JP2011224817A - 感熱記録材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料及び顕色剤を含有するアンダー層が形成された支持体の前記アンダー層上に、ロイコ染料を含有する染料層と、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する保護層とが、カーテン塗工法による同時塗工により形成されることを特徴とする感熱記録材料など。
【選択図】なし
Description
感熱記録材料は、印字前は感熱記録層の地肌の白さが求められ、印字に関しては、速やかに高濃度に発色したり、発色した画像及び地肌は堅牢性の高いものが要望されている。最近では、2次元バーコード等に感熱記録材料が使用され、高い精細性(ドット再現性)が求められてもいる。
しかし、これらの発明では、均一な中間層を形成することが難しく表面が不均一となり易いため、形成画像に精細性(ドット再現性)が乏しいという問題があった。更に、上記微小中空粒子の隔壁素材としてスチレン−アクリル樹脂及びポリスチレン樹脂を用いたり(特許文献4)、中空率30%以上の非発泡性微小中空粒子を主成分とした中間層を設ける発明(特許文献5)も提案されている。これらの発明でも中空率が低いため、充分な断熱効果が得られず、現在求められつつある高感度感熱記録材料を得るには至っていない。
更に近年、ラベルや領収書等の記録画像の信頼性が重視される分野で、感熱記録材料が多量に使用されるようになっている。また食品に含まれる水及び酸性物質、包装に使用される有機高分子材料に含まれる可塑剤や油脂類等に対しても安定性の高い感熱記録材料が要望されている。
しかしながら、高速塗工が可能で、印刷適正やヘッドマッチング特性に優れた感熱記録材料については何も記載されていない。
前記染料層および前記保護層がカーテン塗工法により同時塗工されて、発色に関与するロイコ染料と顕色剤が層分離した状態が形成され、同一層内にロイコ染料と顕色剤が存在するよりも地肌カブリがなく、白色度が向上する。また、顕色剤がアンダー層に存在することで、熱溶融後、アンダー層のフィラーとも混ざりやすくなり、画像形成後の画像保存性も良好になることを知見した。
1)顔料及び顕色剤を含有するアンダー層が形成された支持体の前記アンダー層上に、ロイコ染料を含有する染料層と、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する保護層とが、カーテン塗工法によって同時塗工されて形成されることを特徴とする感熱記録材料。
2)前記アンダー層中の顔料が、熱可塑性中空樹脂粒子である前記1)に記載の感熱記録材料。
3)前記アンダー層中の顕色剤の添加量が、前記染料層中のロイコ染料に対して、1.0〜6.0重量部であることを特徴とする前記1)または2)に記載の感熱記録材料。
4)前記アンダー層の塗布量が2.0〜7.5g/m2であることを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載の感熱記録材料。
5)前記染料層中のロイコ染料の粒子径がメディアンで0.30μm以下であることを特徴とする前記1)〜4)のいずれかに記載の感熱記録材料。
6)前記保護層と前記染料層との間に、水溶性樹脂及び架橋剤を含有する中間層を設けることを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載の感熱記録材料。
7)顔料及び顕色剤を含有するアンダー層が形成された支持体上に、ロイコ染料を含有する染料層と、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する保護層とを、カーテン塗工法によって同時塗工することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
本発明では、たとえば顔料及び顕色剤を含有するアンダー層をブレード塗工された支持体のアンダー層上に、ロイコ染料を含有する染料層と、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する保護層を、カーテン塗工法により同時塗布(好ましくは同時に重ねて塗工する同時塗布法)により形成する。これにより、工数低減、設備導入コスト低減、多層化が容易なため、各層を機能分離できる。
カーテン塗工で使用される塗布液のB型粘度計の25℃における粘度は、100〜500mPa・sが好ましく、特に150〜400mPa・sが好ましい。塗布液の粘度が100mPa・sよりも低くなると、各塗布液が交じり合い、感度低下等を引き起こす。また、粘度が500mPa・sよりも高くなると、カーテンノズルのエッジガイド近傍と中央部との流速差が発生し、塗布端部の付着量が増え、盛り上がり現象が発生する。
アンダー層は、染料層のロイコ染料に対して加熱時に反応し、これを発色させる種々の電子受容性物質である顕色剤と、フィラーとを含有する。
フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、アルミナ、クレー等の無機顔料、又は公知の有機顔料などが挙げられる。この無機顔料の中では焼成カオリンが好ましく、有機顔料としては、プラスチック中空粒子が好ましい。
従って、平均粒子径が上記範囲にあると同時に、バラツキの少ない分布ピークの均一なものが望ましい。
中空率=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100
なお、上記微小中空粒子は、前述したように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、該熱可塑性樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、熱可塑性物質としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂類、尿素−ホルムアルデヒド樹脂類、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂類、フラン樹脂類等や付加重合によって生成する不飽和ポリエステル樹脂や架橋MMA樹脂等が挙げられる。このうち、スチレン−アクリル樹脂や、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が、中空率が高くかつ粒子径のバラツキが小さくなることからブレード塗工に適している。
