JP2003073727A - 減圧精錬用ランス - Google Patents

減圧精錬用ランス

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JP2003073727A
JP2003073727A JP2001261500A JP2001261500A JP2003073727A JP 2003073727 A JP2003073727 A JP 2003073727A JP 2001261500 A JP2001261500 A JP 2001261500A JP 2001261500 A JP2001261500 A JP 2001261500A JP 2003073727 A JP2003073727 A JP 2003073727A
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oxygen
lance
throat
vacuum
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JP2001261500A
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English (en)
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Mitsuhiro Numata
光裕 沼田
Yoshihiko Higuchi
善彦 樋口
Yukari Tago
ユカリ 田子
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 精錬効率が高く、真空度の影響を受けにくい
減圧精錬用ランスを提供する。 【解決手段】 ランス先端に設けられたノズル2が、内
径dのスロート部3と、スロート部のノズル先端側に内
径Dおよび長さLの拡大部5とを有し、スロート部と拡
大部との境界段差部分には、スロート部先端に対してノ
ズル先端とは逆方向に窪む深さhの溝4を有する。d、
D、h、Lは下記(1) 〜(3) 式により表される条件を満
足するのが望ましい。 0.1D≦d≦0.4D ……(1) 0.1(D-d)≦h≦1.0(D-d) ……(2) 1.0d≦L≦5.0d ……(3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、減圧精錬装置を用
いて減圧下で溶鋼に精錬用ガスを上吹きし、溶鋼を精錬
するための減圧精錬用ランスに関する。
【0002】
【従来の技術】溶鋼の減圧精錬の方法としてVOD法、
RH法等がある。これらの方法では、減圧精錬を行う際
に酸素ガスを溶鋼表面に吹き付け、脱炭処理や溶鋼温度
を上昇させる処理が行われている。脱炭処理では酸素ガ
スと溶鋼中Cが反応し、COガスとなってCが溶鋼から
離脱する反応を利用しており、溶鋼温度上昇処理では溶
鋼中AlあるいはSiなどが酸素ガスと反応する際に生
じる酸化反応熱を利用している。
【0003】これらの脱炭処理、溶鋼温度上昇処理を効
率よく行えば、処理時間短縮、酸素使用量削減など、精
錬コストが大幅に低減されるため、減圧下での精錬効率
を向上させる技術が必要とされてきた。
【0004】減圧下で上吹き酸素ガスと溶鋼とを効率よ
く反応させるには、上吹きランスから吐出する酸素流ジ
ェットの形状を最適化することが重要とされ、これまで
に多数の技術が検討されてきた。
【0005】特開平4−59913号公報にはラバール
型ノズルのランス(以下、ラバールノズルという)を用
い、真空度等を制御しつつ、酸素ガスをマッハ数以上ま
たは未満となるように上吹きする方法が開示されてい
る。この方法により、脱炭効率が向上するとしている。
【0006】特開平11−158530号公報には、ガ
ス流路に段部を設けた流路拡大部を有するノズルが開示
されている。このノズルを用いることにより、スプラッ
シュやダストを低減できるとともに精錬効率が向上する
としている。
【0007】特開平11−158529号公報にはノズ
ル中間位置に空洞部を設ける技術が開示されている。こ
