JP6351118B2 - 光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素および色素溶液 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素および色素溶液 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池、金属錯体色素および色素溶液に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等の光電気化学電池等に用いられている。この光電変換素子には、金属を用いた方式、半導体を用いた方式、有機顔料や色素を用いた方式、または、これらを組み合わせた方式等の様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。そのなかでも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで、金属錯体色素を用いた光電気化学電池(色素増感太陽電池ともいう)の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の光電変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、色素増感太陽電池に使用される金属錯体色素として、一般的に、N3、N719、N749(ブラックダイともいう)、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発されている。
これらの金属錯体色素以外にも、各種の金属錯体色素が研究されている。
例えば、特許文献1には、5’−カルボキシ−2,2’−ビチオフェニル基を中央のピリジン環に有するターピリジン配位子と3個の1座配位子とを有する色素(Compound 1)が具体的に記載されている(同文献の8頁)。
また、特許文献2には、末端ピリジン環および中央ピリジン環の少なくとも一方に、3位および4位ともに無置換のチオフェン環基を複数連結して導入したターピリジン配位子と、3個の1座の配位子またはビピリジン配位子とを持つ金属錯体色素が記載されている。また、この金属錯体色素を用いた光電気化学電池が、光電変換効率が高く、耐久性に優れていたことも記載されている。
米国特許出願公開第2009/0107552号明細書 特許第5572029号公報
しかし、近年、光電変換素子および色素増感太陽電池の研究、開発が盛んに行われ、要求性能が高くなっている。特に光電変換効率のさらなる改善、向上が望まれている。
光電変換素子および色素増感太陽電池において、半導体微粒子で形成され、金属錯体色素を担持する層(半導体層ともいう)は、通常、数〜数十μmの厚みを有する層に形成される。このような光電変換素子および色素増感太陽電池においても、薄型化(小型化)、軽量化が求められている。ところが、光電変換効率は、半導体層の膜厚によって変動し、膜厚が薄くなるほど低下する傾向がある。したがって、半導体層の膜厚を薄くした場合においても、優れた光電変換効率を発揮することが望まれている。
本発明は、半導体層の膜厚の影響が小さく、特に膜厚を薄くしても優れた光電変換効率を発揮する光電変換素子および色素増感太陽電池、ならびに、これらに用いられる金属錯体色素および色素溶液を提供することを課題とする。
本発明者らは、光電変換素子および色素増感太陽電池に用いられる金属錯体色素について種々検討したところ、中心金属に配位する配位原子に対して4位の環構成原子に複数のチオフェン環基を連結させて導入した含窒素芳香族環を端部に持つ3座の配位子と、1座配位子または少なくとも1つのアニオンで配位する2座配位子とを組み合わせたうえで、さらに3座の配位子が有するチオフェン環基の特定の位置に置換基を導入することが、光電変換効率の向上、さらには半導体層が薄膜であっても高い光電変換効率の実現に重要であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成された。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
式(I) M(LA)(Z)nZ・(CI)mY
式中、Mは金属イオンを表す。
LAは、下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。
Zは、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、イソシアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群から選ばれる配位子を表す。nZは2または3を表す。
CIは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表す。
Figure 0006351118
式中、ZaおよびZbは各々独立に5員または6員の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、ZaおよびZbがそれぞれ形成する環の少なくとも一つは酸性基を少なくとも1つ有する。Lは各々独立に窒素原子またはCRを表し、Rは水素原子または置換基を表す。
Gは、チオフェン環基、または、チオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基を表す。ただし、n個のGのうち少なくとも1つは下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基である。nは2〜7の整数を表す。Tは水素原子または置換基を表す。
Figure 0006351118
式中、RG11およびRG12は各々独立に水素原子または置換基を表し、RG11およびRG12のうち少なくとも一つが置換基を表す。RG13は置換基を表す。Zt2は式(G1−2)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
<2>LAが、下記式(AL−2)で表される<1>に記載の光電変換素子。
Figure 0006351118
式中、Ancは酸性基を表す。G、Tおよびnは式(AL−1)のG、Tおよびnと同義である。
<3>nが、2または3である<1>または<2>に記載の光電変換素子。
<4>−(G)n−が、下記式(G2−1)、(G2−2)および(G2−3)のいずれかの式で表される部分構造を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 0006351118
式中、RG21〜RG24は各々独立に水素原子または置換基を表し、そのうちの少なくとも一つが置換基を表す。RG25〜RG27は各々独立に水素原子または置換基を表し、そのうちの少なくとも一つが置換基を表す。Zt2は式(G2−2)または(G2−3)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
<5>−(G)n−が、式(G2−1)で表される部分構造を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<6>−(G)n−Tで表される基が、下記式(G3−1)または(G3−2)で表される基である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 0006351118
式中、RG31〜RG34は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、RG31およびRG32のうちの少なくとも一つが置換基を表し、RG33およびRG34のうちの少なくとも一つが置換基を表す。*はLを含む環との結合部を表す。
<7>RG11〜RG13、RG21〜RG27およびRG31〜RG34として採りうる置換基が、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基からなる群より選ばれる置換基を表す<1>〜<6>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<8>RG11〜RG13、RG21〜RG27およびRG31〜RG34として採りうる置換基が、各々独立に、炭素数が3〜12のアルキル基、炭素数が3〜12のアルコキシ基または炭素数が3〜12のアルキルチオ基を表す<1>〜<7>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<9>Zが、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、シアネート基、イソシアネート基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、下記式(XA−1)で表される配位子および下記式(XA−2)で表される配位子からなる群から選ばれる<1>〜<8>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 0006351118
式中、Vxa1〜Vxa4は各々独立に硫黄原子または酸素原子を表す。Rxa1〜Rxa3は各々独立に水素原子または置換基を表す。ZXaは5員または6員の環を完成するのに必要な非金属原子群を表す。Txaは置換基を表し、nTは0〜4の整数を表す。破線は金属イオンMとの結合部を表す。
<10>Zが、イソチオシアネート基、下記式(XA−1b)で表される配位子、または、下記式(XA−2b)で表される<1>〜<9>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 0006351118
式中、Rxa1〜Rxa3は各々独立に水素原子または置換基を表す。Txa2は置換基を表し、nTは0〜4の整数を表す。破線は金属イオンMとの結合部を表す。
<11>Mが、Ru2+またはOs2+である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<12>酸性基が、カルボキシ基シ基またはその塩である<1>〜<11>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<13>Zaが形成する環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
Zbが形成する環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
を含む環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環およびイソキノリン環からなる群より選ばれる少なくとも一種である<1>〜<12>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<14>上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
<15>下記式(I)で表される金属錯体色素。
式(I) M(LA)(Z)nZ・(CI)mY
式中、Mは金属イオンを表す。
LAは、下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。
Zは、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、イソシアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群から選ばれる配位子を表す。nZは2または3を表す。
CIは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表す。
Figure 0006351118
式中、ZaおよびZbは各々独立に5員または6員の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、ZaおよびZbがそれぞれ形成する環の少なくとも一つは酸性基を少なくとも1つ有する。Lは各々独立に窒素原子またはCRを表し、Rは水素原子または置換基を表す。
Gは、チオフェン環基、または、チオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基を表す。ただし、n個のGのうち少なくとも1つは下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基である。nは2〜7の整数を表す。Tは水素原子または置換基を表す。
Figure 0006351118
式中、RG11およびRG12は各々独立に水素原子または置換基を表し、RG11およびRG12のうち少なくとも一つが置換基を表す。RG13は置換基を表す。Zt2は式(G1−2)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
<16>上記<15>に記載の金属錯体色素と溶媒とを含有する色素溶液。
本明細書において、特段の断りがない限り、二重結合については、分子内にE型およびZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
特定の符号で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。
また、環、例えば、芳香族環または脂肪族環は、さらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。さらに、置換または無置換を明記していない化合物については、目的とする効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有するものを含む。このことは、置換基、連結基および配位子についても同様である。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、特定の位置に置換基を持つチオフェン環基を少なくとも1つ含む複数のチオフェン環基を連結させて、配位原子に対して4位の環構成原子に導入した含窒素芳香族環を端部に持つ3座の配位子と、1座配位子または少なくとも1つのアニオンで配位する2座配位子とを組み合わせて用いた金属錯体色素を有する。これにより、特に半導体層の膜厚を薄くしても、優れた光電変換効率を発揮する。よって、本発明により、半導体層の膜厚の影響が小さく、特に膜厚を薄くしても優れた光電変換効率を発揮する光電変換素子および色素増感太陽電池、ならびに、これらに用いられる金属錯体色素および色素溶液を提供できる。
図1は、本発明の第1態様の光電変換素子を、電池用途に応用したシステムにおいて、層中の円部分の拡大図も含めて、模式的に示した断面図である。 図2は、本発明の第2態様の光電変換素子からなる色素増感太陽電池を模式的に示した断面図である。 図3は、実施例1で合成した化合物1−9のH−NMRスペクトルである。
[光電変換素子および色素増感太陽電池]
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極(対向電極)とを有する。感光体層と電荷移動体層と対極とがこの順で導電性支持体上に設けられている。
本発明の光電変換素子において、その感光体層を形成する半導体微粒子の少なくとも一部は、増感色素として後述する式(I)で表される金属錯体色素を担持している。ここで、金属錯体色素が半導体微粒子の表面に担持される態様は、半導体微粒子の表面に吸着する態様、半導体微粒子の表面に堆積する態様、および、これらが混在した態様等を包含する。吸着は、化学吸着と物理吸着とを含み、化学吸着が好ましい。
