JP6489735B2 - 濁度低減フィルター体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルター体に関し、特に水に含まれる微粒子状物質の除去効率を高めた濁度低減フィルター体の製造方法に関する。
現在、濾過対象物の種類、処理能力等が総合的に考慮され、各種形態のフィルター体が提案されている。例えば、比較的大量の被処理水の濾過に適したフィルターにデプスフィルターがある。一般にデプスフィルターは繊維状物を絡めて層状化したフィルターである。被処理水中の粒子状物質はフィルターを通過する間に繊維状物内に捕集され濾過される。このようなデプスフィルターにおいて、繊維状物に各種の活性炭を配合することによって吸着能力を高めたフィルター体が提案されている(特許文献1等参照)。
しかしながら、どのようなフィルター体であっても、濾過時間が長くなるにつれて目詰まりが生じ、濾集能力は低下する。これは、フィルター体において不可避な問題である。そこで、常に一定の濾集能力を維持するべく、適時フィルター体は交換される。
例えば、河川等から直接あるいは間接的に取水した水の場合、微細な鉱物等が不溶物として水中に浮遊していることが多い。そこで、河川水を取水して利用するに際し、水の清浄度を向上させる観点から不溶物除去の濾過も必須である。また、工業用水として利用する場合も最初に水中の微粒子等は除去され、順次高度な濾過が行われる。あるいは、一般家庭においても飲用の直前に水道水や井戸水等が濾過される。このような水中浮遊物の濾過フィルター体には、なるべく長期間の使用が可能であり、その間の濾集能力が維持され、しかも低廉で取り扱いやすい等の特性が求められる。
そこで、活性炭の吸着性能を有し、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、しかも取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能とするべく、デプスフィルターについて種々の検討が重ねられてきた。
特開2012−61390号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、活性炭の吸着性能を有し、水中浮遊物等のパーティクルの濾集能力に優れ、取り扱いが容易であり、より長期間の使用を可能な濁度低減フィルター体の製造方法を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、中心粒子径が10ないし70μmである粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含み前記粉末状活性炭が前記繊維状活性炭の1ないし5重量倍配合される活性炭材料とフィブリル化した化学繊維のバインダーとを含み同一組成から形成された中空円筒体形状の濾材部を備えた水の濁度低減に用いるフィルター体の製造方法であって、前記活性炭材料と前記バインダーを濾材成分として含む混合スラリー状物を調製し、細孔を表面に備えた管状の吸着基材部を用意するとともに前記吸着基材部の内部に吸引部材を挿入して、前記吸着基材部及び前記吸引部材を前記混合スラリー状物中に投入し、前記吸引部材の吸引を通じて前記混合スラリー状物中の前記濾材成分を前記吸着基材部の外側の表面に所定の厚さまで蓄積し、前記吸着基材部ごと前記濾材成分を加熱乾燥することによって前記濾材成分から前記濾材部を形成してなり、前記濾材部をその厚さ方向(T)の中点位置で2分割して、前記濾材部の外側に相当し被濾過流体の流入側となる流入濾材部(Di)と前記濾材部の内側に相当し被濾過流体の流出側となる流出濾材部(Do)に区分したとき、前記流入濾材部(Di)の硬度の平均値(i−ave)を前記流出濾材部(Do)の硬度の平均値(o−ave)により除した商が、0.91〜0.94となるように形成したことを特徴とする濁度低減フィルター体の製造方法に係る。
請求項の発明は、前記繊維状活性炭の繊維断面径が30μm以下である請求項に記載の濁度低減フィルター体の製造方法に係る。
