JP7365746B2 - 感光性組成物 - Google Patents
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Description
一般に感光性組成物は、光重合開始剤および増感剤、ラジカル(またはカチオン)重合性モノマー、オリゴマー又はポリマー、用途に応じ着色剤及び添加剤からなる。着色剤は大別して顔料及び染料からなり、塗膜を着色させるために配合されるが、光を遮蔽してしまうだけでなく、その色に応じた光吸収特性を持ち照射する光の一部を吸収するため、着色剤を含む感光性組成物では塗布された塗膜の深部にまで光が届かないことがある。これに対し、特定の光重合開始剤を使用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
すなわち本発明は、
(A)一般式(1)で表されるジアリールヨードニウム塩
(B)増感剤
(C)ラジカル重合性化合物
(D)充填剤
を必須成分として含有することを特徴とする、感光性組成物である。
(Ar1)2I+ [ (R1)(R2)(R3)(R4)Ga]- (1)
〔式中、R1~R4は、互いに独立して、炭素数1~18のアルキル基またはArであるが、但し、少なくとも1つが、Arであり、Arは、炭素数6~14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1~18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1~8のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、炭素数6~14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、-OR6で表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、R7CO-で表されるアシル基、R8COO-で表されるアシロキシ基、-SR9で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、-NR10R11で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく、R6~R9は炭素数1~18のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基、R10及びR11は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基であり;Ar1はArと同じ定義であり、ヨードニウムカチオン上の2つのAr1は同一でも異なっていてもよい。〕
(Ar1)2I+ [ (R1)(R2)(R3)(R4)Ga]- (1)
アリール基としては、以上の他に、アリール基中の水素原子の一部が炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、-OR6で表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、R7CO-で表されるアシル基、R8COO-で表されるアシロキシ基、-SR9で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、-NR10R11で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
-OR6で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられる。
R7CO-で表されるアシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ピバロイル及びベンゾイル等が挙げられる。
R8COO-で表されるアシロキシ基としては、アセトキシ、ブタノイルオキシ及びベンゾイルオキシ等が挙げられる。
-SR9で表されるアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ、2-エチルヘキシルチオ及びシクロヘキシルチオ等が挙げられる。
-SR9で表されるアリールチオ基としては、フェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
-NR10R11で表されるアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジプロピルアミノ、フェニルメチルアミノ、ジフェニルアミノ及びピペリジノ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
特に好ましくは、一般式(1)で表されるオニウムガレート塩の[ (R1)(R2)(R3)(R4)Ga]-で表されるガレートアニオンが[Ga(C6F5)4] -又は、[Ga((CF3)2C6H3)4] -である。
特に、電子受容性の観点から、ケトン化合物、ジケトン化合物の増感剤を使用したときに、高い増感効果が得られるので好ましい。
例えば、(メタ)アクリレート化合物(C11)、アクリルアミド化合物(C12)、及びその他のラジカル重合性化合物(C13)が挙げられる。
尚、上記及び以下において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、エチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレンモノアクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2,2,2-テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、4-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノビニルエーテルモノアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート及びEO変性-2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
