JP2011241444A - ガス吹き込みランス - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性および長寿命化を更に図り得るガス吹き込みランスを提供する。
【解決手段】ガス吹き込みランスは、長手方向に延びる芯体2と、芯体2に被覆され金属溶湯Mに浸漬または接近する耐火物層3とをもつ。芯体2は、芯体2の第1ガス通路4の中心軸線P3に沿った断面において、第1ガス吹出口41に向かうにつれて中心軸線P3に向かうよう傾斜する傾斜部2rをもつ。傾斜部2rと、傾斜部2rに中心軸線を介して対向する壁部との少なくとも一方には、第1ガス通路4の径内方に突出する突出部8Fが設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は溶鋼等の金属溶湯に酸素ガスやアルゴンガス等のガスを吹き込むガス吹き込みランスに関する。
ガス吹き込みランスは、長手方向に延びる芯体と、芯体に被覆され金属溶湯に浸漬または接近する耐火物層と、芯体および耐火物層のうちの少なくとも一方に設けられ酸素ガスやアルゴンガス等のガスを金属溶湯に向けて吹き出す第1ガス吹出口をもつ第1ガス通路とを有する(特許文献1,2)。一般的には、耐火物層は芯体を被覆するキャスタブル層で形成されている。上記したランスによれば、ランスの耐久性を更に向上させることが要請されている。
特開2008−121072号公報 特開2008−101244号公報
ところで、上記したランスによれば、第1ガス通路の中心軸線に沿って切断した断面図において、第1ガス通路の第1ガス吹出口に向かうにつれて中心軸線に近づくように傾斜する傾斜部を有するものが提供されている。このものでは、傾斜部の内壁面が損傷し易い傾向があった。特に、溶鋼等の金属溶湯を処理する脱硫剤、脱燐剤、脱酸剤、鉄粉等の金属粉等の調整剤等といった粉状、粒状、ブロック状などの物体が第1ガスと共に金属溶湯に吹き込まれることがある。この場合、調整剤等の物体が傾斜部に衝突摩擦するおそれが高くなる。よって傾斜部の内壁面、あるいは、傾斜部に対向する壁部の内壁面が損傷するおそれが高くなる。傾斜部における損傷は、調整剤等の物体が傾斜部に衝突する頻度が高くなるためと推定される。また、傾斜部に対向する壁部における損傷は、調整剤等の物体が傾斜部で反射するためと推定される。本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、芯体の傾斜部、あるいは、傾斜部に対向する壁部における耐久性および寿命を更に高め得るガス吹き込みランスを提供することを課題とする。
本発明に係るガス吹き込みランスは、第1ガスを金属溶湯に向けて吹き出す第1ガス吹出口をもつ第1ガス通路を有する芯体と、芯体の外周部に被覆された耐火物層とを具備するランスにおいて、芯体は、芯体の第1ガス通路の中心軸線に沿った断面において、第1ガス吹出口に向かうにつれて中心軸線に近づくように傾斜する傾斜部をもち、傾斜部と傾斜部に中心軸線を介して対向する壁部とのうちの少なくとも一方には、第1ガス通路の径内方向に突出する単数または複数の突出部が設けられていることを特徴とする。ここで、突出部は、傾斜部に設けられていても良いし、傾斜部に中心軸線を介して対向する壁部に設けられていても良いし、両者にもうけられていても良い。
ランスの使用時には、ランスの先端部が金属溶湯に浸漬または接近された状態で、第1ガス吹出口から第1ガスが金属溶湯に吹き出される。この場合、第1ガスに含有されている粉状、粒状、塵状、ブロック状の固形的な物体が芯体の傾斜部の内壁面に衝突すると、傾斜部の内壁面が損傷するおそれがある。あるいは、傾斜部に対向する壁部の内壁面に物体が衝突すると、傾斜部に対向する壁部の内壁面が損傷するおそれがある。特に、溶鋼等の金属溶湯を処理する脱硫剤、脱燐剤、脱酸剤、金属粉等の調整剤等の粉状、粒状、塵状、ブロック状等の物体が第1ガスと共に金属溶湯に吹き込まれるときがある。この場合、傾斜部は、第1ガス吹出口に向かうにつれて中心軸線に近づくように傾斜する。このため第1ガス通路を流れる第1ガスは傾斜部の内壁面に効率よく接触し、傾斜部を効率よく冷却させ、傾斜部の過熱を抑える。このように第1ガス通路を流れる第1ガスは、傾斜部の内壁面の突出部に効率よく接触し、突出部との熱交換により傾斜部を冷却させ、傾斜部の過熱を抑え、ひいては芯体の過熱を抑える。このため傾斜部の耐摩耗性の低下が抑制され、傾斜部の耐久性が向上し、傾斜部の破れが抑制される。金属は一般的には高温に過熱されると、耐摩耗性が低下する。
更に、第1ガスに含まれている調整剤等の物体の濃度が多い条件の場合には、傾斜部の内壁面に設けられた突出部が下部に設けられているときには、突出部による冷却促進がやや低下するものの、調整剤等の物体が傾斜部の内壁面に堆積されることが期待されることがある。この場合、傾斜部の内壁面の母材を保護する保護層を形成することが期待される。この結果、調整剤等の物体が傾斜部の内壁面の母材に直接衝突することが避けられる。よって、傾斜部の内壁面の母材が摩耗することが抑制される。仮に調整剤等の物体が硬質であっても、傾斜部の内壁面の母材が摩耗することが抑制される。ひいては、傾斜部、あるいは、傾斜部に対向する壁部における長寿命化および耐久性の向上を図り得る。
本発明によれば、芯体の傾斜部または傾斜部に対向する壁部における摩耗が抑制され、芯体における耐久性および寿命を更に高め得る。ひいては芯体における耐久性および寿命を更に高め得る。
