JP5636341B2 - 光電変換素子、光電気化学電池、及びそれらに用いられる色素 - Google Patents
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Description
上記本技術分野の現状に鑑み、本発明は、800nmを超える波長域において高いIPCE(電流-電圧特性:Incident Photon to Current Conversion Efficiency )を発揮し、光電変換効率を達成し、しかも耐久性に優れる光電変換素子、光電気化学電池、及びそれらに用いられる色素の提供を目的とする。
(1)導電性支持体上側に、色素が吸着された半導体微粒子の層を有する感光体と、電荷移動体と、対極とを含む積層構造よりなる光電変換素子であって、前記色素の少なくとも一種が下記式(1)で表される構造を有することを特徴とする光電変換素子。
(2)前記n2が0または1であることを特徴とする(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記R15 およびR24が前記式R91またはR92で表される基であることを特徴とする(1)または(2)に記載の光電変換素子。
(5)一般式(1)で表される色素において、P 1 中の前記酸性基を表すV1が、5−カルボキシ基、5−スルホ基、5−ホスホニル基および5−ホスホリル基のいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(6)前記式R C1 およびR C3 中、前記nが1〜3の整数であり、前記kが1〜3の整数であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(8)前記感光体が下記式(I)で表される色素をさらに有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI : 式(I)
(式(I)において、MzはRu、Os、ZnまたはCuを表す。LL1は下記式LL1で表される2座の配位子を表す。LL2は下記式LL2で表される2座もしくは3座の配位子を表す。Xは1座もしくは2座の配位子を表す。m1は0〜3の整数を表す。m2は1〜3の整数を表す。m3は0〜2の整数を表す。CIはプロトン、無機もしくは有機のアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、ハロゲン陰イオン、置換アリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸イオンから選択される、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。)
(9) (1)〜(8)のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
(10)下記式(1)で表される構造を有する色素化合物。
この理由は未解明の点を含むが、推定を含めて下記のように説明できる。つまり、チタニア等の半導体微粒子に上記特定の色素が吸着したとき、分子内でHOMOの局在化した側がドナーとして機能し、逆にLUMOの局在化した側がアクセプターとして機能することが予想される。これにより、効率的に半導体微粒子に電子を送り込み、反対に電子の逆移動は抑制して、高い光電変換効率が達成されたと考えられる。超長波長領域での特性の良化及び耐久性の良化については、分子内での電荷分離効果と複環構造の母核を含む分子構造が寄与したと推察される。以下に本発明についてその好ましい実施態様に基づき、詳細に説明する。
本発明の光電変換素子の好ましい実施態様を、図面を参照して説明する。図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、導電性支持体1上にその順序で配された、感光体層2、電荷移動体層3、及び対極4からなる。前記導電性支持体1と感光体2とにより受光電極5を構成している。その感光体2は導電性微粒子22と増感色素21とを有しており、色素21はその少なくとも一部において導電性微粒子22に吸着している(色素は吸着平衡状態になっており、一部電荷移動体層に存在していてもよい。)。感光体2が形成された導電性支持体1は光電変換素子10において作用電極として機能する。この光電変換素子10を外部回路6で仕事をさせるようにして、光電気化学電池100として作動させることができる。
一方、半導体微粒子の導電帯のエネルギー準位を下げて電子注入効率を上げることが考えられる。この方法では、短絡電流密度を大きくすることはできるが、開放電圧は小さくなる。
これに対して、本発明の好ましい実施形態によれば、上記バンドギャップの縮小とともに、上述した両軌道の局在化を大きく促進させ、超長波長での光電変換効率の向上や耐久性の向上を一層効果的に達成する分子設計ができ好ましい。
なお、光電変換素子の上下は特に定めなくてもよいが、本明細書において、図示したものに基づいて言えば、受光側となる対極4の側を上部(天部)の方向とし、支持体1の側を下部(底部)の方向とする。
(一般式(1)の化合物からなる色素)
本発明の光電変換素子においては、少なくとも下記一般式(1)で表される化合物からなる色素が使用される。一般式(1)の色素は、その式と別の共鳴構造式で表されるものも含まれる。このことは、一般式(1)に導入される原子群(P11、P12、Ar1等)のすべての化学式について同様であり、分子全体として整合する共役構造として解釈されるものである。
式(1)中、Qは芳香環を表す。芳香環は上述のように芳香族環及び複素環を含む。芳香族環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が好ましい。複素環としては、後記例示置換基HArexの環構造が挙げられる。
ただし、本発明においては、Qはベンゼン環、ナフタレン環または炭素原子数2〜20のヘテロ環である。
