JPH10313744A - 釣竿用ラインガイド及び釣竿 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】取付足の前端から立ち上がったフレームにライ
ン通し孔を設けたタイプのラインガイドにあっては、支
持部が後側だけにあるため重量が軽量で済む反面、耐曲
げ強度が弱く、取付足と竿体とで楔形の隅角部ができて
しまうためにラインが取付足の下に挟まってしまうこと
があった。 【解決手段】竿体３５の外周面に載って固定される取付
足４３と、この取付足４３の前端から上斜め前方へ立ち
上がるように位置しガイドリング４７が設けられたフレ
ーム４５とを備えたラインガイド４１において、フレー
ム４５と竿体３５とで形成される前側の隅角部を埋める
合成樹脂製の補強部材４９をフレーム４５の裏面に接着
した。従って、重量を殆ど増やすこと無く耐曲げ強度が
高められ、取付足４３の下にラインが挾まることも無
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、釣竿用ラインガイ
ド及び釣竿に係り、特に、竿体に着座して固定される取
付足がフレームより後側だけに位置した外付けタイプの
釣竿用ラインガイドと、このタイプのラインガイドを装
着して成る釣竿に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】釣竿においては、ラインガイドの重量が
竿の各種性能を大きく左右するために、ラインガイドは
できるだけ簡素な構造で軽量に構成される。図７は、今
日、各種の釣竿に多用されているタイプのラインガイド
１を示すものである。このラインガイド１は、竿体３へ
の取付を行うための取付足５と、取付足５の前端から上
斜め前方に向かって立ち上がったフレーム７と、ガイド
リング９とを備えており、フレーム７の下半部は略Ｖ字
形をした支脚部１１で、上半部は円環形のリング保持部
１３になっている。このリング保持部１３にガイドリン
グ９が内嵌め固定されている。そして、竿体３への取付
は、取付足５を竿体３の外周面に載せた状態で縛り糸１
５を巻き付け、且つ、エポキシやウレタン等のコーティ
ング剤を塗布することで行われる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ラインガイド１をこの
ように構成することで重量を必要最小限に抑えると共
に、絡んだラインが抜け易いようにしている。しかしな
がら、このラインガイド１にあっては、軽量で済む反
面、耐曲げ強度にはどうしても弱いという欠点がある。
特に、フレーム７は後ろ側においてだけ取付足２３によ
り支持されているので、フレーム７に後ろ又は上方から
加えられた圧力や衝撃はフレーム７を前に倒すように作
用するので、そのストレスがフレーム７と取付足５との
連続部に集中し、ややもすると、この部位で曲がった
り、折れてしまうことがある。

【０００４】そこで、支脚部１１及び取付足５と同様の
ものを前側にも設けることで前後両足構造にして強度を
高めたタイプのものもあるが、これは比較的大物を対象
魚とした釣竿には良いが、そうでない釣竿に用いると、
持ち重り感が増大したり竿の調子を殺してしまう等、竿
の特性を損なう原因になるという問題がある。

【０００５】また、このタイプのラインガイド１は、支
脚部１１が後側の１本だけであるので、取付足５と竿体
３とにより、側方から見て略楔形をした隅角部が形成さ
れる。このため、フレーム７に絡んだラインを後方へ引
っ張ったりした場合、そのラインが支脚部１１を滑って
取付足２３の下に挟まってしまうことがあった。尚、前
記したコーティング剤を塗布したときに、そのコーティ
ング剤が上記隅角部の奥端辺りに流れ落ちて固まること
があり、結果的には、この固まりがラインの挾まりを防
止するのに役立つこともある。これに鑑みて、コーティ
ング剤を意図的に上記隅角部に厚目に塗布することも考
えてみたが、コーティング剤を厚く塗布すること自体が
困難であり、また、この種のコーティング剤は比較的柔
らかいために、コーティング剤を塗布した程度ではフレ
ーム７の補強にはなり得ない。

