JP2011219515A - 光カチオン重合性を有する光重合増感剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】光カチオン重合反応において光重合増感効果が高く、かつ耐昇華性、耐ブルーミング性の優れた光重合増感剤を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する9,10−グリシジルオキシアントラセン誘導体であって、光カチオン重合性を有し、光重合増感剤としての効果を有するだけでなく、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物を重合させた硬化物において、当該化合物自らも光重合反応を起こし、重合で生成する高分子樹脂骨格に取り込まれる特徴を有する前記誘導体、これを含有する重合性組成物及びその硬化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光カチオン重合において、耐昇華性、耐ブルーミング性の優れた光カチオン重合性を有する光重合増感剤であるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物及び、その当該アントラセン−9,10−ジエーテル化合物を含有する重合性組成物及びその硬化物に関する。
紫外線や可視光線等の活性エネルギー線により重合する光硬化性樹脂は、硬化が速く、熱硬化性樹脂に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。したがって、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等に広く利用されている。従来の光硬化性樹脂はそれ自体では重合開始機能が乏しく、硬化させるには通常、光重合開始剤を用いる必要がある。光重合開始剤として、一般にオニウム塩などが用いられるが、光重合開始剤の光吸収は225nm〜350nm付近にあり、350nm以上には吸収を持たない。そのため、中圧や高圧の水銀灯などを光源とした場合、光硬化反応が進行しにくいなどの問題があり、必要に応じて光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、アントラセン、フェノチアジン、ペリレン化合物が知られている。
アントラセン系の光重合増感剤としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が用いられている。例えば、光カチオン重合における光重合開始剤であるヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセンなどの9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献1)。また、脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル製、商品名:UVR6110)の光カチオン重合に対し、光重合増感剤として2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンが使用されている(特許文献2、3)。
しかしながら、従来から使用されている光重合増感剤は、光重合性組成物を硬化した後、ポストベーク(熱処理)したときにしばしば昇華物が発生し、それが排気ダクト等に付着したり、さらに付着した昇華物がフィルムなどの硬化物上に降りかかるなどのトラブルを引き起こすことが問題視されている。また、プリベーク(溶媒蒸発操作)工程がある場合は、そのプリベーク工程で光重合増感剤が昇華等で系外に流出することにより、光硬化時の光重合増感剤の濃度が不足して、光硬化が不十分となる場合がある。
また、光硬化時あるいは硬化物の保存中にブルーミングにより、光重合増感剤等の添加物が表面ににじみ出し、硬化物の粉吹きや着色の問題を引き起こすことが知られている。
特開2002−302507号公報 特開平11−279212号公報 特開2000−344704号公報
したがって、ベーキング工程において昇華物の発生しにくく、ブルーミングの起きにくい光カチオン重合性組成物の開発が望まれており、特に高感度で耐昇華性、耐ブルーミング性の高い光重合増感剤を用いた感光性組成物の開発が求められている。
特開2000−344704号(特許文献3)に種々のアントラセン−9,10−ジエーテル化合物を光カチオン重合増感剤として用いた例が開示されている。しかしながら、これらの文献にはポストベーク時の昇華物の問題やブルーミングについての課題認識はなく、当然本発明のアントラセン−9,10−ジエーテル化合物がその問題を解決する事のできることについての示唆もない。
本発明者は、アントラセン−9,10−ジエーテル化合物の構造と物性に関してさらに鋭意検討した結果、本発明のアントラセン−9,10−ジエーテル化合物が、光カチオン重合の光重合増感剤として優れた効果をしめすのみならず、当該アントラセン−9,10−ジエーテル化合物は、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物を重合させた硬化物中において、自らも光重合反応を起こし、重合反応で生成する高分子樹脂骨格に取り込まれるなど高分子化することにより、すぐれた耐昇華性を有し、ブルーミング(にじみ出し)などを起こしづらくなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、下記一般式(1)で示される光カチオン重合性を有する光重合増感剤に存する。
一般式(1)において、X及びYは同一であっても異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のいずれかを示す。
本発明の第2の要旨は、前記光カチオン重合性を有する光重合増感剤と光重合開始剤としてオニウム塩を含有する光重合開始剤組成物に存する。
本発明の第3の要旨は、前記光重合開始剤組成物と光カチオン重合性化合物を含有する光重合性組成物に存する。
本発明の第4の要旨は、前記光重合性組成物を硬化してなる硬化物に存する。
本発明の一般式(1)で示されるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物は、光重合反応において光重合増感剤としての効果を有するだけでなく、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物を重合させた硬化物中において、当該化合物自らも光重合反応を起こし、重合反応で生成する高分子樹脂骨格に取り込まれるなど高分子化することにより、すぐれた耐昇華性、耐ブルーミング性を有する。
