JP2017137264A - 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用 - Google Patents

有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2017137264A
JP2017137264A JP2016019786A JP2016019786A JP2017137264A JP 2017137264 A JP2017137264 A JP 2017137264A JP 2016019786 A JP2016019786 A JP 2016019786A JP 2016019786 A JP2016019786 A JP 2016019786A JP 2017137264 A JP2017137264 A JP 2017137264A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photoelectric conversion
organic compound
organic
groups
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016019786A
Other languages
English (en)
Inventor
俊文 井内
Toshifumi Iuchi
俊文 井内
達也 青竹
Tatsuya AOTAKE
達也 青竹
秀典 薬師寺
Hidenori Yakushiji
秀典 薬師寺
山本 達也
Tatsuya Yamamoto
達也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2016019786A priority Critical patent/JP2017137264A/ja
Publication of JP2017137264A publication Critical patent/JP2017137264A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Light Receiving Elements (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、近赤外光領域に吸収帯を有する下記式(1)で表される新規な有機化合物、並びにそれを用いた赤外吸収材料、薄膜、及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することを目的とする。【解決手段】下記式(1)で表される有機化合物。【化1】(上記式(1)のR1及びR2は、其々独立に水素原子又は炭素数1乃至12のアルキル基を示し、Z1及びZ2は其々独立して、R3及びR4として示される置換基を有してもよい、5又は6員環の含窒素複素環を有する多環芳香族環を示す。)【選択図】図1

Description

本発明は、新規な有機化合物、並びに赤外光吸収材料、薄膜、光電変換素子及び有機エレクトロニクスデバイスへの利用に関する。本発明は、特に、近赤外領域に吸収帯を有する有機化合物、並びに、上記有機化合物を含む近赤外光吸収材料、薄膜及び有機エレクトロニクスデバイスへの応用に関する。
700nm以上2500nm以下の領域に吸収帯を有する近赤外光吸収材料は、従来から産業上の様々な用途への利用が検討されてきた。例を挙げると、CD−R(Compact Disk−Recordable)等の光情報記録媒体;サーマルCTP(Computer To Plate)、フラッシュトナー定着、レーザー感熱記録等の印刷用途;熱遮断フィルム等の用途に利用されている。さらには、選択的に特定波長域の光を吸収するというその特性を用いて、PDP(Plasma Display Panel)フィルター等に用いられる近赤外光カットフィルターや、植物成長調整用フィルム等にも使用されている。一方、近赤外光吸収色素は、溶媒に溶解又は分散させることにより、近赤外光吸収インクとして使用することも可能である。該近赤外光吸収インクによる印字物は、目視では認識が困難であり、近赤外光検出器等でのみ読み取りが可能であることから、例えば偽造防止等を目的とした印字等に使用される。
このような不可視画像形成用の赤外光吸収材料としては、無機系の赤外光吸収材料と、有機系の赤外光吸収材料とが既に知られている。このうち、無機系の赤外光吸収材料としては、イッテルビウム等の希土類金属や、銅リン酸結晶化ガラス等が知られている。しかしながら、無機系の赤外光吸収材料は、近赤外領域の光吸収能が十分でないために、不可視画像の単位面積あたりに多量の赤外光吸収材料が必要となる。そのため、無機系の赤外光吸収材料によって不可視画像を形成した場合、その表面上にさらに可視画像を形成すると、下側の不可視画像の凹凸が表面側の可視画像に影響を与えてしまう。
それに対し、有機系の赤外光吸収材料は、近赤外領域の光の吸収性が十分であるために、不可視画像の単位面積あたりの使用量が少なくてすむので、無機系の赤外光吸収材料を使用した場合のような不都合は生じない。そのため、現在に至るまで多くの有機系近赤外光吸収材料の開発が進められている。
他方、有機エレクトロニクスデバイスは、原材料に希少金属などを含まず,安定した供給が可能であるのみならず、無機材料には無い屈曲性や湿式成膜法による製造が可能な点から、近年非常に興味が持たれている。有機エレクトロニクスデバイスの具体例は有機EL素子、有機太陽電池素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ素子等があり、デバイスとしての性能は勿論、有機の特色を活かした用途の検討が行われている。
上記デバイスのうち、有機光電変換素子は光センサ等に利用されており、例えば撮像素子として用いることが期待できる。現在、既存の無機材料を用いた撮像素子は3板式、単板式のものが知られている。この内、3板式のものは光をプリズムにより赤、緑、青の三原色に分離し、それぞれの光を別に撮像デバイスで光電変換している。この為、感度に優れる一方、デバイスの小型化が困難である。他方、単板式は撮像デバイスにカラーフィルタを設けた構造をとり、小型化が可能である一方、解像度が劣るという問題がある。以上の背景から、今日では有機の光電変換膜を積層した有機撮像素子の検討がなされている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。この様な有機撮像素子は、上記三原色の内、一つの光を選択的に吸収し、他の光を透過するような有機材料を積層した構造であり、赤、緑、青の波長領域を選択的に吸収する有機薄膜の積層構造から成る。即ち、薄膜とした時の有機材料の吸収帯が600nm以上700nm以下の範囲内である赤色光電変換層、500nm以上600nm以下である緑色光電変換層、そして400nm以上500nm以下である青色光電変換層の積層構造から成る。この様な有機撮像素子は小型化、高解像度化が期待できる点で魅力的であり、次代の撮像デバイスへの展開について期待されるところ大である。
近赤外光に応答する光センサとして、スクアリリウム色素を光電変換材料として用いた撮像素子に関する試みが報告されており、700nm以上の近赤外領域に於いて機能することが報告されている(特許文献3)。又,スクアリリウム色素は、色素増感太陽電池の色素として用いた例も報告されており(非特許文献2、特許文献4)、光電変換色素として有用である。これらスクアリリウム色素の吸収帯を更に長波長化する試みとして、メチン架橋型ビス−スクアリリウム系色素や、非対称型スクアリリウム系、π共役拡張型スクアリリウム系が検討されており、分子設計によっては700nm以上の波長領域に吸収を示している(非特許文献3)。
