JP2011252523A - 転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】二つの分割片の突き合わせ面を転動体が通過することに起因する騒音や振動の発生を抑制し、併せて二つ割り外輪のクリープをも防止する。
【解決手段】転がり軸受装置10は、二つ一組の分割片19a,19bからなる二つ割り外輪14と、この二つ割り外輪14の内周面を転動し得るように配置される複数個のころ16と、二つ割り外輪14が嵌合される支持孔31を有し、この支持孔31を含む範囲で分割可能な分割構造のハウジング11とを備え、ころ16の内周側にはシャフト22が嵌合される。二つ割り外輪14の両分割片19a,19bの円周方向両端における突き合わせ部24の外周面に、両分割片19a,19bに跨がる互いに平行な一対の平坦面25が形成され、ハウジング11の支持孔31には、一対の平坦面25に当接する一対の平坦な当接面33が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】転がり軸受装置10は、二つ一組の分割片19a,19bからなる二つ割り外輪14と、この二つ割り外輪14の内周面を転動し得るように配置される複数個のころ16と、二つ割り外輪14が嵌合される支持孔31を有し、この支持孔31を含む範囲で分割可能な分割構造のハウジング11とを備え、ころ16の内周側にはシャフト22が嵌合される。二つ割り外輪14の両分割片19a,19bの円周方向両端における突き合わせ部24の外周面に、両分割片19a,19bに跨がる互いに平行な一対の平坦面25が形成され、ハウジング11の支持孔31には、一対の平坦面25に当接する一対の平坦な当接面33が形成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、転がり軸受装置に関する。
自動車や船舶などのエンジンにおいて、ピストンの往復動を回転運動に変換するクランクシャフトを支持する軸受は、クランクアーム間に配置されることから、円周方向に2分割された二つ割り軸受が使用されている。
このような二つ割り軸受としては、従来、滑り軸受が使用されてきたが、近年、より燃料消費量の少ないエンジンに対する要求が益々高まっていることから、回転損失を低減させるために、滑り軸受に代えて周方向に分割された転がり軸受を使用することが提案されている。
この分割型の転がり軸受は、例えば、二つ一組の半円弧状の分割片からなる二つ割り外輪と、二つ割り外輪の内周面を転動し得るように配設される複数個の転動体であるころとを備えている。そして、クランクシャフトのジャーナル部が内輪部材として転がり軸受に内嵌される。
ところで、分割型の転がり軸受では、二つの分割片の円周方向端面同士が突き合わされているが、当該転がり軸受を収容する支持孔を有するハウジングへの組み付け誤差や、ハウジング嵌め合い面の加工状態により、両分割片の突き合わせ面にラジアル方向のズレが生じることがある。その結果、両分割片の突き合わせ面にラジアル方向内側に突出する段差が形成されることがある。
そして、分割片の突き合わせ面にラジアル方向に段差が生じると、この段差が生じている分割片の突き合わせ面付近をころが転走するときに、ころの周面が段差の角に衝突し、騒音や振動が発生するおそれがある。
そこで、ころが段差を通過することに伴って発生する騒音や振動を抑制するために、前記突き合わせ面付近における外輪軌道面をラジアル方向外側に逃がして「逃げ」を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の軸受では、両分割片の円周方向端部のうち外輪軌道面を構成する内周面側に、先端縁に向かうにしたがって径方向の厚さ寸法を漸減させる方向に傾斜した傾斜面を形成している。このため、分割片同士の突き合わせ面にラジアル方向のズレが生じたとしても、前記傾斜面を形成したことにより段差が生じるのを防ぐことができ、その結果、騒音や振動の発生が抑制される、とされている。
特許文献1記載の軸受では、両分割片の円周方向端部のうち外輪軌道面を構成する内周面側に、先端縁に向かうにしたがって径方向の厚さ寸法を漸減させる方向に傾斜した傾斜面を形成している。このため、分割片同士の突き合わせ面にラジアル方向のズレが生じたとしても、前記傾斜面を形成したことにより段差が生じるのを防ぐことができ、その結果、騒音や振動の発生が抑制される、とされている。
しかしながら、特許文献1記載の軸受のように「逃げ」を形成する方法では、ころが突き合わせ面付近を通過することに伴う騒音や振動をある程度は低減させることができるものの、前記傾斜面と外輪軌道面との境界である接合点においてころの速度ベクトルが急激に変化するため、騒音や振動の発生を十分には抑制できない。
