JP2011208263A - Alめっき鋼線の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】細径の鋼芯線の表面に薄いAlめっき層を安定して効率的に形成させる。
【解決手段】芯線径D0が0.1〜1.0mmの鋼線を溶融Alめっき浴に浸漬したのち気相空間に連続的に引き上げる方法で鋼線表面に溶融Alめっきを施すにあたり、鋼線が引き上げられる浴面位置が接する気相空間を酸素濃度10.0%以下の不活性ガス雰囲気とし、次式、δ=DA−D0で表される平均径差δが0.010mm以上、且つ次式、S(%)=(1−D0 2/DMAX 2)×100下記(2)式で表される最大断面積変動率Sが60.0%以下となるようにライン速度をコントロールして鋼線を引き上げるAlめっき鋼線の製造法。
ここで、DAは引き上げられた溶融Alめっき鋼線の長手方向平均線径(mm)、DMAXは同長手方向最大線径(mm)である。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼線の表面をAlで被覆する技術であって、特に細径の鋼芯線に薄いAlめっき層を効率的に形成するのに適したAlめっき鋼線の製造方法に関する。
自動車のワイヤーハーネス用素線をはじめとする各種導線には、従来、銅素線が使用されている。しかし、鉄スクラップとともにリサイクルする上で、銅材の混入は好ましくない。このためリサイクル性の観点からは、鉄スクラップとともに溶解可能で且つ導電性が比較的良好なアルミニウム線の適用が有利となる。
また、ワイヤーハーネスを構成する各導線は「かしめ加工」によって端子に締結されることが多く、かしめ部で容易に破断することがないように、個々の素線にはある程度の強度が要求され、また、かしめ締結部での引抜強度が要求される。現状の信号用ワイヤーハーネス素線には、銅素線の場合は直径約0.2mm以上、アルミニウム素線の場合には直径1mm以上の線径を確保することが必要とされる。
一方、高強度・高耐食性が要求される用途において、鋼線を芯線とするAlめっき鋼線が知られている(特許文献1、2)。特許文献1には漁網ロープ用、送電線の補強用、海底光ファイバーケーブル補強用等のワイヤーに使用するAlめっき鋼線が記載されている。特許文献1の実施例に開示されている鋼線は線径2〜13mmと太いものであり、Alめっきの目的は耐食性改善である。特許文献2のAlめっき線材は高強度ボルト用であり、その図2には7mm径のものが示されている。
Alめっき鋼線は、芯材である「鋼」に高強度を負担させることができる。その反面、鋼は、銅やアルミニウムに比べ導電性に劣ることから、電力を供給するためのケーブルや直流電流を主体とした信号用ケーブルに使用するためのAlめっき鋼線においては、Alめっき層の厚さを鋼芯線に対して十分に厚くする必要がある。そのような要求に対応すべく、本出願人はこれまでにワイヤーハーネス素線に適した細径の鋼芯線の表面に厚いAlめっき層を形成させる技術を案出し、特許文献3、4に開示した。
特開平3−219025号公報 特開2004−360022号公報 特開2009−179865号公報 特開2009−187912号公報
近年、デジタル技術の進展により、信号の伝達を高周波によって行う場合が増えてきた。それに伴い高周波信号を伝送する用途で使われる導線のニーズも増大することが予想される。自動車用ワイヤーハーネスの素線用途においても、高周波信号の伝送に合致したものが求められるようになっている。
