JP2011252819A - 標識試薬シリカナノ粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子の分散性が高く、粒子同士の凝集が起こりにくく、非特異的な吸着が少なく、生体分子の反応性が高い、標識試薬シリカナノ粒子を提供する。
【解決手段】シリカ粒子の表面に生体分子及びホスホリルコリン基を含むコポリマーが吸着又は結合した複合粒子からなる標識試薬シリカナノ粒子であって、前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、タンパク質及びペプチドからなる群から選ばれた少なくとも1種である、標識試薬シリカナノ粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、標識試薬シリカナノ粒子に関する。
近年、数nm〜1μm程度の微粒子が様々な分野に応用され、注目を集めている。例えば、吸着剤、触媒などに用いられる、多孔質シリカ粒子やゼオライト粒子、顔料に用いられるカーボンブラック、金属酸化物粒子、無機化合物粒子、導電材料に使われる金属ナノ粒子、樹脂の補強剤に使われるシリカ粒子など粒子の材質および用途は多岐にわたる。また、半導体ナノ粒子や、蛍光物質を封入したシリカ粒子等の蛍光ナノ粒子は、特にバイオ分野において、新たな蛍光標識剤として、蛍光試薬への応用が期待されている。
蛍光ナノ粒子を用いた蛍光試薬は、蛍光粒子表面にタンパク質やDNA等の生体分子が結合したものであり、このタンパク質やDNA等の生体分子が特定の生体分子と相互作用することによって、生体分子の検出、定量、染色等に利用されるものである。
蛍光ナノ粒子を用いた生体分子の検出、定量等に利用する蛍光試薬は蛍光強度が高く、高感度試薬として用いられる(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、蛍光ナノ粒子は既存の有機分子の色素に比べて、下記の問題点がある。(1)粒子同士の凝集が起こり粒子が沈殿して、粒子表面に結合した生体分子の反応性が低下する。(2)粒子が基板やメンブレンに非特異的に吸着し、ノイズレベルやバックグラウンドが上がったり、擬陽性反応が起こる。(3)サンプルに含まれる不純物が粒子表面に結合することによって生体分子の活性が低下する。
以上のような問題点が、蛍光ナノ粒子を生体分子の検出、定量等に用いる上で課題となっている。
特開2009−274923号公報 特開2009−162537号公報 国際公開第2007/007849号パンフレット
上記の問題点に鑑み、本発明は、粒子の分散性が高く、粒子同士の凝集が起こりにくく、非特異的な吸着が少なく、生体分子の反応性が高い、標識試薬シリカナノ粒子、並びに前記粒子からなるシリカナノ粒子コロイド、ラテラルフロー用コンジュゲートパッド及びイムノクロマトグラフィー用テストストリップを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い、標的物質の検出方法を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、生体分子が結合又は吸着するシリカナノ粒子に、ホスホリルコリン基を含むコポリマーを粒子洗浄工程で添加し、前記シリカナノ粒子表面に吸着させることにより、粒子や粒子表面の抗体の凝集が抑制され、分散性の高い標識試薬シリカナノ粒子が得られることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至った。
上記課題は以下の手段により解決される。
(1)シリカ粒子の表面に生体分子及びホスホリルコリン基を含むコポリマーが吸着又は結合した複合粒子からなる標識試薬シリカナノ粒子であって、前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、タンパク質及びペプチドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、標識試薬シリカナノ粒子。
(2)前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーが、ホスホリルコリン基を含むモノマーとビニルモノマーのコポリマーであることを特徴とする前記(1)項記載の標識試薬シリカナノ粒子。
(3)前記ホスホリルコリン基を含むモノマーが2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンであることを特徴とする前記(2)項に記載の標識試薬シリカナノ粒子。
(4)前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーのHLB値が8〜19.5であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子。
(5)前記ビニルモノマーがメタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ドデシル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、メチル核置換スチレン、クロロ核置換スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ジエチルイタコネート及びジ−n−ブチルイタコネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子。
(6)前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーの吸着又は結合量が、標識試薬シリカナノ粒子1mgに対して、5〜100μgであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子。
(7)pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜70mVである前記(1)〜(6)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子を用いたラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子。
(9)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子を緩衝液に分散して得られるシリカナノ粒子コロイド。
(10)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子又は前記(8)項記載のラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含浸し、乾燥して得られるラテラルフロー用コンジュゲートパッド。
(11)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子又は前記(8)項記載のラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含有する、イムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
(12)シリカ粒子の表面に生体分子が吸着又は結合するシリカ粒子/生体分子の複合粒子と、ホスホリルコリン基を含むコポリマーとを混合し、シリカ粒子/生体分子の複合粒子の表面に前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーを吸着又は結合させる、シリカ粒子/生体分子/ホスホリルコリン基を含むコポリマーの複合粒子の製造方法。
(13)前記シリカ粒子/生体分子の複合粒子のコロイドに対して、前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーを0.01〜1重量%で混合することを特徴とする前記(12)項記載の複合粒子の製造方法。