また、二つ割りタイプの転がり軸受に限らず、一般的な転がり軸受においても、ころの転走に伴ってハウジングの支持孔に嵌合されている外輪にクリープが生じると、当該外輪とハウジングとの嵌め合い面に摩耗が生じるという問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、分割片の突き合わせ面を転動体が通過することに伴う振動や騒音の発生を抑制することができ、併せて外輪のクリープをも防止することができる転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本発明は、二つ一組の半円弧状の分割片からなる二つ割り外輪と、この二つ割り外輪の内周面を転動し得るように配置される複数個の転動体と、前記二つ割り外輪を嵌合させる支持孔を有し、かつこの支持孔を含む範囲で分割可能なハウジングと、を備え、前記転動体の内周側に内輪部材が嵌合される転がり軸受装置であって、
前記二つ割り外輪の両分割片の円周方向両端における突き合わせ部の外周面に、両分割片に跨がる互いに平行な一対の平坦面が形成され、前記ハウジングの支持孔には、前記一対の平坦面に面接触する一対の平坦な当接面が形成されていることを特徴とする。
前記二つ割り外輪の両分割片の円周方向両端における突き合わせ部の外周面に、両分割片に跨がる互いに平行な一対の平坦面が形成され、前記ハウジングの支持孔には、前記一対の平坦面に面接触する一対の平坦な当接面が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ハウジングの支持孔に形成された一対の当接面に、分割片に形成された一対の平坦面を面接触させた状態で、ハウジングに分割片を組み込むことによって、両分割片の突き合わせ面が当接面によって揃えられ、二つ割り外輪の内周面にラジアル方向の段差が生じるのを防止することができる。したがって、二つ割り外輪の内周面を転走するころが段差を通過することに起因する振動や騒音の発生を抑制することができる。また、ハウジングに形成された当接面に両分割片に形成された平坦面を当接することによって、ハウジングに対する二つ割り外輪のクリープを防止することができる。
前記ハウジングは、前記支持孔の一部を有する第1分割体と、前記支持孔の他の一部を有し、かつ前記第1分割体に連結具を介して連結される第2分割体とからなり、
前記第1分割体に形成された前記支持孔の一部は、当該支持孔の全周の半分以上の円周長さを有するとともに、その円周方向の両端部に前記当接面を有していることが好ましい。
このような構成の転がり軸受装置を組み立てるには、まず、第1分割体に形成された支持孔の一部に分割片を嵌合する。この際、一対の平坦面を一対の当接面に沿わせることによって、当該一対の当接面がガイドとなり、分割片を簡単かつ正確に第1分割体に組み付けることができる。そして、第2分割体に形成された支持孔の他の一部を分割片に嵌合させながら、第2分割体を第1分割体に連結すればよい。
前記第1分割体に形成された前記支持孔の一部は、当該支持孔の全周の半分以上の円周長さを有するとともに、その円周方向の両端部に前記当接面を有していることが好ましい。
このような構成の転がり軸受装置を組み立てるには、まず、第1分割体に形成された支持孔の一部に分割片を嵌合する。この際、一対の平坦面を一対の当接面に沿わせることによって、当該一対の当接面がガイドとなり、分割片を簡単かつ正確に第1分割体に組み付けることができる。そして、第2分割体に形成された支持孔の他の一部を分割片に嵌合させながら、第2分割体を第1分割体に連結すればよい。
前記第1分割体は、前記支持孔の一部の円周方向の両端部に設けられ、前記当接面を有する当接部材と、この当接部材を挿入する凹部を有する分割体本体とからなることが好ましい。
このような構成によって、第1分割体の支持孔の一部に対して容易に当接面を形成することができる。
このような構成によって、第1分割体の支持孔の一部に対して容易に当接面を形成することができる。
前記当接部材は、分割体本体よりも軟質な材料から形成されていてもよい。
このような構成によって、両分割片の突き合わせ面付近において発生した振動を当接部材によって吸収することが可能となり、ハウジングに伝達される振動を緩和することができる。
このような構成によって、両分割片の突き合わせ面付近において発生した振動を当接部材によって吸収することが可能となり、ハウジングに伝達される振動を緩和することができる。
本発明の転がり軸受装置によれば、転動体が両分割片の突き合わせ面付近を通過することに伴う騒音や振動の発生を抑制することができ、併せて二つ割り外輪のクリープを防止することができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の転がり軸受装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る転がり軸受装置10の断面図である。この転がり軸受装置10は、例えば、エンジンのクランクシャフトを支持するために使用されるものであり、ハウジング11と、このハウジング11に組み付けられた転がり軸受12とからなる。転がり軸受12は、二つ割り外輪14と、二つ割り外輪14の内周面に形成された外輪軌道15を転動し得るように配設される複数個の転動体であるころ16と、各ころ16を円周方向略等間隔に配置するように保持する保持器17とを有している。
