JP2011216433A - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電時に発生する水による流路の閉塞が生じにくく、発電効率の低下や接触抵抗の上昇を抑制してなり、優れた強度およびガス不透化性を有し、均質性に優れた燃料電池用セパレータを、生産性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部2により形成されてなる、多孔質部2と緻密質部3とを有する燃料電池用セパレータ1を製造する方法であって、多孔質部形成用炭素質粉末21と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、緻密質部材32を作製する工程と、前記緻密質部材32の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末21を散布し、熱圧成形して一体化する工程と、を施す。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用セパレータの製造方法に関する。
燃料電池は、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、電気エネルギーへの変換効率が高く、騒音や振動も少ないことから、携帯機器、自動車、鉄道、コジェネレーション等の多様な分野における電源として今後の発展が期待されている。
燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池は、イオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)の両面を白金などの触媒を担持させたアノード電極板およびカソード電極板で挟み、その両外側に板状セパレータを配してなる単セルを基本構成単位とし、この単セルを数十〜数百個積層させたスタックとその外側に設けた2つの集電体等から構成されてなるものであり、代表的には、水素等の燃料ガス及び空気等の酸化剤ガスの流路としての溝を、各電極板のセパレータ側表面に刻設したリブ付電極方式と、各セパレータの表面に刻設したリブ付セパレータ方式等がある(例えば、特許文献1(特開2000−21421号公報)参照)。
上記板状セパレータは、燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離した状態で電極に供給するために高度のガス不透過性が必要とされ、また、発電効率を高めるために、電池の内部抵抗を低減して高い導電性を有することが必要とされる。さらに、スタックを形成する際に単セル同士が密着するように強く締め付ける必要があるので高い材質強度を有することが求められるとともに、自動車に搭載した場合などには、振動、衝撃、温度変化などによる伸縮によって生じる亀裂や破損を抑制する材質特性が求められる。
このような材質特性が要求されるセパレータには、従来から炭素質系の材料が用いられており、熱硬化性樹脂をバインダーとして黒鉛などの炭素粉末を結着、一体化した炭素−樹脂硬化成形体が好適に使用されている。
ところで、上記燃料電池用セパレータにおいては、発電時に発生する水により、ガス流路である溝が閉塞され易いことから、本技術課題を解決する手段として、従来より、ガス流路である溝表面に撥水性を有する短繊維を設けたり(例えば、特許文献2参照)、親水化処理する等の方法が提案されているが、これ等の方法においては、親水化処理後に後処理が必要となったり、セパレータの接触抵抗が上昇するために電池性能が低下してしまうといった技術課題が存在していた。
特開2000−21421号公報 特開平8−130024号公報
上記技術課題を解決するために、本発明者が鋭意検討したところ、ガス流路壁面を形成する反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータであれば、発電時に発生する水を多孔質部で拡散し得るためにガス流路の閉塞を生じにくく、多孔質部とともに緻密質部を形成することにより、多孔質部の形成に伴って低減する強度とガス不透過性を緻密質部で補うことができるため、優れた燃料電池用セパレータが得られることを着想した。
そこで、緻密質部形成用原料と多孔質部形成用原料をそれぞれ予め圧縮成形、熱硬化した後に、金型中で加熱圧縮する方法が考えられたが、この場合、得られるセパレータにおいて、多孔質部と緻密質部が十分に接合しないため、接合強度が低く、多孔質部と緻密質部の界面に接触抵抗を生じてしまうことが判明した。
また、燃料電池用セパレータ材の製造方法としては、特許文献1に記載されているように、黒鉛粉末と熱硬化性樹脂とを混合し、乾燥、粉砕した後、成形型で成形する方法が一般的であるが、原料混合物を乾燥し、粉砕した後、粉末状粉砕物を成形型へ充填するといった一定の手間と処理時間とを必要とする。
さらに、特に平均粒径が50μm以上の黒鉛粉末と熱硬化樹脂とを混合してスラリー状原料混合物を得る際には、黒鉛粉末が沈降し易いため黒鉛粉末の分散性に優れたスラリー状原料混合物が得られにくいことが判明した。近年、特に自動車用途においては、燃料電池スタックの小型化、セパレータの薄肉化が強く求められるようになっているが、スラリー状原料混合物中の黒鉛粉末の分散性が低下すると成形後にス(空隙)を生じたり厚みのバラツキを生じて均質なセパレータが得られにくくなる。
このような状況下、本発明は、発電時に発生する水による流路の閉塞が生じにくく、発電効率の低下や接触抵抗の上昇を抑制してなり、優れた強度およびガス不透化性を有し、均質性に優れた燃料電池用セパレータを、高い生産性の下で製造する方法を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決するために本発明者がさらに検討したところ、燃料電池用セパレータの製造方法として、緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、緻密質部材を作製する工程と、前記緻密質部材の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布し、熱圧成形して一体化する工程とを施すことにより、反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータを製造する方法を採用することにより、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータを製造する方法であって、
緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、緻密質部材を作製する工程と、
前記緻密質部材の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布し、熱圧成形して一体化する工程と、
を施すことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法、
(2)反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータを製造する方法であって、
緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、ガス流路形状に対応した凹凸表面を有するコルゲート状緻密質部材を作製する工程と、
前記コルゲート状緻密質部材の凹凸表面に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布し、熱圧成形して一体化する工程と、
を施す上記(1)に記載の燃料電池用セパレータの製造方法、
(3)前記多孔質部形成用炭素質粉末をブラスト法により散布する上記(1)または(2)に記載の燃料電池用セパレータの製造方法、
(4)前記多孔質部形成用炭素質粉末の体積平均粒径が50〜300μmである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法、
(5)前記緻密質部材と前記多孔質部形成用炭素質粉末とを熱圧成形して一体化する工程の後工程として、さらに親水化処理工程を施す上記(1)〜(4)のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法、
(6)得られる燃料電池用セパレータを構成する多孔質部の気孔率が30〜80%である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、得られる燃料電池用セパレータを構成する反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなるものであることにより、発電時に生じる水の拡散を容易にし、ガス流路の閉塞を抑制して、発電効率の低下を抑制することができるとともに、接触抵抗の上昇を抑制することができる。
また、本発明によれば、得られる燃料電池用セパレータが上記多孔質部とともに緻密質部を有することにより、優れた強度およびガス不透化性を得ることができる。
