JP5788817B2 - 光電変換素子及び色素増感太陽電池 - Google Patents
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Description
前記感光体層に、下記条件A〜Cのすべてを満たす総炭素数1〜60の電子ブロッキング剤と前記増感色素とが共存し、前記両者がともに前記半導体微粒子に吸着されてなる光電変換素子。
[A:炭素に結合しpKaが7以下に相当する酸残基として、カルボキシル基を有する。]
[B:アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む連結基を有する。]
[C:有機概念図における置換基のI値が200以上である極性基として、スルホ基又はホスホン酸基を有する。]
〔2〕前記電子ブロッキング剤が下記式(a)で表される〔1〕項に記載の光電変換素子。
式(a) (A)n11−B−(C)n12
[式中、Aは前記条件Aに係る酸残基である。Bは前記条件Bに係る連結基である。Cは前記条件Cに係る極性基である。n11は1〜3の整数を表す。n12は1〜3の整数を表す。]
〔3〕前記増感色素が少なくとも下記式(I)で表される色素を含む〔1〕又は〔2〕項に記載の光電変換素子。
ML1 m1L2 m2XmX・CI (I)
[式中、Mは金属原子を表す。L1は下記式(L1)で表される配位子を表す。L2は下記式(L2)で表される配位子を表す。Xは1座の配位子を表す。m1は1又は2である。m2は0〜2の整数を表す。mXは0〜3の整数を表す。CIは、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
〔4〕前記増感色素が少なくとも下記式(II)で表される色素を含む〔1〕又は〔2〕項に記載の光電変換素子。
ML3 m3L4 m4YmY・CI (II)
[式中、Mは金属原子を表す。L3は下記式L3で表される2座の配位子を表す。L4は下記式L4で表される2座又は3座の配位子を表す。Yは1座又は2座の配位子を表す。m3は0〜3の整数を表す。m4は1〜3の整数を表す。mYは0〜2の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
〔5〕前記増感色素のMが、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn、又はZnである〔3〕又は〔4〕項に記載の光電変換素子。
〔6〕前記増感色素が下記式(III)で表される色素を含む〔1〕又は〔2〕項に記載の光電変換素子。
〔7〕前記増感色素を含有させた電解液の水分含有率が0.1質量%以下である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の光電変換素子。
〔8〕前記電解質を構成する酸化還元剤がコバルト錯体である〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の光電変換素子。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備してなる色素増感太陽電池。
〔10〕有機溶媒中に、吸着基をもつ増感色素を0.001〜0.1質量%含有し、下記条件A〜Cのすべてを満たす基を有する総炭素数1〜60の電子ブロッキング剤を0.001〜0.1質量%含有し、水を0〜0.1質量%含有する、色素増感太陽電池用の色素吸着用液組成物。
[A:炭素に結合しpKaが7以下に相当する酸残基として、カルボキシル基を有する。]
[B:アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む連結基を有する。]
[C:有機概念図における置換基のI値が200以上である極性基として、スルホ基又はホスホン酸基を有する。]
〔11〕〔10〕項に記載の色素吸着用液組成物を準備する工程、該液組成物を使用して、基板および透明電極を有する導電性支持体と、吸着基をもつ増感色素および半導体微粒子を有する感光体と、電解質を有する電解質層と、対極とを有し、前記電解質を保持するよう前記透明電極と前記対極とを絶縁する部材とを具備する色素増感太陽電池に組み立てる工程とを有する色素増感太陽電池の製造方法。
本発明の光電変換素子においては、前記増感色素もしくは電解質を含む層に下記条件A〜Cのすべてを満たす総炭素数1〜60の電子ブロッキング剤が含まれていることを特徴とする。
前記電子ブロッキング剤は、炭素に結合しpKaが7以下に相当する酸残基として、カルボキシル基を有する。ここで、pKaが7以下に相当するものとは、酸残基の結合手に典型的にはメチル基を補った化合物を想定し、そのpKaにより評価することを意味する。例えば、酸残基がカルボキシル基であれば、酢酸となり、そのpKaは4.76となる。pKaはさらに−2以上であることが実際的であり、1以上であることが好ましい。上限値としては、5以下であることが好ましい。なお、本明細書において、pKaは特に断らない限り、25℃における値を言い、化学便覧 基礎編 改訂5版に掲載の値等を参照することができる。
前記電子ブロッキング剤は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基を含む連結基を有する。この連結基は、さらに、単結合、アミノ基、ホスフィノ基、シリル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルホン基、スルホキシド基、酸素原子、硫黄原子などの連結基ないし原子を伴っていてもよい。また、当該連結基は2価以上であればよく、上限は特にないが、6価以下の連結基であることが好ましい。
前記電子ブロッキング剤は、有機概念図における置換基のI値が200以上である極性基として、スルホ基又はホスホン酸基を有する。
有機概念図のI値は、400以上が好ましく、さらに500以上であることが好ましい。I値は上限は特にないが、1500以下であることが実際的である。有機概念図については、各参考書等を参照することができるが、例えば甲田善生ら「有機概念図―基礎と応用」三共出版(2008/11)を参照して特定することができる。以下に、I値(無機性値)及びO値(有機性値)の値をまとめた表を前記書籍から引用して示す。但し、本発明の極性基はイミノ基あるいはアミノ基を含む基であると金属錯体に対して配位子交換により素子性能が劣化するため、イミノ基およびアミノ基を含まないものが好ましく、窒素原子を含まないことがさらに好ましい。従って、本発明の極性基は、炭素原子、リン原子、硫黄原子を酸素原子により酸化体としたものが特に好ましい。