高周波電流は導体の表層部を流れる性質があることから(表皮効果)、高周波用の導線においては表層部の導電性が良好であることが要求される。この点、Alめっき鋼線は導線の表層部が導電性の良いアルミニウムで構成されているため、機械的強度と高周波電流の導電性を両立させやすい材料であると言える。ただし、特許文献3、4に開示したような厚いAlめっき層を有するAlめっき鋼線は、高周波電流の表皮効果を考慮した場合にAl部分の断面積が過剰である。そこで、薄いAlめっき層を形成した細径のAlめっき鋼線を溶融Alめっき法によって製造すれば、高周波信号用途ワイヤーハーネス素線に適した線材が比較的低コストで提供できるものと考えられた。
しかしながら、特許文献3、4などに開示された従来の溶融Alめっき鋼線製造技術を利用した場合、例えば直径0.1〜0.3mm程度の細径の鋼芯線の表面に例えば厚さ15μm程度の薄いAlめっき層を溶融めっき法で効率良く均一に形成することは容易ではないことがわかった。工業的な生産ではライン速度が重視されるが、ライン速度を上げると長手方向のめっき層厚さ分布が不均一になりやすく、これが工業的生産の実用化を阻む要因となる。
本発明は、細径の鋼芯線の表面に薄いAlめっき層を安定して効率的に形成させる手法、およびそれによって得られたAlめっき鋼線を伸線加工する手法を提供しようというものである。
発明者らは詳細な検討の結果、溶融Alめっき法において、鋼線が引き上げられる部分の浴面を覆う気相部の酸素濃度を低減することにより、線材長手方向におけるめっき付着量の分布が顕著に均一化されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明では、芯線径D0が0.1〜1.0mmの鋼線を溶融Alめっき浴に浸漬したのち気相空間に連続的に引き上げる方法で鋼線表面に溶融Alめっきを施すにあたり、鋼線が引き上げられる浴面位置(めっき浴立ち上がり部)が接する気相空間を酸素濃度10.0%以下好ましくは0.1%未満の不活性ガス雰囲気とし、下記(1)式で表される平均径差δが0.010mm以上、且つ下記(2)式で表される最大断面積変動率Sが60.0%以下となるようにライン速度をコントロールして鋼線を引き上げるAlめっき鋼線の製造法が提供される。
平均径差δ=DA−D0 …(1)
最大断面積変動率S(%)=(1−D0 2/DMAX 2)×100 …(2)
ここで、D0は鋼芯線の径(mm)、DAは引き上げられた溶融Alめっき鋼線の長手方向平均線径(mm)、DMAXは同長手方向最大線径(mm)である。
上記において芯線径D0は溶融めっきに供する鋼線における鋼芯線の部分の直径を線材長手方向に平均したものを意味する。前処理としてZnめっきやNiめっきなどのプレめっきを施した鋼線を溶融Alめっきに供する場合は、前処理のめっき層を除いた鋼芯線の部分の径によって定められる。なお、本明細書でいう線材の「直径」(単に「径」ということもある)は、線材の長手方向に垂直な断面において最も長い部分の径(長径)を意味する。
めっき浴立ち上がり部が接する気相空間の酸素濃度をコントロールする手法として、めっき浴立ち上がり部を含む浴面部分およびその浴面が接する気相空間を、引き上げられる鋼線が通過する部分に開口部を持つ遮蔽体で大気環境から仕切るとともに、その遮蔽体で仕切られた気相空間内に不活性ガス成分(例えば窒素)を導入する手法を採用することができる。
また本明細書では、上記の製造法によって得られた溶融Alめっき鋼線に対し、下記(3)式で表される減面率Rが5.0〜60.0%となるように伸線加工を施すAlめっき鋼線の製造法が提供される。
減面率R(%)=(1−DR 2/DMAX 2)×100 …(3)
ここで、DRは伸線加工後の線径(mm)である。
本発明によれば、細径の鋼芯線の周囲に薄目付のAlめっき層が形成され、長手方向の線径およびAlめっき層厚さが均一化されたAlめっき鋼線を、工業的に生産性良く製造することが可能となる。このAlめっき鋼線を伸線加工したものは、特に高周波信号を伝送するための信号ケーブル素線として好適である。
