JP5749883B2 - 色素、これを用いた光電変換素子及び光電気化学電池 - Google Patents

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本発明は色素、色素によって増感された光電変換素子、及びそれを用いた光電気化学電池(色素増感型太陽電池)に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。この光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。中でも、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は燃料が不要であり、無尽蔵なクリーンエネルギーとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。この点、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められてきた。各国の政策的な配慮もあって普及が進んではいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループット及び分子修飾には自ずと限界がある。
上記のような課題を解決する次世代の技術として色素増感型太陽電池の研究が精力的に行われている。とくに、スイスのローザンヌ工科大学のGreatzel等がポーラス酸化チタン薄膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した色素増感型太陽電池を開発し、アモルファスシリコン並の変換効率を実現したことにより、一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
特許文献1〜3には、この技術を応用した、色素によって増感された半導体微粒子を用いた色素増感光電変換素子が記載されている。これにより比較的簡単な工程で素子を製造することができるという利点を有する。しかしながら、増感色素に用いられるルテニウム錯体色素は極めて高価である。またルテニウムは供給性に懸念があり、次世代のクリーンエネルギーを支える技術として本格的に対応するにはまだ十分といえず、むしろ実用化に向けた研究開発はその緒に就いたばかりである。このような理由から、廉価かつ資源的制約の小さい有機材料によって増感され、かつ十分な変換効率を有する光電変換素子の開発が望まれており、有機色素を増感剤として用いたものが報告され始めている(特許文献4参照)。
米国特許第5463057号明細書 米国特許第5525440号明細書 特開平7−249790号公報 特開2008−135197号公報
本発明の目的は、廉価な色素を用いて、変換効率の高い光電気化学電池を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の色素が、変換効率に影響する因子である太陽光を広い波長領域で吸収する能力と、受光電極への高い電子注入効率のいずれか、あるいは両方を満たすこと、そしてこれを増感色素として用いることで変換効率の高い光電気化学電池を提供することができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする色素、
Figure 0005749883
[一般式(1)中Xはベンゼン環と連結して七員環の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Yは色素残基を表し、nは1以上の整数を表す。Zは置換基を表し、mは0又は正の整数を表す。mが2以上の場合、Zは同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子または脂肪族基を表す。
ただし、YおよびZが、下記式(A)を含む基であることはなく、YおよびZが下記式(α)で表される基であることはなく、YおよびZ中に、下記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。
Figure 0005749883
式(A)において、Aはピリジニウム、キノリニウムまたはイソキノリニウムを表し、Yは無機または有機のアニオンを表す。
式(α)において、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、(C1−C60)アルキル、(C6−C60)アリール、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む(C3−C60)ヘテロアリール、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、トリ(C6−C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C60)ビシクロアルキル、(C2−C60)アルケニル、(C2−C60)アルキニル、シアノ、(C1−C60)アルキルアミノ、(C6−C60)アリールアミノ、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキルオキシ、(C1−C60)アルキルチオ、(C6−C60)アリールオキシ、(C6−C60)アリールチオ、(C1−C60)アルコキシカルボニル、(C1−C60)アルキルカルボニル、(C6−C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロもしくはヒドロキシルであるか、またはRとR及びRとRは、縮合環を含むかもしくは含まない(C3−C60)アルキレンもしくは(C3−C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環、または単環式もしくは多環式芳香族環を形成することができる。
式(β1)および(β2)において、R15乃至R20 互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1−C60)アルキル、(C6−C60)アリール、(C3−C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された一以上のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、トリ(C6−C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C60)ビシクロアルキル、(C2−C60)アルケニル、(C2−C60)アルキニル、(C1−C60)アルコキシ、シアノ、(C1−C60)アルキルアミノ、(C6−C60)アリールアミノ、(C6−C60)アル(C1−C60)アルキル、(C6−C60)アリールオキシ、(C6−C60)アリールチオ、(C1−C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロまたはヒドロキシルであるか、 15 乃至R20はそれぞれ、隣接した置換基と縮合環を含むか含まない(C3−C60)アルキレンまたは(C3−C60)アルケニレンにより連結され、脂環式環または単環若しくは多環の芳香族環を形成していてもよい。
ここで、式(β2)における下記構造部分の(γ)は、下記(γ−1)または(γ−2)である。]
Figure 0005749883
<2>前記一般式(1)で表される色素が、下記一般式(2)で表される構造を有することを特徴とする<1>記載の色素、
Figure 0005749883
Figure 0005749883
[一般式(2)において、Xはベンゼン環と連結して七員環の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R〜Rは水素原子、又は置換基を表し、置換基のうち少なくとも一つは一般式(3)で示される色素残基を表す。
一般式(3)においてR10、R11、及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。rは0以上の整数を示す。一般式(3)における炭素−炭素二重結合は、E型、又はZ型のいずれであってもよい。R12は、酸性基を少なくとも一つ有する基または酸性核を表す。
ただし、R〜R13は、前記式(A)を含む基であることはなく、R〜R13が前記式(α)で表される基であることはなく、R〜R13の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
<3>前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する色素が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする<1>又は<2>記載の色素、
Figure 0005749883
[一般式(4)において、R〜R、R〜R13は、それぞれ一般式(2)及び一般式(3)におけるR〜R、R〜R13と同義である。]
<4>前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する色素が、下記一般式(5)で表されることを特徴とする<1>又は<2>記載の色素、
Figure 0005749883
[一般式(5)において、R〜R13は、それぞれ一般式(2)及び一般式(3)におけるR〜R13と同義である。
一般式(5)において、R14は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又は複素環基を表す。
ただし、R14は、前記式(A)を含む基であることはなく、R14が前記式(α)で表される基であることはなく、R14の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
<5>前記一般式(1)又は(2)で表される構造を有する色素が、下記一般式(6)で表されることを特徴とする<1>又は<2>記載の色素、
Figure 0005749883
[一般式(6)において、R〜R、R、R、R〜R13は、それぞれ一般式(2)及び一般式(3)におけるR〜R、R、R、R〜R13と同義である。]
<6>R12が下記一般式(7)または一般式(8)で表されることを特徴とする<2>〜<5>のいずれか1項記載の色素、
Figure 0005749883
Figure 0005749883
Figure 0005749883
[一般式(7)においてR15、R16は、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(少なくとも1つの官能基は酸性基を有していてもよい)。lは0又は1を示す。一般式(7)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。一般式(7)中のR17は硫黄原子または一般式(9)を表し、一般式(9)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。
一般式(8)におけるR18、R19は、それぞれ独立に、シアノ基又は酸性基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。一般式(8)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。
一般式(9)におけるR20、R21は、それぞれ独立に、シアノ基又は酸性基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。一般式(9)における炭素−炭素二重結合は、E型Z型のいずれであってもよい。
ただし、R15、R16は、前記式(A)を含む基であることはなく、R15、R16が前記式(α)で表される基であることはなく、R15、R16の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。
また、R18〜R21における酸性基が、前記式(A)を含む基であることはなく、R18〜R21における酸性基が前記式(α)で表される基であることはなく、R18〜R21における酸性基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
<7>前記一般式(7)が下記一般式(10)で表されることを特徴とする<6>記載の色素、
Figure 0005749883
[一般式(10)においてR16は、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(酸性基を有していてもよい)。ただし、R16は、前記式(A)を含む基であることはなく、R16が前記式(α)で表される基であることはなく、R16の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
<8>前記R12が下記一般式(11)で表されることを特徴とする<2>〜<5>のいずれか1項記載の色素、
Figure 0005749883
[一般式(11)においてR15は、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(酸性基を有していてもよい)。ただし、R15は、前記式(A)を含む基であることはなく、R15が前記式(α)で表される基であることはなく、R15の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
<9>前記R12が下記一般式(12)で表されることを特徴とする<2>〜<5>のいずれか1項記載の色素、
Figure 0005749883
<10>受光電極が、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の色素によって増感される半導体微粒子を含有することを特徴とする光電変換素子、
<11>受光電極と対極との間に絶縁性の多孔体を有することを特徴とする<10>記載の光電変換素子、
<12>前記<10>〜<11>のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
本発明の色素は、光電変換素子ないし光電気化学電池の増感色素として用いたときの光電変換効率が高く、良好な特性を有する。また、増感色素にルテニウムを使用する必要がないため廉価で光電変換素子およびこれを用いた光電気化学電池を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一実施態様について模式的に示した断面図である。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、以下の4つの設計コンセプトを導入することで、光電変換効率が高く耐久性に優れた色素(色素化合物)を得ることができることを見出した。またその色素によって増感される半導体微粒子を含有する光電変換素子及びその光電変換素子を備えて構成された光電気化学電池が、高い光電変換効率を有することを見出した。
<設計コンセプト1>カチオンラジカルの非局在化を進めるために共役系の広がったドナー部位を導入することにより、色素の一電子酸化状態を安定化させた。
<設計コンセプト2>色素の吸収域を拡げ、色素からの酸化チタンへの電子注入効率を向上させることで、高い変換効率を得ることができると考えられる。そのために、吸収域拡大効果の高いアクセプター構造、電子注入効率の高いアクセプター構造のいずれか一方、または両構造を組み合わせたものを用いた。
<設計コンセプト3>従来色素は酸化チタン全表面積の1/3程度しか被覆していない可能性があり、吸着状態での色素配列を制御することにより吸着量を向上することが可能であると考えられる。そこで本発明者等は、色素のJ会合を積極的に促進する構造を導入した。J会合を積極的に促進する構造とは、COOH基などのアンカー部と反対側の位置に長鎖アルキル基やアリール基などの疎水性で電解質と親和性の高い基を配置する分子構造であることに加えて、色素分子の平面性が高く、分子共役平面の中央に立体的に平面から飛び出るような置換基を持つこと、もしくは分子のねじれなどによってこれと同様の効果をもたせることで、Brickstone構造、Staircase構造、もしくはLadder構造の配列を促進する構造を意味する。
Figure 0005749883
一般式(1)中、Xはベンゼン環と連結して含窒素七員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ここで非金属原子群とは、炭素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれた少なくとも1種が結合した原子群をいう。
Yは色素残基を表す。色素残基とは、一般式(1)のY以外の構造とともに全体として色素化合物を構成するのに必要な原子群を示す。例えば、Yによって形成される色素化合物としてはメロシアニン、ヘミシアニン、スチリル、オキソノール、シアニンなどのポリメチン色素、アクリジン、キサンテン、チオキサンテンなどを含むジアリールメチン、トリアリールメチン、クマリン、インドアニリン、インドフェノール、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジケトピロロピロール、インジゴ、アントラキノン、ペリレン、キナクリドン、ナフトキノン、ビピリジル、ターピリジル、テトラピリジル、フェナントロリンなどが挙げられる。好ましくは、ポリメチン色素、ポリアリール色素等が挙げられる。nは1以上の整数を表す。nの好ましい値は1〜2である。
Zは置換基を表し、脂肪族基、芳香族基、複素環基等が挙げられる。置換基の具体的な例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環等を挙げることができる。好ましい例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、置換アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)を挙げることができる。
mは0、又は正の整数を表す。Zで表される置換基は、mが2以上の場合、同一でも異なっていても良い。
は水素原子または脂肪族基を表す。Rの好ましい具体例としては、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)などが挙げられ、より好ましくは炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)が挙げられる。
Figure 0005749883
一般式(2)において、Xは連結するベンゼン環と含窒素七員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ここで非金属原子群とは、炭素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれた少なくとも1種が結合した原子群をいう。Rは水素原子または脂肪族基を表す。Rの好ましい具体例としては、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)などが挙げられ、より好ましくは炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)が挙げられる。R〜Rは水素原子、又は置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは一般式(3)で示される色素残基を表す。置換基の具体的な例は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環基等を示している。好ましい例は、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、置換アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)が挙げられる。
Figure 0005749883
一般式(3)中、R12は、酸性基を少なくとも一つ有する基、または酸性基が少なくとも一つ置換した酸性核を表す。
酸性核としてT.H.James著「The Theory of the photografic process. forth edition.」Macmillan publishing社,1977年刊の199ページに記載のものが挙げられる。
12に酸性基を少なくとも一つ有する場合、R12に同時に電子吸引基を有していることが好ましく、電子吸引基としては後述の効果(−I効果、−M効果)を持つ置換基が挙げられる。R12が酸性基と電子吸引基を同時に有する場合に、色素の励起状態の分子軌道と受光電極との重なりが大きくなるような効果を発揮するように、電子吸引基の種類や結合位置は適宜選択される。
一般に、電子吸引基は分子の特定の位置について電子密度を減弱させる。電子求引性あるいは電子供与性は単に電気陰性度の差だけでは説明できない。すなわち、誘起効果やメソメリー効果などが複合的に作用するので、芳香性や共役系の存在やトポロジー的な位置関係によって現れ方が変わってくる。これらの効果を、パラ及びメタ置換安息香酸の酸解離定数をもとに定量的に評価、予測する経験則としてハメット則が知られている。誘起効果の場合、電子求引性のものを−I効果、電子供与性のものを+I効果と表すが、炭素よりも電気陰性度の高い原子は−I効果を示す。また、アニオンは+I効果を、カチオンは−I効果を示す。メソメリー効果の場合は、電子求引性のものを−M効果、電子供与性のものを+M効果と表す。電子求引基の例を以下に示す。
誘起効果
(−I効果)
・−O > −N
・−N > −P > …
・−O > −S > …
・−N > −NO > −SOR > −SOR
・−SOR > −SO
・−N > −NR
・−O > −OR
・−S > −SR
・−F > −Cl > −Br > −I
・=O > =NR > =CR
・=O > −OR
・≡N > ≡CR
・≡N > =NR > −NR
・−C≡CR > −CR=CR > −CRCR
メソメリー効果
(−M効果)
・=N > =NR
・=O > =NR > =CR
・=S > =O > ≡N
酸性核として好ましくは、ロダニン核、ヒンダントイン、チオヒダントイン、バルビツール酸、ピラゾリジンジオン、ピラゾロン、インダンジオン等が挙げられる。これらは、カルボニル部分で脱水縮合した二つ以上の酸性核が連結したものを含んでも構わない。好ましくは。ロダニン、ヒンダントイン、チオヒダントイン、バルビツール酸、ピラゾリジンジオンが挙げられ、特に好ましくは、ロダニンが挙げられる。
