JP2011243379A - 光電変換素子、光電気化学電池及び光電変換素子用色素溶液 - Google Patents

光電変換素子、光電気化学電池及び光電変換素子用色素溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】変換効率が高く、さらに耐久性に優れた光電変換素子および光電気化学電池を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に下記一般式(1)の構造を有する色素を含む色素が吸着された半導体微粒子層を有する光電変換素子。
Figure 2011243379

[一般式(1)中、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。R11〜R13は互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。A11及びA12は、炭素原子及び窒素原子とともに3〜10員環を形成するための非金属原子団を表す。Xはアニオン性の対イオンを表す。n2は0以上の整数を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子、光電気化学電池及び光電変換素子用色素溶液に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。中でも、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵なクリーンエネルギーを利用したものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。この中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められてきた。各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループット及び分子修飾には自ずと限界がある。
そこで色素増感型太陽電池の研究が精力的に行われている。とくに、スイスのローザンヌ工科大学のGraetzel等がポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した色素増感型太陽電池を開発し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現した。これにより、色素増感型太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
特許文献1には、この技術を応用し、ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子を用いた色素増感光電変換素子が記載されている。しかしながら従来のルテニウム錯体色素は、可視光線を用いて光電変換できるものの、700nmより長波長の赤外光をほとんど吸収することができないため、赤外域での光電変換能が低いという問題点がある。
そこで異なる波長域での光吸収が可能な色素を2種以上用いることにより、光吸収を多くし、変換効率の高い光電変換素子を提供する提案がされている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、光電変換素子には、初期の変換効率が高く、使用後も変換効率の低下が少なく耐久性に優れることが必要とされる。しかし耐久性という点では、特許文献2記載の光電変換素子では十分とはいえない。
そこで、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子、光電気化学電池及び光電変換素子用色素溶液が必要とされている。
米国特許第5463057号明細書 特開2000−268892号公報
本発明の課題は、変換効率が高く、さらに耐久性に優れた光電変換素子、光電気化学電池及び光電変換素子用色素溶液を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に特定の構造を有する色素(色素化合物)を組み合わせた多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、及び対極を含む積層構造よりなる光電変換素子とこれを用いた光電気化学電池が、変換効率が高く、耐久性に優れることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>導電性支持体上に色素が吸着された半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子であって、前記色素が下記一般式(1)の構造を有する色素と、下記一般式(2)で表される構造を有する色素とを含有することを特徴とする光電変換素子。
Figure 2011243379
[一般式(1)中、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。R11〜R13は互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。A11及びA12は、炭素原子及び窒素原子とともに3〜10員環を形成するための非金属原子団を表す。n1は2〜4の整数を表し、R12、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは電気的に中性を保つために対イオンが必要な場合のアニオン性の対イオンを表す。n2は0以上の整数を表す。]

M(LL)m(LL)m(U)m・CI 一般式(2)

[ 一般式(2)において、Mは金属原子を表し、LLは下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子であり、LLは下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
Uはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表す。
は1〜3の整数を表し、mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。mは1〜2の整数を表し、mが2のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。
は0〜2の整数を表し、mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
CIは一般式(2)において、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
Figure 2011243379
[ 一般式(3)において、R21及びR22はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R23及びR24はそれぞれ独立に置換基を表し、R25及びR26はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基又はアルキル基を表す。R25及びR26は置換基を有していてもよい。d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。
及びLはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。
及びaはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときR21は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR22は同じでも異なっていてもよく、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。bが2以上のときR23は同じでも異なっていてもよく、R23は互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR24は同じでも異なっていてもよく、R24は互いに連結して環を形成してもよい。b1及びb2がともに1以上のとき、R23とR24が連結して環を形成してもよい。
n3は0又は1を表す。]
Figure 2011243379
[一般式(4)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表し、それぞれ独立に酸性基を有していてもよい。cは0又は1を表す。]
<2>前記一般式(3)で表される配位子LLが下記一般式(5)で表され、かつ前記一般式(4)で表される配位子LLが下記一般式(6)で表されることを特徴とする<1>記載の光電変換素子。
Figure 2011243379
[一般式(5)において、R31及びR32の少なくとも1つはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。R31及びR32は、同じでも異なっていてもよい。]
Figure 2011243379
[一般式(6)において、M及びMはそれぞれ独立に水素原子、金属原子又はアンモニウムイオンを表し、MとMは同じでも異なっていてもよい。]
<3>前記一般式(3)で表される配位子LLが下記一般式(7)又は(8)で表されることを特徴とする<1>記載の光電変換素子。
Figure 2011243379
[一般式(7)において、R41及びR42はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R43〜R46はそれぞれ独立に置換基を表し、R50〜R53はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。R50とR51ならびにR52とR53はそれぞれ互いに連結して環を形成してもよい。
e1及びe2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、e1が2以上のときR41は同じでも異なっていてもよく、e2が2以上のときR42は同じでも異なっていてもよい。
f1及びf2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、f1が2以上のとき、R43は同じでも異なっていてもよく、R43は互いに連結して環を形成してもよい。f2が2以上のときR44は同じでも異なっていてもよく、R44は互いに連結して環を形成してもよい。
f1及びf2がともに1以上のとき、R43とR44が連結して環を形成してもよい。
g1及びg2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、g1が1以上のとき、R45はR50及び/又はR51と連結して環を形成してもよい。g1が2以上のとき、R45は同じでも異なっていてもよく、R45は互いに連結して環を形成してもよい。g2が1以上のとき、R46はR52及び/又はR53と連結して環を形成してもよい。g2が2以上のとき、R46は同じでも異なっていてもよく、R46は互いに連結して環を形成してもよい。
p1は0又は1を表す。]
Figure 2011243379
[一般式(8)において、R61及びR62はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R63、R64、及びR71〜R76はそれぞれ独立に置換基を表す。
72はR71及び/又はR75と連結して環を形成してもよく、R74はR73及び/又はR76と連結して環を形成してもよい。
Wはカルコゲン又はNHを表し、p2は0又は1を表す。
e3及びe4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、e3が2以上のときR61は同じでも異なっていてもよく、e4が2以上のときR62は同じでも異なっていてもよい。
f3及びf4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、f3が2以上のとき、R63は同じでも異なっていてもよく、R63は互いに連結して環を形成してもよい。f4が2以上のときR64は同じでも異なっていてもよく、R64は互いに連結して環を形成してもよい。
f3及びf4がともに1以上のとき、R63とR64が連結して環を形成してもよい。]
<4>前記MがRuであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<5>前記一般式(1)の構造を有する色素が、下記一般式(9)で表されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011243379
[一般式(9)中、Zは3価の連結基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。Y及びYはそれぞれ独立に置換基を表し、r1及びr2は独立して0〜4の整数を表す。r1又はr2が2以上の場合はY、Yは各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。Xはアニオン性の対イオンを表し、n2は0以上の整数を表す。]
<6>前記一般式(9)中、Zが下記一般式(10)若しくは一般式(11)で表される基又はメチン基であることを特徴とする<5>記載の光電変換素子。
Figure 2011243379
Figure 2011243379
[一般式(10)及び一般式(11)において、R81及びR91はそれぞれ独立に置換基を表す。R82〜R85及びR92〜R97は水素原子又は置換基を表す。]
<7>前記一般式(1)の構造を有する色素が、下記一般式(12)で表されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011243379
[一般式(12)中、Vは2価の連結基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。Y及びYはそれぞれ独立に置換基を表し、r3及びr4は独立して0〜4の整数を表す。r3又はr4が2以上の場合はY、Yは各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。Xはアニオン性の対イオンを表し、n2は0以上の整数を表す。]
<8>前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<9><1>〜<8>のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