請求項の発明は、前記濾材部の厚さが10〜30mmである請求項1または2に記載の濁度低減フィルター体の製造方法に係る。
本発明に係る濁度低減フィルター体の製造方法によると、中心粒子径が10ないし70μmである粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含み前記粉末状活性炭が前記繊維状活性炭の1ないし5重量倍配合される活性炭材料とフィブリル化した化学繊維のバインダーとを含み同一組成から形成された中空円筒体形状の濾材部を備えた水の濁度低減に用いるフィルター体の製造方法であって、前記活性炭材料と前記バインダーを濾材成分として含む混合スラリー状物を調製し、細孔を表面に備えた管状の吸着基材部を用意するとともに前記吸着基材部の内部に吸引部材を挿入して、前記吸着基材部及び前記吸引部材を前記混合スラリー状物中に投入し、前記吸引部材の吸引を通じて前記混合スラリー状物中の前記濾材成分を前記吸着基材部の外側の表面に所定の厚さまで蓄積し、前記吸着基材部ごと前記濾材成分を加熱乾燥することによって前記濾材成分から前記濾材部を形成してなり、前記濾材部をその厚さ方向(T)の中点位置で2分割して、前記濾材部の外側に相当し被濾過流体の流入側となる流入濾材部(Di)と前記濾材部の内側に相当し被濾過流体の流出側となる流出濾材部(Do)に区分したとき、前記流入濾材部(Di)の硬度の平均値(i−ave)を前記流出濾材部(Do)の硬度の平均値(o−ave)により除した商が、0.91〜0.94となるように形成したため、単位重量当たりの表面積が多く水中浮遊物等の活性炭の吸着性能及びパーティクルの濾集能力に優れ、取り扱いが容易であり、被濾過流体と接する面積を大きくすることができるとともに、簡便かつ確実に定形化することができて、より長期間の使用が可能となり、浄水器や濾過装置等へ使用するデプスフィルターとして好適であるフィルター体を実現することができた。
また、フィルター体の早期の目詰まりを回避しつつ、濾集能力を保持し続けることができる。さらに、構造強度を保ちながら活性炭の吸着性能及びパーティクルの濾集能力を向上できる。加えて、濾材部の内部構造において、疎密を生じさせる。
本発明実施形態フィルター体の全体図である。 施形態のフィルター体の製造工程を示す概略工程図である。 実施形態のフィルター体の濁度除去率と動水圧変化のグラフである。
はじめに本発明に規定するフィルター体の構造から説明する。図1に示す実施形態のフィルター体10Aはその中心に芯となる吸着基材部12aを配置し、その周囲に濾材部11aを備える。フィルター体10Aの濾材部11aは中空円筒体形状である。フィルター体10Aの外側が被濾過流体Fの流入側であり、吸着基材部12aを配置した内部が被濾過流体Fの流出側である。従って、被濾過流体Fは濾材部11aの外表面側から濾部11aの内部に流入し、吸着基材部12aから中空部位(空洞部13a)へ流出することによって、被濾過流体Fの濾過は行われる。
フィルター体10Aの濾材部11aは活性炭材料とバインダーを含んで構成され、濾材部11aのどの部分も構成材料は同一組成である。さらに、濾材部11aの特徴として、当該濾材部の厚さ方向に硬度に差が生じている。活性炭材料は、粒状、粉末状等の適宜の種類、大きさの活性炭を用いることができる。そして、活性炭材料はバインダーと混合され所定形状に加工される。活性炭材料とバインダーの詳細は後述する。
フィルター体10Aの濾材部11aの構造では、厚さ方向は符合Tで示される半径部分に相当する。ただし、吸着基材部12aの半径は除かれる。濾材部11aは厚さ方向Tの中点位置において2分割される。そこで、濾材部11aは被濾過流体Fの流入側となる流入濾材部Diと被濾過流体Fの流出側となる流出濾材部Doに便宜上区分される。フィルター体10Aの濾材部11aでは、前記の流出入方向のとおり、流入濾材部Diは外側であり、流出濾材部Doは内側である。