図1は、本発明の実施形態に係る転がり軸受装置10の断面図である。この転がり軸受装置10は、例えば、エンジンのクランクシャフトを支持するために使用されるものであり、ハウジング11と、このハウジング11に組み付けられた転がり軸受12とからなる。転がり軸受12は、二つ割り外輪14と、二つ割り外輪14の内周面に形成された外輪軌道15を転動し得るように配設される複数個の転動体であるころ16と、各ころ16を円周方向略等間隔に配置するように保持する保持器17とを有している。
二つ割り外輪14は、二つ一組の半円弧状に形成された分割片19a,19bから構成されている。シャフト22は、複数個のころ16によって支持されることにより転がり軸受12に内嵌されている。したがって、このシャフト22は内輪部材としても機能している。
保持器17は、二つ一組の半円弧状に形成された分割片20a,20bから構成されている。ただし、保持器17は、二つ割り構造に限らず、周方向の1箇所で分断されたリング構造とし、この分断された箇所を拡げてシャフト22の外周側に取り付けるように構成してもよい。
二つ割り外輪14において、一方(図1の上側)の分割片19aの円周方向両端面と、他方(図1の下側)の分割片19bの円周方向両端面とは互いに突き合わされている。両分割片19a,19bの円周方向両端面付近、すなわち両分割片19a,19bの突き合わせ面付近(突き合わせ部)24の外周面には、それぞれ両分割片19a,19bに跨った平坦面25が形成されている。両分割片19a,19bの一方の突き合わせ部24に形成された平坦面25と、他方の突き合わせ部24に形成された平坦面25とは、互いに平行に形成されている。
図2は、転がり軸受装置10における両分割片19a,19bの突き合わせ部24を示す斜視図である。一方の分割片19aの円周方向端部には、略三角形状(山形状)に突出する突起26が形成され、他方の分割片19bの円周方向端部には、略三角形状(V字状)の窪み27が形成されている。そして、両分割片19a,19bの円周方向端部を突き合わせ、窪み27に突起26を嵌合することによって、両分割片19a,19bの相対的な軸方向の位置決めがなされている。すなわち、この突起26と窪み27とは、両分割片19a,19bの相対的な軸方向の位置決めをなす位置決め手段を構成する。この位置決め手段は、複数の突起26と窪み27との組み合わせ形状、例えば波形状とすることもできる。
図1に示すように、ハウジング11は、アッパーブロック(第1分割体)28と、ボルト(連結具)29によってアッパーブロック28と一体に結合されるロアブロック(第2分割体)30とからなる分割構造とされている。また、ハウジング11には、転がり軸受12を嵌合するための支持孔31が形成されている。
アッパーブロック28には、支持孔31の一部32aが形成され、ロアブロック30には、支持孔31の他の一部32bが形成されている。具体的には、アッパーブロック28に形成された支持孔31の一部32aは、支持孔31の全周の半分以上の円周長さを有しており、逆に、ロアブロック30に形成された支持孔31の他の一部32bは、支持孔31の全周の半分以下の円周長さを有している。このため、アッパーブロック28とロアブロック30との突き合わせ面28a,30aの位置と、両分割片19a,19bの突き合わせ面の位置とは円周方向にずれた位置に配置される。
図3は、転がり軸受装置10における両分割片19a,19bの突き合わせ部24を拡大して示す断面図である。図1及び図3に示すように、アッパーブロック28に形成された支持孔31の一部32aの円周方向の両端部には、両分割片19a,19bの平坦面25に適合した形状、すなわち平坦な面からなる当接面33が形成されている。そして、両分割片19a,19bに形成された平坦面25は、アッパーブロック28に形成された当接面33に面接触した状態で支持孔31内に嵌合されている。このように、分割片19a,19bの平坦面25が当接面33に面接触していることによって、ころ16の転走に伴う二つ割り外輪14のクリープ(支持孔31内での二つ割り外輪14の回転)を好適に防止することができ、二つ割り外輪14とハウジング11との嵌め合い面の摩耗を抑制することができる。
また、アッパーブロック28は、ブロック本体(分割体本体)34と、このブロック本体34に取り付けられる一対の当接部材35とからなる。当接部材35は、直方体のブロック形状に形成され、六面のうちの一つの面が当接面33とされている。ブロック本体34には、当接部材35を嵌め込むための凹部36が形成されている。この凹部36は、アッパーブロック28におけるロアブロック30に対する突き合わせ面と、支持孔31の一部32aの内側とにおいて開放した略L字形状に形成されている。
