JP2011222746A - 電子機器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱体と放熱体とを含む電子機器において、発熱体と放熱体とを熱伝導率の極めて高い放熱材料を介して容易に接合しうる電子機器の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂層を形成した第1の基体上に、熱可塑性樹脂層を用いて炭素元素の複数の線状構造体を転写し、第2の基体上に、転写した線状構造体の端部が第2の基体に接するように第1の基体を載置し、第1の基体と第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行い、熱可塑性樹脂層を融解して第1の基体と第2の基体との間に充填するとともに、線状構造体の一方の端部を第1の基体に、他方の端部を第2の基体に接触させた後、融解した熱可塑性樹脂層を固化し、第1の基体と第2の基体とを熱可塑性樹脂層により接着固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器の製造方法に係り、特に、発熱体と、放熱体と、発熱体と放熱体との間に設けられたサーマルインターフェイスマテリアルとを有する電子機器の製造方法に関する。
サーバーやパーソナルコンピュータのCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)などに用いられる電子部品には、半導体素子から発する熱を効率よく放熱することが求められる。このため、これら電子部品は、半導体素子の直上に設けられた銅などの高い熱伝導度を有する材料のヒートスプレッダが配置された構造を有している。
この際、発熱源及びヒートスプレッダの表面には微細な凹凸が存在するため、互いをダイレクトに接触させても十分な接触面積を稼ぐことができず、接触界面が大きな熱抵抗となり、効率的に放熱を行うことができない。このため、接触熱抵抗を低減することを目的として、発熱源とヒートスプレッダとをサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)を介して接続することが行われている。
この目的のもと、サーマルインターフェイスマテリアルには、それ自身が高い熱伝導率を有する材料であることに加え、発熱源及びヒートスプレッダ表面の微細な凹凸に対して広面積に接触しうる特性が求められている。
従来、サーマルインターフェイスマテリアルとしては、放熱グリースやフェイズチェンジマテリアル(PCM)、インジウムなどが用いられている。これらの材料が放熱材料として用いられる大きな特徴の一つは、電子機器の耐熱温度以下で流動性を有しているため、微細な凹凸に対して大きな接触面積を得ることが可能な点にある。
しかしながら、放熱グリースやフェイズチェンジマテリアルは、熱伝導率が1W/m・K〜5W/m・Kと低い。また、インジウムはレアメタルであることに加え、ITO関連での大幅な需要増加により価格が高騰しており、より安価な代替材料が待望されている。
このような背景から、放熱材料として、カーボンナノチューブに代表される炭素元素からなる線状構造体が注目されている。カーボンナノチューブは、その軸方向に非常に高い熱伝導度(1500W/m・K〜3000W/m・K)を有するだけでなく、柔軟性や耐熱性に優れた材料であり、放熱材料として高いポテンシャルを有している。
カーボンナノチューブを用いた熱伝導シートとしては、樹脂中にカーボンナノチューブを分散した熱伝導シートや、基板上に配向成長したカーボンナノチューブ束を樹脂等によって埋め込んだ熱伝導シートが提案されている。
特開2006−100572号公報
しかしながら、カーボンナノチューブを用いた従来の熱伝導シートでは、カーボンナノチューブの有する高い熱伝導度を充分に生かすことができなかった。
本発明の目的は、発熱体と放熱体とを含む電子機器において、発熱体と放熱体とを熱伝導率の極めて高い放熱材料を介して容易に接合しうる電子機器の製造方法を提供することにある。
実施形態の一観点によれば、第1の基体上に、熱可塑性樹脂層を形成する工程と、前記第1の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の複数の線状構造体を、前記熱可塑性樹脂層を用いて前記第1の基体上に転写する工程と、第2の基体上に、前記第1の基体上に転写した前記複数の線状構造体の端部が前記第2の基体に接するように前記第1の基体を載置する工程と、前記第1の基体と前記第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行うことにより、前記熱可塑性樹脂層を融解して前記第1の基体と前記第2の基体との間に充填するとともに、前記複数の線状構造体の一方の端部を前記第1の基体に接触させ、前記複数の線状構造体の他方の端部を前記第2の基体に接触させる工程と、融解した前記熱可塑性樹脂層を固化し、前記第1の基体と前記第2の基体とを前記熱可塑性樹脂層により接着固定する工程とを有する電子機器の製造方法が提供される。
また、実施形態の他の観点によれば、第1の基体上に、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、前記第1の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の複数の線状構造体を、前記熱可塑性樹脂層を用いて前記第1の基体上に転写する工程と、第2の熱可塑性樹脂層を形成した第2の基体上に、前記第1の基板から剥離した側の前記複数の線状構造体の端部が前記第2の熱可塑性樹脂層に接するように前記第1の基体を載置する工程と、前記第1の基体と前記第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行うことにより、前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を融解し、前記複数の線状構造体の一方の端部を前記前記第1の基体に接触させ、前記複数の線状構造体の他方の端部を前記第2の基体に接触させる工程と、融解した前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を固化し、前記第1の基体と前記複数の線状構造体とを前記第1の熱可塑性樹脂層により接着固定し、前記第2の基体と前記複数の線状構造体とを前記第2の熱可塑性樹脂層により接着固定する工程とを有する電子機器の製造方法が提供される。
開示の電子機器の製造方法によれば、第1の基体と第2の基体とを、熱伝導率の極めて高い放熱材料を介して容易に接合することができる。これにより、第1の基体と第2の基体との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができ、放熱特性の優れた信頼性の高い高性能の電子機器を提供することができる。
