JP2013206874A - 光電変換素子、色素増感太陽電池用色素吸着組成液、色素増感太陽電池用半導体電極、色素増感太陽電池の製造方法および光電変換素子用金属錯体色素 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池用色素吸着組成液、色素増感太陽電池用半導体電極、色素増感太陽電池の製造方法および光電変換素子用金属錯体色素 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換素子の特性に優れ、長波長領域の量子収率が高く、耐久性に優れ、光電変換素子のロット間の性能差が低減された光電変換素子、素子用金属錯体色素、色素増感太陽電池用の色素吸着組成液及び半導体電極並びに電池の製造方法を提供する。
【解決手段】金属錯体色素21で増感された半導体微粒子22を含む光電極を有し、金属錯体色素が、(1)エタノール溶液吸収で700nmよりも長波長域に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを示し、かつ(2)色素吸着後の2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極の透過スペクトルにおける最も長波長側の色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅が、電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの時に比べ、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの時に、1.2倍を越えない光電変換素子10とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池用色素吸着組成液、色素増感太陽電池用半導体電極、色素増感太陽電池の製造方法および光電変換素子用金属錯体色素に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられており、様々な方式が検討され実用化されている。例えば、その光電変換材料として、金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたものなどがある。その背景には、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、化石燃料を必要とせず、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして期待されていることが挙げられる。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められてきた。各国の政策的な配慮もあってその普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループット及び分子修飾には自ずと限界がある。
そこで色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現した。これにより、色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
この技術を応用し、光電変換効率の向上に向け、ルテニウム錯体系増感色素の開発が継続されている(例えば特許文献1〜3参照)。
一方、特に最近では、太陽電池は原子力発電に代わるエネルギー源としてその注目と期待が高まり、太陽電池としてのさらなる性能改良が求められていた。
国際公開第94/04497号パンフレット 国際特許公開第98/50393号パンフレット 特開2009−215539号公報
太陽電池に対する要求される性能レベルは年々高まる一方であり、必ずしも耐久性が満足できるものではなく、特に光電変換効率の向上と耐久性の向上の両立が望まれる。しかも作製した光電変換素子のロット間での性能のバラツキも観測されることがわかった。このような本技術分野の現状に鑑み、本発明は、光電変換効率が高い等の光電変換素子としての電池特性に優れた性能を示し、しかも長波長領域の量子収率〔IPCE(Incident Photon to Current Conversion Efficiency)〕が高く、耐久性に優れ、光電変換素子のロット間における性能差が低減された光電変換素子、色素増感太陽電池用色素吸着組成液、色素増感太陽電池用半導体電極、色素増感太陽電池の製造方法および光電変換素子用金属錯体色素の提供を目的とする。
本発明者等は、金属錯体色素の色素分子間の会合が重要と考え、金属錯体色素の溶液吸収特性と金属中心からの配位子への電子移動(MLCT遷移;Metal to Ligand Charge Transfer)に基づく吸収特性との関係を詳細に検討し、本発明の手掛りを得て、さらに詳細に検討することにより、本発明に至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)金属錯体色素により増感された半導体微粒子を含む光電極を有する光電変換素子であって、該金属錯体色素が、(1)エタノール溶液吸収で、700nmよりも長波長領域に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを示す吸収を有し、かつ(2)色素吸着後の2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極の透過スペクトルにおける最も長波長側の色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅が、該TiO電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの時に比べ、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの時に、1.2倍を越えない金属錯体色素である光電変換素子。
(2)前記金属錯体色素が、下記式(1)で表される金属錯体色素である(1)に記載の光電変換素子。
M(L1)(L2)(X)n1・(Y)n2 式(1)
式(1)中、MはFe2+、Ru2+またはOs2+を表す。L1は酸性基および含窒素芳香族ヘテロ環骨格を有する二〜四座の配位子を表す。L2は下記式(2)で表される単座、二座または三座の配位子を表す。Xは単座または二座の配位子を表す。n1は0〜3の整数を表す。Yは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。n2は式(1)の金属錯体全体の電荷がゼロとなるように0〜3の整数から選ばれる。
Figure 2013206874
式(2)中、Aは窒素原子または炭素原子で金属原子に配位するアリール環もしくはヘテロアリール環を有する単座、二座または三座の配位子骨格であって、該アリール環またはヘテロアリール環にm1個の−D−(E−Rm2が置換している。Dは連結基を表し、該連結基は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基およびエチニレン基から選択される基を少なくとも1つ含むπ共役の連結基を表し、Eは単結合、−N(Ra)−、−P(Rb)−、−P(=O)(Rb)−、−Si(Rb)(Rb’)−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−O−および−S−から選択される基もしくはこれらを組み合わせた基を表し、RはTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.45である置換基を表す。ここで、Ra、RbおよびRb’は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、−E−Rの水素原子以外の総原子数は5以上である。m1は1〜4の整数を表し、m2は1〜6の整数を表す。
(3)前記L1が、下記式(3)で表される二座または三座の配位子である(2)に記載の光電変換素子。
Figure 2013206874
式(3)中、R〜Rは各々独立に酸性基を表す。R〜Rは各々独立に置換基を表す。b1、b3およびc1、c3は各々独立に0〜4の整数を表すまた、b2およびc2は0〜3の整数を表す。ただし、b1〜b3の全てが0になることはない。cは0または1を表す。
(4)前記cが1である(3)に記載の光電変換素子。
(5)前記RのTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.80である(2)〜(4)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(6)前記金属錯体色素の前記エタノール溶液での700nmよりも長波長領域に有する前記モル吸光係数εが、1,500M−1・cm−1以上である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(7)前記TiO電極の表面に、さらに酸性基を1つ以上有する共吸着剤が担持されている(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(8)前記共吸着剤が下記式(CA)で表される(7)に記載の光電変換素子。
Figure 2013206874
式(CA)中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。
