JP2011246504A - セルロースアシレートフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムに異物が含まれるのを抑制できるセルロースアシレートフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】セルロースアシレートフィルムの製造方法は、セルロースアシレートを溶媒に溶解し、繰り返し単位のエステル構造を持った化合物を前記溶媒に添加し、セルロースアシレート溶液を準備する工程と、前記セルロースアシレート溶液を支持体上に流延し、流延膜を形成し、乾燥しながら前記流延膜をフィルムとして前記支持体から剥離する工程と、前記フィルムを乾燥しながら搬送する工程を有する。セルロースアシレート溶液中の化合物由来の酸の量が0.03〜1.0μmol/gであり、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄の量が0.01〜0.1μmol/gである。
【選択図】なし

Description

本発明はセルロースアシレートフィルムの製造方法に関し、特に、溶液流延法によりセルロースアシレートフィルムを製造する方法に関する。
液晶ディスプレイ等の各種表示装置には、偏光板の保護フィルムや視野角拡大フィルムをはじめとする様々なポリマーフィルムが使用されている。特に、光学的等方性に優れていることからポリマーフィルムとして、セルロースアシレートフィルム、特にセルローストリアセテートフィルム(TACフィルム)が使用されている。
このような光学用途のポリマーフィルムの製法としては、溶融押出法、溶液流延法などがある。溶液流延法では、ポリマーと溶媒とを含むポリマー溶液(以下、ドープと称する)を、走行する支持体上に流延して流延膜を形成した後、流延膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥してポリマーフィルムを製造する。溶融押出法のような熱ダメージの問題がないので、溶液流延法は透明度の高さや光学特性が求められるポリマーフィルムの製造方法としては適している。
溶液流延法において、ドープを調製する際には、混合溶媒が用いられることが多い。その混合溶媒は、主溶媒としては、TACの良溶媒であるジクロロメタン(塩化メチレン,メチレンクロライドなどとも称される)がよく用いられる。また、貧溶媒としてアルコール類,ケトン類なども併せて用いられる。さらに、添加剤をドープ中に含有させることで製膜されるフィルムの物性を所望のものとしている。このような機能を発現させる添加剤として可塑剤が挙げられる。例えば、リン酸エステル系のトリフェニルフォスフェート(TPP),ビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP)が挙げられる。
また、ドープからフィルムを製膜する際には、ドープを流延して形成される膜を乾燥して揮発した溶媒が空気中から回収される。溶媒の回収は、凝縮回収方法や吸着回収方法などにより行なわれる。回収された溶媒はドープ調製用の溶媒として再利用される。
しかしながら、回収溶剤をドープ調製の溶媒として用いる場合に、フィルムの乾燥工程で揮発した溶剤ガスを回収した溶媒(主に有機溶剤が用いられている)には、工程で発生した酸成分が含まれる。酸成分を多量に含む溶媒をドープ調製の溶媒に用いた場合、その酸により溶液製膜工程に用いられている製膜ラインを腐食させる場合がある。この腐食により茶褐色の錆状の不純物が生成される場合がある。その不純物がドープに混入して流延されるとフィルム中にその不純物が異物として残るという問題が生じている。
この問題を解決する方法として、特許文献1、及び特許文献2は、回収されたドープ調製の溶媒の水素イオン指数を所望の範囲に調整することを開示する。
また、上述したようにドープにはTPP等の可塑剤が添加される。しかし、これらの可塑剤は、工程汚染の観点、光学特性の観点、環境規制物質の観点から、問題を有しており、新たな可塑剤が求められている。特許文献3は、新たな可塑剤として、工程を汚さず、しかも光学発現性が高いエステルオリゴマー系の可塑剤を開示する。
特許4175992号公報 特開2003−260303号公報 特開2009−155455号公報
ところで、エステルオリゴマー系の可塑剤をドープに添加すると、ドープ調整用の溶媒の水素イオン指数が適正であっても、フィルム中に茶褐色の異物として残るという問題が生じる場合がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、フィルム中に異物が発生するのを抑制することができるセルロースアシレートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、次の知見を得た。溶媒中の水素イオン指数を所望の範囲にコントロールしても、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄イオンとエステルオリゴマー系の可塑剤に残留しているカルボン酸とが中和して凝集し、異物を発生させることを見出した。本発明者は、これを防止するため、鉄イオンと残留酸(カルボン酸)の量をコントロールすれば良いことを見出し、本発明を完成するにいたった。
本発明の一態様によると、セルロースアシレートフィルムの製造方法において、セルロースアシレートを溶媒に溶解し、繰り返し単位のエステル構造を持った化合物を前記溶媒に添加し、セルロースアシレート溶液を準備する工程と、前記セルロースアシレート溶液を支持体上に流延し、流延膜を形成し、乾燥しながら前記流延膜をフィルムとして前記支持体から剥離する工程と、前記フィルムを乾燥しながら搬送する工程を有し、前記セルロースアシレート溶液中に、前記化合物由来の酸が0.03〜1.0μmol/gの量存在し、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄が0.01〜0.1μmol/gの量存在することを特徴とする。
