しかし、特許文献1に開示の電気ポット、特許文献2に開示の電気ケトルの蒸気放出路はいずれも、蒸気を放出する放出口から湯が飛び散り、放出口まわりを濡らす問題があり、電気ケトルでは特に、放出口近くにハンドルがあり沸騰中にハンドルを持つことがあると危険でもある。一方、電気炊飯器でも蒸気放出口からのおねばの吹き出しを防止しきれない点で電気ケトルや電気ポットと共通しており、放出口の外まわりがおねばで汚れるばかりでなく、乾燥して付着するのでお湯で濡れるだけの場合に比しお手入れしにくい。
本発明は上記のような点に鑑み、蒸気の放出口からお湯が飛び散ったり、おねばが吹き出るのを防止できる電気加熱器を提供することを目的としている。
上記のような課題を解決するため、本発明の電気加熱器は、内容物を加熱し沸騰させる容器と、この容器を閉じ加熱により沸騰する内容物から発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出路をもった蓋体とを備え、蒸気放出路の蒸気放出口部の上流近傍に、蒸気放出路の途中を絞る絞り開口を設け、周方向一部が側方に開放した周壁が絞り開口縁から蒸気の通過方向に延出し、この周壁の延出端に絞り開口からの蒸気の流れを堰き止めるように絞り開口域と対向する堰き止め壁と、この堰き止め壁の周壁開放側への張り出し縁に絞り開口側に返した返し壁と、を有した通過蒸気から水分を分離するための気液分離部を、前記絞り開口に設けたことを1つの特徴としている。
このような構成では、容器内で発生した蒸気はその容器を閉じている蓋体の蒸気放出路に流入して蒸気放出口部に至り蓋体外に放出される。この放出される蒸気は、蒸気放出路の蒸気放出口部の上流近傍に設けられた絞り開口を経ることで絞りによる気液分離を受けると共に速度を増し、直進性よく気液分離部に流入する。この気液分離部に流入し直進しようとする蒸気は、返し壁による周壁開放側への逃げを抑える案内も併せ、絞り開口域に対向する堰き止め壁に向かって十分に衝突し衝突による気液分離を確実に受ける。この気液分離後の蒸気は邪魔されない周壁の開放部へ堰き止め壁に沿って流れようとするが、堰き止め壁の周壁開放側への張り出し縁に設けられた絞り開口側に返した返し壁に邪魔されて、絞り開口側に向きをほぼ90度急転回されて遠心による気液分離を受ける。この気液分離後の蒸気は、返し壁のない周壁開放部から側方に流出し周壁まわりへも広がって随伴勢力を弱めながら、返し壁および周壁外側下流へほぼ180度急転回して遠心による気液分離を伴い回り込み、大気圧側となる下流、蒸気放出口部に抜けて外部に放出される。
本発明の電気加熱器は、また、内容物を加熱し沸騰させる容器と、この容器を閉じ加熱により沸騰する内容物から発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出路をもった蓋体とを備え、蒸気放出路の蒸気放出口部の上流近傍に、蒸気放出路の途中を絞る絞り開口を設け、周方向一部が側方に開放した周壁が絞り開口縁から蒸気の通過方向に延出し、この周壁の延出端に絞り開口からの蒸気の流れを堰き止めるように絞り開口域と対向する堰き止め壁と、を有した通過蒸気から水分を分離するための気液分離部を、前記絞り開口に設け、蓋体外面に開口する蒸気放出口の口縁から上流に延びる水切りリブを設け、蒸気放出口の口縁の周壁開放側の水切りリブは、堰き止め壁の張り出し縁に近接ないしは接触させるか、堰き止め壁の張り出し縁に近接ないしは接触してしかも堰き止め壁の張り出し縁よりも上流に突出させるかしたことを別の特徴としている。