X1、X2は硫黄原子、セレン原子、酸素原子、またはCR1R2を表す。ここでR1、R2は炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、デシル、2−エチルヘキシル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等が好ましく、メチル、エチル、デシル、2−エチルヘキシル、ベンジル、2−エトキシエチルがより好ましく、メチル、エチル、デシルが特に好ましい。以下、このアルキル基の例示及び好ましいものを、アルキル基「Rex」と呼ぶ。X1、X2は酸素原子もしくはCR1R2が好ましく、CR1R2がより好ましい。なお、一般式(1)中、X1 、X2と、N−R、N−R’との上下の関係は反転したものであってもよい(つまり、N−Rが下、N−R’が上という関係であってもよい)。
R、R’は炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数6〜26のアリール基である。アルキル基としては、上記アルキル基Rexが挙げられる。炭素原子数6〜26のアリール基としては、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニルが好ましく、フェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニルがより好ましい。以下、このアリール基の例示及び好ましいものを、芳香族基「Arex」と呼ぶ。
P1は後記式P11またはP12で表される原子群を表す。
P2は後記式P21、P22で表されるポリメチン色素を形成するのに必要な原子群を表す。
W1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、色素中の助色団及び置換基に依存する。一般式(1)の構造を有する色素が解離性の置換基を有する場合、解離して負電荷を有していてもよい。この場合、分子全体の電荷はW1によって中和される。
W1が陽イオンの場合、例えば、プロトン、無機若しくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)又はアルカリ金属イオンである。W1が陰イオンの場合、無機陰イオン又は有機陰イオンのいずれであってもよい。例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマーあるいは、色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、金属錯イオン(例えば、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III))でもよい。
ただし、本発明では、W 1 は、プロトン、無機若しくは有機のアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、ハロゲン陰イオン、置換アリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンから選択される。
式中、Aは芳香環を表す。芳香環としては、前記芳香族基Arexの他、下記の複素環基HArexが挙げられる。HArexとしては、好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基であり、より好ましくは、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、ピラジル等である。
ただし、本発明では、Aは炭素原子数6〜26のアリール環または炭素原子数2〜20のヘテロ環である。
V1は水素原子または置換基を表し、n1が2以上の時は同じでも異なっていてもよいが、いずれか1つのV1(これをVaと呼ぶことがある)は、酸性基または酸性基を有する置換基を表す。V1が複数あるとき、それらは連結して環を形成していてもよい。
ここで酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基など、あるいはこれらのいずれかを有する基が挙げられ、好ましくはカルボキシ基あるいはこれを有する基である。また酸性基はプロトンを放出して解離した形を採っていてもよく、塩であってもよい。Vはベンゼン環に直接上記の酸性基が結合していてもよく、連結基を介して酸性基が結合していてもよい。酸性基としては、5−カルボキシ基、5−スルホン酸基(5−スルホ基)、5−ホスホニル基若しくは5−ホスホリル基又はこれらの塩のいずれかであることが好ましい。酸性基を有する基としては、連結基を介して上記の酸性基が結合した基であればよく、例えば、カルボキシビニレン基、ジカルボキシビニレン基、シアノカルボキシビニレン基、カルボキシフェニル基などを好ましいものとして挙げることができる。
ただし、本発明において、V 1 は水素原子、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、メルカプト基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルキル基、ヘテロ環基、電子吸引性基が置換したフェニル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基であり、このうち、本発明における酸性基は、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基である。
なお、位置番号(例えば5−カルボキシ基の場合の5)は、本明細書においては、N(R1)やN(R1’)を1とし、YやY’を3とするように、反時計回りに付与するものとする。
例えば、下記式P1exでは以下の位置番号となる。
n1は1〜4の整数を表す。複数のV1は同じであっても異なってもよく、また複数のV1が互いに結合して環を形成してもよい。ここで、複数のV1が互いに結合して環を形成する場合、該環としては脂環、芳香環、ヘテロ環のいずれでもよいが、芳香環、特にベンゼン環が好ましい。n1は1〜2であることが好ましい。