(9)電解質中に含有するレドックス系化合物がコバルト錯体である(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(10)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
(11)電解液の含水率が0.1質量%以下である(10)に記載の色素増感太陽電池。
(12)(1)エタノール溶液吸収で、700nmよりも長波長領域に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを示す吸収を有し、かつ(2)色素吸着後の2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極の透過スペクトルにおける最も長波長側の色素のMLCT吸収(金属中心から配位子への電子移動に基づく吸収)に基づく吸収スペクトルの半値幅が、該TiO電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの時に比べ、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの時に、1.2倍を越えない光電変換素子用金属錯体色素。
(13)有機溶媒中に、(12)に記載の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有させ、水を0.1質量%以下に抑えた、色素増感太陽電池用色素吸着組成液。
(14)前記(13)に記載の組成液を用いて、半導体電極が備える半導体表面に金属錯体色素を担持させてなる色素増感太陽電池用半導体電極。
(15)前記(13)に記載の組成液を用いて、半導体電極が備える半導体表面に金属錯体色素を担持させる色素増感太陽電池の製造方法。
本明細書において、特に断りがない限り、炭素−炭素二重結合については、分子内にE型及びZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。特定の符号で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)にはそれらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香環、ヘテロ環、はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明においては、各置換基は、特に断らない限り、さらに置換基で置換されていてもよい。
本発明により、光電変換効率等の光電変換素子としての電池特性に優れた性能を示し、しかも長波長領域の量子収率(IPCE)が高く、耐久性に優れ、光電変換素子のロット間における性能差が低減された光電変換素子、色素増感太陽電池用色素吸着組成液、色素増感太陽電池用半導体電極、色素増感太陽電池の製造方法および光電変換素子用金属錯体色素が提供できる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について、層中の円部分の拡大図も含めて模式的に示した断面図である。 実施例1で作製した色素増感太陽電池を模式的に示す断面図である。 電解液にコバルト錯体を使用した実施例2で作製した色素増感太陽電池について、図1に示す光電変換素子の変形例をその拡大部分(円)において模式的に示した断面図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
最初に本発明の金属錯体色素を詳細に説明する。
[金属錯体色素]
本発明の金属錯体色素は、(1)エタノール溶液吸収で、700nmよりも長波長領域に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを示す吸収を有し、かつ(2)色素吸着後の2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極の透過スペクトルにおける最も長波長側の色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅が、該TiO電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの時に比べ、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの時に、1.2倍を越えない金属錯体色素である。
このように、上記のような特性を有すること、すなわち、金属錯体色素の吸収特性において、吸収波長が長波であり、色素会合が起こりにくく、特定の吸収特性を満たすことで、光電変換素子において、800nm超という長波長領域でも高い量子収率(IPCE)を発揮し、高光電変換効率を実現し、さらに高い耐久性を実現した。また、光電変換効率のバラツキが減少することがわかった。
この理由は未解明の点を含むが、推定を含めて下記のように説明できる。
すなわち、ブラックダイのような従来のターピリジンを配位子とする色素では、800nmよりも長波長側の量子収率(IPCE)は必ずしも満足できるレベルにはない。これは色素分子間の会合により生成する新しい準位に励起した色素の電子が移ってしまうことで、酸化チタンの伝導体に電子注入できない電子が生じてしまうことが問題である可能性がある。これに対し、溶液吸収において、700nm以上の長波長域に高いモル吸光係数εの吸収を有し、酸化チタン(TiO)に吸着した状態での吸着色素密度の変化によっても吸収のブロード化が起こりにくいような色素分子間の会合性が低い色素を用いることで、800nmよりも長波長側の量子収率(IPCE)を高くできると考えた。その結果、高光電変換効率と耐久性の向上の両立が実現できたものと考えられる。
なお、光電変換素子におけるロット間の性能、特に光電変換効率のバラツキの低減に対しては予想外であったが、色素分子間の会合性が低下することで、酸化チタン表面への2層以上の吸着が妨げられ、常に均一に吸着しやすくなったことが原因であると予想される。
本発明において、エタノール(無水メタノール)溶液吸収で、700nmよりも長波長領域に有する吸収のモル吸光係数εは1,500M−1・cm−1以上が好ましい。
なお、700nmよりも長波長領域に有する吸収のモル吸光係数εの上限は特に制限されるものではないが、300,000M−1・cm−1以下が好ましい。
また、上記の最も長波長側の色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅の比は1.15未満が好ましく、1.1未満がより好ましい。
モル吸光係数ε、吸収スペクトルの半値幅は以下のようにして測定して求められる。
(溶液吸収スペクトル)
各金属錯体色素をエタノールに溶解させ、分光光度計〔例えば、U−4100(商品名)、日立ハイテク社製〕でモル吸光係数εを求めることができる。
(金属錯体色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅の色素吸着量依存性)
酸化チタンペースト(アナターゼ、平均粒径:25nm)をFTOの透明電極上にスクリーン印刷法により該ペーストを塗布、乾燥させ、厚み2.5μm±0.5μmの感光体層を設け、この感光体層上に厚み4mmのガラス基板を重ねることで、モデル試料を作製する。これを、0.01〜1.0mMのエタノール色素溶液に10分〜48時間浸し色素を吸着さ、吸着色素量を、このTiO電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの範囲のものと、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの範囲のもの作製する。
分光光度計〔例えば、U−4100(商品名)、日立ハイテク社製〕により、金属錯体色素の最も長波側に存在するMLCT吸収の吸収クペクトルの半値幅(相対吸収強度が、λmax(ピーク値の)50%になる波長の幅)を求める。
これらの具体的な測定方法は実施例に示した。
このような、特性を満たし、本発明の効果を効果的に奏するには、下記式(1)で表される金属錯体色素であることが好ましい。
M(L1)(L2)(X)n1・(Y)n2 式(1)
式(1)中、MはFe2+、Ru2+またはOs2+を表す。L1は酸性基および含窒素芳香族ヘテロ環骨格を有する二〜四座の配位子を表す。L2は下記式(2)で表される単座二座または三座の配位子を表す。Xは単座または二座の配位子を表す。n1は0〜3の整数を表す。Yは電荷を中和させる為に必要な対イオンを表す。n2は式(1)の金属錯体全体の電荷がゼロとなるように0〜3の整数から選ばれる。
Figure 2013206874
式(2)中、Aは窒素原子または炭素原子で金属原子に配位するアリール環もしくはヘテロアリール環を有する単座、二座または三座の配位子骨格であって、該アリール環またはヘテロアリール環にm1個の−D−(E−Rm2が置換している。Dは連結基を表し、該連結基は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基およびエチニレン基から選択される基を少なくとも1つ含むπ共役の連結基を表し、Eは単結合、−N(Ra)−、−P(Rb)−、−P(=O)(Rb)−、−Si(Rb)(Rb’)−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−O−および−S−から選択される基もしくはこれらを組み合わせた基を表し、RはTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.45である置換基を表す。ここで、Ra、RbおよびRb’は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、−E−Rの水素原子以外の総原子数は5以上である。m1は1〜4の整数を表し、m2は1〜6の整数を表す。
