JP2011212804A - 穴明け工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】直径が0.7mm以下、特に0.4mm以下の小径ドリルであっても、折損寿命が長く安定した穴明け加工が実現可能な極めて実用性に秀れた穴明け工具の提供。
【解決手段】工具本体1の外周に工具先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が一若しくは複数形成され、前記切り屑排出溝2に潤滑性皮膜が被覆された穴明け工具であって、前記切り屑排出溝2に、第一のねじれ角αを有する第一のねじれ領域3と、この第一のねじれ領域3の工具基端側に連設され前記第一のねじれ角αより大きい第二のねじれ角αを有する第二のねじれ領域4とを具備せしめる。
【選択図】図4

Description

本発明は、プリント配線板などの非鉄系被削材の穴明け加工等に使用する穴明け工具に関するものである。
プリント配線板(PCB)の穴明け加工には、図1に図示したような刃部Cを有するボデー部Aとシャンク部Bとで構成されるドリルが使用される。サイズは用途によって様々であるが、一般に直径が0.7mm以下のドリルが多く使用されている。
具体的には、刃部Cには、図2に図示したように本体20の外周にドリル先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝22が形成され、この切り屑排出溝22のすくい面と先端に設けられた第一の逃げ面24との交差稜線部には切れ刃21が形成されている(例えば特許文献1,2参照)。尚、図中、符号25は第一の逃げ面24の工具回転方向後方側に連設される第二の逃げ面、d’は工具直径、l’は切り屑排出溝の溝長、α’はねじれ角である。
また、アルミ合金やチタン、マグネシウム、銅などの非鉄系被削材向けに耐摩耗性と耐溶着性を有する皮膜として非晶質炭素皮膜が実用化され、ドリルやエンドミル、刃先交換型切削チップなどの切削工具に被覆されて用いられている(例えば特許文献3参照)。
ところで、PCBは銅と絶縁層としてガラスクロスに樹脂を含浸させたものを張り合わせて構成されるものであり、近年のPCBは、更なる信頼性向上のため、耐熱性の向上や曲げ強度の強化並びに低熱膨張化が求められており、PCBを構成するガラスクロスや樹脂の機械的強度を高めることで、高信頼を確保しているものが多くなっている。
しかしながら、穴明け加工を行う被削材として考慮した場合、上記構成のPCBは機械的強度が高められた分だけドリルの摩耗を促進し易く、穴明け加工中のドリル折損や過度の摩耗に伴う穴位置精度等の穴品質の悪化を引き起こし易い。
一方、PCBの高密度化に伴い、要求される穴径(ドリルの直径)は年々径小化しており、直径が0.4mm以下の穴明け加工が多くなってきている。
また、穴明け加工工程においては、加工効率を考慮し、同仕様のPCBを複数枚重ねて穴明け加工をするのが一般的である。
そのため、近年、上記したような比較的加工性の悪いPCBの加工に用いるPCB用小径ドリルに対しても、加工コスト削減を目的としたPCBの重ね枚数の増加や、ドリルが折損せずに穴明け加工できる穴明け寿命の延長が求められている。
特開昭56−39807号公報 特開2006−55915号公報 特開2001−341021号公報
そこで、本発明者等は、TiN、TiCN、TiAlNなどの種々の窒化物系セラミックス皮膜をドリルに被覆してPCBの穴明け加工を試みたが、ノンコートのドリルに対して耐折損性の向上効果を認めることができなかった。
また、非晶質炭素皮膜等の潤滑性皮膜をドリルに被覆したPCBの穴明け加工ではノンコートのドリルに対して耐折損性の向上が確認できたが、必ずしも充分とはいえず、穴明け加工時のドリルの回転数や送り速度の加工条件やPCBの材質によっては、比較的早期に折損に至ることも確認した。
本発明は、本発明者等が上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、以下に説明する知見を得て完成したものである。
前述の通り、穴明け加工工程においては、加工効率を考慮し、同仕様のPCBを複数枚重ねて穴明け加工をするのが一般的である。