実施形態1に係り、ランスの先端部を金属溶湯に挿入しつつ第1ガスを金属溶湯に吹き込んでいる状態を示す断面図である。 実施形態1に係り、ランスの先端部の軸線に対して直交する方向に沿って切断した横断面図である。 実施形態1に係り、ランスの先端部の軸線方向に沿って切断した縦断面図である。 実施形態2に係り、リング体付近の要部を示す縦断面図である。 実施形態3に係り、リング体付近の要部を示す縦断面図である。 実施形態4に係り、リング体の各形態を示す図である。 実施形態5に係り、ランスの先端部を金属溶湯に挿入しつつ第1ガスおよび第2ガスを金属溶湯に吹き込んでいる状態を示す断面図である。 実施形態5に係り、ランスの先端部の軸線に対して直交する方向に沿って切断した横断面図である。 実施形態5に係り、ランスの先端部の軸線方向に沿って切断した縦断面図である。 実施形態6に係り、ランスを使用している状態を示す断面図である。 実施形態7に係り、ランスの傾斜部付近を示す断面図である。 実施形態8に係り、ランスの傾斜部付近を示す断面図である。 実施形態9に係り、ランスの傾斜部付近を示す断面図である。 実施形態10に係り、ランスの第1ガス吹き出し口の形態を示す断面図である。
好ましくは、突出部はリング体で形成されており、リング体は、第1ガス通路の中心軸線の回りを1周するOリング形状、第1ガス通路の中心軸線の回りを1/2周以上するCリング形状、第1ガス通路の中心軸線の回りを螺旋状に巻回された螺旋リング形状のうちのいずれかをなしている。好ましくは、芯体は曲成部を有しており、曲成部には、前記第1ガス通路の径内方向に突出する第2突出部が設けられている。この場合、第1ガス通路を流れる第1ガスと第2突出部との熱的な接触が良好となり、第2突出部が設けられている曲成部の過熱を防止し、曲成部の過熱による軟化を抑え、曲成部の耐摩耗正を確保するのに貢献できる。更には、第2突出部が曲成部の下部に設けられているときには、調整剤等の物体が曲成部の内壁面に堆積することが期待され、曲成部の内壁面における長寿命化および耐久性の向上を更に図り得る。好ましくは、芯体は、第1ガス通路を形成する内パイプと、冷却用ガスを通過させる第2ガス通路を介して内パイプの外周側を覆う外パイプとを有する。
(実施形態1)
図1〜図3は、本発明を適用した実施形態1の概念を示す。ガス吹き込みランス1は、溶鋼等の金属溶湯Mに酸素ガスまたはアルゴンガス等の第1ガスを吹き込むものである。ランス1は、長手方向に沿って延びる軸線P1を持つランス本体11と、ランス本体11の軸線P1に対して所定の角度で曲成されている軸線P2をもつ先端部12とをもつ。軸線P1,P2は芯体2の中心軸線P3を形成する。ランス1は、長手方向に延びる金属(例えば鋼)製の芯体2と、芯体2の外周壁面側に被覆され少なくとも先端部が金属溶湯Mに浸漬される耐火物層3と、芯体2および耐火物層3のうちの少なくとも一方に設けられ第1ガスを金属溶湯Mに向けて吹き出す第1ガス吹出口41をもつ第1ガス通路4とを有する。
芯体2は、エルボで形成された曲成部200と、曲成部200の一端200f側に溶接または取付具で連接された第1直管210と、曲成部200の他端200s側に溶接または取付具で連接された第2直管220とを有する。曲成部200は、曲げ内周200iと曲げ外周200pとを有する。曲成部200、第1直管210、第2直管220は同じ金属または同種の金属で形成しても良い。あるいは、曲成部200および第2直管220は金属溶湯に近くなるので、曲成部200および/または第1直管210よりも耐熱性が良い金属で形成することができる。曲成部200は摩耗しやすいため、第1直管210および/または第2直管220よりも耐摩耗性が良い材料で形成することもできる。
第1ガスを吹き出す第1ガス吹出口41は、ランス1の先端部12の端面12fにおいて開口する。芯体2を構成する内パイプ51の内周壁面は、第1ガスが流れる第1ガス通路4を形成する。第1ガスは酸素ガスまたはアルゴンガスを採用できる。第1ガスが酸素ガスである場合には、溶鋼等の金属溶湯Mに含まれる合金成分(例えばシリコン、炭素、マンガン、アルミニウム、リン、硫黄等)が酸化して酸化物が生成され、金属溶湯の組成が調整される。第1ガスがアルゴンガスである場合には、金属溶湯Mがアルゴンガスにより攪拌される。第1ガス通路4の他端部側には、第1ガスを第1ガス通路4に供給する第1ガス供給口43が形成されている。第1ガス供給口43は第1ガス供給源400に繋がる。
耐火物層3は、芯体2の外周側を被覆するキャスタブル層32を有する。キャスタブル層32の材質は特に限定されるものではない。キャスタブル層32は、流動性をもつスラリー状の耐火物を芯体3の外周壁面に被覆した状態で乾燥固化させたものである。キャスタブル層32は、芯体2の長手方向において先端部12以外の部位において芯体2の外周壁面に被覆された本キャスタブル層320と、本キャスタブル層320の先端側の先端キャスタブル層322とを有する。芯体2に溶接などで固定された係合部材14は先端キャスタブル層322に係合し、これの脱落を抑制させる。本キャスタブル層320の外周面320pは軸線P1,P2の回りを包囲する。先端キャスタブル層322の外周面322pは軸線P2の回りを包囲する。本キャスタブル層320は例えばアルミナ系、アルミナ−シリカ系で形成されているが、これに限定されるものではない。先端キャスタブル層322は、本キャスタブル層320よりも高い耐溶損性をもつことが好ましい。耐溶損性の確保を考慮すると、先端キャスタブル層322は、例えば、アルミナ−クロム系、アルミナ−カーボン系、マグネシア−カーボン系で形成されていることが好ましい。但しこれに限定されるものではない。アルミナ−カーボン系、マグネシア−カーボン系等のようにカーボンが含有されていると、カーボンが金属溶湯に対して濡れ性が低いため、高い耐溶損性を発揮でき、耐久性および寿命を向上できる。更に、カーボンは高い伝熱性を有するため、キャスタブル層32の均熱化に貢献でき、耐溶損性を高めるのに有利である。