m1が2以上のとき、複数の−D−(E−Rm2は互いに同じでも異なってもよく、m2が2以上のとき、複数の−E−Rは互いに同じでも異なってもよい。
MはRu2+が好ましい。
L1の含窒素芳香族へテロ環骨格のヘテロ環は、少なくとも窒素原子を環構成原子として有する芳香族ヘテロ環であり、環構成原子に窒素以外に酸素原子、硫黄原子を含んでもよく、5または6員環が好ましく、該環は、芳香環、芳香族へテロ環、ヘテロ環または脂環で縮環していてもよい。また、環構成原子の窒素原子は1個でも2個以上でも構わない。含窒素芳香族へテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環等が挙げられ、本発明においては、ピリジン環が好ましく、オルト位で連結したビもしくはテルピリジルが好ましい。
また、L1の配位子は二〜四座の配位子であるが、二または三座が好ましく、三座が特に好ましい。また、二座の配位子の場合、金属原子と配位する原子が、窒素原子と、窒素原子以外の原子、例えば、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、であるか、両方の配位原子が窒素原子であり、かついずれも含窒素芳香族へテロ環であれば、含窒素芳香族へテロ環の環構造の異なるものが好ましい。
L1の含窒素芳香族へテロ環骨格は少なくとも1つの酸性基を有する。これ以外に、置換基を有していてもよく、該置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
また、該置換基として、後述の−E−Rであっても構わない。
ここで、酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基など、あるいはこれらのいずれかを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシ基あるいはこれを有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホニル基、若しくはホスホリル基、又はこれらの塩のいずれかであることが好ましい。酸性基とは、連結基を介して結合した基でもよく、例えば、カルボキシビニレン基、ジカルボキシビニレン基、シアノカルボキシビニレン基、カルボキシフェニル基等を好ましいものとして挙げることができる。
なお、上述の通り、酸性基は酸性を示す基を有する基であればよく、換言すれば、酸性を示す基は所定の連結基を介して導入されていてもよい。なお、酸性基はその塩として存在していてもよい。塩となるとき対イオンとしては特に限定されないが、例えば、後述の対イオンYにおける正のイオンの例が挙げられる。連結基としては、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルケニレン基、炭素数2〜4のアルキニレン基、カルボニル基、カルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明においては、電子移動の観点から連結基を介しない酸性基が好ましく、特に好ましくはカルボキシ基である。
また、酸性基を複数(2個以上)有することが好ましく、3個以上有することがより好ましく、3個が特に好ましい。なかでも、ピリジン環の窒素原子に対して、p位に有するものが好ましい。
L1は、下記式(3)で表される二座または三座の配位子が好ましい。
Figure 2013206874
式(3)中、R〜Rは各々独立に酸性基を表す。R〜Rは各々独立に置換基を表す。b1、b3およびc1、c3は各々独立に0〜4の整数を表すまた、b2およびc2は0〜3の整数を表す。ただし、b1〜b3の全てが0になることはない。cは0または1を表す。
b1〜b3およびc1〜c3が2以上の場合、複数のR〜RおよびR〜Rはそれぞれ同じでも異なってもよく、またc1〜c3が2以上の場合、R同士、R同士、R同士、RとRまたはRとRが互いに結合して環を形成してもよい。ここで、R〜Rがそれぞれにおいて複数存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよい。
b1〜b3のいずれかの2つが1であることが好ましく、b1〜b3のいずれもが1であることが特に好ましい。
〜Rにおける置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
本発明においては、c1〜c3がいずれも0であることが特に好ましく、なかでも、R〜Rがピリジンの窒素原子に対し、いずれもp位に置換しているものが好ましい。
本発明においては、cは特に1が好ましい。
式(1)におけるL2を以下に説明する。
Aは窒素原子または炭素原子で金属原子に配位するアリール環もしくはヘテロアリール環を有する単座、二座または三座の配位子骨格であって、該アリール環またはヘテロアリール環にm1個の−D−(E−Rm2が置換している。ここで、m1は1または2が好ましい。
アリール環としては、ベンゼン環やナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。アリール環は脂環や非芳香族のヘテロ環で縮環されていてもよく、置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
金属原子に配位する原子は、アリール環の環構成炭素原子が好ましい。
ヘテロアリール環はどのようなものでも構わないが、環構成原子に少なくとも窒素を有し、5または6員環が好ましく、該環は、脂環、芳香環またはヘテロ環が縮環していてもよく、置換基で置換されていてもよい。また、環構成原子に窒素原子を2つ以上有していてもよく、環構成原子として窒素原子以外の他の原子、例えば、酸素原子、硫黄原子を有していてもよい。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
このようなヘテロ芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環が挙げられる。
これらのうち、ヘテロ芳香環の環を構成するヘテロ原子としては窒素原子のみが好ましく、5員もしくは6員の単環のヘテロ芳香環が好ましい。また環構成窒素原子は1〜3個が好ましく、1個が特に好ましく、なかでもピリジン環が好ましい。
金属原子に配位する原子は、ヘテロアリール環の環構成窒素原子が好ましい。
Aで表される単座、二座または三座の配位子骨格は、少なくとも上記のアリール環またはヘテロアリールを有していればどのようなものでも構わない。
単座の配位子の場合、Aはm1価のアリール基またはヘテロアリール基が好ましく、m1価のヘテロアリール基がより好ましい。
二座または三座の配位子の場合、アリール環およびヘテロアリール環から選択される環が互いに単結合で結合したものが好ましく、含窒素へテロアリール環が連結したものがより好ましく、含窒素へテロアリール環の窒素原子に対して、互いにオルト位で結合したものがさらに好ましい。
Aで表される配位子骨格は二座または三座の配位子骨格が好ましく、三座の配位子骨格より好ましい。
二座または三座の配位骨格としては、ピリジン環、ピラゾール環およびイミダゾール環から選択されるヘテロアリール環が互いに単結合で結合したものが好ましく、これらの含窒素へテロアリール環の窒素原子に対して、互いにオルト位で結合したものがより好ましく、少なくともピリジン環を有するものがさらに好ましい。なかでも、−D−(E−Rm2がピリジン環に結合したものが好ましく、該ピリジン環の3位または4位に−D−(E−Rm2が結合したものがより好ましく、4位に置換したものが特に好ましい。
Dは連結基を表し、該連結基は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基およびエチニレン基から選択される基を少なくとも1つ含むπ共役の連結基を表す。これらの基は置換基で置換されていてもよく、このような置換基としては後述の置換基Dが挙げられる。
アリーレン基としては、例えばフェニレン、ナフチレンが挙げられ、フェニレンが好ましい。ヘテロアリーレン基のヘテロアリール環としては、環構成へテロ原子に窒素、酸素原子、硫黄原子を含んだものが好ましく、環員数としては5または6員環が好ましく、該環は、芳香環、芳香族へテロ環、ヘテロ環または脂環で縮環していてもよく、例えば、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環等が挙げられる。本発明においては、チオフェン環が好ましい。
Dにおける該連結基は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基およびエチニレン基のみから構成されているものが好ましく、これらが単独でも2つ以上が組み合わされても構わない。これらを組み合わせたものとしては、例えば、−(エテニレンもしくはエチニレン)−(アリーレンもしくはヘテロアリーレン)−、−(アリーレンもしくはヘテロアリーレン)−(エテニレンもしくはエチニレン)−(アリーレンもしくはヘテロアリーレン)−、−(エテニレンもしくはエチニレン)−(エテニレンもしくはエチニレン)−(アリーレンもしくはヘテロアリーレン)−が挙げられる。