溶媒中の化合物由来の酸の量とセルロースアシレートから持ち込まれる鉄の量を、上述の範囲内にコントロールすることにより、フィルム中に異物が発生するのを抑制することができる。
上述のエステル構造を持った化合物を製造後数ヶ月以上経ってから使用する場合やフィルムを再利用する場合に酸価が初期よりも高くなる。それゆえ初期の値としては0.4以下である方が好ましい。また経済的には0.1以上である方が好ましい。
本発明の他の態様によると、好ましくは、セルロースアシレートを溶解する前記溶媒中に酢酸が0.01〜0.25μmol/gの量存在する。溶媒中の酢酸の濃度を上述の範囲とすることで、フィルム中に発生する異物を少なくすることができる。
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記溶媒中の酢酸は、セルロースアシレートを溶解する溶媒として、前記流延膜、及び/又は前記フィルムから揮発した溶媒の再利用に由来するものである。
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記化合物が700〜1500の分子量を有する。
本発明の他の態様によると、好ましくは、セルロースアシレートを溶解する前記溶媒が15〜25質量%のアルコールを含む。
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記支持体は10℃以下の温度に制御されるセルロースアシレートフィルムの製造方法。
本発明によれば、異物の発生が少ないセルロースアシレートフィルムを製造することができる。
製造ラインの概略構成図。 実施例の結果を示す表図。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行なうことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
本実施の形態において、ドープセルロースアシレート溶液中(ドープとも呼ぶ)の、エステルオリゴマー由来の酸の量を0.03〜1.0μmol/gに、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄の量を0.01〜0.1μmol/gに制御することにより、フィルム中に異物が発生するのを抑制する。なお、酸の量はJIS K0070に記載の化学製品の酸価の試験方法で測定する。
ドープ中に残留酸の量をコントロールしたエステルオリゴマー系の可塑剤を添加しているので、工程を汚染せず、光学発現性が高く、異物の発生が抑制されたセルロースアシレートフィルムを製造することができる。
<セルロースアシレート(原料)>
セルロースアシレートフィルムは、主成分としてのポリマーがセルロースアシレートである。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、単一のポリマーからなる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからなる場合には、構成するポリマーのうち、最も質量分率の高いポリマーのことを示す。セルロースアシレートとしては、セルローストリアセテート(TAC)が、特に好ましい。
セルロースアシレートフィルムを製造する際に用いるセルロースアシレートとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット化したものも用いることができる。また、セルロースアシレートの含水率は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。また、含水率は場合により0.2質量%以下であることが好ましい。セルロースアシレートの含水率が好ましい範囲内にない場合には、加熱などにより乾燥してから使用することが好ましい。
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、2種類以上のポリマーを併用してもよい。セルロースアシレートとしては、セルロースアシレート化合物、及びセルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるアシル置換セルロース骨格を有する化合物が挙げられる。
セルロースアシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(I)〜(III)の全ての条件を満足するものがより好ましい。なお、(I)〜(III)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。
2.5≦A+B≦3.0 ・・・(I)
0≦A≦3.0 ・・・(II)
0≦B≦2.9 ・・・(III)
セルロースを構成しβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部がエステル化されて、水酸基の水素が炭素数2以上のアシル基に置換された重合体(ポリマー)である。なお、グルコース単位中の一つの水酸基のエステル化が100%されていると置換度は1であるので、セルロースアシレートの場合には、2位、3位及び6位の水酸基がそれぞれ100%エステル化されていると置換度は3となる。
ここで、グルコース単位の2位のアシル基置換度をDS2、3位のアシル基置換度をDS3、6位のアシル基置換度をDS6とする。DS2+DS3+DS6で求められる全アシル基置換度は2.00〜3.00であることが好ましく、2.22〜2.90であることがより好ましく、2.40〜2.88であることがさらに好ましい。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.32以上であることが好ましく、0.322以上であることがより好ましく、0.324〜0.340であることがさらに好ましい。
アシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、その一つがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基の水素のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位におけるアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.2〜2.86であることが好ましく、2.40〜2.80であることが特に好ましい。DSBは1.50以上であることが好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。そして、DSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましいが、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは31%以上、特に好ましくは32%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。以上のようなセルロースアシレートを用いることにより、溶解性が好ましいドープや、粘度が低く、濾過性がよいドープを製造することができる。特に非塩素系有機溶媒を用いる場合には、上記のようなセルロースアシレートが好ましい。
炭素数が2以上であるアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどがあり、これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、プロピオニル基、ブタノイル基が特に好ましい。
本発明は、セルロースアシレートが、木材パルプより得られたセルロースのエステル化による生成物であるときに、特に効果がある。木材パルプから得られたセルロースは、綿花リンタから得られるセルロースよりも入手しやすく、量を確保しやすいという利点がある。しかし、木材パルプからのセルロースをエステル化して得られるセルロースアシレートは、綿花リンタからのセルロースをエステル化して得られるセルロースアシレートよりも一般に引裂き強度が小さく、フィルムの搬送安定性に劣るという問題がある。木材パルプを原料とするこのようなセルロースアシレートから、本発明によりフィルムをつくると、引裂き強度のアップの効果がより顕著となる。
セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田仲彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物−カルボン酸一硫酸触媒による液相アシル化法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。アシル化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を含む。また、カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。
次いで、アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰カルボン酸無水物の加水分解を行なうために、水または含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)を含む水溶液を添加してもよい。さらに、得られた完全セルロースアシレートを少量のアシル化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、20〜90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を中和剤などを用いて完全に中和するか、あるいは、触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物であるセルロースアシレートを得ることができる。
セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で200〜700が好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
本実施の形態において、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄の量が0.01〜0.1μmol/gに調整される。セルロースをアシレート化する最終工程で、アセトン/水(0.2:0.8〜0.8:0.2)混合溶剤を用いて、30℃以上70℃以下、より好ましくは35℃以上65℃以下、さらに好ましくは40℃以上60℃以下で、30分以上3時間以下、より好ましくは40分以上2.5時間以下、さらに好ましくは50分以上2時間以下、十分撹拌することで、鉄の量を所望の範囲にすることができる。アセトンでセルロースアシレートを膨潤させることで、内部まで鉄分を完全に洗浄することができる。この洗浄は1回以上5回以下、より好ましくは2回以上5回以下、さらに好ましくは2回以上4回以下実施するのが好ましい。この後濾過、乾燥して溶解に供する。但し、これに限定されない。
<溶媒>
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、ドープとは、ポリマーを溶媒に溶解または分散させることで得られるポリマー溶液または分散液を意味している。
上記のハロゲン化炭化水素の中でも、炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度および光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対して2〜25質量%が好ましく、より好ましくは、15〜25質量%である。アルコールとしては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない溶媒組成も検討されている。この場合には、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子