ここで、図2は、芯体2の先端部12の軸線P2に対して直角方向に沿って切断された横断面を示す。芯体2の先端部12の横断面は、芯体2の先端部12以外の部分に対して異なる異形状をなす異形状部22を有する。異形状部22は、芯体2の横断面において、偏平化された長円形状をなしており、長径DLおよび短径DSをもつ。浸漬時において、短径DSは金属溶湯Mの深さ方向に沿っており、長径DLは金属溶湯Mの湯面M1にほぼ沿うことが好ましい。場合によっては、浸漬時において、長径DLは金属溶湯Mの深さ方向に沿っており、短径DSは金属溶湯Mは湯面M1に沿うことにしても良い。更に、第1ガス吹出口41の断面形状が真円である場合に比較して、第1ガス吹出口41の開口断面も長円や楕円などの異形状となり、第1ガス吹出口41の開口断面積も調整できるため、第1ガス吹出口41から吹き出す第1ガスの吹込速度の調整も期待される。なお、第1ガス吹出口41の流路断面積は、これよりも上流の通路の流路断面積と同一でも良い、小さくても良いし、大きくても良い。
図3から理解できるように、芯体2の先端部2fは、中心軸線P3の延びる方向において、ランス1の先端部12の端面12fから離れるにつれて拡径方向に傾斜する傾斜部2rをもつ。傾斜部2rは、これの断面を示す図3において、ランス1の先端部12の端面12fに向けて縮径方向(中心軸線P3に近づく方向)に傾斜する。傾斜部2rが形成されているため、第1ガスが第1ガス通路4を流れるとき、第1ガスが芯体2の傾斜部2rの内壁面に衝突したり接触したりする頻度が増加する。よって第1ガスによる冷却作用を芯体2の先端部2fに伝熱でき、長寿命化に貢献できる利点が挙げられる。
本実施形態によれば、ランス1の使用時には、図1に示すように、ランス1の先端部12が金属溶湯Mの内部に浸漬される。この状態で、酸素ガスおよび/またはアルゴンガスからなる第1ガスが第1ガス通路4に供給される。第1ガスは、ランス1の先端部12の端面12fの第1ガス吹出口41から、先端部12の軸線P2に沿って金属溶湯Mに向けて吹き出される。前述したように第1ガスは酸素ガスまたはアルゴンガスが好ましい。第1ガスが酸素ガスである場合には、金属溶湯Mに含まれる合金成分(例えばシリコン、炭素、マンガン、アルミニウム、リン、硫黄等)が酸化して酸化物が生成され、金属溶湯の組成が調整される。第1ガスがアルゴンガスである場合には、金属溶湯Mがアルゴンガスにより攪拌される。酸化熱により反応部分が昇温され易い。
第1ガスが溶鋼等の金属溶湯に吹き込まれることがある。このとき、第1ガスに含まれている塵埃、小片、鉄粉等が芯体2の傾斜部2rの内壁面に衝突すると、芯体2の傾斜部2rの内壁面が損傷するおそれがある。特に、溶鋼等の金属溶湯を処理する脱硫剤や脱燐剤や金属粉(鉄粉)等の粉末状または固形状の調整剤等の物体が第1ガスと共に金属溶湯に吹き込まれるときがある。この場合、調整剤等の物体が芯体2の傾斜部2rの内壁面に衝突摩擦し、芯体2の傾斜部2rの内壁面が損傷するおそれがある。
そこで本実施形態によれば、図1、図2、図3に示すように、芯体2の傾斜部2rの内壁面には、複数の第1突出部8Fが溶接または取付具等により固定されて設けられている。第1突出部8Fは、第1ガス通路4の径内方向に突出しており、第1ガスが流れる方向において複数個直列に並設されており、第1ガスと接触する頻度が高い。このため傾斜部2rの過熱が防止され、傾斜部2rの過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制される。殊に、傾斜部2rは第1ガス吹出口41に向かうにつれて中心軸線P2に接近するように傾斜しているため、第1ガスが円錐状の傾斜部2rに接触する頻度が高く、ひいては第1ガス通路4を流れる第1ガスと傾斜部2rの第1突出部8Fとが接触する頻度が高い。このため第1ガスによるガス冷却により芯体2の傾斜部2rの高温過熱が防止され、芯体2の傾斜部2rの高温過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制され、傾斜部2rの破れが抑制される。
更に、第1突出部8Fにより調整剤等の物体が傾斜部2rの内壁面に堆積され易くなることも期待できる。この結果、第1ガスに含まれている調整剤等の物体が芯体2の傾斜部2rの内壁面の母材に直接的に衝突することが抑制される効果も期待できる。よって、芯体2の傾斜部2rの内壁面が摩耗することが抑制される。調整剤等の物体が硬質であっても、傾斜部2rの内壁面の母材が摩耗することが抑制される。ひいては、傾斜部2rの長寿命化および耐久性の向上を図り得る。
殊に、図3に示すように、ランス1の使用時において、第1突出部8Fは芯体2の傾斜部2rの内壁面の下部に位置する。具体的には、第1突出部8Fは第1ガス通路4の中心軸線P3よりも下方に位置するように芯体2の傾斜部2rの内壁面の下部において位置する。このため、重力等の関係で、第1ガスに含まれている調整剤等の物体は、傾斜部2rの内壁面のうち下側の内壁面部分に堆積され易くなる。よって、特に、傾斜部2rの下側における長寿命化および耐久性の向上を図り得る。なお、第1突出部8Fの材質は特に限定されるものではなく、金属やセラミックスを例示できるが、溶接等による取付性を考慮すると、炭素鋼や合金鋼等の金属製が好ましい。