<10>有機溶媒中に、下記一般式(1)の構造を有する色素と、下記一般式(2)で表される構造を有する色素の両方の色素を含有し溶解したことを特徴とする光電変換素子用色素組成物。
Figure 2011243379
[一般式(1)中、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。R11〜R13は互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。A11及びA12は、炭素原子及び窒素原子とともに3〜10員環を形成するための非金属原子団を表す。n1は2〜4の整数を表し、R12、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは電気的に中性を保つために対イオンが必要な場合のアニオン性の対イオンを表す。n2は0以上の整数を表す。]

M(LL)m(LL)m(U)m・CI 一般式(2)

[ 一般式(2)において、Mは金属原子を表し、LLは下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子であり、LLは下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
Uはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表す。
は1〜3の整数を表し、mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。mは1〜2の整数を表し、mが2のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。
は0〜2の整数を表し、mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
CIは一般式(2)において、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
Figure 2011243379
[ 一般式(3)において、R21及びR22はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R23及びR24はそれぞれ独立に置換基を表し、R25及びR26はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基又はアルキル基を表す。R25及びR26は置換基を有していてもよい。d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。
及びLはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。
及びaはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときR21は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR22は同じでも異なっていてもよく、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。bが2以上のときR23は同じでも異なっていてもよく、R23は互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR24は同じでも異なっていてもよく、R24は互いに連結して環を形成してもよい。b1及びb2がともに1以上のとき、R23とR24が連結して環を形成してもよい。
n3は0又は1を表す。]
Figure 2011243379
[一般式(4)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表し、それぞれ独立に酸性基を有していてもよい。cは0又は1を表す。]
本発明により、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子、光電気化学電池及び光電変換素子用色素溶液を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について模式的に示した断面図である。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に特定の色素の組合せが吸着された半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、及び対極を含む積層構造よりなる光電変換素子とこれを用いた光電気化学電池が、変換効率が高く、耐久性、特に変換効率の低下が少ないことを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
本発明の光電変換素子の好ましい実施態様を、図面を参照して説明する。図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、導電性支持体1上に色素が吸着された半導体微粒子を有する感光体2、電荷移動体3及び対極4からなる。感光体2が形成された導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。この光電変換素子10を外部回路6で仕事をさせる電池用途に使用できるようにして、光電気化学電池(図示せず)として作動させることができる。
受光電極5は、導電性支持体1および導電性支持体上に塗設される色素21の吸着した半導体微粒子22の感光体(半導体膜)2よりなる電極である。感光体(半導体膜)2に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有している。そこでこの電子が色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき色素21の分子は酸化体となっている。電極上の電子が外部回路で仕事をしながら色素酸化体に戻ることにより、光電気化学電池として作用する。この際、受光電極5はこの電池の負極として働く。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に、後述の特定の色素を組み合わせたものが吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体を有する。感光体は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。感光体中の色素は多種類の色素が混合されたものでもよいが、少なくとも後述の2種の色素を用いる。本発明の光電変換素子の感光体には、これらの色素が吸着した半導体微粒子を含み、感度が高く、光電気化学電池として使用する場合に、高い変換効率を得ることができ、変換効率の低下が少なく耐久性に優れている光電変換素子を得ることができる。
(A)色素
(A1)一般式(1)の構造を有する色素
本発明の光電変換素子において組み合わされて使用される色素の1つは、下記一般式(1)で表される構造を有する色素である。
Figure 2011243379
一般式(1)において、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。1価の置換基としてはアルキル基ないしアルケニル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、t−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル等)、複素環残基(例えばピリジル、イミダゾリル、フリル、チエニル、ピロニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ等)、ヒドロキシ基および酸素陰イオン、ニトロ基、シアノ基、アミド基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(例えば、3−フェニルウレイド等)、ウレタン基(例えばイソブトキシカルボニルアミノ、カルバモイルオキシ等)、エステル基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(例えばN−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等)、スルファモイル基(例えばN−フェニルスルファモイル等)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル等)、アミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ等)、スルホニル基(例えばメチルスルホニル等)、ホスホニル基及びそのエステル、ホスホニルオキシ基及びそのエステル、カルボキシル基(例えばカルボキシル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル等)、スルホ基等が挙げられる。置換基の炭素原子上にはさらに上記の置換基があってもよい。
11〜R13がメチン鎖置換基の場合には、互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、R11〜R13が、3〜8員の単環や多環性の芳香環、複素環、又は脂環式の環を形成していてもよい。好ましい環としてはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ベンゼン、デヒドロデカリン、ピリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、フラン、ジヒドロフラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、ヘキサヒドロキノリン等が挙げられる。これらの環には3〜8員の芳香環、複素環、又は脂環式の環がさらに縮合していてもよい。n1は2〜4の整数を表す。メチン鎖の長さは色素の吸収波長に関係し、n1の値が大きいほど長波長の光を吸収しやすいため、用途に応じて適宜調節される。
14及びR15はそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。R14及びR15としては、R11〜R13と同様のものを挙げることができる。
11及びA12は、炭素原子及び窒素原子とともに3〜10員環を形成するための非金属原子団である。A11及びA12は、それぞれ、炭素原子及び窒素原子とともに、単環又は縮合環を形成する。原子団の中で環を構成する原子は、炭素及び窒素の他には、酸素、硫黄、セレン及びテルルの少なくとも1つを含んでいてもよい。A11又はA12で完成される複素環としては、インドレニン、ベンゾインドレニン、ベンゾイミダゾリン、ベンゾオキサゾリン、ベンゾチアゾリン、キノリン、ベンゾセレナゾリン、ベンゾテルラゾリン、ナフトオキサゾリン、ナフトチアゾリン等が挙げられる。これらの複素環にはR11〜R13と同様の置換基を有していてもよい。
一般式(1)で表される色素は、分子全体の電荷に応じてアニオン性の対イオンXを有していてもよく、n2は0以上の整数である。対イオンとしては特に制限はなく、有機、無機のいずれでもよい。代表的な例としてはハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、水酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロりん酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等を挙げることができる。
一般式(1)の構造を有する色素が酸性基を有する場合、半導体微粒子への吸着性に優れるため特に好ましい。酸性基としては、水−テトラヒドロフラン混合溶媒(体積比50対50)中のpKaが10以下のものが好ましい。特に好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、水酸基、リン酸モノエステルおよびジエステル基等である。このうちカルボキシル基が最も好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成したものであってもよい。また分子内塩を形成していてもよい。
前記一般式(1)の構造を有する色素が、下記一般式(9)で表されることが好ましい。
Figure 2011243379
一般式(9)中、Zは3価の連結基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。Zとしては、例えば、メチン、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニルなどを挙げることができる。Zとして好ましくは、Zが下記一般式(10)若しくは一般式(11)で表される基又はメチンであることが好ましい。
Figure 2011243379
Figure 2011243379
上記一般式(10)及び(11)において、R81及びR91はそれぞれ独立に置換基を表す。R82〜R85及びR92〜R97は水素原子又は置換基を表す。R81〜R85及びR91〜R97における置換基としては、R11〜R13と同様のものを挙げることができる。
一般式(9)において、XやXとして、ヘテロ原子(好ましくは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子など)、置換基を有するアミノ基、置換基を有するメチル基、置換基を有するエテニレン基が好ましい。ここで置換基としては、一般式(1)におけるR〜Rと同様のものを挙げることができる。
及びYはそれぞれ独立に置換基を表し、r1及びr2は独立して0〜4の整数を表す。r1及びr2は0〜2が好ましい。r1又はr2が2以上の場合はY、Yは各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。YやYとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、カルボキシル基、スルホン酸基が好ましい。
