JP6024223B2 - 精錬用上吹きランス - Google Patents

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Description

本発明は、複数の円管を有するランス本体と、該ランス本体に溶接などで接続される円管状のランスチップと、前記ランス本体と接続し、前記ランスチップの内周面に囲まれるように配置される先端ノズル本体とを有する精錬用上吹きランスに関する。
近年、鉄鋼業では、環境保護の観点から、鉄鋼製造工程におけるCOの排出量の削減が急務となっている。このため、製鋼工程においては、溶銑に投入される鉄スクラップなどの冷鉄源の使用量を増やし、溶融鉄中の溶銑配合率を低下させる試みがなされている。この試みがなされる理由としては、鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCOを排出する一方で、冷鉄源は溶解熱のみを必要としており、製鋼工程で、冷鉄源の使用量を増加させるほど、エネルギー使用量及びCOの発生量を少なくし得ることが挙げられる。
鉄スクラップをより大量に溶銑に溶解させるためには、その溶銑にはより多くの熱余裕が必要となってくる。そこで、熱余裕を高めるために溶銑に昇熱用炭素源を添加し、熱源不足を補うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、昇熱用炭素源を溶銑に添加することは、その昇熱用炭素源に含有される硫黄で溶銑中の硫黄濃度が上昇してしまうという弊害があるため、好ましいとは言えない。このような弊害を避けつつ溶銑の熱余裕を高めるために、精錬用上吹きランスの中心から、粉状精錬剤を溶銑に向けて噴出するとともに、燃料ノズル及び酸素含有ガスノズルにより火炎を発生させ、粉状精錬剤を加熱して溶銑に供給することで熱源不足を補う方法が行なわれてきている(例えば、特許文献2参照)。
図3は、特許文献2に提案されているような、従来技術の上吹きランスが挿入されている転炉を示す断面図である。図3に示すように、上吹きランス1の先端で火炎4を発生させ、粉状の精錬剤5がその火炎を通過するように、精錬剤5を上吹きランス1の先端から転炉3中の溶銑2へ供給する。加熱された精錬剤5によって、鉄スクラップ7が投入された溶銑2の熱源不足を補いつつ、上吹きランス1の横断面において火炎4より外側で、精錬用酸素6を溶銑2に吹き付けて、溶銑2の精錬処理を行なう。
図4は、従来技術の上吹きランスの先端部分を示す断面図である。上吹きランス1は、円管状のランス本体11と、該ランス本体11の下端に溶接などにより接続されたランスチップ12とからなる。ランス本体11は、横断面において中心から、最内円管21と、該最内円管21を囲む仕切り管22と、該仕切り管22を囲む内管23とをこの順に有し、更に、該内管23の外側に、中管24と、外管25と、最外管26と、の同心円形状の鋼管を有している。
最内円管21の内部は、精錬剤5が通過する精錬剤流路31となる。また、最内円管21と仕切り管22との間隙が、燃料が通過する燃料流路32となり、仕切り管22と内管23との間隙が、燃料燃焼用酸素が通過する燃料燃焼用酸素流路33となる。加えて、内管23と中管24との間隙は、精錬用酸素が通過する精錬用酸素流路34となる。中管24と外管25との間隙及び外管25と最外管26との間隙は、上吹きランス1を冷却するための冷却水が通過する給水流路35及び排水流路36となっている。また、給水流路35と排水流路36とをそれぞれ入れ替えてもよい。
ランスチップ12は、精錬剤供給ノズル41と、燃料供給ノズル42と、燃料燃焼用酸素供給ノズル43と、ラバールノズル型の精錬用酸素供給ノズル44と、冷却空間45と、を有する銅鋳物である。このランスチップ12の上端部を形成する円管部がランス本体11の鋼管に溶接などにより接続することで、精錬剤流路31が精錬剤供給ノズル41に、燃料流路32が燃料供給ノズル42に、燃料燃焼用酸素流路33が燃料燃焼用酸素供給ノズル43に、精錬用酸素流路34が精錬用酸素供給ノズル44に、冷却空間45が給水流路35及び排水流路36に、それぞれ連通する。