(14)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子又は前記(8)項記載のラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を用いて標的物質を特異的に捕捉し、標的物質を捕捉した粒子の標識を観察することで標的物質の検出を行うことを特徴とする、標的物質の検出方法。
本発明の標識試薬シリカナノ粒子は、粒子表面のホスホリルコリン基により粒子同士の凝集が抑制されるため、分散性が高い。さらに、標識試薬シリカナノ粒子表面に吸着したホスホリルコリン基を含むコポリマーのホスホリルコリン基によって、基板やメンブレンとの非特異的な吸着が抑制される。また、非特異的な吸着が抑制されるので、擬陽性が生じにくくなる。
ここで、「非特異的な吸着」とは、特定の部位又はリガンドに対する特異的な結合以外の吸着をいい、意図する以外の吸着現象をいう。
また、「擬陽性」とは、標的物質を標識試薬シリカナノ粒子で標識することでその有無を判定する標的物質の検出方法において、標的物質が含まれないにもかかわらず判定部が標識され、陽性と判定されてしまう現象である。
さらに、本発明の標識試薬シリカナノ粒子は、ホスホリルコリン基を含むコポリマーにより、標識試薬シリカナノ粒子表面に吸着又は結合する生体分子同士の凝集が抑制されるため、生体分子の反応性が高い。さらに、生体分子と粒子との吸着の仕方が変化することによって生体分子の配向性が変化し生体分子の反応性が低下することを防止するので、粒子の反応性が向上する。例えば、抗体のFab部位や抗原のエピトープなど、生体分子が機能を発現するために必須の部位が粒子表面に接する形で粒子と吸着すると生体分子の機能発現は阻害される。しかし、本発明における複合粒子は粒子表面の抗体の凝集が抑制されるので、測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い、標的物質の検出方法を提供することができる。
また、本発明の標的物質の検出方法は、標識試薬シリカナノ粒子表面に結合又は吸着した生体分子の活性の低下がホスホリルコリン基を含むコポリマーによって防止されているので、シグナル/ノイズ比の高い極微量標的試料の高感度分析が可能である。
図1(a)は本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの一実施形態の平面図を示し、図1(b)は、図1(a)で示したイムノクロマト用テストストリップの縦断面図を示す図である。 参考例1で得られたシリカナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真像を示す図である。 実施例4における蛍光強度の測定によって得られたメンブレンの蛍光プロファイルを示す図である。 図3の2つの蛍光プロファイルにおける、テストライン及びコントロールラインにそれぞれ対応するピークの面積強度を示す図である。 実施例5における、本発明及び比較例の粒子の粒度分布を示す図である。
まず、本発明の標識試薬シリカナノ粒子について説明する。
本発明の標識試薬シリカナノ粒子は、シリカ粒子の表面に生体分子及びホスホリルコリン基を含むコポリマーが吸着又は結合した粒子であって、前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、タンパク質及びペプチド等からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。本発明の標識試薬シリカナノ粒子の表面を修飾する前記生体分子が、標的物質を特異的に認識することにより、標的物質を検出することができる。
本発明において、「吸着」とは、ケイ素原子と酸素原子の親和性に基づく化学的若しくは物理的結合、静電的引力(正電荷と負電荷間に働くクーロン力)、ファンデルワールス力又は疎水性相互作用による一体化をいう。
本発明で用いるシリカ粒子の調製方法に特に制限はなく、任意のいかなる調製方法によって得られたシリカ粒子であってもよい。例えば、Journal of Colloid and Interface Science,159,150-157(1993)に記載のゾル−ゲル法が挙げられる。
本発明において、国際公開2007/074722A1公報に記載された蛍光色素化合物含有コロイドシリカ粒子の調製方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いることが特に好ましい。前記機能性化合物の具体例としては、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等が挙げられる。
具体的には、前記機能性化合物を含有するシリカ粒子は、前記機能性化合物とシランカップリング剤とを反応させ、共有結合、イオン結合その他の化学的に結合若しくは吸着させて得られた生成物に1種又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。これによりオルガノシロキサン成分とシロキサン成分とがシロキサン結合してなるシリカ粒子が得られる。
前記機能性化合物を含有するシリカ粒子の好ましい調製方法の態様としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、アルデヒド基、パラニトロフェニル基、ジエトキシメチル基、エポキシ基、シアノ基等の活性基を有する又は付加した前記機能性化合物と、それら活性基と対応して反応する置換基(例えば、アミノ基、水酸基、チオール基)を有するシランカップリング剤とを反応させ、共有結合させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。
前記シランカップリング剤としてAPS、シラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いた場合を下記に例示する。
前記活性基を有する又は付加した前記機能性化合物の具体例として、5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン−NHSエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)、下記式でそれぞれ表されるDY550−NHSエステル又はDY630−NHSエステル(いずれも商品名、Dyomics GmbH社製)等のNHSエステル基を有する蛍光色素化合物を挙げることができる。
前記置換基を有するシランカップリング剤の具体例として、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。中でも、APSが好ましい。
前記縮重合させる前記シラン化合物としては特に制限はないが、TEOS、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及び3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシランを挙げることができる。中でも、前記シリカ粒子内部のシロキサン成分を形成する観点からはTEOSが好ましく、前記シリカ粒子内部のオルガノシロキサン成分を形成する観点からはMPS又はAPSが好ましい。
上述のように調製すると、球状、もしくは、球状に近いシリカ粒子が製造できる。球状に近いシリカ粒子とは、具体的には長軸と短軸の比が2以下の形状である。
所望の平均粒径のシリカ粒子を得るためには、YM−10、YM−100(いずれも商品名、ミリポア社製)等の限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行い、粒径が大きすぎたり小さすぎる粒子を除去するか、または適切な重力加速度で遠心分離を行い、上清または沈殿のみを回収することで可能である。