一般式(9)において、R14及びR15はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。R14及びR15としては、一般式(1)におけるR14及びR15と同様のものを挙げることができる。好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、t−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、ベンジル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、さらに好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ベンジル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピルである。
はアニオン性の対イオンを表し、n2は0以上の整数を表す。Xとしては、一般式(1)におけるXと同様のものを挙げることができる。
前記一般式(1)の構造を有する色素が、下記一般式(12)で表されることが好ましい。
Figure 2011243379
一般式(12)中、Vは2価の連結基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。Y及びYはそれぞれ独立に置換基を表し、r3及びr4は独立して0〜4の整数を表す。r3又はr4が2以上の場合はY、Yは各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。Xはアニオン性の対イオンを表し、n2は0以上の整数を表す。
上記一般式(12)中、Vとしては、ヘテロ原子(好ましくは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子など)、シアノ酢酸アルキル、アセト酢酸アルキルである。好ましくは、シアノ酢酸アルキルである。一般式(12)中、X、X、Y、Y、r及びrとしては、それぞれ、一般式(9)におけるX、X、Y、Y、r及びrと同様のものを挙げることができる。
以下に本発明の一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示す。本発明がこれに限定されるものではない。
Figure 2011243379
Figure 2011243379
Figure 2011243379
Figure 2011243379
(A2)一般式(2)で表される構造を有する色素
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、上記一般式(1)の構造を有する色素とともに下記一般式(2)で表される構造を有する色素を用いる。

M(LL)m(LL)m(U)m・CI 一般式(2)

一般式(2)の構造を有する色素は、金属原子に、配位子LL及び配位子LLと、場合により特定の官能基Xが配位しており、必要な場合はCIにより電気的に中性に保たれている。
(A2−1)金属原子M
Mは金属原子を表す。Mは好ましくは4配位または6配位が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn又はZnである。特に好ましくは、Ru、Os、Zn又はCuであり、最も好ましくはRuである。
(A2−2)配位子LL
配位子LLは、下記一般式(3)により表される2座または3座の配位子により表される2座または3座の配位子であり、好ましくは2座配位子である。配位子LLの数を表すmは1〜3の整数であり、1であるのがより好ましい。mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。
一般式(3)中のR21及びR22はそれぞれ独立に酸性基を表し、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば、―CONHOH、―CONCHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)等)及びホスホニル基(例えば―P(O)(OH)等)を有する基である。R21及びR22としては、好ましくはカルボキシル基、ホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
Figure 2011243379
式中、R23、R24はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基である。
配位子LLがアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また配位子LLがアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
25とR26は、直接ベンゼン環に結合していてもよい。R25とR26は、L及び/又はLを介してベンゼン環に結合していてもよい。
ここでL及びLはそれぞれ独立に、置換若しくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。エテニレン基が置換基を有する場合、該置換基はアルキル基であるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。L及びLはそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6個の共役鎖であるのが好ましく、エテニレン、ブタジエニレン、エチニレン、ブタジイニレン、メチルエテニレン又はジメチルエテニレンがより好ましく、エテニレン又はブタジエニレンが特に好ましく、エテニレンが最も好ましい。LとLは同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。なお、共役鎖が炭素―炭素二重結合を含む場合、各二重結合はトランス体であってもシス体であってもよく、これらの混合物であってもよい。
n3は0または1であり、a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。a1が2以上のときR21は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR22は同じでも異なっていてもよい。a1は0又は1であるのが好ましく、a2は0〜2の整数であるのが好ましい。特に、n3が0のときa2は1又は2であるのが好ましく、n3が1のときa2は0又は1であるのが好ましい。a1とa2の和は0〜2の整数であるのが好ましい。
b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、0〜2の整数であるのが好ましい。b1が2以上のとき、R23は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。b2が2以上のとき、R24は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。またb1及びb2がともに1以上のとき、R23とR24が連結して環を形成していてもよい。形成する環の好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
a1とa2の和が1以上であって、配位子LLが酸性基を少なくとも1個有するときは、一般式(2)中のmは2または3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
25およびR26は、好ましくは、1〜3個の電子供与基を有するヘテロ環基であり、より好ましくはチエニルである。該電子供与基はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例はR23及びR24の場合と同様)またはヒドロキシル基であるのが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはヒドロキシル基であるのがより好ましく、アルキル基であるのが特に好ましい。R25とR26は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
一般式(2)中、配位子LLは、下記一般式(5)に示すものが好ましい。一般式(5)において、R31及びR32の少なくとも1つはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。R31及びR32は、同じでも異なっていてもよい。
置換基を有してもよいアリール基としては、好ましくは、炭素原子数6〜30の芳香族基(例えば、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル等)を挙げることができる。置換基を有してもよいヘテロ環基としては、好ましくは、炭素原子数1〜30のヘテロ環基(例えば、2−チエニル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、1−イミダゾリル、4−ピリジル、3−インドリル)を挙げることができる。この中でも置換基を有してもよいアルコキシ基又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましい。
Figure 2011243379
また、好ましい配位子LLとしては、下記一般式(7)又は(8)で示されるものを挙げることができる。
Figure 2011243379
一般式(7)において、R41及びR42はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を表し、R43〜R46はそれぞれ独立に置換基を表し、R50〜R53はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。R50とR51ならびにR52とR53はそれぞれ互いに連結して環を形成してもよい。
e1及びe2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、e1が2以上のときR41は同じでも異なっていてもよく、e2が2以上のときR42は同じでも異なっていてもよい。
f1及びf2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、f1が2以上のとき、R43は同じでも異なっていてもよく、R43は互いに連結して環を形成してもよい。f2が2以上のときR44は同じでも異なっていてもよく、R44は互いに連結して環を形成してもよい。
f1及びf2がともに1以上のとき、R43とR44が連結して環を形成してもよい。
g1及びg2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、g1が1以上のとき、R45はR50及び/又はR51と連結して環を形成してもよい。g1が2以上のとき、R45は同じでも異なっていてもよく、R45は互いに連結して環を形成してもよい。g2が1以上のとき、R46はR52及び/又はR53と連結して環を形成してもよい。g2が2以上のとき、R46は同じでも異なっていてもよく、R46は互いに連結して環を形成してもよい。
p1は0又は1を表す。
Figure 2011243379
一般式(8)において、R61及びR62はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を表し、R63、R64、及びR71〜R76はそれぞれ独立に置換基を表す。
72はR71及び/又はR75と連結して環を形成してもよく、R74はR73及び/又はR76と連結して環を形成してもよい。
Wはカルコゲン又はNHを表し、p2は0又は1を表す。
e3及びe4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、e3が2以上のときR61は同じでも異なっていてもよく、e4が2以上のときR62は同じでも異なっていてもよい。
f3及びf4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、f3が2以上のとき、R63は同じでも異なっていてもよく、R63は互いに連結して環を形成してもよい。f4が2以上のときR64は同じでも異なっていてもよく、R64は互いに連結して環を形成してもよい。
f3及びf4がともに1以上のとき、R63とR64が連結して環を形成してもよい。
(A2−3)配位子LL
一般式(2)中、LLは2座又は3座の配位子を表す。配位子LLの数を表すmは1〜2の整数であり、1であるのが好ましい。mが2のときLLは同じでも異なっていてもよい。
配位子LLは、下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
Figure 2011243379
一般式(4)中、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5員環又は6員環を形成しうる非金属原子群を表す。形成される5員環又は6員環は置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。Za、Zb及びZcは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及び/又はハロゲン原子で構成されることが好ましく、芳香族環を形成するのが好ましい。5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環又はトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環又はピラジン環を形成するのが好ましい。なかでもイミダゾール環又はピリジン環がより好ましい。
Za及びZbにより形成される含窒素5員環又は6員環には、酸性基を有することが好ましい。酸性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば―CONHOH、―CONCHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)等)又はホスホニル基(例えば―P(O)(OH)等)を挙げることができる。酸性基としては、好ましくはカルボキシル基、ホスホリル基又はホスホニル基等、さらに好ましくはカルボキシル基又はホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
配位子LLが、下記一般式(6)に示されるものが好ましい。一般式(6)において、M及びMはそれぞれ独立に水素原子、金属原子又はアンモニウムイオンを表し、MとMは同じでも異なっていてもよい。