(光重合増感剤)
本発明の光カチオン重合性を有する光重合増感剤であるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物は、一般式(1)に記載の構造を有する化合物である。
一般式(1)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のいずれかを示す。
一般式(1)中、X及びYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル碁、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n―プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)に示すアントラセン−9,10−ジエーテル化合物としては、まず、アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルが挙げられる。
本発明の一般式(1)に示すアントラセン−9,10−ジエーテル化合物の具体例を置換基毎に例示する。本発明の一般式(1)において、X及びYがアルキル基である場合の例としては、1−メチルアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−メチルアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−エチルアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−エチルアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−(t−ブチル)−アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−(t−ブチル)−アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
X及びYがハロゲン原子である場合の例としては、1−フルオロアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−フルオロアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−クロロアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−クロロアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−ブロモアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−ブロモアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
X及びYがアルコキシ基である場合の例としては、1−メトキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−メトキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−エトキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−エトキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−ブトキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−ブトキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
X及びYがアリールオキシ基である場合の例としては、1−フェノキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−フェノキシアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、1−(p−トリルオキシ)−アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル、2−(p−トリルオキシ)−アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で示されるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物は、その分子中に光重合増感機能を有するアントラセン構造部分と光カチオン重合性を有するグリシジル基部分を有する。
本発明の一般式(1)で示されるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物は光重合増感剤として光カチオン重合硬化速度を促進することが判明した。当該アントラセン−9,10−ジエーテル化合物を光重合増感剤として、光重合開始剤と配合することにより、光重合開始剤組成物を調製することができる。
(光重合開始剤組成物)
本発明の光重合開始剤組成物は、光重合増感剤として前記一般式(1)で示されるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物と、光重合開始剤を含有する組成物である。光重合開始剤としては、オニウム塩を用いることができる。オニウム塩としては通常スルホニウム塩またはヨードニウム塩が用いられる。スルホニウム塩としてはS,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサメトキシフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェートが挙げられ、例えばダウ・ケミカル製UVI6992を用いることができる。一方、ヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサメトキシフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサメトキシアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタメトキシフェニルボレートが挙げられ、例えばチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製イルガキュア250(イルガキュアはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の登録商標)、ローディア社製2074を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用しても構わない。