図1は、第1実施形態による電子機器の構造を示す斜視図である。 図2は、第1実施形態による電子機器の具体的な構造の一例を示す概略断面図である。 図3は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す工程断面図である。 図4は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その1)である。 図5は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その2)である。 図6は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その3)である。 図7は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その4)である。 図8は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その5)である。 図9は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その6)である。 図10は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その7)である。 図11は、第1実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その8)である。 図12は、第2実施形態による電子機器の構造を示す概略断面図である。 図13は、第2実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その1)である。 図14は、第2実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その2)である。 図15は、第2実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その3)である。 図16は、第2実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その4)である。 図17は、第2実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図(その5)である。 図18は、第3実施形態による電子機器の構造を示す概略断面図である。 図19は、第3実施形態による電子機器の製造方法を示す工程断面図(その1)である。 図20は、第3実施形態による電子機器の製造方法を示す工程断面図(その2)である。 図32は、第3実施形態による電子機器の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
[第1実施形態]
第1実施形態による電子機器及びその製造方法について図1乃至図11を用いて説明する。
図1は、本実施形態による電子機器の構造を示す斜視図である。図2は、本実施形態による電子機器の具体的な構造の一例を示す概略断面図である。図3は、本実施形態による電子機器の製造方法を示す工程断面図である。図4乃至図11は、本実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図である。
はじめに、本実施形態による電子機器について図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態による電子機器は、図1に示すように、基体40,42と、基体40と基体42との間に設けられたサーマルインターフェイスマテリアル(以下、「TIM」という)10とを有している。基体40,42は、一方が発熱体であり、他方が放熱体である。TIM10は、基体40と基体42との間の熱伝導性を向上するための放熱材料である。
図1に示す電子機器の具体的な構造の一例としては、例えば図2に示す電子機器が挙げられる。
図2に示すように、多層配線基板などの回路基板50上には、例えばCPUなどの半導体素子54が実装されている。半導体素子54は、はんだバンプなどの突起状電極52を介して回路基板50に電気的に接続されている。半導体素子54上には、半導体素子54を覆うように、半導体素子54からの熱を拡散するためのヒートスプレッダ58が形成されている。半導体素子54とヒートスプレッダ58との間には、TIM10が形成されている。ヒートスプレッダ58は、例えば有機シーラント60によって回路基板50に接着されている。なお、図では、TIM10の効果を判りやすくするために、半導体素子54とヒートスプレッダ58との対向する面の凹凸を強調して描いている。
図2の電子機器では、半導体素子54が発熱体としての一方の基体に該当し、ヒートスプレッダ58が放熱体としての他方の基体に該当する。
TIM10は、図1に示すように、複数のカーボンナノチューブ12と、カーボンナノチューブ12の間隙に充填された熱可塑性樹脂の充填層14とを有するシート状の構造体である。カーボンナノチューブ12は、シートの膜厚方向、すなわちシートの表面と交差する方向に配向している。基体40,42との関係から言えば、カーボンナノチューブ12は、基体40,42の表面と交差する方向に配向している。カーボンナノチューブ12の端部は、基体40,42に直に接触されている。なお、カーボンナノチューブ12の少なくとも一方の端部に、必要に応じて、充填層14の材料よりも熱伝導率の高い材料の被膜16を更に設けるようにしてもよい。
カーボンナノチューブ12は、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれでもよい。カーボンナノチューブ12の面密度は、特に限定されるものではないが、放熱性及び電気伝導性の観点からは、1×1010本/cm以上であることが望ましい。
カーボンナノチューブ12の長さは、カーボンナノチューブシート10の用途によって決まり、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm〜500μm程度の値に設定することができる。本実施形態のようにサーマルインターフェイスマテリアルとして使用する場合、カーボンナノチューブ12は、少なくとも発熱源及び放熱部品の表面の凹凸を埋める長さ以上であることが望ましい。
上述のように、カーボンナノチューブ12の両端部は、基体40,42に直に接している。これにより、基体40と基体42との間の熱伝導効率を大幅に高めることができる。また、カーボンナノチューブ12は導電性を有しているため、カーボンナノチューブ12の両端部を露出することにより、カーボンナノチューブ12を、シートを貫く配線体として用いることもできる。すなわち、本実施形態によるTIM10は、放熱材料としてのみならず、導電材料としても利用可能である。また、カーボンナノチューブ12は、シートの膜厚方向に配向しているため、軸方向に非常に高い熱伝導率及び導電率を有するというカーボンナノチューブ12の特性をいかんなく発揮し、高い熱伝導率及び導電率を得ることができる。
充填層14は、熱可塑性樹脂によって形成されている。充填層14を形成する熱可塑性樹脂は、温度に応じて液体と固体との間で可逆的に状態変化するものであり、室温では固体であり、加熱すると液状に変化し、冷却すると接着性を発現しつつ固体に戻るものであれば、特に限定されるものではない。なお、充填層14の具体的な構成材料については、後述する製造方法の説明の中で述べる。
被膜16の構成材料は、充填層14の構成材料よりも熱伝導率の高い材料であれば特に限定されるものではない。なお、被膜16の具体的な構成材料や膜厚については、後述する製造方法の説明の中で述べる。
熱伝導性の高い被膜16を設けることにより、被膜16を設けない場合と比較して、カーボンナノチューブ12の基体40,42に対する接触面積を増加することができる。これにより、カーボンナノチューブ12と基体40,42との間の接触熱抵抗が低減され、TIM10の熱伝導性を高めることができる。TIM10を導電性シートとしても用いる場合には、導電性を高めることができる。
なお、図1の例では、カーボンナノチューブ12の基体42側の端部に被膜16を設けた場合を示したが、カーボンナノチューブ12の基体40側の端部にも被膜を設けるようにしてもよい。カーボンナノチューブ12の基体40側の端部のみに被膜を形成するようにしてもよい。
次に、本実施形態による電子機器の製造方法について図3乃至図11を用いて説明する。
まず、カーボンナノチューブ12を成長するための土台として用いる基板30を用意する。基板30としては、シリコン基板などの半導体基板、アルミナ(サファイア)基板、MgO基板、ガラス基板などの絶縁性基板、金属基板などを用いることができる。また、これら基板上に薄膜が形成されたものでもよい。例えば、シリコン基板上に膜厚300nm程度のシリコン酸化膜が形成されたものを用いることができる。