さらに、本発明によれば、スラリー状の成形材料をシート化して緻密質部を形成することから、緻密質部形成材料(原料混合物)の乾燥物を粉砕等する工程を省略することができ、また、予め緻密質部材の反応電極側壁面に多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した状態で多孔質部形成用炭素質粉末を散布することにより、多孔質部を簡便に作製することができる。
加えて、本発明によれば、多孔質部形成用炭素質粉末をスラリー化することなく、緻密質部表面に直接散布して多孔質部を形成することから、多孔質部形成用炭素質粉末が緻密質部材上に良好に分散して均質性の高いセパレータを容易に得ることができる。
本発明で用いる緻密質部材の作製例を示す図である。 本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法の例を示す図である。 本発明の方法で得られた燃料電池用セパレータを用いた燃料電池用単セルの説明図である。
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、
反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータを製造する方法であって、
緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、緻密質部材を作製する工程と、
前記緻密質部材の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布し、熱圧成形して一体化する工程と、
を施すことを特徴とするものである。
<緻密質部材の作製>
本発明において、緻密質部材は、緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより作製される。
本発明の方法において、緻密質部材を作製する具体的態様としては、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを、必要に応じてフェノール樹脂硬化剤や硬化促進剤とともに有機溶剤に溶解してバインダー樹脂液を作製する工程(バインダー樹脂液作製工程)と、バインダー樹脂液に緻密質部形成用炭素質粉末を分散させてスラリー状緻密質部形成材料を作製する工程(スラリー状緻密質部形成材料作製工程)と、該スラリーをフィルム上に塗布し、乾燥した後、離型して緻密質部形成材であるグリーンシートを作製する工程(グリーンシート作製工程)と、得られたグリーンシートを成形型内に充填して加圧成形する工程とを施す方法を挙げることができる。
(1)バインダー樹脂液作製工程
バインダー樹脂液(緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダー含有液)は、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを、必要に応じフェノール樹脂硬化剤や硬化促進剤とともに攪拌、混合し、さらに必要に応じ後述する緻密質部形成用炭素質粉末を分散し得る最低必要量の分散剤を、所望の質量比で適宜な有機溶剤に攪拌、溶解することにより作製することができる。
緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとしては、スルホン酸などの電解質に対する耐酸性および燃料電池の作動温度に耐える耐熱性を有するものであれば特に限定されず、例えば、レゾールタイプのフェノール樹脂、ノボラックタイプのフェノール樹脂に代表されるフェノール樹脂系、フルフリルアルコール樹脂、フルフリルアルコールフルフラール樹脂、フルフリルアルコールフェノール樹脂などのフラン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ピレン−フェナントレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂や多官能フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとしては、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂とを組み合わせてなる混合樹脂が好ましい。
2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂としては、数平均分子量が1500〜3500であるとともに、数平均分子量/エポキシ当量が2以上である、下記一般式(I)で表される2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
G−O−(R−O)−G (I)
(ただし、Gはグリシジル基、Oは酸素原子、Rは炭素数が2〜10のアルキレン基、kは1以上の整数であり、kが2以上の整数である場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(I)で表されるエポキシ樹脂において、2つのグリシジル基G、G間に存在するk個のアルキレン基Rに含まれる総炭素数が120超であると、樹脂の柔軟性が高くなるのでセパレータ材の破断歪みは大きくなるが、曲げ強度は例えば30MPa未満と低くなる。また、上記総炭素数が30未満では2つのグリシジル基G、G間の分子鎖が短すぎるので柔軟性が低くなる。また、kは8〜30であることが好ましく、15〜25であることがより好ましい。
一般式(I)で表される2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリオキシテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂などを挙げることができ、これ等の樹脂の中でも酸素原子数の割合が相対的に低いものが好ましく、酸素原子数の割合が相対的に低くなると、耐水性が向上し、得られるセパレータの吸水膨潤性を抑制することができる。
一般式(I)で表される2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂は直鎖単結合構造であるため、分子鎖が可動し易く、柔軟性を有し、ゴム弾性を発揮しやすい構造を有しているため、セパレータに優れた可撓性、伸縮性、破断歪み特性を付与することができる。
一方、多官能フェノール型エポキシ樹脂は、分子中にフェノール骨格を有し、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されず、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、2官能フェノール型エポキシ樹脂を挙げることができる。
2官能フェノール型エポキシ樹脂は分子中に2個のエポキシ基を有するものであり、2官能フェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、一般式(II)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂を挙げることができる。
一般式(II)で表される2官能フェノール型エポキシ樹脂において、nは1〜10の整数であり、1〜5の整数であることが好ましく、2〜3の整数であることがより好ましい。
一般式(II)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、平面的なベンゼン環を有することから分子が運動し難く、柔軟性が低いが、その構造上、セパレータに高い曲げ強度を付与することができる。
また、多官能フェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、3以上の官能基を有する多官能フェノール型エポキシ樹脂を挙げることができる。このような多官能フェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、一般式(III)で表されるエポキシ樹脂を挙げることができる。
一般式(III)で表される多官能フェノール型エポキシ樹脂において、mは3〜8の整数であり、4〜8の整数であることが好ましく、5〜7の整数であることがより好ましい。
一般式(III)で表される多官能フェノール型エポキシ樹脂のうち、例えば、5官能フェノール型エポキシ樹脂(一般式(III)において、mが3であるエポキシ樹脂)は、分子中に5個のエポキシ基を有するとともに、分子骨格にベンゼン環を有するものであり、硬化すると三次元構造を形成して硬質でかつ脆い性質を示すが、その構造上、セパレータに高い曲げ強度を付与することができる。
本発明の方法において、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとして、2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂を用いると、得られるセパレータが薄肉化した場合であっても、十分な可撓性(柔軟性)と曲げ強度を付与することができる。
