JP2011228276A - 光電変換素子及び光電気化学電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】変換効率が高く、さらに耐久性に優れた光電変換素子および光電気化学電池を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に色素が吸着された半導体微粒子層を有する感光体を含む光電変換素子であって、前記色素が下記一般式(1)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種と、特定の化合物からなる色素の少なくとも1種とを含有する光電変換素子。
Figure 2011228276

[一般式(1)において、Qは4価の芳香族基を示し、X、Xはそれぞれ独立に硫黄原子、酸素原子、またはCRを表す。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R、R’はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。P、Pはそれぞれ独立に色素残基を表す。Wは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。中でも、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵なクリーンエネルギーを利用したものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。この中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められてきた。各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループット及び分子修飾には自ずと限界がある。
そこで色素増感型太陽電池の研究が精力的に行われている。とくに、スイスのローザンヌ工科大学のGraetzel等がポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した色素増感型太陽電池を開発し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現した。これにより、色素増感型太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
特許文献1には、この技術を応用し、ルテニウム錯体色素によって増感された半導体微粒子を用いた色素増感光電変換素子が記載されている。しかしながら従来のルテニウム錯体色素は、可視光線を用いて光電変換できるものの、700nmより長波長の赤外光をほとんど吸収することができないため、赤外域での光電変換能が低いという問題点がある。
そこで異なる波長域での光吸収が可能な色素を2種以上用いることにより、光吸収を多くし、変換効率の高い光電変換素子を提供する提案がされている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、光電変換素子には、初期の変換効率が高く、使用後も変換効率の低下が少なく耐久性に優れることが必要とされる。しかし耐久性という点では、特許文献2記載の光電変換素子では十分とはいえない。
そこで、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池が必要とされている。
米国特許第5463057号明細書 特開2000−268892号公報
本発明の課題は、光電変換効率が高く、さらに耐久性に優れた光電変換素子および光電気化学電池を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に特定の構造を有する色素(色素化合物)を組み合わせて吸着させた多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、及び対極を含む積層構造よりなる光電変換素子とこれを用いた光電気化学電池が、変換効率が高く、耐久性に優れることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>導電性支持体上に色素が吸着された半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子であって、前記色素が下記一般式(1)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種と、下記一般式(2)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種とを含有することを特徴とする光電変換素子。

Figure 2011228276
[一般式(1)において、Qは4価の芳香族基を示し、X、Xはそれぞれ独立に硫黄原子、酸素原子、またはCRを表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、これらは置換されていてもよい。R、R’はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、これらは置換されていてもよい。P、Pはそれぞれ独立に色素残基を表す。Wは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。]

M(LL)m(LL)m(X)m・CI 一般式(2)

[ 一般式(2)において、Mは金属原子を表し、LLは下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子であり、LLは下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表す。
は0〜3の整数を表し、mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。mは0〜3の整数を表し、mが2のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。ただし、mとmのうち少なくとも一方は1以上の整数である。
は0〜2の整数を表し、mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
CIは一般式(1)において、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
Figure 2011228276
[ 一般式(3)において、R及びR10はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基若しくはホスホニル基又はこれらの塩を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に置換基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。
及びLはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。
a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときRは同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR10は同じでも異なっていてもよく、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。b1が2以上のときR11は同じでも異なっていてもよく、R11は互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR12は同じでも異なっていてもよく、R12は互いに連結して環を形成してもよい。b1及びb2が共に1以上のとき、R11とR12が連結して環を形成してもよい。
nは0又は1を表す。]
Figure 2011228276
[一般式(4)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表し、それぞれ独立に酸性基を有していてもよい。cは0又は1を表す。]
<2>前記MがRu、Fe、Os又はCuであることを特徴とする<1>記載の光電変換素子。
<3>前記MがRuであることを特徴とする<1>又は<2>記載の光電変換素子。
<4>前記一般式(3)におけるd1及びd2が1以上の整数であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<5>前記一般式(3)におけるLLが、下記一般式(5−1)で表されることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
[ 一般式(5−1)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。R41及びR42の少なくとも一方は、アルキル基、アルケニル基又はアリール基である。]
<6>前記R13又はR14がヘテロ環基又はヘテロ環が縮環した炭素環芳香族基であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<7>前記R13又はR14が複数のヘテロ環を有することを特徴とする<1>〜<4>、<6>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<8>前記ヘテロ環基がチオフェン環、ピロール環及びフラン環からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<6>又は<7>記載の光電変換素子。
<9>前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−2)で表されることを特徴とする<1>、<2>、<3>、<4>、<6>、<7>、<8>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
[ 一般式(5−2)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1、b2及びnは、一般式(3)におけるものと同義である。R51及びR52は置換基である。]
<10>前記R51及びR52のうち少なくとも一方が、アルキル基、アルキニル基、アリール基、アルケニル基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<9>記載の光電変換素子。
<11>前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−3)で表されることを特徴とする<1>、<2>、<3>、<4>、<6>、<7>、<8>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
[ 一般式(5−3)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。nは1以上の整数を表す。R53及びR54は置換基を表す。]
<12>前記R53及びR54のうち少なくとも一方が、アルキル基、アルケニル、アルキニル基及びアリール基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<11>記載の光電変換素子。
<13>前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−4)又は(5−5)で表されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
[ 一般式(5−4)及び(5−5)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。R15は一般式(3)におけるR10と同義であり、R16は一般式(3)におけるR10と同義である。a3及びb3は0〜3の整数を表す。R61、R62、R71、R72、R73及びR74は、置換基を表す。f1及びf2は0以上の整数を表す。nは1以上の整数を表す。]
<14>前記一般式(2)におけるLLが、下記一般式(6−1)〜(6−8)であることを特徴とする<1>〜<13>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
[ 前記一般式(6−1)〜(6−8)において、R25〜R32はそれぞれ独立に酸性基を表す。R33〜R40はそれぞれ独立に置換基を表す。R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。e1〜e6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e7及びe8はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e9〜e12及びe15はそれぞれ独立に0〜6の整数を表す。e13、e14及びe16はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e1〜e8が2以上のとき、R25〜R32はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、e9〜e16が2以上のとき、R33〜R40はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。]
<15>前記一般式(2)におけるmが1、m=1かつmが1又は2であって、LLが前記一般式(6−1)〜(6−8)の構造を有する2座又は3座の配位子であることを特徴とする<1>〜<14>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<16>前記一般式(1)中のQが、ベンゼン環又はナフタレン環を表すことを特徴とする<1>〜<15>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<17>前記一般式(1)中のP及びPがそれぞれ独立に、下記一般式(7)又は(8)で表されることを特徴とする<1>〜<16>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
[ 一般式(7)及び(8)において、Vは水素原子又は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合は、Vは同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
YはS、NR、またはC(R)Rを表す。Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R、Rは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
Zは脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
〜R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
は酸素原子、又は2つの置換基を有する炭素原子であって2つの置換基のHammett則におけるσpの和が正である。]
<18>前記一般式(7)で表される色素残基が下記一般式(9)で表され、前記一般式
(8)で表される色素残基が下記一般式(10)で表されることを特徴とする<17>に記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
[ 一般式(9)及び(10)において、V、n、Z及びYは、前記一般式(7)及び(8)におけるものと同義である。]
<19>前記一般式(8)におけるRが、下記一般式(11)〜(14)のいずれかで表されることを特徴とする<17>又は<18>に記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
[一般式(11)〜(14)において、Rfは水素原子又は置換基を表す。]
<20>前記一般式(8)におけるRが、下記一般式(15)又は(16)で表されることを特徴とする<17>又は<18>に記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
<21>前記Yが、S、NCH、又はC(CHを表し、Zが炭素数5〜18の脂肪族基を表すことを特徴とする<17>〜<20>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<22>前記Yが、S、NCH、又はC(CHを表し、ZがCH、C、C、又はCHCHCOOHを表すことを特徴とする<17>〜<20>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<23>前記Vが酸性基又はその塩を有することを特徴とする<17>〜<22>のいずれか1項に記載の光電変換素子。
<24>前記Vが水素原子、5−カルボキシル基、5−スルホン酸基、5−メチル基及び4,5−ベンゼン環縮合からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<17>〜<23>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<25>前記Z及びVが酸性基または酸性基を有する基であることを特徴とする<17>又は<18>記載の光電変換素子。
<26>前記一般式(7)〜(10)で表される化合物の色素が、下記一般式(17)〜(20)で表されることを特徴とする<17>〜<25>のいずれか1項記載の光電変換素子。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
Figure 2011228276
Figure 2011228276
<27>前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする<1>〜<26>のいずれか1項記載の光電変換素子。
<28><1>〜<27>のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
本発明により、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について模式的に示した断面図である。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に特定の色素の組合せが吸着された半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、及び対極を含む積層構造よりなる光電変換素子とこれを用いた光電気化学電池が、変換効率が高く、耐久性、特に変換効率の低下が少ないことを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、導電性支持体1上にその順序で配された、感光体層2、電荷移動体層3、及び対極4からなる。上記導電性支持体1と感光体層2とにより受光電極5を構成している。その感光体層2は半導体微粒子22と増感色素(以下、単に、色素ともいう。)21とを有している。増感色素21はその少なくとも一部において半導体微粒子22に吸着している(増感色素21は吸着平衡状態になっており、一部電荷移動体層3に存在していてもよい。)。電荷移動体層3は、例えば正孔(ホール)を輸送する正孔輸送層として機能する。感光体層2が形成された導電性支持体1は、光電変換素子10において作用電極として機能する。この光電変換素子10を外部回路6で仕事をさせるようにして、光電気化学電池100として作動させることができる。
上記受光電極5は、導電性支持体1及び導電性支持体1上に塗設される増感色素21の吸着した半導体微粒子22の感光体層2(半導体膜)よりなる電極である。感光体層2(半導体膜)に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有している。そこでこの電子が増感色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき増感色素21の分子は酸化体となっている。電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら酸化体に戻ることにより、光電気化学電池100として作用する。この際、受光電極5はこの電池の負極として働く。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に、後述の特定の色素を組み合わせたものが吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体を有する。感光体は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。感光体中の色素は多種類の色素が混合されたものでもよいが、少なくとも後述の2種の色素を用いる。本発明の光電変換素子の感光体には、これらのの色素が吸着した半導体微粒子を含み、感度が高く、光電気化学電池として使用する場合に、高い変換効率を得ることができ、変換効率の低下が少なく耐久性に優れている光電変換素子を得ることができる。
(A)色素
(A1)一般式(1)の構造を有する色素
本発明の光電変換素子においては、下記一般式(1)で表される化合物からなる色素が使用される。
Figure 2011228276
式(1)中、Qは少なくとも四官能以上の芳香族基を示す。芳香族基の例としては、芳香族炭化水素として、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなどが挙げられ、芳香族へテロ環として、アントラキノン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、キサンテン、チアントレンなどが挙げられ、これらは連結部分以外に置換基を有していてもよい。Qで表される芳香族基として、好ましくは芳香族炭化水素であり、さらに好ましくはベンゼン又はナフタレンである。ここで、QへのXとN(R’)の結合は、図示した式中で、N(R’)の位置にXが、Xの位置にN(R’)が結合するものも含むものである。