基板30は、カーボンナノチューブ12の成長後に剥離されるものである。この目的のもと、基板30としては、カーボンナノチューブ12の成長温度において変質しないことが望ましい。また、少なくともカーボンナノチューブ12に接する面がカーボンナノチューブ12から容易に剥離できる材料によって形成されていることが望ましい。或いは、少なくともカーボンナノチューブ12に接する部分が、カーボンナノチューブ12に対して選択的にエッチングできる材料によって形成されている基板30を用いてもよい。
次いで、基板30上に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚2.5nmのFe(鉄)膜を形成し、Feの触媒金属膜32を形成する(図3(a))。なお、触媒金属膜32は、必ずしも基板30上の全面に形成する必要はなく、例えばリフトオフ法を用いて基板30の所定の領域上に選択的に形成するようにしてもよい。
触媒金属としては、Feのほか、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白金)又はこれらのうち少なくとも一の材料を含む合金を用いてもよい。また、触媒として、金属膜以外に、微分型静電分級器(DMA:differential mobility analyzer)等を用い、予めサイズを制御して作製した金属微粒子を用いてもよい。この場合も、金属種については薄膜の場合と同様でよい。
また、これら触媒金属の下地膜として、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、TaN(窒化タンタル)、TiSi(チタンシリサイド)、Al(アルミニウム)、Al(酸化アルミニウム)、TiO(酸化チタン)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Cu(銅)、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、TiN(窒化チタン)などの膜又はこれらのうち少なくとも一の材料を含む合金からなる膜を形成してもよい。例えば、Fe(2.5nm)/Al(10nm)の積層構造、Co(2.6nm)/TiN(5nm)の積層構造等を適用することができる。金属微粒子を用いる場合は、例えば、Co(平均直径:3.8nm)/TiN(5nm)などの積層構造を適用することができる。
次いで、基板30上に、例えばホットフィラメントCVD法により、触媒金属膜32を触媒として、カーボンナノチューブ12を成長する。カーボンナノチューブ12の成長条件は、例えば、原料ガスとしてアセチレン・アルゴンの混合ガス(分圧比1:9)を用い、成膜室内の総ガス圧を1kPa、ホットフィラメント温度を1000℃、成長時間を20分とする。これにより、層数が3層〜6層(平均4層程度)、直径が4nm〜8nm(平均6nm)、長さが80μm(成長レート:4μm/min)の多層カーボンナノチューブを成長することができる。なお、カーボンナノチューブは、熱CVD法やリモートプラズマCVD法などの他の成膜方法により形成してもよい。また、成長するカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでもよい。また、炭素原料としては、アセチレンのほか、メタン、エチレン等の炭化水素類や、エタノール、メタノール等のアルコール類などを用いてもよい。
カーボンナノチューブ12の長さは、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm〜500μm程度の値に設定することができる。サーマルインターフェイスマテリアルとして使用する場合、少なくとも発熱源及び放熱部品の表面の凹凸を埋める長さ以上であることが望ましい。
こうして、基板30上に、基板30の法線方向に配向(垂直配向)した複数のカーボンナノチューブ12を形成する(図3(b))。なお、上記の成長条件で形成したカーボンナノチューブ12では、カーボンナノチューブ12の面密度は、1×1011本/cm程度であった。これは、基板30表面の面積のおよそ10%の領域上にカーボンナノチューブ12が形成されていることに相当する。
なお、図3(b)では、図面の簡略化のためにカーボンナノチューブ12を単純な円筒形状で描いたが、成長初期における成長ばらつき等により、必ずしも完全な円筒形状にはならない。カーボンナノチューブ12は、全体的に見ればシートの膜厚方向に配向するが、例えば、図4に示すようにカーボンナノチューブ12の上端部が基板30の法線方向に対して傾いて成長したり、カーボンナノチューブ12の長さにばらつきが生じたりすることがある。
次いで、必要に応じて、カーボンナノチューブ12上に、例えば蒸着法により、300nm程度の膜厚のAu(金)堆積し、Auの被膜16を形成する(図3(c))。被膜16は、カーボンナノチューブ12にダメージを与えない方法であれば、他の成膜方法(例えばスパッタ法等)を用いて形成してもよい。
被膜16を形成する材料は、充填層14の構成材料よりも熱伝導率の高い材料であれば特に限定されるものではない。TIM10を電気伝導用途にも用いる場合には、導電性を有する材料、例えば、金属や合金等を適用することができる。被膜16の構成材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)等を用いることができる。また、被膜16は、単層構造である必要はなく、例えばチタン(Ti)と金(Au)との積層構造など、2層或いは3層以上の積層構造であってもよい。
被膜16は、成長初期段階では、例えば図5に示すように、各カーボンナノチューブ12の先端部分を覆うように形成される。成長膜厚が増加してくると、隣接する各カーボンナノチューブ12の先端部分に形成された被膜16が互いに接続されるようになる。これにより、被膜16は、例えば図6に示すように、複数本の各カーボンナノチューブ12の先端部分を束ねるように形成される。被膜16の成長膜厚を更に増加すると、被膜16がシートの表面に平行な2次元方向に完全に接続され、隙間のない完全な膜となる。
被膜16の膜厚は、充填層14を形成する際の充填材(熱可塑性樹脂)の浸透性等を考慮して、カーボンナノチューブ12の直径や面密度に応じて適宜設定することが望ましい。
例えば、カーボンナノチューブ12の直径が10nm、面密度が1×1011cm−2の場合、互いに隣接するカーボンナノチューブ12の間隙はおよそ50nmである。この場合、隣接するカーボンナノチューブ12間が被膜16により接続されるためには、少なくとも間隙の半分以上の膜厚、すなわち膜厚25nm程度以上の被膜16を形成することが望ましい。また、被膜16を厚くしすぎると被膜16が隙間のない完全な膜となり充填材の浸透性が低下するため、被膜16の上限膜厚は、充填材の浸透性の面から設定することが望ましい。これらの観点から、上記条件のカーボンナノチューブ12では、被膜16の膜厚は、25nm〜1000nm程度に設定することが望ましい。
なお、被膜16は、必ずしも隣接するカーボンナノチューブ12が互いに接続されるに十分な膜厚を形成する必要はないが、これには被膜16によって複数本のカーボンナノチューブ12を束ねる効果がある(図6参照)。これにより、後工程で熱可塑性樹脂層44をカーボンナノチューブ12間に浸透させる際にカーボンナノチューブ12同士がばらばらになることを抑制することができる。また、横方向への熱の伝導も可能となる。