染料層は、少なくともロイコ染料を含有する。
染料層で用いられるロイコ染料は電子供与性を示す化合物であり、単独で又は2種以上混合して適用されるが、それ自体無色或いは淡色の染料前駆体であり、従来公知のもの、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物を用いることができる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−メチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ブロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(o−フロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6′−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピランなど。
保護層は、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する。
顔料としては、例えば水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカなどの無機系微粉末を用いることができる。特に、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムは、長期にわたって印字を行った際のサーマルヘッドに対する耐磨耗性が良好である。
ジアセトン変成ポリビニルアルコール中のジアセトン基の含有量は、ポリマー全体に対して0.5〜20モル%程度とするが、耐水化を考えると2〜10モル%の範囲が好ましい。2モル%より少ないと実用上耐水性が不十分であり、10モル%を超えても耐水化の向上が見られず経済的に高価となる。
ジアセトン変成ポリビニルアルコールの重合度は、300〜3000が好ましく、500〜2200の範囲が特に好ましい。また、鹸化度は80%以上が好ましい。
保護層に含まれるアクリル樹脂としては、エチレン/アクリル酸共重合物水溶性塩、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合成分、あるいはこれら共重合成分にメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトル、酢酸ビニル等を共重合成分とする水溶性アクリル樹脂が挙げられる。また、マレイン酸系共重合樹脂としては、ジイソブチレン/無水マレイン酸共重合物水溶性塩、スチレン/無水マレイン酸共重合物水溶性塩等が挙げられる。これらの中でも、特にジイソブチレン/無水マレイン酸共重合物水溶性塩が好ましい。
また、上記アクリル樹脂、マレイン酸系共重合樹脂は水溶性タイプとエマルションタイプのどちらでも同等の印刷画像の耐水性効果が得られるが、エマルションタイプを使用した場合、耐可塑剤性、耐油性等のバリア性品質が低下するという背反作用があるため、水溶性タイプの方が好ましい。
塩基性フィラーとしての、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムは、粒子状であり、平均粒子径としては、特に制限はないが、ヘッドマッチング特性の発現の程度や発色特性を踏まえて、0.1〜2ミクロン程度が望ましい。
また、近年は地肌部の白色化、見栄えの良さから蛍光増白剤を含有させるが、地肌白色度向上効果及び保護層液の安定性の観点からはジアミノスチルベン系化合物が好ましい。
本発明の感熱記録材料に用いられる支持体の形状、構造、大きさ等は、目的に応じて適宜選択することができる。支持体の形状としては、例えば平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造でも積層構造でもよく、大きさとしては、感熱記録材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
支持体の厚みは、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜2,000μmが好ましく、100〜1,000μmがより好ましい。
<中間層>
中間層は、水溶性樹脂及び架橋剤を含有する。
中間層に用いる水溶性樹脂(結着樹脂)及び架橋剤としては、保護層で使用するのと同じ水溶性樹脂及び架橋剤が使用できる。中でも、水溶性樹脂としてはジアセトン変成ポリビニルアルコールが好ましい。
また、中間層はアクリル樹脂又はマレイン酸系共重合樹脂を含有していてもよい。
中間層に含まれるアクリル樹脂、マレイン酸系共重合樹脂としては、前記保護層の場合と同じ樹脂に加えて、アクリル系カチオンポリマー水溶液などが挙げられるが、これらの中でも、特にジイソブチレン/無水マレイン酸共重合物水溶性塩、アクリル系カチオンポリマー水溶液が好ましい。
トリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−P−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルエチルアミン及びこれらの塩(例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン、硫酸イオンなど)、更にはビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール及びこれらの塩が挙げられる。
本発明の感熱記録材料は、支持体の感熱記録層を設ける側の面(支持体のおもて面:第1の面)と反対側の面(支持体の裏面:第2の面)に、顔料、水溶性樹脂(結着樹脂)、架橋剤を含有するバック層を有することが好ましい。
バック層には、更に、フィラー、滑剤等の他の成分を含有させてもよい。