12中に含まれる酸性基とはpKaが13以下のプロトン解離性基を表す。酸性基の好ましい具体例としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、リン酸エステル等が挙げられる。酸性基のさらに好ましい例は、カルボン酸が挙げられる。炭素−炭素二重結合は、E型、またはZ型のいずれであってもよい。
一般式(3)においてR10、R11、及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。rは0以上の整数を示す。一般式(3)における炭素−炭素二重結合は、E型、又はZ型のいずれであってもよい。R10、R11、及びR13は水素原子、脂肪族基、芳香族基、を好ましい例として挙げることができる。より好ましくは脂肪族基、芳香族基が例として挙げられる。
Figure 0005749883
一般式(4)は、一般式(1)中のXがエチレン基の場合であって、それにより含窒素七員環構造が形成されている。また窒素原子で置換されている一方のベンゼン環のパラ位に1つの色素残基を有している。
Figure 0005749883
一般式(5)は、含窒素七員環に炭素−炭素二重結合を有しており、色素残基を含窒素七員環上に有している。一般式(5)中、R14は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又は複素環基を表す。好ましくは、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル等)、置換アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ等)を挙げることができる。
Figure 0005749883
一般式(6)は、一般式(1)中のXがエチレン基の場合であって、それにより含窒素七員環構造が形成されている。また窒素原子で置換されている2つのベンゼン環のそれぞれのパラ位にそれぞれ1つずつ色素残基を有している。
一般式(3)〜(6)において、R12を下記一般式(7)又は一般式(8)とすることができる。
Figure 0005749883
Figure 0005749883
Figure 0005749883
一般式(7)においてR15、R16は、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(少なくとも1つの官能基は酸性基を有していてもよい)。lは0又は1を示す。一般式(7)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。一般式(7)中のR17は硫黄原子または一般式(9)を表す。
17が硫黄原子を示す場合、R15、R16の少なくとも一つは、酸性基を有する脂肪族基、芳香族基、複素環基であることが好ましく、それらは異なっていてもよい。酸性基の好ましい具体例としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、リン酸エステル等が挙げられる。酸性基のさらに好ましい例は、カルボン酸が挙げられる。炭素−炭素二重結合は、E型、またはZ型のいずれであってもよい。
一般式(9)において、R20、R21は、シアノ基または酸性基を表し互いに同一でも異なっていてもよい。酸性基の好ましい具体例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。酸性基のさらに好ましい例としては、カルボン酸基が挙げられる。一般式(9)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。
一般式(8)におけるR18、R19は、それぞれ独立に、シアノ基又は酸性基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。酸性基の好ましい具体例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。酸性基のさらに好ましい例は、カルボン酸基が挙げられる。一般式(8)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。
一般式(7)において、下記一般式(10)で示すものを使用することができる。ここでR16は、脂肪族基、芳香族基又は複素環基であり、酸性基を有してもよい。
Figure 0005749883
また一般式(3)〜(6)において、R12が下記一般式(11)とすることができる。
Figure 0005749883
一般式(11)においてR15は、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(酸性基を有していてもよい)。
また一般式(3)〜(6)において、R12が下記一般式(12)とすることができる。
Figure 0005749883
以下に、本発明の色素(色素化合物)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
なお、例示色素 A−48は参考例である。
Figure 0005749883
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本発明の色素は、溶液における最大吸収波長が、好ましくは350〜1000nmの範囲であり、より好ましくは370〜700nmの範囲であり、特に好ましくは390〜650nmの範囲である。
本発明の光電変換素子の具体例としては、光センサー、複写機、光電気化学電池を示し、好ましくは光電気化学電池が挙げられる。光電気化学電池において、本発明の色素は、増感色素として働く。
本発明の光電変換素子の好ましい実施態様を、図面を参照して説明する。図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、導電性支持体1上に設置される色素が吸着された多孔質半導体微粒子を有する感光層2、電荷移動層3及び対極4からなる。感光層2を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。この光電変換素子10を外部回路6で仕事をさせる電池用途に使用できるようにして、光電気化学電池(図示しない)として作動させることができる。
受光電極5は、導電性支持体1および導電性支持体上に塗設される色素21の吸着した半導体微粒子22の感光層(半導体膜層)2よりなる電極である。感光層2に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき色素21の分子は酸化体となっているが、電極上の電子が外部回路で仕事をしながら色素酸化体に戻るのが光電気化学電池であり、受光電極5はこの電池の負極として働く。
本発明において光電変換素子及び光電気化学電池に用いられる材料及び各部材の作製方法については、この種のものにおける通常のものを採用すればよく、例えば米国特許第5463057号明細書、米国特許第5525440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。以下、主たる部材について適宜図面を参照して説明する。
(A)導電性支持体
図1に示すように、本発明の光電変換素子においては、導電性支持体1を用いる。導電性支持体としては、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電膜層を有するガラスや高分子材料を使用することができる。導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。導電性支持体としては、ガラスや高分子材料に導電性の金属酸化物を塗設したものを使用することができる。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスや高分子材料の支持体1m2当たり、0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。好ましく使用される高分子材料の一例として、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。導電性支持体上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859記載の高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746記載のライトガイド機能が上げられる。
この他にも、金属支持体も好ましく使用することができる。その一例としては、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、銅を挙げることができる。これらの金属は合金であってもよい。さらに好ましくは、チタン、アルミニウム、銅が好ましく、特に好ましくは、チタンやアルミニウムである。
導電性支持体上には、紫外光を遮断する機能を持たせることが好ましい。例えば、特開2001−185242に記載の紫外光を可視光に変えることが出来る蛍光材料を透明支持体中または、透明支持体表面に存在させる方法が挙げられる。また、別の好ましい方法して、紫外線吸収剤を用いる方法も挙げられる。好ましい態様として例えば、特開平11−345991号公報、特開2002−25634号公報、特開2003−21769号公報、特開2004−227843号公報、特開2004−349129号公報、特開2002−134178号公報、及び特開2003−100358号公報に開示のものが挙げられる。
導電性支持体上には、特開平11−250944号公報、特開2003−308892号公報、及び特開2003−282163号公報に記載の機能を付与してもよい。
好ましい導電膜としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。好ましい導電膜の態様及び製法としては、特開2003−151355号公報、特開2004−311174号公報、特開2004−311175号公報、特開2004−311176号公報、特開2005−85699号公報、特開2005−85670号公報、特開2005−116391号公報、特開2003−323818号公報、特開2004−165080号公報、及び特開2005141981号公報に記載のものが挙げられる。
導電膜層の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは10Ω/cm2以下である。この下限に特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度である。
導電膜の抵抗値はセル面積が大きくなると大きくなる為、集電電極を配置してもよい。好ましい集電電極の形状及び材質としては、特開平11−266028号公報、特開2005−108467号公報、特開2003−203681号公報、特開2004−146425号公報、特開2004−128267号公報、特開2004−164970号公報、特開2004−327226号公報、特開2004−164950号公報、特開2005−78857号公報、特開2005−197176号公報、特開2004−164950号公報、特開2000−285977号公報、特開2002−314108号公報、及び特開2003−123858号公報が挙げられる。
特開2000−285974号公報に記載のように、支持体と透明導電膜の間にガスバリア膜及び/又はイオン拡散防止膜を配置しても良い。ガスバリア層としては、樹脂膜(例えば、特開2000−282163号公報、特開2005−142086号公報)または、無機膜(特開2005−142086号公報)のどちらでもよい。
また、特開2005−142084号公報または2005−142085号公報のように、透明電極と多孔質半導体電極光触媒含有層を設けてもよい。
透明導電層は積層構造でも良く、好ましい方法としてたとえば、ITO上にFTOを積層する特開2003−323818号公報に記載の方法の他、特開2005−44544号公報、特開2005−142088号公報、特開2005−19205号公報、特開2004−241228号公報、特開2004−319872号公報が挙げられる。
(B)半導体微粒子
図1に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に色素21が吸着された感光層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を前記の導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光層を製造することができる。
半導体微粒子としては、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子が用いられる。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
半導体には伝導に関わるキャリアーが電子であるn型とキャリアーが正孔であるp型が存在するが、本発明の素子ではn型を用いることが変換効率の点で好ましい。n型半導体には、不純物準位をもたず伝導帯電子と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半導体(あるいは真性半導体)の他に、不純物に由来する構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体が存在する。本発明で好ましく用いられるn型の無機半導体は、TiO、TiSrO、ZnO、Nb、SnO、WO、Si、CdS、CdSe、V、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO、FeS、PbS、InP、GaAs、CuInS、CuInSeなどである。これらのうち最も好ましいn型半導体はTiO、ZnO、SnO、WO、ならびにNbである。また、これらの半導体の複数を複合させた半導体材料も好ましく用いられる。
半導体微粒子の粒径は、半導体微粒子分散液の粘度を高く保つ目的で、一次粒子の平均粒径が2nm以上50nm以下であることが好ましく、また一次粒子の平均粒径が2nm以上30nm以下の超微粒子であることがより好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記の超微粒子に対して平均粒径が50nmを越える大きな粒子を、低含率で添加することもできる。この場合、大粒子の含率は、平均粒径が50nm以下の粒子の質量の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。上記の目的で添加混合する大粒子の平均粒径は、100nm以上が好ましく、250nm以上がより好ましい。
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル・ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル・ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル・ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル・ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル・ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル・ゲル法、ゲル・ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル・ゲル法として、バルべ等のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
この他に、半導体微粒子の製造方法として、例えば、チタニアナノ粒子の製造方法として好ましくは、四塩化チタンの火炎加水分解による方法(特表平06−511113号公報)、四塩化チタンの燃焼法(特開2003−327432号公報)、安定なカルコゲナイド錯体の加水分解(特開2001−85076号公報)、オルトチタン酸の加水分解(特開2004−161589号公報、特開2004−238213号公報)、可溶部と不溶部から半導体微粒子を形成後可溶部を溶解除去する方法(特開2002−246620号公報)、過酸化物水溶液の水熱合成(特開2003−92154号公報)、またはゾルゲル法によるコア/シェル構造の酸化チタン微粒子の製造方法(特開2004−10403号公報)が挙げられる。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、または、ルチル型があげられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。好ましい例として、特開平11−339867号公報、特開2001−43907号公報、特開2001−43907号公報に記載の例が挙げられる。また、好ましい酸化チタンの物性としては、欧州特許1338563(A2)号公報、米国特許2004−0161380号公報、米国特許第6075203号明細書、米国特許第6444189号明細書、米国特許第6720202号明細書、中国特許1540772(A)号公報、特開2001−283942号公報、及び特開2001−212457号公報に記載の例などが挙げられる。
チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合してもよい。好ましい例としては、特開2003−168495号公報、特開2003−251194号公報、特開2004−175586号公報、特開2004−175587号公報、特開2004−175588号公報、特開2004−311354号公報、特開2004−311355号公報、特開2004−319661号公報、及び特開2005−162584号公報に記載の例が挙げられる。
チタニアは、非金属元素などによりドーピングされていても良い。好ましい例としては、特開2000−235874号公報、特開2003−252624号公報、特開2002−25637号公報、特開2003−187881号公報、特開2003−187882号公報、特開2003−179244号公報、特開2004−87148号公報、特開2004−119279号公報、特開2005−93944号公報、特開2005−64493号公報、特開2003−257507号公報、及び特開2003−323920号公報に記載の例などが挙げられる。チタニアへの添加剤としてド―パント以外に、ネッキングを改善する為のバインダーや逆電子移動防止の為に表面へ添加剤を用いても良い。好ましい添加剤の例としては、ITO、SnO粒子(特開平11−283682号公報、特開2001−345125号公報)、ウイスカー(特開2003−163037号公報)、繊維状グラファイト・カーボンナノチューブ(特開2003−163037号公報)、酸化亜鉛ネッキング結合子(特開2003−273381号公報)、セルロース等の繊維状物質(特開2003−123861号公報)、金属(特開2000−285975号公報、特開2001−35551号公報)、有機シリコン(特開2000−294304号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸(特開2000−260493号公報)、シラン化合物等の電荷移動結合分子(特開2000−323192号公報、特開2001−102103号公報)、及び電位傾斜型デンドリマー(特開2004−213908号公報)などが挙げられる。
チタニア上の表面欠陥を除去するなどの目的で、色素吸着前にチタニアを酸塩基又は酸化還元処理しても良い。酸塩基処理の例としては、例えば特開2000−101106号公報、特開2002−293541号公報、特開2003−297441号公報、特開2003−297442号公報、特開2004−235240号公報などがあげられる。また、特開平08−81222号公報、特開2000−285980号公報、特開2004−158243号公報、及び特開2004−247104号公報等に記載のようにエッチング、酸化処理、過酸化水素処理、脱水素処理、UV−オゾン、酸素プラズマなどで処理してもよい。
(C)半導体微粒子分散液
本発明においては、半導体微粒子以外の固形分の含量が、半導体微粒子分散液全体の10質量%以下よりなる半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層を得ることができる。
半導体微粒子分散液を作製する方法としては、前述のゾル・ゲル法の他に、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法、微粒子に超音波などを照射して超微粒子に粉砕する方法、あるいはミルや乳鉢などを使って機械的に粉砕しすり潰す方法、等が挙げられる。分散溶媒としては、水および/または各種の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,シトロネロール,ターピネオールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。
分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤として少量用いてもよい。しかし、これらの分散助剤は、導電性支持体上へ製膜する工程の前に、ろ過法や分離膜を用いる方法、あるいは遠心分離法などによって大部分を除去しておくことが好ましい。半導体微粒子分散液は、半導体微粒子以外の固形分の含量が分散液全体の10質量%以下とすることができる。この濃度は好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは1%以下である。さらに好ましくは0.5%以下であり、特に好ましくは0.2%である。すなわち、半導体微粒子分散液中に、溶媒と半導体微粒子以外の固形分を半導体微分散液全体の10質量%以下とすることができる。実質的に半導体微粒子と分散溶媒のみからなることが好ましい。
半導体微粒子分散液の粘度が高すぎると分散液が凝集してしまい製膜することができず、逆に半導体微粒子分散液の粘度が低すぎると液が流れてしまい製膜することができないことがある。したがって分散液の粘度は、25℃で10〜300N・s/mが好ましい。さらに好ましくは、25℃で50〜200N・s/mである。