また、X、Xは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子又はCRを表す。X、Xは好ましくは、硫黄原子またはCRであり、最も好ましくはCRである。ここでR及びRは、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R、Rは、好ましくは、脂肪族基、芳香族基であり、より好ましくは脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)である。
R、R’は、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、これらは置換されていてもよい。好ましくは、脂肪族基又は芳香族基である(芳香族基の炭素原子数は、好ましくは5〜16、さらに好ましくは5又は6である。脂肪族基の炭素原子数は、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基、芳香族基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
、Pは色素残基を表す。色素残基とは、一般式(1)のP、P以外の構造とともに、全体として色素化合物を構成するのに必要な原子群を示す。P及びPは、直接又は連結基を介して結合し、一般式(1)の色素を構成する。P及びPによって形成される色素(色素化合物)としては、例えば、シアニン、メロシアニン、ロダシアニン、3核メロシアニン、アロポーラー、ヘミシアニン、スチリル、オキソノール、シアニンなどのポリメチン色素、アクリジン、キサンテン、チオキサンテンなどを含むジアリールメチン、トリアリールメチン、クマリン、インドアニリン、インドフェノール、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジケトピロロピロール、インジゴ、アントラキノン、ペリレン、キナクリドン、ナフトキノン、ビピリジル、ターピリジル、テトラピリジル、フェナントロリンなどが挙げられる。
好ましくはシアニン、メロシアニン、ロダシアニン、3核メロシアニン、アロポーラー、ヘミシアニン、スチリルなどが挙げられる。この際、シアニンには色素を形成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニウム環を形成したものも含む。これらの色素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社、ニューヨーク、ロンドン、1964年刊などに記載されている。シアニン、メロシアニン、ロダシアニンの一般式は、米国特許第5,340,694号第21、22頁の(XI)、(XII)、(XIII)に示されているものが好ましい。また、P及びPによって形成される色素残基の少なくともいずれか一方のメチン鎖部分にスクアリリウム環を有するものが好ましく、両方に有するものがさらに好ましい。
前記一般式(1)の構造を有する色素におけるP及びPは、それぞれ独立に、下記一般式(7)又は(8)で表されることが好ましい。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
一般式(7)、(8)において、Vは水素原子又は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合は、Vは同じでも異なっていてもよく、又は互いに結合して環を形成していてもよい。nは好ましくは、0〜3であり、より好ましくは0〜2である。
Yは硫黄原子、NR、又はC(R)Rを表す。Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。Rの好ましい例は、脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)又は芳香族基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)である。Rは、より好ましくは、脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)である。
、Rは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、RとRとは、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。R、Rの好ましい例は、脂肪族基又は芳香族基であり、より好ましくは脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)である。
Zは脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。置換基の好ましい例として酸性基が挙げられ、より好ましくはカルボキシル基を有する基が挙げられる。R〜R、及びRは水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよく、好ましくは水素原子または脂肪族基であり、より好ましくは水素原子である。Rは酸素原子又は結合する二つの置換基のHammett則におけるσの和が正となる二価の炭素原子を表す。
一般式(1)は、R、R’、P、及びPの少なくともひとつに酸性基を有することが好ましい。ここで酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、ホウ酸基などを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシル基を有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよい。その塩であってもよい。
一般式(1)において、Wは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、色素中の助色団及び置換基に依存する。一般式(1)の構造を有する色素が解離性の置換基を有する場合、解離して負電荷を有していてもよい。この場合、分子全体の電荷はWによって中和される。
が陽イオンの場合、例えば、無機若しくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)又はアルカリ金属イオンである。Wが陰イオンの場合、無機陰イオン又は有機陰イオンのいずれであってもよい。例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあるいは、色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III))でもよい。
前記一般式(1)におけるP及びPが、それぞれ独立に下記一般式(9)又は(10)で表されることが好ましい。これにより、高いモル吸光係数を有する色素となる。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
(V、n、Z、Yは前記一般式(7)及び(8)におけるものと同義である。)
前記一般式(8)におけるRが、下記一般式(11)〜(14)のいずれかで表されることが好ましい。一般式(11)〜(14)において、Rfは水素原子又は置換基を表す。置換基としては、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を挙げることができ、これらは置換されていてもよい。好ましい置換基は、脂肪族基、芳香族基である。これにより、短波長側の吸収が強化される
Figure 2011228276
前記一般式(8)におけるRが、下記一般式(15)又は(16)で表されることが好ましい。これにより、電子注入効率向上の効果が得られる。
Figure 2011228276
前記Yが、S、NCH、又はC(CHを表し、Zが炭素数5〜18の脂肪族基を表すことが好ましい。Zは好ましくは、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、デシル、オクタデシル、さらに好ましくは、デシル、オクタデシルである。これにより、非効率会合抑制による変換効率向上、酸化チタン表面への酸化還元種接近による電圧低下抑制の効果を奏することができる。
前記一般式(7)〜(10)において、前記Yは、S、NCH、又はC(CHを表し、ZがCH、C、C、又はCHCHCOOHを表すことが好ましい。これにより、電子注入効率向上の効果が得られる。
前記一般式(7)〜(10)において、Vは酸性基を有することが好ましい。ここで酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシル、ホスホニル、スルホニル基、ホウ酸基などを有する基が挙げられる。Vは酸性基の塩であってもよい。
は水素原子、5−カルボキシル基、5−スルホニル基、5−メチル基又は4,5−ベンゼン環縮合を有することが好ましい。なお、ここで位置番号は、Nを1とし、反時計回りに付けるものである。
これにより、モル吸光係数向上または電子注入効率向上の効果が得られる。
一般式(1)で表される本発明の色素は、テトラヒドロフラン:エタノール=1:1溶液における極大吸収波長が、好ましくは670〜1100nmの範囲であり、より好ましくは700〜900nmの範囲である。
以下に本発明の一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
Figure 2011228276
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Figure 2011228276
Figure 2011228276
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一般式(1)の構造を有する色素の合成は、Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal 第40巻3号253〜258頁、Dyes and Pigments 第21巻227〜234頁及びこれらの文献中に引用された文献の記載等を参考にして行うことができる。
(A2)一般式(2)で表される構造を有する色素
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、上記一般式(1)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種とともに下記一般式(2)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種を用いる。

M(LL)m(LL)m(X)m・CI 一般式(2)

一般式(1)の色素は、金属原子に、配位子LL及び/又は配位子LLと、場合により特定の官能基Xが配位しており、必要な場合はCIにより電気的に中性に保たれている。
(A2−1)金属原子M
Mは金属原子を表す。Mは好ましくは4配位または6配位が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn又はZnである。特に好ましくは、Ru、Os、Zn又はCuであり、最も好ましくはRuである。
(A2−2)配位子LL
配位子LLは、下記一般式(3)により表される2座または3座の配位子により表される2座または3座の配位子であり、好ましくは2座配位子である。配位子LLの数を表すmは0〜3の整数であり、1〜3であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。ただし、mと、後述の配位子LLの数を表すmのうち少なくとも一方は1以上の整数である。したがって金属原子に、配位子LL及び/又は配位子LLが配位している。
一般式(3)中のR及びR10はそれぞれ独立に酸性基又はその塩を表し、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば、―CONHOH、―CONCHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)等)及びホスホニル基(例えば―P(O)(OH)等)並びにこれらの塩が挙げられ、好ましくはカルボキシル基、ホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基が挙げられる。RおよびR13はピリジン環上のどの炭素原子に置換してもよい。
Figure 2011228276
式中、R11、R12はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基である。
配位子LLがアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また配位子LLがアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
一般式(3)中、R13およびR14はそれぞれ独立に、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、芳香族基(好ましくは炭素原子数6〜30の芳香族基、例えば、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル等)又はヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30のヘテロ環基、例えば、2−チエニル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、1−イミダゾリル、4−ピリジル、3−インドリル)が好ましい。R13およびR14は、ヘテロ環基又はヘテロ環が縮環した炭素環芳香族基であることが好ましい。ヘテロ環が縮環した炭素環芳香族基としては、例えば、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾジチオフェンなどを挙げることができる。R13およびR14は複数のヘテロ環を有することが好ましい。複数のヘテロ環を有するものとしては、例えば、チエノチオフェン、ジチエノチオフェンなどを挙げることができる。ヘテロ環基はチオフェン環、ピロール環及びフラン環からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。ヘテロ環基には、電子供与基を有することが好ましい。さらに好ましくは、1〜3個の電子供与基を有することが好ましい。該電子供与基はとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例はR11及びR12の場合と同様)またはヒドロキシル基であるのが好ましく、アルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基であるのがより好ましく、アルキル基、アルキニル基であるのが特に好ましい。R13とR14は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
13とR14は、直接ピリジン環に結合していてもよい。R13とR14が直接ピリジン環に結合しているものとしては、下記一般式(5−1)において、R41及びR42の少なくとも一方は、アルキル基(例えば、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、アルキニル基又はアリール基を挙げることができる。ここで、一般式(5−1)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、前記一般式(3)におけるものと同義である。
Figure 2011228276
13とR14は、L及び/又はLを介してピリジン環に結合していてもよい。前記一般式(3)において、d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。d1及びd2がともに1以上の整数であることが好ましい。d1及びd2は好ましくは、1〜3の整数、さらに好ましくは、1〜2の整数である。ここでL及びLはそれぞれ独立に、置換若しくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。エテニレン基が置換基を有する場合、該置換基はアルキル基であるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。L及びLはそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6個の共役鎖であるのが好ましく、エテニレン、ブタジエニレン、エチニレン、ブタジイニレン、メチルエテニレン又はジメチルエテニレンがより好ましく、エテニレン又はブタジエニレンが特に好ましく、エテニレンが最も好ましい。LとLは同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。なお、共役鎖が炭素―炭素二重結合を含む場合、各二重結合はトランス体であってもシス体であってもよく、これらの混合物であってもよい。
nは0または1であり、a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。a1が2以上のときRは同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR10は同じでも異なっていてもよい。a1は0又は1であるのが好ましく、a2は0〜2の整数であるのが好ましい。特に、nが0のときa2は1又は2であるのが好ましく、nが1のときa2は0又は1であるのが好ましい。a1とa2の和は0〜2の整数であるのが好ましい。
b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、0〜2の整数であるのが好ましい。b1が2以上のとき、R12は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。b2が2以上のとき、R13は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。またb1及びb2がともに1以上のとき、R12とR13が連結して環を形成していてもよい。形成する環の好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
a1とa2の和が1以上であって、配位子LLが酸性基又はその塩を少なくとも1個有するときは、一般式(8)中のm1は2または3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−2)で表されることが好ましい。
Figure 2011228276
[ 一般式(5−2)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。R51及びR52は置換基である。nは1以上の整数を表す。]
置換基R51及びR52は前記一般式(3)中におけるR13およびR14と同様のものを挙げることができる。置換基R51及びR52としては、脂肪族基(例えば、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例は一般式(3)におけるR13およびR14の場合と同様)又はヒドロキシル基であり、より好ましくは、アルキル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基であり、さらに好ましくは、前記R51及びR52のうち少なくとも一方が、アルキル基、アルキニル基、アリール基、アルケニル基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。この中でもアルキル基、アルキニル基が好ましい。
前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−3)で表されることが好ましい。ここで、(5−3)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。nは1以上の整数を表し、R51、R52、R53及びR54は、置換基を表す。置換基R53及びR54としては前記一般式(3)中におけるR13およびR14と同様のものを挙げることができる。置換基R53及びR54としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例は上記一般式(3)におけるRの場合と同様)又はヒドロキシル基を挙げることができる。前記R53及びR54のうち少なくとも一方が、アルキル基、アルキニル基及びアリール基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2011228276
前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−4)又は(5−5)で表されることが好ましい。
下記一般式(5−4)及び(5−5)において、R、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。R61、R62、R71、R72、R73及びR74は、置換基を表す。f1及びf2は0以上の整数を表す。nは1以上の整数を表す。置換基R61、R62、R71、R72、R73及びR74は前記一般式(3)中におけるR13およびR14と同様のものを挙げることができる。
61、R62としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例は上記一般式(3)におけるR13およびR14の場合と同様)又はヒドロキシル基である。置換基R61、R62としては、好ましくは、アルキル基、アミノ基である。
一般式(5−5)中、R71〜R74は、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はアシルアミノ基(以上好ましい例は、一般式(3)における上記R13およびR14の場合と同様)であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはアシルアミノ基である。