Figure 2011243379
Za及びZbにより形成される含窒素5員環又は6員環には、置換基を有していてもよい。例えば、置換基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子が好ましい。置換基としては、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基またはアシルアミノ基である。
(A2−4)配位子U
一般式(2)中、Uは1座又は2座の配位子を表す。配位子Uの数を表すmは0〜2の整数を表し、mは好ましくは1又は2である。Uが1座配位子のとき、mは2であるのが好ましく、Uが2座配位子のとき、mは1であるのが好ましい。mが2のとき、Uは同じでも異なっていてもよく、U同士が連結していてもよい。
配位子Uは、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、サリチル酸、グリシルオキシ、N,N−ジメチルグリシルオキシ、オキザリレン(―OC(O)C(O)O―)等)、アシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルチオ基、例えば、アセチルチオ、ベンゾイルチオ等)、チオアシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオアシルオキシ基、例えば、チオアセチルオキシ基(CHC(S)O―)等))、チオアシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオアシルチオ基、例えば、チオアセチルチオ(CHC(S)S―)、チオベンゾイルチオ(PhC(S)S―)等))、アシルアミノオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノオキシ基、例えば、N−メチルベンゾイルアミノオキシ(PhC(O)N(CH)O―)、アセチルアミノオキシ(CHC(O)NHO―)等))、チオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルバメート基、例えば、N,N−ジエチルチオカルバメート等)、ジチオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20のジチオカルバメート基、例えば、N−フェニルジチオカルバメート、N,N−ジメチルジチオカルバメート、N,N−ジエチルジチオカルバメート、N,N−ジベンジルジチオカルバメート等)、チオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルボネート基、例えば、エチルチオカルボネート等)、ジチオカルボネート(好ましくは炭素原子数1〜20のジチオカルボネート、例えば、エチルジチオカルボネート(COC(S)S―)等)、トリチオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20のトリチオカルボネート基、例えば、エチルトリチオカルボネート(CSC(S)S−)等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、ベンゾイル等)、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えばメタンチオ、エチレンジチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20のアリールチオ基、例えば、ベンゼンチオ、1,2−フェニレンジチオ等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えばメトキシ等)及びアリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、例えばフェノキシ、キノリン−8−ヒドロキシル等)からなる群から選ばれた基で配位された1座又は2座の配位子、若しくはハロゲン原子(好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボニル(…CO)、ジアルキルケトン(好ましくは炭素原子数3〜20のジアルキルケトン、例えばアセトン((CHCO…)等)、1,3−ジケトン(好ましくは炭素原子数3〜20の1,3−ジケトン、例えば、アセチルアセトン(CHC(O…)CH=C(O―)CH)、トリフルオロアセチルアセトン(CFC(O…)CH=C(O―)CH)、ジピバロイルメタン(tCC(O…)CH=C(O―)t−C)、ジベンゾイルメタン(PhC(O…)CH=C(O―)Ph)、3−クロロアセチルアセトン(CHC(O…)CCl=C(O―)CH)等)、カルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20のカルボンアミド、例えば、CHN=C(CH)O―、―OC(=NH)―C(=NH)O―等)、チオカルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルボンアミド、例えば、CHN=C(CH)S―等)、またはチオ尿素(好ましくは炭素原子数1〜20のチオ尿素、例えば、NH(…)=C(S―)NH、CHN(…)=C(S―)NHCH、(CHN―C(S…)N(CH等)からなる配位子を表す。なお、「…」は配位結合を示す。
配位子Uは、好ましくはアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子であり、より好ましくはアシルオキシ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基またはアリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子であり、特に好ましくはジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基およびイソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子または1,3−ジケトンからなる配位子であり、最も好ましくは、ジチオカルバメート基、チオシアネート基およびイソチオシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトンからなる配位子である。なお配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
Uが2座配位子のとき、Uはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド、またはチオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。Uが1座配位子のとき、Uはチオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、チオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
(A2−5)対イオンCI
一般式(2)中のCIは電気的に中性を保つのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、一般式(2)の色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、一般式(2)の色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機又は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオン又はプロトンである。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
(A2−6)結合基
一般式(2)で表される構造を有する色素は、半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。この結合基を色素中に1〜6個有するのがより好ましく、1〜4個有するのが特に好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(例えば―CONHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)等)、ホスホニル基(例えば―P(O)(OH)等)等の酸性基(解離性のプロトンを有する置換基)を色素中に有することが好ましい。
本発明で用いる一般式(2)で表される構造を有する色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例における色素がプロトン解離性基を有する配位子を含む場合、該配位子は必要に応じて解離しプロトンを放出してもよい。
Figure 2011243379
本発明の一般式(2)により表される色素は、特開2001−291534号公報や当該公報に引用された方法を参考にして合成することができる。
一般式(2)の構造を有する色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
また一般式(1)の構造を有する色素は、溶液中における極大吸収波長が、好ましくは670〜1100nmの範囲であり、より好ましくは700〜900nmの範囲である。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、少なくとも前記一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を用いることにより、広範囲の波長の光を利用することにより、高い変換効率を確保することができる。さらにこれらの色素を併用することにより、変換効率の低下率を低減することできる。
本発明においては、有機溶媒中に、一般式(2)で示される構造を有する色素と、一般式(1)で表わされる構造を有する色素の両方の色素を含有し、該溶媒中にこれらの色素をともに溶解させた光電変換素子用色素溶液を使用することが好ましい。有機溶媒として、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、トルエン、t−ブタノール、アセトニトリル、アセトン、n−ブタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムなどを使用することができる。その中でも、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムを好ましく使用することができる。有機溶媒は、一般式(2)で示される構造を有する色素と、一般式(1)で表わされる構造を有する色素の両方の色素を溶解できるものを適宜選択する。有機溶媒は単独でも、複数のものを混合したものも使用することができる。上記色素の濃度は、半導体微粒子へ均一に吸着するように、0.01ミリモル/L〜1ミリモル/Lとすることが好ましい。さらに好ましくは、0.1ミリモル/L〜0.5ミリモル/Lである。
一般式(2)で示される構造を有する金属錯体色素と、一般式(1)で表わされる構造を有する色素の両方の色素の配合割合は、特に制限されることはない。一般式(2)で表される構造を有する金属錯体をR、一般式(1)で表される構造を有する色素Sとすると、各色素の配合割合はモル%で、好ましくは、R/S=60/40〜99/1、さらに好ましくはR/S=70/20〜99/1、より好ましくはR/S=80/10〜99/1、より一層好ましくはR/S=90/10〜99/1、最も好ましくはR/S=93/7〜99/1である。
(B)導電性支持体
図1に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に色素21が吸着された感光体2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光体を製造することができる。
導電性支持体としては、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスや高分子材料を使用することができる。導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。導電性支持体としては、ガラスや高分子材料に導電性の金属酸化物を塗設したものを使用することができる。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスや高分子材料の支持体1m当たり、0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。好ましく使用される高分子材料の一例として、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。
本発明においては、好ましい導電性支持体として、金属支持体を用いることができる。導電性金属支持体としては、導電性支持体として4族〜13族に属するいずれかの元素で構成された導電性金属支持体が使用される。ここで4族〜13族とは、長周期型周期表におけるものをいう。
本発明における導電性金属支持体の厚さは10μm以上2000μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以上1000μm以下であり、特に好ましくは50μm以上500μm以下である。この厚さが厚すぎると可撓性に欠けるため、光電変換素子として使用する場合に支障が生じることがある。また薄すぎると光電変換素子を使用中に破損することがあり好ましくない。
本発明に用いられる導電性金属支持体の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては10Ω/m以下であり、さらに好ましくは1Ω/m以下であり、特に好ましくは0.1Ω/m以下である。この値が高すぎると、通電しにくくなり光電変換素子としての機能を発揮することができない。