このように、アッパーブロック28をブロック本体34と当接部材35とから構成することによって、当接面33を有する支持孔31の一部32aをアッパーブロック28に対して容易に形成することができる。すなわち、アッパーブロック28がブロック本体34と当接部材35とに分割されていない場合には、当該アッパーブロック28に対して、円弧形状の支持孔31の一部32aと、この支持孔31の一部32aよりも内側に張り出し平坦面25とを形成する必要があり、特に、平坦面25を残したまま支持孔31の一部32aを形成する加工が非常に困難となるが、本実施形態の場合は、平坦面25に影響されることなく支持孔31の一部32aを形成することができるので、より加工が容易となっている。
当接部材35は、ブロック本体34と同じ素材、例えば、鋳鉄やアルミニウム合金から形成することができる。また、当接部材35は、ブロック本体34よりも軟質の材料、例えば硬質樹脂や、銅又はアルミニウム合金等の金属から形成することもできる。このように、ブロック本体34よりも軟質の材料から当接部材35を形成した場合、ころ16が分割片19a,19bの突き合わせ面付近を転走することに起因する振動を当接部材35によって吸収することができ、ハウジング11に伝達される振動を緩和することができる。すなわち、この場合、当接部材35が振動を吸収するための緩衝材として機能する。
本実施形態の転がり軸受装置10を組み立てるには、アッパーブロック28とロアブロック30を分解した状態で、ブロック本体34の凹部36に当接部材35を挿入し、一方の分割片19aをアッパーブロック28の支持孔31の一部32aに嵌め込む。このとき、一方の分割片19aに形成された平坦面25を当接面33に沿わせることによって、当該当接面33がガイドとして機能し、当該分割片19aを支持孔31の一部32aに傾くことなく嵌め込むことができる。
次いで、他方の分割片19bをアッパーブロック28の支持孔31の一部32aの内側に嵌め込む。このときも、他方の分割片19bの平坦面25を当接面33に沿わせることによって、他方の分割片19bを支持孔31の一部32aに傾くことなく嵌め込むことができる。そして、当接面33に対して両分割片19a,19bの平坦面25を面接触させることによって、両分割片19a,19bの円周方向両端面を揃えて適切に突き合わせることができ、これによって両分割片19a,19bの突き合わせ面に段差が生じるのを防止することができる。そのため、当該段差をころ16が通過することに起因する騒音や振動の発生を抑制することができる。
なお、アッパーブロック28に形成された支持孔31の一部32aに分割片19a,19bを組み込むにあたり、両分割片19a,19bの円周方向両端面を予め突き合わせた状態で、両分割片19a,19bを同時にアッパーブロック28の支持孔31の一部32aに嵌合してもよい。
なお、アッパーブロック28に形成された支持孔31の一部32aに分割片19a,19bを組み込むにあたり、両分割片19a,19bの円周方向両端面を予め突き合わせた状態で、両分割片19a,19bを同時にアッパーブロック28の支持孔31の一部32aに嵌合してもよい。
次いで、他方の分割片19bを第2分割体30における支持孔31の他の一部32bに嵌め合わせながら当該第2分割体30を第1分割体28にボルト29によって連結する。この際、当接部材35は、第2分割体30の突き合わせ面に当接することによって凹部36からの離脱が防止される。
《その他の開示(比較例)》
以下、本発明の範囲からは逸脱するが、その構成や効果が本発明と重複する転がり軸受装置を比較例として説明する。
図4は、第1の比較例に係る転がり軸受装置110の断面図である。この転がり軸受装置110は、本発明の実施形態と同様に、ハウジング11と転がり軸受12とからなり、これらの主要な構成は、本発明の実施形態と同様である。
ただし、この第1の比較例では、ハウジング11におけるアッパーブロック28に形成された支持孔31の一部32aが、当該支持孔31の全周の半分の円周長さを有し、同様に、ロアブロック30に形成された支持孔31の他の一部32bも、当該支持孔31の全周の半分の円周長さを有している。したがって、第1分割体28と第2分割体30との突き合わせ面の周方向の位置と、二つ割り外輪14における両分割片19a,19bの突き合わせ面の周方向の位置とが互いに一致している。そして、平坦面25は、一方(下側)の分割片19bの円周方向両端部の外周面のみに形成され、この平坦面25に当接する当接面33が、ロアブロック30に形成された支持孔31の一部32bの円周方向両端部のみに形成されている点で、本発明の実施形態と異なっている。
そして、この第1の比較例の転がり軸受装置110では、二つ割り外輪14のクリープを防止することは可能であるが、両分割片19a,19bの突き合わせ面の段差を防止することはできず、この点において、本発明の実施形態の方が有利となっている。
以下、本発明の範囲からは逸脱するが、その構成や効果が本発明と重複する転がり軸受装置を比較例として説明する。