特開第2003−158254号公報 特開第2005−303266号公報 特開2008−308602号公報 国際公開第2010/104117号
映像情報メディア学会誌2006、60(3)、291−294 J. Photochem. Photobiol. A、2010、213、23−29 有機合成化学協会誌2008、66(5)、477−487
特許文献3は可視光と近赤外光を併せた範囲での吸収極大波長が700nmである撮像素子について記載されており、720nm及び800nmに於ける光電変換の外部量子効率について具体的に記載されているが、更に長波長領域での光電変換性能について検討されていない。又、記載のスクアリリウム色素は真空加熱蒸着による薄膜で評価されている。しかしながら、有機撮像素子をはじめとする有機エレクトロニクスデバイス等への利用に際しては、加工の容易性という観点から、有機化合物を溶液状態で塗布するようなプロセスが望まれている。本発明は上記背景を鑑み、非特許文献3におけるπ共役拡張型スクアリリウム系に属する新規なスクアリリウム色素骨格について改良の余地を検討し、長波長化による近赤外光吸収色素を開発し、近赤外領域における各種有機エレクトロニクスへの応用を試みたものである。具体的に求められる色素の性能としては、塗布により薄膜形成を可能とするため可溶性を有し、近赤外領域での吸収性能を有する薄膜を形成する。又、薄膜状態で870nm以上の近赤外領域に於ける吸収性能を有し、且つ可視領域における吸収帯が非常に小さい。以上に加えて、光電変換素子用の色素として用いた場合、電圧印加状態における光電流の波長依存性を測定したスペクトル、即ち光電流作用スペクトルのピークが870nm以上の新規な有機材料を提供することである。
本発明者らは前記諸課題を解決するべく考究し,有機エレクトロニクスデバイスへ用いた際に十分な性能を発揮するような、チエノチオフェンをスペーサーとしたビススクアリウム系色素を開発し、且つこれを用いた薄膜が近赤外領域に吸収帯を有し、加えてこれを用いた近赤外光電変換素子が実現することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の通りである。
[1]下記式(1)で表される有機化合物、
Figure 2017137264
(上記式(1)中のR及びRは、其々独立に水素原子、炭素数1乃至12のアルキル基を示し、Z及びZは其々独立して5又は6員環の含窒素複素環を有する多環芳香族環を示す。R及びRは各々独立して置換基を表し、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、フラニル基、チエニル基、チエノチエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基及びカルバゾリル基等の芳香族基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、置換アミノ基、非置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、アシル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、又はアルキルカルバモイル基を示す。)
[2]下記式(2)で表される有機化合物、
Figure 2017137264
(上記式(2)中Z及びZは其々独立して芳香族環を表す。R及びRは、其々独立に水素原子、炭素数1乃至12のアルキル基を表す。R5、、R、R、R及びR10は、其々独立して置換基を示し、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、フラニル基、チエニル基、チエノチエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基及びカルバゾリル基等の芳香族基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、置換アミノ基、非置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、アシル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、又はアルキルカルバモイル基を表す。)
[3]前項[1]又は[2]に記載の有機化合物を含む赤外光吸収材料、
[4]前項[1]又は[2]に記載の有機化合物を含み、赤外光領域に吸収帯を有する薄膜、
[5]前項[1]又は[2]に記載の有機化合物を含む有機エレクトロニクスデバイス、
[6]前項[1]又は[2]に記載の有機化合物を含む光電変換素子、
[7]薄膜又は固体状態において、光の吸収帯が700nm以上2500nm以下である前項[1]又は[2]に記載の有機化合物を用いた近赤外光電変換素子用材料、
[8]光電流作用スペクトルにおけるピークが700nm以上2500nm以下である前項[1]又は[2]に記載の有機化合物を用いた近赤外光電変換素子用材料、
に関する。
本発明は、式(1)又は式(2)で表される有機化合物を用い、薄膜状態で700nm以上2500nm以下の近赤外領域における光吸収を達成し、且つ、可溶性を利用した塗布による薄膜作成が実現できる。このことから、近赤外光電変換素子用材料をはじめ、各種有機エレクトロニクスデバイスへの利用が可能である。
本発明の光電変換素子の実施態様を例示した断面図を示す。 実施例1のTHF溶液中における吸収スペクトルを示す。 実施例3の光電変換素子における光照射による電流応答性を示す。 比較例2の光電変換素子における光照射による電流応答性を示す。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。ここに記載する構成要件の説明については、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づくものである一方、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。
本発明の有機化合物は、下記一般式(1)
Figure 2017137264
で表される。
上記式(1)のR及びRは、其々独立に水素原子又は炭素数1乃至12のアルキル基を示し、Z及びZは其々独立して、R及びRとして示される置換基を有してもよい、5又は6員環の含窒素複素環を有する多環芳香族環を表す。なお、上記の式(1)は共鳴構造の一つを示したものにすぎず、本発明の化合物は図示した共鳴構造に限定されるものではない。本発明の有機化合物は、チエノチオフェンをスペーサーとしたビススクアリウム系色素とすることにより、従来のスクアリリウム系色素よりもπ共役の拡張という観点から、長波長化した近赤外光吸収色素と成り得る。
上記式(1)のR及びRが表す炭素数1乃至12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基及びドデシル基等の鎖状若しくは分鎖アルキル基が挙げられる。これらの内、可溶性を付与するという意味で、鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1〜9のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることが更に好ましい。