本発明に使用できる溶融Alめっき鋼線製造装置の構成の一例を模式的に示した図。 長手方向平均めっき層厚さに及ぼす「ライン速度」と「めっき浴立ち上がり部が接触する気相空間の酸素濃度」の影響を例示したグラフ。 長手方向最大線径DMAXに及ぼす「ライン速度」と「めっき浴立ち上がり部が接触する気相空間の酸素濃度」の影響を例示したグラフ。 大気雰囲気および酸素濃度0.1%未満の窒素ガス雰囲気中に鋼線を引き上げた場合の、長手方向最大線径DMAXに及ぼすライン速度の影響を例示したグラフ。 溶融Alめっき鋼線の長手方向における線径分布を測定したプロファイルを例示したグラフ。
図1に、本発明に使用できる溶融Alめっき鋼線製造装置の構成の一例を模式的に示す。めっき浴槽50の中に溶融Alめっき浴1が収容されている。送出装置51から送り出された鋼線3は矢印方向に連続的に搬送されて、溶融Alめっき浴1の中を通過した後、浴面10から気相空間2へと引き上げられ、その引き上げ過程でめっき層が凝固して溶融Alめっき鋼線となり、巻取装置52によって巻き取られる。
本発明のAlめっき鋼線の製造法において、鋼線3は、溶融Alめっき浴1から引き上げられる際に、酸素濃度が低い不活性ガス雰囲気の気相空間8中に引き上げられる。具体的には酸素濃度が10.0%以下に低減されている不活性ガス雰囲気の気相空間8中に引き上げられることによって、Alめっき付着量の線材長手方向のバラツキが非常に小さくなり、安定して薄目付のAlめっき鋼線を得ることが可能となる。
一般的にライン速度(鋼線3の引き上げ速度)が速くなるほど平均的なめっき付着量は増大する傾向にあるが、同時に長手方向のめっき付着量の変動が大きくなり、後工程の伸線加工によって線径を整えたときに長手方向の材質が均等なAlめっき鋼線を得ることが難しくなる。このような材質の不均一さは線材の局所的な強度不足を招くだけでなく、安定した高周波伝送性を得る上でも好ましくない。ところが、鋼線3が引き上げられる浴面位置(めっき浴立ち上がり部5)が酸素濃度の低い不活性ガス雰囲気に覆われているとき、長手方向におけるめっき付着量の変動が抑制され、ライン速度を向上させることが可能になるのである。そのメカニズムについては現時点で未解明の部分が多いが、めっき浴立ち上がり部5の周囲の浴面(不活性ガス雰囲気に覆われている浴面部分6)における酸化膜の生成が抑制され、鋼線3に随伴して引き上げられる溶融Alの粘性が低下することが主たる要因として考えられる。
気相空間2に引き上げられた鋼線3は、引き上げられる過程で冷却され、めっき層が凝固する。引き上げ過程には必要に応じて冷却装置53が設置され、ガスや液体ミストの吹き付けなどにより強制冷却することができる。また、送出装置51とめっき浴1の間に熱処理装置を挿入することができる。熱処理雰囲気としては例えば還元性ガス雰囲気(H2−N2混合ガスなど)が採用できる。熱処理装置からめっき浴1に浸漬されるまでの区間に大気から遮蔽するためのスナウトを設ける場合もある。さらに、前工程でプレめっきや伸線などを行う場合には、それら前工程の装置と当該めっき装置を直列に配置して連続ラインを構築することができる。
気相空間2は大気雰囲気とすればよいが、めっき浴1から先ず不活性ガス雰囲気の気相空間8中へ引き上げるためには、めっき浴立ち上がり部5を含む浴面(符号6の部分)およびその浴面が接する気相空間(符号8の部分)を、引き上げられる鋼線3が通過する部分に開口部7を持つ遮蔽体4で大気環境から仕切るとともに、その遮蔽体4で仕切られた気相空間内に窒素、アルゴン等の不活性ガス成分を導入すればよい。不活性ガス成分はガス供給装置57からガス供給管56によって遮蔽体4で仕切られた気相空間内に送り込むことができる。