半導体微粒子分散液の塗布方法としては、アプリケーション系の方法としてローラ法、ディップ法等を使用することができる。またメータリング系の方法としてエアーナイフ法、ブレード法等を使用することができる。またアプリケーション系の方法とメータリング系の方法を同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号明細書、同2761419号明細書、同2761791号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機を使用してスピン法やスプレー法で塗布するのも好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。また本発明の半導体微粒子分散液は粘度が高く、粘稠性を有するため、凝集力が強いことがあり、塗布時に支持体とうまく馴染まない場合がある。このような場合に、UVオゾン処理で表面のクリーニングと親水化を行うことにより、塗布した半導体微粒子分散液と導電性支持体表面の結着力が増し、半導体微粒子分散液の塗布が行い易くなる。
半導体微粒子層全体の好ましい厚さは0.1〜100μmである。半導体微粒子層の厚さはさらに1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m当りの担持量は0.5g〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
塗布した半導体微粒子の層に対し、半導体微粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のため、また塗布した半導体微粒子分散液を乾燥させるために、加熱処理が施される。この加熱処理により多孔質半導体微粒子層を形成することができる。
また、加熱処理に加えて光のエネルギーを用いることもできる。例えば、半導体微粒子として酸化チタンを用いた場合に、紫外光のような半導体微粒子が吸収する光を与えることで表面を活性化してもよいし、レーザー光などで半導体微粒子表面のみを活性化することができる。半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射することで、粒子表面に吸着した不純物が粒子表面の活性化によって分解され、上記の目的のために好ましい状態とすることができる。加熱処理と紫外光を組み合わせる場合は、半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射しながら、加熱が100℃以上250℃以下あるいは好ましくは100℃以上150℃以下で行われることが好ましい。このように、半導体微粒子を光励起することによって、微粒子層内に混入した不純物を光分解により洗浄するとともに、微粒子の間の物理的接合を強めることができる。
また、半導体微粒子分散液を前記の導電性支持体に塗布し、加熱や光を照射する以外に他の処理を行ってもよい。好ましい方法として例えば、通電、化学的処理などが挙げられる。
塗布後に圧力をかけても良く、圧力をかける方法としては、特表2003−500857号公報、特開2002−93475号公報、特開2003−282160号公報、及び特開2004−214129号公報が挙げられる。光照射の例としては、特開2001−357896号公報、特開平11−219734号公報、特開2004−314313号公報、特開2005−142446号公報、特開2001−247314号公報が挙げられる。プラズマ・マイクロ波・通電の例としては、特開2002−353453号公報、特開2003−308893号公報、特開2004−265662号公報、特開2004−327369号公報、特開2004−342319号公報、特開2005−116415号公報、特開2005−139498号公報、及び特開2004−273770号公報が挙げられる。化学的処理としては、例えば特開2001−357896号公報、特開2002−280327号公報、特開2003−281947号公報、特表2005−520314号公報、特開2003−297442号公報が挙げられる。
上述の半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法は、半導体微粒子分散液を導電性支持体上に塗布する方法、特許第2664194号公報に記載の半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し空気中の水分によって加水分解して半導体微粒子膜を得る方法などの(1)湿式法に含まれる。湿式法の製造方法としては、上述の方法のほかに、半導体微粒子の分散液を作成する方法としては乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられるが、好ましくは、特開平11−144772号公報、特開2005−100792号公報、欧州特許1300897(A1)号公報、特開2002−324591号公報、特開2002−145615号公報、特開2003−176130号公報、及び特開2004−79610号公報が挙げられる。(1)湿式法の塗布液の分散媒としては水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、t−ブタノール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられるが、好ましくは、特表平06−511113号公報、中国特許144292号公報、特開平11−11912号公報、特開2000−294814号公報、特開2000−319018号公報、特開2000−319018号公報、特開2000−319018号公報、特開2002−145614号公報、特開2002−75477号公報、特開2004−193321号公報、WO02/067357号公報、特開2004−207205号公報、特開2004−111348号公報、特開2004−186144号公報、特開2003−282162号公報、特開2005−142011号公報、特開2005−174695号公報、特開2005−85500号公報、特開平11−343118号公報、特開平11−354169号公報、特開2000−106222号公報、特開2003−246621号公報、特開2003−51345号公報、特開2004−158551号公報、特開2001−358348号公報、特開2003−217693号公報などが挙げられる。。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレート剤などを分散助剤として少量であれば用いてもよい。
半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法として、上述の(1)湿式法とともに、(2)乾式法、(3)その他の方法を併用しても良い。
(2)乾式法として好ましくは、特開2000−231943号公報、特開2002−170602号公報、特開2001−345124号公報、特開2003−197280号公報、特開2003−123854号公報、特開2003−123852号公報、特開2003−123853号公報、特開2005−39013号公報、特開2004−39286号公報、特開2005−104760号公報が挙げられる。
(3)その他の方法として、好ましくは、特開2002−134435号公報、米国特許2004/0123896号公報、特開2004−327265号公報、特開342397号公報、特公表2003−500857号公報、特開2005−85491号公報、特開2003−98977号公報、特開2002−299665号公報、特開2003−243053号公報、特開2004−253331号公報、特開平11−310898号公報、特開2003−257507号公報、特開2003−323920号公報、米国特許2004/0084080号公報、米国特許2004/0121068号公報、特開2004−319873号公報、特開平10−112337号公報、特開平11−6098号公報、特開2000−178791号公報、特開2000−178792号公報、特開2004−103420号公報、及び特開2003−301283号公報が挙げられる。
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子を支持体上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。好ましい半導体微粒子の構造としては、特開2001−93591号公報、特開2001−257012号公報、特開2001−196106号公報、特開2001−273936号公報、及び欧州特許1207572(A1)公報が挙げられる。
一般に、半導体微粒子の層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100〜800℃の温度で10分〜10時間加熱してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400〜600℃が好ましい。
支持体として高分子材料を用いる場合、250℃以下で製膜後加熱することが好ましい。その場合の製膜方法としては、(1)湿式法、(2)乾式法、(3)電気泳動法(電析法を含む)の何れでも良く、好ましくは、(1)湿式法、又は(2)乾式であり、更に好ましくは、(1)湿式法である。
湿式法とは、半導体層又はその前駆体を湿式で塗布するなどして、プラスティックフイルム上に膜を形成しそれを更に活性化する方法であり、例えば、特開平10−290018号公報に記載の半導体と導電性化合物の混合物を低温で加熱する方法、前駆体を用いる方法(前駆体として例えば、特開2001−110462号公報記載の(NHTiF、特開2001−247314号公報記載の過酸化チタン、特開平11−219734号公報記載の金属アルコキシド・金属錯体・金属有機酸塩が挙げられる。)、特表2005−520314号公報記載の金属有機酸化物(アルコキシドなど)を共存させたスラリーを塗布し加熱処理、光処理などで半導体膜を形成する方法、特開2003−2819847号公報記載の無機系前駆体を共存させたスラリー、及び特開2005−056627号公報記載のスラリーのpHと分散させたチタニア粒子の性状を特定した方法が挙げられる。
これらスラリーには、少量であればバインダーを添加しても良く、バインダーとしては、例えば、特開2003−109678号公報、または特開2003−123861号公報記載のセルロース、特開2003−272722号公報記載のフッ素ポリマー、特開2004−47261号公報記載の架橋ゴム、特表2005−516365号公報記載のポリブチルチタネート、及び特開2005−135798号公報記載のカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
半導体又はその前駆体層の形成に関する技術としては、特開2003−308890号公報記載のコロナ放電、プラズマ、UVなどの物理的な方法で親水化する方法、アルカリ(特開2004−119120号公報)やポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸(特開2005−169228号公報)などによる化学処理、特開2003−297443号公報記載のポリアニリンなどの接合用中間膜の形成などが挙げられる。
乾式法としては、蒸着やスパッタリング、エアロゾルデポジション法などがあげられ、好ましくは、特開2005−39013号公報、特開2004−074609号公報、特許第3265481号、特開2003−100359号公報、及び特開2004−39286号公報記載の方法が挙げられる。
また、特開2002−100146号公報、及び特開2004−311354号公報記載の電気泳動法・電析法を用いても良い。
また、耐熱基板上でいったん塗膜を作製した後、プラスチック等のフィルムに転写する方法を用いても良い。好ましくは、特開2002−184475号公報記載のEVAを介して転写する方法、特開2003−98977号公報記載の紫外線、水系溶媒で除去可能な無機塩を含む犠牲基盤上に半導体層・導電層を形成後、有機基板に転写後、犠牲基板を除去する方法などが挙げられる。
なお、半導体微粒子の支持体1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
(D)感光層
光電変換素子は、前記の導電性支持体上に、前記の半導体微粒子分散液を塗布し加熱して得られた多孔質半導体微粒子層に、本発明の色素を吸着することにより、感光層を得ることができる。感光層は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の感光層中の色素は一種類でも多種の混合でもよいが、そのうちの少なくとも1種は、前記の本発明の色素を用いる。本発明方法により製造される光電変換素子の感光層には、この色素が吸着した半導体微粒子を含み、感度が高く、光電気化学電池として使用する場合に、高い変換効率を得ることができる。
本発明の色素(色素化合物)は、例えば、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds−Cynaine Dyes and Related Compounds」John Willey & Sons社,NewYork and London,1994年刊などに記載、引用もしくはこれらに類似の方法により合成することができる。
半導体微粒子に色素を吸着させるには、溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液の中に、よく乾燥した半導体微粒子を長時間浸漬するのが好ましい。色素吸着用色素溶液に使用される溶液は、本発明の色素が溶解できる溶液なら特に制限なく使用することができる。例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、トルエン、t-ブタノール、アセトニトリル、アセトン、n-ブタノールなどを使用することができる。その中でも、エタノール、トルエンを好ましく使用することができる。
溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液は必要に応じて50℃ないし100℃に加熱してもよい。色素の吸着は半導体微粒子の塗布前に行っても塗布後に行ってもよい。また、半導体微粒子と色素を同時に塗布して吸着させてもよい。未吸着の色素は洗浄によって除去する。塗布膜の焼成を行う場合は色素の吸着は焼成後に行うことが好ましい。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく色素を吸着させるのが特に好ましい。吸着する色素は1種類でもよいし、数種混合して用いてもよい。混合する場合、本発明の色素を2種以上混合してもよいし、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号の各明細書、および特開平7−249790号公報に記載の錯体色素と本発明の色素を混合してもよい。光電変換の波長域をできるだけ広くするように、混合する色素が選ばれる。色素を混合する場合は、すべての色素が溶解するようにして、色素吸着用色素溶液とすることが必要である。
色素の使用量は、全体で、支持体1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。この場合、本発明の色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。
また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸、ピバロイル酸)等が挙げられる。
色素を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
以下、電荷移動層および対向電極について詳しく説明する。電荷移動層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極と対極との間に設けられる。代表的な例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
酸化還元対としては、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。これらを溶かす有機溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)、特開2002−110262記載の含水電解液、特開2000−36332号公報、特開2000−243134号公報、及び再公表WO/00−54361号公報記載の電解質溶媒などが挙げられるが、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンが好ましい。
電解質への添加物として、前述の4−tert−ブチルピリジンのほか、特開2003−331986号公報記載のピリジン及びピリジン系化合物、特開2004−47229号公報、特開2004−171821号公報などに記載のアミノピリジン系化合物、特開2004−273272号公報のベンズイミダゾール系化合物、特開2005−38711号公報記載のアミノトリアゾール系化合物及びアミノチアゾール系化合物、特開2005−108663号公報記載のイミダゾール系化合物、キノリン系化合物(特開2005−135782号公報)、アミノトリアジン系化合物(特開2005−183166号公報)、尿素誘導体(特開2003−168493号公報)、アミド化合物(特開2004−103404号公報)、ピリミジン系化合物(特開2004−247158号公報)、及び窒素を含まない複素環(特開2005−166612号公報、特開2005−166613号公報、及び特開2005−16615号公報)が挙げられる。
また、効率を向上する為に、電解液の水分を制御する方法をとっても良い。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法(特開2000−323189号公報、特開2001−76774号公報)、脱水剤を共存させる方法(特開2002−237335号公報、特開2002−237335号公報)などが挙げられる。
特開2004−235011号公報に記載のごとくヨウ素の毒性軽減のために、ヨウ素とシクロデキストリンの包摂化合物を使用してもよく、特開2003−25709号公報記載のように逆に水分を常時補給する方法を用いても良い。特許第3462115号記載のように環状アミジンを用いても良く、酸化防止剤(特開2004−39292号公報)、加水分解防止剤(特開2004−111276号公報)、分解防止剤(特開2004−111277号公報)、及びヨウ化亜鉛(特開2004−152613号公報)を加えてもよい。
電解質として溶融塩を用いても良く、好ましい溶融塩としては、イミダゾリウム又はトリアゾリウム型陽イオンを含むイオン性液体(特表平09−507334号公報、特開平08−259543号公報、特開2003−031270号公報、特開2005−112733号公報、特開2005−116367号公報、特開2005−112733号公報、特開2003−68374号公報、特開2003−92153号公報、特開2004−241378号公報、特開2005−85587号公報、特開2004−87387号公報)、オキサゾリウム系(特開2000−53662号公報)、ピリジニウム系(特開2000−58891号公報、特開2001−23705号公報、特開2001−167630号公報、特開2001−256828号公報、特開2001−266962号公報)、グアニジウム系(特開2001−35253号公報)、およびこれらの組み合わせ(特開2000−90991号公報、特開2001−35552号公報)が挙げられる。これらカチオン系に対して特定のアニオンと組み合わせても良く、例えば、特開2002−75442号公報、特開2001−75443号公報、特開2002−170426号公報、特開2002−298913号公報、特開2002−367426号公報、特開2003−017148号公報などが挙げられる。これらの溶融塩に対しては添加物を加えても良く、好ましい添加物としては、特開2001−67931号公報、特開2001−160427号公報、特開2002−289267号公報、特開2002−289268号公報、特開2000−90991号公報、特開2000−100485号公報、特開2001−283943号公報)などに記載のものなどが挙げられる。特開2002−319314号公報又は特開2002−343440号公報のごとく液晶性の置換基を持っていてもよい。また、特開2005−104845号公報、特開2005−104846号公報、特開2005−179254号公報などに記載の四級アンモニウム塩系の溶融塩を用いても良い。
これら以外の溶融塩としては、例えば特開2005−139100号公報、特開2005−145927号公報、及びヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)にポリエチレンオキシドを混合することにより、室温での流動性を付与したもの等が挙げられる。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。また、γ−ブチロラクトンを電解液に含んでいてもよく、これによりヨウ化物イオンの拡散効率が高くなり変換効率が向上する。
電解質と溶媒からなる電解液にゲル化剤を添加してゲル化させることにより、電解質を擬固体化しても良い。ゲル化剤としては、分子量1000以下の有機化合物(特開平11−185836号公報、特開2000−36608号公報、特開2000−58140号公報)、分子量500−5000の範囲のSi含有化合物(特開2003−203520号公報)、特定の酸性化合物と塩基性化合物から出来る有機塩(特開2003−203520号公報)、ソルビトール誘導体(特開2003−346928号公報)、ポリビニルピリジン(特開2004−227920号公報、特開2005−093370号公報)が挙げられる。