第1突出部8Fの材質は熱伝導性を考慮すると、金属が好ましい。殊に、ランスの使用温度において、芯体2の壁部250の材質よりも硬質であることが好ましい。この場合、合金鋼、焼入鋼、浸炭鋼、浸炭焼入鋼、セラミックスが例示される。場合によっては、第1突出部8Fの材質は、ランスの使用温度において、芯体2の材質と同程度の硬さでも良い。芯体2は、曲成部200と第1直管210と第2直管220とを連結して形成されているが、これ限らず、一体成形品であっても良い。
(実施形態2)
図4は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図4に示すように、芯体2の傾斜部2rの内壁面のうち中心軸線P3よりも下側の下部と、中心軸線P3の上側の上部および側方部には、中心軸線P3を少なくとも1周するように、熱伝導性が良い炭素鋼や合金鋼等の金属製の第1突出部8Fが、溶接または取付具等により固定されて設けられている。第1突出部8Fは、第1ガスが流れる方向(中心軸線P3が延びる方向)において複数個直列に並設されつつ、中心軸線P3回りの周方向においても配置されている。
図4から理解できるように、第1突出部8Fは、第1ガス通路4の径内方向に突出しており、第1ガスが流れる方向において複数個直列に並設されており、第1ガスと接触する頻度が高い。このため傾斜部2rの過熱が防止され、傾斜部2rの過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制される。殊に、傾斜部2rは第1ガス吹出口41に向かうにつれて中心軸線P2に接近するように傾斜しているため、第1ガスと傾斜部2rとが接触する頻度が高い。ひいては第1ガス通路4を流れる第1ガスと傾斜部2rの第1突出部8Fとが熱的に接触する頻度が高い。このため第1ガスによるガス冷却により芯体2の傾斜部2rの高温過熱が抑制され、芯体2の傾斜部2rの高温過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制され、傾斜部2rの破れが抑制される。
更に、本実施形態によれば、第1突出部8Fにより調整剤等の物体が傾斜部2rの内壁面に堆積され易くなる効果も期待できる。この結果、第1ガスに含まれている調整剤等の物体が芯体2の傾斜部2rの内壁面の母材に衝突することが抑制される効果を期待できる。よって、芯体2の傾斜部2rの内壁面が過剰に摩耗することが抑制される。調整剤等の物体が硬質であっても、傾斜部2rの内壁面の母材が摩耗することが抑制される。ひいては、傾斜部2rの長寿命化および耐久性の向上を図り得る。
(実施形態3)
図5は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図5に示すように、芯体2の傾斜部2rの内壁面の下部および上部には、第1突出部を構成するリング体80が溶接または取付具等により固定されて設けられている。リング体80は、第1ガス通路4の中心軸線P3の回りを少なくとも1周するOリング形状をなす。第1突出部を構成するリング体80は、第1ガスが流れる方向(中心軸線P3が延びる方向)において複数個直列に並設されている。リング体80は、第1ガス通路4の径内方向に突出しており、第1ガスが流れる方向において複数個直列に並設されており、第1ガスと接触する頻度が高い。このため傾斜部2rの過熱が防止され、傾斜部2rの過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制される。殊に、傾斜部2rは第1ガス吹出口41に向かうにつれて中心軸線P2に接近するように傾斜しているため、第1ガスと傾斜部2rのリング体80とが熱的に接触する頻度が高い。このため第1ガスによるガス冷却により芯体2の傾斜部2rの高温過熱が抑制され、芯体2の傾斜部2rの高温過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制され、円錐状の傾斜部2rの破れが抑制される。
更に、リング体80により調整剤等の物体が傾斜部2rの内壁面に堆積され易くなることが期待される。この結果、第1ガスに含まれている調整剤等の物体が芯体2の傾斜部2rの内壁面の母材に直接的に衝突することが抑制されることが期待される。よって、芯体2の傾斜部2rの内壁面が摩耗することが抑制される。調整剤等の物体が硬質であっても、傾斜部2rの内壁面の母材が摩耗することが抑制される。ひいては、傾斜部2rの長寿命化および耐久性の向上を図り得る。各リング体80は中心軸線P3の回りを連続して延設されているため、各リング体80と傾斜部2rの内壁面との着座面積および接合面積が増加し、リング体80の取付強度が高められている。リング体80の材質は、ランスの使用温度において、芯体2の壁部250の材質よりも硬質であることが好ましい。この場合、合金鋼、焼入鋼、浸炭鋼、浸炭焼入鋼、セラミックスが例示される。場合によっては、リング体80の材質は、ランスの使用温度において、芯体2の材質と同程度の硬さでも良い。
(実施形態4)
