JP2010222391A - エポキシ樹脂組成物、シート状成形体、プリプレグ、硬化体、積層板及び多層積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂と、硬化剤と、レーザー回折法により測定された平均粒子径が1μm以下である球状シリカとを含有し、エポキシ樹脂が、液状エポキシ樹脂とアントラセン骨格を有するエポキシ樹脂とを含み、エポキシ樹脂組成物の固形分100重量%中のアントラセン骨格を有するエポキシ樹脂の含有量が5〜20重量%、かつ液状エポキシ樹脂100重量部に対するアントラセン骨格を有するエポキシ樹脂の含有量が20〜150重量部であるエポキシ樹脂組成物、並びに該エポキシ樹脂組成物を加熱し、予備硬化させた後、粗化処理することにより形成された硬化体1。
【選択図】図1
Description
本発明に係るエポキシ樹脂組成物に含まれているエポキシ樹脂とは、少なくとも1つのエポキシ基(オキシラン環)を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂の1分子当たりのエポキシ基の数は、1以上である。エポキシ基の数は、2以上であることが好ましい。エポキシ樹脂には、エポキシ樹脂の誘導体又はエポキシ樹脂の水添物も含まれる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤として、従来公知の硬化剤を用いることができる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は硬化促進剤を含むことが好ましい。本発明では、硬化促進剤は任意成分である。硬化促進剤は特に限定されない。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物に含まれている球状シリカは、レーザー回折法により測定された平均粒子径が1μm以下であれば特に限定されない。球状シリカは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、マレイミド化合物を含有することが好ましい。マレイミド化合物は、マレイミド骨格を有する。このマレイミド化合物の使用により、硬化体の線膨張率を顕著に低くすることができる。さらに、硬化体のガラス転移温度を高くすることができる。これは、マレイミド化合物に由来する剛直な骨格が硬化体中に導入されるため、硬化体中の分子鎖のミクロブラウン運動が抑制されるためであると考えられる。本発明に係るエポキシ樹脂組成物を用いて硬化体又は積層板を形成することにより、硬化体又は積層板の耐熱性が大幅に高くなるという効果を期待できる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、硬化体の引張強度を高くすることができ、例えば破断点伸度及び破断強度を高くすることができる。これは、フェノキシ樹脂が無機成分と有機成分とを繋ぐ役割を果たすためであると考えられる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。エポキシ樹脂組成物の製造方法としては、例えば、上記エポキシ樹脂と、上記硬化剤と、球状シリカと、必要に応じて配合される成分とを、溶剤に添加した後、乾燥し、溶剤を除去する方法等が挙げられる。本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよい。本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、溶剤に溶解された状態で用いることができる。例えば、多層積層板の最表面に用いることで、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を熱硬化性ソルダーレジストとして用いることができる。
本発明に係るシート状成形体は、上記エポキシ樹脂組成物をシート状に成形することにより形成されている。「シート」は、厚さや幅に限定されず、板状の形状を有するものであり、シートにはフィルムも含まれる。シート状成形体には、接着性シートが含まれる。
本発明に係るプリプレグでは、上記エポキシ樹脂組成物が多孔質基材に含浸されている。エポキシ樹脂組成物を多孔質基材に含浸させることにより、プリプレグが得られる。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物をシート状に成形することにより形成されたシート状成形体、又は該エポキシ樹脂組成物を多孔質基材に含浸させることにより形成されたプリプレグを加熱し、予備硬化させた後、粗化処理することにより、硬化体を得ることができる。
本発明に係る積層板は、上記シート状成形体を硬化させた硬化体と、該硬化体の少なくとも片面に積層されている金属層とを備える。
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC社製、商品名「850S」)
アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「YX8800」)
ビフェニル骨格を有するフェノール硬化剤(明和化成社製、商品名「MEH7851−4H」、上記式(1)で表されるフェノール化合物に相当する硬化剤)
アミノトリアジン構造を有するフェノール硬化剤(DIC社製、商品名「LA−1356」、固形分60重量%MEK(メチルエチルケトン)溶液)
イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製、商品名「2PZ−CN」、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)
パーオキサイド系硬化促進剤(化薬アクゾ社製、商品名「PERKADOX BC−FF」、ジクミルパーオキサイド)
0.3μm球状シリカ50重量%含有スラリー1:
イミダゾールシラン(日鉱金属社製、商品名「IM−1000」)処理した球状シリカ(平均粒子径0.3μm、BET法での比表面積18m2/g)50重量%と、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)50重量%とを含む球状シリカ50重量%含有スラリー
イミダゾールシラン(日鉱金属社製、商品名「IM−1000」)処理した球状シリカ(平均粒子径0.5μm、BET法での比表面積7m2/g)50重量%と、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)50重量%とを含む球状シリカ50重量%含有スラリー
イミダゾールシラン(日鉱金属社製、商品名「IM−1000」)処理した球状シリカ(平均粒子径1.5μm、BET法での比表面積5m2/g)50重量%と、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)50重量%とを含む球状シリカ50重量%含有スラリー
ポリフェニルメタンマレイミド(大和化成社製、商品名「BMI−2300」、上記式(11)で表されるマレイミド化合物の混合物に相当し、該混合物の上記式(11)中のxの平均値が0.2〜0.3)
変性ビフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「YX6954BH30」、固形分30重量%、溶剤はMEK(メチルエチルケトン)とシクロヘキサノンとの混合溶剤)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、特級、和光純薬社製)
上記0.3μm球状シリカ50重量%含有スラリー1を350重量部と、N,N−ジメチルホルムアミド209重量部とを混合し、均一な溶液となるまで、常温で攪拌した。その後、上記イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製、商品名「2PZ−CN」)2重量部をさらに添加し、均一な溶液となるまで、常温で攪拌した。
使用した材料の種類及び配合量を下記の表1,2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、エポキシ樹脂組成物がマレイミド化合物及びフェノキシ樹脂を含む場合には、上記エポキシ樹脂及び上記硬化剤の添加の際に、マレイミド化合物及びフェノキシ樹脂を添加した。
(未硬化体Aの作製)
離型処理された透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「PET5011 550」、厚み50μm、リンテック社製)を用意した。このPETフィルム上にアプリケーターを用いて、乾燥後の厚みが40μmとなるように、得られたエポキシ樹脂組成物を塗工した。次に、100℃のギアオーブン内で2分間乾燥することにより、縦200mm×横200mm×厚み40μmの大きさのシート状成形体としての未硬化体Aを作製した。
得られた上記未硬化体Aを170℃のギアオーブン内で1時間加熱して、半硬化体Bを作製した。
得られた上記未硬化体Aを、ガラスエポキシ基板(FR−4、品番「CS−3665」、利昌工業社製)に真空ラミネートし、170℃のギアオーブン内で1時間加熱して、予備硬化させた。このようにして、ガラスエポキシ基板上に予備硬化された硬化体Cが積層された積層体を得た。その後、下記の膨潤処理をした後、下記の粗化処理(過マンガン酸塩処理)をした。
80℃の膨潤液(スウェリングディップセキュリガントP、アトテックジャパン社製)に、上記積層体を入れて、膨潤温度80℃で20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
80℃の過マンガン酸カリウム(コンセントレートコンパクトCP、アトテックジャパン社製)粗化水溶液に、膨潤処理された上記積層体を入れて、粗化温度80℃で20分間揺動させた。その後、25℃の洗浄液(リダクションセキュリガントP、アトテックジャパン社製)により10分間洗浄した後、純水でさらに洗浄した。このようにして、ガラスエポキシ基板上に、粗化処理された硬化体Dを形成した。
ガラスエポキシ基板上に形成された硬化体Dに、以下の手順で無電解銅めっき及び電解銅めっき処理を施した。
得られた上記半硬化体Bを180℃のギアオーブン内で1時間加熱し、硬化させて、硬化体Kを得た。
得られた上記硬化体Kを15mm×15mmの大きさに裁断した。裁断された硬化体を10枚重ね合わせて、厚み400μmの積層物を得た。誘電率測定装置(品番「HP4291B」、HEWLETT PACKARD社製)を用いて、周波数1GHzにおける常温(23℃)での積層物の誘電率及び誘電正接を測定した。
得られた上記硬化体Kを、3mm×25mmの大きさに裁断した。線膨張率計(品番「TMA/SS120C」、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、引張り荷重2.94×10−2N、昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化体の23〜150℃における平均線膨張率(α1)、及び150〜240℃における平均線膨張率(α2)を測定した。