ランスチップ12の横断面における中心付近に配置されているノズルは、火炎4(図3参照)に近接するため、冷却空間45中の冷却水による冷却を受けにくく、高温による損傷を受け易い。更には、その中心に配置される精錬剤供給ノズル41は、精錬剤5が粉状であるため、摩耗による損傷を受け易い。中心付近のノズルが前述のような損傷を受け、かつ、火炎4から離れた外側に配置されているノズルや冷却空間が健全である場合であっても、ランスチップ12は鋳物であるため、損傷しているノズル部分のみを取り替えるということができず、ランスチップ12の全体を取り替えなければならない問題が生じる。
更には、製鋼工程における操業条件によって、溶銑2に投入される鉄スクラップ7の最適な量は異なるため、火炎4の熱量を変更することが好ましい。火炎4の熱量を変更するためには、燃料の供給量を変更する必要がある。但し、燃料の供給量がそれぞれ異なる複数の操業を行なう場合に、各操業条件下で同じ上吹きランス1を用いると、燃料の供給量が大きい場合には火炎の吹き飛びが懸念され、小さい場合にはスプラッシュがノズルへ飛び込むことが懸念される。このため、燃料の供給量に応じたノズル形状を有する上吹きランス1を用意する必要がある。
異なるノズル形状を有する複数の上吹きランス1を用意するために、次の2通りの方策が考えられる。
1.ノズル形状が異なる複数のランスチップ12を準備し、それらのランスチップ12と同数のランス本体11を準備する。準備した各ランスチップ12と各ランス本体11とを溶接などで接続する。
2.複数のランスチップ12と1つのランス本体11を準備する。操業条件に応じて、複数のランスチップ12の1つを選択し、選択したランスチップ12を1つのランス本体11に溶接などで接続する。
上記1の方策は、複数の上吹きランスを製造するコストが掛かりすぎ、望ましくない。上記2の方策は、ランスチップの取り替え作業を必要とするが、この取り替え作業が煩雑でありかつ長時間掛かるため、望ましくないという問題がある。
特開平9−020913号公報 特開2011−157570号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上吹きランスに既に接続されているランスチップを取り替えずに、ランスチップの横断面の中心付近に配置されているノズル部分を容易に取り替えることを可能とする精錬用上吹きランスを提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)横断面において中心から、精錬剤供給円管、第1の円管、及び、第2の円管を、この順に有するランス本体と、前記第2の円管の先端に接続される円管状のランスチップと、横断面において中心から、前記精錬剤供給円管の先端である精錬剤供給円管先端部に接続されるノズル中心円管、及び、前記第1の円管の先端である第1円管先端部に接続されるノズル外円管を、この順に有する円管状の先端ノズル本体と、を備える上吹きランスであって、前記精錬剤供給円管先端部と前記第1円管先端部とが、前記上吹きランスの先端となる前記ランスチップの先端より奥まった位置に配置されており、前記先端ノズル本体は、前記ノズル外円管が前記ランスチップの内周面に囲まれるように配置され、前記先端ノズル本体が前記ランス本体に着脱可能に接続されることを特徴とする精錬用上吹きランス。
(2)第1のねじ溝が、前記ノズル中心円管の端部であるノズル中心円管接続端部の周面に形成され、第2のねじ溝が、前記精錬剤供給円管先端部の周面に形成されており、前記第1のねじ溝と前記第2のねじ溝とが螺合することで、前記精錬剤供給円管と前記ノズル中心円管とが接続していることを特徴とする上記(1)に記載の精錬用上吹きランス。
(3)第3のねじ溝が、前記ノズル外円管の端部であるノズル外円管接続端部の周面に形成され、第4のねじ溝が、前記第1円管先端部の周面に形成されており、前記第3のねじ溝と前記第4のねじ溝とが螺合することで、前記第1の円管と前記ノズル外円管とが接続していることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の精錬用上吹きランス。
(4)前記ノズル外円管の外周面に、該外周面から前記ランスチップの内周面までの間隔と略同じ長さを有するように放射状にフィンスペーサが複数設けられていることを特徴とする上記(1)ないし上記(3)のいずれかに記載の精錬用上吹きランス。