次いで、基体40,42の一方の表面上に、充填層14となる熱可塑性樹脂材料を塗布し、熱可塑性樹脂層44を形成する。ここでは、基体42の表面に熱可塑性樹脂層44を形成するものとする。熱可塑性樹脂層44の熱可塑性樹脂は、温度に応じて液体と固体との間で可逆的に状態変化するものであり、室温では固体であり、加熱すると液状に変化し、冷却すると接着性を発現しつつ固体に戻るものであれば、特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂は、後述するリフローの際のカーボンナノチューブ12の頭出しの容易性の観点からは、融解時の粘度が低い材料ほど好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、以下に示すホットメルト樹脂が挙げられる。ポリアミド系ホットメルト樹脂としては、例えば、ヘンケルジャパン株式会社製の「Micromelt6239」(融解温度:135℃〜145℃、融解時粘度:5.5Pa・s〜8.5Pa・s(225℃))等が挙げられる。また、ポリエステル系ホットメルト樹脂としては、例えば、ノガワケミカル株式会社の「DH598B」(軟化点温度:133℃)が挙げられる。また、ポリウレタン系ホットメルト樹脂としては、例えば、ノガワケミカル株式会社製の「DH722B」が挙げられる。また、ポリオレフィン系ホットメルト樹脂としては、例えば、松村石油株式会社製の「EP−90」(軟化点温度:148℃)が挙げられる。また、エチレン共重合体ホットメルト樹脂としては、例えば、ノガワケミカル株式会社製の「DA574B」(軟化点温度:105℃)が挙げられる。また、SBR系ホットメルト樹脂としては、例えば、横浜ゴム株式会社製の「M−6250」(軟化点温度:125℃)が挙げられる。また、EVA系ホットメルト樹脂としては、例えば、住友スリーエム株式会社製の「3747」(軟化点温度:104℃)が挙げられる。また、ブチルゴム系ホットメルト樹脂としては、例えば、横浜ゴム株式会社製の「M−6158」が挙げられる。また、低粘度の熱可塑性樹脂としては、日信化学工業株式会社製の「BW100」(融解時粘度:75mPa・s(150℃))等が挙げられる。
充填層14を形成する熱可塑性樹脂は、TIM10の用途に応じて、熱可塑性樹脂の融解温度をもとに選択することができる。熱可塑性樹脂の融解温度の下限値は、稼働時の発熱温度の上限値よりも高いことが望ましい。稼働時に熱可塑性樹脂が溶解すると、TIM10が変形してカーボンナノチューブ12が配向性を損なうなど、熱伝導性を低下するなどの不具合を引き起こす虞があるからである。熱可塑性樹脂の溶解温度の上限値は、発熱体及び放熱体の耐熱温度の下限値よりも低いことが望ましい。TIM10は、放熱体及び発熱体に接触させた後にリフローを行うことが望ましいが、熱可塑性樹脂の溶解温度が耐熱温度より高いと、発熱体及び/又は放熱体にダメージを与えることなくリフローをすることが困難となるからである。なお、熱可塑性樹脂のリフローについては、後述する。
例えば、TIM10をCPUなどの電子機器の放熱用途に用いる場合、CPU稼働時の発熱温度の上限がおよそ125℃であり、CPU電子部品の耐熱温度がおよそ250℃であることに鑑み、融解温度が125℃〜250℃程度の熱可塑性樹脂が好適である。例えば、自動車エンジンのエキゾーストシステム等の用途に用いる場合、部位によるが発熱温度は500℃〜800℃程度であることに鑑み、融解温度が600℃〜900℃程度の熱可塑性樹脂が好適である。
また、熱可塑性樹脂には、必要に応じて、添加物を分散混合してもよい。添加物としては、例えば熱伝導性の高い物質や導電性の高い物質が考えられる。充填層14部分に熱伝導性の高い添加物を分散混合することにより、充填層14部分の熱伝導率を向上することができ、TIM10の全体としての熱伝導率を向上することができる。また、導電性シートとして用いる場合にあっては、充填層14部分に電導性の高い添加物を分散混合する。これにより、充填層14部分の導電率を向上することができ、シート全体としての導電率を向上することができる。熱伝導性の高い材料としては、カーボンナノチューブ、金属材料、窒化アルミニウム、シリカ、アルミナ、グラファイト、フラーレン等を適用することができる。電導性の高い材料としては、カーボンナノチューブ、金属材料等を適用することができる。
ここでは、一例として、ヘンケルジャパン株式会社製の「Micromelt6239」により、厚さ100μmの熱可塑性樹脂層44を形成した場合について説明する。
熱可塑性樹脂層44の膜厚は、カーボンナノチューブ12の長さと同程度、例えば5μm〜500μm程度が好適である。
次いで、基板30に成長したカーボンナノチューブ12上に、熱可塑性樹脂層44とカーボンナノチューブ12とが対向するように、熱可塑性樹脂層44を形成した基体42を載置する(図7)。
次いで、基板30上に基体42を載置した状態で、例えば195℃の温度で加熱する。これにより、熱可塑性樹脂層44の熱可塑性樹脂が溶解し、カーボンナノチューブ12の間隙に徐々に浸透していく。こうして、熱可塑性樹脂層44を、基板30の表面に達しない程度まで浸透させる(図8)。
カーボンナノチューブ12の間隙に浸透する熱可塑性樹脂層44の厚さは、熱処理時間によって制御することができる。例えば、上記条件で成長した長さ80μmのカーボンナノチューブ12に対しては、195℃で1分間の熱処理を行うことにより、熱可塑性樹脂層44が基板30に達しない程度まで浸透させることができる。
加熱時間は、熱可塑性樹脂層44を基板30の表面に達しない程度に浸透させるように、カーボンナノチューブ12の長さ、熱可塑性樹脂の融解時の粘度、熱可塑性樹脂層の膜厚等に応じて適宜設定することが望ましい。
なお、カーボンナノチューブ12の間隙に熱可塑性樹脂層44を浸透させるのは、カーボンナノチューブ12を基板30から剥離して基体42に転写する際に、カーボンナノチューブ12を熱可塑性樹脂層44によって保持するためである。また、熱可塑性樹脂層44が基板30に達しない程度まで浸透させるのは、カーボンナノチューブ12を基板30から剥離するのを容易にするためである。熱可塑性樹脂層44の浸透量は、これらを考慮したうえで適宜設定することが望ましい。
次いで、カーボンナノチューブ12の所定の位置まで熱可塑性樹脂層44を浸透させた後、室温まで冷却し、熱可塑性樹脂層44を固化する。
次いで、カーボンナノチューブ12及び熱可塑性樹脂層44を、基体42とともに基板30から剥離する。この際、カーボンナノチューブ12と基板30との間の接合は弱いため、カーボンナノチューブ12を基板30から容易に剥離することができる。こうして、カーボンナノチューブ12を、基体42側に転写する(図9)。
次いで、必要に応じて、基板30から剥離した側のカーボンナノチューブ12の端面上に、被膜16の形成方法と同様にして、被膜(図示せず)を形成する。
次いで、基体40上に、基体40とカーボンナノチューブ12とが対向するように、カーボンナノチューブ12を転写した基体42を載置する(図10)。
次いで、基体40と基体42との間に荷重をかけた状態で熱処理を行い、熱可塑性樹脂層44をリフローする。熱可塑性樹脂層44としてとしてヘンケルジャパン株式会社製の「Micromelt6239」を用いた場合には、例えば、荷重0.25MPaを加えた状態で、195℃、10分間の熱処理を行う。基体40と基体42との間に印加する荷重は、熱可塑性樹脂層44が、基体40及び基体42の表面に存在する凹凸に沿って変形して十分な接触状態を形成する荷重範囲であればよい。また、熱処理の温度及び時間は、基体40と基体42との界面に介在する熱可塑性樹脂層44が融解して移動し、カーボンナノチューブ12の端部が基体40及び基体42に対して直に接する表面状態になる範囲を選択すればよい。
この熱処理により熱可塑性樹脂層44が液状融解し、基体40及び基体42の表面凹凸に沿って熱可塑性樹脂層44が変形する。また、カーボンナノチューブ12は、熱可塑性樹脂層44による拘束がゆるみ、その端部は基体40及び基体42に直に接するようになる。この際、カーボンナノチューブ12はしなやかで柔軟性に富んだ材料であるため、基体40及び基体42が有する凹凸形状に追従して撓むことができる。これにより、基体40及び基体42に直に接するカーボンナノチューブ12が増加し、基体40と基体42との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができる。