前記シリカ粒子の表面に吸着又は結合させる生体分子としては、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、タンパク質又はペプチドが挙げられる。ここで、リガンドとはタンパク質と特異的に結合する物質をいい、例えば、酵素に結合する基質、補酵素、調節因子、あるいはホルモン、神経伝達物質などをいい、低分子量の分子やイオンばかりでなく、高分子量の物質も含む。
本発明に用いるホスホリルコリン基を含むコポリマーは、ホスホリルコリン基を含むモノマーとビニルモノマーのコポリマーであることが好ましい。
本発明において、「ホスホリルコリン基を含むモノマー」とはホスホリルコリン基を修飾基(ペンダント)として有するモノマーをいう。前記ホスホリルコリン基を含むモノマーは特に制限はないが、下記一般式(1)で表されるモノマーが好ましい。
(一般式中、Rは水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲノ基を表す。本発明において、Rはアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。)
前記ビニルモノマーとしては、疎水性ビニルモノマーが好ましく、例えばメタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ドデシル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、メチル核置換スチレン、クロロ核置換スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ジエチルイタコネート、ジ−n−ブチルイタコネート等が挙げられる。
アンカー効果によるシリカ粒子表面への吸着性を考慮して、本発明に用いるホスホリルコリン基を含むコポリマーは疎水性のドメインを有することが好ましく、HLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)が8〜19.5(好ましくは、10〜18、より好ましくは12〜17)であることが好ましい。本発明におけるHLB値はグリフィン法によって求めた値であり、親水部i及び非親水部jからなるホスホリルコリン基を含むコポリマーのHLB値は下式(2)で定義される値である。
ホスホリルコリン基を含むコポリマーの分子量は特に制限はないが、重量平均分子量が1000〜1000000が好ましい。
本発明のホスホリルコリン基を含むコポリマーのうちホスホリルコリン基を含むモノマー成分の含量はモル比で20〜95%が好ましく、30〜85がより好ましく、40〜75%がさらに好ましい。ホスホリルコリン基を含むモノマー成分が少なすぎると、粒子の分散性向上、非特異的吸着の抑制の効果が低下する。ホスホリルコリン基を含むモノマー成分が多すぎると、シリカ粒子/生体分子との吸着が起こりにくくなる。
前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーを調製するには、例えば、特定の重合開始剤の存在下、ホスホリルコリン基を含むモノマーとビニルモノマーとを重合させる方法等により得られる。
前記重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であれば特に限定されるものではないが、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過硫酸塩又は過硫酸−亜硫酸水素塩等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、全原料モノマー100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.1〜5重量部が望ましい。
また、ホスホリルコリン基を含むコポリマーを調製する際の重合条件は、好ましくは30〜80℃、特に好ましくは40〜70℃において2〜72時間重合させるのが好ましい。この際、重合反応をより円滑に行うために溶媒を用いてもよく、該溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム又はこれらの混合物等を挙げることができる。
本発明の標識試薬シリカナノ粒子の平均粒径が1nm〜1μmであることが好ましく、20nm〜500nmであることがより好ましい。
本発明において、前記平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の画像から無作為に選択した100個の標識試薬シリカ粒子の合計の投影面積から標識試薬シリカ粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、この合計の占有面積を、選択した標識試薬シリカ粒子の個数(100個)で割った値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)を求めたものである。
なお、前記平均粒径は、一次粒子が凝集してなる二次粒子を含む概念の後述する「動的光散乱法による粒度」とは異なり、一次粒子のみからなる粒子の平均粒径である。
本明細書において、前記「動的光散乱法による粒度」とは、動的光散乱法により測定され、前記の平均粒径とは異なり、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集してなる二次粒子をも含めた概念であり、前記複合粒子の分散安定性を評価する指標となる。
動的光散乱法による粒度の測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名;マルバーン社製)が挙げられる。この手法は、微粒子などの光散乱体による光散乱強度の時間変動を測定し、その自己相関関数から光散乱体のブラウン運動速度を計算し、その結果から光散乱体の粒度分布を導出するというものである。
本発明の粒子は粒状物質として単分散であることが好ましく、粒度分布の変動係数いわゆるCV値は特に制限はないが、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
分散媒と、それに対して相対的に運動しているコロイド粒子とが接触したときに界面で電荷分離が起こる。このとき粒子表面には粒子と逆の符号を持ったイオンが集まり、層を形成する。これを電気二重層と呼ぶ。粒子表面に十分近い領域では反対電荷を持ったイオンは表面に強く引き付けられ運動性が無いため固定相と呼ばれる。それより外側のイオンは運動性を有しており拡散層と呼ばれる。また固定層と拡散層の接触面を滑り面と呼ぶ。粒子から十分離れた、電荷が中性となっている領域の電位をゼロと定義したときの滑り面の電位がζ電位(以下、単に「ゼータ電位」ということもある)であり、すなわち界面導電電位である。
前記ゼータ電位は、コロイド粒子の分散安定性、凝集性、表面改質等を評価する上での指標となる。すなわち、コロイド粒子は帯電しており、その帯電による静電的反発力の大きさが前記ゼータ電位の絶対値の大きさに対応しているので、前記ゼータ電位の絶対値の大きさは、コロイド粒子の分散安定性の指標となる(例えば、北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995参照)。
また、コロイド粒子がマイナスに帯電すると前記ゼータ電位は負の値となるのに対し、コロイド粒子がプラスに帯電すると前記ゼータ電位は正の値となる。
本発明の粒子は、pH7の純水中におけるゼータ電位の絶対値が1〜70mVであることが好ましく、45〜55mVであることがより好ましい。
前記絶対値が小さすぎると、容易に凝集体が生じる。また、前記絶対値が大きすぎると、静電的相互作用によって非特異的吸着が増大する。