−E−Rは該連結基のいずれに置換していてもよいが、好ましくは、アリーレン基またはヘテロアリーレン基に結合することが好ましい。
Eは、単結合、−N(Ra)−、−P(Rb)−、−P(=O)(Rb)−、−Si(Rb)(Rb’)−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−O−および−S−から選択される基もしくはこれらを組み合わせた基を表し、このうちこれらを組み合わせた基としては、例えば、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−N(Ra)−C(=O)−、−C(=O)−N(Ra)−、−N(Ra)−SO−、−SO−N(Ra)−、−P(Rb)−O−、−O−P(Rb)−、−P(=O)(Rb)−O−、―O−P(=O)(Rb)−、−O−P(=O)(Rb)−O、−O−Si(Rb)(Rb’)−、−Si(Rb)(Rb’)−O−、−O−Si(Rb)(Rb’)−O−が挙げられる。
これらのうちEは、単結合、−S−、−O−、−C(=O)−O−が好ましい。
なお、本発明においては、−E−Rがアリーレン基に結合する場合、−E−Rを複数有するか、Eが単結合以外の連結基であることが好ましく、なかでもEが単結合以外の連結基であることが好ましい。
ここで、Ra、RbおよびRb’は各々独立に水素原子または置換基を表し、Raは水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、RbおよびRb’は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基が好ましい。
また、m2は1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
はTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.45である置換基を表す。Taftの立体パラメーターEs値は値が小さいほど立体障害(バルキー)が大きく、上記範囲とすることで、電子注入を妨げる非効率な色素間の会合抑制効果と半導体表面への色素吸着量の低下を抑制する効果が効果的に奏するものと推定している。すなわち、−0.45より大きい(立体的にはバルキーでない)と色素間の会合抑制効果が大きくなく、−1.40より小さい(立体的にはよりバルキー)と大きくなりすぎて、色素一分子当たりの吸着占有面積が大きくなりすぎ、色素吸着量が少なくなってしまい十分な光捕集効果が得られなくなってしまうと思われる。
ここで、Taftの立体パラメーターEs値は、Taftによって定義された置換基定数であり、本発明ではTetrahedron,Vol.34,3553〜3562頁に記載の表1に記載されているEs(Taft)値であり、これに準拠した方法で測定された値をも含む。この値はメチル基の値が0.0であり、例えば、水素原子が1.24、エチル基が−0.07、n−プロピル基が−0.07、イソプロピル基が−0.47、n−ブチル基が−0.39、sec−ブチル基が−1.13、i−ブチル基が−0.93、t−ブチル基が−1.54、シクロペンチル基が−0.51、シクロヘキシル基が−0.79である。また、Es(Taft)値の実測値がない場合でも、上記文献に記載のEs’値でイソプロピル基よりも立体的な嵩高さが高いと推定できる場合も含む。
はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が好ましい。これらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、本発明においては、アルキル基が置換したものか、または無置換のものが好ましい。
の炭素数は3〜30が好ましく、4〜26がより好ましく、4〜20がさらに好ましく、5〜20が特に好ましい。
がTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.45の範囲をを満たすには、アルキル基、アルケニル基の場合、分岐することが好ましく、5員環以上のシクロアルキル基もしくはシクロアルケニル基とすることが好ましい。
がTaftの立体パラメーターEs値は−1.40〜−0.80が好ましい。
ここで、本発明においては、−E−Rの水素原子以外の総原子数は5以上である。これによって、本発明の効果が効果的に奏される。−E−Rの水素原子以外の総原子数は5〜30が好ましく、6〜30がより好ましい。
前記式(1)におけるXは、L1およびL2とは異なる単座または二座の配位子を表し、n1は0〜3の整数を表し、n1は好ましくは1〜3で、より好ましくは1または2である。Xが単座配位子のとき、n1は1または2であるのが好ましく、Xが二座配位子のとき、n1は1であるのが好ましい。n1が2以上のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
Xは、例えば、単座配位子としては、アシルオキシアニオン、アシルチオアニオン、チオアシルオキシアニオン、チオアシルチオアニオン、アシルアミノオキシアニオン、チオカルバメートアニオン、ジチオカルバメートアニオン、チオカルボネートアニオン、ジチオカルボネートアニオン、トリチオカルボネートアニオン、アシルアニオン、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン、シアネートアニオン、イソシアネートアニオン、シアノアニオン、アルキルチオアニオン、アリールチオアニオン、アルコキシアニオン及びアリールオキシアニオンからなる群から選ばれたアニオンもしくはこれらの基で配位する単座の配位子またはハロゲン原子、シアノ、カルボニル、ジアルキルケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド及びチオ尿素からなるアニオン、原子もしくは化合物(アニオンに水素原子が置換された化合物を含む)が挙げられる。なお、配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
二座配位子としては、アシルオキシアニオン、アシルチオアニオン、チオアシルオキシアニオン、チオアシルチオアニオン、アシルアミノオキシアニオン、チオカルバメートアニオン、ジチオカルバメートアニオン、チオカルボネートアニオン、ジチオカルボネートアニオン、トリチオカルボネートアニオン、アシルアニオン、アルキルチオアニオン、アリールチオアニオン、アルコキシアニオンおよびアリールオキシアニオンもしくはこれらの基からなる群から選ばれた部分構造を有する二座の配位子が挙げられ、具体的には1,3−ジケトン等が挙げられる。
本発明においては、Xは、単座の配位子が好ましく、NCS、Cl、Br、I、CN、NCO、HOまたはNCN がさらに好ましい。
前記式(1)におけるYは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表すが、一般に、金属錯体色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、金属錯体色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、式(1)で表される金属錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、式(1)で表される金属錯体色素全体の電荷はYにより電気的に中性とされる。
対イオンYが正の対イオンの場合、例えば、対イオンYは、無機又は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン又はプロトンである。
対イオンYが負の対イオンの場合、例えば、対イオンYは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
本発明において、Yはハロゲンイオン、アリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンまたは水素イオンが好ましい。
以下に、本発明の金属錯体色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2013206874
Figure 2013206874
ここで、Buはブチル基を表す。
上記金属錯体色素のRに相当する部分のEs値を下記表1に示す。なお、2個のRが存在するものは、一方をEs値、他方をEs値として記載した。
Figure 2013206874
本発明の金属錯体色素は、特開2001−291534号公報や当該公報に引用された方法に準じた方法、Cmen.Commun.,2009,5844−5846頁に記載の方法に準じた方法に準じて容易に合成することができる。
本発明の金属錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
[光電変換素子および色素増感太陽電池]
本発明の光電変換素子は、基板、透明電極、半導体微粒子、吸着基をもつ金属錯体色素、電解質および対極を有し、この電解質を保持するようにして前記透明電極と前記対極とを絶縁する部材を具備する。例えば、図1に示されるように、光電変換素子10は、基板及び透明電極からなる導電性支持体1、その上に設置される色素21により増感した感光体層2、電解質層(電解質)3、および対極4を具備する。ここで本発明においては、上記感光体層に、色素21とともに、共吸着剤24が吸着されていることが好ましい。感光体層を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。