式(a) (A)n11−B−(C)n12
例示化合物 酸性基A/個数 極性基C/個数
――――――――――――――――――――――――――――――――
1 カルボキシル基/1 スルホ基/1
2 カルボキシル基/2 スルホ基/1
3 カルボキシル基/1 スルホ基/1
4 カルボキシル基/1 スルホ基/2
5 カルボキシル基/1 スルホ基/1
6 カルボキシル基/2 スルホ基/1
7 カルボキシル基/1 スルホ基/1
8 カルボキシル基/1 スルホ基/1
9 カルボキシル基/1 スルホ基/1
10 カルボキシル基/1 スルホ基/1
11 カルボキシル基/1 ホスホン酸基/2
12 カルボキシル基/2 ホスホン酸基/1
13 カルボキシル基/1 ホスホン酸基/1
14 カルボキシル基/1 ホスホン酸基/1
15 カルボキシル基/1 カルボキシル基/1
――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、電子ブロッキング剤は色素でないものが好ましく、したがって可視光領域(420nm〜700nm)に実質的に吸収ピークをもたないものであることが好ましい。
本発明に用いることができる増感色素としては、下記式(I)ないし(III)で表される化合物からなる色素を含むことが好ましい。
(式(I)で表される色素)
Mは金属原子を表す。Mは好ましくは4配位または6配位が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn又はZnである。特に好ましくは、Ru、Os、Zn又はCuであり、最も好ましくはRuである。
L1は下記式(L1)で表される。
式中、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5又は6員環を形成しうる非金属原子群を表す。ただし、Za、Zb及びZcが形成する環のうち少なくとも1つは酸性基Acを有する。
本発明において酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基など、あるいはこれらのいずれかを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシ基あるいはこれを有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホニル基、若しくはホスホリル基、又はこれらの塩のいずれかであることが好ましい。酸性基とは、連結基を介して結合した基でもよく、例えば、カルボキシビニレン基、ジカルボキシビニレン基、シアノカルボキシビニレン基、カルボキシフェニル基などを好ましいものとして挙げることができる。なお、ここで挙げた酸性基及びその好ましい範囲を酸性基Acということがある。
上述のとおり、酸性基Acは酸性を示す基を有する基であればよく、換言すれば、酸性を示す基は所定の連結基を介して導入されていてもよい。酸性基はその塩として存在していてもよい。塩となるとき対イオンとしては特に限定されないが、例えば、下記対イオンCIにおける正のイオンの例が挙げられる。連結基としては、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルケニレン基、炭素数2〜4のアルキニレン基、カルボニル基、カルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記酸性基Acは半導体表面に吸着する吸着基として機能しうる。
式中、A1、A2、A3はそれぞれ独立に酸性基を表す。A1、A2、A3としては上記酸性基Acとしてあげたものと同義である。
R1〜R3はそれぞれ独立に置換基を表す。R1〜R3としては例えば前記の置換基Tが挙げられる。R1〜R3として好ましくはアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基、ビニル基を介したヘテロアリール基、ビニル基を介したアリール基である。
b1、b3およびc1、c3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、b2、c2は0〜3の整数を表す。ただし、c1〜c3がすべて0であることはない。
式中、R7、R8およびR9は水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基または酸性基を表す。R7、R8およびR9のうち少なくとも1つは酸性基であり、好ましくは前記酸性基Acが挙げられる。
m1は1又は2である。1であるのがより好ましい。
L2は下記式(L2)で表される。
Vは置換基を表し、Hammett則におけるσp値が正の置換基を表すことが好ましい。
Vのσp値が0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。σp値に上限は特にないが、1以下であることが実際的である。このようなσp値を有する置換基とすることで、耐久性、変換効率を維持しつつ、吸収光のより長波長化が実現できる。
なお、1つのヘテロ環に複数の置換基Vがあるとき、すなわちnが2以上の場合は、各置換基Vのσp値の和で評価する。ただし、それぞれのヘテロ環ごとに評価し、別のヘテロ環に置換したVについては、その和とせずに、それぞれのσp値で評価する。
好ましいヘテロ環基をなすヘテロ環としては、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、およびこれらのベンゾ縮環体、トリアジン、などを挙げることができる。
nは0以上の整数を表す。好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
AおよびCは下記式(L2−1)〜(L2−11)のいずれかで表されることが好ましい。
前記環A及びCが前記式(L2−2)〜(L2−6)及び(L2−9)であることが好ましい。