ゼータ電位測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名、マルバーン社製)、ELS−Z1(商品名、大塚電子社製)、NICOMP 380ZLS(商品名、IBC社製)等を用いることができる。
本発明のシリカ粒子/生体分子/ホスホリルコリン基を含むコポリマーの複合粒子の製造方法は、シリカ粒子の表面に生体分子が吸着又は結合するシリカ粒子/生体分子の複合粒子と、ホスホリルコリン基を含むコポリマーとを混合し、前記シリカ粒子/生体分子の複合粒子の表面に前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーを吸着又は結合させる工程を有することを特徴とする。
シリカ粒子と生体分子とを吸着または共有結合により結合する方法については特に制限はないが、シリカ粒子と生体分子とを吸着させる方法については、例えば緩衝液に分散したシリカ粒子の分散液に生体分子を加え、混合または静置する方法が挙げられる。
また、非プロトン性溶媒に分散したシリカ粒子の分散液に、2個以上の架橋性官能基を有する架橋性化合物を含有させ、シリカ粒子表面に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基を用いて生体分子を共有結合により結合させてもよいし、シリカ粒子表面にアルギン酸等のカルボキシル基を有する高分子を結合させることで導入したカルボキシル基に、EDCなどの縮合剤を用いて生体分子をアミド結合で結合させてもよい(特願2008−271447、特許第4330025号明細書参照)。
シリカ粒子/生体分子の複合粒子に、ホスホリルコリン基を含むコポリマーを吸着させる工程については、シリカ粒子/生体分子の複合粒子の分散液にホスホリルコリン基を含むコポリマーを加え、混合または静置する方法が挙げられる。シリカ粒子/生体分子の複合粒子とホスホリルコリン基を含むコポリマーとを混合することで、ホスホリルコリン基を含むコポリマーの疎水性ドメインが、シリカ粒子表面の疎水性部分と疎水性相互作用によって吸着又は結合する。
シリカ粒子/生体分子の複合粒子の分散媒としては、緩衝液が好ましく、リン酸緩衝液、PBS(リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液が好ましい。また、シリカ粒子/生体分子の複合粒子の分散媒に対するシリカ粒子/生体分子の複合粒子の濃度については、前記複合粒子が分散していれば特に問題はないが、0.01〜10重量%が好ましい。
シリカ粒子/生体分子と混合するホスホリルコリン基を含むコポリマーの量は、シリカ粒子/生体分子の複合粒子のコロイドに対して、0.01〜1重量%が好ましく、0.04〜0.3重量%がより好ましい。ホスホリルコリン基を含むコポリマーの量が少なすぎると、十分な量の吸着が起こらず、十分な効果が得られない。
シリカ粒子/生体分子の複合粒子の分散液とホスホリルコリン基を含むコポリマーとを混合又は静置する時間については、1分〜1時間が好ましい。また、ホスホリルコリン基を含むコポリマーを加え、混合または静置する操作は2回または3回繰り返して行っても良い。
本発明の標識試薬シリカナノ粒子において、前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーの吸着又は結合量は、標識試薬シリカナノ粒子1mgに対して、5〜100μgが好ましく、7〜60μgがより好ましく、10〜40μgがさらに好ましい。
本発明のシリカナノ粒子コロイドは、本発明の標識試薬シリカナノ粒子を緩衝液に分散してなる。
前記シリカナノ粒子コロイドの緩衝液については特に制限はなく、前記複合粒子を均一に分散するものであればよく、PBS(リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、HEPES緩衝液等が挙げられる。
また、本発明のシリカナノ粒子コロイドには、前述の非特異的吸着をさらに防止する観点から、ポリエチレングリコール(PEG)、血清アルブミン(BSA)などの任意のブロッキング剤を含有させてもよい。
本発明の標識試薬シリカナノ粒子は、蛍光、吸光、磁性、放射線、pH感受性等の標識が付与されたシリカ粒子の表面に生体分子及びホスホリルコリン基を含むコポリマーを吸着又は結合することで得られる。前記標識を付与する方法としては、前述のように、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等の前記機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いて前記複合粒子を製造する方法などが挙げられる。
次に、本発明の標的物質の検出方法について説明する。
本発明の標的物質の検出方法は、毛細管現象等を利用して移動する標識試薬シリカナノ粒子を利用して、判定部で前記粒子を集積させ、判定を行う検出方法であり、例えばイムノクロマト法やマイクロ流路チップ等を利用して行うことができる。
本発明の標識試薬シリカナノ粒子はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子として好適に用いることができる。さらに、本発明の標的物質の検出方法において、ラテラルフロータイプのイムノクロマト法を利用して標的物質を検出することが好ましい。
本発明の標的物質の検出方法の一例として、イムノクロマトグラフィー用テストストリップを用いた標的物質の検出方法について説明する。
本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップは、
(1)試料添加用部材(サンプルパッド)と本発明の標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含浸し、乾燥して得られる部材(コンジュゲートパッド)とが、
(2)前記コンジュゲートパッドと抗体固定化部を有するメンブレン(抗体固定化メンブレン)とが、並びに
(3)前記抗体固定化メンブレンと吸収パッドとが
相互に毛細管現象が生じるように直列連結していることが好ましい。
図1(a)及び(b)を参照して、本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの好ましい1つの実施形態について説明するが、本発明はこれに制限するものではない。
図1(a)は、本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップの好ましい一実施形態の平面図を示し、図1(b)は、図1(a)で示したイムノクロマトグラフィー用テストストリップの縦断面図を示す図である。
本発明のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ1は、サンプルパッド2、コンジュゲートパッド3、抗体固定化メンブレン4、吸収パッド5からなることが好ましい。上記各構成部材は粘着剤付きバッキングシート6により裏打ちされていることが好ましい。
前記抗体固定化メンブレン4における抗体固定化部に、標的物質の有無を判定、すなわち陽性陰性を判定するための標的物質捕捉用抗体が固定化されたテストライン41を設ける。抗体固定化メンブレン4には、標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を捕捉するための抗体が固定化されたコントロールライン42を含むことが好ましい。
本発明において、検出、定量の対象としての標的物質は、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチド、化学物質等が挙げられる。
本発明において、標的物質を含有する試料としては特に制限ないが、尿、血液などの液体試料が挙げられる。
次に、上記各部材について説明する。
1)サンプルパッド2
サンプルパッド2は標的物質を含むサンプルを滴下する構成部材である。
2)コンジュゲートパッド3
