JP2011215264A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性を有し、液晶表示装置においてコントラスト比の良好な表示を与えうる偏光板を提供する。
【解決手段】偏光子層を有する偏光板であって、85℃の雰囲気下で750時間放置する第1工程と、第1工程の直後に室温の雰囲気下で48時間放置する第2工程とを有し、第1工程の開始直前、第1工程の終了直後、および第2工程の終了直後のハンターLab表色系の直交a値をそれぞれa1、a2、a3として上記偏光子層に関するこれらの値を取得する評価試験を行なった場合に、a2とa1の差分をΔX、a2とa3の差分をΔYとすると、ΔXおよびΔYが、ΔY/ΔX≧0.7の関係を満たす。
【選択図】なし
【解決手段】偏光子層を有する偏光板であって、85℃の雰囲気下で750時間放置する第1工程と、第1工程の直後に室温の雰囲気下で48時間放置する第2工程とを有し、第1工程の開始直前、第1工程の終了直後、および第2工程の終了直後のハンターLab表色系の直交a値をそれぞれa1、a2、a3として上記偏光子層に関するこれらの値を取得する評価試験を行なった場合に、a2とa1の差分をΔX、a2とa3の差分をΔYとすると、ΔXおよびΔYが、ΔY/ΔX≧0.7の関係を満たす。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光板およびその製造方法に関する。
液晶表示装置は、消費電力が少なく、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート等、多くの材料から構成されている。そのため、構成フィルムの枚数を減らしたり、フィルムまたはシートの厚さを薄くしたりすることで、生産性や軽量化、明度の向上等を目指した改良が盛んに行われている。
一方、液晶表示装置は、用途によっては厳しい耐久条件に耐えうる製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が高くなることがあり、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用のモニターと比べると、温度および湿度条件が厳しい。そのような用途には、偏光板も高い耐久性を示すものが求められる。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面又は片面に、透明な保護フィルムが積層された構成を有する。例えば、特許文献1には、色相が良好で、耐久性の良い偏光板として、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素染色し、その後ホウ酸水溶液中で一軸延伸して作製した偏光子の表面に透明保護フィルムを設けた偏光板が開示されている。
しかしながら、ポリビニルアルコール系フィルムを偏光子として用いた上記従来の偏光板は、耐久性が不十分であり、このような偏光板を液晶表示装置に使用した場合、環境によっては液晶表示装置のコントラストの低下が顕著となる場合があった。
そこで、本発明は、耐久性を有し、液晶表示装置においてコントラスト比の良好な表示を与えうる偏光板、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、上記従来の偏光板を高温環境下に晒すと赤変しやすく、かかる赤変が液晶表示装置におけるコントラスト低下につながることを見出し本発明に至った。
本発明は、偏光子層を有する偏光板であって、85℃の雰囲気下で750時間放置する第1工程と、第1工程の直後に室温の雰囲気下で48時間放置する第2工程とを有し、第1工程の開始直前、第1工程の終了直後、および第2工程の終了直後のハンターLab表色系の直交a値をそれぞれa1、a2、a3として上記偏光子層に関するこれらの値を取得する評価試験を行なった場合に、a2とa1の差分をΔX、a2とa3の差分をΔYとすると、ΔXおよびΔYが、次の式(1)の関係を満たす。
ΔY/ΔX≧0.7 式(1)
上記偏光子層は、好ましくは、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる。また、上記偏光子層は、好ましくは、厚みが10μm以下である。
上記偏光子層は、好ましくは、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる。また、上記偏光子層は、好ましくは、厚みが10μm以下である。
また、本発明は、上記偏光板の製造方法であって、上記基材フィルムの一方の面に、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、上記延伸フィルムの前記樹脂層を二色性色素で染色して染色フィルムを得る染色工程と、上記染色フィルムの前記樹脂層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程と、上記架橋フィルムを乾燥する乾燥工程と、を有し、上記架橋工程および上記乾燥工程において、延伸を行なわない製造方法である。
また、本発明は、上記偏光板の製造方法であって、上記基材フィルムの一方の面に、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、上記延伸フィルムの上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し、染色フィルムを得る染色工程と、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程と、上記架橋フィルムを乾燥して偏光性積層フィルムを得る乾燥工程と、上記偏光性積層フィルムにおいて、上記偏光子層の上記基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、上記多層フィルムから上記基材フィルムを剥離する剥離工程と、を有し、上記架橋工程および上記乾燥工程において、延伸を行なわない製造方法である。
さらに、本発明は、上記偏光板を有する液晶表示装置である。
さらに、本発明は、上記製造方法により製造された偏光板を有する液晶表示装置である。
さらに、本発明は、上記製造方法により製造された偏光板を有する液晶表示装置である。
本発明によれば、液晶表示装置において良好なコントラスト比の表示を与えうる偏光板を提供することができる。また、本発明によれば、耐久性に優れ、過酷な環境下で使用される液晶表示装置においても良好なコントラスト比の表示を与えうる偏光板を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
<偏光板の構成>
本発明に係る偏光板は、偏光子層を有し、次の評価試験において次の式(1)の関係を満たす。評価試験は、偏光板を85℃の雰囲気下で750時間放置する第1工程と、第1工程の直後に室温の雰囲気下で48時間放置する第2工程とを有し、第1工程の開始直前、第1工程の終了直後、および第2工程の終了直後のハンターLab表色系の直交a値をそれぞれa1、a2、a3として偏光子層に関するこれらの値を取得する試験である。式(1)の関係を満たすとは、a2とa1の差分をΔX、a2とa3の差分をΔYとすると、ΔXおよびΔYが、次の式(1)の関係を満たすことをいう。
<偏光板の構成>
本発明に係る偏光板は、偏光子層を有し、次の評価試験において次の式(1)の関係を満たす。評価試験は、偏光板を85℃の雰囲気下で750時間放置する第1工程と、第1工程の直後に室温の雰囲気下で48時間放置する第2工程とを有し、第1工程の開始直前、第1工程の終了直後、および第2工程の終了直後のハンターLab表色系の直交a値をそれぞれa1、a2、a3として偏光子層に関するこれらの値を取得する試験である。式(1)の関係を満たすとは、a2とa1の差分をΔX、a2とa3の差分をΔYとすると、ΔXおよびΔYが、次の式(1)の関係を満たすことをいう。
ΔY/ΔX≧0.7 式(1)
ΔY/ΔXの値が1に近い程、第1工程により偏光子層が赤変したとしても、第2工程により元の状態に近い状態に戻っていることを示している。この値が式(1)にあるように0.7以上であると、過酷な環境(第1工程)下に晒されたとしても、表示の明瞭さに不都合が生じていないことがわかった。したがって、本発明の偏光板は式(1)の関係を満たすことにより、耐久性に優れ、過酷な環境下に晒されたとしても明瞭な表示を提供することができる。なお、ΔY/ΔXの値が0.8以上であることがより好ましい。
ΔY/ΔXの値が1に近い程、第1工程により偏光子層が赤変したとしても、第2工程により元の状態に近い状態に戻っていることを示している。この値が式(1)にあるように0.7以上であると、過酷な環境(第1工程)下に晒されたとしても、表示の明瞭さに不都合が生じていないことがわかった。したがって、本発明の偏光板は式(1)の関係を満たすことにより、耐久性に優れ、過酷な環境下に晒されたとしても明瞭な表示を提供することができる。なお、ΔY/ΔXの値が0.8以上であることがより好ましい。
[偏光子層]
偏光子層は、好ましくは厚さ10μm以下であり、好ましくは一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