バック層に用いられる結着樹脂としては、水分散性樹脂及び水溶性樹脂の何れかが用いられ、具体的には、従来公知の水溶性高分子、水性高分子エマルジョンなどが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーとしては、例えば、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物等が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。
バック層の厚みは、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
粘着剤層の材料は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
磁気記録層は、例えば、酸化鉄やバリウムフェライト等と、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂等を用い、支持体上に塗工形成するか、又は樹脂を用いずに、蒸着、スパッタリング等の方法で形成する。
磁気記録層は、支持体における感熱発色層とは反対側の面に設けることが好ましいが、支持体と感熱発色層との間、或いは感熱発色層上の一部に設けてもよい。
本発明の感熱記録材料の形状は、目的に応じて適宜選択することができるが、ラベル状、シート状、ロール状などが好適である。
本発明の感熱記録材料を用いた記録は、使用目的によって、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等で行うことができ、特に限定されない。
本発明の感熱記録材料は、生鮮食料品、弁当、惣菜用等のPOS分野;図書、文書等の複写分野;ファクシミリ等の通信分野;券売機、レシート、領収書等の発券分野;航空機業界のバッゲージ用タグなどの各種分野に好適に用いられる。
<感熱記録材料の作製>
(1) アンダー層塗布液の調製
下記組成のものを、平均粒径が1.0μmになるようにサンドミルを用いて分散し、顕色剤分散液[KG液]を調製した。
[KG液]
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン・・20部
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(変性率1モル%)の10%水溶液 ・・20部
シリカ ・・10部
水 ・・・50部
[U−1液]:組成
焼成カオリン ・・・9部
[KG液] ・・・15部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
水 ・・・5部
下記組成からなる材料を、それぞれ平均粒径が0.75μmになるようにサンドミルを用いて分散し、染料層塗布液を[D液]調製した。
[D液]:組成
2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン ・・・20部
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(変性率1モル%)の10%水溶液 ・・・20部
水 ・・・60部
下記の組成の材料を、サンドミルを用いて24時間分散し、保護層塗布液の[O]液を作成するための準備液[OC液]を調製した。
[OC液]:組成
水酸化アルミニウム(ハイジライトH−43M:昭和電工社製)
・・・20部
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(変性率1モル%)の10%水溶液 ・・・20部
水 ・・・60部
[O液]:組成
準備液[OC液] ・・・75部
ジアセトン変性ポリビニルアルコール(変性率4モル%)の10%水溶液 ・・・100部
アジピン酸ジヒドラジドの10%水溶液 ・・・20部
酸化ポリエチレンワックス(P−960:中京油脂社製)の27%水溶液 ・・・20部
水 ・・・80部
その上に、染料層塗布液[D液]、保護層塗布液[O液]を、乾燥後の付着量がそれぞれ0.55g/m2、1.5g/m2となるように、カーテンコーターで600m/minの速度で同時塗布し乾燥した後、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒になるように処理して、実施例1の感熱記録材料を作製した。なお王研式平滑度は、たとえばJIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)規定のガーレー透気度試験機と同一構造のものを用いて、測定ヘッドに試料を重ねてその隙間を一定容量の空気が通過する時間(秒)を測定して得られる。
−感熱記録材料の作製−
実施例1における[U−1液]を[KG液]の量を変えて調製した下記[U−2液]に変えて層の坪量の異なるアンダー層U2を形成した点以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録材料を作製した。
[U−2液]:組成
焼成カオリン ・・・9部
[KG液] ・・・5部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
水 ・・・15部
−感熱記録材料の作製−
実施例1における[U−1液]を下記[U−3液]に変えて層の坪量の異なるアンダー層U3を形成した点以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録材料を作製した。
[U−3液]:組成
焼成カオリン ・・・9部
[KG液] ・・・30部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
−感熱記録材料の作製−
実施例1における[U−1液]を下記[U−4液]に変えて層の坪量の異なるアンダー層U4を形成した点以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録材料を作製した。
[U−4液]:組成
焼成カオリン ・・・1.5部
[KG液] ・・・15部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
水 ・・・12.5部
−感熱記録材料の作製−
実施例1における[U−1液]を下記[U−5液]に変えて層の坪量の異なるアンダー層U5を形成した点以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録材料を作製した。
[U−5液]:組成
焼成カオリン・・・18部