このような構成では、容器内で発生した蒸気はその容器を閉じている蓋体の蒸気放出路に流入して蒸気放出口部に至り水切りリブのある蒸気放出口から絞りによる気液分離なしに蓋体外に放出される。この放出される蒸気は、蒸気放出路の蒸気放出口部の上流近傍に設けられた絞り開口を経ることで絞りによる気液分離を受けると共に流速を増し、直進性よく気液分離部に流入する。この気液分離部に流入し直進しようとする蒸気は、返し壁による周壁開放側への逃げを抑える案内も併せ、絞り開口域に対向する堰き止め壁に向かって十分に衝突し衝突による気液分離を確実に受ける。この気液分離後の蒸気は周壁開放部から側方に流出し周壁まわりへも広がって随伴勢力を弱めながら、大気圧側となる下流の蒸気放出口部に抜け蒸気放出口の口縁から下流に向いた周壁開放側の水切りリブを迂回することによる遠心による気液分離を受けながら勢力をさらに落として蒸気放出口から外部に放出される。特に、周壁開放側の水切りリブが堰き止め壁の周壁開放側の張り出し縁に近接ないしは接触してしかも張り出し縁よりも下流に突出していると、堰き止め壁に衝突して周壁開放部から側方に流れようとする蒸気は、絞り開口側に向きをほぼ90度急転回されて遠心による気液分離を受けた後、周壁開放側の水切りリブ外側へほぼ180度急転回されて強い遠心分離を受けて大気圧側下流に迂回し蒸気放出口に抜け出る。
上記において、さらに、周壁開放側のリブは、その裏側と蒸気放出口部の内周壁との間で、その反蒸気放出口側に位置して、気液分離部からの蒸気が入り込んで溜まる蒸気溜まり空間を形成したものとすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、気液分離部から流出し大気圧側の蒸気放出口部に抜けようとする蒸気の、特に周壁開放側から下流の蒸気放出口に抜けようとする勢力の強い蒸気を、水切りリブ裏側となる反蒸気放出口側の蒸気溜まり空間に一旦導入して一旦籠らせてから蒸気放出口に回り込ませるので、蒸気放出口から放出される蒸気の勢力をさらに抑えられる。
上記において、さらに、蒸気放出口の反周壁開放側の水切りリブは、気液分離部の周壁の反周壁開放側に近接ないしは接触したものとすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、気液分離部および周壁開放側の水切りリブを抜けて、反周壁開放側から蒸気放出口に向かう蒸気が、一部気液分離部の反周壁開放側に戻ろうとするのを、反周壁開放側の水切りリブが堰き止め蒸気放出口に向かわせることができる。
本発明の1つの特徴の電気加熱器によれば、容器内で発生した蒸気は、蒸気放出路の絞り開口を経て絞りによる気液分離、絞り開口での絞りにより速度を増して気液分離部に直進性よく流入して返し壁による周壁開放側への逃げを抑える案内も併せ、堰き止め壁に十分に衝突しての衝突による確実な気液分離、この衝突後に周壁の開放部へ堰き止め壁に沿って流れようとして堰き止め壁の周壁開放側への張り出し縁に設けられた返し壁に邪魔されて、絞り開口4側に向きをほぼ90度急転回されての遠心による気液分離、90度急転回後に返し壁のない周壁開放部から側方に流出し周壁まわりへも広がって随伴勢力を弱めながら、返し壁および周壁外側下流へほぼ180度急転回しての遠心による気液分離、の4回の気液分離を受けるので、湯滴やおねばは随伴せず大気圧側となる下流、蒸気放出口部に抜けて弱い勢力にて外部に放出され、外部に湯やおねばが飛び散ったり吹き出したりするのを防止できる。また、蒸気の放出勢力が弱いことにより蒸気放出口に結露水が付着しても外部への吹き出しを抑えられ、水滴の成長に伴い滴下させやすくなる。
本発明の別の特徴の電気加熱器によれば、容器内で発生した蒸気は、少なくとも、蓋体の蒸気放出路の絞り開口を経て絞りによる気液分離、絞り開口での絞りにより速度を増して気液分離部に直進性よく流入して返し壁による周壁開放側への逃げを抑えられる案内も併せ、堰き止め壁に十分に衝突しての衝突による気液分離、この衝突後に周壁開放部から側方に流出し周壁まわりへも広がって随伴勢力を弱めながら、大気圧側となる下流の蒸気放出口部に抜け蒸気放出口の口縁から下流に向いた周壁開放側の水切りリブを迂回することによる遠心による気液分離、の3回の気液分離を受けるので、湯滴やおねばは殆ど随伴せず大気圧側となる下流、蒸気放出口部に抜けて弱い勢力にて外部に放出されるので、受けながら勢力をさらに落として蒸気放出口の口縁に結露などし液滴に成長しても外部へ飛び散らしにくい上、液滴が飛び散らしやすい大きさに成長する前に水切りリブにより早期に伝い落せるので、外部に飛び散るのを防止することができる。特に、周壁開放側の水切りリブが堰き止め壁の周壁開放側の張り出し縁に近接ないしは接触してしかも張り出し縁よりも下流に突出していると、蒸気は、1つの特徴での返し壁と同じ働きをして、蒸気の堰き止め壁への十分な衝突による確実な衝突分離と、その後のほぼ90度急転回と、これに続くほぼ180度急転回とによる2回の遠心分離と吹き出し勢力の低減とを受けて、湯滴のより随伴なく外部に放出させられる。