偏光子層は、好ましくは厚さ10μm以下であり、好ましくは一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が98モル%未満であると十分な光学性能が得られないことがあるためである。
ここでいうケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式で定義される数値である。JIS K 6726(1994)で規定されている方法で求めることができる。
ケン化度(モル%)=(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)×100
ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、すなわち結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。また、本発明に用いる好適に用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されるものではなく、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールでもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで数%ほど変性したものなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度も特に限定されるものではないが、100〜10000が好ましく、1500〜10000がより好ましい。
ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、すなわち結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。また、本発明に用いる好適に用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されるものではなく、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールでもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで数%ほど変性したものなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度も特に限定されるものではないが、100〜10000が好ましく、1500〜10000がより好ましい。
このような特性を有するポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば(株)クラレ製のPVA124H(ケン化度:99.9モル%以上)、PVA124(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、PVA117H(ケン化度:99.3モル%以上)、PVA117(ケン化度:98.0〜99.0モル%);例えば日本合成化学工業(株)製のNH−18(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、N−300(ケン化度:98.0〜99.0モル%);例えば日本酢ビ・ポバール(株)製のJF−17(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、JF−17L(ケン化度:98.0〜99.0モル%)、JF−20(ケン化度:98.0〜99.0モル%)などが挙げられ、本発明において好適に用いることができる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが本発明にかかる偏光子層を構成する。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができるが、所望の厚さの偏光子層を得やすいという点から、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液を基材フィルム上に塗布して製膜することが好ましい。偏光子層は、好ましくは5倍超の延伸倍率で一軸延伸されている。
偏光子層は、好ましくは、上述のようなポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されている。偏光子層の厚さは、好ましくは10μm以下である。偏光子層の厚さを10μm以下とすることにより、薄型の偏光板を構成することができる。
[直交a値の取得方法]
上述の評価試験における直交a値の取得方法を説明する。ここで直交a値はハンター表色系により規定される。具体的にはJIS Z 8701に準じて、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、自動偏光フィルム測定装置(VAP−7070)付、同社製紫外可視分光光度計(V7100)、2度視野;C光源)を使用して測定する。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、以下の式2に基づいて5nmの波長間隔で直交透過率を算出する。得られた各波長における直交透過率を用いてJIS Z 8772 5.4に準じて試料の直交の三刺激値(Xc、Yc、Zc)を測定し、これらの値をLab空間における色差公式として以下に示すHunterの式(式(3)に代入することによって、直交a値を算出する。
上述の評価試験における直交a値の取得方法を説明する。ここで直交a値はハンター表色系により規定される。具体的にはJIS Z 8701に準じて、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、自動偏光フィルム測定装置(VAP−7070)付、同社製紫外可視分光光度計(V7100)、2度視野;C光源)を使用して測定する。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、以下の式2に基づいて5nmの波長間隔で直交透過率を算出する。得られた各波長における直交透過率を用いてJIS Z 8772 5.4に準じて試料の直交の三刺激値(Xc、Yc、Zc)を測定し、これらの値をLab空間における色差公式として以下に示すHunterの式(式(3)に代入することによって、直交a値を算出する。
上記において、「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を平行にしたときの透過率であり、式(2)においては「MD」と表す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルを透過軸を直交にしたときの透過率であり、式(2)においては「TD」と表す。
直交透過率(%)=(MD+TD)/100 式(2)
直交a値=17.5(1.02Xc−Yc)/Yc1/2 式(3)
<偏光板の製造方法>
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る偏光板の製造方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸処理を施し延伸フィルムとする延伸工程(S20)、上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成して染色フィルムを得る染色工程(S30)、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程(S40)、上記架橋フィルムを乾燥させる乾燥工程(S50)をこの順番に実施するものである。
直交a値=17.5(1.02Xc−Yc)/Yc1/2 式(3)
<偏光板の製造方法>
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る偏光板の製造方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸処理を施し延伸フィルムとする延伸工程(S20)、上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成して染色フィルムを得る染色工程(S30)、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程(S40)、上記架橋フィルムを乾燥させる乾燥工程(S50)をこの順番に実施するものである。
この製造方法により得られる偏光板は、延伸された基材フィルム上に偏光子層を備えた偏光板となる。これを、基材フィルムを保護フィルムとしてそのまま偏光板として用いることもできるし、後述するように、偏光子層を保護フィルムへ転写するための中間体製品として用いることもできる。
本実施形態では、架橋工程(S40)においては延伸フィルムの延伸は行なわず、乾燥工程(S50)においては架橋フィルムの延伸は行なわない。架橋工程(S40)または乾燥工程(S50)において延伸を行なうと、延伸フィルムまたは架橋フィルムにネックインが発現してしまうことがあり、好ましくないからである。