具体的には、複数枚重ねたPCBの上面にドリルの求心性を高める目的の当て板としてアルミ板または表面に樹脂が被覆された樹脂付きアルミ板を載置させて穴明け加工をするのが一般的である。樹脂付きアルミ板はアルミ板よりも求心性を高める効果が高く、またドリルの折損の改善にも寄与するため、特に直径が0.4mm以下の小径ドリルの穴明け加工に用いられることが多い。
しかしながら、当て板として樹脂付きアルミ板を用いて穴明け加工した場合、アルミ板を用いて穴明け加工した場合よりも、ドリルの刃部Cの基端部近傍に切り屑の巻き付き残りが顕著に発生し、樹脂の粘性が高い程、また被覆された樹脂が厚い程、前述の切り屑の巻き付き残りが発生する傾向が高い。
これは、通常は穴明け加工時に発生する切り屑は穴明け機に付属される切り屑吸引機能によって吸引されて所定のダストボックスに搬出されるが、樹脂付きアルミ板を用いた場合、穴明け加工時の切削熱によって軟化した樹脂が切り屑と共に切り屑排出溝にガイドされて排出され、刃部Cの基端部近傍でドリルと切り屑を粘着するように作用するためと考えられ、引き続き穴明け加工を繰り返すことで切り屑の巻き付き残り量が増加するものと考えられる。
切り屑の巻き付き残り量は、穴明け加工時のドリルの回転数や送り速度の加工条件やPCBの材質によっても変化するが、図3(a)に図示したように顕著な切り屑の巻き付き残りが発生し、この切り屑の巻き付き残りが続く穴明け加工中にその切り屑(切り屑塊)が何かしらの振動等をきっかけとしてドリルから離れ、前記吸引機能をもってしても吸引されずに当て板上に落下し、その後、穴明け加工しようとするドリルが落下した切り屑塊に干渉することで穴位置精度の悪化やドリルの折損が引き起こされると考えられる。図3(b)に当て板上に落下した切り屑塊を例示する。
本発明者等は、単に潤滑性皮膜を被覆しただけのドリルの場合、ノンコートのドリルに比べて切り屑の巻き付き残りが顕著に発生し、前記の落下した切り屑塊に起因する問題によってドリルの折損寿命が安定せずに早期に折損する場合があることをつきとめた。
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、潤滑性皮膜を被覆し、切り屑排出溝のねじれ角を途中で変化させることで折損し難く且つ切り屑排出性も飛躍的に良好となって切り屑の巻き付きを防止でき、直径が0.7mm以下、特に0.4mm以下の小径ドリルであっても、折損寿命が長く安定した穴明け加工が実現可能な極めて実用性に秀れた穴明け工具を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
工具本体1の外周に工具先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が一若しくは複数形成され、前記切り屑排出溝2に潤滑性皮膜が被覆された穴明け工具であって、前記切り屑排出溝2は、第一のねじれ角αを有する第一のねじれ領域3と、この第一のねじれ領域3の工具基端側に連設され前記第一のねじれ角αより大きい第二のねじれ角αを有する第二のねじれ領域4とを具備したことを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1記載の穴明け工具において、前記潤滑性皮膜は非晶質炭素皮膜であることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ角α及び前記第二のねじれ角αは、前記第一のねじれ領域3と前記第二のねじれ領域4との連設部5において前記切り屑排出溝2に沿って排出される切り屑の排出方向を強制的に変化させて前記工具本体1から飛散させる角度に夫々設定されていることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ角αが30°〜45°に設定され、前記第二のねじれ角αが前記第一のねじれ角αより5°以上大きく設定され、且つ前記第二のねじれ角αが35°〜65°に設定されていることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ角αが35°〜45°に設定され、前記第二のねじれ角αが前記第一のねじれ角αより10°以上大きく設定され、且つ前記第二のねじれ角αが45°〜60°に設定されていることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ領域3と前記第二のねじれ領域4との連設部5が工具最先端6から0.2mm〜前記切り屑排出溝2の全長lの1/2の位置に設けられていることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の穴明け工具において、工具の直径が0.7mm以下であることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の穴明け工具において、工具の直径が0.4mm以下であることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項1〜8いずれか1項に記載の穴明け工具において、この穴明け工具は、当て板を用いて被加工物を加工する場合に用いられるものであることを特徴する穴明け工具に係るものである。
また、請求項9記載の穴明け工具において、前記当て板はアルミニウム製であることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項10記載の穴明け工具において、前記当て板の厚さは0.04〜1.0mmであることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項9〜11いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記被加工物は銅箔層が設けられたプリント配線板であることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
また、請求項12記載の穴明け工具において、前記銅箔層の厚さは2〜80μmであることを特徴とする穴明け工具に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、折損し難く且つ切り屑排出性も飛躍的に良好となって切り屑の巻き付きを防止でき、直径が0.7mm以下、特に0.4mm以下の小径ドリルであっても、折損寿命が長く安定した穴明け加工が実現可能な極めて実用性に秀れた穴明け工具となる。
PCB用ドリルの概略説明側面図である。 従来例の拡大概略説明図である。 (a)ドリルの刃部Cの基端部近傍における切り屑の巻き付き残りを例示する写真と、(b)当て板上に落下した切り屑塊を例示する写真である。 本実施例の拡大概略説明側面図である。 実験例の実験条件及び実験結果を示す表である。 実施例(a)及び従来例(b)で穴明け加工した後の切り屑巻き付き状態を示す写真である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
少なくとも切り屑排出溝2に非晶質炭素皮膜等の潤滑性皮膜を被覆することで切り屑排出溝の表面潤滑性が高くなり、よって穴明け加工で生じた切り屑のせん断角が大きくなって切り屑が薄く長くなると共に、表面潤滑性が高いことから切り屑が切り屑排出溝に沿って工具本体1(図1における刃部C)の基端部へ排出され易くなり、それだけ切り屑詰まりが防止され、折損し難くなる。
また、工具先端のねじれ角αを小さくすることで、切り屑が薄く長くなり過ぎることを防止でき、切り屑が厚く短くなって工具本体1に巻き付き難くなり、さらに切れ刃の刃物角を大きく確保することができるため、切れ刃のカケを防ぐことができ穴位置精度が改善されると共に、折損し難くなる。
さらに、工具基端側のねじれ角αを大きくすることで、切り屑排出溝2の基端側の切り屑排出性が高まり耐折損性が向上し、且つ、非晶質炭素皮膜等の潤滑性皮膜が被覆された効果によって切り屑排出溝2に沿ってスムーズに排出されている切り屑の排出方向を強制的に変化させて遠心力との相乗効果によって工具本体1の外方へ飛散させ、切り屑の巻き付きを防止して折損寿命が長く安定した穴明け加工が実現可能となる。
本発明の具体的な実施例について図4〜図6に基づいて説明する。
本実施例は、工具本体1の外周に工具先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝2が複数形成され、前記工具本体1(切り屑排出溝2)に潤滑性皮膜が被覆された穴明け工具であって、前記切り屑排出溝2は、第一のねじれ角αを有する第一のねじれ領域3と、この第一のねじれ領域3の工具基端側に連設され前記第一のねじれ角αより大きい第二のねじれ角αを有する第二のねじれ領域4とを具備した潤滑性皮膜被覆穴明け工具である。