YはS、N(Rd)、またはC(R16)2を表す。R16は水素原子または置換基を表す。置換基としては後記の置換基Tが挙げられる。ただし、本発明では、R 16 は水素原子、炭素原子数1〜12の脂肪族基または炭素原子数4〜14の芳香族基である。Rd は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。R16の好ましい例は、炭素数1〜12の脂肪族基では、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジルが挙げられ、炭素原子数4〜14の芳香族基では、例えばフェニル、トリル、ナフチルが挙げられる。R16は、好ましくは、炭素原子数1〜12の脂肪族基、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジルである。
式中、R11〜R14は、水素原子又は置換基を表す。脂肪族基としては、前記アルキル基Rexの他、下記のシクロアルキル基CRexが挙げられる。CRexとして、好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基であり、より好ましくは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等である。芳香環基としては、前記芳香族基Arexの他、下記の複素環基HArexが挙げられる。HArexとしては、好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基であり、より好ましくは、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等である。
ただし、本発明では、R 11 〜R 14 は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜26のアリール基または炭素原子数2〜20のヘテロ環基である。
R15は酸素原子、下記式R91又はR92で表される基を表す。
n2は0〜3の整数を表す。n2は0〜1が好ましい。
R11〜R15および酸性基以外のV1のうちの1つ以上はHammett則におけるσp値が正の置換基を示す。V1が酸性基もしくはこれを有する置換基(Va)であるときはVaが前記σp値が正の置換基に該当しうるが、本発明の色素は、これ以外にσpが正の置換基をもつ。
なお、本発明では、Hammett則におけるσp値が正の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、メルカプト基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルキル基、ヘテロ環基、および電子吸引性基が置換したフェニル基から選択される。
式中、R21、R22、R23は水素原子または置換基を表す。置換基としては後記の置換基Tが挙げられる。中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、アルキル基、アリール基がより好ましく、本発明では、R 21 、R 22 、R 23 は水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜26のアリール基、炭素原子数2〜20のヘテロ環基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数0〜20のアミノ基、炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、炭素原子数1〜20のカルバモイル基、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子である。
R24は酸素原子又は前記式91、92で表される基を表す。
Ar1は芳香環基を表す。Ar1はHammett則におけるσp値が0以下の前記置換基を有することが好ましい。その具体的なものは上記で述べたとおりである。
さらに具体的には、Ar1がσp値が0以下の置換基を有する芳香族基であるか、π過剰系複素環基であることが好ましい。π過剰系複素環基とは、π過剰系複素環化合物の残基を意味する。π過剰系とは、典型的には、窒素原子等のローンペアを含めπ電子系の数が環を構成する原子の数を上回る状態を意味する。詳細は、例えば、「新編 ヘテロ環化合物 基礎編」(講談社サイエンテイフィック)p15等を参照することができる。
ただし、本発明では、Ar1は下記式RC1、RC2又はRC3で表される基である。
R27〜R30は水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜26のアリール基、炭素原子数2〜20のヘテロ環基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数0〜20のアミノ基、炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、炭素原子数1〜20のカルバモイル基、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。これらの置換基は、後記の置換基Tのうち、対応する基が挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基等である。
EはNR31、S又はOを表す。R31は水素原子もしくはアルキル基を表し、本発明では、R 31 は水素原子またはメチル基である。
DはHammett則におけるσp値が0以下の置換基を表す。その好ましいものは上記で説明したものと同義である。
Bは芳香環を表す。芳香環の好ましいものとしては、前記芳香族基Arex及び複素環基HArexが挙げられる。
ただし、本発明では、Bは炭素原子数6〜26のアリール基または炭素原子数2〜20のヘテロ環基である。