(5)前記ランス本体と前記先端ノズル本体とが、それぞれ異なる熱膨張率を有することを特徴とする上記(1)ないし上記(4)のいずれかに記載の精錬用上吹きランス。
本発明では、ランスチップの横断面の中心付近に配置される、精錬剤供給ノズルを形成するノズル中心円管と、燃料供給ノズルまたは燃料燃焼用酸素供給ノズルを形成するノズル外円管とを有する先端ノズル本体を、ランス本体に着脱可能に接続して、先端ノズル本体をランス本体に取り付けているので、ランスチップ全体を取り替えることなく、先端ノズル本体をランス本体から取り外し/取り付け可能となる。よって、ノズル損傷時に及び/または燃料の流量の変更時に、先端ノズル本体を交換して、上吹きランスの機能を回復することが容易であり、上吹きランスのノズル形状を、所望に変更することが容易である。
本発明の上吹きランスの先端部分を示す断面図である。 図1のII−II視断面図である。 従来技術の上吹きランスが挿入されている転炉を示す断面図である。 従来技術の上吹きランスの先端部分を示す断面図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明の上吹きランスの先端部分を示す断面図である。下記の実施形態においては、本発明の上吹きランス49の基本的な構成は図4に示したものと同様である。図4に示す上吹きランス1と同様の構成及び部材については、説明を省略しかつ図4と同じ符号で表し、異なる構成及び部材について詳細に説明する。
上吹きランス49は、ランス本体50と、ランスチップ60と、先端ノズル本体70とを備えている。図1においては、各部品を視認し易くするために、ランス本体50の断面を塗り潰しており、ランスチップ60の断面には目の粗いハッチングを付し、先端ノズル本体70の断面には目の細かいハッチングを付している。
ランス本体50は、該ランス本体50の横断面において中心から、精錬剤供給円管51と、該精錬剤供給円管51を囲む仕切り管となる第1の円管52と、第1の円管52を囲む内管となる第2の円管53とをこの順で有しており、更に、第2の円管53の外側に、中管24と、外管25と、最外管26と、の同心円形状の鋼管を有している。
精錬剤供給円管51の内部は、精錬剤5(図3参照)が通過する精錬剤流路31となる。精錬剤供給円管51と第1の円管52との間隙が第1流路54となり、第1の円管52と第2の円管53との間隙が第2流路55となる。第1流路54は、燃料流路32または燃料燃焼用酸素流路33となってもよい。第1流路54が燃料流路32になる場合には、第2流路55は燃料燃焼用酸素流路33となり、また、第1流路54が燃料燃焼用酸素流路33になる場合には、第2流路55は燃料流路32となる。
ランスチップ60は銅鋳物からなり、ランスチップ60の上端部が、第2の円管53の先端と、中管24と外管25と最外管26との先端に溶接などで接続して、ランスチップ60はランス本体50の下端に接続される。
本発明に係るランスチップ60は、従来技術のランスチップ12(図4参照)とは異なり、精錬剤供給円管51と第1の円管52とに接続する部分を有しておらず、ランスチップ60の横断面において、従来技術のランスチップ12でそれらの部分が配置されていた位置に相当するランスチップ中心部分61は中空となっている。図1に示すように、ランスチップ60がランス本体50の下端に接続されているため、ランスチップ60の下端(先端)が上吹きランス49の先端となる。精錬剤供給円管51の先端である精錬剤供給円管先端部56と第1の円管52の先端である第1円管先端部57とは、ランスチップ中心部分61において、精錬剤供給円管51の軸方向に沿ってランスチップ60の先端より奥まった位置に配置されている。
先端ノズル本体70は、横断面において中心から、ノズル中心円管71と、該ノズル中心円管71を囲むノズル外円管72とをこの順に有している。複数の接続部材75は、ノズル中心円管71の外周面に溶接などで設けられている(図2参照)。複数の接続部材75は、ノズル中心円管71とノズル外円管72との中心軸を合わせた状態における、ノズル中心円管71の外周面からノズル外円管72の内周面までの間隔と略同じ長さ(厚み)を有するように、ノズル中心円管71の外周面に放射状に設けられている。ノズル外円管72の内部にノズル中心円管71を挿入すると、複数の接続部材75がノズル外円管72の内周面に当接して、ノズル中心円管71がノズル外円管72に対して位置決めされる。