カーボンナノチューブ12を基体40及び基体42に直に接しやすくするためには、熱可塑性樹脂層44の熱可塑性樹脂材料として、融解時の粘度がより低い熱可塑性樹脂材料を用いることが望ましい。低粘度の熱可塑性樹脂材料を用いることによりカーボンナノチューブ12の頭出しが容易となり、基体40及び基体42に対する接触面積を増加することができる。本実施形態による電子機器の製造方法では、予め基体42上に熱可塑性樹脂層44を形成しておき、この熱可塑性樹脂層44内にカーボンナノチューブ12を埋め込むため、カーボンナノチューブシートとして予めシート化しておく必要はない。このため、低粘度の熱可塑性樹脂材料を用いることによるシート化の困難性やハンドリング性の低下を生じることはない。
次いで、室温まで冷却し、融解した熱可塑性樹脂層44の熱可塑性樹脂材料を固化することにより、充填層14を形成する。これにより、基体40と基体42との間には、カーボンナノチューブ12と充填層14とを有するTIM10が形成される(図11)。充填層14の熱可塑性樹脂は固化する際に接着性を発現し、基体40と基体42とを接着固定することができる。これにより、室温に冷却した後も、TIM10と基体40及び基体42との間の低い接触熱抵抗を維持することができる。
こうして、基体40と基体42とがTIM10を介して接合された本実施形態の電子機器を完成する。
このように、本実施形態によれば、発熱体としての基体と放熱体としての基体とを、熱伝導率の極めて高いサーマルインターフェイスマテリアルを介して容易に接合することができる。これにより、放熱体と発熱体との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができ、放熱特性の優れた信頼性の高い高性能の電子機器を提供することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態による電子機器及びその製造方法について図12乃至図17を用いて説明する。図1乃至図11に示す第1実施形態による電子機器及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図12は、本実施形態による電子機器の構造を示す概略断面図である。図13乃至図17は、本実施形態による電子機器の製造方法を示す斜視図である。
はじめに、本実施形態による電子機器について図12を用いて説明する。
本実施形態による電子機器は、第1実施形態による電子機器と同様に、基体40,42と、基体40と基体42との間に設けられたTIM10とを有している。基体40,42は、一方が発熱体であり、他方が放熱体である。
TIM10は、複数のカーボンナノチューブ12と、カーボンナノチューブ12の一方の端部側に配置された熱可塑性樹脂の充填層14aと、カーボンナノチューブ12の他方の端部側に配置された熱可塑性樹脂の充填層14bとを有するシート状の構造体である。
カーボンナノチューブ12は、シートの膜厚方向、すなわちシートの表面と交差する方向に配向している。基体40,42との関係から言えば、カーボンナノチューブ12は、基体40,42の表面と交差する方向に配向している。カーボンナノチューブ12の端部は、基体40,42に直に接触されている。なお、カーボンナノチューブ12の少なくとも一方の端部に、必要に応じて、充填層14a,14bの材料よりも熱伝導率の高い材料の被膜16を更に設けるようにしてもよい。
カーボンナノチューブ12の一方の端部側に配置された充填層14aは、基体42に接しており、カーボンナノチューブ12と基体42とを接着している。また、カーボンナノチューブ12の他方の端部側に配置された充填層14bは、基体40に接しており、カーボンナノチューブ12と基体40とを接着している。これにより、基体40と基体42とは、TIM10によって接着されている。
第1実施形態による電子機器では、基体40,42の間の空間を充填するように充填層14を形成したが、充填層14は、必ずしも基体40,42との間の空間を完全に充填する必要はない。充填層14は、本実施形態による電子機器のTIM10のように、少なくとも、基体40に接する部分と、基体42に接する部分に形成されていればよい。
次に、本実施形態による電子機器の製造方法について図13乃至図17を用いて説明する。
まず、第1実施形態と同様にして、基板30上に、カーボンナノチューブ12及び被膜16を形成する。
次いで、基体40の表面上に、充填層14aとなる熱可塑性樹脂材料を塗布し、熱可塑性樹脂層44aを形成する。熱可塑性樹脂材料としては、第1実施形態の充填層14と同様の樹脂材料を適用することができる。
熱可塑性樹脂層44aの膜厚は、少なくとも、カーボンナノチューブ12を基板30から剥離する際にカーボンナノチューブ12を基体42に固定するに十分な膜厚とする。カーボンナノチューブ12を基体42に固定する観点からは、例えば1μm程度以上の膜厚の熱可塑性樹脂層44aを形成することが望ましい。
熱可塑性樹脂層44aの膜厚の上限は、基体40と基体42とを接合した際に余分な熱可塑性樹脂材料が多量に染み出すことのないように、適宜設定することが望ましい。例えば、後工程で基体40上に形成する熱可塑性樹脂層44bの膜厚との合計の膜厚が、カーボンナノチューブ12の長さと同程度、例えば5μm〜500μm程度となるように設定することが好適である。
次いで、基板30に成長したカーボンナノチューブ12上に、熱可塑性樹脂層44aとカーボンナノチューブ12とが対向するように、熱可塑性樹脂層44aを形成した基体42を載置する(図13)。
次いで、基板30上に基体42を載置した状態で、例えば195℃の温度で加熱する。これにより、熱可塑性樹脂層44aの熱可塑性樹脂を溶解し、カーボンナノチューブ12の間隙に浸透させる。
次いで、カーボンナノチューブ12間に熱可塑性樹脂層44を浸透させた後、室温まで冷却し、熱可塑性樹脂層44aを固化する(図14)。これにより、カーボンナノチューブ12が熱可塑性樹脂層44aによって基体42に固定される。
次いで、カーボンナノチューブ12及び熱可塑性樹脂層44aを、基体42とともに基板30から剥離する。この際、カーボンナノチューブ12と基板30との間の接合は弱いため、カーボンナノチューブ12を基板30から容易に剥離することができる。こうして、カーボンナノチューブ12を、基体42側に転写する(図15)。
次いで、必要に応じて、基板30から剥離した側のカーボンナノチューブ12の端面上に、被膜16の形成方法と同様にして、被膜(図示せず)を形成する。
次いで、基体40上に、充填層14bとなる熱可塑性樹脂材料を塗布し、熱可塑性樹脂層44bを形成する。なお、熱可塑性樹脂材料としては、第1実施形態の充填層14と同様の樹脂材料を適用することができる。
熱可塑性樹脂層44bの膜厚は、少なくとも、カーボンナノチューブ12を基体40上に固定するに十分な膜厚とする。カーボンナノチューブ12を基体40に固定する観点からは、例えば1μm程度以上の膜厚の熱可塑性樹脂層44bを形成することが望ましい。
熱可塑性樹脂層44bの膜厚の上限は、基体40と基体42とを接合した際に余分な熱可塑性樹脂材料が多量に染み出すことのないように、適宜設定することが望ましい。例えば、前述のように、熱可塑性樹脂層44aの膜厚との合計の膜厚が、カーボンナノチューブ12の長さと同程度、例えば5μm〜500μm程度となるように設定することが好適である。
次いで、基体40上に、熱可塑性樹脂層44bとカーボンナノチューブ12とが対向するように、カーボンナノチューブ12を転写した基体42を載置する(図16)。
次いで、基体40と基体42との間に荷重をかけた状態で熱処理を行い、熱可塑性樹脂層44a,44bをリフローする。熱可塑性樹脂層44a,44bとしてとしてヘンケルジャパン株式会社製の「Micromelt6239」を用いた場合には、例えば、荷重0.25MPaを加えた状態で、195℃、10分間の熱処理を行う。このときの荷重は、熱可塑性樹脂層44a,44bが、基体40及び基体42の表面に存在する凹凸に沿って変形して十分な接触状態を形成する荷重範囲であればよい。また、熱処理の温度及び時間は、基体40と基体42との界面に介在する熱可塑性樹脂層44が融解して移動し、カーボンナノチューブ12の端部が基体40及び基体42に対して直に接する表面状態になる範囲を選択すればよい。