導電性金属支持体としては、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、亜鉛、モリブデン、タンタル、ニオブ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましく使用できる。これらの金属は合金であってもよい。これらのうち、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、および亜鉛がより好ましく、チタン、アルミニウム、および銅がさらに好ましく、チタンおよびアルミニウムがもっとも好ましい。アルミニウムの場合は、アルミニウム合金展伸材、1000系〜7000系(軽金属協会:アルミニウムハンドブック、軽金属協会、(1978)、26)などを好ましく使用することができる。
導電性金属支持体は、表面抵抗が小さく光電気化学電池の内部抵抗を下げられるため高出力の電池を得ることができる。また導電性金属支持体を用いた場合には、後述の半導体微粒子分散液が塗布された導電性金属支持体を加熱乾燥させる温度を高くして焼成しても、支持体が軟化することがない。したがって加熱条件を適宜選択することにより、比表面積の大きな多孔質半導体微粒子層を形成することができる。これにより色素吸着量を増加させ、高出力で変換効率の高い光電変換素子を提供することができる。
また巻回された金属シートを連続的に送り出しながら半導体微粒子分散液を該金属シートに塗工し、その後加熱することで、多孔質の導電性支持体を得ることができる。その後本発明の色素を連続塗布することで、導電性支持体上に感光層を形成することができる。この工程を経ることにより、廉価で光電変換素子や光電気化学電池を製造することが可能になる。
本発明の導電性金属支持体としては、高分子材料層の上に導電層を設けたものを好ましく使用することができる。高分子材料層としては、特に制限されないが、導電層上に半導体微粒子分散液を塗布後加熱した場合に溶融して形状を保持することがない材料を選択する。導電層は高分子材料層に従来の方法、例えば押出被覆等により積層して製造することができる。
使用することが可能な高分子材料層としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を例示することができる。
本発明の導電性金属支持体として、高分子材料層の上に導電層を設けたものを使用することにより、該高分子材料層は光電変換素子や光電気化学電池の保護層として機能することが可能となる。高分子材料として電気絶縁性の材料を使用すれば、該高分子材料層は保護層としてだけでなく、絶縁層として機能することができる。これにより、光電変換素子自体の絶縁性を確保することができる。該高分子材料層を絶縁層として使用する場合は、この体積固有抵抗は1010〜1020Ω・cmのものを使用することが好ましい。さらに好ましくは、体積固有抵抗は1011〜1019Ω・cmである。前記の材料を使用して、特に導電性の材料を配合しなければ、この範囲内の体積固有抵抗を有する絶縁層のものを得ることができる。
導電性金属支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。
導電性金属支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよい。例えば、高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜や、ライトガイド機能を設けてもよい。
導電性支持体上には、紫外光を遮断する機能を持たせることが好ましい。例えば、紫外光を可視光に変えることが出来る蛍光材料を前記高分子材料層の内部または表面に存在させる方法が挙げられる。また、別の好ましい方法して、紫外線吸収剤を用いる方法も挙げられる。導電性支持体上には、特開平11−250944号公報などに記載の機能を付与してもよい。
導電膜の抵抗値はセル面積が大きくなると大きくなる為、集電電極を配置してもよい。好ましい集電電極の形状及び材質としては、特開平11−266028号公報などに記載のものを使用することができる。高分子材料層と導電層の間にガスバリア膜及び/又はイオン拡散防止膜を配置しても良い。ガスバリア層としては、樹脂膜や無機膜のどちらでもよい。
(C)半導体微粒子
図1に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には半導体微粒子22に色素21が吸着された感光体2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を前記の導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光体を製造することができる。
半導体微粒子としては、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子が用いられる。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
半導体には伝導に関わるキャリアーが電子であるn型とキャリアーが正孔であるp型が存在するが、本発明の素子ではn型を用いることが変換効率の点で好ましい。n型半導体には、不純物準位をもたず伝導帯電子と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半導体(あるいは真性半導体)の他に、不純物に由来する構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体が存在する。本発明で好ましく用いられるn型の無機半導体は、TiO、TiSrO、ZnO、Nb、SnO、WO、Si、CdS、CdSe、V、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO、FeS、PbS、InP、GaAs、CuInS、CuInSeなどである。これらのうち最も好ましいn型半導体はTiO、ZnO、SnO、WO、ならびにNbである。また、これらの半導体の複数を複合させた半導体材料も好ましく用いられる。
半導体微粒子の粒径は、半導体微粒子分散液の粘度を高く保つ目的で、一次粒子の平均粒径が2nm以上50nm以下であることが好ましく、また一次粒子の平均粒径が2nm以上30nm以下の超微粒子であることがより好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記の超微粒子に対して平均粒径が50nmを越える大きな粒子を、低含率で添加することもできる。この場合、大粒子の含率は、平均粒径が50nm以下の粒子の質量の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。上記の目的で添加混合する大粒子の平均粒径は、100nm以上が好ましく、250nm以上がより好ましい。
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル・ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)等に記載のゲル・ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル・ゲル法、ゲル・ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル・ゲル法として、バルべ等のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
この他に、半導体微粒子の製造方法として、例えば、チタニアナノ粒子の製造方法として好ましくは、四塩化チタンの火炎加水分解による方法、四塩化チタンの燃焼法、安定なカルコゲナイド錯体の加水分解、オルトチタン酸の加水分解、可溶部と不溶部から半導体微粒子を形成後可溶部を溶解除去する方法、過酸化物水溶液の水熱合成、またはゾル・ゲル法によるコア/シェル構造の酸化チタン微粒子の製造方法が挙げられる。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、または、ルチル型があげられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合してもよい。
チタニアは、非金属元素などによりドーピングされていても良い。チタニアへの添加剤としてドーパント以外に、ネッキングを改善する為のバインダーや逆電子移動防止の為に表面へ添加剤を用いても良い。好ましい添加剤の例としては、ITO、SnO粒子、ウイスカー、繊維状グラファイト・カーボンナノチューブ、酸化亜鉛ネッキング結合子、セルロース等の繊維状物質、金属、有機シリコン、ドデシルベンゼンスルホン酸、シラン化合物等の電荷移動結合分子、及び電位傾斜型デンドリマーなどが挙げられる。
チタニア上の表面欠陥を除去するなどの目的で、色素吸着前にチタニアを酸塩基又は酸化還元処理しても良い。エッチング、酸化処理、過酸化水素処理、脱水素処理、UV−オゾン、酸素プラズマなどで処理してもよい。
(D)半導体微粒子分散液
本発明においては、半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層を得ることができる。
半導体微粒子分散液を作製する方法としては、前述のゾル・ゲル法の他に、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法、微粒子に超音波などを照射して超微粒子に粉砕する方法、あるいはミルや乳鉢などを使って機械的に粉砕しすり潰す方法、等が挙げられる。分散溶媒としては、水および/または各種の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,シトロネロール,ターピネオールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。
分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤として少量用いてもよい。しかし、これらの分散助剤は、導電性支持体上へ製膜する工程の前に、ろ過法や分離膜を用いる方法、あるいは遠心分離法などによって大部分を除去しておくことが好ましい。
半導体微粒子分散液の粘度が高すぎると分散液が凝集してしまい製膜することができず、逆に半導体微粒子分散液の粘度が低すぎると液が流れてしまい製膜することができないことがある。したがって分散液の粘度は、25℃で10〜300N・s/mが好ましい。さらに好ましくは、25℃で50〜200N・s/mである。
半導体微粒子分散液の塗布方法としては、アプリケーション系の方法としてローラ法、ディップ法等を使用することができる。またメータリング系の方法としてエアーナイフ法、ブレード法等を使用することができる。またアプリケーション系の方法とメータリング系の方法を同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機を使用してスピン法やスプレー法で塗布するのも好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。また本発明の半導体微粒子分散液は粘度が高く、粘稠性を有するため、凝集力が強いことがあり、塗布時に支持体とうまく馴染まない場合がある。このような場合に、UVオゾン処理で表面のクリーニングと親水化を行うことにより、塗布した半導体微粒子分散液と導電性支持体表面の結着力が増し、半導体微粒子分散液の塗布が行い易くなる。
半導体微粒子層全体の好ましい厚さは0.1〜100μmである。半導体微粒子層の厚さはさらに1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m当りの担持量は0.5g〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
塗布した半導体微粒子の層に対し、半導体微粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のため、また塗布した半導体微粒子分散液を乾燥させるために、加熱処理が施される。この加熱処理により多孔質半導体微粒子層を形成することができる。
また、加熱処理に加えて光のエネルギーを用いることもできる。例えば、半導体微粒子として酸化チタンを用いた場合に、紫外光のような半導体微粒子が吸収する光を与えることで表面を活性化してもよいし、レーザー光などで半導体微粒子表面のみを活性化することができる。半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射することで、粒子表面に吸着した不純物が粒子表面の活性化によって分解され、上記の目的のために好ましい状態とすることができる。加熱処理と紫外光を組み合わせる場合は、半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射しながら、100℃以上250℃以下あるいは好ましくは100℃以上150℃以下で行われることが好ましい。このように、半導体微粒子を光励起することによって、微粒子層内に混入した不純物を光分解により洗浄するとともに、微粒子の間の物理的接合を強めることができる。
また、半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、加熱や光を照射する以外に他の処理を行ってもよい。好ましい方法として例えば、通電、化学的処理などが挙げられる。
塗布後に圧力をかけても良く、圧力をかける方法としては、特表2003−500857号公報等が挙げられる。光照射の例としては、特開2001−357896号公報等が挙げられる。プラズマ・マイクロ波・通電の例としては、特開2002−353453号公報等が挙げられる。化学的処理としては、例えば特開2001−357896号公報が挙げられる。
上述の半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法は、上述の半導体微粒子分散液を導電性支持体上に塗布する方法のほか、特許第2664194号公報に記載の半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し空気中の水分によって加水分解して半導体微粒子膜を得る方法などの方法を使用することができる。
前駆体として例えば、(NHTiF、過酸化チタン、金属アルコキシド・金属錯体・金属有機酸塩等が挙げられる。
また、金属有機酸化物(アルコキシドなど)を共存させたスラリーを塗布し加熱処理、光処理などで半導体膜を形成する方法、無機系前駆体を共存させたスラリー、スラリーのpHと分散させたチタニア粒子の性状を特定した方法が挙げられる。これらスラリーには、少量であればバインダーを添加しても良く、バインダーとしては、セルロース、フッ素ポリマー、架橋ゴム、ポリブチルチタネート、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