一般式(5−4)及び(5−5)中、R71〜R74はそれぞれ独立に、水素、アルキル基、アルケニル基又はアリール基であることが好ましい。R71〜R74のさらに好ましい例は、一般式(3)における上記R13及びR14の好ましい例と同様である。R71〜R74はさらに好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、より好ましくはアルキル基である。R71〜R74がアルキル基である場合はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基またはカルボンアミド基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。R71とR72並びにR73とR74はそれぞれ互いに連結して環を形成していてもよい。形成する環としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、又はモルホリン環等が好ましい。
一般式(5−5)中、R15は一般式(3)におけるR10と同義であり、R16は一般式(3)におけるR10と同義である。a3は0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。nが1のときa3は0または1であるのが好ましい。a3が2以上のときR15は同じでも異なっていてもよい。
一般式(5−4)及び(5−5)中、d1及びd2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。d1が1以上のときR21は、R17及び/又はR18と連結して環を形成していてもよい。形成される環はピペリジン環又はピロリジン環であるのが好ましい。d1が2以上のときR21は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。d2が1以上のときR22は、R19及び/又はR20と連結して環を形成していてもよい
形成される環はピペリジン環又はピロリジン環であるのが好ましい。d2が2以上のときR22は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(5−5)中、b3は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数を表す。b3は1〜3の整数であるのが好ましい。b3が2以上のときR16は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。一般式(5−5)中のb1及びb3がともに1以上のとき、R11とR16が連結して環を形成していてもよい。形成される環としてはベンゼン環、シクロペンタン環又はシクロヘキサン環が好ましい。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
(A2−3)配位子LL
一般式(2)中、LLは2座又は3座の配位子を表す。配位子LLの数を表すmは0〜2の整数であり、0又は1であるのが好ましい。mが2のときLLは同じでも異なっていてもよい。ただし、mと、前述の配位子LLの数を表すmのうち少なくとも一方は1以上の整数である。
配位子LLは、下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
Figure 2011228276
一般式(4)中、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5員環又は6員環を形成しうる非金属原子群を表す。形成される5員環又は6員環は置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。Za、Zb及びZcは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及び/又はハロゲン原子で構成されることが好ましく、芳香族環を形成するのが好ましい。5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環又はトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環又はピラジン環を形成するのが好ましい。なかでもイミダゾール環又はピリジン環がより好ましい。
一般式(4)中、cは0または1を表す。cは0であるのが好ましく、LLは2座配位子であるのが好ましい。
配位子LLは、下記一般式(6−1)〜(6−8)のいずれかにより表されるのが好ましく、一般式(6−1)、(6−2)、(6−4)又は(6−6)により表されるのがより好ましく、一般式(6−1)又は(6−2)により表されるのが特に好ましく、一般式(6−1)により表されるのが最も好ましい。
Figure 2011228276
一般式(6−1)〜(6−8)中、R25〜R32はそれぞれ独立に酸性基又はその塩を表す。R25〜R32は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば―CONHOH、―CONCHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)等)若しくはホスホニル基(例えば―P(O)(OH)等)又はこれらの塩を表す。R25〜R32は、好ましくはカルボキシル基、ホスホリル基又はホスホニル基等、さらに好ましくはカルボキシル基又はホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
一般式(6−1)〜(6−8)中、R33〜R40はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子(以上好ましい例は、一般式(3)におけるR13及びR14の場合と同様)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基またはアシルアミノ基である。
一般式(6−1)〜(6−8)中、R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し。好ましくは、脂肪族基、芳香族基であり。より好ましくはカルボキシル基を有する脂肪族基である。配位子LLがアルキル基、アルケニル基等を含むとき、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、LLがアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
一般式(6−1)〜(6−8)中、R25〜R40は環上のどの位置に結合していてもよい。またe1〜e6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。e7及びe8はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは0〜3の整数を表す。e9〜e12及びe15はそれぞれ独立に0〜6の整数を表し、e13、e14及びe16はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e9〜e16はそれぞれ独立に0〜3の整数であるのが好ましい。
e1〜e8が2以上のとき、R25〜R32はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、e9〜e16が2以上のとき、R33〜R40はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。
(A2−4)配位子X
一般式(2)中、Xは1座又は2座の配位子を表す。配位子Xの数を表すmは0〜2の整数を表し、mは好ましくは1又は2である。Xが1座配位子のとき、mは2であるのが好ましく、Xが2座配位子のとき、mは1であるのが好ましい。mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
配位子Xは、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、サリチル酸、グリシルオキシ、N,N−ジメチルグリシルオキシ、オキザリレン(―OC(O)C(O)O―)等)、アシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルチオ基、例えば、アセチルチオ、ベンゾイルチオ等)、チオアシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオアシルオキシ基、例えば、チオアセチルオキシ基(CHC(S)O―)等))、チオアシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオアシルチオ基、例えば、チオアセチルチオ(CHC(S)S―)、チオベンゾイルチオ(PhC(S)S―)等))、アシルアミノオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノオキシ基、例えば、N−メチルベンゾイルアミノオキシ(PhC(O)N(CH)O―)、アセチルアミノオキシ(CHC(O)NHO―)等))、チオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルバメート基、例えば、N,N−ジエチルチオカルバメート等)、ジチオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20のジチオカルバメート基、例えば、N−フェニルジチオカルバメート、N,N−ジメチルジチオカルバメート、N,N−ジエチルジチオカルバメート、N,N−ジベンジルジチオカルバメート等)、チオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルボネート基、例えば、エチルチオカルボネート等)、ジチオカルボネート(好ましくは炭素原子数1〜20のジチオカルボネート、例えば、エチルジチオカルボネート(COC(S)S―)等)、トリチオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20のトリチオカルボネート基、例えば、エチルトリチオカルボネート(CSC(S)S−)等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、ベンゾイル等)、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えばメタンチオ、エチレンジチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20のアリールチオ基、例えば、ベンゼンチオ、1,2−フェニレンジチオ等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えばメトキシ等)及びアリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、例えばフェノキシ、キノリン−8−ヒドロキシル等)からなる群から選ばれた基で配位された1座又は2座の配位子、若しくはハロゲン原子(好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボニル(…CO)、ジアルキルケトン(好ましくは炭素原子数3〜20のジアルキルケトン、例えばアセトン((CHCO…)等)、1,3−ジケトン(好ましくは炭素原子数3〜20の1,3−ジケトン、例えば、アセチルアセトン(CHC(O…)CH=C(O―)CH)、トリフルオロアセチルアセトン(CFC(O…)CH=C(O―)CH)、ジピバロイルメタン(tCC(O…)CH=C(O―)t−C)、ジベンゾイルメタン(PhC(O…)CH=C(O―)Ph)、3−クロロアセチルアセトン(CHC(O…)CCl=C(O―)CH)等)、カルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20のカルボンアミド、例えば、CHN=C(CH)O―、―OC(=NH)―C(=NH)O―等)、チオカルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルボンアミド、例えば、CHN=C(CH)S―等)、またはチオ尿素(好ましくは炭素原子数1〜20のチオ尿素、例えば、NH(…)=C(S―)NH、CHN(…)=C(S―)NHCH、(CHN―C(S…)N(CH等)からなる配位子を表す。なお、「…」は配位結合を示す。
配位子Xは、好ましくはアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子であり、より好ましくはアシルオキシ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基またはアリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、1,3−ジケトンまたはチオ尿素からなる配位子であり、特に好ましくはジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基およびイソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子または1,3−ジケトンからなる配位子であり、最も好ましくは、ジチオカルバメート基、チオシアネート基およびイソチオシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトンからなる配位子である。なお配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
Xが2座配位子のとき、Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド、またはチオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。Xが1座配位子のとき、Xはチオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、チオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
(A2−5)対イオンCI
一般式(2)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、一般式(2)の色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、一般式(2)の色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機又は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオン又はプロトンである。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
(A2−6)結合基
一般式(2)で表される構造を有する色素は、半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。この結合基を色素中に1〜6個有するのがより好ましく、1〜4個有するのが特に好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(例えば―CONHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)等)、ホスホニル基(例えば―P(O)(OH)等)等の酸性基(解離性のプロトンを有する置換基)を色素中に有することが好ましい。
本発明で用いる一般式(2)で表される構造を有する色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例における色素がプロトン解離性基を有する配位子を含む場合、該配位子は必要に応じて解離しプロトンを放出してもよい。
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前記一般式(2)の具体例をさらに以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。また、これらの酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。一般式(2)の配位子LLとしては、以下のA−1−1〜A−17−14を挙げることができる。
Figure 2011228276
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以下にLLの具体例(B−1−1〜B−11−8)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。
Figure 2011228276
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以下に配位子Zの具体例(Z−1〜Z−90)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す構造式は幾つも取りうる共鳴構造のうちの1つの極限構造にすぎず、共有結合(―で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
Figure 2011228276
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以下に一般式(2)で表される色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの酸性基はプロトン非解離体のみ示しているが、これらのプロトン解離体でもよい。さらに、これらの化合物はシス体、トランス体及びその混合物、光学活性体等の異性体になりえるが、特に限定されない。
Figure 2011228276
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本発明の一般式(2)により表される色素は、特開2001−291534号公報や当該公報に引用された方法を参考にして合成することができる。
一般式(2)の化合物からなる色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
また一般式(1)の化合物からなる色素は、溶液中における極大吸収波長が、好ましくは670〜1100nmの範囲であり、より好ましくは700〜900nmの範囲である。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、少なくとも前記一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を用いることにより、広範囲の波長の光を利用することにより、高い変換効率を確保することができる。さらにこれらの色素を併用することにより、変換効率の低下率を低減することできる。
一般式(2)で示される金属錯体色素と、一般式(1)で表わされる色素の配合割合は、前者をR、後者をSとすると、モル%の比で、R/S=90/10〜10/90、好ましくはR/S=80/20〜20/80、さらに好ましくはR/S=70/30〜30/70、より一層好ましくはR/S=60/40〜40/60、最も好ましくはR/S=55/45〜45/55であり、通常は両者を等モル使用する。
(B)導電性支持体
図1に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に色素21が吸着された感光体2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光層を製造することができる。
導電性支持体としては、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスや高分子材料を使用することができる。導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。導電性支持体としては、ガラスや高分子材料に導電性の金属酸化物を塗設したものを使用することができる。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスや高分子材料の支持体1m当たり、0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。好ましく使用される高分子材料の一例として、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。
本発明においては、好ましい導電性支持体として、金属支持体を用いることができる。導電性金属支持体としては、導電性支持体として4族〜13族に属するいずれかの元素で構成された導電性金属支持体が使用される。ここで4族〜13族とは、長周期型周期表におけるものをいう。
本発明における導電性金属支持体の厚さは10μm以上2000μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以上1000μm以下であり、特に好ましくは50μm以上500μm以下である。この厚さが厚すぎると可撓性に欠けるため、光電変換素子として使用する場合に支障が生じることがある。また薄すぎると光電変換素子を使用中に破損することがあり好ましくない。
本発明に用いられる導電性金属支持体の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては10Ω/m以下であり、さらに好ましくは1Ω/m以下であり、特に好ましくは0.1Ω/m以下である。この値が高すぎると、通電しにくくなり光電変換素子としての機能を発揮することができない。
導電性金属支持体としては、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、亜鉛、モリブデン、タンタル、ニオブ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましく使用できる。これらの金属は合金であってもよい。これらのうち、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、および亜鉛がより好ましく、チタン、アルミニウム、および銅がさらに好ましく、チタンおよびアルミニウムがもっとも好ましい。アルミニウムの場合は、アルミニウム合金展伸材、1000系〜7000系(軽金属協会:アルミニウムハンドブック、軽金属協会、(1978)、26)などを好ましく使用することができる。