この熱処理により熱可塑性樹脂層44a,44bは、液状融解する。これに伴い、カーボンナノチューブ12の基体40側の端部間に熱可塑性樹脂層44bが浸透し、カーボンナノチューブ12の当該端部は基体40に直に接するようになる。また、カーボンナノチューブ12の基体42側の端部では熱可塑性樹脂層44aによる拘束がゆるみ、当該端部は基体42に直に接するようになる。更には、カーボンナノチューブ12はしなやかで柔軟性に富んだ材料であるため、基体40及び基体42が有する凹凸形状に追従して撓むことができる。これにより、基体40及び基体42に直に接するカーボンナノチューブ12が増加し、基体40と基体42との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができる。融解時の粘度がより低い熱可塑性樹脂を用いると更に効果が大きい。
次いで、室温まで冷却し、熱可塑性樹脂44a,44bを固化することにより、充填層14a,14bを形成する。これにより、基体40と基体42との間には、カーボンナノチューブ12と充填層14a,14bとを有するTIM10が形成される(図17)。充填層14aの熱可塑性樹脂は、固化する際に接着性を発現し、基体42に接着固定される。また、充填層14bの熱可塑性樹脂は、固化する際に接着性を発現し、基体40に接着固定される。これにより、室温に冷却した後も、TIM10と基体40及び基体42との間の低い接触熱抵抗を維持することができる。
こうして、基体40と基体42とがTIM10を介して接合された本実施形態の電子機器を完成する。
なお、熱可塑性樹脂層44a,44bの合計膜厚がカーボンナノチューブ12の長さよりも厚い場合には、基体40と基体42とを接合する際、熱可塑性樹脂層44a,44bが一体となり、図1に示す第1実施形態による電子機器となる。
このように、本実施形態によれば、発熱体としての基体と放熱体としての基体とを、熱伝導率の極めて高いサーマルインターフェイスマテリアルを介して容易に接合することができる。これにより、放熱体と発熱体との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができ、放熱特性の優れた信頼性の高い高性能の電子機器を提供することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態による電子機器及びその製造方法について図18乃至図21を用いて説明する。図1乃至図17に示す第1及び第2実施形態による電子機器及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図18は、本実施形態による電子機器の構造を示す概略断面図である。図19乃至図21は、本実施形態による電子機器の製造方法を示す工程断面図である。
はじめに、本実施形態による電子機器について図18を用いて説明する。
本実施形態による電子機器は、第1実施形態による電子機器と同様、基体40,42と、基体40と基体42との間に設けられたTIM10とを有している。基体40,42は、一方が発熱体であり、他方が放熱体である。
TIM10は、基体42側の端部に被膜16aが形成された複数のカーボンナノチューブ12aと、基体40側の端部に被膜16bが形成された複数のカーボンナノチューブ12bと、カーボンナノチューブ12a,12bの間隙に充填された熱可塑性樹脂の充填層14とを有するシート状の構造体である。カーボンナノチューブ12a,12bは、シートの膜厚方向、すなわちシートの表面と交差する方向に配向している。カーボンナノチューブ12a,12bの端部は、基体40,42に直に接触されている。
なお、図18に示す電子機器では、第1実施形態による電子機器と同様、基体40,42の間の空間を充填するように充填層14を形成しているが、充填層14は、必ずしも基体40,42との間の空間を完全に充填する必要はない。充填層14は、第2実施形態による電子機器のTIM10のように、少なくとも、基体40に接する部分と、基体42に接する部分に形成されていればよい。
また、カーボンナノチューブ12aの基体40側の端部及びカーボンナノチューブ12bの基体42側の端部には被膜を形成していないが、被膜16a,16bと同様の被膜を形成するようにしてもよい。
次に、本実施形態による電子機器の製造方法について図19乃至図21を用いて説明する。
まず、第1実施形態による電子機器の製造方法と同様にして、基板30上に、カーボンナノチューブ12a及び被膜16aを形成する。
次いで、基体42の表面上に、充填層14となる熱可塑性樹脂材料を塗布し、熱可塑性樹脂層44aを形成する。熱可塑性樹脂材料としては、第1実施形態の充填層14と同様の樹脂材料を適用することができる。
熱可塑性樹脂層44aの膜厚は、少なくとも、カーボンナノチューブ12aを基板30から剥離する際にカーボンナノチューブ12aを基体42に固定するに十分な膜厚とする。熱可塑性樹脂層44aの膜厚の上限は、基体40と基体42とを接合した際に余分な熱可塑性樹脂材料の染み出し生じない膜厚とすることが望ましい。例えば、後工程で基体40上に形成する熱可塑性樹脂層44bの膜厚との合計が、カーボンナノチューブ12aの長さと同程度、例えば5μm〜500μm程度となるように設定することが好適である。
次いで、基板30に成長したカーボンナノチューブ12a上に、熱可塑性樹脂層44aとカーボンナノチューブ12aとが対向するように、熱可塑性樹脂層44aを形成した基体42を載置する(図19(a))。
次いで、基板30上に基体42を載置した状態で、例えば195℃の温度で加熱する。これにより、熱可塑性樹脂層44aの熱可塑性樹脂を溶解し、カーボンナノチューブ12aの間隙に浸透させる。
次いで、カーボンナノチューブ12a間に熱可塑性樹脂層44aを浸透させた後、室温まで冷却し、熱可塑性樹脂層44aを固化する(図19(b))。これにより、カーボンナノチューブ12aが熱可塑性樹脂層44aによって基体42に固定される。
次いで、カーボンナノチューブ12a及び熱可塑性樹脂層44aを、基体42とともに基板30から剥離する。この際、カーボンナノチューブ12aと基板30との間の接合は弱いため、カーボンナノチューブ12aを基板30から容易に剥離することができる。こうして、カーボンナノチューブ12aを、基体42側に転写する(図20(a))。
次いで、必要に応じて、基板30から剥離した側のカーボンナノチューブ12aの端面上に、被膜16aの形成方法と同様にして、被膜(図示せず)を形成する。
次いで、同様の手順により、熱可塑性樹脂層44bを形成した基体40に、被膜16bが形成されたカーボンナノチューブ12bを転写する(図20(b))。
次いで、カーボンナノチューブ12aが転写された基体42とカーボンナノチューブ12bが形成された基体42とを、カーボンナノチューブ12aとカーボンナノチューブ12bとが向き合うように重ね合わせる(図21(a))。
次いで、基体40と基体42との間に荷重をかけた状態で熱処理を行い、熱可塑性樹脂層44a,44bをリフローする。熱可塑性樹脂層44a,44bとしてとしてヘンケルジャパン株式会社製の「Micromelt6239」を用いた場合には、例えば、荷重0.25MPaを加えた状態で、195℃、10分間の熱処理を行う。このときの荷重は、熱可塑性樹脂層44a,44bが、基体40及び基体42の表面に存在する凹凸に沿って変形して十分な接触状態を形成する荷重範囲であればよい。また、熱処理の温度及び時間は、基体40と基体42との界面に介在する熱可塑性樹脂層44が融解して移動し、カーボンナノチューブ12a,12bの端部が基体40及び基体42に対して直に接する表面状態になる範囲を選択すればよい。