nおよびmは0以上の整数を表し、n+mは5以下である。nは0〜3であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。mは0〜5であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。kは0〜4を表し、1〜3であることが好ましい。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
以下に本発明の一般式(1)で表される色素の好ましい具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。*は下記一般スキームの母核に結合する炭素原子の位置を表す。
なお、P1−22、P1−23、P1−30、P1−31、P1−56、P1−57、M−8、P2−11、P2−12は参考例である。
同じく、化合物番号12、13、20、29、52〜55、61、66、69〜74、82、87、89、97、99、103、115〜118は参考例である。
例えば、前記例示色素22は、以下のスキームにより得ることができる。他の色素も同様の方法で得ることができる。
P1及びP2はそれぞれ独立に、下記一般式(2−1)のP11又は下記一般式(2−2)のP12で表されるポリメチン色素を形成するのに必要な非金属原子群を示す。
W1は電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。]
一般式(1)におけるP1及びP2のVのうち、いずれか1つ(Vaとする)は酸性基又は酸性基を有する基であり、該VaをP1とP2のいずれか一方のみに有す。R5’はエキソ(環外)に二重結合で原子もしくは置換基と結合するメテニル基を表す。R1、R2、R3、R4、R1’、R2’及びR3’はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合するヘテロ環基を表す。Va以外のV、R1、R2、R3、R4、R1’、R2’、R3’およびR5’のうち1つ以上は、Hammett則におけるσp値が正の置換基もしくはHammett則におけるσp値が正の置換基を有する基である。
Y及びY’はそれぞれ独立に、硫黄原子、N(Rd)又はC(R6)(R6’)を表す。R6、R6’は置換基を表す。Rdはアルキル基を表す。n1及びn1’は1以上の整数を表し、n2は0以上の整数を表す。炭素−炭素二重結合は、E型又はZ型のいずれであってもよい。n1、n1’が2以上の整数のとき、複数のVは同じであっても異なってもよく、また複数のVが互いに結合して環を形成してもよい。]
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、さらに下記一般式(I)で表される化合物からなる色素を含むことが好ましい。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI : 式(I)
(式(I)において、Mzは金属原子を表す。LL1は下記式LL1で表される2座の配位子を表す。LL2は下記式LL2で表される2座又は3座の配位子を表す。Xは前記LL1及びLL2以外の1座又は2座の配位子を表す。m1は0〜3の整数を表す。m2は1〜3の整数を表す。m3は0〜2の整数を表す。CIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。)
Mzは金属原子を表す。Mzは好ましくは4配位または6配位が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn又はZnである。特に好ましくは、Ru、Os、Zn又はCuであり、最も好ましくはRuである。
なお、本発明では、MzはRu、Os、ZnまたはCuである。
・m1
m1は0〜3の整数であり、1〜3であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。m1が2以上のとき、LL1は同じでも異なっていてもよい。
R51及びR52はそれぞれ独立に酸性基を表す。例えばカルボキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば、−CONHOH、−CON(CH3)OH等)、ホスホリル基(例えば−OP(O)(OH)2等)及びホスホニル基(例えば−P(O)(OH)2等)並びにこれらの塩が挙げられ、好ましくはカルボキシ基、ホスホニル基及びこれらの塩であり、より好ましくはカルボキシ基又はその塩である。R51およびR52はピリジン環上のどの炭素原子に置換してもよい。
R53、R54はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくは前記置換基Tである。
式中、R55およびR56はそれぞれ独立に、アルキル基又は芳香環基を表す。芳香族基としては、好ましくは炭素原子数6〜30の芳香族基、例えば、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル等である。複素環(ヘテロ環)基としては、好ましくは炭素原子数1〜30のヘテロ環基、例えば、2−チエニル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、1−イミダゾリル、4−ピリジル、3−インドリルである。好ましくは1〜3個の電子供与基を有するヘテロ環基であり、より好ましくはチエニルが挙げられる。該電子供与基はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例はR53及びR54の場合と同様)またはヒドロキシ基であるのが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはヒドロキシ基であるのがより好ましく、アルキル基であるのが特に好ましい。R55とR56は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
R55とR56は、直接ベンゼン環に結合していてもよい。R55とR56は、L1及び/又はL2を介してベンゼン環に結合していてもよい。