の技術によりダストやスプラッシュを抑制できるととも
に、脱炭酸素効率が向上するとしている。
【0008】特開2000−54016号公報ではノズ
ル部にスロート部とこれに続く断面積拡大部を有するラ
ンスにおいて、断面積拡大部寸法を最適化することによ
りダスト低減と2次燃焼率の向上ができるとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術はノズ
ル形状を変化させることで、ジェットの形状を制御し、
各種精錬効果を向上させるものである。これらの技術に
より、各種精錬効果の向上が図られてきたが、以下の問
題がある。
【0010】第一に、これら従来のノズルでは減圧下で
二次燃焼率の向上やダストの低減には一定の効果がある
ものの、減圧下での精錬効率を十分に高めることができ
ない。例えば、ラバールノズルを用いた場合の酸素効率
(投入酸素量に対する反応酸素量の比。詳細は後述)は
約60%であり、前記特開平11−158530号公報
に開示された技術でもほぼ同様の酸素効率である。酸素
による精錬効率が低い場合、総処理時間延長に伴うコス
ト悪化に加え、反応に寄与できなかった酸素がスラグ中
FeO,MnOとなり品質を悪化させるという問題が生
じる。
【0011】第二に、従来のノズルでは減圧精錬装置の
真空槽内の雰囲気圧力(以下、真空度ともいう)の影響
を強く受けるという問題がある。一般に減圧下では、ノ
ズル先端から吐出したガス流はノズル前圧と雰囲気圧力
との圧力差により急激に膨張する。この膨張状態が不適
正であれば、有効なジェットとならず、溶鋼表面に十分
に到達できない。そのため、ラバールノズルなどの従来
のノズルでは、設計値の範囲でのガス流量、ガス供給圧
力、真空度のもとで、ジェットが適正膨張となり、最高
の性能が発揮されるようにノズル形状が設計されてい
る。しかし、真空度が変化すると酸素ガス流が大きく変
化し、これにともなって、精錬効率が低下する。
【0012】このように、従来のノズルは真空度が変化
するとその性能が変化するため、真空度一定の条件で用
いなければならないが、実際の操業では設備状況、使用
回数、精錬目的等に応じて真空度が処理毎に異なる。こ
のような場合、処理毎の真空度の差が精錬効率のばらつ
きとなり、操業が不安定となるだけではなく、製品品質
も安定しない。また、特開平4−59913号公報に開
示された技術では真空度に応じた変更が可能であるが、
この場合でも酸素流量または供給圧力を真空度に応じて
その都度変更しなければならず、実際の操業での対応は
困難である。
【0013】前記の問題を解決すべく、本発明の課題
は、精錬効率が高く、真空度の影響を受けにくい減圧精
錬用ランスを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず精錬
効率を向上させる方法を検討した。ここでは、溶鋼温度
を上昇させる処理における酸素ガスと溶鋼中Alとの反
応を例に説明する。
【0015】溶鋼中で酸素とAlとを反応させるには、
その前段階として酸素ガスを効率的に溶鋼に吸収させな
ければならない。溶鋼中での酸素とAlの化学反応速度
は速いので、本発明者らは酸素ガスの溶鋼への吸収速度
を高めることができれば、精錬反応全体を加速させ、高
い精錬効率が得られると考えた。酸素吸収速度は、溶鋼
の界面における気相の酸素分圧と、溶鋼・気相間の接触
界面の面積(以下、界面積ともいう)とで決定される。
すなわち、酸素吸収速度=吸収速度定数×界面積×(気
相の酸素分圧−溶鋼中酸素濃度と平衡する酸素分圧)
……(4)である。
【0016】気相の酸素分圧は、真空槽の真空度とガス
ジェットの強さ(動圧)に依存し、界面積はジェット形
状に依存する。ガス流量、ガス元圧力が一定であれば、
ガスジェットの強さ(動圧)とその形状はノズル形状に
依存するため、適正な動圧と界面積を得られるノズル形
状を検討した。その結果、ジェットの広がりをある程度
抑制し、同時に著しい動圧低下も抑制することが可能な
ノズルとして、スロート部出口の周囲に、ノズル先端方
向とは逆方向に窪む溝を有し、スロート部の前方には、
内径一定の拡大部を有する形式のノズルを想到した。以