【０００６】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為
されたものであり、竿体に着座して固定される取付足が
フレームより後側だけに位置した外付けタイプのライン
ガイドにおいて、重量を増やすこと無く耐曲げ強度を高
めることができると共に、竿体の外周面と取付足との間
にラインが挾まれることの無い釣竿用ラインガイド及び
釣竿を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明釣竿用ラインガイドは、竿体の外周面に着座
して固定される取付足とこの取付足から立ち上がるよう
に位置しライン通し孔が設けられたフレームとを備え前
記取付足がフレームより後側だけに位置した釣竿用ライ
ンガイドであって、フレームと竿体とで形成される前側
の隅角部を埋める合成樹脂製の補強部材を設けること
で、フレームの耐曲げ強度を高めると共に、竿体の外周
面と取付足との間にラインが挾まれるのを防止したもの
である。

【０００８】また、本発明釣竿は、竿体の外周面に着座
して固定される取付足とこの取付足から立ち上がるよう
に位置しライン通し孔が設けられたフレームとを備え前
記取付足がフレームより後側だけに位置したラインガイ
ドを装着して成る釣竿であって、ラインガイドのフレー
ムと竿体とで形成される前側の隅角部を埋める合成樹脂
製の補強部材を設けることで、ラインガイドのフレーム
の耐曲げ強度を高めると共に、竿体の外周面とラインガ
イドの取付足との間にラインが挾まれるのを防止したも
のである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る釣竿用ライ
ンガイドを図面に示した各実施の形態に従って説明す
る。図１から図３は、本発明の第一の実施の形態に係る
ラインガイド２１を示すものである。このラインガイド
２１は、取付足２３と、この取付足２３の前端から立ち
上がるように位置したフレーム２５と、フレーム２５に
装着されたガイドリング２７及び補強部材２９とから成
り、取付足２３とフレーム２５は金属板により互いに一
体に形成されている。

【００１０】取付足２３は後端部（図１における左方へ
向かう方向が後ろ側である。）が稍尖った形の舌片状を
為すと共に、左右方向においては上に向かって膨らんだ
弧を描くように屈曲されている。この屈曲の曲率は竿体
３５のうちラインガイド２１が装着される所定の位置に
おける外径の曲率と略一致している。フレーム２５はそ
の略下半部を為す支脚部３１とその余の部分を成すリン
グ保持部３３とから成り、支脚部３１は、前後方向から
見て細身の略Ｖ字形を為すように形成されると共に、取
付足２３の前端から上稍斜め前方へ向かって立ち上がる
ように延び、その左右両側部３１ａは互いに内側へ向け
て凹むように極く緩やかに湾曲している。リング保持部
３３は円環状に形成されており、その下頂部の左右両脇
に支脚部３１の上端が連続している。

【００１１】ガイドリング２７は、セラミックやサーメ
ット等の硬質な材料により形成され、フレーム２５のリ
ング保持部３３に接着を伴って内嵌めされている。

【００１２】補強部材２９は、異形三角錐様の形をした
小さなブロックに形成されている。即ち、補強部材２９
の外面は、底面２９ａと背面２９ｂとその余の周面２９
ｃとからなっていて、底面２９ａは下方から見て前窄み
の略船首形を為し、取付足２３の底面の曲率と同じ曲率
で屈曲されている。背面２９ｂは支脚部３１の前面の下
端部にぴったり合う曲面に形成され、周面２９ｃは背面
２９ｂの上端を頂部とする略円錐斜面状に形成されてい
る。このような補強部材２９は、例えばＡＢＳ樹脂等の
接着性の高い合成樹脂によって形成され、その高さはフ
レーム２５の全高の１０分の１程度になっている。そし
て、補強部材２９は、その背面２９ｂを支脚部３１の前
面の下端部に接着することでフレーム２５に固定される
（図２参照）。この接着を行う際、補強部材２９の底面
２９ａが取付足２３の底面と同じ面に位置するように位
置合わせする。

【００１３】以上のように構成されたラインガイド２１
の竿体３５への取付は、例えば、次のように行う。即
ち、補強部材２９の底面２９ａに接着剤を塗布した後、
取付足２３及び補強部材２９を竿体３５の外周面の所定
の位置に着座させ、取付足２３に縛り糸３７を巻き付
け、次いで、巻き付けた縛り糸３７の全体にコーティン
グ剤を塗布する。このとき、補強部材２９にもコーティ
ング剤を塗布しても良い。このようにしてラインガイド
２１が竿体３５に装着されると、補強部材２９は、フレ
ーム２５と竿体３５とで形成される隅角部を埋めるよう
に位置する。