そしてフィルター体10A濾材部11aよると、流出濾材部Doの硬度(Ho)は流入濾材部Diの硬度(Hi)よりも高く形成されている(Ho>Hi)。濾材部における硬さの測定はJIS K 6253(2012)に準拠し、硬度計(デュロメーター)が用いられる。そこで、図示の濾材部11a場合、露出面となる円の半径方向に沿って流出濾材部Do及び流入濾材部Diのそれぞれの硬度が計測される。
硬度計(デュロメーター)の計測値は硬度の絶対的な荷重値(Nやkgf)を示すのではなく、相対的な数値を示す。そこで、硬度の大小比較が行われる。硬度が高いとは相対的に密度が高いことを意味する。つまり、活性炭材料とバインダーがより密に詰まっている状態である。濾材部の内部の疎密を簡便に比較する上で都合がよい。
一般に、被濾過流体の濾過に伴い濾材部に濾集物質は蓄積され、フィルター体に目詰まりが生じる。自明ながら最初に被濾過流体と接する部位ほど濾集物質の蓄積は多くなる。濾材部全体が同一密度あるいは流入側が高密度の場合、先に流入側が早く目詰まりして被濾過流体がフィルター体を透過するときの圧力は早期に上昇しやすくなる。このため、流出側の濾材部の濾集能力はまだ残存しているにもかかわらず、流入側の目詰まりに影響され、結果的にフィルター体全体の交換時期が早期に到来してしまうと考えられる。
これに対し、本発明のフィルター体にあっては、被濾過流体の流出入方向から把握されるように、濾材部は流入側を疎とし流出側を密とする形態である。当該形態とすると、前述のような、流出濾材部の濾集能力が残存しているにもかかわらず、先に流入濾材部の濾集能力が低下してしまう問題は改善される。すなわち、被濾過流体は濾材部の内部まで浸透し濾材部の全体での濾集が可能となる。従って、従前のフィルター体と比較すると、使用期間を長くすることができる。
図2を一例として用い実施形態のフィルター体10Aの製造過程とともに使用材料を説明する。フィルター体10Aの吸着性能は活性炭材料に依存する実施形態は、活性炭材料に繊維状活性炭と粉末状活性炭の2種類が混合されて使用される。
粉末状活性炭は、石油ピッチ、樹脂粒、樹木、椰子殻、古タイヤ等を原料とし、800ないし1000℃で加熱焼成し適宜賦活して細孔を発達させた活性炭である。そして、概ね中心粒子径10ないし70μmの範囲に粉砕し分級や篩別した活性炭である。粉末状活性炭とすることにより、単位重量当たりの表面積を多くして濾集能力を高めることができる。むろん、当該粒径範囲は中心粒子径であるため、その前後の粒径も含まれる。
繊維状活性炭は、適宜の樹脂繊維を炭化し賦活して得た活性炭であり、例えばフェノール樹脂系、アクリル樹脂系等がある。繊維長や断面径等は適宜であるものの、繊維断面径は30μm以下が好ましい。繊維断面径が大きすぎる場合、配合量の割に表面積が少なくなるため吸着能力向上の点から好ましくない。繊維断面径が細かい繊維状活性炭の場合、吸着性能やパーティクルの濾集能力が優れているため問題ない。
活性炭材料に繊維状活性炭と粉末状活性炭の2種類を使用するに際し、両活性炭同士の重量配合割合は、吸着対象物質、濾集対象微粒子、使用流量、フィルター体自体の大きさ、耐用期間等を考慮して規定される。そのうち、特に、粉末状活性炭は繊維状活性炭の1ないし5重量倍の範囲、好ましくは1ないし4重量倍に規定される。粉末状活性炭の配合が繊維状活性炭の5重量倍を超過する場合、フィルター体の目詰まりが早まることから適切ではない。また、粉末状活性炭の配合が繊維状活性炭の1重量倍(等量)を下回る場合、濾集能力自体が低下する。それゆえ、前述の範囲が適切である。
バインダーは繊維状物からなり、フィブリル化した化学繊維であるアクリル繊維やアラミド繊維、ポリエチレン繊維等から選択される。バインダーは前記の粉末状活性炭、繊維状活性炭を絡めて一体化する。また、バインダーの樹脂は耐久性、耐薬品性に優れているため、フィルター体の耐用期間をより長くすることができる。
活性炭材料とバインダーを一体化する方法は適宜である。ここに湿式成形法を一例として示す。図2に開示するとおり、いったん水中に各種材料を分散させ、吸引して定形化する製法である。はじめに、活性炭材料として前述のとおり規定した粉末状活性炭21及び繊維状活性炭22と、バインダー23が用意される。これら3種類の材料は濾材部を形成する濾材成分である。粉末状活性炭21、繊維状活性炭22、及びバインダー23は適量の水中に分散され、十分に攪拌されて混合スラリー状物20が調製される。