コンジュゲートパッド3は本発明の標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子が含浸された構成部材であり、サンプルパッド2から毛細管現象により移動してきた試料に含まれる標的物質が抗原抗体反応等の特異的分子認識反応で、前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子によって捕捉され、標識される部分である。
コンジュゲートパッド3における単位面積(cm2)当たりの前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子の含有量は特に制限はないが1μg〜100μgが好ましい。含浸方法としては、前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子の分散液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥する方法等が挙げられる。
3)抗体固定化メンブレン4
メンブレン4は前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子により標識された標的物質が毛細管現象によって移動する構成部材であり、固定化抗体−標的物質−標識試薬シリカナノ粒子からなるサンドイッチ型免疫複合体形成反応が行われる抗体固定化部(判定部)を有する。
前記メンブレンにおける前記抗体固定化部(判定部)の形状としては局所的に捕捉用抗体が固定化されている限り特に制限はなく、ライン状、円状、帯状等が挙げられるが、ライン状であることが好ましく、幅0.5〜1.5mmのライン状であることがより好ましい。
固定化抗体−標的物質−標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子からなるサンドイッチ型免疫複合体形成反応により抗体固定化部(判定部)に、前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子により標識された標的物質が捕捉され、形成された前記複合体中の前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子に由来する発色又は蛍光等の標識の程度により標的物質の有無を判定、すなわち陽性陰性を判定することができる。すなわち、前記抗体固定化部(判定部)に標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子が濃縮され、着色シグナル等として目視的に、又は検出機器を用いて検出、判定できる。
前記サンドイッチ型免疫複合体形成反応を充分に完了させるため、あるいは液体試料中の着色又は蛍光物質等の標識による測定への影響や標的物質と結合していない標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子による測定への影響を回避するため、抗体固定化メンブレンにおける判定部は、前記コンジュゲートパッドとの連結端及び前記吸収パッドとの連結端からある程度離れた位置(例えば、前記メンブレンの中程など)に設けておくことが好ましい。
前記抗体固定化部(判定部)における抗体固定化量は特に制限ないが、形状がライン状の場合、単位長さ(cm)当たりの0.5μg〜5μgが好ましい。固定化方法としては、抗体溶液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥して物理吸着により固定化する方法等が挙げられる。
前述の抗体固定化後に、非特異的吸着による測定への影響を防止するために前記抗体固定化メンブレン全体をいわゆるブロッキング処理を施しておくことが好ましい。例えば、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール等のブロッキング剤を含有する緩衝液中に適当な時間浸漬した後乾燥する方法等が挙げられる。市販の前記ブロッキング剤としては、例えば、スキムミルク(DIFCO社製)、4%ブロックエース(明治乳業社製)などが挙げられる。
4)吸収パッド5
吸収パッド5は、毛細管現象でメンブレンを移動してきた試料及び標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を吸収し、常に一定の流れを生じさせるための構成部材である。
これら各構成部材の材料としては特に制限は無く、イムノクロマトグラフィー用テストストリップに用いられる部材が使用できるが、サンプルパッドおよびコンジュゲートパッドとしてはGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のガラスファイバーのパッドが好ましく、メンブレンとしてはHi−Flow Plus120メンブレン(商品名、MILLIPORE社製)等のニトロセルロースメンブレンが好ましく、吸収パッドとしてはCellulose Fiber Sample Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のセルロースメンブレンが好ましい。
前記粘着剤付きバッキングシートとしては、AR9020(商品名、Adhesives Research社製)等が挙げられる。
前記テストストリップの作製法としては、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、抗体固定化メンブレン、吸収パッドの並び順に、各部材間で毛管現象を生じさせ易くするために、それら各部材の両端を隣接する部材と1〜5mm程度重ね合わせて(好ましくはバッキングシート上に)貼付することで作製することができる。
発色の程度の判定は、目視以外に例えば、プレテスターRM−405、プレテスターRM−505(いずれも商品名、和光純薬工業社製)等の尿試験紙用のテスター、例えばデンシトメーター等を用いて行ってもよい。
また、前記標識試薬シリカナノ粒子が蛍光色素を含有した蛍光シリカ粒子の場合、判定部の蛍光の発色の程度は、例えば以下に述べるイムノクロマト法用蛍光検出システムを用いて行うことができる。
前記イムノクロマト法用蛍光検出システムは、少なくとも(1)サンプルパッド、蛍光物質を含有してなる標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含浸した部材(コンジュゲートパッド)、抗体固定化メンブレン及び吸収パッドからなるテストストリップ、並びに(2)励起光源からなる。
前記蛍光検出システムにおいて、前記標識試薬シリカナノ粒子又はラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子の部分が発する蛍光を目視等によって検出する観点から、前記励起光源が、波長200nm〜400nmの励起光を発することが好ましい。前記励起光源としては、水銀ランプ、ハロゲンランプ及びキセノンランプが挙げられる。
また、前記蛍光検出システムは、前記励起光源から特定の波長の光のみを透過するためのフィルタを備えていることがより好ましく、さらに、蛍光のみを目視等で検出する観点から、前記励起光を除去し蛍光のみを透過するフィルタを備えていることがさらに好ましい。
前記蛍光検出システムは、前記蛍光を受光する光電子倍増管又はCCD検出器を備えることが特に好ましく、これにより目視では確認できない強度ないしは波長の蛍光も検出でき、さらにはその蛍光強度を測定できることから標的物質の定量もでき、高感度検出及び定量が可能となる。
前記テストストリップは、手技の習熟していない一般需要者でも操作し易くし、かつPOCT(Point Of Care Testing)の観点から、テストストリップの検出ラインを目視にて観察する観察窓のプラスチック材料等でハウジング(ケーシング)されていることが好ましい。例えば、特開2000−356638等に記載されているハウジング等が挙げられる。