図4は、第1の比較例に係る転がり軸受装置110の断面図である。この転がり軸受装置110は、本発明の実施形態と同様に、ハウジング11と転がり軸受12とからなり、これらの主要な構成は、本発明の実施形態と同様である。
ただし、この第1の比較例では、ハウジング11におけるアッパーブロック28に形成された支持孔31の一部32aが、当該支持孔31の全周の半分の円周長さを有し、同様に、ロアブロック30に形成された支持孔31の他の一部32bも、当該支持孔31の全周の半分の円周長さを有している。したがって、第1分割体28と第2分割体30との突き合わせ面の周方向の位置と、二つ割り外輪14における両分割片19a,19bの突き合わせ面の周方向の位置とが互いに一致している。そして、平坦面25は、一方(下側)の分割片19bの円周方向両端部の外周面のみに形成され、この平坦面25に当接する当接面33が、ロアブロック30に形成された支持孔31の一部32bの円周方向両端部のみに形成されている点で、本発明の実施形態と異なっている。
そして、この第1の比較例の転がり軸受装置110では、二つ割り外輪14のクリープを防止することは可能であるが、両分割片19a,19bの突き合わせ面の段差を防止することはできず、この点において、本発明の実施形態の方が有利となっている。
図5(a)は、第2の比較例における分割片19a,19bの部分的な斜視図であり、(b)は同分割片19a,19bの部分的な正面図である。
この第2の比較例では、分割片19a,19bの円周方向端部には、両分割片19a,19bに跨る平坦面25が形成されており、この点、本発明の実施形態と同じである。しかし、この第2の比較例では、この平坦面25に、合成樹脂材39からなるコーティングが施されており、この分割片19a,19bを嵌合させるハウジングの支持孔(図示略)には、平坦面25に面接触する当接面は形成されない。したがって、この第2の比較例では、二つ割り外輪14のクリープを防止することはできない。
しかし、この第2の比較例では、両分割片19a,19bの突き合わせ面に生じた段差をころ16が通過することに伴って振動が発生したとしても、合成樹脂材39からなるコーティングが緩衝材として機能して当該振動を吸収し、ハウジングに伝達される振動を緩和することができる。
なお、合成樹脂材39からなるコーティングは、分割片19a,19bの円周面よりも径方向外側に張り出すように設けるのが好ましい。これによって、ハウジングの支持孔に嵌合したときに、当該支持孔の内周面によってコーティングを圧縮し、振動の緩衝機能をより高めることができる。また、分割片19a,19bには、平坦面25に変えて窪みを形成し、この窪みに緩衝材として機能する合成樹脂材を嵌め込んでもよい。
この第2の比較例では、分割片19a,19bの円周方向端部には、両分割片19a,19bに跨る平坦面25が形成されており、この点、本発明の実施形態と同じである。しかし、この第2の比較例では、この平坦面25に、合成樹脂材39からなるコーティングが施されており、この分割片19a,19bを嵌合させるハウジングの支持孔(図示略)には、平坦面25に面接触する当接面は形成されない。したがって、この第2の比較例では、二つ割り外輪14のクリープを防止することはできない。
しかし、この第2の比較例では、両分割片19a,19bの突き合わせ面に生じた段差をころ16が通過することに伴って振動が発生したとしても、合成樹脂材39からなるコーティングが緩衝材として機能して当該振動を吸収し、ハウジングに伝達される振動を緩和することができる。
なお、合成樹脂材39からなるコーティングは、分割片19a,19bの円周面よりも径方向外側に張り出すように設けるのが好ましい。これによって、ハウジングの支持孔に嵌合したときに、当該支持孔の内周面によってコーティングを圧縮し、振動の緩衝機能をより高めることができる。また、分割片19a,19bには、平坦面25に変えて窪みを形成し、この窪みに緩衝材として機能する合成樹脂材を嵌め込んでもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。
本発明の転がり軸受装置は、例えば、エンジンのピストンに連結されるコンロッドの大端部からなるハウジングと、このハウジングに組み込まれるとともにクランクシャフトのクランクピンを内輪部材として回転自在に支持する転がり軸受とから構成してもよい。
また、カムシャフトなどの他のシャフトを支持するための転がり軸受装置にも本発明を適用することができる。
さらに、前述した実施の形態は、転動体としてころを用いたニードル軸受を備えているが、転動体としてボールを用いた玉軸受を採用することもできる。
本発明の転がり軸受装置は、例えば、エンジンのピストンに連結されるコンロッドの大端部からなるハウジングと、このハウジングに組み込まれるとともにクランクシャフトのクランクピンを内輪部材として回転自在に支持する転がり軸受とから構成してもよい。
また、カムシャフトなどの他のシャフトを支持するための転がり軸受装置にも本発明を適用することができる。