感光体層は電解質を含む。感光体層に含まれる電解質は、電荷移動体層が有する電解質と同種でも異種であってもよいが、同種であることが好ましい。
本発明の光電変換素子において、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する上記各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。また、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
以下、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池の好ましい実施形態について説明する。
図1に示されるシステム100は、本発明の第1態様の光電変換素子10を、外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したものである。
光電変換素子10は、導電性支持体1と、色素(金属錯体色素)21が担持されることにより増感された半導体微粒子22、および、半導体微粒子22間に電解質を含む感光体層2と、正孔輸送層である電荷移動体層3と、対極4とからなる。
光電変換素子10において、受光電極5は、導電性支持体1および感光体層2を有し、作用電極として機能する。
光電変換素子10を応用したシステム100において、感光体層2に入射した光は、金属錯体色素21を励起する。励起された金属錯体色素21はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が金属錯体色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき金属錯体色素21は酸化体(カチオン)となっている。導電性支持体1に到達した電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4、電荷移動体層3を経由して金属錯体色素21の酸化体に到達し、この酸化体を還元することで、システム100が太陽電池として機能する。
図2に示される色素増感太陽電池20(図2において、外部回路等は図示しない。)は、本発明の第2態様の光電変換素子により構成されている。
色素増感太陽電池20となる光電変換素子は、図1に示す光電変換素子に対して、導電性支持体41および感光体層42の構成、および、スペーサーSを有する点で異なるが、それらの点以外は図1に示す光電変換素子10と同様に構成されている。すなわち、導電性支持体41は、基板44と、基板44の表面に成膜された透明導電膜43とからなる2層構造を有している。また、感光体層42は、半導体層45と、半導体層45に隣接して成膜された光散乱層46とからなる2層構造を有している。導電性支持体41と対極48との間にはスペーサーSが設けられている。色素増感太陽電池20において、40は受光電極であり、47は電荷移動体層である。
色素増感太陽電池20は、光電変換素子10を応用したシステム100と同様に、感光体層42に光が入射することにより、太陽電池として機能する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子または色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材は常法により調製することができる。例えば、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2001−185244号公報、特開2001−210390号公報、特開2003−217688号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
<式(I)で表される金属錯体色素>
本発明の金属錯体色素は、下記式(I)で表される。本発明の金属錯体色素は、下記式(AL−1)で表される配位子LAを有することにより、光電変換素子および色素増感太陽電池に、半導体層の膜厚変化の影響が小さく、高い光電変換効率を付与できる。したがって、本発明の金属錯体色素は増感色素として色素増感太陽電池に好ましく用いられる。
式(I) M(LA)(Z)nZ・(CI)mY
式(I)において、Mは金属イオンを表す。
LAは、下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。
Figure 0006351118
式中、ZaおよびZbは各々独立に5員または6員の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、ZaおよびZbがそれぞれ形成する環の少なくとも一つは酸性基を少なくとも1つ有する。Lは各々独立に窒素原子またはCRを表し、Rは水素原子または置換基を表す。
Gは、チオフェン環基、または、チオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基を表す。ただし、n個のGのうち少なくとも1つは下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基である。nは2〜7の整数を表す。Tは水素原子または置換基を表す。
Figure 0006351118
式中、RG11およびRG12は各々独立に水素原子または置換基を表し、RG11およびRG12のうち少なくとも一つが置換基を表す。RG13は置換基を表す。Zt2は式(G1−2)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
Zは、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、イソシアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群から選ばれる配位子を表す。nZは2または3を表す。
CIは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表し、0または1が好ましい。
− 金属イオンM −
Mは、金属錯体色素の中心金属であり、長周期律表上6〜12族の各元素のイオンが挙げられる。このような金属イオンとしては、例えば、Ru、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、MnおよびZnの各イオンが挙げられる。金属イオンMは、1種のイオンであっても2種以上のイオンであってもよい。
本発明においては、金属イオンMは、Os2+、Ru2+またはFe2+が好ましく、Os2+またはRu2+がより好ましく、Ru2+が特に好ましい。
光電変換素子中に組み込まれた状態においては、Mの価数は、周囲の材料との酸化還元反応により変化することがある。
− 配位子LA −
配位子LAは、上記式(AL−1)で表され、式(AL−1)中の3つの窒素原子で金属イオンMに配位する3座の配位子または化合物である。
この配位子LAは、1つ以上の酸性基(吸着基ともいう)を、後述するZaが形成する環およびZbが形成する環の少なくとも1つに有する。配位子LAは、本発明の金属錯体色素を半導体微粒子に担持させる配位子である。
配位子LAは、窒素原子、炭素原子およびLにより形成される環(Lを含む環ともいう)の金属イオンMに配位する環構成窒素原子に対して4位の環構成炭素原子に−(G)n−T基を有している。後述する配位子Zと組み合わせて用いられる配位子LAにおいて、Lを含む環の4位の環構成炭素原子に−(G)n−T基が結合していると、この配位子LAを有する金属錯体色素の吸光度が大きくなると考えられる。これにより、吸光度が増大した金属錯体色素を感光体層に含有する光電変換素子および色素増感太陽電池は光電変換効率が向上する。また、感光体層を設ける半導体層の膜厚を薄くしても優れた光電変換効率を発揮する。この光電変換効率の向上効果は、Gで表されるチオフェン環基の少なくとも1つがチオフェン環の特定の位置に置換基を有している場合に、大きくなる。置換基を有する特定の位置は、チオフェン環基が単環の環基である場合、その3位または4位である。チオフェン環基が多環縮合環基である場合、チオフェン環の3位である。上記向上効果は、金属錯体色素が半導体微粒子に担持されたときに置換基が半導体微粒子の表面を効果的に遮蔽することによるものと考えられる。したがって、この配位子LAは色素増感太陽電池に用いられる金属錯体色素の配位子として好ましく用いられる。
式(AL−1)において、ZaおよびZbは、各々独立に、5員環または6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ZaおよびZbは、炭素原子およびヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、セレン原子またはリン原子)から選ばれる非金属原子群であることが好ましく、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる非金属原子群であることが好ましい。
ZaおよびZbが形成する環は、5員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環が好ましい。これらの環は、単環に加えて、芳香族環および脂肪族環の少なくとも1つが縮環した縮合環を包含する。
5員環の芳香族ヘテロ環としては、環構成原子として上記ヘテロ原子を含む5員環であればよい。例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環の少なくとも1種が好ましい。6員環の芳香族ヘテロ環としては、環構成原子として上記ヘテロ原子を含む6員環であればよい。例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環およびイソキノリン環の少なくとも1種が好ましい。
ZaおよびZbが形成する環は、それぞれ、上記5員環の芳香族ヘテロ環の群および6員環の芳香族ヘテロ環の群からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、式(AL−1)で示される各環の構造に適合する芳香族ヘテロ環が好ましく選択される。
Zaが形成する環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
Zbが形成する環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
なかでも、ZaおよびZbが形成する環は、イミダゾール環、ピリジン環またはピリミジン環であることがより好ましく、ともにピリジン環であることが特に好ましい。
ZaおよびZbが形成する環の少なくとも1つは、酸性基を有する。これらの環は、ともに、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。ZaおよびZbが形成する環それぞれが有する酸性基の数は、好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1個または2個であり、さらに好ましくは1個であり、各環それぞれが酸性基を1つずつ有することが特に好ましい。酸性基の置換位置は特に限定されない。例えば、各環において、金属イオンMに配位する窒素原子から最も離れた環構成原子であることが好ましく、環が6員環の場合は上記窒素原子に対して4位であることが好ましい。
本発明において、酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下の置換基である。酸性基のpKaは、J.Phys.Chem.A2011,115,p.6641−6645に記載の「SMD/M05−2X/6−31G」方法に従って求めることができる。酸性基としては、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基等の酸性を示す酸基、または、これらの酸基を有する基が挙げられる。酸基を有する基は、酸基と連結基とを有する基が挙げられる。連結基は、特に限定されないが、2価の基が挙げられ、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。この連結基は後述する置換基群Zから選ばれる基を置換基として有していてもよい。酸基と連結基とを有する酸性基としては、例えば、カルボキシメチル、カルボキシビニレン、ジカルボキシビニレン、シアノカルボキシビニレン、2−カルボキシ−1−プロペニル、2−カルボキシ−1−ブテニル、カルボキシフェニル等を好ましく挙げることができる。
酸性基としては、好ましくは、カルボキシ基、ホスホニル基、スルホ基、またはカルボキシ基を有する基であり、より好ましくはカルボキシ基である。
酸性基は、式(I)で表される金属錯体色素に組み込まれたときに、プロトンを放出して解離したアニオンとなっていてもよく、塩となっていてもよい。酸性基が塩となるときの対イオンとしては、特に限定されないが、例えば、下記対イオンCIにおける正のイオンの例が挙げられる。また、酸性基は、後述するようにエステル化されていてもよい。
ZaおよびZbが形成する環は、それぞれ、酸性基以外の置換基を有していてもいなくてもよい。これらのヘテロ環が有していてもよい置換基としては、例えば、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。
また、この置換基を介してZaおよびZbが形成する環が互いに結合した縮合環を形成してもよい。このような縮合環としては、例えば、1,10−フェナントロリン環が挙げられる。
式(AL−1)において、Lを含む環は、単環に加えて、芳香族環および脂肪族環の少なくとも1つが縮環した縮合環を包含する。縮合環である場合はZbが形成する環との縮合環をも含む。
は窒素原子またはCRを表す。Rは水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。Rとして採りうる置換基は、特に限定されず、後述する置換基群Zから選ばれる基(好ましくは−(G)n−T基を除く。)が挙げられる。Lを含む環が複数のRを有する場合、R同士が結合して環を形成してもよい。
を含む環は、ZaおよびZbが形成する環として説明した6員環の芳香族環の群より、式(AL−1)中の上記環構造に適合する芳香族ヘテロ環が好ましく選択される。より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環およびイソキノリン環の少なくとも1種であり、ピリジン環またはピリミジン環であることがさらに好ましく、ピリジン環であることが特に好ましい。
配位子LAは、Lを含む環に−(G)n−で表される基を有する。この基は、チオフェン環基またはチオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基がn個結合してなる基である。この−(G)n−で表される基において、n個のGのうち少なくとも1つが下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基であり、残りのGは下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基以外の環基である。
Figure 0006351118