[第2の実施形態]
図2は、本発明に係る偏光板の製造方法の第2の実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸処理を施し延伸フィルムとする延伸工程(S20)、上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成して染色フィルムを得る染色工程(S30)、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程(S40)、上記架橋フィルムを乾燥させ偏光性積層フィルムを得る乾燥工程(S50)をこの順番に実施した後、上記偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程(S60)、上記多層フィルムから基材フィルムを剥離する剥離工程(S70)をこの順に備える。
図2は、本発明に係る偏光板の製造方法の第2の実施形態を示すフローチャートである。これによると、偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムとする樹脂層形成工程(S10)、上記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸処理を施し延伸フィルムとする延伸工程(S20)、上記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成して染色フィルムを得る染色工程(S30)、上記染色フィルムの上記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程(S40)、上記架橋フィルムを乾燥させ偏光性積層フィルムを得る乾燥工程(S50)をこの順番に実施した後、上記偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程(S60)、上記多層フィルムから基材フィルムを剥離する剥離工程(S70)をこの順に備える。
この製造方法により得られる偏光板は、保護フィルム上に偏光子層を備えた偏光板となる。この偏光板は、例えば、感圧式接着剤を介して他の光学フィルムや液晶セルに貼り合せるなどして用いることができる。
本実施形態では、架橋工程(S40)においては延伸フィルムの延伸は行なわず、乾燥工程(S50)においては架橋フィルムの延伸は行なわない。架橋工程(S40)または乾燥工程(S50)において延伸を行なうと、延伸フィルムまたは架橋フィルムにネックインが発現してしまうことがあり、好ましくないからである。
以下、図1および図2におけるS10〜S70の各工程について、詳しく説明する。なお、図1および図2のS10〜S50の各工程は同様の工程である。
(樹脂層形成工程(S10))
ここでは、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成する。
ここでは、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成する。
基材フィルムに適した材料は、たとえば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート等のセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。基材フィルムの材料として、セルロースエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくともいずれか1つが含まれることが好ましい。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどが挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリプロピレンからなる基材フィルムを用いた場合、安定的に高倍率に延伸しやすく好ましい。環状ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくはノルボルネン系樹脂が用いられる。環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、たとえば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、およびこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびにそれらの水素化物などが挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては種々の製品が市販されている。具体例としては、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。たとえば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(たとえば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。(メタ)アクリル系樹脂として、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
基材フィルムには、上記の熱可塑性樹脂の他に、任意の適切な添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、および着色剤などが挙げられる。基材フィルム中の上記にて例示した熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。基材フィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現されないおそれがあるからである。
基材フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性の点から1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましく、さらには5〜200μmが好ましい。基材フィルムの厚さは、5〜150μmが最も好ましい。
基材フィルムは、偏光子層との密着性を向上させるために、少なくとも偏光子層が形成される側の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよい。また密着性を向上させるために、基材フィルムの偏光子層が形成される側の表面にプライマー層等の薄層を形成してもよい。
第1および第2の実施形態において、基材フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の延伸に適した温度範囲で延伸できるように、融点が110℃以上のものを用いることが好ましい。好ましくは、融点が130℃以上のものを用いる。基材フィルムの融点が110℃未満であると、後述の延伸工程(S20)において、基材フィルムが融解しやすく延伸温度を十分に上げることができず、5倍超の延伸が困難になるためである。基材フィルムの融点とは、ISO3146に基づいて昇温速度10℃/minで測定した値である。
樹脂層を形成するために適したポリビニルアルコール系樹脂の材料は、偏光板の構成の説明で述べた通りである。形成する樹脂層の厚みは、3μm超かつ30μm以下であることが好ましく、さらには5〜20μmが好ましい。3μm以下であると延伸後に薄くなりすぎて染色性が著しく悪化してしまい、30μmを超えると、最終的に得られる偏光子層の厚みが10μmを超えてしまうことがあり好ましくない。
樹脂層は、好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒に溶解させて得たポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムの一方の表面上に塗工し、溶剤を蒸発させて乾燥することにより形成される。樹脂層をこのように形成することにより、薄く形成することが可能となる。ポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムに塗工する方法としては、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、などを公知の方法から適宜選択して採用できる。乾燥温度は、たとえば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。乾燥時間は、たとえば2〜20分である。
なお、第1および第2の実施形態における樹脂層は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを基材フィルムの一方の表面上に貼着することにより形成することも可能である。
また、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂の密着性を向上させるために、基材フィルムと樹脂層の間にプライマー層を設けても良い。プライマー層はポリビニルアルコール系樹脂に架橋剤などを含有する組成物で形成することが密着性の観点から好ましい。