前記式(1)のZ及びZが表す含窒素複素環を有する多環芳香族環としては、炭素数3乃至30であり、例えばピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラジン環、ピリジン環をはじめ、縮環構造であるインドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、キノキサリン環及び上記の環構造が更に縮環した芳香族環が挙げられるが、これらは窒素原子の四級化が可能な構造であれば制限されない。Z及びZの構造は同じであっても異なっていてもよい。Z及びZが表す含窒素複素環にはさらにR及びRとして示される置換基を有してもよく、その位置、数は特に制限が無い。
及びRとして示される置換基の具体例としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、芳香族基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、置換アミノ基、非置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、アシル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、又はアルキルカルバモイル基等が挙げられる。上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基及びドデシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。上記アルコキシ基としては、酸素原子にアルキル基が結合したものが挙げられるが、酸素原子の数、位置、分岐数は問わない。上記アルキルチオ基としては、硫黄原子にアルキル基が結合したものが挙げられるが、硫黄原子の数、位置、分岐数は問わない。上記芳香族基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、フラニル基、チエニル基、チエノチエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基及びカルバゾリル基等が挙げられる。上記ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。上記置換アミノ基は、アミノ基の水素原子が上記の置換基で置換されたものが挙げられる。上記アシル基は、カルボニル基に上記芳香族基又はアルキル基が結合したものが挙げられる。上記アルキルスルファモイル基は、スルファモイル基の水素原子が上記アルキル基で置換されたものが挙げられる。上記アルキルカルバモイル基は、カルバモイル基の水素原子が上記アルキル基で置換されたものが挙げられる。
一般式(1)の化合物は、一般式(2)
Figure 2017137264
であることがより好ましい。
上記式(2)のR5、、R及びRは、其々独立して置換基を示し、Z及びZはそれぞれ独立して、R及びR10として示される置換基を有してもよい芳香族環を表す。芳香族環はピロール環部位での共鳴安定化から、例えばベンゼン環やナフタレン環及びそれらの縮環した構造の何れであっても同等である。R及びRは一般式(1)中のR及びRと同義であり、その好ましい例も同様である。又、一般式(1)と同様に、上記の構造式は共鳴構造の一つを示したものにすぎず、図示した共鳴構造に限定されるものではない。
前記式(2)のR、R、R及びRの具体例は、一般式(1)の置換基R及びRと同様であるが、可溶性を付与するため、好ましくは炭素数1乃至12のアルキル基であり、炭素数1乃至6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基、即ちメチル基、エチル基、プロピル基であることがより好ましい。又、R、R、R及びRは其々同じであっても異なっていてもよい。
前記式(2)のZ及びZが表す芳香族環としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、フェナントレン、トリフェニレン、テトラフェン、ピレンが好ましく挙げられる。特に、ベンゼン環、ナフタレン環、ピレン環、フェナントレン環がより好ましく、特にベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。Z及びZが表す芳香族環はさらにR及びR10として示される置換基を有してもよく、その具体例は、一般式(1)の置換基R及びRと同様であり、置換位置、数は特に制限が無い。加えて、Z及びZの構造は同じであっても異なっていてもよい。
一般式(1)で示される化合物について、その具体例として化合物1−1から1−144を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、具体例として示した構造式は共鳴構造の一つを表したものにすぎず、図示した共鳴構造に限定されるものではない。

[表1]
Figure 2017137264
[表2]
Figure 2017137264
[表3]
Figure 2017137264
[表4]
Figure 2017137264
[表5]
Figure 2017137264
[表6]
Figure 2017137264
[表7]
Figure 2017137264
[表8]
Figure 2017137264
[表9]
Figure 2017137264
[表10]
Figure 2017137264
[表11]
Figure 2017137264
[表12]
Figure 2017137264
[表13]
Figure 2017137264
[表14]
Figure 2017137264
[表15]
Figure 2017137264
[表16]
Figure 2017137264
前記式(1)又は(2)で表される化合物は下記の反応工程又は公知の方法(J. Med. Chem. 2010、53、2188―2196)と同様の反応工程で合成可能である。
Figure 2017137264
上記式(1)又は(2)で表される化合物の精製方法は特に限定されず、例えば洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー等が採用でき、必要に応じてこれらの方法を組み合わせることができる。
〔赤外吸収材料、薄膜〕
本発明の赤外吸収材料は、本発明の一般式(1)又は(2)で表される有機化合物を含有する。本発明の赤外吸収材料は、本発明の一般式(1)又は(2)で表される有機化合物のみで構成されていてもよいが、本発明の一般式(1)又は(2)で表される有機化合物以外に、公知の赤外吸収物質を含んでいてもよい。ここで、特に近赤外吸収材料とは700nm以上2500nm以下の領域に吸収を有する材料をいう。
本発明の一般式(1)又は(2)で表される有機化合物を含む赤外吸収材料を用いて、薄膜を作製することができる。薄膜又は固体状態において、光の吸収帯が700nm以上2500nm以下であることが好ましい。
本発明における有機薄膜層の形成方法には、一般的な乾式成膜法や湿式成膜法が挙げられる。具体的には真空プロセスである抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶液プロセスであるキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等が挙げられ、各層の成膜にはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用してもよいが、一般的には湿式成膜法が簡便であり、特にスピンコート法による成膜がよい。各層の厚みは、それぞれの物質の抵抗値・電荷移動度にもよるので限定することはできないが、通常は0.5乃至5000nmの範囲であり、好ましくは1乃至1000nmの範囲、より好ましくは5乃至500nmの範囲である。