また、マトリックス高分子、架橋型高分子化合物又はモノマー、架橋剤、電解質及び溶媒を高分子中に閉じ込める方法を用いても良い。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子及びこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体(特開平11−126917号公報、及び特開2000−86724号公報など)、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子(特開2000−251532号公報)、液晶性化合物を含むもの(特開2000−319260号公報、特開2002−246066号公報)、エーテル結合を有する高分子(特開2000−150006号公報、特開2002−63813号公報、特開2001−338700号公報、特開2002−75480号公報)、ポリフッ化ビニリデン系(特開2003−303628号公報)、メタクリレート・アクリレート系(特開2001−28276号公報、特開2001−210390号公報)、熱硬化性樹脂(特開2002−363414号公報、特開2002−305041号公報)、架橋ポリシロキサン(特開2002−216861号公報)、PVA(特開2002−175841号公報)、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物(特開2004−327271号公報)、含酸素または含硫黄高分子(特開2005−108845号公報)を添加した系、天然高分子(特開2005−71688号公報)などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子(特開2002−175482号公報)、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子(特開2005−63791号公報)などを添加しても良い。
マトリックスポリマーとして2官能以上のイソシアネートを一方の成分として、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基と反応させた架橋ポリマーを含む系を用いても良い。この例として例えば、特開2000−228234号公報、特開2002−184478号公報、特開2002−289271号公報、及び特開2003−303630号公報)が挙げられる。また、ヒドロシリル基と二重結合性化合物による架橋高分子(特開2003−59548号公報)、ポリスルホン酸又はポリカルボン酸などを2価以上の金属イオン化合物と反応させる架橋方法(特開2003−86258号公報)などを用いても良い。
上記擬固体の電解質との組み合わせで好ましく用いることが出来る溶媒としては、特定のリン酸エステル(特開2000−100486号公報、特開2003−16833号公報)、エチレンカーボネートを含む混合溶媒(特開2004−87202号公報)、特定の比誘電率を持つ溶媒(特開2004−335366号公報)、及び特開2003−16833号公報及び特開2003−264011号公報に記載の溶媒などが挙げられる。
固体電解質膜あるいは細孔に液体電解質溶液を保持させても良く、その方法として好ましくは、導電性高分子膜(特開平11−339866号公報)、繊維状固体(特開2000−357544号公報)、フィルタなどの布上固体(特開2001−345125号公報)が挙げられる。特開2003−157914号公報記載のゲル電解質と導電性樹脂対極の特定の組み合わせを用いても良い。
以上の液体電解質及び擬固体電解質の代わりにp型半導体あるいは正孔輸送材料などの固体電荷輸送系を用いても良い。P型半導体として好ましくは、CuI(特開2001−156314号公報、特開2001−185743号公報、特開2001−185743号公報、特開2001−230434号公報、特開2003−273381号公報、特開2003−234485号公報、特開2003−243681号公報、特開2003−234486号公報)、CuSCN、及びp−SbAl(特開2003−258284号公報)が挙げられる。これら正孔輸送材料の製造方法としてこのましくは、特開2003−331938号公報、特開2001−168359号公報、特開2001−196612号公報、特開2001−257370号公報、特開2002−246623号公報、特開2002−246624号公報、及び特開2003−289151号公報が挙げられる。
本発明の色素を吸着させた半導体微粒子の感光層に隣接して、正孔輸送体が設けられた積層体を用いることにより、変換効率が高い光電気化学電池を得ることができる。正孔輸送体としては特に制限されないが、有機正孔輸送材を使用することができる。正孔輸送体として好ましくは、ポリチオフェン(特開2000−106223号公報、特開2003−364304号公報)、ポリアニリン(特開2003−264304号公報)、ポリピロール(特開2000−106224号公報、特開2003−264304号公報)、及びポリシラン(特開2001−53555号公報、特開2001−203377号公報)などの導電性高分子、及び2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心元素を共有するスピロ化合物(特表平11−513522号公報、特表2001−525108号公報)、トリアリールアミンなどの芳香族アミン誘導体(特開平11−144773号公報、特開平11−339868号公報、特開2003−123856号公報、特開2003−197942号公報、特開2004−356281号公報)、トリフェニレン誘導体(特開平11−176489号公報)、含窒素複素環誘導体(特開2001−85077号公報、特開2001−85713号公報)、液晶性シアノ誘導体(特許第3505381号)が挙げられる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度が必要である。好ましい濃度としては合計で0.01モル/l以上であり、より好ましくは0.1モル/lであり、特に好ましくは0.3モル/l以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/l程度である。
対向電極は、光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。対向電極の材料としては、白金、カーボン、導電性ポリマー、などがあげられる。好ましい例としては、白金(特開2001−102102号公報)、カーボン(特開2002−298936号公報、特開2003−297446号公報、特開2004−127849号公報、特開2004−152747号公報、特開2004−165015号公報、特開2004−111216号公報、特開2004−241228号公報、特開2004−319872号公報)、導電性ポリマー(特開2003−317814号公報、特開2004−319131号公報、特開2005−116301号公報)が挙げられるが、特開2001−43908号公報、特開2003−142168号公報、特開2004−127849号公報、特開2004−152747号公報の例で示されるものを用いても良い。
対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。好ましい例としては、特開平10−505192号公報、特開2004−296669号公報、特開2005−11609号公報、特開2005−141996号公報、特開2005−142090号公報、特開2005−158470号公報、特開2000−348784号公報、特開2005−158379号公報、特開2000−294305号公報、特開2001−243995号公報、特開2004−241228号公報、特開2004−296203号公報、特開2004−319872号公報、特開2005−197097号公報の例などが挙げられる。
受光電極は酸化チタンと酸化スズ(TiO/SnO)などの複合電極を用いても良く、チタニアの混合電極として例えば、特開2000−113913号公報、特開2004−95387号公報、特開2001−155791号公報、特開2003−272723号公報、特開平05−504023号公報、特開2000−114563号公報、特開2002−75476号公報、特開2002−8741号公報、中国特許1350334(A)号公報、特開2003−272724号公報、特開2003−308891号公報、特開2005−174934号公報、特開2001−358348号公報、特開2003−123862号公報、特開2004−103420号公報、特開2005−39013号公報及び特開2003−317815号公報が挙げられる。チタニア以外の混合電極として例えば、特開2001−185243号公報、特開2003−282164号公報、特開2003−289151号公報、特開2003−321299号公報、特開2002−93471号公報、特開2002−141115号公報、特開2002−184476号公報、特開2002−356400号公報、特開2002−246623号公報、特開2002−246624号公報、特開2002−261303号公報、特開2003−243053号公報、特開2004−6235号公報、特開2003−323920号公報、特開2004−277197号公報、特開2004−210605号公報、特開2005−135798号公報、特開2005−135799号公報、特開2001−196105号公報、特開2002−100418号公報、特開2002−100419号公報、特開2002−280084号公報、特開2003−272724号公報、特開2004−124124号公報、特開平09−237641号公報、特開平11−273755号公報、特開2004−247105号公報が挙げられる。
受光電極は、入射光の利用率を高めるなどのためにタンデム型にしても良い。好ましいタンデム型の構成例としては、特開2002−90989号公報、特開2002−222971号公報、特開2003−168496号公報、特開2003−249275号公報、特開2005−166313号公報、特開平11−273753号公報、特開2002−167808号公報、特開2005−129259号公報、特開2002−231324号公報、特開2005−158620号公報、特開2005−158621号公報、特開2005−191137号公報、特開2003−333757号公報に記載の例が挙げられる。
受光電極層内部で光散乱、反射を効率的に行う光マネージメント機能を設けてもよい。好ましくは、特開2002−93476号公報、特開2004−296373号公報、特開2002−352868号公報、特開2003−142170号公報、特開2003−59549号公報、特開2002−289274号公報、特開2002−222968号公報、特開2003−217688号公報、特開2004−172110号公報、特開2003−303629号公報、特開2004−343071号公報、特開2005−116302号公報、特開平09−259943号公報、特開平10−255863号公報、特開2003−142171号公報、特開2002−110261号公報、及び特開2004−311197号公報が挙げられる。
導電性支持体と多孔質半導体微粒子層の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止する為、短絡防止層を形成することが好ましい。好ましい例としては、特開平06−507999号公報、特開平06−51113号公報、特開2000−178792号公報、特開平11−312541号公報、特開2000−285974号公報、特開2000−285979号公報、特開2001−143771号公報、特開2001156314号公報、特開2001−307785号公報、特開2002−151168号公報、特開2002−75471号公報、特開2003−163359号公報、特開2003−163360号公報、特開2003−123856号公報、WO03/038909号公報、特開2002−289270号公報、特開2002−319439号公報、特開2003−297443号公報、特開2004−87622号公報、特開2003−331934号公報、特開2003−243054号公報、特開2004−319130号公報、特開2004−363069号公報、特開2005−71956号公報、特開2005−108807号公報、特開2005−108836号公報、特開2005−142087号公報が挙げられる。
受光電極と対極の接触を防ぐ為に、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。好ましい例としては、特開2001−283941号公報、特開2003−187883号公報、特開2000−294306号公報、特開2002−175844号公報、特開2002−367686号公報、特開2004−253333号公報が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例)
<例示色素A−1の調製>
下記の方法により例示色素A−1を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−1aの調製
10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン15.0gと1−ヨードヘキサン21.0gとをDMF60mlに加え、室温で攪拌しこれらを溶解させた後に氷冷した。次に50〜70%水素化ナトリウム7.5gを分割添加し、内温10℃以下で1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を滴下し残存している水素化ナトリウムを失活させ、ヘキサンを加えて分液し、有機層を濃縮、カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−1a 18.3gを得た。
(2)化合物A−1bの調製
DMF 60mlに氷冷下でオキシ塩化リン20mlを加え30分攪拌し、化合物A−1a 9.5gをこれに加え60℃に加温し3時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−1b 9.4gを得た。
(3)化合物A−1cの調製
化合物A−1b 2.0gとメチルトリフェニルホスホニウムヨージド3.2gとをDMF20mlに加え、室温で撹拌し溶解させた後に、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 1.5gを滴下した。その後、60℃に加温し2時間撹拌した。その後放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−1c 1.9gを得た。
(4)化合物A−1dの調製
DMF 10mlに氷冷下オキシ塩化リン5mlを加え30分攪拌し、化合物A−1c 1.9gをこれに加え60℃に加温し3時間攪拌した。その後放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−1d 2.0gを得た。
(5)化合物A−1の合成
酢酸 20mlにA−1d 1.0g、シアノ酢酸 0.25gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.5gを加え、90℃に加温し3時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−1 0.6gを得た。
<例示色素A−4の調製>
下記の方法により例示色素A−4を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−4aの調製
DMF 30mlに氷冷下オキシ塩化リン15mlを加え30分攪拌し、化合物A−1b 5.8gをこれに加え60℃に加温し4時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌した。反応液を、氷冷下10%水酸化ナトリウム水溶液に滴下し1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−1b 3.3gを得た。
(3)化合物A−4bの調製
化合物A−4a 1.7gとメチルトリフェニルホスホニウムヨージド4.9gとをDMF20mlに加え、室温で撹拌してこれらを溶解させた後に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 2.3gを滴下した。その後、60℃に加温し2時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて抽出を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−4b 1.4gを得た。
(4)化合物A−4cの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−4b 1.3gをこれに加え60℃に加温し2時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌した。反応液を、氷冷下10%水酸化ナトリウム水溶液に滴下し1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−4c 1.5gを得た。
(5)化合物A−4の合成
酢酸 20mlにA−4c 1.4g、シアノ酢酸 0.6gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 1.1gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−4 1.5gを得た。
<例示色素A−5の調製>
下記に示すように、別途調製した中間体B−1をA−1dと反応させることにより、例示色素A−5を調製した。
Figure 0005749883
(1)中間体B−1の調製
(i)化合物B−1aの調製
DMF 30mlにシアノ酢酸t−ブチル8.5gとイソチオシアン酸4−メトキシフェニル 10.0gを加え、氷浴化撹拌した後、DBU 9.7gを滴下した。4時間撹拌後、ブロモ酢酸エチル 10.1gを加え、65℃に加温した。4時間撹拌した後、放冷し室温にした。水を加え、析出した結晶をろ過しB−1a 19.7gを得た。
(ii)中間体B−1の調製
TFA10mlにB−1a 1.1gを加え室温で1時間撹拌した後、反応液に水を加え析出した結晶をろ過した。これを再結晶により精製し中間体B−1 0.8gを得た。
(2)例示色素A−5の調製
酢酸 20mlにA−1d 1.7 g、中間体B−1 1.5gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム0.7gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−5 1.5gを得た。
<例示色素A−8の調製>
下記の方法により例示色素A−8を調製した。
Figure 0005749883
化合物A−1b 1.0gと3−カルボキシメチルロダニン0.6gとを酢酸20mlに室温で攪拌し溶解させた。これに酢酸アンモニウム0.5gを加え90℃で4時間加温攪拌した。冷却後水を加え、析出した結晶を濾取し、MeOH/CHCl系で再結晶することでA−1 1.0gを得た。
<例示色素A−26の調製>
下記の方法により例示色素A−26を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−26aの調製
10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン5.0gと1−ヨードデカン10.3gとをDMF20mlに室温で攪拌し溶解させた後に氷冷した。50〜70%水素化ナトリウム2.5gを分割添加し、内温10℃以下で3.0時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を滴下し残存している水素化ナトリウムを失活させ、ヘキサンを加えて分液し、有機層を濃縮、カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−26a 8.6gを得た。
(2)化合物A−26bの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−24a 3.5gをこれに加え60℃に加温し2.5時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−26b 2.0gを得た。
(3)化合物A−26cの調製
化合物A−26b 2.2gとメチルトリフェニルホスホニウムヨージド2.9gとをDMF20mlに室温で撹拌し、これらを溶解させた後に28%ナトリウムメトキシドMのメタノール溶液 1.4gを滴下した。その後、60℃に加温し3時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加え抽出後、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−26c 2.0gを得た。
(4)化合物A−26dの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−26c 2.0gをこれに加え60℃に加温し0.5時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−26d 2.1gを得た。
(5)例示色素A−26の合成
AcOH 20mlにA−24d 1.5g、シアノ酢酸 0.3gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.6gを加え、90℃に加温し5時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−26 0.6gを得た。
<例示色素A−3の調製>
下記の方法により例示色素A−3を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−3aの調製
10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン5.0gと1−ヨードオクタデカン12.7gとをDMF20mlに室温で攪拌し、これらを溶解させた後に氷冷した。50〜70%水素化ナトリウム2.5gを分割添加し内温10℃以下で0.5時間攪拌した後、室温でさらに3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を滴下し残存している水素化ナトリウムを失活させ、ヘキサンを加えて分液し、有機層を濃縮、カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−3a 7.7を得た。
(2)化合物A−3bの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−3a 5.0gをこれに加え60℃に加温し7時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−3b 4.6gを得た。