Bは、置換基を有していてもよい5員環以上、好ましくは5〜14員環の含窒素芳香環を表す。形成される環は置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。Bは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及び/又はハロゲン原子で構成されることが好ましく、芳香族環を形成するのが好ましい。5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環又はトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環又はピラジン環を形成するのが好ましい。
式中、Rxは置換基を表す。Rxとしては前記置換基Tの例が挙げられる。Ryは水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。また、Ryはアリール基またはヘテロ環基であることが好ましい。
Ryがヘテロ環基である場合、チオフェン、フラン、ピロール、セレノフェン、およびそのベンゾ縮環体、およびこれらが自身も含めて2環以上連結したもの、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノシクロペンタン、ジチエノシロール、などがより好ましい。
*は結合手を意味する。
daはそれぞれ0〜5の整数を表す。dbは0〜2の整数を表す。dcは0〜4の整数を表す。
Laは後記式(II)のL3で規定されるLc及びLdと同義の連結基である。
aは0または1の整数を表す。
m2は0〜2の整数を表し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
Xは1座の配位子を表す。好ましくはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する1座の配位子、又はハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド及びチオ尿素からなる群より選ばれる1座の配位子を表す。
配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。なお、配位子Xは上記で示した各基がアニオン性配位子ないし中性配位子のいずれになって中心金属に配位していてもよい。
配位子Xの数を表すmXは0〜3の整数を表し、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
式(I)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、式(I)の色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、式(I)の色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。従ってCIで表される対イオンは一般式(I)中に複数あっても良い。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
ML3 m3L4 m4YmY・CI (II)
Mは式(I)におけるMと同義である。
L3は下記式(L3)で表される2座の配位子を表す。
m3は0〜2の整数であり、1、2であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。m3が2以上のとき、L3は同じでも異なっていてもよい。
Acはそれぞれ独立に酸性基を表す。Acの好ましいものは式(I)で定義したものと同義である。Acはピリジン環上もしくはその置換基のどの原子に置換してもよい。
Raはそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくは置換基Tの例を挙げることができる。好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基またはアシルアミノ基である。
Rbは、アルキル基又は芳香環基を表す。芳香族基としては、好ましくは炭素原子数6〜30の芳香族基、例えば、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル等である。複素環(ヘテロ環)基としては、好ましくは炭素原子数1〜30のヘテロ環基、例えば、2−チエニル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、1−イミダゾリル、4−ピリジル、3−インドリルおよび自身も含めてこれらを2つ以上組み合わせたものである。好ましくは1〜3個の電子供与基を有するヘテロ環基であり、より好ましくはチエニルおよびチエニルが2つ以上連結したものが挙げられる。該電子供与基はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシ基であるのが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはヒドロキシ基であるのがより好ましく、アルキル基であるのが特に好ましい。
e1、e2は0〜5の整数であるが、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。
Lc及びLdはそれぞれ独立に共役鎖を表し、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。エテニレン基やエチニレン基等は、無置換でも置換されていてもよい。エテニレン基が置換基を有する場合、該置換基はアルキル基であるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。Lc及びLdはそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6個の共役鎖であるのが好ましく、チオフェンジイル、エテニレン、ブタジエニレン、エチニレン、ブタジイニレン、メチルエテニレン又はジメチルエテニレンがより好ましく、エテニレン又はブタジエニレンが特に好ましく、エテニレンが最も好ましい。LcとLdは同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。なお、共役鎖が炭素―炭素二重結合を含む場合、各二重結合はE型であってもZ型であってもよく、これらの混合物であってもよい。