[KG液]・・・15部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
−感熱記録材料の作製−
実施例1における[U−1液]を下記[U−6液]に変えて層の坪量の異なるアンダー層U6を形成した点以外は、実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録材料を作製した。
[U−6液]:組成
塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〔(塩化ビニリデン/アクリロニトリルのモル比=6/4)、固形分27.5%、平均粒径3μm、中空率90%〕 ・・・32.7部
[KG液]・・・15部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
−感熱記録材料の作製−
実施例6における[D液]の平均粒径を0.25μmに変えた点以外は、実施例6と同様にして、実施例7の感熱記録材料を作製した。
−感熱記録材料の作製−
実施例7における[D液]と〔O液〕の間に、下記中間層液[B液]を設け、アンダー層として実施例6に記載の[U−6液]を用いて坪量の異なるアンダー層U8を設けたこと以外は、実施例7と同様にして、実施例8の感熱記録材料を作製した。
まず下記組成の材料を混合し攪拌して中間層塗布液[B液]を調製した。
[B液]:組成
ジアセトン変性ポリビニルアルコール(変性率4モル%)の10%水溶液 ・・・100部
アジピン酸ジヒドラジドの10%水溶液 ・・・20部
水 ・・・80部
その上に、平均粒子径0.25μmの染料塗布液[D液]、中間層塗布液[B液]、保護層塗布液[O液]を、乾燥後の付着量がそれぞれ0.55g/m2、0.5g/m2、1.5g/m2となるように、カーテンコーターで600m/minの速度で同時塗布し乾燥した後、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒になるように処理して、実施例8の感熱記録材料を作製した。
−感熱記録材料の作製−
[U−0液]:組成
焼成カオリン ・・・9部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(製品名:スマーテックスPA−9159(日本エイアンドエル社製)、固形分47.5%)・・・1部
水 ・・・20部
[T液]
[D液]と[KG液]を1:3の割合で混合し、攪拌して、感熱発色層塗布液[T液]を調製した。
その上に、感熱発色層塗布液[T液]、保護層塗布液[O液]を、乾燥後の付着量がそれぞれ2.2g/m2、0.5g/m2、1.5g/m2となるように、カーテンコーターで600m/minの速度で同時塗布し乾燥した後、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒になるように処理して、比較例1の感熱記録材料を作製した。
以上のようにして形成した実施例および比較例における感熱記録材料を表1に示す。なお表1において「↑」は、上記と同じという意味である。
日本電色工業社製の白色度計(PF−10)を使用し、作成した感熱記録材料の白色度(%)を測定した。
各感熱記録材料を、松下電器部品社製の薄膜ヘッドを有する感熱印字実験装置により、ヘッド電力0.45W/ドット、1ライン記録時間20msec/L、走査密度8×385ドット/mmの条件下で、0.1msec毎にパルス巾0.2〜1.2msecに印字し、印字濃度をマクベス濃度計RD−914で測定し、濃度が1.0となるパルス巾を計算した。
比較例1を基準として次の式で感度倍率を計算した。値が大きいほど感度(熱応答性)が良好である。
感度倍率=(比較例1のパルス巾)/(測定したサンプルのパルス巾)
各感熱記録材料について、感度倍率試験方法で用いた画像のドット再現性を目視で評価した。評価基準は次の通りである。
◎:非常に良い。
○:良い
△:普通
×:悪い
各感熱記録材料に170℃のホットスタンプを1秒間接触させて発色させた後、感熱発色層面側に塩化ビニルラップを1枚重ね合わせ、20℃、Dryの環境で5kg/100cm2の荷重をかけて10時間保管し、保管後の画像濃度をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)で測定した。
上記した各評価法を用いて評価を行った。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 顔料及び顕色剤を含有するアンダー層が形成された支持体の前記アンダー層上に、ロイコ染料を含有する染料層と、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する保護層とが、カーテン塗工法による同時塗工により形成されることを特徴とする感熱記録材料。
- 前記アンダー層中の顔料が、熱可塑性中空樹脂粒子である請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記アンダー層中の顕色剤添加量が、前記染料層中のロイコ染料に対して、1.0〜6.0重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
- 前記アンダー層の付着量が2.0〜7.5g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 前記染料層中のロイコ染料の粒子径がメディアンで0.30μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録材料
- 前記保護層と前記染料層との間に、水溶性樹脂及び架橋剤を含有する中間層を設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 顔料及び顕色剤を含有するアンダー層が形成された支持体の前記アンダー層上に、ロイコ染料を含有する染料層と、水溶性樹脂、架橋剤及び顔料を含有する保護層とを、カーテン塗工法によって同時塗工することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
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