ここで、POCTとは、患者にできる限り近い場所で診断するための検査をいう。従来は採取した血液、尿、患部組織などの検体は、病院の中央検査室や専門の検査センターに送られデータを出すので、診断の確定までに時間がかかっていた(例えば、1日以上)。POCTによれば、瞬時に提供される検査情報をもとに迅速かつ的確な治療が可能となることから、病院での緊急検査や手術中の検査が可能になるので、最近、医療現場でニーズが高い。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
参考例1(シリカナノ粒子の調製)
5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン・スクシンイミジルエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)2.9mgを1mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。ここに1.3μLのAPSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液600μLと、エタノール140mL、TEOS6.5mL、蒸留水35mL及び28質量%アンモニア水15mLを混合し、室温で24時間反応を行った。
反応液を18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を4mL加え、粒子を分散させ、再度18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、シリカナノ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径169nmのシリカナノ粒子1.67gを得た。収率約95%。
図2は、得られたシリカナノ粒子のSEM写真像を示す図である。図中、白く見える球形状物質が、得られたシリカナノ粒子である。
参考例2(ホスホリルコリン基を含むコポリマーの合成)
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下MPCと称す)とメタクリル酸ブチル(以下BMAと称す)とのモノマー仕込みモル比がMPC/BMA=60/40、総モノマー濃度が1.0mol/L及び重合開始剤がモノマー濃度に対して1mol%となるように、MPC3.54g(12.0mmol)、BMA1.04g(8.0mmol)を重合用ガラス反応管に秤取し、これに重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと称す)0.0328g(0.2mmol)、重合溶媒としてメタノール20mlを加えた。反応管内を十分にアルゴン置換した後、400mLのジエチルエーテルに滴下することによってポリマーを沈殿させた。ついで濾別し、十分にジエチルエーテルにて洗浄した後減圧乾燥して白色粉末状ポリマー1.89gを得た。重合率は41.3%であった。また得られたポリマーのテトラヒドロフラン溶液をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて分析し、分子量を測定した結果、ポリスチレン換算で29000であった。更にモル組成比は元素分析の結果より、MPC/BMA=55.4/44.6であった。得られたコポリマーのHLB値を前記式(2)に基づき計算すると(ここで、親水部iはMPC(式量:295)、非親水部jはBMA(式量:142)である)、
HLB値=
20×(295×55.4)/(295×55.4+142×44.6)=14.4
であった。
実施例1(複合粒子の作製1)
5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン・スクシンイミジルエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)2.9mgを1mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。ここに1.3μLのAPSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液600μLと、エタノール140mL、TEOS6.5mL、蒸留水20mL及び28質量%アンモニア水15mLを混合し、室温で24時間反応を行った。
反応液を18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を4mL加え、粒子を分散させ、再度18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、シリカナノ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径260nmのシリカナノ粒子1.60gを得た。収率約92%。
前記シリカ粒子の分散液100μL(分散媒:蒸留水)と、50mM KH2PO4(pH7.0)380μLをマイクロチューブに加えて軽く撹拌した。前記マイクロチューブに抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008、Medix Biochemica社製)10μL(5.8mg/mL)を加え、室温で10分間緩やかに混合し、抗hCG抗体を前記シリカナノ粒子に吸着させた。これに、参考例2で調製したコポリマーの5重量%溶液を10μL加え軽く撹拌した。
得られたコロイドを10000×gで5分間遠心分離し、上清を除去し、蒸留水に分散させた。再度10000×gで5分間遠心分離を行い、上清を除去し、蒸留水に分散させた。得られたコロイドのゼータ電位測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)を用いてゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位は50.1mVであった。
得られたコロイドを10000×gで5分間遠心分離し、上清を取り除いた。ここに保存用バッファー(20mM Tris−HCl(pH 8.2)、0.05% PEG20,000、150mM NaCl、1%BSA、0.1%NaN3)を1mL加え、再度遠心分離し、上清を取り除いた。ここに蒸留水500μL及び塗布バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2)、0.05%PEG(分子量20,000)、5%スクロース)を500μL加え、粒子を分散させ、シリカ粒子/生体分子/ホスホリルコリン基を含むコポリマーの複合粒子のコロイドを得た(0.5mg/mL×1mL)。
(コポリマーの結合量の評価)
得られたコロイド0.2mLを10000×gで5分間遠心分離し、上清を取り除いた。ここに2M NaOH水溶液を50μL加え粒子を分散させた後、80℃で1時間加熱しシリカ粒子を溶解した。これに、2M塩酸50μLを少しずつ加えた。得られた溶液に含まれるコポリマー量をHPLC(検出器:示差屈折率検出器、Waters社製)で測定した。その結果、コポリマーの濃度は60μg/mLであり、この濃度から算出した粒子1mgあたりのコポリマー結合量は12μgであった。
実施例2(複合粒子の作製2)