式中、RG11およびRG12は各々独立に水素原子または置換基を表し、RG11およびRG12のうち少なくとも一つが置換基を表す。RG13は置換基を表す。Zt2は式(G1−2)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
*は、Lを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。本発明においては、特に限定されないが、式(G1−1)においてRG11に隣接する結合部が、また式(G1−2)においてRG13に隣接する結合部が、Lを含む環またはこの環側の他のGに結合することが好ましい。
式(G1−1)で表される環基は、チオフェン環基(単環のチオフェン環からなる基)である。この環基はRG11およびRG12のうち少なくとも一つが後述する置換基である。この場合、RG11およびRG12のいずれか置換基であってもよく、両方が置換基であってもよい。好ましくは、RG12(置換基T側)が置換基である。RG11またはRG12として採りうる置換基は後述する。
式(G1−2)において、Zt2は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる非金属原子群であることが好ましい。式(G1−2)で表される環基は、単環のチオフェン環とZt2で表される環とを縮合環として含む多環縮合環からなる基(多環縮合環基)である。
Zt2で表される環としては、単環でも、この単環が2以上縮合してなる多環でもよい。単環は、特に限定されず、芳香族環でも脂肪族環でもよく、また炭化水素環でもヘテロ環(上記ヘテロ原子を少なくとも1つ有する環)でもよい。好ましくは、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環である。単環は、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。
脂肪族炭化水素環としては、例えば、シクロペンタジエン環が好ましく挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環が挙げられる。
芳香族ヘテロ環としては、例えば、Zaが形成する環として説明した5員環または6員環の上記各環が挙げられる。これら以外にも、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、シクロペンタジエン環、シロール環等が挙げられ、チオフェン環が好ましい。
式(G1−2)で表される環基を形成する単環の数は、式中のチオフェン環を含めて、2〜6個が好ましく、2〜4個がより好ましく、2個または3個がさらに好ましい。
式(G1−2)で表される環基は、それを形成する縮合環として、少なくとも1つのチオフェン環を含んでいることが好ましく、1つまたは2つのチオフェン環を含んでいることがより好ましい。この場合、式(G1−2)で表される環基において、2つの結合部のうち1つがRG13を有するチオフェン環であればよく、もう1つの結合部を有する環は、特に限定されず、チオフェン環であっても他の環(例えば、ベンゼン環)であってもよい。このとき、チオフェン環または他の環における結合部の位置は特に限定されない。
もう1つの結合部が他の環である場合、式(G1−2)で表される環基としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾチオフェン環、ベンゾイソチオフェン環、チエノピリジン環、チエノフラン環、チエノピロール環、チエノシロール環等が挙げられる。
2つの結合部がいずれもチオフェン環である環基としては、下記式(G1−2A)〜(G1−2E)のいずれかの式で表される環基が好ましい。
Figure 0006351118
式中、**Lを含む環側の結合部を表し、***はT側の結合部を表す。***で表される結合部の位置は、特に限定されないが、チオフェン環の2位(硫黄原子に隣接する炭素原子)が好ましい。
G13は、式(G1−2)のRG13と同義であり、好ましいものも同じである。
TAは置換基を表す。RTAは、特に限定されず、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。なかでも、置換基としては、アルキル基、アルキルチオ基、アルコキシ基が好ましい。本発明においては、置換基RTAを複数有する場合であっても、置換基RTAが互いに結合して環を形成しないことが好ましい。式(G1−2D)および(G1−2E)において、RTAは、ベンゼン環に結合してもよく、結合部***を有するチオフェン環に結合してもよい。
PT2a、PT2bおよびPT2cは、それぞれ、0または1である。
PT2dおよびPT2eは、それぞれ、0〜3の整数であり、0〜2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(G1−2C)において、Xは、−O−、−S−、−NRX2c−、−C(RX2c−、−(RX2c)C=C(RX2c)−または−Si(RX2c−を表す。なかでも、Xは、−O−、−S−、−C(RX2c−または−Si(RX2c−が好ましく、−C(RX2c−、−O−、−S−がさらに好ましい。ここで、RX2cは水素原子または置換基を表す。この置換基は上記RTAと同義であるが、アルキル基が好ましい。
上記各式で表される環基のなかでも、式(G1−2A)、式(G1−2B)、式(G1−2C)または式(G1−2D)で表される環基が好ましく、式(G1−2A)または式(G1−2B)で表される環基がより好ましい。
G11〜RG13として採りうる置換基は、特に限定されず、例えば、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基からなる群より選ばれる置換基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基がより好ましく、炭素数が3〜12のアルキル基、炭素数が3〜12のアルコキシ基または炭素数が3〜12のアルキルチオ基がさらに好ましく、炭素数が3〜12のアルキル基が特に好ましい。
G11〜RG13は、いずれも、下記式中のチオフェン環、または、式(G1−2)中のZt2と環を形成しない基である。
G11〜RG13として採りうるアルキル基は、直鎖アルキル基および分岐アルキル基を含む。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、2〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜12が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、3,7−ジメチルオクチル、イソデシル、s−デシル、n−ドデシル、2−ブチルオクチル、n−ヘキサデシル、イソへキサデシル、n−エイコシル、n−ヘキサコシル、イソオクタコシル、トリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルが挙げられる。
シクロアルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、5〜30がより好ましく、6〜26がさらに好ましく、6〜20が特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は、脂環、芳香族環、ヘテロ環で縮環されていてもよい。
G11〜RG13として採りうるアルコキシ基は、直鎖アルコキシ基および分岐アルコキシ基を含む。アルコキシ基のアルキル部分は上記アルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i―プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、n−デシルオキシ、イソデシルオキシ、s−デシルオキシ、2−ブチルオクチルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ、イソへキサデシルオキシ、n−エイコシルオキシ、n−ヘキサコシルオキシまたはイソオクタコシルオキシが挙げられる。
シクロアルコキシ基(シクロアルキルオキシ基)のシクロアルキル部分は上記シクロアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシまたはシクロオクチルオキシが挙げられる。
G11〜RG13として採りうるアリールオキシ基は、アリール基が炭素系芳香環(芳香族炭化水素環)基である炭素環系アリールオキシ基と、ヘテロ芳香環(芳香族ヘテロ環)基であるヘテロアリールオキシ基とを含む。アリールオキシ基の炭素数は3〜30が好ましく、3〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜16が特に好ましい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフトキシ、イミダゾイルオキシ、ベンゾイミダゾイルオキシ、ピリジン−4−イルオキシ、ピリミジニルオキシ、キナゾリニルオキシ、プリニルオキシまたはチオフェン−3−イルオキシ等が挙げられる。ヘテロアリールオキシ基のヘテロ環としてはチオフェン環が好ましい。
G11〜RG13として採りうるアルキルチオ基は、直鎖アルキルチオ基および分岐アルキルチオ基を含む。アルキルチオ基のアルキル部分は上記アルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、n−オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、3,7−ジメチルオクチルチオ、n−デシルチオ、イソデシルチオ、s−デシルチオ、n−ドデシルチオ、2−ブチルオクチルチオ、n−ヘキサデシルチオ、イソへキサデシルチオ、n−エイコシルチオ、n−ヘキサコシルチオまたはイソオクタコシルチオが挙げられる。
シクロアルキルチオ基のシクロアルキル部分は上記シクロアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。シクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオまたはシクロオクチルチオが挙げられる。
G11〜RG13として採りうるアリールチオ基は、アリール基が炭素系芳香環である炭素環系アリールチオ基と、ヘテロ芳香環であるヘテロアリールチオ基とを含む。アリールチオ基の炭素数は3〜30が好ましく、3〜25がより好ましく、3〜20がさらに好ましく、3〜16が特に好ましい。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ、イミダゾイルチオ、ベンズイミダゾイルチオ、ピリジン−4−イルチオ、ピリミジニルチオ、キナゾリニルチオ、プリニルチオまたはチオフェン−3−イルチオ等が挙げられる。ヘテロアリールチオ基のヘテロ環としてはチオフェン環が好ましい。
式AL−1において、−(G)n−で表される基のうち、上記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基以外の環基としては、チオフェン環基、またはチオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基であれば、特に限定されない。
チオフェン環基としては、上記置換基RG11およびRG12がいずれも水素原子である(無置換の)チオフェン環、RG11およびRG12が互いに結合してなる環を有するチオフェン環(例えば、アルキレンジオキシチオフェン環、チエノチオフェン環、ピラノチオフェン環)等からなる各環基が挙げられる。アルキレンジオキシチオフェン環のアルキレン基は、特に限定されず、その炭素数は1〜3が好ましく、2または3がより好ましい。
多環縮合環基としては、上記式(G1−2)で表される環基において、置換基RG13が水素原子である環基等が挙げられる。
−(G)n−で表される基において、Gの結合数nは、2〜7の整数個であり、光電変換効率の点で、2〜5の整数個が好ましく、2個または3個がさらに好ましい。そのうち、上記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基は、少なくとも1個あればよく、好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1個または2個である。
本発明においては、n個のGを形成する環の合計数は、特に限定されないが、光電変換効率の点で、2個または3個が好ましく、2個がより好ましい。ここで、Gを形成する環は、単環である場合は1つとし、多環縮合環基である場合は多環縮合環基を形成する縮合環の数とする。例えば、上記式(G1−2A)および(G1−2B)で表さる各環基を形成する縮合環の数は2つであり、式(G1−2C)〜(G1−2E)で表さる各環基を形成する縮合環の数は3つである。
−(G)n−で表される基において、n個のGの組み合わせは特に限定されない。例えば、上記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基のみを組み合わせてもよく、また、式(G1−1)または(G1−2)で表される環基と、これ以外の環基とを組み合わせてもよい。組み合わされる各環基は、特に限定されない。
−(G)n−で表される基は、好ましくは、下記式(G2−1)、(G2−2)および(G2−3)のいずれかの式で表される部分構造を含む。なかでも、式(G2−1)または(G2−2)で表される部分構造を含むことがより好ましく、式(G2−1)で表される部分構造を含むことがさらに好ましい。
Figure 0006351118
式(G2−1)において、RG21〜RG24は各々独立に水素原子または置換基を表し、そのうちの少なくとも一つが置換基を表す。この場合、式(G2−1)で表される部分構造は、RG22およびRG24の少なくとも一つが置換基であり、RG21およびRG23が水素原子である構造、または、RG21およびRG22が水素原子であり、RG23およびRG24の少なくとも一つが置換基である構造が好ましく、RG22およびRG24が置換基であり、RG21およびRG23が水素原子である構造がより好ましい。
G21〜RG24として採りうる置換基は、上記RG11として採りうる置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
式(G2−2)および式(G2−3)において、RG25〜RG27は各々独立に水素原子または置換基を表し、そのうちの少なくとも一つが置換基を表す。上記式(G2−2)で表される部分構造は、RG27が置換基であり、RG25およびRG26が水素原子である構造が好ましい。上記式(G2−3)で表される部分構造は、RG25またはRG26が置換基であり、RG27が水素原子である構造が好ましく、RG25が置換基であり、RG26およびRG27が水素原子である構造が好ましい。
G25〜RG27として採りうる置換基は、上記RG11として採りうる置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
Zt2は式(G2−2)または式(G2−3)中の、RG27を持つチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zt2は、上記式(G1−2)のZt2と同義であり、好ましいものも同じである。