この熱処理により熱可塑性樹脂層44a,44bが液状融解する。これに伴い、カーボンナノチューブ12a,12bは、熱可塑性樹脂層44a,44bによる拘束がゆるみ、カーボンナノチューブ12aはカーボンナノチューブ12bの間隙に、カーボンナノチューブ12bはカーボンナノチューブ12aの間隙に、互いに挿入される。また、カーボンナノチューブ12a,12bの端部は、基体40及び基体42に直に接するようになる。この際、カーボンナノチューブ12はしなやかで柔軟性に富んだ材料であるため、基体40及び基体42が有する凹凸形状に追従して撓むことができる。これにより、基体40及び基体42に直に接するカーボンナノチューブ12が増加し、基体40と基体42との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができる。融解時の粘度がより低い熱可塑性樹脂を用いると更に効果が大きい。
次いで、室温まで冷却し、熱可塑性樹脂層44a,44bを固化することにより、充填層14を形成する。これにより、基体40と基体42との間には、カーボンナノチューブ12a,12bと充填層14とを有するTIM10が形成される(図21(b))。充填層14の熱可塑性樹脂は固化する際に接着性を発現し、基体40と基体42とを接着固定することができる。これにより、室温に冷却した後も、TIM10と基体40及び基体42との間の低い接触熱抵抗を維持することができる。
熱可塑性樹脂層44a,44bの合計膜厚がカーボンナノチューブ12a,12bの長さよりも薄い場合には、第2実施形態の場合のように、基体42側に充填層14aが形成され、基体40側に充填層14bが形成される。
こうして、基体40と基体42とがTIM10を介して接合された本実施形態の電子機器を完成する。
TIM10の熱伝導性は、カーボンナノチューブの面密度によって大きく変化する。カーボンナノチューブの面密度は、主に成長条件によって律速されるが、本実施形態による電子機器の製造方法を用いることにより、成長条件を変化することなく、カーボンナノチューブの面密度を2倍にすることができる。これにより、TIMの熱伝導率、放熱性を大幅に向上することができる。
このように、本実施形態によれば、発熱体としての基体と放熱体としての基体とを、熱伝導率の極めて高いサーマルインターフェイスマテリアルを介して容易に接合することができる。また、第1実施形態及び第2実施形態と比較して、カーボンナノチューブの面密度を2倍にすることができ、熱伝導率及び導電率を更に高めることができる。これにより、放熱体と発熱体との間の接触熱抵抗を大幅に低減することができ、放熱特性の優れた信頼性の高い高性能の電子機器を提供することができる。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、カーボンナノチューブを用いたサーマルインターフェイスマテリアルを示したが、カーボンナノチューブに代えて他の炭素元素の線状構造体を用いるようにしてもよい。炭素元素の線状構造体としては、カーボンナノチューブのほか、カーボンナノワイヤ、カーボンロッド、カーボンファイバが挙げられる。これら線状構造体は、サイズが異なるほかは、カーボンナノチューブと同様である。これら線状構造体を用いた放熱材料においても適用することができる。
また、上記実施形態に記載の構成材料や製造条件は、当該記載に限定されるものではなく、目的等に応じて適宜変更が可能である。
また、サーマルインターフェイスマテリアルの使用目的も、上記実施形態に記載のものに限定されるものではない。開示のサーマルインターフェイスマテリアルは、導電材料としてとしては、例えば、CPUの放熱シート、無線通信基地局用高出力増幅器、無線通信端末用高出力増幅器、電気自動車用高出力スイッチ、サーバー、パーソナルコンピュータなどへの適用が考えられる。また、カーボンナノチューブの高い許容電流密度特性を利用して、縦型配線シートやこれを用いた種々のアプリケーションにも適用可能である。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1の基体上に、熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
前記第1の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の複数の線状構造体を、前記熱可塑性樹脂層を用いて前記第1の基体上に転写する工程と、
第2の基体上に、前記第1の基体上に転写した前記複数の線状構造体の端部が前記第2の基体に接するように前記第1の基体を載置する工程と、
前記第1の基体と前記第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行うことにより、前記熱可塑性樹脂層を融解して前記第1の基体と前記第2の基体との間に充填するとともに、前記複数の線状構造体の一方の端部を前記第1の基体に接触させ、前記複数の線状構造体の他方の端部を前記第2の基体に接触させる工程と、
融解した前記熱可塑性樹脂層を固化し、前記第1の基体と前記第2の基体とを前記熱可塑性樹脂層により接着固定する工程と
を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記2) 第1の基体上に、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
前記第1の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の複数の線状構造体を、前記熱可塑性樹脂層を用いて前記第1の基体上に転写する工程と、
第2の熱可塑性樹脂層を形成した第2の基体上に、前記第1の基板から剥離した側の前記複数の線状構造体の端部が前記第2の熱可塑性樹脂層に接するように前記第1の基体を載置する工程と、
前記第1の基体と前記第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行うことにより、前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を融解し、前記複数の線状構造体の一方の端部を前記前記第1の基体に接触させ、前記複数の線状構造体の他方の端部を前記第2の基体に接触させる工程と、
融解した前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を固化し、前記第1の基体と前記複数の線状構造体とを前記第1の熱可塑性樹脂層により接着固定し、前記第2の基体と前記複数の線状構造体とを前記第2の熱可塑性樹脂層により接着固定する工程と
を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記3) 付記2記載の電子機器の製造方法において、
前記第2の基体上に前記第1の基体を載置する工程の前に、
前記第2の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の他の複数の線状構造体を、前記第2の熱可塑性樹脂層を用いて前記第2の基体上に転写する工程と、
前記荷重をかけながら熱処理を行う工程では、前記他の複数の線状構造体の一方の端部を前記前記第2の基体に接触させ、前記他の複数の線状構造体の他方の端部を前記第1の基体に接触させ、
前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を固化する工程では、前記第1の基体と前記他の複数の線状構造体とを前記第1の熱可塑性樹脂層により接着固定し、前記第2の基体と前記他の複数の線状構造体とを前記第2の熱可塑性樹脂層により接着固定する
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記4) 付記2又は3記載の電子機器の製造方法において、
前記荷重をかけながら熱処理を行う工程では、融解した前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層により、前記第1の基体と前記第2の基体との間を充填する
