型を材料スラリー中に浸漬し、ポンプを用いて材料スラリーを吸引し、成形型の表面に材料を堆積させる。前記吸引用成形型は、材料スラリーを吸引できるように吸引用の貫通孔が形成されており、この貫通孔に連通するノズルにポンプを接続する。
材料スラリーを吸引する時間(成形時間)は、特に限定されないが、50秒以下が好ましく、より好ましくは40秒以下、さらに好ましくは35秒以下である。成形時間が短いほど生産性が向上する。成形時間の下限は特に限定されないが、通常5秒程度である。特に、繊維状バインダーとして濾水度が110mL以上(好ましくは150mL以上)のものを使用すれば、繊維状バインダーの保水力が低くなり、成形時間を短縮することができる。
[乾燥工程]
前記乾燥工程では、前記前駆体から溶媒を除去し成形吸着体を作製する。乾燥後の成形吸着体は、吸引用成形型から取り外してもよい。なお、吸引用成形型に代えて軸部材を用いている場合には、前駆体を乾燥すれば、浄水カートリッジが得られる。乾燥温度は100℃〜120℃、乾燥時間は4時間〜6時間が好ましい。
なお、繊維状バインダーの種類や前駆体の乾燥条件によっては、乾燥工程において繊維状バインダーが溶融又は変形する場合がある。繊維状バインダーの変形等の程度が大きくなると、成形吸着体中の空隙の体積が縮小し、浄水カートリッジの通水圧力損失が高くなったり、寸法安定性が低下したりする傾向がある。そのため、繊維状バインダーの種類に応じて堆積物の乾燥条件を選択することが好ましく、特に乾燥温度を低く設定することがより好ましい。繊維状バインダーの変形等を抑制する方法としては、繊維状バインダーとしてアクリル樹脂製繊維(アクリロニトリルを主成分(85質量%以上)とする共重合体製の繊維)を使用し、且つ、乾燥温度100℃〜120℃の条件で乾燥工程を行う事により、繊維状バインダーの変形等を充分に抑止することができる。
本発明の成形吸着体は、前記製造方法により製造されたことを特徴とする。本発明の成形吸着体は、浄水器に用いられる浄水カートリッジに好適に使用できる。浄水カートリッジの構成としては、例えば、筒状の軸部材と、この軸部材の外表面に積層された成形吸着材とを備える構成が挙げられる。軸部材を有することにより、成形吸着体の機械的強度を高めることができる。前記軸部材としては、貫通孔を有する多孔性筒部材が好ましい。多孔性筒部材の形状は特に限定されず、円筒状、多角柱状が挙げられる。多孔性筒部材の材質としては樹脂、金属などが使用できる。また、活性炭粒子が軸部材内部へ入り込むことを防止できることから、軸部材としては、外表面に不織布を巻き付けた多孔性筒部材が好ましい。
浄水カートリッジの具体的な構成の一例を、図1を参照して説明する。なお、浄水カートリッジは、図1に記載された態様に限定されるものではない。浄水カートリッジ1は、筒状の軸部材2と、この軸部材の外表面に積層された成形吸着材3と、前記軸部材2の一方の端部に取り付けられた接続部材4と、前記多孔性軸部材の他方の端部に取り付けられたカバー5とを有する。前記軸部材2は、円筒状であり、複数の貫通孔2aが形成されている。軸部材2の外表面には、不織布6が巻き付けられている。接続部材4は、浄水器本体に接続可能に形成されている。また、前記成形吸着体3の周囲には、成形吸着体3を保護する不織布7が巻き付けられている。
図1に示した浄水カートリッジ1は、成形吸着体3の外側を原水流路とする。原水は成形吸着体3を通過し、軸部材2の内部に流入する。この際、成形吸着体3に含まれる吸着材(図示せず)により浄化され、浄水となる。得られた浄水は、接続部4から排出される。
本発明の浄水器は、前記浄水カートリッジを用いたものであれば特に限定されない。浄水器としては、例えば、水道の蛇口の先端に直接取り付ける蛇口直結型;蛇口または蛇口に設けた分岐水栓からホースまたは配管などで接続して、蛇口近傍に設置する据え置き型;蛇口に浄水カートリッジが組み込まれた蛇口一体型(水栓一体型);シンクの下に設置するアンダーシンク型などが挙げられる。
本発明の浄水器は、前記成形吸着体(浄水カートリッジ)を用いたものであれば特に限定されない。浄水器としては、例えば、水道の蛇口の先端に直接取り付ける蛇口直結型;蛇口または蛇口に設けた分岐水栓からホースまたは配管などで接続して、蛇口近傍に設置する据え置き型;蛇口に浄水カートリッジが組み込まれた蛇口一体型(水栓一体型);シンクの下に設置するアンダーシンク型などが挙げられる。