半導体微粒子又はその前駆体層の形成に関する技術としては、コロナ放電、プラズマ、UVなどの物理的な方法で親水化する方法、アルカリやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸などによる化学処理、ポリアニリンなどの接合用中間膜の形成などが挙げられる。
半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、上述の(1)湿式法とともに、(2)乾式法、(3)その他の方法を併用しても良い。
(2)乾式法として好ましくは、特開2000−231943号公報等が挙げられる。
(3)その他の方法として、好ましくは、特開2002−134435号公報等が挙げられる。
乾式法としては、蒸着やスパッタリング、エアロゾルデポジション法などが挙げられる。また、電気泳動法・電析法を用いても良い。
また、耐熱基板上でいったん塗膜を作製した後、プラスチック等のフィルムに転写する方法を用いても良い。好ましくは、特開2002−184475号公報記載のEVAを介して転写する方法、特開2003−98977号公報記載の紫外線、水系溶媒で除去可能な無機塩を含む犠牲基盤上に半導体層・導電層を形成後、有機基板に転写後、犠牲基板を除去する方法などが挙げられる。
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。好ましい半導体微粒子の構造としては、特開2001−93591号公報等が挙げられる。
一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間加熱してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400〜600℃が好ましい。
支持体として高分子材料を用いる場合、250℃以下で製膜後加熱することが好ましい。その場合の製膜方法としては、(1)湿式法、(2)乾式法、(3)電気泳動法(電析法を含む)の何れでも良く、好ましくは、(1)湿式法、又は(2)乾式であり、更に好ましくは、(1)湿式法である。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
半導体微粒子に色素を吸着させるには、溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液の中に、製膜後の半導体電極を浸漬するのが好ましい。色素吸着用色素溶液に使用される溶液は、本発明の色素が溶解できる溶液なら特に制限なく使用することができる。例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、トルエン、t−ブタノール、アセトニトリル、アセトン、n−ブタノールなどを使用することができる。その中でも、エタノール、トルエンを好ましく使用することができる。
溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液は必要に応じて50℃ないし100℃に加熱してもよい。色素の吸着は半導体微粒子の塗布前に行っても塗布後に行ってもよい。また、半導体微粒子と色素を同時に塗布して吸着させてもよい。未吸着の色素は洗浄によって除去する。塗布膜の焼成を行う場合は色素の吸着は焼成後に行うことが好ましい。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく色素を吸着させるのが特に好ましい。吸着する色素は一般式(1)の構造を有する色素と一般式(2)の構造を有する色素とを併用することが必要である。本発明の趣旨を損なわない範囲内で他の色素をさらに混合してもよい。光電変換の波長域をできるだけ広くするように、混合する色素が選ばれる。色素を混合する場合は、すべての色素が溶解するようにして、色素吸着用色素溶液とすることが必要である。
色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。
また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸、ピバロイル酸)等が挙げられる。
色素を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
対向電極は、光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。対向電極の材料としては、白金、カーボン、導電性ポリマー、などがあげられる。好ましい例としては、白金、カーボン、導電性ポリマーが挙げられる。
対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。好ましい例としては、特開平10−505192号公報などが挙げられる。
受光電極は酸化チタンと酸化スズ(TiO/SnO)などの複合電極を用いても良く、チタニアの混合電極として例えば、特開2000−113913号公報等が挙げられる。チタニア以外の混合電極として例えば、特開2001−185243号公報、特開2003−282164号公報等が挙げられる。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、入射光の利用率を高めるなどのため、複数の感光体(色素吸着半導体微粒子層)からなるタンデム型の感光体を有してもよい。一般式(1)で表される構造を有する色素及び一般式(2)で表される構造を有する色素を、半導体微粒子に吸着させた感光体を複数作製し、タンデム型に配置して、光電変換素子や光電気化学電池とすることができる。また、一般式(1)で表される構造を有する色素を吸着させた半導体微粒子と、一般式(2)で表される構造を有する色素をこれとは異なる半導体微粒子に吸着させたものを感光体として用いて、全体として1つの光電変換素子や光電気化学電池としてもよい。
また受光電極層内部で光散乱、反射を効率的に行う光マネージメント機能を設けてもよい。好ましくは、特開2002−93476号公報に記載のものが挙げられる。
導電性支持体と多孔質半導体微粒子層の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止する為、短絡防止層を形成することが好ましい。好ましい例としては、特開平06−507999号公報等が挙げられる。
受光電極と対極の接触を防ぐ為に、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。好ましい例としては、特開2001−283941号公報が挙げられる。
(E)電解質
代表的な酸化還元対としては、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。これらを溶かす有機溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。溶融塩としては、例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり変換効率が向上する。
電解質への添加物として、前述の4−tert−ブチルピリジンのほか、アミノピリジン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、アミノトリアゾール系化合物及びアミノチアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、アミノトリアジン系化合物、尿素誘導体、アミド化合物、ピリミジン系化合物及び窒素を含まない複素環を加えることができる。
また、効率を向上する為に、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。ヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物の使用をしてもよく、逆に水分を常時補給する方法を用いてもよい。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
電解質として溶融塩を用いてもよく、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウム又はトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム系、ピリジニウム系、グアニジウム系およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。液晶性の置換基を持っていてもよい。また、四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いてもよい。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500−5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物から出来る有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物又はモノマー、架橋剤、電解質及び溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いても良い。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子及びこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、PVA、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子などを添加しても良い。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸又はポリカルボン酸などを2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法などを用いても良い。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることが出来る溶媒としては、特定のりん酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒などが挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させても良く、その方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタなどの布状固体が挙げられる。
以上の液体電解質及び擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料などの固体電荷輸送層を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いても良い。ホール輸送層として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリシランなどの導電性高分子、及び2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度が必要である。好ましい濃度としては合計で0.01モル/l以上であり、より好ましくは0.1モル/lであり、特に好ましくは0.3モル/l以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/l程度である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.色素の調製
(1)一般式(1)の構造を有する色素
下記に示すように、(S24−1)0.69g、(S24−2)0.17g及びトリエチルアミン0.42mLを、1−ブタノール10mLとトルエン10mLの混合溶媒中で混合し、120℃に加熱下で5時間攪拌し、(S24−1)と(S24−2)を反応させた。得られた結晶を吸引ろ過によりろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、一般式(1)で示される0.22gの前記例示色素S−24を調製した。
Figure 2011243379
(2)一般式(2)の構造を有する色素
4,4’−ビス[2−(5−ヘキシル−2−チエニル)ビニル]−2,2’−ビピリジン(0.15g、0.245mmol)とジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)二量体(0.0747g、0.122mmol)のDMF10ml溶液をマイクロ波(200W)、窒素暗雰囲気下、60℃で10分間加熱した。続いて2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸(0.12g、0.49mmol)を添加し、150℃で10分間加熱した。温度を100℃に冷却し、チオシアン酸アンモニウム(0.8g、水4mlの溶液)を加え、120℃で10分間反応させた。温度を室温まで下げ、DMFを真空蒸留した。水80mlを残留物に添加し、30分間浸漬した。不溶物を集め、水とジエチルエーテルで洗浄した。粗生成物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノールに溶解し、メタノールを流出液として、SephadexLH−20(商品名、Pharmacia Fine Chemicals社製)のカラムで精製した。主層の生成物を回収濃縮し、硝酸0.2Mを添加して沈殿物を得た。この生成物を集め、室温で真空乾燥後、一般式(2)で表される構造を有する前記例示色素Ru−3(0.31g)を得た。
(3)比較色素
上記(2)と同様にして、下記の比較色素Ru−1及びRu−2を調製した。
Figure 2011243379
[実験1]