具体的には、本実施例は、工具直径dが0.1mmで溝長lが1.7mmの切り屑排出溝2が2条設けられ、この切り屑排出溝2のすくい面と前記工具本体1の先端逃げ面(第一の逃げ面)との交差稜線部には夫々前記工具本体1と一体に切れ刃が設けられたドリルであり、PCBの穴明け加工に使用されるものである。このPCBの穴明け加工は、例えば、後述する実験例のように、難削材である半導体パッケージ用のPCB(基板:厚さ0.1mm/表裏両面Cu層)を8枚重ねて、その上面に当て板として厚さ0.1mmの樹脂付きアルミ板を載置し、貫通穴加工ができるように前記PCBの下面には捨て板として一般に使用されている厚さ1.5mmの紙フェノール材を配置した状態で行われる。尚、当て板の厚さは0.04〜1.0mmの範囲で適宜設定する。また、厚さ0.1mm程度のPCBのCu層の厚さは通常2〜80μm程度である。
更に具体的には、上記のような条件の場合に、前述の切り屑の巻き付き残りが発生し易いため、これを解決すべく図2に図示した工具を改良したものであり、工具本体1に非晶質炭素皮膜を被覆し、ドリルの切り屑排出溝2に前記第一のねじれ領域3と前記第二のねじれ領域4とを設けたものである。
各部を具体的に説明する。
このドリルは、基材としては、WCを主成分とする硬質粒子とCoを主成分とする結合材から成る超硬合金製であり、この超硬合金のWC粒子の平均粒径が0.1μm〜2μmでありCo含有量が重量%で5〜15%であるものが採用されており、少なくとも工具本体1の切り屑排出溝2に非結晶炭素皮膜が被覆されている。非晶質炭素皮膜は硬質であるため工具の摩耗を抑制し、また高い潤滑性を有することから切り屑が切り屑排出溝に沿って工具本体1の基端部へ排出され易くなって切り屑詰まりを防止して折損し難くなる。
また、本実施例においては、潤滑性皮膜として、炭素原子を主体として構成されビッカース硬さが3000以上である高硬度の非晶質炭素(DLC)から成る非晶質炭素皮膜を採用しているが、ビッカース硬さが2000以上であれば、比較的低硬度の非晶質炭素(DLC)若しくはDLCと他の物質(例えば金属)との混合物から成る皮膜を採用しても良いし、クロム窒化物等、他の潤滑性皮膜を採用しても良い。
尚、本実施例においては、非晶質炭素皮膜は基材直上に形成しているが、例えば、基材直上に、周期律表の4a、5a、6a族及びSiから選択される1種若しくは2種以上の元素からなる金属若しくは半金属から成り、膜厚が200nm以下1nm以上である下層皮膜層(下地膜)を形成し、この下層皮膜層の上に前記非晶質炭素皮膜を形成する構成としても良い。また、下層皮膜層としては、上記構成に限らず、周期律表の4a、5a、6a族及びSiから選択される1種若しくは2種以上の元素と窒素及び炭素から選択される1種以上の元素との化合物から成るものを採用しても良い。
また、本実施例では非晶質炭素皮膜や下地膜の成膜の際、アークイオンプレーティング方式の成膜装置を用いたが、スパッタリング方式やレーザーアブレーション方式などのPVD成膜装置を使っても良い。
以下、本実施例について更に説明する。
第一のねじれ角αは30°〜45°に設定されている。ドリルのねじれ角は、切り屑の排出性とドリル剛性に影響し、ねじれ角を大きくすると切り屑排出性が向上するが、反面、剛性が低下する関係にある。小径ドリルの場合、ドリルの耐折損性は剛性のみならず切り屑排出性の影響を受けやすい。そのため、直径が0.7mm以下、特に0.4mm以下のドリルのねじれ角は大きく設定することが望ましく、40°〜50°に設定されることが一般的である。
本発明者等は、更なるドリルの耐折損性の向上を図るべく、ドリルの剛性と切り屑排出性という相反する特性を示すねじれ角について研究を重ねた結果、被削物上面にアルミ板または樹脂付きアルミ板を載置するような場合や、被削物の内外層などに銅箔が多い場合には、ねじれ角を30°未満にすると、切り屑排出性が悪化してドリルが折損しやすくなり、ねじれ角を45°より大きく設定した場合、切り屑排出性の向上に起因して耐折損性が向上するが、アルミや銅の切り屑が過度に薄く長く形成されてしまい、工具本体1(切り屑排出溝2)の基端部(根元部)に切り屑の巻き付き残りが発生しやすい知見を得た。