下にこのノズル形状を想到するに至った経緯、およびそ
の基本的な考え方を説明する。
【0017】図1は、各種のノズル形状を模式的に示す
縦断面図であり、同図(a) は、本発明に係るノズル、同
図(b) はラバールノズル、同図(c) は特開2000−5
4016号公報に開示されたノズル(以下、2段ノズル
という)、同図(d) はストレートノズルである。同図に
おいて、符号1はランス、2はノズル、3はスロート
部、4は溝、5は拡大部、6はジェット、7は旋回流で
ある。同図(a) の本発明に係るノズルにおいて、溝4は
断面が直角三角形状の例を示している。また、部位およ
び形状の類似性から便宜的に、同図(b) において、最狭
部をスロート部3およびノズル出口の円錐状に拡大する
部分を拡大部5と符号を付し、同図(c) において、最狭
部をスロート部3およびノズル出口の一定内径の部分を
拡大部5と符号を付している。ジェット6および旋回流
7については後述する。
【0018】図2は、図1に示す各種のノズルを用いた
ときの、ジェットの半径方向の動圧分布を示すグラフで
ある。図2に示す試験の条件は以下のとおりである。本
発明に係るノズルの各部寸法は、スロート部内径:d=
3mm、スロート部の溝の形状:直角三角形型(図1
(a) と同様の形状)、溝深さ:h=2mm、拡大部内
径:D=9mm、拡大部長さ:L=6mm、である。ラ
バールノズルは、スロート部内径:3mm、拡大部出口
径:6mmおよび拡大部長さ10mmである。2段ノズ
ルは、スロート部内径:3mm、拡大部内径:5mmお
よび拡大部長さ6mmである。ストレートノズルの内径
は3mm、ストレート部の長さは10mmである。
【0019】酸素流量は各ノズルとも、400l(標準
状態)/min、雰囲気圧力6000Paとし、動圧分
布は、ノズル先端から300mmの位置で測定した。図
2に示すように、ラバールノズルは動圧、特に中心動圧
が高く、ジェットの広がりが小さい。このことは強く直
進性のよいジェットが形成されており、溶鋼に強く細い
酸素ジェットが接触することを意味する。すなわち、溶
鋼表面での圧力は高いが、界面積は狭い。一方、ストレ
ートノズルはラバールノズルと逆の傾向であり、全体に
動圧が低いが、ジェットは広がっている。つまり、溶鋼
表面での圧力は低いが界面積は広い。本発明に係るノズ
ルではこの中間の分布となっている。また、2段ノズル
は、本発明によるノズルと、ストレートノズルとの中間
で、ややストレートノズルに近い特性である。
【0020】この原因は以下のように考えられる。ラバ
ールノズルはよく知られているように、適正な設計と使
用条件が満足されていれば、ジェットは適正膨張とな
り、圧損もなく直進性のよいジェットが得られる。逆
に、ストレートノズルは過度の不足膨張、マッハディス
ク形成等により動圧が低下し、ジェットも広がる。
【0021】図1(a) に示すように、本発明に係るノズ
ル形状の場合、スロート部を出たところでやはりジェッ
ト6は広がる。しかし、これらのノズルの場合、スロー
ト部出口と拡大部の側壁で形成される空間にガス旋回流
7が生じる。このガス旋回流の存在でジェットの過度の
不足膨張が抑制されるため、動圧の著しい低下を招くこ
となくジェットを広げることができると考えられる。す
なわち、本発明のノズルでは、ラバールノズル、ストレ
ートノズルで用いる固体壁のかわりに、ガス旋回流によ
る壁を形成して、適正なジェット膨張を発生させ、動圧
と界面積の両者を確保しようとするものである。
【0022】2段ノズルにおいても、本発明に係るノズ
ルと同様にスロート部出口と拡大部の側壁で形成される
空間にガス旋回流7が生じる。本発明の溝を有するノズ
ルと、2段ノズルを比較した場合、前者の方が、ガス旋
回流の生じる領域が後方(ジェット流の進行方向とは逆
方向)に移り、かつ大きくなると考えられる。このガス
旋回流が、精錬効率に及ぼす影響を確認するため、溶鋼
を用いた減圧下での酸素上吹き実験を行った。
【0023】実験は溶鋼1500kg(温度1873
K)にAlを添加し、雰囲気圧力:5332Paのもと
で、Ar−酸素混合ガス(酸素5vol%)を400l