【００１４】従って、支脚部３１の下端部は補強部材２
９を挾んで竿体３５に密接することで前倒れ方向への曲
げを確実に阻止されるので、フレーム２５のうち前倒れ
できる寸法が縮まり、その縮まった分だけ、後方からの
衝撃により生じるモーメントが小さくなって耐曲げ強度
が高められる。また、フレーム２５と竿体３５とで形成
される隅角部が補強部材２９で埋められるので、取付足
２３と竿体３５との間にラインが挾まるのが確実に防止
される。

【００１５】尚、ラインガイド２１を竿体３５に装着す
る手順としては、先に補強部材２９だけを竿体３５に接
着しておいて、その後から取付足２３を竿体３５に載せ
るようにし、このとき補強部材２９をフレーム２５に接
着することも考えられる。このような手順にすると、取
付足２３を取り付ける際に補強部材２９が取付足２３の
位置決め治具として働くので、取付作業を安定に行うこ
とができる。

【００１６】図４から図６は本発明の第二の実施の形態
に係るラインガイド４１を示すものである。このライン
ガイド４１も、取付足４３と、この取付足４３の前端か
ら立ち上がるように位置したフレーム４５と、フレーム
４５に装着されたガイドリング４７及び補強部材４９と
から成り、取付足４３とフレーム４５は金属板により互
いに一体に形成され、取付足４３は前記ラインガイド２
１における取付足２３と略同じ形状に形成されている。

【００１７】フレーム４５は前後方向に長い概ね長円形
の板状をしており、取付足４３が水平な姿勢になってい
る状態で見て、フレーム４５は上方へ行くに従って前側
へ変位するように傾斜しており、その傾斜度は取付足４
３が位置する平面に対して略４０°になっている。ま
た、フレーム４５の外周部の後端部以外は下方へ向けて
折り曲げられることで周壁４５ａが形成され、この周壁
４５ａによって浅い裏側空間５１が形成される。４５ｂ
はフレーム４５に形成されたリング取付孔を示す。この
リング取付孔４５ｂはフレーム４５の先端側へ偏寄した
位置に設けられると共に、フレーム４５の長手方向に沿
って長い長円形をしている。

【００１８】ガイドリング４７は、前記ガイドリング２
７と同様の材料によって形成され、その形状は前後方向
に長い長円形をしており、その外周面の厚み方向におけ
る略半部から突出したフランジ４７ａ（図４参照）が設
けられている。このガイドリング４７はフレーム４５の
リング取付孔４５ｂに嵌合される。即ち、ガイドリング
４７はそのフランジ４７ａがリング取付孔４５ｂの裏側
開口縁部に係合した状態でその余の部分がリング取付孔
４５ｂに嵌合され且つ接着される。従って、フレーム４
５の裏側空間５１はその後端部５１ａを残してガイドリ
ング４７で埋められる。

【００１９】補強部材４９は、楔の先端部のような形状
をした小さなブロックに形成されている。即ち、補強部
材４９は、側方から見て略直角二等片三角形状を為し、
その後部は前記裏側空間５１の後端部５１ａにぴったり
納まる形状を有すると共に、その底面４９ａは取付足４
３の底面の曲率と同じ曲率で屈曲され、その上面４９ｂ
は前下がりの斜面になっている。この補強部材４９も接
着性の高い合成樹脂によって形成されている。そして、
補強部材４９は、その後部が裏側空間５１の後端部５１
ａに嵌め込まれた状態で背面４９ｃがフレーム４５に接
着固定される。この状態においては、補強部材４９の底
面４９ａが取付足４３の底面と同一面上に位置する。

【００２０】以上のように構成されたラインガイド２１
の竿体３５への取付も、前記ラインガイド２１の取付と
同様に行う。即ち、補強部材４９の底面４９ａに接着剤
を塗布した後、取付足４３及び補強部材４９を竿体３５
の外周面の所定の位置に着座させ、取付足４３に縛り糸
３７を巻き付け、次いで、巻き付けた縛り糸３７の全体
にコーティング剤を塗布する。このようにしてラインガ
イド４１が竿体３５に装着されると、補強部材４９は、
フレーム４５と竿体３５とで形成される隅角部を埋める
ように位置する。