混合スラリー状物20を蓄積するための基礎として吸着基材部12aが用いられる。この吸着基材部12aはポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製芯材や、ステンレス鋼等の金属製芯材、ポリエチレンやポリプロピレン等を原料とする不織布を何重にも巻いて作成した芯材である。いずれの芯材も微細な貫通孔が形成された管状物である。そして、管状の吸着基材部12aの内部に吸引部材26が挿入される。吸引部材26は、表面に多孔を設けた金属製の管状物であり、真空ポンプ(図示省略)等と接続される。
吸着基材部12aの内部に吸引部材26が挿入され、吸引部材26ごと吸着基材部12aは混合スラリー状物20を溜めた水槽内に投入される。次に、混合スラリー状物20は減圧吸引により吸着基材部12a側に集まる。そして、吸着基材部12aの表面に混合スラリー状物20内の濾材成分27が徐々に蓄積される。吸着基材部12aの表面の細孔は粉末状活性炭等よりも小さいため、混合スラリー状物20の水分のみ吸着基材部12aを通過して吸引部材26から吸い出される。しかし、濾材成分27は通過できずにそのまま吸着基材部12a表面に残留する。こうして所定の厚さまで濾材成分27が吸着基材部12a表面に蓄積され、混合スラリー状物20の吸引は終了し、濾材部11aが出来上がる。
混合スラリー状物20の水槽から、吸着基材部12aごと濾材成分27(濾材部11a)は引き上げられる。その後、乾燥機等で濾材部11aは加熱乾燥され、中空円筒体形状の濾材部11aを有するフィルター体10Aが完成する。湿式成形法をまとめると、濾材部が、活性炭材料とバインダーとを含む濾材成分を水中に分散して混合スラリー状物とし、フィルター基材部を通じて混合スラリー状物を吸引することによって濾材成分をフィルター基材部の表面に蓄積する製法である。
フィルター体10Aは、濾材部11aとともに吸着基材部12aも備える。そこで、吸着基材部12aは形状維持のための芯としても役立つ。前述のとおり、フィルター体10Aでは、被濾過流体は濾材部11aの外表面側から濾部11aの内部に流入し、吸着基材部12aから中空部位へ流出する。このため、濾材部11aの表面は被濾過流体の水圧(動水圧)を受けることから、濾材部11aは常時内部側に圧迫変形される。特に、中空部位を有する円筒体であるため、変形はより顕著となる。ただし、フィルター体10Aは吸着基材部12aを備えているため、被濾過流体から濾材部11aに加わる圧力に対抗でき、当該フィルター体の変形は回避される。
濾材部を中空円筒体形状とするフィルター体では、被濾過流体と接する面積を大きくすることができる。従って、フィルター体としての濾過効率をより高めることができる。
これまでに詳述し実施形態のフィルター体10A、主に水を被濾過流体とし水の浄化や廃水処理等に用いられる。その中でも、水中に浮遊する鉱物やパーティクル(微粒子)等の不溶性成分の除去に良好な濾集能力を発揮する。このため、水の濁度低減に有望である。これは、活性炭材料に粉末状活性炭と繊維状活性炭の2種類を用いて、パーティクルの濾集性能が高められているためである。さらに、当該フィルター体は、飲用水中の不溶性成分を除去する家庭用の浄水器に装填されることに加え、工場廃水の浄化等の産業用途となる。例えば、不溶化した塩類等の浮遊性成分の吸着濾過等が有望である。
〔使用原料〕
・粉末状活性炭
中心粒子径約30μmの椰子殻活性炭(フタムラ化学株式会社製,品名「CB」)(表中、AC1と記する。)、
中心粒子径約70μmの椰子殻活性炭(フタムラ化学株式会社製,品名「CB70」)(表中、AC2と記する。)、
中心粒子径約150μmの椰子殻活性炭(フタムラ化学株式会社製,品名「CW8150」)(表中、AC3と記する。)を用いた。なおAC3の大きさは粒状活性炭に分類される。
「中心粒子径」とは、レーザー光散乱式粒度分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味する。