そして、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとして、上記2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂と多官能フェノール型エポキシ樹脂との混合樹脂を用いる場合、可撓性と強度とをバランスさせたセパレータを得るためには、該混合樹脂および後述するフェノール樹脂硬化剤の合計量に対する2官能脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂量の割合が、25〜50質量%であることが好ましく、30〜45質量%であることがより好ましく、35〜40質量%であることがさらに好ましい。上記割合が25質量%未満であると、セパレータの破断歪みが小さくなって割れ易くなり、50質量%超であると、セパレータの機械的強度が不十分となる。また、上記混合樹脂および後述するフェノール樹脂硬化剤の合計量に対する多官能フェノール型エポキシ樹脂量の割合が、25〜50質量%であることが好ましく、30〜45質量%であることがより好ましく、35〜40質量%であることがさらに好ましい。
緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダー量が少ないと得られるセパレータの強度が低下し、逆に緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダー量が多くなると電気抵抗が高くなる。
バインダー樹脂液を構成するフェノール樹脂硬化剤としては、分子中にフェノール構造を有するものであれば特に限定されず、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、キシレン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂などのノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールAなどのビスフェノール類、該ビスフェノール類を該ビスフェノール類のジグリシジルエーテルで高分子量化したり、エピクロルヒドリンと上記ビスフェノール類とを後者が過剰となる割合で反応させて得られるビスフェノール系樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂硬化剤の含有割合は、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとして、多官能フェノール型エポキシ樹脂を用いる場合、該エポキシ樹脂中における全エポキシ基に対するフェノール樹脂中における全フェノール性水酸基の当量比(フェノール樹脂中における全フェノール性水酸基/エポキシ樹脂中における全エポキシ基)が0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.5であることがより好ましく、0.9〜1.1であることがさらに好ましく、1.0程度であることが特に好ましい。上記当量比が0.5未満であるか1.5を超えると、未反応の混合樹脂あるいはフェノール樹脂硬化剤の残存量が多くなるため、効率が低下してしまう。
また、バインダー樹脂液を構成する硬化促進剤としては、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩などから選ばれる1種以上を挙げることができ、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとして、多官能フェノール型エポキシ樹脂を用いる場合、通常、樹脂100質量部に対し0.05〜3質量部の範囲で添加することができる。
また、上記バインダー樹脂液中に含まれる緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダー、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤の合計量は、緻密質部形成用炭素質粉末100質量部に対して、10〜35質量部であることが好ましい。
バインダー樹脂液を構成する有機溶媒としては、一般に入手可能なもので、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを溶解させ得るものであれば特に限定されず、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が多く用いられ、これ等の有機溶媒のうち、後述するスラリーをドクターブレード成形してグリーンシート化する際の、スラリーの安定性や粘度、シートの乾燥速度などを考慮すると、メチルエチルケトンが最も好ましい。
有機溶媒量が多くなると、緻密質部形成用炭素質粉末の沈降が速くなり、後述するグリーンシートの表裏に組織差が発生して反り上がりを生じる場合がある。逆に有機溶媒量が少なくなると、後述するスラリーの粘度が上昇し、グリーンシート形成時にブレードが凝集した炭素質粉末を引きずって表面に凹凸を生じるため、シート化が困難になる。
バインダー樹脂液を構成する分散剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤等を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、芳香族エーテル型、カルボン酸エステル型、アクリル酸エステル型、リン酸エステル型、スルホン酸エステル型、脂肪酸エステル型、ウレタン型、フッ素型、アミノアマイド型、アクリルアマイド型の各種ポリマーからなるものが挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基を含有する各種ポリマーからなるものが挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸型、リン酸型、スルホン酸型、ヒドロキシ脂肪酸型、脂肪酸アマイド型の各種ポリマーからなるものが挙げられる。
上記各界面活性剤の分子量は、緻密質部形成用炭素質粉末を上記有機溶媒中に分散させるために、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で、2,000〜100,000の範囲にあることが望ましい。上記重量平均分子量が、2,000未満であると、分散剤が緻密質部形成用炭素質粉末表面に吸着した際にポリマー成分が充分な立体反発層を形成することができず、分散粒子の再凝集が起こるため好ましくない。また、上記重量平均分子量が、100,000を越えると製造再現性が低下したり、凝集剤として作用する場合がある。
これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
分散剤は、緻密質部形成用炭素質粉末100質量部に対して0.1〜5質量部加えることが好ましい。分散剤の添加量が、緻密質部形成用炭素質粉末100質量部に対して0.1質量部より少なくなると、緻密質部形成用炭素質粉末が分散せずにすぐに沈降してしまう。また、同添加量が緻密質部形成用炭素質粉末100質量部に対して5質量部より多くなると、樹脂特性を低下させ、結果的にセパレータ材の機械的特性の悪化(強度低下)を招くばかりか、耐薬品性、特に硫酸酸性液中における特性劣化を招くことになる。
また、バインダー樹脂液は、上記分散剤のほかにも、必要に応じて、例えば、濡れ浸透剤、防腐剤、消泡剤、表面調整剤などの添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜含有することできる。これ等の添加剤を含有することにより、安定したスラリーを作製して、表面の滑らかなグリーンシートを得ることができる。
バインダー樹脂液は、上記有機溶媒中に、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを、必要に応じ、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、分散剤等とともに添加して、攪拌機にて攪拌、混合することにより作製することができる。攪拌時間は1時間程度が好ましく、攪拌機の回転数は、100〜1000回転/分程度であることが好ましい。
(2)スラリー状緻密質部形成材料作製工程
上記(1)工程で得たバインダー樹脂液と、緻密質部形成用炭素質粉末とを混合して、緻密質部形成用炭素質粉末が分散したスラリー状緻密質部形成材を作製する。
緻密質部形成用炭素質粉末としては、人造黒鉛粉末、天然黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、あるいは、これらの混合物などの黒鉛粉末を挙げることができ、これらのうち、曲げ強度や破断歪み等のセパレータ材の機械的特性を考慮すると、人造黒鉛粉末単独あるいは人造黒鉛粉末と天然黒鉛粉末の混合粉末が好ましく、また、上記各黒鉛粉末は、適宜粉砕機により粉砕し篩分けして粒度調整してから使用することが好ましい。