〔有機エレクトロニクスデバイス〕
本発明の一般式(1)又は(2)で表される有機化合物、又は当該有機化合物を含有する近赤外吸収材料をエレクトロニクス用途の材料として用いて、有機エレクトロニクスデバイスを作製することができる。有機エレクトロニクスデバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタ、有機光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL素子、有機発光トランジスタ素子、有機半導体レーザー素子などが挙げられるが、本発明では近赤外用途の展開が特に期待される有機光電変換素子に着目した。ここでは有機光電変換素子、特に近赤外有機光電変換素子(近赤外センサ、近赤外イメージセンサを含む)について説明する。
〔有機光電変換素子〕
本発明の一般式(1)又は(2)で表される有機化合物又は有機化合物を含む赤外吸収材料は、有機光電変換素子に用いることができる。特に、光電流作用スペクトルにおけるピークが700nm以上2500nm以下であることが好ましい。
有機光電変換素子は、対向する一対の電極膜間に光電変換部(膜)を配置した素子であって、電極膜の上方から光が光電変換部に入射されるものである。光電変換部は前記の入射光に応じて電子と正孔を発生するものであり、半導体により前記電荷に応じた信号が読み出され、光電変換膜部の吸収波長に応じた入射光量を示す素子である。光が入射しない側の電極膜には読み出しのためのトランジスタが接続される場合もある。光電変換素子は、アレイ状に多数配置されている場合、入射光量に加え入射位置情報をも示すため、撮像素子となる。又、より光源近くに配置された光電変換素子が、光源側から見てその背後に配置された光電変換素子の吸収波長を遮蔽しない(透過する)場合は、複数の光電変換素子を積層して用いてもよい。
本発明の有機光電変換素子は、前記式(1)又は(2)で表される有機化合物が上記光電変換部を構成する材料として用いられる。
光電変換部は、光電変換層と、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層及び層間接触改良層等から成る群より選択される一種又は複数種の光電変換層以外の有機薄膜層とから成ることが多い。本発明の近赤外光電変換素子用材料は光電変換層以外にも用いることができるが、光電変換層の有機薄膜層として用いることが好ましい。又、光電変換層は、式(1)又は(2)で表される有機化合物のみで構成されていてもよいが、式(1)又は(2)で表される有機化合物以外に、公知の赤外吸収物質を含んでいてもよい。
本発明の有機光電変換素子で用いられる電極膜は、後述する光電変換部に含まれる光電変換層が、正孔輸送性を有する場合や光電変換層以外の有機薄膜層が正孔輸送性を有する正孔輸送層である場合は、該光電変換層やその他の有機薄膜層から正孔を取り出してこれを捕集する役割を果たし、又光電変換部に含まれる光電変換層が電子輸送性を有する場合や、有機薄膜層が電子輸送性を有する電子輸送層である場合は、該光電変換層やその他の有機薄膜層から電子を取り出して、これを吐出する役割を果たすものである。よって、電極膜として用い得る材料は、ある程度の導電性を有するものであれば特に限定されないが、隣接する光電変換層やその他の有機薄膜層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選択することが好ましい。電極膜として用い得る材料としては、例えば、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)及び酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル及びタングステン等の金属:ヨウ化銅及び硫化銅等の無機導電性物質:ポリチオフェン、ポリピロール及びポリアニリン等の導電性ポリマー:炭素等が挙げられる。これらの材料は、必要により複数を混合して用いてもよいし、複数を2層以上に積層して用いてもよい。電極膜に用いる材料の導電性も、光電変換素子の受光を必要以上に妨げなければ特に限定されないが、光電変換素子の信号強度や、消費電力の観点から出来るだけ高いことが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下の導電性を有するITO膜であれば、電極膜として充分機能するが、数Ω/□程度の導電性を有するITO膜を備えた基板の市販品も入手可能となっていることから、この様な高い導電性を有する基板を使用することが望ましい。ITO膜(電極膜)の厚さは導電性を考慮して任意に選択することができるが、通常5乃至500nm、好ましくは10乃至300nm程度である。ITOなどの膜を形成する方法としては、従来公知の蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法及び塗布法等が挙げられる。基板上に設けられたITO膜には必要に応じUV−オゾン処理やプラズマ処理等を施してもよい。
電極膜のうち、少なくとも光が入射する側の何れか一方に用いられる透明電極膜の材料としては、ITO、IZO、SnO、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等が挙げられる。光電変換層の吸収ピーク波長における透明電極膜を介して入射した光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
又、検出する波長の異なる光電変換層を複数積層する場合、それぞれの光電変換層の間に用いられる電極膜(これは上記記載の一対の電極膜以外の電極膜である)は、それぞれの光電変換層が検出する光以外の波長の光を透過させる必要があり、該電極膜には入射光の90%以上を透過する材料を用いることが好ましく、95%以上の光を透過する材料を用いることがより好ましい。
電極膜はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーでこれらの電極膜を作成することにより、電極膜が設けられる基板にプラズマ与える影響が低減され、光電変換素子の光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、電極膜の成膜時にプラズマが発生しないか、又はプラズマ発生源から基板までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基板に到達するプラズマが減ぜられるような状態を意味する。
電極膜の成膜時にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置等が挙げられる。EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と称し、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と称する。