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記5) 付記1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
前記複数の線状構造体を転写する工程は、
前記基板上に、前記複数の線状構造体を成長する工程と、
前記熱可塑性樹脂層を形成した前記第1の基体を、前記熱可塑性樹脂層が前記複数の線状構造体に接するように前記基板上に載置する工程と、
前記熱可塑性樹脂層を融解し、融解した前記熱可塑性樹脂層を前記複数の線状構造体の間隙に浸透させる工程と、
前記熱可塑性樹脂層を固化し、前記複数の線状構造体を前記熱可塑性樹脂層により前記第1の基体に固定する工程と、
前記基板を、前記第1の基体に固定した前記複数の線状構造体から剥離する工程とを有する
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記6) 付記1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
前記熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂材料は、温度に応じて液体と固体との間で状態変化し、液体から固体に状態変化する際に接着性を発現する
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記7) 付記1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
前記複数の線状構造体を成長する工程では、前記基板の表面と交差する方向に配向した前記複数の線状構造体を成長する
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記8) 付記1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
前記複数の線状構造体の端部上に、前記熱可塑性樹脂層よりも熱伝導率の高い被膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
(付記9) 付記1乃至8のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
前記第1の基体及び前記第2の基体は、一方が発熱体であり、他方が放熱体である
ことを特徴とする電子機器の製造方法。
10…TIM
12,12a,12b…カーボンナノチューブ
14,14a,14b…充填層
16,16a,16b…被膜
30…基板
32…触媒金属膜
40,42…基体
44,44a,44b…熱可塑性樹脂層
50…回路基板
52…突起状電極
54…半導体素子
58…ヒートスプレッダ
60…有機シーラント

Claims (6)

  1. 第1の基体上に、熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
    前記第1の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の複数の線状構造体を、前記熱可塑性樹脂層を用いて前記第1の基体上に転写する工程と、
    第2の基体上に、前記第1の基体上に転写した前記複数の線状構造体の端部が前記第2の基体に接するように前記第1の基体を載置する工程と、
    前記第1の基体と前記第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行うことにより、前記熱可塑性樹脂層を融解して前記第1の基体と前記第2の基体との間に充填するとともに、前記複数の線状構造体の一方の端部を前記第1の基体に接触させ、前記複数の線状構造体の他方の端部を前記第2の基体に接触させる工程と、
    融解した前記熱可塑性樹脂層を固化し、前記第1の基体と前記第2の基体とを前記熱可塑性樹脂層により接着固定する工程と
    を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
  2. 第1の基体上に、第1の熱可塑性樹脂層を形成する工程と、
    前記第1の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の複数の線状構造体を、前記熱可塑性樹脂層を用いて前記第1の基体上に転写する工程と、
    第2の熱可塑性樹脂層を形成した第2の基体上に、前記第1の基板から剥離した側の前記複数の線状構造体の端部が前記第2の熱可塑性樹脂層に接するように前記第1の基体を載置する工程と、
    前記第1の基体と前記第2の基体との間に荷重をかけながら熱処理を行うことにより、前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を融解し、前記複数の線状構造体の一方の端部を前記前記第1の基体に接触させ、前記複数の線状構造体の他方の端部を前記第2の基体に接触させる工程と、
    融解した前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を固化し、前記第1の基体と前記複数の線状構造体とを前記第1の熱可塑性樹脂層により接着固定し、前記第2の基体と前記複数の線状構造体とを前記第2の熱可塑性樹脂層により接着固定する工程と
    を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
  3. 請求項2記載の電子機器の製造方法において、
    前記第2の基体上に前記第1の基体を載置する工程の前に、
    前記第2の基体とは異なる基板上に成長した炭素元素の他の複数の線状構造体を、前記第2の熱可塑性樹脂層を用いて前記第2の基体上に転写する工程と、
    前記荷重をかけながら熱処理を行う工程では、前記他の複数の線状構造体の一方の端部を前記前記第2の基体に接触させ、前記他の複数の線状構造体の他方の端部を前記第1の基体に接触させ、
    前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層を固化する工程では、前記第1の基体と前記他の複数の線状構造体とを前記第1の熱可塑性樹脂層により接着固定し、前記第2の基体と前記他の複数の線状構造体とを前記第2の熱可塑性樹脂層により接着固定する
    ことを特徴とする電子機器の製造方法。
  4. 請求項2又は3記載の電子機器の製造方法において、
    前記荷重をかけながら熱処理を行う工程では、融解した前記第1の熱可塑性樹脂層及び前記第2の熱可塑性樹脂層により、前記第1の基体と前記第2の基体との間を充填する
    ことを特徴とする電子機器の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
    前記複数の線状構造体を転写する工程は、
    前記基板上に、前記複数の線状構造体を成長する工程と、
    前記熱可塑性樹脂層を形成した前記第1の基体を、前記熱可塑性樹脂層が前記複数の線状構造体に接するように前記基板上に載置する工程と、
    前記熱可塑性樹脂層を融解し、融解した前記熱可塑性樹脂層を前記複数の線状構造体の間隙に浸透させる工程と、
    前記熱可塑性樹脂層を固化し、前記複数の線状構造体を前記熱可塑性樹脂層により前記第1の基体に固定する工程と、
    前記基板を、前記第1の基体に固定した前記複数の線状構造体から剥離する工程とを有する
    ことを特徴とする電子機器の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器の製造方法において、
    前記第1の基体及び前記第2の基体は、一方が発熱体であり、他方が放熱体である
    ことを特徴とする電子機器の製造方法。
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