(延伸工程(S20))
ここでは、基材フィルムおよび樹脂層からなる積層フィルムを、積層フィルムの元長に対して、好ましくは5倍超の延伸倍率となるように一軸延伸し延伸フィルムを得る。さらに好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。より好ましくは5倍超かつ8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、延伸フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。延伸工程(S20)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段を合わせて好ましくは5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。
ここでは、基材フィルムおよび樹脂層からなる積層フィルムを、積層フィルムの元長に対して、好ましくは5倍超の延伸倍率となるように一軸延伸し延伸フィルムを得る。さらに好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。より好ましくは5倍超かつ8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、延伸フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。延伸工程(S20)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段を合わせて好ましくは5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。
第1および第2の実施形態における延伸工程(S20)においては、積層フィルムの長手方向に対して行なう縦延伸処理が好ましい。縦延伸方式としては、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸方法などが挙げられる。延伸処理は、縦延伸処理に限定されることはなく、斜め延伸処理等であってもよい。また、自由端一軸延伸であることが好ましい。
延伸処理は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、積層フィルムを延伸する際の温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
第1および第2の実施形態においては、基材フィルムの融点の−30℃から+5℃の温度範囲で延伸処理を行なうことが好ましい。さらに好ましくは、基材フィルムの融点の−25℃から融点の温度範囲で延伸処理を行う。延伸温度を基材フィルムの融点の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が困難になる。延伸温度が基材フィルムの融点の+5℃を超えると、基材フィルムの融解により延伸が困難となるため好ましくない。なお、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。延伸温度が120℃以上の場合、5倍超の高延伸倍率であっても延伸処理に困難性を伴わないからである。延伸処理の温度調整は、通常、加熱炉の温度調整による。
(染色工程(S30))
ここでは、延伸フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色して偏光子層を形成し染色フィルムを得る。二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
ここでは、延伸フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色して偏光子層を形成し染色フィルムを得る。二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
染色工程は、たとえば、上記二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に、延伸フィルム全体を浸漬することにより行う。染色溶液としては、上記二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。染色溶液の溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されても良い。二色性色素の濃度としては、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.02〜7重量%であることがより好ましく、0.025〜5重量%であることが特に好ましい。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、さらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、染色溶液において、0.01〜10重量%であることが好ましい。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合は重量比で、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
染色溶液への延伸フィルムの浸漬時間は、特に限定されないが、通常は15秒〜15分間の範囲であることが好ましく、1分〜3分間であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
(架橋工程(S40))
染色工程(S30)により得られた染色フィルムに架橋処理を行う。架橋処理は、たとえば架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に染色フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
染色工程(S30)により得られた染色フィルムに架橋処理を行う。架橋処理は、たとえば架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に染色フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
架橋溶液として、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、たとえば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでも良い。架橋溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、2〜6重量%であることがより好ましい。
架橋溶液中には、ヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物の添加により、偏光子層の面内における偏光特性をより均一化させることができる。ヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。ヨウ化物の含有量は、0.05〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%である。
架橋溶液への染色フィルムの浸漬時間は、通常、15秒〜20分間であることが好ましく、30秒〜15分間であることがより好ましい。また、架橋溶液の温度は、10℃〜90℃の範囲にあることが好ましく、70℃〜85℃の範囲にあることがより好ましい。
架橋工程の後には洗浄工程を行なうことが好ましい。洗浄工程としては、水洗浄処理を施すことができる。水洗浄処理は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水に延伸フィルムを浸漬することにより行なうことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4℃〜20℃の範囲である。浸漬時間は通常2〜300秒間、好ましくは3秒〜240秒間である。
洗浄工程は、ヨウ化物溶液による洗浄処理と水洗浄処理を組み合わせてもよく、適宜にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを配合した溶液を用いることもできる。
(乾燥工程(S50))
洗浄工程の後に乾燥工程を行なう。乾燥工程として、任意の適切な方法(たとえば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)を採用しうる。たとえば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常、20〜95℃であり、乾燥時間は、通常、1〜15分間程度である。以上の工程により、基材フィルムの上に偏光子層を備えた偏光性積層フィルムが得られる。偏光子層は、樹脂層が上述の一連の工程を経た後に偏光機能を有するようになったものである。この偏光性積層フィルムを、そのまま偏光板として用いることができることは、上述の通りである。以下、第2の実施形態におけるS60およびS70について詳細に説明する。