(標準状態)/minで溶鋼表面に吹き付け、溶鋼中A
l濃度の低下を測定した。
【0024】精錬効率の評価は下記(5) 式を用いた。な
お、溶鋼中Alと反応した酸素モル数は溶鋼中Al濃度
の低下量から算定した。
【0025】
【数1】
【0026】図3は、各種のノズルを用いたときの酸素
効率を比較するグラフである。同図に示すように、ラバ
ールノズル(スロート径:3mm、出口径:6mm、ノ
ズル長さ:10mm)は、比較的高い64%の酸素効率
が得られている。一方、ストレートノズル(出口径3m
m)の酸素効率はラバールノズルよりも16%低くなっ
た。しかし、図2に示すように、ストレートノズルは、
減圧下では強い不足膨張となり中心動圧がラバールノズ
ルの場合の1/5程度となることに比べて、酸素効率の
低下はそれほど大きくない。この原因は下記のように考
えられる。
【0027】ラバールノズルによるジェットは中心部で
動圧が高く、溶鋼・気相間界面での酸素分圧が高くな
り、ジェットと溶鋼と接触する部分の酸素吸収速度は速
い。しかし、ジェットが細いため溶鋼・気相間の界面積
が小さい。従って、界面の酸素分圧は高いが界面積が小
さいため、溶鋼全体の酸素吸収速度はあまり速くならな
い。一方、ストレートノズルは動圧は低いが、ジェット
が広がっているため、溶鋼・気相間の界面積が広い。こ
のため、界面での酸素分圧は低いが、界面積が大きいの
で酸素吸収速度はあまり低下しない。
【0028】一方、本発明に係るノズルでは高い酸素効
率が得られた。これは、本発明に係るノズルは、中心動
圧がラバールノズルよりも低いがストレートノズルより
も高く、界面積はラバールノズルより広く、ストレート
ノズルより狭いという関係になっている。
【0029】ここで、(4) 式を参照すると、(a) ラバー
ルノズルは右辺第3項が大きく、第2項が小さい、(b)
ストレートノズルは右辺第2項が大きく第3項が小さ
い、そして、第2、3項の積で示される酸素吸収速度は
あまり大きくならないと考えられ、(c) 本発明に係るノ
ズルは第3項を極端に小さくなく、第2項が大きいこと
により、酸素吸収速度がラバールノズルやストレートノ
ズルよりも大きくなっているものと考えられ、(d) 2段
ノズルは、図2の動圧の関係から、ストレートノズルに
近い特性と推定され、やはり、右辺第2項が大きく第3
項が小さい、と考えられる。
【0030】この関係を整理するために、図2から得ら
れる{(中心動圧kPa)×(中心から動圧0になる位
置までの距離の二乗mm2)×π}で比較すると、それ
ぞれラバールノズルは8842、ストレートノズルは8
478、2段ノズルは8575、本発明に係るノズルは
13933となる。すなわち、本発明に係るノズルを用
いると、酸素はより速く溶鋼に吸収されることがわか
る。
【0031】ところで、前述したように真空度が変化し
た場合、従来は別のノズルを用いる必要があった。しか
し、本発明ではガス旋回流の壁を用いるため、真空度に
応じてガス旋回流形状が変化する、すなわち見かけのノ
ズル形状が変化するため、適正な形状を用いれば、同一
ノズルで広範囲の真空度で使用できると考えた。そこ
で、本発明に係るノズルの溝の形状を変化させ、そのと
きの酸素効率を測定した。このノズルは、図1(a) に示
すように、溝4はスロート部3の先端の周囲に設けられ
ており、溝の形状は断面が直角三角形となっており、そ
の一辺は拡大部5の延長線となっている。溝の深さhを
種々変えたノズルを用意し、試験を行った。
【0032】図4、および図5は種々のノズルの溝の深
さに対する酸素効率の関係を示すグラフである。図4は
真空度が5332Paの場合であり、図5は真空度が6
65Paの場合である。図4、および図5において、横
軸は、深さと、拡大部径とスロート部径の差との比(以
下、深さ指数という)h/(D−d)で表している。こ
の値が0の場合は2段ノズルに相当し、0.5の場合、
スロート部先端周りの円錐の傾斜角が45°となる。
【0033】図4および図5に示すように、溝の深さに
よらず、本発明に係るノズルはラバールノズル以上の酸