さらに、前述した実施の形態は、転動体としてころを用いたニードル軸受を備えているが、転動体としてボールを用いた玉軸受を採用することもできる。
10:転がり軸受装置、11:ハウジング、12:転がり軸受、14:二つ割り外輪、15:外輪軌道、16:ころ(転動体)、19a:分割片、19b:分割片、22:シャフト(内輪部材)、24:突き合わせ部、25:平坦面、28:アッパーブロック(第1分割体)、29:ボルト(連結具)、30:ロアブロック(第2分割体)、31:支持孔、32a:支持孔31の一部、33:当接面、34:ブロック本体(分割体本体)、35:当接部材
Claims (4)
- 二つ一組の半円弧状の分割片からなる二つ割り外輪と、この二つ割り外輪の内周面を転動し得るように配置される複数個の転動体と、前記二つ割り外輪を嵌合させる支持孔を有し、かつこの支持孔を含む範囲で分割可能なハウジングと、を備え、前記転動体の内周側に内輪部材が嵌合される転がり軸受装置であって、
前記二つ割り外輪の両分割片の円周方向両端における突き合わせ部の外周面に、両分割片に跨がる互いに平行な一対の平坦面が形成され、前記ハウジングの支持孔には、前記一対の平坦面に面接触する一対の平坦な当接面が形成されていることを特徴とする転がり軸受装置。 - 前記ハウジングは、前記支持孔の一部を有する第1分割体と、この第1分割体に連結具を介して連結され、前記支持孔の他の一部を有する第2分割体とからなり、
前記第1分割体に形成された前記支持孔の一部は、当該支持孔全体の半分以上の円周長さを有するとともに、その円周方向の両端部に前記当接面を有している請求項1に記載の転がり軸受装置。 - 前記第1分割体は、前記支持孔の一部の円周方向の両端部に設けられ、前記当接面を有する当接部材と、この当接部材を挿入する凹部を有する分割体本体とからなる請求項2に記載の転がり軸受装置。
- 前記当接部材は、分割体本体よりも軟質な材料から形成されている請求項3に記載の転がり軸受装置。
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JP2010125565A JP2011252523A (ja) | 2010-06-01 | 2010-06-01 | 転がり軸受装置 |
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JP2010125565A JP2011252523A (ja) | 2010-06-01 | 2010-06-01 | 転がり軸受装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015514951A (ja) * | 2012-04-26 | 2015-05-21 | ジーケーエヌ シンター メタルズ、エル・エル・シー | 位置決め機能を有する主軸受キャップ |
WO2019181193A1 (ja) * | 2018-03-20 | 2019-09-26 | 株式会社ジェイテクト | 軸受支持構造 |
DE102020200684A1 (de) | 2020-01-22 | 2021-07-22 | Thyssenkrupp Ag | Wälzlagerring mit mindestens einer Wälzkörperlaufbahn und Wälzlager |
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JPH05340428A (ja) * | 1992-06-05 | 1993-12-21 | Ebara Corp | ラジアル軸受装置及び該ラジアル軸受装置を備えたキャンドモータ |
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JP2006226391A (ja) * | 2005-02-17 | 2006-08-31 | Ntn Corp | 転がり軸受 |
JP2009079744A (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-16 | Jtekt Corp | 軸受構造体及びその製造方法 |
-
2010
- 2010-06-01 JP JP2010125565A patent/JP2011252523A/ja active Pending
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DE102020200684B4 (de) | 2020-01-22 | 2024-01-04 | Thyssenkrupp Ag | Großwälzlager mit einem Wälzlagerring mit mindestens einer Wälzkörperlaufbahn |
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