更に、本発明者等は前述の通り、非晶質炭素皮膜等の潤滑性皮膜を被覆したドリルの場合、ノンコートのドリルに比べて耐折損性向上の効果はあるが、切り屑の巻き付き残りが顕著に発生し、この切り屑の巻き付き残り(切り屑塊)が当て板上に落下し、落下した切り屑塊にドリルが干渉することで穴位置精度の悪化やドリルの折損寿命が安定せずに早期に折損する場合があることをつきとめている。
これらを勘案すると、切削を行う工具先端の切れ刃部分はねじれ角(第一のねじれ角α)を45°以下の角度(30°〜45°)として切り屑排出性を確保すると共に発生する切り屑を短くして切り屑が巻き付かないようにすることが望ましい。更に望ましくは、35°〜45°に設定すると良い。本実施例においては35°に設定されている。
第二のねじれ角αは第一のねじれ角αより5°以上大きい角度に設定され、且つ35°〜65°に設定されている。第二のねじれ角αを第一のねじれ角αより大きくすることで、切り屑排出溝2の基端側の切り屑排出性が高まり耐折損性が向上する。
また、非晶質炭素皮膜(潤滑性皮膜)が被覆された効果によって第一のねじれ角αに設定されている第一のねじれ領域3における切り屑排出溝2に沿ってスムーズに排出されている切り屑の排出方向を強制的に第二のねじれ角αに設定されている第二のねじれ領域4における切り屑排出溝2へと変化させて遠心力との相乗効果によって工具本体1の外方へ飛散させ、切り屑の巻き付きを防止して折損寿命を長く安定させている。
第一のねじれ角αと第二のねじれ角αとの角度差が5°未満の場合は、切り屑の排出方向を強制的に変化させる効果が低下し、切り屑を工具本体1の外方へ飛散させにくくなる。また、第二のねじれ角αが65°より大きいと工具本体1の基端部の剛性が低下し、耐折損性を悪化させることとなる。
更に望ましくは、第一のねじれ角αと第二のねじれ角αとの角度差を10°以上に設定し、且つ、第二のねじれ角αと45°〜60°に設定すると良い。本実施例においては、第二のねじれ角αは、第一のねじれ角α(35°)と10°の角度差と設けて45°に設定されている。
また、切り屑を良好に排出するためには、できるだけ工具先端側で第二のねじれ角αへ変化することが望ましいが、一般的にPCB用のドリルは使用後に先端を研ぎ直して使用するため(再研磨)、第一のねじれ領域3と第二のねじれ領域4との連設部5は、研磨量を考慮して工具最先端6から0.2mm〜切り屑排出溝の溝長lの1/2の位置に設定するのが好ましい。
なお、連設部5の位置を工具最先端6から溝長lの1/2より後方の位置に設けると、その分ねじれ角の小さい第一のねじれ領域3の部分が増加することとなり、切り屑排出性が悪化してドリル折損の危険性が高まることとなる。
本実施例においては、第一のねじれ角αと第二のねじれ角αとの変化点(連設部5)が工具最先端6から溝長lの23.5%の位置(C)となるように設定されている。
本発明はPCBなどの非鉄系被削材の穴明け加工等に使用する非晶質炭素皮膜等の潤滑性皮膜が被覆されたドリルとして発明されたものであるが、その基材としては、WCを主成分とする硬質粒子とCoを主成分とする結合材からなる超硬合金が、硬度と靭性のバランスが取れた材料であることから望ましい。
WC粒子の平均粒径を小さくしすぎると、結合材中にWC粒子を均一に分散させることが難しくなり、超硬合金の抗折力低下を引き起こしやすい。一方、WC粒子を大きくしすぎると超硬合金の硬度が低下する。また、Co含有量を少なくしすぎると超硬合金の抗折力が低下し、逆にCo含有量を多くしすぎると超硬合金の硬度が低下する。そのため、WC粒子の平均粒径が0.1μm〜2μmであり、Co含有量が重量%で5〜15%の超硬合金を基材とすることが望ましい。
また、PCBなどの難削材に対して皮膜剥離のない安定した穴明け加工を行うためには、基材と非晶質炭素皮膜との密着性をより高くすることが望ましい。Ti,Cr,Taなどの周期律表の4a,5a,6a族元素及びSiから選択される1種若しくは2種以上の元素から成る金属または半金属を基材直上に下地膜として成膜し、その上に非晶質炭素皮膜を成膜することで、基材と非晶質炭素皮膜の密着性をより高めることができる。また、周期律表の4a,5a,6a族及びSiから選択される1種若しくは2種以上の元素と窒素及び炭素から選択される1種以上の元素との化合物を基材直上に下地膜として成膜しても良い。