成膜中プラズマを減ずることが出来るような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)としては、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着装置等が考えられる。
透明導電膜を電極膜(例えば第一の導電膜)とした場合、DCショート、あるいはリーク電流の増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層に発生する微細なクラックがTCO(Transparent Conductive Oxide)などの緻密な膜によって被覆され、透明導電膜とは反対側の電極膜との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る材料を電極に用いた場合、リーク電流の増大は生じにくい。電極膜の膜厚を、光電変換層の膜厚(クラックの深さ)に応じて制御することにより、リーク電流の増大を抑制することができる。
通常、導電膜を所定の値より薄くすると、急激な抵抗値の増加が起こる。本実施形態の光センサ用光電変換素子における導電膜のシート抵抗は、通常100乃至10000Ω/□であり、膜厚の自由度が大きい。又、透明導電膜が薄いほど吸収する光の量が少なくなり、一般に光透過率が高くなる。光透過率が高くなると、光電変換層で吸収される光が増加して光電変換能が向上するため非常に好ましい。
本発明の有機光電変換素子が有する光電変換部は、光電変換層及び光電変換層以外の有機薄膜層を含む場合もある。光電変換部を構成する光電変換層には一般的に有機半導体膜が用いられるが、その有機半導体膜は一層若しくは複数の層であってもよく、一層の場合は、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)が用いられる。一方、複数の層である場合は、2〜10層程度であり、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)の何れかを積層した構造であり、層間にバッファ層が挿入されていてもよい。
本発明の有機光電変換素子において、光電変換部を構成する光電変換層以外の有機薄膜層は、光電変換層以外の層、例えば、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層又は層間接触改良層等としても用いられる。特に電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層及び正孔ブロック層から成る群より選択される一種以上の薄膜層として用いることにより、弱い光エネルギーでも効率よく電気信号に変換する素子が得られるため好ましい。
電子輸送層は、光電変換層で発生した電子を電極膜へ輸送する役割と、電子輸送先の電極膜から光電変換層に正孔が移動するのをブロックする役割とを果たす。正孔輸送層は、発生した正孔を光電変換層から電極膜へ輸送する役割と、正孔輸送先の電極膜から光電変換層に電子が移動するのをブロックする役割とを果たす。電子ブロック層は、電極膜から光電変換層への電子の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する役割を果たす。正孔ブロック層は、電極膜から光電変換層への正孔の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。
図1に本発明の有機光電変換素子の代表的な素子構造を示すが、本発明はこの構造に限定されるものではない。図1の態様例においては、1が絶縁部、2が一方の電極膜、3が電子ブロック層、4が光電変換層、5が正孔ブロック層、6が他方の電極膜、7が絶縁基材又は他の有機光電変換素子をそれぞれ表す。図中には読み出し用のトランジスタを記載していないが、2又は6の電極膜と接続されていればよく、更には光電変換層4が透明であれば、光が入射する側とは反対側の電極膜の外側に成膜されていてもよい。有機光電変換素子への光の入射は、光電変換層4を除く構成要素が、光電変換層の主たる吸収波長の光を入射することを極度に阻害することがなければ、上部若しくは下部からの何れからでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。合成例に記載の化合物は、必要に応じて質量分析スペクトル、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、紫外可視吸収スペクトルにより構造を決定した。実施例・比較例中の有機光電変換素子の電流電圧の印加測定は、半導体パラメータアナライザ4200−SCS(ケースレーインスツルメンツ社製)を用いて行った。入射光の照射はPVL−3300(朝日分光社製)により、照射光強度130μW、半値幅20nmの光源で350nm乃至1100nmの範囲で測定を行った。
実施例1
[例示化合物1−91の合成]
例示化合物1−91の合成を下記スキームに従って行った。
Figure 2017137264
化合物11及び12の合成は、チエノ[3,2―b]チオフェンを原料に、類似の合成例(J. Med. Chem. 2010、53、2188―2196)を参考にして行った。又、化合物13の合成は既知の報告(J.Phys.Chem.C 2014、118、16536―16546)を参考に行った。
フラスコにチエノ[3,2―b]チオフェン(13.4mmol)、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と表す。)(180mL)を加え、窒素雰囲気下で反応系を0℃に冷却した。次いで、n−ブチルリチウム(28.1mmol)をゆっくり滴下し、30分攪拌した後、3,4−ジブトキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(26.8mmol)を加えた。反応系を室温に戻し、更に2時間攪拌した。反応系に希塩酸と水を加えてろ過し、ろ塊をエタノールで洗浄して黄色粉末の化合物11を得た。(4.1mmol、収率:31%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=8.11(s,2H),4.95(t,4H,J=6.4Hz),1.93−1.88(m,4H),1.56−1.51(m,4H),1.02(t,6H,J=7.6Hz)。EI−MS(m/z):444[M]
フラスコに化合物11(3mmol)、酢酸(68mL)、水(34mL)及び3N HCl(2mL)を加え2時間環流した。反応系を室温に戻した後、溶媒を減圧溜去し、残渣をノルマルヘキサンで洗浄し、目的の化合物12を褐色粉末として得た。(3mmol、収率:100%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ(ppm)=7.77(s,2H)。EI−MS(m/z):332[M]
フラスコに2,3,3−トリメチルインドレニン(5mmol)、1−ヨードヘキサン(10mmol)及びアセトニトリル(5mL)を加え、窒素雰囲気下で5時間環流した。反応後溶媒を減圧溜去し、残渣を再沈殿(アセトン、ノルマルヘキサン)により精製し、純白色の微結晶粉末である化合物13を得た。(3.6mmol、収率:72%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=7.59−7.55(m,4H),4.72(t,2H,J=7.6Hz),3.10(s,3H),1.96−1.90(m,2H),1.64(s,6H),1.52−1.46(m,2H),1.39−1.30(m,4H),0.87(t,3H,J=7.6Hz)。