導電性金属支持体は、表面抵抗が小さく光電気化学電池の内部抵抗を下げられるため高出力の電池を得ることができる。また導電性金属支持体を用いた場合には、後述の半導体微粒子分散液が塗布された導電性金属支持体を加熱乾燥させる温度を高くして焼成しても、支持体が軟化することがない。したがって加熱条件を適宜選択することにより、比表面積の大きな多孔質半導体微粒子層を形成することができる。これにより色素吸着量を増加させ、高出力で変換効率の高い光電変換素子を提供することができる。
また巻回された金属シートを連続的に送り出しながら半導体微粒子分散液を該金属シートに塗工し、その後加熱することで、多孔質の導電性支持体を得ることができる。その後本発明の色素を連続塗布することで、導電性支持体上に感光層を形成することができる。この工程を経ることにより、廉価で光電変換素子や光電気化学電池を製造することが可能になる。
本発明の導電性金属支持体としては、高分子材料層の上に導電層を設けたものを好ましく使用することができる。高分子材料層としては、特に制限されないが、導電層上に半導体微粒子分散液を塗布後加熱した場合に溶融して形状を保持することがない材料を選択する。導電層は高分子材料層に従来の方法、例えば押出被覆等により積層して製造することができる。
使用することが可能な高分子材料層としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を例示することができる。
本発明の導電性金属支持体として、高分子材料層の上に導電層を設けたものを使用することにより、該高分子材料層は光電変換素子や光電気化学電池の保護層として機能することが可能となる。高分子材料として電気絶縁性の材料を使用すれば、該高分子材料層は保護層としてだけでなく、絶縁層として機能することができる。これにより、光電変換素子自体の絶縁性を確保することができる。該高分子材料層を絶縁層として使用する場合は、この体積固有抵抗は1010〜1020Ω・cmのものを使用することが好ましい。さらに好ましくは、体積固有抵抗は1011〜1019Ω・cmである。前記の材料を使用して、特に導電性の材料を配合しなければ、この範囲内の体積固有抵抗を有する絶縁層のものを得ることができる。
導電性金属支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。
導電性金属支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよい。例えば、高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜や、ライトガイド機能を設けてもよい。
導電性支持体上には、紫外光を遮断する機能を持たせることが好ましい。例えば、紫外光を可視光に変えることが出来る蛍光材料を前記高分子材料層の内部または表面に存在させる方法が挙げられる。また、別の好ましい方法して、紫外線吸収剤を用いる方法も挙げられる。導電性支持体上には、特開平11−250944号公報などに記載の機能を付与してもよい。
導電膜の抵抗値はセル面積が大きくなると大きくなる為、集電電極を配置してもよい。好ましい集電電極の形状及び材質としては、特開平11−266028号公報などに記載のものを使用することができる。高分子材料層と導電層の間にガスバリア膜及び/又はイオン拡散防止膜を配置しても良い。ガスバリア層としては、樹脂膜や無機膜のどちらでもよい。
(C)半導体微粒子
図1に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には半導体微粒子22に色素21が吸着された感光層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を前記の導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光体を製造することができる。
半導体微粒子としては、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子が用いられる。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
半導体には伝導に関わるキャリアーが電子であるn型とキャリアーが正孔であるp型が存在するが、本発明の素子ではn型を用いることが変換効率の点で好ましい。n型半導体には、不純物準位をもたず伝導帯電子と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半導体(あるいは真性半導体)の他に、不純物に由来する構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体が存在する。本発明で好ましく用いられるn型の無機半導体は、TiO、TiSrO、ZnO、Nb、SnO、WO、Si、CdS、CdSe、V、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO、FeS、PbS、InP、GaAs、CuInS、CuInSeなどである。これらのうち最も好ましいn型半導体はTiO、ZnO、SnO、WO、ならびにNbである。また、これらの半導体の複数を複合させた半導体材料も好ましく用いられる。
半導体微粒子の粒径は、半導体微粒子分散液の粘度を高く保つ目的で、一次粒子の平均粒径が2nm以上50nm以下であることが好ましく、また一次粒子の平均粒径が2nm以上30nm以下の超微粒子であることがより好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記の超微粒子に対して平均粒径が50nmを越える大きな粒子を、低含率で添加することもできる。この場合、大粒子の含率は、平均粒径が50nm以下の粒子の質量の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。上記の目的で添加混合する大粒子の平均粒径は、100nm以上が好ましく、250nm以上がより好ましい。
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル・ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)等に記載のゲル・ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル・ゲル法、ゲル・ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル・ゲル法として、バルべ等のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
この他に、半導体微粒子の製造方法として、例えば、チタニアナノ粒子の製造方法として好ましくは、四塩化チタンの火炎加水分解による方法、四塩化チタンの燃焼法、安定なカルコゲナイド錯体の加水分解、オルトチタン酸の加水分解、可溶部と不溶部から半導体微粒子を形成後可溶部を溶解除去する方法、過酸化物水溶液の水熱合成、またはゾル・ゲル法によるコア/シェル構造の酸化チタン微粒子の製造方法が挙げられる。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、または、ルチル型があげられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合してもよい。
チタニアは、非金属元素などによりドーピングされていても良い。チタニアへの添加剤としてド―パント以外に、ネッキングを改善する為のバインダーや逆電子移動防止の為に表面へ添加剤を用いても良い。好ましい添加剤の例としては、ITO、SnO粒子、ウイスカー、繊維状グラファイト・カーボンナノチューブ、酸化亜鉛ネッキング結合子、セルロース等の繊維状物質、金属、有機シリコン、ドデシルベンゼンスルホン酸、シラン化合物等の電荷移動結合分子、及び電位傾斜型デンドリマーなどが挙げられる。
チタニア上の表面欠陥を除去するなどの目的で、色素吸着前にチタニアを酸塩基又は酸化還元処理しても良い。エッチング、酸化処理、過酸化水素処理、脱水素処理、UV−オゾン、酸素プラズマなどで処理してもよい。
(D)半導体微粒子分散液
本発明においては、半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層を得ることができる。
半導体微粒子分散液を作製する方法としては、前述のゾル・ゲル法の他に、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法、微粒子に超音波などを照射して超微粒子に粉砕する方法、あるいはミルや乳鉢などを使って機械的に粉砕しすり潰す方法、等が挙げられる。分散溶媒としては、水および/または各種の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,シトロネロール,ターピネオールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。
分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤として少量用いてもよい。しかし、これらの分散助剤は、導電性支持体上へ製膜する工程の前に、ろ過法や分離膜を用いる方法、あるいは遠心分離法などによって大部分を除去しておくことが好ましい。
半導体微粒子分散液の粘度が高すぎると分散液が凝集してしまい製膜することができず、逆に半導体微粒子分散液の粘度が低すぎると液が流れてしまい製膜することができないことがある。したがって分散液の粘度は、25℃で10〜300N・s/mが好ましい。さらに好ましくは、25℃で50〜200N・s/mである。
半導体微粒子分散液の塗布方法としては、アプリケーション系の方法としてローラ法、ディップ法等を使用することができる。またメータリング系の方法としてエアーナイフ法、ブレード法等を使用することができる。またアプリケーション系の方法とメータリング系の方法を同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機を使用してスピン法やスプレー法で塗布するのも好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。また本発明の半導体微粒子分散液は粘度が高く、粘稠性を有するため、凝集力が強いことがあり、塗布時に支持体とうまく馴染まない場合がある。このような場合に、UVオゾン処理で表面のクリーニングと親水化を行うことにより、塗布した半導体微粒子分散液と導電性支持体表面の結着力が増し、半導体微粒子分散液の塗布が行い易くなる。
半導体微粒子層全体の好ましい厚さは0.1〜100μmである。半導体微粒子層の厚さはさらに1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m当りの担持量は0.5g〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
塗布した半導体微粒子の層に対し、半導体微粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のため、また塗布した半導体微粒子分散液を乾燥させるために、加熱処理が施される。この加熱処理により多孔質半導体微粒子層を形成することができる。
また、加熱処理に加えて光のエネルギーを用いることもできる。例えば、半導体微粒子として酸化チタンを用いた場合に、紫外光のような半導体微粒子が吸収する光を与えることで表面を活性化してもよいし、レーザー光などで半導体微粒子表面のみを活性化することができる。半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射することで、粒子表面に吸着した不純物が粒子表面の活性化によって分解され、上記の目的のために好ましい状態とすることができる。加熱処理と紫外光を組み合わせる場合は、半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射しながら、加熱が100℃以上250℃以下あるいは好ましくは100℃以上150℃以下で行われることが好ましい。このように、半導体微粒子を光励起することによって、微粒子層内に混入した不純物を光分解により洗浄するとともに、微粒子の間の物理的接合を強めることができる。
また、半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、加熱や光を照射する以外に他の処理を行ってもよい。好ましい方法として例えば、通電、化学的処理などが挙げられる。
塗布後に圧力をかけても良く、圧力をかける方法としては、特表2003−500857号公報等が挙げられる。光照射の例としては、特開2001−357896号公報等が挙げられる。プラズマ・マイクロ波・通電の例としては、特開2002−353453号公報等が挙げられる。化学的処理としては、例えば特開2001−357896号公報が挙げられる。
上述の半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法は、上述の半導体微粒子分散液を導電性支持体上に塗布する方法のほか、特許第2664194号公報に記載の半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し空気中の水分によって加水分解して半導体微粒子膜を得る方法などの方法を使用することができる。
前駆体として例えば、(NHTiF、過酸化チタン、金属アルコキシド・金属錯体・金属有機酸塩等が挙げられる。
また、金属有機酸化物(アルコキシドなど)を共存させたスラリーを塗布し加熱処理、光処理などで半導体膜を形成する方法、無機系前駆体を共存させたスラリー、スラリーのpHと分散させたチタニア粒子の性状を特定した方法が挙げられる。これらスラリーには、少量であればバインダーを添加しても良く、バインダーとしては、セルロース、フッ素ポリマー、架橋ゴム、ポリブチルチタネート、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
半導体微粒子又はその前駆体層の形成に関する技術としては、コロナ放電、プラズマ、UVなどの物理的な方法で親水化する方法、アルカリやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸などによる化学処理、ポリアニリンなどの接合用中間膜の形成などが挙げられる。
半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、上述の(1)湿式法とともに、(2)乾式法、(3)その他の方法を併用しても良い。
(2)乾式法として好ましくは、特開2000−231943号公報等が挙げられる。
(3)その他の方法として、好ましくは、特開2002−134435号公報等が挙げられる。
乾式法としては、蒸着やスパッタリング、エアロゾルデポジション法などが挙げられる。また、電気泳動法・電析法を用いても良い。
また、耐熱基板上でいったん塗膜を作製した後、プラスチック等のフィルムに転写する方法を用いても良い。好ましくは、特開2002−184475号公報記載のEVAを介して転写する方法、特開2003−98977号公報記載の紫外線、水系溶媒で除去可能な無機塩を含む犠牲基盤上に半導体層・導電層を形成後、有機基板に転写後、犠牲基板を除去する方法などが挙げられる。
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。好ましい半導体微粒子の構造としては、特開2001−93591号公報等が挙げられる。
一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間加熱してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400〜600℃が好ましい。
支持体として高分子材料を用いる場合、250℃以下で製膜後加熱することが好ましい。その場合の製膜方法としては、(1)湿式法、(2)乾式法、(3)電気泳動法(電析法を含む)の何れでも良く、好ましくは、(1)湿式法、又は(2)乾式であり、更に好ましくは、(1)湿式法である。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
半導体微粒子に色素を吸着させるには、溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液の中に、製膜後の半導体電極を浸漬するのが好ましい。色素吸着用色素溶液に使用される溶液は、本発明の色素が溶解できる溶液なら特に制限なく使用することができる。例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、トルエン、t−ブタノール、アセトニトリル、アセトン、n−ブタノールなどを使用することができる。その中でも、エタノール、トルエンを好ましく使用することができる。
溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液は必要に応じて50℃ないし100℃に加熱してもよい。色素の吸着は半導体微粒子の塗布前に行っても塗布後に行ってもよい。また、半導体微粒子と色素を同時に塗布して吸着させてもよい。未吸着の色素は洗浄によって除去する。塗布膜の焼成を行う場合は色素の吸着は焼成後に行うことが好ましい。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく色素を吸着させるのが特に好ましい。吸着する色素は一般式(1)の構造を有する色素と一般式(2)の構造を有する色素とを併用することが必要である。本発明の趣旨を損なわない範囲内で他の色素をさらに混合してもよい。光電変換の波長域をできるだけ広くするように、混合する色素が選ばれる。色素を混合する場合は、すべての色素が溶解するようにして、色素吸着用色素溶液とすることが必要である。
色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。
また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸、ピバロイル酸)等が挙げられる。
色素を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
対向電極は、光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。対向電極の材料としては、白金、カーボン、導電性ポリマー、などがあげられる。好ましい例としては、白金、カーボン、導電性ポリマーが挙げられる。
対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。好ましい例としては、特開平10−505192号公報などが挙げられる。
受光電極は酸化チタンと酸化スズ(TiO/SnO)などの複合電極を用いても良く、チタニアの混合電極として例えば、特開2000−113913号公報等が挙げられる。チタニア以外の混合電極として例えば、特開2001−185243号公報、特開2003−282164号公報等が挙げられる。
受光電極は、入射光の利用率を高めるなどのためにタンデム型にしても良い。好ましいタンデム型の構成例としては、特開2002−90989号公報等に記載の例が挙げられる。
受光電極層内部で光散乱、反射を効率的に行う光マネージメント機能を設けてもよい。好ましくは、特開2002−93476号公報に記載のものが挙げられる。
導電性支持体と多孔質半導体微粒子層の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止する為、短絡防止層を形成することが好ましい。好ましい例としては、特開平06−507999号公報等が挙げられる。
受光電極と対極の接触を防ぐ為に、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。好ましい例としては、特開2001−283941号公報が挙げられる。
(E)電解質
代表的な酸化還元対としては、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。これらを溶かす有機溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。溶融塩としては、例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり変換効率が向上する。
電解質への添加物として、前述の4−tert−ブチルピリジンのほか、アミノピリジン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、アミノトリアゾール系化合物及びアミノチアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、アミノトリアジン系化合物、尿素誘導体、アミド化合物、ピリミジン系化合物及び窒素を含まない複素環を加えることができる。
また、効率を向上する為に、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。ヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物の使用をしてもよく、逆に水分を常時補給する方法を用いてもよい。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
電解質として溶融塩を用いてもよく、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウム又はトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体、オキサゾリウム系、ピリジニウム系、グアニジウム系およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせてもよい。これらの溶融塩に対しては添加物を加えてもよい。液晶性の置換基を持っていてもよい。また、四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いてもよい。