*は、Lを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。本発明においては、特に限定されないが、式(G2−1)においてRG21に隣接する結合部が、式(G2−2)においてチオフェン環基の結合部が、また式(G2−3)において多環縮合環基の結合部が、それぞれ、Lを含む環またはこの環側の他のGに結合することが好ましい。
上記部分構造は、−(G)n−で表される基中に含まれていれば、その位置は特に限定されない。例えば、Lを含む環に直接結合していてもよく、後述するTに直接結合していてもよく、Lを含む環およびTに直接結合していてもよく、さらにはLを含む環およびTのいずれにも直接結合していなくてもよい。これらの場合、上記部分構造と、Lを含む環またはTとの間に結合される環基としては、チオフェン環基、または、チオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基であればよい。
本発明において、−(G)n−Tで表される基は、下記式(G3−1)または(G3−2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006351118
式中、*はLを含む環との結合部を表す。
G31〜RG34は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、式(G3−1)において、RG31およびRG32のうちの少なくとも一つが置換基である。なかでも、RG31が置換基でRG32が水素原子である態様、または、RG31およびRG32がともに置換基である態様が好ましい。式(G3−2)において、RG33およびRG34のうちの少なくとも一つが置換基である。なかでも、RG33が置換基でRG34が水素原子である態様が好ましい。
G31〜RG34として採りうる置換基は、上記RG11として採りうる置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
−(G)n−Tで表される基において、Tは、水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されず、後述する置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。なかでも、置換基としては、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロ環基またはこれらを組み合わせた基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基がより好ましい。
−(G)n−Tで表される基は、上記酸性基を有していない。
配位子LAは、下記式(AL−2)で表される3座の配位子(ターピリジン化合物)であることが好ましい。
Figure 0006351118
式中、2つのAncは各々独立に酸性基を表す。酸性基は、式(AL−1)の酸性基と同義であり、好ましいものも同じである。
G、Tおよびnは式(AL−1)のG、Tおよびnと同義である。
上記ターピリジン化合物は配位子LAそのものであるが、本発明においては、配位子LAを、後述するように配位子LAの前駆体化合物として用いることもできる。したがって、本発明において、配位子LAというときは、配位子LAそのもの(上記ターピリジン化合物)に加えて、配位子LAの前駆体化合物をも包含する。好ましい前駆体化合物としては、上記ターピリジン化合物の酸性基の少なくとも1つがエステル化されたエステル体(ターピリジン化合物のエステル化物ともいう)が挙げられる。
このエステル化物は、上記酸性基が保護された化合物であって、加水分解等により酸性基に再生できるエステルであり、特に限定されない。例えば、上記酸性基のアルキルエステル化物、アリールエステル化物、ヘテロアリールエステル化物等が挙げられる。これらのなかでも、アルキルエステル化物が好ましい。アルキルエステル化物を形成するアルキル基は、特に限定されないが、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。アリールエステル化物を形成するアリール基およびヘテロアリールエステル化物を形成するヘテロアリール基は、それぞれ、特に限定されず、後述する置換基群Zで例示したものが挙げられる。これらの基は、後述する置換基群Zより選択される1種以上の置換基を有していてもよい。
エステル化される酸性基は、2つが好ましい。この場合、2つのエステルは同じでも異なっていてもよい。
配位子LAは、通常の方法によって合成することができる。例えば、式(L1−4)で表される配位子LAは、下記スキームに示すように、式(L1−1)で表される化合物と式(L1−2)で表される化合物とをカップリング反応させ、式(L1−3)で表される前駆体化合物のエステル基を加水分解することにより、合成することができる。この合成方法においては、前駆体化合物としてカルボキシ基のエステル化物を示しているが、本発明においては、これに限定されず、上記酸性基のいずれかをエステル化した前駆体化合物であればよい。
上記カップリング反応は、例えば、日本化学会編、「実験化学講座 第5版」、丸善株式会社、13巻、p92−117に記載の「鈴木カップリング反応」や「Stilleカップリング反応」等またはこれらに準じて、行うことができる。また、加水分解反応は、例えば、日本化学会編、「実験化学講座 第5版」、丸善株式会社、16巻、p10−15に記載の方法に準じて、行うことができる。例えば、後述する実施例で合成した方法が挙げられる。
本発明においては、前駆体化合物を加水分解して合成した配位子LAを用いて、本発明の金属錯体色素を合成することができる。また、後述する実施例1のように、前駆体化合物を用いて金属錯体色素化した後に、上記方法に準じてエステル基を加水分解して、本発明の金属錯体色素を合成することもできる。
Figure 0006351118
式中、Lは上記−(G)n−Tで表される基と同義である。式(L1−1)において、Yは、トリアルキルスズ基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基を表す。
式(L1−2)において、Yは、式(L1−1)のYがトリアルキルスズ基、ボロン酸基またはボロン酸エステル基の場合、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基を表し、式(L1−1)のYがハロゲン原子またはパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基の場合、トリアルキルスズ基、ボロン酸基またはボロン酸エステル基を示す。
式(L1−2)および式(L1−3)において、Rはアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を示す。
配位子LAの具体例を以下に示す。配位子LAとして、後述する金属錯体色素における配位子LAも挙げられる。また、下記具体例および金属錯体色素の具体例の配位子LAに対して、−COOHの少なくとも1つをカルボキシ基の塩とした化合物も挙げられる。この化合物において、カルボキシ基の塩を形成する対カチオンとしては、下記CIで説明する正のイオンが挙げられる。さらに、ターピリジン化合物のエステル化物の例として、下記具体例および金属錯体色素の具体例中の配位子LAに対して、酸性基の少なくとも1つをエステル化した化合物を挙げることができる。本発明はこれらの配位子LA、その塩またはエステル化物に限定されない。下記具体例中のMeはメチル基を表す。
Figure 0006351118
− 配位子Z −
配位子Zは、下記に示す配位子であって、好ましくは1座配位子または2座配位子である。
nZは、配位子Zの数を表し、2または3を表す。ただし、nZは、「(Z)nZ」の合計配位数が3となるように、配位子Zの配位部位の数(1座または2座)を考慮して、適宜に決定される。例えば、配位子Zがすべて1座で配位する場合、nZは3を表す。配位子の1つが2座配位する場合、nZは2(残りの配位子は1座で配位する)を表す。本発明において、配位子Zは、その配位部位すべてが金属イオンに配位している必要はなく、少なくとも1つの配位部位で金属イオンに配位していればよい。例えば、2座配位子であっても、1つの配位部位で金属イオンに配位子して、1座配位子となることがある。2または3個の配位子Zは互いに同一でも異なっていてもよい。また、複数の配位子Z同士が結合していてもよい。
配位子Zは、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、イソシアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群から選ばれる配位子を表す。
ここで、上記の各基からなる群から選ばれる基で配位する配位子とは、上記の各基等が単独で(アニオンとなって)金属イオンに配位する1座配位子である態様と、上記の各基等に含まれるアルキル基、アリール基等も金属イオンに配位する2座配位子である態様とを包含する。上記2座配位子としては、例えば、アシルオキシ基の1種であるピコリン酸化合物が挙げられる。ピコリン酸化合物は、COO基と、ピリジン環の環構成窒素原子とが金属イオンに配位しうる。
アシルオキシ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、アセチルオキシ基、ピリジニルカルボニルオキシ等の5員または6員の含窒素環にアシルオキシ基が結合した基、ベンゾイルオキシ基、サリチル酸基、グリシルオキシ基、N,N−ジメチルグリシルオキシ基、オキザリレン基(−OC(O)C(O)O−)等が挙げられる。アシルチオ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、5員または6員の含窒素環にアシルチオ基が結合した基等が挙げられる。チオアシルオキシ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、チオアセチルオキシ基(CHC(S)O−)、5員または6員の含窒素環にチオアシルオキシ基が結合した基等が挙げられる。チオアシルチオ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、チオアセチルチオ基(CHC(S)S−)、チオベンゾイルチオ基(PhC(S)S−)等、5員または6員の含窒素環にチオアシルチオ基が結合した基が挙げられる。アシルアミノオキシ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、N−メチルベンゾイルアミノオキシ基(PhC(O)N(CH)O−)、アセチルアミノオキシ基(CHC(O)NHO−)等が挙げられる。
チオカルバメート基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、N,N−ジエチルチオカルバメート基等が挙げられる。ジチオカルバメート基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、N−フェニルジチオカルバメート基、N,N−ジメチルジチオカルバメート基、N,N−ジエチルジチオカルバメート基、N,N−ジベンジルジチオカルバメート基等が挙げられる。チオカルボネート基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、エチルチオカルボネート基等が挙げられる。ジチオカルボネート基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、エチルジチオカルボネート基(COC(S)S−)等が挙げられる。トリチオカルボネート基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、エチルトリチオカルボネート基(CSC(S)S−)等が挙げられる。アシル基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、アセチル、ベンゾイル等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチルチオ、エチレンジチオ等が挙げられる。アリールチオ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、フェニルチオ、1,2−フェニレンジチオ等が挙げられる。アルコキシ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メトキシ等が挙げられる。アリールオキシ基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、フェノキシ、キノリン−8−ヒドロキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、特に限定されないが、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。カルボニルとしては、特に限定されないが、…CO等が挙げられる。ジアルキルケトンとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数3〜20であり、例えば、アセトン((CHCO…)等が挙げられる。
1,3−ジケトンとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数3〜20であり、例えば、アセチルアセトン(CHC(O…)CH=C(O−)CH)、トリフルオロアセチルアセトン(CFC(O…)CH=C(O−)CH)、ジピバロイルメタン(t−CC(O…)CH=C(O−)t−C)、ジベンゾイルメタン(PhC(O…)CH=C(O−)Ph)、3−クロロアセチルアセトン(CHC(O…)CCl=C(O−)CH)等が挙げられる。
カルボンアミドとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、CHN=C(CH)O−、−OC(=NH)−C(=NH)O−等が挙げられる。チオカルボンアミドとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、CHN=C(CH)S−等が挙げられる。チオ尿素としては、特に限定されないが、好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、NH(…)=C(S−)NH、CHN(…)=C(S−)NHCH、(CHN−C(S…)N(CH等が挙げられる。
上記各配位子において、「…」は金属原子Mとの配位結合を示す。
配位子Zは、上記のなかでも、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、シアネート基、イソシアネート基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、下記式(XA−1)で表される配位子および下記式(XA−2)で表される配位子からなる群から選ばれる配位子であることが、好ましい。
Figure 0006351118
式中、破線は金属イオンMとの結合部を表す。
xa1〜Vxa4は、各々独立に、硫黄原子または酸素原子を表し、酸素原子が好ましい。
xa1〜Rxa3は、各々独立に、水素原子または置換基を表す。
xaは置換基を表す。nTは0〜4の整数を表し、0または1が好ましい。