洗浄工程の後に乾燥工程を行なう。乾燥工程として、任意の適切な方法(たとえば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)を採用しうる。たとえば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常、20〜95℃であり、乾燥時間は、通常、1〜15分間程度である。以上の工程により、基材フィルムの上に偏光子層を備えた偏光性積層フィルムが得られる。偏光子層は、樹脂層が上述の一連の工程を経た後に偏光機能を有するようになったものである。この偏光性積層フィルムを、そのまま偏光板として用いることができることは、上述の通りである。以下、第2の実施形態におけるS60およびS70について詳細に説明する。
(貼合工程(S60))
ここでは、偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤で偏光子層と保護フィルムを貼合する方法、接着剤で偏光子層面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。
ここでは、偏光性積層フィルムの偏光子層の基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤で偏光子層と保護フィルムを貼合する方法、接着剤で偏光子層面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。
保護フィルム
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもかまわないし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもかまわない。保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもかまわないし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもかまわない。保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、適宜の市販品、例えば、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(登録商標)(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)を好適に用いることができる。このような環状ポリオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などの予め製膜された環状ポリオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができる。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、またはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃までの範囲である。延伸の倍率は、一つの方向につき通常1.1〜6倍、好ましくは1.1〜3.5倍である。
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一般に表面活性が劣るため、偏光フィルムと接着させる表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を行うのが好ましい。中でも、比較的容易に実施可能なプラズマ処理、コロナ処理が好適である。
酢酸セルロース系樹脂フィルムとしては、適宜の市販品、たとえば、フジタック(登録商標)TD80(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UF(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD80UZ(富士フィルム(株)製)、フジタック(登録商標)TD40UZ(富士フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)を好適に用いることができる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムの表面には、視野角特性を改良するために液晶層などを形成してもよい。また、位相差を付与するため酢酸セルロース系樹脂フィルムを延伸させたものでもよい。酢酸セルロース系樹脂フィルムは、偏光フィルムとの接着性を高めるため、通常はケン化処理が施される。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が採用できる。
上述したような保護フィルムの表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの光学層を形成することもできる。保護フィルム表面にこれらの光学層を形成する方法はとくに限定されず、公知の方法を用いることができる。
保護フィルムの厚みは薄型化の要求から、できるだけ薄いものが好ましく、88μm以下が好ましく、48μm以下がより好ましい。逆に薄すぎると強度が低下して加工性に劣るため、5μm以上であることが好ましい。
粘着剤層
保護フィルムと偏光子層との貼合に用いられる粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
保護フィルムと偏光子層との貼合に用いられる粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
粘着剤層の厚みは1〜40μmであることが好ましいが、加工性、耐久性の特性を損なわない範囲で、薄く塗るのが好ましく、より好ましくは3〜25μmである。3〜25μmであると良好な加工性を有し、かつ偏光フィルムの寸法変化を押さえる上でも好適な厚みである。粘着剤層が1μm未満であると粘着性が低下し、40μmを超えると粘着剤がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
粘着剤により保護フィルムを偏光子層に貼合する方法においては、保護フィルム面に粘着剤層を設けた後、偏光子層に貼合してもよいし、偏光子層の表面に粘着剤層を設けた後、ここに保護フィルムを貼合してもよい。
粘着剤層を形成する方法は特に限定されるものではなく、保護フィルム面、もしくは偏光子層面に、上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む溶液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成した後、保護フィルムと偏光子層とを貼り合わせてもよいし、セパレータ上に粘着剤層を形成した後、保護フィルム面もしくは偏光子層面に転写して積層してもよい。また、粘着剤層を保護フィルムもしくは偏光子層面に形成する際には必要に応じて保護フィルムもしくは偏光子層面、または粘着剤層の片方若しくは両方に密着処理、たとえば、コロナ処理等を施してもよい。
接着剤層
保護フィルムと偏光子層との貼合に用いられる接着剤は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。保護フィルムとしてケン化処理などで親水化処理された酢酸セルロース系フィルムを用いる場合、偏光子層との貼合用の水系接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm以下となり、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
保護フィルムと偏光子層との貼合に用いられる接着剤は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。保護フィルムとしてケン化処理などで親水化処理された酢酸セルロース系フィルムを用いる場合、偏光子層との貼合用の水系接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系の接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm以下となり、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
水系接着剤を用いて偏光子層と保護フィルムとを貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば偏光子層および/または保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロールなどにより貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。通常、接着剤は、その調製後、15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常15〜30℃の範囲である。