下地膜は基材と非晶質炭素皮膜との密着性を向上させる目的で成膜されるので、あまり厚すぎても意味がなく、200nm以下1nm以上の膜厚にすることが望ましい。
本実施例は上述のように構成したから、少なくとも切り屑排出溝2に非晶質炭素皮膜等の潤滑性皮膜を被覆することで切り屑排出溝の表面潤滑性が高くなり、よって穴明け加工で生じた切り屑のせん断角が大きくなって切り屑が薄く長くなると共に、表面潤滑性が高いことから切り屑が切り屑排出溝に沿って工具本体1(図1における刃部C)の基端部へ排出され易くなり、それだけ切り屑詰まりが防止され、折損し難くなる。
また、工具先端のねじれ角αを小さくすることで、切り屑が薄く長くなり過ぎることを防止でき、切り屑が厚く短くなって工具本体1に巻き付き難くなり、さらに切れ刃の刃物角を大きく確保することができるため、切れ刃のカケを防ぐことができ穴位置精度が改善されると共に、折損し難くなる。
さらに、工具基端側のねじれ角αを大きくすることで、切り屑排出溝2の基端側の切り屑排出性が高まり耐折損性が向上し、且つ、非晶質炭素皮膜(潤滑性皮膜)が被覆された効果によって切り屑排出溝2に沿ってスムーズに排出されている切り屑の排出方向を強制的に変化させて遠心力との相乗効果によって工具本体1の外方へ飛散させ、切り屑の巻き付きを防止して折損寿命が長く安定した穴明け加工が実現可能となる。
よって、本実施例は、樹脂付きアルミ板を当て板として用いた場合でも、折損し難く且つ切り屑排出性も飛躍的に良好となって切り屑の巻き付きを防止でき、直径が0.7mm以下、特に0.4mm以下の小径ドリルであっても、折損寿命が長く安定した穴明け加工が実現可能な極めて実用性に秀れた穴明け工具となる。
本実施例の効果を裏付ける実験例について説明する。
図5は第一のねじれ角αと第二のねじれ角αを種々変化させて切り屑排出性に起因する耐折損性と切り屑の巻き付き状態を評価した実験条件及び実験結果を示す表である。この実験で使用したドリルは、工具直径dを0.1mm、溝長lを1.7mmとし、その他、心厚、先端角などの第一のねじれ角αと第二のねじれ角α以外の仕様を同じ値としている。また、第一のねじれ角αと第二のねじれ角αとの連設部5は工具最先端6から0.4mm(溝長lの23.5%)の位置として、工具本体1に非晶質炭素皮膜を被覆したものである。
この実験では、難削材である半導体パッケージ用のPCB(基板:厚さ0.1mm/表裏両面Cu層)を8枚重ねてその上面に当て板として厚さ0.1mmの樹脂付きアルミ板を載置し、貫通穴加工ができるように前記PCBの下面には捨て板として一般に使用されている厚さ1.5mmの紙フェノール材を配置した。またドリル(スピンドル)の回転数を250krpm、送り速度を2.5m/minとし、設定ヒット数を8,000ヒットとした。
上述の通り、第一のねじれ角αと第二のねじれ角α以外の仕様を同じ値として同じ実験条件で比較評価したため耐折損性はねじれ角を異ならせたことによる切り屑排出性に起因するものとなる。
図5より、第一のねじれ角αが30°に満たない25°のドリルや、工具先端から基端にかけてねじれ角が一定のドリルに比し、第一のねじれ角αが30°〜45°であり、第二のねじれ角αが第一のねじれ角αより5°以上大きく、且つ第二のねじれ角αが35°〜65°であるドリルは切り屑排出性に起因する耐折損性と切り屑の巻き付き状態が良好であることが確認できる。特に第一のねじれ角αが35°〜45°であり、第二のねじれ角αが第一のねじれ角αより10°以上大きく、且つ第二のねじれ角αが45°〜60°であるドリルは切り屑排出性に起因する耐折損性が良好となることが確認できる。