緻密質部形成用炭素質粉末は、粒子径1〜30μmの粒子を30〜90質量%含み、最大粒子径が50〜150μmであるものが好ましい。
緻密質部形成用炭素質粉末を構成する粒子径1〜30μmの粒子の量が30〜90質量%であることにより、溶液量が少なくしても流動性がよく安定なスラリーとなり、グリーンシート成形時に乾燥収縮によるひび割れの発生を抑制して緻密化を図ることができ、機械的強度が向上したセパレータを得ることができる。一方、緻密質部形成用炭素質粉末を構成する粒子径1〜30μmの粒子の量が30質量%未満であると、得られるセパレータの機械的強度が低下しやすくなり、90質量%を超えるとセパレータの抵抗値が上昇しやすくなる。また、緻密質部形成用炭素質粉末の最大粒子径が50μm未満であるとセパレータの抵抗値が増加しやすくなり、最大粒子径が150μmを超えるとガス不透過性が低下しやすくなる。
炭素質粉末が粒子径1〜30μmの粒子と粒子径50〜150μmの粒子の両者を含むことにより、次工程のグリーンシート作製時に大きな粒子の間隙に小さな粒子が入り込む充填効果もあって、緻密なグリーンシートを得ることができる。
また、炭素質粉末が大きな粒子とともに小さな粒子を含むものであることによって、ヒビ割れの発生を抑制し、強度や破断歪等の機械的特性が向上したグリーンシートを得ることができる。
上記粒径分布を有する炭素質粉末は、上記篩分けにより粒度調整した炭素質粉末を適宜な量比に混合することにより作製することができる。
また、緻密質部形成用炭素質粉末としては、圧縮反発率が120%以下のものが好ましく、100〜115%のものがより好ましく、100〜110%のものがさらに好ましい。圧縮反発率とは、炭素質粉末を50MPaで加圧圧縮した時点の体積と、除圧した後の体積の割合(除圧した後の体積/加圧圧縮した時点の体積)を百分率で表わしたものである。
上記バインダー樹脂液と緻密質部形成用炭素質粉末とを混合、分散処理して、スラリー状緻密質部形成材料を作製する。
緻密質部形成用炭素質粉末は、緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダー、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤の合計量(樹脂成分合計量)に対して、質量比で、樹脂成分合計量:緻密質部形成用炭素質粉末=10:90〜35:65となるようにバインダー樹脂液と混合することが好ましい。樹脂成分合計量の質量割合が10%未満であり、炭素質粉末の質量割合が90%超であると、熱硬化性樹脂バインダー量が低減するので、成形時の流動性が低下して均一に混合することが困難になり、組成が不均一になり易い。一方、樹脂成分合計量の質量割合が35%超であり、炭素質粉末の質量割合が65%未満であると、成形性は向上するが、炭素質粉末と熱硬化性樹脂バインダーからなる成形体の電気抵抗が大きくなり、得られるセパレータを用いて燃料電池を作製した際に、燃料電池の性能低下を招きやすくなる。
バインダー樹脂液と炭素質粉末との混合、分散処理は、万能撹拌機、超音波処理装置、カッターミキサー、三本ロール等の分散機を用いて行うことが好ましく、バインダー樹脂液中に炭素質粉末を分散させ、さらに適宜有機溶剤を添加して粘度が100〜2000mPa・s、好ましくは100〜1000mPa・sになるように調整し、スラリー化することが好ましい。スラリーの粘度が100mPa・sを下回ると、グリーンシートの作製時にドクターブレードから原料スラリーが流出し、シートが広がるため、均質な厚さのシートを形成することができなくなる。また、スラリーの粘度が2000mPa・sを超えると、グリーンシートの作製時に、ブレードが凝集した炭素質粉末を引きずって表面に凹凸を生じるため、シート化が困難になる。
なお、グリーンシートの作製時において、上記混合、分散処理によって巻き込んだエアが、グリーンシート表面に凹凸を形成し均質性を低下する場合があるので、遠心処理や真空脱気等の手法により上記スラリー中のエアを脱気した上で、グリーンシートを作製することが望ましい。
(3)グリーンシート作製工程
上記(2)工程で調製したスラリーを、ドクターブレード法によりポリエステルなどのフィルム上に塗布する。この際、ドクターブレードとフィルム間のギャップを適宜0.2〜0.8mm程度に調整した後、ドクターブレードのスラリーホッパーにスターラーでよく攪拌したスラリーを流し込み、好ましくは離型剤を塗布したフィルム上に均等な厚みに塗布する。
得られるグリーンシートの厚みは、ドクターブレードとフィルムとのギャップ間隔やスラリー濃度を調整することにより調整することができ、乾燥後の厚みで0.1〜0.5mmになるように制御することが好ましい。
得られたグリーンシートは、自然乾燥させたり、所望により、ある程度の長さにカットした上で扇風機などを用いて送風乾燥して、目視にて溶媒分が揮発するまで乾燥させることが好ましい。また、溶媒分が揮発し、表面が乾いた状態となってから、所定の寸法にカッターナイフで切れ目を入れたり、打ち抜き型で所定形状、寸法にした上で、更に所定時間、乾燥、或いは冷却することでフィルムから離形し易くしてから表面のフィルムを剥がして離型することが好ましい。
このように、ドクターブレード法は、炭素質粉末等の原料粉末、熱硬化性樹脂バインダー類、分散剤、有機溶剤等からなるスラリーをドクターブレード装置を用いてキャリヤフィルム上に一定の厚みになるように連続塗工した後、乾燥して有機溶剤を揮発・蒸発させることにより、グリーンシートを得る方法であり、シート成形、乾燥、巻き取り、打ち抜き加工等を連続的に行う生産方法であることから、高い生産効率で緻密質部形成材であるグリーンシートを作製することができる。このため、スラリー状原料混合物を乾燥させ、粉砕して成形粉を作製した上でセパレータを製造する従来法に比べ、セパレータ製造時における作業効率や生産性を向上させることができる。
このようにして得られたグリーンシートは、緻密な樹脂膜から構成されてなるものであることから、得られるセパレータ材のガス不透過性を向上させることができる。
このようにして得られるグリーンシートは、厚さ0.1〜1.0mmであることが適当であり、0.15〜0.8mmであることがより適当であり、0.2〜0.6mmであることがさらに適当である。
(4)加圧成形工程
上記(3)工程で得たグリーンシートを、得ようとするセパレータ材の厚さに応じて適宜複数枚積層した上で加圧成形することにより、緻密質部材を作製することができる。
緻密質部形成用グリーンシートの加圧成形は、例えば、グリーンシートを所望枚数重ね合せた状態で金型内に配置し、ホットプレート等を用いて緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーの融点以上の温度或いは緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを溶融して加熱硬化できる温度まで金型ごと予熱した後、プレス機に投入して加圧することにより行うことができる。加圧成形物は、金型の温度が室温まで低下する前に取り出すことが好ましい。
上記加圧成形は、例えば、図1(a)に示すような、緻密質本体部形成用グリーンシート31aと緻密質部縁部形成用グリーンシート31bとを用いて、この緻密質本体部形成用グリーンシート31aと緻密質部縁部形成用グリーンシート31bとを、図1(b)に示すように重ね合せた状態で、金型内に配置し、ホットプレート等を用いて金型ごと上記温度雰囲気下で予熱した後、プレス機に投入して、加圧することにより行うことができる。
このようにして、図1(c)に示すような、縁部を有する緻密質部材31を得ることができる(図1(c)の上図が緻密質部材31の斜視図であり、図1(c)の下図が緻密質部材31の主表面に対する垂直断面図である)。緻密質本体部形成用グリーンシート31aや緻密質部縁部形成用グリーンシート31b等の積層数は、得ようとする緻密質部材の厚さに応じて適宜変更すればよい。
緻密質部材は、上記グリーンシートを2〜6枚積層してなるものであることが好ましい。緻密質部材が、図1(c)に示すような態様を採る場合には、緻密質本体部形成用グリーンシート31aを1〜3枚、緻密質部縁部形成用グリーンシート31bを1〜3枚積層し、加圧成形してなるものであることが好ましい。
本発明の方法において、緻密質部材は、図1(d)に断面形状を示すように、ガス流路形状に対応した凹凸表面が形成されてなるコルゲート状緻密質部材32であることが好ましく、該緻密質部材は、所定枚のグリーンシートをそれぞれ凹凸成形面を有する上型と下型間に導入して加圧成形することにより作製することができる。