水系接着剤を使用する場合は、偏光子層と保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するため、乾燥させる。乾燥炉の温度は、30℃〜90℃が好ましい。30℃未満であると偏光子層と保護フィルムとの接着面が剥離しやすくなる傾向がある。90℃以上であると熱によって光学性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒とすることができ、特に生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、更に好ましくは150〜600秒である。
乾燥後はさらに、室温またはそれよりやや高い温度、たとえば、20〜45℃程度の温度で12〜600時間程度養生しても良い。養生のときの温度は、乾燥時に採用した温度よりも低く設定されるのが一般的である。
また偏光子層と保護フィルムを貼合する際の接着剤として、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
偏光子層と保護フィルムを光硬化性接着剤にて貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光子層および/または保護フィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物である偏光子層または保護フィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
偏光子層または保護フィルムの表面に接着剤を塗布した後、偏光子層および保護フィルムを接着剤塗布面を介してニップロールなどで挟んで貼り合わせることにより接着される。また、偏光子層と保護フィルムとを重ね合わせた状態で偏光子層と保護フィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロール等で加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴム等を用いることが可能である。さらに、偏光子層と保護フィルムの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。上記ニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層の、乾燥または硬化前の厚さは、5μm以下かつ0.01μm以上であることが好ましい。
偏光子層および/または保護フィルムの接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
接着剤として光硬化性樹脂を用いた場合は、偏光子層と保護フィルムとを接合後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤に応じて適用されるものであって特に限定されないが、上記の照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上でかつ2μm以下、さらに好ましくは0.01μm以上でかつ1μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光子層の偏光度、透過率および色相、ならびに保護フィルムの透明性など、偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行うことが好ましい。
(剥離工程(S70))
第2の実施形態の偏光板の製造方法では、図2に示すように、保護フィルムを偏光子層に貼合する貼合工程(S60)の後、基材フィルムの剥離工程(S70)を行なう。基材フィルムの剥離工程(S70)では、基材フィルムを多層フィルムから剥離する。基材フィルムの剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われる剥離フィルムの剥離工程と同様の方法で剥離できる。保護フィルムの貼合工程(S60)の後、そのまますぐ剥離してもよいし、一度ロール状に巻き取った後、別に剥離工程を設けて剥離してもよい。
第2の実施形態の偏光板の製造方法では、図2に示すように、保護フィルムを偏光子層に貼合する貼合工程(S60)の後、基材フィルムの剥離工程(S70)を行なう。基材フィルムの剥離工程(S70)では、基材フィルムを多層フィルムから剥離する。基材フィルムの剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われる剥離フィルムの剥離工程と同様の方法で剥離できる。保護フィルムの貼合工程(S60)の後、そのまますぐ剥離してもよいし、一度ロール状に巻き取った後、別に剥離工程を設けて剥離してもよい。
(他の工程)
以上のようして製造される本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層を積層する工程をさらに有し、そのような光学層が積層された偏光板としてもよい。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。
以上のようして製造される本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層を積層する工程をさらに有し、そのような光学層が積層された偏光板としてもよい。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。他の光学層の例としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、例えばDBEF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、APF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。視野角補償フィルムとしては基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、アートン(登録商標)フィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
第1および第2の実施形態の製造方法によると、製造工程におけるネックインが抑制され、耐久性に優れた偏光板を提供することが可能となる。ネックインとは、溶融樹脂が幅方向において内方に収縮し、そのため偏光板の両端が中央部より厚くなってしまう不具合である。
<液晶表示装置>
第1または第2の実施形態により製造された偏光板を供えた液晶表示装置を構成することができる。液晶表示装置の製造は、従来公知の方法にしたがって行なうことができる。すなわち液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏光板、および必要に応じて照明システム等他の構成部品を適宜組み立てて、さらに駆動回路を組むことにより形成されるが、本発明においては本発明に係る偏光板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準ずる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型などの任意のタイプのものを用いることができる。
第1または第2の実施形態により製造された偏光板を供えた液晶表示装置を構成することができる。液晶表示装置の製造は、従来公知の方法にしたがって行なうことができる。すなわち液晶表示装置は、一般に、液晶セル、偏光板、および必要に応じて照明システム等他の構成部品を適宜組み立てて、さらに駆動回路を組むことにより形成されるが、本発明においては本発明に係る偏光板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準ずる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型などの任意のタイプのものを用いることができる。
液晶セルの片側または両側に偏光板を配置して、さらに照明システムにバックライトあるいは反射板を適宜用いて液晶表示装置を構成することができる。このような液晶表示装置において、液晶セルの片側または両側に配置される偏光板の少なくとも一つは、本発明に係る偏光板とする。両側に偏光板を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置は、上記以外にも、例えば拡散板、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシートなどの適宜の要素を組み合わせて構成することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
本発明に係る偏光板を作製した。
本発明に係る偏光板を作製した。
(基材フィルム)
基材フィルムとして、厚み100μmの未延伸のホモプロピレン(PP)フィルムを用いた。
基材フィルムとして、厚み100μmの未延伸のホモプロピレン(PP)フィルムを用いた。
(プライマー層の形成)