(3)化合物A−3cの調製
化合物A−3b 4.5gとメチルトリフェニルホスホニウムヨージド4.6gとをDMF20mlに室温で撹拌溶解した後に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 2.2gを滴下した。その後、60℃に加温し5時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加え抽出後、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−3c 4.3gを得た。
(4)化合物A−3dの調製
DMF 30mlに氷冷下オキシ塩化リン15mlを加え30分攪拌し、化合物A−3c 4.3gをこれに加え60℃に加温し5時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い、化合物A−3d 1.8gを得た。
(5)例示色素A−3の合成
酢酸 20mlにA−3d 1.4g、シアノ酢酸 0.2gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.4gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−3 1.3gを得た。
<例示色素A−2の調製>
下記に示すように、別途調製した中間体B−2をA−2dと反応させることにより、例示色素A−2を調製した。
Figure 0005749883
(1)中間体B−2の調製
(i)化合物B−2aの調製
DMF 40mlに3−エチルロダニン5.6gとイソチオシアン酸酢酸エチル5.0gを加え、氷浴化撹拌した後、DBU 5.5gを滴下した。2時間撹拌後、ブロモ酢酸エチル 5.7gを加え、80℃に加温し4時間撹拌した後、放冷し室温にした。水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮後にカラムクロマトグラフィーによる精製を行いB−2a 7.2gを得た。
(ii)中間体B−2の調製
酢酸60mlにB−2a 7.2g、濃塩酸30mlを加え90℃に加温し4時間撹拌した後、反応液に水を加え析出した結晶をろ過した。これを再結晶により精製し中間体B−2 5.5gを得た。
(2)例示色素A−2の調製
(i)化合物A−2cの調製
化合物A−1b 2.0gとベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド2.8gとをDMF20mlに室温で撹拌し、これらを溶解した後に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 1.5gを滴下した。その後、60℃に加温し3時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加え抽出後、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−3c 1.6gを得た。
(ii)化合物A−2dの調製
DMF 30mlに氷冷下オキシ塩化リン15mlを加え30分攪拌し、化合物A−2c 2.9gをこれに加え50℃に加温し4時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−2d 2.5gを得た。
(iii)例示色素A−2の合成
酢酸 20mlにA−2d 0.60g、中間体B−2 0.57gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.2gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−2 0.9gを得た。
<例示色素A−46の調製>
下記の方法により例示色素A−46を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−46aの調製
10−メトキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン5.0gと1−ヨードデカン9.3gとをDMF20mlに加え、室温で攪拌し、これらを溶解させた後に氷冷した。50〜70%水素化ナトリウム2.0gを分割添加し内温10℃以下で5.0時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を滴下し残存している水素化ナトリウムを失活させ、ヘキサンを加えて分液し、有機層を濃縮、カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−46a 8.4gを得た。
(2)化合物A−46bの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−46a 3.5gをこれに加え60℃に加温し2.5時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−46b 3.7gを得た。
(3)化合物A−46cの調製
化合物A−46b 3.5gとメチルトリフェニルホスホニウムヨージド4.3gとをDMF20mlに室温で撹拌溶解した後に28%ナトリウムメトキシドMeOH溶液 2.0gを滴下した。その後、60℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−46c 2.7gを得た。
(4)化合物A−46dの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−46c 2.7gをこれに加え60℃に加温し1時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−46d 2.5gを得た。
(5)例示色素A−46の合成
酢酸 30mlにA−46d 0.6g、中間体B−2 0.5gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.2gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し A−46 0.2gを得た。
<例示色素A−17の調製>
下記の方法により例示色素A−17を調製した。
Figure 0005749883
酢酸 20mlにA−1d 0.50g、中間体B−2 0.48gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.23gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−17 0.9gを得た。
<例示色素A−9の調製>
下記の方法により例示色素A−9を調製した。
Figure 0005749883
酢酸 20mlにA−1b 0.58g、中間体B−2 0.6gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.33gを加え、90℃に加温し2時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−9 0.94gを得た。
<例示色素A−10の調製>
下記の方法により例示色素A−10を調製した。
Figure 0005749883
酢酸 20mlにA−1b 1.8g、中間体B−2 0.5gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 1.0gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−10 1.9gを得た。
<例示色素A−16の調製>
下記の方法により例示色素A−16を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−16cの調製
化合物A−1b 3.1gとヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミド5.2gとをDMF20mlに室温で撹拌し、これらを溶解させた後に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 2.5gを滴下した。その後、60℃に加温し2時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−16c 3.3gを得た。
(4)化合物A−16dの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−16c 3.2gをこれに加え35℃に加温し6時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−16d 2.5gを得た。
(5)例示色素A−16の合成
AcOH 20mlにA−16d 0.75g、前記の中間体B−2 0.60gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.44gを加え、90℃に加温し5時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−2 0.95gを得た。
<例示色素A−29の調製>
下記の方法により例示色素A−29を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−29aの調製
EtOH 30mlに氷冷下、化合物A−1b 3.0g、水素化ホウ素ナトリウム 0.4gを加え2時間撹拌した。水を加え攪拌した後、酢酸エチルで抽出、濃縮後にカラムクロマトグラフィーによる精製を行い化合物A−29a 2.9gを得た。
(2)化合物A−29bの調製
化合物A−29b 1.7gとトリフェニルホスフィン−臭化水素塩 1.9gとをTHF 30ml中、90℃で4.5時間撹拌した後に室温まで放冷した。これに2,5−チオフェンジカルボキシアルデヒド 0.9g、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 1.3gを滴下した。その後、40℃に加温し3時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−29b 1.9gを得た。
(3)化合物A−29の合成
酢酸 20mlにA−29b 0.60g、シアノ酢酸 0.14gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.28gを加え、90℃に加温し11時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し A−29 0.2gを得た。
<例示色素A−47の調製>
下記の方法により例示色素A−47を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−47aの調製
化合物A−1b 3.0gとアリルトリフェニルホスホニウムブロミド4.5gとをDMF30mlに室温で撹拌し、これらを溶解させた後に、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 2.3gを滴下した。その後、60℃に加温し5時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−47a 2.1gを得た。
(2)化合物A−47bの調製
DMF 10mlに氷冷下オキシ塩化リン5mlを加え30分攪拌し、化合物A−47a 2.1gをこれに加え60℃に加温し1.5時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−47b 1.0gを得た。
(3)例示色素A−47の合成
酢酸 15mlにA−47b 0.93g、シアノ酢酸 0.22gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.4gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−47 0.70gを得た。
<例示色素A−48の調製>
下記に示すように、別途調製した中間体B−3を用いて、例示色素A−48を調製した。
(1)中間体B−3の調製
下記の方法により、まず中間体B−3を調製した。
Figure 0005749883
ジメチルアセトアミド(DMAc) 100mlにヨードフェノール 22.7g、ヨードヘキサン 21.9g、及び炭酸カリウム 21.3gを加え、4時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行ない中間体B−3 28gを得た。
次に、下記に示すように、得られた中間体B−3を用いて、例示色素A−48を調製した。
Figure 0005749883
(2)化合物A−48aの調製
10,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ[b,f]アゼピン0.5gとt−ブトキシナトリウム 0.73g、中間体B−3 0.66g、トリ−t−ブチルホスフィン一滴、トリスジベンジリデンアセトンパラジウム触媒量とをトルエン20mlに入れ110℃に加温し4時間撹拌した。その後、反応液に水を加えて反応を終了させた。酢酸エチルを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−48a 0.67gを得た。
(3)化合物A−48bの調製
DMF 90mlに氷冷下オキシ塩化リン20mlを加え30分攪拌し、化合物A−48b 11.1gをこれに加え70℃に加温し5時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−48b 6.0gを得た。
(4)例示色素A−48の合成
酢酸 30mlにA−48b 0.71g、中間体B−2 0.57gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.27gを加え、90℃に加温し4.5時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−48 1.1gを得た。
<例示色素A−49の調製>
下記に示すように、別途調製した前記中間体B−2を用いて、例示色素A−49を調製した。
Figure 0005749883
酢酸 50mlにA−4a 0.51g、中間体B−2 0.97gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.47gを加え、90℃に加温し6時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−49 1.1gを得た。
<例示色素A−50の調製>
下記に示すように、別途調製した前記中間体B−2を用いて、例示色素A−50を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−50aの調製
化合物A−1b 2.0gとエチルトリフェニルホスホニウムヨージド3.0gとをDMF25mlに室温で撹拌して、これらを溶解させた後に、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 1.5gを滴下した。その後、60℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−50a 1.9gを得た。
(2)化合物A−50bの調製
DMF 20mlに氷冷下オキシ塩化リン10mlを加え30分攪拌し、化合物A−50b 2.9gをこれに加え50℃に加温し4時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌し、さらに10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−50b 1.3gを得た。
(3)例示色素A−50の合成
酢酸 20mlにA−50b 0.70g、前記の中間体B−2 0.67gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.32gを加え、90℃に加温し5時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−50 0.9gを得た。
<例示色素A−51の調製>
下記に示すように、別途調製した前記中間体B−2を用いて、例示色素A−51を調製した。
Figure 0005749883
酢酸 20mlにA−26d 0.48g、中間体B−2 0.38gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.19gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−51 0.7gを得た。
<例示色素A−52の調製>
下記の方法により例示色素A−52を調製した。
Figure 0005749883
(1)化合物A−52aの合成
化合物A−4a 3.3gとヘキシルトリフェニルホスホニウムヨージド8.7gとをDMF30mlを室温で撹拌溶解した後に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 3.9gを滴下した。その後、60℃に加温し2時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、さらにヘキサンを加えて分液を行い、有機層を濃縮後カラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A−52b 4.2gを得た。
(2)化合物A−52bの合成
DMF 30mlに氷冷下オキシ塩化リン15mlを加え30分攪拌し、化合物A−52a 4.2gをこれに加え60℃に加温し4時間攪拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え攪拌した。反応液を、氷冷下10%水酸化ナトリウム水溶液に滴下し1時間撹拌した。酢酸エチルで抽出、濃縮後、カラム精製を行い化合物A−52b 3.8gを得た。
(3)例示色素A−52の合成
酢酸 20mlにA−52b 0.90g、シアノ酢酸 0.30gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.26gを加え、90℃に加温し4時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮した。得られた結晶を再結晶により精製し A−52 1.0gを得た。
<例示色素A−53の調製>
下記に示すように、別途調製した前記中間体B−2を用いて、例示色素A−51を調製した。
Figure 0005749883
酢酸 50mlにA−52b 0.77g、中間体B−2 0.92gを加え30分撹拌した後、酢酸アンモニウム 0.45gを加え、90℃に加温し6時間撹拌した。放冷し室温にした後に反応液に水を加え、析出した結晶をろ過した。得られた結晶を再結晶により精製し A−53 1.1gを得た。
(実施例1)
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。
次に、水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mlにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合し、半導体微粒子分散液を得た。この分散液を透明導電膜に塗布し、500℃で加熱して受光電極を作製した。
その後、同様にシリカ粒子とルチル型酸化チタンとを40:60(質量比)で含有する分散液を作製し、この分散液を前記の受光電極に塗布し、500℃で加熱して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、下記表1に記載された増感色素のエタノール溶液(3×10−4モル/l)に、上記の絶縁性多孔体が形成されたガラス基板を48時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/mであった。電解液は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5モル/l)、ヨウ素(0.1モル/l)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
(増感色素の最大吸収波長の測定)
用いた増感色素の最大吸収波長を測定した。分光光度計(U−4100,日立ハイテク製)によって行い、溶液はエタノールを用いた。
(光電変換効率の測定)
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cmであった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率を測定した結果を下記表1に示した。結果は、変換効率が5%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として評価した。
Figure 0005749883
試料番号54として、特開平11−214730号に記載の下記の増感色素Aを用いた。
Figure 0005749883
本発明の色素を用いて作製された電気化学電池は、表1に示されているように、特に色素としてA1〜A7、A12〜A15、A−18、A−19、A−21、A−24、A−26〜A−31、A−33〜A−35、A−41、A−43、A−44、A−50、A−52、A−53を使用した場合は、変換効率は5%以上と高い値を示した。その他の本発明の色素を使用した場合でも、変換効率は2%以上5%未満と、使用できるレベルであった。
それに対して、試料番号54の比較例は、変換効率は0.5%以上2%未満と、電気化学電池に使用するには不十分であった。
(実施例2)
ガラス基板上にITO膜を作製し、その上にFTO膜を積層することにより、透明導電膜を作製した。その後透明導電膜上に酸化物半導体多孔質膜を形成することにより、透明電極板を得た。そしてその透明電極板を使用して光電気化学電池を作製し、変換効率を測定した。その方法は以下の(1)〜(5)の通りである。
(1)ITO(インジウム・スズ・オキサイド)膜用原料化合物溶液の調製
塩化インジウム(III)四水和物5.58gと塩化スズ(II)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して、ITO膜用原料化合物溶液とした。