d1、d2は0〜5の整数であるが、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。
L1及びL2はそれぞれ独立に、エテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。エテニレン基やエチニレン基は、無置換でも置換されていてもよい。エテニレン基が置換基を有する場合、該置換基はアルキル基であるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6個の共役鎖であるのが好ましく、エテニレン、ブタジエニレン、エチニレン、ブタジイニレン、メチルエテニレン又はジメチルエテニレンがより好ましく、エテニレン又はブタジエニレンが特に好ましく、エテニレンが最も好ましい。L1とL2は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。なお、共役鎖が炭素―炭素二重結合を含む場合、各二重結合はE型であってもZ型であってもよく、これらの混合物であってもよい。
d3は0または1であり、a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。a1が2以上のときR51は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR52は同じでも異なっていてもよい。a1は0又は1であるのが好ましく、a2は0〜2の整数であるのが好ましい。特に、nが0のときa2は1又は2であるのが好ましく、nが1のときa2は0又は1であるのが好ましい。a1とa2の和は0〜2の整数であるのが好ましい。
b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、0〜2の整数であるのが好ましい。b1が2以上のとき、R53は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。b2が2以上のとき、R54は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。またb1及びb2がともに1以上のとき、R53とR54が連結して環を形成していてもよい。形成する環の好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。a1とa2の和が1以上であって、配位子LL1が酸性基を少なくとも1個有するときは、一般式(I)中のm1は2または3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
・m2
m2は1〜3の整数であり、1であるのが好ましい。m2が2のときLL2は同じでも異なっていてもよい。
Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5員環又は6員環を形成しうる非金属原子群を表す。形成される5員環又は6員環は置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。Za、Zb及びZcは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及び/又はハロゲン原子で構成されることが好ましく、芳香族環を形成するのが好ましい。5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環又はトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環又はピラジン環を形成するのが好ましい。なかでもイミダゾール環又はピリジン環がより好ましい。
cは0または1を表す。cは0であるのが好ましく、LL2は2座配位子であるのが好ましい。
配位子LL2は、下記一般式(LL2−1)〜(LL2−8)のいずれかにより表されるのが好ましく、一般式(LL2−1)、(LL2−2)、(LL2−4)、又は(LL2−6)により表されるのがより好ましく、一般式(LL2−1)又は(LL2−2)により表されるのが特に好ましく、一般式(LL2−1)により表されるのが特に好ましい。
なお、上記式LL2−1〜LL2−8では、置換基R101〜R116を所定の芳香環に結合手を延ばして示しているが、その芳香環に置換したものに限定されない。つまり、例えば、式LL2−1では、左側のピリジン環にR101,R109が置換した形になっているが、これらが右側のピリジン環に置換した形態であってもよい。
一般式(4)中、Xは1座又は2座の配位子を表す。配位子Xの数を表すm3は0〜2の整数を表し、m3は好ましくは1又は2である。Xが1座配位子のとき、m3は2であるのが好ましく、Xが2座配位子のとき、m3は1であるのが好ましい。m3が2以上のとき、Xは同じでも異なっていてもよく、X同士が連結していてもよい。
一般式(I)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、一般式(I)の色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、一般式(I)の色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
ただし、本発明では、CIは、プロトン、無機もしくは有機のアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、ハロゲン陰イオン、置換アリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸イオンから選択される、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンである。