本実施形態において受光電極(色素吸着電極)5は、導電性支持体1、およびその上に塗設される色素21の吸着した半導体微粒子22をもつ感光体層2よりなる。本実施形態においては、図示する都合上、受光電極5に電解質を含みうるものとして示しているが、これを含まないものとしてみてもよい。半導体層である感光体層2は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の感光体層中の色素21は一種類でも多種の混合でもよい。半導体層である感光体層2に入射した光は色素21を励起する。励起された色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき色素21は酸化体となっている。電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4を経由して、色素21の酸化体が存在する感光体層2に戻ることで太陽電池として働く。
本実施形態の光電変換素子は、導電性支持体上に前述の金属錯体色素が吸着された多孔質半導体微粒子を有する感光体の感光体層を有する。このとき金属錯体色素において一部電解質中に解離したもの等があってもよい。感光体は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。本実施形態の光電変換素子の感光体には、特定の増感色素が吸着した半導体微粒子を含み、感度が高く、光電気化学電池として使用する場合に、高い変換効率を得ることができる。
なお、光電変換素子の上下は特に定めなくてもよいが、本明細書において、図示したものに基づいて言えば、対極4の側を上部(天部)の方向とし、受光側となる支持体1の側を下部(底部)の方向とする。
本発明において光電変換素子および色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材の作成方法については、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第4,927,721号明細書、同第4,684,537号明細書、同第5,0843,65号明細書、同第5,350,644号明細書、同第5,463,057号明細書、同第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。以下、主たる部材について概略を説明する。
(電解質組成物)
本発明の光電変換素子に用いることができる電解質組成物には、酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましい。
− コバルト錯体 −
上記コバルト錯体は、下記式(A)で表されるものであるものが好ましい。
Co(LL3)ma(X1)mb・CI 式(A)
式(A)において、LL3は2座または3座の配位子を表す。X1は単座の配位子を表す。maは0〜3の整数を表す。mbは0〜6の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
X1における単座の配位子は、式(1)、(2)におけるXで挙げた単座配位子が挙げられ、CIはYが挙げられる。
LL3は下記式(B)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013206874
式(B)において、Zd、ZeおよびZfは各々独立に、5または6員環を形成しうる原子群を表す。Zd、ZeおよびZfは置換基を有していてもよく、置換基を介して隣接する環と閉環していてもよい。hは0または1を表す。該置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
X1はハロゲンイオンであることが好ましい。
上記式(B)で表される化合物は、下記式(B−1)〜(B−3)で表されることがより好ましい。
Figure 2013206874
R’a〜R’iは置換基を表す。na〜nbは0〜4の整数を表す。nc、neは0〜3の整数を表す。ndは0〜2の整数を表す。nf、njは0〜4の整数を表す。
式(B−1)〜(B−3)において、R’a〜R’iの置換基としては例えば、脂肪族基、芳香族基、複素環基等が挙げられる。置換基の具体的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環等を挙げることができる。好ましい例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、置換アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)を挙げることができる。
式(A)で表されるコバルト錯体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2013206874
ヨウ素塩のカチオンは5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンであるのが好ましい。特に、式(A)で表される化合物がヨウ素塩でない場合は、再公表WO95/18456号公報、特開平8−259543号公報、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等のヨウ素塩を併用するのが好ましい。
本発明の光電変換素子に使用される電解質組成物中には、ヘテロ環4級塩化合物と共にヨウ素を含有するのが好ましい。ヨウ素の含有量は電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
− 共吸着剤 −
本発明の光電変換素子においては、本発明の金属錯体色素または必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としてはカルボキシル基もしくはその塩の基を有する共吸着剤が好ましく、該共吸着剤としては、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着剤は、下記式(CA)で表される化合物である。
Figure 2013206874
式(CA)中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。
酸性基は、先に示したものと同義である。また、RA1、RA2における置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
nAは2〜4であることが好ましい。
これらの具体的化合物は、上述のステロイド骨格を有する化合物として例示した化合物が挙げられる。
本発明の共吸着剤は、半導体微粒子に吸着させることにより、色素の非効率な会合を抑制する効果及び酸化物半導体表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は特に限定されないが、上記増感色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルであることが上記の作用を効果的に発現させられる観点から好ましい。
なお、本明細書において化合物(錯体、色素を含む)の表示については、当該化合物そのもののほか、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の一部を変化させた誘導体を含む意味である。また、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基及び配位子についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていないは、この置換基Tを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみに時は、この置換基Tの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のアルキルもしくはアリールのスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールのカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ステアロイル、アクリロイル、メタクリロイル、ベンゾイル、ニコチノイル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、さらには、シクロアルコキシ基、シクロアルコキシカルボニル基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルキルスルファモイル基、シクロアルキルカルバモイル基、シクロアルキルスルファモイル基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルスルホニル基のような脂肪族シクロ環(好ましくは3〜7員環)を有する基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。なお、アルキル基では、塩素もしくはフッ素原子が置換したアルキル基もしくはアリール基が好ましく、パーフルオルアルキル基(特にトリフルオロメチル)、パーフルオルオロアリール基(特にペンタフルオルフェニル)が好ましい。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