実施例1で用いた、濃度5mg/mlのローダミン6G含有シリカ粒子(平均粒径260nm)の分散液100μL(分散媒:蒸留水)に、蒸留水775μL、濃度10mg/mLのアルギン酸ナトリウム水溶液(重量平均分子量70000)100μL及び28重量%のアンモニア水溶液を25μL加え、室温(23℃)で1時間緩やかに混合した。得られたコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去した。ここに蒸留水を875μL加え、粒子を再分散させた。続いて、10mg/mLのアルギン酸ナトリウム水溶液を100μL加え撹拌子でよく撹拌したあと、28重量%のアンモニア水溶液を25μL加え、1時間緩やかに混合した。このコロイドを12,000×gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を1mL加え粒子を分散させた。同様にして更に2回遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、蒸留水200μLに分散させ、ローダミン6G含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子(平均粒径260nm)のコロイドを得た(収量2.5mg/mL×200μL)。
前記ローダミン6G含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子のコロイドに、0.5Mの2-Morpholinoethanesulfonic acid、monohydrateバッファー(pH6.0)を100μL、蒸留水395μL、50mg/mLのNHS(N-Hydroxysuccinimide)水溶液230μL、及び19.2mg/mLのEDC(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide)水溶液75μLを順に加えて10分間混合した。
得られたコロイドを12,000×gの重力加速度で10分遠心分離し、上清を除去した。ここに50mMKH2PO4(pH7.0)を370μLと抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008, Medix Biochemica社製)20μL(5.8mg/mL)を加え、室温で10分間緩やかに混合し、抗hCG抗体を前記シリカナノ粒子に共有結合させた。
これに参考例2で調製したコポリマーの5重量%溶液を10μL加え軽く撹拌した。
混合液を12000×gで15分間遠心分離し、上清を取り除いた。ここに保存用バッファー(20mM Tris−HCl(pH 8.2)、0.05% PEG20,000、150mM NaCl、1%BSA、0.1%NaN3)を1mL加え、再度遠心分離し、上清を取り除いた。ここに蒸留水500μLと塗布バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2)、0.05%PEG(分子量20,000)、5%スクロース)を500μL加え、粒子を分散させ、シリカ粒子/生体分子/ホスホリルコリン基を含むコポリマーの複合粒子のコロイドを得た(0.5mg/mL×1mL)。
実施例1と同様に、得られたコロイドのpH7の純水中におけるゼータ電位は49.7mVであり、シリカナノ粒子に対するコポリマーの結合量は粒子1mgあたり15μgであった。
実施例3(イムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製)
実施例1で得られた複合粒子のコロイド0.8mLをGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)(8×150mm)に均一に塗布した。デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥し、実施例1で得られた複合粒子を含有してなるコンジュゲートパッドを作製した。
次に、抗体固定化メンブレンを以下の方法で作製した。
メンブレン(丈25mm、商品名:Hi−Flow Plus120 メンブレン、MILLIPORE社製)の中央付近(端から約12mm)に、幅約1mmのテストラインとして、抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH),clone code/6601、Medix Biochemica社製)を1mg/mL含有する溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
続いて、幅約1mmのコントロールラインとして、抗マウスIgG抗体(Anti Mouse IgG、Dako社製)を1mg/mL含有する溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、50℃で30分乾燥させた。なお、テストラインとコントロールラインとの間隔は4mmとした。
次に、ブロッキング処理として前記メンブレン全体をブロッキングバッファー(組成:100mMホウ酸(pH8.5)、1重量%カゼイン)中に室温で30分浸した。
前記メンブレンをメンブレン洗浄/安定バッファー(組成:10mMKH2PO4(pH7.5)、1重量%スクロース、0.1%コール酸ナトリウム)に移し室温で30分以上静置した。メンブレンを引き上げ、ペーパータオル上に置いて室温で一夜乾燥させて、抗体固定化メンブレンを作製した。
サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)、前記コンジュゲートパッド、前記抗体固定化メンブレン、及び吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)、MILLIPORE社製)をバッキングシート(商品名AR9020,Adhesives Research社製)上でこの順に組み立て、5mm幅、長さ60mmのストリップ状に切断し、図1(a)及び(b)に示した構成のテストストリップを得た。
なお、各構成部材は、図1(a)及び図1(b)に示すように、各々その両端を隣接する部材と2mm程度重ね合わせて貼付した(以下、同様である)。
比較例
比較例として、ホスホリルコリン基を含むコポリマーを加えないで調製したシリカ粒子/生体分子複合粒子を以下の方法で作製した。
実施例1で用いた、濃度5mg/mlのローダミン6G含有シリカ粒子(平均粒径260nm)の分散液100μL(分散媒:蒸留水)及び50mMKH2PO4(pH7.0)390μLをマイクロチューブに加えて軽く撹拌した。前記マイクロチューブに抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008,Medix Biochemica社製)10μL(5.8mg/mL)を加え、室温で10分間緩やかに混合し、抗hCG抗体を前記シリカナノ粒子に吸着させた。
混合液を12000×gで15分間遠心分離し、上清を取り除いた。ここに保存用バッファー(20mM Tris−HCl(pH 8.2)、0.05% PEG20,000、150mM NaCl、1%BSA、0.1%NaN3)を1mL加え、再度遠心分離し、上清を取り除いた。ここに蒸留水500μLと塗布バッファー(20mM Tris−HCl(pH8.2)、0.05%PEG(分子量20,000)、5%スクロース)を500μL加え、粒子を分散させ、シリカ粒子/生体分子の複合粒子のコロイドを得た(0.5mg/mL×1mL)。
前記のシリカ粒子/生体分子の複合粒子のコロイドを用いた以外は、実施例3と同様の方法でイムノクロマトグラフィー用テストストリップを得た。
実施例4 リコンビナントhCGの検出
50IU/LのリコンビナントhCG(ロート製薬社製)を実施例3及び比較例で作成したテストストリップのサンプルパッド部分に100μL滴下し、3時間放置後、テストストリップのサンプルパッドとコンジュゲートパッドを剥がし、メンブレンを露出させ、レーザダイオードを用いて励起を行いフォトダイオードで蛍光を受光することでメンブレンの蛍光プロファイルを取得した。得られた蛍光プロファイルからテストライン、コントロールラインの蛍光強度を評価した。