これら以外の溶融塩としては、例えば、ヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化してもよい。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物、分子量500−5000の範囲のSi含有化合物、特定の酸性化合物と塩基性化合物から出来る有機塩、ソルビトール誘導体、ポリビニルピリジンが挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物又はモノマー、架橋剤、電解質及び溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いても良い。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子及びこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子、液晶性化合物を含むもの、エーテル結合を有する高分子、ポリフッ化ビニリデン系、メタクリレート・アクリレート系、熱硬化性樹脂、架橋ポリシロキサン、PVA、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物、含酸素または含硫黄高分子を添加した系、天然高分子などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子などを添加しても良い。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子、ポリスルホン酸又はポリカルボン酸などを2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法などを用いても良い。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることが出来る溶媒としては、特定のりん酸エステル、エチレンカーボネートを含む混合溶媒、特定の比誘電率を持つ溶媒などが挙げられる。固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させても良く、その方法として好ましくは、導電性高分子膜、繊維状固体、フィルタなどの布状固体が挙げられる。
以上の液体電解質及び擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいはホール輸送材料などの固体電荷輸送層を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いても良い。ホール輸送層として好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリシランなどの導電性高分子、及び2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物、トリアリールアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリフェニレン誘導体、含窒素複素環誘導体、液晶性シアノ誘導体が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度が必要である。好ましい濃度としては合計で0.01モル/l以上であり、より好ましくは0.1モル/lであり、特に好ましくは0.3モル/l以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/l程度である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.色素の調製
Figure 2011228276
(A−1)0.17gと(B−1)0.40gを1−ブタノール10mlとトルエン10mlの混合溶媒中で混合し、6時間120℃に加熱下攪拌した。得られた結晶を吸引ろ過によりろ別し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、前述のS-13(0.10g)を調製した。
また以下の方法により、例示色素R-4を調製した。
Figure 2011228276
4,4’−ビス[2−(5−ヘキシル−2−チエニル)ビニル]−2,2’−ビピリジン(0.30g、0.49mmol)とジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)二量体(0.15g、0.24mmol)のDMF25ml溶液をマイクロ波(200W)、窒素暗雰囲気下、60℃で10分間加熱した。続いて2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸(0.24g、0.98mmol)を添加し、150℃で10分間加熱した。温度を100℃に冷却し、チオシアン酸アンモニウム(1.6g、水10mlの溶液)を加え、120℃で10分間反応させた。温度を室温まで下げ、DMFを真空蒸留した。水150mlを残留物に添加し、30分間浸漬した。不溶物を集め、水とジエチルエーテルで洗浄した。粗生成物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノールに溶解し、メタノールを流出液として、SephadexLH−20カラムで精製した。主層の生成物を回収濃縮し、硝酸0.2Mを添加して沈殿物を得た。この生成物を集め、室温で真空乾燥後、0.63gのルテニウム錯体(R-4)を得た
(例示化合物D−1−1aの調製)
下記のスキームの方法に従って例示色素D−1−1aを調製した。
(i)化合物d−1−2の調製
d−1−1 25g、Pd(dba)33.8g、トリフェニルホスフィン8.6g、ヨウ化銅2.5g、1−へプチン25.2gをトリエチルアミン70ml、テトラヒドロフラン50mlに室温で攪拌し、80℃で4.5時間攪拌した。濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物d−1−2 26.4gを得た。
(ii)d−1−4の調製
d−1−3 6.7gを窒素雰囲気下、−15℃でTHF(テラヒドロフラン)200mlに溶解し、別途調整したLDA(リチウムジイソプロピルアミド)をd−1−3の2.5等量を滴下し、75分攪拌した。その後d−1−2 15gをTHF30mlに溶解した溶液を滴下し0℃で1時間攪拌し、室温で終夜攪拌した。濃縮後、水150mlを加え、塩化メチレン150mlで分液・抽出し、塩水で有機層を洗浄し、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノールで再結晶後、d−1−4 18.9gを得た。
(iii)化合物d−1−5の調製
d−1−4 13.2g、PPTS(ピリジニウムパラトルエンスルホン酸)1.7gを、トルエン1000mlに加え、窒素雰囲気下で5時間加熱還流を行った。濃縮後、飽和重曹水及び塩化メチレンで分液を行い、有機層を濃縮した。得られた結晶はメタノール及び塩化メチレンで再結晶後、d−1−5 11.7gを得た。
(iv)例示色素D−1−1aの調製
化合物d−1−5 4.0g、d−1−6 2.2g、をDMF60mlに加え70℃で4時間攪拌した。その後d−1−7 2.1gを加え160℃で3.5時間加熱攪拌した。その後チオシアン酸アンモニウム 19.0gを加え130℃で5時間攪拌した。濃縮後、水1.3ml加えろかし、ジエチルエーテルで洗った。粗精製物をTBAOH(水酸化テトラブチルアンモニウム)と共にメタノール溶液に溶解し、SephadeXLH−20カラムで精製した。主層の分画を回収し濃縮後硝酸0.2Mを添加して、沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−1−1b 600mgを得た。精製物をメタノール溶液に溶解し、硝酸1Mを添加して沈殿物をろ過後、水及びジエチルエーテルで洗い、D−1―1aを570mg得た。
得られた化合物D−1―1aの構造はNMR測定により確認した。
H−NMR(DMSO−d、400MHz):δ(ppm)in aromatic regions:9.37(1H,d),9.11(1H,d),9.04(1H,s)、8.89(2H),8.74(1H,s),8.26(1H,d),8.10−7.98(2H),7.85−7.73(2H),7.60(1H,d),7.45−7.33(2H),7.33−7.12(5H,m),6.92(1H,d)
得られた例示色素D−1−1aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は568nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−1−21aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−2−4を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして例示色素D−1−21aを調製した。得られた例示色素D−1−21aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は570nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−1−16aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−3−2を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様に、例示色素D−1−16aを調製した。得られた例示色素D−1−16aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は574nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−1−17aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−4−2を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして、例示色素D−1−17aを調製した。得られた例示色素D−1−17aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は588nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−1−22aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−5−6を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして、例示色素D−1−22aを調製した。得られた例示色素D−1−22aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は570nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−1−23aの調製)
下記のスキームの方法に従ってd−6−3を調製し、以下例示色素D−1−1aと同様にして例示色素D−1−23aを調製した。得られた例示色素D−1−23aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は571nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−1−24aの調製)
前記例示色素D−1−21aの調製において、d−2−2の代わりに下記のd−7−1を用いて、D−1−24aを調製した。得られた例示色素D−1−24aについて、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は574nmであった。
Figure 2011228276
(例示色素D−8−1の調製)
下記のスキームの方法に従って、以下例示色素D−1−1aと同様にして、例示色素D−8−1を調製した。得られた例示色素D−8−1について、エタノール溶媒で色素の濃度が8.5μmol/lとなるように調製し、分光吸収測定を行ったところ、吸収極大波長は580nmであった。
Figure 2011228276
前記の方法で調製した一般式(2)の色素は以下のとおりである。
Figure 2011228276
[実験1]
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。このうち一方の導電膜上にアナターゼ型酸化チタン粒子を焼結して受光電極を作製した。その後、受光電極上にシリカ粒子とルチルとを40:60(質量比)で含有する分散液を塗布及び焼結して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、絶縁性多孔体を形成したガラス基板を下記表1に記載された色素のエタノール溶液(色素が2種類のときは、1×10−4モル/lの混合溶液、1種類の場合は同濃度の単独溶液)に24時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光体の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/mとした。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、最適な増感度を示すように、適宜0.1〜10ミリモル/mの範囲から選択した。
電解液としては、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5モル/l)、ヨウ素(0.1モル/l)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
(色素の極大吸収波長の測定)
用いた色素の極大吸収波長を測定した。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク製)によって行い、溶液はテトラヒドロフラン:エタノール=1:1を用い、色素の濃度が2μMになるようにした。その結果を表1に示す。
(光電変換効率の測定)
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42(商品名)、Kenko社製)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cmであった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型(商品名)、ケースレー社製)で測定した。これにより求めた光電気化学電池の変換効率の初期値を測定した結果を表1に示した。また、光照射後の耐久性も同様に評価した。
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
Figure 2011228276
表1からわかるように、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、一般式(1)の構造を有する色素単独又は一般式(2)の構造を有する色素単独の場合と比較して、合格レベルの変換効率の光電気化学電池が得られた。
実験1の比較例で使用した色素R−6は以下のものを表す。
Figure 2011228276
[実験2]
ガラス基板上にITO膜を作製し、その上にFTO膜を積層することにより、透明導電膜を作製した。その後透明導電膜上に酸化物半導体多孔質膜を形成することにより、透明電極板を得た。そしてその透明電極板を使用して光電気化学電池を作製し、変換効率を測定した。その方法は以下の(1)〜(5)の通りである。
(1)ITO(インジウム・スズ・オキサイド)膜用原料化合物溶液の調製
塩化インジウム(III)四水和物5.58gと塩化スズ(II)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して、ITO膜用原料化合物溶液とした。
(2)FTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜用原料化合物溶液の調製
塩化スズ(IV)五水和物0.701gをエタノール10mlに溶解し、これにフッ化アンモニウム0.592gの飽和水溶液を加え、この混合物を超音波洗浄機に約20分間かけ、完全に溶解して、FTO膜用原料化合物溶液とした。
(3)ITO/FTO透明導電膜の作製
厚さ2mmの耐熱ガラス基板の表面を化学洗浄し、乾燥した後、このガラス板を反応器内に置き、ヒータで加熱した。ヒータの加熱温度が450℃になったところで、(1)で得られたITO膜用原料化合物溶液を、口径0.3mmのノズルから圧力0.06MPaで、ガラス基板までの距離を400mmとして、25分間噴霧した。
このITO膜用原料化合物溶液の噴霧後、2分間(この間ガラス基板表面にエタノールを噴霧し続け、基板表面温度の上昇を抑えるようにした。)経過し、ヒータの加熱温度が530℃になった時に、(2)で得られたFTO膜用原料化合物溶液を同様の条件で2分30秒間噴霧した。これにより、耐熱ガラス板上に厚さ530nmのITO膜、厚さ170nmのFTO膜が順次形成された透明電極板が得られた。
比較のため、厚さ2mmの耐熱ガラス基板上に同様に、厚さ530nmのITO膜のみを成膜した透明電極板と、同じく厚さ180nmのFTO膜のみを成膜した透明電極板とをそれぞれ作製した。
これら3種の透明電極板を加熱炉にて、450℃で2時間加熱した。
(4)光電気化学電池の作製
次に、上記3種の透明電極板を用いて、特許第4260494号公報の図2に示した構造の光電気化学電池を作製した。
酸化物半導体多孔質膜15の形成は、平均粒径約230nmの酸化チタン微粒子をアセトニトリルに分散してペーストとし、これを透明電極11上にバーコート法により厚さ15μmに塗布し、乾燥後450℃で1時間焼成して行い、この酸化物半導体多孔質膜15に表2記載の色素を担持した。
さらに、対極16には、ガラス基板上にITO膜とFTO膜とを積層した導電性基板を使用し、電解質層17には、ヨウ素/ヨウ化物の非水溶液からなる電解液を用いた。光電気化学電池の平面寸法は25mm×25mmとした。
(5)光電気化学電池の評価
この光電気化学電池について、実験1と同様の方法で模擬太陽光を照射し、変換効率をと耐久性を求めた。その結果を表2に示す。結果は、試料No.9を1としたときの相対値を示した。この変換効率の相対値が0.6以上のものを合格とした。また耐久性の低下率が80%以上のものを◎、60%以上〜80%未満のものを○、60%未満のものを△とし、○と◎を合格とした。
Figure 2011228276
表2の結果からわかるように、導電層がITO膜のみの場合やFTO膜のみの場合は、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、変換効率は低くなった。しかしそれでも色素を併用することにより、導電層がITO膜のみの場合やFTO膜のみの場合でも、合格レベルの変換効率の光電気化学電池が得られた。
[実験3]
FTO膜上に集電電極を配し、光電気化学電池を作製し、変換効率を評価した。評価は以下の通り、試験セル(i)と試験セル(iv)の2種類とした。
(試験セル(i))
100mm×100mm×2mmの耐熱ガラス板の表面を化学洗浄し、乾燥した後、このガラス基板を反応器内に置き、ヒータで加熱した後、実施例IIで使用したFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜用原料化合物溶液を、口径0.3mmのノズルから圧力0.06MPaで、ガラス板までの距離を400mmとして、25分間噴霧し、FTO膜付きガラス基板を用意した。
その表面に、エッチング法により深さ5μmの溝を格子回路パターン状に形成した。フォトリソグラフでパターン形成した後に、フッ酸を用いてエッチングを行った。これに、めっき形成を可能とするためにスパッタ法により金属導電層(シード層)を形成し、更にアディティブめっきにより金属配線層3を形成した。金属配線層3は、透明基板2表面から凸レンズ状に3μm高さまで形成した。回路幅は60μmとした。この上から、遮蔽層5としてFTO膜を400nmの厚さでSPD法により形成して、電極基板(i)とした。なお、電極基板(i)の断面形状は、特開2004−146425号公報に記載された図2に示すものとなっていた。
電極基板(i)上に平均粒径25nmの酸化チタン分散液を塗布・乾燥し、450℃で1時間加熱・焼結した。これを表3に示す色素のエタノール溶液中に40分間浸漬して色素担持した。50μm厚の熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートを介して白金スパッタFTO基板と対向して配置し、樹脂シート部を熱溶融させて両極板を固定した。
なおあらかじめ白金スパッタ極側に開けておいた電解液の注液口から、0.5Mのヨウ化塩と0.05Mのヨウ素とを主成分に含むメトキシアセトニトリル溶液を注液し、電極間に満たした。さらに周辺部及び電解液注液口をエポキシ系封止樹脂で封止し、集電端子部に銀ペーストを塗布して試験セル(i)とした。AM1.5の疑似太陽光により、実施例Iと同様の方法で、試験セル(i)の光電変換特性を評価した。その結果を表3に示した。
(試験セル(iv))
試験セル(i)と同様の方法で100×100mmのFTO膜付きガラス基板を用意した。そのFTOガラス基板上に、アディティブめっき法により金属配線層3(金回路)を形成した。金属配線層3(金回路)は基板表面に格子状に形成し、回路幅50μm、回路厚5μmとした。この表面に厚さ300nmのFTO膜を遮蔽層5としてSPD法により形成して試験セル(iv)とした。電極基板(iv)の断面をSEM−EDXを用いて確認したところ、配線底部でめっきレジストの裾引きに起因すると思われる潜り込みがあり、影部分にはFTOが被覆されていなかった。