上記に加え、さらに、気液分離部から流出し大気圧側の蒸気放出口部に抜けようとする蒸気の、特に周壁開放側から下流の蒸気放出口に抜けようとする蒸気を、水切りリブ裏側となる反蒸気放出口側の蒸気溜まり空間に一旦導入してから蒸気放出口に回り込ませるので、蒸気放出口から放出される蒸気の勢力をさらに抑えて、湯滴、水滴の外部への飛び散りや吹き出しを十分に抑えられる。
上記に加え、さらに、気液分離部および周壁開放側の水切りリブを抜けて、反周壁開放側から蒸気放出口に向かう蒸気が、一部気液分離部の反周壁開放側に戻ろうとするのを、反周壁開放側の水切りリブが堰き止め蒸気放出口に向かわせるので、蒸気放出口部まで流出した温度の低い蒸気が、絞り開口側に回り込んで、温度の高い蒸気に接触して結露を生じて湯の外部への飛び散りの原因になるのを防止することができる。
以下本発明の実施の形態に係る内容物を加熱し沸騰させる容器を有した電気加熱器につき、例えば、先行改良例を含む図1〜図8に示す電気ケトル例、電気ポット例、電気炊飯器例を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明に係る実施の形態の電気ケトルの1つの具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではなく、本発明の上記以上のさらなる課題およびそれを解決する特徴をも含んでいる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組み合わせで複合して採用することができる。
本実施の形態の電気加熱器は、図1に示す電気ケトル100、図2に示す電気ケトル200、図3、図4に示す電気ポット300、図5〜図7に示す電気炊飯器400にて採用しており、いずれも、内容物を加熱し沸騰させる容器1と、この容器1を閉じ加熱により沸騰する内容物から発生する蒸気を外部に放出する蒸気放出路2をもった蓋体3とを備え、電気ケトル、電気ポットでは、従来、蒸気を放出する放出口から湯が飛び散り、放出口まわりを濡らす問題があり、電気ケトルでは特に、放出口近くにハンドルがあり沸騰中にハンドルを持つことがあると危険でもある。一方、電気炊飯器でも蒸気放出口からのおねばの吹き出しを防止しきれない点で電気ケトルや電気ポットと共通しており、放出口の外まわりがおねばで汚れるばかりでなく、乾燥して付着するのでお湯で濡れるだけの場合に比しお手入れしにくい。そこで、蒸気放出路2内に蒸気の吹き出し勢力を弱めるシールパッキンを設けることも実用してきたが、部品点数、組み立て工数が増大してコスト高になる。
これに対応するのに、本発明者らは、図8に示す電気ポット例のように、容器1を閉じる蓋体3の蒸気放出路2の蒸気放出口部2aの上流近傍に絞り開口4が転倒時止水弁7に対する弁座としてあるのを利用し、周方向一部が側方に開放した周壁5aが絞り開口縁4aから蒸気の通過方向に延出し、この周壁5aの延出端に絞り開口4からの蒸気の流れを堰き止めるように絞り開口4域と対向する堰き止め壁5bを持った気液分離部5を設けた改良を先に行った。これによると蒸気放出路2を通じ外部に排出される破線矢印で示す蒸気6が、絞り開口4を経て絞りによる気液分離を受けて速度を増し、直進性よく堰き止め壁5bに衝突して衝突による気液分離を受けることで、随伴する湯滴やおねばを随伴させずに周壁開放部5cから大気圧側である下流に抜け蒸気放出口部2aを経て蒸気放出口2bから外部に放出される筈であるところ、本発明者らの実験によれば、周壁5aと堰き止め壁5bとの反周壁開放側の隅部が蒸気の滞留域となって蒸気が更新せず、蒸気6はこの滞留域を避けた破線で示すような単純な経路で抜けていくので、十分な衝突分離が実現せず、湯が外部に飛び散るのを防止しきれないことが判明した。また、単純な流れで蒸気放出口2bに到達して外部に放出される蒸気6は、速度が速く蒸気放出口2bの外気に触れて室温になっている周壁開放側の口縁に触れて結露を招いた上で、経時的に成長した液滴8を外部に吹き飛ばして散らす問題もあった。
