JP5787138B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
搬送ライン上に配置された、枠体の内側にグリーンシートまたは予備成形体を載置するための階段状の段部が設けられてなる枠状の支持台上に、燃料電池用セパレータ形成材料からなるグリーンシートまたは予備成形体を載置した後、
前記搬送ラインの搬送経路に対して垂直な方向から押圧し得るように配置された成形プレス機へ搬送し、
該成形プレス機により所定時間熱圧成形して熱圧成形物を形成し、次いで
得られた熱圧成形物を前記枠状の支持台とともに前記成形プレス機の成形位置から搬出し、
前記枠状の支持台から熱圧成形物を取り外す
ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法、
(2)前記搬送ライン上に複数の枠状の支持台を配置するとともに、該複数の支持台を循環、再使用し得るように前記搬送ラインを設け、
前記複数の支持台に対し、グリーンシートまたは予備成形体を載置し、成形プレス機により熱圧成形し、得られた熱圧成形物を取り外す操作を順次行うことにより、熱圧成形物を量産する上記(1)に記載の燃料電池用セパレータの製造方法
を提供するものである。
本発明において、枠状の支持台は、成形対象となるグリーンシートまたは予備成形体や、後述する熱圧成形物を載置、搬送する搬送具として用いられるものであるとともに、後述するグリーンシートの熱圧成形時において、熱圧成形物の厚みを規定する上下金型間のスペーサーとして機能する。
支持台を構成する枠体には、グリーンシートまたは予備成形体を載置し得るように、階段状の段部を枠体の内側の一部にのみ設けてなるもの、例えば枠体の内側の四隅にのみ設けてなるものであってもよいが、図1(a)に示すように、支持台1を構成する枠体の内側全体に階段状の段部2を設けてなるものが好ましい。
支持台を構成する枠体の内側に階段状の段部を設けることにより、グリーンシートまたは予備成形体を正確に位置決めしつつ簡便かつ短時間に載置することができる。
また、図1(b)に示すように、支持台1は固定孔10を設けたものであってもよく、固定孔10を設けることにより、支持台1を後述する搬送ラインに簡便に固定することができる。
バインダー樹脂液(熱硬化性樹脂バインダー含有液)は、熱硬化性樹脂バインダーを、必要に応じフェノール樹脂硬化剤や硬化促進剤とともに攪拌、混合し、さらに後述する炭素質粉末を分散し得る必要量の分散剤を、所望の質量比で適宜な有機溶剤に攪拌、溶解することにより作製することができる。
(ただし、Gはグリシジル基、Oは酸素原子、Rは炭素数が2〜10のアルキレン基、kは1以上の整数であり、kが2以上の整数である場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。)
上記各界面活性剤の分子量は、後述する炭素質粉末を上記有機溶媒中に分散させるために、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で、2,000〜100,000の範囲にあることが望ましい。上記重量平均分子量が、2,000未満であると、分散剤が炭素質粉末表面に吸着した際にポリマー成分が充分な立体反発層を形成することができず、分散粒子の再凝集が起こるため好ましくない。また、上記重量平均分子量が、100,000を越えると製造再現性が低下したり、凝集剤として作用する場合がある。
分散剤は、後述する炭素質粉末100質量部に対して0.1〜5質量部加えることが好ましい。分散剤の添加量が、炭素質粉末100質量部に対して0.1質量部より少なくなると、炭素質粉末が分散せずにすぐに沈降してしまう。また、同添加量が炭素質粉末100質量部に対して5質量部より多くなると、樹脂特性を低下させ、結果的にセパレータ材の機械的特性の悪化(強度低下)を招くばかりか、耐薬品性、特に硫酸酸性液中における特性劣化を招くことになる。
上記(1)工程で得たバインダー樹脂液と、炭素質粉末とを混合して、炭素質粉末が分散したスラリー状グリーンシート形成材料を作製する。
炭素質粉末が粒子径1〜30μmの粒子と粒子径50〜150μmの粒子の両者を含むことにより、次工程のグリーンシート作製時に大きな粒子の間隙に小さな粒子が入り込む充填効果もあって、緻密なグリーンシートを得ることができる。
また、炭素質粉末が大きな粒子とともに小さな粒子を含むものであることによって、ヒビ割れの発生を抑制し、強度や破断歪等の機械的特性が向上したグリーンシートを得ることができる。