(2)FTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜用原料化合物溶液の調製
塩化スズ(IV)五水和物0.701gをエタノール10mlに溶解し、これにフッ化アンモニウム0.592gの飽和水溶液を加え、この混合物を超音波洗浄機に約20分間かけ、完全に溶解して、FTO膜用原料化合物溶液とした。
(3)ITO/FTO透明導電膜の作製
厚さ2mmの耐熱ガラス板の表面を化学洗浄し、乾燥した後、このガラス板を反応器内に置き、ヒータで加熱した。ヒータの加熱温度が450℃になったところで、(1)で得られたITO膜用原料化合物溶液を、口径0.3mmのノズルから圧力0.06MPaで、ガラス板までの距離を400mmとして、25分間噴霧した。
このITO膜用原料化合物溶液の噴霧後、2分間(この間ガラス基板表面にエタノールを噴霧し続け、基板表面温度の上昇を抑えるようにした。)経過し、ヒータの加熱温度が530℃になった時に、(2)で得られたFTO膜用原料化合物溶液を同様の条件で2分30秒間噴霧した。これにより、耐熱ガラス板上に厚さ530nmのITO膜、厚さ170nmのFTO膜が順次形成された透明電極板が得られた。
比較のために、厚さ2mmの耐熱ガラス板上に同様に、厚さ530nmのITO膜のみを成膜した透明電極板と、同じく厚さ180nmのFTO膜のみを成膜した透明電極板とをそれぞれ作製した。
これら3種の透明電極板を加熱炉にて、450℃で2時間加熱した。
(4)光電気化学電池の作製
次に、上記3種の透明電極板を用いて、特許第4260494号中の図2に示した構造の光電気化学電池を作製した。酸化物半導体多孔質膜15の形成は、平均粒径約230nmの酸化チタン微粒子をアセトニトリル100mlに分散してペーストとし、これを透明電極11上にバーコート法により厚さ15μmに塗布し、乾燥後450℃で1時間焼成して行い、この酸化物半導体多孔質膜15に表2記載の色素を担持した。色素溶液への浸漬条件は実施例1と同じとした。
さらに、対極16には、ガラス板上にITO膜とFTO膜とを積層した導電性基板を使用し、電解質層17には、ヨウ素/ヨウ化物の非水溶液からなる電解液を用いた。光電気化学電池の平面寸法は25mm×25mmとした。
(5)光電気化学電池の評価
この光電気化学電池について、人工太陽光(AM1.5)を照射し、その発電効率を求めた。その結果を表2に示す。結果は、変換効率が5%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
増感色素Aを用いた試料No.11〜13では変換効率が低いのに対し、本発明の例示色素を使用した試料No.1〜9では良好な結果を示すことがわかった。透明電極板として、ITO膜とFTO膜とを積層したものを用いた光電気化学電池では、ITO膜のみもしくはFTO膜のみを成膜したものを用いた場合に比べ特に変換効率が高く、本発明の色素でその効果が高いことがわかった。
Figure 0005749883
(実施例3)
FTO膜上に集電電極を配し、光電気化学電池を作製し、変換効率を評価した。評価は以下の通り、試験セル(i)と試験セル(iv)の2種類とした。
(試験セル(i))
100mm×100mm×2mmの耐熱ガラス板の表面を化学洗浄し、乾燥した後、このガラス板を反応器内に置き、ヒータで加熱した後、実施例2で使用したFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜用原料化合物溶液を、口径0.3mmのノズルから圧力0.06MPaで、ガラス板までの距離を400mmとして、25分間噴霧し、FTO膜付きガラス基板を用意した。その表面に、エッチング法により深さ5μmの溝を格子回路パターン状に形成した。フォトリソグラフでパターン形成した後に、フッ酸を用いてエッチングを行った。これに、めっき形成を可能とするためにスパッタ法により金属導電層(シード層)を形成し、更にアディティブめっきにより金属配線層3を形成した。金属配線層3は、透明基板2表面から凸レンズ状に3μm高さまで形成した。回路幅は60μmとした。この上から、遮蔽層5としてFTO膜を400nmの厚さでSPD法により形成して、電極基板(i)とした。なお、電極基板(i)の断面形状は、特開2004−146425中の図2に示すものとなっていた。
電極基板(i)上に、平均粒径25nmの酸化チタンをアセトニトリル 100mlに分散して得た分散液を塗布・乾燥し、450℃で1時間加熱・焼結した。これを表3に示す色素のエタノール溶液へ浸漬して色素を吸着させた。浸漬条件は実施例1と同じとした。50μm厚の熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートを介して白金スパッタFTO基板と対向して配置し、樹脂シート部を熱溶融させて両極板を固定した。
なおあらかじめ白金スパッタ極側に開けておいた電解液の注液口から、0.5Mのヨウ化塩と0.05Mのヨウ素とを主成分に含むメトキシアセトニトリル溶液を注液し、電極間に満たした。さらに周辺部及び電解液注液口をエポキシ系封止樹脂を用いて本封止し、集電端子部に銀ペーストを塗布して試験セル(i)とした。AM1.5の疑似太陽光により、試験セル(i)の光電変換特性を評価した。その結果を表3に示した。
(試験セル(iv))
試験セル(i)と同様の方法で100×100mmのFTO膜付きガラス基板を用意した。そのFTOガラス基板上に、アディティブめっき法により金属配線層3(金回路)を形成した。金属配線層3(金回路)は基板表面に格子状に形成し、回路幅50μm、回路厚5μmとした。この表面に厚さ300nmのFTO膜を遮蔽層5としてSPD法により形成して試験セル(iv)とした。電極基板(iv)の断面をSEM−EDXを用いて確認したところ、配線底部でめっきレジストの裾引きに起因すると思われる潜り込みがあり、影部分にはFTOが被覆されていなかった。
電極基板(iv)を用い、試験セル(i)と同様に、試験セル(iv)を作製した。AM1.5の疑似太陽光により試験セル(iv)の光電変換特性を評価し、結果を表3に示した。結果は、変換効率が5%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
Figure 0005749883
表3より、本発明の色素を用いた場合は、試験セル(i)の場合の変換効率は5%以上と、高い値を示した。一方、試験セル(iv)を用いた場合についてみると、比較例の色素を用いた場合と比較して、本発明の色素を用いた場合は、変換効率が高くなった。このため本発明の色素を用いることにより、試験セル選択の自由度が上がることがわかった(試料番号11と試料番号13との比較)。
(実施例4)
ペルオキソチタン酸及び酸化チタン微粒子を生成する方法、並びにそれを用いて酸化物半導体膜を作製する方法について試験を行い、光電気化学電池を作製し、評価した。
(光電池セル(A))
(1)酸化物半導体膜形成用塗布液(A)の調製
5gの水素化チタンを1リットルの純水に懸濁し、5質量%の過酸化水素液400gを30分かけて添加し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液の全量から90容積%を分取し、濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(A)を調製した。得られたチタニアコロイド粒子は、X線回折により結晶性の高いアナターゼ型酸化チタンであった。
次に、上記で得られたチタニアコロイド粒子(A)を10質量%まで濃縮し、前記ペルオキソチタン酸溶液を混合し、この混合液中のチタンをTiO換算し、TiO質量の30質量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して半導体膜形成用塗布液を調製した。
(2)酸化物半導体膜(A)の作製
次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cmの紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、塗膜を硬化させた。塗膜を300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行って酸化物半導体膜(A)をガラス基板に形成した。
(3)酸化物半導体膜(A)への色素の吸着
次に、分光増感色素として本発明の色素の濃度3×10−4モル/リットルのエタノール溶液を調製した。この色素溶液を100rpmスピナーで、金属酸化物半導体膜(A)上へ塗布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。
(4)電解質溶液の調製
アセトニトリルと炭酸エチレンとの体積比が1:5の混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドを0.46モル/リットル、ヨウ素を0.07モル/リットルの濃度となるように溶解して電解質溶液を調製した。
(5)光電気セル(A)の作製
(2)で作製した、色素を吸着させた酸化物半導体膜(A)が形成されたガラス基板を一方の電極とし、他方の電極として、フッ素ドープした酸化スズを電極として形成しその上に白金を担持した透明ガラス基板を対向して配置し、側面を樹脂にてシールし、電極間に(4)の電解質溶液を封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気セル(A)を作製した。
(6)光電気セル(A)の評価
光電気セル(A)は、ソーラーシュミレーターで100W/mの強度の光を照射して、η(変換効率)を測定し、その結果を表4に示した。
(光電池セル(B))
紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、膜を硬化させた後、Arガスのイオン照射(日新電気製:イオン注入装置、200eVで10時間照射)を行った以外は酸化物半導体膜(A)と同様にして酸化物半導体膜(B)を形成した。
酸化物半導体膜(A)と同様に、酸化物半導体膜(B)に色素の吸着を行った。
その後実施例1と同様の方法で光電気セル(B)を作成し、ηを測定した。その結果を表4に示した。
(光電池セル(C))
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈して、TiO換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら、15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、TiO換算で、10.2質量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。このケーキと5質量%過酸化水素液400gを混合し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。この溶液全量から90体積%を分取し、これに濃アンモニア水を添加してpH9に調整し、オートクレーブに入れ、250℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(C)を調製した。
次に、上記で得られたペルオキソチタン酸溶液とチタニアコロイド粒子(C)を使用して酸化物半導体膜(A)と同様にして酸化物半導体膜(C)を形成し、金属酸化物半導体膜(A)と同様にして、分光増感色素として本発明の色素の吸着を行った。
その後光電気セル(A)と同様の方法で光電気セル(C)を作製し、ηを測定した。その結果を表4に示した。
(光電池セル(D))
18.3gの4塩化チタンを純水で希釈してTiO換算で1.0質量%含有する水溶液を得た。これを撹拌しながら、15質量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄した後、純水に懸濁してTiOとして0.6質量%の水和酸化チタンゲルのスラリーとし、これに塩酸を加えてpH2とした後、オートクレーブに入れ、180℃で5時間、飽和蒸気圧下で水熱処理を行ってチタニアコロイド粒子(D)を調製した。
次に、チタニアコロイド粒子(D)を10質量%まで濃縮し、これに、TiOに換算して、30質量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して、半導体膜形成用塗布液を調製した。次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に、前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cmの紫外線を照射し、膜を硬化させた。さらに、300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行い、酸化物半導体膜(D)を形成した。
次に、酸化物半導体膜(A)と同様にして分光増感色素として、本発明の色素の吸着を行った。
その後、光電気セル(A)と同様の方法で光電気セル(D)を作成し、ηを測定した。結果を表4に示した。結果は、変換効率が5%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
Figure 0005749883
表4より、本発明の色素の場合には、試験セル(A)〜(C)を使用した場合には特に変換効率が高いことがわかった。
(実施例5)
方法を変えて酸化チタンの調製又は合成を行い、得られた酸化チタンから酸化物半導体膜を作製し、光電気化学電池とし、その評価を行った。
(1)熱処理法による酸化チタンの調製
市販のアナターゼ型酸化チタン(石原産業(株)製、商品名ST−01)を用い、これを約900℃に加熱してブルーカイト型の酸化チタンに変換し、さらに約1,200℃に加熱してルチル型の酸化チタンとした。それぞれ順に、比較酸化チタン1(アナターゼ型)、酸化チタン1(ブルーカイト型)、比較酸化チタン2(ルチル型)とする。
(2)湿式法による酸化チタンの合成
(酸化チタン2(ブルーカイト型))
蒸留水954mlを還流冷却器付きの反応槽に装入し、95℃に加温する。撹拌速度を約200rpmに保ちながら、この蒸留水に四塩化チタン(Ti含有量:16.3質量%、比重1.59、純度99.9%)水溶液46mlを約5.0ml/minの速度で反応槽に滴下した。このとき、反応液の温度が下がらないように注意した。その結果、四塩化チタン濃度が0.25mol/リットル(酸化チタン換算2質量%)であった。反応槽中では反応液が滴下直後から、白濁し始めたがそのままの温度で保持を続け、滴下終了後さらに昇温し沸点付近(104℃)まで加熱し、この状態で60分間保持して完全に反応を終了した。
反応により、得られたゾルを濾過し、次いで60℃の真空乾燥器を用いて粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.38、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.05であった。これらから求めると酸化チタンは、ブルーカイト型が約70.0質量%、ルチル型が約1.2質量%、アナターゼ型が約28.8質量%の結晶性であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.015μmであった。
(酸化チタン3(ブルーカイト型))
三塩化チタン水溶液(Ti含有量:28質量%、比重1.5、純度99.9%)を蒸留水で希釈し、チタン濃度換算で0.25モル/Lの溶液とした。このとき、液温が上昇しないよう氷冷して、50℃以下に保った。次に、この溶液を還流冷却器付きの反応槽に500ml投入し、85℃に加温しながらオゾンガス発生装置から純度80%のオゾンガスを1L/minでバブリングし、酸化反応を行なった。この状態で2時間保持し、完全に反応を終了した。得られたゾルをろ過、真空乾燥し、粉末とした。この粉末をX線回折法により定量分析した結果、(ブルーカイト型121面のピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0.85、(ルチル型のメインピーク強度)/(三本が重なる位置でのピーク強度)比は0であった。これらから求めると二酸化チタンは、ブルーカイト型が約98質量%、ルチル型が0質量%、アナターゼ型が0質量%であり、約2%は無定形であった。また、透過型電子顕微鏡でこの微粒子を観察したところ、1次粒子の平均粒径は0.05μmであった。
(色素増感型光電変換素子の作製および評価)
上記の酸化チタン1〜3で調製した酸化チタンを半導体として特開2000−340269の図1に示す構成を有する光電変換素子を次のように作製した。
ガラス基板上にフッ素ドープの酸化スズをコートし、導電性透明電極とした。電極面上にそれぞれの酸化チタン粒子を原料としたペーストを作成し、バーコート法で厚さ50μmに塗布した後、500℃で焼成して膜厚約20μmの薄層を形成した。次に色素の3×10−4モル濃度のエタノール溶液を調製し、これに上記の酸化チタンの薄層を形成したガラス基板を浸漬し、12時間室温で保持した。
電解液としてテトラプロピルアンモニウムのヨウ素塩とヨウ化リチウムのアセトニトリル溶液を用い、白金を対極として特開2000−340269の図1に示す構成を有する光電変換素子を作製した。光電変換は160wの高圧水銀ランプの光(フィルターで赤外線部をカット)を上記の素子に照射し、その際の変換効率を測定した。結果を表5に示す。結果は、変換効率が5%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
Figure 0005749883
表5より、本発明の色素は変換効率が高いことがわかった。
(実施例6)
粒径の異なる酸化チタンを用いて半導体電極として、光電気化学電池を作製し、その特性を評価した。
[ペーストの調製]
まず光電極を構成する半導体電極の半導体層又は光散乱層を形成するためのペーストを以下の手順で調製した。
(ペースト1)
球形のTiO粒子(アナターゼ型、平均粒径;25nm、以下、球形TiO粒子1という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト2)
球形TiO粒子1と、球形のTiO粒子(アナターゼ型、平均粒径;200nm、以下、球形TiO粒子2という)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO粒子1の質量:TiO粒子2の質量=30:70)を調製した。
(ペースト3)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ型、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子1という)を混合し、棒状TiO粒子1の質量:ペースト1の質量=10:90のペーストを調製した。
(ペースト4)
ペースト1に、棒状TiO粒子1を混合し、棒状TiO粒子1の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト5)
ペースト1に、棒状TiO粒子1を混合し、棒状TiO粒子1の質量:ペースト1の質量=50:50のペーストを調製した。
(ペースト6)
ペースト1に、板状のマイカ粒子(直径;100nm、アスペクト比;6、以下、板状マイカ粒子1という)を混合し、板状マイカ粒子1の質量:ペースト1の質量=20:80のペーストを調製した。
(ペースト7)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;30nm、アスペクト比;6.3、以下、棒状TiO粒子2という)を混合し、棒状TiO2粒子2の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト8)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;50nm、アスペクト比;6.1、以下、棒状TiO粒子3という)を混合し、棒状TiO粒子3の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト9)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;75nm、アスペクト比;5.8、以下、棒状TiO粒子4という)を混合し、棒状TiO粒子4の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト10)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;130nm、アスペクト比;5.2、以下、棒状TiO粒子5という)を混合し、棒状TiO粒子5の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト11)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;180nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子6という)を混合し、棒状TiO粒子6の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト12)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;240nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO粒子7という)を混合し、棒状TiO粒子7の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト13)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;110nm、アスペクト比;4.1、以下、棒状TiO粒子8という)を混合し、棒状TiO粒子8の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(ペースト14)
ペースト1に、棒状のTiO粒子(アナターゼ、直径;105nm、アスペクト比;3.4、以下、棒状TiO粒子9という)を混合し、棒状TiO粒子9の質量:ペースト1の質量=30:70のペーストを調製した。
(光電気化学電池1)
以下に示す手順により、特開2002−289274記載の図5に示した光電極12と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、光電極を用いて、当該光電極以外は色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する10×10mmのスケールの光電気化学電池1を作製した。