e3は0または1である。特に、e3が0のとき式中右側のfは1又は2であるのが好ましく、e3が1のとき右側のfは0又は1であるのが好ましい。
gはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、0〜2の整数であるのが好ましい。
fはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。fの和が1以上であって、配位子L3が酸性基を少なくとも1個有するときは、式(II)中のm3は2または3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。fが2以上のときAcは同じでも異なっていてもよい。式中左側のfは0又は1であるのが好ましく、右側のfは0〜2の整数であるのが好ましい。左右のfの総和は0〜2の整数であるのが好ましい。
L4は下記式(L4)で表される2座又は3座の配位子を表す。
・m4
m4は1〜3の整数であり、1〜2であるのが好ましい。m4が2以上のときL4は同じでも異なっていてもよい。
Zd、Ze及びZfは式(I)のZa、Zb、Zcと同義である。
hは0または1を表す。hは0であるのが好ましく、L4は2座配位子であるのが好ましい。
式(II)中、Yは1座又は2座の配位子を表す。mYは配位子Yの数を表す。mYは0〜2の整数を表し、mYは好ましくは1又は2である。Yが1座配位子のとき、mYは2であるのが好ましく、Yが2座配位子のとき、mYは1であるのが好ましい。mYが2以上のとき、Yは同じでも異なっていてもよく、Yどうしが連結していてもよい。
なお、配位子Xは上記で示した各基がアニオン性配位子ないし中性配位子のいずれになって中心金属に配位していてもよい。
式(II)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。式(I)中のCIと同義であり、好ましい範囲も同じである。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、少なくとも前記式(I)で表される化合物からなる色素と、式(II)で表される化合物からなる色素を用いて、広範囲の波長の光を利用することにより、高い変換効率を確保することができる。
(式(III)の化合物からなる色素)
当該色素は、その式と別の共鳴構造式で表されるものも含まれる。このことは導入される原子群(P11、P12、P13、P14、Ar1等)のすべての化学式について同様であり、分子全体として整合する共役構造として解釈されるものである。
式(1)中、Qは4価の芳香環基を表す。芳香環は上述のように芳香族環及び複素環を含む。芳香族環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が好ましい。複素環としては、後記例示置換基HArexの環構造が挙げられる。
X1、X2は硫黄原子、セレン原子、酸素原子、またはCR1R2を表す。ここでR1、R2はアルキル基を表す。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、デシル、1−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等が好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、デシル、1−エチルペンチル、2−エトキシエチル、ベンジルがより好ましく、メチル、エチル、プロピル、デシル、2−エトキシエチルが特に好ましい。以下、このアルキル基の例示及び好ましいものを、アルキル基「Rex」と呼ぶ。X1、X2は硫黄原子、酸素原子もしくはCR1R2が好ましく、CR1R2がより好ましい。なお、式(1)中、X1,X2と、N−R,N−R’との上下の関係は反転したものであってもよい(つまり、N−Rが下、N−R’が上という関係であってもよい)。
R、R’は、脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。炭素原子で結合するヘテロ環基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピランが挙げられる。脂肪族基としては、上記アルキル基Rexが挙げられる。芳香族基としては、炭素原子数6〜26のアリール基が挙げられ、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニルが好ましく、フェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニルがより好ましい。以下、この芳香族基(アリール基)の例示及び好ましいものを、芳香族基「Arex」と呼ぶ。
P1は色素残基を表す。
P2はポリメチン色素を形成するのに必要な原子群を表す。
W1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、色素中の助色団及び置換基に依存する。式(III)の構造を有する色素が解離性の置換基を有する場合、解離して負電荷を有していてもよい。この場合、分子全体の電荷はW1によって中和される。
W1が陽イオンの場合、例えば、プロトン、無機若しくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)又はアルカリ金属イオンである。W1が陰イオンの場合、無機陰イオン又は有機陰イオンのいずれであってもよい。例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあるいは、色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III))でもよい。
P1は、後記式P11もしくは式P12、または式P13もしくは式P14で表される原子群を表すことが好ましい。