特にアンドレアゼン分布式に沿うように平均粒子径が30〜70μm、5〜10μm、1〜3μmの3種類の黒鉛粉末を配合すると、ヒビ割れもなく緻密なグリーンシートを得ることができ、このグリーンシートを熱圧成形して得られるセパレータは、薄肉でも高いガス不透過性を示す。
スラリー状グリーンシート形成材料において、炭素質粉末と熱硬化性樹脂バインダーとの含有割合が上記範囲内にあることにより、成形時に均一に混合することができ、得られるセパレータの電気抵抗を所望範囲に制御し易くなる。
上記(2)工程で調製したスラリーを、ドクターブレード法によりポリエステルなどのフィルム上に塗布する。この際、ドクターブレードとフィルム間のギャップを適宜0.2〜0.8mm程度に調整した後、ドクターブレードのスラリーホッパーにスターラーでよく攪拌したスラリーを流し込み、好ましくは離型剤を塗布したフィルム上に均等な厚みに塗布する。
また、グリーンシートの外形寸法は、セパレータのパターン形状に応じて種々のサイズを採用することができる。
粉体状の予備成形体形成材料としては、上記(1)バインダー樹脂液作製工程および(2)スラリー状グリーンシート形成材料作製工程により得られたグリーンシート形成材料を、乾燥、粉砕したもの、特に黒鉛粉末と熱硬化性樹脂バインダーを混練した後、乾燥、粉砕したものを挙げることができる。
粉体状の予備成形体形成材料を圧縮固化する方法としては、例えば、室温下の上下一対の成形金型の下型成形面に粉体状の形成材料を枡切り充填し、熱硬化性樹脂バインダーの溶融温度以上でかつゲル化温度未満の温度に加熱した上金型を被せ、プレス機に投入して加圧する方法を挙げることができる。
得られた加圧成形物(予備成形体)は、容易にハンドリングできるような強度を保つために、上金型の温度が樹脂の軟化点温度未満に低下してから取り出すことが好ましい。
枠状の支持台上にグリーンシートを載置する場合、得ようとするセパレータ材の厚みに応じて、グリーンシートの厚みを変更する。得ようとするセパレータ材の厚みが載置するグリーンシート1枚当たりの厚みを超える場合には、グリーンシートを複数枚重ね合わせて載置すればよい。
従って、グリーンシートを積層して加圧成形する場合、外周シール部(縁部)を成す部分は積層数を多くしつつ、内部発電部分(本体部)を成す部分は積層数を少なくしなければならない。
なお、図2(b)はグリーンシートの積層物31の斜視図であり、図2(c)はグリーンシートの積層物31の主表面に対する垂直断面図である。
支持台上のグリーンシート積層物が、図2(b)または図2(c)に示すような態様を採る場合には、本体部形成用グリーンシート31aを1〜5枚、縁部形成用グリーンシート31bを1〜5枚積層することが好ましい。
本体部形成用グリーンシート31aや縁部形成用グリーンシート31bの積層数は、得ようとするセパレータの厚さに応じて適宜変更すればよい。
グリーンシートの積層物31の厚みtは、0.2mm〜1.0mmが好適であり、0.3mm〜0.8mmがより好適であり、0.4mm〜0.6mmがさらに好適である。
また、上記凹凸(溝)は、その深さが0.2〜1.0mmであることが好ましく、0.2〜0.8mmであることがより好ましく、0.2〜0.6mmであることがさらに好ましい。
本発明において、上記凹凸(溝)を有する成形型を用いることにより、セパレータ形状をコルゲート状とし、セパレータに形成される溝をガス流路および冷却水流路とすることができる。
この場合、支持台に載置したグリーンシートまたは予備成形体を成形プレス機による成形位置まで搬送する際は、第一のラインを稼働させつつ第二のラインも稼動させることが好ましい。グリーンシートまたは予備成形体の成形プレス機への搬入と、成形プレス機からの熱圧成形物の取り出しを同時に行うことによって、成形サイクル時間を短縮することができる。
第一のラインと第二のラインの操作は手動で行うこともできるが、予めプログラム化した制御装置により制御することが好ましい。
例えば、図4(b)に示すように、枠状の支持台1の端部に予め貫通孔hを設けておくとともに、成形プレス機には、図4(b)に示すように、成形型を構成する上型61および下型62のいずれか一方に位置決めピンpを設けつつ、他方に嵌合用の凹部cを設け、熱圧成形時には位置決めピンpを支持台1の貫通孔hを貫通させつつ凹部cに嵌め合わせることにより、所望位置に正確に位置決めしつつ熱圧成形することができる。
また、熱圧成形時の成形圧力は、10MPa〜100MPaであることが適当であり、30MPa〜80MPaであることがより適当であり、50MPa〜60MPaであることがさらに適当である。