電極基板(iv)を用い、試験セル(i)と同様に、試験セル(iv)を作製した。実験1と同様の方法で模擬太陽光を照射し、変換効率を求めた。その結果を表3に示す。
(結果の評価)
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
Figure 2011228276
表3より、本発明の色素の組み合わせを用いた場合は、試験セル(i)の場合の変換効率は8%以上と、高い値を示した。試験セル(iv)を用いた場合でも、色素を単独で用いて試験セル(i)を用いた場合よりも高い性能が得られ、いずれも合格レベルの変換効率を示した。
[実験4]
ペルオキソチタン酸及び酸化チタン微粒子を作製し、これを用いて酸化物半導体膜を作製した。これを用いて光電気化学電池を作製し、評価した。
(光電気化学電池(A)の作製)
(1)酸化物半導体膜形成用塗布液(A1)の調製
5gの水素化チタンを1リットルの純水に懸濁し、5質量%の過酸化水素液400gを30分かけて添加し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液の全量から90容積%を分取し、濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(A2)を調製した。得られたチタニアコロイド粒子は、X線回折により結晶性の高いアナターゼ型酸化チタンであった。
次に、上記で得られたチタニアコロイド粒子(A2)を10質量%まで濃縮し、前記ペルオキソチタン酸溶液を混合し、この混合液中のチタンをTiO換算し、TiO質量の30質量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して半導体膜形成用塗布液(A1)を調製した。
(2)酸化物半導体膜(A3)の作製
次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に前記塗布液(A1)を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cmの紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、塗膜を硬化させた。塗膜を300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行って酸化物半導体膜(A3)をガラス基板に形成した。
(3)酸化物半導体膜(A3)への色素の吸着
次に、分光増感色素として本発明の色素の濃度3×10−4モル/リットルのエタノール溶液を調製した。この色素溶液を100rpmスピナーで、金属酸化物半導体膜(A3)上へ塗布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。
(4)電解質溶液の調製
アセトニトリルと炭酸エチレンとの体積比が1:5の混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドを0.46モル/リットル、ヨウ素を0.07モル/リットルの濃度となるように溶解して電解質溶液を調製した。
(5)光電気化学電池(A)の作製
(2)で作製した、色素を吸着させた酸化物半導体膜(A3)が形成されたガラス基板を一方の電極とし、他方の電極として、フッ素ドープした酸化スズを電極として形成した。その上に白金を担持した透明ガラス基板を対向して配置し、側面を樹脂にてシールし、電極間に(4)の電解質溶液を封入した。さらに電極間をリード線で接続して光電気化学電池(A)を作製した。
(6)光電気化学電池(A)の評価
実験1と同様の方法で模擬太陽光を照射し、光電気化学電池(A)の変換効率を求めた。その結果を表4に示す。
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
(光電気化学電池(B)の作製)
紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、膜を硬化させた後、Arガスのイオン照射(日新電気製:イオン注入装置、200eVで10時間照射)を行った以外は、酸化物半導体膜(A3)と同様にして酸化物半導体膜(B3)を形成した。
酸化物半導体膜(A3)と同様に、酸化物半導体膜(B3)に色素の吸着を行った。
その後実施例1と同様の方法で光電気化学電池(B)を作製し、変換効率を測定した。その結果を表4に示した。
(光電気化学電池(B)の評価)
実験1と同様の方法で模擬太陽光を照射し、光電気化学電池(A)の変換効率を求めた。その結果を表4に示す。
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
(光電気化学電池(C)の作製)
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈して、TiO換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら、15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、TiO換算で、10.2質量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。このケーキと5質量%過酸化水素液400gを混合し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液全量から90体積%を分取し、これに濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(C2)を調製した。
次に、上記で得られたペルオキソチタン酸溶液とチタニアコロイド粒子(C2)を使用して酸化物半導体膜(A3)と同様にして酸化物半導体膜(C3)を形成し、金属酸化物半導体膜(A3)と同様にして、分光増感色素として本発明の色素の吸着を行った。
(光電気化学電池(C)の評価)
実験1と同様の方法で模擬太陽光を照射し、光電気化学電池(C)の変換効率を求めた。その結果を表4に示す。
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
(光電気化学電池(D)の作製)
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈してTiO換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。これを撹拌しながら、15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄した後、純水に懸濁してTiOとして0.6質量%の水和酸化チタンゲルのスラリーとし、これに塩酸を加えてpH2とした後、オートクレーブに入れ、180℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(D2)を調製した。
次に、チタニアコロイド粒子(D2)を10質量%まで濃縮し、これに、TiOに換算して、30質量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して、半導体膜形成用塗布液を調製した。次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に、前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cmの紫外線を照射し、膜を硬化させた。さらに、300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行い、酸化物半導体膜(D3)を形成した。
次に、酸化物半導体膜(A3)と同様にして分光増感色素として、本発明の色素の吸着を行った。 その後、光電気セル(A)と同様の方法で光電気化学電池(D)を作製した。
(光電気化学電池(D)の評価)
実験1と同様の方法で模擬太陽光を照射し、光電気化学電池(C)の変換効率を求めた。その結果を表4に示す。
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
Figure 2011228276
表4より、本発明の色素の場合には、色素単独使用の場合よりも常に変換効率が高く、特に試験セル(A)〜(C)を使用した場合には変換効率が高いことがわかった。
[実施例5]
方法を変えて酸化チタンの調製を行い、得られた酸化チタンから酸化物半導体膜を作製し、光電気化学電池とし、その評価を行った。
(1)熱処理法による酸化チタンの調製
(酸化チタン1(ブルーカイト型)等)
市販のアナターゼ型酸化チタン(石原産業社製、商品名ST−01)を用い、これを約900℃に加熱してブルーカイト型の酸化チタンに変換し、さらに約1,200℃に加熱してルチル型の酸化チタンとした。それぞれ順に、比較酸化チタン1(アナターゼ型)、酸化チタン1(ブルーカイト型)、比較酸化チタン2(ルチル型)とする。
(2)湿式法による酸化チタンの合成
(酸化チタン2(ブルーカイト型))
蒸留水954mlを還流冷却器付きの反応槽に装入し、95℃に加温する。撹拌速度を約200rpmに保ちながら、この蒸留水に四塩化チタン(Ti含有量:16.3質量%、比重1.59、純度99.9%)水溶液46mlを約5.0ml/minの速度で反応槽に滴下した。このとき、反応液の温度が下がらないように注意した。その結果、四塩化チタン濃度が0.25mol/リットル(酸化チタン換算2質量%)であった。反応槽中では反応液が滴下直後から、白濁し始めたがそのままの温度で保持を続け、滴下終了後さらに昇温し沸点付近(104℃)まで加熱し、この状態で60分間保持して完全に反応を終了した。
反応により、得られたゾルを濾過し、次いで60℃の真空乾燥器を用いて粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.38、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.05であった。これらから求めると酸化チタンは、ブルーカイト型が約70.0質量%、ルチル型が約1.2質量%、アナターゼ型が約28.8質量%の結晶性であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.015μmであった。
(酸化チタン3(ブルーカイト型))
三塩化チタン水溶液(Ti含有量:28質量%、比重1.5、純度99.9%)を蒸留水で希釈し、チタン濃度換算で0.25モル/Lの溶液とした。このとき、液温が上昇しないよう氷冷して、50℃以下に保った。次に、この溶液を還流冷却器付きの反応槽に500ml投入し、85℃に加温しながらオゾンガス発生装置から純度80%のオゾンガスを1L/minでバブリングし、酸化反応を行なった。この状態で2時間保持し、完全に反応を終了した。得られたゾルをろ過、真空乾燥し、粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.85、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0であった。これらから求めると二酸化チタンは、ブルーカイト型が約98質量%、ルチル型が0質量%、アナターゼ型が0質量%であり、約2%は無定形であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.05μmであった。
(光電気化学電池の作製および評価)
上記の方法で調製した酸化チタン1〜3を半導体として特開2000−340269号公報記載の図1に示す構成の光電変換素子を用いた光電気化学電池を以下の方法で作製した。
ガラス基板上にフッ素ドープの酸化スズをコートし、導電性透明電極とした。電極面上にそれぞれの酸化チタン粒子を原料としたペーストを作成し、バーコート法で厚さ50μmに塗布した後、500℃で焼成して膜厚約20μmの薄層を形成した。
次に表5記載の色素の1×10−4モル濃度のエタノール溶液を調製し、一般式(1)で表される色素を含む溶液に2時間、続いて一般式(2)で表される色素を含む溶液に20時間酸化チタンの薄層を形成したガラス基板を浸漬させた。その結果、酸化チタンの薄層上にこれらの色素を吸着させた。
電解液としてテトラプロピルアンモニウムのヨウ素塩とヨウ化リチウムのアセトニトリル溶液を用い、白金を対極として特開2000−340269号公報の図1に示す構成を有する光電変換素子を作製した。光電変換は160Wの高圧水銀ランプの光(フィルターで赤外線部をカット)を上記の素子に照射し、その際の変換効率を測定した。結果を表5に示す。
(結果の評価)
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
Figure 2011228276
表5からわかるように、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、一般式(1)の構造を有する色素単独又は一般式(2)の構造を有する色素単独の場合と比較して、合格レベルの変換効率の光電気化学電池が得られた。
〔実験6〕
粒径の異なる酸化チタンを用いて、半導体微粒子が分散したペーストを作製した。これを用いて光電気化学電池を作製し、その特性を評価した。
[ペーストの調製]
(ペースト1)
球形のTiO粒子(アナターゼ型、平均粒径;25nm、以下、球形TiO粒子1という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト2)
球形TiO粒子1と、球形のTiO粒子(アナターゼ型、平均粒径;200nm、以下、球形TiO粒子2という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子1の質量:TiO粒子2の質量=30:70)を調製した。
(ペースト3)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ型、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子1という)を混合し、棒状TiO粒子1の質量:ペースト1の質量=10:90のペーストを調製した。
(ペースト4)
ペースト1に、棒状TiO粒子1を混合し、棒状TiO粒子1の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト5)
ペースト1に、棒状TiO粒子1を混合し、棒状TiO粒子1の質量:ペースト1の質量=50:50のペーストを調製した。
(ペースト6)
ペースト1に、板状のマイカ粒子(直径;100nm、アスペクト比;6、以下、板状マイカ粒子1という)を混合し、板状マイカ粒子1の質量:ペースト1の質量=20:80のペーストを調製した。
(ペースト7)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;30nm、アスペクト比;6.3、以下、棒状TiO粒子2という)を混合し、棒状TiO2粒子2の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト8)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;50nm、アスペクト比;6.1、以下、棒状TiO粒子3という)を混合し、棒状TiO粒子3の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト9)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;75nm、アスペクト比;5.8、以下、棒状TiO粒子4という)を混合し、棒状TiO粒子4の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト10)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;130nm、アスペクト比;5.2、以下、棒状TiO粒子5という)を混合し、棒状TiO粒子5の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト11)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;180nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子6という)を混合し、棒状TiO粒子6の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト12)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;240nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子7という)を混合し、棒状TiO粒子7の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト13)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;110nm、アスペクト比;4.1、以下、棒状TiO粒子8という)を混合し、棒状TiO粒子8の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト14)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;105nm、アスペクト比;3.4、以下、棒状TiO粒子9という)を混合し、棒状TiO粒子9の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(光電気化学電池1)
以下に示す手順により、特開2002−289274号公報の図5に記載の光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、光電極を用いて、当該光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する10×10mmのスケールの光電気化学電池1を作製した。
ガラス基板上にフッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚;500nm)を形成した透明電極を準備した。
このSnO導電膜上に、上記のペースト2をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト4を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に上記特許文献の図5に示す半導体電極2と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;30質量%)を形成し、増感色素を含有していない光電極を作製した。
次に、半導体電極に色素を以下のようにして吸着させた。まずマグネシウムエトキシドで脱水した無水エタノールを溶媒として、これに表6記載の色素のそれぞれの濃度が3×10−4mol/Lとなるように溶解し、色素溶液を調製した。次に、この溶液に半導体電極を浸漬し、これにより、半導体電極に色素が全量で約1.5×10−7mol/cm吸着し、光電極10を完成させた。
次に、対極として上記の光電極と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解質Eとして、ヨウ素及びヨウ化リチウムを含むヨウ素系レドックス溶液を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサS(商品名:「サーリン」)を準備し、特開2002−289274号公報の図3に示すように、光電極10と対極CEとスペーサSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して光電気化学電池1を完成させた。
(光電気化学電池2)
半導体電極の製造を以下のようにして行ったこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により特開2002−289274号公報記載の図1に示した光電極10を作製し、特開2002−289274号公報記載の図3に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電気化学電池2を作製した。
ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用した。そして、SnO導電膜上に、ペースト2をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成し、半導体層を形成した。
ペースト3を光散乱層の最内部の層形成用ペーストとして使用した。また、ペースト5を光散乱層の最外部の層形成用ペーストとして使用した。そして、光電気化学電池1と同様にして半導体層上に光散乱層を形成した。
そして、SnO導電膜上に、特開2002−289274号公報記載の図1に示す半導体電極2と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;3μm、最内部の層の層厚;4μm、最内部の層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;10質量%、最外部の層の層厚;3μm、最内部の層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;50質量%)を形成し、増感色素を含有していない光電極を作製した。光電気化学電池1と同様に、光電極と対極CEとスペーサSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して光電気化学電池2を完成させた。
(光電気化学電池3)
半導体電極の製造に際して、ペースト1を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト4を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により、特開2002−289274号公報の図5に示した光電極10を作製し、特開2002−289274号公報記載の図3に示した光電気化学電池20と同様の構成を有する光電気化学電池3を作製した。