式中、R31、R32は、酸性基を有することがある脂肪族基、又は酸性基を有することがある芳香環基を表す。脂肪族基としては、前記アルキル基Rexの他、下記のシクロアルキル基CRexが挙げられる。CRexとして、好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基であり、より好ましくは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等である。芳香環基としては、前記芳香族基Arexの他、下記の複素環基HArexが挙げられる。HArexとしては、好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基であり、より好ましくは、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等である。
R33は、硫黄原子または下記式RAを表す。
R36〜R38は水素原子又は置換基を表す。置換基としては、置換基Tが挙げられる。R36〜R38はアルキル基Rex又は水素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
・R39
R39は酸素原子又は置換基を表す。R39が2価の置換基であるとき、下記式R91又はR92で表されることが好ましい。
n31は0以上の整数を表し、0〜3であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。n32は0又は1を示し、0であることが好ましい。
P13、P14において、V1は水素原子又は置換基を表す。V1は複数ある場合、同じでも異なっていてもよく、又は互いに結合して環を形成していてもよい。V1が置換基であるとき、その好ましい例としては置換基Tが挙げられる。V1は酸性基Acを有することが好ましい。これにより、モル吸光係数向上または電子注入効率向上の効果が得られる。
n41は0〜4の整数を表す。好ましくは、0〜3であり、より好ましくは0〜2である。
n42は1〜4の整数を表す。好ましくは、1〜3であり、より好ましくは1、2である。
Y1は硫黄原子、NR47、又はCR48R49を表す。Y1は硫黄原子、NCH3、又はC(CH3)2を表すことが好ましい。
R47〜R49は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。炭素原子で結合するヘテロ環基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピランが挙げられる。R47の好ましい例としては、脂肪族基として、好ましくは、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である。さらに好ましくは、アルキル基又はアルケニル基である。より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等)である。芳香族基としてはベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙げられる。R48とR49とは、同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
Zは脂肪族基、芳香族基、又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。置換基の好ましい例として酸性基が挙げられ、より好ましくはカルボキシル基を有する基が挙げられる。
Zは脂肪族基を有する基を表すことが好ましい。脂肪族基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である。さらに好ましくは、アルキル基又はアルケニル基である。より好ましくは炭素数5〜18のアルキル基(例えばペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等)である。Zを炭素数5〜18の脂肪族基とすることにより、前記作用が得られる。脂肪族基は後記置換基Tで置換されていてもよい。
R41〜R45は水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、置換基を有していてもよい。炭素原子で結合するヘテロ環基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピランが挙げられる。R41〜R45は、好ましくは水素原子または脂肪族基である。脂肪族基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である。さらに好ましくは、アルキル基又はアルケニル基である。より好ましくは炭素数5〜18のアルキル基(例えばペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等)である。より好ましくは水素原子である。
R46は酸素原子又は結合する二つの置換基のHammett則におけるσpの和が正となる二価の炭素原子を表す。
式P14においてR46は上述の式R91又はR92で表されることが好ましい。これにより、電子注入効率向上の効果が得られる。
本発明においては前記P2が下記式P21またはP22であることが好ましい。
式中、R51〜R53は置換基を表す。置換基としては、後記置換基Tが挙げられ。R51〜R53はアルキル基Rex又は水素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
n41は0以上の整数を表し、0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
Ar1は、Hammett則におけるσp値が0以下の置換基を有する芳香環基または前記σp値が0以下の置換基を有するπ過剰系複素環基を表す。π過剰系複素環基とは、π過剰系複素環化合物の残基を意味する。π過剰系とは、典型的には、窒素原子等のローンペアを含めπ電子系の数が環を構成する原子の数を上回る状態を意味する。詳細は、例えば、「新編 ヘテロ環化合物 基礎編」(講談社サイエンテイフィック)p15等を参照することができる。σp値については、先に述べたとおりである。
式中、Y2はS、NRe、またはC(Rf)2を表す。Reは置換基を表し、アルキル基を表すことが好ましい。アルキル基の好ましいものとしては前記Rexが挙げられる。Rfは置換基を表す。置換基としては後記置換基Tが挙げられる。
Aは芳香環を表す。芳香環の好ましいものとしては、前記芳香族基Arex及び複素環基HArexが挙げられる。