成形圧力が上記範囲内であることにより、得られるセパレータに十分な強度を付与することができる。
また、熱圧成形時間は樹脂のゲル化時間によって調整すべきであるが、2秒〜60秒であることが適当であり、2秒〜10秒であることがより適当であり、2秒〜5秒であることがさらに適当である。
熱圧成形物の成形位置から取り出し位置までの搬出は、例えば、上述したように、搬送ラインを、グリーンシートまたは予備成形体の載置位置から熱圧成形位置に至る第一のラインと、熱圧成形位置から熱圧成形物の取り出し位置に至る第二のラインに区分した上で、第二のラインを稼動させつつ第一のラインを稼働させて行うことが好ましく、このように操作することによって、成形プレス機からの熱圧成形物の取り出しと、グリーンシートまたは予備成形体の成形プレス機への搬入とを同時に行うことによって、成形サイクル時間を短縮することができる。
第一のラインと第二のラインの操作は手動で行うこともできるが、予めプログラム化した制御装置により制御することが好ましい。
なお、セパレータが図3に示す構造(コルゲート構造)を採る場合、図3にTで示す厚みがセパレータの厚みに相当する。
本出願書類において、セパレータの厚みは、触針式段差計により測定したときの平均値を意味する。
第一のライン、第二のラインおよび第三のラインの操作は手動で行うこともできるが、予めプログラム化した制御装置により制御することが好ましい。
黒鉛粉として、体積平均粒子径が50μm、10μm、3μmであるモザイク状人造黒鉛を、それぞれ50質量部:25質量部:25質量部の割合で混合したものを調製した。
上記黒鉛粉100質量部に対し、熱硬化性樹脂バインダーとしてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製EOCN−103S)17質量部、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂8質量部、硬化促進剤としてイミダゾール2質量部(170℃ゲルタイム10秒)、黒鉛粉の分散剤としてポリカルボン酸1質量部を、メチルエチルケトンに溶解してバインダー樹脂液を作製し、次いで、上記黒鉛粉100質量部を上記バインダー樹脂液中に投入した。
上記黒鉛粉を投入したバインダー樹脂液を、万能混合機で1時間混合して、20℃における粘度が800mPa・sであるスラリー状グリーンシート形成材料を調製した。
上記グリーンシートを打ち抜き型で所定形状に打ち抜き、フィルムから剥がした後、それぞれ図2(a)に示す形態を有する、本体部形成用グリーンシート31a(外形寸法:縦216.0mm、横216.0mm)3枚と、縁部形成用グリーンシート31b(外形寸法:縦216.0mm、横216.0mm)4枚とを積層することにより、所定厚みになるように調整した、図2(b)に示すような形態を有するグリーンシート積層物を得た。
上記枠状の支持台1を複数作製して、支持台を循環、再使用し得るように設けられたチェーンコンベアに対し、固定孔10により取り付けた。
上記成形プレス機は、成形型を構成する上型と下型が離間して開口部を形成したときに、厚さ6.7mmの支持台を収容し得る空間ができるように設計、加工したものであり、さらに図4(b)に示すように、成形型の下型は支持台1と正確に嵌め合うように位置決めピンpを取り付け、成形型の上型は凹部cを設けたものである。上記成形プレス機をチェーンコンベアの搬送経路に対して垂直な方向から押圧し得るように配置した。
上記熱圧成形処理後、成形型の上型と下型とを離間させることにより、チェーンコンベアに固定した支持台とともに熱圧成形物を離型した。
次いで、得られた熱圧成形物を、チェーンコンベアにより、支持台とともに上記成形プレス機の成形位置から搬出した。
得られた熱圧成形物は、支持台から吸着治具を使って取外し、図6(c)に示すような、縦200mm、横200mm、外周部の厚み0.8mmであるサーペンタイン流路が形成されたものであった。
得られた熱圧成形物を黒鉛板で挟持して、さらに硬化炉内で190℃の温度下で5時間のアフターキュアを行うことにより、目的とするセパレータを得た。
<密度の測定法>
アルキメデス法により室温にて測定を行い、以下の式により算出した。
密度ρ(g/cm3)=空中重量W(g)×水の密度ρw(g/cm3)/(空中重量W(g)−水中重量W´(g))
<曲げ強度の測定法>
JIS K6911の熱硬化性プラスチック一般試験方法に関する規格の曲げ試験方法に準拠し、3点曲げ試験を行い、曲げ強度Stb(MPa)を測定した。
<固有抵抗の測定法>