そこで、さらなる改良をして、図1に示す電気ケトル100、図2に示す電気ケトル200、図3、図4に示す電気ポット300、図5〜図7に示す電気炊飯器400は、共通して、蒸気放出路2の蒸気放出口部2aの上流近傍に、蒸気放出路2の途中を絞る絞り開口4を設け、周方向一部が側方に開放した周壁5aが絞り開口縁4aから蒸気6の通過方向である例えば上方に延出し、この周壁5aの延出端に絞り開口4からの蒸気6の流れを堰き止めるように絞り開口4域と対向する堰き止め壁5bに加え、この堰き止め壁5bの周壁開放側への張り出し縁5dからに絞り開口4側に返した返し壁5e、をも有した、通過蒸気6から随伴している水分やおねばを分離するための気液分離部5を、前記絞り開口4に設けている。
これにより、容器1内で発生した蒸気6はその容器1を閉じている蓋体3の蒸気放出路2に流入して蒸気放出口部2aに至り蒸気放出口2bから蓋体3外に放出される。この放出される蒸気6は、図に破線矢印で示すように、蒸気放出路2の蒸気放出口部2aの上流近傍に設けられた絞り開口4を経ることで絞りによる気液分離を受けると共に速度を増し、直進性よく気液分離部に流入する。この気液分離部5に流入し直進しようとする蒸気6は、返し壁5eによる周壁開放側への逃げを抑えられ、規制される案内も併せ、絞り開口4域に対向する堰き止め壁5bに向かって十分に衝突し衝突による気液分離を確実に受ける。この気液分離後の蒸気6は邪魔されない周壁5aの開放部5cへ堰き止め壁5bに沿って流れようとするが、堰き止め壁5bの周壁開放側への張り出し縁5dに設けられた絞り開口4側に返した返し壁5eに邪魔されて、絞り開口4側に向きをほぼ90度急転回されて遠心による気液分離を受ける。この気液分離後の蒸気6は、返し壁5eのない周壁開放部5cから側方に流出し周壁5a外まわりへも広がって随伴勢力を弱めながら、返し壁5eおよび周壁5a外側下流へほぼ180度急転回して遠心による気液分離を伴い回り込み、大気圧側となる下流、蒸気放出口部2aに抜けて蒸気放出口2bから比較的緩やか勢力で外部に放出される。
したがって、容器1内で発生した蒸気6は、蒸気放出路2の絞り開口4を経て絞りによる気液分離、絞り開口4での絞りにより速度を増して気液分離部5に直進性よく流入して、返し壁5eによる周壁開放側への逃げを抑えられる案内を併せ、堰き止め壁5bに十分に衝突しての確実な衝突による気液分離、この衝突後に周壁5aの開放部5cへ堰き止め壁5bに沿って流れようとして返し壁5eに邪魔されて、絞り開口4側に向きをほぼ90度急転回されての遠心による気液分離、90度急転回後に返し壁のない周壁開放部5cから側方に流出し周壁5aまわりへも広がって随伴勢力を弱めながら、返し壁5eおよび周壁5a外側下流へほぼ180度急転回しての遠心による気液分離、の4回の気液分離を受けるので、湯滴やおねばは随伴せず大気圧側となる下流、蒸気放出口部2aに抜けて弱い勢力にて蒸気放出口2bから外部に放出され、外部に湯やおねばが飛び散ったり吹き出したりするのを防止できる。また、蒸気の放出勢力が弱いことにより蒸気放出口2bに結露水が付着しても外部への吹き出しを抑えられ、付着している水滴の成長に伴い滴下させやすくなる。しかも、蒸気のような気液分離部と蒸気放出口部2aは蒸気放出路2の小さな高さ範囲に形成されて機能でき、ハンディタイプでかさ低くしたい電気ケトル100、200の蓋体3を薄くするのに特に有効である。