RCは水素原子もしくは置換基を表す。置換基の好ましいものとしては後記置換基Tが挙げられる。好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基等である。なお、式RC2において2つあるRCは互いに異なっていてもよく、結合ないし縮合して環を形成していてもよい。
EはS、NRe、Oを表す。Reは置換基を表し、前記と同義である。
DはHammett則におけるσp値が0以下の置換基を表す。Dは、−ORe、−NReを表すことが好ましい。Reは、置換基を表し前記と同義である。
Bは芳香環を表す。芳香環の好ましいものとしては、前記芳香族基Arex及び複素環基HArexが挙げられる。
・X3
X3は−SRe、−ORe、−NRe 2を表し、Reは置換基を表し、前記と同義である。
kは正の整数である。好ましくは、1〜4の整数である。
Lは下記式LX、LYを示す。nは、0以上の整数を示し、0〜2が好ましい。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基及び配位子についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。さらに、置換基が配位子を表すとき、これはアニオン性配位子ないし中性配位子のいずれになって中心金属に配位していてもよい。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環の炭素原子数2〜20のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファもイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
本発明においては、有機溶媒中に、前記増感色素と電子ブロッキング剤とを含有させてなる色素吸着用液組成物を用いて、光電変換素子を作製することが好ましい。
なかでも、アルコール類(特に総炭素数1〜6の脂肪族アルコール)、アミド類(特に総炭素数2〜6の脂肪族アミド類)またはその組み合せが好ましく、特にメタノール、t−ブタノール、エタノール、2−プロパノール、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、またはその組み合せが好ましい。特に脱水処理した無水のものが好ましく、総炭素数は1〜4が好ましく、脂肪族化合物が好ましく、アルコールであることが好ましい。無水エタノールであることがより好ましい。
液組成物中の電子ブロッキング剤の量は特に限定されないが、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.002〜0.01質量%であることがより好ましい。
液組成物中の水の含有は制限されていることが好ましく、水を0.1質量%以下に抑えることが好ましい。
本発明の光電変換素子は、基板、透明電極、半導体微粒子、吸着基をもつ増感色素、電解質、及び対極を有し、前記電解質を保持するようにして前記透明電極と前記対極とを絶縁する部材を具備する。例えば、図1に示されるように、光電変換素子10は、基板及び透明電極からなる導電性支持体1、その上に設置される色素21により増感した半導体層(感光体層)2、電解質層3、および対極4を具備する。ここで本実施形態においては、上記半導体層に、色素21とともに、電子ブロッキング剤24が吸着されている。半導体層を設置した導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。本実施形態においては、この光電変換素子10を外部回路6で動作手段Mに仕事をさせる電池用途に使用できるようにした色素増感太陽電池を利用したシステム100として示している。
本発明の光電変換素子に用いることができる電解質組成物には、酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましい。
本発明の光電変換素子においては、本発明の金属錯体色素または必要により併用する色素および電子ブロッキング剤とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としてはカルボキシル基もしくはその塩の基を有する共吸着剤が好ましく、該共吸着剤としては、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としては、ガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスもしくはプラスチックの支持体1m2当たりの0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
前記色素が塩である場合、前記特定の金属錯体色素の対イオンは特に限定されず、例えばアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
対向電極は、光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極は、通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。対極の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対向電極との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電気化学電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合、対向電極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。光電気化学電池の対向電極としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。光電気化学電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。このようにして得られる本発明の光電気化学電池の特性は、一般的にはAM1.5Gで100mW/cm2のとき、開放電圧0.01〜1.5V、短絡電流密度0.001〜20mA/cm2、形状因子0.1〜0.9、変換効率0.001〜25%である。
光電極を構成する半導体電極の半導体層又は光散乱層を形成するための種々のペーストを調製し、このペーストを用いて、色素増感太陽電池を作製した。