本発明の光重合開始剤組成物において、一般式(1)で示される光重合増感剤の光重合開始剤組成物中における使用量は、特に限定されないが光重合開始剤に対して通常5〜100重量%の範囲、好ましくは10〜50重量%の範囲である。光重合増感剤の使用量が5重量%未満では光重合性化合物を光重合させるのに時間がかかりすぎてしまい、一方、100重量%を超えて使用しても添加に見合う効果は得られない。
(光重合性組成物)
本発明の光重合性組成物は、一般式(1)で示されるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物と光重合開始剤を含有する光重合開始剤組成物と、光カチオン重合性化合物とを含有する組成物である。
本発明の光重合性組成物において、使用することができる光カチオン重合性化合物としてはエポキシ化合物、ビニルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族のグリシジルエーテル等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートが挙げられ、例えばダウ・ケミカル製UVR6105、UVR6110を用いることができる。エポキシ変性シリコーンとしては東芝GEシリコーン製UV−9300等が挙げられる。芳香族グリシジル化合物としては2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン等が挙げられる。ビニルエーテルとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の光重合性組成物において、光重合開始剤組成物の使用量は、光重合性組成物に対して0.005〜10重量%の範囲、好ましくは0.025〜5重量%である。0.005重量%未満だと光重合性組成物を光重合させるのに時間がかかってしまい、一方10重量%より多いと光重合させて得られる硬化物の硬度が低下し、硬化物の物性を悪化させるため好ましくない。
本発明の光重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、希釈剤、着色剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の各種樹脂添加剤を配合してもよい。
(硬化物)
本発明の光重合性組成物を光硬化させる場合、当該光重合性組成物をフィルム状に成形して光硬化させることもでき、塊状に成形して光硬化させることもできる。フィルム状に成形して光硬化させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルムなどの基材にバーコーターなどを用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布することができる。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。このようにして調製した膜に、250〜500nmの波長範囲を含む紫外線を1〜1000mW/cm程度の強さで光照射すればよい。用いる光源としてはメタルハライドランプ、キセノンランプ、紫外線LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。太陽光の使用も可能である。
本発明の硬化物の光硬化の判定は、タックフリーテスト(指触テスト)に基づいて行った。すなわち、光重合性組成物に光照射すると、硬化して表面のタック(べたつき)が取れるため、光照射を開始してからタック(べたつき)が取れるまでの時間を測定し、光硬化時間とした。
(耐昇華性、耐ブルーミング性の判定)
本発明の硬化物の耐昇華性の判定は、当該硬化物をオーブン中で一定時間加熱し、加熱前後の硬化物中に含まれる光重合増感剤の量をUVスペクトルにより測定し、光重合増感剤の減少量から昇華した光重合増感剤の量を算出した。UVスペクトル測定には、紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。また、耐ブルーミング性の判定は、当該試験片の表面状態を観察し、一定時間加熱後の当該試験片の表面の粉吹きや変色状態を観察することにより行った。即ち、耐昇華性、耐ブルーミング性は、光重合増感剤が減少により判定できるが、減少していない場合でも、試験片の表面が粉吹きや曇りなどの変色が見られる場合は、ブルーミングを起こしていると判定される。
(光重合増感剤の溶出試験)
本発明の一般式(1)で示されるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物は光重合反応において光重合増感剤としての効果を有するだけでなく、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物を重合させた硬化物中において、当該化合物自らも光重合反応を起こし、光重合性硬化物中に取り込まれる。当該化合物の自己重合性は以下の方法により評価した。すなわち、光重合増感剤を含む光重合性組成物を光硬化させた後に当該硬化物をメチルエチルケトンなどの有機溶媒により抽出操作を行い、有機溶媒中への溶出率を測定することにより確認した。光重合増感剤の溶出率(%)を当該抽出処理前後の硬化物中に含まれる光重合増感剤の量をUVスペクトルにより測定し、下記数式により算出した。UVスペクトル測定には、紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、すべての部は重量部である。
(実施例1)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部、光重合開始剤としてヨードニウム塩(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア250)2.5部、光重合増感剤としてアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル1.0部を混合し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)の上にバーコーター(No.8)を用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、当該組成物を塗布したフィルム表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。光照射開始から当該組成物の塗布面のべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1.5分であった。