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセファイマーZ−200)を95℃の熱水に溶解させ濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液に架橋剤(住友化学(株)製、商品名:スミレーズ(登録商標)レジン650)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部を混ぜた。得られた混合水溶液をコロナ処理を施した基材フィルムの面上に塗工し、80℃で10分間乾燥させ厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセファイマーZ−200)を95℃の熱水に溶解させ濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液に架橋剤(住友化学(株)製、商品名:スミレーズ(登録商標)レジン650)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部を混ぜた。得られた混合水溶液をコロナ処理を施した基材フィルムの面上に塗工し、80℃で10分間乾燥させ厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(樹脂層形成工程)
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度2400、ケン化度98〜99モル%)を95℃の熱水中に溶解させ濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を上記プライマー層の上に塗工し80℃で20分間乾燥させ、基材フィルム、プライマー層、樹脂層からなる三層の積層フィルムを作成した。この時樹脂層の厚みは6.1μmであった。
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度2400、ケン化度98〜99モル%)を95℃の熱水中に溶解させ濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を上記プライマー層の上に塗工し80℃で20分間乾燥させ、基材フィルム、プライマー層、樹脂層からなる三層の積層フィルムを作成した。この時樹脂層の厚みは6.1μmであった。
(延伸工程、染色工程、架橋工程、乾燥工程)
上記積層フィルムをテンター装置を用いて予熱140℃、延伸温度150℃〜160℃の範囲で縦方向の自由端一軸延伸により5.8倍に延伸し延伸フィルムを得た。その後、延伸フィルムを延伸軸方向に60℃の温浴に60秒浸漬し、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液420秒浸漬した後、10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次いで76℃のホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に600秒浸漬させた。この時延伸フィルムの延伸は行わず、幅方向にネックインも見られなかった。その後10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に延伸させずに80℃で300秒間乾燥させて、偏光子層、プライマー層、基材フィルムの三層からなる偏光性積層フィルムを得た。乾燥によるネックインも見られなかった。
(貼合工程、剥離工程)
上記偏光性積層フィルムの偏光素子層の基材フィルム側の面とは反対側の面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布した後に保護フィルム(コニカ(株)製、膜厚40μm、TAC)を貼合し80℃で300秒乾燥させ、保護フィルム、偏光子層、プライマー層、基材フィルムの四層からなる多層フィルムを得た。
上記積層フィルムをテンター装置を用いて予熱140℃、延伸温度150℃〜160℃の範囲で縦方向の自由端一軸延伸により5.8倍に延伸し延伸フィルムを得た。その後、延伸フィルムを延伸軸方向に60℃の温浴に60秒浸漬し、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液420秒浸漬した後、10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次いで76℃のホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に600秒浸漬させた。この時延伸フィルムの延伸は行わず、幅方向にネックインも見られなかった。その後10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に延伸させずに80℃で300秒間乾燥させて、偏光子層、プライマー層、基材フィルムの三層からなる偏光性積層フィルムを得た。乾燥によるネックインも見られなかった。
(貼合工程、剥離工程)
上記偏光性積層フィルムの偏光素子層の基材フィルム側の面とは反対側の面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布した後に保護フィルム(コニカ(株)製、膜厚40μm、TAC)を貼合し80℃で300秒乾燥させ、保護フィルム、偏光子層、プライマー層、基材フィルムの四層からなる多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムから基材フィルムを剥離し偏光板を得た。基材フィルムは容易に剥離され、保護フィルム、偏光子層、プライマー層の三層からなる実施例1の偏光板を得た。偏光子層の厚みは6.1μmであった。
(評価試験)
実施例1の偏光板について、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
実施例1の偏光板について、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
(実装試験)
評価試験を行なった後の実施例1の偏光板について、プライマー層の表面に厚み25μmのアクリル系粘着剤の層を設けた。そして、携帯電話(IPSモード、CASIO社製、商品名:W53CA)の液晶パネルの上下に配置されていたオリジナルの偏光板を剥した後に、上記の粘着層を設けた実施例1の偏光板の粘着層側を液晶パネルに貼合した。光軸はオリジナルの偏光板と同一にした。室温で48時間放置した後、画像を表示させ一般の屋内環境、および、暗室内にて画像の明瞭さを目視判定することで表示状態の評価を実施した。表示状態は明瞭であり良好な表示が得られた。表1に結果を示す。
評価試験を行なった後の実施例1の偏光板について、プライマー層の表面に厚み25μmのアクリル系粘着剤の層を設けた。そして、携帯電話(IPSモード、CASIO社製、商品名:W53CA)の液晶パネルの上下に配置されていたオリジナルの偏光板を剥した後に、上記の粘着層を設けた実施例1の偏光板の粘着層側を液晶パネルに貼合した。光軸はオリジナルの偏光板と同一にした。室温で48時間放置した後、画像を表示させ一般の屋内環境、および、暗室内にて画像の明瞭さを目視判定することで表示状態の評価を実施した。表示状態は明瞭であり良好な表示が得られた。表1に結果を示す。
[実施例2]
樹脂層に用いるポリビニルアルコールとして、ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度1700、ケン化度99.3モル%以上、商品名:クラレポバール117H)を用いた点以外は実施例1と同じ方法で延伸フィルムを得た。延伸フィルムにおける樹脂層の厚みは6.5μmであった。
樹脂層に用いるポリビニルアルコールとして、ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製、平均重合度1700、ケン化度99.3モル%以上、商品名:クラレポバール117H)を用いた点以外は実施例1と同じ方法で延伸フィルムを得た。延伸フィルムにおける樹脂層の厚みは6.5μmであった。
さらに、染色工程において染色液に浸漬させる時間を、1320秒とした点および乾燥工程における乾燥を90℃で60秒間とした点以外は実施例1と同様の方法で保護フィルム、偏光子層、プライマー層の三層からなる実施例2の偏光板を得た。偏光子層の厚みは6.5μmであった。
(評価試験)
実施例2の偏光板について、実施例1と同様に、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
実施例2の偏光板について、実施例1と同様に、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
(実装試験)
評価試験を行なった後の実施例2の偏光板について、実施例1と同様に実装試験を行なったところ、表示状態は明瞭であり良好な表示が得られた。表1に結果を示す。
評価試験を行なった後の実施例2の偏光板について、実施例1と同様に実装試験を行なったところ、表示状態は明瞭であり良好な表示が得られた。表1に結果を示す。
[実施例3]