素効率が得られているが、深さ指数:h/(D−d)が
0.1〜1.0の場合、真空度によらず、さらに高い酸
素効率が得られることがわかる。
【0034】図6は、溝の深さ指数を一定(h/(D−
d)=0.33)として真空度を変化させた場合の酸素
効率を示すグラフである。同図に示すように、ラバール
ノズルおよびストレートノズルは真空度の設計値である
6000Pa付近で最も高い酸素効率を示すが、真空度
が変化すると酸素効率が低下するのに対し、本発明によ
るノズルは広範囲の真空度において酸素効率が高く維持
されることがわかる。
【0035】図7は、各種ノズルの動圧と真空度との関
係を示すグラフである。同図はジェットの中心動圧を示
すが、ラバールノズル、ストレートノズルともに真空度
の変化によって中心動圧が大きく変化し、結果として精
錬効率が低下することを示している。
【0036】一方、本発明に係るノズルは、真空度が変
化しても中心動圧に大きな変化が生じない。したがっ
て、図6に示すように真空度が変化しても精錬効率が著
しく低下することはない。
【0037】図8は、スロート部の内径と拡大部の内径
との比:d/Dに対する酸素効率の関係を示すグラフで
ある。同図は、本発明に係るノズルの溝深さ指数を{h
/(D−d)}=0.33としd/Dを変化させた場合
の酸素効率を示す。真空度は6000Paとした。
【0038】同図に示すように、d/Dが0.1未満の
場合ならびに0.4を越えて高い場合、本発明の効果が
若干小さくなる。これは、d/Dが0.1未満の場合は
スロート部径に比較して拡大部径が大きすぎるため、溝
〜拡大部壁にわたる旋回流が形成できない、または、
0.4を越えて高い場合は旋回流が小さくなりすぎ、過
度の不足膨張が発生するためである。
【0039】図9は、拡大部の長さLとスロート部内径
dの比に対する酸素効率の関係を示すグラフである。同
図において、本発明に係るノズルの溝深さ指数を0.3
3、d/Dを2.0、真空度を6000Paとして、L
/dを変化させた。同図に示すように、L/dが1.0
〜5.0の範囲で酸素効率が高いことがわかる。これ
は、L/dが1.0未満であると(拡大部の長さが小さ
いと)、ストレートノズルと同等となり旋回流が十分に
形成されず、L/dが5.0を超えると、ガスジェット
が拡大部に過度に拘束され、ストレートノズルと同様に
拡大部出口で過度の不足膨張が発生するためである。
【0040】本発明は上記の知見に基づいて完成したも
のであり、その要旨は以下の(1) および(2) にある。 (1) 減圧下で溶鋼に精錬用ガスを上吹きするための減圧
精錬用ランスであって、ランス先端に設けられたノズル
が、スロート部と、スロート部のノズル先端側にスロー
ト部の内径より大きな内径を有する拡大部とを有し、ス
ロート部と拡大部との境界段差部分には、スロート部先
端に対してノズル先端とは逆方向に窪む溝を有すること
を特徴とする減圧精錬用ランス。
【0041】(2) スロート部の内径をd、拡大部の内径
をD、拡大部の長さをL、溝の窪みの深さをhとすると
き、d、D、Lおよびhが下記(1) 〜(3) 式で表される
条件を満足することを特徴とする前記(1) 項に記載の減
圧精錬用ランス。
【0042】 0.1D≦d≦0.4D ……(1) 0.1(D-d)≦h≦1.0(D-d) ……(2) 1.0d≦L≦5.0d ……(3)
【0043】
【発明の実施の形態】本発明に係るノズルのスロート部
長さは、スロート部径dに対して、0.7d〜3.0d
とするのが望ましい。0.7d未満であると、スロート
部出口の流線が乱れ、圧損が大きくなる。一方、3.0
dを超えて大きいと、流線の整流効果が飽和するととも
にスロート部での圧損が増大する。
【0044】本発明に係るノズルのスロート部の入側の
傾斜部の角度α(図1(a) 参照)は100〜140°と
するのが望ましい。100°未満の場合、流線が乱れ、
圧損が大きくなり、140°を超えると、ノズル部全体
の長さが過度に長くなって、ノズル部の製作費が増大
し、圧損が大きくなる。
【0045】本発明に係るノズルのスロート部径dと拡
大部径Dの関係は、前述のように、0.1D≦d≦0.