(実施例2)
光カチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物(ダウ・ケミカル社製UVR6105)100部、光重合開始剤としてスルホニウム塩(DOW社製UVI−6992)6部、光重合増感剤として実施例2で合成したアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテル1.0部を混合し、光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1.0分であった。
(比較例1)
光重合増感剤としてアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルを添加しない以外は実施例1と同様に光重合性組成物を調製した。このようにして調製した当該組成物をポリエステルフィルム(東レ製ルミラー)の上にバーコーターを用いて膜厚が12ミクロンになるように塗布した。ついで、表面からサンダー社製紫外線LEDを用いて光照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。しかし、当該組成物は30分照射後しても硬化しなかった。
(比較例2)
光重合増感剤としてアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン1.0部を添加した以外は実施例1と同様に光重合性組成物を調製した。紫外線LEDを照射して硬化時間を求めた。照射光の中心波長は395nmで照射強度は4mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1.5分であった。
実施例1、2及び比較例1、2の結果を表1に示す。
表1より、次のことが明らかである。すなわち、本発明のアントラセン−9,10−ジエーテル化合物が光カチオン重合において、光重合増感効果を有し、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと比較しても少量の添加でも優れた増感効果を有していることがわかる。
(実施例3)<耐昇華性試験>
実施例1において調製した硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルに起因する405nmの吸収強度を測定した。その結果、30分間加熱した後でも、当該吸収強度に変化は認められず、添加したアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルは昇華していないことが判明した。したがって、昇華率は0%であった。試験片の表面状態も粉吹き、曇り等は見られなかった。
(比較例3)<耐昇華性試験>
比較例2において調製した硬化物をオーブン中で180℃に加熱した。一定時間ごとに硬化物をオーブンから出して、UVスペクトルを測定し、9,10−ジブトキシアントラセンに起因する405nmの吸収強度の変化を昇華の指標として測定した。その結果、30分間加熱した後、当該吸収強度は34%減少した。したがって、昇華率は34%であった。
実施例3及び比較例3の結果を表2に示す。
(実施例4)<溶出試験>
実施例1と同様に硬化物を調整した。当該硬化物を2cm角に切り、溶媒としてメチルエチルケトン20ml中に25℃15時間浸漬したのち、乾燥し、当該硬化物のUVスペクトルを測定した。光重合増感剤として使用したアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルに起因する405nmのUV吸収強度を測定し、溶媒浸漬前後のアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルの含有量を算出した。その結果、溶媒浸漬後の光重合増感剤として添加したアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルのUV吸収強度は溶媒浸漬前のUV吸収強度と同じであり、変化はなかった。すなわち、溶媒浸漬後において、アントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルは溶出していないことが判明した。
(比較例4)<溶出試験>
比較例2と同様に硬化物を調整した。当該硬化物を2cm角に切り、メチルエチルケトン20ml中に25℃15時間浸漬したのち、乾燥し、UVスペクトルを測定した。光重合増感剤として使用した9,10−ジブトキシアントラセンに起因する405nmのUV吸収強度を測定し、溶媒浸漬前後の9,10−ジブトキシアントラセンの含有量を算出した。その結果、溶媒浸漬後における光重合増感剤として添加した9,10−ジブトキシアントラセンのUV吸収強度は溶媒浸漬前のUV吸収強度に対して75%まで減少していた。すなわち、溶媒浸漬後において、9,10−ジブトキシアントラセンは25%溶出していることが判明した。
実施例4及び比較例4の結果を表3に示す。
表2及び表3から次のことが明らかである。すなわち、本発明のアントラセン−9,10−ジエーテル化合物は光カチオン重合において光重合増感剤として優れた効果を有するばかりでなく、硬化物中において、耐昇華性、耐ブルーミング性が優れていることがわかる。また、表3より、光重合増感剤として添加したアントラセン−9,10−ジグリシジルエーテルが、その物自体はメチルエチルケトンに易溶であるにもかかわらず、その物を含む重合性組成物の硬化物を溶媒に長時間浸漬しても溶出しないことから、光重合増感剤であるアントラセン−9,10−ジエーテル化合物もまた光重合反応を起こし、重合反応で生成する高分子樹脂骨格に取り込まれることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される光カチオン重合性を有する光重合増感剤。

    (一般式(1)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリールオキシ基のいずれかを表す。)
  2. 請求項1に記載の光カチオン重合性を有する光重合増感剤と光重合開始剤としてオニウム塩を含有する光重合開始剤組成物。
  3. 請求項2に記載の光重合開始剤組成物と光カチオン重合性化合物を含有する光重合性組成物。
  4. 請求項3に記載の光重合性組成物を硬化してなる硬化物。
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