しかも、図1に示す電気ケトル100、図2に示す電気ケトル200、図3、図4に示す電気ポット300では、上記にくわえ、さらに、蓋体3の外面に開口する蒸気放出口2bの口縁の少なくとも周壁開放側から上流である下方に延びる水切りリブ11を口縁と面一に設け、この周壁開放側の水切りリブ11は、堰き止め壁5bの張り出し縁5dに近接ないしは接触させてある。なお、近接は堰き止め壁5bの上下方向および周壁開放方向の一方または双方であってよい。
これにより、容器1内で発生し、上記のように蒸気放出路2の絞り開口4および気液分離部5を抜け、気液分離と随伴勢力を抑えられた蒸気6は、大気圧側となる下流の蒸気放出口部2aに抜けるのに、蒸気放出口2bの口縁から下流に向いた周壁開放側の水切りリブ11を迂回することによる遠心による気液分離を受けながら勢力をさらに落として、蒸気放出口2bに達し外部に放出される。従って、蒸気6は随伴勢力をさらに弱めて蒸気放出口2bから外部に放出されて蒸気放出口2bの口縁での結露などによる液滴を外部に飛び散らしにくくなる上、水切りリブ11による早期伝い落ちを図って流下させられるので、湯を外部に飛び散らすのを防止できる。
この場合、水切りリブ11を蒸気6が迂回しての遠心による遠心分離が得られるので、返し壁5eを必須としなくても有効であるし、図4に仮想線で示すように周壁開放側の水切りリブ11が堰き止め壁5bの周壁開放側の張り出し縁5dに近接ないしは接触してしかも張り出し縁よりも下流に突出していると、返し壁5eの役目をすることができ、返し壁5eがなくても、蒸気6を水切りリブ11の突出端部の案内で堰き止め壁5bに確実に衝突し、周壁開放部5cから側方に流れようとするのを、水切りリブ11の突出端部により絞り開口4側に向きをほぼ90度急転回されて遠心による気液分離を受けた後、周壁開放側の水切りリブ11の外側へほぼ180度急転回されて強い遠心分離を受けながら大気圧側下流に迂回して蒸気放出口部2aを抜け蒸気放出口2bから外部に放出されることができる。
さらに、図1に示す電気ケトル100、図2に示す電気ケトル200、図3、図4に示す電気ポット300では、周壁開放側の水切りリブ11は、その裏側と蒸気放出口部2aの周壁2cとの間で、その反蒸気放出口2b側に位置して、気液分離部5からの蒸気6が入り込んで溜まる蒸気溜まり空間12を形成したものとしている。これにより、気液分離部5から流出し大気圧側の蒸気放出口部2aに抜けようとする蒸気6の、特に周壁開放側から下流の蒸気放出口2bに抜けようとする蒸気6を、水切りリブ11裏側となる反蒸気放出口2b側の蒸気溜まり空間12に一旦導入して籠らせてから蒸気放出口2b側に回り込ませるので、蒸気放出口2bから放出される蒸気6の勢力をさらに抑えられる。湯滴、水滴の外部への飛び散りや吹き出しを十分に抑えられる。
また、図2に示す電気ケトル200、図3、図4に示す電気ポット300では、蒸気放出口2bの反周壁開放側口縁近くに設けた水切りリブ13は、気液分離部5の周壁5aの反周壁開放側に近接ないしは接触している。これにより、気液分離部5および周壁開放側の水切りリブ11を抜けて、蒸気放出口部2aの反周壁開放側から蒸気放出口2bに向かう蒸気6が、一部気液分離部5の反周壁開放側に戻ろうとするのを、反周壁開放側の水切りリブ13が堰き止め蒸気放出口2bに向かわせることができる。従って、蒸気放出口部2aまで流出した温度の低い蒸気6が、絞り開口4側に回り込んで、温度の高い蒸気6に接触して結露を生じ湯の外部への飛び散りの原因になるのを防止することができる。