樹脂層に用いるポリビニルアルコールとして、ポリビニルアルコール((クラレ(株)製、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上、商品名:クラレポバールVF−PS#7500)を細かく刻んだものを用いた点以外は実施例1と同じ方法で延伸フィルムを得た。延伸フィルムにおける樹脂層の厚みは6.5μmであった。
樹脂層に用いるポリビニルアルコールとして、ポリビニルアルコール((クラレ(株)製、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上、商品名:クラレポバールVF−PS#7500)を細かく刻んだものを用いた点以外は実施例1と同じ方法で延伸フィルムを得た。延伸フィルムにおける樹脂層の厚みは6.5μmであった。
さらに、染色工程において染色液に浸漬させる時間を、2400秒とした点および乾燥工程における乾燥を70℃で300秒間とした点以外は実施例1と同様の方法で保護フィルム、偏光子層、プライマー層の三層からなる実施例3の偏光板を得た。偏光子層の厚みは6.5μmであった。
(評価試験)
実施例3の偏光板について、実施例1と同様に、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
実施例3の偏光板について、実施例1と同様に、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
(実装試験)
評価試験を行なった後の実施例3の偏光板について、実施例1と同様に実装試験を行なったところ、表示状態は明瞭であり良好な表示が得られた。表1に結果を示す。
評価試験を行なった後の実施例3の偏光板について、実施例1と同様に実装試験を行なったところ、表示状態は明瞭であり良好な表示が得られた。表1に結果を示す。
[比較例1]
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態に保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に72℃で300秒間浸漬した。この時フィルムは幅方向にネックインが見られた。引き続き10℃の純水で5秒間洗浄した後、90℃で180秒間乾燥し(このときも幅方向にネックインが見られた)、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態に保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ホウ酸とヨウ化カリウムの混合水溶液に72℃で300秒間浸漬した。この時フィルムは幅方向にネックインが見られた。引き続き10℃の純水で5秒間洗浄した後、90℃で180秒間乾燥し(このときも幅方向にネックインが見られた)、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
別途、100部の水に、クラレポバール117H(クラレ(株)製)3部、ゴーセファイマーZ−200(日本合成化学工業(株)製)3部、塩化亜鉛(ナカライテスク(株)より販売)0.18部、グリオキザール(ナカライテスク(株)より販売)1.4部を溶解させて、ポリビニルアルコール系樹脂接着剤を調製した。
先に得られた偏光フィルムの一方の面に、ケン化処理が施された保護フィルム(コニカ(株)製、膜厚40μm、商品名:TAC)を上記接着剤を介して、ニップロールにより貼合した。その後50℃で300秒間乾燥させ比較例1の偏光板を得た。
(評価試験)
比較例3の偏光板について、実施例1と同様に、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
比較例3の偏光板について、実施例1と同様に、上述の評価試験を行ない、上述の通りに直交a値(a1、a2、a3)を取得した。そして、a2とa1の差分をΔXとし、a2とa3の差分をΔYとして、ΔY/ΔXの値を算出した。表1に算出結果を表す。
(実装試験)
評価試験を行なった後の比較例3の偏光板について、実施例1と同様に実装試験を行なったところ、表示状態は不明瞭であった。表1に結果を示す。
評価試験を行なった後の比較例3の偏光板について、実施例1と同様に実装試験を行なったところ、表示状態は不明瞭であった。表1に結果を示す。
実施例1〜3の偏光板は、評価試験の第1工程により偏光子層が赤変しているが(ΔXの値が0でないことは変化していることを示す)、第2工程(室温で48時間放置)を経ることにより元の状態に近い状態まで戻り、赤変が抑えられていることがわかった。ΔY/ΔXが0.7以上である実施例1〜3の偏光板は、実装試験においても明瞭な表示が得られるという良好な結果が得られた。一方、比較例1の、液晶表示装置においては、ΔY/ΔXの値が小さく、第2工程を経ても赤変したままであったことがわかった。また、実装試験においても明瞭な表示が得られなかった。さらに、実施例1〜3の偏光板の製造工程ではネックインが見られなかったのに対して、比較例1の偏光板の製造工程ではネックインが見られた。
以上の結果より、偏光板における赤変が抑制と、偏光板を液晶表示装置に用いた際の表示の明瞭性には相関があると推測される。以下、製造段階におけるネックインの抑制と、偏光板における赤変の抑制との相関について考察する。
実施例1〜3においては、基材フィルムの上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成した後、5倍超の一軸延伸を行ない、次いで染色、架橋、乾燥して、10μm以下の薄い偏光子層を有する偏光板を製造することにより、ネックインと呼ばれる現象が発現しなかった。ネックインが発現しないことにより、偏光子層における架橋構造が密になりすぎることが抑制されると推測することができる。このことにより、評価試験の第1工程において熱によってポリビニルアルコール−ヨウ素錯体が一旦壊れても、第2工程を経て冷却された後、再錯体化しやすくなっていたと推測することができる。以上の推測は、第1工程および第2工程を経た後であっても赤変が観察されにくい実施例1〜3の偏光板が製造された上記結果に矛盾しない。
Claims (7)
- 偏光子層を有する偏光板であって、
85℃の雰囲気下で750時間放置する第1工程と、第1工程の直後に室温の雰囲気下で48時間放置する第2工程とを有し、第1工程の開始直前、第1工程の終了直後、および第2工程の終了直後のハンターLab表色系の直交a値をそれぞれa1、a2、a3として前記偏光子層に関するこれらの値を取得する評価試験を行なった場合に、
a2とa1の差分をΔX、a2とa3の差分をΔYとすると、ΔXおよびΔYが、次の式(1)の関係を満たす偏光板。
ΔY/ΔX≧0.7 式(1) - 前記偏光子層は、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる、請求項1に記載の偏光板。
- 前記偏光子層は、厚みが10μm以下である、請求項1または2に記載の偏光板。
- 請求項1〜3いずれかに記載の偏光板の製造方法であって、
前記基材フィルムの一方の面に、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
前記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
前記延伸フィルムの前記樹脂層を二色性色素で染色して染色フィルムを得る染色工程と、
前記染色フィルムの前記樹脂層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程と、
前記架橋フィルムを乾燥する乾燥工程と、を有し、
前記架橋工程および前記乾燥工程において、延伸を行なわない、偏光板の製造方法。 - 請求項1〜3いずれかに記載の偏光板の製造方法であって、
前記基材フィルムの一方の面に、ケン化度98モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
前記積層フィルムを5倍超の延伸倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
前記延伸フィルムの前記樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層を形成し、染色フィルムを得る染色工程と、
前記染色フィルムの前記偏光子層を架橋剤を含む溶液に浸漬して架橋フィルムを得る架橋工程と、
前記架橋フィルムを乾燥して偏光性積層フィルムを得る乾燥工程と、
前記偏光性積層フィルムにおいて、前記偏光子層の前記基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合して多層フィルムを得る貼合工程と、
前記多層フィルムから前記基材フィルムを剥離する剥離工程と、を有し、
前記架橋工程および前記乾燥工程において、延伸を行なわない、偏光板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板を有する液晶表示装置。
- 請求項4または5に記載の製造方法により製造された偏光板を有する液晶表示装置。
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