・繊維状活性炭
繊維断面直径約15μmのフェノール樹脂系繊維状活性炭(フタムラ化学株式会社製)(表中、AC4と記する。)、
繊維断面直径約30μmのフェノール樹脂系繊維状活性炭(フタムラ化学株式会社製)(表中、AC5と記する。)を用いた。
・バインダー
フィブリル化したアクリル樹脂繊維(東洋紡株式会社製,ビィパル(登録商標))を使用した。
〔フィルター体の作成−1〕
発明者は、前記の原料を用い実施例1ないし6、及び比較例1ないし4のフィルター体を作成した。実施例及び比較例のフィルター体実施形態に開示の形態とした(図1、2参照)。表2ないし表4に提示の原料とその配合(重量部)に基づいて、粉末状活性炭、繊維状活性炭、及びバインダーを水に分散し均質になるまで混合し、実施例及び比較例に対応する混合スラリー状物を調製した。混合スラリー状物における水量は、添加した固形分(濾材成分)のおよそ10重量倍とした。
外直径34mm、内直径30mm、全長100mmの微細な貫通孔を有したポリプロピレン製の中空円筒状の吸着基材部を用意した。当該中空円筒状の吸着基材部内に、ステンレス製の吸引部材を挿入して固定するとともに混合スラリー状物内に投入した。減圧吸引により混合スラリー状物を引き寄せ、吸着基材部の表面に濾材成分を蓄積した。吸引圧力は約−0.04MPaとした。中空円筒状の吸着基材部を引き上げて吸引部材を取り外し、濾材成分と吸着基材部の一体化物を100℃、12時間かけて乾燥した。比較例1については硬度の調整のため乾燥前に表面を押し固めた。
最終的に、各実施例並びに各比較例の吸着基材部を含む直径65mm(一部の例については、表参照のとおり50mm、90mmとした。)、全高100mmの中空円筒体形状のフィルター体を作成した。実施例1と比較例1については次述の硬度の測定のため、それぞれ3個ずつ作成した(実施例1−1,1−2,1−3と比較例1−1,1−2,1−3)。
〔硬度の測定、対比〕
はじめに実施例と比較例のフィルター体における流入濾材部及び流出濾材部の硬度の相違を検証した。硬度の測定に際し、JIS K 6253(2012)に準拠し、株式会社テクロック社製「GS−721N,タイプE(直径2.5mmの半球状の押針を装着)」の硬度計(デュロメーター)を使用した。前掲の図1(a)参照のとおり、濾材部の厚さ方向の中心位置で当該濾材部を2分割し、便宜上、流入濾材部と流出濾材部に区分した。硬度計による測定部位は、流入濾材部及び流出濾材部に相当する円筒の環状の断面である。
そして、ひとつのフィルター体について、流入濾材部の環状断面から任意の5箇所に硬度計を押し当てて数値を読み取りその平均値を求めた。同時に、流出濾材部の環状断面から任意の5箇所に硬度計を押し当てて数値を読み取りその平均値を求めた。このやり方で実施例1−1,1−2,1−3と比較例1−1,1−2,1−3の全てについて硬度計の数値を読み取り平均値を求めた。
各実施例及び各対照例に関する流入濾材部及び流出濾材部の硬度計による測定結果は表1となった。表中、「i−ave」は流入濾材部、「o−ave」は流出濾材部の硬度計の表示値の平均値である。また、「i−ave/o−ave」は双方の硬度の大小比較のための商であり、1より小さい数値であれば流出濾材部の硬度が流入濾材部よりも高いといえる。
Figure 0006489735
表1の結果より、実施例のフィルター体ではいずれも有意に流入側と流出側の濾材部の硬度に差が生じた。しかも、流出濾材部側が流入濾材部側よりも高い硬度となった。これにより、濾材部の内部構造において、疎密が生じていると考える。
〔濾集能力の検証−1〕
フィルター体における硬度差の結果を踏まえ、発明者は、実際の濾集能力への効果を検証した。被濾過流体として、カオリンを分散した試験水(原水)を用いた。当該試験水の調製は、JIS S 3201(2010)の家庭用浄水器試験方法の付属書I−濁度の測定方法に準拠した。試験水に浮遊するカオリンの微粒子(パーティクル)の中心粒子径は約4μmである。
・濁度除去率
