JP2011211947A - 釣り糸用ガイド及び釣り竿 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成する。ガイド芯材部7Bでガイドリング6を保持し、ガイド芯材部7Bを覆った状態より外装部7Aの一端を更に延出してその延出部分を足部7cに形成し、足部7cを取付用の糸aによって竿素材の外周面に取付固定している。
【選択図】 図5
Description
ただし、釣り糸用ガイドについては、釣り竿の全体に占める重量割合が小さなものであるから、軽量化の対象として考慮されて来なかった面もある。
しかし、近年軽量化が限界に近づきつつある現在では、釣り糸用ガイドの存在にも目を向けなければならない状況にある。
一方、釣り糸用ガイドには、巻き上げ繰り出しされる釣り糸との摩擦により複雑な荷重を受けるところから、それらに対応できるだけの機械的強度を備える必要があり、上記したように、金属製を採用することを断念することができない状況にあった。
ただし、金属製のガイドにおいて、軽量化だけを目的にガイド本体を形成する金属の板厚等を薄くして軽量化を図ることにすると、ガイド自体の機械的強度の低下を来たし、ガイドとしての機能を十分果たし切れない虞もあった。
請求項1に係る発明の特徴構成は、釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、そのガイドリングを保持するガイド本体とで構成し、前記ガイド本体を、繊維強化樹脂製の外装部と、その外装部を被着する金属製のガイド芯材部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
ただし、釣り糸用ガイド全体を繊維強化樹脂で構成した場合には、剛性が高くなり過ぎて、強靭性に欠ける面がある。
そこで、繊維強化樹脂製の外装部と金属製のガイド芯材部とを組み合わせて、両者でガイド本体を構成した。
このような構成によって、金属製の釣り糸用ガイドを単に薄くして軽量化を図った場合に比べて機械的強度も十分確保できた。
金属製ガイド芯材部と繊維強化樹脂製の外装部とのハイブリッド構成を採ることによって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成でき、かつ、強度的にも安定した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部で前記ガイドリングを保持し、前記ガイド芯材部を覆った状態より前記繊維強化樹脂製の外装部の一端を更に延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
ガイドリングに対しては、金属製のガイド芯材部で保持することとした。これによって、ガイドリングに作用する釣り糸との摺動荷重を、金属製であるガイド芯材部が受け止めて、ガイドリングを安定して保持する。
また、ガイドリングの周りに配置される繊維強化樹脂製の外装部に対して、金属製であるガイド芯材部によって靭性を付与でき、繊維強化樹脂製の外装部だけでガイドリングを保持する場合に比べてそのガイドリングの保持を強固なものにできる。
しかも、足部を繊維強化樹脂製の外装部の一部で形成しているので、足部と竿素材外周面との馴染みがよく、釣り糸用ガイドが釣り糸を通して曲げ力等を受けたり、釣り竿が曲がりを生じた場合にも、釣り糸用ガイドの足部が竿素材の外周面への追従性がよい。
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部を前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入している点にあり、その作用効果は次の通りである。
金属製のガイド芯材部を前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入しているので、釣り糸と摺動することによって、曲げ荷重が大きな足部と外装部との接続部位近傍に金属製のガイド芯材部を配置して、曲げ強度や強靭性を確保することができた。
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記足部は金属製のガイド芯材部を繊維強化樹脂で被覆し、かつ、その足部の一部において前記繊維強化樹脂で覆われない状態で金属製のガイド芯材部が露出している点にあり、その作用効果は次の通りである。
竿素材に取付固定される足部を、繊維強化樹脂で形成しているので、足部と竿素材外周面との馴染みがよく、釣り糸用ガイドが釣り糸を通して曲げ力等を受けたり、釣り竿が曲がりを生じた場合にも、釣り糸用ガイドの足部が竿素材の外周面への追従性がよい。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材部が一部表出しているので、繊維強化樹脂だけで足部を形成する場合に比べて剛性が高くなり過ぎず、足部の割れ等の損傷を抑制できる。
しかも、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材部が一部表出しているので、表出するガイド芯材部の金属部分が繊維強化樹脂製の外装部におけるアクセントとなって、釣り人に強い印象を与え、釣り竿としての価値を高めることになる。
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
竿素材に取付固定される足部を、ガイド芯材部を延出して構成しているので、足部を繊維強化樹脂製の外装部で構成する場合に比べて強靭さを強化することができ、釣り糸用ガイドを安定して取付固定できる。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材が表出して足部を形成しているので、従来の金属製釣り糸用ガイドと同様の取付固定状態を釣り人に印象付けることができ、安定感を醸し出すことができる。