本発明において光電変換素子及び色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材の作成方法については、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第4,927,721号明細書、同第4,684,537号明細書、同第5,0843,65号明細書、同第5,350,644号明細書、同第5,463,057号明細書、同第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。以下、主たる部材について概略を説明する。
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスもしくはプラスチックの支持体である。支持体としては、ガラス及びプラスチックの他、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いてもよい。支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859号公報記載の高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746号公報記載のライトガイド機能が挙げられる。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m当たりの0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、または、ルチル型があげられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合するか、または半導体電極として用いてもよい。
半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、湿式法の他、乾式法、その他の方法が挙げられる。
透明導電膜と感光体層(半導体層または酸化物半導体層)の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。光電極と対極の接触を防ぐために、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子を含有する感光体層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400〜60℃が好ましい。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の金属錯体色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
前記色素が塩である場合、前記特定の金属錯体色素の対イオンは特に限定されず、例えばアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
色素を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてピリジン類(例えば4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。電荷移動層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極との間に設けられる。代表的な例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
以上の液体電解質及び擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料などの固体電荷輸送系を用いても良い。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いても良い。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度が必要である。好ましい濃度としては合計で0.01モル/1以上であり、より好ましくは0.1モル/1であり、特に好ましくは0.3モル/1以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/1程度である。
対向電極は、色素増感太陽電池(光電気化学電池)の正極として働くものである。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対向電極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対向電極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対向電極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。このようにして得られる本発明の色素増感太陽電池の特性は、一般的にはAM1.5Gで100mW/cmのとき、開放電圧(Voc)0.01〜1.5V、短絡電流密度(Jsc)0.001〜20mA/cm、フィルファクター(FF 曲線因子または形状因子)0.1〜0.9、光電変換効率(η)0.001〜25%である。
[色素吸着組成液]
本発明においては、本発明の金属錯体色素を含有する色素吸着組成液を使用して色素吸着電極を製造することが好ましい。
このような色素吸着組成液には、本発明の金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
このような溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが特に限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール類、アミド類、ニトリル類、アルコール類、炭化水素類、および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混用溶媒としては、アルコール類と、アミド類、ニトリル類、アルコール類または炭化水素類から選択される溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール類とアミド類、アルコール類と炭化水素類の混合溶媒、特に好ましくはアルコール類とアミド類の混合溶媒である。
色素吸着組成液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、前述の共吸着剤が好ましく、なかでも前記式(CA)で表される化合物が好ましい。
ここで、本発明の色素吸着組成液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を作成する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
色素吸着組成液は、水分含有量を調整することが特に好ましく、従って、本発明においては水の含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが重要である。
同様に、光電変換素子や色素増感太陽電池における電解液の水分含有量の調整も、本発明の効果を効果的に奏するために重要であり、このため、この電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。この電解液の調整は、色素吸着組成液で行なうのが特に好ましい。
本発明は、特許第4260494号公報、特開2004−146425号公報、特開2000−340269号公報、特開2002−289274号公報、特開2004−152613号公報、特開平9−27352号公報に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。また、特開2004-152613号公報、特開2000-90989号公報、特開2003−217688号公報、特開2002−367686号公報、特開2003−323818号公報、特開2001−43907号公報、特開2000−340269号公報、特開2005−85500号公報、特開2004−273272号公報、特開2000−323190号公報、特開2000−228234号公報、特開2001−266963号公報、特開2001−185244号公報、特表2001−525108号公報験、特開2001−203377号公報、特開2000−100483号公報、特開2001−210390号公報、特開2002−280587号公報、特開2001−273937号公報、特開2000−285977号公報、特開2001−320068号公報等に記載の光電変換素子、色素増感太陽電池に適用することができる。
以下に、実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
<色素の合成例>
下記反応スキーム1で示したルートでDye1を合成した。
Figure 2013206874
同様にして、Dye2〜8を合成した。
(実施例1)
光電極を構成する半導体電極の感光体層(半導体層)又は光散乱層形成するための種々のペーストを調製し、このペーストを用いて、色素増感太陽電池を作製した。
[ペーストの調製]