ここで、図1に示す電気ケトル100について概略説明する。ハンディタイプ電気ケトルであって、ヒータ21により湯沸かしを行う容器1と、この容器1を閉じる蓋体3と、容器1の外まわりに設けたハンドル24と、容器1内で発生し蒸気放出路2に流入する蒸気6の一部を導入して蒸気センサ26に接触させるハンドル24上部のセンサ室27と、を備え、容器1側から蒸気6を導入し排出を図る蒸気通路28の途中からセンサ室27を袋小路状に分岐させて、蒸気通路28よりセンサ室27に分岐し流入する蒸気6が蒸気センサ26に接触して蒸気通路28に戻るようにしてある。蒸気センサ26はヒータ21のオン、オフスイッチを兼ね、スイッチ部26aから図1に示すオン位置と、オフ位置とに安定する受動部材131が後部上方へ立ちあがり、この受動部材131の立ち上がり端に蒸気センサ26のスイッチ部26aのオン、オフの動作、操作に関連する操作ボタン132を連結し、操作ボタン132はハンドル24上面の操作窓から外部操作できるように露出した操作部132aを有している。
容器1は、図1に示すように、ヒータ21により湯沸かしを行うステンレス鋼などよりなる金属製の内容器31を樹脂製の外装ケース32に収容して構成してあり、蓋体3は、蒸気6を外部に逃がす蒸気放出路2に加え、内容液を容器1上端前部に設けた注口38に向け注出させる注出路33と、この注出路33を開閉する開閉機構34と、を設けてある。これにより、湯沸かし容器である内容器31が外装ケース32に覆われて、使用者が直接触れて熱い思いをすることや火傷を負うようなことがないし、外装ケース32が樹脂製であることによる断熱性と、内容器31および外装ケース32間の空気断熱作用も手伝って、容器1外面の温度を抑えられるので、手を触れた時の熱的安全性が高まる。また、それらの断熱効果によって加熱効率も幾分高まる。
また、蓋体3によって内容器31を閉じ、蓋体3に設けた注出路33を開閉機構34によって開いたときだけ内容液が注出でき、湯沸かし時を含む非注出時に容器1が転倒しても注出路33を通じた内容液の流出は防げる。さらに、蒸気6は蓋体3に設けた所定の蒸気放出路2を通じて所定の経路で所定の安全位置、具体的には、開閉機構34の蓋体3外部からの操作部35や蓋体3の蓋体3外部からの着脱機構36の左右に位置する図示しない外部操作部が設けられる位置から離れた、例えば、図に示す蓋体3の後部に設けた蒸気放出口2bから外部に放出するようにするので、容器1の注口38から無制限に放出される危険を抑えられるし、転倒時止水機能、つまり蒸気放出路2に設けた転倒時止水弁39が、容器1の転倒に応動して蒸気放出路2を塞ぐ位置に移動する止水機能により、容器1が転倒しても内容液が蒸気放出路2を通じて流出するのを防止することができる。
さらに、蒸気放出路2は、蓋体3の蒸気放出口2bの下流、具体的には絞り開口4の上流で、転倒時止水弁39の下流に、容器1の転倒時に流入してくる内容液を溜めまたはおよび迂回させて蓋体3外部への蒸気放出口2bに至るのを阻止しまたは遅らせる液溜まり部を有したものとしている。これにより、蓋体3は注出路33および蒸気放出路2の機能上、内容器31内を容器1外に通じさせて、内容液の注出、蒸気6の外部への放出を図るが、注出路33は、内容液を注出するとき以外、開閉機構34により確実に閉じられるので、湯沸かし時を含む非注出時に容器1が転倒しても内容液が注出路33を通じて容器1外に流出することはない。また、蓋蒸気通路27は、常時開放されて湯沸かし時はもとよりその後も発生する蒸気6を蓋体3の蒸気放出路2から外部に放出して、容器1内が昇圧するのを防止しながら、容器1が転倒して蒸気放出路2に内容液が流入してきても、この内容液を液溜まり部が溜め置き、あるいは迂回させて、蒸気放出口2bに至るのを阻止または遅らせることができる。
また、蒸気センサ26が沸騰を検知したときヒータ21をオフするので、特別な制御、蓋体3側の電気装備なしに、加熱を停止することができ、蒸気放出路2は液溜まり部から蒸気放出口2bと蒸気センサ26とに通じて、容器1の転倒時でも内容液が蒸気放出口2bへはもとより、蒸気センサ26にも至るのを防止することができる。また、蒸気放出口2bに加え、蒸気センサ26にも蒸気6を送り込む蒸気経路が液溜まり部から単純に分岐するだけでよくなる。