先端ノズル本体70は、前述の奥まった位置(ランスチップ中心部分61内)へ挿入されて、先端ノズル本体70が、ランスチップ60の内周面であるランスチップ内周面62に囲まれるように配置される。先端ノズル本体70が奥まった位置へ挿入されることで、ノズル中心円管71の端部であるノズル中心円管接続端部73は、精錬剤供給円管先端部56に接触することになり、ノズル外円管72の端部であるノズル外円管接続端部74は、第1円管先端部57に接触することになる。
ノズル中心円管接続端部73の外周面には第1のねじ溝81が形成されており、精錬剤供給円管先端部56の内周面には第2のねじ溝82が形成されている。ノズル中心円管71を回転させながら、精錬剤供給円管51の軸方向に沿って、ランスチップ60の先端から奥の方向へ移動させることで、第1のねじ溝81と第2のねじ溝82とが螺合する。この螺合によって、精錬剤供給円管51とノズル中心円管71とが接続し、先端ノズル本体70をランス本体50に装着する。また、ノズル中心円管71(ノズル先端本体70)を逆回転させながら、精錬剤供給円管51の軸方向に沿って、ランスチップ60を前述の奥まった位置からランスチップ60の先端へ移動させれば、ノズル中心円管71を精錬剤供給円管51から取り外して、ノズル先端本体70をランス本体50から取り外すことが可能である。このようにして、先端ノズル本体70がランス本体50に着脱可能に接続している。第1のねじ溝81と第2のねじ溝82とが嵌合することで、ランス本体50に対する先端ノズル本体70の位置が特定される。
また、ノズル外円管接続端部74の外周面に、第3のねじ溝83が形成されており、第1円管先端部57の内周面には、第4のねじ溝84が形成されている。第1のねじ溝81と第2のねじ溝82とが螺合する場合と同様に、ノズル外円管72(先端ノズル本体70)を回転させながら、精錬剤供給円管51の軸方向に沿って、ランスチップ60の先端から奥の方向へ移動させることで、第3のねじ溝83と第4のねじ溝84とを螺合させる。この螺合によって、ノズル外円管72と第1の円管52とが着脱可能に接続し、先端ノズル本体70をランス本体50に着脱可能に接続させる。第3のねじ溝83と第4のねじ溝84とが嵌合することで、ランス本体50に対する先端ノズル本体70の位置が特定される。
上記の態様では、ノズル中心円管71とノズル外円管72とが接続されておらず、一体になっていないため、第1のねじ溝81と第2のねじ溝82とが螺合するタイミングと第3のねじ溝83と第4のねじ溝84とが螺合するタイミングとを別々にすることが可能である。一方で、ノズル外円管72の内部にノズル中心円管71を挿入した状態で、接続部材75を、ノズル外円管72の内周面に接着剤または溶接などで接着して、ノズル外円管72をノズル中心円管71に対して固定することで、ノズル中心円管71とノズル外円管72とを一体としてもよい。ノズル中心円管71とノズル外円管72とを一体とする場合には、第1のねじ溝81と第2のねじ溝82とが螺合するタイミングと第3のねじ溝83と第4のねじ溝84とが螺合するタイミングとが同時となる。
図1は、第1のねじ溝81と第2のねじ溝82との第1のねじ溝セット、及び、第3のねじ溝83と第4のねじ溝84との第2のねじ溝セットの両方が、ランス本体50と先端ノズル70とに設けられている態様を示しているが、本発明は、この態様に限られず、第1のねじ溝セットを精錬剤供給円管51(ランス本体50)とノズル中心円管71(先端ノズル70)とに設ける一方で、ノズル外円管接続端部74の外周面及び第1円管先端部57の内周面には、第2のねじ溝セットを形成せずに、ノズル外円管接続端部74と第1円管先端部57とを、第1円管52とノズル外円管72とがスライド式で接続可能なような構成にしてもよい。あるいは、第2のねじ溝セットのみを第1円管52(ランス本体50)とノズル外円管72(先端ノズル70)とに設ける一方で、ノズル中心円管接続端部73の外周面及び精錬剤供給円管先端部56の内周面には、第1のねじ溝セットを形成せずに、精錬剤供給円管51とノズル中心円管71とがスライド式で接続可能なように、ノズル中心円管接続端部73及び精錬剤供給円管先端部56を構成してもよい。少なくとも1組のねじ溝セットが嵌り合えば、ランス本体50に対する先端ノズル本体70の位置が特定されることになる。なお、精錬剤供給円管51とノズル中心円管71と、または、第1円管52とノズル外円管72とをスライド式で接続させる場合には、接続部材75を、ノズル外円管72の内周面に接着して、ノズル外円管72をノズル中心円管71に対して固定することが望ましい。