例えば、図1(a)に示すような、緻密質本体部形成用グリーンシート31aと緻密質部縁部形成用グリーンシート31bとを用い、この緻密質本体部形成用グリーンシート31aと緻密質部縁部形成用グリーンシート31bとを、図1(b)に示すように重ね合せた状態で、それぞれ凹凸成形面を有する上型と下型からなる金型内に配置し、ホットプレート等を用いて金型ごと上記温度雰囲気下で予熱した後、プレス機に投入して加圧することにより、図1(d)に示すような、ガス流路形状に対応した凹凸表面が形成されてなるコルゲート状緻密質部材32を得ることができる。
緻密質部材が、図1(d)に示すような態様を採る場合には、緻密質本体部形成用グリーンシート31aを1〜3枚、緻密質部縁部形成用グリーンシート31bを1〜3枚積層し、加圧成形してなるものであることが好ましい。
上記金型成形面に設けられた凹凸(溝)は、その幅が0.5〜3.0mmであることが好ましく、0.5〜2.5mmであることがより好ましく、0.5〜2.0mmであることがさらに好ましい。また、上記凹凸(溝)は、その深さが0.2〜1.0mmであることが好ましく、0.2〜0.8mmであることがより好ましく、0.2〜0.6mmであることがさらに好ましい。
本発明の方法において、緻密質部材として、上記凹凸表面を有するコルゲート状緻密質部材を用いることにより、得られるセパレータにガス流路を容易に付与することができる。
また、緻密質部材は、図1(c)や図1(d)に示す緻密質部材31や緻密質部材32以外の形態を採ることもでき、例えば、同一サイズのグリーンシートを金型中に積層して加圧成形することにより平面状(平板状)としてもよい。
上記加圧成型(熱圧成形)時の圧力は10〜100MPaであることが好ましく、20〜80MPaであることがより好ましく、20〜60MPaであることがさらに好ましい。また、熱圧成形時の温度は、150〜250℃であることが好ましい。熱圧成形時の加圧時間は1秒〜600秒が好ましく、1秒〜300秒がより好ましく、1秒〜30秒がさらに好ましい。また、上記加圧時においては、加圧状態を連続的に維持するのではなく、適時加圧状態を開放して、ガス抜きを行ってもよい。加圧時の圧力が上記範囲内にあることにより、得られるセパレータに所望の強度およびガス不透過性を付与することができる。
緻密質部材の厚さは、0.05〜0.5mmであることが適当であり、0.075〜0.4mmであることがより適当であり、0.1〜0.3mmであることがさらに適当である。なお、本明細書において、緻密質部材が図1(c)に示すような形態を採る場合は、図1(c)にtで示す厚さが緻密質部材の厚さに相当
し、緻密質部材が図1(d)に示すような形態を採る場合は、図1(d)にtで示す厚さに相当するものとする。
得られる緻密質部材は、上記緻密構造を有するグリーンシートから成るものであることから、厚さが薄い場合でも高度のガス不透過性を有するセパレータを作製することができる。
<多孔質部形成用炭素質粉末の散布>
本発明の方法においては、上記緻密質部材の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布する。
多孔質部形成用樹脂バインダーは、バインダー樹脂液(多孔質部形成用樹脂バインダー含有液)の形態で塗布することが好ましい。
(1)バインダー樹脂液塗布工程
バインダー樹脂液(多孔質部形成用樹脂バインダー含有液)は、多孔質部形成用樹脂バインダーを、必要に応じフェノール樹脂硬化剤や硬化促進剤とともに攪拌、混合し、適宜な有機溶剤に攪拌、溶解することにより作製することができる。
多孔質部形成用樹脂バインダーは、後述する多孔質部形成用炭素質粉末を散布した際に、緻密質部材表面に付着させる役割を担うものである。このため、多孔質部形成用樹脂バインダーは、常温で液状ないしスラリー状であるものを少なくとも一種用いることが好ましい。
多孔質部形成用樹脂バインダーとしては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から選ばれる一種以上を挙げることができる。
多孔質部形成用樹脂バインダーが熱硬化性樹脂である場合、その具体例や配合割合は、上述した緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを用いて緻密質部形成用バインダー樹脂液を作製する場合と同様であり、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤の具体例や配合割合も、上記緻密質部形成用バインダー樹脂液を作製する場合と同様である。
多孔質部形成用樹脂バインダーが熱可塑性樹脂である場合、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中、耐薬品性、耐久性、機械的強度の点から、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が好ましく、さらにはポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂も好適に使用することができる。
バインダー樹脂液中に含まれる多孔質部形成用樹脂バインダーが熱可塑性樹脂である場合、その塗布量は、後述する多孔質部形成用炭素質粉末100質量部に対して、10〜35質量部であることが好ましい。
また、上記バインダー樹脂液中に含まれる多孔質部形成用樹脂バインダーが熱硬化性樹脂である場合、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を加えた合計塗布量は、後述する多孔質部形成用炭素質粉末100質量部に対して、10〜45質量部であることが好ましい。
また、バインダー樹脂液(多孔質部形成用樹脂バインダー含有液)は、必要に応じて、例えば、濡れ浸透剤、防腐剤、消泡剤、表面調整剤などの添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜含有することできる。
バインダー樹脂液を構成する有機溶媒としては、一般に入手可能なもので、多孔質部形成用樹脂バインダーを溶解させ得るものであれば特に限定されず、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられる。
本発明の方法においては、上記緻密質部材の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布する。多孔質部形成用樹脂バインダーは、上記バインダー樹脂液の形態で塗布することが好ましい。
塗布方法は特に制限されず、スプレーコーティング、刷毛塗り、スピンコーティング等の方法を挙げることができる。
本発明の方法において、多孔質部形成用樹脂バインダーは、塗布乾燥後の平均膜厚が1〜15μmになるように塗布することが好ましく、2〜12.5μmになるように塗布することがより好ましく、3〜10μmになるように塗布することがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、上記多孔質部形成用樹脂バインダーの塗布乾燥後における平均膜厚は、触針式段差計により測定したときの値を意味する。
本発明の方法において、多孔質部形成用樹脂バインダーの塗布乾燥後の平均膜厚が上記範囲内にあることにより、後述する多孔質部形成用炭素質粉末の散布時に炭素質粉末を付着させやすくなり、多孔質部形成用炭素質粉末が良好に分散して均質性の高いセパレータを得やすくなる。
本発明の方法において、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布する範囲は、多孔質部形成用炭素質粉末を付着させる範囲に応じて適宜決定することができ、緻密質部材の反応電極側反応電極側壁面の全面に塗布してもよいし、その一部にのみ塗布してもよいが、緻密質部材の反応電極側壁面の全面に塗布することが好ましい。
(2)多孔質部形成用炭素質粉末の散布工程
本発明の方法において、多孔質部形成用炭素質粉末としては、人造黒鉛粉末、天然黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、あるいは、これらの混合物などの黒鉛粉末を挙げることができ、これらのうち、緻密質部材と一体化した後の接触抵抗を考慮すると、硬度の高いものが好ましい。また、多孔質部形成用炭素質粉末は、アスペクト比が1.0〜2.0であるものが好ましく、1.0〜1.5であるものがより好ましく、1.0〜1.2であるものがさらに好ましい。
多孔質部形成用炭素質粉末のアスペクト比が1.0〜2.0程度であることにより、緻密質部材に対する炭素質粉末の接触面積を好適な範囲に制御することができ、両者を熱圧成形して一体化するときに、両者の界面で多孔質部形成用炭素質粉末が配向しにくくなり、多孔質部の一部が緻密質部に食い込んだ状態で一体化されるため、緻密質部と多孔質部の界面における接触抵抗を低くする(緻密質部と多孔質部の密着性を向上する)ことができる。
なお、本出願書類において、多孔質部形成用炭素質粉末のアスペクト比は、
走査型電子顕微鏡像により10個の炭素質粉末を測定したときの縦方向長さおよび横方向長さの比の平均値を意味する。