フラスコに化合物12(0.27mmol),化合物13(0.54mmol)、ノルマルブチルアルコール(25mL)、トルエン(5mL)及びピリジン(0.1mL)を加え、5時間環流した。反応系を室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去して残渣をノルマルヘキサン、エタノール水溶液により繰り返し洗浄した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トリクロロメタン/エタノール)により精製し、深緑色粉末の化合物1−91を得た。(0.12mmol、収率:43%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=8.10(s,2H),7.52−7.46(m,6H),7.35−7.33(m,2H),6.64(s,2H),4.35(t,4H,J=7.2Hz),1.91−1.85(m,4H)1.83(s,12H),1.46−1.42(m,4H),1.35−1.27(m,8H),0.87(t,6H,J=7.2Hz)、λmax=785nm(THF,3.8×10−5mol/L)。
実施例1で得られた化合物1−91のTHF溶液中(3.8×10−5mol/L)における吸収スペクトルを図2に示す。
[実施例2]有機薄膜の作成と評価
実施例1で得られた化合物1−91をスピンコート法により成膜し、薄膜状態での吸収スペクトルを評価した。ガラス基板上に化合物1−91のクロロホルム溶液(2wt%)をスピンコート法(1000rpm、30秒)により成膜して、基板を100℃で30分間加熱乾燥した後、吸収スペクトルを測定した。その結果、化合物1−91の薄膜状態における主たる吸収帯は815nmに観測された。
[実施例3]有機光電変換素子の作製と評価
実施例1で得られた化合物1−91をスピンコート法により塗布、成膜して光電変換素子を作製し、その性能を評価した。化合物1−91をクロロホルムに溶解し、2wt%の濃度に調整した。該試料を光電変換層として、予め洗浄したITO透明導電ガラス(ジオマテック社製、ITO膜厚150nm)にスピンコート法(1000rpm、30秒)により成膜した。成膜した基板は100℃で30分間加熱乾燥した後、電極としてアルミニウムを100nm抵抗加熱真空蒸着した。以上の手順で本発明の有機光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、ITO透明導電ガラス側に0.5V電圧印加しながら、350nm乃至1000nmの光を照射したところ、主たるピークが870nmに観測された。
実施例3で作製した素子に2Vの電圧を印加し、870nm(130μW)の光を入射した際の電流の応答を図3に示す。光照射1秒後の光電流の値は1.59×10−6[A/cm]であった。この結果から、化合物1−91を光電変換層として用いた光電変換素子は、近赤外領域で十分に機能していることが認められた。
[比較例1]有機薄膜の作成と評価
本発明の化合物1−91と比較する為、チエノチオフェンを含まない類似化合物の薄膜を評価した。比較分子として2,4−ビス[8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル]スクアライン(東京化成工業株式会社製造)を用いた。ガラス基板上に2,4−ビス[8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル]スクアラインのクロロホルム溶液(2wt%)をスピンコート法(1000rpm、30秒)により成膜して、基板を100℃で30分間加熱乾燥した後、吸収スペクトルを測定した。その結果、2,4−ビス[8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル]スクアラインの薄膜状態における主たる吸収帯は681nmに観測された。
[比較例2]有機光電変換素子の作製と評価
2,4−ビス[8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル]スクアラインをクロロホルムに溶解し、2wt%の濃度に調整した。該試料を光電変換層として、予め洗浄したITO透明導電ガラス(ジオマテック社製、ITO膜厚150nm)にスピンコート法(1000rpm、30秒)により成膜した。成膜した基板は100℃で30分間加熱乾燥した後、電極としてアルミニウムを100nm抵抗加熱真空蒸着した。以上の手順で本発明の有機光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、ITO透明導電ガラス側に0.1V電圧印加しながら、350nm乃至1000nmの光を照射したところ、主たるピークが760nmに観測された。
比較例2で作製した素子に0.5Vの電圧を印加し、760nm(130μW)の光を入射した際の電流の応答を図4に示す。光照射1秒後の光電流の値は1.88×10−7[A/cm]であった。
実施例2より、本発明の有機化合物は、薄膜での主たる光の吸収帯が700nm以上であり、又スピンコート法により容易に成膜可能であることから、有機エレクトロニクスデバイスへの応用が可能な有機系の近赤外光吸収材料であると云える。加えて、実施例3で有機エレクトロニクスデバイスへの利用の可否を判定する為、光電変換素子に該色素を用いたところ、主たる光の吸収帯が700nm以上であり、然も有用な光電変換性能を示したのに対して、比較例2に用いた市販の類似化合物では光電変換性能が弱く、スピンコート膜をそのまま光電変換素子に用いることは難しい。
本発明の有機化合物、赤外吸収材料は、近赤外領域における吸収能と有機溶媒可溶性を兼ね備えた新規の色素であり、近赤外領域において動作する有機エレクトロニクスデバイス材料として効果的に用いることが出来る。
(図1)
1 絶縁部
2 上部電極
3 電子ブロック層
4 光電変換層
5 正孔ブロック層
6 下部電極
7 絶縁基材若しくは他光電変換素子

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される有機化合物。
    Figure 2017137264
    (上記式(1)中のR及びRは、其々独立に水素原子、炭素数1乃至12のアルキル基を示し、Z及びZは其々独立して5又は6員環の含窒素複素環を有する多環芳香族環を示す。R及びRで表される置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、フラニル基、チエニル基、チエノチエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基及びカルバゾリル基等の芳香族基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、置換アミノ基、非置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、アシル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、又はアルキルカルバモイル基を示す。)
  2. 下記式(2)で表される有機化合物。
    Figure 2017137264