また、図1は、第1のねじ溝81及び第3のねじ溝83が、先端ノズル本体70の鋼管の内周面に形成され、第2のねじ溝82及び第4のねじ溝84が、ランス本体50の鋼管の外周面に形成される態様を示しているが、本発明はこの態様に限られず、第1のねじ溝セット及び第2のねじ溝セットが螺合可能であれば、ねじ溝を、先端ノズル本体70の鋼管の外周面に形成し、ランス本体50の鋼管の内周面に形成してもよい。
ノズル外円管72の外周面には、フィンスペーサ76が溶接などで放射状に複数設けられていることが好ましい。図2は、図1のII−II視断面図である。図1及び図2に示すように、複数のフィンスペーサ76はノズル外円管72の外周面からランスチップ内周面62までの間隔と略同じ長さを有する、すなわち、ノズル外円管72の外周面からランスチップ内周面62までの間隔と略同じ長さ(厚み)を有している。
先端ノズル本体70を奥まった位置に挿入すると、前述の長さを有するフィンスペーサ76によって、ランスチップ内周面62からのノズル中心円管71とノズル外円管72との位置が特定される。このため、ノズル中心円管71の中心軸を、精錬剤供給円管51の中心軸に容易に合わせることが可能となる。よって、取り付け誤差などによって、ノズル中心円管71の中心軸が、精錬剤供給円管51の中心軸に対して傾くことを防ぐことができ、第2流路55の幅をより確実に一定にすることが可能となる。また、フィンスペーサ76を、先端ノズル本体70を回転させる際にトルクを掛ける治具として使用することができ、ランス本体50への先端ノズル本体70の取り付けが容易となる。
図1では、第1のねじ溝81及び第3のねじ溝83は、山切り形状の雄ねじ溝であり、第2のねじ溝82及び第4のねじ溝84は、山切り形状の雌ねじ溝である形態となっているが、第1のねじ溝81と第2のねじ溝82と、及び/または、第3のねじ溝83と第4のねじ溝84とが螺合可能であれば、特にねじ溝の組み合わせ及び形状は限られない。
上記の実施形態では、ランス本体50の材質は鋼であるが、特に限定されるものではない。また、先端ノズル本体70の材質も特に限定されるものではない。しかしながら、ノズル中心円管71及びノズル外円管72は、精錬剤供給円管51及び第1の円管52とは異なる膨張率を有する材質からなることが好ましい。このようにすることで、先端ノズル本体70側の円管に設けられているねじ溝81,83が、ランス本体50側の鋼管に設けられているねじ溝82,84に、より確実に嵌り合うことが可能となる。例えば、ノズル中心円管71が、精錬剤供給円管51より高膨張率の材質からなり、第1のねじ溝81を雄ねじ溝として、第2のねじ溝82を雌ねじ溝とすれば、温度が高くなることでノズル中心円管71が精錬剤供給円管51より膨張して、第1のねじ溝81と第2のねじ溝82とが緊締する。
図2では、4つのフィンスペーサ76はノズル外円管72の外周面に設けられており、各フィンスペーサ76は、周面に沿って等間隔に配置されている形態となっている。しかしながら、本発明では、ランスチップ中心部分61の中空部分へ、先端ノズル本体70を挿入する際に、フィンスペーサ76によって、ランスチップ内周面62からのノズル中心円管71とノズル外円管72との位置を特定し、ノズル中心円管71の中心軸を、精錬剤供給円管51の中心軸に合わせることができれば、フィンスペーサ76の個数及び配置位置は特に限られない。
以上のようにして、先端ノズル本体70をランス本体50に着脱可能に接続するねじ込み式で接続(螺合)することで、ランスチップ60の横断面におけるランスチップ中心部分61に配置される先端ノズル本体70を、ランス本体50に容易に取り付け及び取り外すことが可能となる。これにより、従来技術の上吹きランス1のように、ランスチップを取り替えることなく、損傷しやすい先端ノズル本体を取り替え可能となる。