(ペーストA)球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO粒子Aという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)球形TiO粒子Aと、球形のTiO粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO粒子Bという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子Aの質量:TiO粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)ペーストAに、棒状TiO粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子Cという)を混合し、棒状TiO粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
以下に示す手順により、特開2002−289274号公報に記載の図5に示した光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、光電極を用いて、同公報に記載の図3の光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する10×10mmのスケールの色素増感型太陽電池(各試料)を作製した。具体的な構成は添付の図2に示した。41が透明電極、42が半導体電極、43が透明導電膜、44が基板、45が半導体層、46が光散乱層、40が光電極、20が色素増感太陽電池、CEが対極、Eが電解質、Sがスペーサーである。
ガラス基板上にフッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚;500nm)を形成した透明電極を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に図2に示す半導体電極42と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、増感色素を含有していない光電極を作製した。
次に、半導体電極(色素吸着電極の前駆体)に色素を以下のようにして吸着させた。先ず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水エタノールを溶媒として、下記表1に記載の金属錯体色素を3×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤として、ケノキシデオール酸とコール酸の等モル混合物を金属錯体色素1モルに対して50モル加え、各色素溶液を調製した。次に、この溶液に半導体電極を浸漬し、これにより、半導体電極に色素が約1.5×10−7mol/cm吸着した光電極40をそれぞれ完成させた。
次に、対極として上記の光電極と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解質Eとして、ヨウ素及びヨウ化リチウムを含むヨウ素系レドックス溶液を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、特開2002−289274号公報に記載の図3に示すように、光電極40と対極CEとスペーサーSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して色素増感型太陽電池(セル;各試料)を完成させた。
<試験方法>
(溶液吸収スペクトル 700nmより長波領域のモル吸光係数ε)
各金属錯体色素をエタノールに溶解させ、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)により、700nmより長波領域のモル吸光係数εを測定した。
上記で作製した各色素増感太陽電池について、電池特性試験を行い、光電変換効率ηを測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/mの疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)等を求めた。
(金属錯体色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅の色素吸着量依存性)
以下のようにして、2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極を作製した。
すなわち、上記酸化チタンペーストA(アナターゼ、平均粒径:25nm)をFTOの透明電極上にスクリーン印刷法により上記ペーストを塗布、乾燥させ、厚み2.5μm±0.5μmの感光体層を設けた。
この感光体層が設けられた透明電極上に厚み4mmのガラス基板を重ねることで、モデル試料を作製した。
このモデル試料に、マグネシウムエトキシドで脱水した無水エタノールを溶媒として、これに下記表2に記載の色素を、その濃度が5.0×10−5mol/Lとなるように溶解し、色素溶液を調製した。次に、この溶液に上記モデル試料を浸漬し、これにより、TiO電極の単位面積当たりの色素吸着量が1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmとなるように金属錯体色素を吸着させ、モデル光電極Aを完成させた。
一方、TiO電極の単位面積当たりの色素吸着量が1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmのモデル光電極Bは、上記の色素溶液の色素濃度を3.0×10−4molmol/Lに調整しすること、浸漬時間を調整することで、完成させた。
これらのモデル光電極A、Bを使用し、金属錯体色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅の色素吸着量依存性を評価した。
これらのモデル光電極は分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)により、金属錯体色素の最も長波側に存在するMLCT吸収の吸収クペクトルの半値幅(相対吸収強度が、ピーク値の50%になる波長の幅)を求め、モデル光電極Bの上記半値幅÷モデル光電極Aの上記半値幅の値を求めた。
(IPCE(量子収率))
前記のように作製した各色素増感型太陽電池(セル)を使用し、400〜900nmにおけるIPCE(量子収率)をペクセル社製のIPCE測定装置にて測定した。IPCE吸収に基づく吸収スペクトルの850nmにおける得られた結果を、下記基準で評価した。
AA:0.45
A:0.40
B:0.30
C:0.25
前記のように作製した各色素増感型太陽電池を使用し、下記の各項目について評価・判定を行った。これらの項目の全てにおいてA以上であると市場において高い評価を得ることができる。
(初期の光電変換効率)
AA:7.5%以上のもの
A: 7.0%以上7.5%未満のもの
B: 5.0%以上7.0%未満のもの
C: 5.0%未満のもの
(850nmのIPCE)
AA:10%以上のもの
A: 8%以上10%未満のもの
B: 6%以上8%未満のもの
C: 6%未満のもの
(暗所保存後の光電変換効率の降下率[γd])
80℃、300時間暗所経時後の光電変換効率(η)を測定した。このηの初期の光電変換効率(η)に対する降下率(γd:下式)を求めて評価を行った。
式: 降下率(γd%)=〔(η−η)/(η)〕×100
AA:γdが5%未満のもの
A: γdが5%以上10%未満のもの
B: γdが10%以上20%未満のもの
C: γdが20%以上のもの
(照射後の光電変換効率の降下率[γL])
500時間連続光照射後の光電変換効率(η)を測定した。このηの初期の光電変換効率(η)に対する降下率(γL:下式)を求めて評価を行った。
式: 降下率(γL%)=〔(η−η)/(η)〕×100
AA:γLが5%未満のもの
A: γLが5%以上10%未満のもの
B: γLが10%以上15%未満のもの
C: γLが15%以上のもの
(性能のバラつきの評価)
全く同一の素材および処方でセルを10回作製し、これらの各10個のセルに対して初期の光電変換効率を全く同一の条件で測定した。そのときの光電変換効率の標準誤差(SE)を求めた。
AA:SEが0.03未満のもの
A: SEが0.03以上0.06未満のもの
B: SEが0.06以上0.1未満のもの
C: SEが0.1以上のもの
これらの結果を下記表2にまとめて示す。
Figure 2013206874
Figure 2013206874
比較用色素Aは国際特許公開98/50393号パンフレットに記載のルテニウム錯体色素である。
上記の結果から明らかなように、本発明の金属錯体色素はいずれも、長波長領域におけるIPCEおよび光電変換効率だけでなく、耐久性についても従来の色素を凌駕する優れた色素であることがわかる。しかもこれに加えて、光電変換効率のバラツキが減少することがわかった。
色素Dye6〜8を使用して実施例1と同様に評価し、本発明の優れた効果を確認した。なお、色素Dye6〜8はいずれも700nm以上に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを有し、半値幅の吸着量比も1.2未満であった。
(実施例2)
以下の方法で、光電極にCdSe量子ドット化処理を行い、コバルト錯体を用いた電解液を使用して、図3に示す色素増感太陽電池を作成した。