図6は実施形態4を示す。図6(A)は第1突出部を形成するセラミックスまたは金属(曲成部200の材質よりも硬質であることが好ましい)製のリング体80Aを示す。図6(B)に示すリング体80Bの内径および外径は互いに偏芯しており、リング体80Bの下側における突出量HR1は、リング体80Bの上側における突出量HR2よりも大きくされている。この場合、調整剤等の物体は傾斜部2rの下側に堆積され易くなる。よって、傾斜部2rの下側における長寿命化および耐久性の向上を更に高め得る。もちろん、傾斜部2rの上側における長寿命化および耐久性の向上をも高め得る。
図6(C)に示すリング体80Cの内径および外径は互いに偏芯しており、リング体80Cの下側における突出量HR1は大きくされている。リング体80Cは、第1ガス通路4の中心軸線P3の回りを2/3周以上するCリング形状とされている。図6(D)に示すリング体80Dの内径および外径は偏芯しており、リング体80Dの下側における突出量HR1は大きくされている。リング体80Dは、第1ガス通路の中心軸線P3の回りを1/2周以上するCリング形状とされている。図6(E)に示すリング体80Eは円リング形状であり、リング体80Eを形成する線材の断面形状は四角形状とされている。図6(F)に示すリング体80Fを形成する線材の断面形状については、中心軸線P3よりも下側の断面積が相対的に大きく、中心軸線P3よりも上側の断面積が相対的に小さくされている。図6(G)に示すリング体80Gは内周に複数の溝800を有する。ガス通過性を確保しつつ、調整剤等の堆積作用が確保される。
図6(H)に示すリング体80Hは、傾斜部2rで形成される円錐空間に整合するように、円錐形状をなしている。リング体80Hは、芯体2の第1ガス通路4の中心軸線P3の回りを螺旋状に巻回する螺旋リング形状をなす。リング体80Hを第1ガス通路4の中心軸線P3に沿って矢印X1方向に引っ張れば、リング体80Hが縮径するため、傾斜部2rの円錐状の空間に挿入され易くなる。更に、その引張力を解除させれば、リング体80Hが拡径するため、傾斜部2rの内壁面に接触して装着されて仮保持され易くなる。このように螺旋リング形状のリング体80Hを傾斜部2rの内壁面に仮保持した状態で、溶接等によりリング体80Hを傾斜部2rの内壁面に溶接させればよい。螺旋リング形状のリング体80Hの円錐角度は、傾斜部2rの円錐角度に対応する角度とされていることが好ましい。
図6において、リング体80A,80B,80C,80D,80E,80F,80G,80Hの材質は、ランスの使用温度において、芯体2の材質よりも硬質であることが好ましい。この場合、合金鋼、焼入鋼、浸炭鋼、浸炭焼入鋼、セラミックスが例示される。場合によっては、調整剤等の堆積作用を充分に期待できる限り、ランスの使用温度において、芯体2の材質と同程度の硬さでも良い。
(実施形態5)
図7〜図9は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本cには同様の構成、同様の作用効果を有する。芯体2のうち第1ガス通路4に対面する円錐形状の傾斜部2rが設けられている。図7〜図9に示すように、芯体2は、内パイプ51と、外パイプ52と、内パイプ51と外パイプ52との間に形成された第2ガス通路6とを有する。内パイプ51は、エルボで形成された曲成部510と、曲成部510の一端側に溶接または取付具で連接された第1直管520と、曲成部510の他端側に溶接または取付具で連接された第2直管530とを有する。曲成部510は、曲げ内周510iと曲げ外周510pとを有する。
図7に示すように、外パイプ61は、エルボで形成された曲成部610と、曲成部610の一端側に溶接または取付具で連接された第1直管620と、曲成部610の他端側に溶接または取付具で連接された第2直管630とを有する。曲成部610は、曲げ内周610iと曲げ外周610pとを有する。内パイプ51の曲成部510、第1直管520、第2直管530は同じ金属または同種の金属で形成しても良い。あるいは、曲成部510および第2直管530は金属溶湯の高温部分に近くなるので、第1直管520よりも耐熱性が良い金属で形成することができる。曲成部510は摩耗しやすいため、第1直管520および/または第2直管530よりも耐摩耗性が良い材料で形成することもできる。外パイプ61の曲成部610についても同様である。
図7に示すように、芯体2の傾斜部2rの内壁面には、第1ガス通路4の中心軸線P3の回りを1周するリング状の第1突出部8Fが溶接または取付具等により固定されて直列に並設されている。これにより傾斜部2rの内壁面の耐久性を高め得る。
第2ガス通路6の第2ガス吹出口61は、ランス1の先端部12の端面12fにおいて開口する。第2ガス通路6のうち金属溶湯Mと反対側の他端部側には、第2ガスを第2ガス通路6に供給する第2ガス供給口が形成されている。第2ガス供給口は第2ガス供給源600に繋がる。
図7において、第1ガスが金属溶湯に吹き込まれるとき、冷却作用を発揮させる第2ガスが第2ガス通路6に供給され、第2ガスは第2ガス通路6の第2ガス吹出口61から金属溶湯Mに向けて吹き出される。冷却作用をもつ第2ガスが第2ガス通路6を流れるため、先端キャスタブル層322付近を冷却できる。この場合、第2ガス通路6の第2ガス吹出口61付近における保護性を確保できる。更に、第2ガスの冷却作用により金属製の内パイプ51および外パイプ52は冷却される。ひいては内パイプ51および外パイプ52からの伝熱により突出部8F,後述する第2突出部8Xも冷却されるため、突出部8F,8Xの冷却が促進され、突出部8F,8Xの過熱が抑制され、これらの保護性を高め得る。