多孔質部形成用炭素質粉末は、体積平均粒径が50〜300μmであるものが好ましく、50〜250μmであるものがより好ましく、50〜200μmであるものがさらに好ましい。多孔質部形成用炭素質粉末の平均粒径が50〜300μmであることにより、得られるセパレータに良好な排水性を付与することができ、多孔質炭素質粉末を安定して密着固定させやすくなる。
なお、本出願書類において、上記体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(平均粒径D50)を意味する。
本発明の方法においては、上記緻密質部材表面に塗布した多孔質部形成用樹脂バインダーに対して、多孔質部形成用炭素質粉末を散布する。
多孔質部形成用炭素質粉末の散布方法は、多孔質部形成用炭素質粉末が多孔質部形成用樹脂バインダーに付着し得る方法であれば特に制限されないが、ブラスト法により行うことが好ましく、ブラスト法としては、主としてエアーコンプレッサーなどの圧縮空気を使ってノズルから炭素質粉末を投射するエアーブラスト法や、モーターの動力を使って耐摩耗合金製の羽根車の遠心力により炭素質粉末を投射するショットブラスト法や、水中ポンプや圧縮エアーを使って液体に混ぜた炭素質粉末を投射するウエットブラスト法等を挙げることができる。
多孔質部形成用炭素質粉末の散布をブラスト法により行う場合、炭素質粉末の投射速度は、毎秒1〜30mが好ましく、毎秒2〜25mがより好ましく、毎秒3〜20mがさらに好ましい。投射距離は被処理物(多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した緻密質部材)のサイズ等により適宜設定すればよい。また、投射角度は、60°〜120°から選択することが好ましい。
多孔質部形成用炭素質粉末は、表面に塗布した多孔質部形成用樹脂バインダーに対して物理的に吸着させるか、めり込ませることによって緻密質部材上に付着させることができる。
このため、多孔質部形成用炭素質粉末の付着量は、緻密質部材の表面積や緻密質部材上に塗布する樹脂バインダー量によって調整することができる。
多孔質部形成用炭素質粉末は、多孔質部の形成に必要となる量以上を散布した後、余分量をエアー等を吹き付けて除去することが好ましい。
緻密質部材表面に塗布した多孔質部形成用樹脂バインダーの膜厚が、多孔質部形成用炭素質粉末の平均粒径に比べて十分に小さい場合には、緻密質部材上にほぼ炭素質粉末1個分の厚みを有する多孔質部が形成されることになる。
上記操作を図面を用いて具体的に説明すると、例えば、図2(a)に示す緻密質部材32の上部主表面(反応電極側壁面)の少なくとも一部に対し、スプレーコート法等により多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、図2(b)に示すように、緻密質部材32の上部からブラスト装置8により多孔質部形成用炭素質粉末21を投射し、次いで図2(c)に示すように、緻密質部材32の上部から送風機9によってエアーを吹き付けて余分量の炭素質粉末を除去することにより、緻密質部材32の片側主表面(反応電極側壁面)上に炭素質粉末21からなる層を形成することができる。
<熱圧成形工程>
本発明においては、上記多孔質部形成用炭素質粉末を散布した緻密質部材を熱圧成形して一体化する。
上記熱圧成形は、多孔質部形成用炭素質粉末を散布した緻密質部材が図2(c)に示すような形態を有するものである場合、ガス流路形状に対応した凹凸成形面を有する成形型中に、該成形面と緻密質部材32上に散布した多孔質部形成用炭素質粉末21とが相対するように、上記多孔質部形成用炭素質粉末21を散布した緻密質部材32を充填し、熱圧成形して一体化することにより、図2(d)に示すような多孔質部2と緻密質部3とを有し、ガス流路4が形成されてなるセパレータ1を得ることができる。
成形型としては、一対の上型と下型からなるものを挙げることができ、得ようとするセパレータ形状に応じた成形面形状を有するものを挙げることができる。例えば、得ようとするセパレータが図2(d)に示すような断面形状を有するものである場合は、上型の成形面がガス流路部全体をコルゲート状に加工し得る形状に形成されてなる成形型を挙げることができる。成形型の成形面には、適宜離型剤を塗布してもよい。
上記熱圧成形時の温度は、150〜250℃程度であることが適当である。
熱圧成形時の成形圧力は、1MPa〜30MPaであることが適当であり、1MPa〜20MPaであることがより適当であり、1MPa〜15MPaであることがさらに適当である。成形圧力が1MPa未満であると、多孔質部の形状を維持する程度の強度が得られない場合があり、30MPaを超えると、気孔が埋まってしまい、多孔質部が多孔質構造を採り得ない場合がある。
また、得られた熱圧成形物を、必要に応じて更に機械加工してもよく、また、必要に応じて、適宜150〜250℃程度の温度でアフターキュアを行ってもよい。
本発明の方法においては、上述したように、緻密質部材表面に塗布した多孔質部形成用樹脂バインダーの膜厚が、多孔質部形成用炭素質粉末の平均粒径に比べて十分に小さい場合には、緻密質部材上にほぼ炭素質粉末1個分の厚みを有する多孔質部が形成されることになるが、上記熱圧成形によって、緻密質部材表面に散布された炭素質粉末のうち、特に粒子径の大きな炭素質粉末が加圧されることにより、得られる多孔質部の厚みが多孔質部の形成に使用した炭素質粉末の体積平均粒径とほぼ等しくなる。
得られた熱圧成形物は、適宜、親水化処理を施すことが好ましい。親水化処理は、例えば、オゾンガスで処理すること等により行うことができる。オゾンガス処理による親水化処理は、0〜100℃の温度雰囲気下、1000〜50000ppm(mg/L)の濃度のオゾンガスに、0.5〜10時間曝すことにより行うことが好ましい。
上記熱圧成形により、緻密質部形成用樹脂バインダーや多孔質部形成用樹脂バインダーを硬化させ、それぞれ緻密質部形成用炭素質粉末と多孔質部形成用炭素質粉末を結着して一体化するとともに、緻密質部と多孔質部とを強固に接合し、一体化して、両者の界面に生じる接触抵抗を低減させてなるセパレータを製造することができる。
図2(d)に例示するように、本発明の方法において得られるセパレータ1は、ガス流路4を構成する壁面の少なくとも一部が多孔質部2により形成されてなる、多孔質部2と緻密質部3とを有する構造からなるものである。
セパレータを構成する多孔質部は、厚みが50〜300μmであることが好ましく、50〜250μmであることがより好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。なお、セパレータが図2(d)に示す構造(コルゲート構造)を採る場合、図2(d)にhで示す厚みが多孔質部の厚みに相当する。上記多孔質部は、気孔径が5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、15〜100μmであることがさらに好ましい。
上記多孔質部は、気孔率が30〜80%であることが好ましく、35〜75%であることがより好ましく、40〜70%であることがさらに好ましい。なお、本出願書類において、上記気孔径および気孔率は、JIS R 1655に規定する水銀圧入法により測定した値を意味する。
セパレータを構成する緻密質部は、厚みが0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.075〜0.4mmであることがより好ましく、0.1〜0.3 mmであることがさらに好ましい。なお、セパレータが図2(d)に示す構造(コルゲート構造)を採る場合、これ等の図にTで示す厚みが緻密質部の厚みに相当する。また、上記緻密質部は、ガス透過係数が1×10−12〜1×10−10mol・m・m−2・sec−1・MPa−1であることが適当であり、1×10−12〜5×10−11mol・m・m−2・sec−1・MPa−1であることがより適当であり、1×10−12〜1×10−11mol・m・m−2・sec−1・MPa−1であることがさらに適当である。
本出願書類において、上記多孔質部や緻密質部の厚みは、触針式段差計により測定したときの平均値を意味する。
また、本出願書類において、上記ガス透過係数は、窒素ガスにより0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積あたりのガス透過量を測定することにより求めることができる。
本発明によれば、得られる燃料電池用セパレータが多孔質部とともに緻密質部を有することにより、優れた強度およびガス不透化性を得ることができる。
また、セパレータを構成する緻密質部と多孔質部の接触抵抗は1mΩ・cm以下であることが適当であり、0.5mΩ・cm以下であることがより適当である。
本出願書類において、上記接触抵抗は、セパレータを適宜切り出したテストピースに1MPaの圧力を加えながら通電量1Aで測定した時の値を意味する。