一般式(I)で表される構造を有する色素は、半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。この結合基を色素中に1〜6個有するのがより好ましく、1〜4個有するのが特に好ましい。カルボキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基(例えば−CONHOH等)、ホスホリル基(例えば−OP(O)(OH)2等)、ホスホニル基(例えば−P(O)(OH)2等)等の酸性基(解離性のプロトンを有する置換基)を色素中に有することが好ましい。
一般式(I)で表される化合物からなる色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池においては、少なくとも前記一般式(1)で表される化合物からなる色素と、一般式(I)で表される化合物からなる色素を用いて、広範囲の波長の光を利用することにより、高い変換効率を確保することができる。
(感光体層)
光電変換素子の実施態様については図2に基づき既に説明した。本実施形態において感光体層2は、後述の色素が吸着された半導体微粒子22の層からなる多孔質半導体層で構成されている。この色素は一部電解質中に解離したもの等があってもよい。また、感光体層2は目的に応じて設計され、多層構造からなるものであってもよい。
上述したように感光体層2には、特定の色素が吸着した半導体微粒子22を含むことから、受光感度が高く、光電気化学電池100として使用する場合に、高い光電変換効率を得ることができ、さらに高い耐久性を有する。
本発明の光電変換素子10に用いられる電解質組成物には、酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。
図2に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に増感色素21が吸着された感光体層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光体層2を製造することができる。
図2に示すように、本発明の光電変換素子10には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に増感色素21が吸着された感光体層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子22の分散液を前記導電性支持体1に塗布・乾燥後、上述の色素溶液に浸漬することにより、感光体層2を製造することができる。本発明においては半導体微粒子として、前記の特定の界面活性剤を用いて調製したものを適用する。
本発明においては、半導体微粒子以外の固形分の含量が、半導体微粒子分散液全体の10質量%以下よりなる半導体微粒子分散液を前記導電性支持体1に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層を得ることができる。
対極4は、光電気化学電池の正極として働くものである。対極4は、通常前述の導電性支持体1と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では対極の支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。対極4の材料としては、白金、カーボン、導電性ポリマー、などがあげられる。好ましい例としては、白金、カーボン、導電性ポリマーが挙げられる。
受光電極5は、入射光の利用率を高めるなどのためにタンデム型にしても良い。好ましいタンデム型の構成例としては、特開2000−90989、特開2002−90989号公報等に記載の例が挙げられる。
1.色素の調製
以下に、実施例により本発明の色素の調製法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体および調製ルートについてはこれにより限定されるものではない。
(例示化合物22の調製)
色素22を下記に示すスキームに従って調製した。
0.58gの化合物1−1と0.82gの化合物1−2を1−ブタノール7mLとトルエン10mLの混合溶媒中で混合し、90℃で5時間加熱攪拌した。その後反応液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより0.40gの化合物1−3を得た。
0.38gの化合物1−3と0.14gの化合物1−4を1−ブタノール5mLとトルエン8mLの混合溶媒中で混合し、トリエチルアミンをml加えて90℃で4時間加熱攪拌した。その後反応液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより0.10gの化合物22を得た。
同定をミリマスにより行ったところ、以下のような結果を得た。
Mass実測値(m/z);(M+H)+: 1203.7802
Mass計算値(m/z);(M+H)+: 1203.7811(C76H104FN4O7)
(例示化合物42の調製)
色素42を下記に示すスキームに従って調製した。
0.41gの化合物1−3と0.28gの化合物2−1を1−ブタノール5mLとトルエン8mLの混合溶媒中で混合し、トリエチルアミンをml加えて87℃で6時間加熱攪拌した。その後反応液を濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより0.13gの化合物42を得た。
同定をミリマスにより行ったところ、以下のような結果を得た。
Mass実測値(m/z);(M+H)+:1535.8031
Mass計算値(m/z);(M+H)+:1535.8083(C91H110F7N4O9)
用いた色素の極大吸収波長を測定した。その結果を表に示す。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)によって行い、溶液はエタノールを用い、濃度が2μMになるように調整した。
1.二酸化チタン分散液の調製