xa1〜Rxa3およびTxaとして採りうる置換基としては、特に限定されないが、置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。なかでも、Rxa1〜Rxa3は、それぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が置換したアルキル基(ハロゲン化アルキル基)、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が置換したアリール基(ハロゲン化アリール基)およびハロゲン化アルキル基が置換したアリール基からなる群より選択される基、または、この群より選択される2つ以上(好ましくは2つ)の基が結合してなる基が好ましい。アルキル基としては炭素数1〜20が好ましい。ハロゲン化アルキル基としては、アルキル部分の炭素数が1〜30であることが好ましく、炭素数が1〜6であることがより好ましく、炭素数が1であることがさらに好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。ハロゲン化アリール基としては、1〜5個のハロゲン原子が置換したフェニル基が好ましく、1〜4個のハロゲン原子が置換したフェニル基がより好ましく、1個のハロゲン原子が置換したフェニル基が好ましい。ハロゲン化アルキル基が置換したアリール基としては1〜5個のハロゲン化アルキル基が置換したフェニル基が好ましい。
xaは、置換基群Zから選ばれる基のなかでも、置換基を有するアリール基もしくはヘテロ環基またはアミノ基が好ましく、このヘテロ環基は芳香族性を有するヘテロ環基(ヘテロアリール基)がより好ましい。
ここで、置換基を有するアリール基およびヘテロアリール基は、式(XA−2)中のZXaが形成する環と結合する単環、または、この単環を縮合環として含む多環の基であって、この単環が5員環である場合、ZXaが形成する環と結合する環構成原子に対してα位のsp炭素原子の少なくとも1つが置換基を有するアリール基またはヘテロアリール基であることが、好ましい。また、上記単環が6員環である場合、ZXaが形成する環と結合する環構成原子に対してα位およびβ位のsp炭素原子の少なくとも1つが置換基を有するアリール基またはヘテロアリール基であることが、好ましい。このようなアリール基およびヘテロアリール基としては、2,6−ジ置換フェニル基、3−置換−2−チエニル基等が挙げられる。置換基としては、特に限定されないが、置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。
アミノ基は、後述する置換基群Zにおいて説明したアミノ基が挙げられる。
Xaは5員または6員の環を完成するのに必要な非金属原子群を表す。ZXaは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子およびリン原子から選ばれる非金属原子群であることが好ましい。ZXaが形成する環は、5員環の芳香族環および6員環の芳香族環が好ましい。5員環の芳香族環および6員環の芳香族環としては、上記Zaが形成する環で挙げた芳香族環が好ましい。具体的には、ZXaが形成する環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも、ZXaが形成する環は、ピリジン環またはピリミジン環であることがより好ましく、ピリジン環であることが特に好ましい。
式(XA−1)で表される配位子は、例えば、上記1,3−ジケトンの好ましい態様である。このような配位子としては、上記したもの以外にも、例えば、Vxa1が酸素原子であり、Vxa2が硫黄原子である様態、Vxa1が硫黄原子であり、Vxa2が酸素原子である様態、または、Vxa1が硫黄原子であり、Vxa2が硫黄原子である様態等が挙げられる。
式(XA−2)で表される配位子は、例えば、上記アシルオキシ基の好ましい態様である。このような配位子としては、上記したもの以外にも、例えば、Vxa3が硫黄原子であり、Vxa4が硫黄原子である態様等が挙げられる。
配位子Zは、イソチオシアネート基、下記式(XA−1b)で表される配位子、または、下記式(XA−2b)で表される配位子であることが、さらに好ましい。
Figure 0006351118
式中、破線は金属イオンMとの結合部を表す。Rxa1〜Rxa3は、各々独立に、水素原子または置換基を表す。Txa2は置換基を表し、nTは0〜4の整数を表す。Rxa1〜Rxa3、Txa2およびnTは、それぞれ、式(XA−1)および(XA−2)のRxa1〜Rxa3、TxaおよびnTと同義であり、好ましいものも同じである。
式(XA−1b)で表される配位子としては、下記に示す具体例Z−38等の他にも、例えば、下記に示す配位子、下記金属錯体色素の例示および実施例に示す配位子が挙げられる。本発明はこれらの配位子に限定されない。
Figure 0006351118
式(XA−2b)で表される配位子は、例えば、下記に示す配位子、下記金属錯体色素の例示および実施例に示す配位子が挙げられるが、本発明はこれらの配位子に限定されない。下記に示す各配位子において、波線は金属イオンMとの結合部(カルボキシ基の酸素原子およびピリジン環の環構成窒素原子)を表す。
Figure 0006351118
配位子Zは、互いに異なる2種以上の配位子である場合、その組み合わせは特に限定されない。好ましくは、後述する金属錯体色素の具体例または実施例で用いた金属錯体色素が有する配位子の組み合わせが挙げられる。
配位子Zが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、置換されていてもよい。また、アリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていてもよく、単環でも縮環していてもよい。
配位子Zは、市販品を用いることができ、また、適宜合成することもできる。
例えば、(XA−2)で表される配位子のうちピコリン酸誘導体は、Journal of Medicinal Chemisty,2011,vol.54,No.13,p.4721−4734に記載の化合物No.45の合成方法に準拠して、例えば下記スキームにより、合成することができる。
Figure 0006351118
配位子Zの具体例を以下に示す。また、配位子Zとして後述する金属錯体色素における配位子Zも挙げられる。本発明はこれらの配位子Zに限定されるものではない。
以下に示す構造式は幾つも取りうる共鳴構造のうちの1つの極限構造にすぎず、共有結合(−で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
Figure 0006351118
Figure 0006351118
− 電荷中和対イオンCI −
CIは金属錯体色素の電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。一般に、金属錯体色素が陽イオンもしくは陰イオンであるか、または、正味のイオン電荷を有するかどうかは、金属錯体色素中の金属、配位子および置換基に依存する。
置換基が解離性基を有すること等により、金属錯体色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、金属錯体色素全体の電荷はCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン(Liイオン、Naイオン、Kイオン等)、アルカリ土類金属イオン、金属錯体イオンまたはプロトンである。正の対イオンとしては、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、テトラオクチルアンモニウムイオン、テトラデシルアンモニウムイオン等)、アルカリ金属イオン、プロトンが好ましい。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオンが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。負の対イオンとしては、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましく、ハロゲン陰イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオンがより好ましい。
− 金属錯体色素 −
本発明の金属錯体色素は、下記式(I)で表される。
式(I) M(LA)(Z)nZ・(CI)mY
式中、M、LA、Z、nZ、CIおよびmYは、上記した通りであり、好ましいものも同じである。
式(I)で表される金属錯体色素は、例えば、特開2013−084594号公報に記載の方法、特許第4298799号公報に記載の方法、米国特許出願公開第2013/0018189A1、米国特許出願公開第2012/0073660A1、米国特許出願公開第2012/0111410A1および米国特許出願公開第2010/0258175A1の各明細書に記載の方法、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,p.2054−2058に記載の方法、この文献で挙げられている参照文献に記載の方法、太陽電池に関する上記特許文献、公知の方法、または、これらに準じた方法で合成することができる。
式(I)で表される金属錯体色素は、上記配位子LAを有しており、長波長領域の吸収特性が優れる。金属錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
式(I)で表される金属錯体色素の具体例を以下および実施例に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの金属錯体色素は光学異性体、幾何異性体が存在する場合、これらの異性体のいずれであってもよく、またこれらの異性体の混合物であってもよい。
下記具体例および実施例で示す具体例は、各具体例における配位子LAおよびZの具体的な組み合わせに関わらず、配位子LAおよびZそれぞれの具体例をも各々独立に示すものである。具体例中のMeはメチルを表す。
Figure 0006351118
Figure 0006351118
Figure 0006351118
Figure 0006351118
<置換基群Z
本発明において、好ましい置換基としては、下記置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。置換基群Zは、上記酸性基を含まない置換基群である。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基群Zを参照するものであり、また、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの場合は、この置換基群Zの対応する基における好ましい範囲、具体例が適用される。
さらに、本明細書において、アルキル基をシクロアルキル基と区別して記載している場合、アルキル基は、直鎖アルキル基および分岐アルキル基を包含する意味で用いる。一方、アルキル基をシクロアルキル基と区別して記載していない場合(単に、アルキル基と記載されている場合)、および、特段の断りがない場合、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基およびシクロアルキル基を包含する意味で用いる。このことは、環状構造を採りうる基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)を含む基(アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニルオキシ基等)、環状構造を採りうる基を含む化合物(上記アルキルエステル化物等)についても同様である。下記置換基群Zの説明においては、例えば、アルキル基とシクロアルキル基のように、直鎖または分岐構造の基と環状構造の基とを明確にするため、これらを分けて記載していることもある。
置換基群Zに含まれる基としては、下記の基、および、下記の基を複数組み合わせてなる基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20)、アリール基(芳香族炭化水素環基、好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環基には芳香族ヘテロ環基(ヘテロアリール基という)および脂肪族ヘテロ環基を含む。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましい)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイルまたはN−フェニルカルバモイル)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましい)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましい)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましい)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、または、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Zから選ばれる基は、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはシアノ基が挙げられる。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
次に、光電変換素子および色素増感太陽電池の主たる部材の好ましい態様について、図1および図2を参照して、説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、導電性を有し、感光体層2等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された導電性支持体1、または、ガラスもしくはプラスチックの基板44とこの基板44の表面に成膜された透明導電膜43とを有する導電性支持体41が好ましい。
なかでも、基板44の表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明導電膜43を成膜した導電性支持体41がさらに好ましい。プラスチックで形成された基板44としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。また、基板44を形成する材料は、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、基板44の表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体41を用いる場合、光は基板44側から入射させることが好ましい。
導電性支持体1および41は、実質的に透明であることが好ましい。「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性支持体1および41の厚みは、特に限定されないが、0.05μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明導電膜43を設ける場合、透明導電膜43の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体1および41は、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、表面に、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