本発明の方法によれば、得られる燃料電池用セパレータを構成する反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなるものであることにより、発電時に生じる水の拡散を容易にし、ガス流路の閉塞を抑制して、発電効率の低下を抑制することができるとともに、接触抵抗の上昇を抑制することができる。
本発明の方法で得られたセパレータは、固体高分子形燃料電池用セパレータとして好適に用いることができる。
本発明の方法によれば、スラリー状の成形材料をシート化して緻密質部を形成することから、緻密質部形成材料(原料混合物)の乾燥物を粉砕等する工程を省略することができ、また、粉砕物でなくシート状物として成形型中に供給できることから、成形型への充填操作をより容易に行うことができる。
また、本発明によれば、多孔質部形成用炭素質粉末をスラリー化することなく、緻密質部表面に直接散布して多孔質部を形成することから、多孔質部形成用炭素質粉末が良好に分散して均質性の高いセパレータを容易に得ることができる。
本発明の方法で得られたセパレータを用いた燃料電池の単セルは、例えば、図3に示すように、イオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)5の両面を白金などの触媒を担持させたアノード電極板6およびカソード電極板7で挟み、その両外側に多孔質部2および緻密質部3を有する板状セパレータを配することにより形成することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
1.緻密質部材の作製
(1)バインダー樹脂液の作製工程
緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーであるエポキシ樹脂(多官能フェノール型エポキシ樹脂、DIC(株)製、EPICLON N−680、軟化点85℃)と、硬化剤であるノボラック型フェノール樹脂(明和化成(株)製、H−1、軟化点85℃)とを、DIC(株)製EPICLON N−680と明和化成(株)製H−1が重量比で2:1となるように)混合して、後述する緻密質部形成用炭素質粉末である黒鉛粉末100質量部に対して20質量部となるように混合して混合樹脂を得るとともに、この混合樹脂に対し、さらに硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾールを、エポキシ樹脂中の全エポキシ基に対するフェノール樹脂中の全フェノール性水酸基の当量比(フェノール樹脂中の全フェノール性水酸基/エポキシ樹脂中の全エポキシ基)が1となるように添加するとともに、溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)を、後述する黒鉛粉末100質量部に対して110質量部の割合になるように加え、さらに分散剤である陰イオン界面活性剤(ポリカルボン酸型ポリマー、花王社製ホモゲノールL−18)を後述する黒鉛粉末100質量部に対して1質量部の割合になるように添加してバインダー樹脂液を作製した。
得られたバインダー樹脂液を構成する緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーの硬化温度は120℃とみなすことができる。
(2)スラリー作製工程
(1)工程で得たバインダー樹脂液の所望量に、粒子径1〜30μmの粒子を
50質量%含み、最大粒子径150μmに粒度調整した鱗片状天然黒鉛粉末を所望量投入して、適宜メチルエチルケトン(MEK)を添加しつつ、撹拌機により十分に混練して粘度を200mPa・sに調整し、遠心法により巻き込んだ空気を脱気することにより、(1)工程で得たバインダー樹脂液を構成する緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダー、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤の合計量(樹脂成分合計量)に対して、質量比で、樹脂成分合計量:緻密質部形成用炭素質粉末=17:83となるように混合した原料スラリーを得た。
(3)グリーンシート作製工程
(2)工程で得た原料スラリーを、ドクターブレードを有するグリーンシート成形装置内に注入して、ドクターブレード法によりシート状物を作製し、十分に乾燥することにより、厚さ0.3mm程度のグリーンシートを作製した。
(4)加圧成形工程
(3)工程で得られたグリーンシートを打ち抜き型で所定形状に打ち抜き、グリーンシートをフィルムから剥がした後、それぞれ図1(a)に示す形態を有する、緻密質本体部形成用グリーンシート31a 2枚と緻密質部縁部形成用グリーンシート31b 2枚とを積層することにより、所定厚みになるように調整した、図1(b)に示すような形態を有するグリーンシート積層物を得た。
次いで、200×200mmの範囲内に幅1mm、深さ0.6mmの溝形状が彫られた成形面をそれぞれ有する外形270×270mmの一対の上型と下型から構成されてなる成形金型を用い、その成形面の全面にフッ素系の離型剤を塗布した上で、上記グリーンシート積層物を挿入し、180℃の温度下、40MPaの圧力で60秒間熱圧成形することにより、図1(d)に示すような断面形態を有する緻密質部材32を作製した。
得られた緻密質部材32は、200×200mmの範囲内にガス流路形状に対応した幅1mm、深さ0.6mmの溝が形成されてなり、最薄部の厚さ(緻密質部材32の厚さt)が0.20mmである凹凸面を有するものであった。
2.多孔質部形成用炭素質粉末の散布
(1)バインダー樹脂液の作製工程
多孔質部形成用熱硬化性樹脂バインダーであるエポキシ樹脂(多官能フェノール型エポキシ樹脂、DIC(株)製、EPICLON N−680、軟化点85℃)と、硬化剤であるノボラック型フェノール樹脂(明和化成(株)製、H−1、軟化点85℃)とを、DIC(株)製EPICLON N−680と明和化成(株)製H−1が重量比で2:1となるように混合して、後述する多孔質部形成用炭素質粉末である黒鉛粉末100質量部に対して10質量部となる混合樹脂を得るとともに、この混合樹脂に、さらに硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾールを、エポキシ樹脂中の全エポキシ基に対するフェノール樹脂中の全フェノール性水酸基の当量比(フェノール樹脂中の全フェノール性水酸基/エポキシ樹脂中の全エポキシ基)が1となるように添加するとともに、溶剤であるMEKを、後述する黒鉛粉末100質量部に対して100質量部の割合になるように加え、攪拌機でよく攪拌してバインダー樹脂液を作製した。
得られたバインダー樹脂液を構成する多孔質部形成用熱硬化性樹脂バインダーの硬化温度は120℃とみなすことができる。
(2)バインダー樹脂液の塗布工程
上記多孔質部形成用樹脂バインダーを含むバインダー樹脂液を、上述した緻密質部材32の反応電極側壁面(ガス流路が形成されてなる側の壁面)の全面に対し、スプレーコート法により硬化後の平均膜厚が5μmとなるように塗布した。
(3)多孔質部形成用炭素質粉末の散布
図2(b)に示すように、多孔質部形成用炭素質粉末21として、体積平均粒径200μmに粒度調整したアスペクト比が1.5である人造黒鉛粉末を用い、エアーブラスト装置8(新東工業社製MY40−B)を用いて、上記緻密質部材32の反応電極側壁面に対し、投射速度が毎秒3〜4m、投射角度が約90°、投射距離が25cmとなるように50g投射した。
上記投射を終えた後、図2(c)に示すように送風機9によりエアーを吹きつけることにより、余剰に供給された多孔質部形成用炭素質粉末21を除去した。
3.充填および熱圧成形
成形型として、一対の上型と下型からなり、上型成形面および下型成形面には、200×200mmの範囲内に幅1mm、深さ0.6mmの溝形状が彫刻され、表面にフッ素系の離型剤が塗布された、外形270×270mmの成形金型を用いた。
上記成形型の下型上に、溝部の凹凸が対応するように多孔質部形成用炭素質粉末21を散布した緻密質部材32を配置した後、180℃の温度条件下、10MPaの圧力で60秒間熱圧成形した。
得られた熱圧成形物に対し、25℃の温度雰囲気下、30000ppm(mg/L)の濃度のオゾンガスに5時間曝すことにより、親水化処理(酸化処理)を施して、図2(d)に示すような断面形状を有する燃料電池用セパレータ1を得た。
得られた燃料電池用セパレータは、縦270mm、横270mm、最薄部の厚さ(多孔質部hの厚さと緻密質部Tの厚さの和)が0.40mm、多孔質部の厚さhが0.20mmであった。
得られた燃料電池用セパレータにおける、多孔質部の気孔率および気孔径および気孔率と、多孔質部および緻密質部の界面における接触抵抗と、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
<多孔質部の気孔径(μm)および気孔率(%)>
JIS R 1655に規定する水銀圧入法により測定した。
<多孔質部および緻密質部界面における接触抵抗(mΩ・cm)>