    (上記式(2)中のZ及びZは其々独立して芳香族環を表す。R及びRは、其々独立に水素原子、炭素数1乃至12のアルキル基を表す。R5、、R、R、R及びR10は、其々独立して置換基を示し、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、フラニル基、チエニル基、チエノチエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、インドリル基及びカルバゾリル基等の芳香族基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、置換アミノ基、非置換アミノ基、シアノ基、スルホ基、アシル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、又はアルキルカルバモイル基を示す。)
  3. 請求項1又は請求項2に記載の有機化合物を含む赤外光吸収材料。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の有機化合物を含み、赤外光領域に吸収帯を有する薄膜。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の有機化合物を含む有機エレクトロニクスデバイス。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の有機化合物を含む光電変換素子。
  7. 薄膜又は固体状態において、光の吸収帯が700nm以上2500nm以下である請求項1又は請求項2に記載の有機化合物を用いた近赤外光電変換素子用材料。
  8. 光電流作用スペクトルにおけるピークが700nm以上2500nm以下である請求項1又は請求項2に記載の有機化合物を用いた近赤外光電変換素子用材料。

JP2016019786A 2016-02-04 2016-02-04 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用 Pending JP2017137264A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016019786A JP2017137264A (ja) 2016-02-04 2016-02-04 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016019786A JP2017137264A (ja) 2016-02-04 2016-02-04 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017137264A true JP2017137264A (ja) 2017-08-10

Family

ID=59565589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016019786A Pending JP2017137264A (ja) 2016-02-04 2016-02-04 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017137264A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019031456A1 (ja) 2017-08-10 2019-02-14 日本化薬株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
WO2020162345A1 (ja) * 2019-02-05 2020-08-13 日本化薬株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、有機薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0348686A (ja) * 1989-07-18 1991-03-01 Mitsui Toatsu Chem Inc チエノ〔3,2―b〕チエニリデンビスベンゾキノン類およびその製造方法
JP2007217581A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Osaka Prefecture Univ 環状化合物
JP2008308602A (ja) * 2007-06-15 2008-12-25 Fujifilm Corp スクアリリウム色素、その製造方法、該色素含有光電変換素子及び固体撮像素子
KR20100009235A (ko) * 2008-07-18 2010-01-27 나노캠텍주식회사 태양 전지 모듈용 시트 및 이를 포함한 태양전지 모듈
WO2010104117A1 (ja) * 2009-03-12 2010-09-16 新日鐵化学株式会社 色素増感太陽電池、光電変換素子及びそれに使用される色素
JP2011026389A (ja) * 2009-07-22 2011-02-10 Toyo Ink Mfg Co Ltd 光機能材料
JP2011228276A (ja) * 2010-03-31 2011-11-10 Fujifilm Corp 光電変換素子及び光電気化学電池
JP2015044994A (ja) * 2013-08-26 2015-03-12 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation ワックス可溶性近赤外染料を含有する相変化インク

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0348686A (ja) * 1989-07-18 1991-03-01 Mitsui Toatsu Chem Inc チエノ〔3,2―b〕チエニリデンビスベンゾキノン類およびその製造方法
JP2007217581A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Osaka Prefecture Univ 環状化合物
JP2008308602A (ja) * 2007-06-15 2008-12-25 Fujifilm Corp スクアリリウム色素、その製造方法、該色素含有光電変換素子及び固体撮像素子
KR20100009235A (ko) * 2008-07-18 2010-01-27 나노캠텍주식회사 태양 전지 모듈용 시트 및 이를 포함한 태양전지 모듈
WO2010104117A1 (ja) * 2009-03-12 2010-09-16 新日鐵化学株式会社 色素増感太陽電池、光電変換素子及びそれに使用される色素
JP2011026389A (ja) * 2009-07-22 2011-02-10 Toyo Ink Mfg Co Ltd 光機能材料
JP2011228276A (ja) * 2010-03-31 2011-11-10 Fujifilm Corp 光電変換素子及び光電気化学電池
JP2015044994A (ja) * 2013-08-26 2015-03-12 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation ワックス可溶性近赤外染料を含有する相変化インク

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BAE, S. H. ET AL.: "Near-IR organic sensitizers containing squaraine and phenothiazine units for dye-sensitized solar ce", DYES AND PIGMENTS, vol. 113, JPN6019013859, 2015, pages 18 - 26, ISSN: 0004131553 *