ガラス基板上にフッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚;500nm)を形成した透明電極を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上記のペースト2をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト4を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、SnO導電膜上に図5に示す半導体電極2と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;30質量%)を形成し、増感色素を含有していない光電極を作製した。
次に、半導体電極に色素を以下のようにして吸着させた。まずマグネシウムエトキシドで脱水した無水エタノールを溶媒として、これに本発明の色素を、その濃度が3×10−4mol/Lとなるように溶解し、色素溶液を調製した。次に、この溶液に半導体電極を浸漬し、これにより、半導体電極に色素を約1.5ミリモル/m吸着し、光電極10を完成させた。
次に、対極として上記の光電極と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ;100nm)、電解質Eとして、ヨウ素及びヨウ化リチウムを含むヨウ素系レドックス溶液を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、特開2002−289274記載の図3に示すように、光電極10と対極CEとスペーサーSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して光電気化学電池1を完成させた。
(光電気化学電池2)
半導体電極の製造を以下のようにして行ったこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により特開2002−289274記載の図1に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電極及び光電気化学電池2を作製した。
ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用した。そして、SnO導電膜上に、ペースト2をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成し、半導体層を形成した。
ペースト3を光散乱層の最内部の層形成用ペーストとして使用した。また、ペースト5を光散乱層の最外部の層形成用ペーストとして使用した。そして、色素増感太陽電池1と同様にして半導体層上に光散乱層を形成した。
そして、SnO導電膜上に、特開2002−289274記載の図1に示す半導体電極2と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;3μm、最内部の層の層厚;4μm、最内部の層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;10質量%、最外部の層の層厚;3μm、最内部の層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;50質量%)を形成し、増感色素を含有していない光電極を作製した。光電気化学電池1と同様に、光電極と対極CEとスペーサーSを介して対向させ、内部に上記の電解質を充填して光電気化学電池2を完成させた。
(光電気化学電池3)
半導体電極の製造に際して、ペースト1を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト4を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により図5に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した光電気化学電池20と同様の構成を有する光電極及び光電気化学電池3を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;5μm、光散乱層の層厚;5μm、光散乱層に含有される棒状TiO粒子1の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池4)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト6を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により図5に示した光電極10及び特開2002−289274記載の図3に示した光電気化学電池20と同様の構成を有する光電極及び光電気化学電池4を作製した。なお、半導体電極は、受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6.5μm、光散乱層の層厚;3.5μm、光散乱層に含有される板状マイカ粒子1の含有率;20質量%であった。
(光電気化学電池5)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト8を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池5を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子3の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池6)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト9を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池6を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子4の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池7)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト10を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池7を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子5の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池8)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト11を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池8を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子6の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池9)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト13を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池9を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子8の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池10)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト14を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び光電気化学電池10を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子9の含有率;30質量%であった。
(光電気化学電池11)
半導体電極の製造に際して、ペースト2のみを用いて半導体層のみからなる半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、)を作製したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び比較光電気化学電池1を作製した。
(電気化学電池12)
半導体電極の製造に際して、ペースト2を半導体層形成用ペーストとして使用し、ペースト7を光散乱層形成用ペーストとして使用したこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順により光電極及び比較光電気化学電池2を作製した。なお、半導体電極の光散乱層に含有される棒状TiO粒子2の含有率;30質量%であった。
[電池特性試験]
電池特性試験を行ない、光電気化学電池1〜10、比較光電気化学電池1〜2について変換効率ηを測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレータ(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/m2の疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、エネルギー変換効率(η/%)を求めた。その結果を表6に示す。結果は、変換効率が5%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
Figure 0005749883
表6の通り、本発明の色素は変換効率が高いことがわかった。
(実施例7)
金属酸化物微粒子に金属アルコキシドを加えスラリー状としたものを導電性基板に塗布し、その後、UVオゾン照射、UV照射又は乾燥を行い、電極を作製した。その後、光電気化学電池を作製し、変換効率を測定した。
(金属酸化物微粒子)
金属酸化物微粒子としては、酸化チタンを用いた。酸化チタンは、質量比で、30%ルチル型及び70%アナターゼ型、平均粒径25nmのP25粉末(Degussa社製、商品名)を用いた。
(金属酸化物微粒子粉末の前処理)
金属酸化物微粒子をあらかじめ熱処理することで表面の有機物と水分を除去した。酸化チタン微粒子の場合は450℃のオーブンで大気下、30分間加熱した。
(金属酸化物微粒子に含まれる水分量の測定)
温度26℃、湿度72%の環境に保存しておいた酸化チタン、P25粉末(Degussa社製、商品名)に含まれる水分量を、熱重量測定における重量減少、及び300℃に加熱したときに脱着した水分量のカールフィッシャー滴定により定量した。
酸化チタン、P25粉末(Degussa社製、商品名)を300℃で加熱したときに脱着する水分量をカールフィッシャー滴定によって定量したところ、0.1033gの酸化チタン微粉末中に0.253mgの水が含まれていた。すなわち、酸化チタン微粉末は約2.5wt%の水分を含んでいたため、金属酸化物微粒子粉末は金属アルコキシドとの混合前に450℃のオーブンで30分間熱処理し、冷却後デシケーター中に保存して用いた。
(金属アルコキシドペーストの調製)
金属酸化物微粒子を結合する役割をする金属アルコキシドとしては、チタン原料としてはチタン(IV)テトライソプロポキシド(TTIP)、ジルコニウム原料としてはジルコニウム(IV)テトラn−プロポキシド、ニオブ原料としてはニオブ(V)ペンタエトキシド(全てAldrich社製)をそれぞれ用いた。
金属酸化物微粒子と金属アルコキシドのモル濃度比は、金属アルコキシドの加水分解によって生じるアモルファス層が過度に厚くならず、かつ粒子同士の結合が十分行えるように、金属酸化物微粒子径に応じて適宜調節した。なお、金属アルコキシドはすべて、0.1Mのエタノール溶液とした。酸化チタン微粒子とチタン(IV)テトライソプロポキシド(TTIP)とを混合する場合には、酸化チタン微粒子1gに対し、3.55gの0.1M TTIP溶液を混合した。このとき、得られたペースト中の酸化チタン濃度は約22質量%となり、塗布に適当な粘度となった。また、このときの酸化チタンとTTIPとエタノールは、質量比で1:0.127:3.42、モル比で1:0.036:5.92であった。
同様に、酸化チタン微粒子とTTIP以外のアルコキシドの混合ペーストについても微粒子濃度が22質量%となるように調製した。酸化亜鉛及び酸化スズ微粒子を用いたペーストでは16質量%とした。酸化亜鉛及び酸化スズの場合は、金属酸化物微粒子1gに対して、金属アルコキシド溶液5.25gの比で混合した。
金属酸化物微粒子と金属アルコキシド溶液は、密閉容器中においてマグネチックスターラーによって2時間攪拌して均一なペーストを得た。
導電性基板へのペーストの塗布方法は、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法などを用いることが可能であり、適当なペースト粘度は塗布方法によって適宜選択した。ここでは簡便にガラス棒で塗布する方法(ドクターブレード法に類似)を用いた。この場合、適当なペースト粘度を与える金属酸化物微粒子の濃度は概ね5〜30質量%の範囲となった。
金属アルコキシドの分解によって生成するアモルファス金属酸化物のレイヤー厚さは本実施例では0.1〜0.6nm程度の範囲にある。概ね0.05〜1.3nm程度が本手法による室温製膜に適切な範囲となっていた。
(導電性基板上へのペーストの塗布と風乾処理)
スズドープ酸化インジウム(ITO)導電膜付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板(20Ω/cm)又はフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電膜付きガラス基板(10Ω/cm)に、スペーサーとして粘着テープ2枚を一定間隔で平行に貼り付け、上記の方法に従って調製した各ペーストを、ガラス棒を用いて均一に塗布した。
ペーストを塗布後、色素吸着前に、UVオゾン処理、UV照射処理、又は乾燥処理の有無について条件を変えて多孔質膜を作製した。
(乾燥処理)
導電性基板へ塗布した後の膜を大気中室温で2分程度で風乾した。この過程でペースト中の金属アルコキシドが大気中の水分によって加水分解を受け、Tiアルコキシド、Zrアルコキシド、Nbアルコキシドからそれぞれアモルファスの酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブが形成された。
生成したアモルファス金属酸化物が、金属酸化物微粒子同士及び膜と導電性基板を接着する役割を果たすため、風乾するのみで機械的強度と付着性に優れた多孔質膜が得られた。
(UVオゾン処理)
UVオゾン処理には日本レーザー電子社製のNL−UV253 UVオゾンクリーナーを用いた。UV光源には185nmと254nmに輝線を持つ4.5W水銀ランプ3個を備えており、試料を光源から約6.5センチの距離に水平に配置した。チャンバー中に酸素気流を導入することでオゾンが発生する。本実施例においてはこのUVオゾン処理を2時間行なった。なお、このUVオゾン処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下は全く見られなかった。
(UV処理)
チャンバー中を窒素置換して処理を行う以外は同様に、前記UVオゾン処理と同様に、2時間処理を行った。このUV処理によるITO膜及びFTO膜の導電性の低下はまったく見られなかった。
(色素吸着)
増感色素には本発明の色素を用い、0.5mMのエタノール溶液を調製した。本実施例では上記のプロセスで作製した多孔質膜を100℃のオーブンで1時間乾燥した後に増感色素の溶液に浸漬し、そのまま室温で50分間放置して酸化チタン表面に増感色素を吸着した。増感色素吸着後の試料はエタノールで洗浄し、風乾した。
(光電気化学電池の作製と電池特性評価)
色素吸着後の多孔質膜が形成された導電性基板を光電極とし、これと白金微粒子をスパッタリングにより修飾したITO/PETフィルム又はFTO/ガラス対極を対向させて、光電気化学電池を試作した。上記光電極の実効面積は約0.2cmとした。電解質溶液には0.5MのLiI,0.05MのI,0.5Mのt−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリルを用い、毛管現象によって両電極間のギャップに導入した。
電池性能の評価は、一定フォトン数(1016cm−2)照射下での光電流作用スペクトル測定及びAM1.5擬似太陽光(100mW/cm)照射下でのI−V測定により行なった。これらの測定には分光計器社製のCEP−2000型分光感度測定装置を用いた。
得られた出力特性値を表7にまとめた。結果は、変換効率が3%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
Figure 0005749883
表7において、「UVオゾン」、「UV」、「乾燥」の欄はそれぞれ、多孔質膜の形成後、増感色素吸着前における、UVオゾン処理、UV照射処理、乾燥処理の有無を表す。処理したものが「○」であり、処理なしのものが「×」である。
表7の「TiOの前処理の欄は、酸化チタン微粒子の前処理(450℃のオーブンで30分間熱処理)の有無を示す。試料6、14、22は、高TTIP濃度(酸化チタン:TTIPのモル比が1:0.356)のペーストを用いた試料を表す。他の試料(試料1〜5,7〜13,23,24)は全て酸化チタン:TTIP=1:0.0356のペーストを用いている。
表7に示す結果から、本発明の色素を使用した場合には、多孔質膜の形成後、増感色素吸着前における、UVオゾン処理、UV照射処理、乾燥処理の有無にかかわらず、光電気化学電池の変換効率が高いことがわかった。
(実施例8)
溶媒としてアセトニトリルを用い、ヨウ化リチウム0.1mol/l、ヨウ素0.05mol/l、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム0.62mol/lを溶解した電解質溶液を調製した。ここに下記に示すNo.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物をそれぞれ濃度0.5mol/lになるように別々に添加し、溶解した。
Figure 0005749883
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより、導電膜を形成した。この導電膜上にアナターゼ型酸化チタン粒子を含有する分散液(
水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mlにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合して得た、半導体微粒子分散液)を塗布し、その後500℃で焼結して厚さ15μmの感光層を形成した。この感光層に、No.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物電解液を、滴下した。
ここにポリエチレンフィルム製のフレーム型スペーサー(厚さ25μm)をのせ、白金対電極でこれを覆い、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子に、Xeランプを光源として強度100mW/cmの光を照射した。表8に得られた開放電圧と光電変換効率を示した。開放電圧は、7.0V以上のものを◎、6.5V以上7.0V未満のものを○、6.0V以上6.5V未満のものを△、6.0V未満のものを×として表示した。変換効率が3%以上のものを◎、2%以上5%未満のものを○、0.5%以上2%未満のものを△、0.5%未満のものを×として表示した。
なお、表8には、ベンズイミダゾール系化合物を加えていない電解液を用いた光電変換素子の結果も示した。
Figure 0005749883
表8の結果から、本発明の色素は変換効率が高いことがわかる。
(実施例9)
(光電気化学電池1)
以下に示す手順により、特開2004−152613記載の図1に示した光電極10と同様の構成を有する光電極(ただし、半導体電極2を2層構造とした。)を作製し、更に、この光電極を用いた以外は特開2004−152613記載の図1に示した色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する光電気化学電池(半導体電極2の受光面F2の面積:1cm)を作製した。なお、2層構造を有する半導体電極2の各層について、透明電極1に近い側に配置される層を「第1の層」、多孔体層PSに近い側に配置される層を「第2の層」という。
まず、平均粒子径25nmのP25粉末(Degussa社製、商品名)と、これと粒子径の異なる酸化チタン粒子、P200粉末(平均粒子径:200nm、Degussa社製、商品名)とを用い、P25とP200の合計の含有量が15質量%で、P25とP200との質量比が、P25:P200=30:70となるように、これらにアセチルアセトン、イオン交換水、界面活性剤(東京化成社製、商品名;「Triton−X」)を加え、混練して第2の層形成用のスラリー(以下、「スラリー1」とする)を調製した。
次に、P200を使用せず、P25のみを使用したこと以外は前述のスラリー1と同様の調製手順により第1の層形成用のスラリー(P1の含有量;15質量%、以下、「スラリー2」とする)を調製した。
一方、ガラス基板(透明導電性ガラス)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(膜厚:700nm)を形成した透明電極(厚さ:1.1mm)を準備した。そして、このSnO導電膜上に、上述のスラリー2をバーコーダで塗布し、次いで乾燥させた。その後、大気中、450℃で30分間焼成した。このようにして、透明電極上に、半導体電極2の第1の層を形成した。
更に、スラリー1を用いて、上述と同様の塗布と焼成とを繰り返すことにより、第1の層上に、第2の層を形成した。このようにして、SnO導電膜上に半導体電極2(受光面の面積;1.0cm、第1層と第2層の合計厚さ:10μm(第1の層の厚さ:3μm、第2の層の厚さ:7μm))を形成し、増感色素を含有していない状態の光電極10を作製した。