溶融Alめっき浴1は、Si含有量を0〜12質量%とすることができる。すなわち、Si含有量が0〜1質量%のいわゆる純Alめっき浴を適用することができる他、Si含有量が12質量%以下のAlめっき浴を適用することもできる。Siを添加することにより鋼芯線とAlめっき層の間に生成する脆いFe−Al系合金層の成長を抑制することができ、伸線加工性の向上に有効となる。またSi添加により融点が低下するので、製造が容易となる。ただし、Si含有量が増加するとAlめっき層自体の加工性が低下する。また導電性低下にも繋がる。したがって、Alめっき浴1にSiを含有させる場合は12質量%以下の範囲で行うこと望ましい。なお、浴中には例えばFe、Cr、Ni、Zn、Cu等の不純物元素が不可避的に混入する場合がある。
めっきに供する鋼線3としては、直径0.1〜1.0mmの鋼芯線を芯材に持つものが対象となる。0.1mmより細径のものはライン中で破断しやすく、製造性に劣る。また、めっき付着量の制御も難しい。一方、直径が1.0mmを超える鋼芯線は、高周波を伝送する信号ケーブルの素線としては無駄が多く、また、伸線加工により細径に加工するとしても伸線加工の負荷が過大となり好ましくない。
高周波電流の表皮効果を考慮すると、良好な導電性を担うAlめっき層はかなり薄くても良いと考えられる。ただし、めっき付着量が過小になると「不めっき」等のめっき欠陥が形成されやすくなり、高周波の伝送性に悪影響を及ぼす恐れがあるので好ましくない。また、溶融Alめっき鋼線の線径を整えるために伸線加工を施すことを想定すると、溶融めっき後にはある程度余裕のあるめっき層厚さを有していることが望まれる。種々検討の結果、下記(1)式で表される平均径差δが0.010mm以上となるようにAlめっき層厚さが確保されていることが好ましい。
平均径差δ=DA−D0 …(1)
δの上限については後述(2)式の最大断面積変動率Sによって溶融めっき鋼線の最大線径が制約を受けるので特に定める必要はないが、通常、δは0.060mm以下であることが好ましく、0.050mm以下がより好ましい。
ここで、D0は鋼芯線の径(芯線径)、DAは引き上げられた溶融Alめっき鋼線の長手方向平均線径である。溶融Alめっきに供する鋼線は一様な線径に調整されたものが適用されるので、芯線径D0は長手方向に均一であるとみなすことができる。一方、溶融Alめっき後の線径は長手方向にある程度のバラツキが生じる。そのため、溶融Alめっき鋼線の線径としては長手方向の平均線径DAを採用する。DAは、同一条件の伸線加工に供する部分の全長にわたって測定される線径の平均値を採用すればよい。
図2に、芯線径D0が0.20mmの鋼線に溶融Alめっき(Si=0%)を施した場合の、長手方向平均めっき層厚さに及ぼす「ライン速度」と「めっき浴立ち上がり部が接触する気相空間の酸素濃度」の影響を例示する。この平均めっき層厚さは概ね上述した平均径差δの1/2に相当する。芯線径D0が同一である場合、溶融めっき鋼線の平均めっき層厚さ(平均径差δ)は気相空間の酸素濃度にそれほど依存しないことがわかる。ただしライン速度が小さくなるとδは急激に低下することがある。したがって、安定して0.010mm以上のδ値を確保するためにはライン速度のコントロールが必要である。
図3に、図2の各例について、長手方向最大線径DMAXに及ぼす「ライン速度」と「めっき浴立ち上がり部が接触する気相空間の酸素濃度」の影響を例示する。平均めっき層厚さは約7〜13μmの範囲に収まっていることから(図2)、DMAXが大きいほど溶融めっき鋼線の長手方向における線径のバラツキが大きいと捉えることができる。すなわちDMAXは溶融めっき鋼線の線径の長手方向バラツキを表す指標であると見ることができる。図3からわかるように、気相空間の酸素濃度が高くなると溶融めっき鋼線の最大線径DMAXは増大する傾向にある。