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂がプリプレグである点にあり、その作用効果は次の通りである。
これによって、釣り糸用ガイドが竿素材と同様の材料で構成されることとなり、材料の兼用化が可能になり、製造上も効果は大である。
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
このような強化繊維の配置構成を採ることにより、引張力が作用する部分の補強効果を図ることができ、プリプレグ製の釣り糸用ガイドとして安定して釣り糸ガイド機能を発揮するものを提供することができた。
請求項8に係る発明の特徴構成は、前記ガイドリングが炭化ケイ素製である点にあり、その作用効果は次の通りである。
ガイドリングが炭化ケイ素製の、摩耗に強いセラミック等を使用しているので、釣り糸から摺動作用を受けて、摩耗磨滅が少ない。
請求項9に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部に釣り糸挿通用の挿通孔を形成するとともに前記挿通孔を囲む縁部に硬質加工を施して、前記ガイドリングを形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
通常は、ガイドリングとしては、摩耗に強いセラミック等を使用しているが、これらは重量的に重くなりがちである。
そこで、本願発明では、ガイド芯材部に釣り糸用挿通孔を形成する一方、その挿通孔の縁部に耐摩耗性を向上させる硬質加工を施している。このような構成によって、ガイドリングとしてセラミック等を使用する場合に比べて一層の軽量化を図ることができた。
請求項10に係る発明の特徴構成は、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿である点にあり、その作用効果は次の通りである。
釣り糸用ガイドは、プリプレグで製作されることによって金属製に比べて軽量化が達成でき、かつ、プリプレグと金属との複合化によって、スムースな曲がりを呈する、捌き易い釣り竿とできた。
ヤマメや岩魚等を釣る際に使用される釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1の先端にトップガイド2を取り付けるとともに、穂先竿1の中間位置に釣り糸用ガイド3を取付固定し、竿元側に並継式に継合された元竿4を配置し、元竿4にスピンニングリールBを装着するリールシート5を取り付けて、構成してある。
プリプレグを構成する強化繊維としては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
円盤状部分7aには、図5(b)に示すように、ガイドリング6の釣糸挿通用の挿通孔6Aと同芯状に形成される挿通孔7dが形成してある。
なお、チタンバネ材は、耐食性に優れ、かつ、環境に優しい金属である。機械的強度としては、JIS2種基準で、引っ張り強さが340〜510N/mm2であり、曲げ強度にも優れる。ただし、鉄鋼のように明確な降伏点を持ってはいないので、0.2%耐力を測定すると215N/mm2以上あるので、弾性限度が十分高いものであり、釣り糸用ガイドとして、大きな荷重を受けても元の姿勢に復帰する弾性力が大きい。
一方、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、チタンバネ板以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
サーメットは、金属炭化物や金属窒化物などの硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料であり、耐熱性や耐摩耗性が高い。
(1)図10(a),(b)に示すように、チタンバネ材12でガイド芯材部7Bを形成する。
(2)図11(a),(b)に示すように、ガイド芯材部7Bにガイドリング6を前記した方法によって装着する。
(3)図12に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9を外装部7Aの形状に裁断する。
(4)図13(a),(b)に示すように、複数枚の外装部形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せ、その内部にガイド芯材部用のチタンバネ材12を挟み込み、成形前の釣り用ガイド体3Cを形成する。図14に示すように、チタンバネ材12を挟み込んだ成形前の釣り用ガイド体3Cを第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシート9とチタンバネ材12との密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(5)図15に示すように、一次成形を施された釣り用ガイド体3Cを硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。
(6)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
ここでは、ガイド芯材部7Bの構成について説明する。図6(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bとしては、ガイドリング6の半円周分を保持するように形成されて、円弧状部分7aの半分領域と中間接続部7bに亘って位置する大きさに形成されている。