図2は、浄水器の好ましい態様を示す側面図である。浄水器10は、蛇口内部に浄水カートリッジ1が交換可能に内蔵された水栓一体型浄水器である。浄水器10は、分離可能な頭部11と胴部12とを有する。頭部11と胴部12とを分離して、浄水器10の内部に浄水カートリッジ1を装着する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.評価方法
[中空粒子の体積平均粒子径]
中空粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(日機装社製、MT3200)を用いて測定した。
[中空粒子のカサ密度]
中空粒子のカサ密度は、カサ密度測定器(筒井理化学器械社製、TPM−3P)を用いて測定した。タッピング条件は、巾40mm、回数200回、速度36回/分とした。
[濾水度]
繊維状バインダーの濾水度は、JIS P 8121−2(2012)「カナダ標準濾水度法」に準拠して測定した。具体的には、繊維を精製水に分散させた懸濁液(固形分濃度0.30質量%)を1000mL調製した。繊維の分散は、成形吸着体の作製に使用するスラリーの調製時と同じ条件にて攪拌を行った。この懸濁液の温度を20.0℃に調製した。この懸濁液を試験試料として、カナダ標準ろ水度試験器(安田精機製作所製、カナディアンスタンダード フリーネステスター)を用いて測定を行った。測定は、2回行いその平均値を算出した。
[比表面積、細孔容積、平均細孔径]
活性炭の比表面積、細孔容積、平均細孔径は、比表面積測定装置(日本ベル社製、BELSORP−18PLUS HT)を用いて測定した。なお、比表面積、細孔容積および平均細孔径はBET法により算出した。
2.材料スラリーの調製
比較例
繊維状バインダーとしてのアクリル繊維(東洋紡績社製、「BiPUL(登録商標)」、ビーターにより濾水度を70mLに調製したもの)を0.56g含有するバインダー分散液(溶媒:水、濃度:1.5質量%)37mLに、水50mLを添加して希釈した。希釈したバインダー分散液に、鉛除去材としてのケイ酸チタニウム(クラレケミカル社製、「クラレコール(登録商標) MAP60/200T」))を0.5g加え、さらに固形分の合計質量が5gとなるように繊維状活性炭(比表面積:1725m/g、平均細孔径:1.9nm、細孔容積:0.81cm/g、繊維径:15.5μm)を加えた。また、分散液に水を追加して全量を100mLとした後、十分に攪拌して材料スラリー(濃度:5質量%)を調製した。
調製例1−1
繊維状バインダーとしてのアクリル繊維(東洋紡績社製、「BiPUL」、ビーターにより濾水度を70mLに調製したもの)を0.56g含有するバインダー分散液(溶媒:水、濃度:1.5質量%)37mLに、水50mLを添加して希釈した。希釈したバインダー分散液に、中空粒子(井川産業社製、シラファイン(登録商標))0.025g(固形分総質量に対して0.5質量%)を加え、10分間攪拌した。
前記分散液に、鉛除去材としてのケイ酸チタニウム(クラレケミカル社製、「クラレコール MAP60/200T」))を0.5g加え、さらに固形分の合計質量が5gとなるように繊維状活性炭(比表面積:1725m/g、平均細孔径:1.9nm、細孔容積:0.81cm/g、繊維径:15.5μm)を加えた。また、分散液に水を追加して全量を100mLとした後、十分に攪拌して材料スラリー(濃度:5質量%)を調製した。
調製例1−2〜7−6
中空粒子の種類および添加量(固形分総質量に対する含有率(質量%))を、表1、2に示すように変更したこと以外は、調製例1−1と同様にして材料スラリーを調製した。なお、繊維状活性炭の配合量は、材料スラリー中の固形分総質量が5gとなるように調整した。
調製例8
繊維状バインダーとしてのアクリル繊維(東洋紡績社製、「BiPUL」、ビーターにより濾水度を70mLに調製したもの)を0.56g含有するバインダー分散液(溶媒:水、濃度:1.5質量%)37mLに、水50mLを添加して希釈した。希釈したバインダー分散液に、鉛除去材としてのケイ酸チタニウム(クラレケミカル社製、「クラレコール MAP60/200T」))を0.5g、繊維状活性炭(比表面積:1725m/g、平均細孔径:1.9nm、細孔容積:0.81cm/g、繊維径:15.5μm)3.44gを加え、10分間攪拌した。
鉛除去材、繊維状活性炭を加えた分散剤に、中空粒子(井川産業社製、シラファイン)0.5g(固形分総質量に対して10質量%)を加えた。また、分散液に水を追加して全量を100mLとした後、十分に攪拌して材料スラリー(濃度:5質量%)を調製した。
上記調製例1−1〜調製例8で得た材料スラリーについて、材料複合体の沈降性を評価した。評価結果を表1、2に示した。
[沈降性評価]