窒素雰囲気下で十分に乾燥させた125mL4つ口フラスコに超脱水ジエチルエーテル360部及び3,4,5-トリフルオロ-1-ブロモベンゼン26部仕込み、これをドライアイス/アセトン浴を用いて-78℃に冷却した。2.5mol/Lのn-ブチルリチウムヘキサン溶液70部を10分かけて滴下し、その後、-78℃で30分撹拌した。これに、塩化ガリウム(III)5部を溶解させたジエチルエーテル溶液68部を10分かけて滴下し、-78℃で3時間撹拌した。反応液を徐々に室温に戻しながら攪拌し、室温に戻してから更に5時間撹拌した。析出した固体をろ過し、反応液をエバポレーターに移し、溶媒を留去することにより、灰白色の生成物を得た。生成物を超脱水ヘキサン50部で4回洗浄した後、一晩真空乾燥させ、リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート(A-1)を得た。生成物は19F-NMRにて同定した。
製造例1において、3,4,5-トリフルオロ-1-ブロモベンゼン26部を2,4-ビス(トリフルオロメチル)-1-ブロモベンゼン36部とする以外は製造例1と同様の操作を行い、リチウムテトラキス(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ガレート(A-2)を得た。
製造例1において、ト3,4,5-トリフルオロ-1-ブロモベンゼン26部をペンタフルオロブロモベンゼン30部とする以外は製造例1と同様の操作を行い、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート(A-3)を得た。
反応容器にジ(tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート(東京化成製)5.4部とジクロロメタン30部を加えた。攪拌しながら製造例2で合成したリチウム塩(A-2)9.3部、さらに水50部を加えて室温下18時間攪拌した。静置後水層を分液により除去し、さらに有機層を水50部で5回洗浄した。有機溶媒を減圧下で留去することにより白色固体12.5部を得た。1H、19Fにより、このものはヨードニウム塩(IS-1)であることを確認した。
製造例4において、リチウム塩(A-2)9.3gに代えてリチウム塩(A-1)6.0gとする以外は製造例4に記載の方法に従い、目的物8.0gを得た。1H、19Fよりこの白色固体がヨードニウム塩(IS-2)であることを確認した。
製造例4において、リチウム塩(A-2)9.3gに代えてリチウム塩(A-3)7.5gとする以外は製造例4に記載の方法に従い、目的物10.3gを得た。1H、19Fよりこの白色固体がヨードニウム塩(IS-3)であることを確認した。
反応容器に4-メチルヨードベンゼン2部を加え、さらに酢酸5mL、硫酸1mLを加えて溶解させ、氷水浴にて冷却しながら15℃以下で過硫酸カリウム1gを少しずつ加えた。20℃で4時間反応させ、そこへクメン2.4部を、20℃を超えないように滴下した。その後室温で20時間反応させた。反応液を、リチウム塩(A-3)7.5gを水50mLで溶解させたものへ投入し、さらに3時間撹拌した。そこへジクロロメタン50mLを加えた。静置後水層を分液により除去し、有機層を水50mLにて5回洗浄を行った。ジクロロメタンを濃縮しシクロヘキサンで再結晶を行い、白色固体7.8部を得た。1H、19F-NMRにより、このものはヨードニウム塩(IS-4)であることを確認した。
製造例7において、リチウム塩(A-3)7.5部に代えてリチウム塩(A-2)9.3部とする以外は製造例7に記載の方法に従い、目的物を得た。1H、19F-NMRにより、ヨードニウム塩(IS-5)であることを確認した。
製造例7において、4-メチルヨードベンゼン2部をヨードベンゼン1.9部、クメン2.4部をn-オクチルオキシベンゼン4.2部とする以外は製造例7に記載の方法に従い、目的物を得た。1H、19F-NMRにより、ヨードニウム塩(IS-6)であることを確認した。
[感光性組成物の調製]
ラジカル重合性化合物(C)100g(配合比、量については表1に記載)、ジアリールヨードニウム塩(A)1g、増感剤(B)0.2g及び必要に応じ第三級アミン化合物(E)0.2gを均一混合し、本発明の感光性組成物及び比較感光性樹脂組成物を調製した。使用した原材料の種類は表1に示した。この感光性組成物を、内径10mm×肉厚5mm×高さ10mmのポリテトラフルオロエチレン製のモールド片方を硝子板で圧接した状態で感光性組成物を流し込み、光源として照射装置LIGHTNINGCUREスポット光源LC8(浜松ホトニクス社製)を用いて露光を行った。露光はシャープカットフィルター(HOYA製)Y44(430nm以下カット)を通して露光した。以下の評価方法にて硬化性および硬化物外観を確認した。その結果を表1に示す。
[使用した原材料]
IS-1~IS-6(上記に記載ヨードニウム塩)
IS’-1:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
IS’-2:4-イソプロピルフェニル(p-トリル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート
B-1:カンファーキノン
B-2: 3,3'-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)
C-1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
C-2:トリエチレングリコールジメタクリレート
C-3:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート
E-1:4-ジメチルアミノ安息香酸エチル
[硬化性評価]
硬化性:硬化物をモールドから取り出し、硬化物表面硬化度合いを指触にて確認し、十分に硬化しているものについてその厚みを測定した。
◎ 表面にタックがなく爪で引っかいても傷がつかず、硬化物厚み5mm以上。
〇 表面にタックがなく爪で引っかいても傷がつかず、硬化物厚みが5mm未満。
△ 表面にタックが残る。
× 液状のまま硬化しない。
硬化物外観:硬化物の外観が透明なものを〇、黄色味を帯びているものを△、黄色~褐色のものを×として評価を行った。
実施例13、および比較例9で配合した感光性組成物3部に対し、充填剤(D)7部をさらに配合した充填剤入り感光性組成物を調製し、上記と同様の硬化性試験を行ったところ、どちらも良好な硬化体を得られたが、実施例では白色の硬化体が得られたのに対し、比較例ではやや黄色の硬化体であった。このことから、本発明の感光性組成物は硬化物の着色を抑制できるので、審美性を課題とする歯科材料に好適に利用できる。
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