FTOガラス(1)(日本板硝子(株)社製 表面抵抗:8Ωsq−1)表面にチタン(IV)ビス(アセチルアセトナート)ジイソプロポキシドのエタノール溶液を16回噴霧し、450℃で30分間以上焼成した。この基板に20nm−TiOで約2.1μmの透明層と60nm−TiO(昭和タイタニウム(株)社製)で約6.2μmの光散乱層をスクリーン印刷で積層し、TiCl水溶液で後処理を行い、FTO/TiOフィルム2を作成した。
このFTO/TiOフィルム2を不活性ガス雰囲気下のグローブバック内で0.03MのCd(NOエタノール溶液に30秒間浸した後、連続して0.03Mのセレナイドエタノール溶液に30秒間浸した。その後、エタノール中で1分以上洗浄し、過剰のプレカーサーを除去して乾燥した。この浸漬→洗浄→乾燥過程を5回繰り返して酸化チタン層(22)にCdSe量子ドット(23)を成長させ、CdTeで表面安定化処理を行うことにより、CdSe処理した光電極を作製した。
セレナイド(Se2−)はArやN雰囲気下、0.068gのNaBH(0.060Mの濃度となる様に)を0.030Mの SeOエタノール溶液に加えることによって系内で調整した。
CdSe処理した光電極を、上記表1の金属錯体色素を含有する色素溶液に4時間浸漬し(ex.1=0.3mMのZ907Naアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)溶液とex.2=0.1mMのSQ1エタノール溶液)光電極に上記表1に記載の金属錯体色素を吸着後、この光電極と対極(4)(FTOガラス上にヘキサクロロ白金酸2−プロパノール溶液(0.05M)を400℃で20分Ptを化学析出したもの)を、25μmの厚みのサーリン(デュポン(株)社製)リングを挟み込んで組み立て、熱溶解によりシールをした。コバルト錯体を用いた電解液(0.75M Co(o−phen) 2+、0.075M Co(o−phen) 3+、0.20M LiClOのアセトニトリル/エチレンカーボネート(4:6/v:v)溶液)を対極側面に予め開けた穴より電極間の隙間3に注入し、その後その穴をバイネル(デュポン(株)社製)シートと薄いガラスのスライドで熱によって閉じて、色素増感太陽電池(セルA’)をそれぞれ作製した。
同様にして、実施例1と同様のヨウ素及びヨウ化リチウムを含むヨウ素系レドックス溶液を用いて色素増感太陽電池(セルB’)をそれぞれ作製した。
電解液に加えたコバルト錯体はChemical Communications,46巻,8788〜8790頁(2010年)に記載の方法で調整した。
このように作製したそれぞれの色素増感太陽電池について実施例1と同様の評価を行い、本発明の金属錯体色素はいずれも、長波長領域におけるIPCEおよび光電変換効率だけでなく、耐久性についても従来の色素を凌駕する優れた色素であること、および光電変換効率のバラツキが減少することを確認した。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 金属錯体色素(色素)
22 半導体微粒子
23 CdSe量子ドット
24 共吸着剤
3 電解質層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 色素増感太陽電池を利用したシステム
M 電動モーター(扇風機)
20 色素増感太陽電池
40 光電極
41 透明電極
42 半導体電極
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
CE 対極
E 電解質
S スペーサー

Claims (15)

  1. 金属錯体色素により増感された半導体微粒子を含む光電極を有する光電変換素子であって、該金属錯体色素が、(1)エタノール溶液吸収で、700nmよりも長波長領域に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを示す吸収を有し、かつ(2)色素吸着後の2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極の透過スペクトルにおける最も長波長側の色素のMLCT吸収に基づく吸収スペクトルの半値幅が、該TiO電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの時に比べ、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの時に、1.2倍を越えない金属錯体色素である光電変換素子。
  2. 前記金属錯体色素が、下記式(1)で表される金属錯体色素である請求項1に記載の光電変換素子。
    M(L1)(L2)(X)n1・(Y)n2 式(1)
    式(1)中、MはFe2+、Ru2+またはOs2+を表す。L1は酸性基および含窒素芳香族ヘテロ環骨格を有する二〜四座の配位子を表す。L2は下記式(2)で表される単座、二座または三座の配位子を表す。Xは単座または二座の配位子を表す。n1は0〜3の整数を表す。Yは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。n2は式(1)の金属錯体全体の電荷がゼロとなるように0〜3の整数から選ばれる。
    Figure 2013206874
    式(2)中、Aは窒素原子または炭素原子で金属原子に配位するアリール環もしくはヘテロアリール環を有する単座、二座または三座の配位子骨格であって、該アリール環またはヘテロアリール環にm1個の−D−(E−Rm2が置換している。Dは連結基を表し、該連結基は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基およびエチニレン基から選択される基を少なくとも1つ含むπ共役の連結基を表し、Eは単結合、−N(Ra)−、−P(Rb)−、−P(=O)(Rb)−、−Si(Rb)(Rb’)−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−O−および−S−から選択される基もしくはこれらを組み合わせた基を表し、RはTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.45である置換基を表す。ここで、Ra、RbおよびRb’は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、−E−Rの水素原子以外の総原子数は5以上である。m1は1〜4の整数を表し、m2は1〜6の整数を表す。
  3. 前記L1が、下記式(3)で表される二座または三座の配位子である請求項2に記載の光電変換素子。
    Figure 2013206874
    式(3)中、R〜Rは各々独立に酸性基を表す。R〜Rは各々独立に置換基を表す。b1、b3およびc1、c3は各々独立に0〜4の整数を表すまた、b2およびc2は0〜3の整数を表す。ただし、b1〜b3の全てが0になることはない。cは0または1を表す。
  4. 前記cが1である請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記RのTaftの立体パラメーターEs値が−1.40〜−0.80である請求項2〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記金属錯体色素の前記エタノール溶液での700nmよりも長波長領域に有する前記モル吸光係数εが、1,500M−1・cm−1以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記TiO電極の表面に、さらに酸性基を1つ以上有する共吸着剤が担持されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記共吸着剤が下記式(CA)で表される請求項7に記載の光電変換素子。
    Figure 2013206874
    式(CA)中、RA1は酸性基を有する置換基を表す。RA2は置換基を表す。nAは0以上の整数を表す。
  9. 電解質中に含有するレドックス系化合物がコバルト錯体である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
  11. 電解液の含水率が0.1質量%以下である請求項10に記載の色素増感太陽電池。
  12. (1)エタノール溶液吸収で、700nmよりも長波長領域に1,000M−1・cm−1以上のモル吸光係数εを示す吸収を有し、かつ(2)色素吸着後の2.5μm±0.5μmの膜厚のTiO電極の透過スペクトルにおける最も長波長側の色素のMLCT吸収(金属中心から配位子への電子移動に基づく吸収)に基づく吸収スペクトルの半値幅が、該TiO電極の単位表面積当りの色素吸着量が、1.0×10−10mol/cm〜1.0×10−9mol/cmの時に比べ、1.0×10−8mol/cm〜2.0×10−7mol/cmの時に、1.2倍を越えない光電変換素子用金属錯体色素。
  13. 有機溶媒中に、請求項12に記載の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有させ、水を0.1質量%以下に抑えた、色素増感太陽電池用色素吸着組成液。
  14. 請求項13に記載の組成液を用いて、半導体電極が備える半導体表面に金属錯体色素を担持させてなる色素増感太陽電池用半導体電極。
  15. 請求項13に記載の組成液を用いて、半導体電極が備える半導体表面に金属錯体色素を担持させる色素増感太陽電池の製造方法。
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