得られたセパレータを所望サイズに切断して得たテストピースに、1MPaの圧力をかけながら、通電量1Aの条件下で測定した。
<ガス透過係数(10−12mol・m・m−2・sec−1・MPa−1)>
窒素ガスにより、0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積当たりのガス透過量を測定することにより求めた。
<排水性>
発電時に発生する水の様子を目視観察し、フラッディングの有無により判断した。
すなわち、デュポン社製Nafion膜を白金を担持させたアノード電極板およびカソード電極板で挟み、アノード側およびカソード側に実施例1で得られた燃料電池用セパレータをそれぞれ配してセルを形成し、該セルを用いて1時間発電した後、セルを分解し、セパレータの溝部の水のたまり具合を目視で観察し、フラッディングの有無により判断した。
(実施例2)
実施例1の3.において、緻密質部材と多孔質部形成用炭素質粉末との熱圧成形を、180℃の温度雰囲気下、5MPaで加圧することにより行った以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
得られた燃料電池用セパレータにおける、多孔質部の気孔率および気孔径と、多孔質部および緻密質部の界面における接触抵抗と、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の2.において、多孔質部形成用炭素質粉末として、体積平均粒径が100μmになるように粒度調整した人造黒鉛粉末を使用した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
得られた燃料電池用セパレータにおける、多孔質部の気孔率および気孔径と、多孔質部および緻密質部の界面における接触抵抗と、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の2.において、多孔質部形成用炭素質粉末として、体積平均粒径が300μmになるように粒度調整した人造黒鉛粉末を使用するとともに、実施例1の3.において、緻密質部材と多孔質部形成用炭素質粉末との熱圧成形を、180℃の温度雰囲気下、30MPaで加圧することにより行った以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
得られた燃料電池用セパレータにおける、多孔質部の気孔率および気孔径と、多孔質部および緻密質部の界面における接触抵抗と、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の2.において、多孔質部形成用熱硬化性樹脂バインダーを、硬化後の膜厚が15μmになるように緻密質部材32の反応電極側壁面に塗布した以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
得られた燃料電池用セパレータにおける、多孔質部の気孔率および気孔径と、多孔質部および緻密質部の界面における接触抵抗と、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の1.において、緻密質部材作成時の成形圧力を80MPaとした以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
得られた燃料電池用セパレータにおける、多孔質部の気孔率および気孔径と、多孔質部および緻密質部の界面における接触抵抗と、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の1.で得られた緻密質部材に対して、多孔質部形成用炭素質粉末を散布せず、そのままセパレータとしたこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータを得た。
得られた燃料電池用セパレータにおける、セパレータのガス透過係数と、発電時における排水性を、実施例1と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例1〜実施例6で得られた燃料電池用セパレータは、緻密質部と多孔質部とを有するものであり、緻密質部が高いガス不透過性を付与するとともに、多孔質部が高い気孔率と気孔径を有し、かつ均質性に優れるものであるため、優れた排水性を付与し得るものであることが分かる。
一方、比較例1においては、セパレータが多孔質部を有するものでないことから、排水性が低いものであることが分かる。
また、表1の結果より、実施例1〜実施例6で得られた燃料電池用セパレータは、上記多孔質部の存在によってガス流路の閉塞を抑制するとともに、多孔質部形成用炭素質粉末と緻密質部材と熱圧成形、一体化する際に、多孔質部形成用炭素質粉末の一部が樹脂バインダーに食い込んだ状態で一体化されるため、界面における接触抵抗を低減し得る(緻密質部と多孔質部の密着性が高い)ものであることが分かる。
さらに、実施例1〜実施例6によれば、スラリー状の形成材料をシート化して緻密質部を形成することから、緻密質部形成材料(原料混合物)の乾燥物を粉砕する工程等を省略することができ、また、粉砕物でなくシート状物として成形型中に供給できることから、成形型への充填操作をより容易に行うことができることが分かる。
また、実施例1〜実施例6によれば、予め緻密質部材の反応電極側壁面に多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した状態で多孔質部形成用炭素質粉末を散布することにより、多孔質部を簡便に作製し得ることが分かる。
加えて、実施例1〜実施例6によれば、多孔質部形成用炭素質粉末をスラリー化することなく、緻密質部表面に直接散布して多孔質部を形成することから、多孔質部形成用炭素質粉末が緻密質部材上に良好に分散して均質性の高いセパレータを容易に得ることが分かる。
本発明によれば、発電時に発生する水による流路の閉塞が生じにくく、発電効率の低下や接触抵抗の上昇を抑制してなり、優れた強度およびガス不透化性を有し、均質性に優れた燃料電池用セパレータを、生産性よく製造する方法を提供することができる。
1 燃料電池用セパレータ
2 多孔質部
21 多孔質部形成用炭素質粉末
3 緻密質部
31、32緻密質部材
31a 緻密質本体部形成用グリーンシート
31b 緻密質部縁部形成用グリーンシート
4 ガス流路
5 イオン交換膜
6 アノード電極板
7 カソード電極板
8 ブラスト装置
9 送風機

Claims (6)

  1. 反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータを製造する方法であって、
    緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、緻密質部材を作製する工程と、
    前記緻密質部材の反応電極側壁面の少なくとも一部に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布し、熱圧成形して一体化する工程と、
    を施すことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  2. 反応電極側壁面の少なくとも一部が多孔質部により形成されてなる、多孔質部と緻密質部とを有する燃料電池用セパレータを製造する方法であって、
    緻密質部形成用炭素質粉末と緻密質部形成用熱硬化性樹脂バインダーとを含むスラリー状緻密質部形成材料を、シート化し、加圧成形することにより、ガス流路形状に対応した凹凸表面を有するコルゲート状緻密質部材を作製する工程と、
    前記コルゲート状緻密質部材の凹凸表面に対し、多孔質部形成用樹脂バインダーを塗布した後、多孔質部形成用炭素質粉末を散布し、熱圧成形して一体化する工程と、
    を施す請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  3. 前記多孔質部形成用炭素質粉末をブラスト法により散布する請求項1または請求項2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  4. 前記多孔質部形成用炭素質粉末の体積平均粒径が50〜300μmである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  5. 前記緻密質部材と前記多孔質部形成用炭素質粉末とを熱圧成形して一体化する工程の後工程として、さらに親水化処理工程を施す請求項1〜請求項4のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  6. 得られる燃料電池用セパレータを構成する多孔質部の気孔率が30〜80%である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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