また、ライン速度を低くすると酸素濃度10.0%でもDMAXは低い値に収束してくる。これらのことから、めっき層厚さの変動の少ない溶融Alめっき鋼線をできるだけ高いライン速度で効率的に生産するためには、めっき浴立ち上がり部5が接触する気相空間の酸素濃度を低下させることが極めて効果的であることがわかる。発明者らによる多くの実験データによれば、当該気相空間の酸素濃度を10.0%以下とすれば芯線径D0が0.1〜1.0mmの鋼線において線径の長手方向バラツキが十分に小さいものを製造するライン速度の条件を見出すことができる。
図4に、めっき浴立ち上がり部が接触する気相空間が大気(酸素濃度約21%)である場合と酸素濃度0.1%未満の窒素ガス雰囲気である場合について、長手方向最大線径DMAXに及ぼすライン速度の影響を例示する。いずれも芯線径D0が0.20mmの鋼線に溶融Alめっき(Si=0%)を施した場合のデータである。気相空間の酸素濃度を0.1%未満にまで低減すると、種々のライン速度で長手方向バラツキが極めて小さい溶融Alめっき鋼線を安定して製造できることがわかる
図5に、図2、図3の例のうちライン速度80m/minおよび160m/minのいくつかについて、溶融Alめっき鋼線の長手方向における線径分布を測定したプロファイルを例示する。これらは、ライン内において、線径測定装置を用いて連続的に記録した溶融Alめっき鋼線の線径データの20mにわたる部分を表示したものである。各グラフの横軸が長手方向位置を表し、グラフ左端から右端までが20mに相当する。溶融Alめっき鋼線の長手方向線径バラツキは、気相空間の酸素濃度およびライン速度に依存することがわかる。
溶融Alめっき鋼線の長手方向線径バラツキが大きくなると、伸線加工により線径を整えた場合に断面に占める鋼芯線の割合が長手方向で著しく変動するようになり、また、伸線加工時に破断等のトラブルを招く要因となる。ただし、伸線加工に伴うこれらの問題は単にDMAXの値だけで整理できるのではなく、溶融Alめっき鋼線の断面積の長手方向変動を考慮に入れる必要がある。そこで本発明では下記(2)式により表される最大断面積変動率Sを伸線加工性の指標として採用する。
最大断面積変動率S(%)=(1−D0 2/DMAX 2)×100 …(2)
この(2)式に適用するDMAXは、同一条件の伸線加工に供する部分の全長にわたって測定される線径の最大値を採用すればよい。
詳細な検討の結果、最大断面積変動率Sが60.0%を超えると、伸線加工に供して一定の線径とした場合、伸線前の径が大きい部分で鋼芯線の断面積が小さくなるので、伸線加工後の線材においてその部分の引張強度が低下して問題となりやすい。最大断面積変動率Sは50.0%以下であることがより好ましい。最大断面積変動率Sはめっき浴立ち上がり部5が接触する気相空間の酸素濃度を前述のように調整した上で、ライン速度をコントロールすることによって調整することができる。
以上のようにして得られた溶融Alめっき鋼線は、伸線加工に供され、表面性状の平滑化および線径の調整が行われる。その際、下記(3)式で表される減面率Rが5.0〜60.0%となるように伸線加工を施すことが好ましい。
減面率R(%)=(1−DR 2/DMAX 2)×100 …(3)
ここで、DRは伸線加工後の線径(mm)である。
減面率Rが5.0%未満だと表面性状の平滑化が不十分となる。10.0%以上の減面率を確保することがより好ましい。一方、減面率Rが60.0%を超えるような伸線加工を行うとダイスで断線しやすくなる。なお、本発明に従って得られた溶融Alめっき鋼線は(2)式の最大断面積変動率Sが60.0%以下に抑えられていることから、(3)式の減面率Rを60.0%以下とする伸線加工に供することによって少なくとも元の芯線径D0と等しい線径まではAlめっき鋼線の線径を縮減することができることになる。