内側をフッ素樹脂コーティングした内容積200mlのステンレス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル(株)製,Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triron X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビーズを濾別した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。なお粒径はMALVERN社製のマスターサイザーにより測定した。
2.電極1Aの作製
フッ素をドープした酸化スズを被覆した20mm×20mmの導電性ガラス板(旭ガラス(株)製、商品名:TCOガラス−U、表面抵抗:約30Ω/m2)を準備し、その導電層側の両端(端から3mmの幅の部分)にスペーサー用粘着テープを張った後で、導電層上にガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。分散液の塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次にこの半導体塗布ガラス板を電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃で30分間焼成した。半導体塗布ガラス板を取り出し冷却した後、表に示す色素のエタノール溶液(濃度:2×10−4mol/L)に1時間浸漬した。色素が吸着した半導体塗布ガラス板を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、自然乾燥させて、色素を吸着した酸化チタン微粒子層(電極A)を得た。電極Aの色素増感酸化チタン微粒子層の厚さは10μmであり、酸化チタン微粒子の塗布量は20g/m2であった。また色素の吸着量は、その種類に応じて0.1〜10mmol/m2の範囲内であった。
アセトニトリルを溶媒として、0.5mol/Lの1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩電解質および0.05mol/Lのヨウ素を含んだ溶液を調製した。この溶液に、溶媒+窒素含有高分子化合物+塩を100mass%とした場合の重量組成比として10wt%となる様に窒素含有高分子化合物(1−1)を加え、さらにこの窒素含有高分子化合物の反応性窒素原子に対する求電子部位のモル比が0.5となる量の求電子剤(1−2)を混合し、均一な反応溶液とした。
作製した光電気化学電池の400〜900nmにおけるIPCEをペクセル社製のIPCE測定装置にて測定した。各光電気化学電池の850nmにおけるIPCEを下記の表に示す。
3−2.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ電気(株)製)の光をAM1.5フィルター(Oriel社製)及びシャープカットフィルター(KenkoL−37、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は70mW/cm2であった。この模擬太陽光を、50℃で、上記のようにして作製した光電気化学電池に照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)で測定した。この初期の電池性能結果は、変換効率(3.5%以上:AA、2.5%以上3.5%未満:A、2.0%以上2.5%未満:B、2.0%未満:Cで評価)、開放電圧およびフィルファクター(開放電圧(V)、フィルファクターについては、0.6以上:AA、0.45〜0.6:A、0.3〜0.45:B、0.3未満:Cで評価)の値を示した。
また、85℃で1000時間暗所保存後の変換効率の低下率及び500時間連続光照射後の変換効率の減少率も測定した。この耐久性試験の結果は、試験後の減少率が10%以下の場合にAA、10〜25%の場合にA、25%〜40%の場合にB、40%以上の低下の場合にCと評価した。これらの結果を下記表に示す。
溶媒としてアセトニトリルを用い、ヨウ化リチウム0.1mol/l、ヨウ素0.05mol/l、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム0.62mol/lを溶解した電解質溶液を調製した。ここに下記に示すNo.1〜No.8のベンズイミダゾール系化合物をそれぞれ濃度0.5mol/lになるように別々に添加し、溶解した。
ここにポリエチレンフィルム製のフレーム型スペーサー(厚さ25μm)をのせ、白金対電極でこれを覆い、光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子に、Xeランプを光源として強度100mW/cm2の光を照射した。表に得られた開放電圧と光電変換効率を示した。開放電圧は、6.3V以上のものをAA、6.0V以上6.3V未満のものをA、5.7V以上6.0V未満のものをB、5.7V未満のものをCとして表示した。変換効率は、3.5%以上のものをAA、2.5%以上3.5%未満のものをA、2.0%以上2.5%未満のものをB、2.0%未満のものをCとして表示した。
なお、下記表には、ベンズイミダゾール系化合物を加えていない電解液を用いた光電変換素子の結果も示した。
(1)第1光電変換層の形成
市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、平均粒径30nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlを、硬質ガラスビーズを使用しペイントシェイカーにより6時間分散させ酸化チタン懸濁液を作成した。次いで、この酸化チタン懸濁液を、ドクターブレードを用いて、予め酸化スズ導電層が付着されたガラス板に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、電気炉で、500℃で40分間焼成し、酸化チタン膜を得た。
市販の酸化ニッケル粒子(キシダ化学、平均粒径100nm)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlを、ガラスビーズを使用しペイントシェイカーで8時間分散させ酸化ニッケル懸濁液とした。次いで、この酸化チタン懸濁液を、ドクターブレードを用いて、酸化スズ導電層が付着されたガラス板に塗布し、100℃で30分予備乾燥した後、300℃で30分間焼成し、酸化ニッケル膜を得た。