MAZAKI, Y. ET AL.: "Synthesis of tetrathieno-acene and pentathieno-acene: UV-spectral trend in a homologous series of th", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 30(25), JPN6019013861, 1989, pages 3315 - 3318, ISSN: 0004131554 *
YAGI, S. ET AL.: "The synthesis and optical properties of bis-squarylium dyes bearing arene and thiophene spacers", DYES AND PIGMENTS, vol. 77(3), JPN6019013856, 2008, pages 525 - 536, ISSN: 0004131551 *
中澄博行他: "Squarylium Functional Dyes Having Absorption Bands in a Wide Range of Wavelength and Applicability t", 有機合成化学協会誌, vol. 66(5), JPN6019013857, 2008, pages 477 - 487, ISSN: 0004131552 *

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019031456A1 (ja) 2017-08-10 2019-02-14 日本化薬株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
KR20200035051A (ko) 2017-08-10 2020-04-01 닛뽄 가야쿠 가부시키가이샤 디벤조피로메텐 붕소 킬레이트 화합물, 근적외광 흡수 재료, 박막 및 유기 일렉트로닉스 디바이스
US10749116B1 (en) 2017-08-10 2020-08-18 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Dibenzopyrromethene boron chelate compound, near-infrared light-absorbing material, thin-film, and organic electronic device
WO2020162345A1 (ja) * 2019-02-05 2020-08-13 日本化薬株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、有機薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
CN113286799A (zh) * 2019-02-05 2021-08-20 日本化药株式会社 二苯并吡咯甲川硼螯合物、近红外光吸收材料、有机薄膜及有机电子装置
JPWO2020162345A1 (ja) * 2019-02-05 2021-12-09 日本化薬株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、有機薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
JP7390320B2 (ja) 2019-02-05 2023-12-01 日本化薬株式会社 ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、有機薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6803362B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子
JP5938028B2 (ja) 光電変換素子およびその使用方法、光センサ、撮像素子
JP6844934B2 (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
CN110637023B (zh) 二苯并吡咯甲川硼螯合化合物、近红外光吸收材料、薄膜及有机电子装置
JP6618785B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
JP7433741B2 (ja) 光電変換素子、二次元センサ、画像センサおよび撮像装置
JP2018129510A (ja) 撮像素子用有機光電変換材料、これを用いた有機光電変換素素子及び有機撮像素子
JP6077426B2 (ja) 光電変換素子およびその使用方法、光センサ、撮像素子
JP2018123093A (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子
JP6864561B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
JP6862277B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
JP2017137264A (ja) 有機化合物、赤外光吸収材料及びその利用
US10147890B2 (en) Photoelectric conversion element, solid-state imaging device, organic light-absorbing material, and organic light-absorbing material intermediate
KR20210002584A (ko) 광전 변환 소자, 촬상 소자, 광 센서, 화합물
WO2015025717A1 (ja) 光電変換素子、光センサおよび撮像素子
JP7529213B2 (ja) ホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、薄膜及び有機エレクトロニクスデバイス
JP7177001B2 (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子
JP6759075B2 (ja) 撮像素子用光電変換素子用材料及びそれを含む光電変換素子
WO2022181439A1 (ja) ホウ素キレート化合物、近赤外光吸収材料、薄膜、光電変換素子、及び撮像素子
JP2017034112A (ja) 近赤外光電変換素子、光センサ及び近赤外光電変換素子用材料
JP2020189950A (ja) ジベンゾピロメテンホウ素キレート化合物、近赤外光吸収色素、光電変換素子、近赤外光センサー及び撮像素子
WO2017208965A1 (ja) 光電変換素子、二次元センサ、画像センサおよび撮像装置
TWI611594B (zh) 光電轉換元件、攝影元件、光感測器
WO2024166755A1 (ja) 光センサおよびそれを用いた表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190418

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191009