得られた蛍光プロファイルを図3に示す。横軸は、メンブレンのサンプルパッド側の端からの距離を示している。図3中、Aのグラフは実施例3のテストストリップを用いたときの蛍光強度を示し、Bのグラフは比較例のテストストリップを用いたときの蛍光強度を示す。なお、7mm付近のピークはテストラインの蛍光強度、11mm付近のピークはコントロールラインの蛍光強度を示している。さらに、図3における、テストライン及びコントロールラインのピークの面積強度の比較を図4に示す。
図3及び4の結果が示すように、本発明のシリカナノ粒子を用いると、比較例のシリカナノ粒子を用いた場合に比べてテストラインの発光強度が1.7倍、コントロールラインの発光強度が1.5倍に増大する。この結果から、本発明によれば、標的物質の検出感度が向上していることが分かる。
さらに、図3から分かるように、本発明のシリカナノ粒子を用いると、比較例のシリカナノ粒子に比べて、バックグラウンドレベルが低下している。この結果から、ホスホリルコリン基を含むコポリマーをシリカナノ粒子表面に吸着又は結合させることによって、標識試薬シリカナノ粒子のメンブレン全体に対する非特異的吸着が抑制され、バックグラウンドが低下していることが分かる。
以上の結果から、本発明によれば、シグナル/ノイズ比の高い極微量標的試料の高感度分析が可能となる。
以上より、本発明の標識シリカナノ粒子を用いたイムノクロマトグラフィー用テストストリップは、シリカナノ粒子表面に生体分子及びホスホリルコリン基を含むコポリマーを吸着又は結合させない標識シリカナノ粒子を用いたイムノクロマトテストストリップに比べて、標的物質の検出感度が向上するとともに、バックグラウンドレベルが低下することから高感度検出に適していることが分かる。
実施例5 シリカナノ粒子の分散性の測定
実施例1で調製した本発明の標識試薬シリカナノ粒子のコロイド、比較例で調製したシリカ粒子/生体分子複合粒子のコロイド、および実施例1及び比較例で使用した、抗hCG抗体で表面修飾する前のシリカ粒子について動的光散乱法(DLS)による粒度分布の測定を行った。装置はゼータサイザーナノ(商品名、マルバーン社製)を用いた。その結果を図5に示す。図5中、Aのグラフは本発明の標識試薬シリカナノ粒子のコロイドのデータを示し、Bのグラフはシリカ粒子/生体分子複合粒子のコロイドのデータを示し、Cのグラフは抗hCG抗体で表面修飾する前のシリカ粒子のデータを示す。
図5の結果から明らかなように、比較例で調製したシリカ粒子/生体分子複合粒子のコロイドの粒度分布では複合処理する前のシリカ粒子のコロイドの粒度分布に比べて、粒径の大きい成分が増加している。これは、粒子の凝集体が生じていることを示している。一方シリカ粒子/生体分子/ホスホリルコリン基を含むコポリマーの複合粒子のコロイドの粒度分布では複合処理する前のシリカ粒子のコロイドの粒度分布に比べて大きな差が見られず、凝集はほとんど見られなかった。
この結果から、ホスホリルコリン基を含むコポリマーをシリカナノ粒子表面に吸着又は結合させることで、粒子の凝集が抑制されることが分かる。
1 テストストリップ
2 サンプルパッド
3 コンジュゲートパッド
4 抗体固定化メンブレン
5 吸収パッド
6 バッキングシート
41 テストライン
42 コントロールライン

Claims (14)

  1. シリカ粒子の表面に生体分子及びホスホリルコリン基を含むコポリマーが吸着又は結合した複合粒子からなる標識試薬シリカナノ粒子であって、前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、タンパク質及びペプチドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、標識試薬シリカナノ粒子。
  2. 前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーが、ホスホリルコリン基を含むモノマーとビニルモノマーのコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の標識試薬シリカナノ粒子。
  3. 前記ホスホリルコリン基を含むモノマーが2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンであることを特徴とする請求項2に記載の標識試薬シリカナノ粒子。
  4. 前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーのHLB値が8〜19.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子。
  5. 前記ビニルモノマーがメタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ドデシル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、メチル核置換スチレン、クロロ核置換スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ジエチルイタコネート及びジ−n−ブチルイタコネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子。
  6. 前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーの吸着又は結合量が、標識試薬シリカナノ粒子1mgに対して、5〜100μgであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子。
  7. pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜70mVである請求項1〜6のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の標識試薬シリカナノ粒子を用いたラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子。
  9. 請求項1〜7のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子を緩衝液に分散して得られるシリカナノ粒子コロイド。
  10. 請求項1〜7のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子又は請求項8記載のラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含浸し、乾燥して得られるラテラルフロー用コンジュゲートパッド。
  11. 請求項1〜7のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子又は請求項8記載のラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を含有する、イムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
  12. シリカ粒子の表面に生体分子が吸着又は結合するシリカ粒子/生体分子の複合粒子と、ホスホリルコリンを含むコポリマーとを混合し、シリカ粒子/生体分子の複合粒子の表面に前記ホスホリルコリン基を含むコポリマーを吸着又は結合させる、シリカ粒子/生体分子/ホスホリルコリン基を含むコポリマーの複合粒子の製造方法。
  13. 前記シリカ粒子/生体分子の複合粒子のコロイドに対して、前記ホスホリルコリンを含むコポリマーを0.01〜1重量%で混合することを特徴とする請求項12記載の複合粒子の製造方法。
  14. 請求項1〜7のいずれか記載の標識試薬シリカナノ粒子又は請求項8記載のラテラルフロー用標識試薬シリカナノ粒子を用いて標的物質を特異的に捕捉し、標的物質を捕捉した粒子の標識を観察することで標的物質の検出を行うことを特徴とする、標的物質の検出方法。



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