<感光体層>
感光体層は、上記色素21が担持された半導体微粒子22および電解質を有していれば、その他の構成は特に限定されない。好ましくは、上記感光体層2および上記感光体層42が挙げられる。
− 半導体微粒子(半導体微粒子が形成する層) −
半導体微粒子22は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブもしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドは、単独で、または、チタニア微粒子に混合して、用いることができる。
半導体微粒子22の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
半導体微粒子22は多くの色素21を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子22が形成する半導体層45(光電変換素子10においては感光体層2と同義)の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素21の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。
上記のように光電変換素子および色素増感太陽電池において、励起電子の拡散距離が短いほど、電子輸送効率の向上が期待できる。しかし、半導体層の厚みを薄くすると、かえって光電変換効率が低下することがある。本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、配位子LAと配位子Zを併用した本発明の金属錯体色素を有する。これにより、半導体層が上記従来の厚みを有する場合も、また従来の厚みよりも薄くした場合も、優れた光電変換効率を発揮する。このように、本発明によれば、半導体層の膜厚の影響が小さく、優れた光電変換効率を発揮する。
半導体層45(光電変換素子10においては感光体層2)の好ましい厚みは、光電変換素子の用途によって一義的なものではないが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は、1〜50μmがより好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。
本発明においては、上記式(I)で表される金属錯体色素を用いることから、半導体層45の厚みを薄くすることができる。例えば、上記好ましい範囲のなかでも、6μm以下とすることができる。
半導体微粒子22は、導電性支持体1または41に塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成して、粒子同士を密着させることが好ましい。成膜温度は、導電性支持体1または基板44の材料としてガラスを用いる場合、60〜600℃が好ましい。
半導体微粒子22の、導電性支持体1または41の表面積1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
導電性支持体1または41と感光体層2または42との間には、感光体層2または42が含む電解質と導電性支持体1または41が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。
また、受光電極5または40と対極4または48の接触を防ぐために、スペーサーS(図2参照)やセパレータを用いることが好ましい。
− 色素 −
光電変換素子10および色素増感太陽電池20においては、増感色素として少なくとも1種の上記式(I)で表される金属錯体色素を使用する。式(I)で表される金属錯体色素は上記の通りである。
増感色素は、式(I)で表される金属錯体色素と併せて他の金属錯体色素を使用できる。本発明において、上記式(I)の金属錯体色素と併用できる色素としては、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、有機色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。併用できる色素としては、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が好ましい。
色素の使用量は、全体で、導電性支持体1または41の表面積1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。また、色素21の半導体微粒子22に対する吸着量は1gの半導体微粒子22に対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子22における増感効果が十分に得られる。
式(I)で表される金属錯体色素と他の色素を併用する場合、式(I)で表される金属錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
色素を半導体微粒子22に担持させた後に、アミン化合物を用いて半導体微粒子22の表面を処理してもよい。好ましいアミン化合物としてピリジン化合物(例えば4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
− 共吸着剤 −
本発明においては、式(I)で表される金属錯体色素または必要により併用する色素とともに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基またはその塩)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着材として、特開2014−82187号公報の段落番号0125〜0129に記載の式(CA)で表される化合物が挙げられ、特開2014−82187号公報の段落番号0125〜0129の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
上記共吸着剤は、半導体微粒子22に吸着させることにより、金属錯体色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は、特に限定されないが、上記の作用を効果的に発現させる観点から、上記金属錯体色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルである。
− 光散乱層 −
本発明において、光散乱層は、入射光を散乱させる機能を有する点で、半導体層と異なる。
色素増感太陽電池20において、光散乱層46は、好ましくは、棒状または板状の金属酸化物粒子を含有する。光散乱層46に用いられる金属酸化物粒子は、例えば、上記金属のカルコゲニド(酸化物)の粒子が挙げられる。光散乱層46を設ける場合、光散乱層の厚みは感光体層42の厚みの10〜50%とすることが好ましい。
光散乱層46は、特開2002−289274号公報に記載されている光散乱層が好ましく、特開2002−289274号公報の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
<電荷移動体層>
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層3および47は、色素21の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極5または40と、対極4または48との間に設けられる。
電荷移動体層3および47は電解質を含む。ここで、「電荷移動体層が電解質を含む」とは、電荷移動体層が電解質のみからなる態様、および、電解質と電解質以外の物質を含有する態様の、両態様を含む意味である。
電荷移動体層3および47は、固体状、液体状、ゲル状またはこれら混合状態のいずれであってもよい。
− 電解質 −
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を含有する溶融塩および酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質等が挙げられる。なかでも、液体電解質が光電変換効率の点で好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合わせ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合わせ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、または2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156に記載の式(CC)で表される錯体が好ましく、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
液体電解質およびゲル電解質に用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。
特に、液体電解質に用いる有機溶媒としては、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が好ましく、ニトリル化合物がより好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
溶融塩やゲル電解質としては、特開2014−139931号公報の段落番号0205および段落番号0208〜0213に記載のものが好ましく、特開2014−139931号公報の段落番号0205および段落番号0208〜0213の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質は、添加物として、4−t−ブチルピリジン等のピリジン化合物のほか、アミノピリジン化合物、ベンズイミダゾール化合物、アミノトリアゾール化合物およびアミノチアゾール化合物、イミダゾール化合物、アミノトリアジン化合物、尿素化合物、アミド化合物、ピリミジン化合物または窒素を含まない複素環を含有していてもよい。
また、光電変換効率を向上させるために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
ヨウ素は、ヨウ素とシクロデキストリンとの包摂化合物として使用することもできる。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりに、p型半導体あるいはホール輸送材料等の固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCS等を用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487(2012)等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いてもよい。有機ホール輸送材料としては、特開2014−139931号公報の段落番号0214に記載のものが好ましく、特開2014−139931号公報の段落番号0214の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限は特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
<対極>
対極4および48は、色素増感太陽電池の正極として働くものであることが好ましい。対極4および48は、通常、上記導電性支持体1または41と同じ構成とすることもできるが、強度が十分に保たれるような構成では基板44は必ずしも必要でない。対極4および48の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層2および42に光が到達するためには、上記導電性支持体1または41と対極4または48との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体1または41が透明であって太陽光を導電性支持体1または41側から入射させるのが好ましい。この場合、対極4および48は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極4および48としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
[光電変換素子および色素増感太陽電池の製造方法]
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、本発明の金属錯体色素および溶媒を含有する色素溶液(本発明の色素溶液)を用いて、製造することができる。
このような色素溶液には、本発明の金属錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒を挙げることができるが、特にこれに限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒、アルコール溶媒と炭化水素溶媒の混合溶媒、アルコール溶媒とニトリル溶媒の混合溶媒であり、特に好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒、アルコール溶媒とニトリル溶媒の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノールおよびt−ブタノールの少なくとも1種と、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドの少なくとも1種との混合溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールおよびt−ブタノールの少なくとも1種と、アセトニトリルとの混合溶媒が好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、上記の共吸着剤が好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を製造する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤の濃度が調整されている色素溶液が好ましい。本発明においては、本発明の色素溶液は、本発明の金属錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。共吸着剤の使用量は上記した通りである。
色素溶液は、水分含有量を調整することが好ましく、本発明では水分含有量を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体微粒子表面に式(I)で表される金属錯体色素またはこれを含む色素を担持させることにより、感光体層を作製することが好ましい。すなわち、感光体層は、導電性支持体上に設けた半導体微粒子に上記色素溶液を塗布(ディップ法を含む)し、乾燥または硬化させて、形成することが好ましい。
このようにして作製した感光体層を備えた受光電極に、さらに電荷移動体層や対極等を設けることで、本発明の光電変換素子または色素増感太陽電池を得ることができる。
色素増感太陽電池は、上記のようにして作製した光電変換素子の導電性支持体1および対極4に外部回路6を接続して、製造される。
以下に実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定されない。