また、内容器31がほぼストレートな胴部を持った円筒形状をなし、蓋体3のシール部材41が所定のシール位置への上方からの当接にて閉じられるものであり、内容器31の口部は、蓋体3のシール部材41で囲われる領域において、内容器31の胴部壁前部に対し、平面視した近傍位置に注出路33の流出口開口縁の前部が位置することにより、相互間を小さくしやすく、小さくした分だけ、内容液を注出する際の容器1の傾け角度に対する残量を少なくすることができる。また、内容器31の上端部の径、つまり内径が胴部径と同一または、ほぼ同等となり、蓋体3のシール部材41が上方からの当接にて内容器31を閉じる蓋体3と共に、容器1の胴部径内で大きくなり、蓋体3に注出路33、開閉機構34、蒸気放出路2をそれらに必要な機能を満足して、集約配置しやすくなる。
さらに、容器1の肩部と胴部とを樹脂で一体成形した外装ケース32の下端に、樹脂成形した底部下方から当てがいねじ43により連結するようにしてあり、これによって、容器1の組み立てが簡単に行えるし、メンテナンスも可能である。ヒータ21は内容器31の底部に固定しておくのが密着性など加熱効率の面で有利となり、ヒータ21への内部給電機器部44は底部内に位置して、座盤46に装備した外部給電機器部45に着脱できるように接続され、外部給電機器部45、内部給電機器部44を通じてヒータ21に給電する。
図2に示す電気ケトル200は、蒸気放出口2b以外、図1に示す電気ケトル100と変わらない。そこで、蒸気放出口2bにつき詳述すると、蓋体3とは別体で水切りリブ11、13を一体形成した金属製ないしは樹脂製の蒸気放出口部材51にて形成してあり、この蒸気放出口部材51をそれらの水切りリブ11、13にて、蓋体3に形成した開口筒部3aに上方から挿入して装着し、水切りリブ11、13の下端に設けたフック部11a、13aを開口筒部3aの凹部や穴などの係合部51aに弾性係合させることで抜け止めしている。
図3、図4に示す電気ポット300について概略説明する。容器1はステンレスなど金属製の真空二重容器よりなる内容器31を外装ケース32に収容して構成され、内容器31の一重底部にヒータ21を当てがって内容液を加熱し、湯沸かしや保温を行って貯湯しながら、その時々の使用に供する。このために、容器1には底部から外部に延びて内容器31、外装ケース32間を立ち上がり、容器1の肩部が前部に張り出した張り出し部52内に入って張り出し部52から下向きに露出する吐出口53aに至る吐出路53が設けられ、吐出路53の途中に吐出路53に流入する内容液を吐出口53aへ送り出し吐出させる電動の遠心ポンプ54を接続する一方、容器1を閉じる蓋体3には内容液を加圧して吐出路53を通じ吐出させる手動のベローズポンプ55を設けてある。ポンプはいずれか一方でよいが、両方あると便利である。また、張り出し部52上面の操作パネル56には図示しないが、各種モード設定部や表示部に併せ、遠心ポンプ54を動作させる給湯操作部を有し、操作パネル56の内側にはモード設定や給湯操作、温度センサ20からの温度情報に応じてヒータ21や遠心ポンプ54を通電制御する制御基板57が設けられている。
ベローズポンプ55は蓋体3の天面に吐出する押圧板58による押圧操作で、空気を内容器31内に給気して内容液を加圧し吐出させる。この加圧のために、ベローズポンプ55には給気、排気切換え弁59を内蔵しており、給気操作時に排気切換え弁59は給気口55aを開いて、金属製内蓋61に設けた給気兼蒸気排出口61aに連通させ、給気兼蒸気排出口61aと蒸気放出路2との連通を絶ち、給気操作後のベローズポンプ55の図示しないばねによる復帰によって、給気口55aを閉じて給気兼蒸気排出口61aを蒸気放出路2に連通させるようにしている。
蒸気放出路2の転倒時止水弁39は、絞り開口4の上流近傍に設けてあり、絞り開口4が転倒時止水弁39の弁座として働くようにしている。蓋体3は後部が容器1の肩部に軸62で連結されて開閉され、閉じられると自由端部にあるロック部材63が容器1の開口の前部に弾性係合して閉じ位置に自動ロックされ、ロック解除レバー64を起こしてロック部材63をばねに抗し後退操作することでロックは解除され、起こしたロック解除レバー64に手を掛けたまま蓋体3を持ちあげることで開かれる。また、吐出路53にも満水位よりも高い位置に過剰な前傾時や転倒時に閉じる前傾時、転倒時止水弁65を設けてある。