4Dとするが、好ましくは0.25D≦d≦0.35D
とするのがよい。
【0046】本発明に係るノズルの溝の深さhは前述の
ように、0.1(D−d)≦h≦1.0(D−d)とす
るが、好ましくは、0.25(D−d)≦h≦0.87
(D−d)とするのがよい。溝の形状は特定しないが、
縦断面図形状として直角三角形、台形、山形、円弧状等
が例示される。
【0047】図10は、本発明に係るノズルの溝の実施
形態を模式的に示す縦断面図であり、同図(a) は直角三
角形型、同図(b) は台形型、同図(c) は山形、同図(d)
は円弧型(一般的に曲線弧)である。製作の容易さの点
では、直角三角形型、台形型、山形が好ましく、旋回流
による圧損が少ないと言う観点からは、円弧型が好まし
い。
【0048】本発明に係るノズルの拡大部の長さLは、
前述のように、1.0d≦L≦5.0dとするが、好ま
しくは1.5d≦L≦3.0dとするのがよい。本発明
によるノズルを有するランス(以下、本発明ランスとい
う)を用いた精錬操業の実施形態をRH式減圧精錬装置
で用いる場合を例に説明する。ただし、上述した試験
は、実際のプロセスの約1/10のスケールモデル実験
であり、以下では実際のプロセスを想定したスケールで
の説明を行う。
【0049】転炉で脱炭等の処理を施した溶鋼を出鋼
し、これをRH式減圧精錬装置の真空槽内で公知の方法
により精錬する。減圧精錬装置の真空槽内に本発明ラン
スを設置し、溶鋼表面に酸素ガスを吹き付ける。吹き付
ける角度は垂直が望ましいが、溶鋼面に対する角度が6
0〜90°の範囲であってもよい。
【0050】ガス流量Vm3(標準状態)/minについ
ては、スロート部径d(m)との比V/dが600〜1
700の範囲になるようにするが望ましい。V/dが6
00未満となると十分に動圧を上昇させることができ
ず、1700を超えて高いと動圧が高くなりすぎスプラ
ッシュの多量発生等により操業が阻害される場合があ
る。
【0051】ガスを吹き付ける溶鋼表面とランス下端と
の距離は1.5〜5mが望ましい。1.5m未満ではラ
ンスと湯面が近すぎ、界面積が小さくなる。また5mを
超えて高いと界面積が広くなりすぎ、ジェットが真空槽
側壁耐火物に直接当たり、耐火物を劣化させる場合があ
る。
【0052】Alを用いて溶鋼温度を上昇させる場合
は、目標温度に応じた量のAlを添加し、本発明ランス
を用いて酸素を吹き付ければよい。Al添加は酸素吹き
付け前に行ってもよいし、酸素吹き付け中、あるいは吹
き付け中に断続的に実施してもよい。
【0053】本発明ランスは溶鋼または溶鉄への酸素吸
収速度を大きくすることが特徴であるため、真空脱炭時
の酸素付与、Al以外の脱酸元素を用いた昇温、不純物
の酸化除去、溶鋼中酸素濃度アップ、など酸素ガスを吹
き付ける全ての精錬で用いることができる。このとき、
本発明によるランスは真空度の影響を大きく受けず、高
真空下(真空槽の雰囲気圧力をより低くした場合)での
酸素吹き付けも可能なため、より高速でC濃度を減じる
ことが可能となる。
【0054】本発明のランスは、酸素の吹き付けに用い
るほか、アルゴンガス、水素ガス、窒素ガスまたはこれ
らのガスおよび酸素ガスを含めた混合ガスの吹き付けに
用いてもよい。
【0055】また、上記のように、本発明のランスは、
ランス先端に単孔のノズルを設けた場合を例に説明した
が、2以上のノズルを設けた多孔ランスとしてもよい。
【0056】
【実施例】転炉で脱炭した溶鋼250tを取鍋内に出鋼
し、取鍋をRH式減圧精錬装置に移動する。
【0057】RH装置の真空槽を減圧し溶鋼を環流さ
せ、溶鋼に金属Alを添加し、溶鋼中Al濃度を0.0
7〜0.095%に調整した。Al濃度調整後、精錬ラ
ンスを用いて酸素ガスを42m3(標準状態)/min
で吹き付けた。吹き付け総酸素量は400m3(標準状
態)とし、ランス下端と真空槽内溶鋼表面との距離は3
mとした。
【0058】試験に用いたノズルの種類はスロート径
0.03m、出口径0.06mのラバールノズル、出口
径0.03mのストレートノズル、ならびに本発明によ
るノズルの3種類とし、本発明のノズルは図1(a) に示
す形状のノズルであって、d=0.03m、D=0.0
9m、L=0.06mである。
【0059】表1に試験の方法と、結果を示す。表1に
示すように、ラバールノズルまたはストレートノズルに
比較して本発明に係るノズルは高い酸素効率となった。