このように、ガイド芯材部7Bの取付位置が円弧状部分7aの半分領域と中間接続部7bに限定される大きさに形成されているので、第1実施形態のものに比べて小さくなっており、軽量化に寄与できるとともに、釣り糸用ガイド3に作用する曲げ応力等が大きくなる部分に配置されることとなり、プリプレグのみで構成する場合に比べて曲げ応力等に対する対抗力を高めている。
第1実施形態では、プリプレグ製の外装部7Aの一端を、ガイド芯材部7Bの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成していた。しかし、この第3実施形態においては、図7(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bの一端を、プリプレグ製の外装部7Aの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成する。
ただし、第2実施形態のように、ガイド芯材部7Bの形状としては、ガイドリング6の半周分を保持する小形のものでもよい。
なお、足部7cの表面側に凹入部7fが形成してあり、この凹入部7fに取付用の糸aが嵌り込んで、取付用の糸aの位置ズレが少なくなるとともに、足部7cが凹入部7fを設けることによって変形しやすくなり、足部7cを竿素材の外周面に載置した際に、その外周面に馴染みやすい。
ただし、この凹入部7fについては特に設けなくともよい。足部7cを一定の厚みで形成してもよい。
第1実施形態から第3実施形態までは、足部7cは外装部7Aから一方側にのみ延出されて形成されていたが、ここでは、図8(a)(b)(c)に示すように、二方向、つまり、竿先側と竿元側とに張り出す二股式の足部7cを備えた釣り糸用ガイド3を形成する。このように足部7cを二股状とすることによって、竿素材への取付状態が一層安定する。
勿論、このように凹入部7jを形成することなく、足部7cの全面を竿素材表面に載置する構成を採ってもよい。
(1)ガイドリング6の材料としてセラミック等を使用することについて説明したが、チタンやアルミ等の金属を使用してもよい。一方、ガイドリング6をガイド芯材部7Bと別個に形成するのではなく、一体で形成するものであってもよい。具体的には、図4及び図7に示すように、金属製のガイド芯材部7Bに釣り糸用挿通孔を形成し、その釣り糸用挿通孔の縁部に耐摩耗性処理を施して、ガイドリング6としての機能を持たせるように構成してもよい。これによって、セラミック等のガイドリング6を別個に装着する場合に比べて、金属による軽量化を図ることができる。
耐摩耗性を付与する製法としては、金属、セラミック、サーメット等を溶射、又は、PVD、CVDによる薄膜成形技術が推奨される。または、薄膜を形成するのではなく、直接、釣り糸用挿通孔7gの縁部に耐摩耗性処理を施す方法でもよい。例えば、窒化処理等を施すことが可能である。
このプリプレグ製外装部7Aは、前記した円形状部分7eに相当する範囲に限定された大きさで設けられている。
このように、金属製のガイド芯材部7Bを外装部7Aで竿先側と竿尻側との両面で被覆する構成を採っていないので、重量増を招くことなく、剛性の高いプリプレグ製の外装部7Aと強靭な金属製のガイド芯材部7Bとの機能を併せ持った釣り糸用ガイド3を形成できた。
6 ガイドリング
6A 釣り糸挿通用の挿通孔
7 ガイド本体
7A 外装部
7B ガイド芯材部
7b 中間接続部
7c 足部
a 取付具
c 強化繊維
Claims (10)
- 釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、そのガイドリングを保持するガイド本体とで構成し、前記ガイド本体を、繊維強化樹脂製の外装部と、その外装部を被着する金属製のガイド芯材部とで構成してある釣り糸用ガイド。
- 前記金属製のガイド芯材部で前記ガイドリングを保持し、前記ガイド芯材部を覆った状態より前記繊維強化樹脂製の外装部の一端を更に延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項1記載の釣り糸用ガイド。
- 前記金属製のガイド芯材部を、前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入している請求項1又は2記載の釣り糸用ガイド。
- 前記足部は金属製のガイド芯材部を繊維強化樹脂で被覆し、かつ、その足部の一部において前記繊維強化樹脂で覆われない状態で金属製のガイド芯材部が露出している請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
- 前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
- 前記繊維強化樹脂がプリプレグである請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
- 前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある請求項6記載の釣り糸用ガイド。
- 前記ガイドリングは炭化ケイ素製である請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
- 前記金属製のガイド芯材部に釣り糸挿通用の挿通孔を形成するとともに前記挿通孔を囲む縁部に硬質加工を施して、前記ガイドリングを形成している前記請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
- 請求項1〜9のうちのいずれか一つに記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿。
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