さてランス1の使用時において、図7に示すように、ランス1の先端部12が金属溶湯Mの内部に浸漬される。この状態で、酸素ガスまたはアルゴンガスからなる第1ガスが第1ガス通路4に供給される。第1ガスは、ランス1の先端部12の端面12fの第1ガス吹出口41から、先端部12の軸線P2に沿って金属溶湯Mに向けて吹き出される。溶鋼等の金属溶湯を処理する脱硫剤、脱燐剤、脱酸剤等の粉末状または固形状の調整剤等の物体が第1ガスと共に金属溶湯に吹き込まれるとき、調整剤等の物体が芯体2の内パイプ51の曲成部510の内壁面に衝突摩擦し、内パイプ51の曲成部510の内壁面が損傷するおそれがある。
そこで本実施形態によれば、図7に示すように、芯体2の内パイプ51の曲成部510の内壁面のうち曲げ外周510p側には、複数個の第2突出部8Xが溶接または取付具等により固定されて設けられている。非リング形状の堰状をなす第2突出部8Xは、第1ガス通路4の中心軸線P3に対面しつつ、中心軸線P3の下側となるように設けられている。第2突出部8Xは、第1ガス通路4の中心軸線P3に沿って所定の間隔を隔てて直列に並設されている。第2突出部8Xは非リング形状に限定されず、リング形状としても良い。このように内パイプ51の曲成部510の内壁面に第2突出部8Xが設けられているため、第1ガス通路4を流れる第1ガスと曲成部510の第2突出部8Xとの接触性が高まり、第1ガスとの熱交換により突出部8Xひいては曲成部510の過熱を抑制でき、曲成部510の過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制され、曲成部510の破れが抑制される。
更に本実施形態によれば、脱硫剤等の調整剤等の物体が曲成部510の内壁面のうち曲げ外周510p側(ランスの使用時において、第1ガス通路4の中心軸線P3)に堆積され易くなる効果も期待できる。この結果、第1ガスに含まれている調整剤等の物体が内パイプ51の曲成部510の内壁面の母材に衝突することが抑制される効果を期待できる。よって、芯体2の内パイプ51の曲成部510の内壁面が摩耗することが抑制される。調整剤等の物体が硬質であっても、曲成部510の内壁面の母材が摩耗することが抑制される。ひいては、曲成部510の内壁面の長寿命化および耐久性の向上を図り得る。
殊に、図7に示すように、ランス1の使用時において、内パイプ51の曲成部510の曲げ内周510iよりも、曲げ外周510pの内壁面は損傷しやすい傾向がある。この点本実施形態では、第1ガス通路4を流れる第1ガスは曲げ外周510pの内壁面に接触し易いため、曲げ外周510pの突出部8Xと効果的に熱交換して曲げ外周510pの過熱を抑制でき、過熱に起因する曲げ外周510pの耐摩耗性の低下が抑制される。更に、第2ガス通路6を流れる第2ガスは曲げ外周610pの内壁面に接触し易いため、曲げ外周610pと効果的に熱交換して曲げ外周610pの過熱を抑制でき、ひいては曲げ外周610pの内側に配置されている曲げ外周510pの内壁面における過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制される。
使用時には、図7に示すように、内パイプ51の曲成部510の曲げ内周510iよりも、曲げ外周510pは下方に位置する。このため、重力等の関係で、調整剤等の物体は曲成部510の曲げ内周510i側よりも、曲げ外周510p側に堆積され易くなることを期待できる。よって、曲成部510の曲げ外周510p側における長寿命化および耐久性の向上を図り得ることを期待できる。なお、内パイプ51の曲成部510のうち第2突出部8Xが設けられている部分の内壁面における内径をDRとし(図7参照)、内径DRを相対表示で100とするとき、内パイプ51の曲成部510の内壁面に対する第2突出部8Xの半径方向の突出量HRとしては、第1ガスの通過性を確保しつつ調整剤等を堆積させる作用が得られる限り、特に限定されるものではないが、0.1〜30の範囲、0.5〜20の範囲、1〜10の範囲、1.5〜5の範囲が例示される。但し、これらに限定されるものではない。但し、突出部8F,8Xの材質は、ランスの使用温度において、芯体2の内パイプ51の材質よりも硬質であることが好ましい。この場合、合金鋼、焼入鋼、浸炭鋼、浸炭焼入鋼、セラミックスが例示される。場合によっては、ランスの使用温度において、芯体2の材質と同程度の硬さでも良い。
(実施形態6)
図10は実施形態6を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。調整剤などの物体は、その材質、サイズなどによっては、遠心力等の影響で、第1ガス通路4内において曲げ外周510pの下流の領域では、曲げ外周510pに沿って流れるおそれがあると考えられる。そこで、図10に示すように、内パイプ51の曲成部510の曲げ外周510pよりも下流の領域においても、即ち、内パイプ51の曲成部510の曲げ外周510pと傾斜部2rとの間の領域においても、換言すると、内パイプ51の曲成部510の曲げ外周510pと第1ガス吹出口41との間の領域においても、堰状をなす第3突出部8XOが第1ガス通路4の径内方向に突出しつつ、間隔を隔てて直列に並設されている。この結果、内パイプ51の曲成部510およびこの下流の領域における過熱を抑制するのに有利となり、過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制される。