以下に、本発明の金属錯体色素の合成方法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体および合成ルートについてはこれにより限定されるものではない。
本明細書において、室温とは25℃を意味する。また、Meはメチルを表し、Etはエチルを表し、Buはブチルを示し、TBAはテトラブチルアンモニウムを示す。また、BPinは4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−ylを表す。
実施例1において合成した金属錯体色素および合成中間体を、MS(マススペクトル)測定、H−NMR測定により、同定した。
実施例1(金属錯体色素の合成)
本実施例で、合成した金属錯体色素D−1〜D−26を以下に示す。
Figure 0006351118
Figure 0006351118
(金属錯体色素(D−1)の合成)
以下のスキームに従って、金属錯体色素(D−1)を合成した。
Figure 0006351118
(i)化合物(1−2)の合成
500mLの3つ口フラスコに、THF(テトラヒドロフラン、200mL)、化合物(1−1)(10g)を入れ、窒素ガス雰囲気下で−40℃に冷やした。そこに、LDA(リチウムジイソプロピルアミド、2.0当量)を加え、混合液を−40℃で30分攪拌した。その後、混合液にMeOTs(メチルトシラート、16.6g、2.2当量)を加え、室温で3時間攪拌した。得られた溶液にHOを50mL入れ、ヘキサンで反応生成物を抽出した。有機相を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(1−2)を12.1g得た。
(ii)化合物(1−4)の合成
500mLの3つ口フラスコに、THF(160mL)、HO(16mL)、化合物(1−2)(14g)、化合物(1−3)(13.5g)、P(tBu)PdG2(
クロロ[(トリ−tert−ブチルホスフィン)−2−(2−アミノビフェニル)]パラジウム(II)、0.82g)およびKPO(17g)を入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下にて加熱還流した。得られた溶液を室温に戻し、セライト濾過し、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(1−4)を14.2g得た。
(iii)化合物(1−7)の合成
500mLの3つ口フラスコに、化合物(1−4)(12g)およびTHF(150mL)を入れ、窒素ガス雰囲気下で−78℃に冷却した。そこにn−BuLi(1.6Mヘキサン溶液、35mL)を加え、混合液を−78℃で15分攪拌した。その後、混合液にBuSnCl(13mL)を加えて、室温にて攪拌した。得られた溶液を塩化アンモニウムで中和し、酢酸エチルで反応生成物を抽出した。有機相を濃縮して、化合物(1−5)を得た。
得られた化合物(1−5)、化合物(1−6)(10.7g)、Pd(PPh(2.1g)およびトルエン(150mL)を、500mLのナスフラスコに入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下110℃で攪拌した。得られた溶液を室温に戻し、濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(1−7)を14g得た。
(iv)化合物(1−9)(ターピリジン化合物のジエチルエステル化物)の合成
300mLの3つ口フラスコに、化合物(1−7)(6g)、トルエン(100mL)、Pd(PPh(1.6g)およびMeSnSnMe(3.6mL)を入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下で3時間加熱還流した。得られた溶液を室温に戻し、HOを50mL加えて、セライト濾過した。反応生成物をトルエンで抽出した。有機相を濃縮し、濃縮残渣を50℃にて乾燥した。得られたSn体を300mLの3つ口フラスコに入れ、さらに、トルエン(100mL)、Pd(PPh(1.6g)および化合物(1−8)(5.4g)を入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下で2時間加熱還流した。得られた溶液を室温に戻し、濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(1−9)を7g得た。
化合物(1−9)は、図3に示す、H−NMRスペクトルから確認された。
H−NMRは、CDCl溶媒を用いて、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質として、プロトン共鳴周波数400MHzで、測定した。
(v)化合物(1−10)の合成
50mLのナスフラスコに、化合物(1−9)(2g)、塩化ルテニウム(0.82g)およびエタノール(30mL)を入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下で3時間加熱還流した。沈殿物をろ取し、エタノールで洗浄して、化合物(1−10)を2g得た。
(vi)化合物(1−11)の合成
50mLのナスフラスコに、化合物(1−10)(2g)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)20mLと7gのテトラブチルアンモニウムチオシアネートを加え、140℃で3時間加熱した。反応液を室温に戻した後、濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(1−11)を0.8g得た。
(vii)金属錯体色素(D−1)の合成
ナスフラスコに、0.3gの化合物(1−11)とアセトン10mLと1.45mLの1M(モル/L)TBAOH(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド)/MeOH(メタノール)溶液を入れ、60℃で2時間加熱した。その後、反応液を濃縮し、水5mL入れ、硝酸(HNO)でpH3に調整し、析出した結晶をろ取し、超純水で洗浄して、金属錯体色素(D−1)を0.25g得た。
金属錯体色素(D−1)は表1に示すデータから確認された。
(金属錯体色素(D−2)〜(D−21)の合成)
金属錯体色素(D−1)の合成と同様にして、上記金属錯体色素(D−2)〜(D−21)をそれぞれ合成した。
合成した金属錯体色素(D−2)〜(D−21)は表1に示すデータから確認された。
Figure 0006351118
(金属錯体色素(D−22)および金属錯体色素(D−22TBA)の合成)
以下のスキームに従って、金属錯体色素(D−22)および金属錯体色素(D−22TBA)を合成した。
Figure 0006351118
(i)化合物(22−3)の合成
上記化合物(1−9)の合成と同様にして化合物(22−1)を合成した。
ナスフラスコに、化合物(22−1)(0.5g)、塩化ルテニウム(0.21g)およびエタノール(10mL)を入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下で3時間加熱還流した。得られた沈殿物をろ取し、エタノールで洗浄した。得られた沈殿物に化合物(22−2)(0.23g)、DMF(10mL)、トリプロピルアミン(1mL)を入れ、混合物を窒素ガス雰囲気下、140℃で加熱した。反応混合物を室温に戻した後に濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(22−3)を0.3g得た。
(ii)化合物(22−4)の合成
ナスフラスコに、化合物(22−3)(0.3g)、チオシアン酸アンモニウム(0.2g)、DMF(40mL)およびHO(4mL)を入れ、混合物を100℃で加熱した。反応混合物を室温に戻した後に、濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(22−4)を0.1g得た。
(iii)金属錯体色素(D−22)の合成
化合物(22−4)(100mg)、DMF(15mL)および1NのNaOH水溶液(1.5mL)を入れ、混合物を室温で反応させた。得られた溶液にTfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)を加え、pHを2.9に調整した。得られた析出物をろ取し、超純水で洗浄して、金属錯体色素(D−22)を70mg得た。
金属錯体色素(D−22)は表2に示すデータから確認された。
(iv)金属錯体色素(D−22TBA)の合成
10mLのナスフラスコに、金属錯体色素(D−22)(50mg)と、10%TBAOH/MeOH(0.13g)とを投入し、室温で反応させた。得られた溶液を濃縮し、金属錯体色素(D−22TBA)を50mg得た。
(金属錯体色素(D−23)〜(D−26)および金属錯体色素(D−23TBA)〜(D−26TBA)の合成)
金属錯体色素(D−22)および(D−22TBA)の合成と同様にして、上記金属錯体色素(D−23)〜(D−26)および(D−23TBA)〜(D−26TBA)をそれぞれ合成した。
合成した金属錯体色素(D−23)〜(D−26)は表2に示すデータから確認された。
金属錯体色素のTBA塩(D−23TBA)〜(D−26TBA)は、いずれも、MS測定において、プロトン化されて電気的に中性な金属錯体色素と同じ質量になるので、TBA塩についてはMS測定の結果を省略する。
Figure 0006351118
実施例2(色素増感太陽電池の製造)
実施例1で合成した金属錯体色素(D−1)〜(D−26)および(D−22TBA)〜(D−26TBA)または下記比較化合物(c−1)〜(c−4)それぞれを用いて、図2に示す色素増感太陽電池20(5mm×5mmのスケール)を製造した。製造は、以下に示す手順により、行った。製造した色素増感太陽電池20それぞれの下記性能を評価した。その結果を表3に示した。
(受光電極前駆体[A]の作製)
ガラス基板(基板44、厚み4mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明導電膜43、膜厚;500nm)を形成し、導電性支持体41を作製した。そして、このSnO導電膜上に、チタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で乾燥させた。次いで、チタニアペースト「18NR−T」を再度スクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを、空気中、500℃で焼成し、半導体層45(層厚;10μm)を成膜した。さらに、この半導体層45上に、チタニアペースト「18NR−AO」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを500℃で焼成し、半導体層45上に光散乱層46(層厚;5μm)を成膜した。
このようにして、SnO導電膜上に、感光体層42(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;15μm)を形成し、金属錯体色素を担持していない受光電極前駆体[A]を作製した。
(受光電極前駆体[B]の作製)
ガラス基板(基板44、厚み4mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明導電膜43、膜厚;500nm)を形成し、導電性支持体41を作製した。そして、このSnO導電膜上に、チタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを、空気中、500℃で焼成し、半導体層45(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;6μm)を成膜した。
このようにして、SnO導電膜上に、光散乱層46を設けていない感光体層42(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;6μm)を形成し、金属錯体色素を担持していない受光電極前駆体[B]を作製した。
(色素吸着)
次に、金属錯体色素を担持していない感光体層42に実施例1で合成した各金属錯体色素((D−1)〜(D−26)および(D−22TBA)〜(D−26TBA))を以下のようにして担持させた。先ず、t−ブタノールとアセトニトリルとの1:1(体積比)の混合溶媒に、上記金属錯体色素それぞれを濃度が2×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらにそこへ共吸着剤としてデオキシコール酸を上記金属錯体色素1モルに対して30モル加え、各色素溶液を調製した。次に、各色素溶液に受光電極前駆体[A]を25℃で20時間浸漬し、各色素溶液から引き上げた後に乾燥させた。
このようにして、受光電極前駆体[A]に各金属錯体色素が担持した受光電極40をそれぞれ作製した。
受光電極前駆体[B]についても同様にして各金属錯体色素を担持させて、受光電極前駆体[B]に各金属錯体色素が担持した受光電極40をそれぞれ作製した。
(色素増感太陽電池の組み立て)
対極48として、上記の導電性支持体41と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚み;100nm)を作製した。また、電解液として、ヨウ素0.1M(モル/L)、ヨウ化リチウム0.1M、4−t−ブチルピリジン0.5Mおよび1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6Mをアセトニトリルに溶解して、液体電解質を調製した。さらに、感光体層42の大きさに合わせた形状を有するスペーサーS「サーリン」(商品名、デュポン社製)を準備した。
上記のようにして作製した受光電極40それぞれと対極48とを、上記スペーサーSを介して、対向させて熱圧着させた後に、感光体層42と対極48との間に電解液注入口から上記液体電解質を充填して電荷移動体層47を形成した。このようにして作製した電池の外周および電解液注入口を、レジンXNR−5516(ナガセケムテック製)を用いて、封止、硬化し、各色素増感太陽電池(試料番号1〜26)を製造した。
上記のようにして製造した各試料番号の色素増感太陽電池は、受光電極前駆体[A]を用いて製造した色素増感太陽電池(試料番号に「A」を付すことがある)と、受光電極前駆体[B]を用いて製造した色素増感太陽電池(試料番号に「B」を付すことがある)との2種類を含む。
また、試料番号22〜26の各色素増感太陽電池は、受光電極前駆体[A]および[B]を用いて製造した色素増感太陽電池それぞれについて、電気的に中性な金属錯体色素(D−1〜D−26)を用いたものと、TBA塩の金属錯体色素(D−22TBA〜D−26TBA)を用いたものとの2種を含む。
比較のため、上記色素増感太陽電池の製造において、実施例1で合成した金属錯体色素に代えて下記金属錯体色素(c−1)〜(c−4)をそれぞれ用いた以外は、上記色素増感太陽電池の製造と同様にして、色素増感太陽電池(試料番号c1〜c4)を製造した。
金属錯体色素(c−1)は特許文献1に記載の「Compound 1」である。金属錯体色素(c−2)は上記金属錯体色素の合成方法に準じて合成した。金属錯体色素(c−3)は特許文献2の段落[0042]に記載の金属錯体色素「A−4」である。金属錯体色素(c−4)は特許文献2の段落[0041]に記載の金属錯体色素である。