水切りリブ11、13はいずれも、蒸気放出口2bと共に蓋体3に一体形成してあり、周壁開放側の水切りリブ11は既述した水切りのために、蒸気放出口2bの周壁開放側の口縁に面一にして設けてあるが、反周壁開放側の水切りリブ13は、蒸気放出口2bの反周壁開放側の口縁から少し後部側に寄って設けてある。これにより、蓋が開かれたとき水切りリブ13に付着している露が蒸気放出口2bから流れ出るのを蒸気放出口2bの反周壁開放側の口縁で堰き止められる利点がある。
また、図4に仮想線で示すように、蓋体3の上板71に一体成形された蒸気放出口部2aの周壁2cと、蓋体3の絞り開口4を形成している中板72に形成した接続筒2dとを嵌合させる接続部において、周壁2cの内周を密嵌合するシール筒74を設けて、従来採用していたシリコン製のシールパッキンを省略したシール構造とし、コスト低減を図っている。密嵌合を容易にするため、シール筒74の周壁2cとの密嵌合周面の上端に丸みを付けた面取り面74aとしてあり、接続壁2dとの間に形成した面取り面74aによる広がった開口部で周壁2cを案内して容易に位置合わせしながら圧入することで簡単に密嵌合させられる。もっとも、接続壁2dがなくても密嵌合は比較的簡単に行えるので、接続壁2dは必須とはならない。
図5〜図7に示す電気炊飯器400について概略説明する。容器1は、金属製や非鉄金属よりなる内鍋80と、これを着脱できるように収容する器体81とで構成し、器体81の内装ケース81aと外装ケース81bとの底部間に配した電磁誘導コイル82により、内鍋80自体ないしは内鍋80に設けた発熱体を電磁誘導にて発熱させて炊飯や保温を行うようにしている。このために、蓋体3の前部上面の操作パネル95には図示しないが、各種モード設定部や炊飯スタート操作部に加え表示部を有し、操作パネル95の内側にはモード設定や炊飯スタート操作、温度センサ96からの温度情報に応じて電磁誘導コイル82を通電制御する制御基板97が設けられている。
蓋体3は器体81の肩部の後部に軸82によれ連結されて開閉され、閉じ状態で蓋体3の前部である自由端部にある係合部83が、器体81の前部に装備したロックレバー84に弾性係合して閉じ状態にロックされる。このロックはロックレバー84を係合部83との係合が外れる側に操作することにより解除される。蓋体3は上板85と下板86とで中空に形成し、下板86の中央に形成した開口に金属製の放熱板87をシールパッキン88を挟み込んで装着し、閉じ状態で、内鍋80の開口に対向するシールパッキン89を持った内蓋91を、シールパッキン88で押圧して相互間をシールするのに併せ、内蓋91をシールパッキン89で内鍋80の開口に圧接させた状態を保つようにしてある。これにより、炊飯中に発生する蒸気は内蓋91と放熱板87との間の広い空間に導入して、随伴しているおねばから広い空間を利用して抜け出す気液分離を図った後、蓋体3の後部側で放熱板87と上板85との間に形成した蒸気放出路2から蓋3外に放出するようにしている。
蒸気放出口部2aは、蒸気放出口2bに抜ける蒸気6になお随伴しているおねばを分離して、放熱板87側に戻すおねば分離構造が調圧弁92と共に付与されて、シールパッキン93を介し着脱できるように装着されている。以上のような構成でもおねばの吹き出しや湯の飛び散りが防止しきれないことに関し、既述の気液分離部5を蒸気放出口部2aの上流すぐとなる直下に設けて、気液分離部5にて十分な気液分離を図って後、蒸気放出口部2aに導入されるようにしており、気液分離部5を出てから蒸気放出口部2a下部の流入口94に向かう流路が蒸気放出口部2aによって極端に低く側方へ曲げられて、流入口94に向かう蒸気6に湯滴やおねばが随伴しにくくなるようにするので、湯やおねばが外部に飛散したり吹き出したりするのをさらに十分に防止することができ、蒸気放出口2bに水切りリブは設けていない。しかし、必要に応じて設けてもよい。