得られた上記硬化体Kを5mm×3mmの大きさに裁断した。粘弾性スペクトロレオメーター(品番「RSA−II」、レオメトリック・サイエンティフィックエフ・イー社製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で、30から250℃まで裁断された硬化体の損失率tanδを測定し、損失率tanδが最大値になる温度(ガラス転移温度Tg)を求めた。
得られた上記硬化体Kを10mm×80mmの大きさに裁断した。裁断された硬化体を2つ積層し、厚み80μmの試験サンプルを得た。引張試験機(商品名「テンシロン」、オリエンテック社製)を用いて、チャック間距離60mm、クロスヘッド速度5mm/分の条件で引張試験を行い、試験サンプルの破断強度(MPa)及び破断点伸度(%)を測定した。
銅めっき層が上面に形成された硬化体Eを用意し、銅めっき層の表面に10mm幅に切り欠きを入れた。その後、引張試験機(商品名「オートグラフ」、島津製作所社製)を用いて、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、硬化体と銅めっき層との接着強度を測定した。得られた測定値を粗化接着強度とした。
非接触3次元表面形状測定装置(品番「WYKO NT1100」、Veeco社製)を用いて、94μm×123μmの測定領域における粗化処理された上記硬化体Dの表面の算術平均粗さRa及び十点平均粗さRzを測定した。
上記未硬化体Aを23℃及び相対湿度60%の条件で1時間保管した。その後、未硬化体にNTカッター(L刃、0.45mm)で切り込みを入れた。そのときに、切り屑が発生した場合を「×」、切り屑が発生しなかった場合を「○」としてハンドリングを評価した。
片面銅張積層板(品番「CS−3282」、銅箔厚さ30μm、利昌工業社製)に、公知の方法により、フォトレジストを塗布し、露光し、現像して、幅100μm、高さ25μm及び長さ10mmの銅配線が100μm間隔で平行に20本並んだパターンを形成した。この積層板上に、上記未硬化体Aを真空ラミネートし、170℃のギアオーブン内で1時間加熱して硬化させ、積層板と硬化体層との積層体を得た。得られた積層体の硬化体層の上面を下層の銅配線を横断するように計測し、凹凸の深部と頂部との高さを、表面粗さ計(商品名「SJ−301」、ミツトヨ社製)により測定した。1つの凹部と隣り合う凹部において、その差が大きいほうを採用し、19点の差を求め、その平均値を表面の凹凸とした。
1a…上面
1b…孔
2…金属層
11…多層積層板
12…基板
12a…上面
13〜16…硬化体
17…金属層
Claims (10)
- エポキシ樹脂と、硬化剤と、レーザー回折法により測定された平均粒子径が1μm以下である球状シリカとを含有し、
前記エポキシ樹脂が、液状エポキシ樹脂と、アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂とを含み、
エポキシ樹脂組成物の固形分100重量%中、前記アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂の含有量が5〜20重量%の範囲内であり、かつ前記液状エポキシ樹脂100重量部に対して、前記アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂の含有量が20〜150重量部の範囲内である、エポキシ樹脂組成物。 - エポキシ樹脂組成物の固形分100重量%中、前記球状シリカの含有量が1〜60重量%の範囲内である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂組成物の固形分100重量%中、前記液状エポキシ樹脂の含有量が10〜30重量%の範囲内である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- フェノキシ樹脂をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物をシート状に成形することにより形成されたシート状成形体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物が多孔質基材に含浸されたプリプレグ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物をシート状に成形することにより形成されたシート状成形体、又は該エポキシ樹脂組成物が多孔質基材に含浸されたプリプレグを加熱し、予備硬化させた後、粗化処理されている硬化体であって、
粗化処理された表面の算術平均粗さRaが0.2μm以下、十点平均粗さRzが2.0μm以下である、硬化体。 - 請求項5に記載のシート状成形体を硬化させた硬化体と、該硬化体の少なくとも片面に積層されている金属層とを備える、積層板。
- 前記金属層が、回路として形成されている、請求項8に記載の積層板。
- 積層された複数の硬化体と、該硬化体の間に配置された金属層とを備え、
前記硬化体が、請求項5に記載のシート状成形体を硬化させた硬化体である、多層積層板。
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