図1に示した構成の溶融Alめっき装置により種々の条件で溶融Alめっき鋼線を製造した。各例とも、めっきに供した鋼線の全長は約100mである。不活性ガスとして窒素を使用し、遮蔽体4内の空間に導入する窒素含有ガス(酸素含有量0〜3体積%)の酸素含有量、ガス流量、および開口部7の位置・大きさにより、めっき浴立ち上がり部5が接触している気相空間の酸素濃度を調整した。一部の例では大気雰囲気とした。前記気相空間の酸素濃度は、めっき浴立ち上がり部5の近傍のガスをガスサンプリング管により採取し、測定した。溶融Alめっき後の鋼線について、上述の方法によりライン内にて図5に示したのと同様の線径プロファイルを記録し、そのデータに基づいて長手方向最大線径DMAXを算出した。このDMAXと芯線径D0を前記(2)式に代入して最大断面積変動率Sを求めた。溶融Alめっきに供する鋼線、溶融Alめっき条件、長手方向最大線径DMAX、および最大断面積変動率Sを表1にまとめて示す。なお、各例とも(1)式により求まる平均径差δは0.010〜0.060mmの範囲に収まっていた。
Figure 2011208263
表1からわかるように、めっき浴立ち上がり部が接触している気相空間の酸素濃度を10.0%以下とした上でライン速度をコントロールすることにより、最大断面積変動率Sが60.0%以下の溶融Alめっき鋼線を得ることができる。
1 溶融Alめっき浴
2 気相空間
3 鋼線
4 遮蔽体
5 めっき浴立ち上がり部
6 不活性ガス雰囲気に覆われている浴面部分
7 開口部
8 不活性ガス雰囲気の気相空間
10 浴面
50 めっき浴槽
51 送出装置
52 巻取装置
53 冷却装置
56 ガス供給管
57 ガス供給装置
58 リール

Claims (4)

  1. 芯線径D0が0.1〜1.0mmの鋼線を溶融Alめっき浴に浸漬したのち気相空間に連続的に引き上げる方法で鋼線表面に溶融Alめっきを施すにあたり、鋼線が引き上げられる浴面位置(めっき浴立ち上がり部)が接する気相空間を酸素濃度10.0%以下の不活性ガス雰囲気とし、下記(1)式で表される平均径差δが0.010mm以上、且つ下記(2)式で表される最大断面積変動率Sが60.0%以下となるようにライン速度をコントロールして鋼線を引き上げるAlめっき鋼線の製造法。
    平均径差δ=DA−D0 …(1)
    最大断面積変動率S(%)=(1−D0 2/DMAX 2)×100 …(2)
    ここで、D0は鋼芯線の径(mm)、DAは引き上げられた溶融Alめっき鋼線の長手方向平均線径(mm)、DMAXは同長手方向最大線径(mm)である。
  2. めっき浴立ち上がり部が接する気相空間を酸素濃度0.1%未満の不活性ガス雰囲気とする請求項1に記載のAlめっき鋼線の製造法。
  3. めっき浴立ち上がり部を含む浴面部分およびその浴面が接する気相空間を、引き上げられる鋼線が通過する部分に開口部を持つ遮蔽体で大気環境から仕切るとともに、その遮蔽体で仕切られた気相空間内に不活性ガス成分を導入することにより、めっき浴立ち上がり部が接する気相空間の酸素濃度をコントロールする請求項1または2に記載のAlめっき鋼線の製造法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造法によって得られた溶融Alめっき鋼線に対し、下記(3)式で表される減面率Rが5.0〜60.0%となるように伸線加工を施すAlめっき鋼線の製造法。
    減面率R(%)=(1−DR 2/DMAX 2)×100 …(3)
    ここで、DRは伸線加工後の線径(mm)である。
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