図6(a),(b)に図示したように、上述の加工条件で加工した後の実施例(a)では工具本体1(切り屑排出溝2)の基端部に切り屑の巻き付き残りは殆ど見られない。一方、従来例(b)では工具本体1(切り屑排出溝2)の基端部に多くの切り屑の巻き付き残りが発生していることが確認できる。ここで、図6(a)は図5中の実施例で第一のねじれ角αが35°であり、第二のねじれ角αが45°のドリルである。また、図6(b)は図5中の従来例で工具先端から基端にかけてねじれ角が45°で一定のドリルである。なお、この従来例では設定したヒット数である8,000ヒットの穴明け加工を完遂できずに途中で折損に至ったものもあり、8,000ヒットの穴明け加工を完遂したものを図6(b)に図示した。この折損が前述したように、落下した切り屑塊にドリルが干渉することで引き起こされているのである。
また本発明者等は、ノンコートのドリルを用いて上記PCBを8枚重ねて穴明け加工を試みたが、加工初期の数ヒットで折損してしまうことがあることを確認した。このためノンコートのドリルを用いて穴明け加工する場合にはPCBを重ねる枚数を減らす必要があり、非晶質炭素皮膜を被覆したドリルを用いる場合よりも非効率であると言える。
1 工具本体
2 切り屑排出溝
3 第一のねじれ領域
4 第二のねじれ領域
5 連設部
6 工具最先端
α 第一のねじれ角
α 第二のねじれ角

Claims (13)

  1. 工具本体の外周に工具先端から基端側に向かう螺旋状の切り屑排出溝が一若しくは複数形成され、前記切り屑排出溝に潤滑性皮膜が被覆された穴明け工具であって、前記切り屑排出溝は、第一のねじれ角を有する第一のねじれ領域と、この第一のねじれ領域の工具基端側に連設され前記第一のねじれ角より大きい第二のねじれ角を有する第二のねじれ領域とを具備したことを特徴とする穴明け工具。
  2. 請求項1記載の穴明け工具において、前記潤滑性皮膜は非晶質炭素皮膜であることを特徴とする穴明け工具。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ角及び前記第二のねじれ角は、前記第一のねじれ領域と前記第二のねじれ領域との連設部において前記切り屑排出溝に沿って排出される切り屑の排出方向を強制的に変化させて前記工具本体から飛散させる角度に夫々設定されていることを特徴とする穴明け工具。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ角が30°〜45°に設定され、前記第二のねじれ角が前記第一のねじれ角より5°以上大きく設定され、且つ前記第二のねじれ角が35°〜65°に設定されていることを特徴とする穴明け工具。
  5. 請求項1〜3いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ角が35°〜45°に設定され、前記第二のねじれ角が前記第一のねじれ角より10°以上大きく設定され、且つ前記第二のねじれ角が45°〜60°に設定されていることを特徴とする穴明け工具。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記第一のねじれ領域と前記第二のねじれ領域との連設部が工具最先端から0.2mm〜前記切り屑排出溝の全長の1/2の位置に設けられていることを特徴とする穴明け工具。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の穴明け工具において、工具の直径が0.7mm以下であることを特徴とする穴明け工具。
  8. 請求項1〜6いずれか1項に記載の穴明け工具において、工具の直径が0.4mm以下であることを特徴とする穴明け工具。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載の穴明け工具において、この穴明け工具は、当て板を用いて被加工物を加工する場合に用いられるものであることを特徴する穴明け工具。
  10. 請求項9記載の穴明け工具において、前記当て板はアルミニウム製であることを特徴とする穴明け工具。
  11. 請求項10記載の穴明け工具において、前記当て板の厚さは0.04〜1.0mmであることを特徴とする穴明け工具。
  12. 請求項9〜11いずれか1項に記載の穴明け工具において、前記被加工物は銅箔層が設けられたプリント配線板であることを特徴とする穴明け工具。
  13. 請求項12記載の穴明け工具において、前記銅箔層の厚さは2〜80μmであることを特徴とする穴明け工具。
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