数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく、これらを適宜混合して用いる場合もある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶媒が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステルおよびアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステルおよびアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−および−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も溶媒として用いることができる。
溶媒に酢酸を含む場合、酢酸の量は、好ましくは、0.01〜0.25μmol/gの範囲内に調整される。
後述するように、ドープからフィルムを製膜する際に回収した回収溶媒を、溶媒として使用することができる。セルロースアシレートを含むドープを使用した場合、回収溶媒に酢酸が含まれる。したがって、回収溶媒を使用する場合、回収溶媒中の酢酸の量を0.01〜0.25μmol/gの範囲内に調整することが好ましい。
<添加剤>
本実施の形態のドープ中には添加剤が添加される。添加剤として、可塑剤が添加される。可塑剤には、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、ジオールを含む混合物から得られ、数平均分子量が500〜2000であるものなどが用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸等が用いられ、2種以上を用いてもよい。脂肪族ジカルボン酸は例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよい。ジオールとしては脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールまたは脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種または2種以上の混合物として使用される。重縮合エステルの両末端はモノカルボン酸と反応させて封止しているものや、水酸基のまま残しているものが用いられる。
可塑剤由来の酸を0.03〜1.0μmol/gの範囲に調整する方法として、以下の方法を採用することができる。一つの方法は、エステル構造を持つ可塑剤の分子量を大きくすることである。分子量を大きくすることにより、末端の酸の割合を減らすことができる。重合反応時間を長くすることにより、可塑剤の分子量を大きくすることができる。
他の方法として、可塑剤を合成反応する系内に存在する水を少なくすることである。水を少なくする方法として、例えば、減圧下の状態で化合物を製造する方法、脱水剤を加えて可塑剤を製造する方法を採用することができる。
なお、可塑剤由来の酸を0.03〜1.0μmol/gの範囲に調整する方法は上述の方法に限定されない。
他の添加剤として、紫外線吸収剤が添加される。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物及びその他の紫外線吸収剤を用いることができる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。
さらにドープには、必要に応じてその他の種々の添加剤、例えば、離型剤、剥離促進剤、疎水化剤、フッ素系界面活性剤等が、ドープの調製前から調製後のいずれかの段階で添加される。
<ドープの調製>
セルロースアシレートと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これを濾過してドープを得る。
本実施の形態において、セルロースアシレートの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒の混合物を冷却および/または加熱する工程を含んでもよい。溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースエステルを用いて、ポリマーと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃に冷却することが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースエステルと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(a)または(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースエステルを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
さらに、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースエステルと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜55℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜57℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースエステルと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(c)または(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースエステルを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
さらに、上述の可塑剤等の添加物が溶媒に加えられる。
<製膜方法、及び製造ライン>
図1は、支持体として回転ドラム( 流延ドラムとも称される)を用いるフィルムの製造ライン10を示す。製造ライン10は、ドープ製造ライン20、製膜ライン40、溶媒回収再利用ライン60、溶媒成分調整装置70を備える。製膜ライン40は、流延ゾーン41、乾燥ゾーン51を含む。