図4に示す従来技術の上吹きランス1では、ランス本体11にランスチップ12の全体が溶接などにより一体的に接続されているため、ランスチップ12の中心部分のみが損傷したとしても、ランスチップ12の全体をランス本体11から取り外す必要があった。ランスチップ12の全体を取り外して、新たなランスチップ12をランス本体11に取り付けるために200万円程度の費用と3日程度の時間を要していた。一方で、本発明により、ランスチップの中心部分に配置される、損傷しやすいノズルを形成するノズル管(ノズル先端本体)をランスチップとは別の部材として、そのノズル管をランス本体に着脱可能にランス本体に接続することによって、10万円程度の費用と1時間程度の時間で、そのノズル管を取り替えることが可能となった。
1 上吹きランス
2 溶銑
3 転炉
4 火炎
5 精錬剤
6 精錬用酸素
7 鉄スクラップ
11 ランス本体
12 ランスチップ
21 最内円管
22 仕切り管
23 内管
24 中管
25 外管
26 最外管
31 精錬剤流路
32 燃料流路
33 燃料燃焼用酸素流路
34 精錬用酸素流路
35 給水流路
36 排水流路
41 精錬剤供給ノズル
42 燃料供給ノズル
43 燃料燃焼用酸素供給ノズル
44 精錬用酸素供給ノズル
45 冷却空間
49 上吹きランス
50 ランス本体
51 精錬剤供給円管
52 第1の円管
53 第2の円管
54 第1流路
55 第2流路
56 精錬剤供給円管先端部
57 第1円管先端部
60 ランスチップ
61 ランスチップ中心部分
62 ランスチップ内周面
70 先端ノズル本体
71 ノズル中心円管
72 ノズル外円管
73 ノズル中心円管接続端部
74 ノズル外円管接続端部
75 接続部材
76 フィンスペーサ
81 第1のねじ溝
82 第2のねじ溝
83 第3のねじ溝
84 第4のねじ溝

Claims (4)

  1. 横断面において中心から、精錬剤供給円管、第1の円管、及び、第2の円管を、この順に有するランス本体と、
    前記第2の円管の先端に接続される円管状のランスチップと、
    横断面において中心から、前記精錬剤供給円管の先端である精錬剤供給円管先端部に接続されるノズル中心円管、及び、前記第1の円管の先端である第1円管先端部に接続されるノズル外円管を、この順に有する円管状の先端ノズル本体と、を備える上吹きランスであって、
    前記精錬剤供給円管先端部と前記第1円管先端部とが、前記上吹きランスの先端となる前記ランスチップの先端より奥まった位置に配置されており、前記先端ノズル本体は、前記ノズル外円管が前記ランスチップの内周面に囲まれるように配置され、
    前記先端ノズル本体が前記ランス本体に着脱可能に接続され
    前記ノズル外円管の外周面に、該外周面から前記ランスチップの内周面までの間隔と同じ長さを有するように放射状にフィンスペーサが複数設けられていることを特徴とする精錬用上吹きランス。
  2. 第1のねじ溝が、前記ノズル中心円管の端部であるノズル中心円管接続端部の周面に形成され、第2のねじ溝が、前記精錬剤供給円管先端部の周面に形成されており、
    前記第1のねじ溝と前記第2のねじ溝とが螺合することで、前記精錬剤供給円管と前記ノズル中心円管とが接続していることを特徴とする請求項1に記載の精錬用上吹きランス。
  3. 第3のねじ溝が、前記ノズル外円管の端部であるノズル外円管接続端部の周面に形成され、第4のねじ溝が、前記第1円管先端部の周面に形成されており、
    前記第3のねじ溝と前記第4のねじ溝とが螺合することで、前記第1の円管と前記ノズル外円管とが接続していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の精錬用上吹きランス。
  4. 前記ランス本体と前記先端ノズル本体とが、それぞれ異なる熱膨張率を有することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の精錬用上吹きランス。
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