更に、調整剤などの物体を第3突出部8XO間に堆積させることができる。この結果、内パイプ51の曲成部510の曲げ外周510pと傾斜部2rとの間の領域においても、耐久性および長寿命化を図り得ることを期待できる。勿論、内パイプ51の曲成部510の曲げ内周510iの下流の領域においても、即ち、内パイプ51の曲成部510の曲げ内周510iと傾斜部2rとの間の領域においても、第3突出部8XOが間隔を隔てて直列に並設されていても良い。なお、図10に示す第3突出部8XOについては、中心軸線P3の回りを巡るOリング状またはCリング形状のリング体としても良い。
(実施形態7)
図11は実施形態7を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。第1ガス通路4の第1ガス吹出口41は偏平化されている。ここで、パイプ状の芯体2は、第1ガス吹出口41の上流において傾斜部2raが中心軸線P3の上側において形成されている。この結果、パイプ状の芯体2は、第1ガス吹出口41付近において偏平化されている。即ち、パイプ状の芯体2のうち第1ガス吹出口41を形成する壁は、真円またはこれに酷似する円形状の下側の円弧壁230と、楕円状に形成された上側の偏平壁240とで形成されている。
第1ガス通路4を流れる第1ガスに含まれている調整剤などの物体は、上側の傾斜部2raに衝突して反射するおそれがある。この場合、芯体2のうち、傾斜部2raに中心軸線P3を介して対向する壁部250(傾斜部2raよりも下側に位置する)が調整剤などの物体により摩耗する確率が増加する。そこで、図11に示すように、芯体2のうち、傾斜部2raに中心軸線P3を介して対向する壁部250に、複数(場合によっては単数でも良い)の突出部8Wが溶接または取付具等で固定されている。本実施形態によれば、図11に示すように、芯体2の曲成部200の内壁面においてリング状の複数個の突出部8X1が並設されている。第1ガス通路4を流れる第1ガスとの接触性が突出部8W,8X1により高くなるため、突出部8W,8X1が設けられている領域における過熱が抑制され、過熱に起因する耐摩耗性の低下が抑制される。更に堆積物による保護性も期待できる。突出部8W,8X1の材質は、ランスの使用温度において、芯体2の壁部250の材質よりも硬質であることが好ましい。場合によっては、突出部8W,8X1の材質は、ランスの使用温度において、芯体2の曲成部200や壁部250の材質と同程度の硬さでも良い。
(実施形態8)
図12(A)(B)は実施形態8を示す。本実施形態は前記した図11に示す実施形態7と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。図12(A)に示すように、第1ガス通路4の第1ガス吹出口41は偏平化されている。ここで、パイプ状の芯体2は、第1ガス吹出口41の上流において傾斜部2raが形成されている。傾斜部2raの内壁面付近に突出部8Fが並設されている。更に、芯体2のうち、傾斜部2raに中心軸線P3を介して対向する壁部250においても、堰状等の複数の突出部8Wが溶接または取付具等で固定されている。本実施形態によれば、図12(A)に示すように、芯体2の曲成部200の内壁面において、リング状の複数個の第2突出部8X1が並設されている。上記した突出部8Wは、芯体2の曲げ外周200pから第1ガス吹出口41に向けて複数個直列に並設されている。調整剤等の粉状、粒状等の物体は、遠心力を伴って曲げ外周200pに沿って流れるおそれがあるためである。第1ガス通路4を流れる第1ガスとの接触性が突出部8F,8W,8X1により高くなるため、芯体2のうち突出部8F,8W,8X1が設けられている壁領域における過熱が抑制される。ひいては、過熱に起因する壁領域の耐摩耗性の低下が抑制される。更に突出部8F,8W,8X1に基づく堆積物による保護性も期待できる。突出部8F,8W,8X1の材質は、ランスの使用温度において、芯体2の壁部250の材質よりも硬質であることが好ましい。この場合、合金鋼、焼入鋼、浸炭鋼、浸炭焼入鋼、セラミックスが例示される。場合によっては、突出部8Wの材質は、ランスの使用温度において、芯体2の曲成部200や壁部250の材質と同程度の硬さでも良い。図12(B)に示す例では、芯体2のうち曲げ外周200pよりも下流の壁領域においては、ほぼ全体にわたり、突出部8F,8Wが形成されている。この場合、芯体2のうち突出部8F,8W,8X1が設けられている壁領域(曲げ外周200pよりも下流の壁領域)における過熱が抑制される。ひいては、過熱に起因する壁領域の耐摩耗性の低下が抑制される。なお、芯体2は1重構造として図示されているが、内パイプと外パイプと両者の間に第2ガス通路とを有する構造としても良い。
(実施形態9)
図13は実施形態9を示す。本実施形態は前記した図9に示す実施形態5と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。図13に示すように、芯体2を構成する内パイプ51のうち傾斜部2rを構成する壁部分510rは、内パイプ51の他の部位よりも硬質の材料で形成されている。具体的には、炭化物および窒化物のうちの少なくとも一方を生成させている炭素鋼または合金鋼で形成されている。炭化物としてはタングステン炭化物、モリブデン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、チタン炭化物、シリコン炭化物、鉄炭化物が例示される。これらの炭化物や窒化物を面積比で0.1〜50%、0.5〜40%、1〜30%が例示される。金属溶湯Mの種類によっては、壁部分510rを浸炭鋼、窒化鋼、浸炭焼入鋼、レーザビーム焼入鋼、高周波誘導電流で加熱して焼入鋼としても良い。内パイプ51のうち傾斜部2rを構成する壁部分510rには、突出部8Fが設けられている。芯体2を流れる第1ガスおよび/または第2ガスの単位時間あたりの流量が多ければ、芯体2の過熱、各突出部の過熱が効率よく抑えられる。