この色素の濃度は0.5×10−4モルであった。次に、この溶液中に膜状の酸化チタンを形成した前記のガラス板を入れ、40℃で70分間色素吸着を行ってから乾燥し、本発明の第2光電変換層(試料B)を得た。
(光電変換素子の作製)
図1に示す光電変換素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板上に、透明導電膜としてフッ素をドープした酸化スズをスパッタリングにより形成し、これをレーザーでスクライブして、透明導電膜を2つの部分に分割した。
次に、水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒100mlにアナターゼ型酸化チタン(日本アエロジル社製のP−25(商品名))を32g配合し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使用して均一に分散、混合し、半導体微粒子分散液を得た。この分散液を透明導電膜に塗布し、500℃で加熱して受光電極を作製した。
その後、同様にシリカ粒子とルチル型酸化チタンとを40:60(質量比)で含有する分散液を作製し、この分散液を前記の受光電極に塗布し、500℃で加熱して絶縁性多孔体を形成した。次いで対極として炭素電極を形成した。
次に、下記表に記載された増感色素(複数混合または単独)のエタノール溶液に、上記の絶縁性多孔体が形成されたガラス基板を5時間浸漬した。増感色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2であった。電解液は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.5モル/l)、ヨウ素(0.1モル/l)のメトキシプロピオニトリル溶液を用いた。
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−42、商品名)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は89mW/cm2であった。作製した光電変換素子にこの光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレー238型、商品名)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率を測定した結果を下記表に示した。結果は、変換効率が7.5%以上のものをAA、7.2%以上7.5%未満のものをA、6.9%以上7.2%未満のものをB、6.9%未満のものをCとして評価した。
2 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3 電荷移動体層
4 対極
5 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 光電気化学電池
Claims (10)
- 導電性支持体上側に、色素が吸着された半導体微粒子の層を有する感光体と、電荷移動体と、対極とを含む積層構造よりなる光電変換素子であって、前記色素の少なくとも一種が下記式(1)で表される構造を有することを特徴とする光電変換素子。
- 前記n2が0または1であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記R15およびR24が前記式R91またはR92で表される基であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記R15およびR24が酸素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 一般式(1)で表される色素において、P1中の前記酸性基を表すV1が、5−カルボキシ基、5−スルホ基、5−ホスホニル基および5−ホスホリル基のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記式RC1およびRC3中、前記nが1〜3の整数であり、前記kが1〜3の整数であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記式(1)で表される色素において、前記P2が電子のドナーをなし、P1がアクセプターをなし、該色素がドナー・アクセプター型の分子を構成している請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記感光体が下記式(I)で表される色素をさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI : 式(I)
(式(I)において、MzはRu、Os、ZnまたはCuを表す。LL1は下記式LL1で表される2座の配位子を表す。LL2は下記式LL2で表される2座もしくは3座の配位子を表す。Xは1座もしくは2座の配位子を表す。m1は0〜3の整数を表す。m2は1〜3の整数を表す。m3は0〜2の整数を表す。CIはプロトン、無機もしくは有機のアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、ハロゲン陰イオン、置換アリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸イオンから選択される、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。)
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光電気化学電池。
- 下記式(1)で表される構造を有する色素化合物。
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