なお、半導体電極は、受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;5μm、光散乱層の層厚;5μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池4)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト6を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により図5に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した光電気化学電池20と同様の構成を有する光電極及び光電気化学電池4を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6.5μm、光散乱層の層厚;3.5μm、光散乱層に含有される板状マイカ粒子1の含有率;20質量%であった。
(光電気化学電池5)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト8を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池5を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子3の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池6)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト9を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池6を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子4の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池7)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト10を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池7を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子5の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池8)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト11を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池8を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子6の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池9)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト13を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池9を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子8の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池10)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト14を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池10を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子9の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池11)
半導体電極の製造に際して、ペースト2のみを用いて半導体層のみからなる半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、)を作製したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電気化学電池11を作製した。
(電気化学電池12)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト7を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び比較光電気化学電池12を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子2の含有率;30質量%であった。
[特性の試験及び評価]
光電気化学電池1〜12について、ソーラーシミュレータ(WACOM製、WXS−85H)を用いて、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/mの疑似太陽光を照射した。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、変換効率を求めた。その結果を表6に示す。
変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、8%以上6.5%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
Figure 2011228276
表6からわかるように、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、一般式(1)の構造を有する色素単独又は一般式(2)の構造を有する色素単独の場合と比較して、合格レベルの変換効率の光電気化学電池が得られた。
[実施例7]
金属酸化物微粒子に金属アルコキシドを加えスラリー状としたものを導電性基板に塗布し、その後、UVオゾン照射、UV照射又は乾燥を行い、電極を作製した。その後、光電気化学電池を作製し、変換効率を測定した。
(金属酸化物微粒子)
金属酸化物微粒子としては、酸化チタンを用いた。酸化チタンは、質量比で、30%ルチル型及び70%アナターゼ型、平均粒径25nmのP25粉末(Degussa社製、商品名)を用いた。
(金属酸化物微粒子粉末の前処理)
金属酸化物微粒子をあらかじめ熱処理することで表面の有機物と水分を除去した。酸化チタン微粒子の場合は450℃のオーブンで大気下、30分間加熱した。
(金属酸化物微粒子に含まれる水分量の測定)
温度26℃、湿度72%の環境に保存しておいた酸化チタン、P25粉末(Degussa社製、商品名)に含まれる水分量を、熱重量測定における重量減少、及び300℃に加熱したときに脱着した水分量のカールフィッシャー滴定により定量した。
酸化チタン、P25粉末(Degussa社製、商品名)を300℃で加熱したときに脱着する水分量をカールフィッシャー滴定によって定量したところ、0.1033gの酸化チタン微粉末中に0.253mgの水が含まれていた。すなわち、酸化チタン微粉末は約2.5質量%の水分を含んでいた。30分間熱処理し、冷却後デシケーター中に保存して用いた。
(金属アルコキシドペーストの調製)
金属酸化物微粒子を結合する役割をする金属アルコキシドとしては、チタン原料としてはチタン(IV)テトライソプロポキシド(TTIP)、ジルコニウム原料としてはジルコニウム(IV)テトラn−プロポキシド、ニオブ原料としてはニオブ(V)ペンタエトキシド(全てAldrich社製)をそれぞれ用いた。
金属酸化物微粒子と金属アルコキシドのモル濃度比は、金属アルコキシドの加水分解によって生じるアモルファス層が過度に厚くならず、かつ粒子同士の結合が十分行えるように、金属酸化物微粒子径に応じて適宜調節した。なお、金属アルコキシドはすべて、0.1Mのエタノール溶液とした。酸化チタン微粒子とチタン(IV)テトライソプロポキシド(TTIP)とを混合する場合には、酸化チタン微粒子1gに対し、3.55gの0.1M TTIP溶液を混合した。このとき、得られたペースト中の酸化チタン濃度は約22質量%となり、塗布に適当な粘度となった。また、このときの酸化チタンとTTIPとエタノールは、質量比で1:0.127:3.42、モル比で1:0.036:5.92であった。
同様に、酸化チタン微粒子とTTIP以外のアルコキシドの混合ペーストについても微粒子濃度が22質量%となるように調製した。酸化亜鉛及び酸化スズ微粒子を用いたペーストでは16質量%とした。酸化亜鉛及び酸化スズの場合は、金属酸化物微粒子1gに対して、金属アルコキシド溶液5.25gの比で混合した。
金属酸化物微粒子と金属アルコキシド溶液は、密閉容器中においてマグネチックスターラーによって2時間攪拌して均一なペーストを得た。導電性基板へのペーストの塗布方法は、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法などを用いることが可能であり、適当なペースト粘度は塗布方法によって適宜選択した。ここでは簡便にガラス棒で塗布する方法(ドクターブレード法に類似)を用いた。この場合、適当なペースト粘度を与える金属酸化物微粒子の濃度は概ね5〜30質量%の範囲となった。
金属アルコキシドの分解によって生成するアモルファス金属酸化物の厚さは本実験では0.1〜0.6nm程度の範囲にあり、適切な範囲の厚さとすることができた。
(導電性基板上へのペーストの塗布と風乾処理)
スズドープ酸化インジウム(ITO)導電膜付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板(20Ω/cm)又はフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電膜付きガラス基板(10Ω/cm)に、スペーサとして粘着テープ2枚を一定間隔で平行に貼り付け、上記の方法に従って調製した各ペーストを、ガラス棒を用いて均一に塗布した。
ペーストを塗布後、色素吸着前に、UVオゾン処理、UV照射処理、又は乾燥処理の有無について条件を変えて多孔質膜を作製した。
(乾燥処理)
導電性基板へ塗布した後の膜を大気中室温において2分程度で風乾した。この過程でペースト中の金属アルコキシドが大気中の水分によって加水分解を受け、Tiアルコキシド、Zrアルコキシド、Nbアルコキシドからそれぞれアモルファスの酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブが形成された。
生成したアモルファス金属酸化物が、金属酸化物微粒子同士及び膜と導電性基板を接着する役割を果たすため、風乾するのみで機械的強度と付着性に優れた多孔質膜が得られた。
(UVオゾン処理)
UVオゾン処理には日本レーザー電子社製のNL−UV253 UVオゾンクリーナーを用いた。UV光源には185nmと254nmに輝線を持つ4.5W水銀ランプ3個を備えており、試料を光源から約6.5センチの距離に水平に配置した。チャンバー中に酸素気流を導入することでオゾンが発生する。本実施例においてはこのUVオゾン処理を2時間行なった。なお、このUVオゾン処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下は全く見られなかった。
(UV処理)
チャンバー中を窒素置換して処理を行う以外は同様に、前記UVオゾン処理と同様に、2時間処理を行った。このUV処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下はまったく見られなかった。
(色素吸着)
色素には表7記載の色素を用いて、各色素の0.3mMのエタノール混合溶液を調製した。本実験では上記のプロセスで作製した多孔質膜を100℃のオーブンで1時間乾燥した後に増感色素の溶液に浸漬し、そのまま室温で1時間放置して酸化チタン表面に色素を吸着させた。色素吸着後の試料はエタノールで洗浄し、風乾した。
(光電気化学電池の作製と電池特性評価)
色素吸着後の多孔質膜が形成された導電性基板を光電極とし、これと白金微粒子をスパッタリングにより修飾したITO/PETフィルム又はFTO/ガラス対極を対向させて、光電気化学電池を試作した。上記光電極の実効面積は約0.2cmとした。電解質溶液には0.5MのLiI,0.05MのI,0.5Mのt−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリルを用い、毛管現象によって両電極間のギャップに導入した。
電池性能の評価は、一定フォトン数(1016cm−2)照射下での光電流作用スペクトル測定及びAM1.5擬似太陽光(100mW/cm)照射下でのI−V測定により行なった。これらの測定には分光計器社製のCEP−2000型分光感度測定装置を用いた。
得られた変換効率を表7にまとめた。
(結果の評価)
結果は、変換効率が6%以上のものを◎、5.5%以上6%未満のものを○、5.%以上5.5%未満のものを△、5%未満のものを×として表示し、変換効率が5.5%以上のものを合格とした。
Figure 2011228276
表7において、「UVオゾン」、「UV」、「乾燥」の欄はそれぞれ、多孔質膜の形成後、増感色素吸着前における、UVオゾン処理、UV照射処理、乾燥処理の有無を表す。処理したものが「○」であり、処理なしのものが「×」である。
表7の「TiOの前処理の欄は、酸化チタン微粒子の前処理(450℃のオーブンで30分間熱処理)の有無を示す。試料6、14、22は、高TTIP濃度(酸化チタン:TTIPのモル比が1:0.356)のペーストを用いた試料を表す。他の試料(試料1〜5,7〜13,23,24)は全て酸化チタン:TTIP=1:0.0356のペーストを用いた。
表7に示す結果から、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、多孔質膜の形成後、増感色素吸着前における、UVオゾン処理、UV照射処理、乾燥処理の有無にかかわらず、当該色素を単独使用した場合よりも、常に光電気化学電池の変換効率が高く、合格レベルの変換効率が得られることがわかった。
[実験8]
溶媒としてアセトニトリルを用い、ヨウ化リチウム0.1mol/l、ヨウ素0.05mol/l、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム0.62mol/lを溶解した電解質溶液を調製した。ここに下記に示すNo.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物をそれぞれ濃度0.5mol/lになるように別々に添加し、溶解した。
Figure 2011228276
No.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物電解液を、導電性ガラスに表8記載の色素を担持した多孔質酸化チタン半導体薄膜(厚さ15μm)に滴下した。ここにポリエチレンフィルム製のフレーム型スペーサー(厚さ25μm)をのせ、白金対電極でこれを覆い、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子に、Xeランプを光源として強度100mW/cmの光を照射した。表8に得られた開放電圧と光電変換効率を示した。
(結果の評価)
(i)開放電圧は、7.0V以上のものを◎、6.5V以上7.0V未満のものを○、6.0V以上6.5V未満のものを△、6.0V未満のものを×として表示し、6.5V以上を合格とした。
(ii)変換効率が8.5%以上のものを◎、8%以上8.5%未満のものを○、6.5%以上8%未満のものを△、6.5%未満のものを×とし、変換効率が8%以上のものを合格、変換効率が8%未満のものを不合格とした。
以上の(i)と(ii)がともに合格のものを総合評価合格とした。
Figure 2011228276
表8の結果からわかるように、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、一般式(1)の構造を有する色素単独又は一般式(2)の構造を有する色素単独の場合と比較して、合格レベルの開放電圧及び変換効率の光電気化学電池を得ることができる。
[実験9]
(光電気化学電池1)
以下に示す手順により、特開2004−152613号公報の図1に示した光電極10と同様の構成を有する光電極(ただし、半導体電極2を2層構造とした。)を作製し、更に、この光電極を用いた以外は特開2004−152613号公報の図1に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電気化学電池(半導体電極2の受光面F2の面積:1cm)を作製した。なお、当該2層構造を有する半導体電極2の各層について、透明電極1に近い側に配置される層を「第1の層」、多孔体層PSに近い側に配置される層を「第2の層」という。
まず、平均粒子径25nmのP25粉末(Degussa社製、商品名)と、これと粒子径の異なる酸化チタン粒子、P200粉末(平均粒子径:200nm、Degussa社製、商品名)とを用い、P25とP200の合計の含有量が15質量%で、P25とP200との質量比が、P25:P200=30:70となるように、これらにアセチルアセトン、イオン交換水、界面活性剤(東京化成社製、商品名;「Triton−X」)を加え、混練して第2の層形成用のスラリー、以下、「スラリー1」とする)を調製した。
次に、P200を使用せず、P25のみを使用したこと以外は、前述のスラリー1と同様の調製手順により第1の層形成用のスラリー(P1の含有量;15質量%、以下、「スラリー2」とする)を調製した。
一方、ガラス基板(透明導電性ガラス)上に、フッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚:700nm)を形成した透明電極(厚さ:1.1mm)を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上述のスラリー2をバーコーダで塗布し、次いで乾燥させた。その後、大気中、450℃で30分間焼成した。このようにして、透明電極上に、半導体電極2の第1の層を形成した。
更に、スラリー1を用いて、上述と同様の塗布と焼成とを繰り返すことにより、第1の層上に、第2の層を形成した。このようにして、SnO導電膜上に半導体電極2(受光面の面積;1.0cm、第1層と第2層の合計厚さ:10μm(第1の層の厚さ:3μm、第2の層の厚さ:7μm))を形成し、増感色素を含有していない状態の光電極10を作製した。
次に、色素として表9記載の色素のエタノール溶液(各増感色素の濃度;3×10−4mol/L)を調製した。この溶液に前記光電極10を浸漬し、80℃の温度条件のもとで20時間放置した。これにより、半導体電極の内部に増感色素を合計で約1.0×10−7mol/cm吸着させた。その後、開放電圧Vocを向上させるために、ルテニウム錯体吸着後の半導体電極を4−tert−ブチルピリジンのアセトニトリル溶液に15分浸漬した後、25℃に保持した窒素気流中において乾燥させ、上記光電極10を完成させた。なお、表9において、R−6は実験1の比較例で使用したものを示す。
次に、上記の光電極と同様の形状と大きさを有する対極CEを作製した。先ず、透明導電性ガラス上に、塩化白金酸六水和物のイソプロパノール溶液を滴下し、大気中で乾燥した後に450℃で30分焼成処理することにより、白金焼結対極CEを得た。なお、この対極CEには予め電解質Eの注入用の孔(直径1mm)を設けておいた。
次に、溶媒となるメトキシアセトニトリルに、ヨウ化亜鉛と、ヨウ化−1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムと、ヨウ素と、4−tert−ブチルピリジンとを溶解させて液状電解質(ヨウ化亜鉛の濃度:10mmol/L、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムの濃度:0.6mol/L、ヨウ素の濃度:0.05mol/L、4−tert−ブチルピリジン濃度:1mol/L)を調製した。
次に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有する三井デュポンポリケミカル社製のスペーサS(商品名:「ハイミラン」,エチレン/メタクリル酸ランダム共重合体アイオノマーフィルム)を準備し、特開2004−152613号公報の図1に示すように、光電極と対極とをスペーサを介して対向させ、それぞれを熱溶着により張り合わせて電池の筐体(電解質未充填)を得た。
次に、液状電解質を対極の孔から筐体内に注入した後、孔をスペーサと同素材の部材で塞ぎ、更に対極の孔にこの部材を熱溶着させて孔を封止し、光電気化学電池1を完成させた。
(光電気化学電池2)
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の濃度を50mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で光電気化学電池2を作製した。
(光電気化学電池3)
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を20mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で比較光電気化学電池を1を作製した。
(比較電気化学電池4)
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を100mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で比較光電気化学電池4を作製した。
(試験と評価)
以下の手順により、光電気化学電池1〜4を用いた試料について、変換効率を測定した。