十分に攪拌した材料スラリー100mLを、100mLメスシリンダーに入れた。この材料スラリーを静置し、0時間(メスシリンダーに入れた直後)、0.25時間、0.5時間、1時間、6時間、24時間経過後に、材料複合体の沈降度合いを目視にて確認した。沈降度合いは、静置によりできた上澄み部分の体積をメスシリンダーの目盛から読み取り、下記式により求めた。
沈降(%)=上澄み部分の体積(mL)/材料スラリーの体積(mL)×100
Figure 0006370130
Figure 0006370130
表1、2に示したように、中空粒子を用いることで、材料複合体の沈降を抑制できている。図3に示したように、中空粒子の添加量を増やす程、材料複合体の沈降抑制効果が大きくなることがわかる。図4に示したように、中空粒子の種類および添加量が同一であっても、混合手順が異なると材料複合体の沈降抑制効果が異なることがわかる。
3.成形吸着体の製造
製造例1−1
前記調製例1−1と同様にして、材料スラリー(濃度:5質量%)を100mL調製した。この材料スラリーを用いて湿式成形により成形吸着体を成形した。具体的には、軸部材の両端に、ポンプに接続されたチューブを接続した。このチューブを接続した軸部材を、材料スラリーを満たしたタンクに浸漬した後、ポンプを駆動してスラリーを吸引し、軸部材の表面に材料複合体を堆積させ前駆体を作製した。前駆体を軸部材とともにタンクから引き揚げ、前駆体を120℃で4時間乾燥させ、成形吸着体を作製した。これにより、中空粒子を配合した場合でも、湿式成形により成形吸着体を製造できることが確認された。
製造例1−2〜製造例8
材料スラリーを調製例1−2〜調製例8で得られた材料スラリーに変更したこと以外は、製造例1−1と同様にして成形吸着体を製造した。いずれの材料スラリーを用いた場合でも、湿式成形により成形吸着体を製造できた。
本発明の成形吸着材の製造方法は、材料スラリーを用いた湿式成形により成形吸着体を作製する製造方法に好適に使用できる。
1:浄水カートリッジ、2:軸部材、3:成形吸着体、4:接続部材、5:カバー、6:不織布、7:不織布、10:浄水器、11:頭部、12:胴部

Claims (6)

  1. 溶媒中で繊維状バインダーと、体積平均粒子径が25μm〜250μmであり、粒子密度が溶媒の密度よりも小さい中空粒子とを混合し、混合分散液を調製する工程、
    前記混合分散液に、さらに吸着材を混合して、固形分中の中空粒子の含有率が10質量%〜50質量%である材料スラリーを調製する工程、
    前記材料スラリーを用いて湿式成形により、成形時間5秒〜50秒で前駆体を作製する工程、および、
    前記前駆体から溶媒を除去し成形吸着体を作製する工程を含むことを特徴とする成形吸着体の製造方法。
  2. 溶媒中で繊維状バインダーと、体積平均粒子径が25μm〜120μmであり、粒子密度が溶媒の密度よりも小さい中空粒子とを混合し、混合分散液を調製する工程、
    前記混合分散液に、さらに吸着材を混合して、固形分中の中空粒子の含有率が5質量%〜50質量%である材料スラリーを調製する工程、
    前記材料スラリーを用いて湿式成形により、成形時間5秒〜50秒で前駆体を作製する工程、および、
    前記前駆体から溶媒を除去し成形吸着体を作製する工程を含むことを特徴とする成形吸着体の製造方法。
  3. 溶媒中で繊維状バインダーと、体積平均粒子径が25μm〜45μmであり、粒子密度が溶媒の密度よりも小さい中空粒子とを混合し、混合分散液を調製する工程、
    前記混合分散液に、さらに吸着材を混合して、固形分中の中空粒子の含有率が0.5質量%〜50質量%である材料スラリーを調製する工程、
    前記材料スラリーを用いて湿式成形により、成形時間5秒〜50秒で前駆体を作製する工程、および、
    前記前駆体から溶媒を除去し成形吸着体を作製する工程を含むことを特徴とする成形吸着体の製造方法。
  4. 前記中空粒子のカサ密度が、0.15g/cm3〜0.60g/cm3である請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形吸着体の製造方法。
  5. 前記繊維状バインダーの濾水度が、20mL〜250mLである請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形吸着体の製造方法。
  6. 前記材料スラリーの固形分濃度が、0.5質量%〜10質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形吸着体の製造方法。
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