ドープ製造ライン20により製造されたドープ21が、ミキシングタンク22に供給される。上述したようにドープ21中の、添加物(可塑剤)由来の残留酸は、0.03〜1.0μmol/gの量に調整される。ミキシングタンク22にはモータ23の回転に伴って回転する攪拌翼24が設けられる。攪拌翼24が回転することにより、ドープ21が均一となる。ドープ21は、ポンプ25により濾過装置26に送られる。ドープ21中の不純物が濾過装置26により除去される。なお、濾過装置26は、孔径(公称孔径)は、1μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは、5μm以上40μm以下の濾材を備える。濾過装置26を通過したドープ21は流延ダイ42に一定流量で送液される。
流延ゾーン41には、流延ダイ42と、流延ダイ42の下方に支持体である回転ドラム43とが配置される。回転ドラム43の下流に、剥取ローラ46、ローラ47、テンタ式乾燥機48がこの順で配置される。回転ドラム43に代えて、バンドを支持体として使用することができる。
回転ドラム43は、図示しない駆動装置により回転する。回転ドラム43には、好ましくは、温度制御装置44が接続される。温度制御装置44により、回転ドラム43の表面が所望の温度範囲に調整される。
回転ドラム43の表面温度は特に限定されるものではない。例えば、冷却流延法により回転ドラム43上でドープをゲル状とする際には、好ましくは、その表面温度が−50℃〜10℃の温度範囲に調整される。なお、ジクロロメタンを主溶媒としたドープ21を流延する際には、好ましくは、回転ドラム43の表面が−15℃〜3℃の温度範囲に調整される。また、回転ドラム43の回転速度も特に限定されない。10m/min〜200m/minの範囲内で回転速度を設定することができる。
流延ダイ42からドープ21が回転ドラム43上に流延される。回転ドラム43上に流延膜45が形成される。なお、流延幅は、特に限定されるものではないが、1400mm以上2000mm以下の範囲に好ましく適用できる。流延膜45は、回転ドラム43で搬送されながら自己支持性を有するまで徐々に乾燥される。流延膜45は剥取ローラ46により支持されながら、フィルム49として回転ドラム43から剥ぎ取られる。フィルム49はテンタ式乾燥機48に搬送される。テンタ式乾燥機48によりフィルム49の両縁を保持して搬送しながら、フィルム49は乾燥される。剥取ローラ46とローラ47の回転速度を調整することでフィルム49を長手方向に延伸することができる。また、テンタ式乾燥機48は、フィルム49の両縁を保持して幅方向に延伸できるよう構成されており、テンタ式乾燥機48によりフィルム49を幅方向に延伸することができる。
テンタ式乾燥機48を通過したフィルム49は、乾燥ゾーン51に搬送される。乾燥ゾーン51に、複数のローラ52が設置される。乾燥ゾーン51では、フィルム49はローラ52に巻き掛けら、搬送されながら乾燥される。フィルム49の残留溶媒量が所望の量まで低下した後に巻取機53によりロール状に巻き取られる。
流延ダイ42から流延されたドープ21から形成される流延膜45,フィルム49から揮発する溶媒は溶媒回収再利用ライン60により回収される。
流延ゾーン41からの多量の揮発した有機溶媒を含む空気は、溶媒回収再利用ライン60で、凝縮回収用の凝縮器で凝縮液化される。その液体は回収溶媒として凝縮回収される。また、乾燥ゾーン51からの揮発した溶媒を含む空気は、溶媒回収再利用ライン60で、前処理活性炭により添加剤など比較的分子量が大きく揮発している化合物が吸着されて除去される。さらに空気中に含まれている揮発溶媒が吸着層によって吸着される。吸着層に吸着されている溶媒は、脱着ガスにより脱着される。脱着ガスは凝縮器で凝縮液化され、液体は回収溶媒として吸着回収される。
流延ゾーン41から回収された溶媒は、溶媒処理装置に送られ水分が除去された精製溶媒と廃液とに分離される。廃液は、廃棄処理がなされる。溶媒処理装置における精製溶媒と廃液との分離は、溶媒,水などの沸点の違いを利用した蒸留分離により水分を除去する方法により行なわれる。セルロースアシレートを含むドープ21からフィルムを製膜する場合、回収溶媒に酢酸が含まれる。蒸留分離する蒸留量を増やすことで、より純度の高い溶媒を回収できる。したがって、溶媒中の酢酸の量を0.01〜0.25μmol/gの範囲に調整することができる。
乾燥ゾーン51から回収された溶媒は、抽出塔に送られ有機相と水相とに分離される。この際に、アルカリ溶液を加えることで溶媒を充分に有機相に移行させることができる。また、溶媒がアルカリ性になることで、管や各種装置の素材であるステンレスなど金属の腐食を抑制できる。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液,炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液,水酸化カルシウム(Ca(OH)),酸化カルシウム(CaO)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。水相は、廃液として抜き取られ、廃棄される。また、有機相は、脱水装置に送液され、有機相中に微量に混合している水分が除去されて精製溶媒となる。
精製溶媒は、溶媒成分調整装置70に送液される。回収された溶媒は、溶媒成分調整装置70で、所望の水素イオン濃度、含水率を有するものに調整された後にドープ製造ライン20に送られ、ドープ調製用の溶媒として再利用される。回収溶媒の酢酸の量を調整するのは、溶媒回収再利用ライン60、溶媒成分調整装置70のいずれかで行なわれる。
以上、本発明の機能性フィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよい。
[実施例]
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。但し、これらに限定されるものではない。