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。このうち一方の導電膜上にアナターゼ型酸化チタン粒子を焼結して受光電極を作製した。その後、受光電極上にシリカ粒子とルチルとを40:60(質量比)で含有する分散液を塗布及び焼結して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、表1の試料番号1−1〜1−21においては、表1に記載された一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素をエタノール溶液に溶解し、一般式(1)の構造を有する色素の濃度が0.1ミリモル/L、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素の濃度が0.5ミリモル/Lのエタノール溶液を得た。このエタノール溶液中に、絶縁性多孔体を形成したガラス基板を48時間浸漬した。
表1において、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素のうち、一方しか使用しなかった試料(1−22〜1−29)では、一般式(1)の構造を有する色素のみを使用した場合は、色素の濃度が0.1ミリモル/L、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素のみを使用した場合は、色素の濃度が0.5ミリモル/Lのエタノール溶液のものを用いた。
さらに色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させて、感光体を形成した。感光体の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/mであった。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、最適な増感度を示すように、適宜0.1〜10ミリモル/mの範囲から選択した。
電解液としては、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5モル/L)、ヨウ素(0.1モル/L)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
(色素の極大吸収波長の測定)
用いた色素の極大吸収波長を測定した。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク製)によって行い、溶液はテトラヒドロフラン:エタノール=1:1を用い、色素の濃度が17μMになるようにした。その結果を表1に示す。
(光電変換効率の測定)
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルタ(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42(商品名)、Kenko社製)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cmであった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型(商品名)、ケースレー社製)で測定した。
前述の光電気化学電池の導電性ガラス板1と白金蒸着ガラス板4にそれぞれワニ口クリップを接続し、各ワニ口クリップを電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。これに導電性ガラス板10側から模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置により測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値と、300時間連続照射時の変換効率の低下率をまとめて表1に示す
変換効率の初期値については、5%以上のものを◎、3.5%以上5%未満のものを○、0.5%以上3.5%未満のものを△、0.5%未満のものを×とし、変換効率が3.5%以上のものを合格、変換効率が3.5%未満のものを不合格とした。
300時間連続照射時の変換効率の低下率については、25%以下のものを合格とし、25%を越えるものを不合格とした。
Figure 2011243379
表1からわかるように、一般式(1)の構造を有する色素と一般式(2)の構造を有する色素を併用した試料番号1−1〜1−18では、変換効率の初期値は3.5%以上で、合格レベルであった。また、試料番号1−1〜1−18では、300時間連続照射時の変換効率の低下率についても、いずれも25%以下で合格レベルであった。
これに対して、一般式(1)の構造を有する色素を使用した場合でも、ルテニウム金属錯体色素を用いなかった場合には(試料番号1−26〜1−29)、変換効率の初期値は0.5%未満で、変換効率が低い上に、300時間連続照射後の変換効率の低下率は90%以上で、変換効率は大きく低下した。
また、一般式(1)の構造を有する色素を使用した場合でも、ルテニウム金属錯体色素のうち、一般式(2)の構造を有する色素を用いなかった場合には、変換効率の初期値が合格レベルに到達するものがある(試料番号1−19、1−20)。しかしこれらの場合でも、300時間連続照射後の変換効率の低下率はそれぞれ、45%と40%で、合格レベルに到達しなかった。
一方、一般式(1)の構造を有する色素を使用しない場合には、一般式(2)の構造を有する色素を用いた場合でも、変換効率の初期値が合格レベルに到達するものがある(試料番号1−22、1−23、1−25)。しかしこれらの場合でも、300時間連続照射後の変換効率の低下率は合格レベルに到達しなかった。
[実験2]
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザーにより測定した。
2.色素を吸着した酸化チタン微粒子層(電極A)の作製
フッ素をドープした酸化スズを被覆した20mm×20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製,TCOガラス−U,表面抵抗:約30Ω/m)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成し、その後冷却した。
次に、表2の試料番号2−1〜2−6においては、表2に記載された一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素をエタノール溶液に溶解し、一般式(1)の構造を有する色素の濃度が0.1ミリモル/L、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素の濃度が0.5ミリモル/Lのエタノール溶液を得た。表2において、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素のうち、一方しか使用しなかった試料(2−7〜2−15)では、一般式(1)の構造を有する色素のみを使用した場合は、色素の濃度が0.1ミリモル/L、一般式(2)の構造を有する色素又は比較色素のみを使用した場合は、色素の濃度が0.5ミリモル/Lのエタノール溶液のものを用いた。
このエタノール溶液中に、前記半導体塗布ガラス板を48時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させた。このようにして得られた色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/mであった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10ミリモル/mの範囲内であった。
3.光電気化学電池の作製
溶媒としては、アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を用いた。この溶媒に、ヨウ素と電解質塩として、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩を加えて、0.5モル/Lの電解質塩および0.05モル/Lのヨウ素を含んだ溶液を調製した。この溶液に、(溶媒+窒素含有高分子化合物+塩)100質量部に対し、窒素含有高分子化合物(α)を10質量部加えた。さらに窒素含有高分子化合物の反応性窒素原子に対する求電子剤(β)を0.1モル混合し、均一な反応溶液とした。
一方、導電性ガラス板上に形成された色素増感酸化チタン微粒子層の上にスペーサーを介して白金を蒸着したガラス板からなる対極の白金薄膜側を載置し、導電性ガラス板と白金蒸着ガラス板とを固定した。得られた組立体の開放端を上記電解質溶液に浸漬し、毛細管現象により色素増感酸化チタン微粒子層中に反応溶液を浸透させた。
次いで80℃で30分間加熱して、架橋反応を行った。このようにして、特開2000−323190号公報の図2に示す通り、導電性ガラス板10の導電層12上に、色素増感酸化チタン微粒子層22、電解質層30、および白金薄膜42およびガラス板41からなる対極40が順に積層された本発明の光電気化学電池1−1(試料No.2−1)を得た。
また色素と電解質組成物の組成の組み合わせを表2に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、異なる感光層20および/または電荷移動層30を有する光電気化学電池1−2、1−3、1−4及び1−5を得た。
4.光電気化学電池A、Bの作製
(1)光電気化学電池A
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)を同じ大きさの白金蒸着ガラス板にスペーサーを介して重ねあわせた。次に両ガラス板の隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を溶媒としたヨウ素0.05モル/L、ヨウ化リチウム0.5モル/Lの溶液)を浸透させて、光電気化学電池A−1を作製した。また色素を表2に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。
(2)光電気化学電池B(特開平9−27352号に記載の電解質)
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)上に、電解液を塗布し、含浸させた。なお電解液は、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学(株)製,ブレンマーPE−350)1gと、エチレングリコール1gと、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロバン−1−オン(日本チバガイギー(株)製,ダロキュア1173)20mgを含有した混合液に、ヨウ化リチウム500mgを溶解し10分間真空脱気することにより得た。次に前記混合溶液を含浸させた多孔性酸化チタン層を減圧下に置くことにより、多孔性酸化チタン層中の気泡を除き、モノマーの浸透を促した後、紫外光照射により重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性酸化チタン層の微細空孔内に充填した。このようにして得られたものをヨウ素雰囲気に30分間曝して、高分子化合物中にヨウ素を拡散させた後、白金蒸着ガラス板を重ね合わせ、光電気化学電池B−1を得た。また色素を表2に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池B−2、B−3、B−4及びB−5を得た。
5.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光をAM1.5フィルタ(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(Kenko L−42)を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光とした。光強度は89mW/cmとした。
前述の光電気化学電池の導電性ガラス板10と白金蒸着ガラス板40にそれぞれワニ口クリップを接続し、各ワニ口クリップを電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。これに導電性ガラス板10側から模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置により測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率の初期値と、300時間連続照射時の変換効率の低下率をまとめて表2に示す。
変換効率の初期値が5%以上を合格、5%未満を不合格とした。また300時間経過後の変換効率の低下率が30%以下の場合を合格、30%を越える場合を不合格とした。
Figure 2011243379
(備考)
(1)色素の記号は本文中に記載の通りである。
(2)窒素含有高分子α、求電子剤βは以下の化合物を示す。
Figure 2011243379
Figure 2011243379
表2からわかるように、一般式(1)の構造を有する色素と一般式(2)の構造を有する色素を併用した試料番号2−1〜2−3では、変換効率の初期値も300時間経過後の変換効率の低下率も合格レベルであった。
これに対して、一般式(1)の構造を有する色素を使用した場合でも、ルテニウム金属錯体色素を用いなかった場合には(試料番号2−13〜2−15)、変換効率の初期値も、300時間連続照射後の変換効率の低下率も合格レベルに到達しなかった。一般式(1)の構造を有する色素を使用した場合でも、ルテニウム金属錯体色素のうち、一般式(2)の構造を有する色素を用いなかった場合には(試料番号2−4〜2−6)、同様に、変換効率の初期値も、300時間連続照射後の変換効率の低下率も合格レベルに到達しなかった。
一方、一般式(1)の構造を有する色素を使用しない場合には、一般式(2)の構造を有する色素を用いた場合でも、変換効率の初期値が合格レベルに到達するものがある(試料番号2−8)。しかしこの場合でも、300時間連続照射後の変換効率の低下率は合格レベルに到達しなかった。
1 導電性支持体
2 感光体
21 色素
22 半導体微粒子
23 電解質
3 電荷移動体
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に色素が吸着された半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子であって、前記色素が下記一般式(1)の構造を有する色素と、下記一般式(2)で表される構造を有する色素とを含有することを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2011243379