【００２１】従って、フレーム４５の前倒れ方向への曲
げ強度が高められると共に、取付足４３と竿体３５との
間にラインが挾まるのを防止できる。そして、裏側空間
５１はガイドリング４７と補強部材４９とで完全に埋め
られるため、意匠的にも見栄えが向上する。

【００２２】以上、本発明の実施の形態について詳述し
てきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設
計の変更などがあっても本発明に含まれる。例えば、実
施の形態においては、補強部材をフレームに固定する手
段として接着法を用いるようにしたが、この固定手段が
接着に限られることは無い。特に、第一の実施の形態に
示したラインガイドのようにフレームに窓がある場合
や、第二の実施の形態に示したラインガイドのようにフ
レームに折り曲げ可能な部位がある場合は、その窓や折
り曲げ可能な部位を利用して補強部材を係合保持させる
ことが考えられるし、更には、フレームに補強部材をア
ウトサートすることも考えられる。そして、補強部材の
保持に接着剤を必要としない場合は、補強部材の材料と
してジュラコンその他の硬質な合成樹脂を使用すること
も考えられる。

【００２３】また、本発明における補強部材の形状やフ
レームに対する大きさ等が実施の形態に示した補強部材
の形状や大きさに限られることの無いことは勿論であ
る。そして、本発明を適用することができるラインガイ
ドの形状が実施の形態に示したものに限られることは無
く、本発明は、竿体の外周面に着座して固定される取付
足とこの取付足から立ち上がるように位置しライン通し
孔が設けられたフレームとを備え前記取付足がフレーム
より後側だけに位置した各種の釣竿用ラインガイドと、
このラインガイドを装着して成る各種の釣竿に広く適用
することができる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明にあっては、フレ
ームの下端部は補強部材を挾んで竿体に密接することで
前倒れ方向への曲げを確実に阻止されるので、フレーム
のうち前倒れできる寸法が縮まり、その縮まった分だ
け、後方からの衝撃により生じるモーメントが小さくな
って耐曲げ強度が高められる。また、フレームと竿体と
で形成される隅角部が補強部材で埋められるので、取付
足と竿体との間にラインが挾まるのを確実に防止するこ
とができる。そして、本発明においては、補強部材を合
成樹脂により形成しているので、ラインガイドや釣竿の
重量がそれほど増えることも無い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施の形態に係るラインガイド
を竿体に載せた状態で示す一部切欠き側面図である。

【図２】図１に示すラインガイドの斜視図である。

【図３】図１に示すラインガイドの分解斜視図である。

【図４】本発明の第二の実施の形態に係るラインガイド
を竿体に載せた状態で示す垂直断面図である。

【図５】図４に示すラインガイドの斜視図である。

【図６】図４に示すラインガイドの分解斜視図である。

【図７】従来のラインガイドの一例を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

２１ ラインガイド ２３ 取付足 ２５ フレーム ２９ 補強部材 ３５ 竿体 ４１ ラインガイド ４３ 取付足 ４５ フレーム ４９ 補強部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】竿体の外周面に着座して固定される取付足
   とこの取付足から立ち上がるように位置しライン通し孔
   が設けられたフレームとを備え前記取付足がフレームよ
   り後側だけに位置した釣竿用ラインガイドであって、フ
   レームと竿体とで形成される前側の隅角部を埋める合成
   樹脂製の補強部材を設けたことを特徴とする釣竿用ライ
   ンガイド。
2. 【請求項２】竿体の外周面に着座して固定される取付足
   とこの取付足から立ち上がるように位置しライン通し孔
   が設けられたフレームとを備え前記取付足がフレームよ
   り後側だけに位置したラインガイドを装着して成る釣竿
   であって、ラインガイドのフレームと竿体とで形成され
   る前側の隅角部を埋める合成樹脂製の補強部材を設けた
   ことを特徴とする釣竿。