JIS C2525に準拠し成形面方向の固有抵抗(mΩ・cm)を測定した。
実施例1と同様にしてグリーンシート積層物を得た。
実施例1で用いた成形プレス機と同一の成形プレス機を用い、チェーンコンベアや支持台を用いることなく、成形プレス機を構成する成形型の下型に直接装入し、成形型温度160℃、成形圧30MPaで1.5秒間熱圧成形した後、ガス抜きのために徐圧し、次いで直ぐに再加圧し、上記温度下において50MPaで10秒間熱圧成形した。
上記熱圧成形処理後、成形型の上型と下型を離間させ、吸着治具を用いて得られた熱圧成形物を離型した。得られた熱圧成形物は、190℃の温度下において5時間のアフターキュアを行うことにより、目的とするセパレータを得た。
得られセパレータは、外観形状に反りが観察されるものであった。また、得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
なお、本例において、熱圧成形物1個当たり作製するのに要した時間は22秒間であった。
実施例1と同様にしてスラリー状グリーンシート形成材料を作製し、乾燥した後、自由粉砕機で粉砕して、粒径が0.3mm以下である成形粉を得た。この成形粉を、予備成形金型に充填し、3MPaで加圧することにより、実施例1で用いたグリーンシートの積層物と同様の形状を有する予備成形物を得た。
この予備成形体を、ダイセットに取り付けられた室温の成形型の上型と下型間に装入した後、上型と下型間に予備成形体を挟持した状態でダイセットごと成形型をプレス機内に搬送し、プレス機の熱盤で成形型を加熱し180℃まで何度かガス抜きをしながら同温度下において50MPaで60秒間熱圧成形した。
その後、成形型が取り付けられたダイセットをプレス機の外へ搬送し、成形型を開き、吸着治具を用いて、実施例1で得られたものと同様の形状を有する熱圧成形物を取り出した。
得られた熱圧成形物は、190℃の温度下において5時間のアフターキュアを行うことにより、目的とするセパレータを得た。
得られセパレータは、外観形状に異常が観察されないものであった。また、得られたセパレータの密度、曲げ強度、固有抵抗を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
なお、本例において、熱圧成形物1個当たり作製するのに要した時間(予備成形体を成形型に装入してから、熱圧成形物を取り出すまでに要した時間は6分間であった。
さらに、表1より、比較例1においては、金型へグリーンシートを挿入してから金型を閉じるまでの間にグリーンシート積層物の表層でゲル化が進行して、得られた熱圧成形物に反りを生じ、得られたセパレータは、密度が1.80g/cm3と低く、曲げ強度が68MPaと低く、固有抵抗が30mΩ・cmと高いことから、燃料電池用セパレータとして適さないものであることが分かる。
2 段部
3 グリーンシート
31 グリーンシート積層物
31a 本体部形成用グリーンシート
31b 縁部形成用グリーンシート
32 コルゲート状セパレータ
4 成形プレス機
5 熱盤
61 上型
62 下型
7 高分子膜(イオン交換膜)
8 アノード電極板
9 カソード電極板
10 固定孔
p 位置決めピン
h 貫通孔
c 凹部
Claims (2)
- 燃料電池用セパレータを製造する方法であって、
搬送ライン上に配置された、枠体の内側にグリーンシートまたは予備成形体を載置するための階段状の段部が設けられてなる枠状の支持台上に、燃料電池用セパレータ形成材料からなるグリーンシートまたは予備成形体を載置した後、
前記搬送ラインの搬送経路に対して垂直な方向から押圧し得るように配置された成形プレス機へ搬送し、
該成形プレス機により所定時間熱圧成形して熱圧成形物を形成し、次いで
得られた熱圧成形物を前記枠状の支持台とともに前記成形プレス機の成形位置から搬出し、
前記枠状の支持台から熱圧成形物を取り外す
ことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 前記搬送ライン上に複数の枠状の支持台を配置するとともに、該複数の支持台を循環、再使用し得るように前記搬送ラインを設け、
前記複数の支持台に対し、グリーンシートまたは予備成形体を載置し、成形プレス機により熱圧成形し、得られた熱圧成形物を取り外す操作を順次行うことにより、熱圧成形物を量産する請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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