    [一般式(1)中、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。R11〜R13は互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。A11及びA12は、炭素原子及び窒素原子とともに3〜10員環を形成するための非金属原子団を表す。n1は2〜4の整数を表し、R12、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは電気的に中性を保つために対イオンが必要な場合のアニオン性の対イオンを表す。n2は0以上の整数を表す。]

    M(LL)m(LL)m(U)m・CI 一般式(2)

    [ 一般式(2)において、Mは金属原子を表し、LLは下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子であり、LLは下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
    Uはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表す。
    は1〜3の整数を表し、mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。mは1〜2の整数を表し、mが2のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。
    は0〜2の整数を表し、mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
    CIは一般式(2)において、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
    Figure 2011243379
    [ 一般式(3)において、R21及びR22はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R23及びR24はそれぞれ独立に置換基を表し、R25及びR26はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基又はアルキル基を表す。R25及びR26は置換基を有していてもよい。d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。
    及びLはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。
    及びaはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときR21は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR22は同じでも異なっていてもよく、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。bが2以上のときR23は同じでも異なっていてもよく、R23は互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR24は同じでも異なっていてもよく、R24は互いに連結して環を形成してもよい。b1及びb2がともに1以上のとき、R23とR24が連結して環を形成してもよい。
    n3は0又は1を表す。]
    Figure 2011243379
    [一般式(4)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表し、それぞれ独立に酸性基を有していてもよい。cは0又は1を表す。]
  2. 前記一般式(3)で表される配位子LLが下記一般式(5)で表され、かつ前記一般式(4)で表される配位子LLが下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
    Figure 2011243379
    [一般式(5)において、R31及びR32の少なくとも1つはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。R31及びR32は、同じでも異なっていてもよい。]
    Figure 2011243379
    [一般式(6)において、M及びMはそれぞれ独立に水素原子、金属原子又はアンモニウムイオンを表し、MとMは同じでも異なっていてもよい。]
  3. 前記一般式(3)で表される配位子LLが下記一般式(7)又は(8)で表されることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
    Figure 2011243379
    [一般式(7)において、R41及びR42はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R43〜R46はそれぞれ独立に置換基を表し、R50〜R53はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。R50とR51ならびにR52とR53はそれぞれ互いに連結して環を形成してもよい。
    e1及びe2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、e1が2以上のときR41は同じでも異なっていてもよく、e2が2以上のときR42は同じでも異なっていてもよい。
    f1及びf2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、f1が2以上のとき、R43は同じでも異なっていてもよく、R43は互いに連結して環を形成してもよい。f2が2以上のときR44は同じでも異なっていてもよく、R44は互いに連結して環を形成してもよい。
    f1及びf2がともに1以上のとき、R43とR44が連結して環を形成してもよい。
    g1及びg2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、g1が1以上のとき、R45はR50及び/又はR51と連結して環を形成してもよい。g1が2以上のとき、R45は同じでも異なっていてもよく、R45は互いに連結して環を形成してもよい。g2が1以上のとき、R46はR52及び/又はR53と連結して環を形成してもよい。g2が2以上のとき、R46は同じでも異なっていてもよく、R46は互いに連結して環を形成してもよい。
    p1は0又は1を表す。]
    Figure 2011243379
    [一般式(8)において、R61及びR62はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R63、R64、及びR71〜R76はそれぞれ独立に置換基を表す。
    72はR71及び/又はR75と連結して環を形成してもよく、R74はR73及び/又はR76と連結して環を形成してもよい。
    Wはカルコゲン又はNHを表し、p2は0又は1を表す。
    e3及びe4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、e3が2以上のときR61は同じでも異なっていてもよく、e4が2以上のときR62は同じでも異なっていてもよい。
    f3及びf4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、f3が2以上のとき、R63は同じでも異なっていてもよく、R63は互いに連結して環を形成してもよい。f4が2以上のときR64は同じでも異なっていてもよく、R64は互いに連結して環を形成してもよい。
    f3及びf4がともに1以上のとき、R63とR64が連結して環を形成してもよい。]
  4. 前記MがRuであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光電変換素子。
  5. 前記一般式(1)の構造を有する色素が、下記一般式(9)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011243379
    [一般式(9)中、Zは3価の連結基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。Y及びYはそれぞれ独立に置換基を表し、r1及びr2は独立して0〜4の整数を表す。r1又はr2が2以上の場合はY、Yは各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。Xはアニオン性の対イオンを表し、n2は0以上の整数を表す。]
  6. 前記一般式(9)中、Zが下記一般式(10)若しくは一般式(11)で表される基又はメチン基であることを特徴とする請求項5記載の光電変換素子。
    Figure 2011243379
    Figure 2011243379
    [一般式(10)及び一般式(11)において、R81及びR91はそれぞれ独立に置換基を表す。R82〜R85及びR92〜R97は水素原子又は置換基を表す。]
  7. 前記一般式(1)の構造を有する色素が、下記一般式(12)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011243379
    [一般式(12)中、Vは2価の連結基を表し、X及びXはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。Y及びYはそれぞれ独立に置換基を表し、r3及びr4は独立して0〜4の整数を表す。r3又はr4が2以上の場合はY、Yは各々同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。Xはアニオン性の対イオンを表し、n2は0以上の整数を表す。]
  8. 前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の光電変換素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
  10. 有機溶媒中に、下記一般式(1)の構造を有する色素と、下記一般式(2)で表される構造を有する色素の両方の色素を含有し溶解したことを特徴とする光電変換素子用色素溶液。
    Figure 2011243379
    [一般式(1)中、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。R11〜R13は互いに結合して環を形成していてもよい。R14及びR15はそれぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。A11及びA12は、炭素原子及び窒素原子とともに3〜10員環を形成するための非金属原子団を表す。n1は2〜4の整数を表し、R12、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは電気的に中性を保つために対イオンが必要な場合のアニオン性の対イオンを表す。n2は0以上の整数を表す。]

    M(LL)m(LL)m(U)m・CI 一般式(2)

    [ 一般式(2)において、Mは金属原子を表し、LLは下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子であり、LLは下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
    Uはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表す。
    は1〜3の整数を表し、mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。mは1〜2の整数を表し、mが2のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。
    は0〜2の整数を表し、mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
    CIは一般式(2)において、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
    Figure 2011243379
    [ 一般式(3)において、R21及びR22はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基又はホスホニル基を有する基である。R23及びR24はそれぞれ独立に置換基を表し、R25及びR26はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基又はアルキル基を表す。R25及びR26は置換基を有していてもよい。d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。
    及びLはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。
    及びaはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときR21は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR22は同じでも異なっていてもよく、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。bが2以上のときR23は同じでも異なっていてもよく、R23は互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR24は同じでも異なっていてもよく、R24は互いに連結して環を形成してもよい。b1及びb2がともに1以上のとき、R23とR24が連結して環を形成してもよい。
    n3は0又は1を表す。]
    Figure 2011243379
    [一般式(4)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表し、それぞれ独立に酸性基を有していてもよい。cは0又は1を表す。]
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