また、ラバールノズルまたはストレートノズルでは高真
空度および低真空度で効率が低下したのに対し、本発明
に係るノズルは真空度によらず安定して高い酸素効率を
示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】本発明に係るノズルを有するランスを使
用することにより、精錬効率が向上し、真空度の影響を
受けにくい減圧精錬を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種のノズル形状を模式的に示す縦断面図であ
り、同図(a) は、本発明に係るノズル、同図(b) はラバ
ールノズル、同図(c) は特開2000−54016号公
報に開示されたノズル、同図(d) はストレートノズルで
ある。
【図2】各種のノズルを用いたときの、ジェットの半径
方向の動圧分布を示すグラフである。
【図3】各種のノズルを用いたときの酸素効率を比較す
るグラフである。
【図4】真空度5332Paにおいて、種々のノズルの
溝の深さに対する酸素効率の関係を示すグラフである。
【図5】真空度665Paにおいて、種々のノズルの溝
の深さに対する酸素効率の関係を示すグラフである。
【図6】各種ノズルについて真空度を変化させた場合の
酸素効率を示すグラフである。
【図7】各種ノズルの動圧と真空度との関係を示すグラ
フである。
【図8】スロート部の内径と拡大部の内径の比に対する
酸素効率の関係を示すグラフである。
【図9】拡大部の長さとスロート部内径の比に対する酸
素効率の関係を示すグラフである。
【図10】本発明に係るノズルの溝の実施形態を模式的
に示す縦断面図であり、同図(a)は直角三角形型、同図
(b) は台形型、同図(c) は山形、同図(d) は円弧型であ
る。
【符号の説明】
1:ランス 2:ノズル 3:スロート部 4:溝 5:拡大部 6:ジェット 7:旋回流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田子 ユカリ 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA10 GB03 4K013 BA02 CA04 CA12 CC04 CE01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧下で溶鋼に精錬用ガスを上吹きする
    ための減圧精錬用ランスであって、ランス先端に設けら
    れたノズルが、スロート部と、スロート部のノズル先端
    側にスロート部の内径より大きな内径を有する拡大部と
    を有し、スロート部と拡大部との境界段差部分には、ス
    ロート部先端に対してノズル先端とは逆方向に窪む溝を
    有することを特徴とする減圧精錬用ランス。
  2. 【請求項2】 スロート部の内径をd、拡大部の内径を
    D、拡大部の長さをL、溝の窪みの深さをhとすると
    き、d、D、Lおよびhが下記(1) 〜(3) 式で表される
    条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の減圧
    精錬用ランス。 0.1D≦d≦0.4D ……(1) 0.1(D-d)≦h≦1.0(D-d) ……(2) 1.0d≦L≦5.0d ……(3)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011241444A (ja) * 2010-05-18 2011-12-01 Tokyo Yogyo Co Ltd ガス吹き込みランス
JP2019167561A (ja) * 2018-03-22 2019-10-03 日本製鉄株式会社 溶鋼の昇温方法

Cited By (3)

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JP2011241444A (ja) * 2010-05-18 2011-12-01 Tokyo Yogyo Co Ltd ガス吹き込みランス
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JP7043915B2 (ja) 2018-03-22 2022-03-30 日本製鉄株式会社 溶鋼の昇温方法

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