(実施形態10)
図14は実施形態10を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。図14(A)では、芯体2に形成されている第1ガス吹出口41は、水平方向に延びる横長形状とされている。耐火物層3を構成するキャスタブル層32の上部32uの肉厚をWuとし、下部32dの肉厚をWdとすると、WdはWuよりも大きくされている(Wd>Wu)。耐火物層3のうち熱損傷を受けやすい下部32dの耐久性および長寿命化に貢献できる。図14(B)では、芯体2に形成されている第1ガス吹出口41は、耐火物層3を構成するキャスタブル層32の外輪郭は、水平方向に延びる横長形状とされている。耐火物層3を構成するキャスタブル層32の上部32uの肉厚をWuとし、下部32dの肉厚をWdとし、側部32sの肉厚をWsとすると、Wd,WsはWuよりも大きくされている(Wd>Wu,Ws>Wu)。耐火物層3のうち熱損傷を受け易い下部32dおよび側部32sの耐久性および長寿命化に貢献できる。図14(C)では、耐火物層3を構成するキャスタブル層32の外輪郭は、横断面において、重力方向にのびる縦長の形状をなす。耐火物層3を構成するキャスタブル層32の上部32uの肉厚をWuとし、下部32dの肉厚をWdとすると、WdはWuよりも大きくされている(Wd>Wu)。図14(D)では、耐火物層3を構成するキャスタブル層32の外輪郭は、横断面において縦長の形状をなす。耐火物層3を構成するキャスタブル層32の上部32uの肉厚をWuとし、下部32dの肉厚をWdとすると、WdはWuよりも大きくされている(Wd>Wu)。図14(D)では、芯体2に形成されている第1ガス吹出口41は、水平方向に延びる横長なほぼ四角形状をなす。なお、芯体2は内パイプと外パイプとの二重パイプ構造としても良い。
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。芯体2は、曲成部200と第1直管210と第2直管220とを連結して形成されているが、これ限らず、一体成形品であっても良い。内パイプは曲成部と第1直管と第2直管とを連結して形成されているが、これ限らず、一体成形品であっても良い。外パイプは曲成部と第1直管と第2直管とを連結して形成されているが、これに限らず、一体成形品であっても良い。
芯体2の異形状部22は偏平化構造とされているが、これに限らず、円筒パイプ構造でも良い。第1ガス吹出口41は真円形状、横方向に延びる楕円形状、横方に延びる長円形状でも良く、縦方向に延びる楕円形状、縦方に延びる長円形状でも良い。内パイプ51の曲成部510は摩耗しやすいため、第1直管520および/または第2直管530よりも耐摩耗性が良い材料で形成することもできる。耐摩耗性が良い材料としては、炭化物、窒化物などの硬質相を母材に分散させた炭素鋼、合金鋼、焼入鋼等の金属材料、セラミックスで形成しても良い。芯体2の外周に被覆されている耐火物層3はキャスタブル層に限定されず、定形れんがを組み付けて形成しても良い。ランスは曲成部を有するものに限定されず、垂直方向に真っ直ぐ延設されたランス、斜め下方向に延設されたランスでも良い。なお、芯体は1重管構造として図示されている実施形態において、内パイプと外パイプと両者の間に第2ガス通路とを有する2重管構造としても良い。
1はランス、11はランス本体、12は先端部、2は芯体、22は異形状部、3は耐火物層、31は定形れんが部、32はキャスタブル層、4は第1ガス通路、41は第1ガス吹出口、51は内パイプ、52は外パイプ、6は第2ガス通路、61は第2ガス吹出口、8Fは突出部、80はリング体を示す。

Claims (4)

  1. 第1ガスを金属溶湯に向けて吹き出す第1ガス吹出口をもつ第1ガス通路を有する芯体と、前記芯体の外周部に被覆された耐火物層とを具備するランスにおいて、
    前記芯体の先端部は、前記芯体の前記第1ガス通路の中心軸線に沿った断面において、前記第1ガス吹出口に向かうにつれて前記中心軸線に近づくように傾斜する傾斜部をもち、前記傾斜部と前記傾斜部に中心軸線を介して対向する壁部とのうちの少なくとも一方には、前記第1ガス通路の径内方向に突出する単数または複数の突出部が設けられているガス吹き込みランス。
  2. 請求項1において、前記突出部はリング体で形成されており、前記リング体は、前記第1ガス通路の前記中心軸線の回りを1周するOリング形状、前記第1ガス通路の前記中心軸線の回りを1/2周以上するCリング形状、前記第1ガス通路の前記中心軸線の回りを螺旋状に巻回された螺旋リング形状のうちのいずれかをなしていることを特徴とするガス吹き込みランス。
  3. 請求項1または2において、前記芯体は曲成部を有しており、前記曲成部の内壁面には、前記第1ガス通路の径内方向に突出する第2突出部が設けられているガス吹き込みランス。
  4. 請求項1〜3のうちの一項において、前記芯体は、前記第1ガス通路を形成する内パイプと、冷却用ガスを通過させる第2ガス通路を介して前記内パイプの外周側を覆う外パイプとを有するガス吹き込みランス。
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