次に、増感色素として本発明の色素のエタノール溶液(増感色素の濃度;3×10−4mol/L)を調製した。この溶液に前記光電極10を浸漬し、80℃の温度条件のもとで20時間放置し、増感色素を吸着させた。その後、開放電圧Vocを向上させるために、色素吸着後の半導体電極を4−tert−ブチルピリジンのアセトニトリル溶液に15分浸漬した後、25℃に保持した窒素気流中において乾燥させ、上記光電極10を完成させた。
次に、上記の光電極と同様の形状と大きさを有する対極CEを作製した。先ず、透明導電性ガラス上に、塩化白金酸六水和物のイソプロパノール溶液を滴下し、大気中で乾燥した後に450℃で30分焼成処理することにより、白金焼結対極CEを得た。なお、この対極CEには予め電解質Eの注入用の孔(直径1mm)を設けておいた。
次に、溶媒となるメトキシアセトニトリルに、ヨウ化亜鉛と、ヨウ化−1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムと、ヨウ素と、4−tert−ブチルピリジンとを溶解させて液状電解質(ヨウ化亜鉛の濃度:10mmol/L、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムの濃度:0.6mol/L、ヨウ素の濃度:0.05mol/L、4−tert−ブチルピリジン濃度:1mol/L)を調製した。
次に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有する三井デュポンポリケミカル社製のスペーサS(商品名:「ハイミラン」,エチレン/メタクリル酸ランダム共重合体アイオノマーフィルム)を準備し、特開2004−152613記載の図1に示すように、光電極と対極とをスペーサを介して対向させ、それぞれを熱溶着により張り合わせて電池の筐体(電解質未充填)を得た。
次に、液状電解質を対極の孔から筐体内に注入した後、孔をスペーサと同素材の部材で塞ぎ、更に対極の孔にこの部材を熱溶着させて孔を封止し、光電気化学電池1を完成させた。
(光電気化学電池2)
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の濃度を50mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で光電気化学電池2を作製した。
(光電気化学電池3)
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を20mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で比較光電気化学電池を1を作製した。
(電気化学電池4)
液状電解質におけるヨウ化亜鉛の代わりにヨウ化リチウムを添加し、液状電解質におけるヨウ化リチウムの濃度を100mmol/Lとしたこと以外は、光電気化学電池1と同様の手順及び条件で比較光電気化学電池2を作製した。
(電池特性評価試験)
以下の手順により、光電気化学電池1、2及び比較電気化学電池1、2について、光電変換効率(η(%))を測定した。
電池特性評価試験は、ソーラーシミュレータ(ワコム製、商品名;「WXS−85−H型」)を用い、AMフィルター(AM1.5)を通したキセノンランプ光源からの疑似太陽光の照射条件を、100mW/cmとする(いわゆる「1Sun」の照射条件)測定条件の下で行った。
各光電気化学電池について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、これらから光電変換効率η[%]を求めた。得られた結果を表9(1Sunの照射条件)の「fresh」として示す。また、60℃、1Sun照射で、10Ω負荷での作動条件で色素増感型太陽電池1〜2及び比較色素増感型太陽電池1〜2の光電変換効率η[%]の300時間経時後に調べた耐久性評価試験の結果も表9に示した。
Figure 0005749883
表9に示した結果から明らかなように、本発明の色素は電解質にヨウ化亜鉛を添加した場合でも優れたものであることがわかった。
(実施例10)
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザーにより測定した。
2.色素を吸着した酸化チタン微粒子層(電極A)の作製
フッ素をドープした酸化スズを被覆した20mm×20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製,TCOガラス−U,表面抵抗:約30Ω/m)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成した。半導体塗布ガラス板を取り出し冷却した後、表10に示す色素のエタノール溶液(濃度:3×10−4mol/L)に3時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させた。このようにして得られた色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/mであった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10mmol/mの範囲内であった。
3.光電気化学電池の作製
表1に示す溶媒を使用して、0.5mol/Lの電解質塩および0.05mol/Lのヨウ素を含んだ溶液を調製した。この溶液に表10に記載の質量組成比(溶媒+窒素含有高分子化合物+塩を100wt%とした場合の質量組成比)で窒素含有高分子化合物(1−1)を加え、さらに表10に記載のモル比(窒素含有高分子化合物の反応性窒素原子に対する求電子部位のモル比)で求電子剤(2−6)を混合し、均一な反応溶液とした。
一方、導電性ガラス板上に形成された色素増感酸化チタン微粒子層の上にスペーサーを介して白金を蒸着したガラス板からなる対極の白金薄膜側を載置し、導電性ガラス板と白金蒸着ガラス板とを固定した。得られた組立体の開放端を上記電解質溶液に浸漬し、毛細管現象により色素増感酸化チタン微粒子層中に反応溶液を浸透させた。
次いで80℃で30分間加熱して、架橋反応を行った。このようにして、特開2000−323190号記載の図2に示す通り、導電性ガラス板10の導電層12上に、色素増感酸化チタン微粒子層20、電解質層30、および白金薄膜42およびガラス板41からなる対極40が順に積層された本発明の光電気化学電池1−1(サンプルNo.1)を得た。
また色素と電解質組成物の組成の組み合わせを表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、異なる感光層20および/または電荷移動層30を有する光電気化学電池1−2、1−3を得た。
4.光電気化学電池A、Bの作製
(1)光電気化学電池A
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)を同じ大きさの白金蒸着ガラス板にスペーサーを介して重ねあわせた。次に両ガラス板の隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセトニトリルと3−メチル−2−オキサゾリジノンとの体積比90/10の混合物を溶媒としたヨウ素0.05mol/L、ヨウ化リチウム0.5mol/Lの溶液)を浸透させて、光電気化学電池A−1を作製した。また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池A−2、A−3を得た。
(2)光電気化学電池B(特開平9−27352号に記載の電解質)
前述のようにして本発明の色素により色素増感された酸化チタン微粒子層からなる電極A(20mm×20mm)上に、電解液を塗布し、含浸させた。なお電解液は、ヘキサエチレングリコールメタクリル酸エステル(日本油脂化学(株)製,ブレンマーPE−350)1gと、エチレングリコール1gと、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロバン−1−オン(日本チバガイギー(株)製,ダロキュア1173)20mgを含有した混合液に、ヨウ化リチウム500mgを溶解し10分間真空脱気することにより得た。次に前記混合溶液を含浸させた多孔性酸化チタン層を減圧下に置くことにより、多孔性酸化チタン層中の気泡を除き、モノマーの浸透を促した後、紫外光照射により重合して高分子化合物の均一なゲルを多孔性酸化チタン層の微細空孔内に充填した。このようにして得られたものをヨウ素雰囲気に30分間曝して、高分子化合物中にヨウ素を拡散させた後、白金蒸着ガラス板を重ね合わせ、光電気化学電池B−1を得た。また色素を表10に示すように変更した以外上記工程を繰り返すことにより、光電気化学電池B−2、B−3を得た。
5.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(Kenko L−42)を通すことにより、紫外線を含まない模擬太陽光とした。光強度は89mW/cmとした。
前述の光電気化学電池の導電性ガラス板10と白金蒸着ガラス板40にそれぞれワニ口クリップを接続し、各ワニ口クリップを電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。これに導電性ガラス板10側から模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置により測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率(η)の初期値(fresh)と、300時間連続照射時の変換効率の低下率をまとめて表10に示す。
Figure 0005749883
(備考)
(1)色素の記号は本文中に記載の通りである。
(2)窒素含有高分子1−1は以下の化合物を示す。
Figure 0005749883
(3)電解質塩
MHIm:1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩
MBIm:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムのヨウ素塩
(4)溶媒
AN:アセトニトリル。
PC:プロピレンカーボネート。
NMO:3−メチル−2−オキサゾリジノン。
(5)求電子剤
Figure 0005749883
表10に示した結果から明らかなように、本発明の色素はこの場合でも変換効率が高く、耐久性も高く優れたものであることがわかった。
1 導電性支持体
2 感光層
21 色素化合物
22 半導体微粒子
23 電解質
3 正孔輸送層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子

Claims (12)

  1. 分子内に下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする色素。
    Figure 0005749883
    [一般式(1)中、Xはベンゼン環と連結して七員環の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Yは色素残基を表し、nは1以上の整数を表す。Zは置換基を表し、mは0又は正の整数を表す。mが2以上の場合、Zは同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子または脂肪族基を表す。
    ただし、YおよびZが、下記式(A)を含む基であることはなく、YおよびZが下記式(α)で表される基であることはなく、YおよびZ中に、下記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。
    Figure 0005749883
    式(A)において、Aはピリジニウム、キノリニウムまたはイソキノリニウムを表し、Yは無機または有機のアニオンを表す。
    式(α)において、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、(C1−C60)アルキル、(C6−C60)アリール、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む(C3−C60)ヘテロアリール、モルホリノ、チオモルホリノ、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含む5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、トリ(C6−C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C60)ビシクロアルキル、(C2−C60)アルケニル、(C2−C60)アルキニル、シアノ、(C1−C60)アルキルアミノ、(C6−C60)アリールアミノ、(C6−C60)アリール(C1−C60)アルキル、(C1−C60)アルキルオキシ、(C1−C60)アルキルチオ、(C6−C60)アリールオキシ、(C6−C60)アリールチオ、(C1−C60)アルコキシカルボニル、(C1−C60)アルキルカルボニル、(C6−C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロもしくはヒドロキシルであるか、またはRとR及びRとRは、縮合環を含むかもしくは含まない(C3−C60)アルキレンもしくは(C3−C60)アルケニレンで連結されて、脂環式環、または単環式もしくは多環式芳香族環を形成することができる。
    式(β1)および(β2)において、R15乃至R20 互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1−C60)アルキル、(C6−C60)アリール、(C3−C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された一以上のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロシクロアルキル、(C3−C60)シクロアルキル、トリ(C1−C60)アルキルシリル、ジ(C1−C60)アルキル(C6−C60)アリールシリル、トリ(C6−C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C60)ビシクロアルキル、(C2−C60)アルケニル、(C2−C60)アルキニル、(C1−C60)アルコキシ、シアノ、(C1−C60)アルキルアミノ、(C6−C60)アリールアミノ、(C6−C60)アル(C1−C60)アルキル、(C6−C60)アリールオキシ、(C6−C60)アリールチオ、(C1−C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロまたはヒドロキシルであるか、 15 乃至R20はそれぞれ、隣接した置換基と縮合環を含むか含まない(C3−C60)アルキレンまたは(C3−C60)アルケニレンにより連結され、脂環式環または単環若しくは多環の芳香族環を形成していてもよい。
    ここで、式(β2)における下記構造部分の(γ)は、下記(γ−1)または(γ−2)である。]
    Figure 0005749883
  2. 前記一般式(1)で表される色素が、下記一般式(2)で表される構造を有することを特徴とする請求項1記載の色素。
    Figure 0005749883
    Figure 0005749883
    [一般式(2)において、Xはベンゼン環と連結して七員環の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Rは水素原子または脂肪族基を表す。R〜Rは水素原子、又は置換基を表し、置換基のうち少なくとも一つは一般式(3)で示される色素残基を表す。
    一般式(3)においてR10、R11、及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。rは0以上の整数を示す。一般式(3)における炭素−炭素二重結合は、E型、又はZ型のいずれであってもよい。R12は、酸性基を少なくとも一つ有する基または酸性核を表す。
    ただし、R〜R13は、前記式(A)を含む基であることはなく、R〜R13が前記式(α)で表される基であることはなく、R〜R13の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
  3. 前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する色素が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の色素。
    Figure 0005749883
    [一般式(4)において、R〜R、R〜R13は、それぞれ一般式(2)及び一般式(3)におけるR〜R、R〜R13と同義である。]
  4. 前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する色素が、下記一般式(5)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の色素。
    Figure 0005749883
    [一般式(5)において、R〜R13は、それぞれ一般式(2)及び一般式(3)におけるR〜R13と同義である。
    一般式(5)においてR14は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、又は複素環基を表す。
    ただし、R14は、前記式(A)を含む基であることはなく、R14が前記式(α)で表される基であることはなく、R14の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
  5. 前記一般式(1)又は(2)で表される構造を有する色素が、下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の色素。
    Figure 0005749883
    [一般式(6)において、R〜R、R、R、R〜R13は、それぞれ一般式(2)及び一般式(3)におけるR〜R、R、R、R〜R13と同義である。]
  6. 前記R12が下記一般式(7)または一般式(8)で表されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の色素。
    Figure 0005749883
    Figure 0005749883
    Figure 0005749883
    [一般式(7)においてR15、R16は、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(少なくとも1つの官能基は酸性基を有していてもよい)。lは0又は1を示す。一般式(7)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。一般式(7)中のR17は硫黄原子または一般式(9)を表し、一般式(9)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。
    一般式(8)におけるR18、R19は、それぞれ独立に、シアノ基又は酸性基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。一般式(8)における炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。
    一般式(9)におけるR20、R21は、それぞれ独立に、シアノ基又は酸性基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。一般式(9)における炭素−炭素二重結合は、E型Z型のいずれであってもよい。
    ただし、R15、R16は、前記式(A)を含む基であることはなく、R15、R16が前記式(α)で表される基であることはなく、R15、R16の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。
    また、R18〜R21における酸性基が、前記式(A)を含む基であることはなく、R18〜R21における酸性基が前記式(α)で表される基であることはなく、R18〜R21における酸性基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
  7. 前記一般式(7)が下記一般式(10)で表されることを特徴とする請求項6記載の色素。
    Figure 0005749883
    [一般式(10)においてR16は、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(酸性基を有していてもよい)。ただし、R16は、前記式(A)を含む基であることはなく、R16が前記式(α)で表される基であることはなく、R16の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
  8. 前記R12が下記一般式(11)で表されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の色素。
    Figure 0005749883
    [一般式(11)においてR15は、脂肪族基、芳香族基または複素環基である(酸性基を有していてもよい)。ただし、R15は、前記式(A)を含む基であることはなく、R15が前記式(α)で表される基であることはなく、R15の基中に、前記式(β1)または(β2)の少なくともいずれかを含むことはない。]
  9. 前記R12が下記一般式(12)で表されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の色素。
    Figure 0005749883
  10. 受光電極が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の色素によって増感される半導体微粒子を含有することを特徴とする光電変換素子。
  11. 受光電極と対極との間に絶縁性の多孔体を有することを特徴とする請求項10記載の光電変換素子。
  12. 請求項10〜11のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
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