<実施例1〜8、比較例1〜3の作製>
ドープ調製用の溶媒には、ジクロロメタン(85重量%)とメタノール(12重量%)と1−ブタノール(3重量%)とからなる混合溶媒を用いた。さらに回収溶媒をドープ調製用の溶媒として使用した。ポリマーとしてセルロースアセテート(置換度2.84)を混合溶媒に加えた。アルコールを溶媒に加えた。さらに、繰り返し単位のエステル構造を持った可塑剤を混合溶媒に加えた。
可塑剤由来の酸量、可塑剤の分子量、セルロースアシレートからの鉄量、溶媒中の酢酸含有量、溶媒中のアルコール比率に関して、図2の表1にしたがい溶媒を調製した。
<評価方法>
作製したフィルムを印字、溶解性、Rthの項目で評価した。ここで、印字とは、フィルム1m当たりに存在する100μ以上の大きさの異物の数とした。異物の数が50個以下を◎、51〜100個を○、101〜300個を△、301個以上を×と評価した。
溶解性とは、可塑剤の20%ジクロロメタン溶液を4℃に保管した後、析出するまでの日数とした。10日より長い日数を○、4〜10日を△、4日未満を×と評価した。
Rthとは40μmの厚さのフィルムを作成したときの厚み方向のレターデーションを意味する。レターデーションが30nm以上の場合を○とし、20nm以上30nm未満の場合を△とし、20nm未満を×とした。
<評価>
実施例1〜8に関して、少なくとも、セルロースアシレート溶液中の可塑剤由来の酸が0.03〜1.0(μmol/g)の範囲であり、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄が0.01〜0.1(μmol/g)の範囲であるので、印字、溶解性、及びRthに関して△以上の評価を得た。特に、可塑剤由来の酸の量が0.30(μmol/g)の実施例1、及び可塑剤由来の酸の量が0.03(μmol/g)の実施例2について、印字の評価が◎であった。
比較例1について、可塑剤由来の酸の量が0.01(μmol/g)であった。可塑剤由来の酸の量を0.01(μmol/g)とするには、可塑剤の分子量を大きくする必要がある(例えば、3000以上)。そのため、可塑剤が溶媒に溶解せず、溶解性の評価が×であった。
比較例2について、可塑剤由来の酸の量が1.50(μmol/g)であったので、印字の評価が×であった。また、比較例3について、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄の量が0.15(μmol/g)であったので、印字の評価が×であった。
実施例5から、溶媒中の酢酸含有量が多い場合、印字の評価が低くなることが理解できる。また、実施例6から溶媒中のアルコール比率が高い場合、印字の評価が低くなることが理解できる。その理由は、定かではないが極性溶媒が多い方がFeイオンとカルボキシル基が結びつきやすくなるからと推測される。
実施例7から、可塑剤の分子量が大きい場合、溶解性の評価が低くなることが理解できる。また、実施例8から、可塑剤の分子量が小さい場合、Rthの評価が低くなることが理解できる。分子量が大きい場合は可塑剤分子同士の結びつきが強くなるため溶解性が低くなると思われ、分子量が小さい場合Rthの評価が低くなるのは、Rth発現に有利な芳香族基同士の分子間距離が遠くなるためと推測される。
10…製造ライン、20…ドープ製造ライン、21…ドープ、22…ミキシングタンク、23…モータ、24…攪拌翼、25…ポンプ、26…濾過装置、40…製膜ライン、41…流延ゾーン、42…流延ダイ、43…回転ドラム、44…温度制御装置、45…流延膜、46…剥取ローラ、47,52…ローラ、48…テンタ式乾燥機、49…フィルム、51…乾燥ゾーン、53…巻取機、60…溶媒回収再利用ライン、70…溶媒成分調整装置

Claims (6)

  1. セルロースアシレートを溶媒に溶解し、繰り返し単位のエステル構造を持った化合物を前記溶媒に添加し、セルロースアシレート溶液を準備する工程と、
    前記セルロースアシレート溶液を支持体上に流延し、流延膜を形成し、乾燥しながら前記流延膜をフィルムとして前記支持体から剥離する工程と、
    前記フィルムを乾燥しながら搬送する工程を有するセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    前記セルロースアシレート溶液中に、前記化合物由来の酸が0.03〜1.0μmol/gの量存在し、セルロースアシレートから持ち込まれる鉄が0.01〜0.1μmol/gの量存在することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  2. 請求項1記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、セルロースアシレートを溶解する前記溶媒中に酢酸が0.01〜0.25μmol/gの量存在するセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  3. 請求項2記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記溶媒中の酢酸は、セルロースアシレートを溶解する溶媒として、前記流延膜、及び/又は前記フィルムから揮発した溶媒の再利用に由来するセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記化合物が700〜1500の分子量を有するセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、セルロースアシレートを溶解する前記溶媒が15〜25質量%のアルコールを含むセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、前記支持体は10℃以下の温度に制御されるセルロースアシレートフィルムの製造方法。
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