電池特性評価試験は、ソーラーシミュレータ(ワコム製、商品名;「WXS−85−H型」)を用い、AMフィルター(AM1.5)を通したキセノンランプ光源からの疑似太陽光の照射条件を、100mW/cmとする(いわゆる「1Sun」の照射条件)測定条件の下で行った。
各光電気化学電池について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、これらから変換効率を求めた。得られた結果を表9(1Sunの照射条件)の「fresh」として示す。また、60℃、1Sun照射で、10Ω負荷での作動条件で、変換効率の300時間経時後の耐久性評価試験の結果も表9に示す。
Figure 2011228276
表9に示した結果から明らかなように、一般式(1)の構造を有する色素と、一般式(2)の構造を有する色素を併用した場合は、電解質にヨウ化亜鉛を添加した場合でも優れたものであることがわかった。
[実験10]
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザーにより測定した。
2.色素を吸着した酸化チタン微粒子層(電極A)の作製
フッ素をドープした酸化スズを被覆した20mm×20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製,TCOガラス−U,表面抵抗:約30Ω/m)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成した。半導体塗布ガラス板を取り出し冷却した後、表10に示す色素のエタノール溶液(濃度:各1×10−4mol/Lの混合溶液)に3時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させた。このようにして得られた色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/mであった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10mmol/mの範囲内であった。
3.光電気化学電池の作製
溶媒としては、アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を用いた。この溶媒に、ヨウ素と、電解質塩として1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩を加えて、電解質塩の濃度0.5mol/Lで、0.05mol/Lのヨウ素を含んだ溶液を調製した。この溶液100質量部に対して、窒素含有高分子化合物(1−1)を10質量部加えた。さらに窒素含有高分子化合物の反応性窒素原子に対する求電子剤(2−6)を0.1モル混合し、均一な反応溶液とした。
一方、導電性ガラス板上に形成された色素増感酸化チタン微粒子層の上にスペーサーを介して白金を蒸着したガラス板からなる対極の白金薄膜側を載置し、導電性ガラス板と白金蒸着ガラス板とを固定した。得られた組立体の開放端を上記電解質溶液に浸漬し、毛細管現象により色素増感酸化チタン微粒子層中に反応溶液を浸透させた。
次いで80℃で30分間加熱して、架橋反応を行った。このようにして、特開2000−323190号公報の図2に示す通り、導電性ガラス板10の導電層12上に、色素増感酸化チタン微粒子層20、電解質層30、および白金薄膜42およびガラス板41からなる対極40が順に積層された本発明の光電気化学電池1−1(試料No.1)を得た。
また色素と電解質組成物の組成の組み合わせを表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、異なる感光層20および/または電荷移動層30を有する光電気化学電池1−2、1−3、1−4を得た。
4.光電気化学電池A、Bの作製
(1)光電気化学電池A
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)を同じ大きさの白金蒸着ガラス板にスペーサーを介して重ねあわせた。次に両ガラス板の隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を溶媒としたヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.5mol/Lの溶液)を浸透させて、光電気化学電池A−1を作製した。また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池A−2、A−3、A−4を得た。
(2)光電気化学電池B(特開平9−27352号に記載の電解質)
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)上に、電解液を塗布し、含浸させた。なお電解液は、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学(株)製,ブレンマーPE−350)1gと、エチレングリコール1gと、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロバン−1−オン(日本チバガイギー(株)製,ダロキュア1173)20mgを含有した混合液に、ヨウ化リチウム500mgを溶解し10分間真空脱気することにより得た。次に前記混合溶液を含浸させた多孔性酸化チタン層を減圧下に置くことにより、多孔性酸化チタン層中の気泡を除き、モノマーの浸透を促した後、紫外光照射により重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性酸化チタン層の微細空孔内に充填した。このようにして得られたものをヨウ素雰囲気に30分間曝して、高分子化合物中にヨウ素を拡散させた後、白金蒸着ガラス板を重ね合わせ、光電気化学電池B−1を得た。また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池B−2、B−3、B−4を得た。
5.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(Kenko L−42)を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光とした。光強度は89mW/cmとした。
前述の光電気化学電池の導電性ガラス板10と白金蒸着ガラス板40にそれぞれワニ口クリップを接続し、各ワニ口クリップを電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。これに導電性ガラス板10側から模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置により測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率(η)の初期値(fresh)と、300時間連続照射時の変換効率の低下率をまとめて表10に示す。
Figure 2011228276
Figure 2011228276
(備考)
(1)色素の記号は本文中に記載のとおりである。また、色素S−100としては上記の化合物を用いた。
(2)窒素含有高分子1−1は以下の化合物を示す。
Figure 2011228276
(3)求電子剤
Figure 2011228276
表10からわかるように、本発明の条件は色素を各々単独で用いた場合に比べ300時間経過後の変換効率低下が小さく、高い耐久性を示すことがわかった。
1 導電性支持体
2 感光体層
21 増感色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 外部回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池

Claims (28)

  1. 導電性支持体上に色素が吸着された半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子であって、前記色素が下記一般式(1)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種と、下記一般式(2)で表される化合物からなる色素の少なくとも1種とを含有することを特徴とする光電変換素子。

    Figure 2011228276
    [一般式(1)において、Qは4価の芳香族基を示し、X、Xはそれぞれ独立に硫黄原子、酸素原子、またはCRを表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、これらは置換されていてもよい。R、R’はそれぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、これらは置換されていてもよい。P、Pはそれぞれ独立に色素残基を表す。Wは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。]

    M(LL)m(LL)m(X)m・CI 一般式(2)

    [ 一般式(2)において、Mは金属原子を表し、LLは下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子であり、LLは下記一般式(4)で表される2座又は3座の配位子である。
    Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座又は2座の配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドまたはチオ尿素からなる1座または2座の配位子を表す。
    は0〜3の整数を表し、mが2以上のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。mは0〜3の整数を表し、mが2のとき、LLは同じでも異なっていてもよい。ただし、mとmのうち少なくとも一方は1以上の整数である。
    は0〜2の整数を表し、mが2のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
    CIは一般式(1)において、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
    Figure 2011228276
    [ 一般式(3)において、R及びR10はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基若しくはホスホニル基又はこれらの塩を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に置換基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。d1及びd2はそれぞれ0以上の整数を表す。
    及びLはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のエテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。
    a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のときRは同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR10は同じでも異なっていてもよく、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。b1が2以上のときR11は同じでも異なっていてもよく、R11は互いに連結して環を形成してもよく、b2が2以上のときR12は同じでも異なっていてもよく、R12は互いに連結して環を形成してもよい。b1及びb2が共に1以上のとき、R11とR12が連結して環を形成してもよい。
    nは0又は1を表す。]
    Figure 2011228276
    [一般式(4)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表し、それぞれ独立に酸性基を有していてもよい。cは0又は1を表す。]
  2. 前記MがRu、Fe、Os又はCuであることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
  3. 前記MがRuであることを特徴とする請求項1又は2記載の光電変換素子。
  4. 前記一般式(3)におけるd1及びd2が1以上の整数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光電変換素子。
  5. 前記一般式(3)におけるLLが、下記一般式(5−1)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    [ 一般式(5−1)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。R41及びR42の少なくとも一方は、アルキル基、アルケニル基又はアリール基である。]
  6. 前記R13又はR14がヘテロ環基又はヘテロ環が縮環した炭素環芳香族基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光電変換素子。
  7. 前記R13又はR14が複数のヘテロ環を有することを特徴とする請求項1〜4、6のいずれか1項記載の光電変換素子。
  8. 前記ヘテロ環基がチオフェン環、ピロール環及びフラン環からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項6又は7記載の光電変換素子。
  9. 前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−2)で表されることを特徴とする請求項1、2、3、4、6、7、8のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    [ 一般式(5−2)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1、b2及びnは、一般式(3)におけるものと同義である。R51及びR52は置換基である。]
  10. 前記R51及びR52のうち少なくとも一方が、アルキル基、アルキニル基、アリール基、アルケニル基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項9記載の光電変換素子。
  11. 前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−3)で表されることを特徴とする請求項1、2、3、4、6、7、8のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    [ 一般式(5−3)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。nは1以上の整数を表す。R53及びR54は置換基を表す。]
  12. 前記R53及びR54のうち少なくとも一方が、アルキル基、アルケニル、アルキニル基及びアリール基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載の光電変換素子。
  13. 前記一般式(1)におけるLLが、下記一般式(5−4)又は(5−5)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    Figure 2011228276
    [ 一般式(5−4)及び(5−5)におけるR、R10、R11、R12、a1、a2、b1及びb2は、一般式(3)におけるものと同義である。R15は一般式(3)におけるR10と同義であり、R16は一般式(3)におけるR10と同義である。a3及びb3は0〜3の整数を表す。R61、R62、R71、R72、R73及びR74は、置換基を表す。f1及びf2は0以上の整数を表す。nは1以上の整数を表す。]
  14. 前記一般式(2)におけるLLが、下記一般式(6−1)〜(6−8)であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    [ 前記一般式(6−1)〜(6−8)において、R25〜R32はそれぞれ独立に酸性基を表す。R33〜R40はそれぞれ独立に置換基を表す。R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。e1〜e6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e7及びe8はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e9〜e12及びe15はそれぞれ独立に0〜6の整数を表す。e13、e14及びe16はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e1〜e8が2以上のとき、R25〜R32はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、e9〜e16が2以上のとき、R33〜R40はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。]
  15. 前記一般式(2)におけるmが1、m=1かつmが1又は2であって、LLが前記一般式(6−1)〜(6−8)の構造を有する2座又は3座の配位子であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の光電変換素子。
  16. 前記一般式(1)中のQが、ベンゼン環又はナフタレン環を表すことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の光電変換素子。
  17. 前記一般式(1)中のP及びPがそれぞれ独立に、下記一般式(7)又は(8)で表されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    Figure 2011228276
    [ 一般式(7)及び(8)において、Vは水素原子又は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合は、Vは同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
    YはS、NR、またはC(R)Rを表す。Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。R、Rは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
    Zは脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
    〜R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。
    は酸素原子、又は2つの置換基を有する炭素原子であって2つの置換基のHammett則におけるσpの和が正である。]
  18. 前記一般式(7)で表される色素残基が下記一般式(9)で表され、前記一般式
    (8)で表される色素残基が下記一般式(10)で表されることを特徴とする請求項17に記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    Figure 2011228276
    [ 一般式(9)及び(10)において、V、n、Z及びYは、前記一般式(7)及び(8)におけるものと同義である。]
  19. 前記一般式(8)におけるRが、下記一般式(11)〜(14)のいずれかで表されることを特徴とする請求項17又は18に記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    [一般式(11)〜(14)において、Rfは水素原子又は置換基を表す。]
  20. 前記一般式(8)におけるRが、下記一般式(15)又は(16)で表されることを特徴とする請求項17又は18に記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
  21. 前記Yが、S、NCH、又はC(CHを表し、Zが炭素数5〜18の脂肪族基を表すことを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項記載の光電変換素子。
  22. 前記Yが、S、NCH、又はC(CHを表し、ZがCH、C、C、又はCHCHCOOHを表すことを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項記載の光電変換素子。
  23. 前記Vが酸性基又はその塩を有することを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  24. 前記Vが水素原子、5−カルボキシル基、5−スルホン酸基、5−メチル基及び4,5−ベンゼン環縮合からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項17〜23のいずれか1項記載の光電変換素子。
  25. 前記Z及びVが酸性基または酸性基を有する基であることを特徴とする請求項17又は18記載の光電変換素子。
  26. 前記一般式(7)〜(10)で表される化合物の色素が、下記一般式(17)〜(20)で表されることを特徴とする請求項17〜25のいずれか1項記載の光電変換素子。
    Figure 2011228276
    Figure 2011228276
    Figure 2011228276
    Figure 2011228276
  27. 前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項記載の光電変換素子。
  28. 請求項1〜27のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
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