実施例及び比較例のフィルター体それぞれに対し、20℃に調温した前記調製の試験水を4L/minの流量(SV値996hr-1)にて通水した。そこで、フィルター体により試験水中から除去されたカオリン量を測定し、濁度除去率(%)を求めた。濁度除去率はJIS S 3201(2010)に準じた。試験水中のカオリンの除去率が80%以上であるフィルター体を「A」と評価した。除去率が50%以上80%未満のフィルター体を「B」、除去率が50%未満のフィルター体を「C」と評価した。
・目詰まりの評価
実施例及び比較例のフィルター体それぞれに対し、前記同様、20℃に調温した前記調製の試験水を4L/minの流量(SV値996hr-1)にて通水しフィルター体に加わる動水圧を測定した。動水圧が0.1MPaを超えた時点の濾過水量が3000L以上のフィルター体を「A」と評価した。濾過水量が1000L以上3000L未満のフィルター体を「B」、濾過水量が1000L未満のフィルター体を「C」と評価した。
・総合評価
実施例及び比較例の個別評価を勘案するとともに、良否を勘案して総合評価を行った。
全て「A」の評価のフィルター体の総合評価を「A」とした。「C」がなく「B」がひとつでも存在するフィルター体の総合評価を「B」とし、「C」が存在するフィルター体を「C」とした。既存品よりも濾過性能を大きく向上したフィルター体は「A」の評価であり、いずれの実施例も「A」の評価である。
実施例及び比較例のフィルター体について、大きさ「外径、内径、全高、及び濾材部厚さ(単位mm)」、材料配合比(重量部)「粉末状活性炭、繊維状活性炭、及びバインダー」、硬度差「i−ave/o−ave(硬度の大小比較)」、濁度除去率、目詰まり、総合評価の各項目の結果は表2ないし4である。また、実施例1及び2、比較例1について、通水量(L)ごとに、濁度除去率(%)と動水圧(MPa)の変化を測定して図のグラフに表した。
Figure 0006489735
Figure 0006489735
Figure 0006489735
〔濾過の結果と考察−1〕
実施例1と比較例1の間の主な相違は、流入濾材部と流出濾材部の硬度差である(表1参照)。両フィルター体とも、カオリンに代表される微小な水中浮遊物の除去性能は高い。しかし、実施例1の流入濾材部の硬度を下げたフィルター体では、動水圧の変化から流入側の目詰まりが抑制されたことがわかる。すなわち、比較例1のフィルター体よりも、より長期間使用できることを意味する。加えて、両フィルター体の特徴の相違は図のグラフからも明白である。実施例1のフィルター体では通水量が約3500Lを超えた時点で動水圧は0.1MPaを超えた(図上段参照)。これに対し、比較例1のフィルター体によると、通水量が約1400Lを超えた時点で動水圧は0.1MPaを超えた(図中段参照)。
また、実施例2のフィルター体は実施例1と同様の製法であり、使用材料のみ変更した例である。当該フィルター体も実施例1と同様の性能傾向となり、通水量は約4500Lを超えた時点で動水圧は0.1MPaを超えた(図下段参照)。なお、濁度除去率が実施例1より低くなった理由としては、フィルター原料に粒子径の大きな種類の活性炭を用いたことにより、フィルター層中の空隙が大きくなったためと推定する。ただし、用途に応じて濾集能力は使い分けられるため、実施例2のフィルター体も十分に使用できる。
このように、フィルター体における動水圧と通水量の推移から把握すると、実施例1、2のフィルター体のとおり、流入濾材部側の硬度を流出濾材部よりも低く形成したフィルター体は、その逆の硬度の構成としたフィルター体よりも優れている。それゆえ、濾集能力を比較的長期にわたり維持できるフィルター体を得ることができた。
比較例2は粉末状活性炭のうちさらに粒径を大きくして粒状活性炭を使用したフィルター体であり、他のフィルター体と比較して濁度除去率は悪化した。活性炭の粒径が大きくなったことに伴い微小な水中浮遊物の捕捉に有効な空隙量が減少したことが考えられる。従って、粒度分布の広がりを勘案して有意に中心粒子径150μmより小さくするべきである。そこで、上限は他の実施例等から70μmが適切である。下限については、成形性の良否から中心粒子径10μmが概ね妥当であり、好ましくは実施例の中心粒子径30μmである。