Figure 0006351118
<光電変換効率の試験>
製造した色素増感太陽電池それぞれを用いて電池特性試験を行った。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(WXS−85H、WACOM社製)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率を求めた。
(変換効率(A))
各試料番号の色素増感太陽電池のうち受光電極前駆体[A]を用いて製造した色素増感太陽電池(試料番号1A〜26Aおよびc1A〜c4A)それぞれについて、上記のようにして、光電変換効率を測定した(変換効率(A)という)。測定した変換効率(A)を評価した。評価は、受光電極前駆体[A]を用いて製造した色素増感太陽電池(試料番号c1A)の変換効率(Sc1A)を、基準とした。
変換効率(A)の評価基準において、評価「A」および「B」が本試験の合格レベルであり、好ましくは「A」である。
(変換効率(A)の評価基準)
変換効率(A)が変換効率(Sc1A)に対して、
A:1.2倍より大きいもの
B:1.1倍より大きく、1.2倍以下のもの
C:1.0倍より大きく、1.1倍以下のもの
D:1.0倍以下のもの
(変換効率(B))
各試料番号の色素増感太陽電池のうち受光電極前駆体[B]を用いて製造した色素増感太陽電池(試料番号1B〜26Bおよびc1B〜c4B)それぞれについても、上記のようにして、光電変換効率を測定した(変換効率(B)という)。測定した変換効率(B)を評価した。評価は、受光電極前駆体[A]を用いて製造した色素増感太陽電池(試料番号c1A)の変換効率(Sc1A)を、基準とした。
変換効率(B)の評価基準において、評価「S」、および「A」が本試験の合格レベルであり、好ましくは「S」である。
(変換効率(B)の評価基準)
変換効率(B)が変換効率(Sc1A)に対して、
S:1.1倍より大きいもの
A:1.0倍より大きく、1.1倍以下のもの
B:0.9倍より大きく、1.0倍以下のもの
C:0.9倍以下のもの
Figure 0006351118
表3に示す結果から、以下のことが分かる。
試料番号1〜26の色素増感太陽電池においては、いずれも、上記式(AL−1)で表される配位子LAと配位子Zとを組み合わせた金属錯体色素(D−1〜D−26)を用いた。これらの金属錯体色素(D−1〜D−26)が半導体微粒子に担持された本発明の色素増感太陽電池(試料番号1〜26)は、いずれも、変換効率(A)および変換効率(B)が高かった。また、試料番号22〜26の色素増感太陽電池の結果に示されるように、金属錯体色素は、電気的に中性であってもTBA塩であっても、色素増感太陽電池に優れた結果を付与することができた。よって、金属錯体色素の配位子として配位子LAと配位子Zとを併用することにより、光電変換素子および色素増感太陽電池が半導体層の膜厚の影響が小さく、例えば6μmまで厚みを薄くしても、優れた光電変換効率を発揮することが分かった。
式(AL−1)中のGが有する置換基RG11〜RG13(RG21〜RG27およびRG31〜RG34)の炭素数が3〜12であると、変換効率(A)および変換効率(B)の向上効果がいずれも高くなった。
また、式(AL−1)中のnが2または3であると、そのなかでもn個のGを形成する環の合計数が2または3であると、変換効率(B)の向上効果がさらに高くなり、半導体層の膜厚を薄くしても優れた光電変換効率を示した。
さらに、配位子Zの種類を変更しても配位子LAと併用する限り、この金属錯体色素を有する光電変換素子および色素増感太陽電池(試料番号1および22〜26)は、半導体層の膜厚の影響が小さく、優れた光電変換効率を発揮することが分かった。
このように、本発明の金属錯体色素は、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池に優れた光電変換効率を付与できた。よって、本発明の金属錯体色素は、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池の増感色素として好適に用いることができた。本発明の金属錯体色素と溶媒とを含有する本発明の色素溶液は、本発明の金属錯体色素を担持した半導体微粒子の調製に好適に用いることができた。
これに対して、上記式(AL−1)で表される配位子LAと配位子Zとを併用しない金属錯体色素を用いた場合には、変換効率の点で、十分ではなかった。
すなわち、試料番号c1は、3位および4位ともに無置換のチオフェン環基である、5’−カルボキシ−2,2’−ビチオフェニル基を中央ピリジン環にターピリジン配位子を有する色素を用いたものである。しかし、いずれの変換効率も合格レベルに到達しなかった。
試料番号c2は、フェニルエチニル基を末端ピリジン環に有するターピリジン配位子と3座配位子とを有する色素を用いたものである。しかし、いずれの変換効率も合格レベルに到達しなかった。
試料番号c3およびc4は、いずれも、3位および4位ともに無置換のチオフェン環基1つからなる基、または上記チオフェン環4つからなる基を、末端ピリジン環に導入したターピリジン配位子を有する金属錯体色素を用いた。しかし、いずれの変換効率も合格レベルに到達しなかった。
1、41 導電性支持体
2、42 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3、47 電荷移動体層
4、48 対極
5、40 受光電極
6 外部回路
10 光電変換素子
100 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 動作手段(例えば電動モーター)
20 色素増感太陽電池
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
S スペーサー

Claims (16)

  1. 導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、該感光体層が、下記式(I)で表される金属錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
    式(I) M(LA)(Z)nZ・(CI)mY
    式中、Mは金属イオンを表す。
    LAは、下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。
    Zは、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、イソシアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群から選ばれる配位子を表す。nZは2または3を表す。
    CIは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表す。
    Figure 0006351118
    式中、ZaおよびZbは各々独立に5員または6員の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、ZaおよびZbがそれぞれ形成する環の少なくとも一つは酸性基を少なくとも1つ有する。Lは各々独立に窒素原子またはCRを表し、Rは水素原子または置換基を表す。
    Gは、チオフェン環基、または、チオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基を表す。ただし、n個のGのうち少なくとも1つは下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基である。nは2〜7の整数を表す。Tは水素原子または置換基を表す。
    Figure 0006351118
    式中、RG11およびRG12は各々独立に水素原子または置換基を表し、RG11およびRG12のうち少なくとも一つが置換基を表す。RG13は置換基を表す。Zt2は前記式(G1−2)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
  2. 前記LAが、下記式(AL−2)で表される請求項1に記載の光電変換素子。
    Figure 0006351118
    式中、Ancは酸性基を表す。G、Tおよびnは前記式(AL−1)のG、Tおよびnと同義である。
  3. 前記nが、2または3である請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記−(G)n−が、下記式(G2−1)、(G2−2)および(G2−3)のいずれかの式で表される部分構造を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006351118
    式中、RG21〜RG24は各々独立に水素原子または置換基を表し、そのうちの少なくとも一つが置換基を表す。RG25〜RG27は各々独立に水素原子または置換基を表し、そのうちの少なくとも一つが置換基を表す。Zt2は前記式(G2−2)または(G2−3)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
  5. 前記−(G)n−が、前記式(G2−1)で表される部分構造を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記−(G)n−Tで表される基が、下記式(G3−1)または(G3−2)で表される基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006351118
    式中、RG31〜RG34は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、RG31およびRG32のうちの少なくとも一つが置換基を表し、RG33およびRG34のうちの少なくとも一つが置換基を表す。*はLを含む環との結合部を表す。
  7. 前記RG11〜RG13、RG21〜RG27およびRG31〜RG34として採りうる置換基が、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基からなる群より選ばれる置換基を表す請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記RG11〜RG13、RG21〜RG27およびRG31〜RG34として採りうる置換基が、各々独立に、炭素数が3〜12のアルキル基、炭素数が3〜12のアルコキシ基または炭素数が3〜12のアルキルチオ基を表す請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  9. 前記Zが、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、シアネート基、イソシアネート基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、下記式(XA−1)で表される配位子および下記式(XA−2)で表される配位子からなる群から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006351118
    式中、Vxa1〜Vxa4は各々独立に硫黄原子または酸素原子を表す。Rxa1〜Rxa3は各々独立に水素原子または置換基を表す。ZXaは5員または6員の環を完成するのに必要な非金属原子群を表す。Txaは置換基を表し、nTは0〜4の整数を表す。破線は金属イオンMとの結合部を表す。
  10. 前記Zが、イソチオシアネート基、下記式(XA−1b)で表される配位子、または、下記式(XA−2b)で表される請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 0006351118
    式中、Rxa1〜Rxa3は各々独立に水素原子または置換基を表す。Txa2は置換基を表し、nTは0〜4の整数を表す。破線は金属イオンMとの結合部を表す。
  11. 前記Mが、Ru2+またはOs2+である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  12. 前記酸性基が、カルボキシ基またはその塩である請求項1〜11のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  13. 前記Zaが形成する環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
    前記Zbが形成する環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環およびベンゾチアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
    前記Lを含む環が、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、テトラジン環、キノリン環およびイソキノリン環からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜12のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
  15. 下記式(I)で表される金属錯体色素。
    式(I) M(LA)(Z)nZ・(CI)mY
    式中、Mは金属イオンを表す。
    LAは、下記式(AL−1)で表される3座の配位子を表す。
    Zは、アシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、セレノシアネート基、イソセレノシアネート基、シアノ基、イソシアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミドおよびチオ尿素からなる群から選ばれる配位子を表す。nZは2または3を表す。
    CIは電荷を中和させるために必要な対イオンを表す。mYは0〜3の整数を表す。
    Figure 0006351118
    式中、ZaおよびZbは各々独立に5員または6員の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。ただし、ZaおよびZbがそれぞれ形成する環の少なくとも一つは酸性基を少なくとも1つ有する。Lは各々独立に窒素原子またはCRを表し、Rは水素原子または置換基を表す。
    Gは、チオフェン環基、または、チオフェン環を縮合環として含む多環縮合環基を表す。ただし、n個のGのうち少なくとも1つは下記式(G1−1)または(G1−2)で表される環基である。nは2〜7の整数を表す。Tは水素原子または置換基を表す。
    Figure 0006351118
    式中、RG11およびRG12は各々独立に水素原子または置換基を表し、RG11およびRG12のうち少なくとも一つが置換基を表す。RG13は置換基を表す。Zt2は前記式(G1−2)中のチオフェン環と縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。*はLを含む環、他のGまたはTとの結合部を表す。
  16. 請求項15に記載の金属錯体色素と溶媒とを含有する色素溶液。
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