(ペーストA)球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO2粒子Aという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)球形TiO2粒子Aと、球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO2粒子Bという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO2粒子Aの質量:TiO2粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)ペーストAに、棒状TiO2粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子Cという)を混合し、棒状TiO2粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
電池特性試験を行い、色素増感太陽電池について、変換効率ηiを測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WACOM製、WXS−85H)を用い、AM1.5フィルターを通したキセノンランプから1000W/m2の疑似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、変換効率(ηi/%)、Jsc、Voc、FFを求めた。
65℃、300時間暗所経時後の光電変換効率(ηf)を測定した。前記初期の変換効率(ηi)に対する降下率(γd)(下式)を求めて評価を行った。
式: 降下率(γd)=(ηi−ηf)/(ηi)
同一の方法で7個の色素増感太陽電池を作製し、これらの光電変換効率(ηi)に対する標準偏差の割合であるばらつき率(SD)を求めた。
2 感光体
21 金属錯体色素
22 半導体微粒子
23 CdSe量子ドット
24 電子ブロッキング剤
3 電解質層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 色素増感太陽電池を利用したシステム
Claims (11)
- 基板および透明電極を有する導電性支持体と、吸着基をもつ増感色素および半導体微粒子を有する感光体層と、電解質を有する電解質層と、対極とを有し、前記電解質を保持するよう前記透明電極と前記対極とを絶縁する部材とを具備する光電変換素子であって、
前記感光体層に、下記条件A〜Cのすべてを満たす総炭素数1〜60の電子ブロッキング剤と前記増感色素とが共存し、前記両者がともに前記半導体微粒子に吸着されてなる光電変換素子。
[A:炭素に結合しpKaが7以下に相当する酸残基として、カルボキシル基を有する。]
[B:アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む連結基を有する。]
[C:有機概念図における置換基のI値が200以上である極性基として、スルホ基又はホスホン酸基を有する。] - 前記電子ブロッキング剤が下記式(a)で表される請求項1に記載の光電変換素子。
式(a) (A)n11−B−(C)n12
[式中、Aは前記条件Aに係る酸残基である。Bは前記条件Bに係る連結基である。Cは前記条件Cに係る極性基である。n11は1〜3の整数を表す。n12は1〜3の整数を表す。] - 前記増感色素が少なくとも下記式(I)で表される色素を含む請求項1又は2に記載の光電変換素子。
ML1 m1L2 m2XmX・CI (I)
[式中、Mは金属原子を表す。L1は下記式(L1)で表される配位子を表す。L2は下記式(L2)で表される配位子を表す。Xは1座の配位子を表す。m1は1又は2である。m2は0〜2の整数を表す。mXは0〜3の整数を表す。CIは、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。]
- 前記増感色素が少なくとも下記式(II)で表される色素を含む請求項1又は2に記載の光電変換素子。
ML3 m3L4 m4YmY・CI (II)
[式中、Mは金属原子を表す。L3は下記式L3で表される2座の配位子を表す。L4は下記式L4で表される2座又は3座の配位子を表す。Yは1座又は2座の配位子を表す。m3は0〜3の整数を表す。m4は1〜3の整数を表す。mYは0〜2の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
- 前記増感色素のMが、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn、又はZnである請求項3又は4に記載の光電変換素子。
- 前記増感色素を含有させた電解液の水分含有率が0.1質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記電解質を構成する酸化還元剤がコバルト錯体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備してなる色素増感太陽電池。
- 有機溶媒中に、吸着基をもつ増感色素を0.001〜0.1質量%含有し、下記条件A〜Cのすべてを満たす基を有する総炭素数1〜60の電子ブロッキング剤を0.001〜0.1質量%含有し、水を0〜0.1質量%含有する、色素増感太陽電池用の色素吸着用液組成物。
[A:炭素に結合しpKaが7以下に相当する酸残基として、カルボキシル基を有する。]
[B:アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む連結基を有する。]
[C:有機概念図における置換基のI値が200以上である極性基として、スルホ基又はホスホン酸基を有する。] - 請求項10に記載の色素吸着用液組成物を準備する工程、該液組成物を使用して、基板および透明電極を有する導電性支持体と、吸着基をもつ増感色素および半導体微粒子を有する感光体と、電解質を有する電解質層と、対極とを有し、前記電解質を保持するよう前記透明電極と前記対極とを絶縁する部材とを具備する色素増感太陽電池に組み立てる工程とを有する色素増感太陽電池の製造方法。
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