比較例3及び4は繊維状活性炭に対する粉末状活性炭量を増減したフィルター体である。比較例3では繊維状活性炭に比して粉末状活性炭量が少なく、濁度除去率は思わしくない。逆に、比較例4では繊維状活性炭に比して粉末状活性炭量が過剰であり、目詰まりが早まる。そこで良好な濾集能力の発揮と、長期の使用期間の確保の双方を両立する必要がある。この点、比較例4と実施例6との対比から、粉末状活性炭は繊維状活性炭の5重量倍がおおよその上限と考えることができる。下限については、実施例5として開示の等重量倍(1重量倍)が良好であったためこの量とした。従って、粉末状活性炭の好適な配合重量は、繊維状活性炭の重量の1ないし5重量倍であると導き出すことができる。
次に、実施例3及び4は、実施例1と配合を揃え濾材部の厚さを増減して作成したフィルター体である。濾材部自体の厚さを増減しても流出濾材部側の硬度が流入濾材部側より高くすることができた。また、濁度除去率や目詰まりにおいても他の実施例と何ら遜色ない。このことから、フィルター体の大きさを設計する際の自由度は高く、フィルター体を装填する装置、性能、用途等に応じて柔軟に対応できることも明らかにした。
〔全体のまとめ〕
以上の試行のとおり、フィルター体の形状を比較的自由としながらも、濾材部における被濾過流体の流路方向に従って硬度が高まる構造を採用する限り、フィルター体の使用時間をより伸ばすことが可能となった。そして、適切な材料とその配合の選択により、不溶性の微粒子の濾集効果を高めることができた。
本発明のフィルター体は、その形状を自由としながらも、カオリン等の不溶性の微粒子の濾集効果を高めることができ、しかも、高い濾集能力を維持したままフィルター体の耐用期間をより長くすることも可能とした。従って、既存を濾過装置や濾過設備の装着するフィルター体との有効な代替品となり得る。
10 フィルター体
11 濾材部
12 吸着基材部
13 空洞部
20 混合スラリー状物
21 粉末状活性炭
22 繊維状活性炭
23 バインダー
26,28 吸引部材
27 濾材成分
Di 流入濾材部
Do 流出濾材部
T,U 厚さ方向
F 被濾過流体

Claims (3)

  1. 中心粒子径が10ないし70μmである粉末状活性炭と繊維状活性炭の両方を含み前記粉末状活性炭が前記繊維状活性炭の1ないし5重量倍配合される活性炭材料とフィブリル化した化学繊維のバインダーとを含み同一組成から形成された中空円筒体形状の濾材部を備えた水の濁度低減に用いるフィルター体の製造方法であって、
    前記活性炭材料と前記バインダーを濾材成分として含む混合スラリー状物を調製し、
    細孔を表面に備えた管状の吸着基材部を用意するとともに前記吸着基材部の内部に吸引部材を挿入して、前記吸着基材部及び前記吸引部材を前記混合スラリー状物中に投入し、
    前記吸引部材の吸引を通じて前記混合スラリー状物中の前記濾材成分を前記吸着基材部の外側の表面に所定の厚さまで蓄積し、
    前記吸着基材部ごと前記濾材成分を加熱乾燥することによって前記濾材成分から前記濾材部を形成してなり、
    前記濾材部をその厚さ方向(T)の中点位置で2分割して、前記濾材部の外側に相当し被濾過流体の流入側となる流入濾材部(Di)と前記濾材部の内側に相当し被濾過流体の流出側となる流出濾材部(Do)に区分したとき、前記流入濾材部(Di)の硬度の平均値(i−ave)を前記流出濾材部(Do)の硬度の平均値(o−ave)により除した商が、0.91〜0.94となるように形成した
    ことを特徴とする濁度低減フィルター体の製造方法。
  2. 前記繊維状活性炭の繊維断面径が30μm以下である請求項に記載の濁度低減フィルター体の製造方法。
  3. 前記濾材部の厚さが10〜30mmである請求項1または2に記載の濁度低減フィルター体の製造方法。
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